説明

電子写真装置半導電性部材用高分子組成物およびそれを用いた半導電性部材

【課題】帯電能力が高く、帯電性のばらつきも小さく、優れた出力画像の画質を得ることができる、電子写真装置半導電性部材用高分子組成物を提供する。
【解決手段】下記の(A)成分および(B)成分を主成分とし、下記の(C)成分を含有する電子写真装置半導電性部材用高分子組成物であって、この高分子組成物を架橋させてなる架橋体中の(C)成分の含有量が0.001〜4.0重量%の範囲に設定されていることを特徴とする電子写真装置半導電性部材用高分子組成物。
(A)イソシアネート。
(B)活性水素化合物。
(C)オキシム化合物およびジケトン化合物の少なくとも一方。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真装置半導電性部材用高分子組成物およびそれを用いた半導電性部材に関するものであり、詳しくは、プリンター,複写機(コピー機)等の電子写真装置における、半導電性部材(現像ロール,帯電ロール等の導電性ロールや、転写ベルト等)に用いられる、高分子組成物およびそれを用いた半導電性部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プリンター,複写機等の電子写真装置は、静電気的な電荷やトナーの受け渡しにより画像を形成するシステムであり、これを形成する現像ロール,帯電ロール等の導電性ロールや、転写ベルト,感光ドラム等の半導電性部材において、帯電能力は非常に重要な特性である。
【0003】
従来、上記電子写真装置用の半導電性部材に用いる組成物としては、エラストマー(ポリマー)中にカーボンブラック等の導電剤を混合させて、帯電特性を付与したもの等が提案されている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2002−341677号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1等に記載の組成物は、本質的にエラストマー(ポリマー)とカーボンブラックとが分離構造をとるため、カーボンブラック表面付近しか帯電しないことによる帯電能力低下や、組成物中で帯電性がばらつく等の難点があった。そのため、上記組成物を使用した現像ロール等の半導電性部材では、出力画像の画質が劣る等の難点があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、帯電能力が高く、帯電性のばらつきも小さく、優れた出力画像の画質を得ることができる、電子写真装置半導電性部材用高分子組成物およびそれを用いた半導電性部材の提供をその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は、下記の(A)成分および(B)成分を主成分とし、下記の(C)成分を含有する電子写真装置半導電性部材用高分子組成物であって、この高分子組成物を架橋させてなる架橋体中の(C)成分の含有量が0.001〜4.0重量%の範囲に設定されている電子写真装置半導電性部材用高分子組成物を第1の要旨とする。また、本発明は、上記電子写真装置半導電性部材用高分子組成物を用いた半導電性部材を第2の要旨とする。
(A)イソシアネート。
(B)活性水素化合物。
(C)オキシム化合物およびジケトン化合物の少なくとも一方。
【0007】
すなわち、本発明者らは、帯電能力が高く、帯電性のばらつきも小さく、優れた出力画像の画質を得ることができる、電子写真装置半導電性部材用高分子組成物を得るため、鋭意研究を重ねた。その結果、イソシアネート(A成分)と、活性水素化合物(B成分)とを主成分とし、オキシム化合物およびジケトン化合物の少なくとも一方(C成分)を含有する高分子組成物であって、高分子組成物を架橋させてなる架橋体中の上記C成分の含有量を0.001〜4.0重量%の範囲に設定すると、所期の目的を達成できることを見いだし、本発明に到達した。
【0008】
なお、本発明において、主成分とは、通常、上記イソシアネート(A成分)および活性水素化合物(B成分)の含有量が、高分子組成物全体の10重量%以上であることを意味する。
【発明の効果】
【0009】
このように、本発明の電子写真装置半導電性部材用高分子組成物は、イソシアネート(A成分)と、活性水素化合物(B成分)とを主成分とし、オキシム化合物およびジケトン化合物の少なくとも一方(C成分)を含有する高分子組成物であって、高分子組成物を架橋させてなる架橋体中の上記C成分の含有量が0.001〜4.0重量%の範囲に設定されている。すなわち、オキシム化合物やジケトン化合物は、分子中での分極が大きく、電荷を帯びやすいため、高分子組成物の帯電性の制御を行いやすい。また、上記オキシム化合物やジケトン化合物は、イソシアネート(A成分)や活性水素化合物(B成分)等の高分子材料に溶解するため、高分子組成物全体にわたり均一に帯電し、導電性のばらつきが小さくなる。なお、上記オキシム化合物やジケトン化合物は、イソシアネート(A成分)と活性水素化合物(B成分)との架橋反応を阻害するが、含有量を所定の範囲に制御することにより、耐久性の向上効果も得ることができる。このように、本発明の電子写真装置半導電性部材用高分子組成物は、イソシアネート(A成分)と活性水素化合物(B成分)との架橋反応による耐久性の向上効果と、オキシム化合物やジケトン化合物による帯電性の向上効果を両立することができる。
【0010】
そして、上記電子写真装置半導電性部材用高分子組成物を用いてなる本発明の半導電性部材は、出力画像の画質が向上するという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
つぎに、本発明の実施の形態について説明する。
【0012】
本発明の電子写真装置半導電性部材用高分子組成物(以下、適宜「高分子組成物」と略す。)は、イソシアネート(A成分)と、活性水素化合物(B成分)と、オキシム化合物およびジケトン化合物の少なくとも一方(C成分)とを用いて得ることができる。
【0013】
ここで、本発明は、高分子組成物を架橋させてなる架橋体中のオキシム化合物およびジケトン化合物の少なくとも一方(C成分)の含有量が0.001〜4.0重量%の範囲に設定されているのであって、これが本発明の最大の特徴である。
【0014】
上記イソシアネート(A成分)としては、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメリックMDI、トルエンジイソシアネート(TDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、リジンジイソシアネート(LDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、パラフェニレンジイソシアネート(PPDI)、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキシルメチレンジイソシアネート(HMDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)およびそれらをポリマー末端に結合させたプレポリマー型化合物等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。これらのなかでも、耐久性と反応性のバランスの点で、MDI、HDI、TDIおよびそれらのプレポリマー型化合物が好適に用いられる。
【0015】
上記イソシアネート(A成分)の数平均分子量(Mn)は、84〜50,000の範囲が好ましく、特に好ましくは200〜5,000の範囲である。
【0016】
また、上記イソシアネート(A成分)とともに用いられる活性水素化合物(B成分)としては、分子中に2個以上の活性水素(基)を含有するものが好ましく、ポリオール化合物、ポリアミン化合物、ポリチオール、ポリホスフィン等の求核基を持つ化合物があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。これらのなかでも、反応性と耐久性の点で、ポリオール化合物、ポリアミン化合物が好適に用いられる。
【0017】
上記ポリオール化合物としては、例えば、エーテル系ポリオール、エステル系ポリオール、カーボネート系ポリオール、カプロラクトン系ポリオール、アジペート系ポリオール、低分子アルコール、低分子グリコール、低分子グリセリン等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
【0018】
また、上記ポリアミン化合物としては、エーテル系ポリアミン、エステル系ポリアミン、カーボネート系ポリアミン、カプロラクトン系ポリアミン、アジペート系ポリアミン、ポリアニリン系化合物、ポリアミド系化合物、低分子アミン、低分子ジアミン、低分子トリアミン、低分子アミノアルコール、尿素、ポリアミド樹脂等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
【0019】
上記活性水素化合物(B成分)の数平均分子量(Mn)は、40〜50,000の範囲が好ましく、特に好ましくは200〜5,000の範囲である。
【0020】
ここで、上記活性水素化合物(B成分)の配合量は、活性水素化合物(B成分)の活性水素(基)の数が、イソシアネート(A成分)のイソシアネート基の数の0.5〜2倍の範囲が好ましく、特に好ましくは0.8〜1.6倍の範囲である。すなわち、上記B成分の配合量が下限未満であると、未反応のイソシアネート(A成分)が残存し、逆に上記B成分の配合量が上限を超えると、未反応の活性水素化合物(B成分)が残存する傾向がみられるからである。
【0021】
つぎに、上記C成分のオキシム化合物としては、例えば、アセトンオキシム、アセトアルデヒドオキシム、メチルエチルケトン(MEK)オキシム、シクロペンタノンオキシム等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。これらのなかでも、低温脱離性の点で、アセトンオキシム、アセトアルデヒドオキシムが好適に用いられる。
【0022】
また、上記C成分のジケトン化合物としては、例えば、アセチルアセトン、3−メチル−2,4−ペンタンジオン、3,5−ヘプタンジオン等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。これらのなかでも、低温脱離性の点で、アセチルアセトンが好適に用いられる。
【0023】
ここで、上記オキシム化合物およびジケトン化合物の少なくとも一方(C成分)の配合量は、イソシアネート(A成分)と活性水素化合物(B成分)との合計100重量部(以下「部」と略す)に対して、0.01〜60部の範囲が好ましく、特に好ましくは0.02〜40部の範囲である。すなわち、上記C成分の配合量が下限未満であると、帯電性の向上の効果が減少し、逆に上記C成分の配合量が上限を超えると、イソシアネート(A成分)と活性水素化合物(B成分)との反応が阻害される傾向がみられるからである。
【0024】
なお、本発明の高分子組成物には、上記A〜C成分に加えて、導電剤、充填剤、レベリング剤、溶剤等を必要に応じて適宜配合しても差し支えない。
【0025】
上記導電剤としては、特に限定はなく、例えば、電子導電剤、イオン導電剤等があげられる。
【0026】
上記電子導電剤としては、例えば、カーボンブラック、グラファイト、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、c−ZnO(導電性酸化亜鉛)、c−TiO2 (導電性酸化チタン)、c−SnO2 (導電性酸化錫)等があげられる。
【0027】
また、上記イオン導電剤としては、特に限定はなく、例えば、過塩素酸リチウム、第四級アンモニウム塩、ホウ酸塩等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
【0028】
上記導電剤の配合量は、上記イソシアネート(A成分)と活性水素化合物(B成分)との合計100部に対して、0.1〜200部の範囲が好ましく、特に好ましくは0.2〜60部の範囲である。すなわち、上記導電剤の配合量が下限未満であると、高分子組成物の帯電能力が減少し、逆に上記導電剤の配合量が上限を超えると、耐久性が低下する傾向がみられるからである。
【0029】
上記溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン(MEK)、m−クレゾール、メタノール、トルエン、テトラヒドロフラン(THF)、アセトン、酢酸エチル、ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、メチルイソブチルケトン(MIBK)等の有機溶剤等があげられる。
【0030】
本発明の高分子組成物は、例えば、つぎのようにして調製することができる。すなわち、上記イソシアネート(A成分)と、活性水素化合物(B成分)と、オキシム化合物およびジケトン化合物の少なくとも一方(C成分)とに加えて、導電剤、溶剤等を必要に応じて適宜に配合し、これらを2本ロール,3本ロール等を用いて混練することにより、高分子組成物を調製することができる。
【0031】
本発明は、上記高分子組成物を架橋させてなる架橋体中の、オキシム化合物およびジケトン化合物の少なくとも一方(C成分)の含有量が0.001〜4.0重量%の範囲に設定されていることが最大の特徴であり、好ましくはC成分の含有量は0.005〜3.0重量%の範囲である。すなわち、上記C成分の含有量が下限未満であると、帯電量が劣るとともに、画像のがさつきが大きくなり、逆に上記C成分の含有量が上限を超えると、架橋性が劣るとともに、現像ロールの表層に用いた場合には表層が破壊し、画像すじが多く発生するため、画像の画質が劣る等の問題が生じるからである。
【0032】
上記高分子組成物を架橋させて架橋体を作製する場合の加熱条件は、特に限定はないが、100〜180℃×30〜60分の範囲が好ましく、特に好ましくは120〜165℃×30〜60分の範囲である。
【0033】
ここで、上記高分子組成物を架橋させてなる架橋体中のC成分の含有量は、例えば、ガスクロマトグラフ質量分析計(GC−MS)により、試料加熱条件(210℃×90分)でのC成分の検出量を求め、これを架橋体中のC成分の含有量とすることができる。
【0034】
本発明の半導電性部材は、プリンター,複写機等の電子写真装置におけるロール,ベルト,ブレード,感光ドラム等の半導電性部材、例えば、現像ロール,帯電ロール等の導電性ロールや、転写ベルト等として用いられる。本発明の半導電性部材は、その少なくとも一部(例えば、表層等)が、前述の高分子組成物からなることが最大の特徴である。
【実施例】
【0035】
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0036】
〔実施例1〕
有機溶媒(MEK)500ml中に、アセトンオキシム7.5部と、イソシアネート(MDI)21.4部とを混合し、溶液が均一になるまで攪拌した。つぎに、この溶液中に、ポリウレタン75部と、ポリオール(PPG系ジオール)25部と、ケッチェンブラック5.0部とを配合し、均一になるまで攪拌した。さらに2本ロールまたは3本ロールを用いてケッチェンブラックを分散させることにより、組成物(コーティング液)を調製した。つぎに、上記組成物(コーティング液)をPETフィルム上にコーティングし、120℃で30分間熱処理することにより、50μmのシートサンプル(大きさ:50×30mm)を作製した。
【0037】
〔実施例2〜9、比較例1,2〕
下記の表1および表2に示すように、各成分の種類,配合量、加熱条件等を変更する以外は、実施例1と同様にして、組成物(コーティング液)およびシートサンプルを作製した。
【0038】
【表1】

【0039】
【表2】

【0040】
なお、上記表1および表2に示す材料は、下記の通りである。
〔ポリウレタン〕
日本ミラクトラン社製、E980(Mn:30,000)
【0041】
〔PMMA(B成分)〕
住友化学社製、LG6A(Mn:20,000)
〔ポリオール(B成分)〕
PPG系ジオール(関東化学社製、ポリプロピレングリコール1000、Mn:1,000)
〔ポリアミン(B成分)〕
PTMG系ジアミン(ダイセル化学社製、ジェファーミンD2000、Mn:2,000)
【0042】
〔イソシアネート(A成分)〕
MDI(日本ポリウレタン社製、コロネート2014、Mn:800)
【0043】
〔アセトンオキシム(オキシム化合物)〕
関東化学社製、アセトンオキシム(沸点:112℃)
〔アセトアルデヒドオキシム(オキシム化合物)〕
関東化学社製、アセトアルデヒドオキシム(沸点:134℃)
〔MEKオキシム(オキシム化合物)〕
関東化学社製、MEKオキシム(沸点:152℃)
【0044】
〔アセチルアセトン(ジケトン化合物)〕
関東化学社製、アセチルアセトン(沸点:140℃)
〔3−メチル−2,4−ペンタンジオン(ジケトン化合物)〕
関東化学社製、3−メチル−2,4−ペンタンジオン(沸点:173℃)
【0045】
〔ケッチェンブラック〕
ライオン社製、ケッチェンブラックEC300J
〔イオン導電剤〕
ライオン社製、テトラブチルアンモニウム臭素塩(TBAB)
【0046】
このようにして得られた実施例品および比較例品を用いて、下記のようにして各特性の評価を行った。これらの結果を、上記表1および表2に併せて示した。
【0047】
〔オキシム化合物・ジケトン化合物の含有量〕
各組成物を所定の条件で加熱処理してなる架橋体(シートサンプル)中の、オキシム化合物・ジケトン化合物の含有量を、ガスクロマトグラフ質量分析計(GC−MS)により測定した。
【0048】
〔不溶分率(架橋性)〕
各シートサンプルをMEK溶液に4時間浸漬し、浸漬前後のサンプルの乾燥重量変化の比率を不溶分率(%)とした。架橋性の評価は、不溶分率(%)が70%以上のものを○、不溶分率(%)が70%未満のものを×とした。
【0049】
〔画像の画質評価〕
(現像ロールの作製〕
実施例品および比較例品の組成物を、現像ロールの表層用材料として用い、各現像ロールを作製した。すなわち、まず、軸体である芯金(直径10mm、SUS304製)をセットした射出成形用金型内に、カーボンブラックを分散させたシリコーンゴム(信越化学工業社製、KE1350AB)を注型し、150℃×45分の条件で加熱した後、脱型して、軸体の外周面に沿ってベース層を形成した。つぎに、このベース層の外周面に、実施例品および比較例品の組成物(コーティング液)を塗布し、前記表1および表2に示した加熱条件で加熱処理して、表層を形成した。これにより、軸体の外周面にベース層(厚み3mm)が形成され、その外周面に表層(厚み10μm)が形成されてなる、二層構造の現像ロールを作製した。なお、表層中のオキシム化合物等の含有量は、表1および表2に示した含有量と略同様の値を示す。
【0050】
(画像の画質評価)
上記で作製した各現像ロールを市販のカラープリンター(ヒューレットパッカード社製、レーザージェット4プラス)に組み込み、初期画像および2000枚出力時画像の画質評価を行った。評価は、黒色の印刷においてマクベス濃度が1.3以上あり、文字の印刷において画像のがさつき(トナーの飛び散り、にじみ,むら)と画像すじが発生せず良好なものを○、文字の印刷において画像のがさつきが部分的に発生したものを△、画像のがさつきが全体に発生したものを×とした。
【0051】
上記表1および表2の結果から、実施例品は、架橋性に優れ、初期画像および耐久画像の画質評価も優れていた。
【0052】
これに対して、比較例1品は、オキシム化合物およびジケトン化合物のいずれも含有しないため、トナー搬送ばらつきにより、画像のがさつきが発生し、初期画像および耐久画像の画質評価が劣っていた。また、比較例2品は、オキシム化合物の含有量が高いため、架橋性が劣るとともに、現像ロールの表面が破壊し、画像すじが多く発生し、耐久後の画質評価も劣っていた。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明の電子写真装置半導電性部材用高分子組成物は、プリンター,複写機等の電子写真装置における、現像ロール,帯電ロール等の導電性ロールや、転写ベルト,感光ドラム等の半導電性部材の少なくとも一部に用いられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の(A)成分および(B)成分を主成分とし、下記の(C)成分を含有する電子写真装置半導電性部材用高分子組成物であって、この高分子組成物を架橋させてなる架橋体中の(C)成分の含有量が0.001〜4.0重量%の範囲に設定されていることを特徴とする電子写真装置半導電性部材用高分子組成物。
(A)イソシアネート。
(B)活性水素化合物。
(C)オキシム化合物およびジケトン化合物の少なくとも一方。
【請求項2】
上記(B)の活性水素化合物が、ポリオール化合物およびポリアミン化合物の少なくとも一方である請求項1記載の電子写真装置半導電性部材用高分子組成物。
【請求項3】
請求項1または2記載の電子写真装置半導電性部材用高分子組成物を用いた半導電性部材。

【公開番号】特開2008−248079(P2008−248079A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−91066(P2007−91066)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000219602)東海ゴム工業株式会社 (1,983)
【Fターム(参考)】