説明

電子打楽器

【課題】トップシンバルパッド部の打撃によって生じるトップシンバルパッド部とボトムシンバルパッド部との滑合の際に、トップシンバルパッド部がボトムシンバルパッド部上をスムーズに滑り得る電子打楽器を提供すること。
【解決手段】本発明の電子打楽器によれば、トップシンバルパッド部の揺動に伴ってボトムシンバルパッド部が揺動する上に、これらのパッド部が互いに接触する部分に、互いのパッド部の滑りを促進する滑り部材を備えている。よって、トップシンバルパッド部が打撃されてボトムシンバルパッド部と接触しつつ揺動する場合であっても、トップシンバルパッド部とボトムシンバルパッド部との滑合がスムーズに行なわれ得、アコースティックなハイハットシンバルを打撃しているかのような自然な打撃感を提供するという効果がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子打楽器に関し、特に、トップシンバルパッドを打撃した際に、そのトップシンバルパッドとボトムシンバルパッドとの滑合がスムーズに行なわれ得る電子打楽器に関する。
【背景技術】
【0002】
フットペダルの踏み込み量に応じてトップシンバルパッドが上下動し、アコースティックなハイハットシンバルと同様の演奏感を模擬し得る電子ハイハットシンバルが、特開2003−167574号公報(特許文献1)や特開2003−195857号公報(特許文献2)に記載されている。
【0003】
これらの特許文献1及び特許文献2に記載される電子ハイハットシンバルでは、トップシンバルパッドを打撃した場合に、トップシンバルパッドが揺動するように構成されている。
【特許文献1】特開2003−167574号公報
【特許文献2】特開2003−195857号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これらの特許文献に記載される電子ハイハットシンバルにおいて、ボトムシンバルパッドの方は、揺動しないようにスタンド上に固定されている。そのため、トップシンバルパッドが打撃により揺動しても、ボトムシンバルパッドは揺動せず、アコースティックなハイハットシンバルパッドの打撃感の模倣という点において不十分であった。
【0005】
また、電子ハイハットシンバルを初めとする電子シンバルパッドの打面部は、一般的に、消音目的のためにゴムやエラストマーなどの弾性体で構成されている。上記特許文献1及び特許文献2においても、トップシンバルパッドは、その打面部が弾性体から形成されていると共に、ボトムシンバルパッドに対面するエッジ部もまた弾性体から形成されている。一方で、ボトムシンバルパッドもまた、トップシンバルパッドに対面するエッジ部が弾性体から形成されている。
【0006】
よって、上記特許文献1及び特許文献2に記載される電子ハイハットシンバルの場合、ボトムシンバルパッドを揺動可能に固定し、揺動するトップシンバルパッドと接触しつつ揺動するように構成したとしても、トップシンバルパッドの打撃によって生じるトップシンバルパッドとボトムシンバルパッドとの滑合は、弾性体間の摩擦のために、いずれのパッドも金属製であるアコースティックなハイハットシンバルのようにスムーズに行なわれず、打撃感が不自然になるという問題点があった。
【0007】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、トップシンバルパッドの打撃によって生じるトップシンバルパッドとボトムシンバルパッドとの滑合の際に、トップシンバルパッドがボトムシンバルパッド上をスムーズに滑り得、それによって、アコースティックなシンバルに相当する自然な打撃感が得られる電子打楽器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために、請求項1記載の電子打楽器は、弾性体の打面を有する第1のパッドと、その第1のパッドを、所定の操作により上下動する軸に揺動自在に固定するための第1の固定手段と、前記第1のパッドに対向する第2のパッドと、その第2のパッドを、前記上下動する軸と同軸上の軸に、前記第1のパッドの揺動を伝達可能な位置に揺動自在に固定するための第2の固定手段と、前記第1のパッドの打撃を検出する第1のセンサとを備えている。
【0009】
この請求項1記載の電子打楽器によれば、第1のパッドは、所定の操作により上下動する軸に第1の固定手段によって揺動自在に取り付けられており、一方で、第2のパッドは、第2の固定手段によって、該上下動する軸と同軸上に設けられた軸に揺動自在に取り付けられている。第1のパッドの打面は弾性体により形成され、この第1のパッドが打撃されると、揺動すると共に、第1のセンサによってその打撃が検出される。また、第1のパッドが揺動すると、第1のパッドの揺動が第2のパッドに伝達されて、第2のパッドもまた揺動する。
【0010】
請求項2記載の電子打楽器は、請求項1記載の電子打楽器において、前記第1のパッド及び前記第2のパッドが互いに接触する部分に、互いのパッドの滑りを促進する滑り部材を備えている。
【0011】
請求項3記載の電子打楽器は、請求項2記載の電子打楽器において、前記第1のパッドおよび前記第2のパッドは、略円形の皿状であり、前記滑り部材は、前記第1のパッド又は前記第2のパッドのいずれかのパッドに設けられ、該パッドの直径方向の断面において取り付け面から突出する略円弧部分を有する第1の滑り部材と、他方のパッドの外周に第1の滑り部材と対向する位置に設けられた平面状の第2の滑り部材とを備えている。
【0012】
請求項4記載の電子打楽器は、請求項3記載の電子打楽器において、前記第2の滑り部材は、前記第1の滑り部材が接触して滑る方向の幅が、少なくとも、前記第1のパッドの打撃に基づいて前記第1の滑り部材が滑る距離以上であるように形成されているものである。
【0013】
請求項5記載の電子打楽器は、請求項3又は4記載の電子打楽器において、前記第2の滑り部材は、前記第1の滑り部材が接触して滑る方向の幅が、少なくとも、前記第1のパッドの打撃に基づいて前記第1の滑り部材が滑る距離以上であるように形成されているものである。
【0014】
請求項6記載の電子打楽器は、請求項3から5のいずれかに記載の電子楽器において、前記第1のパッド又は第2のパッドの直径方向の断面において取り付け面から突出する前記第1の滑り部材の略円弧部分が前記第2の滑り部材に当接又は前記第2の滑り部材を押圧したことを検出する第2のセンサを備えている。
【0015】
請求項7記載の電子打楽器は、請求項6記載の電子打楽器において、前記第2のセンサは、一方の面に第1の導電パターンが形成された第1の膜部材と、その第1の膜部材における第1の導電パターンが形成されている面に対向して配置される面に第2の導電パターンが形成された第2の膜部材と、その第2の膜部材と前記第1の膜部材との間に配置され、前記第1の膜部材又は前記第2の膜部材のいずれかが前記第1の滑り部材の取り付け面から突出する略円弧部分により押圧された場合に、前記第1の導電パターンと前記第2の導電パターンとの接触を可能とする貫通部を複数設けた絶縁体からなる絶縁膜部材とを備えている。
【0016】
この請求項7記載の電子打楽器によれば、請求項6記載の電子打楽器と同様に作用する上、第2のセンサは、第1の膜部材と絶縁膜部材と第2の膜部材とが、この順で配置される積層体であり、該第1の膜部材に形成されている第1の導電パターンと該第2の膜部材における該第1の導電パターンに対向する面に形成されている第2の導電パターンとが、静置持には該絶縁膜部材によって非接触とされている。該絶縁膜部材には、複数の貫通部が設けられており、該第1の膜部材又は該第2の膜部材のいずれかが第1の滑り部材の取り付け面から突出する略円弧部分により押圧されると、該貫通部からそれぞれ露出する該第1の導電パターンと該第2の導電パターンとが接触し得、それによって、電流の導通が可能となる。
【0017】
請求項8記載の電子打楽器は、請求項6又は7記載の電子打楽器において、一対の前記第2のセンサは、前記第1のパッド又は前記第2のパッドのうち、前記第2の滑り部材を備えているパッドにおける、前記第1のパッドと対向する側の面である裏面側において、直径方向の線分上における略中心に対して対称な位置に設けられている。なお、「直径方向」とは、略円形における略中心を通る方向を意味する。
【0018】
請求項9記載の電子打楽器は、請求項1から8記載の電子打楽器において、前記第1のパッドは、その略中心部に設けられた前記上下動する軸を挿通可能な第1の挿通孔と、前記打面の裏側である裏面に、前記第1の挿通孔における略中心部を通って横断する溝状の底部を有する凹部とを備え、前記第1の固定手段は、前記凹部に対して遊嵌可能な回転止め部材と、その回転止め部材が前記凹部に遊嵌された場合に、前記第1のパッドを前記回転止め部材に対して押止する第1の押え部材と、前記第1の挿通孔に挿通された前記上下動する軸に対して前記第1のパッドを固定するパッド固定部材とを備え、前記回転止め部材は、前記凹部における溝状の底部に対応する形状の頂上部を有する山部と、前記凹部に遊嵌させた場合に、前記第1の挿通孔に対応する位置に設けられている前記上下動する軸を挿通可能な第2の挿通孔とを備えると共に、前記第1の挿通孔を通過し得ない外周を有するものである。
【0019】
この請求項9記載の電子打楽器によれば、請求項1から8のいずれかに記載の電子打楽器と同様に作用する上、第1のパッドの裏面に設けられた凹部に対して、回転止め部材が遊嵌されると、該凹部における底部の溝に、該回転止め部材の山部における、該溝に対応する形状を有する頂上部が配置され、さらに、第1の押え部材により該回転止め部材に対して該第1のパッドが押止される。よって、該第1のパッドの凹部に遊嵌された該回転止め部材は、その回転止め部材の山部における頂点部が支点となって、該第1のパッドが、天秤のように一方向に揺動させると共に、該頂点部を軸として回転することを防止する。
【0020】
ここで、該溝は、該第1のパッドの略中心部に設けられた第1の挿通孔の略中心部を通って横断するように設けられていると共に、該第1の挿通孔と該回転止め部材に設けられた第2の挿通孔とが、該回転止め部材が該凹部に遊嵌された場合に互いに対応する位置に設けられている。よって、該回転止め部材が該凹部に遊嵌された場合には、該第1のパッドの略中心部に上下動する軸が挿通されることになる。該第1のパッドの略中心部に上下動する軸が挿通されると、パッド固定部材により、該上下動する軸に対して、該第1のパッドが固定されるので、該第1のパッドは、該上下動する軸を中心として回転することが防止される。
【0021】
請求項10記載の電子打楽器は、請求項9記載の電子打楽器において、前記回転止め部材に一体的に固定されると共に前記第2の挿通孔の前記山部側から突出し、外周の一部に雄ネジ部を有し、前記上下動する軸を挿通可能であると共に前記第1の挿通部に挿通可能であり、前記凹部に前記回転止め部材を遊嵌させた場合に、前記第1の挿通部から突出する長さを有する円筒状部材を備え、前記第1の押え部材は、前記雄ネジ部に螺合可能な雌ネジ部を備え、前記雌ネジ部を前記雄ネジ部に螺合させて前記第1のパッドを押圧する。
【0022】
請求項11記載の電子打楽器は、請求項1から10のいずれかに記載の電子打楽器において、前記第1のセンサを装着すると共に前記第1のパッドに取り付けられる板状のセンサ取付部材を備え、そのセンサ取付部材は、前記第1のセンサを装着した部分と前記第1のパッドの裏面とを離間させて取り付けている。
【0023】
請求項12記載の電子打楽器は、請求項9又は10記載の電子打楽器において、前記第1のセンサを装着すると共に前記第1のパッドに取り付けられる板状のセンサ取付部材を備え、そのセンサ取付部材は、前記第1のパッドに設けられた前記凹部における底部の溝の延長線により区切られる一方の領域に、前記第1のセンサを装着した部分と前記第1のパッドの裏面とを離間させて取り付けられている。
【0024】
請求項13記載の電子打楽器は、請求項11又は12記載の電子打楽器において、前記センサ取付部材の前記第1のパッドへの取り付けは、前記センサ取付部材又は前記第1のパッドのいずれか一方の外縁部近傍の一部の区間に該外縁部に沿って列設された係止孔と、他方の外縁部近傍の一部の区間に該外縁部に沿って列設された突起部とが嵌合されている。
【0025】
請求項14記載の電子打楽器は、請求項13記載の電子打楽器において、前記センサ取付部材において前記係止孔又は突起が列設された区間以外の区間の外縁部に、リブが立設されている。
【0026】
請求項15記載の電子打楽器は、請求項11から14のいずれかに記載の電子打楽器において、前記第1のセンサは、前記センサ取付部材における略中央部に取付られている。
【0027】
請求項16記載の電子打楽器は、請求項1から15のいずれかに記載の電子打楽器において、前記第2のパッドは、その略中心部に略円形状に設けられると共に、その円の直径方向に外側に向けて突出する一対の溝部を有する前記上下動する軸を挿通可能な第3の挿通孔を備え、前記第2の固定手段は、前記第2のパッドを載置する台座部材と、その台座部材に前記第2のパッドを配置した場合に、前記第2のパッドを前記台座部材に対して押止する第2の押え部材とを備え、前記台座部材は、前記第2のパッドが載置される略平面の平面部と、その平面部から突起し、前記溝部に嵌合可能な一対の凸部と、その凸部と前記溝部とを嵌合させた場合に前記第3の挿通孔と連通する略円形状を有する前記上下動する軸を挿通可能な第4の挿通孔とを備えている。
【0028】
この請求項16記載の電子打楽器によれば、請求項1から15のいずれかに記載の電子打楽器と同様に作用する上、第2のパッドの略中心部に設けられた略円形状の第3の挿通孔の周囲に外側に向けて突出する一対の溝部に、第2の固定手段の一部である台座部材における平面部から突起する一対の凸部が嵌合されることによって、該第2のパッドが該台座部材上に配置されると、該台座部材に設けられている該上下動する軸を挿通可能な第4の挿通孔と同じく該上下動する軸を挿通可能な該第3の挿通孔とが連通され、さらに、第2の押え部材により、該第2のパッドが該台座部材に対して押止される。よって、第2のパッドを台座部材の周りを回転しないように載置することができる。
【0029】
請求項17記載の電子打楽器は、請求項16記載の電子打楽器において、前記第2の押え部材が、前記第3の挿通孔を通過し得ない外周を有する平板状部と、その平板状部から突出し、前記台座部材の凸部に対して係止可能な係止部と、前記平板状部から突出し、連通する前記第3の挿通孔及び前記第4の挿通孔に挿通可能な外径を有すると共に、前記第3の挿通孔側から挿通した場合に、前記第4の挿通孔側から端部が突出する長さを有する円筒部と、その円筒部における前記変位センサ部から離れた側の端部に少なくとも形成される雄ネジ部と、その雄ネジ部に螺合可能な雌ネジ部とを備えている。
【0030】
この請求項17記載の電子打楽器によれば、請求項16記載の電子打楽器と同様に作用する上、第2の押え部材に設けられた円筒部が、第3の挿通孔側から挿通されると、その第3の挿通孔に連通する第4の挿通孔側から雄ネジ部が形成されている端部が突出し、その端部に形成されている雄ネジ部に対して、雌ネジ部が螺合されることにより、第2の押え部材は、第2のパッドを台座部材に対して押止する。また、その際、第2の押え部材の係止部が台座部材の凸部に係止される。
【0031】
請求項18記載の電子打楽器は、請求項17記載の電子打楽器において、押圧量に応じて電気抵抗値が変化するセンサシート部材と、略円錐状を有し、その広口側の端部を前記センサシート部材に当接させ、他方の端部側から前記第1のパッドの下降に伴う押圧力が付与される場合に、その押圧力の増大に従って、前記センサシート部材への押圧量が増大するバネ部材とを有する第3のセンサと、その第3センサを収容するケース部材とを備え、そのケース部材の外側底面が、前記第2の押え部材における前記第3の挿通孔を通過し得ない外周を有する平板状部である。
【0032】
この請求項18記載の電子打楽器によれば、請求項17記載の電子打楽器と同様に作用する上、第3のセンサは、略円錐状のバネ部材の一端に、第1のパッドの下降に伴う押圧力が付与されると、押圧量に応じて電気抵抗値が変化するセンサシート部材に当接する他端である広口側の端部が該センサシート部材を押圧する。該広口側の端部による該センサシート部材への押圧量は、該第1のパッドの下降に伴う押圧力の増大に伴って、即ち、該第1のパッドの下降量に伴って増大する。なお、該第3のセンサを収容するするケース部材の外側底面が、第2の押え部材の一部を構成する。
【0033】
請求項19記載の電子打楽器は、請求項18記載の電子打楽器において、前記センサシート部材は、前記バネ部材の広口側の端部の略直径方向に対応する部分に細長く設けられ、前記バネ部材による押圧量を伝達する押圧部を有する押圧用膜部材と、前記押圧部に対応する位置に細長く配置された電気導電性を有する導電部を有し、その導電部が前記押圧用膜部材とは反対側の面に配置される第3の膜部材と、その第3の膜部材における前記導電部を有する側の面に対向して、前記導電部に対応する位置に細長く配置される電極部とを備えている。
【0034】
この請求項19記載の電子打楽器によれば、請求項18記載の電子打楽器と同様に作用する上、バネ部材の広口側の端部の略直径方向に対応する部分に細長く設けられている押圧用膜部材における押圧部は、該バネ部材が押圧されると、その押圧部に対応する位置に細長く配置される電気導電性を有する導電部を押圧する。ここで、該押圧部には、該バネ部材による押圧量が伝達されるので、その押圧量に応じて、該導電部とその導電部に対応する位置に細長く配置される電極部との接触状況が変化する。その結果として、該バネ部材による押圧量の変化、即ち、該第1のパッドの変位量を検出することが可能となる。
【0035】
請求項20記載の電子打楽器は、請求項18又は19のいずれかに記載の電子打楽器において、前記円筒部に一体的に連通されると共に、前記センサシート部材の略中心及び前記バネ部材の上面視の略中心を貫通して設けられ、前記上下動する軸を挿通可能な円筒状の軸挿通筒を備えている。
【0036】
請求項21記載の電子打楽器は、請求項16から20のいずれかに記載の電子打楽器において、前記第2の固定部材は、前記台座部材に設けられた一対の第1の挟持部と、その挟持部材に対して着脱可能である弾性体の被挟持部を有する弾性体の腕部と、その腕部を前記上下動する軸と同軸上の軸に対して着脱可能とする第2の挟持部とを備えている。
【0037】
請求項22記載の電子打楽器は、請求項21記載の電子打楽器において、前記第2のパッドは、略円形の皿状であり、前記第3の挿通孔において、前記第1のパッドと対向する面である裏面側における、前記第3の挿通孔の周囲に、少なくとも前記溝部を除いて立設され、該溝部から前記第3の挿通孔の円弧上を略90度移動した2箇所を頂上とし、それぞれの頂上から両端に向けて下降傾斜する2つの壁部とを備えている。
【0038】
この請求項22記載の電子打楽器によれば、請求項21記載の電子打楽器と同様に作用する上、第2のパッドの裏面側における第3の挿通孔の周囲には、該溝部から該第3の挿通孔の円弧上を略90度移動した2箇所を頂上とし、それぞれの頂上から両端に向けて下降傾斜するように設けられた2つの壁部により、第2のパッドの揺動方向は、該壁部により一方向、即ち、壁部の頂点を中心とする該壁部に沿った方向に規制される。
【0039】
請求項23記載の電子打楽器は、請求項22記載の電子打楽器において、前記第2のパッドに設けられた2つの壁部におけるそれぞれ頂上を結ぶ方向と、前記第1のパッドに設けられた前記凹部における底部の溝の方向とが、略一致する。
【0040】
この請求項23記載の電子打楽器によれば、請求項22記載の電子打楽器と同様に作用する上、前記第2のパッドに設けられた2つの壁部におけるそれぞれ頂上を結ぶ方向と、前記第1のパッドに設けられた前記凹部における底部の溝の方向とが、略一致しているので、第1のパッド上の打面が打撃されると、第1のパッドと第2のパッドとが略同一方向に振動する。
【0041】
請求項24記載の電子打楽器は、請求項23記載の電子打楽器において、前記第1のパッドは、その裏面側に、外周側から端子を嵌挿可能な開口部を有する第1の端子嵌挿孔を備え、前記第2のパッドは、その裏面側における前記第1の端子嵌挿孔の開口部に対して対向する位置に、外周側から端子を嵌挿可能な開口部を有する第2の端子嵌挿孔を備えている。
【0042】
請求項25記載の電子打楽器は、請求項24記載の電子打楽器において、前記第1の端子嵌挿孔の開口部に嵌挿される略L字状の第1の端子部と、その第1の端子部に連結され、可撓性を有し、電気信号を伝達可能なケーブルと、そのケーブルの他端に連結され、前記第2の端子嵌挿孔の開口部に嵌挿される略L字型の第2の端子部とを備えている。
【0043】
請求項26記載の電子打楽器は、請求項23から25のいずれかに記載の電子打楽器において、前記第1のパッドおよび前記第2のパッドは、略円形の皿状であり、前記滑り部材は、前記第1のパッド又は前記第2のパッドのいずれかのパッドに設けられ、該パッドの直径方向の断面において取り付け面から突出する略円弧部分を有する第1の滑り部材と、他方のパッドの外周に第1の滑り部材と対向する位置に設けられた平面状の第2の滑り部材と、前記第1のパッド又は第2のパッドの直径方向の断面において取り付け面から突出する前記第1の滑り部材の略円弧部分が前記第2の滑り部材に当接又は前記第2の滑り部材を押圧したことを検出する第2のセンサとを備え、その第2のセンサが、前記第2のパッドに設けられた2つの壁部におけるそれぞれ頂上を結ぶ方向、又は、前記第1のパッドに設けられた前記凹部における底部の溝の方向の線分上において、略中心に対して対称な位置に設けられている。
【0044】
この請求項26記載の電子打楽器によれば、請求項23から25のいずれかに記載の電子打楽器と同様に作用する上、第2のセンサは、第1のパッド及び第2のパッドの揺動方向に対して略直交する直径方向における略中心に対して対称な位置に設けられている。
【0045】
請求項27記載の電子打楽器は、請求項22から26のいずれかに記載の電子打楽器において、前記第2のパッドは、その表面側に、前記第2のパッドに設けられた2つの壁部におけるそれぞれ頂上を結ぶ方向に略一致する方向において外周側から端子を嵌挿可能な第3の端子嵌挿孔を備えている。
【0046】
請求項28記載の電子打楽器は、弾性体の打面を有するパッドが軸に固定されている電子打楽器において、前記パッドは、その略中心部に設けられた前記軸を挿通可能な第1の挿通孔と、前記打面の裏側である裏面に、前記第1の挿通孔における略中心部を通って横断する溝状の底部を有する凹部とを備え、その凹部に対して遊嵌可能であり、該凹部における溝状の底部に対応する形状の頂上部を有する山部と、該凹部に遊嵌させた場合に、前記第1の挿通孔に対応する位置に設けられている前記軸を挿通可能な第2の挿通孔とを備えると共に、前記第1の挿通孔を通過し得ない外周を有する回転止め部材と、その回転止め部材に一体的に固定されると共に前記第2の挿通孔の前記山部側から突出し、外周の一部に雄ネジ部を有し、前記軸を挿通可能であると共に前記第1の挿通部に挿通可能であり、前記凹部に前記回転止め部材を遊嵌させた場合に、前記第1の挿通部から突出する長さを有する円筒状部材と、前記雄ネジ部に螺合可能な雌ネジ部を備え、前記回転止め部材が前記凹部に遊嵌された場合に、該雌ネジ部を前記雄ネジ部に螺合させて前記パッドを押圧し、前記第パッドを前記回転止め部材に対して押止する押え部材と、前記円筒状部材の先端に一体的に設けられ、前記第1の挿通孔に挿通された前記軸に対して前記パッドを固定するパッド固定部材とを備えている。
【0047】
この請求項28記載の電子打楽器によれば、パッドにおける打面の裏側である裏面に設けられた凹部に対して、回転止め部材が遊嵌されると、該凹部における底部の溝に、該回転止め部材の山部における、該溝に対応する形状を有する頂上部が配置され、さらに、押え部材により該回転止め部材に対して該パッドが押止される。よって、該第1のパッドの凹部に遊嵌された該回転止め部材は、その回転止め部材の山部における頂点部が支点となって、該パッドが天秤のように一方向に揺動させると共に、該頂点部を軸として回転することを防止する。
【0048】
ここで、該溝は、該パッドの略中心部に設けられた第1の挿通孔の略中心部を通って横断するように設けられていると共に、該第1の挿通孔と該回転止め部材に設けられた第2の挿通孔とが、該回転止め部材が該凹部に遊嵌された場合に互いに対応する位置に設けられている。よって、該回転止め部材が該凹部に遊嵌された場合には、該パッドの略中心部に上下動する軸が挿通されることになる。該パッドの略中心部に上下動する軸が挿通されると、パッド固定部材により、該上下動する軸に対して、該パッドが固定されるので、該第パッドは、該上下動する軸を中心として回転することが防止される。
【0049】
また、前記凹部に前記回転止め部材を遊嵌させた場合に、該回転止め部材に一体的に固定された円筒状部材が該第1の挿通孔から突出するので、その円筒状部材の外周の一部に設けられている雄ネジ部と、雌ネジ部とを螺合させることにより、該パッドが該回転止め部材に対して押止される。
【発明の効果】
【0050】
請求項1記載の電子打楽器によれば、第1のパッドの揺動に伴い、第2のパッドが揺動するので、アコースティックなハイハットシンバルと同様の演奏感を得ることができるという効果がある。
【0051】
請求項2記載の電子打楽器によれば、請求項1記載の電子打楽器の奏する効果に加えて、第1のパッド及び第2のパッドが互いに接触する部分に、互いのパッドの滑りを促進する滑り部材を備えているので、第1のパッドが打撃されて第2のパッドと接触しつつ揺動する場合であっても、第1のパッドと第2のパッドとの滑合がスムーズに行なわれ、アコースティックなハイハットシンバルを打撃しているかのような自然な打撃感を提供できるという効果がある。
【0052】
請求項3記載の電子打楽器によれば、請求項2記載の電子打楽器の奏する効果に加えて、第1のパッドおよび第2のパッドは、円形の皿状であり、滑り部材は、該第1のパッド又は該第2のパッドのいずれかのパッドの外周に設けられた直径方向の断面において取り付け面から突出する略円弧部分を有する第1の滑り部材と、他のパッドの外周に第1の滑り部材と対向する位置に設けられた平面状の第2の滑り部材とを備えるものであるので、第1の滑り部材と第2の滑り部材との接点は、第1のパッド又は第2のパッドのいずれかのパッドの直径方向の断面においては点であり、可能な限り小さな接触面積で接触させることができる。そのため、第1の滑り部材と第2の滑り部材との滑合がよりスムーズに行なわれるという効果がある。
【0053】
請求項4記載の電子打楽器によれば、請求項3記載の電子打楽器の奏する効果に加えて、第1の滑り部材は、一方のパッドの中心を中心とする略円環状に配置されるチューブ状の部材であるので、第1のパッド及び第2のパッドが接触しつつ前後左右にどのように揺動した場合であっても、第1のパッドと第2のパッドとの滑合がスムーズに行なわれるという効果がある。
【0054】
請求項5記載の電子楽器は、請求項3又は4記載の電子楽器の奏する効果に加えて、第2の滑り部材は、第1の滑り部材が接触して滑る方向の幅が、少なくとも、第1のパッドの打撃に基づいて第1の滑り部材が滑る距離以上であるように形成されている。よって、第1のパッドの打撃によっても、第1の滑り部材と第2の滑り部材との接触は十分に確保されることとなり、第1のパッドと第2のパッドとの滑合がスムーズに行なわれるという効果がある。
【0055】
また、第1の滑り部材はチューブ状の部材からなるため、第2の滑り部材との接触部分は線状となる。よって、接触面積が適度に増大し、その結果として、圧力も適度に低下させることができる。従って、そのような構成を有する第1の滑り部材は、例えば、第2の滑り部材上に感圧センサが設けられている場合に、その感圧センサ上に適度な圧力を付与できる。
【0056】
請求項6記載の電子打楽器によれば、請求項3から5のいずれかに記載の電子打楽器の奏する効果に加えて、第2の滑り部材には、前記第1の滑り部材の取り付け面から突出する略円弧部分に対向する位置に押圧を検出する第2のセンサが設けられている。よって、第2の滑り部材上に設けられている第2のセンサは、第1のパッド又は第2のパッドのいずれかのパッドの直径方向の断面において、第1の滑り部材の円弧により点で当接又は押圧されるため、可能な限り圧力が集中した状態で当接又は押圧されることとなる。従って、第2のセンサがより確実に動作できるという効果がある。
【0057】
請求項7記載の電子打楽器によれば、請求項6記載の電子打楽器の奏する効果に加えて、第2のセンサにおいて、第1の膜部材に形成されている第1の導電パターンと、第2の膜部材に形成されている第2の導電パターンとは、絶縁体からなる絶縁膜部材に複数設けられた貫通部を介して接触可能となる。このように貫通部が複数形成されると、それらの貫通部と貫通部との間に残存する絶縁膜部材により、複数箇所で支持することとなる。その結果として、第1の膜部材又は第2の膜部材の撓みにより生じ得る第1の導電パターンと第2の導電パターンとの誤接触を防止できるという効果がある。
【0058】
請求項8記載の電子打楽器によれば、請求項6又は7記載の電子打楽器の奏する効果に加えて、一対の第2のセンサが、第1のパッド又は第2のパッドのうち、第2の滑り部材を備えているパッドの裏面側において、直径方向の線分上における略中心に対して対称な位置に設けられているので、例えば、第1のパッドと第2のパッドとが閉じた状態を有効に検出させることが可能となる。
【0059】
請求項9記載の電子打楽器によれば、請求項1から8のいずれかに記載の電子打楽器の奏する効果に加えて、第1のパッドの裏面に設けられた凹部に、回転止め部材が遊嵌されると、第1のパッドにおける凹部の底部の溝と回転止め部材における山部の頂上部との形状により、第1のパッドは、回転止め部材の周りを回転することなく、一方向に揺動する。よって、第1のパッド上における打面部分を演奏者に対向する半周側に限定できるという効果がある。
【0060】
請求項10記載の電子打楽器によれば、請求項9記載の電子打楽器の奏する効果に加えて、第1のパッドの裏面に設けられた凹部に回転止め部材が遊嵌された場合に、第1のパッドから突出する円筒状部材の雄ネジ部に対して、雌ネジ部が螺合されることにより、第1のパッドが回転止め部材に対して押止される。円筒状部材は、回転止め部材に一体的に固定されている上に、第1のパッドはネジ留め方式により押止されるので、第1のパッドを回転止め部材に対して適切な押止力で押止させることができるという効果がある。
【0061】
請求項11記載の電子打楽器によれば、請求項1から10のいずれかに記載の電子打楽器の奏する効果に加えて、第1のセンサを装着した板状のセンサ取付部材により、第1のセンサと第1のパッドとを離間させて第1のパッドの裏面側に取り付けられている。よって、第1のセンサが直接打撃されない構造であるために、第1のセンサが、第1のパッドの打撃による振動の検出感度を均一化できるという効果がある。
【0062】
請求項12記載の電子打楽器によれば、請求項9又は10記載の電子打楽器の奏する効果に加えて、第1のセンサを装着した板状のセンサ取付部材が、第1のパッドの裏面側であって、凹部における底部の溝の延長線により区切られる一方の領域に、第1のセンサと第1のパッドとを離間させて取り付けられている。第1のパッドは、凹部における底部の溝の存在により、第1のパッド上における打面部分を、凹部における底部の溝の延長線により区切られる一方の領域に限定できる。従って、センサ取付部材は、打面部分に対応する領域にのみ取り付ければよく、製造コストの減少を図ることができるという効果がある。
【0063】
請求項13記載の電子打楽器によれば、請求項11又は12記載の電子打楽器の奏する効果に加えて、センサ取付部材は、センサ取付部材又は第1のパッドのいずれか一方の外縁部近傍の一部の区間に列設された係止孔と、他方の外縁部近傍の一部の区間に列設された突起部との嵌合により、第1のパッドに取り付けられている。よって、第1のパッドの揺動によってもセンサ取付部材の脱落が抑制されるという効果がある。また、第1のパッドとセンサ取付部材を別々に製造することができるので、製造における成型工程などを容易にするという効果がある。
【0064】
請求項14記載の電子打楽器によれば、請求項13記載の電子打楽器の奏する効果に加えて、センサ取付部材において、係止孔又は突起が列設された区間以外の区間の外縁部には、リブが立設されているので、センサ取付部材自体に剛性が付与される。その結果として、例えば、第1のセンサが振動センサである場合には、第1のパッドの打撃による振動が、振動センサに均一に伝達され、高精度の検出が実施されるという効果がある。
【0065】
請求項15記載の電子打楽器によれば、請求項11から14のいずれかに記載の電子打楽器の奏する効果に加えて、第1のセンサが、センサ取付部材の略中央部に取り付けられているので、例えば、第1のセンサが振動センサである場合には、第1のパッドの打撃による振動が均一に伝達され、また、上下動する軸からの距離も適度に離間されることになるので、上下動する軸の振動の影響を受け難くなる。従って、第1のパッドの打撃による振動を高精度に検出できるという効果がある。
【0066】
請求項16記載の電子打楽器によれば、請求項1から15のいずれかに記載の電子打楽器の奏する効果に加えて、第2のパッドに設けられた第3の挿通孔の周囲に外側に向けて突出する一対の溝部に、台座部材に設けられた一対の凸部が嵌合された上で、第2のパッドが、押え部材により台座部材に対して押止されるので、第2のパッドが第3の挿通孔周りに回転することが抑制されるという効果がある。
【0067】
請求項17記載の電子打楽器によれば、請求項16記載の電子打楽器の奏する効果に加えて、第2の押え部材の平板状部から突出する円筒部を第3の挿通孔側から挿通し、該平板上部から突出する係止部を台座部材の凸部に係止させた場合に、第4の挿通孔側から突出する雄ネジ部と、雌ネジ部とが螺合されることによって、第2のパッドが、第2の押え部材により台座部材に対して押止される。即ち、ネジ留め形式により第2のパッドが台座部材に対して押止されるので、演奏中の第2のパッドの揺動によっても、押止力が低減せず、第2のパッドが第3の挿通孔周りに回転することを確実に抑制できるという効果がある。また、第2の押え部材と台座部材を一体化することにより、第2のパッドが第3の挿通孔周りに回転することをより確実に抑制できるという効果もある。
【0068】
請求項18記載の電子打楽器によれば、請求項17記載の電子打楽器の奏する効果に加えて、第1のパッドの変位量を検出するる第3のセンサを収容するケース部の外側底面が、第2の押え部材の平板状部を兼ねるので、部品数の減少によるコストの低減を図るという効果がある。
【0069】
請求項19記載の電子打楽器によれば、請求項18記載の電子打楽器の奏する効果に加えて、バネ部材が第1のパッドにより押圧された量を、細長く設けられている押圧部によって伝達するので、バネ部材に付与された押圧量が集中して伝達される。よって、第1のパッドの下降に伴うバネ部材の押圧量の検出精度が向上するという効果がある。
【0070】
請求項20記載の電子打楽器によれば、請求項18又は19記載の電子打楽器の奏する効果に加えて、上下動する軸は、円筒状部材及び軸挿通筒を介して、第3のセンサ内を貫通するように構成されているので、第3のセンサによる押圧量の検出において、上下動する軸の撓み等によって生じ得る悪影響を抑制する。よって、第3のセンサの検出精度を高精度に保つという効果がある。
【0071】
請求項21記載の電子打楽器によれば、請求項16から20のいずれかに記載の電子打楽器の奏する効果に加えて、第2の挟持部により、上下動する軸と同軸上の軸に着脱可能に設けられた弾性体の腕部における弾性体の被挟持部が、台座部材に設けられた第1の挟持部により着脱可能に挟持されるので、第2のパッドを載置した台座部材を、一般的に市販されている軸に取り付けることができるという効果がある。また、腕部及び被挟持部が弾性体からなるので、可撓性や押圧による変形性を有する。よって、台座部材を取り付ける場合に、各種軸の形状に応じて腕部を湾曲させるなどの対応を取ることが可能であるので、一般的に市販される軸の種類に依存することなく、その軸に第2のパッドを取り付けることが可能となるという効果がある。
【0072】
請求項22記載の電子打楽器によれば、請求項21記載の電子打楽器の奏する効果に加えて、第2のパッドの裏面側における第3の挿通孔の周囲には、該溝部から該第3の挿通孔の円弧上を略90度移動した2箇所を頂上とし、それぞれの頂上から両端に向けて下降傾斜する形状を有する2つの壁部が設けられているので、第2のパッドの揺動方向が一方向に規制できるという効果がある。
【0073】
請求項23記載の電子打楽器によれば、請求項22記載の電子打楽器の奏する効果に加えて、第2のパッドに設けられた2つの壁部におけるそれぞれ頂上を結ぶ方向と、前記第1のパッドに設けられた前記凹部における底部の溝の方向とが、略一致しているので、第1のパッド上の打面が打撃されると、第1のパッドと第2のパッドとを略同一方向に揺動できるという効果がある。
【0074】
請求項24記載の電子打楽器によれば、請求項23記載の電子打楽器の奏する効果に加えて、第1のパッドの裏面側に設けられた第1の端子嵌挿孔と第2のパッドの裏面側に設けられた第2の端子嵌挿孔とが、対向する位置に設けられている。よって、例えば、第1及び第2の端子嵌挿孔に、第1のパッドに設けられた各種センサと第2のパッドに設けられた各種センサとをリンクさせるケーブルの端子を嵌挿した場合には、第1のパッドと第2のパッドが閉じた際において、そのケーブルを省スペースに収納できるという効果がある。
【0075】
請求項25記載の電子打楽器によれば、請求項24記載の電子打楽器の奏する効果に加えて、ケーブルの両端に設けられているL字型の端子部が、2つの端子嵌挿孔に嵌挿されるので、上下動する軸に取り付けられた第1のパッドが頻繁に上下動した場合であっても、2つの端子部が、その動きに応じて、端子嵌挿孔に嵌挿されたまま回転できる。よって、第1のパッドの上下動に伴ってケーブルが引っ張られて、端子部が端子嵌挿孔からの脱落を抑制したり、ケーブル又は端子部への負担を軽減できるという効果がある。
【0076】
請求項26記載の電子打楽器によれば、請求項23から25のいずれかに記載の電子打楽器の奏する効果に加えて、第2のセンサが、第1のパッド及び第2のパッドの揺動方向に対して略直交する直径方向における略中心に対して対称な位置に設けられる、即ち、第2のセンサは、第1のパッド及び第2のパッドの揺動に対し、最も鈍感な位置に配置されるので、例えば、第2のセンサが第1のパッドと第2のパッドとが閉じた状態にあることを検出するためのセンサであった場合に、揺動による誤作動を防止できるという効果がある。
【0077】
請求項27記載の電子打楽器によれば、請求項22から26の電子打楽器の奏する効果に加えて、第2のパッドの表面側に、2つの壁部におけるそれぞれ頂上を結ぶ方向に略一致する方向、即ち、第2のパッドの揺動方向に対して略直交する直径方向に、外周側から端子を嵌挿可能な第3の端子嵌挿孔が設けられている。即ち、第3の端子嵌挿孔は、第2のパッドの揺動方向に対して略垂直な方向に設けられているので、ケーブルの端子が第3の端子嵌挿孔に嵌挿された場合に、第2のパッドの揺動による端子の脱落を防止できるという効果がある。
【0078】
請求項28記載の電子打楽器によれば、パッドの裏面に設けられた凹部に、回転止め部材が遊嵌されると、凹部の底部の溝と回転止め部材における山部の頂上部との形状によって、パッドは、回転止め部材の周りを回転することなく、一方向に揺動できるので、パッド上における打面部分を限定できるという効果がある。また、パッドの裏面に設けられた凹部に回転止め部材が遊嵌された場合に、パッドから突出する円筒状部材の雄ネジ部に対して、雌ネジ部が螺合されることにより、パッドが回転止め部材に対して押止される。円筒状部材は、回転止め部材に一体的に固定されている上に、パッドはネジ留め方式により押止されるので、パッドを回転止め部材に対して適切な押止力で押止させることができるという効果があると共に、パッドが揺動してもネジが緩まず、押止力の低下に伴うパッドの軸周りの回転を抑制できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0079】
以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の電子打楽器である電子ハイハットシンバル1における、トップシンバルパッド部100とボトムシンバルパッド部200とが開状態(オープン状態)にある場合について、これらの2枚のパッドの中心を通る前後方向の切断線で切断した断面図である。なお、具体的には、図1の断面図を得るための切断線は、後述する図4における線A’−A’及び図6における線A”−A”を切断する線である。
【0080】
また、図2は、トップシンバルパッド部100とボトムシンバルパッド部200とが閉状態(クローズ状態)にある場合について、図1と同じ切断線で切断した断面図である。
【0081】
更に、図3は、トップシンバルパッド部100とボトムシンバルパッド部200とが閉状態(クローズ状態)にある場合について、これらの2枚のパッドの中心を通り、図1のの切断線と直交する左右方向の切断線で切断した断面図である。なお、具体的には、図3の断面図を得るための切断線は、後述する図4における線B’−B’及び図6における線B”−B”を切断する線である。
【0082】
なお、本明細書中において、電子ハイハットシンバル1の「前」側とは、この電子ハイハットシンバル1の演奏者に対向し、上面視が略円形であるトップシンバルパッド部100がその演奏者によって打撃される側を意味し、「後」側とは、トップシンバルパッド部100の中心に対してその反対側を意味する。図1及び図2では、紙面右側が電子ハイハットシンバル1の「前」側、紙面左側が「後」側を示している。
【0083】
また、本明細書中において、電子ハイハットシンバル1の「右」側とは、この電子ハイハットシンバル1の演奏者から見た場合の右側を意味し、「左」側とは、この電子ハイハットシンバル1の演奏者から見た場合の左側を意味する。図3では、紙面右側が電子ハイハットシンバル1の「右」側、紙面左側が「左」側を示している。
【0084】
電子ハイハットシンバル1は、図1〜図3に示すように、演奏者がスティックなどにより打撃されるパッドであるトップシンバルパッド部100と、そのトップシンバルパッド部100の下方に対向して配置されたボトムシンバルパッド部200と、このトップシンバルパッド部100及びボトムシンバルパッド部200を支持するスタンド部400と、エクステンションロッド420にトップシンバルパッド部100を固定する第1固定手段500と、スタンド部400の中空シャフト410にボトムシンバルパッド部200を固定する第2固定手段600などにより構成されている。
【0085】
スタンド部400は、一般的なハイハットシンバル用のスタンドと同様の構造を有し、例えば、図1に示すような、ボトムシンバルパッド部200の設置高さを調整可能な中空シャフト410と、その中空シャフト410に挿通され、非図示の踏み込み式ペダルの操作に応じて上下動するエクステンションロッド420などを有すると共に、非図示の部材として、中空シャフト410の下方に連結され、スタンド部400の起立を支持する脚部などを備えている。
【0086】
中空シャフト410の上端には、ボトムシンバルパッド部200を設置するためのフェルト保持部411と下部フェルトワッシャ412とが設けられており、下部フェルトワッシャ412の上側に、ボトムシンバルパッド部200が、後述する第2固定手段600により揺動可能に固定されている。一方で、エクステンションロッド420の所定の位置に、トップシンバルパッド部100が、後述する第1固定手段500により揺動可能に固定されている。なお、このようなトップシンバルパッド部100及びボトムシンバルパッド部200のスタンド部400への固定様式については後述するものとする。
【0087】
以下、上記図1〜図3に加えて、図4〜図5を参照して、トップシンバルパッド部100の構造について説明する。図4は、トップシンバルパッド部100の下面側の正面図であり、図5は、図1の断面図におけるエッジ滑りチューブ140及びエッジ滑りフィルム212を含む周辺部分の部分拡大図である。なお、本実施例中において、「トップシンバルパッド部100の上面」及び「トップシンバルパッド部100の下面」は、それぞれ、スタンド部400に取り付けた状態における上面及び下面を示すものであり、以下においても同様の意味で使用するものとする。
【0088】
トップシンバルパッド部100は、上面側又は下面側の正面視が略円形状であり、上面側中央付近がドーム状に盛り上がったカップ部100aと、このトップシンバルパッド部100の外周周縁であるエッジ部100cと、このエッジ部100cとカップ部100aとの間にあるボウ部100bとを有している。
【0089】
このトップシンバルパッド部100は、図1に示すように、その骨格を形成する第1トップフレーム101と、この第1トップフレーム101を被覆するカバー103と、エクステンションロッド420を挿通する挿通孔102bを有する第2トップフレーム102と、振動センサ110(例えば、ピエゾ素子)を取り付けるための振動センサ取付フレーム120とで構成されている。
【0090】
カバー103は、トップシンバルパッド部100の上面側とエッジ部100cなどの下面側の一部とを被覆するゴムやエラストマーなどの弾性体により形成されている。このカバー103によって、トップシンバル部100の上面は、一段盛り上がったカップ部100aと、一様に平坦であるボウ部100b及びエッジ部100cとを有する皿状の外観形状が形成される。なお、トップシンバルパッド部100の上面側には、非図示の同心円状の凹凸加工、例えば、溝幅が2mm、ピッチが4mm(溝と溝の幅)、深さが0.1mmmの凹凸加工が施されている。
【0091】
また、このカバー103の上面側部分には、ゴム用プライマー(反応性表面改質処理剤)などが、ディッピング、刷毛塗り、スプレーなどの方法によって塗布されることにより、表面改質処理が施されている。このような表面改質処理によって、トップシンバルパッド部100を打撃するスティックが滑り易くなるようにすると共に、カバー103の耐摩耗性もまた向上する。従って、打撃時のスティックの滑りの感触が、金属製のアコースティックシンバルを打撃した時の感触に近くなると共に、長時間の打撃によるカバー103の摩耗を軽減し得る。このように、上面側がカバー103で被覆されたトップシンバルパッド部100をスティックで打撃した場合、スティックの跳ね上がりは、アコースティックなハイハットシンバルを打撃した時のような自然な跳ね上がりとなる。
【0092】
第1トップフレーム101は、例えば、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂やポリカーボネート樹脂などの硬質プラスチック材から成型されたフレームであり、その中央に開口部101aを備えている、上面視が略円形の皿状を有している。
【0093】
この第1トップフレーム101は、図1に示すように、開口部101aの周囲に設けられた肩部101bと、肩部101bから外周に向かって延びる腕部101cとを有しており、トップシンバルパッド部100の前側半周には、更に、腕部101cの外周側に設けられた段差101dと、段差101dによって一段下がった位置に外周部101eが設けられている。
【0094】
トップシンバルパッド部100の前側半周は、段差101d及び外周部101eが形成されていることにより、外周部101eの上側を被覆するカバー103は、他の部分より厚くなる。よって、トップシンバルパッド部100の打撃による第1トップフレーム101の振動は均一化され得、外周部101eの振動が抑制されることとなる。従って、トップシンバルパッド部100を連打した場合にも、一打毎の打撃位置及び打撃力を正確に検出することができる。
【0095】
また、カバー103は、第1トップフレーム101の外周部101eより、更に外側に延びて被覆されているので、エッジ部100cが打撃された時に変形し易い。そのため、アコースティックなシンバルのエッジ部が打撃により変形して衝撃を吸収する感触を再現することができる。
【0096】
一方で、第1トップフレーム101の後側半周には、前記のような段差101d及び外周部101eは形成されておらず、前側半周より中心からの半径が短い。そのため、トップシンバルパッド部100の後側半周では、図1に示すように、第1トップフレーム101の存在しない領域はカバー103を構成する弾性体によって主に形成されている。
【0097】
このように、主に弾性体から形成されるトップシンバルパッド部100の後側半周は、その内部に、上面視においてトップシンバルパッド部100の外周に略平行な略円弧の形状で中空部103aが形成されている。この中空部103aの内部には、その中空部103aに内包可能である上面視略円弧状を有する板状の金属製のウェイト(重錘)130が配置されている。このウェイト130は、トップシンバルパッド部100の前方側に装着される振動センサ取り付けフレーム120などの部材との重量のバランスを取るために配置されている。
【0098】
また、第1トップフレーム101の下面側(即ち、ボトムシンバルパッド部200と対向する面側)には、腕部101cの外周より内側の位置に壁101fが設けられている。この壁101fに囲まれる略円形の領域に、振動センサ110を備えた振動センサ取り付けフレーム120や、トップシンバルパッド部100に配設されている振動センサ110やエッジセンサ160により検出された信号を、ボトムシンバルパッド部200側へリンク出力するためのステレオジャック150などの電子ハイハットシンバル1の楽音発生に関連する部材が配置される。
【0099】
カバー103の下面側(即ち、ボトムシンバルパッド部200と対向する面側)には、図4に示すように、上面視においてトップシンバルパッド部100の外周に略平行となるように略円環状のエッジ滑りチューブ140が装着されている。このエッジ滑りチューブ140は、打撃によって揺動するトップシンバルパッド部100と、トップシンバルパッド部100との接触部分を介して、そのトップシンバルパッド部100の揺動が伝達されて揺動するボトムシンバルパッド部200とにおいて、それらの両パッド部100,200との滑合を促進するための部材である。なお、このエッジ滑りチューブ140を用いた滑り機構の詳細については後述する。
【0100】
このエッジ滑りチューブ140は、滑り性及び耐摩耗性に優れた材質、特に、ナイロンやテフロン(登録商標)のような樹脂からなる幅方向断面(短手方向断面)が略円形状のチューブ材からなるものである。なお、エッジ滑りチューブ140の材質としては、製造コストの点からナイロン製であることが好ましい。
【0101】
また、エッジ滑りチューブ140が、その幅方向断面が略円形のチューブ材であることにより、このエッジ滑りチューブ140とボトムシンバルパッド部200(具体的には、後述するエッジ滑りフィルム212)との接触面積が小さく抑えられるために、後述する滑り機構において、互いの滑性を有利にし得る。
【0102】
また、このエッジ滑りチューブ140は、電子ハイハットシンバル1が閉状態(クローズ状態)である場合に、トップシンバルパッド部100の下面側において、ボトムシンバルパッド部200のエッジ部上面201bに設けられたエッジ滑りフィルム212の幅方向略中央に対応する位置に配置されている。よって、打撃によってトップシンバルパッド部100及びボトムシンバルパッド部200が前後左右に揺動した場合に、このエッジ滑りチューブ140が後述する滑り機構においてエッジ滑りフィルム212上を滑る(移動する)距離を最大に確保することができる。
【0103】
なお、エッジ滑りチューブ140のトップシンバルパッド部100への取り付けは、その下面側を被覆するカバー103における所定の位置に、トップシンバルパッド部100と同心の略円環状の溝(非図示)を設け、その溝に、環状とされたエッジ滑りチューブ140を嵌合することによって行なわれる。
【0104】
エッジ滑りチューブ140は、トップシンバルパッド部100の直径方向の断面において、カバー103の表面から一部円弧が突出した状態に取り付けられている(図5参照)。エッジ滑りチューブ140は、その大部分がカバー103に埋め込まれるように設けられているので、トップシンバルパッド部100からのエッジ滑りチューブ140の脱落を防止し得る。なお、エッジ滑りチューブ140の少なくとも一部が、接着剤によってカバー103に接着されてもよい。
【0105】
第2トップフレーム102は、第1トップフレーム101の材質より軟質材、例えば、ゴムのような弾性体からなるフレームである。この第2トップフレーム102は、図3に示すように、第1トップフレーム101の中央の開口部101aから上方に突き出ている頭部102aと、開口部101aの下面周縁を下側から保持する肩部102cと、第1トップフレーム101におけるボウ部100bに対応する部分を下側から保持する腕部102dとを有している。
【0106】
また、この第2トップフレーム102には、図4に示すように、ステレオジャック150を収容するケース部102eと、振動センサ110から延びる配線を保護すると共に振動センサ取付フレーム120を補助的に係合する配線ホルダ102fも一体化されて設けられている。この第2トップフレーム102は、ネジ104によって第1トップフレーム101に取り付けられている。
【0107】
この第2トップフレーム102の頭部102aの中央には、エクステンションロッド420を貫通させるための挿通孔102bが設けられている。また、第2トップフレーム102の頭部102aの下面であって挿通孔102bの周囲には、トップシンバルパッド部100の左右方向(図4における紙面左右方向)に溝状の底部として谷が延びる楔形にえぐられた形状の凹部102gが設けられている。この凹部102gに、後述する回転止め部材501が遊嵌される。凹部102g及び回転止め部材501の双方の形状によって、トップシンバルパッド部100は、打撃された時に、揺動するが回転することが防止される。なお、このトップシンバルパッド部100の回転防止機構については後述する。
【0108】
上記のような回転防止機構により、トップシンバルパッド部100の前側を打面として限定することが可能となるので、打撃時の振動を検出する振動センサ110を取り付けるための振動センサ取付フレーム120は、トップシンバルパッド部100の全周を取り巻くように設ける必要はなく、前側半周における所定の領域に設ければ十分である。
【0109】
この振動センサ取付フレーム120は、図4に示すように、第1トップフレーム101の壁101fに沿った外周を有する板状部材である。この振動センサ取付フレーム120は、第1トップフレーム101の前側半周(図4における紙面上側)に設けられた肩部101gと、振動センサ取付フレームを挿入可能である程度に肩部101gから離間されて設けられた壁101fから突出する複数の係止部101hとの間に挿入される。そして、振動センサ取付フレーム120に列設される突起部121と、係止部101hのそれぞれに設けられている係止孔(非図示)とを嵌合させることによって、トップシンバルパッド部100に係止されて取り付けられる。一方で、この振動センサ取付フレーム120における突起部121により係止されていない自由端側は、薄肉でない上にリブ122が立設されているので、剛性を有する。トップシンバルパッド部100に、上記のように取り付けられた振動センサ取付フレーム120は、その外周の一部の区間が壁101fにに沿って係止される上に、残りの区間である自由端が剛性を有するので、トップシンバルパッド部100が打撃されると、第1トップフレーム101と一体化して振動することができる。
【0110】
振動センサ110は、振動センサ取付フレーム120における第1トップフレーム101に対向する側の面の略中央に設けられている。上記のように、振動センサ取付フレーム120が第1トップフレーム101と一体化して振動するために、振動センサ取付フレーム120上に取り付けられている振動センサ110は、トップシンバルパッド部100の打撃時の振動を精度良く検出することが可能である。よって、トップシンバルパッド部100の打撃力及び打撃位置を精度良く検出することが可能となる。
【0111】
また、振動センサ110が、第1トップフレーム101上に直接取り付けるのではなく、振動センサ取付フレーム120を介し、第1トップフレーム101とは離間させて取り付けられているので、振動センサ110は、トップシンバルパッド部100の打撃時に直接打撃されない。よって、トップシンバルパッド部100の打面のどこを叩いても振動が均一化されて伝えられる。従って、トップシンバルパッド部100の打撃時の振動の検出感度が均一化され得る。
【0112】
更に、振動センサ110は、振動センサ取付フレーム120によって第1トップフレーム101と離間されると共に、その振動センサ取付フレーム120の略中央部に設けられているので、上部シンバルパッド部100の中心に挿通されるエクステンションロッド420からの距離が適度に離間される。よって、演奏時のペダル操作による開閉動作に伴うエクステンションロッド420からの衝撃や振動に対する感度が鈍感となるため、本来必要なトップシンバルパッド部100の打撃による振動の検出感度をより向上させ得る。
【0113】
また、図1及び図4に示すように、トップシンバルパッド部100の前側半周部分であって、第1トップフレーム101の外周部101eの上側には、エッジ部100cの打撃を検出する感圧センサであるエッジセンサ160が配置されている。このエッジセンサ160は、前述したような、トップシンバルパッド部100の回転が防止される構成により、トップシンバルパッド部100の打面となる前側半周部分にのみ取り付ければよく、その分、製造コストを削減し得る。
【0114】
次に、このトップシンバルパッド部100と、スタンド部400とを固定する第1固定手段500について説明する。この第1固定手段500は、図1に示すように、第2トップフレーム102の頭部102aの下側に配置される回転止め部材501と、第2トップフレーム102の頭部102aの上側に配置されるクラッチトップ502、蝶ボルトネジであるクラッチスクリュー503、2枚のロックナット504、及び上部フェルトワッシャ505とから構成されている。
【0115】
回転止め部材501は、前述のように、頭部102aの内側中心部に設けられている凹部102gに遊嵌される部材である。この回転止め部材501は、凹部102gに対応する形状の山部(先端部501a)を有し、その外径が挿通部102bより大きな円柱部分と先端部501aの中央を通って延びるパイプ部分501dとからなる部材である。パイプ部501dは、その一端が、回転止め部材501の先端部501a側の略中央部に設けられている開口部501bから挿入され、図示しない螺合部により螺設される。さらに、イモネジ501cを用いることによって、パイプ部501dは、回転止め部材501に対して一体的に固定されている。
【0116】
回転止め部材501のパイプ部501dを、トップシンバルパッド部100の略中央の挿通孔102bに挿通し、先端部501aを凹部102gに遊嵌させると、先端部501aの頂点部分が、凹部102gの底部に溝状に延びる谷と当接する。それによって、トップシンバルパッド部100は、先端部501aの頂点部分を支点とする天秤のように揺動可能となる。
【0117】
パイプ部501dが挿通部102bに挿通されると、トップシンバルパッド部100の上側から突出する。このトップシンバルパッド部100の上側から突出したパイプ部501dに、フェルト製のワッシャである上部フェルトワッシャ505、2枚のロックナット504、クラッチトップ502が、下からこの順で配置される。パイプ部501dには、2枚のロックナット504が配置される付近の領域に非図示のネジ溝が設けられており、ロックナット504をそのネジ溝に螺合させることにより、上部フェルトワッシャ505によるトップシンバルパッド部100の押さえ具合を調節し得る。また、ロックナット504により、トップシンバルパッド部100は、ロックナット504によるネジ留め方式によって回転止め部材501に対して押えられるので、演奏中のトップシンバルパッド部100の揺動や振動によってもロックナット504は緩まず、その結果として、トップシンバルパッド部100を押える力が低下し難い。特に、ロックナット504が2枚配置されることにより、より効果的にロックナット504の緩みを防止し得る。
【0118】
このように、上部フェルトワッシャ505がトップシンバルパッド部100を上面側から回転留め部材501に対して適度に押さえつけるため、トップシンバルパッド100の下面側に位置する回転止め部材501の先端部501aの頂上部分が、凹部102gの谷に対して適度に密着して遊嵌される。この場合、先端部501aの山の延びる方向及び凹部102gの谷の延びる方向がトップシンバルパッド部100の左右方向に限定されているので、トップシンバルパッド部100は、例えば、前側が打撃された場合に、上記のように天秤のように前後の一方向に揺動するが、回転部材501を中心としてトップシンバルパッド部100が回転することは防止される。
【0119】
ロックナット504の上側に配設されるクラッチトップ502は、パイプ部501dの端部に、クラッチボルト502aにより固定されているが、パイプ部501dの上端は、クラッチトップ502の上部に設けられているクラッチスクリュー503を螺合するためのネジ穴(非図示)より下となるように配置されている。
【0120】
上記のように、第1固定手段500をトップシンバルパッド部100に取り付けた後、エクステンションロッド420がパイプ部501dにトップシンバルパッド部100の下側から挿通される。次いで、トップシンバルパッド部100を適切な高さに配置した上で、クラッチスクリュー503を締め込むことにより、トップシンバルパッド部100が、エクステンションロッド420上に、その軸周りに回転しないように固定される。
【0121】
従って、上記のように構成される第1固定手段500により、トップシンバルパッド部100がエクステンションロッド420に設置されると、トップシンバルパッド部100は、打撃時において、エクステンションロッド420の軸周り又は回転留め部材501の周りを回転することなく揺動する。
【0122】
また、エクステンションロッド420は、パイプ部501dに挿通されているので、エクステンションロッド420などの揺れが直接トップシンバルパッド部100に伝達されないので、振動センサ110が、エクステンションロッド420の揺れなどをノイズとして検出することを低減できる。
【0123】
次に、図1〜3、及び、図6及び図7を参照して、ボトムシンバルパッド部200の構造について説明する。図6は、ボトムシンバルパッド部200の上面側の正面図であり、図7は、ボトムシンバルパッド部200を第2固定手段600から分離した図である。なお、本実施例中において、「ボトムシンバルパッド部200の上面」及び「ボトムシンバルパッド部200の下面」は、それぞれ、スタンド部400に取り付けた状態における上面及び下面を示すものであり、以下においても同様の意味で使用するものとする。
【0124】
ボトムシンバルパッド部200は、図1に示すように、第1ボトムフレーム201と、この第1ボトムフレーム201の上面側中央部に隣接して設けられた第2ボトムフレーム202と、トップシンバルパッド部100のステレオジャック150から出力され、プラグ151、ケーブル152、及び、プラグ251を介して伝達される振動センサ110やエッジセンサ160の信号を入力するためのステレオジャック250と、このステレオジャック250から入力された各センサの信号やボトムシンバルパッド部200に設けられているクローズスイッチ220により検出された信号や変位センサ610からの信号を外部へ出力するため出力用ジャック240などを備えている。なお、図2及び図10については、図面を簡略化するために、ケーブル152の図示を省略している。
【0125】
第1ボトムフレーム201は、硬質プラスチック(ABS樹脂やポリカーボネート樹脂など)からなり、トップシンバルパッド部100と同様に、上面側又は下面側の正面視が略円形状であり、下面側の中央付近がドーム状に盛り上がった皿状の形状を有している。
【0126】
第1ボトムフレーム201の中央には、開口部201aが設けられている。この開口部201aは、第2ボトムフレーム202に設けられる2つの溝部202bに対応する2つの溝部を有する略円形状に形成されている。
【0127】
図1及び図5に示すように、第1ボトムフレーム201のエッジ部上面201bには、その周囲に沿った円環状の凹部を有し、その凹部の底面に、鉄板やアルミ板などの金属板210が、図1に示すように、ネジ213によって第1ボトムフレーム201に固定されている。なお、特に図示していないが、このネジ213は、第1ボトムフレーム201上に円環状に配設された金属板210の周囲に均等に適切な数(例えば、10程度)だけ配置されている。
【0128】
この金属板210の上側には、ゴムなどの弾力性を有する素材からなるクッションシート材211が積層され、このクッションシート材211の上側には、更に、エッジ滑りフィルム212が積層されている。ここで、エッジ滑りフィルム212は、エッジ部上面201bとほぼ一体の平面となるように配設されている。また、これらのクッション材211とエッジ滑りフィルム212との積層部分は、後述するクローズスイッチ220から第2ボトムフレーム202内に収納されている出力用ジャック240へ延びる配線(非図示)を保護するために、この配線が通る2つの配線ホルダ201c上を覆うように延びている。
【0129】
エッジ滑りフィルム212は、トップシンバルパッド部100の打撃に基づいて、トップシンバルパッド部100とボトムシンバルパッド部200とが接触しつつ揺動する際に、その揺動をスムーズに行なわせるための部材である。このエッジ滑りフィルム212は、良好な滑り性を有すると共に適度な強度を有する材質、例えば、ポリエステルやテフロン(登録商標)のような樹脂からなる。そのため、トップシンバルパッド部100が打撃された場合に、トップシンバルパッド部100に設けられたエッジ滑りチューブ140は、このエッジ滑りフィルム212上をスムーズに滑り得、その結果として、トップシンバルパッド部100とボトムシンバルパッド部200とは、接触しつつスムーズに揺動する。なお、このエッジ滑りフィルム212とエッジ滑りチューブ140とから構成される滑り機構については後述する。
【0130】
また、金属板210とクッション材211との間には、図6及び図7に示すようなボトムシンバルパッド部200の左右方向には、膜状の感圧センサであるクローズスイッチ220が1枚ずつ設けられている。なお、図7では、一対のクローズスイッチ220の一方(ボトムシンバルパッド部200の左側に配置されているクローズスイッチ220)を含む周辺領域について、クローズスイッチ200を覆うクッションシート材211及びエッジ滑りフィルム212を一部省略し、クローズスイッチ220を露出させて示している。また、図3の断面図において、金属板210とクッションシート材211との間にクローズスイッチ220が図示されるべきであるが、図面の煩雑化を防ぐために、その図示を省略している。
【0131】
クローズスイッチ220は、多層構造を有する膜状の感圧センサであり、電子ハイハットシンバル1の閉状態(クローズ状態)を検出するセンサである。スタンド部400の下方に設けられている非図示のペダルの踏み込みによりトップシンバルパッド部100とボトムシンバルパッド部200とが接触して閉状態(クローズ状態)とされた場合に、図3に示すように、クローズスイッチ220は、トップシンバルパッド部100に設けられているエッジ滑りチューブ140による押圧を検出し、検出により発生される信号が非図示の配線を介して、出力用ジャック240へ伝達される。
【0132】
このクローズスイッチ220は、トップシンバルパッド部100のエッジ滑りチューブ140により押圧されるが、その際、クローズスイッチ220が金属板210を背にして押圧されるため、押圧の検出感度を良好なものとする。
【0133】
また、弾性を有するクッション材211を介してクローズスイッチ220が押圧されるので、エッジ滑りチューブ140による押圧力は適度に分散してクローズスイッチ220へ伝達される。よって、この構造により、クローズスイッチ220の検出感度を向上させ得る。
【0134】
トップシンバルパッド部100の打撃時には、トップシンバルパッド部100が揺動するために、いずれか一方側のクローズスイッチ220が押圧される状態はしばしば生じ得るので、閉状態(クローズ状態)を検出する上で、上記のように、ボトムシンバルパッド部200の左右方向に一対のクローズスイッチ220を設け、これらのクローズスイッチ220が同時に押圧されたか否かを検出するようすることは有効である。即ち、閉状態(クローズ状態)においてトップシンバルパッド部100の打面(前側)を打撃した場合であっても、エッジ滑りチューブ140による押圧力は、打撃による前後方向中心の揺動の影響を比較的受けることなく安定しているので、閉状態(クローズ状態)を確実に検出することができる。
【0135】
ここで、図8を参照して、このクローズスイッチ220について説明する。図8は、クローズスイッチ220の構造を説明する図である。図8(a)は、クローズスイッチ220を部分的に分解した図であり、図8(b)は、図8(a)におけるC−C線の断面を、その断面方向から見た図である。
【0136】
クローズスイッチ220は、第1ベースフィルム221と、スペーサフィルム222rと、第2ベースフィルム223との3層からなる積層体である。具体的には、図8(a)に示すように、クッションシート材211に隣接する側の層である第1ベースフィルム221と、金属板210に隣接する側の層である第2ベースフィルム223と、これらのフィルム221,223の間に介在して配置されるスペーサフィルム222とから構成されている。なお、図8(a)の分解図では、紙面上方側には、第1ベースフィルム221が図示され、一方で、紙面下方側には、第2ベースフィルム223と、その上側(第1ベースフィルム221側)に積層されたスペーサフィルム222とから構成される部分が図示されている。
【0137】
第1ベースフィルム221は、絶縁性を有する樹脂製の薄膜であり、その片面には第1の導電パターン221aが印刷されている。なお、図8(a)における第1の導電パターン221aは、導電パターンの印刷されている領域を示すものであり、第1の導電パターン221aの詳細な配線パターンについては、本発明の要旨ではないので図示しないと共にその説明を省略する。
【0138】
第2ベースフィルム223は、絶縁性を有する樹脂製の薄膜であり、その片面には第2の導電パターン223aが印刷されている。なお、図8(a)における第1の導電パターン223aは、導電パターンの印刷されている領域をハッチングの領域(一部、スペーサフィルムにより隠れている部分は点線)で示すものであり、第1の導電パターン223aの詳細な配線パターンについては、本発明の要旨ではないので図示しないと共にその説明を省略する。
【0139】
クローズスイッチ220において、第1ベースフィルム221の第1の導電パターン221aと、第2ベースフィルム223の第2の導電パターン223aとは、互いに対向して設けられており、第1の導電パターン221aと第2の導電パターン223aとが接触した場合に電流が導通し、その電流によってスイッチONが検出される。
【0140】
スペーサフィルム222は、絶縁性を有する樹脂製の薄膜であり、図8(a)に示すように、クローズスイッチ220において、第1の導電パターン221aと第2の導電パターン223aとの間に相当する部分に、長手方向に連設される複数の貫通孔222aが設けられている。
【0141】
これらの複数の貫通孔222aにより、第1の導電パターン221aと第2の導電パターン223aとが互いに露出されるが、図8(b)に示すように、隣接する貫通孔222aの間に残存するスペーサフィルム222によって、静置時には、第1の導電パターン221aと第2の導電パターン223aとが離間される。これによって、トップシンバルパッド部100とボトムシンバルパッド部200とが開状態(オープン状態)である場合には、第1の導電パターン221aと第2の導電パターン223aとが離間されているので、電流が流れない。一方で、トップシンバルパッド部100とボトムシンバルパッド部200とが閉状態(クローズ状態)となり、エッジ滑りチューブ140がエッジ滑りフィルム212に当接又は押圧した結果として、その押圧によって第1のベースフィルム221が撓み、第1の導電パターン221aと第2の導電パターン223aとが接触し、電流が導通される。
【0142】
また、スペーサフィルム222には、貫通孔222aが複数設けられることによって、図8(a)及び(b)に示すように、第1の導電パターン221aと第2の導電パターン223aとを離間させつつ支持するスペーサ部分が複数形成されることになる。よって、経年変化により生じ得るクッションシート材211の劣化による撓みによって、第1の導電パターン221aと第2の導電パターン223aとが接触し、その結果としてクローズスイッチ220が誤作動することを抑制することができる。
【0143】
クローズスイッチ220の長手方向両端には、第1ベースフィルム221、スペーサフィルム222、第2ベースフィルム223を貫通する位置決め孔220aが設けられている。この位置決め孔220aが、第1ボトムフレーム201の所定の位置に設けられ、金属板210を貫通する位置決め用の突起(非図示)に係合されて、クローズスイッチ220が所定の位置に配置される。位置決め孔220aに基づいて位置決めされたクローズスイッチ220は、両面テープ又は接着剤などにより金属板210上に固定される。
【0144】
再度、図1〜3、及び、図6及び図7を参照して、ボトムシンバルパッド部200の構造について説明する。第2ボトムフレーム202は、軟質材、例えば、ゴムのような弾性体からなるフレームである。この第2ボトムフレーム202は、図3に示すように、第1ボトムフレーム201の開口部201aの内周側に沿う形状の開口部202aと、第1ボトムフレーム201のドーム部201dの内側(図3における紙面上側の面)に沿う形状の底面を有する凹部202cを有しており、また、図6に示すように、ボトムシンバルパッド部200の左右方向に2つの出力用ジャック240を収容するためのケース部202dと、同じく後側方向に、トップシンバルパッド部100からの信号を入力するためのステレオジャック250を収容するためのケース部202eとを備えている。この第2ボトムフレーム202は、図1及び図6に示すように、ネジ204によって第1ボトムフレーム201に固定されている。
【0145】
開口部202aは、上記のように、第1ボトムフレーム201の開口部201aの内周側に沿う円形状を有し、図6に示すように、略直径方向に対向する位置に、2つの溝部202bを有する略円形状に開口している。この開口部202aに、下方から、スタンド部400の中空シャフト410の軸周りに回転不能に固定されたボトムアンカ601の凸部601bが嵌合される。一方、開口部202aの上方から、変位センサ610の凸部611aが嵌合される。その際、変位センサ610の凸部611bに設けられた突起部611dが、ボトムアンカ601の凸部601bに設けられた係止孔601eに挿入されると、凸部601bと凸部611aとが、開口部202aの内周側において連結される。
【0146】
これらの凸部601b及び凸部611aは、いずれも、後述するように、その周囲から突出する溝部202bを有する開口部202aと略同一の形状を有しているので、ボトムシンバルパッド部200は、スタンド部400の軸周りに回転不能に固定されるボトムアンカ601、及び、変位センサ610に対して回転不能とされる。よって、この開口部202aと凸部601b及び凸部611aとの互いの形状によって、ボトムシンバルパッド部200において、トップシンバルパッド部100の揺動に伴う揺動が生じた場合にも、スタンド部400の軸周りに回転することが禁止される。従って、ボトムシンバルパッド部200に配置されるセンサ類を限定した位置に配置することができるので、本実施例のように一対のクローズスイッチ220の配置を、最も好ましい位置であるボトムシンバルパッド部200の左右方向に限定できる。
【0147】
凹部202cには、図7に示すように、開口部202aにおいて、ボトムシンバルパッド部200の前後方向に相当する直径方向に設けられている溝部202bを除く周囲に2つの突起部202fが設けられている。この突起部202fは、いずれもその略中央を頂上とし、その頂上から両端に向けて下降傾斜する形状を有している。即ち、突起部202fは、ボトムシンバルパッド部200の左右方向に相当する部分が高くなるように形成されている。これによって、後述するように、第2固定手段600により、ボトムシンバルパッド部200を前後に揺動可能に固定することが可能となる。
【0148】
また、2つの出力用ジャック240は、それぞれの開口部240aが、図3に示すように、ボトムシンバルパッド部200の左右方向を向き、第1ボトムフレーム201の外側へ露出するように配置されている。2つの出力用ジャック240の開口部240aが左右方向へ向けられているので、それらの出力用ジャック240aに接続された配線コードが絡まり難く、配線コードのプラグが出力用ジャック240aから脱落することを防止し得る。また、ボトムシンバルパッド部200は、上記のようにその揺動が前後方向に規制されているので、開口部240aが左右方向を向く出力用ジャック240に接続された配線コードは揺動による影響を受け難く、その結果として、配線コードのプラグが出力用ジャック240から脱落し難い。
【0149】
次に、図7、及び、図9〜図10を参照して、ボトムシンバルパッド部200とスタンド部400とを固定する第2固定手段600について説明する。図9は、第2固定手段600を説明する図であり、図10は、図3の断面図における第2固定手段600の部分を拡大した部分拡大断面図である。
【0150】
この第2固定手段600は、図7に示すように、第1ボトムフレーム201を下側から支持するボトムアンカ601と、第1ボトムフレーム201をボトムアンカ601に対して上側から押さえ込む変位センサ610と、ボトムアンカ601をスタンド部400へ固定するクランプ部620とから構成されている。
【0151】
ボトムアンカ601は、中央に形成される開口部601aと、第2ボトムフレーム202の溝部202bに嵌合する2つの凸部601bと、その凸部601bに形成される係止孔601eと、その凸部601bが形成された面の反対側に形成される凹部601cと、側面に形成されたフック部601dとを有するアルミダイカストなどの金属部品である。このボトムアンカ601の上部には、ボトムシンバルパッド部200に対するクッション材602として、ゴムシートなどの弾性体シートが配設される。
【0152】
変位センサ610は、トップシンバルパッド部100の変位量を検出するためのセンサであり、そのセンサ構造については後述する。この変位センサ610のケース部611の外周の下側(底面)は略平面であり、その略平面には凸部611aが設けられている。この凸部611aは、第2ボトムフレームにおける、溝部202bを有する開口部202aに嵌合する形状であると共に、ボトムアンカ601の係止孔601eに挿入するための突起部611d(図1参照)を有している。また、凸部611aには、変位センサ610を上下に貫通する貫通孔の一部である開口部611cが設けられている。
【0153】
更に、変位センサ610には、図10に示すように、変位センサ610の中心を上下に貫通するように配置されたスリーブ612が設けられており、ネジ部612aが変位センサ610から下方側に突出している。
【0154】
図7に示すように、ボトムアンカ601と変位センサ610との間に、ボトムシンバルパッド部200を配置し、ボトムアンカ601の凸部601b及び変位センサ610の凸部611aの形状を、ボトムシンバルパッド200の溝部202bを有する開口部202aの形状に合わせた上で、変位センサ610の突起部611bをボトムアンカ601側の係止孔601eに嵌合させる。そして、変位センサ610から、ボトムシンバルパッド部200及びボトムアンカ601を貫通されるネジ部612aには、ボトムアンカ601の凹部601cの内部において、ナット605が螺合され、それによって、ボトムシンバルパッド部200が第2固定手段600に固定される。
【0155】
この第2固定手段600においては、2つの溝部202bを有する開口部202aの形状に、ボトムアンカ601の凸部601b及び変位センサ610の凸部611aの形状を嵌合させているので、ボトムシンバルパッド部200は、この第2固定手段600の周りに回転不能に固定される。
【0156】
先に説明したように、ボトムシンバルパッド部200の第2ボトムフレーム202に設けられている2つの突起部202fは、それぞれ、ボトムシンバルパッド部200の左又は右方向に相当する部分が高く、突起部202fの両端に向けて下降傾斜するように形成されている。よって、変位センサ610のケース部611の外周底面に当接しつつ、その形状に沿ってボトムシンバルパッド部200は前後方向に揺動が規制される。従って、上記のような第2固定手段600による固定様式により、ボトムシンバルパッド部200は前後にのみ揺動可能にスタンド部400に固定される。
【0157】
上記のように、ボトムシンバルパッド部200の揺動方向が前後方向に規制されるので、本実施例のようにボトムシンバルパッド部200の左右方向に配置された一対のクローズスイッチ220は、打撃による前後方向中心の揺動の影響を受け難く、閉状態(クローズ状態)を高精度に検出することができる。
【0158】
変位センサ610は、後述するセンサとして機能するだけでなく、ケース部611よって、第2固定手段600の一部として機能する。よって、電子ハイハットシンバル1の部品数を少なくすることができ、それによって、製造コストを低減することができる。
【0159】
ボトムアンカ601と変位センサ610との間にボトムシンバルパッド部200が配置されると、図9に示すように、ボトムアンカ601が、クランプ部620によってスタンド部400に固定される。このクランプ部620は、エラストマーなどの弾性体からなるクランプ621及びアーム622と、クランプホルダ623と、そのクランプホルダ623の自由端を留めるネジ624とを備えるものである。
【0160】
このクランプ部620は、クランプ621により中空シャフト410を挟み、その外側から更にクランプホルダ623で挟み、クランプホルダ623の両方の自由端をネジ624で留めることにより、クランプ部620が中空シャフト410上に回転不能に固定される。
【0161】
一方で、ボトムシンバルパッド部200が載置されたボトムアンカ601を、フェルト製のワッシャである下部フェルトワッシャ412上に配置し、ボトムアンカ601の側面に設けられているフック部601dに、アーム622の嵌合部622aを嵌合する。嵌合部622aは、クランプ620の本体部分の径及びフック部601dの内径より僅かに大きい径を有しているので、弾性体である嵌合部622aは、押圧により変形されてフック部601dに嵌合される。そのため、嵌合部622aは、フック部601dから脱落し難い。
【0162】
また、クランプ部620は、上記のように弾性体からなるために可撓性を有し、市販の各種スタンドにおいて下部フェルトワッシャ412を保持するフェルト保持部411の形状が様々である場合でも、アーム622が、その形状に応じて適宜湾曲するので取り付け可能となる。従って、ボトムシンバルパッド部200を、市販のスタンド部400に設置することが可能となる。
【0163】
次に、第2固定手段600の一部である変位センサ610のセンサ部分の構造について説明する。変位センサ610は、図10に示すように、上面が開口された中空の円筒であるケース部611と、そのケース部611の内側の底部に収納された円形のセンサシート613と、そのセンサシート613の下に配置されるセンサシート613と略同形の硬質基板614と、センサシート613の上に配置され、トップシンバルパッド部100からボトムシンバルパッド部200へ向かう方向に広がる円錐状のコイルバネ615と、そのコイルバネ615の上部に接触する上方に向かって凸形状を有する蓋部616とから構成されている。
【0164】
また、ケース611の中央には開口部611cが設けられているが、この開口部611cは、変位センサ610の上下を貫通する貫通孔の一部である。特に図示はしないが、センサシート613、硬質基板614、及び、蓋部616のそれぞれの部材の中央にもまた、この貫通孔の一部となる開口部が設けられている。開口部611cを初めとする各開口部とコイルバネ615の中央とに、エクステンションロッド420を挿通するためのスリーブ612が挿通されている。
【0165】
エクステンションロッド420は、変位センサ610の内部を貫通するスリーブ612に挿通されているので、変位センサ610には、エクステンションロッド420の撓みが直接伝わらない。このような構造によって、変位センサ610による後述するようなトップシンバルパッド部100の変位量の検出において、エクステンションロッド420の撓みが影響することなく、高精度な変位量の検出を可能とする。
【0166】
この変位センサ610では、非図示のペダルが踏み込まれると、エクステンションロッド420が下降し、トップシンバルパッド部100とボトムシンバルパッド部200との間がその踏み込み量に応じて開状態(オープン状態)(図1に示す状態)から閉状態(クローズ状態)(図2に示す状態)へ移行する。エクステンションロッド420には、第1固定手段500により、トップシンバルパッド部100が固定されているので、ペダルの踏み込みによってエクステンションロッド420が下降すると、回転止め部材501も一緒に下降する。回転止め部材501が下降すると、回転止め部材501の下側により、蓋部616が押し下げられる。それによって、コイルバネ615は、センサシート613や硬質基板614に対して押しつけられて圧縮され、その圧縮力により上下方向に変形する。
【0167】
このようにコイルバネ615が上下方向に圧縮されて生じた変形を、センサシート613を用いて電気的に検出し、出力用ジャック240を介する非図示の配線により外部の処理装置へ出力することによって、ペダルの踏み込みによるエクステンションロッド420の上下方向変位量、即ち、ペダルの踏み込みによるトップシンバルパッド部100の変位量が検出される。
【0168】
ここで、図11を参照して、変位センサ610のセンサ部分について説明する。図11は、変位センサ610のセンサ部分をエクステンションロッド420の挿通方向に分解した図である。なお、「変位センサ610のセンサ部分」とは、コイルバネ61と、センサシート613と、硬質基板614とから構成される部分を意味する。
【0169】
センサシート613は、図11に示すような積層体であり、コイルバネ615に隣接する側から順に、押圧フィルム613aと、ベースフィルム613bと、ベースフィルム613bに印刷されている導電印刷部613cと、ベースフィルム613bに印刷されているカーボン印刷部613dと、スペーサフィルム613eとが配置されている。
【0170】
押圧フィルム613aは、ポリエステルなどのプラスチックフィルムなどからなる薄膜であり、コイルバネ615の広口部615aと略同一の外径と広口部615aを載置可能な幅とを有する略円環状の外周部613a1と、直径方向に横断する2本の細長い押圧部613a2と、スリーブ612を挿通可能な内径を有する円環状の内周部613a3とを有している。
【0171】
ベースフィルム613bは、絶縁性を有する樹脂製の薄膜であり、押圧フィルム613aに対向する面とは反対側の面に、円環状の導電印刷部613cが印刷され、導電印刷部613cを被覆するようにカーボン印刷部613dが印刷されている。カーボン印刷部613dは、導電印刷部613cを覆う円環状の円環部613d2と、その円環部613d2の直径方向に外側へ向けて突出する2本の細長い抵抗部613d1とを有している。センサシート613において、抵抗部613d1は、押圧部613a2による押圧を受けることが可能な位置に配置されている。
【0172】
スペーサフィルム613eは、絶縁性を有する樹脂製の薄膜であり、スリーブ612を挿通可能な内径を有する貫通孔613e2と、センサシート613において、抵抗部613d1に対応する位置の近傍を露出する2つの貫通孔613e1とを有している。また、貫通孔613e1の形成により、スペーサフィルム613の外周部分に残存する幅は、広口部615aを載置可能な幅を有している。
【0173】
硬質基板614は、ガラス基材エポキシ積層板などからなる薄板状の基板であり、スリーブ612を挿通可能な貫通孔614cと、センサシート613に対向する側の面において、抵抗部613d1と接触可能な位置に設けられている2本の細長い導電パターン614aと、センサシート613に対向する側の面と反対側の面に設けられ、非図示のスルーホールを介して導電パターン614aと接続されている引出しパターン614bとから構成されている。なお、導電パターン614a及び引出しパターン614bは、いずれも、銅箔などの金属により形成される導電性を有するパターンである。
【0174】
変位センサ610のセンサ部では、スペーサフィルム613eの貫通孔613e2により、抵抗部613d1と導電パターン614aとが、離間された状態で互いに露出される。そのため、静置時には、抵抗部613d1と導電パターン614aとは接触せず、電流が導通されない。
【0175】
一方で、非図示のペダルの踏み込みによる回転止め部材501の下降によってコイルバネ615が、その頂上部から広口部615aへ向けて押圧されると、コイルバネ615が圧縮されて、コイルバネ615の線材(後述する線材615b)が、押圧フィルム613aの押圧部613a2を押圧する。その押圧は、抵抗部613d1に伝達されて、その結果として、硬質基板614の導電パターン614aに接触し、引出しパターン614bを介して電流が導通される。
【0176】
次に、図12を参照して、変位センサ615のセンサ部によるトップシンバルパッド部100の変位量の検出の概要について説明する。図12は、変位センサ610によるトップシンバルパッド部100の変位量の検出を模式的に説明する図であり、図12(a)→図12(b)→図12(c)の順で、コイルバネ615にトップシンバルパッド部100の下降による変位に伴う押圧力が増大された場合について示している。なお、図12は、図11に示した変位センサ610のセンサ部が組み立てられた状態において、図11の押圧フィルム613a上に示したD−D線に対応する位置で各部材を切断した場合の断面図である。また、図12では、図面簡略化のために、センサシート613における、スペーサフィルム613e以外の層、即ち、押圧フィルム613a及びベースフィルム613bと、ベースフィルム613bに印刷されている導電印刷部613c及びカーボン印刷部613dとをまとめてセンサ層613Aとして図示している。
【0177】
コイルバネ615が押圧されていない場合、コイルバネ615の広口部615aの線材がスペーサフィルム613の外周部分に載置されるのみであるので、センサ層613Aに含まれる抵抗部613d1と、硬質基板614の導電パターン614aとは非接触とされ、電流は導通しない。
【0178】
図12(a)に示すように、トップシンバルパッド部100の下降によってコイルバネ615が僅かに押圧されると、コイルバネ615が圧縮変形され、コイルバネ615における広口部615a以外の線材615bがセンサ層613Aを押圧すると、その押圧が、押圧フィルム613aの押圧部613a2及び抵抗部613d1に伝達され、その結果として、抵抗部613d1と導電パターン614aとが接触し、電流が導通する。
【0179】
図12(b)は、図12(a)に示した状態よりさらにトップシンバルパッド部100が下降し、コイルバネ615がさらに圧縮変形された状態を示しており、図12(a)より多くの線材615bがセンサ層613Aを押圧している。その結果として、カーボン印刷である抵抗部613d1と導電パターン614aとの接触位置が変化する。よって、その接触位置間の電気抵抗値は、図12(a)の場合よりも減少する。
【0180】
図12(c)は、図12(b)に示した状態よりさらにトップシンバルパッド部100が下降した場合を示す図であり、コイルバネ615はさらに圧縮変形されて、図12(b)より多くの線材615bがセンサ層613Aを押圧している。その結果として、カーボン印刷である抵抗部613d1と導電パターン614aとの接触位置同士の距離は、図12(b)の場合より減少する。よって、その接触位置間の電気抵抗値は、図12(b)の場合よりも減少する。
【0181】
即ち、トップシンバルパッド部100の下降に伴い、カーボン印刷である抵抗部613d1と導電パターン614aとの接触位置が変化するので、接触位置同士の距離が変化することになる。従って、この接触位置間の電気抵抗値を検出することによって、トップシンバルパッド部100の上下の変位量を検出することができる。
【0182】
コイルバネ615の押圧による圧縮変形を、抵抗部613d1に伝達する押圧部613a2が細長く形成されているので、コイルバネ615に付与された押圧量を集中的に抵抗部613d1に伝達させることができる。よって、コイルバネ615に付与された押圧量の変化に伴う電気抵抗値の変化を高精度に検出することができる。
【0183】
次に、本発明の電子ハイハットシンバル1において、トップシンバルパッド部100とボトムシンバルパッド部200とをリンク接続する場合について説明する。図13は、本発明の電子ハイハットシンバル1を後方から見た図である。トップシンバルパッド部100のケース部102eの後方側に設けられているステレオジャック150の開口部(非図示)に、可撓性を有するケーブル152の一端であるL字型のプラグ151が嵌挿され、一方で、ケーブル152の他端に設けられているL字型のプラグ252が、ボトムシンバルパッド部200のケース部202eの後方側にに設けられているステレオジャック250の開口部(非図示)に嵌挿されている。
【0184】
図13に示すように、ステレオジャック150及びステレオジャック250の開口部がいずれも後方側を向いているので、ケーブル152を可能な限り短く、省スペースに配線することができる。なお、ステレオジャック150及びステレオジャック250の開口部がいずれも後方側である場合には、電子ハイハットシンバル1の閉状態(クローズ状態)における省スペース化を図ることができる。一方で、ステレオジャック150及びステレオジャック250の開口部がいずれも右側又は左側に設けることも可能であり、この場合は、トップシンバルパッド部100及びボトムシンバルパッド部200の揺動がいずれも前後方向に規制されているので、プラグ151及びプラグ251が脱落し難くなる。
【0185】
また、プラグ151及びプラグ252は、いずれもL字型プラグであるので、トップシンバルパッド部100の上下動に応じて、ケーブルが伸びたり屈曲したりを繰り返すような場合であっても、ステレオジャック150及びステレオジャック250の開口部において、プラグ151及びプラグ252における嵌挿部分が、適宜、長軸周りに自在に回転できる。よって、プラグ151及びプラグ252が引っ張られて、ステレオジャック150及びステレオジャック250から脱落することを抑制できると共に、プラグ151及びプラグ252にかかる負担を低減し、プラグの傷みを防止することができる。
【0186】
次に、図14を参照して、本発明の電子ハイハットシンバル1におけるトップシンバルパッド部100とボトムシンバルパッド部200との滑り機構について説明する。図14は、本発明の電子ハイハットシンバル1が閉状態(クローズ状態)において打撃された際に前方に傾いた状態を、図1と同じ切断線で切断した断面図であり、本実施例では、説明を容易にするために、閉状態(クローズ状態)の場合についてのみ説明する。
【0187】
先に説明したように、トップシンバルパッド部100は、第1固定手段500により前後方向に揺動可能に固定されており、一方で、ボトムシンバルパッド部200は、第2固定手段により前後方向に揺動可能に固定されている。そのため、トップシンバルパッド部100の上側が打撃されると、トップシンバルパッド部100は前後方向に揺動し、トップシンバルパッド部100の揺動が、ボトムシンバルパッド部200へ伝達され、ボトムシンバルパッド部200もまた、前後方向に揺動することを開始する。
【0188】
トップシンバルパッド部100とボトムシンバルパッド部200との接触部分には、それぞれ、いずれも滑性を有する材質からなるエッジ滑りチューブ140とエッジ滑りフィルム212が設けられているため、エッジ滑りフィルム212上をエッジ滑りチューブ140がスムーズに滑る。それによって、トップシンバル部100及びボトムシンバルパッド部200の揺動はスムーズに行なわれることとなり、その結果として、打撃の感触がアコースティックなハイハットシンバルに類似した自然な感触となる。
【0189】
また、図14に示すように、トップシンバルパッド部100及びボトムシンバルパッド部200が前方へ傾いている状態においては、エッジ滑りチューブ140がエッジ滑りフィルム212上の紙面左側の端部に到達している。図示はしないが、トップシンバルパッド部100及びボトムシンバルパッド部200が後方へ傾いた状態においては、エッジ滑りチューブ140は、エッジ滑りフィルム212上の紙面右側の端部に到達する。即ち、前後方向に揺動する際に、エッジ滑りチューブ140は、エッジ滑りフィルム212の端から端までを移動する。よって、エッジ滑りフィルム212が適度な範囲で幅広に形成されることによって、揺動時のエッジ滑りチューブ140との滑合可能領域を十分に確保することができる。
【0190】
以上のように、本発明の電子ハイハットシンバル1によれば、トップシンバルパッド部100及びボトムシンバルパッド部200が共に揺動可能に固定されているので、よりアコースティックなハイハットシンバルに近い演奏感を得ることができる。
【0191】
また、トップシンバルパッド部100とボトムシンバルパッド部200とには、それぞれ、エッジ滑りチューブ140とエッジ滑りフィルム212とが設けられているので、トップシンバルパッド部100の打撃によるトップシンバルパッド部100及びボトムシンバルパッド部200の接触しつつの揺動は、アコースティックなハイハットシンバルと同様のスムーズなものとなる。よって、打撃の感触がアコースティックなハイハットシンバルに類似した自然な感触を得ることができる。
【0192】
更に、トップシンバルパッド部100及びボトムシンバルパッド部200は、いずれも、スタンド部400及びエクステンションロッド420の軸周りに回転せず、また、揺動方向が前後方向に規制されているので、センサ類の配置やケーブルの配置などに都合がよい。
【0193】
以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
【0194】
例えば、上記実施例では、エッジ滑りチューブ140は、トップシンバルパッド部100の周囲に環状となるように配置されていたが、これに代えて、突起状の滑り部材を設けるように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0195】
【図1】本実施例の電子ハイハットシンバルの開状態(オープン状態)における前後方向断面図である。
【図2】本実施例の電子ハイハットシンバルの閉状態(クローズ状態)における前後方向断面図である。
【図3】本実施例の電子ハイハットシンバルの閉状態(クローズ状態)における左右方向断面図である。
【図4】トップシンバルパッド部の裏面側の正面図である。
【図5】本実施例の電子ハイハットシンバルにおけるエッジ滑りチューブ取り付け部分の部分拡大断面図である。
【図6】ボトムシンバルパッド部の裏面側の正面図である。
【図7】ボトムシンバルパッド部を第2固定手段から分離した図である。
【図8】クローズスイッチの構造を説明する図であり、(a)は、クローズスイッチを部分的に分解した図であり、(b)は、(a)におけるC−C線の断面を、その断面方向から見た図である。
【図9】第2固定手段を説明する図である。
【図10】図3の断面図における第2固定手段周辺部分の部分拡大断面図である。
【図11】変位センサのセンサ部分をエクステンションロッドの挿通方向に分解した図である。
【図12】変位センサによるトップシンバルパッド部の変位量の検出を模式的に説明する図であり、(a)は、コイルバネが僅かに押圧された状態を示す図であり、(b)は、(a)に示した状態よりさらにコイルバネが押圧された状態を示す図であり、(c)は、(b)に示した状態よりさらにコイルバネが押圧された状態を示す図である。
【図13】本実施例の電子ハイハットシンバルを後方から見た図である。
【図14】本実施例の電子ハイハットシンバルの閉状態(クローズ状態)における前後方向断面図であり、打撃によって前方へ傾いた状態を示す図である。
【符号の説明】
【0196】
1 電子ハイハットシンバル
100 トップシンバルパッド部(第1のパッド)
101h 係止部(係止孔)
102b 挿通孔(第1の挿通孔)
102g 凹部(溝状の底部を有する凹部)
110 振動センサ(第1のセンサ)
120 振動センサ取付フレーム(センサ取付部材)
121 突起部
122 リブ
140 エッジ滑りチューブ(滑り部材の一部、第1の滑り部材)
150 ステレオジャック(第1の端子嵌挿孔)
151 プラグ(第1の端子部)
152 ケーブル
200 ボトムシンバルパッド部(第2のパッド)
202a 開口部(第3の挿通孔の一部)
202b 溝部(第3挿通孔の一部、溝部)
202f 突起部(壁部)
220 クローズスイッチ(第2のセンサ)
221 第1ベースフィルム(第1の膜部材)
221a 第1の導電パターン
222 スペーサフィルム(絶縁膜部材)
222a 貫通孔(貫通部)
223 第2ベースフィルム(第2の膜部材)
223a 第2の導電パターン
212 エッジ滑りフィルム(滑り部材の一部、第2の滑り部材)
240 出力用ジャック(第3の端子嵌挿孔)
250 ステレオジャック(第2の端子嵌挿孔)
251 プラグ(第2の端子部)
410 中空シャフト(上下動する軸と同軸上の軸)
420 エクステンションロッド(上下動する軸)
500 第1固定手段(第1の固定手段)
501 回転止め部材
501a 先端部(山部)
501b 開口部(第2の挿通孔)
501d パイプ部分(円筒状部材)
502 クラッチトップ(パッド固定部材の一部)
502a クラッチボルト(パッド固定部材の一部)
503 クラッチスクリュー(パッド固定部材の一部)
504 ロックナット(第1の押え部材)
600 第2固定手段(第2の固定手段)
601 ボトムアンカ(台座部材)
601a 開口部(第4の挿通孔)
601b 凸部
601d フック部(第1の挟持部)
605 ナット(雌ネジ部)
611d 突起部(係止部)
610 変位センサ(第2の押え部材、第3のセンサ)
611 ケース部(第2の押え部材、ケース部材)
612 スリーブ(円筒部、軸挿通筒)
612a ネジ部(雄ネジ部)
613 センサシート(センサシート部材の一部)
613a 押圧フィルム(押圧用膜部材)
613a2 押圧部
613b ベースフィルム(第3の膜部材)
613d1 抵抗部(導電部)
614 硬質基板(センサシート部材の一部)
614a 導電パターン
615 コイルバネ(バネ部材)
622 アーム(腕部)
622a 嵌合部(被挟持部)
623 クランプホルダ(第2の挟持部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性体の打面を有する第1のパッドと、
その第1のパッドを、所定の操作により上下動する軸に揺動自在に固定するための第1の固定手段と、
前記第1のパッドに対向する第2のパッドと、
その第2のパッドを、前記上下動する軸と同軸上の軸に、前記第1のパッドの揺動を伝達可能な位置に揺動自在に固定するための第2の固定手段と、
前記第1のパッドの打撃を検出する第1のセンサとを備えていることを特徴とする電子打楽器。
【請求項2】
前記第1のパッド及び前記第2のパッドが互いに接触する部分に、互いのパッドの滑りを促進する滑り部材を備えていることを特徴とする請求項1記載の電子打楽器。
【請求項3】
前記第1のパッドおよび前記第2のパッドは、略円形の皿状であり、
前記滑り部材は、前記第1のパッド又は前記第2のパッドのいずれかのパッドに設けられ、該パッドの直径方向の断面において取り付け面から突出する略円弧部分を有する第1の滑り部材と、他方のパッドの外周に第1の滑り部材と対向する位置に設けられた平面状の第2の滑り部材とを備えているものであることを特徴とする請求項2記載の電子打楽器。
【請求項4】
前記第1の滑り部材は、前記一方のパッドの中心を中心とする略円環状に配置されるチューブ状の部材であることを特徴とする請求項3記載の電子打楽器。
【請求項5】
前記第2の滑り部材は、前記第1の滑り部材が接触して滑る方向の幅が、少なくとも、前記第1のパッドの打撃に基づいて前記第1の滑り部材が滑る距離以上であるように形成されているものであることを特徴とする請求項3又は4記載の電子打楽器。
【請求項6】
前記第1のパッド又は第2のパッドの直径方向の断面において取り付け面から突出する前記第1の滑り部材の略円弧部分が前記第2の滑り部材に当接又は前記第2の滑り部材を押圧したことを検出する第2のセンサを備えていることを特徴とする請求項3から5のいずれかに記載の電子打楽器。
【請求項7】
前記第2のセンサは、一方の面に第1の導電パターンが形成された第1の膜部材と、その第1の膜部材における第1の導電パターンが形成されている面に対向して配置される面に第2の導電パターンが形成された第2の膜部材と、その第2の膜部材と前記第1の膜部材との間に配置され、前記第1の膜部材又は前記第2の膜部材のいずれかが前記第1の滑り部材の取り付け面から突出する略円弧部分により押圧された場合に、前記第1の導電パターンと前記第2の導電パターンとの接触を可能とする貫通部を複数設けた絶縁体からなる絶縁膜部材とを備えていることを特徴とする請求項6記載の電子打楽器。
【請求項8】
一対の前記第2のセンサは、前記第1のパッド又は前記第2のパッドのうち、前記第2の滑り部材を備えているパッドにおける、前記第1のパッドと対向する側の面である裏面側において、直径方向の線分上における略中心に対して対称な位置に設けられていることを特徴とする請求項6又は7記載の電子打楽器。
【請求項9】
前記第1のパッドは、その略中心部に設けられた前記上下動する軸を挿通可能な第1の挿通孔と、前記打面の裏側である裏面に、前記第1の挿通孔における略中心部を通って横断する溝状の底部を有する凹部とを備え、
前記第1の固定手段は、前記凹部に対して遊嵌可能な回転止め部材と、その回転止め部材が前記凹部に遊嵌された場合に、前記第1のパッドを前記回転止め部材に対して押止する第1の押え部材と、前記第1の挿通孔に挿通された前記上下動する軸に対して前記第1のパッドを固定するパッド固定部材とを備え、
前記回転止め部材は、前記凹部における溝状の底部に対応する形状の頂上部を有する山部と、前記凹部に遊嵌させた場合に、前記第1の挿通孔に対応する位置に設けられている前記上下動する軸を挿通可能な第2の挿通孔とを備えると共に、前記第1の挿通孔を通過し得ない外周を有するものであることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の電子打楽器。
【請求項10】
前記回転止め部材に一体的に固定されると共に前記第2の挿通孔の前記山部側から突出し、外周の一部に雄ネジ部を有し、前記上下動する軸を挿通可能であると共に前記第1の挿通部に挿通可能であり、前記凹部に前記回転止め部材を遊嵌させた場合に、前記第1の挿通部から突出する長さを有する円筒状部材を備え、
前記第1の押え部材は、前記雄ネジ部に螺合可能な雌ネジ部を備え、前記雌ネジ部を前記雄ネジ部に螺合させて前記第1のパッドを押圧することを特徴とする請求項9記載の電子打楽器。
【請求項11】
前記第1のセンサを装着すると共に前記第1のパッドに取り付けられる板状のセンサ取付部材を備え、
そのセンサ取付部材は、前記第1のセンサを装着した部分と前記第1のパッドの裏面とを離間させて取り付けていることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の電子打楽器。
【請求項12】
前記第1のセンサを装着すると共に前記第1のパッドに取り付けられる板状のセンサ取付部材を備え、
そのセンサ取付部材は、前記第1のパッドに設けられた前記凹部における底部の溝の延長線により区切られる一方の領域に、前記第1のセンサを装着した部分と前記第1のパッドの裏面とを離間させて取り付けられていることを特徴とする請求項9又は10記載の電子打楽器。
【請求項13】
前記センサ取付部材の前記第1のパッドへの取り付けは、前記センサ取付部材又は前記第1のパッドのいずれか一方の外縁部近傍の一部の区間に該外縁部に沿って列設された係止孔と、他方の外縁部近傍の一部の区間に該外縁部に沿って列設された突起部とが嵌合されていることを特徴とする請求項11又は12記載の電子打楽器。
【請求項14】
前記センサ取付部材において前記係止孔又は突起が列設された区間以外の区間の外縁部に、リブが立設されていることを特徴とする請求項13記載の電子打楽器。
【請求項15】
前記第1のセンサは、前記センサ取付部材における略中央部に取付られていることを特徴とする請求項11から14のいずれかに記載の電子打楽器。
【請求項16】
前記第2のパッドは、その略中心部に略円形状に設けられると共に、その円の直径方向に外側に向けて突出する一対の溝部を有する前記上下動する軸を挿通可能な第3の挿通孔を備え、
前記第2の固定手段は、前記第2のパッドを載置する台座部材と、その台座部材に前記第2のパッドを配置した場合に、前記第2のパッドを前記台座部材に対して押止する第2の押え部材とを備え、
前記台座部材は、前記第2のパッドが載置される略平面の平面部と、その平面部から突起し、前記溝部に嵌合可能な一対の凸部と、その凸部と前記溝部とを嵌合させた場合に前記第3の挿通孔と連通する略円形状を有する前記上下動する軸を挿通可能な第4の挿通孔とを備えていることを特徴とする請求項1から15のいずれかに記載の電子打楽器。
【請求項17】
前記第2の押え部材が、前記第3の挿通孔を通過し得ない外周を有する平板状部と、その平板状部から突出し、前記台座部材の凸部に対して係止可能な係止部と、前記平板状部から突出し、連通する前記第3の挿通孔及び前記第4の挿通孔に挿通可能な外径を有すると共に、前記第3の挿通孔側から挿通した場合に、前記第4の挿通孔側から端部が突出する長さを有する円筒部と、その円筒部における前記変位センサ部から離れた側の端部に少なくとも形成される雄ネジ部と、その雄ネジ部に螺合可能な雌ネジ部とを備えていることを特徴とする請求項16記載の電子打楽器。
【請求項18】
押圧量に応じて電気抵抗値が変化するセンサシート部材と、略円錐状を有し、その広口側の端部を前記センサシート部材に当接させ、他方の端部側から前記第1のパッドの下降による変位に伴う押圧力が付与される場合に、その押圧力の増大に従って、前記センサシート部材への押圧量が増大するバネ部材とを有する第3のセンサと、
その第3センサを収容するケース部材とを備え、
そのケース部材の外側底面が、前記第2の押え部材における前記第3の挿通孔を通過し得ない外周を有する平板状部であることを特徴とする請求項17記載の電子打楽器。
【請求項19】
前記センサシート部材は、前記バネ部材の広口側の端部の略直径方向に対応する部分に細長く設けられ、前記バネ部材による押圧量を伝達する押圧部を有する押圧用膜部材と、前記押圧部に対応する位置に細長く配置された電気導電性を有する導電部を有し、その導電部が前記押圧用膜部材とは反対側の面に配置される第3の膜部材と、その第3の膜部材における前記導電部を有する側の面に対向して配置され、前記導電部に対応する位置に細長く配置された電極部とを備えていることを特徴とする請求項18記載の電子打楽器。
【請求項20】
前記円筒部に一体的に連通されると共に、前記センサシート部材の略中心及び前記バネ部材の上面視の略中心を貫通して設けられ、前記上下動する軸を挿通可能な円筒状の軸挿通筒を備えていることを特徴とする請求項18又は19記載の電子打楽器。
【請求項21】
前記第2の固定部材は、前記台座部材に設けられた一対の第1の挟持部と、その挟持部材に対して着脱可能である弾性体の被挟持部を有する弾性体の腕部と、その腕部を前記上下動する軸と同軸上の軸に対して着脱可能とする第2の挟持部とを備えていることを特徴とする請求項16から20のいずれかに記載の電子打楽器。
【請求項22】
前記第2のパッドは、略円形の皿状であり、前記第3の挿通孔において、前記第1のパッドと対向する面である裏面側における、前記第3の挿通孔の周囲に、少なくとも前記溝部を除いて立設され、該溝部から前記第3の挿通孔の円弧上を略90度移動した2箇所を頂上とし、それぞれの頂上から両端に向けて下降傾斜する2つの壁部とを備えていることを特徴とする請求項21記載の電子打楽器。
【請求項23】
前記第2のパッドに設けられた2つの壁部におけるそれぞれ頂上を結ぶ方向と、前記第1のパッドに設けられた前記凹部における底部の溝の方向とが、略一致することを特徴とする請求項22記載の電子打楽器。
【請求項24】
前記第1のパッドは、その裏面側に、外周側から端子を嵌挿可能な開口部を有する第1の端子嵌挿孔を備え、
前記第2のパッドは、その裏面側における前記第1の端子嵌挿孔の開口部に対して対向する位置に、外周側から端子を嵌挿可能な開口部を有する第2の端子嵌挿孔を備えていることを特徴とする請求項23記載の電子打楽器。
【請求項25】
前記第1の端子嵌挿孔の開口部に嵌挿される略L字状の第1の端子部と、
その第1の端子部に連結され、可撓性を有し、電気信号を伝達可能なケーブルと、
そのケーブルの他端に連結され、前記第2の端子嵌挿孔の開口部に嵌挿される略L字型の第2の端子部とを備えていることを特徴とする請求項24記載の電子打楽器。
【請求項26】
前記第1のパッドおよび前記第2のパッドは、略円形の皿状であり、
前記滑り部材は、前記第1のパッド又は前記第2のパッドのいずれかのパッドに設けられ、該パッドの直径方向の断面において取り付け面から突出する略円弧部分を有する第1の滑り部材と、他方のパッドの外周に第1の滑り部材と対向する位置に設けられた平面状の第2の滑り部材と、前記第1のパッド又は第2のパッドの直径方向の断面において取り付け面から突出する前記第1の滑り部材の略円弧部分が前記第2の滑り部材に当接又は前記第2の滑り部材を押圧したことを検出する第2のセンサとを備え、
その第2のセンサが、前記第2のパッドに設けられた2つの壁部におけるそれぞれ頂上を結ぶ方向、又は、前記第1のパッドに設けられた前記凹部における底部の溝の方向の線分上において、略中心に対して対称な位置に設けられていることを特徴とする請求項23から25のいずれかに記載の電子打楽器。
【請求項27】
前記第2のパッドは、その表面側に、前記第2のパッドに設けられた2つの壁部におけるそれぞれ頂上を結ぶ方向に略一致する方向において外周側から端子を嵌挿可能な第3の端子嵌挿孔を備えていることを特徴とする請求項22から26のいずれかに記載の電子打楽器。
【請求項28】
弾性体の打面を有するパッドが軸に固定されている電子打楽器において、
前記パッドは、その略中心部に設けられた前記軸を挿通可能な第1の挿通孔と、前記打面の裏側である裏面に、前記第1の挿通孔における略中心部を通って横断する溝状の底部を有する凹部とを備え、
その凹部に対して遊嵌可能であり、該凹部における溝状の底部に対応する形状の頂上部を有する山部と、該凹部に遊嵌させた場合に、前記第1の挿通孔に対応する位置に設けられている前記軸を挿通可能な第2の挿通孔とを備えると共に、前記第1の挿通孔を通過し得ない外周を有する回転止め部材と、
その回転止め部材に一体的に固定されると共に前記第2の挿通孔の前記山部側から突出し、外周の一部に雄ネジ部を有し、前記軸を挿通可能であると共に前記第1の挿通部に挿通可能であり、前記凹部に前記回転止め部材を遊嵌させた場合に、前記第1の挿通部から突出する長さを有する円筒状部材と、
前記雄ネジ部に螺合可能な雌ネジ部を備え、前記回転止め部材が前記凹部に遊嵌された場合に、該雌ネジ部を前記雄ネジ部に螺合させて前記パッドを押圧し、前記パッドを前記回転止め部材に対して押止する押え部材と、
前記円筒状部材の先端に一体的に設けられ、前記第1の挿通孔に挿通された前記軸に対して前記パッドを固定するパッド固定部材とを備えていることを特徴とする電子打楽器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−69848(P2009−69848A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−297668(P2008−297668)
【出願日】平成20年11月21日(2008.11.21)
【分割の表示】特願2004−145597(P2004−145597)の分割
【原出願日】平成16年5月14日(2004.5.14)
【出願人】(000116068)ローランド株式会社 (175)
【Fターム(参考)】