説明

電子回路装置の製造方法、電子回路装置

【課題】電子部品付き基板を封止する樹脂部におけるラジアル形電子部品と回路基板との間に残存する気泡の量(残存量)を減少(あるいは解消)させて、前記気泡に起因するラジアル形電子部品のリード線の断線等の不都合を防止して電子部品付き基板の長期信頼性を高めることができる電子回路装置の製造方法、電子回路装置の提供。
【解決手段】回路基板21にラジアル形電子部品22をそのパッケージ部22aが回路基板21から張り出す張出部22dを形成するようにオフセットして実装した電子部品付き基板20をケース10の基板収容凹所11に収容し、電子部品付き基板を封止する樹脂部を形成するための液状樹脂材料Rをラジアル形電子部品22の張出部22dに当てるようにして基板収容凹所11内に注入して充填し硬化させて樹脂部を形成する電子回路装置の製造方法、電子回路回路装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車、自動二輪車等に使用される電子回路装置の製造方法、電子回路装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車、自動二輪車等に使用されるパワートランジスタモジュールやスイッチング電源モジュールといった大電力電子部品モジュールとして用いられる電子回路装置(混成集積回路装置)としては、トランジスタ等の電子部品(回路素子)を実装した基板(以下、電子部品付き基板とも言う)を収容したケース内に液状樹脂材料を流し込んで硬化させ、前記電子部品付き基板を埋め込む樹脂部を形成し、この樹脂部によって電子部品付き基板全体を封止して、振動に対する保護や防水性の確保を実現する技術が知られている(例えば特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−103178号公報
【特許文献2】特開平9−46072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のように回路素子を埋め込む樹脂部を形成した電子回路装置(以下、樹脂埋め込み形回路装置とも言う)にあっては、従来、電子部品付き基板の樹脂封止の際に回路素子の付近の樹脂部中に気泡が残存することがあり、この気泡が温度サイクルによって膨張収縮を繰り返す結果、回路基板や電子部品に応力が掛かるといった問題があった。
【0005】
本発明者は、特に、図4に示すように、電解コンデンサ、抵抗器、小型トランス、コイル等の比較的大型のパッケージ部111を有するラジアル形電子部品110(ラジアルリード形の受動回路素子)を回路基板121に実装してなる電子部品付き基板120を採用した場合に、前記ラジアル形電子部品110のパッケージ部111と回路基板121との間の隙間部分131に気泡132が残りやすく、前記隙間部分131での気泡132の残存量が多い(気泡のサイズが大きい、あるいは、多数の気泡が存在する)と、温度サイクルに伴う気泡132の膨張収縮によって、パッケージ部111から延びるリード線112に応力が掛かりリード線112の断線の原因になったり、前記リード線112と回路基板121の配線部との間の接続状態に影響を与え、電子回路装置の寿命短縮の原因になる場合があることを突き止めた。
このため、前記樹脂部を形成するための液状樹脂材料133をケース134に流し込む際に、ラジアル形電子部品と回路基板との間からエアを効率良く排出することができ、気泡の残存量を減少(あるいは解消)することができる技術の開発が求められていた。
【0006】
本発明は、前記課題に鑑みて、電子部品付き基板を封止する樹脂部においてラジアル形電子部品と回路基板との間に残存する気泡の量(残存量)を減少(あるいは解消)させることができ、前記気泡に起因するラジアル形電子部品のリード線の断線等の不都合を防止することができ、電子部品付き基板の長期信頼性を高めることができる電子回路装置の製造方法、電子回路装置の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明では以下の構成を提供する。
第1の発明は、回路基板に電子部品を実装してなる電子部品付き基板を、回路基板を収容するためのケースに形成された基板収容凹所に収容した後、前記基板収容凹所内に液状樹脂材料を充填して硬化させることで、前記液状樹脂材料が硬化してなる樹脂部中に前記電子部品付き基板が埋め込まれた構成の電子回路装置を製造する方法であって、前記電子部品付き基板として、ラジアル形電子部品をそのパッケージ部の一部が前記回路基板の外周から張り出す張出部を形成するようにして前記回路基板に実装したものを採用し、この電子部品付き基板を前記ラジアル形電子部品が前記回路基板に対して前記ケースの前記基板収容凹所の開口部とは反対側となる向きで前記ケースの前記基板収容凹所に収容する基板収容工程を行った後、前記液状樹脂材料を前記基板収容凹所の開口部を介して前記電子部品付き基板における前記ラジアル形電子部品の前記パッケージ部の前記張出部に当てるように前記基板収容凹所内に注入して充填し硬化させることで前記樹脂部を形成する樹脂部形成工程を行うことを特徴とする電子回路装置の製造方法を提供する。
第2の発明は、前記電子部品付き基板として、前記回路基板において前記ラジアル形電子部品のパッケージ部と対面する領域であるオフセット部品実装領域から前記ケースの前記基板収容凹所の開口部内周面に対面される前記回路基板の端部とは反対側の位置に、前記ケースの前記基板収容凹所に注入した前記液状樹脂材料によって前記回路基板の前記オフセット部品実装領域と前記ラジアル形電子部品の前記パッケージ部との間から移されるエアを排出するためのエア抜き孔が形成されているものを用いることを特徴とする請求項1の発明の電子回路装置の製造方法を提供する。
第3の発明は、前記エア抜き孔が、前記回路基板に、前記オフセット部品実装領域の外周に沿って延在する長孔状に形成されていることを特徴とする第2の発明の電子回路装置の製造方法を提供する。
第4の発明は、回路基板を収容するためのケースに形成された基板収容凹所内に、回路基板に電子部品を実装してなる電子部品付き基板を有し、前記電子部品付き基板を、前記基板収容凹所に充填した液状樹脂材料を硬化させて形成した樹脂部によって埋め込んで構成される電子回路装置であって、前記電子部品付き基板は、ラジアル形電子部品をそのパッケージ部の一部が前記回路基板の外周から張り出す張出部を形成するようにして前記回路基板に実装したものであり、前記ラジアル形電子部品が前記回路基板に対して前記ケースの前記基板収容凹所の開口部とは反対側となる向きで前記ケースの前記基板収容凹所に収容されており、前記液状樹脂材料を前記基板収容凹所内に充填する際に、前記基板収容凹所に前記電子部品付き基板が収容された状態にて、前記液状樹脂材料を前記基板収容凹所の開口部を介して前記電子部品付き基板における前記ラジアル形電子部品の前記パッケージ部の前記張出部に当てるようにして前記基板収容凹所内に注入し、充填後、硬化させることにより前記樹脂部を形成してなることを特徴とする電子回路装置を提供する。
第5の発明は、前記電子部品付き基板は、前記回路基板において前記ラジアル形電子部品のパッケージ部と対面する領域であるオフセット部品実装領域から前記ケースの前記基板収容凹所の開口部内周面に対面される前記回路基板の端部とは反対側の位置に、前記ケースの前記基板収容凹所に注入した前記液状樹脂材料によって前記回路基板の前記オフセット部品実装領域と前記ラジアル形電子部品の前記パッケージ部との間から移されるエアを排出するためのエア抜き孔が形成されていることを特徴とする第4の発明の電子回路装置を提供する。
第6の発明は、前記エア抜き孔が、前記回路基板に、前記オフセット部品実装領域の外周に沿って延在する長孔状に形成されていることを特徴とする第5の発明の電子回路装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電子部品付き基板を封止する樹脂部を形成するための液状樹脂材料をケースの基板収容凹所に流し込んで充填する際に、前記液状樹脂材料を、前記基板収容凹所に収容された前記電子部品付き基板におけるラジアル形電子部品のパッケージ部の張出部に当てるようにして前記基板収容凹所の開口部から前記基板収容凹所内に注入することで、ラジアル形電子部品のパッケージ部と回路基板との間を通って流れる液状樹脂材料によってラジアル形電子部品のパッケージ部と回路基板との間からエアを排出することができ、樹脂部においてラジアル形電子部品と回路基板との間に残存する気泡の量(残存量)を減少(あるいは解消)させることができる。その結果、前記気泡に起因するラジアル形電子部品のリード線の断線等の不都合を防止することができ、電子部品付き基板の長期信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る実施形態を説明する図であって、電子部品付き基板をケースの基板収容凹所に収容して組み立てたアセンブリ体を示す平面図である。
【図2】本発明に係る電子回路装置の製造方法を説明する図であって、(a)は図1アセンブリ体を示す正断面図、(b)は前記アセンブリ体のケースの基板収容凹所内に充填した液状樹脂材料を硬化させて樹脂部を形成して得た電子回路装置の構成を示す正断面図である。
【図3】エア抜き孔の変形例を説明する平面図である。
【図4】従来例の電子回路装置の製造方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の1実施形態を図面を参照して説明する。
まず、電子回路装置について説明する。
ここで説明する電子回路装置は、自動車、自動二輪車等に使用されるパワートランジスタモジュールやスイッチング電源モジュールといった大電力電子部品モジュールとして用いられるものである。
図2(b)に示すように、前記電子回路装置1は、回路基板を収容するためのケース10と、回路基板21に電子部品を実装してなり前記ケース10に形成された基板収容凹所11に収容された電子部品付き基板20とを具備し、前記電子部品付き基板20が前記基板収容凹所11に充填された樹脂部30中に埋め込まれた概略構成になっている。
【0011】
前記電子回路装置1は、前記電子部品付き基板20を前記ケース10の前記基板収容凹所11に収容した状態で、前記樹脂部30を形成するための液状樹脂材料R(図2(a)参照)を基板収容凹所11内に注入して充填し硬化させる(前記樹脂部30を形成する)ことで製造される。
図1、図2(a)は、前記ケース10の前記基板収容凹所11に液状樹脂材料Rを充填する前の状態を示す図であって、前記電子部品付き基板20を前記ケース10の前記基板収容凹所11に収容して組み立てたアセンブリ体2を示す。前記電子回路装置1は、アセンブリ体2のケース10の基板収容凹所11に液状樹脂材料Rを充填し、この液状樹脂材料Rを硬化させて樹脂部30を形成することで得られる。
まず、前記アセンブリ体2及び該アセンブリ体2を構成するケース10、電子部品付き基板20について、図1、図2(a)を参照して説明する。なお、本発明に係る電子回路装置の製造方法については後に詳述する。
【0012】
図1、図2(a)、(b)に示すように、前記電子部品付き基板20は、矩形板状の回路基板21に複数の電子部品を実装した構成になっている。図示例の電子部品付き基板20は、電子部品として、ラジアル形電子部品22(本実施形態において具体的には電解コンデンサ)と、アキシャル形電子部品23と、例えばSOP(Small Outline Package)、QFP(Quad Flat Package)、BGA(Ball grid array)、LGA(Land grid array)、CSP(Chip size package)といった表面実装形電子部品24とを回路基板21に実装した構成になっている。アキシャル形電子部品23としては例えば抵抗器、ダイオード等が採用される。表面実装形電子部品24としては例えばIC(集積回路)、抵抗器等が採用される。
【0013】
なお、本発明に係る電子部品付き基板は、回路基板21に電子部品としてラジアル形電子部品22が実装されていることが必須である。また、電子部品付き基板は、回路基板21にラジアル形電子部品22の他に、アキシャル形電子部品23、表面実装形電子部品24の両方が実装されている構成に限定されず、アキシャル形電子部品23、表面実装形電子部品24の一方のみが実装されている構成も採用可能である。さらに、電子部品付き基板としては、回路基板21に電子部品としてラジアル形電子部品22のみが実装されている構成も採用できる。
【0014】
回路基板21に実装されるラジアル形電子部品22以外の電子部品としては、上述のアキシャル形電子部品23、表面実装形電子部品24に限定されず、例えば、挿入形電子部品等も採用可能である。
回路基板21に実装されるラジアル形電子部品22以外の電子部品を、以下、非ラジアル形電子部品(図中符号25を付す)とも言う。
【0015】
図示例の電子部品付き基板20は、非ラジアル形電子部品25が回路基板21の両面に実装されている構成になっているが、本発明はこれに限定されず、非ラジアル形電子部品25が回路基板21の片面のみに実装されている構成も採用可能である。
【0016】
前記ラジアル形電子部品22としては、例えば外観円柱状、角柱状等のパッケージ部22aを有するものが採用される。図示例のラジアル形電子部品22(具体的には電解コンデンサ)は、外観円柱状のパッケージ部22aの軸方向片端から2本のリード線22bが延出された構成になっている。
【0017】
前記ラジアル形電子部品22のパッケージ部22aの軸方向両端の内、前記リード線22bが延出されている側を、以下、底側とも言う。
パッケージ部22aは、その底側の端部にゴム等の弾性材からなるシート状の防振材22eを具備しており、この防振材22eによってパッケージ部22aの底側端面22cが形成されている。前記防振材22eには前記底側端面22cから窪む溝22fが形成されている。前記溝22fは、回路基板21と該回路基板21に実装したラジアル形電子部品22のパッケージ部22aとの間に、電子回路装置1の樹脂部30を形成するためにケース10の基板収容凹所11に流し込む液状樹脂材料Rを流通させる流路を確保する機能を果たす。前記溝22fを、以下、樹脂材料流通溝とも言う。図1に例示したラジアル形電子部品22の前記樹脂材料流通溝22fはパッケージ部22aの底側端面22cの中央部から四方に延在する十字状に形成されている。
【0018】
なお、このラジアル形電子部品22のリード線22bは、前記樹脂材料流通溝22fの溝底(底面22f1。図2(a)参照)から延出されている。また、リード線22bは、前記樹脂材料流通溝22fの両側(溝幅方向両側)の内側面から離隔されており、前記樹脂材料流通溝22fの内側面とリード線22bとの間には液状樹脂材料Rが流通可能なクリアランスが確保されている。
【0019】
前記ラジアル形電子部品22は、パッケージ部22aの底側端面22cを回路基板21に当接させ(回路基板21の両面の主面の片方(図示例では第1主面21a)に当接させる)、前記回路基板21に形成されている貫通孔21cに前記リード線22bを通し、前記リード線22bの先端を前記回路基板21における前記ラジアル形電子部品22のパッケージ部22aとは反対側の面(第2主面21b)に形成されている回路配線(図示略)に半田付けして電気的に接続して回路基板21に実装されている。
【0020】
図1、図2(a)に示すように、前記電子部品付き基板20において、前記ラジアル形電子部品22は、そのパッケージ部22aの一部が前記回路基板21の外周から張り出す張出部22dを形成するようにして前記回路基板21に実装されている。
つまり、前記ラジアル形電子部品22の回路基板21に対する実装位置は、パッケージ部22aの底側端面22cに、前記回路基板21と対面する領域と回路基板21の外周から外側に位置して回路基板21と対面していない領域とが確保されるようにしてオフセットされている。
また、前記回路基板21において、前記ラジアル形電子部品22のパッケージ部22a(詳細には底側端面22c)と対面する領域を、以下、オフセット部品実装領域21dと称する。
【0021】
前記ラジアル形電子部品22のパッケージ部22aの張出部22dは、矩形板状の前記回路基板21の外周の4側縁211〜214のひとつ(ここでは符号211の側縁。この側縁を、以下、電子部品オフセット側縁とも言う)から張り出されている。
また、図示例の電子部品付き基板20にあっては、回路基板21にラジアル形電子部品22を複数(具体的には2つ)実装している。複数のラジアル形電子部品22は、回路基板21の前記電子部品オフセット側縁211に沿う複数箇所に互いに間隔をあけて実装されている。複数のラジアル形電子部品22は、それぞれ、そのパッケージ部22aが回路基板21の電子部品オフセット側縁211から張り出された張出部22dを有するように回路基板21に対してオフセットして実装されている。
【0022】
図1、図2(a)に例示した前記電子部品付き基板20の前記ラジアル形電子部品22は、そのパッケージ部22aの断面積(パッケージ部22aの底側端面22cに直交する軸線に垂直の断面積)の3分の1程度が電子部品オフセット側縁211から張り出されるようにしてオフセットして回路基板21に実装されている。
図1に例示したラジアル形電子部品22の前記樹脂材料流通溝22fは、パッケージ部22aの底側端面22cの中央部から四方に延在する4本の枝溝22gによって構成されている。4本の枝溝22gのうち3本はその全体が回路基板21のオフセット部品実装領域21dと対面する位置にある。残りの1本の枝溝22gは、パッケージ部22aの底側端面22cの中央部から前記張出部22dに延在している。この枝溝22gに図中符号22g1を付し、以下、張出部溝とも言う。
【0023】
なお、上述の樹脂材料流通溝22fの4本の枝溝22gは、パッケージ部22aの底側端面22cの中央部にて互いに連通している。以下、4本の枝溝22gが互いに連通した箇所を溝連通部22hとも言う。前記溝連通部22hからのびる各枝溝22gの先端は開放されている。
また、ラジアル形電子部品22の2本のリード線22bは、張出部溝22g1及び溝連通部22hから前記張出部溝22g1とは反対側に延在する枝溝22g(図1中符号22g2の枝溝)を除く2本の枝溝22gの底面22f1から延出されている。以下、前記リード線22bが延出されている枝溝22gをリード線延出溝とも言う(図中、符号22g3を付す)。
【0024】
前記ケース10は、主壁部13の外周に枠状の囲繞壁14を有し、前記囲繞壁14の内側に前記基板収容凹所11が確保された容器状に構成されている。前記基板収容凹所11は、前記囲繞壁14によって取り囲まれた内側の空間である。この基板収容凹所11は、主壁部13とは反対の側が開放されている(開口部12とされている)。電子部品付き基板20は、前記開口部12から基板収容凹所11に挿入して基板収容凹所11内に収容できる。
【0025】
前記基板収容凹所11の開口部12の周囲に位置する前記囲繞壁14の口縁部の端面は、電子回路装置1を自動車や自動二輪車の構成部材(例えば自動車や自動二輪車のボディ)に取り付ける際に前記構成部材に当接される当接面14aを形成する。この当接面14aは平坦に形成されている。図中符号15は前記当接面14aと重なる仮想平面(以下、単に平面とも言う)である。
アセンブリ体2において前記電子部品付き基板20は前記回路基板21が前記平面15と平行、前記ラジアル形電子部品22(詳細にはそのパッケージ部22a)が前記回路基板21に対して前記ケース10の前記基板収容凹所11の開口部12とは反対側となる向きで基板収容凹所11内に収容される。
【0026】
なお、図2(a)に示すように、前記ケース10の前記基板収容凹所11内には、前記回路基板21が前記平面15と平行になる向きで電子部品付き基板20を支持するための支持片18が突設されている。基板収容凹所11内に収容した電子部品付き基板20は、前記支持片18によって支持することで、前記回路基板21が前記平面15と平行になる向きとすることができる。
【0027】
図示例の前記ケース10の囲繞壁14は、前記主壁部13の外周に立設された3つの側壁部141、142、143によってコ字状に形成されたコ字状側壁部14bとケース10に取り付けられたコネクタ部144とによって構成され、前記基板収容凹所11に収容される電子部品付き基板20を取り囲む枠状に形成されている。
前記囲繞壁14を構成する3つの側壁部141、142、143及びコネクタ部144の内、基板収容凹所11を介して対向する一対の側壁部141、142は互いに平行に形成されている。また、前記コネクタ部144は基板収容凹所11を介して符号143の側壁部と対向する位置に設けられており、基板収容凹所11を介して対向する一対の側壁部141、142の間隔方向(図1において上下方向。以下、ケース幅方向とも言う)に沿って延在している。前記側壁部143もケース幅方向に沿って延在するように形成されている。
なお、図示例のケース10は、具体的には、主壁部13とコ字状側壁部14bとによって構成されたケース本体16に該ケース本体16とは別体のコネクタ部144を固定した構成になっている。
【0028】
また、前記ケース10は、一対の側壁部141、142から基板収容凹所11とは反対側に張り出された板状のボルト固定用板部17を具備しており、このボルト固定用板部17に貫設されているボルト挿通孔17aにボルトを通して自動車や自動二輪車の構成部材(例えば自動車や自動二輪車のボディ)に固定できる。ボルト固定用板部17には、自動車や自動二輪車の構成部材に対して当接される面が、前記囲繞壁14の当接面14aから連続するように前記平面15と重なる位置に形成されている。
【0029】
アセンブリ体2は、電子部品付き基板20を前記ケース10の前記基板収容凹所11に収容し、電線2aを用いて、前記ケース10のコネクタ部144に設けられているコンタクトピン144aと、電子部品付き基板20の回路基板21の回路配線とを電気的に接続してなるものである。前記回路基板21の回路配線及び回路基板21に実装された電子部品によって構成される電子回路は、コネクタ部144のコンタクトピン144aを介してケース10の外部の電子回路と電気的に接続できる。
【0030】
前記アセンブリ体2において、電子部品付き基板20は、矩形板状の回路基板21の外周の4側縁211〜214の内、電子部品オフセット側縁211と該電子部品オフセット側縁211とは反対側に位置する側縁212とがケース幅方向に延在し、他の2つの側縁213、214がケース10において基板収容凹所11を介して対向する側壁部143とコネクタ部144との間隔方向(図1において左右方向。以下、ケース縦方向とも言う)に延在する向きで基板収容凹所11に収容されている。
また、図示例のアセンブリ体2は、ケース縦方向において、回路基板21の電子部品オフセット側縁211が側壁部143側、電子部品オフセット側縁211とは反対側の側縁212がコネクタ部144側となる向きで、電子部品付き基板20を基板収容凹所11内に収容した構成になっている。
【0031】
既述のように、前記電子回路装置1は、前記アセンブリ体2の基板収容凹所11内に液状樹脂材料Rを充填し、この液状樹脂材料Rを硬化させた樹脂部30中に前記電子部品付き基板20を埋め込み状態としたものである。
但し、液状樹脂材料Rは、例えば図2(a)に示すように注入用ノズル41を用いて、ケース10の基板収容凹所11の開口部12からラジアル形電子部品22のパッケージ部22aの張出部22dに当てるようにして注入して基板収容凹所11に充填する。
【0032】
電子部品付き基板20の回路基板21には、オフセット部品実装領域21dから前記電子部品オフセット側縁211とは反対側の位置に、前記基板収容凹所11に注入した前記液状樹脂材料Rによって前記回路基板11の前記オフセット部品実装領域21dと前記ラジアル形電子部品22の前記パッケージ部22aとの間(具体的には樹脂材料流通溝22f)から移されるエアを排出するためのエア抜き孔26が形成されている。
このエア抜き孔26は、ラジアル形電子部品22のパッケージ部22aの張出部22dに当てるようにして基板収容凹所11に注入された液状樹脂材料Rによって前記樹脂材料流通溝22fから該樹脂材料流通溝22fの外に移されるエアを回路基板21の第1主面21a側から第2主面21b側(すなわち基板収容凹所11の開口部12側)に効率良く排出するために設けられるものであり、オフセット部品実装領域21dの近傍に形成される。
【0033】
図1に示すように、図示例の電子部品付き基板20にあっては、前記エア抜き孔26は、回路基板21において、電子部品オフセット側縁211に沿った方向に隣り合うオフセット部品実装領域21dの円弧状外周の湾曲中心間の中間点Lcから電子部品オフセット側縁211とは反対側に若干ずれた位置に形成されている。また、このエア抜き孔26は、電子部品オフセット側縁211に沿う方向の寸法が、隣り合うオフセット部品実装領域21d間の距離(オフセット部品実装領域21dの外周の同士の最短離隔距離d)よりも大きく、隣り合うオフセット部品実装領域21dに対して電子部品オフセット側縁211とは反対側に若干ずれた所に位置する位置関係で形成されている。
【0034】
図示例のエア抜き孔は、電子部品オフセット側縁211に垂直の方向の寸法が電子部品オフセット側縁211に沿う方向の寸法に比べて若干長い細長形状の孔である。
なお、エア抜き孔としては、図示例のものに限定されず、例えば丸孔状や角孔状等であっても良い。丸孔状や角孔状のエア抜き孔についても、電子部品オフセット側縁211に沿う方向の寸法が、隣り合うオフセット部品実装領域21d間の距離よりも大きい孔であることが好ましい。
【0035】
次に、前記電子回路装置1の製造方法(以下、単に製造方法とも言う)を説明する。
ここで説明する製造方法は、前記電子部品付き基板20をケース10に収容してアセンブリ体2を組み立てる基板収容工程と、この基板収容工程の完了後、ケース10の基板収容凹所11内に液状樹脂材料Rを注入して充填し、硬化させることで樹脂部30を形成し、前記樹脂部30中に電子部品付き基板20を埋め込み状態とする(図2(b)参照)樹脂部形成工程とを具備する。
【0036】
基板収容工程では、既述のように、前記電子部品付き基板20を、その回路基板21がケース10の前記平面15と平行、前記ラジアル形電子部品22(詳細にはそのパッケージ部22a)が前記回路基板21に対して前記ケース10の前記基板収容凹所11の開口部12とは反対側となる向きで基板収容凹所11内に収容するとともに、電線2aを用いて、前記ケース10のコネクタ部144に設けられているコンタクトピン144aと電子部品付き基板20の回路基板21の回路配線とを電気的に接続する。
【0037】
樹脂部形成工程は、ケース10の基板収容凹所11内に液状樹脂材料Rを注入して充填し、硬化させることで樹脂部30を形成し、前記樹脂部30中に電子部品付き基板20を埋め込み状態とする工程であるが、本発明では、液状樹脂材料Rをケース10の基板収容凹所11の開口部12からラジアル形電子部品22のパッケージ部22aの張出部22dに当てるようにして注入して基板収容凹所11に充填することを必須とする。
ここで説明する実施形態では、ケース10の基板収容凹所11内への液状樹脂材料Rの注入は、既述のように注入用ノズル41(図2(a)参照)を用いて、液状樹脂材料Rを、ケース10の基板収容凹所11の開口部12からラジアル形電子部品22のパッケージ部22aの張出部22dに当てるようにして注入する。
【0038】
なお、図示例のように、電子部品付き基板として、複数のラジアル形電子部品22を張出部22dを形成するようにして回路基板21に対してオフセットして実装した構成の電子部品付き基板20を採用した場合は、回路基板21に対してオフセットして実装したラジアル形電子部品22に対応する数の注入用ノズル41を使用して液状樹脂材料Rを個々のラジアル形電子部品22の張出部22dに当てるようにして注入することが好ましい。
図1では、回路基板21に対してオフセットして実装した2つのラジアル形電子部品22の張出部22dに対応して使用する2つの注入用ノズル41の位置を仮想線で示した。
【0039】
樹脂部30の形成樹脂としては、例えばエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を好適に採用できる。熱硬化性樹脂の場合、基板収容凹所11に充填した液状樹脂材料Rを加熱して硬化させることで樹脂部30が得られる。
なお、樹脂部30の形成樹脂としては熱硬化性樹脂に限定されず、例えば、2液形、3液形等の複数液の混合によって反応硬化する反応硬化型のもの、湿気硬化型樹脂等も採用可能である。
【0040】
樹脂部形成工程では、液状樹脂材料Rをケース10の基板収容凹所11の開口部12からラジアル形電子部品22のパッケージ部22aの張出部22dに当てるようにして注入することで、ラジアル形電子部品22のパッケージ部22aの底側端部の樹脂材料流通溝22fに、張出部22dに位置する張出部溝22g1から他の枝溝22gへ流入する液状樹脂材料Rの流れを形成する(図1参照)。張出部溝22g1から樹脂材料流通溝22fに流入した液状樹脂材料Rは、溝連通部22hから張出部溝22g1以外の各枝溝22gに分流し、張出部溝22g1以外の各枝溝22gの先端から流出する。これにより、樹脂材料流通溝22f内のエアを該樹脂材料流通溝22f内に形成した液状樹脂樹材料Rの流れによって樹脂材料流通溝22fから円滑に排出することができる。その結果、基板収容凹所への液状樹脂材料の充填完了時にラジアル形電子部品22のリード線22bの基端部付近に残留する気泡の量を減少あるいは残存気泡を無くすことができる。
【0041】
樹脂材料流通溝22f内のエアは、その大半あるいは全部が、張出部溝22g1から樹脂材料流通溝22fに流入させた液状樹脂材料Rに気泡として混入することなく、液状樹脂材料Rによって押し出されるようにして樹脂材料流通溝22fから排出される。液状樹脂材料Rに気泡として混入したエアは、液状樹脂材料Rの流れに乗って樹脂材料流通溝22fから排出される。その結果、樹脂材料流通溝22f内にエアが残存しにくく、樹脂材料流通溝22f内の気泡の残存量を減少(あるいは解消)することができる。
【0042】
基板収容凹所11への液状樹脂材料Rの注入によって基板収容凹所11内の液状樹脂材料Rの液面の高さが基板収容凹所11内の電子部品付き基板20の回路基板21の下面(第1主面21a)と同じあるいは前記下面よりも上側になると、樹脂材料流通溝22fの張出部溝22g1以外の枝溝22gから流出する液状樹脂材料R中に混入している気泡は、液状樹脂材料Rの流れに乗って回路基板21(具体的には回路基板21の第1主面21a)に沿ってその下側を移動し、回路基板21の外周の縁部あるいはエア抜き孔26に達したところで上昇して回路基板21の下側から上側(第2主面21b側。すなわち、基板収容凹所11の開口部12側)に移動し、液状樹脂材料Rから抜け出ることになる。
【0043】
ラジアル形電子部品22のパッケージ部22aの張出部22dに当てるようにして基板収容凹所11に注入された液状樹脂材料Rは、パッケージ部22aの張出部22dから放射状に拡がり、基板収容凹所11内に概ね符号143の側壁部側からコネクタ部144側へ向かう流れを形成する。
上述のように基板収容凹所11内の液状樹脂材料Rの液面の高さが基板収容凹所11内の電子部品付き基板20の回路基板21の下面(第1主面21a)と同じあるいは前記下面よりも上側になったとき、電子部品付き基板20の回路基板21の下側にて互いに隣り合うラジアル形電子部品22のパッケージ部22aの間に位置する領域S(以下、パッケージ間領域とも言う)に、該パッケージ間領域Sの両側のラジアル形電子部品22の一方又は両方のパッケージ部22aの樹脂材料流通溝22fから移された気泡(リード線延出溝22g3から流れ出る液状樹脂材料R中に混入している気泡)は、基板収容凹所11内に形成される液状樹脂材料Rの流れに乗ってパッケージ間領域Sからコネクタ部144側へ移動する。
【0044】
前記エア抜き孔26は、既述のように、回路基板21において隣り合うオフセット部品実装領域21dの円弧状外周の湾曲中心間の中間点Lcから電子部品オフセット側縁211とは反対側に若干ずれた位置、すなわち、隣り合うオフセット部品実装領域21dに対して電子部品オフセット側縁211とは反対側にて隣り合うオフセット部品実装領域21dの近傍に形成されている。このため、前記エア抜き孔26は、ラジアル形電子部品22のパッケージ部22aの樹脂材料流通溝22fからパッケージ間領域Sへ移された気泡の液状樹脂材料R中からの排出に有効に機能する。これにより基板収容凹所11への液状樹脂材料Rの充填完了時における液状樹脂材料R中の気泡残存量を非常に少なく抑えることができる。液状樹脂材料R中の残存気泡を無くすことも容易となる。
【0045】
樹脂部形成工程は、基板収容凹所11内に液状樹脂材料Rを充填して電子部品付き基板20全体を液状樹脂材料R中に埋没状態とした後、液状樹脂材料Rを硬化させて樹脂部30を形成する。
樹脂部30の形成が完了することで、電子回路装置1が得られる。
【0046】
本発明によれば、上述のように液状樹脂材料Rをラジアル形電子部品22のパッケージ部22aの張出部22dに当てるようにして基板収容凹所11に注入し、前記液状樹脂材料Rをラジアル形電子部品22のパッケージ部22aの樹脂材料流通溝22fに流すことで、基板収容凹所11に液状樹脂材料Rを充填する際に、樹脂材料流通溝22fに流した前記液状樹脂材料Rによって樹脂材料流通溝22f内のエアの排出を簡単かつ確実に行うことができる。
【0047】
また、ラジアル形電子部品22のリード線22bが通されている樹脂材料流通溝22fのリード線延出溝22g3自体を液状樹脂材料Rの流路として機能させ、このリード線延出溝22g3に液状樹脂材料Rを流してリード線延出溝22g3内のエアを排出するので、液状樹脂材料の充填完了時にラジアル形電子部品22のリード線22bの基端部付近に残留する気泡の量を減少あるいは残存気泡を無くすことができる。
その結果、温度サイクルに伴う残存気泡の膨張収縮に起因してラジアル形電子部品22のリード線22bに作用する応力を緩和あるいは解消することができる。これにより、前記応力によるリード線22bの断線や、リード線22bと回路基板21の回路配線との接続部の破壊等といった不具合を防止することができ、前記不具合の発生による電子回路装置の寿命短縮を回避できる。
【0048】
図1では、ラジアル形電子部品22として、パッケージ部22aの底側端面22cにその中央部から四方に延在する十字状の樹脂材料流通溝22fが形成されているものを例示したが、樹脂材料流通溝としては図示例の十字状のものに限定されない。樹脂材料流通溝としては、例えば、図示例の十字状の樹脂材料流通溝22fについて符号22g2の枝溝を省略したT字状のものや、パッケージ部22aの底側端面22cの中央部から3方に延在する3本の枝溝からなるY字状のもの等も採用可能である。
但し、樹脂材料流通溝としては、パッケージ部の張出部に延在する張出部溝を有すること、パッケージ部の全てのリード線がパッケージ部の底側端面における樹脂材料流通溝(詳細には張出部溝以外の枝溝)の溝底から延出されかつ樹脂材料流通溝のリード線が通された箇所について液状樹脂材料を流すためのクリアランスが確保されていることが好ましい。
【0049】
(エア抜き孔の変形例)
図3は、エア抜き孔の変形例を示す。
図3中符号21Aの回路基板は、既述の回路基板21についてエア抜き孔26にかえて、符号27のエア抜き孔を形成したものである。回路基板21Aのエア抜き孔27以外の構成は既述の回路基板21と同様である。
【0050】
前記エア抜き孔27は、前記回路基板21Aにおいて、電子部品オフセット側縁211に沿った方向に隣り合うオフセット部品実装領域21dの間に位置する(図示例では、隣り合うオフセット部品実装領域21dの円弧状外周の湾曲中心間の中間点Lc付近)起点27aから電子部品オフセット側縁211とは反対側へオフセット部品実装領域21dの外周に沿って湾曲して延在する2本の円弧状長孔271、272同士を、互いの起点27aが重なるようにして互いに連通させた構成であり、全体として長孔状に形成されている。2本の円弧状長孔271、272は、前記起点27aから電子部品オフセット側縁211に沿った方向において互いに反対の方向に湾曲して延在している。
【0051】
上述のエア抜き孔27は、図1に例示したエア抜き孔26に比べて、回路基板21Aにおけるエア抜き孔の形成に要するスペースを抑えつつ、電子部品オフセット側縁211に沿う方向の寸法を大きく確保できるという利点がある。図3に例示したエア抜き孔27は、ラジアル形電子部品22のパッケージ部22aの樹脂材料流通溝22fの符号22g2の枝溝22gの電子部品オフセット側縁211とは反対側の位置にも存在するように形成されている。
【0052】
上述のように、前記エア抜き孔27は、オフセット部品実装領域21dの電子部品オフセット側縁211とは反対側に、オフセット部品実装領域21dの外周に沿って湾曲して延在する構成により、電子部品オフセット側縁211に沿う方向の寸法を大きく確保できる。このため、このエア抜き孔27が形成された回路基板21Aを有する電子部品付き基板20Aを用いてアセンブリ体を組み立てた場合は、樹脂部形成工程(液状樹脂材料Rをラジアル形電子部品22のパッケージ部22aの張出部22dに当てるようにして基板収容凹所11内に注入する)を行ったときに液状樹脂材料Rによって樹脂材料流通溝22fから排出されるエアのうち、回路基板の下側からエア抜き孔を介して回路基板の上側へ放出されるエア(気泡を含む)の比率を高めることができる。その結果、液状樹脂材料Rによって樹脂材料流通溝22fから排出されたエアの基板収容凹所11内への拡散を抑えることができ、これにより基板収容凹所11への液状樹脂材料Rの充填完了時における液状樹脂材料R中の気泡残存量を非常に少なく抑えることができる。液状樹脂材料R中の残存気泡を無くすことも容易となる。
【0053】
円弧状長孔を有する構成のエア抜き孔としては、図3に例示したエア抜き孔27に限定されない。例えば、エア抜き孔27を構成する2本の円弧状長孔271、272が互いに連通しておらず、1本の円弧状長孔が単独で長孔状の1本のエア抜き孔を構成している構成としても良い。
【0054】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されず、適宜設計変更可能であることは言うまでも無い。
例えば、ケースの具体的形状、ケースのコネクタ部の具体的構成、コネクタ部と回路基板の回路配線との電気的接続のための具体的構成等は適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0055】
1…電子回路装置、2…アセンブリ体、2a…電線、10…ケース、11…基板収容凹所、12…開口部、13…主壁部、14…囲繞壁、14a…当接面、14b…コ字状側壁部、141、142、143…側壁部、144…コネクタ部、144a…コンタクトピン、15…仮想平面、16…ケース本体、17…ボルト固定用板部、17a…ボルト挿通孔、20、20A…電子部品付き回路基板、21、21A…回路基板、21a…第1主面、21b…第2主面、21c…貫通孔、21d…オフセット部品実装領域、211〜214…側縁、22…ラジアル形電子部品、22a…パッケージ部、22b…リード線、22c…底側端面、22d…張出部、22e…防振材、22f…樹脂材料流通溝、22f1…底面、22g…枝溝、22g1…張出部溝、22g2…枝溝、22g3…リード線延出溝、22h…溝連通部、23…アキシャル形電子部品、24…表面実装形電子部品、25…非ラジアル形電子部品、26、27…エア抜き孔、27a…(エア抜き孔の)起点、271、272…円弧状長孔、30…樹脂部、41…注入用ノズル、R…液状樹脂材料、S…パッケージ間領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板に電子部品を実装してなる電子部品付き基板を、回路基板を収容するためのケースに形成された基板収容凹所に収容した後、前記基板収容凹所内に液状樹脂材料を充填して硬化させることで、前記液状樹脂材料が硬化してなる樹脂部中に前記電子部品付き基板が埋め込まれた構成の電子回路装置を製造する方法であって、
前記電子部品付き基板として、ラジアル形電子部品をそのパッケージ部の一部が前記回路基板の外周から張り出す張出部を形成するようにして前記回路基板に実装したものを採用し、この電子部品付き基板を前記ラジアル形電子部品が前記回路基板に対して前記ケースの前記基板収容凹所の開口部とは反対側となる向きで前記ケースの前記基板収容凹所に収容する基板収容工程を行った後、前記液状樹脂材料を前記基板収容凹所の開口部を介して前記電子部品付き基板における前記ラジアル形電子部品の前記パッケージ部の前記張出部に当てるように前記基板収容凹所内に注入して充填し硬化させることで前記樹脂部を形成する樹脂部形成工程を行うことを特徴とする電子回路装置の製造方法。
【請求項2】
前記電子部品付き基板として、前記回路基板において前記ラジアル形電子部品のパッケージ部と対面する領域であるオフセット部品実装領域から前記ケースの前記基板収容凹所の開口部内周面に対面される前記回路基板の端部とは反対側の位置に、前記ケースの前記基板収容凹所に注入した前記液状樹脂材料によって前記回路基板の前記オフセット部品実装領域と前記ラジアル形電子部品の前記パッケージ部との間から移されるエアを排出するためのエア抜き孔が形成されているものを用いることを特徴とする請求項1記載の電子回路装置の製造方法。
【請求項3】
前記エア抜き孔が、前記回路基板に、前記オフセット部品実装領域の外周に沿って延在する長孔状に形成されていることを特徴とする請求項2記載の電子回路装置の製造方法。
【請求項4】
回路基板を収容するためのケースに形成された基板収容凹所内に、回路基板に電子部品を実装してなる電子部品付き基板を有し、前記電子部品付き基板を、前記基板収容凹所に充填した液状樹脂材料を硬化させて形成した樹脂部によって埋め込んで構成される電子回路装置であって、
前記電子部品付き基板は、ラジアル形電子部品をそのパッケージ部の一部が前記回路基板の外周から張り出す張出部を形成するようにして前記回路基板に実装したものであり、前記ラジアル形電子部品が前記回路基板に対して前記ケースの前記基板収容凹所の開口部とは反対側となる向きで前記ケースの前記基板収容凹所に収容されており、
前記液状樹脂材料を前記基板収容凹所内に充填する際に、前記基板収容凹所に前記電子部品付き基板が収容された状態にて、前記液状樹脂材料を前記基板収容凹所の開口部を介して前記電子部品付き基板における前記ラジアル形電子部品の前記パッケージ部の前記張出部に当てるようにして前記基板収容凹所内に注入し、充填後、硬化させることにより前記樹脂部を形成してなることを特徴とする電子回路装置。
【請求項5】
前記電子部品付き基板は、前記回路基板において前記ラジアル形電子部品のパッケージ部と対面する領域であるオフセット部品実装領域から前記ケースの前記基板収容凹所の開口部内周面に対面される前記回路基板の端部とは反対側の位置に、前記ケースの前記基板収容凹所に注入した前記液状樹脂材料によって前記回路基板の前記オフセット部品実装領域と前記ラジアル形電子部品の前記パッケージ部との間から移されるエアを排出するためのエア抜き孔が形成されていることを特徴とする請求項4記載の電子回路装置。
【請求項6】
前記エア抜き孔が、前記回路基板に、前記オフセット部品実装領域の外周に沿って延在する長孔状に形成されていることを特徴とする請求項5記載の電子回路装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−177359(P2010−177359A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−16899(P2009−16899)
【出願日】平成21年1月28日(2009.1.28)
【出願人】(000002037)新電元工業株式会社 (776)
【Fターム(参考)】