説明

電子デバイス用の低電力メディアプレーヤ

低電力メディアプレーヤが電子デバイス(例えば、低電力モードの間にアプリケーションを動作する能力を有するハンドヘルド型ポータブルコンピュータ)用に提供される。低電力モードの間において、低電力メディアプレーヤの動作に不必要なハードウェア、ソフトウェア、サービスの一部および/またはポータブルコンピュータの別の要素は、一時停止されるか非アクティブ化される。再生用に繰り返しハードディスクにアクセスしてメディアファイルを読み出すのではなく、低電力メディアプレーヤは、各アクセス動作の間に可能な限り多くのメディアファイルを読み出して、その読み出したメディアファイルをキャッシュすることによって、アクセス動作回数を制限する。メディアファイルの再生が実行されるときにおいて、メディアファイルはキャッシュから読み出される。それによって、ハードディスクへのアクセス動作に起因する電力消費量が低減される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、本願と同一譲受人に譲渡されたタイトルが「SOFTWARE AND HARDWARE FEATURES FOR MINI−PC」の米国仮特許出願第60/504,165号(2003年9月18日出願)の米国特許法第119条(e)の利益を主張し、その全容は本明細書に援用される。
【0002】
(技術分野)
本開示は、概して、電子デバイスに関し、特に、低電力モードでアプリケーションを実行する性能を有するハンドヘルド型ポータブルコンピュータのような電子デバイス用のメディアプレーヤに関するが、それに限定されない。
【背景技術】
【0003】
今日のコンピュータのユーザーは、移動性の高い個体である。出張、休暇または仕事への行き来にかかわらず、その個体は、ラプトップ、機能の強化された携帯電話、Palm PilotsTM、BlackberriesTMおよび別の携帯可能な電子デバイスのユーザーによって容易に識別可能である。確かに、多くの構築(establishment)が、単に短期間構築を経ることができネットワーク接続を必要とする個人に提供するインターネット接続を提供する。例えば、インターネット接続は、空港、ホテル、およびレストランやコーヒーショップでさえも利用可能である。
【0004】
電子デバイスの携帯可能な特徴のために、性能には特定の制限がある。電力消費は、主要な例の一つである。ユーザーが電子デバイスを電力の出口に「差し込む」か、電子デバイスを接続架台にドッキングする動作環境では、電力消費は、通常、小さな問題である。そのような状況では、電子デバイスの動作に対して一定かつ実質的に無限の電力がある。それによって、電子デバイスがプラグで接続して内部電源(例えば、内臓バッテリー)からの電力を消費する必要がなくなる。
【0005】
しかし、インターネット接続(および、通常は対応する固定電力供給)を提供する構築は増設されが、いまだ、その移動性の高いユーザーが固定電力供給を利用できない場合が多い。そのような場合では、電子デバイスは、その電子デバイスを用いてアプリケーションを実行するか別の機能を実行するために必要な電力を供給するのに自身の内臓バッテリーに頼る必要がある。
【0006】
内臓バッテリーからの電力を用いて最大電力モードで動作される場合では、電子デバイスは、通常、バッテリーが空になるまでの数時間だけ動作可能である。実際、多くの異なるソフトウェアサービス、ソフトウェアアプリケーションおよびハードウェアは、電子デバイスの種々のサブシステムおよび構成要素を用いて最大電力モードで同時に動作し得る。ディスプレイ、ディスクドライブ、およびプロセッサ(特に、グラフィックプロセッサ)は、同時に動作し得るがかなりの量の電力を消費する電子デバイスの構成要素の一部である。
【0007】
電力消費(特に固定電力供給が利用可能でない場合)を低減するのを促進するために、多くの電子デバイスは、電子デバイスが停止されかつ/または実質的にそのサブシステムおよび構成要素の全てへの電力を低減する「スタンバイ」モードを含む。そのようなスタンバイモードでは、ユーザーは、通常、電子デバイスがスタンバイモードから最大電力モードへと切り替えられない限り、全てのアプリケーションを使用することができない。従って、利用可能な固定電力供給がない場合で最大電力モードの間では、多くの場合、ユーザーは、電子デバイスの限られただけの使用かつ非常に効率的な使用をする必要があり得る。さらに、可能な限り、ユーザーが、電子デバイスを完全に停止するか実質的に非機能的なスタンバイモードに保つ必要さえもあり得る。
【0008】
ユーザーがこのような念入りな電力の保存をし損ねると、ユーザーが再充電するか内蔵バッテリーを交換し、かつ/または固定電力供給に接続し得るまで、電子デバイスは電力を切らし使用できなくなる。例えば、アプリケーションの動作中にハードディスクドライブを繰り返しアクセスすることは、内臓バッテリーから供給され得る利用可能な電力の量を劇的に低減し得る。ソフトウェアアプリケーションがハードディスクドライブにアクセスすることに対する普遍の要求は、スタンバイモードでアプリケーションの機能を制限または消去することに対する重要な理由である。この制約付の動作環境は、利用可能な固定電力供給がない場合において、特定のアプリケーションに対して、携帯可能な電子デバイスの使用を望み得る移動性の高いユーザーにとって不便であり非実用的である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の概要)
好適な一局面は、低電力モードで動作し得る電子デバイスに使用可能な方法を提供する。その方法は、低電力モードへの移行を表すイベントをモニタリングすることを含む。そのイベントが検出された場合には、この方法は、低電力モードにおいてメディアプレーヤをアクティブ化することによって動作させることを含む。この方法は、低電力モードにおいて再生されるメディアファイルの少なくとも一部をストレージ位置から読み出すことをさらに含む。ストレージ位置から読み出されたメディアファイルの一部は、メモリにロードされる。メディアファイルのロードされた部分は、メモリから読み出され、メディアファイルの読み出された部分は、低電力モードにおいて実行される。
【0010】
添付の図を参照して、非限定的かつ非排他的な実施形態を説明する。図中では、特別の定めのない限り、類似の参照番号は種々の図にわたって類似の部分を参照する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
電子デバイス(例えば、ハンドヘルド型ポータブルコンピュータの形態の携帯可能な電子デバイス)用の低電力メディアプレーヤの実施形態を本明細書において説明する。実施形態の完全な理解を提供するために、以下の記載において数々の特定の詳細を示す。本発明は、その特定の詳細のうちの一つ以上なしでも、別の方法、構成要素、材料などを用いても実施され得る。別の例では、本発明の局面を不明瞭にするのを避けるために、構造、材料または動作は、示さないか、詳細には説明しない。
【0012】
「一実施形態」または「ある実施形態」への参照は、本明細書全体にわたって、その実施形態と関連して説明される特定の機能、構造または特徴が少なくとも1つの実施形態に含まれるということを意味する。従って、本明細書全体にわたって種々の場所にあるフレーズ「一実施形態では」または「ある実施形態では」は、必ずしも全てが同一の実施形態を参照する必要はない。さらに、特定の機能、構造または特徴は、一つ以上の実施形態において任意の適切な態様で組み合わされ得る。
【0013】
概要として、ある実施形態は、低電力モードにおいてアプリケーションを動作する性能を有する電子デバイス用の低電力メディアプレーヤを提供する。そのような電子デバイスの非限定的な例は、携帯可能な電子デバイスである。一実施形態による電子デバイスは、ハンドヘルド型ポータブルコンピュータを備える。低電力メディアプレーヤは、ポータブルコンピュータが低電力モードにあるときにおいて動作し得る。この低電力モードでは、ポータブルコンピュータの大抵のアプリケーション、サービス、デバイス、プロセス、および別の構成要素は、停止されるか電力を下げられる。しかし、特定のアプリケーション(およびそのアプリケーションをサポートするのに必要とされる構成要素)は、低電力モードにおいて電力が選択的に供給されたままであり得る。
【0014】
そのようなアプリケーションの一つが低電力メディアプレーヤである。一実施形態では、低電力メディアプレーヤは、キャッシュされたか揮発性メモリにロードされたメディアファイルを再生する。それによって、再生用にメディアファイル(単数または複数)を取得するためにディスク(または別の永続性ストレージ媒体または不揮発性ストレージ媒体)に不必要にアクセスする必要が避けられる。キャッシュにアクセスすることによって、ディスクアクセス動作は、必要な場合を除いて、最小化される。ディスクアクセス動作(ディスクをONにすること、およびディスクに格納されたメディアファイルを検索し読み出すことを含む動作)には通常かなりの電力使用が含まれるので、この特徴は、メディアファイルの再生の間において電力の保存を大いに改善する。ポータブルコンピュータの大抵の構成要素は低電力モードにおいて停止され、従ってキャッシュ(または別の非永続性ストレージ位置または揮発性ストレージ位置)を用いないので、低電力モードに入る前および/または低電力モード中にキャッシュされたメディアファイルは、通常は、キャッシュから上書きされない。従って、キャッシュから読み出し可能であり再生可能である。
【0015】
一実施形態では、低電力メディアプレーヤは、曲または別のタイプのオーディオコンテンツを含み得るMP3、WMA、Real Audioまたは別の形式のオーディオファイルを再生するための低電力メディアプレーヤを含む。一実施形態によると、低電力メディアプレーヤは、ポータブルコンピュータに既にインストールされているメディアプレーヤの既存の機能を活用し得る。すなわち、一実施形態では、再生に関連した動作の多くに対してインストール済のメディアプレーヤを用いる。その動作には、キャッシュからのファイルの読み出し、ファイルのデコード、再生、巻き戻し、停止、一時停止などが含まれるが、それらに限定されない。そのような実施形態では、低電力メディアプレーヤは、インストール済みのメディアプレーヤの既存の機能、ライブラリ、インタフェースおよび別の特徴を活用し得て、そのような特徴を別個に提供する必要を減らし得る。
【0016】
インストール済みメディアプレーヤは、一実施形態では低電力モードにおいて背後で動作し、低電力メディアプレーヤは、制御および別のインタフェース動作を提供する。その動作は、例えば、特定の関連情報(例えば、プレイリスト、タイトル、アーチスト、時間など)の取得および表示、ファイルのインストール済みメディアプレーヤによる再生の制御(例えば、インストール済みメディアプレーヤの再生、巻き戻し、停止などの動作の制御)、ユーザーが入力したコマンド(例えば、再生、巻き戻し、低電力メディアプレーヤのON/OFFなどのためにファイルを選択するユーザーが入力したコマンド)への応答などである。
【0017】
単純化および図解を目的として、本明細書において、低電力メディアプレーヤの少なくとも1つの非制限的実施形態を低電力MP3プレーヤとして記載し、インストール済みメディアプレーヤをMicrosoft Windows(登録商標) Media PlayerTM 9として記載する。この実施形態は一インプリメンテーションのみを表すものであり、別の実施形態はこのインプリメンテーションに制限されない。例えば、別の実施形態では、WMA、Real Audioまたは別の型または形式のメディアファイルと関連して動作可能である。
【0018】
ポータブルコンピュータの低電力モードでの動作中では、低電力メディアプレーヤ(または任意の別のアプリケーション)の動作に不必要なハードウェア、ソフトウェア、サービスおよびポータブルコンピュータの別の構成要素は、一時停止されるか、非アクティブ化される。さらに、各タスクは低電力メディアプレーヤによって実行されるので、次のタスクに不必要な構成要素は、非アクティブ化され、必要に応じて再びアクティブ化される。それには、ディスクドライブの選択的なアクティブ化および再アクティブ化が含まれる。別の構成要素によって必要とされるか別の構成要素との動作依存性に関連した構成要素が時期を早めて非アクティブ化されないことを確実にするために、種々の非アクティブ化動作は、最高レベル構成要素から最低レベル構成要素への順序で実行され得る。特定の組のイベントによって、低電力モードから別の動作モード(例えば、最大電力モード)へとポータブルコンピュータを移行し得る。
【0019】
図1〜2は、例示的な電子デバイス(この場合では、ある実施形態にインプリメントされ得るハンドヘルド型ポータブルコンピュータ100)の正面の上側と右側の等角図である。ポータブルコンピュータ100は、この出願全体にわたり例示的な例として用いられるが、別の実施形態は、必ずしも「コンピュータ」と考えられなくあり得るデバイス、または必ずしも図1〜2に示されるポータブルコンピュータ100と同じ形状および外形を有する必要はなくあり得るデバイスを用いてインプリメントされ得る。実施例には、低電力メディアプレーヤをインプリメントし得る無線通信デバイス、ディスプレイデバイス、モニタ、オーディオビデオ装置、家庭用電子デバイス、または別の電子デバイスが含まれるが、それらに限定されない。
【0020】
図示するように、ポータブルコンピュータ100は、蝶番で動く第1の部分102および第2の部分104を含むという点において、ラプトップコンピュータに外見は類似する。第1の部分102は、キーパッドまたはキーボード110と、内部の電子部品(例えば、一つ以上のプロセッサ、機械可読記憶媒体、グラフィックドライバなど)用のハウジングとを含み得る。第2の部分104は、第1の部分102の上に折り重なるリッド(lid)として動作し(図2に示すように閉じた位置にある場合)、図1に示されるように第2の部分104が展開されていて立位にある間において情報を表示するかデータ(例えば、電子メール、ユーザーインタフェース、グラフィックスなど)を提示するディスプレイ画面108を含む。
【0021】
しかし、従来のラプトップコンピュータとは異なり、一例示的な実施形態のポータブルコンピュータ100は、体積および重量の両点で実質的にサイズが小さい。例えば、ポータブルコンピュータ100は、長さが140mm、幅が101mm、そして厚みが30mm(閉じている間)で、重量が約1ポンドであり得る。第2の部分104上のディスプレイ画面108は、デスクトップコンピュータのモニタに匹敵する解像度を有し得る。通常、ディスプレイ画面108のサイズ、第1の部分102に位置する内部部品(例えば、チップおよび回路基板)のサイズ、内部部品の戦略的配置(例えば、密度)、および別の要素は、ポータブルコンピュータ100の全体の形状因子に影響を及ぼし得る。図1〜2に示されるように、ポータブルコンピュータ100は、開いた位置であろうと閉じた位置であろうと、ユーザーの手106にしっかりと保持され得るようなサイズを有する。別の実施形態では、ポータブルコンピュータ100は、それよりも大きいか異なった形状因子を有し得、かつ/またはそれより重くあり得る。
【0022】
図2に示す特定の実施形態では、ポータブルコンピュータ100は、第2の部分104に組み込まれた低電力ディスプレイ114を含み得る。そのような実施形態では、ポータブルコンピュータ100のリッドが閉じられポータブルコンピュータ100が低電力モードである間において、低電力ディスプレイ114が特定の情報を提示するために使用され得るか、別の形式のデータを提示するために用いられ得る。低電力ディスプレイ114は、ユーザーが低電力モードのアプリケーションと相互作用し、ポータブルコンピュータ100をトリガすることによって低電力モードまたは別の動作に移行させ得るユーザーインタフェースも含む。例えば、低電力ディスプレイ114は、低電力メディアプレーヤによってそのディスプレイに提供されたプレイリスト、曲のタイトル、アーチスト情報、時間または別の情報を提示し得る。低電力ディスプレイ114のユーザーインタフェースは、ユーザーがコマンド(例えば、再生、一時停止、巻き戻しなど)を入力すること、または低電力メディアプレーヤをONまたはOFFにすることも可能にし得る。
【0023】
低電力ディスプレイ114が第2の部分104の表面上に配置されたものとして図2に示されるが、低電力ディスプレイ114は、ポータブルコンピュータ100上の別の場所に配置され得る。例えば、低電力ディスプレイ114は、ポータブルコンピュータ100の側面、底面または任意の面の組み合わせの上に配置され得る。
【0024】
以下に説明する一実施形態では、図1のポータブルコンピュータ100は、リッドスイッチ112を含む。リッドスイッチ112は、ポータブルコンピュータ100のリッドが開いているか閉じているかを示す一種のトリガとして動作する。従って、例えば、図2に示されるようにポータブルコンピュータ100のリッドが閉じている場合、リッドスイッチ112は、電気機械接続で物理接触し得るか、方向を変更し得るか、押し下げられ得るか、割り込みのような信号を引き起こす状態の別タイプの変化を受け得る。一電力状態から別の電力状態(例えば、低電力モード)への移行を開始するために、そのような割り込みが、オペレーティングシステム、基本入出力システム(BIOS)、サービス、または別のソフトウェアコンポーネントによって用いられ得る。リッドスイッチ112は、任意の適切な形状、メカニズム、機能または別の動作特徴で具体化され得る。
【0025】
低電力モードの方法がインプリメントされ得る実施形態におけるポータブルコンピュータ100の例は、タイトルが「SYSTEM AND METHOD FOR HEAT REMOVAL FROM A HAND−HELD PORTABLE COMPUTER WHILE DOCKED」の米国特許出願第10/338,802号;タイトルが「NAVIGATION AND SELECTION CONTROL FOR A HAND−HELD PORTABLE COMPUTER」の米国特許出願第10/338,815号;タイトルが「HEAT DISSIPATION FROM A HAND−HELD PORTABLE COMPUTER」の米国特許出願第10/338,761号;タイトルが「KEYBOARD WITH MOUSE FOR A HAND−HELD PORTABLE COMPUTER」の米国特許出願第10/338,791号に開示されている。これらの出願は、全て2003年1月7日に出願されており、本願と同一の譲受人に譲渡されており、その全容は本明細書に援用される。
【0026】
図3および付随する議論は、実施形態がインプリメントされ得る適切なコンピュータ環境の描写を提供する。必要ではないが、コンピュータ(例えばポータブルコンピュータ100)によって実行されるプログラムアプリケーション、モジュール、オブジェクト、ドライバ、サービスまたはマクロなどの、コンピュータ実行可能な命令とハードウェアとの一般的なコンテキストで実施形態を説明する。この図に示された実施形態に加えて、別のコンピュータシステムおよび/またはネットワークコンフィギュレーションで別の実施形態が実行され得る。
【0027】
図3は、コンピュータシステム300を示し、特に、ポータブルコンピュータ100のある実施形態をより詳細に示す。コンピュータシステム300は、ポータブルコンピュータ100とサーバコンピュータシステム302とを含む。サーバコンピュータシステム302は、一つ以上のネットワーク位置(例えば、電子メール情報を格納および供給し、ポータブルコンピュータ100に対して別の情報を供給するような一つ以上のインターネットサービスプロバイダ(ISP)の位置)に配置され得る。
【0028】
ポータブルコンピュータ100は、高電力処理用の高電力処理ユニット304と、少なくとも1つのシステムメモリ306と、システムメモリ306を含む種々のシステムコンポーネントを高電力処理ユニット304に結合するシステムバス308とを含む。高電力処理ユニット304は、任意の論理処理ユニット(例えば、一つ以上の中央処理装置(CPU)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、グラフィックプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)など)であり得る。
【0029】
ある実施形態では、ポータブルコンピュータ100は、低電力処理用の低電力処理ユニット310も含み得る。そのユニットは、高電力処理ユニット304として同一のオペレーティングシステムで動作してもよく、必ずしもそれで動作しなくてもよい。例えば、一実施形態では、別個のオペレーティングシステム、メモリ、アプリケーション、または別の構成要素が、高電力処理ユニット304および低電力処理ユニット310に提供され得る。ある実施形態では、高電力処理ユニット304および低電力処理ユニット310が、別個の専用構成要素を有するのではなく特定の要素を共有することも、可能である。
【0030】
システムバス308は、任意の適切なバス構造またはアーキテクチャを用い得、それには、メモリコントローラを備えたメモリバス、周辺バスおよびローカルバスが含まれる。システムメモリ306は、一つ以上の読み取り専用メモリ(ROM)310と、一つ以上のランダムアクセスメモリ(RAM)312を含み得る。一実施形態では、別個のROM 310、RAM 312、および/または別のメモリは、低電力ディスプレイ114に専用であり得る。例えば、BIOS 314は、ROM 310に格納され得るが、例えばスタートアップの間において、ポータブルコンピュータ100内の要素間での情報の転送を促進するルーチンを含む。以下に、低電力モードと関連して、BIOS 314のある実施形態の動作をさらに詳細に説明する。
【0031】
ポータブルコンピュータ100は、ハードディスク318から読み取りそのハードディスクに書き込むハードディスクドライブ316を含み得る。ハードディスクドライブ316は、システムバス308を介して、高電力処理ユニット304と通信する。ハードディスクドライブ316は、そのようなドライブ(単数または複数)とバス308との間に接続されたインタフェースまたはコントローラ(図示せず)を含み得る。ハードディスクドライブ316とそれに関連したハードディスク318は、コンピュータ可読命令と、データ構造と、プログラムモジュールと、ポータブルコンピュータ100に対する別のデータとの不揮発性ストレージまたは永続性ストレージを提供する。示したポータブルコンピュータ100はハードディスクドライブ316とハードディスク318とを用いるが、コンピュータによってアクセス可能なデータを格納し得る別のタイプのドライバおよびコンピュータ可読媒体(例えば、コンパクトディスク(CD)、磁気カセット、フラッシュメモリカード、デジタルビデオディスク(DVD)、ベルヌーイカートリッジ、RAM、ROM、スマートカードなど)が用いられ得る。一実施形態では、ハードディスクドライブ316および/または別のドライバは、ポータブルコンピュータ100自体のハウジング内に組み込まれず、有線または無線の通信インタフェースを介してアクセス可能な外部デバイスである。
【0032】
ハードディスクドライブ316は、メディアファイル(例えば、MP3ファイルまたは別のタイプのオーディオファイル)を格納するようにハードディスク318に関連して動作し得る。ある実施形態では、それらのメディアファイルは、最大電力モードまたは低電力モードにおいてハードディスク318から読み出され得る。そこでは、低電力モードにおいてメディアファイルを読み出すようにハードディスク318をアクセスする試みは、低電力モードにおいて可能な限り減らされる。
【0033】
システムメモリ306は、種々のプログラムモジュール(例えば、一つ以上のオペレーティングシステム320、一つ以上のアプリケーションプログラム322(例えば、電子メールプログラム、低電力メディアプレーヤ、インストール済みメディアプレーヤ、または高電力モードもしくは低電力モードで動作し得る別のアプリケーション)、別のプログラムまたはモジュール324およびプログラムデータ326)を格納するために用いられ得る。用いられ得るオペレーティングシステム320の非制限的な例は、Redmond、WashingtonのMicrosoft Corporationから市販されているWindows(登録商標) XPである。特定の実施形態で用いられるWindows(登録商標) XPおよび別の適切なオペレーティングシステムは、電力管理サブシステムを含み得る。ある実施形態では、電力管理能力は、オペレーティングシステム320の電力管理サブシステムによって提供される電力管理を補う低電力モードと関連して提供される。
【0034】
別のプログラム/モジュール324は、ライブラリ、アプリケーションプログラムインタフェース(API)、オブジェクトまたは別の構成要素を含み得る。プログラムデータ326は、キャッシュされたデータ(例えば、キャッシュされた歌または別のメディアファイル)を含み得る。従って、システムメモリ306の一部は、メディアファイルを格納するための揮発性メモリ性能または非永続性メモリ性能(例えば、オペレーティングシステムキャッシュ、RAM 312、または別のキャッシュもしくは非永続性ストレージ位置)を提供する。
【0035】
プログラムデータ326は、データ構造、ファイル、または別のデータフォーマットとして、キャッシュ、データベース、またはシステムメモリ306に組み込まれるかそのメモリと別個の別のストレージユニットに、格納され得る。一実施形態では、プログラムデータ326は、ポータブルコンピュータ100の特定のサービス、ソフトウェアおよびハードウェアの電力必要量を示す別の電力管理データと電力プロファイルとを含む。後述するように、この電力管理データは、一実施形態において用いられて、低電力モード中においてONのままにするポータブルコンピュータ100の部品およびOFFにする部品と、ONまたはOFFに保つ時間と、種々の部品をONまたはOFFにする順序と、別のパラメータおよび設定とを決定する。低電力モードにおける動作を管理および制御するために相互作用する種々の別のプログラム/モジュール324と、アプリケーションプログラム322(より具体的には、一部のタイプの適切な低電力モードのアプリケーションプログラム)とのさらに詳細な議論を以下に提供する。
【0036】
ポータブルコンピュータ100がソース(インターネットのウェブサイト、企業イントラネット、エクストラネットおよび/または後述する別のネットワーク)およびサーバーコンピュータ上の別のサーバーアプリケーションにアクセスしデータを交換することを可能にするウェブブラウザ328も、ポータブルコンピュータ100は含み得る。明瞭化を目的として、図3では、ブラウザ328は別々に示されている。種々の実施形態によると、ブラウザ328は、アプリケーションプログラム322のうちの1つと、別のプログラム/モジュール324のうちの1つとを含み得、かつ/またはオペレーティングシステム(単数または複数)320と特定の態様で一体化され得る。図3ではシステムメモリ306に格納されているものとして示されているが、オペレーティングシステム320、アプリケーションプログラム322、別のプログラム/モジュール324、プログラムデータ326およびブラウザ328は、別の実施形態では、ハードディスクドライブ316のハードディスク318および/または別のコンピュータ可読媒体に格納され得る。さらに、システムメモリ306に格納されているものとして示されている種々の要素は、必ずしも同一の物理メモリに備わる必要はない。例えば、低電力処理ユニット310と低電力ディスプレイ114とがポータブルコンピュータ100から動作可能に脱着され得るか、ポータブルコンピュータ100の別の部品と独立して動作し得る実施形態では、別個のメモリ(オペレーティングシステムと、RAMと、ROMと、アプリケーションと、別の要素を格納したメモリ)は、低電力処理ユニット310および低電力ディスプレイ114とともにポータブルコンピュータ100から動作可能に分離され得る。そのような実施形態では、分離可能な構成要素は、低電力ディスプレイモジュール(LPDM)に組み込まれ得る。
【0037】
ユーザーは、一つ以上の入力デバイス(例えば、キーボード110)およびポインティングデバイス(例えば、キーボード110に組み込まれ得るようなマウス330であって、その例示的な実施形態は米国特許出願第10/338,791号に開示されている)を介して、またはユーザー入力を提供するのに有効な別のタイプのデバイスを介して、命令および情報をポータブルコンピュータ100に入力し得る。あるいは、またはその上、マウス330は、物理ボタンと比べてタッチパッドとして具体化され得る。別の入力デバイスは、キーボード110の面についた一つ以上のボタン332の形態を取り得、そのボタン(単数または複数)332は、ボタン(単数または複数)332の回転および押し下げを介したスクロールおよびクリックに有効である。別の可能な入力デバイスには、マイク、ジョイスティック、ゲームパッド、スキャナなど(図示せず)が含まれ得る。これらの入力デバイスおよび別の入力デバイスは、バス308に結合するインタフェース334(例えば、シリアルポートインターフェース)を介して高電力処理ユニット304に接続される(ポータブルコンピュータ100はパラレルポート、ゲームポートなどの別のインタフェース、または無線インタフェース、またはユニバーサルシリアルバス(USB)を用い得るが)。インタフェース334は、バス308への任意の適切な通信インタフェースであり得、必ずしもそれ自体がポートである必要はない。一実施形態では、入力デバイス(例えば、マウス、ジョイスティック、ゲームパッド、キーボードなど)は、シリアルまたはパラレルポートインターフェースを介して結合可能であるのではなく、または結合可能であることに加えて、ポータブルコンピュータ100のハウジングに直接組み込まれる。
【0038】
ディスプレイ画面108は、メインディスプレイとして動作し、グラフィックインターフェース336(例えば、ビデオおよび別のグラフィックをディスプレイ画面108上に提供することを可能にするビデオアダプタまたは別のグラフィック構成要素)を介してバス308に結合される。低電力ディスプレイ114(およびそれに関連したユーザーインタフェース)は、一実施形態において存在し得て、リッドがポータブルコンピュータ100上に閉じられているときにおいて低電力モード中に、データの提示(例えば、ポータブルコンピュータ100の第2の部分104の外面における提示)を可能にする。低電力ディスプレイ114は、グラフィックインターフェース336(または別のインターフェース)を介してバス308に結合され得るか、バス308に直接結合され得る。低電力ディスプレイ114は、自身のユーザーインタフェースに種々の制御部品(例えば、ボタンおよびメニュー)を提供し得る。図3にも示されるように、リッドスイッチ112は、システムバス308に結合され得て、ポータブルコンピュータ100の種々の構成要素がポータブルコンピュータ100のリッドの閉じまたは開きを検出し、それに応答することを可能にする。
【0039】
ポータブルコンピュータ100は、一つ以上の遠隔のコンピュータおよび/またはポータブルコンピュータ100の外部のデバイス(例えば、サーバコンピュータシステム302およびネットワークデバイス340(例えば、プリンタまたはネットワークストレージユニット))への論理接続を用いて、ネットワーク環境において動作し得る。コンピュータが、例えば無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)342、無線ワイドエリアネットワーク(WWAN)、または、インターネットを用いるかインターネットと通信し得る有線および無線のネットワークを含んだ別のネットワーク344(例えば、ワールドワイドウェブ)を介して、通信を可能にする適切な方法の下で、ポータブルコンピュータ100は、一つ以上の遠隔のコンピュータシステムまたはデバイスに論理接続される。種々の実施形態は、様々なタイプの通信ネットワークと通信するようにインプリメントされ得る。そのネットワークには、電気通信網、セルラーネットワーク、ページングネットワーク、有線および無線の企業内コンピュータネットワーク、イントラネット、エクストラネット、インターネット、および別のタイプのネットワークが含まれるが、これらには限定されない。ポータブルコンピュータ100が用いて通信し得る無線システムおよびプロトコルの例には、Wi−Fi、Bluetooth、802.11などが含まれるが、これらには限定されない。
【0040】
LANネットワーク環境で用いる場合、ポータブルコンピュータ100は、バス308に通信可能にリンクされたアダプタまたはネットワークインタフェース346を介してLAN 342に接続され得る。WWANまたは別のネットワーク344において用いる場合、ポータブルコンピュータ100は、このネットワーク環境における通信を構築するための、あるいは外部デバイスと通信するためのモデム、トランシーバ348、または、ネットワークインタフェース346などの別のデバイスを含み得る。図3に示されるようなトランシーバ348は、インタフェース334とネットワーク344との間において通信可能にリンクされる。トランシーバ348は、例えば802.11、GPS、Bluetooth、携帯電話(TDMA、FDMAおよび/またはCDMA)、Wi−Fi、仮想プライベートネットワーク(VPN)および/または別の通信規格もしくは方法に準拠する一つ以上の送信器、受信器、または別の通信デバイスであり得る。
【0041】
一実施形態では、ポータブルコンピュータ100は、TCP/IP(transmission control protocol/Internet protocol)ミドルレイヤのネットワークプロトコル、または別のネットワークプロトコルレイヤ(例えば、UDP(User Datagram Protocol))を備えたLAN 342および/またはネットワーク344を介して、サーバコンピュータシステム302に通信可能にリンクされる。図3に示されるネットワーク接続は、コンピュータと、用いられ得る有線リンクおよび無線リンクを含む別のリンクとの通信リンクを構築する一部の例に過ぎない。
【0042】
サーバコンピュータシステム302は、一つ以上のサーバ350を含む。電子メールのコンテキストでは、サーバ350は、電子メールサーバを含み得る。そのようなサーバの一例はMicrosoft ExchangeTMサーバであり、本明細書に記載する原理は、Microsoft ExchangeTMサーバを用いる電子メールインプリメンテーションのみには限定されない。
【0043】
図4は、一実施形態による電力状態の図示400である。より詳しくは、図4は、一実施形態に従って、ACPI(Advanced Configuration and Power Interface)の仕様にサポートされる動作電力状態S0〜S2およびS3〜S5と、ACPIで規定されていない低電力モード状態S2.5とを示す。通常、S0〜S2およびS3〜S5の電力状態は、オペレーティングシステム320における電力管理サブシステム(例えば、Windows(登録商標)電力管理システム)の一部として組み込まれる電力プロファイルにおいて規定される。簡潔にするために、本明細書では、ACPI電力状態の概要のみを提供する。ACPI電力状態のさらなる詳細は、Compac Computer Corporation等の、「Advanced Configuration and Power Interface Specification」改訂2.0c(2003年8月25日)に見ることができる。さらに、本発明の別の実施形態は、必ずしもACPIの仕様に準拠する必要はない電力状態に基づき得る。
【0044】
S0電力状態では、高電力処理ユニット304が、最大クロック速度で命令を実行し、ポータブルコンピュータ100は、実質的に全容量(例えば100%)で動作する。例えば、多くのサービスは、いつでも使え、それらのタスクを実行し、データは、ハードディスクドライブ316に書き込まれ、そのドライブから読み出され、メインディスプレイ画面108は、コンテンツを提供し、別の作業状態タスクは、実行される。
【0045】
S1電力状態は、低ウェイクモード(low wake mode)のスリープ状態である。S1電力状態では、高電力処理ユニット304(または別の処理ユニット)は、命令を実行しない。プロセッサのコンテキストは維持され、全てのシステムクロックおよびメモリはリフレッシュ状態にある。S2電力状態もまた、S1電力状態よりも論理的に低く低ウェイクモードのスリープ状態であり、より多くの電力を保存するとみなされる。プロセッサのコンテキストは維持され、高処理ユニット304のクロックは停止される。さらに、全てのシステムクロック、キャッシュ(単数または複数)およびメモリは、リフレッシュ状態にあり、S0およびS1のシステムレベル基準を供給する全ての電力リソースは、OFF状態である。通常、任意の割り込み(例えば、キーボード110上のキーの押し下げ)が、ポータブルコンピュータ100を起こすか、それらのモードから移行させるという点において、S1およびS2電力状態は、低ウェイクモードである。
【0046】
S3電力状態は、スタンバイモードであり、論理的にS2電力状態よりも低い電力状態である。メモリは連続して動作しリフレッシュされる。そのため、例えば、RAM 312のデータコンテキストが維持される。しかし、高電力処理ユニット304、グラフィックシステムに関連した構成要素、ハードディスクドライブ316、メインディスプレイ画面108、およびポータブルコンピュータ100の別の構成要素は、停止され、動作中のサービスはない。一実施形態では、複数の特定のアクション(例えば、電力ボタンの押すこと、ポータブルコンピュータ100のリッドを開くこと(従って、リッドスイッチ112をアクティブにすること)および、LAN/USB/fax上のウェイク信号を受け取ること)が、S3電力状態からポータブルコンピュータ100を起こす。
【0047】
S4電力状態では、ポータブルコンピュータ100は、休止モードである。RAM 312のデータコンテキストは維持されず、大抵の構成要素は、停止され、動作していない。S5電力状態は、論理的に最も低い電力状態であり、起こされたときにおいて完全な起動を必要とするソフトオフモードである。
【0048】
一実施形態によると、S2電力状態とS3電力状態との間に中間電力状態が提供される。これは、ACPIで規定されていない電力状態であり、図4では、電力状態「S2.5」としてラベル付けされている。本明細書では、ラベル「S2.5」は、単に、便宜上のものであり、説明の軽減およびコンテキストの提供のために用いられ、本発明をACPI環境に厳密に制限されることを意図しない。
【0049】
S2.5電力状態のある実施形態では、ポータブルコンピュータ100の大抵の構成要素は停止される。しかし、低電力モードアプリケーションは動作しており、その低電力モードアプリケーションの動作をサポートするのに必要とされるポータブルコンピュータ100の種々の構成要素は、低電力モードアプリケーションの動作中においてそのような構成要素が必要とされなくなるまで(必要とされなくなった場合には、そのような構成要素は停止される)、選択的にONであるか、実行中である。高電力処理ユニット304のクロックの速度はまた、低電力モードアプリケーションをサポートするのに最低速度まで低減される。例えば、低電力モード中のクロックの速度は、高電力処理ユニット304に対して指定された最低速度に設定され得、これの非限定的かつ単に例示である例は、約433MHzである。従って、S2.5電力状態に移行し、その状態で動作するためには、特定の不必要な構成要素を停止する順序および期間が、電力消費を最小化し得る。さらに、ポータブルコンピュータ100は、S1またはS2電力状態と比べて、基本的な割り込みによってはS2.5電力状態から起こされない。むしろ、特定のイベント(例えば、ポータブルコンピュータ100のリッドを開くこと)によってのみ、高電力状態(例えば、S0)への移行を引き起こす。低電力モードへの移行およびそのモードからの移行を含めたS2.5電力状態における低電力モードの動作のさらなる詳細を、以下に提供する。
【0050】
図5は、図4の電力状態を考慮した一実施形態によるポータブルコンピュータ100の種々の構成要素の相互作用と動作の図示500である。より詳しくは、図示500は、低電力モード(換言すると、S2.5電力状態)における動作をより詳細に図解する。
【0051】
BIOS 314は、実時間クロック(RTC)502と、ブートローダ504と、CPU最低クロックおよびスロットル506とを含む。一実施形態によると、BIOS 314は、低電力モードサブシステム508を含み、そのサブシステムは、別の低電力モード構成要素と相互作用して、S2.5電力状態への移行およびその状態からの移行を制御および管理し、低電力モード動作と関連して特定の構成要素(通常は、ハードウェアに関連した構成要素)をOFFまたはONにすることを管理および制御する。低電力モードサブシステム508は、ソフトウェアソースコード、ソフトウェアオブジェクトコード、または別の機械読取り可能な命令に具体化され得る。さらに、図5に示されるように、BIOS 314は、S0およびS3電力状態への移行およびそれらの状態からの移行を制御および管理し得る。
【0052】
一実施形態によるS2.5電力状態への移行またはその状態になること(または、S3電力状態になること)は、ポータブルコンピュータ100のリッドを閉じることによりリッドスイッチ112をトリガするかアクティブ化することによって、実行され得る。さらに、S2.5電力状態から抜けること(または、S3電力状態から抜けること)は、ポータブルコンピュータ100のリッドを開くことによって、実行され得る。その開くことも、リッドスイッチ112の状態の変化をトリガする。図5の矢印516は、S2.5電力状態になること、およびその状態から抜けることを表す。矢印516は、BIOS呼び出し、割り込み、またはリッドスイッチ112からBIOS 314への別の通信によって、実行され得る。S2.5電力モードの低電力モードになるときにおいて、BIOS 314の低電力モードサブシステム508は、低電力モードサービス520を起こす。このことは、矢印522に示される。あるいは、またはそれに加えて、破線の矢印518は、S2.5電力状態への移行またはその状態からの移行が、リッドスイッチ112のアクティブ化の結果としてのリッドスイッチ112から低電力モードサービス520への直接的な通信によって実行され得ることを示す。
【0053】
ある実施形態では、S2.5電力状態になることは、低電力ディスプレイ114を含む低電力ディスプレイモジュール(LPDM)510を介しても実行され得る。LPDM 510は、S2.5電力状態への移行を開始するようにBIOS 314の低電力モードサブシステム508と通信(矢印525により示される通信)し得るユーザーインタフェース512(これは、低電力ディスプレイ114のコントロール機器、ボタン、またはメニューとして具体化され得る)を含む。あるいは、またはそれに加えて、ユーザーインタフェース512は、S2.5電力状態への移行を開始するように低電力モードサービス520と直接通信し得る(これも、破線の矢印518に示される)。さらにあるいは、またはそれに加えて、LPDM 510(そのユーザインタフェース512を含む)は、S2.5電力状態への移行を開始するか、または低電力モードにおいて情報を提示する(例えば、メディアファイルを実行するか低電力ディスプレイ114上で電子メールを提示する)ように、LPDMアプリケーションサービス524と通信し得る(これは、矢印526によって示される)。ユーザー514は、適切な電力状態への移行をトリガするように、リッドスイッチ112またはLPDM 510を動作し得る。
【0054】
ある実施形態では、ユーザーインタフェース512は、低電力メディアプレーヤ(例えば、低電力MP3プレーヤまたは別の低電力メディアプレーヤ)と関連して動作し得る。従って、ユーザーインタフェース512は、情報(例えば、プレイリスト、歌のタイトル、トラック番号、再生完了までの残り時間、曲の長さ、アーチスト名、およびメディアファイルに関連した別の情報)を表示し得る。さらに、ユーザーインタフェース512は、ユーザーに制御(例えば、再生、一時停止、停止、巻き戻し、ボリューム増、スキップなど)を提供し得る。矢印518または526に示されるように、それらのユーザー命令は、ユーザーインタフェース512によって低電力モードサービス520へ、LPDMアプリケーションサービス524へ、および/または直接低電力モードメディアプレーヤへまでも伝達され得る。
【0055】
一実施形態の低電力モードサービス520は、常に実行中のサービス、プログラム、コンポーネント、サブルーチン、モジュール、または別のソフトウェアコードまたは一組の機械読取り可能な命令を含む。S0電力状態では、低電力モードサービス520は、動作しているが、基本的には最少量のタスクを実行するか、より詳しくは、低電力モードサービス520が、S2.5電力状態への移行必要性を示す特定のアクティビティをモニタリングする。そのようなモニタリングされたアクティビティの一例は、リッドスイッチ112のアクティブ化であり、そのスイッチは、ポータブルコンピュータ100のリッドが閉じているか開いているかを示す。
【0056】
リッドが閉じている場合、または別のアクティビティがS2.5状態の低電力モードへの移行の必要を示す場合では、低電力モードサービス520は、起きるか、アクティブのレベルが上がり、もしある場合にはいずれの低電力モードアプリケーションをアクティブにするかを決定し;低電力モードアプリケーションによって提供される情報および/またはプログラムデータ324の一部を構成する電力プロファイルから、その低電力モードアプリケーションに対するハードウェア、ソフトウェアおよび電力の需要を決定し;矢印532に示されるように、BIOS 314とオペレーティングシステムカーネル528の一方または両方と通信することによって、特定の要素を特定の順序で停止し;または、低電力モードにおいてポータブルコンピュータ100の動作に関連してタスクを実行する。矢印522はまた、低電力モードサービス520によるBIOS 314へのこの通信を表し、矢印532は、低電力モードサービス520によるオペレーティングシステムカーネル528への通信を表す。そして、オペレーティングシステムカーネル528および/またはBIOS 314は、不必要なハードウェア、ソフトウェア、サービスおよび別の要素の電力の低下を選択的に開始し得る。一実施形態における電子メールのコンテキストでは、矢印522はまた、BIOS 314の低電力モードサブシステム508をONおよびOFFにすることを示し、それによって、新規の電子メールに対する外部サーバ(例えば、サーバ350)の周期的なポーリングに用いられるポータブルコンピュータ100の要素(例えば、トランシーバ348)のアクティブ化および非アクティブ化を可能にする。
【0057】
ある実施形態では、低電力モードにおいて必要がないタスク、使用されないタスク、または無関係なタスクを一時停止するために、低電力モードサービス520は、オペレーティングシステムカーネル528およびBIOS 314の一方または両方に、割り込まれるまで一時停止のメッセージと比べて再開されるまで一時停止のメッセージを送信する。再開信号が低電力モードサービス520から送信されると、一時停止されたタスクは、一時停止された点において、再開される。割り込みと比べて、ある実施形態では、再開信号を用いてそれらのタスクを一時停止状態から外すということに留意されたい。割り込みは、場合によっては、既存のシステムにおいて要素をスタンバイ状態から外す。しかし、ある実施形態では、低電力モードにおいて動作中に割り込みが生成され、そのような要素が低電力モード中に一時停止のままであり不必要なタスクを実行(従って、不必要に電力を消費)しないことを確実にするために、割り込みではなく再開信号を用いることによって、要素を一時停止状態から外す。
【0058】
低電力モードサービス520は、図3に示されるプログラム/モジュール324の一部を構成し得る。一実施形態では、サービスがオペレーティングシステムカーネル528と相互作用しそのカーネルに干渉することを可能にするように、低電力モードサービス520は、Microsoft Win32 Software Development Kit(SDK)を用いて書き込まれ得るサービスを含む。次には、オペレーティングシステムカーネル528(例えば、Windows(登録商標) XPカーネル)が、全オペレーティングシステム320の一部を構成し得る。
【0059】
オペレーティングシステムカーネル528の場合では、矢印530に示されるように、S1〜S5電力状態において、BIOS 314を呼び出すことによって特定の要素をONまたはOFFにし得る。一実施形態では、これは、低電力モードに不必要な特定のハードウェア要素を停止するような、低電力モードサブシステム508への直接的なBIOS呼び出しを含む。あるいは、またはそれに加えて、オペレーティングシステムカーネル528は、対応するドライバ534を停止することによって、特定のソフトウェア要素(例えば、不必要なサービス536またはアプリケーション)を停止し得る。オペレーティングシステムカーネル528はまた、そのようなサービス536またはアプリケーションを、それらのドライバ534をアクティブ化することによって、選択的にONにし得る。
【0060】
低電力モードで動作するある実施形態では、低電力モードサービス520および/またはLPDMアプリケーションサービス524は、図5において低電力アプリケーション538Aおよび少なくとも1つの別の低電力アプリケーション538Bとして示される一つ以上の低電力モードアプリケーション538と相互作用する。低電力アプリケーション538Bの非限定的例は、クライアント側電子メールプログラムであり、それは、例えば、タイトルが「METHOD AND SYSTEM FOR MANAGING EMAIL ATTACHMENTS FOR AN ELECTRONIC DEVICE」(出願日2004年5月7日、代理人整理番号930086.407)の米国特許出願第 号、タイトルが「METHOD AND SYSTEM FOR POLLING AND CACHING EMAILS FOR AN ELECTRONIC DEVICE」(出願日2004年5月7日、代理人整理番号930086.408)の米国特許出願第 号、およびタイトルが「METHOD AND SYSTEM FOR EMAIL SYNCHRONIZATION FOR AN ELECTRONIC DEVICE」(出願日2004年5月7日、代理人整理番号930086.409)の米国特許出願第 号に開示されている。これらの特許出願の全ては、本願と同一の譲受人に譲渡され、その全容は本明細書に援用される。
【0061】
低電力モードにおいて選択的にアクティブ化され得る型のネットワークアクセス構成要素540(無線および有線の一方または両方)もあり得る。ネットワークアクセス構成要素540の例には、トランシーバ348またはネットワークインタフェース346が含まれる。低電力モードアプリケーション538およびネットワークアクセス構成要素540は、低電力モードにおいて必要に応じて、ディスクキャッシュ542または別の適切な揮発性メモリ位置にアクセスし得る。ここで、ディスクキャッシュ542は、RAM 312または別のストレージユニットの一部を構成し得る。
【0062】
低電力モードアプリケーション538は、低電力モードにおいて、インストールされたアプリケーション548および556と通信し得る。これらのインストールされたアプリケーションの例には、Windows(登録商標) Media PlayerTM 9およびMicrosoft OutlookTM 2003が含まれる。ある実施形態では、これらのインストールされたアプリケーション548および556は、低電力モードにおいて、低電力モードアプリケーション538にサポート機能およびデータを提供する。一例として、このインストールされたアプリケーション556がWindows(登録商標) Media PlayerTM 9である場合、インストールされたアプリケーション556の再生、停止、早送り、一時停止、巻き戻し、または別の機能を用いるように、低電力アプリケーション538Aは、低電力メディアプレーヤ538Aとインストールされたアプリケーション556との間に情報を通信するためのアプリケーションプログラムインタフェース(API)544または別の適切な手段を介して、インストールされたアプリケーション556と相互作用し得る。矢印552はこの相互作用を表す。一実施形態によりインストールされたアプリケーション556のこれらの既存の機能を用いることによって、低電力メディアプレーヤ538Aが同一の機能を実行するためのコードを作成する必要が避けられる。
【0063】
情報(例えば、プレイリスト、歌、タイトル、アーチスト、時間など)は、インストールされたアプリケーション556によって、一つ以上のライブラリ546に維持される(これは、矢印550により示される)。そのライブラリもまた、低電力メディアプレーヤ538Aによってアクセス可能である。矢印554および526は、このライブラリ情報が低電力メディアプレーヤ538AによってLPDMアプリケーションサービス524へと、そして低電力ディスプレイ114への提示のためにLPDM 510へと転送され得ることを表す。従って、LPDMアプリケーションサービス524のある実施形態は、低電力メディアプレーヤ538AとLPDM 510との間の情報の通信に使用可能である。
【0064】
図6は、ポータブルコンピュータ100の別の構成要素と関連した低電力メディアプレーヤ538Aの一実施形態による動作を示すブロック図600である。図5の図示500の特定の要素は、コンテキストを提供するように、ブロック図600にも示される。
【0065】
第1に、低電力モードサービス520が示されている。低電力モードサービス520は、電力モードデータストア618からの情報を用いる。その情報には、ONまたはOFFに保つべきポータブルコンピュータ100の要素を決定し、特定のアプリケーションまたはオペレーションに対する特定の要素の電力要求を決定するような図3に示されるプログラムデータ326が含まれる。そのような要素をONまたはOFFにする順序および期間は、電力モードデータストア618に格納され得、取得され得る。ある実施形態では、電力モードデータストア618には、情報(低電力メディアプレーヤ538Aの電力必要量、低電力メディアプレーヤ538Aの動作の間においてONにする必要のあるリソースの識別、そのようなリソースの電力必要量、そのようなリソースをON/OFFする必要のある時間および対応する期間、ならびに低電力メディアプレーヤ538Aの動作に関連した別の情報)が含まれ得る。矢印602は、低電力モードサービス520が電力モードデータストア618からこの情報を取得することができることを表す。電力モードデータストア618内の任意の電力プロファイル情報を追加、修正または除去するために、電力プロファイルエディタ604または別のツールが提供され得る。
【0066】
低電力モードサービス520は、複数の異なったクライアント606を制御し得るかそれらと通信し得る。そのようなクライアント606は、低電力メディアプレーヤ538Aおよび低電力ディスプレイ114(または別の電力モードユーザーインタフェース)を含み得る。
【0067】
ある実施形態では、アプリケーション556は、ポータブルコンピュータ100にインストールされたメディアプレーヤアプリケーションを含む。一例がWindows(登録商標) Media PlayerTM 9であり、別の適切な例には、RealPlayerTM、WinAmpTM、MusicmatchTMなどが含まれ得る。後述するように、アプリケーション556は、最大電力モードの間では通常に動作し、低電力モードの間では低電力モードメディアプレーヤ538Aによる埋め込みモードに移行される。この埋め込みモードでは、アプリケーション556は、依然としてメディアファイルを再生するように動作するが、ある実施形態の低電力メディアプレーヤ538Aによって制御される。ここで、低電力メディアプレーヤ538Aは、再生および関連動作を実行することに関するアプリケーション556の機能を制御および使用する。従って、一実施形態の低電力メディアプレーヤ538A自身はメディアファイルの再生(例えば、デコード、スピーカへの送信など)は実行しない。別の実施形態では、低電力メディアプレーヤ538Aは、再生を実行しアプリケーション556の機能を最小限に使用するように、提供され得る。
【0068】
API 544およびライブラリ546を記号によって図6に示す。そこでは、APIは、アプリケーション556の特定の機能または特徴を低電力メディアプレーヤ538Aにさらす。そのさらされた機能および特徴には、再生、停止、一時停止、巻き戻しなどの機能が含まれ得、それによって、低電力メディアプレーヤ538Aが低電力モードの間にアプリケーション556を制御することが可能である。ライブラリ546を介して、低電力メディアプレーヤ538Aは、アプリケーション556から情報(例えば、プレイリスト、アーチスト、タイトルなど)を取得し得る。
【0069】
LPDMアプリケーションサービス524および/またはAPI 608を介して、低電力メディアプレーヤ538Aは、LPDM 510のユーザーインタフェース512と通信し得る。一実施形態のAPI 608には、例えば、プレーヤと、ライブラリと、プレイリストと、メディアアイテムと、ストリングコレクションオブジェクトとからなる5つのCOM(component object model)が含まれる。別の特徴の中では、プレーヤオブジェクトが低電力メディアプレーヤ538Aに中核の制御を提供し、ライブラリオブジェクトには全てのアクセス可能なプレイリストが含まれ、プレイリストオブジェクト(単数または複数)がメディアアイテムの順序を示し、メディアアイテムオブジェクトが特定のメディアファイルについての情報へのアクセスを提供し、ストリングコレクションオブジェクトは、ライブラリオブジェクトからアルバム、アーチストなどのリストを取得するために用いられ得るストリングの順序である。
【0070】
API 608の場合では、API 608は、低電力メディアプレーヤ538Aのいくつかの機能をユーザーインタフェース512にさらす。それによって、ユーザーが入力したコマンド(歌の選択を含むコマンド)を低電力メディアプレーヤ538Aに送信することが可能になる。そのメディアプレーヤは、それらのコマンドをアプリケーション556に伝え得る。LPDMアプリケーションサービス524および/またはAPI 608を介して、情報(例えば、プレイリスト)は、低電力メディアプレーヤ538Aから、その上への表示用にユーザーインタフェース512に送信され得る。
【0071】
低電力モードの間に低電力メディアプレーヤ538Aが相互作用し得る別のクライアント610も存在し得る。それらのクライアント610の一部には、ハードディスクドライブ316、ハードディスク318(これらは、図6ではクライアント610と別個に示されている)、および、米国特許出願第 号(2004年 日出願、代理人整理番号930086.419)に記載され、特許請求がなされているような低電力電子メールクライアントが含まれる。ある実施形態では、低電力モードプレーヤ538Aは、アプリケーション556から提供された情報を用いて、現在再生されている曲およびプレイリストにおける次の曲を決定する。歌がアプリケーション556によって再生されている間において、低電力メディアプレーヤ538Aは、矢印612によって示されるように、ハードディスクドライブ316およびハードディスク318にアクセスして、プレイリスト上に残っている歌を読み出す。
【0072】
この読み出し動作は、本質的には、破線の矢印614によって図示すように、オペレーティングシステム320に読み出したコピーをオペレーティングシステムキャッシュへと格納させる。このキャッシュは、例えば、メディアファイルの一部がハードディスクドライブ316または別の永続性メモリ位置から読み出されたときにおいてその部分を格納するのに使用可能なRAM 312、またはシステムメモリ306における別の非永続性ストレージ位置もしくは揮発性ストレージ位置である。アプリケーション556が現在の歌の再生を終えた後において、アプリケーション556は、システムメモリ306にアクセスして、ハードディスクドライブ316およびハードディスク318にアクセスするのではなく、矢印616に示されるように、キャッシュされた歌を読み出す。
【0073】
ハードディスクドライブ316およびハードディスク318を介するのではなく、オペレーティングシステムキャッシュからキャッシュされた歌にアクセスすることは、複数の点における電力保存の目的に有益である。第1に、アプリケーション556は、通常、各メディアファイルの個々のセグメントまたは複数のセグメント(再生中に現在再生されているメディアファイルのセグメントも含むセグメント)を取得するためには、ハードディスクドライブ316およびハードディスク318に繰り返しアクセス/読み出しする必要がある。従って、複数のディスクにアクセスする動作は、完全なメディアファイルの全部分を検索し取得するように実行される必要がある。全プレイリストからメディアファイルの全部分を取得するためのそれらの複数のディスクにアクセスする動作は、結果としてかなりの電力を消費する。ある実施形態では、低電力モードの間においてそのような複数のディスクにアクセスする必要を低減または除去する。
【0074】
第2に、全メディアファイルを読み出すように比較的に短期間の間実質的に単一のディスク(または比較的限定された数のディスク)にアクセスする動作を実行する代わりに、ある実施形態では、実行する必要のあるハードディスク318の検索および読み出し量を低減する。その実施形態では、ハードディスク318からメディアファイルを検索および読み出す必要なしに、一度読み出されると、メディアファイルはオペレーティングシステムキャッシュに残り、アプリケーション556によってそのキャッシュから直接読み出され得る。その理由は、ハードディスクから読み出す前に、多くのアプリケーションはデフォルトでキャッシュから読み出すためである。
【0075】
第3に、ポータブルコンピュータ100は、低電力メディアプレーヤ538Aを除く大抵の構成要素(例えば、アプリケーション)が停止状態の低電力モードであるので、オペレーティングシステムキャッシュ内のデータは、存在し別のアプリケーションからのデータによって上書きされないことが実質的に保証される。ハードディスク318にアクセスする必要が低減されるので、この特徴も、電力保存に寄与する。
【0076】
図7〜8は、一実施形態に従って、低電力メディアプレーヤ538Aの動作を図示するフローチャート700である。フローチャート700によって表される特徴は、機械可読媒体に格納されたソフトウェアソース、ソフトウェアオブジェクトコード、または別の機械読可読命令に具体化され得る。一部の動作は、必ずしも低電力メディアプレーヤ538Aによって実行される必要はなく、別の要素(例えば、低電力モードサービス520および/またはアプリケーション556)によって実行され得る。種々の動作は、必ずしも示される順序に正確に実行される必要はなく、一部の動作が、追加、除去、修正、または組み合わせられ得る。
【0077】
ブロック702では、メディアファイルは、最大電力モードの間にアプリケーション556によって再生されるものとして示される。例えば、Windows(登録商標) Media PlayerTM 9アプリケーションは、ポータブルコンピュータ100のユーザーがワード処理プログラムを用いている間に、MP3オーディオファイルを再生し得る。ある実施形態では、アプリケーション556は、ブロック704において、低電力モードの間に低電力メディアプレーヤ538Aに状態情報を提供する。この低電力モードでは、低電力メディアプレーヤ538Aは、実行中であるが、状態情報を取得し処理することを除いては実質的に非アクティブ状態である。その状態情報には、再生中の歌のタイトル、再生完了までの残り時間、ボリュームなどが含まれ得る。
【0078】
ブロック705において、低電力モードサービス520は、低電力モードへの移行の必要性を示すイベントをモニタリングするために用いられる。例えば、ポータブルコンピュータのリッドが閉じている場合では、リッドスイッチ112は、低電力モードへの移行を示すように割り込みを生成し得る。ブロック706においてイベントが検出されない場合では、ブロック705においてモニタリングを続行する。
【0079】
しかし、ブロック706においてイベントが検出された場合では、低電力モードサービス520は、特定のタスクを実行して、低電力モードへと移行させる。それらのタスクには、電力モードデータストア618から低電力モードデータプロファイルを読み出すことと、ポータブルコンピュータ100のどの要素をOFFにするか、ONのままにするか、いつOFFまたはONにするか、その順序、期間などを決定することとが含まれる。適切なデバイス、サービス、プロセスおよび別の構成要素は、OFFにされ、かつ/または一時停止される。イベントをモニタリングする方法および低電力モードへと移行する方法の実施形態は、本願と同一譲受人に譲渡され、全容が援用される、タイトルが「METHOD AND APPARATUS FOR OPERATING AN ELECTRONIC DEVICE IN A LOW POWER MODE」の米国特許出願第 号(出願日 、代理人整理番号930086.410)に詳細に記載されている。
【0080】
ブロック710では、低電力モードサービス520は、低電力メディアプレーヤ538Aを起こすか、そのメディアプレーヤをアクティブ化するために用いられる。そのメディアプレーヤは、バックグランド処理として動作している。ブロック710において、低電力モードサービス520は、LPDMアプリケーションサービス524に、ポータブルコンピュータ100が低電力モードへと移行中であることを通知し得て、それによって、これも以前はバックグランド処理として動作していてもよいLPDMアプリケーションサービス524を起こす。起こされた後において、低電力メディアプレーヤ538Aは、歌または別のメディアファイルを現在再生中のアプリケーション556を制御し、ブロック712において、アプリケーション556を埋め込みモードに入るように命令する。埋め込みモードでは、アプリケーション556は歌を再生し続けるが、そのユーザーインタフェースは、隠されるようになる。
【0081】
ブロック714において、低電力メディアプレーヤ538Aは、プレイリスト、タイトル、アーチスト、ボリュームおよび別の情報をアプリケーション556から取得する。一実施形態では、この情報は、低電力メディアプレーヤ538Aによって、アプリケーション556のAPI 544に送信された要求に応答して取得される。別の実施形態では、この情報は、必ずしも低電力メディアプレーヤ538Aからの要求を受信せずに、アプリケーション556によって独立して提供され得る。この情報は、低電力メディアプレーヤ538Aによってライブラリ546から読み出され得る。一実施形態では、この情報の少なくとも一部は、ブロック704において以前に取得されているということに留意されたい。
【0082】
ブロック716において、低電力メディアプレーヤ538Aは、LPDMアプリケーション524との通信を構築し、取得した情報(プレイリストを含む情報)を提供する。ブロック718において、LPDMアプリケーション524および/または低電力メディアプレーヤ538Aは、低電力ディスプレイ114上への提示用に、LPDM 510にプレイリストおよび別の情報を送信する。
【0083】
図8のブロック800に続き、低電力メディアプレーヤ538Aは、プレイリストを読み出し、現在の歌に続き再生されるべき歌を決定する。それらの歌は、プレイリストの順番に従った順序で再生され得るか、スキップ、繰り返し、または別のユーザーが提供した順序の選択に従って、順序と外れて実行され得る。曲を再生するこの特定の順序は、対応するメディアファイルが低電力メディアプレーヤ538Aによってハードディスク318から読み出される順番を決定し得る。
【0084】
低電力メディアプレーヤ538Aは、ブロック802において、メディアファイルの少なくとも一部のコピーをハードディスクから読み出すために用いられるか、そのコピーを取得するために用いられる。一実施形態では、ブロック802における読み出しは、ハードディスク318から、所望の全メディアファイルの全部分の位置づけおよび取得するための単一または少なくとも比較的限定数のディスクアクセス動作を含む。メディアファイルが読み出された後において、ハードディスクドライブ316とハードディスク318は、停止される。
【0085】
ブロック804において、ハードディスク318から取得されたメディファイルは、キャッシュされるか、メモリに格納またはロードされる。ある実施形態では、メディアファイルは、ブロック802における読み出しプロセスの間に、オペレーティングシステム320によって、本質的にオペレーティングシステムキャッシュに、RAM 312に、または、システムメモリ306の別の非永続性もしくは揮発性ストレージ位置に配置される。従って、通常は、独立かつ別個の動作が、メディアファイルをキャッシュするために必要とされない。
【0086】
ブロック806において、アプリケーション556が現在の歌の再生を完了した後において、アプリケーション556は、次の歌または次の歌の一部を、キャッシュされたメディアファイルから読み出し再生するために用いられる。アプリケーション556は、デフォルトでは、まずハードディスク318にアクセスするのとは対照的に、まず、次の歌用の非永続性ストレージ位置をチェックする。アプリケーション556はキャッシュされたメディアファイル(単数または複数)を非永続性ストレージ位置に配置させるので、キャッシュされたメディアファイル(単数または複数)が現在実行中のアプリケーションによって上書きされ得るまで、ハードディスク318にさらにアクセスする必要はない。キャッシュされ配置されたメディアファイル(単数または複数)は、ブロック806において、アプリケーション556によって読み出され再生される。
【0087】
ブロック808において、低電力モードサービス520は、低電力モードから出る移行の要求を示すイベントをモニタリングする。このモニタリングは、キャッシュおよび再生とは別個のプロセスとして生じ得、最大電力モードへ戻る要求またはスタンバイ(もしくは別の非アクティブモード)へと移る要求を示すイベントを含み得る。
【0088】
ブロック810においてイベントが検出されない場合では、ブロック806において再生が続けられる。さもないと、イベントが検出された場合(例えば、ユーザーが、最大電力モードへの再移行の要求を示すようにポータブルコンピュータ100のリッドを開ける場合、またはボタンを押してポータブルコンピュータ100を停止する場合)では、低電力メディアプレーヤ538Aは、ブロック812において、アプリケーション812に再生を停止するように命令する。そして、ポータブルコンピュータ100は、ブロック814において低電力モードを出て、低電力メディアプレーヤ538Aは、適切な場合では、再び起こされるまで、バックグランド処理として動作するように前の状態に戻る。
【0089】
本明細書において参照し、かつ/またはアプリケーションデータシートにリストアップした上記の米国特許および米国特許出願の広報、米国特許出願、外国特許、外国特許出願および非特許文献は、その全容が本明細書に援用される。
【0090】
説明した実施形態の上記記載(要約書に記載したものも含む)は、本発明を、排他的に、または、まさに開示したとおりの形態に限定することを意図しない。説明を目的として本明細書において特定の実施形態および実施例を記載してきたが、本発明の精神および範囲を逸脱せずに、種々の均等な修正が可能であり、修正がなされ得る。
【0091】
例えば、Windows(登録商標) XPカーネルと相互作用し、ACPI仕様に規定される電力状態と関連して動作するコンテキストで一部の実施形態を記載してきたが、本発明は、それらの特定のインプリメンテーションに限定されない。別の実施形態は、異なるオペレーティングシステムを用いる電子デバイスおよび/または別の仕様を用いて規定された電力状態を有する電子デバイスを用いて、インプリメントされ得る。
【0092】
さらに、特定の製品(例えば、Windows(登録商標) Media PlayerTM 9およびMP3形式)に対して種々の実施形態を記載してきた。これらは単に可能なインプリメンテーションの例であり、別の実施形態が、別の形式(MP3と異なったオーディオおよび/またはビデオ形式を含む形式)に対する低電力メディアプレーヤ、または、別のタイプのメディアプレーヤと使用可能な低電力メディアプレーヤを提供し得る。別個の独立した低電力メディアプレーヤも一実施形態では提供され得る。その実施形態では、ポータブルコンピュータ100に存在し、繰り返しディスクアクセス動作を実行するのではなくメディアファイルにキャッシュし得る別のメディアプレーヤによって提供される機能に、そのような低電力メディアプレーヤは依存する必要はない。
【0093】
アプリケーション556によってメディアファイルの既存の再生中において低電力メディアプレーヤ538Aが低電力モードで動作を開始する場合の一例を上述してきた。低電力メディアプレーヤ538Aは、必ずしもこの条件下で動作する必要はない。低電力メディアプレーヤ538Aは、そのアプリケーションが以前(そしてその時も)メディアファイルを再生しない場合でさえ、低電力モードの間に動作を開始し得る。LPDM 510からユーザーが入力したコマンドは、例えば、低電力メディアプレーヤ538Aに、メディアファイルを読み出しキャッシュするために低電力モードでの動作を開始し、それらのメディアファイルを再生するようにアプリケーション556を制御するように示すように提供され得る。または、低電力メディアプレーヤ538Aは、別の実施形態においてメディアファイルを自身で再生し得る。
【0094】
上記の詳細な説明を鑑みて、本発明に対してこれらの修正および別の修正がなされ得る。添付の特許請求の範囲において用いる用語は、本発明を、本明細書および特許請求の範囲に開示した特定の実施形態に限定するように解釈されるべきではない。むしろ、本発明の範囲は、その全てが添付の特許請求の範囲によって決定されるべきであり、その特許請求の範囲は、確立したクレーム解釈の原則に従って解釈されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】図1は、例示的な電子デバイスの正面の上側と右側の等角図であり、この場合では、開いた位置で示されたリッドを含むハンドヘルド型ポータブルコンピュータの形態である。
【図2】図2は、閉めた位置で示されたリッドを含む図1の例示的なポータブルコンピュータの正面の上側と右側の等角図である。
【図3】図3は、ポータブルコンピュータのある実施形態のブロック図であり、動作環境をより詳細に表す。
【図4】図4は、一実施形態による電力状態を図示したものである。
【図5】図5は、図4の電力状態を考慮した一実施形態によるポータブルコンピュータの種々の構成要素の相互作用と動作を図示したものである。
【図6】図6は、一実施形態によるポータブルコンピュータの別の構成要素に関連した低電力メディアプレーヤの動作を示すブロック図である。
【図7】図7は、一実施形態による低電力メディアプレーヤの動作を示すフローチャートである。
【図8】図8は、一実施形態による低電力メディアプレーヤの動作を示すフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
低電力モードで動作し得る電子デバイスに使用可能な方法であって、
該低電力モードへの移行を表すイベントをモニタリングすることと、
該イベントが検出された場合において、該低電力モードの間にメディアプレーヤをアクティブ化することによって動作させることと、
該低電力モードの間に再生されるメディアファイルの少なくとも一部をストレージ位置から読み出すことと、
該ストレージ位置から読み出した該メディアファイルの一部をメモリにロードすることと、
該メディアファイルの該ロードした部分を該メモリから読み出すことと、
該低電力モードの間に該メディアファイルの該読み出した部分を再生することと
を包含する、方法。
【請求項2】
前記メディアファイルの読み出した部分を再生することが、前記メディアプレーヤによって制御可能なメディアアプリケーションを用いて、該メディアファイルの該読み出した部分を再生することを包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記低電力モードへの移行が起きるときにおいてメディアファイルを再生することと、
前記ストレージ位置に格納された複数のメディアファイルのうちの少なくとも1つに関連した情報を前記メディアプレーヤにおいて受信することと、
該受信した情報を用いて、該ストレージ位置から読み出し該メモリにロードするメディアファイルを決定することと
をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ストレージ位置に格納された複数のメディアファイルに関連した情報を受信することが、該メディアファイルのプレイリストを受信することを包含する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記電子デバイスの低電力ディスプレイへの提示用に、前記メディアファイルに関連した情報を提供することをさらに包含する、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記低電力モードへの移行が起きるときにおいてメディアファイルを再生することが、前記メディアプレーヤと異なったメディアアプリケーションを用いて該メディアファイルを再生することを包含し、
前記方法が、
制御用に該メディアプレーヤを用いて、該低電力モードの間に該メディアアプリケーションによって別のメディアファイルの再生を制御することと、
該低電力モードの間に該メディアアプリケーションを埋め込みモードに配置することと
をさらに包含する、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記低電力モードと異なったモードにおいて前記メディアプレーヤを動作し続けることをさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ストレージ位置から読み出したメディアファイルの一部をメモリにロードすることが、該メディアファイルの一部を該ストレージ位置から読み出す間に該メディアファイルの一部をキャッシュに格納することを包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記低電力モードの間に前記電子デバイスの別の構成要素の動作を一時停止することによって、該構成要素の動作に関連したデータが前記メディアファイルの前記ロードした部分に上書きされることを防ぐことをさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
メディアファイルの再生に関連したユーザーが入力したコマンドを前記電子デバイスの低電力ディスプレイ上のユーザーインタフェースから受信することと、
該ユーザーが入力したコマンドを適用することによって、該メディアプレーヤを用いてメディアアプリケーションによる対応したメディアファイルの再生を制御することと
をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
低減された電力モードで動作し得る電子デバイスに使用可能な方法であって、該方法は、
該低減された電力モードの間において、第1のメディアファイルの少なくとも一部が再生されている間に、該第1のメディアファイルの後に再生する少なくとも1つのさらなるメディアファイルを決定することと、
該第1のメディアファイルの再生の間に該さらなるメディアファイルの少なくとも一部を永続性ストレージ位置から読み出すことと、
該永続性ストレージ位置から読み出した該さらなるメディアファイルの一部を揮発性ストレージ位置に格納することと、
該さらなるメディアファイルの該格納した部分を該揮発性ストレージ位置から再生することと
を包含する、方法。
【請求項12】
前記さらなるメディアファイルの格納した部分を再生することが、前記第1のメディアファイルの再生の完了に続いて、該さらなるメディアファイルの該部分を再生するために前記永続性ストレージ位置に再アクセスせずに、該さらなるメディアファイルの該格納した部分を前記揮発性ストレージ位置から再生することを包含する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記さらなるメディアファイルの格納した部分を再生することが、オーディオファイルを再生することを包含する、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記永続性ストレージ位置に格納されたメディアファイルに関連したプレイリスト情報を取得することと、
該プレイリストを用いて、前記第1のメディアファイルの再生の間に該永続性ストレージ位置から読み出され前記揮発性ストレージ位置に格納するメディアファイルを決定することと、
該第1のメディアファイルの再生の間に該決定されたメディアファイルの少なくとも一部を、該永続性ストレージ位置から読み出し、該揮発性ストレージ位置に格納することと
をさらに包含する、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記さらなるメディファイルの一部を読み出し格納することが、前記低減された電力モードの間に動作するメディアプレーヤを用いて実行され、該さらなるメディアファイルの該格納した部分を再生することが、該メディアプレーヤによって制御される該メディアプレーヤと異なったメディアアプリケーションを用いて実行される、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記低減された電力モードの間において、メディアファイルの再生の間に、前記ポータブルコンピュータの低電力ディスプレイのユーザーインタフェース上にプレイリスト情報を提示することと、
該低電力ディスプレイ上のユーザーインタフェースを介して受信された再生に関連したコマンドを、該メディアファイルの再生を実行するバックグランドメディアプリケーションに適用することと
をさらに包含する、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記低減された電力モードの間において、前記さらなるメディアファイルの一部を格納する前記揮発性ストレージ位置の領域に、前記ポータブルコンピュータの別の要素がデータを格納することを防ぐことをさらに包含する、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記揮発性ストレージ位置の領域に別の要素がデータを格納することを防ぐことが、前記低減された電力モードの間において該要素を一時停止する動作を包含する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
低電力モードの間に少なくとも1つのアプリケーションを動作し得る電子デバイスに使用可能な方法であって、
該低電力モードの間において、バックグランド処理として動作している第1のアプリケーションを用いて第1のメディアファイルの少なくとも一部を再生することと、
該第1のメディアファイルの少なくとも一部が再生されている間において、第2のアプリケーションを用いて永続性ストレージ位置に格納された別のメディアファイルのコピーを取得し、該取得したコピーを揮発性ストレージ位置に格納することと、
該第1のアプリケーションを用いて、該揮発性ストレージ位置に格納されたコピーを再生することと
を包含する、方法。
【請求項20】
より高電力モードの場合と比較して、前記第1のアプリケーションと前記第2のアプリケーションとのうちの少なくとも一つによって前記低電力モードの間において前記永続性ストレージ位置にアクセスする回数を実質的に低減することをさらに包含する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記取得したコピーを揮発性ストレージ位置に格納することが、本来的に前記コピーが前記永続性ストレージ位置から読み出されたときにおいて、該コピーをキャッシュに格納することを包含する、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記第1のメディアファイルの一部を再生する間において、プレイリスト情報を前記第1のアプリケーションから取得することと、
該取得したプレイリスト情報を用いて、前記永続性ストレージ位置から読み出し前記揮発性ストレージ位置に格納するメディアファイルを決定することと
をさらに包含する、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記第2のアプリケーションを用いて前記第1のアプリケーションの動作を制御することをさらに包含する、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記ポータブル電子デバイスの低電力ディスプレイモジュールのユーザーインタフェースにおいて、ユーザーが入力したコマンドを受信することと、
該受信したユーザーが入力したコマンドを該ユーザーインタフェースから前記第2のアプリケーションへと送ることと、
該第2のアプリケーションを用いて、前記第1のアプリケーションの動作を制御するように該ユーザーが入力したコマンドを適用することと
をさらに包含する、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
ポータブル電子デバイスに使用可能な製品であって、該製品は、
命令を格納した機械可読媒体であって、
低電力モードへの移行を表すイベントをモニタリングすることと、
該イベントが検出された場合において、該低電力モードの間に該メディアプレーヤをアクティブ化することによって動作させることと、
該低電力モードの間において、再生される複数のメディアファイルのうちの少なくとも一つの少なくとも一部を第1のストレージ位置から読み出すことと、
該第1のストレージ位置から読み出した該メディアファイルの一部を第2のストレージ位置に格納することと、
該メディアファイルの該格納した部分を該第2のストレージ位置から読み出し、該低電力モードの間に該メディアファイルの該読み出した部分を再生することと
によってプロセッサに該低電力モードで該電子デバイスのメディアプレーヤを動作させる、機械可読媒体を備える、製品。
【請求項26】
前記機械可読媒体が、前記低電力モードの間にメディアファイルを読み出すための前記第1のストレージ位置へのアクセスを実質的に少なくする、該機械可読媒体に格納された命令をさらに含む、請求項25に記載の製品。
【請求項27】
前記低電力モードの間にメディアファイルの読み出した部分を再生する命令が、前記メディアプレーヤと異なり該メディアプレーヤの制御下にあるバックグランドアプリケーションを用いて該部分を再生する命令を含む、請求項25に記載の製品。
【請求項28】
前記機械可読媒体が、前記第1のストレージ位置に格納されたメディアファイルに関連した情報を取得し、該取得した情報を前記電子デバイスの低電力ディスプレイ上への提示用に提供する、該機械可読媒体に格納された命令をさらに含む、請求項25に記載の製品。
【請求項29】
前記機械可読媒体が、前記メディアファイルのうちの一つの一部を再生する間において、前記第1のストレージ位置から読み出し前記第2のストレージ位置に格納するメディアファイルを決定する、該機械可読媒体に格納された命令をさらに含む、請求項28に記載の製品。
【請求項30】
電子デバイスに使用可能なシステムであって、該システムは、
低電力モードへの移行を表すイベントをモニタリングする手段と、
該イベントが検出された場合において、該低電力モードの間にメディアプレーヤをアクティブ化することによって動作させる手段と、
該低電力モードの間に再生されるメディアファイルの少なくとも一部を永続性ストレージ位置から読み出す手段と、
該永続性ストレージ位置から読み出した該メディアファイルの一部を揮発性ストレージ位置に格納する手段と、
該メディアファイルの該格納した部分を該揮発性ストレージ位置から読み出し、該低電力モードの間に該メディアファイルの該読み出した部分を再生する手段と
を備える、システム。
【請求項31】
前記メディアプレーヤが、前記メディアファイルの前記格納した部分を再生する手段と異なり、
前記システムが、
該メディアプレーヤと、該メディアファイルの該格納した部分を再生する手段との間において情報を通信する手段と、
該メディアプレーヤと、該メディアファイルに関連した情報を前記電子デバイスの低電力ディスプレイ上に提示する低電力ディスプレイモジュール手段との間において、情報を通信する手段と
をさらに備える、請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
前記格納する手段が、前記メディアファイルの一部が前記永続性ストレージ位置から読み出されたときにおいて該メディアファイルの一部をキャッシュするキャッシュ手段を含む、請求項30に記載のシステム。
【請求項33】
前記低電力モードにおいて前記電子デバイスを動作する手段と、
アプリケーションと、プログラムデータと、少なくとも1つのオペレーティングシステムと、別の情報とを格納する手段と、
データを提示する手段と、
該電子デバイスの外部のデバイスと通信する手段と、
高電力処理および低電力処理用の手段と、
ユーザー入力を提供する手段と
をさらに備える、請求項30に記載のシステム。
【請求項34】
低電力モードの間に少なくとも1つのアプリケーションを動作し得る装置であって、該装置は、
メディアプレーヤアプリケーションと、
該メディアプレーヤアプリケーションによってアクセス可能であり、複数のメディアファイルを格納し得る永続性ストレージ位置と、
揮発性ストレージ位置であって、該低電力モードの間において、該メディアプレーヤアプリケーションが、第1のメディアファイルの再生を制御することが可能であり、該第1のメディアファイルの再生の間において、別のさらなるメディアファイルの少なくとも一部を該永続性ストレージ位置から読み出し、該読み出したさらなるメディアファイルを該揮発性ストレージに格納することが可能である、揮発性ストレージ位置と
を備える、装置。
【請求項35】
前記さらなるメディアファイルの一部が、前記第1のメディアファイルの再生の完了の後において、前記永続性ストレージ位置からではなく前記揮発性ストレージ位置から読み出される、請求項34に記載の装置。
【請求項36】
ロードしたメディアファイルの一部を再生するように、バックグランド処理として前記メディアプレーヤアプリケーションの制御下において動作する別のメディアアプリケーションをさらに備える、請求項34に記載の装置。
【請求項37】
前記メディアプレーヤアプリケーションが、最大電力モードの間において実質的に非アクティブであるが動作しているオーディオプレーヤアプリケーションを含む、請求項34に記載の装置。
【請求項38】
前記オーディオプレーヤアプリケーションがMP3プレーヤアプリケーションを含む、請求項37に記載の装置。
【請求項39】
前記低電力モードの間に前記メディアプレーヤアプリケーションをアクティブ化し、該低電力モードの間に処理の非アクティブ化と一時停止との一方または両方を制御する低電力モードサービスをさらに備える、請求項34に記載の装置。
【請求項40】
前記低電力モードサービスが、特定のタスクに対して前記メディアプレーヤアプリケーションによって要素を使用した後において、前記低電力モードの間に該要素の非アクティブ化を選択的に命令し得る、請求項39に記載の装置。
【請求項41】
前記メディアファイルに関連したデータを提示し、ユーザーが入力したコマンドを前記メディアプレーヤアプリケーションに提供する低電力ディスプレイモジュールをさらに備える、請求項34に記載の装置。
【請求項42】
前記メディアプレーヤに、前記メディアファイルの一部の再生と関連して別の構成要素と通信することを可能にする複数のアプリケーションプログラムインタフェースをさらに備える、請求項34に記載の装置。
【請求項43】
前記揮発性ストレージ位置がキャッシュを含む、請求項34に記載の装置。
【請求項44】
前記メディアプレーヤアプリケーションにメディアファイルのプレイリストを提供する要素であって、該メディアプレーヤアプリケーションは、該プレイリストを用いて、特定のメディアファイル部分の再生の間において該メディアファイルの読み出しおよびロードする部分を決定することが可能である、要素をさらに備える、請求項34に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2007−506223(P2007−506223A)
【公表日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−527050(P2006−527050)
【出願日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【国際出願番号】PCT/US2004/030464
【国際公開番号】WO2005/029301
【国際公開日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(506090565)バルカン ポータルズ インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】