説明

電子内視鏡用波形調整装置

【課題】画像信号のスルーレートを改善すると共に、省電力及び低発熱な電子内視鏡用波形調整装置を得る。
【解決手段】遅延回路160は、リセット信号SrがLowになってから同軸ケーブル170の長さに応じた遅延時間が経過した後に、制御タイミング信号ScをHighにして、スイッチ部140をONにする。同軸ケーブル170の長さが長くなると、遅延時間を長くする。同軸ケーブル170の長さが短くなると、遅延時間を短くする。これにより、フィールドスルー期間Tfから信号期間Tvに移行するとき、エミッタ抵抗の値が小さくなって画像信号Soutのスルーレートが改善される。また、フィールドスルー期間Tfから信号期間Tvに移行するときにのみ、エミッタ抵抗を減少させるため、それ以外の期間ではエミッタ抵抗が減少せず、NPN型トランジスタ121、エミッタ抵抗、及びグラウンドに流れる電流を減らして省電力及び低発熱を実現できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像素子が出力した画像信号をバッファ部を介して画像処理部に送信する電子内視鏡用波形調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子内視鏡は、撮像素子が出力した画像信号を画像処理部が画像処理し、記憶装置に保存、あるいは画像表示装置に表示する。撮像素子は、画像処理部と長さ約1〜5mの信号線により接続される。撮像素子が出力した画像信号を、長さ約1〜5mの信号線を介して画像処理部へ安定的に送信するため、エミッタフォロワ回路から成るバッファ部を有する電子内視鏡用波形調整装置が設けられる。
【0003】
信号線の画像処理部側にはキャパシタが直列に取り付けられ、キャパシタの両端は抵抗を介して接地される。キャパシタの画像処理部側端に取り付けられる抵抗は終端抵抗であり、バッファ部側に取り付けられる抵抗は、エミッタ抵抗である。エミッタ抵抗とグラウンドとの間にはスイッチ回路が取り付けられ、撮像素子の非読み出し期間にOFFにされ、読み出し期間にONにされる。すなわち、読み出し期間にスイッチ回路がONにされて、エミッタ抵抗が接地する(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2579372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、エミッタフォロワ回路における画像信号の立ち下がりの速度は、エミッタ抵抗の値により決定されるため、従来の構成では、画像信号の立ち下がりの速度を変化させることができない。画像信号の立ち下がりの速度を速めなければ、画像信号のスルーレートが改善されない。さらに、読み出し期間にスイッチ回路をONにすると、エミッタ抵抗及びグラウンドに流れる電流が増えて、省電力及び低発熱を実現することができない。
【0006】
本発明はこれらの問題に鑑みてなされたものであり、画像信号のスルーレートを改善すると共に、省電力及び低発熱な電子内視鏡用波形調整装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願第1の発明による電子内視鏡用波形調整装置は、画像信号を出力する撮像素子と、撮像素子に接続されて画像信号を処理するバッファ部と、バッファ部に接続されて画像信号を画像処理装置に送信する吐き出し信号経路と、吐き出し信号経路とグラウンドとの間に設けられ、吐き出し信号経路とグラウンドとの接続を断続するスイッチ部と、吐き出し信号経路とグラウンドとの間であってスイッチ部と直列に設けられる電流制御部と、画像信号の立ち下がり時に吐き出し信号経路とグラウンドとをスイッチ部に接続させる遅延部とを備えることを特徴とする。
【0008】
この場合、バッファ部は、NPNトランジスタと抵抗とから構成されることが好ましい。
【0009】
本願第2の発明による電子内視鏡用波形調整装置は、画像信号を出力する撮像素子と、撮像素子に接続されて画像信号を処理するバッファ部と、バッファ部に接続されて画像信号を画像処理装置に送信する吐き出し信号経路と、吐き出し信号経路と電源との間に設けられ、吐き出し信号経路と電源との接続を断続するスイッチ部と、吐き出し信号経路と電源との間であってスイッチ部と直列に設けられる電流制御部と、画像信号の立ち上がり時に吐き出し信号経路と電源とをスイッチ部に接続させる遅延部とを備えることを特徴とする。
【0010】
この場合、バッファ部は、PNPトランジスタと抵抗とから構成されることが好ましい。
【0011】
電子内視鏡用波形調整装置はバッファ部と慚愧吐き出し信号経路とを接続するケーブルをさらに備え、遅延部は、画像信号の出力タイミングを取得して、画像信号の出力タイミングから所定期間後に吐き出し信号経路とグラウンド又は電源とをスイッチ部に接続させ、ケーブルの長さに応じて所定期間を決定することが好ましい。
【0012】
電子内視鏡用波形調整装置は、画像信号から黒データを取得するために用いる黒データサンプリング信号と、画像信号から画像データを取得するために用いる画像サンプリング信号とを出力するタイミングジェネレータをさらに備え、遅延部は、黒データサンプリング信号の立ち上がりと、画像サンプリング信号の立ち上がりとの間に、吐き出し信号経路とグラウンド又は電源とをスイッチ部に接続させてもよい。
【0013】
電流制御部は、抵抗が好適である。また、電流制御部は、定電流ダイオード、定電流ダイオードやトランジスタを用いた定電流回路であってもよい。
【0014】
吐き出し信号経路とグラウンドとの間に設けられる突入電流防止部をさらに備えてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、画像信号のスルーレートを改善すると共に、省電力及び低発熱な電子内視鏡用波形調整装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1の実施形態による電子内視鏡用波形調整装置を有する電子内視鏡装置のブロック図である。
【図2】画像信号と制御タイミング信号との関係を示したタイミングチャートである。
【図3】第2の実施形態による画像信号と制御タイミング信号との関係を示したタイミングチャートである。
【図4】第3の実施形態による電子内視鏡用波形調整装置を有する電子内視鏡装置のブロック図である。
【図5】画像信号と制御タイミング信号との関係を示したタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明における電子内視鏡用波形調整装置について添付図面を参照して説明する。
【0018】
図1及び2を用いて第1の実施形態による第1の電子内視鏡用波形調整装置100の構成について説明する。
【0019】
第1の電子内視鏡用波形調整装置100は、画像信号を出力する撮像素子110と、撮像素子110に接続される第1のバッファ部120と、第1のバッファ部120に同軸ケーブル170を介して接続される第1の吐き出し信号経路130と、第1の吐き出し信号経路130とグラウンドとの間に設けられるスイッチ部140及び第2のエミッタ抵抗150と、スイッチ部140を制御する遅延回路160とから主に構成される。
【0020】
撮像素子110及び第1のバッファ部120は、内視鏡スコープの遠位端部に格納され、第1の吐き出し信号経路130とスイッチ部140と遅延回路160は内視鏡プロセッサに格納される。内視鏡プロセッサは、画像信号をA/D変換するA/D変換器181と、撮像素子110、A/D変換器181、及びスイッチ部140が動作するタイミングを制御するタイミングジェネレータ182とをさらに有する。A/D変換器181は、A/D変換した画像信号を画像処理回路に送信する。
【0021】
撮像素子110は、被写体を撮像して画像信号を出力する。
【0022】
第1のバッファ部120は、NPN型トランジスタ121と第1のバッファ抵抗122とから成る。NPN型トランジスタ121のコレクタは電源123に接続され、ベースは撮像素子110に接続され、エミッタは第1のバッファ抵抗122に接続される。第1のバッファ部120は画像信号を増幅して、後段に接続される回路とのインピーダンスを調整する。
【0023】
第1のバッファ抵抗122は同軸ケーブル170に画像信号を出力する。同軸ケーブル170は内部導線171と外部導線172を備え、内部導線171は画像信号を伝送し、外部導線172は接地される。
【0024】
第1の吐き出し信号経路130は、同軸ケーブル170とA/D変換器181とを接続する。同軸ケーブル170により伝送された画像信号は、第1の吐き出し信号経路130に入力される。
【0025】
第1の吐き出し信号経路130は、キャパシタ131と、終端抵抗132と、第1のエミッタ抵抗133とを有する。キャパシタ131は、同軸ケーブル170とA/D変換器181とを繋ぐ第1の信号線134に直列となるように設けられる。終端抵抗132は、第1の信号線134のうち、キャパシタ131とA/D変換器181とを繋ぐ信号線とグラウンドとの間に設けられる。第1のエミッタ抵抗133は、第1の信号線134のうち、キャパシタ131と同軸ケーブル170とを繋ぐ信号線とグラウンドとの間に設けられる。
【0026】
スイッチ部140と第2のエミッタ抵抗150は、第1の信号線134のうち、キャパシタ131と同軸ケーブル170とを繋ぐ信号線とグラウンドとの間であって、第1のエミッタ抵抗133よりも同軸ケーブル170側に設けられる。第2のエミッタ抵抗150は、電流制御部である。スイッチ部140と第2のエミッタ抵抗150は直列に設けられる。スイッチ部140とグラウンドとの間には、突入電流防止部であるビーズインダクタ141が設けられ、突入電流を防止する。
【0027】
第1のエミッタ抵抗133と第2のエミッタ抵抗150とが第1のバッファ部120のいわゆるエミッタ抵抗を形成する。すなわち、第1のバッファ部120、第1のエミッタ抵抗133、及び第2のエミッタ抵抗150によりエミッタフォロワ回路が形成される。
【0028】
タイミングジェネレータ182は、A/D変換器181にサンプリングタイミング信号を送信するとともに、遅延回路160にスイッチ部140の制御タイミング信号を送信する。A/D変換器181は、サンプリングタイミング信号に応じて、画像信号をデジタル信号に変換する。遅延回路160は、制御タイミング信号Scに応じて、スイッチ部140をオン、オフさせる。
【0029】
次に、図2を用いて、遅延回路160がスイッチ部140をオンオフさせるタイミングについて説明する。図2は、撮像素子110が出力する画像信号Soutと制御タイミング信号Scとの関係を示したタイミングチャートである。
【0030】
画像信号Soutは、リセット期間Trと、リセット期間Trに応じたリセットノイズを出力するフィールドスルー期間Tfと、映像信号を出力する信号期間Tvとから成る。
【0031】
タイミングジェネレータ182は、水平出力信号Sh及びリセット信号Srを撮像素子110に送信する。水平出力信号Sh及びリセット信号Srがサンプリングタイミング信号を成す。撮像素子110は、これらの信号に応じて画像信号Soutを出力する。
【0032】
リセット期間Trは、リセット信号SrがHighになっている期間に設けられ、フィールドスルー期間Tfは、リセット信号SrがLowになってから水平出力信号ShがLowになるまでの期間に設けられる。そして、信号期間Tvは、水平出力信号ShがLowになってから、再度、水平出力信号Sh及びリセット信号SrがHighになるまでの期間に設けられる。
【0033】
リセット信号SrがHighになってから画像信号Soutがリセット期間Trに立ち上がるまで、リセット信号SrがLowになってから画像信号Soutがフィールドスルー期間Tfに下がるまで、水平出力信号ShがLowになってから画像信号Soutが信号期間Tvに下がるまでには、エミッタ抵抗や同軸ケーブル170の長さなどの要因により、時間差が生じる。
【0034】
フィールドスルー期間Tfから信号期間Tvに移行するとき、撮像素子110が出力する画像信号Soutの電流値は、エミッタ抵抗の値に依存する。エミッタ抵抗が大きいとき、エミッタ抵抗を流れる電流値が小さくなる。エミッタ抵抗を流れる電流値が小さくなると、フィールドスルー期間Tfから信号期間Tvに移行するに必要な時間が長くなる。すなわち、エミッタ抵抗を増やすと、画像信号Soutの立ち下がり速度が遅くなり、フィールドスルー期間Tfから信号期間Tvに移行する時間差が大きくなって、画像信号Soutのスルーレートが低下する。一方、スルーレートを改善するためにエミッタ抵抗の値を小さくすると、エミッタ抵抗及びグラウンドに流れる電流が増えて、NPN型トランジスタ121の消費電力及び発熱が大きくなる。本実施形態では、これらを防止するために、フィールドスルー期間Tfから信号期間Tvに移行するとき、エミッタ抵抗の値を小さくして画像信号Soutのスルーレートを改善し、それ以外の期間ではエミッタ抵抗の値を大きくしてNPN型トランジスタ121、エミッタ抵抗、及びグラウンドに流れる電流を減らして省電力及び低発熱を実現する。
【0035】
遅延回路160は、リセット信号SrがLowになってから同軸ケーブル170の長さに応じた遅延時間が経過した後に、制御タイミング信号ScをHighにして、スイッチ部140をONにする。つまり、同軸ケーブル170の長さが長くなると、ケーブルの長さから求められるケーブル遅延時間Tの影響を考慮して遅延時間を長くする。反対に、同軸ケーブル170の長さが短くなると遅延時間を短くする。ここで、ケーブル遅延時間Tは、以下の式により求められる。
T=τL
τ=√μ0μrε0εr
L:ケーブル長
τ:ケーブル1mあたりの遅延時間[s/m]
μ0:真空の透磁率
μr:ケーブル導体の透磁率
ε0:真空の誘電率
εr:ケーブル誘電体の誘電率
【0036】
スイッチ部140をONにするタイミングは、遅延時間を考慮することにより、期間T2が開始するときに該当する。そのため、期間T2が開始するとき、第1の吐き出し信号経路130に第2のエミッタ抵抗150が接続され、エミッタ抵抗が減らされる。これにより、フィールドスルー期間Tfから信号期間Tvに移行するとき、エミッタ抵抗の値が小さくなって画像信号Soutのスルーレートが改善される。また、フィールドスルー期間Tfから信号期間Tvに移行するときにのみ、エミッタ抵抗を減少させるため、それ以外の期間ではエミッタ抵抗が減少せず、NPN型トランジスタ121、エミッタ抵抗、及びグラウンドに流れる電流を減らして省電力及び低発熱を実現できる。
【0037】
次に、第2の実施形態による第2の電子内視鏡用波形調整装置について図3を用いて説明する。第1の実施形態と同様の構成については同じ符号を付して説明を省略する。
【0038】
第2の電子内視鏡用波形調整装置は、遅延回路160がスイッチ部140をオンオフさせるタイミングが第1の電子内視鏡用波形調整装置100と異なる。以下、図3を用いて、遅延回路160がスイッチ部140をオンオフさせるタイミングについて説明する。
【0039】
本実施形態では、黒データサンプリング信号Sb及び画像サンプリング信号Svを用いて制御タイミング信号Scを生成する。
【0040】
タイミングジェネレータ182は、黒データサンプリング信号Sb及び画像サンプリング信号SvをA/D変換器181に送信する。A/D変換器181は、これらの信号に応じて、画像信号Soutから黒データ及び画像データを取得する。画像データは、撮像素子110を構成する画素の画像レベルを示すデータである。黒データは、撮像素子110を構成する画素の黒レベルを示すデータであり、相関二重サンプリングにおいて用いられる。図示しないDSPが、黒レベルと画像レベルとの差分に基づいてデジタル画像信号を出力する。
【0041】
遅延回路160は、黒データサンプリング信号SbがHighになった瞬間に制御タイミング信号ScをHighにし、画像サンプリング信号SvがHighになった瞬間に制御タイミング信号ScをLowにする。黒データサンプリング信号SbがHighとなる瞬間は、黒レベルを取得する瞬間であり、この瞬間が過ぎた直後に画像信号Soutの信号レベルが下がる。そのため、この時点で制御タイミング信号ScをHighにして、スイッチ部140をオンさせる。画像サンプリング信号SvがHighになった瞬間、画像レベルを取得する瞬間であり、この瞬間の直前に画像信号Soutの信号レベルが下がりきっている。そのため、この時点で制御タイミング信号ScをLowにして、スイッチ部140をオフにする。
【0042】
そのため、期間T2が開始する前に、第1の吐き出し信号経路130に第2のエミッタ抵抗150が接続され、エミッタ抵抗が減らされ、期間T2が終了した直後に、第1の吐き出し信号経路130から第2のエミッタ抵抗150が外され、エミッタ抵抗が増やされる。これにより、フィールドスルー期間Tfから信号期間Tvに移行するときに画像信号Soutのスルーレートが改善され、それ以外の期間ではNPN型トランジスタ121、エミッタ抵抗、及びグラウンドに流れる電流を減らして省電力及び低発熱を実現できる。
【0043】
次に、第3の実施形態による第3の電子内視鏡用波形調整装置200について図4及び5を用いて説明する。第1の実施形態と同様の構成については同じ符号を付して説明を省略する。
【0044】
第3の電子内視鏡用波形調整装置200は、画像信号を出力する撮像素子110と、撮像素子110に接続される第2のバッファ部220と、第2のバッファ部220に同軸ケーブル170を介して接続される第2の吐き出し信号経路230と、第2の吐き出し信号経路230とグラウンドとの間に設けられるスイッチ部140及び第2のエミッタ抵抗150と、スイッチ部140を制御する遅延回路160とから主に構成される。
【0045】
第2のバッファ部220は、PNP型トランジスタ221と第2のバッファ抵抗222とから成る。PNP型トランジスタ221のコレクタは接地され、ベースは撮像素子110に接続され、エミッタは第2のバッファ抵抗222に接続される。第2のバッファ抵抗222は同軸ケーブル170に画像信号を出力する。第2のバッファ部220は画像信号を増幅して、後段に接続される回路とのインピーダンスを調整する。
【0046】
第2の吐き出し信号経路230は、同軸ケーブル170とA/D変換器181とを接続する。同軸ケーブル170により伝送された画像信号は、第2の吐き出し信号経路130に入力される。
【0047】
第2の吐き出し信号経路130は、キャパシタ131と、終端抵抗132と、第1のエミッタ抵抗133とを有する。キャパシタ及び終端抵抗132は、第1の実施形態と同様である。第1のエミッタ抵抗133は、第1の信号線134のうち、キャパシタ131と同軸ケーブル170とを繋ぐ信号線と電源123との間に設けられる。
【0048】
スイッチ部140と第2のエミッタ抵抗150は、第1の信号線134のうち、キャパシタ131と同軸ケーブル170とを繋ぐ信号線と電源123との間であって、第1のエミッタ抵抗133よりも同軸ケーブル170側に設けられる。
【0049】
第1のエミッタ抵抗133と第2のエミッタ抵抗150とが第2のバッファ部220のいわゆるエミッタ抵抗を形成する。すなわち、第2のバッファ部220、第1のエミッタ抵抗133、及び第2のエミッタ抵抗150によりエミッタフォロワ回路が形成される。A/D変換器及びタイミングジェネレータ182は、第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0050】
次に、図5を用いて、遅延回路160がスイッチ部140をオンオフさせるタイミングについて説明する。本実施形態では、信号期間Tvからフィールドスルー期間Tfに画像信号Soutが移行するとき、制御タイミング信号ScをHighにして、エミッタ抵抗を減少させる。遅延回路160が制御タイミング信号ScをHighにするタイミングは、第1及び第2の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0051】
本実施形態によれば、信号期間Tvからフィールドスルー期間Tfに移行するとき、エミッタ抵抗の値が小さくなって画像信号Soutのスルーレートが改善される。また、信号期間Tvからフィールドスルー期間Tfに移行するときにのみ、エミッタ抵抗を減少させるため、それ以外の期間ではエミッタ抵抗が減少せず、PNP型トランジスタ221、エミッタ抵抗、及びグラウンドに流れる電流を減らして省電力及び低発熱を実現できる。
【0052】
なお、スイッチ部及び遅延回路160は、内視鏡スコープを内視鏡プロセッサと接合するために内視鏡スコープに設けられるプロセッサ接合部、あるいは内視鏡スコープの操作部に格納されても良い。
【0053】
また、ビーズインダクタ141ではなく、他の突入電流を防止する部が設けられてもよい。また、ビーズインダクタ141や他の突入電流を防止する部は設けられなくてもよい。
【0054】
いずれの実施形態においても、第1のエミッタ抵抗133と第2のエミッタ抵抗150は、定電流源、例えば定電流ダイオードや、定電流ダイオードやトランジスタを用いた定電流回路であってもよい。
【符号の説明】
【0055】
100 第1の電子内視鏡用波形調整装置
110 撮像素子
120 第1のバッファ部
121 NPN型トランジスタ
122 第1のバッファ抵抗
123 電源
130 出し信号経路
131 キャパシタ
132 終端抵抗
133 第1のエミッタ抵抗
134 第1の信号線
140 スイッチ部
141 ビーズインダクタ
150 第2のエミッタ抵抗
160 遅延回路
170 同軸ケーブル
171 内部導線
172 外部導線
181 A/D変換器
182 タイミングジェネレータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像信号を出力する撮像素子と、
前記撮像素子に接続されて前記画像信号を処理するバッファ部と、
前記バッファ部に接続されて前記画像信号を画像処理装置に送信する吐き出し信号経路と、
前記吐き出し信号経路とグラウンドとの間に設けられ、前記吐き出し信号経路とグラウンドとの接続を断続するスイッチ部と、
前記吐き出し信号経路とグラウンドとの間であって前記スイッチ部と直列に設けられる電流制御部と、
前記画像信号の立ち下がり時に前記吐き出し信号経路とグラウンドとを前記スイッチ部に接続させる遅延部とを備える電子内視鏡用波形調整装置。
【請求項2】
画像信号を出力する撮像素子と、
前記撮像素子に接続されて前記画像信号を処理するバッファ部と、
前記バッファ部に接続されて前記画像信号を画像処理装置に送信する吐き出し信号経路と、
前記吐き出し信号経路と電源との間に設けられ、前記吐き出し信号経路と電源との接続を断続するスイッチ部と、
前記吐き出し信号経路と電源との間であって前記スイッチ部と直列に設けられる電流制御部と、
前記画像信号の立ち上がり時に前記吐き出し信号経路と電源とを前記スイッチ部に接続させる遅延部とを備える電子内視鏡用波形調整装置。
【請求項3】
前記バッファ部と前記吐き出し信号経路とを接続するケーブルをさらに備え、
前記遅延部は、前記画像信号の出力タイミングを取得して、前記画像信号の出力タイミングから所定期間後に前記吐き出し信号経路とグラウンド又は電源とを前記スイッチ部に接続させ、前記ケーブルの長さに応じて前記所定期間を決定する請求項1又は2に記載の電子内視鏡用波形調整装置。
【請求項4】
前記画像信号から黒データを取得するために用いる黒データサンプリング信号と、前記画像信号から画像データを取得するために用いる画像サンプリング信号とを出力するタイミングジェネレータをさらに備え、
前記遅延部は、前記黒データサンプリング信号の立ち上がりと、前記画像サンプリング信号の立ち上がりとの間に、前記吐き出し信号経路とグラウンド又は電源とを前記スイッチ部に接続させる請求項1又は2に記載の電子内視鏡用波形調整装置。
【請求項5】
前記電流制御部は、抵抗である請求項1及び2に記載の電子内視鏡用波形調整装置。
【請求項6】
前記電流制御部は、定電流ダイオードである請求項1及び2に記載の電子内視鏡用波形調整装置。
【請求項7】
前記吐き出し信号経路とグラウンドとの間に設けられる突入電流防止部をさらに備える請求項1及び2に記載の電子内視鏡用波形調整装置。
【請求項8】
前記バッファ部は、NPNトランジスタと抵抗とから構成される請求項1に記載の電子内視鏡用波形調整装置。
【請求項9】
前記バッファ部は、PNPトランジスタと抵抗とから構成される請求項2に記載の電子内視鏡用波形調整装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−139794(P2011−139794A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−2151(P2010−2151)
【出願日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【Fターム(参考)】