説明

電子マネー一括管理システム

【課題】携帯端末に対応していない電子マネーICカードをさまざまな携帯端末挿入可能なICカードに情報をコピーして利用できるようにし、また登録されている電子マネー情報を一つのアプリケーションで一括しての管理を可能とする。
【解決手段】電子マネー一括管理アプリケーションをインストールし、挿脱可能なICチップを挿入した携帯端末に、電子マネーICカードのカード情報をコピーさせ、携帯端末でも電子マネー決済を可能とし、さらにICチップを別の携帯端末に差し替えることで容易に情報を引きついて利用可能とし、ICチップに保有する電子マネー情報を一覧形式で表示して残高・履歴照会や電子マネーチャージを一つのアプリケーションで一括して管理可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子マネーICカードのカード情報を携帯端末にコピーし当該携帯端末を用いて電子マネーICカードと同様に電子マネー決済可能とすることに加え、当該携帯端末の交換時にも容易に移行可能とし、さらに一つの携帯端末にコピーされた複数のカード情報を、統一した表示及び操作で一括管理できるようにする電子マネー一括管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
IC技術の発達に伴い、電子マネーICカードによって手軽に電子マネー決済を行うことができるようになってきている。しかし、さまざまな規格の電子マネーICカードが乱立しており、規格の異なる電子マネー決済を行うことはできない。
【0003】
最近、携帯電話に電子マネーアプリケーションを導入すると共に携帯電話に内蔵された非接触型ICを用いることにより、異なる規格の電子マネー決済を携帯電話一つで行うことが可能となった。この結果、複数の電子マネーICカードを所有する必要がなくなり、利便性が向上している。
【0004】
図1は、電子マネーICカードの内蔵ICチップに記憶された電子マネーICカード情報(以下、単に「カード情報」と称する)を、携帯電話の内蔵記憶装置にコピーし、携帯電話を用いて電子マネー決済を行うシステムの概略的なブロック構成図である。当該システムには、携帯電話に未だ情報が登録されていない(コピーされていない)電子マネーICカード11と、携帯電話10とが含まれる。携帯電話10は、電子マネーICカード11を読み取るために携帯電話に内蔵された非接触型IC形態のリーダーライター(以下、「内蔵リーダーライター」と称する)12と、読み取ったカード情報を記録するために携帯電話に内蔵された記憶装置であるEEPROM13と、操作を行う操作部14と、処理の推移を表示する表示部15と、全体を制御するCPU16とを備えている。
【0005】
このようなシステムにおいては、電子マネーICカード11を携帯電話10の内蔵リーダーライター12にかざして読み取ったカード情報を、CPU16が処理して携帯電話10内のEEPROM13に記録する(カード情報のコピー)。この操作により、電子マネーアプリケーション未対応の携帯電話10においても、電子マネーICカード11と同等に電子マネー決済が利用可能となる。特許文献1は、このような携帯電話を開示している。特許文献1の携帯電話は、図1における内蔵リーダーライター12を介して外部のリーダーライター(図示せず)と接続して、EEPROM13に記録されたカード情報を送受信することにより、あたかも、携帯電話10が電子マネーICカード11であるかのように動作する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−18270号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、近年ではさまざまな規格の電子マネーICカードが乱立している上、利用地域や店舗毎に電子マネーICカードを設けているため、電子マネーが普及すればするほど電子マネーICカードの枚数が増加してしまう。
【0008】
このため、小額決済時において現金を扱う手間が省けるという効率化の裏で、電子マネーICカードを多数持ち歩かなければならず、また、それらの中から対象のカードを見つけ出して利用するという手間がかかってしまう。
【0009】
また、特許文献1のようにカード情報を携帯電話にコピーできる場合にも、電子マネーチャージは、従来どおり、対応する外部リーダーライターを利用して電子マネーICカードに対して行わなければならない上、チャージ後に電子マネーICカードと携帯電話との間で電子マネーチャージ情報の同期処理も必要とする。
さらに、複数の電子マネーICカードの各々のカード情報を携帯電話にコピーした場合には、上記のチャージ作業を電子マネーICカード毎に行わなければならない。また、残高・利用履歴管理が、電子マネーICカード毎に発生することによる操作の煩わしさがある。
これらのことは効率性に欠けるため、電子マネーチャージや残高・利用履歴の管理を怠ることにつながり、いざ携帯電話で電子マネー決済をする際に残高不足によってエラーとなり、結局現金を使用しなければならなくなるという、非効率な事象が頻発している。総合的に見ると、いまひとつ利便性に欠けるため、電子マネー普及の妨げとなっている。さらに、電子マネーICカードから読み取ったカード情報は、携帯電話の内蔵記憶装置にコピーされるため、携帯電話を交換する際の移行や同期処理においても不便さがある。
【0010】
本発明の目的は、携帯電話等の携帯端末に対して未対応の電子マネーICカードに記録されたカード情報を、さまざまな携帯端末に挿入及び脱離(以下「挿脱」と称する)可能であるICチップにコピーして利用可能とすると共に、一つの携帯端末にコピーされている複数のカード情報を、当該携帯端末に導入された一つのアプリケーションで一括して管理することができる電子マネー一括管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の電子マネー一括管理システムは、非接触型ICを搭載した電子マネーICカードのカード情報を、記憶領域を有し携帯端末に対して挿脱可能なICチップにコピーすることにより、電子マネーICカードと携帯端末の双方で電子マネー決済を可能とするシステムである。また、その挿脱可能なICチップを別の携帯端末に挿入することにより、その別の携帯端末がカード情報を引継ぐことで電子マネー決済を可能とする。また、携帯端末に挿入されたICチップに登録されている複数のカード情報に関連する残高照会、履歴照会及び電子マネーチャージを一つのアプリケーションで行う一括管理手段とを設けたものである。本システムの構成は、次の通りである。
【0012】
本発明の電子マネー一括管理システムは、カード情報を記録した電子マネーICカードとの間で情報を連携可能とすると共に、該電子マネーICカードに対応する電子マネー決済用の外部リーダーライターとの間で情報を連携可能とするために、内蔵リーダーライターを備えた携帯端末を有する電子マネー一括管理システムにおいて、前記携帯端末の具備する装着部に対して挿脱可能でありかつ記憶領域を有するICチップを有し、前記ICチップを挿入した前記携帯端末が、前記内蔵リーダーライターを用いて前記電子マネーICカードから前記カード情報を読み取る手段と、読み取った前記カード情報を前記ICチップにコピーする手段と、前記ICチップにコピーされたカード情報を用いて前記外部リーダーライターと情報を連携することにより電子マネー決済を行う手段とを備えたことを特徴とする。
さらに、前記ICチップを挿脱可能な装着部を具備する別の携帯端末を有し、該ICチップを挿入した該別の携帯端末は、該ICチップにコピーされたカード情報を用いて前記外部リーダーライターと情報を連携することにより電子マネー決済を行う手段を備えることが好適である。
またさらに、前記携帯端末が、前記ICチップにコピーされたカード情報を管理するためのアプリケーションをインストールする手段を備え、かつ、前記カード情報は、電子マネーの種類を特定する電子マネー情報と、顧客を特定する顧客情報と、残高情報とを含み、前記アプリケーションをインストールすると共に前記ICチップを挿入した前記携帯端末は、新たなカード情報を該ICチップにコピーする際に、該カード情報に固有の電子マネー名称を付与して該カード情報に対応付けて該ICチップに記録する手段と、前記ICチップに記録されているカード情報に付与された電子マネー名称の一覧を、前記携帯端末の表示部に表示していずれかの電子マネー名称の選択を入力させる手段と、入力された前記電子マネー名称をキーとして、前記ICチップに記録された対応するカード情報を特定し、その残高情報を取得する手段と、入力された前記電子マネー名称をキーとして、前記ICチップに記録された対応するカード情報を特定し、その電子マネー情報及び顧客情報を取得し、取得した電子マネー情報及び顧客情報に基づいて前記外部リーダーライターと情報を連携することにより履歴情報を取得する手段と、入力された前記電子マネー名称をキーとして、前記ICチップに記録された対応するカード情報を特定し、その電子マネー情報及び顧客情報を取得し、取得した電子マネー情報及び顧客情報に基づいて外部リーダーライターと情報を連携することにより電子マネーチャージを行う手段とを備えることが好適である。
【発明の効果】
【0013】
以上のように本発明の電子マネー一括管理システムによれば、次のような効果がある。
携帯端末に対応していない電子マネーICカードのカード情報を、さまざまな携帯端末に挿脱可能なICチップにコピーすることにより、さまざまな携帯端末を用いて電子マネーICカードと同じカード決済機能を利用できるようにする。また、ICチップに登録されている複数の電子マネーICカードのカード情報を、一つのアプリケーションで一括して管理することができ、各カード情報に関連する残高照会、履歴照会及び電子マネーチャージを効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】背景技術を示すシステムのブロック構成図である。
【図2】本発明の実施形態の一例を示すシステム構成図である。
【図3】携帯端末内部のブロック構成図である。
【図4】ICチップ内の電子マネーICカード情報データ構成図である。
【図5】携帯端末におけるカード情報コピー処理の概要を示すフローチャートである。
【図6】携帯端末におけるICチップ認証処理の概要を示すフローチャートである。
【図7】携帯端末におけるカード情報コピー処理の概要を示すフローチャートである。
【図8】携帯端末における残高・履歴照会・電子マネーチャージの概要を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図2は本発明の一実施例を示すシステム構成図である。この実施例の電子マネー一括管理システムは、ICチップ21、ダウンロードサーバー22、携帯端末23、電子マネーICカード24、外部リーダーライター25、電子マネーサーバー26、別の携帯端末27を有する構成である。
【0016】
電子マネーICカード24は、通常、対応する外部リーダーライター25と情報を連携することで、電子マネー決済を行うことができる。電子マネーICカード24は、内蔵する記録領域にカード情報を記録している。外部リーダーライター25は、ネットワークを介して複数の電子マネーサーバー26と接続され、情報を連携する。各電子マネーサーバー26は、電子マネーICカードの種類毎に存在し、電子マネーICカード24による電子マネー決済に関する種々の情報を管理する。
【0017】
ICチップ21は、記憶領域を有しており、携帯端末23、27に挿脱可能である。ICチップ21が携帯端末に挿入されると、ICチップ21の記憶領域が、携帯端末23、27の記憶領域として利用可能となる。
【0018】
携帯端末23は、例えば携帯電話であり、非接触型IC形態である内蔵リーダーライターを備え(後述する図3参照)、この内蔵リーダーライターを介して電子マネーICカード24からカード情報を読み取り可能である。また、携帯端末23の内蔵リーダーライターは、電子マネーICカード24に対応した外部リーダーライター25と情報を連携することができる。携帯端末23には、所定のアプリケーションがダウンロードサーバー22よりダウンロードされインストールされている。所定のアプリケーションは、電子マネーICカード24からのカード情報のコピー処理や、携帯端末に登録されている複数のカード情報の一括管理をサポートするものである。
【0019】
電子マネーICカード24のカード情報をICチップ21にコピーしようとする場合、先ず、ICチップ21を準備し、携帯端末23に差し込む。これにより、携帯端末23を介して、電子マネーICカード24のカード情報をICチップ21にコピー可能となる。電子マネーICカード24を、携帯端末23の内蔵リーダーライターにかざして、携帯端末23に電子マネーICカード24のカード情報を読み取らせる。携帯端末23は、読み取ったカード情報を、挿入されているICチップ21にコピーする。同様の手順を用いて、複数の電子マネーICカード24のカード情報を一つのICチップ21にコピーすることができる。
【0020】
この携帯端末23によりカード決済を行う場合は、携帯端末23の内蔵リーダーライターを、外部リーダーライター25にかざし、外部リーダーライター25に接続されている各電子マネーサーバー26と情報を連携することで、電子マネーICカードと同様に電子マネー決済を行うことができる。
【0021】
ユーザが携帯端末23と同時に所有している別の携帯端末27、もしくは携帯端末23の切替後の別の携帯端末27がある場合は、挿脱可能なICチップ21を携帯端末23から携帯端末27へ差し替え、さらにダウンロードサーバー22より上記所定のアプリケーションを携帯端末27にダウンロードしインストールすることで、引き続き携帯端末27を、電子マネーICカードと同様に電子マネー決済に利用可能となる。
【0022】
このように、携帯端末27は、携帯端末23よりICチップ21を差し替えてアプリケーションをダウンロードするだけで、他の移行作業を一切行うことなく電子マネーICカードを利用できることとなる。例えば携帯電話の機種変更を行う場合、これまでは機種変更手続き前に、移行前手続きを行い、機種変更手続き後の新しい携帯電話にて移行前情報の取得・登録を行う操作を電子マネー毎にしなければならなかったが、本発明によってICチップ21の差し替えと電子マネー一括管理アプリケーションのダウンロード及びインストールとを行うだけで移行が可能となる。
【0023】
さらに、ダウンロードサーバー22よりダウンロードするアプリケーションは、ICチップ21にコピーされている複数のカード情報を、一括して管理できる機能を備えている。従って、携帯端末23にインストールされた一つのアプリケーションを起動するだけで、照会したい電子マネーICカードの残高・履歴情報を、対応する各電子マネーサーバーから取得して携帯端末23の画面に表示してくれる。さらに、このアプリケーションは、携帯端末23に対して電子マネーチャージを直接行う機能も有する。
【0024】
図3は、図2に示した携帯端末内部と、コピー元となる電子マネーICカードを示したブロック構成図である。コピー元となる電子マネーICカード31は、図2の符号24の一つに相当する。携帯端末30(図2の符号23、27に相当)は、内蔵リーダーライター32と、挿脱可能なICチップ33(図2の符号21に相当)と、携帯端末の保有する制御プログラムや各種のデータを記憶するための記憶装置であるマスクROM34と、アプリケーションをGUI操作する操作部35と、画面などを表示する表示部36と、本人確認の際に携帯端末に指紋を読み取る指紋認証装置37と、全体を制御するCPU38とで構成される。図示しないが、携帯端末30は、ICチップ33を挿脱可能とする装着部を備えている。
【0025】
挿脱可能なICチップ33は、不揮発性の記憶装置EEPROM331と、書き換え不能のROM332とを保有する。不揮発性の記憶装置EEPROM331の内部には、電子マネーICカード31からコピーしたカード情報3311が記憶されている。書き換え不能のROM332の内部には、本人確認用の指紋情報3321が記憶されている。
【0026】
この携帯端末30は、挿脱可能なICチップ33が装着部に挿入され、電子マネー一括管理アプリケーションがマスクROM34にインストールされていることで、電子マネーICカード31のカード情報をコピーすることができる。この準備を行ったうえで、コピー元となる電子マネーICカード31を、内蔵リーダーライター32にかざすと、表示部36に読み取り確認画面が表示される。続いて、操作部35から確認コマンドを入力することで、読み取ったカード情報を、ICチップ33のEEPROM331にカード情報3311として記憶させる。これにより、この携帯端末30を、あたかも電子マネーICカード31であるかのように利用することができるようになる。
【0027】
また、別の携帯端末を使用する際もしくは別の携帯端末に交換した際には、挿脱可能なICチップを元の携帯端末から抜き取ってその別の携帯端末に挿入し、さらに新たに電子マネー一括管理アプリケーションを、その別の携帯端末のマスクROM34にインストールすることで、元の携帯端末の読み取ったカード情報をそのまま引き継いで利用することができる。
【0028】
尚、携帯端末そのものを紛失した際には、現在の技術では携帯端末そのものを利用できないようにロックをかけることができるため、紛失してからロックをかけるまでのタイムラグを除いて他人の悪用を防ぐことができるが、その携帯端末に挿入されているICチップ33を抜き取られたり、ICチップ33そのものを紛失してしまったりした場合、記録されているカード情報を悪用されてしまう恐れがある。そこで、ICチップ33のROM332に、ICチップ33の購入・入手時に専用端末でのみ登録可能とした指紋情報3321を記録させておく。そして、一度携帯端末への挿脱を行った場合は、次回から必ず携帯端末の指紋認証装置37に指紋を読み取らせ、ROM332に登録されている指紋情報と一致しているか否かを確認する。一致が確認できなければ、カード情報3311を利用できないものとすることで、セキュリティを確保する。
【0029】
図4は、図3のICチップ33のEEPROM331内に記録されたカード情報のデータ構成図である。図に示すように、電子マネー情報41、電子マネー名称42、顧客情報43、残高情報44から構成される。このうち、電子マネー情報41によって電子マネーの種類を特定し、電子マネーの種類毎に採番されている顧客情報43によって、各電子マネーサーバーと連携する際に顧客を特定するようになっている。
【0030】
ここで例えば、XYZ社の電子マネー決済を行う場合、店舗等に設置されている外部リーダーライター(図2の符号25)に対して、本発明のICチップが挿入された携帯端末をかざすと、携帯端末は、外部リーダーライターより読み取った電子マネー情報に基づいてICチップ内を検索し、どの電子マネー情報41の決済を行うのかを特定する。次に残高情報44を確認し、決済が可能であれば電子マネー決済を行う。その際に、ICチップに登録されている顧客情報43を電子マネーサーバー(図2の符号26)と連携することで、電子マネーサーバーはどの顧客がいくらの決済を行ったかを特定してサーバー内の情報を更新する。
このように、携帯端末に挿脱可能なICチップ内に情報を保有することで、ICチップを他の携帯端末に差し替えても、引き続き情報を継続して電子マネー決済を利用することができる。
【0031】
図5は、携帯端末が電子マネーICカードからカード情報をコピーする処理の概要を示すフローチャートである。必要に応じて図2も参照する。
まず、ICチップ21を購入・入手した際、本人以外がICチップ21を不正に入手・使用できないようにするため、ICチップ21に所有者の指紋情報を登録する(S501)。指紋情報の登録は、特定の登録機器を用いてのみ可能とし、その登録機器はICチップ21を入手できる特定の場所にのみ設置すること、また指紋情報はICチップ21内のROM332に一度登録したら書き換え不能とすることで、セキュリティを実現する。指紋情報の登録は初回のみ行う。
【0032】
次にICチップ21が挿入されているかを確認し(S502)、ICチップが挿入されていない場合は、携帯端末にICチップ21を挿入する(S503)。ここで、ICチップ21を本人以外が不正使用できないよう、最初にICチップ21に登録した指紋情報との指紋認証を行うことで使用することができるようにICチップ21の認証処理を行う(S504)。
【0033】
ICチップ21が正しく挿入されたことを確認した後、カード情報をコピーしたり残高・履歴照会を一括して行えたりするようにする電子マネー一括管理アプリケーションがインストールされているかを確認し(S505)、未インストールであればダウンロードサーバー22よりダウンロードしてインストールを行う(S505)。
【0034】
電子マネー一括管理アプリケーションが正しくインストールされていることを確認し、携帯端末にコピーしたいカード情報のコピー処理を行う(S506)
以上の操作を行うことにより、携帯端末にカード情報がコピーされ、携帯端末での電子マネー決済や残高・履歴照会・電子マネーチャージを行うことができる。
【0035】
図6はICチップ認証処理の概要を示すフローチャートである。まず、携帯端末に搭載されている指紋認証装置で指紋を読み取る(S601)。指紋の読み取りが正しく行えたかを確認し(S602)、読み取りが成功していればICチップ21内に登録されている指紋情報と突合を行う(S603)。突合した結果、双方の指紋情報が一致すれば、ICチップ21の認証成功とし、挿入されたICチップ21を使用することができるようになる。
【0036】
尚、読み取りに失敗(S602)した場合や、ICチップ21内に登録されている指紋情報と不一致になった場合(S604)は、エラー処理(S605)を行い、認証失敗としてICチップ21が使用できない。
【0037】
図7は、図5のステップ506におけるカード情報コピー処理の詳細を示すフローチャートである。必要に応じて図4を参照する。
まず、インストールされた電子マネー一括管理アプリケーションの機能により携帯端末にかざした電子マネーICカードの検出処理(S701)を行い、正しく検出ができたかを確認する(S702)。電子マネーICカードの検出に成功した場合、電子マネーICカードより取得したキー情報などの正当性判定情報をもとに、正当なICカードかどうかや携帯端末に登録可能な電子マネーICカードかどうか等をチェックする(S704)。このチェックの結果が問題なければ、電子マネーICカードからカード情報のデータを受信する(S706)。ここで、受信されたカード情報のデータは分かり易い名称ではなく、英数字の羅列によって情報を保有していることがほとんどであり、電子マネー一括管理アプリケーションによって登録されているカード情報を一覧表示する際に出力するものとしては不適切である。従って、ここで受信したカード情報に対して任意の固有の名称を付与するために、電子マネー名称42をユーザに入力させる(S707)。最後に、付与された電子マネー名称42と対応付けてカード情報をICチップ21に記録することで、カード情報のコピー処理が完了する。
【0038】
尚、ICカードの検出に失敗した場合(S702)や、ICカードと携帯端末の正当性チェックにNGとなった場合(S704)は、エラー処理(S705)を行い、ICカード情報のコピー処理を失敗とする。
【0039】
図8は、携帯端末を利用した残高・履歴照会・電子マネーチャージの概要を示すフローチャートである。必要に応じて図4を参照する。
まず、電子マネー一括管理アプリケーションを起動する(S801)。すると、携帯端末に挿入されたICチップ21内の全てのカード情報を読み込み、一覧表示で各々の電子マネー名称42を表示する。次に、残高・履歴照会や電子マネーチャージを所望するいずれかの電子マネー名称42を選択する入力を行わせる(S802)。そして選択した電子マネー名称42に対して行いたい操作を「残高照会」、「履歴照会」、「電子マネーチャージ」より選択する(S803)。このように一つのアプリケーションで携帯端末に登録されている電子マネーICカード情報を一括管理できるようにすることで、これまで操作が煩わしかった残高・履歴照会や電子マネーチャージを容易に行うことができるようになる。
【0040】
選択した操作が「残高照会」の場合は、S802において選択した電子マネー名称42と対になるカード情報41をキーとして、ICチップ21内に保有しているEEPROM31内のカード情報3311より残高情報44を取得し(S804)、残高を表示する(S805)。
【0041】
選択した操作が「履歴照会」の場合は、S802において選択した電子マネー名称42と対になる電子マネー情報41をキーとして、外部リーダーライターを介し対応する電子マネーサーバーへ接続し、さらに電子マネー名称42と対になる電子マネー情報41をキーとしてICチップ21内に保有しているEEPROM31内の顧客情報43を取得し、取得した顧客情報43に基づいて電子マネーサーバーの対応する履歴情報を取得し(S806)、履歴を表示する(S807)。
【0042】
選択した操作が「電子マネーチャージ」の場合は、S802において選択した電子マネー名称42と対になる電子マネー情報41をキーとして、外部リーダーライターを介し対応する電子マネーサーバーへ接続し、さらに電子マネー名称42と対になる電子マネー情報41をキーとしてICチップ21内に保有しているEEPROM31内の顧客情報43を取得し、取得した顧客情報43に基づいて電子マネーサーバーとの間で電子マネーチャージ処理(S808)を連携して行う。
【符号の説明】
【0043】
21 ICチップ
22 ダウンロードサーバー
23 携帯端末
24 電子マネーICカード
25 外部リーダーライター
26 電子マネーサーバー
27 別の携帯端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カード情報を記録した電子マネーICカードとの間で情報を連携可能とすると共に、該電子マネーICカードに対応する電子マネー決済用の外部リーダーライターとの間で情報を連携可能とするために、内蔵リーダーライターを備えた携帯端末を有する電子マネー一括管理システムにおいて、
前記携帯端末の具備する装着部に対して挿脱可能でありかつ記憶領域を有するICチップを有し、
前記ICチップを挿入した前記携帯端末が、前記内蔵リーダーライターを用いて前記電子マネーICカードから前記カード情報を読み取る手段と、読み取った前記カード情報を前記ICチップにコピーする手段と、前記ICチップにコピーされたカード情報を用いて前記外部リーダーライターと情報を連携することにより電子マネー決済を行う手段とを備えたことを特徴とする電子マネー一括管理システム。
【請求項2】
前記ICチップを挿脱可能な装着部を具備する別の携帯端末をさらに有し、該ICチップを挿入した該別の携帯端末は、該ICチップにコピーされたカード情報を用いて前記外部リーダーライターと情報を連携することにより電子マネー決済を行う手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の電子マネー一括管理システム。
【請求項3】
前記携帯端末が、前記ICチップにコピーされたカード情報を管理するためのアプリケーションをインストールする手段を備え、かつ、
前記カード情報は、電子マネーの種類を特定する電子マネー情報と、顧客を特定する顧客情報と、残高情報とを含み、
前記アプリケーションをインストールすると共に前記ICチップを挿入した前記携帯端末は、新たなカード情報を該ICチップにコピーする際に、該カード情報に固有の電子マネー名称を付与して該カード情報に対応付けて該ICチップに記録する手段と、
前記ICチップに記録されているカード情報に付与された電子マネー名称の一覧を、前記携帯端末の表示部に表示していずれかの電子マネー名称の選択を入力させる手段と、
入力された前記電子マネー名称をキーとして、前記ICチップに記録された対応するカード情報を特定し、その残高情報を取得する手段と、
入力された前記電子マネー名称をキーとして、前記ICチップに記録された対応するカード情報を特定し、その電子マネー情報及び顧客情報を取得し、取得した電子マネー情報及び顧客情報に基づいて前記外部リーダーライターと情報を連携することにより履歴情報を取得する手段と、
入力された前記電子マネー名称をキーとして、前記ICチップに記録された対応するカード情報を特定し、その電子マネー情報及び顧客情報を取得し、取得した電子マネー情報及び顧客情報に基づいて前記外部リーダーライターと情報を連携することにより電子マネーチャージを行う手段とを備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子マネー一括管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−211337(P2010−211337A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−54364(P2009−54364)
【出願日】平成21年3月9日(2009.3.9)
【出願人】(000233055)日立ソフトウエアエンジニアリング株式会社 (1,610)
【Fターム(参考)】