説明

電子写真装置及び印刷速度変更方法

【課題】本体を交換することなく、電子写真の印刷速度を変更することができる電子写真装置を提供すること。
【解決手段】第1カートリッジ側ギア機構34cを備える第1ドラムカートリッジ34と本体32とを備えており、第1カートリッジ側ギア機構34cは、第1駆動ギアKG1と第1ギア比で噛合する第1従動ギアJG1を備えており、第2カートリッジ側ギア機構は、第2駆動ギアと第2ギア比で噛合する第2従動ギアを備えており、カートリッジを交換することで印刷速度を変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子写真装置及び電子写真装置の印刷速度変更方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真装置は、感光体ドラムと、この感光体ドラムを一様に帯電させる帯電手段と、帯電した感光体ドラムの表面に静電潜像を形成する露光手段と、この静電潜像にトナーを付着させてトナー像を得る現像手段と、このトナー像を紙等の被転写媒体に転写する転写手段と、トナー像を被転写媒体に定着させる定着手段等を備えている。
【0003】
この構成を有する電子写真装置において、感光体ドラム、帯電手段、及び現像手段は、本体に着脱可能なカートリッジとして一体的に形成されている。以降、このカートリッジを「感光体ドラムカートリッジ」又は単に「ドラムカートリッジ」と称する。また、現像手段にトナーを供給する部品は、トナーカートリッジと称され、一般に、感光体ドラムカートリッジに着脱自在に設けられる。
【0004】
このような電子写真装置においては、使用するトナーの特性により、定着手段における定着温度や、感光体ドラムの回転速度(印刷速度)が左右される(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1に開示された技術では、トナーカートリッジに定着手段における定着温度の情報を記録しておき、この情報を読み出すことにより定着温度を変化させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−148998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、定着温度の変更はできるものの、電子写真装置の他の仕様(例えば、感光体ドラムの回転速度等)を変更することができなかった。そのため、電子写真装置の印刷速度を変更することは不可能であった。結局、電子写真の印刷速度を変更するためには、ユーザは本体を買い換える必要があった。
【0007】
この発明は、このような問題点に鑑みなされたものである。従って、この発明の目的は、本体を交換することなく、電子写真の印刷速度を変更することができる電子写真装置及び印刷速度変更方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した目的の達成を図るために、この発明の電子写真装置は、感光体ドラム及びカートリッジ側ギア機構を備えるドラムカートリッジと、ドラムカートリッジの装着が可能なドラムカートリッジ装着部、回転駆動力を発生するモータ、感光体ドラムに静電潜像を形成する露光手段、該静電潜像の転写像が形成される被転写媒体を搬送する搬送手段及び、本体側ギアを備える本体とを備えており、ドラムカートリッジとして互換性のある第1及び第2ドラムカートリッジを備えている。
【0009】
A:第1ドラムカートリッジは、(a1)感光体ドラムとしての第1感光体ドラム、(b1)第1感光体ドラムを帯電させる第1帯電手段、及び(c1)第1感光体ドラムに露光手段によって形成された静電潜像からトナー像を形成する第1現像手段の各構成要素と、(d1)これら構成要素のうちで1つ以上の可回転駆動型の第1構成要素に回転駆動力を伝達するために、本体側ギアと接続される、カートリッジ側ギア機構としての第1カートリッジ側ギア機構とを備えている。
【0010】
B:第2ドラムカートリッジは、(a2)感光体ドラムとしての第2感光体ドラム、(b2)第2感光体ドラムを帯電させる第2帯電手段、及び(c2)第2感光体ドラムに露光手段によって形成された静電潜像からトナー像を形成する第2現像手段の各構成要素と、(d2)これら構成要素のうちで1つ以上の可回転駆動型の第2構成要素に回転駆動力を伝達するために、本体側ギアと接続される、カートリッジ側ギア機構としての第2カートリッジ側ギア機構とを備えている。
【0011】
そして、本体側ギアは、回転駆動力をカートリッジ側ギア機構に伝達し、第1カートリッジ側ギア機構は、本体側ギアから回転駆動力を伝達されて回転する第1駆動ギアと、第1駆動ギアに第1ギア比で噛合して従動し、第1構成要素の周速度及び搬送手段の搬送速度を第1ギア比で決定される第1速度でそれぞれを駆動させるための第1従動ギアとを備えている。
【0012】
また、第2カートリッジ側ギア機構は、本体側ギアから回転駆動力を伝達されて回転する第2駆動ギアと、第2駆動ギアに第2ギア比で噛合して従動し、第2構成要素の周速度及び搬送手段の搬送速度を第2ギア比で決定される第2速度でそれぞれを駆動させるための第2従動ギアとを備えている。
【0013】
上述した電子写真装置の好ましい第1の実施態様として、第1ドラムカートリッジは、これに着脱自在に取り付けられていて、第1従動ギアから伝達される回転駆動力により駆動される可回転駆動型であって、内部に第1トナーを収納した第1トナーカートリッジを備えており、第2ドラムカートリッジは、これに着脱自在に取り付けられていて、第2従動ギアから伝達される回転駆動力により駆動される可回転駆動型であって、内部に第2トナーを収納した第2トナーカートリッジを備えていることを特徴とする。
【0014】
上述した電子写真装置の好ましい第2の実施態様として、本体が、被転写媒体に転写されたトナー像を加熱により定着させる定着手段をさらに備え、第1トナーカートリッジが、第1トナー及び第1搬送速度に対応した定着手段の定着温度と第1速度に対応した第1感光体ドラムの回転速度とに関する第1制御情報を保持しており、第2トナーカートリッジが、第2トナー及び第2搬送速度に対応した定着手段の定着温度と第2速度に対応した第2感光体ドラムの回転速度とに関する第2制御情報を保持していることを特徴とする。
【0015】
この発明の印刷速度変更方法は、印刷速度を変更するに当たり、第1ドラムカートリッジが、本体のドラムカートリッジ装着部に装着されていて、電子写真装置の印刷速度が、モータの回転駆動力により、第1ギア比で決定される第1構成要素の周速度及び搬送手段の搬送速度を第1速度とした第1印刷速度に設定されている電子写真装置から、第1ドラムカートリッジを取り出し、第1ドラムカートリッジが取り出された後のカートリッジ装着部に第2ドラムカートリッジを装着することによって、電子写真装置の印刷速度を、モータの回転駆動力により、第2ギア比で決定される第2構成要素の周速度及び搬送手段の搬送速度を第2速度とした第2印刷速度に設定することを特徴とする。
【0016】
この発明の別の電子写真装置は、感光体ドラムカートリッジ装着部及びモータを備える本体と、感光体ドラムカートリッジを含み、感光体ドラムカートリッジとして、
(a)第1感光体ドラム、第1感光体ドラムを一様に帯電する第1帯電手段、及び静電潜像にトナーを付着させてトナー像を得る第1現像手段の各構成要素を備えており、モータから伝達された回転駆動力により構成要素のうちで可回転駆動型の1つ以上の構成要素を回転させる、第1ドラムカートリッジと、
(b)第2感光体ドラム、第2感光体ドラムを一様に帯電する第2帯電手段、及び静電潜像にトナーを付着させてトナー像を得る第2現像手段の各構成要素を備えており、モータから伝達された回転駆動力により構成要素のうちで可回転駆動型の1つ以上の構成要素を回転させる、第2ドラムカートリッジとを備え、及び本体は、モータから伝達された回転駆動力により駆動されて、被転写媒体を搬送する搬送手段と、一様に帯電された第1又は第2感光体ドラムに静電潜像を形成する露光手段と、感光体ドラムカートリッジ装着部に第1及び第2ドラムカートリッジのいずれかが装着されるごとにモータの第1又は第2ドラムカートリッジに適合した回転速度に設定する制御部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
この発明は、上述のように構成しているので、本体を交換することなく、電子写真の印刷速度を変更することができる電子写真装置及び印刷速度変更方法が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】電子写真装置の構成を概略的に示す模式図である。
【図2】第1ドラムカートリッジ及び第1トナーカートリッジが装着された実施の形態1の電子写真装置の概略的な構成を示す模式図である。
【図3】(A)は、第1ドラムカートリッジ及び第1トナーカートリッジの概略的な構成を示す模式図である。(B)は、第1ドラムカートリッジ及び第1トナーカートリッジが取り外された状態の電子写真装置本体の概略的な構成を示す模式図である。
【図4】第2ドラムカートリッジ及び第2トナーカートリッジが装着された実施の形態1の電子写真装置の概略的な構成を示す模式図である。
【図5】実施の形態2の電子写真装置の概略的な構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態について説明する。なお、各図は、各構成要素の形状、大きさ及び配置関係について、この発明が理解できる程度に概略的に示してある。また、以下、この発明の好適な構成例について説明するが、各構成要素の材質及び数値的条件などは、単なる好適例にすぎない。従って、この発明は、以下の実施の形態に何ら限定されない。また、各図において、共通する構成要素には同符号を付し、その説明を省略することもある。
【0020】
<電子写真装置の概要説明>
まず、図1を参照して、一般的な電子写真装置の構造について簡単に説明する。図1は、電子写真装置の構成を概略的に示す模式図である。
【0021】
電子写真装置10は、感光体ドラム12と、帯電手段14と、露光手段16と、現像手段18と、転写手段22と、クリーニング手段20と、定着手段24と、搬送手段26と、トナーカートリッジ28とを備えている。
【0022】
感光体ドラム12は、表面に感光体が塗布されたローラである。感光体ドラム12は、動力源としてのモータ32a(図2及び図4)の回転駆動力を、第1又は第2カートリッジ側ギア機構34c又は44c(図2及び図4)を介して伝達され、所定の周速度で回転方向(矢印A方向)に回転する。
【0023】
帯電手段14は、この実施の形態に示す例では、感光体ドラム12の表面に接触していて、感光体ドラム12の周速度と等しい周速度で回転するローラとして形成されている。帯電手段14は、感光体ドラム12の表面に設けられている感光体を一様に帯電する機能を有する。
【0024】
露光手段16は、感光体ドラム12の周面に対向して、帯電手段14よりも回転方向下流側に設けられている。露光手段16は、印刷情報を、感光体ドラム12に露光して、静電潜像を形成する機能を有する。
【0025】
現像手段18は、感光体ドラム12の周面に当接するローラであり、感光体ドラム12の回転に合わせて回転する。現像手段18は、露光手段16よりも回転方向下流側に設けられている。現像手段18は、露光手段16により感光体ドラム12の表面に形成された静電潜像に、トナーを付着させることで現像を行い、感光体ドラム12の表面にトナー像を形成する機能を有する。
【0026】
転写手段22は、現像手段18よりも回転方向下流側に設けられている。転写手段22は、搬送手段26が搬送方向(矢印B方向)に搬送する紙等の被転写媒体Pに、トナー像を転写する機能を有する。
【0027】
クリーニング手段20は、転写手段22よりも回転方向下流側、かつ、帯電手段14よりも回転方向上流側に設けられている。クリーニング手段20は、感光体ドラム12の表面に当接するクリーニングブレード20aを備えており、感光体ドラム12の表面に残留した不要なトナーを掻き取ることにより除去する機能を有する。
【0028】
定着手段24は、搬送方向に関して、転写手段22よりも下流側に設けられている。この実施の形態では、定着手段24は、搬送ベルト26aを挟み込むように設けられたローラ対として形成されている。定着手段24は、搬送手段26が搬送してくるトナー像が転写された被転写媒体Pを加熱することにより、トナー像を被転写媒体Pに定着させる機能を有する。
【0029】
搬送手段26は、無終端の搬送ベルト26aと、この搬送ベルト26aを搬送方向に走行させる一対の搬送ローラ26b及び26bとから構成されている。搬送手段26は、上述のように、転写手段22におけるトナー像の転写と、定着手段24におけるトナー像の定着にタイミングを合わせて、被転写媒体Pを搬送する機能を有する。なお、搬送手段26は、感光体ドラム12の周速度と等しい搬送速度で被転写媒体Pを搬送するように構成されている。
【0030】
<実施の形態1>
以下、図面を参照して、この実施の形態の電子写真装置について説明する。図2は、第1ドラムカートリッジ及び第1トナーカートリッジが装着された電子写真装置の概略的な構成を示す模式図であり、電子写真装置に含まれる回転駆動系のギア機構を主に示している。図3(A)は、第1ドラムカートリッジ及び第1トナーカートリッジの概略的な構成を示す模式図である。図3(B)は、第1ドラムカートリッジ及び第1トナーカートリッジが取り外された状態の電子写真装置本体の概略的な構成を示す模式図である。図4は、第2ドラムカートリッジ及び第2トナーカートリッジが装着された状態の電子写真装置の概略的な構成を示す模式図であり、電子写真装置に含まれる回転駆動系のギア機構を主に示している。
【0031】
なお、図2〜図4においては、図面の理解の容易さを考慮して、帯電手段14、露光手段16、現像手段18、転写手段22、定着手段24及びクリーニング手段20を図示せず、その説明を省略する。
【0032】
(第1ドラムカートリッジの装着例)
まず、図2、図3(A)及び(B)を参照して、第1ドラムカートリッジ34及び第1トナーカートリッジ36が装着された場合の電子写真装置30の構成について説明する。
【0033】
電子写真装置30は、本体32と、第1ドラムカートリッジ34と、第1トナーカートリッジ36とを備えている。
【0034】
本体32は、モータ32aと、本体側ギア32bと、搬送手段32dと、露光手段16(図1)と、転写手段22(図1)と、定着手段24(図1)と、ドラムカートリッジ装着部32eとを備えている。
【0035】
モータ32aは、電子写真装置30の回転駆動系の部品に回転駆動力を供給する動力源であり、図示しない固定手段により本体32に固定されている。モータ32aには、本体側ギア32bが接続されている。
【0036】
本体側ギア32bは、この実施の形態に示す例では、モータ32aの回転軸に直接接続されている。
【0037】
搬送手段32dは、既に説明したように、被転写媒体P(図1)を搬送する機能を有している。図2においては、図面の理解の容易さを考慮して、搬送手段32dに含まれる1個の搬送ローラ26b(図1)のみを示している。
【0038】
搬送手段32dは、搬送ローラ26bに同軸に接続されたギア32d1を備えている。ギア32d1は、後述するギア34c3に噛合している。ギア32d1には、モータ32a→本体側ギア32b→第1カートリッジ側ギア機構34c(ギア34c4→第1駆動ギアKG1→第1従動ギアJG1→ギア34c1→ギア34c3)→ギア32d1との順にモータ32aからの回転駆動力が伝達される。その結果、搬送ローラ26bは、第1従動ギアJG1と第1駆動ギアKG1との第1ギア比(後述)で定まる第1速度で回転し、搬送ベルト26a(図1)が被転写媒体Pを第1速度で搬送方向に搬送する。
【0039】
ドラムカートリッジ装着部32eは本体32に設けられた凹部である。このドラムカートリッジ装着部32eには、1個の感光体ドラムカートリッジが装着可能である。すなわち、ドラムカートリッジ装着部32eには、第1ドラムカートリッジ34及び第2ドラムカートリッジ44(図4)のどちらか一方が着脱自在に装着される。
【0040】
電子写真装置30を構成する第1ドラムカートリッジ34は、第1感光体ドラム34aと、第1帯電手段(図1)と、第1現像手段(図1)と、第1カートリッジ側ギア機構34cとを備えている。第1カートリッジ側ギア機構34cには、第1駆動ギアKG1と、第1従動ギアJG1とが含まれている。
【0041】
第1感光体ドラム34aは、第1カートリッジ側ギア機構34cに含まれるギア34c3と同軸に接続されている。第1感光体ドラム34aには、モータ32a→本体側ギア32b→第1カートリッジ側ギア機構34c(ギア34c4→第1駆動ギアKG1→第1従動ギアJG1→ギア34c1→ギア34c3)の順に回転駆動力が伝達される。その結果、ギア34c3、すなわち第1感光体ドラム34aは、第1従動ギアJG1と第1駆動ギアKG1の第1ギア比(後述)で定まる第1速度で回転する。
【0042】
第1従動ギアJG1は、第1ドラムカートリッジ34に図示しない軸受を介して固定されている。第1従動ギアJG1は、第1駆動ギアKG1と噛合している。第1従動ギアJG1の第1駆動ギアKG1に対するギア比は、第1ギア比(第1従動ギアの歯数/第1駆動ギアの歯数)である。また、第1従動ギアJG1は、第1カートリッジ側ギア機構34cを構成するギア34c1と同軸に接続されている。
【0043】
詳しくは後述するが、第1及び第2ドラムカートリッジ34及び44の違いの一つは、第1従動ギアJG1及び第1駆動ギアKG1のギア比(第1ギア比)と、第2従動ギアJG2及び第2駆動ギアKG2のギア比(第2ギア比)とが異なっている点である。このギア比の違いにより、第1及び第2感光体ドラム34a及び44aの回転速度、すなわち印刷速度が変化する。
【0044】
第1カートリッジ側ギア機構34cは、この実施の形態に示す例では、第1駆動ギアKG1、第1従動ギアJG1、及びギア34c4、34c1、34c2及び34c3を備えている。
【0045】
ギア34c4は、本体32に設けられた本体側ギア32bと噛合している。ギア34c4は、第1駆動ギアKG1と同軸であり、図示しない軸受により、第1ドラムカートリッジ34に回転自在に固定されている。ギア34c4は、動力源としてのモータ32aから本体側ギア32bを介して回転駆動力を伝達される。
【0046】
第1駆動ギアKG1は、上述したギア34c4と同軸に接続されている。第1駆動ギアKG1は、第1従動ギアJG1と第1ギア比(第1従動ギアの歯数/第1駆動ギアの歯数)で噛合している。第1駆動ギアKG1は、本体側ギア32b→ギア34c4→第1駆動ギアKG1の順にモータ32aからの回転駆動力を伝達されて回転する。
【0047】
ギア34c1は、第1従動ギアJG1と同軸に接続されているとともに、ギア34c2及び34c3と噛合している。
【0048】
ギア34c2は、図示しない軸受を介して第1ドラムカートリッジ34に固定されている。ギア34c2は、後述する第1トナーカートリッジ36のギア36a1、及びギア34c1と噛合している。
【0049】
ギア34c3は、図示しない軸受を介して第1ドラムカートリッジ34に固定されており、ギア34c1と噛合している。ギア34c3は、既に説明したように、モータ32aからの回転駆動力が伝達され、第1感光体ドラム34aを第1速度で回転させる。また、ギア34c3は、既に説明したように、搬送手段32dのギア32d1と噛合している。
【0050】
電子写真装置30を構成する第1トナーカートリッジ36は、第1ドラムカートリッジ34に着脱自在に取り付けられており、第1現像手段に供給するための第1トナーが内部に収納されている。第1トナーカートリッジ36は、トナー攪拌装置36aと、第1印刷条件記憶部36bとを備えている。
【0051】
なお、第1トナーカートリッジ36は、第1ドラムカートリッジ34の専用品である。つまり、第1トナーカートリッジ36は、第1ドラムカートリッジ34には着脱自在に取り付けることができるが、第2ドラムカートリッジ44には取り付け不能である。これは、第1トナーの特性(例えば、帯電特性等)が、第1ドラムカートリッジ34に最適化されているためである。
【0052】
トナー攪拌装置36aは、ギア36a1と同軸に接続された回転軸に多数のフィンが接続された部品である。ギア36a1は、第1カートリッジ側ギア機構34cのギア34c2と噛合している。その結果、トナー攪拌装置36aには、モータ32aからの回転駆動力が伝達され、電子写真装置30の稼働中に、トナーカートリッジ36内部に収納されている第1トナーをフィンにより攪拌して、第1現像手段に供給する。
【0053】
第1印刷条件記憶部36bは、この実施の形態に示す例では、例えばROM(Read Only Memory)として構成されている。第1印刷条件記憶部36bには、第1感光体ドラム34aの回転速度(第1速度)と定着温度に関する第1制御情報が記憶されている。
【0054】
(第2ドラムカートリッジの装着例)
次に図4を参照して、第2ドラムカートリッジ44が装着された場合の電子写真装置30の構成について説明する。
【0055】
第2ドラムカートリッジ44が装着された場合と、第1ドラムカートリッジ34が装着された場合との主な相違点は、(1)第2従動ギアJG2と第2駆動ギアKG2とのギア比(第2ギア比)が、第1ギア比(第1従動ギアJG1の歯数/第1駆動ギアKG1の歯数)よりも小さい点と、(2)第2トナーカートリッジ46が第2ドラムカートリッジ44にのみ取り付け可能である点と、(3)第2印刷条件記憶部46bに記憶されている情報が、第1印刷条件記憶部36bと異なっている点である。そこで、以下の説明では、主にこの相違点について説明する。
【0056】
(第2従動ギアのギア比が異なっている点について)
第2ドラムカートリッジ44においては、第2従動ギアJG2と第2駆動ギアKG2のギア比(第2従動ギアJG2の歯数/第2駆動ギアKG2の歯数)が、第1ドラムカートリッジ34の第1ギア比よりも小さくなっている。その結果、モータ32aの回転速度が等しい場合、第2従動ギアJG2は、第1従動ギアJG1よりも、単位時間当たりの回転数が大きくなる。
【0057】
よって、第2従動ギアJG2に第2カートリッジ側ギア機構44cを介して接続されている第2感光体ドラム44aの回転の速度は、第1速度よりも速い第2速度へと増加する。また、搬送手段32dの搬送ローラ26bの回転速度が増加することにより、被転写媒体Pの搬送速度も、第1速度よりも速い第2速度へと増加する。すなわち、第2ドラムカートリッジ44を本体32に装着した場合、印刷速度が増加する。
【0058】
(第2トナーカートリッジが第2ドラムカートリッジにのみ取り付けられる点について)
第2ドラムカートリッジ44が本体32に装着されると、上述のように印刷速度が増加する。その結果、転写手段22における転写速度や、定着手段24における定着温度等が、第1ドラムカートリッジ34を用いた場合と異なってくる。結果として、電子写真印刷に用いるトナーを第1ドラムカートリッジ34に最適化された第1トナーから、第2ドラムカートリッジ44に最適化された第2トナーへと変更する必要が生じる。
【0059】
つまり、第2ドラムカートリッジ44を本体32に装着した場合には、第1トナーを用いることができない。よって、第2ドラムカートリッジ44には、第2トナーが収納された第2トナーカートリッジ46のみが着脱自在に取り付けられて、第1トナーカートリッジ36は、取り付け不能とされている。
【0060】
(第2印刷条件記憶部に記憶されている情報が異なっている点について)
第2ドラムカートリッジ44が本体32に装着されると、上述のように印刷速度が増加する。その結果、露光手段16における露光時間や、定着手段24における定着温度等が、第1ドラムカートリッジ34と異なってくる。
【0061】
よって、第1ドラムカートリッジ34から第2ドラムカートリッジ44へとドラムカートリッジを替えた場合、電子写真装置30において印刷条件を変更する必要が生じる。この変更された印刷条件を記憶しているのが第2印刷条件記憶部46bである。すなわち、第2印刷条件記憶部46bには、第2感光体ドラム44aの回転速度(第2速度)と定着温度に関する第2制御情報が記憶されている。
【0062】
(動作)
次に、図1〜図4を参照して、電子写真装置30の動作について説明する。
【0063】
まず始めに、第1ドラムカートリッジ34が装着されている場合の動作について説明する。
【0064】
本体32に電源が投入されるか、又は、トナーカートリッジが交換されると、これらの動作をキーとして制御情報読み出し命令が本体32に設けられた制御部(図示せず)に発せられる。この制御情報読み出し命令を受信した制御部は、第1トナーカートリッジ36の第1印刷条件記憶部36bに記憶されている第1制御情報を読み出す。ここで、第1制御情報とは、上述したように、(1)第1感光体ドラム34aの周速度(第1速度)と、(2)定着手段24の定着温度(以下、第1定着温度と称する。)に関する情報である。
【0065】
そして制御部は、読み出された第1制御情報に従い、露光手段16と定着手段24とを制御する。具体的には、制御部は、第1感光体ドラム34aの第1速度を元にして、適切な露光時間(以下、第1露光時間と称する。)を算出する。そして、露光手段16に対して、第1露光時間を含む露光時間設定命令を送信する。露光時間設定命令を受信した露光手段16は、この命令に従って、露光時間を第1露光時間に設定する。これにより露光手段16は、第1速度に最も適した露光時間で、第1感光体ドラム34a表面の感光体を露光する。
【0066】
また、制御部は、第1制御情報に含まれる第1定着温度を含む定着温度設定命令を定着手段24に送信する。定着温度設定命令を受信した定着手段24は、この命令に従って、定着温度を第1定着温度に設定する。これにより、定着手段24は、第1トナーカートリッジ36に収納されている第1トナーの定着に最も適した定着温度で、被転写媒体Pに第1トナーを定着させる。
【0067】
定着手段24及び露光手段16に対するこれらの設定動作が終了すると、印刷情報の印刷が行われる。すなわち、まず、第1感光体ドラム34aが第1速度で回転し、帯電手段14が第1感光体ドラム34aの表面の感光体を一様に帯電させる。
【0068】
そして、印刷情報が、露光手段16により第1露光時間で第1感光体ドラム34aに露光され、第1感光体ドラム34aの表面の感光体に印刷情報を担持した静電潜像が形成される。
【0069】
静電潜像を担持した第1感光体ドラム34aは、第1速度で回転し、やがて現像手段18に至る。そして、第1トナーカートリッジ36に収納されている第1トナーを供給された現像手段18が静電潜像に第1トナーを付着させることで、第1感光体ドラム34aの表面の感光体にトナー像を形成する。
【0070】
トナー像を担持した第1感光体ドラム34aは、第1速度で回転し、やがて転写手段22に至る。そして、搬送手段32dにより、第1速度で搬送される被転写媒体Pに対して、トナー像が転写される。
【0071】
トナー像の転写が終了した第1感光体ドラム34aは、第1速度で回転し、やがてクリーニング手段20に至る。そして、クリーニング手段20のクリーニングブレード20aにより第1感光体ドラム34aの表面に残留するトナーが掻き取られる。
【0072】
一方、トナー像が転写された被転写媒体Pは、搬送手段32dにより第1速度で搬送されて、定着手段24に至る。そして、定着手段24のローラ対を通過する際に第1定着温度で加熱される。その結果、トナー像が被転写媒体Pに定着される。
【0073】
続いて、第1ドラムカートリッジ34に代えて第2ドラムカートリッジ44が装着された場合の動作について説明する。
【0074】
本体32に電源が投入されるか、又は、トナーカートリッジが交換されると、これらの動作をキーとして制御情報読み出し命令が本体32に設けられた制御部に発せられる。この制御情報読み出し命令を受信した制御部は、第2トナーカートリッジ46の第2印刷条件記憶部46bに記憶されている第2制御情報を読み出す。ここで、第2制御情報とは、上述したように、(1)第2感光体ドラム44aの周速度(第2速度)と、(2)定着手段24の定着温度(以下、第2定着温度と称する。)に関する情報である。
【0075】
そして制御部は、読み出された第2制御情報に従い、露光手段16と定着手段24とを制御する。具体的には、制御部は、第2感光体ドラム44aの第2速度を元にして、適切な露光時間(以下、第2露光時間と称する。)を算出する。そして、露光手段16に対して、第2露光時間を含む露光時間設定命令を送信する。露光時間設定命令を受信した露光手段16は、この命令に従って、露光時間を第2露光時間に設定する。これにより露光手段16は、第2速度に最も適した露光時間で、第2感光体ドラム44a表面の感光体を露光する。
【0076】
また、制御部は、第2制御情報に含まれる第2定着温度を含む定着温度設定命令を定着手段24に送信する。定着温度設定命令を受信した定着手段24は、この命令に従って、定着温度を第2定着温度に設定する。これにより、定着手段24は、第2トナーカートリッジ46に収納されている第2トナーの定着に最も適した定着温度で、被転写媒体Pに第2トナーを定着させる。
【0077】
定着手段24及び露光手段16に対するこれらの設定動作が終了すると、印刷情報の印刷が行われる。すなわち、まず、第2感光体ドラム44aが第2速度で回転し、帯電手段14が第2感光体ドラム44aの表面の感光体を一様に帯電させる。
【0078】
そして、印刷情報が、露光手段16により第2露光時間で第2感光体ドラム44aに露光され、第2感光体ドラム44aの表面の感光体に印刷情報を担持した静電潜像が形成される。
【0079】
静電潜像を担持した第2感光体ドラム44aは、第2速度で回転し、やがて現像手段18に至る。そして、第2トナーカートリッジ46に収納されている第2トナーを供給された現像手段18が静電潜像に第2トナーを付着させることで、第2感光体ドラム44aの表面の感光体にトナー像を形成する。
【0080】
トナー像を担持した第2感光体ドラム44aは、第2速度で回転し、やがて転写手段22に至る。そして、搬送手段32dにより、第2速度で搬送される被転写媒体Pに対して、トナー像が転写される。
【0081】
トナー像の転写が終了した第2感光体ドラム44aは、第2速度で回転し、やがてクリーニング手段20に至る。そして、クリーニング手段20のクリーニングブレード20aにより第2感光体ドラム44aの表面に残留するトナーが掻き取られる。
【0082】
一方、トナー像が転写された被転写媒体Pは、搬送手段32dにより第2速度で搬送されて、定着手段24に至る。そして、定着手段24のローラ対を通過する際に第2定着温度で加熱される。その結果、トナー像が被転写媒体Pに定着される。
【0083】
(効果)
以上説明したように、この実施の形態の電子写真装置30では、第1ドラムカートリッジ34を第2ドラムカートリッジ44に交換するだけで、第1従動ギアJG1と第1駆動ギアKG1の間の第1ギア比を、第2従動ギアJG2と第2駆動ギアKG2との間の第2ギア比に変更することができる。その結果、本体32を交換することなく電子写真の印刷速度を変更することができる。
【0084】
(変形例)
(1)この実施の形態では、第1及び第2印刷条件記憶部36b及び46bとして、ROMを用いた場合について説明した。しかし、第1及び第2印刷条件記憶部36b及び46bは、ROMに限定されない。例えば、バーコードに必要な情報を記録しておき、本体32がそのバーコードを読み取るように構成してもよい。
【0085】
(2)この実施の形態では、第1及び第2印刷条件記憶部36b及び46bに記憶する情報が第1及び第2速度と第1及び第2定着温度である場合について説明した。しかし、第1及び第2印刷条件記憶部36b及び46bに記憶する情報は、これらの情報には限定されない。例えば、転写バイアスや定着手段24の被転写媒体を押圧する圧力等の情報が記憶されていてもよい。
【0086】
(3)この実施の形態では、第1及び第2トナーカートリッジ36及び46が、第1及び第2制御情報を記憶している場合について説明した。仮に、第1及び第2トナーカートリッジ36及び46が制御情報を記憶していない場合には、本体32に予め記憶されているデフォルトの制御情報を用いて印刷を行うように構成してもよい。
【0087】
(4)この実施の形態では、第1及び第2従動ギアJG1及びJG2と、第1及び第2駆動ギアKG1及びKG2との間のギア比を変更することにより、印刷速度を変える場合について説明した。しかし、ギア比を変更するギアは、第1及び第2従動ギアJG1及びJG2、並びに第1及び第2駆動ギアKG1及びKG2には限定されない。ギア比を変更するギアは、電子写真装置30に含まれる他のギアであってもよい。
【0088】
(5)この実施の形態では、第1及び第2感光体ドラム34a及び44aを用いた電子写真装置30について説明した。しかし、この発明は、感光体ドラム式の電子写真装置30には限定されず、例えば、感光体ベルト式の電子写真装置に適用することも可能である。
【0089】
(6)この実施の形態では、第1ドラムカートリッジ34を第2ドラムカートリッジ44に交換することで、印刷速度を増加させる場合について説明した。しかし、この発明は、印刷速度を増加することのみには限定されず、印刷速度を減少させる場合にも成り立つ。
【0090】
<実施の形態2>
続いて図5を参照して、実施の形態2の電子写真装置について説明する。図5は、電子写真装置の概略的な構成を示す模式図であり、電子写真装置に含まれる回転駆動系のギア列を主に示している。
【0091】
図5に示すように、この実施の形態の電子写真装置40は、モータ41の回転速度が可変である点、及び駆動ギア列42の組合せを除き、実施の形態1の電子写真装置30と同様に構成されている。そこで、以下の説明においては、電子写真装置30との相違点について主に説明する。
【0092】
電子写真装置40は、モータ41と、駆動ギア列42と制御部50を備えている。駆動ギア列42は、ギア42a、42b、42c及び42dとから構成されている。
【0093】
モータ41は、電子写真装置40の回転駆動系の部品に回転駆動力を供給する動力源であり、図示しない固定手段により本体32に固定されている。モータ41には、駆動ギア列42が接続されている。モータ41は、回転速度が可変とされており、第1ドラムカートリッジ34が本体32に装着された場合と、第2ドラムカートリッジ44が本体32に装着された場合とで、回転速度が変化するように構成されている。なお、この点については、動作の項で詳述する。以下、第1ドラムカートリッジ34が本体32に装着された場合を例にとって説明する。
【0094】
ギア42aは、モータ41と同軸に接続されているとともに、搬送手段32dの搬送ローラ26bにも同軸に接続されている。その結果、モータ41が回転することにより、搬送手段32dの搬送ローラ26bは、モータ41からの回転駆動力を伝達されて所定の周速度で回転する。
【0095】
ギア42bは、ギア42aと噛合しているとともに、第1感光体ドラム34aにも同軸に接続されている。その結果、モータ41が回転することにより、モータ41の回転駆動力は、モータ41→ギア42a→ギア42bと伝達されて、第1感光体ドラム34aが所定の周速度で回転する。
【0096】
ギア42cは、ギア42b及びギア42dと噛合している。ギア42cは、第1ドラムカートリッジ34に軸受を介して固定されている。ギア42cは、モータ41→ギア42a→ギア42bの順で伝達されたモータ41からの回転駆動力をギア42dに伝達する役割を有する。
【0097】
ギア42dは、ギア42cと噛合しているとともに、第1トナーカートリッジ36のトナー攪拌装置36aに同軸に接続されている。ギア42dは、モータ41→ギア42a→ギア42b→ギア42c→ギア42dの順に伝達されたモータ41からの回転駆動力をトナー攪拌装置36aに伝達する役割を有する。
【0098】
制御部50は、公知のCPUで構成されており、後述するように、モータ41の回転速度を制御する機能を有する。
【0099】
(動作)
以下、図5を参照して、この実施の形態の電子写真装置40の動作について説明する。
【0100】
上述したように、電子写真装置40は、第1ドラムカートリッジ34が装着された場合と、第2ドラムカートリッジ44が装着された場合とで、モータ41の回転速度を変化させる。以下、特にこの点について詳細に説明する。
【0101】
まず始めに、第1ドラムカートリッジ34が装着されている場合について説明する。
【0102】
本体32に電源が投入されるか、又は、トナーカートリッジが交換されると、これらの動作をキーとして制御情報読み出し命令が本体32に設けられた制御部50に発せられる。この制御情報読み出し命令を受信した制御部50は、第1トナーカートリッジ36の第1印刷条件記憶部36bに記憶されている第1制御情報を読み出す。ここで、第1制御情報とは、(1)モータ41の回転速度(以下、第1回転速度と称する。)と、(2)定着手段24の定着温度(以下、第1定着温度と称する。)に関する情報である。制御部50は、モータ41に印加する電圧を変更することにより、モータ41の回転速度を第1回転速度に調整する。
【0103】
そして制御部50は、読み出された第1制御情報に従い、露光手段16と定着手段24とを制御する。具体的には、制御部50は、モータ41の第1回転速度を元にして、適切な露光時間(以下、第1露光時間と称する。)を算出する。そして、露光手段16に対して、第1露光時間を含む露光時間設定命令を送信する。露光時間設定命令を受信した露光手段16は、この命令に従って、露光時間を第1露光時間に設定する。これにより露光手段16は、第1回転速度に最も適した露光時間で、第1感光体ドラム34a表面の感光体を露光する。
【0104】
また、制御部50は、第1制御情報に含まれる第1定着温度を含む定着温度設定命令を定着手段24に送信する。定着温度設定命令を受信した定着手段24は、この命令に従って、定着温度を第1定着温度に設定する。これにより、定着手段24は、第1トナーカートリッジ36に収納されている第1トナーの定着に最も適した定着温度で、被転写媒体Pに第1トナーを定着させる。
【0105】
定着手段24及び露光手段16に対するこれらの設定動作が終了すると、印刷情報の印刷が行われる。すなわち、モータ41が第1回転速度で回転することにより、第1感光体ドラム34aを第1速度で回転させ、帯電手段14が第1感光体ドラム34aの表面の感光体を一様に帯電させる。
【0106】
そして、印刷情報が、露光手段16により第1露光時間で第1感光体ドラム34aに露光され、第1感光体ドラム34aの表面の感光体に印刷情報を担持した静電潜像が形成される。
【0107】
静電潜像を担持した第1感光体ドラム34aは、第1速度で回転し、やがて現像手段18に至る。そして、第1トナーカートリッジ36に収納されている第1トナーを供給された現像手段18が静電潜像に第1トナーを付着させることで、第1感光体ドラム34aの表面の感光体にトナー像を形成する。
【0108】
トナー像を担持した第1感光体ドラム34aは、第1速度で回転し、やがて転写手段22に至る。そして、搬送手段32dにより、第1速度で搬送される被転写媒体Pに対して、トナー像が転写される。
【0109】
トナー像の転写が終了した第1感光体ドラム34aは、第1速度で回転し、やがてクリーニング手段20に至る。そして、クリーニング手段20のクリーニングブレード20aにより第1感光体ドラム34aの表面に残留するトナーが掻き取られる。
【0110】
一方、トナー像が転写された被転写媒体Pは、搬送手段32dにより第1速度で搬送されて、定着手段24に至る。そして、定着手段のローラ対を通過する際に第1定着温度で加熱される。その結果、トナー像が被転写媒体に定着される。
【0111】
続いて、第1ドラムカートリッジ34に代えて第2ドラムカートリッジ44が装着された場合の動作について説明する。
【0112】
本体32に電源が投入されるか、又は、トナーカートリッジが交換されると、これらの動作をキーとして制御情報読み出し命令が本体32に設けられた制御部50に発せられる。この制御情報読み出し命令を受信した制御部50は、第2トナーカートリッジ46の第2印刷条件記憶部46bに記憶されている第2制御情報を読み出す。ここで、第2制御情報とは、上述したように、(1)モータ41の回転速度(以下、第2回転速度と称する。)と、(2)定着手段24の定着温度(以下、第2定着温度と称する。)に関する情報である。
【0113】
そして制御部50は、読み出された第2制御情報に従い、モータ41と露光手段16と定着手段24とを制御する。具体的には、制御部50は、モータ41の回転速度を第2回転速度に調整する。さらに、制御部50は、モータ41の第2回転速度を元にして、適切な露光時間(以下、第2露光時間と称する。)を算出する。そして、露光手段16に対して、第2露光時間を含む露光時間設定命令を送信する。露光時間設定命令を受信した露光手段16は、この命令に従って、露光時間を第2露光時間に設定する。これにより露光手段16は、第2回転速度に最も適した露光時間で、第2感光体ドラム44aの表面の感光体を露光する。
【0114】
また、制御部50は、第2制御情報に含まれる第2定着温度を含む定着温度設定命令を定着手段24に送信する。定着温度設定命令を受信した定着手段24は、この命令に従って、定着温度を第2定着温度に設定する。これにより、定着手段24は、第2トナーカートリッジ46に収納されている第2トナーの定着に最も適した定着温度で、被転写媒体Pに第2トナーを定着させる。
【0115】
定着手段24及び露光手段16に対するこれらの設定動作が終了すると、印刷情報の印刷が行われる。すなわち、モータ41が第2回転速度で回転することにより、第2感光体ドラム44aを第2速度で回転させ、帯電手段14が第2感光体ドラム44aの表面の感光体を一様に帯電させる。
【0116】
そして、印刷情報が、露光手段16により第2露光時間で第2感光体ドラム44aに露光され、第2感光体ドラム44aの表面の感光体に印刷情報を担持した静電潜像が形成される。
【0117】
静電潜像を担持した第2感光体ドラム44aは、第2速度で回転し、やがて現像手段18に至る。そして、第2トナーカートリッジ46に収納されている第2トナーを供給された現像手段18が静電潜像に第2トナーを付着させることで、第2感光体ドラム44aの表面の感光体にトナー像を形成する。
【0118】
トナー像を担持した第2感光体ドラム44aは、第2速度で回転し、やがて転写手段22に至る。そして、搬送手段32dにより、第2速度で搬送される被転写媒体Pに対して、トナー像が転写される。
【0119】
トナー像の転写が終了した第2感光体ドラム44aは、第2速度で回転し、やがてクリーニング手段20に至る。そして、クリーニング手段20のクリーニングブレード20aにより第2感光体ドラム44aの表面に残留するトナーが掻き取られる。
【0120】
一方、トナー像が転写された被転写媒体Pは、搬送手段32dにより第2速度で搬送されて、定着手段24に至る。そして、定着手段のローラ対を通過する際に第2定着温度で加熱される。その結果、トナー像が被転写媒体に定着される。
【0121】
(効果)
以上説明したように、この実施の形態の電子写真装置40では、第1ドラムカートリッジ34を第2ドラムカートリッジ44に交換するだけで、制御部50がトナーカートリッジに設けられた印刷条件記憶部の制御情報を読み出してモータ41の回転速度を変更するので、本体32を交換することなく、電子写真の印刷速度を変更することができる。
【符号の説明】
【0122】
10,30,40 電子写真装置
12 感光体ドラム
14 帯電手段
16 露光手段
18 現像手段
20 クリーニング手段
20a クリーニングブレード
22 転写手段
24 定着手段
26 搬送手段
26a 搬送ベルト
26b 搬送ローラ
28 トナーカートリッジ
32 本体
32a,41 モータ
32b 本体側ギア
32d1,34c1〜34c4,36a1,42a〜42d ギア
32d 搬送手段
32e ドラムカートリッジ装着部
34 第1ドラムカートリッジ
34a 第1感光体ドラム
KG1 第1駆動ギア
JG1 第1従動ギア
34c 第1カートリッジ側ギア機構
36 第1トナーカートリッジ
36a トナー攪拌装置
36b 第1印刷条件記憶部
42 駆動ギア列
44 第2ドラムカートリッジ
44a 第2感光体ドラム
KG2 第2駆動ギア
JG2 第2従動ギア
44c 第2カートリッジ側ギア機構
46 第2トナーカートリッジ
46b 第2印刷条件記憶部
50 制御部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体ドラム及びカートリッジ側ギア機構を備えるドラムカートリッジと、
該ドラムカートリッジの装着が可能なドラムカートリッジ装着部、回転駆動力を発生するモータ、前記感光体ドラムに静電潜像を形成する露光手段、該静電潜像の転写像が形成される被転写媒体を搬送する搬送手段及び、本体側ギアを備える本体とを備えており、
前記ドラムカートリッジとして互換性のある第1及び第2ドラムカートリッジを備えており、
A:前記第1ドラムカートリッジは、
(a1)前記感光体ドラムとしての第1感光体ドラム、
(b1)該第1感光体ドラムを帯電させる第1帯電手段、及び
(c1)前記第1感光体ドラムに前記露光手段によって形成された静電潜像からトナー像を形成する第1現像手段の各構成要素と、
(d1)これら構成要素のうちで1つ以上の可回転駆動型の第1構成要素に前記回転駆動力を伝達するために、前記本体側ギアと接続される、前記カートリッジ側ギア機構としての第1カートリッジ側ギア機構とを備えており、
B:前記第2ドラムカートリッジは、
(a2)前記感光体ドラムとしての第2感光体ドラム、
(b2)該第感光体2ドラムを帯電させる第2帯電手段、及び
(c2)前記第2感光体ドラムに前記露光手段によって形成された静電潜像からトナー像を形成する第2現像手段の各構成要素と、
(d2)これら構成要素のうちで1つ以上の可回転駆動型の第2構成要素に前記回転駆動力を伝達するために、前記本体側ギアと接続される、前記カートリッジ側ギア機構としての第2カートリッジ側ギア機構とを備えており、
前記本体側ギアは、前記回転駆動力を前記カートリッジ側ギア機構に伝達し、
前記第1カートリッジ側ギア機構は、前記本体側ギアから回転駆動力を伝達されて回転する第1駆動ギアと、該第1駆動ギアに第1ギア比で噛合して従動し、前記第1構成要素の周速度及び前記搬送手段の搬送速度を前記第1ギア比で決定される第1速度でそれぞれを駆動させるための第1従動ギアとを備えており、
前記第2カートリッジ側ギア機構は、前記本体側ギアから回転駆動力を伝達されて回転する第2駆動ギアと、該第2駆動ギアに第2ギア比で噛合して従動し、前記第2構成要素の周速度及び前記搬送手段の搬送速度を前記第2ギア比で決定される第2速度でそれぞれを駆動させるための第2従動ギアとを備えていることを特徴とする電子写真装置。
【請求項2】
前記第1ドラムカートリッジは、これに着脱自在に取り付けられていて、前記第1従動ギアから伝達される回転駆動力により駆動される可回転駆動型であって、内部に第1トナーを収納した第1トナーカートリッジを備えており、
前記第2ドラムカートリッジは、これに着脱自在に取り付けられていて、前記第2従動ギアから伝達される回転駆動力により駆動される可回転駆動型であって、内部に第2トナーを収納した第2トナーカートリッジを備えていることを特徴とする請求項1に記載の電子写真装置。
【請求項3】
前記本体が、被転写媒体に転写されたトナー像を加熱により定着させる定着手段をさらに備え、
前記第1トナーカートリッジが、前記第1トナー及び前記第1搬送速度に対応した前記定着手段の定着温度と前記第1速度に対応した第1感光体ドラムの回転速度とに関する第1制御情報を保持しており、
前記第2トナーカートリッジが、前記第2トナー及び前記第2搬送速度に対応した前記定着手段の定着温度と前記第2速度に対応した第2感光体ドラムの回転速度とに関する第2制御情報を保持していることを特徴とする請求項2に記載の電子写真装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子写真装置の印刷速度を変更するに当たり、
前記第1ドラムカートリッジが、前記本体のドラムカートリッジ装着部に装着されていて、前記電子写真装置の印刷速度が、前記モータの回転駆動力により、前記第1ギア比で決定される前記第1構成要素の周速度及び前記搬送手段の搬送速度を第1速度とした第1印刷速度に設定されている当該電子写真装置から、前記第1ドラムカートリッジを取り出し、
該第1ドラムカートリッジが取り出された後の前記カートリッジ装着部に前記第2ドラムカートリッジを装着することによって、前記電子写真装置の印刷速度を、前記モータの回転駆動力により、前記第2ギア比で決定される前記第2構成要素の周速度及び前記搬送手段の搬送速度を第2速度とした第2印刷速度に設定することを特徴とする電子写真装置の印刷速度変更方法。
【請求項5】
感光体ドラムカートリッジ装着部及びモータを備える本体と、感光体ドラムカートリッジを含み、該感光体ドラムカートリッジとして、
(a)第1感光体ドラム、該第1感光体ドラムを一様に帯電する第1帯電手段、及び静電潜像にトナーを付着させてトナー像を得る第1現像手段の各構成要素を備えており、前記モータから伝達された回転駆動力により前記構成要素のうちで可回転駆動型の1つ以上の構成要素を回転させる、第1ドラムカートリッジと、
(b)第2感光体ドラム、該第2感光体ドラムを一様に帯電する第2帯電手段、及び静電潜像にトナーを付着させてトナー像を得る第2現像手段の各構成要素を備えており、前記モータから伝達された回転駆動力により前記構成要素のうちで可回転駆動型の1つ以上の構成要素を回転させる、第2ドラムカートリッジとを備え、及び
前記本体は、
前記モータから伝達された回転駆動力により駆動されて、被転写媒体を搬送する搬送手段と、
一様に帯電された前記第1又は第2感光体ドラムに前記静電潜像を形成する露光手段と、
前記感光体ドラムカートリッジ装着部に前記第1及び第2ドラムカートリッジのいずれかが装着されるごとに前記モータの前記第1又は第2ドラムカートリッジに適合した回転速度に設定する制御部とを備えることを特徴とする電子写真装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2010−217214(P2010−217214A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−60448(P2009−60448)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】