説明

電子デバイスの製造方法、放射線センサの製造方法及び有機EL表示装置の製造方法

【課題】製造時に用いた仮支持体を分離する際に、薄膜素子への損傷を防止しつつ、且つ分離に掛かる手間とコストを低減する。
【解決手段】仮支持体200に分離層202を形成する工程と、前記分離層202上に薄膜素子を含む素子層300を形成する工程と、前記素子層300上に、前記仮支持体200よりも熱収縮率が大きい基板30を接合する工程と、前記基板30を接合した後加熱して、前記基板30を熱収縮させることにより、前記分離層202を介して前記仮支持体200と前記素子層300とを分離する工程と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子デバイスの製造方法、放射線センサの製造方法及び有機EL表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、薄膜素子、例えば薄膜トランジスタ(以下、TFTという)を搭載する基板として、平面性、平滑性、耐熱性に優れ、温度による伸縮が小さいガラス基板が使用されている。しかしながら、ガラス基板は重く、変形や落下による破壊の恐れがあり、TFTを有した製品の実使用時に使用する基板としては好ましくない場合がある。
【0003】
そのため、薄膜素子を搭載する基板として、可撓性を有するフィルム状のプラスチック基板を使用することが試みられている。しかしながら、プラスチック基板は耐熱性に乏しく、吸水による伸縮も大きく、薄膜素子の製造時に使用する基板としては好ましくない場合がある。
【0004】
そこで、製造時の基板に好ましい条件と、実使用時の基板に好ましい条件を同時に満たす方法として、仮支持体上に分離層を設け、当該分離層上に薄膜素子を形成し、可撓性基板に接合してから、分離層にて少なくとも一部に剥離(破壊)を生じさせ、仮支持体を分離する「薄膜素子の転写方法」が提案されている(例えば特許文献1参照)。
ここで、分離層にて剥離を生じさせる方法としては、以下の特許文献1〜5のようなものが挙げられる。
【0005】
特許文献1では、レーザー光を照射して分離層に含まれる水素を放出させて、当該分離層に剥離を生じさせている。
【0006】
特許文献2では、分離層に部分的にレーザー光を照射して剥離のきっかけを作った後、機械的な力を外部から加えて、分離層に剥離を生じさせている。
【0007】
特許文献3では、分離層に引っ張り力、圧縮力、せん断力等の機械的な力を外部から加えて、当該分離層に剥離を生じさせている。
【0008】
特許文献4及び5では、液体窒素で第1の基板及び第2の基板を冷却し、各々の熱膨張率(線膨張係数)の差を利用して分離層にずれ応力を加えることにより、当該分離層に剥離を生じさせている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平10−125931号公報
【特許文献2】特開2003−163338号公報
【特許文献3】特開2003−345267号公報
【特許文献4】特開平10−150211号公報
【特許文献5】特開2003−229588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1では、分離層から水素を放出させるために比較的強度の高いレーザー光の照射が必要とされ、薄膜素子に損傷を与えてしまうという問題がある。
【0011】
特許文献2では、分離層に部分的にレーザー光を照射するため、機械的な力を加えた際に分離層内のいずれかに力が集中したりして仮支持体を大面積に渡って均一に剥離することが難しい。また、分離層の剥離のきっかけを作るためにレーザー光を照射することが必須となっているため、レーザー装置を用意しなければならず設備費用が掛かる。
【0012】
特許文献3も同様に、分離層に外部からの力を加えると、分離層内に局所的に力が集中したりして仮支持体を大面積に渡って均一に剥離することが難しい。また、外部からの力だけでは、場合によっては分離層以外の部分が剥離したりする虞があり好ましくない。
【0013】
特許文献4及び5では、分離層を冷却する液体窒素が高価であり、製造コストが掛かる。また、液体窒素で冷却した温度から室温に戻すときに、分離層上の薄膜素子に結露が生じて、当該薄膜素子に悪影響を及ぼす虞がある。さらに、熱膨張率(線膨張係数)の差を利用した可逆的な熱収縮によりずれ応力を発生させているため、冷却温度から室温に戻すとずれ応力が消失し、分離層に十分に剥離を生じせしめることができない場合がある。
【0014】
本発明は、製造時に用いた仮支持体を分離する際に、薄膜素子への損傷を防止しつつ、且つ分離に掛かる手間とコストを低減することができる電子デバイスの製造方法、放射線センサの製造方法及び有機EL表示装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の上記課題は下記の手段によって解決された。
<1>仮支持体に分離層を形成する工程と、
前記分離層上に薄膜素子を含む素子層を形成する工程と、
前記素子層上に、前記仮支持体よりも熱収縮率が大きい基板を接合する工程と、
前記基板を接合した後加熱して、前記基板を熱収縮させることにより、前記分離層を介して前記仮支持体と前記素子層とを分離する工程と、
を有する電子デバイスの製造方法。
<2>前記分離する工程では、前記基板をガラス転移点以上で加熱した後室温に戻して、前記基板の不可逆的な熱収縮によるずれ応力を前記分離層に発生させる<1>に記載の電子デバイスの製造方法。
<3>前記基板を接合した後で且つ加熱する前に、少なくとも前記基板を覆うように前記加熱で熱収縮する収縮シートを設ける工程と、前記仮支持体の端部をカットする工程と、有し、
前記仮支持体を分離する工程の後に、前記収縮シートを除去する工程を有する<1>又は<2>に記載の電子デバイスの製造方法。
<4>前記分離層を形成した後で且つ前記素子層の薄膜素子を形成する前に、前記分離層の端面に封止剤を塗布及び硬化して、前記分離層を封止する工程を有し、
前記仮支持体の端部をカットする際に、前記封止剤も除去する<3>に記載の電子デバイスの製造方法。
<5>前記基板を接合した後で且つ前記基板を加熱する前に、前記素子層にダメージを与えない放射強度の光を前記分離層に照射する工程を有する<1>〜<4>のいずれか1つに記載の電子デバイスの製造方法。
<6>前記分離する工程では、前記基板を接触加熱方式により加熱する<1>〜<5>のいずれか1つに記載の電子デバイスの製造方法。
<7>前記仮支持体はガラスからなり、前記基板はプラスチックからなる<1>〜<6>のいずれか1つに記載の電子デバイスの製造方法。
<8><1>〜<7>のいずれか1つに記載の電子デバイスの製造方法を含む放射線センサの製造方法。
<9><1>〜<7>のいずれか1つに記載の電子デバイスの製造方法を含む有機EL表示装置の製造方法。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、製造時に用いた仮支持体を分離する際に、薄膜素子への損傷を防止しつつ、且つ分離に掛かる手間とコストを低減することができる電子デバイスの製造方法、放射線センサの製造方法及び有機EL表示装置の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る電子デバイスの製造方法を概略的に示した説明図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る放射線センサの1画素分の構成を概略的に示した断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る放射線センサの製造方法を示した説明図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る放射線センサの製造方法を示した説明図であって、図3の続きである。
【図5】本発明の第1実施形態に係る放射線センサの製造方法を示した説明図であって、図4の続きである。
【図6】本発明の第2実施形態に係る有機EL表示装置の駆動TFTと有機EL素子の構成を示す概念図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る有機EL表示装置の製造方法を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明に係る電子デバイスの製造方法について具体的に説明する。なお、図中、同一又は対応する機能を有する部材(構成要素)には同じ符号を付して適宜説明を省略する。
【0019】
図1は、本発明に係る電子デバイスの製造方法を概略的に示した説明図である。なお、図1に示す各部材の縦線は、後述するずれ応力による分離層202の変形を把握し易いように描いたものである。
本発明に係る電子デバイス10は、後述する第1実施形態の放射線センサや第2実施形態の有機EL表示装置だけでなく、製造時に用いた仮支持体を、薄膜素子を含む素子層から分離するものであれば、如何なる電子デバイスにも適用でき、例えば電子ペーパー、液晶表示装置又はTFT素子単体等にも適用できる(図1(G)参照)。
以下、電子デバイス10として放射線センサ等の具体的構成を説明する前に、図1を用いて本発明の要点を説明する。
【0020】
―仮支持体の用意―
本発明に係る電子デバイス10の製造方法では、まず図1(A)に示すように、電子デバイス10の製造時にのみ使用する仮支持体200を用意する。
仮支持体200としては、後述する基板30よりも加熱された時の熱収縮率が1桁や2桁程度の小さいものを用い、例えば180℃で1時間加熱した時に0%〜0.001%の熱収縮率を有するものを用いる。
また、仮支持体200は、電子デバイス10の製造時に用いる支持体であるので、加圧又は、加圧及び加熱下においても著しい変形、収縮若しくは伸びを生じないことが好ましく、化学的にも安定であることが好ましい。このような仮支持体200の例としては、ガラス基板、シリコン基板等が挙げられ、熱収縮率が0%であるガラス基板が好ましく、ソーダ石灰ガラスに比べて熱膨張率が小さい無アルカリガラス基板がより好ましい。
仮支持体200の厚みとしては、300μm以上1mm以下が適当であり、例えば700μmである。
【0021】
―分離層の形成―
次に、図1(B)に示すように、仮支持体200上に分離層202を形成する。この分離層202は、引っ張り強度が弱く、後述するずれ応力が分離層202に加わった時に、分離層202の層内及び/又は界面において剥離を生じさせることができるものである。 このような分離層202の構成材料としては、ポリ酢酸ビニル(ポリビニルアセテート)等の接着剤やディスコティック液晶が挙げられる。
分離層202の形成方法は、特に限定されず、膜組成や膜厚等の諸条件に応じて適宜選択される。例えば、CVD(MOCVD、低圧CVD、ECRCVDを含む)、蒸着、分子線蒸着(MB)、スパッタリング、イオンプレーティング、PVD等の各種気相成膜法、電気メッキ、浸漬メッキ(ディッピング)、無電解メッキ等の各種メッキ法、ラングミュア・プロジェット(LB)法、スピンコート、スプレーコート、ロールコート等の塗布法、各種印刷法、転写法、インクジェット法、粉末ジェット法等が挙げられ、これらのうちの2以上を組み合わせて形成することもできる。なお、分離層202をゾルゲル法によるセラミックスで構成する場合や、有機高分子材料で構成する場合には、塗布法、特に、スピンコートにより成膜するのが好ましい。
分離層202の厚みは、基板30が熱収縮した際に、分離に必要なずれ応力を発生させる観点から、例えば1μm以上20μm以下である。
【0022】
―素子層の形成―
次に、図1(C)に示すように、分離層202上に素子層300を形成する。この素子層300は、TFTや有機EL素子等の薄膜素子を少なくとも1つ含むものであり、この他に絶縁層等を含んでいても良い。
ここで、素子層300に用いられるTFTの素子構造としては、ゲート電極の位置に基づいた、いわゆる逆スタガ構造(ボトムゲート型とも呼ばれる)及びスタガ構造(トップゲート型とも呼ばれる)のいずれの態様であってもよい。また、活性層とソース電極及びドレイン電極(適宜、「ソース・ドレイン電極」という。)との接触部分に基づき、いわゆるトップコンタクト型、ボトムコンタクト型のいずれの態様であってもよい。
なお、トップゲート型とは、ゲート絶縁層の上側にゲート電極が配置され、ゲート絶縁層の下側に活性層が形成された形態であり、ボトムゲート型とは、ゲート絶縁層の下側にゲート電極が配置され、ゲート絶縁層の上側に活性層が形成された形態である。また、ボトムコンタクト型とは、ソース・ドレイン電極が活性層よりも先に形成されて活性層の下面がソース・ドレイン電極に接触する形態であり、トップコンタクト型とは、活性層がソース・ドレイン電極よりも先に形成されて活性層の上面がソース・ドレイン電極に接触する形態である。
【0023】
―基板の接合―
次に、図1(D)に示すように、素子層300上に基板30を接合する。
この基板30は、電子デバイス10の一部を構成するものであり、延伸方向に残留応力(延伸力)があり、基板材料のガラス転移点(以下、Tgという)以上の加熱により当該残留応力が除去されて不可逆的な熱収縮をするものであって、仮支持体200よりも熱収縮率が大きいものを用いる。なお、「不可逆的な熱収縮」とは、基板30が一度熱収縮をしてしまうと、再び延伸方向に残留応力があるもとの状態に戻らないことを言う。
基板30の熱収縮率としては、分離層202に剥離を生じせしめる程度のずれ応力を発生させるため、0.1%以上であることが好ましい。
このような条件を満たす基板30の構成材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、全芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート等のプラスチックをフィルム状に形成したものを挙げることができる。また、非晶質の金属や金属化合物等も挙げられる。
【0024】
基板30の厚みとしては、構成材料や製造すべき電子デバイスによるが、強度、可撓性等の観点から、100μm〜1mmが適当であり、例えば200μmである。
例えば、適切な厚みを求める理論式としては、後述する分離層202に剥離を生じせしめる程度のずれ応力R(N)を発生させるため、基板30のヤング率をE(Pa)とし、熱収縮率をβ(%)とし、厚みを含む断面積をA(cm)とした場合、以下の式(1)の通りとなる。ここで、式(1)において、R、E、βを定数とすれば、Aが求められ、Aから適切な厚みを求めることが可能である。
R=E×A×β・・・式(1)
ここで、基板30の厚みが薄い場合には、後述する保護シート等、基板30と同等の材料のものを基板30に貼り付けることにより厚みを出し、十分なずれ応力を発生させることができる。
【0025】
―仮支持体の分離―
最後に、図1(E)及び図1(F)に示すように、少なくとも基板30を加熱して、基板30を不可逆的に熱収縮させることにより、分離層202にずれ応力を発生させ、分離層202を介して仮支持体200と素子層300とを分離する。このとき、分離層202と仮支持体200との界面又は分離層202と素子層300との界面で剥離が生じるか、分離層202自体が分裂して仮支持体200と素子層300が分離することになる。
なお、素子層300側に分離層202が残った場合は、塩化メチレン等で洗浄除去する。
【0026】
ここで、上記「分離」には、ずれ応力だけで仮支持体200を分離する以外にも、分離層202にずれ応力を発生させた後、人間の手等による外的な力によって最終的に分離することも含まれる。すなわち、ずれ応力が分離層202に加わった時に、分離層202の層内及び/又は界面において少なくとも一部に剥離(破壊)を生じさせるようにすればよい。また、外的な力として、基板30を接合した後で且つ加熱する前に、素子層300にダメージを与えない放射強度の光を分離層202に照射するようにしてもよい。
また、上記「ずれ応力」は、図1(E)の分離層202界面の矢印で示すように、仮支持体200の熱収縮と基板30の熱収縮の差によって発生するものである。なお、素子層300も熱収縮する場合もあるが、仮支持体200や基板30の厚みよりも1桁以上薄いと、発生する応力も小さいため考慮しなくてもよい(上記式(1)参照)。
また、上記「加熱」の温度は、基板30の素材のTg以上にする。ただし、Tgを超えて融点以上の加熱だと素子層300がダメージを受けて電子デバイスの機能に悪影響を及ぼす虞があるため、Tg以上融点以下の温度で加熱することが好ましい。
さらに、この加熱温度から室温(25℃と仮定)に戻る過程でも、加熱による熱膨張分だけ熱収縮が進み、分離層202により大きなずれ応力を発生させて、仮支持体200を確実に分離することができる。ただし、加熱の過程で既に仮支持体200の分離が完了していてもよい。
さらにまた、室温に戻す過程において、一旦室温より低い温度にまで冷却し、室温に戻すようにしてもよい。この場合、室温より低い温度にまで冷却した段階で線膨張係数による熱収縮が進み、分離層202により大きなずれ応力を発生させ、仮支持体200を確実に分離することができる。
【0027】
基板30を加熱する方法としては、発熱部材を基板30に直接接触させる接触加熱方式、ハロゲンヒーター、セラミックヒーターなどによる赤外線を用いる放射加熱方式、加熱した空気を吹き付ける熱風加熱方式、マグネトロンなどによる電磁波を用いる電磁波加熱方式等が挙げられる。ここで、接触加熱の場合には、仮支持体200は直接加熱されないので、仮支持体200の熱収縮を低減し、仮支持体200と基板30の熱収縮の差を確実につくることができる。
基板30を室温に戻す冷却方法としては、自然冷却、空気等を吹き付ける強制冷却が挙げられる。
【0028】
以上の製造方法を経ることにより、図1(F)に示すような電子デバイス10が作製できる。
ここで、本発明では、ずれ応力により仮支持体200を分離するので、素子層300の薄膜素子への損傷を防止しつつ、電子デバイス10を作製することができる。
また、液体窒素による極低温の冷却ではなく加熱によりずれ応力を発生させるので、素子層300の薄膜素子に結露が生じて、当該薄膜素子に悪影響を及ぼすことがない。
さらに、不可逆的な熱収縮の差によりずれ応力を発生させているので、特許文献4及び5のような熱膨張率(線膨張係数)の差を利用した可逆的な熱収縮によりずれ応力を発生させる場合に比べ、室温に戻しても仮支持体200が分離されるまで分離層202にずれ応力が発生しつづけるため、分離層202に確実に剥離を生じせしめることができる。また、冷却用の液体窒素は高額で、また大型冷蔵庫なども加熱用の加熱炉などに比べて設備率が低いため、冷却よりも加熱の方が一般的にコストと手間を低減することができる。
【0029】
(第1実施形態)
第1実施形態では、本発明の電子デバイス10の製造方法の一の実施の形態について、放射線センサを例に挙げて具体的に説明する。
【0030】
−放射線センサの構成−
まず、放射線センサの構成について簡単に説明する。
図2は、本発明の第1実施形態に係る放射線センサの1画素分の構成を概略的に示した断面図である。図2に示す放射線センサ10Aにおいて、撮影対象の被検体への放射線照射に伴って、当該被検体を透過した放射線を光に変換する蛍光体層20が、基板30の一方の表面上に設けられている。そして、蛍光体層20の一方の表面側には接着層110を介して素子層300Aが設けられている。
【0031】
素子層300Aにおいて、薄膜絶縁層40の一方の表面上には、キャパシタ50及び薄膜トランジスタ(以下、TFTという)60を含む電荷検出層80を有する。キャパシタ50は、下部電極52と、上部電極54と、これらの電極間にある誘電体層56(この誘電体層56は、ゲート絶縁膜としても機能する。)によって構成される。また、TFT60は、ソース電極62と、上部電極54に接続するドレイン電極64と、これらのソース電極62とドレイン電極64との間にある活性層(チャネル層)66と、活性層66を覆うように形成された保護層68と、絶縁膜として機能する誘電体層56を介して活性層66に対向する位置にあるゲート電極70とを有する。
【0032】
電荷検出層80上には、層間絶縁膜(オーバーコート層)82を有し、この層間絶縁膜82は上部電極54上にコンタクトホール84を有する。そして、層間絶縁膜82上には、電荷収集電極86を有し、この電荷収集電極86は、上部電極54とコンタクトホール84において、電気的に接続されている。
【0033】
電荷収集電極86上には、下引層92を介して、電荷発生層94と電荷輸送層96を含む有機光電変換層90及びバイアス電極100を、この順で有している。
そして、バイアス電極100と上記基板30上に設けられた蛍光体層20が接着層110を介して接着されている。
【0034】
−放射線センサの動作−
以上のような構成を有する放射線センサ10Aは、例えば以下のような動作をする。
【0035】
蛍光体層20は、撮影対象の被検体への放射線照射に伴って、当該被検体を透過した放射線を光に変換する。次に、蛍光体層20にて放射線から変換された変換光が有機光電変換層90で電荷に変換される。そして、有機光電変換層90で変換された電荷は、電荷検出層80で読み取られる。
電荷検出層80は、二次元方向に広がる図示しない多数の画素単位を含み、各画素単位はキャパシタ50およびTFT60を含んでいる。有機光電変換層90で変換された電荷は、バイアス電極100と電荷収集電極86との間で与えられた電圧差によって移動し、電荷収集電極86に集められ、電荷収集電極86と電気的に接続している上部電極54と、下部電極52と、これらの電極間にある誘電体層56によって構成されるキャパシタ50に蓄えられる。
【0036】
キャパシタ50に電荷が蓄積されると、その蓄積量に応じて下部電極52と上部電極54との間に電位が生ずる。上部電極54とドレイン電極64は電気的に接続されているので、ゲート電極70の入力信号でTFT60をオン状態とすることによって、ソース電極66からキャパシタ50に蓄積された電荷が取り出される。このように照射された放射線によって生成した電荷量を画素ごとに検出して、例えば半導体メモリにデータとして保存される。半導体メモリに保存されたデータは、電気信号として出力することで、被写体全体の撮像を得ることができる。
【0037】
−放射線センサの製造方法−
図3、図4及び図5は、本発明の第1実施形態に係る放射線センサ10Aの製造方法を示した説明図である。
【0038】
1.仮支持体の用意
まず、放射線センサ10Aの製造時にのみ使用する上述のガラス基板等の仮支持体200を用意する。
【0039】
2.分離層の形成
次に、図3(A)に示すように、仮支持体200上に例えばポリ酢酸ビニルを用いて上述の分離層202を形成する。
【0040】
3.薄膜絶縁層の形成
次に、図3(B)に示すように、分離層202上に薄膜絶縁層40を設ける。この薄膜絶縁層40は、分離層202において剥離が生じたときでも、上に形成されるTFT素子60に悪影響が及ばないようにするためのものであり、例えば熱収縮率の小さいポリエチレンナフレタートフィルム(以下、PENフィルムという)、薄ガラス又はこれらの組み合わせが挙げられる。
薄膜絶縁層40の形成方法は、特に限定されず、膜組成や膜厚等の諸条件に応じて適宜選択される。例えば、薄膜絶縁層40がPENフィルムと薄ガラスの組み合わせである場合には、分離層202上にPENフィルムを貼り付けた薄ガラスを載せて、分離層202のガラス転移点(以下、Tgという)を超えた温度(分離層202がポリ酢酸ビニルの場合50℃)で熱することにより、分離層202に粘着性を持たせ、薄ガラスと分離層202とを接着させる。
ここで、後述する封止剤を塗布する場合には、薄膜絶縁層40は、仮支持体200よりもサイズが小さいものを選択し、薄膜絶縁層40からはみ出た分離層202を塩化メチレン等によって除去する。
【0041】
4.封止膜の形成
次に、図3(C)に示すように、ゾルゲル等の封止剤を分離層202の端面にディスペンサー等を用いて塗布する。そして、例えば封止剤としてゾルゲルを塗布した場合には、170℃程度で加熱し、有機物を飛ばしてゾルゲルを硬化させ、分離層202を封止する封止膜(ゾルゲル膜)204を形成する。なお、170℃で加熱しても、薄膜絶縁層40は熱収縮せず、薄膜絶縁層40に悪影響を及ぼさない。
この封止膜204は、封止膜204を形成する工程以降の製造プロセス、例えばエッチング工程やレジストの現像工程の中で、分離層202の構成材料が酸性の液体やアルカリ性の液体に染み出して、該液体を汚染することを防止することができる。この液体が汚染してしまうと、例えば後述するゲート電極70をエッチングしている最中に、分離層202の構成材料が余計な箇所に再付着する虞があったり、これ以降に製造する他の放射線センサ10Aが汚染されたりする。
なお、この封止膜204は、メタルマスクを薄膜絶縁層40上に載せて無機材料等をスパッタリングすることで形成することもでき、また本発明では封止膜204自体を省略することもできる。
【0042】
5.下部電極及びゲート電極の形成
次に、図3(D)に示すように、薄膜絶縁層40上にキャパシタ50の下部電極52と、TFT60のゲート電極70を形成する。
各電極52、70として使用される材料には、例えば、Al、Mo、Cr、Ta、Ti、Au、Ag等の金属、Al−Nd、APC等の合金、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)等の金属酸化物導電膜、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロ−ルなどの有機導電性化合物、またはこれらの混合物を好適に挙げられる。なお、ゲート電極70は、活性層66の光誤動作を防ぐため、遮光性を有する金属膜によって形成することが好ましい。
【0043】
各電極の成膜法は特に限定されることはなく、印刷方式、コ−ティング方式等の湿式方式、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレ−ティング法等の物理的方式、CVD、プラズマCVD法等の化学的方式、などの中から前記材料との適性を考慮して適宜選択した方法に従って前記薄膜絶縁層40上に形成することができる。例えば、フォトリソグラフィによって各電極52、70に応じた位置及び形状にモリブデン(Mo)膜をパターニングする。あるいは、各電極52、70の位置及び形状に応じた孔を有するマスクを用いてMo膜をパターニングする。各電極52、70の厚みは、例えば10nm以上1000nm以下とする。より好ましくは30nm以上300nm以下とされる。
【0044】
6.誘電体層の形成
次に、図3(E)に示すように、ゲート電極70および下部電極52上に、ゲート絶縁膜としても機能する誘電体層56を形成する。
誘電体層56に使用される材料としては、二酸化シリコンのような無機酸化物、アクリル樹脂、ノボラック樹脂、ポリイミド樹脂等のような有機高分子化合物が挙げられる。
誘電体層56は、使用される材料に応じて、適切な方法で形成される。例えば二酸化シリコンのような無機酸化物の場合には、スパッタリングにより成膜することが好ましい。他方、アクリル樹脂、ノボラック樹脂のような有機高分子化合物の場合には、例えば、スピンコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法などの公知の方法によって形成される。有機高分子化合物を使用した場合には、その上に更にスパッタリング、CVD法等によってSiO膜を、例えば20nmの厚みに成膜することが好ましい。
誘電体層56の厚さは、50nm〜500nmの範囲とされることが、キャパシタ50の誘電体層として、またTFT60の絶縁膜として機能の観点から好ましい。
【0045】
7.ソース・ドレイン電極及び上部電極の形成
次に、図3(F)に示すように、誘電体層56上に、TFT60のソース電極62およびドレイン電極64と、キャパシタ50の上部電極54を形成する。
ソース電極62、ドレイン電極64、キャパシタ50の上部電極54を構成する材料としては、上述したゲート電極70の材料と同様のものが用いられ、例えばIn−ZnO(以下、「IZO」とも言う。)が挙げられる。各電極62、64、54の成膜方法に関しても、上述したゲート電極70の成膜方法と同様のものが挙げられる。
各電極62、64、54の厚みは、例えば10nm以上1000nm以下である。
【0046】
8.活性層の形成
次に、図3(G)に示すように、ソース電極62及びドレイン電極64上においてこれら二つの電極に跨るように、活性層66を形成する。
活性層66の構成材料は、シリコン等の半導体、窒化ガリウム等の化合物半導体、酸化物半導体又は有機物半導体であってもよく、結晶状態もアモルファスであっても結晶質であっても良い。
酸化物半導体としては、従来公知のものが包含され、例えばIn,Ti,Nb,Sn,Zn,Gd,Cd,Zr,Y,La,Ta等の遷移金属の酸化物の他、SrTiO3,CaTiO3,ZnO・Rh,CuGaO,SrCu等の酸化物等が挙げられる。
このように、活性層66に用いられる酸化物半導体としては、特に限定されることはないが、In、Sn、Zn、Ga及びCdのうち少なくとも1種を含む酸化物が好ましく、In、Sn、Zn及びGaのうち少なくとも1種を含む酸化物がより好ましく、In、Ga及びZnのうちの少なくとも1種を含む酸化物(例えばIn−O系)がさらに好ましい。
特に、In、Ga及びZnのうちの少なくとも2種を含む酸化物(例えばIn−Zn−O系、In−Ga−O系、Ga−Zn−O系)が好ましく、In、Ga及びZnを全て含む酸化物がより好ましい。In−Ga−Zn−O系酸化物半導体としては、結晶状態における組成がInGaO(ZnO)(mは6未満の自然数)で表される酸化物半導体が好ましく、特に、InGaZnO(以下、「IGZO」とも言う。)がより好ましい。この組成の酸化物半導体の特徴としては、電気伝導度が増加するにつれ、電子移動度が増加する傾向を示す。
ただし、IGZOの組成比は、厳密にIn:Ga:Zn=1:1:1となる必要はない。また、活性層66は、上記のような酸化物半導体を主成分として含有していれば良く、その他に不純物等を含有していても良い。ここで、「主成分」とは、活性層66を構成する構成成分のうち、最も多く含有されている成分を表す。
【0047】
活性層66の成膜方法としては、酸化物半導体の多結晶焼結体をターゲットとして、気相成膜法を用いるのが好ましい。気相成膜法の中でも、スパッタリング法、パルスレーザー蒸着法(PLD法)が適している。さらに、量産性の観点から、スパッタリング法が好ましい。例えば、RFマグネトロンスパッタリング蒸着法により、真空度及び酸素流量を制御して成膜される。
なお、成膜後には、適宜エッチング等によるパターニングや熱処理が行われる。
【0048】
活性層66の層構造は、2層以上から構成されていても良く、活性層66が低抵抗層と高抵抗層より形成され、低抵抗層が誘電体層56と接し、高抵抗層がソース電極62及びドレイン電極64の少なくとも一方と電気的に接していることが好ましい。
活性層66の厚みは、好ましくは、1nm以上100nm以下であり、より好ましくは、2.5nm以上50nm以下である。
【0049】
9.保護層の形成
次に、図3(G)に示すように、活性層66を覆うように保護層68を形成する。これにより、大気中の水分による活性層66への影響が抑えられるという利点が得られる。
保護層68を構成する材料としては、SiO、SiO、MgO、Al、GeO、NiO、CaO、BaO、ZnO、SrO、Fe、Y、ZrO、CeO、LiO、NaO、KO、RbO、Sc、La、Nd、Sm、Gd、Dy、Er、Yb、Ta、Nb、HfOGa、In又はTiO等の金属酸化物、SiN、SiN等の金属窒化物、MgF、LiF、AlF、又はCaF等の金属フッ化物等の無機材料が挙げられる。また、ポリイミド、アクリル樹脂などの有機材料を用いることもできる。
そして、保護層68を構成する材料として好ましくは、樹脂素材が用いられ、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フッ素系樹脂、シリコン系樹脂、ゴム系樹脂、またはエステル系樹脂等を用いることができるものであり、より好ましくは、感光性樹脂もしくは熱硬化性樹脂であり、リソグラフィー法によりパターニング可能な樹脂である。
【0050】
保護層68の作製方法は特に限定されることはなく、例えば、樹脂溶液を塗布する方法、樹脂シートを圧着または熱圧着する方法、蒸着やスパッタリング等により乾式重合する方法が挙げられる。
保護層68の厚みは、1nm以上1μm以下が好ましい。
なお、保護層68は、活性層66の構成材料によって適宜用いられ、省略することもできる。
【0051】
以上のようにして、キャパシタ50およびTFT60を含む電荷検出層80が形成される。
【0052】
ここで、上記TFT60は、ゲート電極70の位置に基づいた、所謂逆スタガ構造(ボトムゲート型とも呼ばれる)を形成する場合を説明したが、スタガ構造(トップゲート型とも呼ばれる)を形成しても良い。また、上記TFT60は、活性層66とソース電極62及びドレイン電極64との接触部分に基づいた、所謂ボトムコンタクト型を形成する場合を説明したが、トップコンタクト型を形成しても良い。
ボトムコンタクト型の場合には、先に活性層66よりもソース・ドレイン電極62、64が形成されるため、ソース・ドレイン電極を形成する際のエッチングによって活性層66にダメージを与えることがない。
【0053】
10.層間絶縁膜(オーバーコート層)の形成
次に、図4(A)に示すように、電荷検出層80上に、層間絶縁膜82を形成する。
層間絶縁膜82は、例えば、スピンコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法などの公知の方法によって、アクリル系またはメタクリル系の感光性樹脂溶液を電荷検出層80上に塗布および乾燥して感光性樹脂層を形成したのち、所定の位置に、コンタクトホール84が形成されるように露光し、現像処理してコンタクトホール84の位置の感光性樹脂を除去する。これにより、コンタクトホール84を有する層間絶縁膜82が電荷検出層80上に形成される。コンタクトホール84は、層間絶縁膜82の厚さ方向における上部電極54から最も遠い表面での直径が、例えば14μmであり、上部電極54へ向かって徐々に直径が小さくなるように形成される。
【0054】
感光性樹脂層の形成を、上記のように感光性樹脂溶液を塗布および乾燥して形成する代わりに、予め支持基板に感光性樹脂溶液を塗布および乾燥して感光性樹脂層を形成した転写材料を準備しておき、この転写材料の感光性樹脂層を電荷検出層80上に貼り付けてから支持基板を剥離除去する、いわゆる転写方法により形成してもよい。この転写方法に使用される感光性樹脂の組成および転写材料として、例えば特開2002−131899号公報に記載されているものを使用しても良い。
【0055】
層間絶縁膜82の厚さは、1μm〜100μmの範囲から選ばれることが、電荷検出層80の凹凸が吸収される平坦化層として機能し、かつコンタクトホール84が良好に形成されるという点から好ましい。
【0056】
11.電荷収集電極の形成
次に、図4(B)に示すように、コンタクトホール84を有する層間絶縁膜82上に、電荷収集電極86を形成する。
電荷収集電極86は、例えばITO、IZOの材料を用いて、スパッタ成膜により形成される。電荷収集電極86は、コンタクトホール84において、上部電極54と電気的に接続される。
電荷収集電極86の厚さは、例えば40nm〜200nmの範囲とされる。
【0057】
12.有機光電変換層の形成
次に、図4(C)に示すように、電荷収集電極86上に有機光電変換層90を形成する。有機光電変換層90には、適宜下引層92を形成することが好ましい。なお、図3〜図5中には、下引層92、電荷発生層94、電荷輸送層96は図示せず、これらをまとめた有機光電変換層90だけ図示している。
<下引層>
下引層92は、電荷検出層80と有機光電変換層90とを強固に接着させる機能を有する。このような下引層92として好ましいものには、ゾルゲル膜で構成されたものが含まれる。ゾルゲル膜は、金属アルコキシドを加水分解および縮合して得られるものである。
【0058】
金属アルコキシドには、アルコキシシラン、アルコキシチタンおよびアルコキシジルコニウムが含まれ、これらの化合物は単独で使用されても、二種以上を組み合わせて使用されても良い。
アルコキシシランには、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、アクリロイルオキシプロピリとりメトキシシラン等が含まれる。
アルコキシシランには、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタンまたはテトラブトキシチタン等が含まれる。
また、アルコキシジルコニウムには、テトラエトキシジルコン、テトライソプロポキシジルコン、テトラブトキシジルコン等が含まれる。
【0059】
金属アルコキシドの加水分解・縮合反応は、無溶媒中でも、溶媒中でも行うことができるが、成分を均一に混合するために有機溶媒を用いることが好ましく、例えばアルコール類、芳香族炭化水素類、エーテル類、ケトン類、エステル類などが好適である。溶媒はシラン化合物と触媒とを溶解させるものが好ましい。また、溶媒を塗布液あるいは塗布液の一部として用いることが工程上好ましい。
【0060】
このうち、アルコール類としては、例えば1価アルコールまたは2価アルコールを挙げることができ、このうち1価アルコールとしては炭素数1〜8の飽和脂肪族アルコールが好ましい。これらのアルコール類の具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテルなどを挙げることができる。
【0061】
また、芳香族炭化水素類の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。エーテル類の具体例としては、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどが挙げられる。ケトン類の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトンなどが挙げられる。エステル類の具体例としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、炭酸プロピレンなどが挙げられる。
【0062】
これらの有機溶媒は、1種単独であるいは2種以上を混合して使用することもできる。該反応における固形分の濃度は特に限定されるものではないが通常1%〜90%の範囲であり、好ましくは20%〜70%の範囲である。
【0063】
金属アルコキシドの加水分解・縮合反応は、触媒の存在下で行われることが好ましい。触媒としては、シュウ酸、酢酸、ギ酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸等の有機酸類;アンモニア等の無機塩基類;トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基類;トリイソプロポキシアルミニウム、テトラブトキシジルコニウム等の金属アルコキシド類等が挙げられるが、ゾル液の製造安定性やゾル液の保存安定性の点から、有機酸および金属アルコキシドが好ましい。
【0064】
有機酸では、水中での酸解離定数(pKa値(25℃))が4.5以下のものが好ましく、水中での酸解離定数が3.0以下の有機酸がより好ましく、水中での酸解離定数が2.5以下の有機酸が更に好ましく、メタンスルホン酸、シュウ酸、フタル酸、マロン酸が更に好ましく、シュウ酸が特に好ましい。
【0065】
加水分解/縮合反応は、通常、シラン化合物の加水分解性基1モルに対して0.3〜2モル、好ましくは0.5〜1モルの水を添加し、上記溶媒の存在下あるいは非存在下に、そして好ましくは触媒の存在下に、25〜100℃で、撹拌することにより行われる。
加水分解性基がアルコキシドであり触媒が有機酸である場合には、有機酸のカルボキシル基やスルホ基がプロトンを供給するために、水の添加量を減らすことができ、シラン化合物のアルコキシド基1モルに対する水の添加量は、0〜2モル、好ましくは0〜1.5モル、より好ましくは、0〜1モル、特に好ましくは、0〜0.5モルである。アルコールを溶媒に用いた場合には、実質的に水を添加しない場合も好適である。
【0066】
触媒の使用量は、触媒が有機酸の場合には、水の添加量によって最適な使用量が異なるが、水を添加する場合には全加水分解性基に対して0.01〜10モル%、好ましくは0.1〜5モル%であり、実質的に水を添加しない場合には、加水分解性基に対して1〜500モル%、好ましくは10〜200モル%であり、より好ましくは20〜200モル%であり、更に好ましくは50〜150モル%であり、特に好ましくは50〜120モル%である。反応は25〜100℃で撹拌することにより行われるがシラン化合物の反応性により適宜調節されることが好ましい。
【0067】
以上のようにして、シラン化合物の加水分解物またはその部分縮合物(以下、これらを「ゾル組成物」ということがある)が得られる。このゾル組成物を塗布し、ゲル化してゲル状組成物とする。このようにして、当該ゲル状組成物を含有する下引層92が、形成される。
【0068】
上記塗布方法としては、エアードクターコート、ブレードコート、ロッドコート、押出しコート、エアナイフコート、スクイズコート、含浸コート、リバースロールコート、トランスファーロールコート、グラビヤコート、キスコート、キャストコート、スプレーコート、スピンコート等、種々の方法を適用することができる。
【0069】
ゾル組成物のゲル化は、種々の方法を適用することができる。例えば、100〜250℃、好ましくは、120〜200℃で加熱する熱処理をすることが好ましい。
【0070】
<電荷発生層>
下引層92上に、電荷発生層94を形成するための塗布液として、電荷発生剤としてのジブロモアントアントロン顔料をバインダーとしてのポリビニルブチラール樹脂のシクロヘキサン溶液に分散させたものを準備し、これをスピンコートし、ベークしてシクロヘキサノンを蒸発して乾燥し、厚さ0.1μmの電荷発生層94を形成する。
【0071】
本発明による放射線センサ10Aに使用される電荷発生剤としては、ジブロモアントアントロン顔料のようなアントアントロンが最も好ましいが、その他に、ピランスロン系化合物、多環キノン系化合物も好ましいものとして挙げることができる。
【0072】
<電荷輸送層>
電荷輸送層96を形成するための塗布液として、例えば、電荷輸送剤としてのN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−4,4’−ジアミノビフェニル:5gと、ポリマーバインダーとしてのポリカーボネート(重量平均分子量が35,000〜40,000):5gとを、メチレンクロリド:35gに溶解したものを準備し、電荷発生層94の上にディップコートし、100℃で1時間乾燥して、膜厚が2μmの電荷輸送層96を形成する。
【0073】
電荷輸送剤としては、上記の他に、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルインドール、ポリビニルペリレン等の高分子有機半導体、オキサジアゾール、ピラゾリン、チアジアゾール、トリアゾール、ヒドラゾン等の低分子有機半導体が挙げられる。
【0074】
上記ポリマーバインダーとしては、ポリカーボネート以外に、ポリビニルブチラール、アクリル酸エステルのホモポリマーまたは他の共重合性モノマーとのコポリマー、メタクリル酸エステルのホモポリマーまたは他の共重合性モノマーとのコポリマー、スチレンのホモポリマーまたは他の共重合性モノマー、例えばアクリロニトリルなど、とのコポリマー、ポリスルホン等が挙げられる。
【0075】
電荷輸送層96中に占めるポリマーバインダーの量は、55質量%〜75質量%の範囲が好ましい。これにより、電荷輸送層96が適度な可撓性を有するようになり、後述する電荷輸送層96に隣接するバイアス電極100と前述の蛍光体層20とを接着層110を介して積層することが容易となる利点がある。また、バイアス電極100をスパッタリング法で設置する場合でも、スパッタ粒子のダメージを受けにくい。さらに、放射線センサ10Aの使用中に大きな曲率が加わった場合でも光電変換特性が悪化することが防止される。
【0076】
13.バイアス電極の形成
次に、図4(D)に示すように、電荷輸送層96の上に、バイアス電極100を形成する。バイアス電極100は、例えばIZOを40nmの厚さにスパッタ成膜して形成する。
【0077】
以上のようにして分離層202上に設けられた薄膜絶縁層40、TFT60、キャパシタ50、有機光電変換層90及びバイアス電極100を含む素子層300Aが形成される。
【0078】
14.蛍光体層の形成
次に、図4(E)に示すように、蛍光体をバインダー溶液中に分散させた塗布液を準備し、この塗布液をドクターブレードコート等により上述した基板30上に塗布し、乾燥して蛍光体層20を形成する。そして、素子層300Aのバイアス電極100上に接着層110を介して基板30上の蛍光体層20を貼り付ける。
蛍光体としては、ガドリニウムオキシサルファイド(以下、GOSという)が好ましい。GOSには、テルビウム等を含有するものも含まれる。その他に、チタンを添加した沃化セシウム、タンタルを添加した沃化セシウムなどの沃化セシウムも好ましい。
バインダーとしては、上記のポリビニルブチラールの他に、ポリカーボネート等を使用することができる。
蛍光体層20の厚さは、例えば50μm〜600μmの範囲から選択される。なお、接着層110としては、両面テープや接着剤が好適に挙げられる。
【0079】
15.保護シートの貼り付け
次に、図5(A)に示すように、基板30や素子層300Aを覆うように保護シート400を設ける。
この保護シート400は、加熱によって基板30のように不可逆的な熱収縮をするものを用いることが好ましく、例えば基板30と同一の材料を用いることができる。
【0080】
次に、図5(B)に示すように、仮支持体200の端部をカットする。この際、仮支持体200の端部にある封止膜204も除去するようにカットする。分離層202を除いて仮支持体200と素子層300Aとの連結を解除するためである。なお、素子層300Aは保護シート400によって覆われているため、カット屑から保護される。
【0081】
16.仮支持体の分離
次に、図5(C)及び図5(D)に示すように、基板30の素材に応じてTg以上融点以下に加熱して、基板30を不可逆的に熱収縮させることにより、分離層202にずれ応力を発生させて、分離層202の層内及び/又は界面において剥離を生じさせ、素子層300Aから仮支持体200を分離する。
ここで、基板30を加熱する際に、保護シート400も加熱されるため、保護シート400も熱収縮する。これにより、基板30と保護シート400の熱収縮の組み合わせにより、分離層202に発生するずれ応力を基板30単体の場合よりも大きくすることができる。その他、分離の詳細は上述の通りである。
また、蛍光体層20の素材によっては、蛍光体層20自体も上記加熱により不可逆的な熱収縮をし、分離層202のずれ応力に寄与する場合がある。
【0082】
17.保護シートの除去
最後に、図5(E)に示すように、基板30や素子層300Aを覆っていた保護シート400を除去する。
【0083】
以上の製造方法を経ることにより、図2に示すような放射線センサ10Aを作製することができる。ここで、本発明の第1実施形態に係る放射線センサ10Aの製造方法によれば、製造時に用いた仮支持体200を分離する際に、TFT60やキャパシタ50への損傷を防止しつつ、且つ分離に掛かる手間とコストを低減することができる。
【0084】
(第2実施形態)
第2実施形態では、本発明の電子デバイス10の製造方法の一の実施の形態について、有機EL表示装置を例に挙げて具体的に説明する。
【0085】
−有機EL表示装置の構成−
まず、有機EL表示装置の構成について簡単に説明する。
図6は、本発明の第2実施形態に係る有機EL表示装置10Bの駆動TFT600と有機EL素子700の構成を示す概念図である。
有機EL表示装置10Bは、素子層300Bが接着層110を介して基板30に接合されて構成されている。具体的には、絶縁層702の上に、駆動TFT部600およびスイッチングTFT部800にゲート電極602を有し、さらにゲート絶縁膜604がTFTおよび有機EL素子全体にわたって設けられ、ゲート絶縁膜604の一部には電気的接続のためにコネクションホールが開けられている。駆動TFTおよびスイッチングTFT部分に活性層606が設けられ、その上にソース電極608及びドレイン電極610が設けられている。ドレイン電極610と有機EL素子700の画素電極(陽極)704とは、連続した一体であって、同一材料で同一工程で形成されている。スイッチングTFT800のドレイン電極と駆動TFT600は、コネクション電極802によってコネクションホールで電気的に接続される。さらに、画素電極部の有機EL素子が形成される部分を除いて、全体が絶縁膜706で覆われる。画素電極部の上に、発光層を含む有機層708および陰極710が設けられ有機EL素子700が形成されている。図6において例示されている構成では、正孔注入層712はパターニングされず、その上に順に、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、および電子注入層を含む有機層708がパターニングされている。そして、陰極710上に接着層110を介してPENなどのプラスチックフィルムの基板30が接合されている。
以上、接着層110及び基板30を除く絶縁層702、駆動TFT部600、有機EL素子700及びスイッチングTFT部800を含む層により素子層300Bが形成される。
【0086】
−有機EL表示装置の製造方法−
図7は、本発明の第2実施形態に係る有機EL表示装置10Bの製造方法を示した説明図である。
【0087】
―仮支持体の用意―
本発明の第2実施形態に係る有機EL表示装置10Bの製造方法では、まず有機EL表示装置10Bの製造時にのみ使用する上述の仮支持体200を用意する。
【0088】
―分離層の形成―
次に、図7(A)に示すように、仮支持体200上に上述の分離層202を形成する。
【0089】
―素子層の形成―
次に、図7(B)に示すように、分離層202上に駆動TFT600と、有機EL素子700と、スイッチングTFT部800とを含む素子層300Bを形成する。素子層300Bの製造方法は、例えば特開2008−276211号公報に記載の方法を適用することができる。
【0090】
―基板の接合―
次に、図7(C)に示すように、素子層300B上に基板30を接合する。
【0091】
―仮支持体の分離―
最後に、図7(D)に示すように、少なくとも基板30を加熱して、基板30を不可逆的に熱収縮させることにより、分離層202にずれ応力を発生させ、分離層202を介して仮支持体200と素子層300Bとを分離する。なお、素子層300B側に残った分離層202は、塩化メチレン等で洗浄除去する。
以上の製造方法を経ることにより、有機EL表示装置10Bを作製できる。
【実施例】
【0092】
以下に、本発明に係る電子デバイスの製造方法について、実施例により説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
【0093】
本実施例の電子デバイスとして、放射線センサ10Aを以下のように製造した。
【0094】
―仮支持体の用意―
まず、仮支持体として、200mm×200mmの平面サイズで700μm厚の無アルカリガラスを用意した。
【0095】
―分離層の形成―
ポリビニルアセテートを塩化メチレンに溶解させ、スピンコートにより塗布して10μmの分離層を形成した。
【0096】
―薄膜絶縁層の形成―
薄膜絶縁層として、50μm厚の薄ガラス(199mm×199mm_無アルカリガラス、日本電気ガラス社製)を、分離層上に載せた。
【0097】
―封止膜の形成―
SiOゾルゲル(A1110:日本ユニオンカーバイド社)を分離層の端面に塗布し、170℃でベークして、端面封止した。
【0098】
―TFTの形成―
薄ガラス(薄膜絶縁層)上に、Mo(40nm厚)をスパッタ成膜し、ウェットエッチングでパターニングして、ゲート電極及びキャパシタの下部電極を形成した。次に、SiO(200nm厚)をスパッタ成膜し、ゲート絶縁膜及びキャパシタの誘電層とした。
そして、IZO(200nm厚)を酸素導入なしでスパッタ成膜し、フォトリソグラフィー及びウェットエッチングでパターニングし、ソース・ドレイン電極及びキャパシタの上部電極を形成した。ソース・ドレイン電極のエッジには、25°のテーパー角が形成された。
次に、IGZO(10nm厚)をスパッタ成膜し、フォトリソグラフィー及びウェットエッチングでパターニングし、活性層を形成した。
そして、アモルファスGa(10nm厚)をスパッタ成膜し、活性層を覆う領域のみ残して活性層の保護層とした。
【0099】
―電荷収集電極等の形成―
次に、アクリル樹脂からなる層間絶縁膜を塗布し、キャパシタの上部電極の上にコンタクトホールを形成した。そして、IZO(40nm厚)を成膜、パターニングし、電荷収集電極を形成した。
【0100】
―有機光電変換層の形成―
下引層用塗布液として、トリブトキシジルコニウムアセチルアセトネートのトルエン溶液(ZC540、松本交商社製)〔トリブトキシジルコニウムアセチルアセトネート/トルエン=1/1(重量比)〕を100部、γ−アミノプロピルトリメトキシシランH2NC3H6Si(OCH3)3(A1110、日本ユニカー(株)製)を11部、エチルアルコールを600部、n−ブチルアルコールを150部を用意し、これらの成分をスターラーで撹拌し、下引層形成用塗布液を調製した。
この塗布液を浸漬塗布法で塗布し、100℃で5分間加熱乾燥して、膜厚0.2μmの下引層を形成した。
【0101】
次に、電荷発生層用塗布液としてジブロモアントアントロン顔料とポリビニルブチラール樹脂をシクロヘキサノンに添加、分散させたものを用い、スピンコーティングにより塗布し、厚み0.1μmの電荷発生層を得た。
【0102】
そして、電荷輸送材料として下記構造式のN,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1′−ビフェニル]−4,4′−ジアミンを用い、該電荷輸送材料5gとポリカーボネート(分子量:約35000〜40000)5gをメチレンクロリド35gに溶解して、電荷発生層の上にディップコートによって塗布し電荷輸送層を形成した。100℃で1時間乾燥後、膜厚を測定すると2μmであった。
【0103】
―上部バイアス電極の形成―
有機光電変換層上にIZO(40nm厚)を成膜し、上部バイアス電極を形成した。
【0104】
―基板の接合―
市販(化成オプトロニクス社)のGaS:Tbシンチレータ(PET支持体:200μm厚)を、厚さ15μmの両面接着シートを使って上部バイアス電極に接合した(以下、接合したシンチレータをGOSシートという)。
【0105】
―ガラスカット―
仮支持体(ガラス)の端部を封止膜が除去されるようにカットした。
【0106】
―仮支持体の分離―
GOSシートを接合した状態で、そのTgを十分に越える温度140℃で10分間の加熱を行った。そして、室温に戻し、さらに−20℃に冷却すると、基板と仮支持体の熱収縮の差によるずれ応力によって分離層にひび割れが生じ始め、徐々に剥離が進行した。最後に、室温に戻し、仮支持体を除去した。
ここで、表1に、基板と仮支持体の熱収縮率、及び基板と仮支持体の熱収縮の差をまとめた。また、表1には、比較のために、線膨張係数と、線膨張による基板と仮支持体の熱収縮の差(室温25℃から−20℃への冷却時)も掲載している。
【0107】
【表1】

【0108】
本実施例では表1に示すように、仮支持体としての無アルカリガラスが熱収縮率0%であるので、基板としてのPETの熱収縮がそのままずれ応力の発生に寄与する。そして、線膨張による可逆的な熱収縮は温度によって熱収縮差が異なるので一概には比較できないが、線膨張による可逆的な熱収縮と同等以上の熱収縮差を、Tg以上の加熱による不可逆的な熱収縮によって実現できる。
【0109】
以上により作製した電子デバイスは、良好なTFTのON/OFF動作、有機光電変換層の光電変換動作を示し、放射線センサとして機能した。
【符号の説明】
【0110】
10 電子デバイス
10A 放射線センサ(電子デバイス)
10B 有機EL表示装置(電子デバイス)
30 基板
200 仮支持体
202 分離層
204 封止膜
300、300A、300B 素子層
400 保護シート(収縮シート)
60、600、800 TFT(薄膜素子)
700 有機EL素子(薄膜素子)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮支持体に分離層を形成する工程と、
前記分離層上に薄膜素子を含む素子層を形成する工程と、
前記素子層上に、前記仮支持体よりも熱収縮率が大きい基板を接合する工程と、
前記基板を接合した後加熱して、前記基板を熱収縮させることにより、前記分離層を介して前記仮支持体と前記素子層とを分離する工程と、
を有する電子デバイスの製造方法。
【請求項2】
前記分離する工程では、前記基板をガラス転移点以上で加熱した後室温に戻して、前記基板の不可逆的な熱収縮によるずれ応力を前記分離層に発生させる請求項1に記載の電子デバイスの製造方法。
【請求項3】
前記基板を接合した後で且つ加熱する前に、少なくとも前記基板を覆うように前記加熱で熱収縮する収縮シートを設ける工程と、前記仮支持体の端部をカットする工程と、有し、
前記仮支持体を分離する工程の後に、前記収縮シートを除去する工程を有する請求項1又は請求項2に記載の電子デバイスの製造方法。
【請求項4】
前記分離層を形成した後で且つ前記素子層の薄膜素子を形成する前に、前記分離層の端面に封止剤を塗布及び硬化して、前記分離層を封止する工程を有し、
前記仮支持体の端部をカットする際に、前記封止剤も除去する請求項3に記載の電子デバイスの製造方法。
【請求項5】
前記基板を接合した後で且つ前記基板を加熱する前に、前記素子層にダメージを与えない放射強度の光を前記分離層に照射する工程を有する請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の電子デバイスの製造方法。
【請求項6】
前記分離する工程では、前記基板を接触加熱方式により加熱する請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の電子デバイスの製造方法。
【請求項7】
前記仮支持体はガラスからなり、前記基板はプラスチックからなる請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の電子デバイスの製造方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の電子デバイスの製造方法を含む放射線センサの製造方法。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の電子デバイスの製造方法を含む有機EL表示装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−119179(P2011−119179A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−277554(P2009−277554)
【出願日】平成21年12月7日(2009.12.7)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】