説明

電子標識のためのタイル状ディスプレイ

【課題】オーバーラップしているディスプレイ素子を有する電子的に更新可能なタイル状ディスプレイを開示する。
【解決手段】タイル状ディスプレイ9は、ディスプレイ素子10(11)を含み、ディスプレイ素子10(11)は、線状又は多次元のアレイを形成するために互いにオーバーラップすることができる。ディスプレイ素子10(11)の画素は、単一のタイル状ディスプレイ9の外観を与えるために、隣接するディスプレイ素子10(11)の画素と位置を合わせることができる。タイル状ディスプレイ9は、鑑賞領域のサイズを低減するために、或いは輸送又は貯蔵の目的で、丸めるか、折り畳むか、縮めるか、又は分解することができるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイル状電子ディスプレイ、このようなディスプレイを含む標識システム、及び標識システムを形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
小売店、レストラン、及び広告板において、消費者の注意を引くための手段として、大判電子標識がよく知られるようになってきている。例えば、新しい情報を再び印刷することに伴うコストや労働力の発生なしに、特定のグループ又は時刻を広告の具体的な標的とすることができる。顧客は、製品及びサービスに関する最新情報を有することにより恩恵を受け、また小売業者は、種々の電子手段によって容易に変更することができるプログラム可能な情報を有することにより恩恵を受ける。
【0003】
電子標識は、伝統的なディスプレイ技法、例えば陰極線管(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマ・ディスプレイ、プロジェクター、及び発光ダイオード(LED)集成体を使用して形成されている。これらの技法は、動的なフルカラー画像を提供するものの、その反面、複雑な高価な電子装置及び一定の電力を必要とし、このようなディスプレイを含む標識の重量、サイズ、及びコストを著しく増大させる。これらの問題は、大判標識において特に顕著になるおそれがある。LEDディスプレイ素子の集成体は極めて大きくすることができるが、しかしそれぞれのLEDが個別に配置されるため、このような大型のサイズは、著しく高価なものになってしまう。その他のディスプレイ技法、例えばCRT、LCD、プラズマ、又は背面投影ディスプレイ素子が大量生産で形成されるが、しかしこれらは、製造ライン、収量、又はスペースという考慮事項に起因して、最大サイズが制限される。従って、極めて大型の標識を形成するためにこれらのディスプレイ技法を拡大させる唯一の妥当な方法は、複数のディスプレイ素子をタイル状に形成することによる。タイル状ディスプレイは、高い収量で既存の製造ライン上で小さなディスプレイ素子を製造し、次いで、単一の大型ディスプレイを形成するために、水平方向及び/又は鉛直方向のアレイにこれらを集成することにより、形成される。これらの小さなディスプレイ素子は典型的には、或る程度の量のアドレス不能領域を鑑賞領域の周りに有し、その結果得られるタイル状ディスプレイはしばしば、タイル状ディスプレイ素子間に明らかなギャップを有する。最終的な集成体はまた典型的には、極端に重く、高価であり、電力を多く必要とし、そして取り扱いに対して極めて鋭敏である。
【0004】
双安定反射性ディスプレイ技法の出現は、電力の一定の印加なしに、画像を無限に維持することができる、新しい種類の電子標識を可能にし、標識用途における電力効率を大幅に高める。多くの双方向ディスプレイ技法は、パッシブ・マトリックス駆動システムの形態の縮小された電子装置に十分に適している。このような駆動システムは、電子装置のコストを低減し、そして、ディスプレイ素子への入力接続部が、ディスプレイ素子の1つ又は2つ以上のエッジにルーティングされるのを可能にするという更なる恩恵をもたらす。このことは、駆動電子装置の配置に関して、より大きい自由度を可能にする。
【0005】
米国特許第5,673,091号明細書において、Boisdron及びChaudagneは、電子相互接続領域を隠すために、ディスプレイ素子を鉛直方向にオーバーラップさせることにより形成される鑑賞領域内の水平方向ギャップが低減された、電力効率的なタイル状標識を製造するために、パッシブ・マトリックス双安定ディスプレイ素子を利用する。国際公開第2004/051609号パンフレットにおいて、Ben-Shalom他は、ガラスシール領域を隠すために同様の構造を構成する。このことは、単一方向から見たときには或る程度効果的ではあるが、しかし或る特定の他の方向から見たときには、鑑賞領域内に、より顕著なギャップをもたらし、そして著しく非平面状のディスプレイを生み出す。両文献とも、水平方向においてディスプレイ素子を突き合わせることを記述しているので、どちらの方法も、水平方向にタイル状に配置されたアレイの間のギャップには対処していない。これらのシステムは、ガラス・ディスプレイ素子をまだ利用しており、取り扱いに対して鋭敏な大型の重い集成体をもたらす。
【0006】
米国特許出願公開第2004/0256977号明細書において、Astonは、多方向においてオーバーラップすることができるOLEDディスプレイ素子を用いて二次元アレイを発生させることによって、オーバーラップ・システムを改質する。このシステムは1つの方向からのディスプレイ・鑑賞領域の外観を改善するものの、他の方向からの外観はまだ妥協されることになる。さらに、ディスプレイはまだ、上記参考文献と同じ制限を被っており、すなわち、ディスプレイの取り扱い及び平面性の問題を有している。
【0007】
米国特許第6,252,564号明細書において、Albert及びComiskeyは、システムの平面度及び取り扱いを改善する一方、重量を軽減するために可撓性ディスプレイ素子を利用する。しかしながら、彼らはディスプレイ素子をオーバーラップすることはせず、ディスプレイ素子間のギャップを低減する目的で継ぎ目又はアドレス不能領域を隠す能力を発揮してはいない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
実質的に平面状であり、電力効率的であり、そしてディスプレイ素子間の顕著なギャップなしに全ての方向から見ることができる大判ディスプレイ・システムが必要である。さらに、このようなシステムが軽量であり、取り扱いに対して頑丈であり、容易に輸送可能であり、そしてサイズ及び形状が調節可能であることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
電子書換可能ディスプレイ、及びディスプレイを内蔵する標識システム、並びに標識システムを形成する方法を記載する。このディスプレイは、複数のディスプレイ素子を含む鑑賞領域を有しており、該複数のディスプレイ素子のそれぞれが、オーバーラップ領域と、アクセス領域と、相互接続領域と、ディスプレイ領域とを含み、該複数のディスプレイ素子のうちの少なくとも1つの素子のオーバーラップ領域が、該複数のディスプレイ素子のうちの少なくとも第2の素子のディスプレイ領域の少なくとも一部とオーバーラップしており、そして、該複数のディスプレイ素子のうちの1つの素子の少なくとも一部が可撓性である。
【発明の効果】
【0010】
大型の画像を表示するために、電子的に更新可能なタイル状ディスプレイを使用することができ、ディスプレイは実質的に平面状であり、そしてディスプレイ素子間の可視境界を最小限に抑えた状態で、複数の鑑賞方向から見ることができる。このシステムは、使用電力を最小限にすることができ、軽量であることが可能であり、携帯可能であり、コストを軽減することができ、又はこれらの組み合わせであることが可能である。このシステムは、容易な搬送を可能にするために、そして容易に調節可能な鑑賞領域のサイズ及び形状を提供するために、展開及び縮ませることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、複数の側に沿った相互接続部を有する薄膜ディスプレイ素子を示す正面図である。
【図2】図2は、図1の薄膜ディスプレイ素子の裏側から見た状態で示す等角図である。
【図3A】図3Aは、複数の側の相互接続部、及び鉛直方向及び水平方向でオーバーラップするディスプレイ素子を有する大判タイル状ディスプレイを示す正面図である。
【図3B】図3Bは、複数の側の相互接続部、及び鉛直方向及び水平方向でオーバーラップするディスプレイ素子を有する大判タイル状ディスプレイを示す断面図である。
【図4】図4は、複数の側の相互接続部、及び鉛直方向及び水平方向でオーバーラップするディスプレイ素子を有する大判タイル状ディスプレイを示す等角背面図である。
【図5】図5は、ディスプレイの正面上にラミネート・シートを有する大判タイル状ディスプレイを示す分解等角図である。
【図6】図6は、複数の側の相互接続部を有する大判2素子タイル状ディスプレイを示す正面図である。
【図7】図7は、オーバーラップする細長い個々のディスプレイ素子から形成された大判タイル状ディスプレイを示す正面等角図である。
【図8】図8は、オーバーラップするループ状ディスプレイ素子から形成された大判タイル状ディスプレイを示す正面図である。
【図9】図9は、図8のディスプレイをA-A線に沿って示す断面図である。
【図10】図10は、単一の側の相互接続部を有する薄膜ディスプレイ素子を示す背面図である。
【図11A】図11Aは、大判タイル状ディスプレイ集成体を示す正面図である。
【図11B】図11Bは、大判タイル状ディスプレイ集成体を示す側面図である。
【図12】図12は、単一の側の相互接続部を有する非方形タイル状用途において使用されるべき薄膜ディスプレイ素子を示す正面図である。
【図13】図13は、非方形タイル状ディスプレイを示す正面図である。
【図14】図14は、連続的な行及び列を有する大判タイル状ディスプレイを示す背面図である。
【図15A】図15Aは、タイル状ディスプレイを支持して給電する際に使用するためのレール・システムの正面図である。
【図15B】図15Bは、タイル状ディスプレイを支持して給電する際に使用するためのレール・システムの側面図である。
【図16】図16は、縮めた状態へ、そして縮めた状態からテレスコープ状に展開する大判タイル状ディスプレイを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書中に記載された本発明は、下記のような添付の図面を参照しながら理解することができる。
図面は一例に過ぎず、本発明の種々の態様を示している。添付の本文を検討すれば、他の態様が当業者には明らかになる。
【0013】
電子書換可能ディスプレイを標識システムにおいて使用することができる。ディスプレイは、電子的に更新可能な画像を表示することができる1つ又は2つ以上のディスプレイ素子を含むことができ、ディスプレイ素子は、線状又は多次元のアレイを形成するためにオーバーラップすることができる。各ディスプレイ素子の画素は、以後「タイル状ディスプレイ」と呼ぶ単一の大型ディスプレイの外観を与えるために、隣接するディスプレイ素子の画素と位置を合わせることができる。タイル状ディスプレイは、各ディスプレイ素子を1つ又は2つ以上の電子ドライバーに接続することができるように、集成することができる。或いは、タイル状ディスプレイは、ディスプレイ素子のうちのいくつか又は全てが電子ドライバーを共有できるように集成することもできる。タイル状ディスプレイは、鑑賞領域のサイズを低減するために、或いは輸送又は貯蔵の目的で、ディスプレイを丸めるか、折り畳みるか、縮めるか、又は分解することができるように構成することができる。タイル状ディスプレイは、ディスプレイを見るために、又はディスプレイの鑑賞領域を増大させるために、集成し、テレスコープ状に縮め、広げ、展開することができる。
【0014】
タイル状ディスプレイにおける各ディスプレイ素子は、アクセス領域と、相互接続領域と、ディスプレイ領域と、オーバーラップ領域とを有することができる。アクセス領域は、ディスプレイ素子内部の、他の方法ではアクセス不能な電極に、電気的アクセスを可能にするディスプレイ素子部分に相当する。アクセス領域はそれ自体は、情報を電子的に表示することはできない。アクセス領域は、任意のサイズ、形状、又はディスプレイ素子上の配置を有することができる。相互接続領域は、外部ディスプレイ電子装置、例えばドライバーとの電気的接続が形成されるディスプレイ部分に相当する。相互接続領域は、アクセス領域、ディスプレイ領域、又はこれらの組み合わせの全て又は一部を含むことができる。相互接続領域は、ディスプレイ素子の1つ又は2つ以上のエッジに沿っていることが可能であり、或いは、エッジに沿わない1つ又は2つ以上のディスプレイ素子領域内に配置することができる。ディスプレイ素子のディスプレイ領域は、情報を電子的に表示することができるディスプレイ素子領域であり、そしていかなるアクセス領域も含まない。ディスプレイ素子のオーバーラップ領域は、隣接するディスプレイ素子とオーバーラップするディスプレイ素子部分である。オーバーラップ領域は、相互接続領域の全て又は一部、ディスプレイ領域の全て又は一部、アクセス領域の全て又は一部、又はこれらの組み合わせを含むことができる。好ましくは、オーバーラップ領域は、ディスプレイ領域の全て又は一部を含む。オーバーラップされた隣接ディスプレイ素子領域は、相互接続領域の全て又は一部、ディスプレイ領域の全て又は一部、アクセス領域の全て又は一部、又はこれらの組み合わせを含むことができる。各ディスプレイ素子のアクセス領域が、隣接ディスプレイ素子のオーバーラップ部分、又はタイル状ディスプレイを保持するケースによって視界から隠されるか、又はタイル状ディスプレイの鑑賞領域の外側エッジに沿っていることが望ましい。鑑賞領域は、ディスプレイ画像内に明らかなギャップを有さない、そして観察者によって見ることができる、タイル状ディスプレイの電子的に更新可能な領域である。
【0015】
第1のディスプレイ素子のオーバーラップ部分が、オーバーラップされた素子に対して平に置くことができるように、各ディスプレイ素子の少なくとも一部が可撓性であることが可能である。可撓性であるために、個々のディスプレイ素子は可撓性基板を含むことができる。基板は、高分子材料、薄いガラス、又は石英であることが可能である。可撓性基板は、自己支持性であるのに十分な厚さと機械的完全性とを有していなければならないが、しかし、剛性であるほど厚くあるべきではない。好適な高分子基板の一例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリカーボネート(PC)、ポリスルホン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリイミド、ポリエーテルエステル、ポリエーテルアミド、セルロースアセテート、脂肪族ポリウレタン、ポリアクリロニトリル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリ(メチル(x-メタクリレート)、脂肪族又は環状ポリオレフィン、ポリアリーレート(PAR)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリイミド(PI)、テフロン(登録商標)ポリ(ペルフルオロ-アルコキシ)フルオロポリマー(PFA)、ポリ(エーテルエーテルケトン)(PEEK)、ポリ(エーテルケトン)(PEK)、ポリ(エチレンテトラフルオロエチレン)フルオロポリマー(PETFE)、ポリ(メチルメタクリレート)、及び種々のアクリレート/メタクリレートのコポリマー(PMMA)が挙げられる。脂肪族ポリオレフィンは、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、及び延伸ポリプロピレン(OPP)を含むポリプロピレンを含むことができる。環状ポリオレフィンはポリ(ビス(シクロペンタジエン))を含むことができる。好ましい可撓性プラスチック基板は、環状ポリオレフィン又はポリエステルであってよい。種々の環状ポリオレフィンは、可撓性プラスチック基板に適している。その例は、Japan Synthetic Rubber Co.(日本国東京)製のArton(登録商標);Zeon Chemicals L.P.(日本国東京)製のZeanor T;及びCelanese A. G.(ドイツ国Kronberg)製のTopas(登録商標)を含む。Artonは、高分子フィルムであるポリ(ビス(シクロペンタジエン))凝縮物である。或いは、可撓性プラスチック基板は、ポリエステル、例えば芳香族ポリエステル、例えばAryliteである。
【0016】
ディスプレイ素子は、書換可能な電子ディスプレイ材料と、基板上に所定のパターンを成して形成された1つ又は2つ以上の導電性層とを有するように形成することができるので、ディスプレイは、行及び列のパッシブ・マトリックスとして書き込むことができる。或いは、ディスプレイ素子は、ディスプレイ素子の各画素又はセグメントの個々のアクティブ化によって、アクティブ・マトリックスとして書き込むこともできる。ディスプレイ素子は、電気的トレースがディスプレイ素子の1つ又は2つ以上の異なるエッジ、エッジには沿わない1つ又は2つ以上のディスプレイ素子領域、又はこれらの何らかの組み合わせにルーティングすることができるように、構成することができる。相互接続領域は、外部ディスプレイ電子装置が接続される電気的トレース部分を含む。例えば、トレースが行及び列に配列される場合、行及び列のための相互接続領域は、ディスプレイ素子の互いに異なるエッジ上、又はディスプレイ素子の1つのエッジ上に位置するか、或いは、ディスプレイ素子の2つ又は3つ以上のエッジ上に散在することができる。導電性層の行及び列又はパターンにより画定されたディスプレイ領域が、ディスプレイ素子を駆動するために必要とされる相互接続領域よりも、いかなる方向においても大きくなるように、ディスプレイ素子を構成することができる。
【0017】
ディスプレイ素子は、電気変調材料、例えば電気化学材料;ミシガン州Ann ArborのGyricon, LLC(米国特許第6,147,791号明細書、同第4,126,854号明細書、及び同第6,055,091号明細書)、及びマサチューセッツ州CambridgeのE-ink Corporationによって製造されたものを含む電気泳動材料;エレクトロクロミック材料;エレクトロウェッティング材料;発光ダイオード;磁性材料;及び液晶材料を含むことができる。液晶材料は、ねじれネマティック(TN)、超ねじれネマティック(STN)、強誘電性、磁性、又はキラル・ネマティック液晶材料であってよい。キラル・ネマティック液晶は、ポリマー分散型液晶(PDLC)であってよい。好適なキラル・ネマティック液晶材料は、米国特許第5,695,682号明細書に開示されたコレステリック液晶、及び、全てニューヨーク州HawthorneのEM Industriesから入手可能なMerck BL112、BL118、又はBL126を含む。有機又はポリマー発光ダイオード(OLED)及び(PLED)は、以下の特許:米国特許第5,507,745号;同第5,721,160号;同第5,998,803号;同第5,757,026号;及び同第6,125,226号(Forrest他)の各明細書;米国特許第5,834,893号;及び同第6,046,543号(Bulovic他)の各明細書;米国特許第5,861,219号;同第5,986,401号;及び同第6,242,115号(Thompson他)の各明細書;米国特許第5,904,916号;同第6,048,573号;及び同第6,066,357号(Tang他)の各明細書;米国特許第6,013,538号;同第6,048,630号;及び同第6,274,980号(Burrows他)の各明細書;並びに、米国特許第6,137,223号明細書(Hung他)に記載されている。
【0018】
種々の態様によれば、ディスプレイ素子は、双安定材料を使用することにより、電力なしで、所望の画像、例えば文章、図形、記号、又は文字を維持することができる。このことは、ディスプレイ素子の所要電力を低減し、そして、ディスプレイ素子が内蔵型電源、例えばバッテリーを有する場合、ディスプレイの寿命を改善することができる。双安定ディスプレイは、ディスプレイ製造業者によく知られている方法によって形成することができる。好適な双安定材料は、電気化学材料;電気泳動材料;エレクトロクロミック材料;磁性材料;及びキラル・ネマティック液晶材料を含むことができる。双安定材料は、電場が除去された後、所与の状態を無期限に維持することができる。種々の態様によれば、双安定媒体の外部に、1つ又は2つ以上の導電性層を設けることができる。
【0019】
双安定材料が液晶材料を含む場合、第1の導電性層を有する支持体に、双安定材料を.塗布することができ、或いは、第1の導電性層上に、予め形成された双安定材料層を配置することもできる。反射状態から透過状態へ、又は透過状態から反射状態へ、又は任意の状態から所望のグレースケール・レベルへその状態を変化させるために、種々の強度及び持続時間を有する電場を双安定材料に印加することを可能にするように、双安定材料上に第2の導電性層を形成することができる。アクセス領域は、双安定材料及び第2の導電性層が、第1の導電性層との電気的接続を形成する能力を妨害しないディスプレイ部分であり、例えば、双安定材料及び第2の導電性層は、塗布されていないか、除去されているか、又は、第1の導電性層との電気的接続が形成されるのを可能にするように選択的にパターニングされている。
【0020】
第1の導電性層は、平行な線になるようにパターニングすることができる。第2の導電性層には、第1の導電性層と第2の導電性層との交差が画素を形成するように、第1の導電性層のパターニングに対して平行ではないパターニングを施すことができる。第2の導電性層は、個々の画素の形態でパターニングすることができる。第2導電性層は、厚膜印刷、スパッタ塗布、又はその他の印刷又は塗布手段によって双安定材料上に形成された導電性セグメントであってよい。導電性セグメントは、任意の周知の水性導電性材料、例えば炭素、グラファイト、又は銀であってよい。材料の例は、Acheson CorporationのElectrodag 423SSスクリーン印刷可能導電性材料である。導電性セグメントは、任意の形状、0〜9の数字、スラッシュ、小数点、ドル記号、セント記号、又は任意のその他の文字又は記号を形成するように配列することができる。第1の導電性層と第2の導電性層との間の双安定材料の光学的状態は、双安定材料を横切るように、電気的な駆動信号を選択的に印加することにより変化させることができる。この信号は、電圧、電流、又はこれらの任意の組み合わせであってよい。信号は、第2の導電性層、及び第1の導電性層に、これらが媒体内に存在する場合に、直接的又は間接的な接触によって印加することができる。媒体内にいずれの導電性層も存在しない場合には、信号は、双安定材料に対する1つ又は2つ以上の外部電極の直接的又は間接的な接触によって、双安定材料の選択領域に印加することができる。一旦双安定材料の光学的状態が変化させられると、これは、さらなる電力が導電性層に印加されることなしに、無期限にその状態のままであることが可能である。種々の双安定ディスプレイ素子の形成方法が当業者に知られている。例えば、Stephenson他により2002年4月29日付けで出願された米国特許出願第10/134,185号明細書、及びBurberry他により2004年5月21日付けで出願された米国特許出願第10/851,440号明細書に、双安定液晶ディスプレイが教示されている。
【0021】
ディスプレイ素子のために選択された材料に応じて、フィルター、有色半透明高分子フィルムを使用することにより、また、材料の操作、又はディスプレイ材料、又はディスプレイ材料を含有するキャリヤ又はバインダーへの着色剤の添加によってディスプレイ材料を直接的に着色することにより、色を加えることができる。例えば、ディスプレイ材料が液晶材料である場合、液晶のピッチを調節することにより、又は材料に着色剤を添加することにより、異なる色を達成することができる。種々のディスプレイ材料の色を調節するのに適した材料及び技法は、当業者には明らかであろう。
【0022】
或る特定のディスプレイ材料、例えば液晶材料の可視度を高めるために、光吸収材料から成る、しばしば暗層と呼ばれる有色層を、ディスプレイ材料の、入射光とは反対側に位置決めすることができる。液晶ディスプレイ材料の場合、完全に展開させられたフォーカル・コニック状態において、コレステリック液晶は透明であり、入射光を通し、入射光は、着色された、典型的には黒色の画像を提供するために暗層によって吸収される。暗層は、これが平面状態において液晶にコントラストを提供するのであれば、又は、他のディスプレイ材料の場合には少なくとも1つの状態においてそのディスプレイ材料にコントラストを提供するのであれば、いかなる色の輻射線反射層又は輻射線吸収層であってもよい。暗層は、直径1ミクロン未満の、粉砕された非導電性ナノ顔料を含むことができる。暗層は、複数の顔料分散体を含むことができる。暗層内に使用するのに適した顔料は、これらが内蔵される媒質中で不溶性であるいかなる有色材料であってもよい。好適な顔料は、「Industrial Organic Pigments: Production, Properties, Applications(工業用有機顔料:製造、特性、用途)」(W. Herbst and K. Hunger、1993年、Wiley Publishers)に記載された顔料を含む。これらの顔料の一例としては、アゾ顔料、例えばモノアゾ・イエロー及びオレンジ、ジアゾ顔料、ナフトール顔料、ナフトール・レッド、アゾ・レーキ、ベンズイミダゾロン顔料、ジアゾ縮合物顔料、金属錯体、イソインドリノン及びイソインドリン顔料、多環式顔料、例えばフタロシアニン、キナクリドン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、ジケトピロロ-ピロール顔料、チオインディゴ顔料、及びアントリキノン顔料、例えばアントラピリミジンを含む顔料が挙げられる。
【0023】
種々異なるディスプレイ材料に対して、種々の材料、例えば2種以上の着色剤、2種以上の暗層材料、2種以上の導電性層材料、又はこれらの組み合わせを使用することにより、単一のディスプレイ素子上に二色以上を形成することができる。例えば、液晶ディスプレイの導電性層のうちの1つおいて炭素及び銀の導電性材料を使用する結果、同じ塗布されたキラル・ネマティック液晶分散体及び色コントラスト層を使用して、異なる色集合をもたらすことができる。1つ又は2つ以上のディスプレイ素子は色変化性であってよい。2004年12月21日付けで出願された米国特許出願第11/021,766号明細書(Rick他)には、種々の色で画像を表示するために使用することができる電子的に更新可能な色変化性ディスプレイが記載されており、画像の内容及び色の両方を、遠隔位置から更新することができる。このことは、タイル状ディスプレイ内部の各ディスプレイ素子の全て又は一部の色を個々に変化させるのを可能にし、そして複数のディスプレイ領域が同じか又は異なる色であることが可能である。タイル状ディスプレイは、フルカラー、部分カラー、単色、又は二色ディスプレイ素子のいずれかの組み合わせを含むことができる。
【0024】
各ディスプレイ素子は可撓性であることが可能である。ディスプレイ素子は、任意の形状、例えば円形、方形、平行四辺形、正方形、湾曲形、又は不規則形であることが可能である。ディスプレイ素子は任意のサイズであってもよい。ディスプレイ素子は、ディスプレイ材料のループを含めて、ディスプレイ材料の正方形シートから細長いストリップに及ぶ方形であってよい。ディスプレイ素子の相互接続部分を除く全てにわたってエッジ間のディスプレイ領域を維持しながら、ディスプレイ素子を適切にカットすることにより、いかなる望ましい形状をも形成することができる。2つ又は3つ以上のディスプレイ材料は、任意の接続手段、例えばテープ貼付、添え継ぎ、接着、縫合、クランプ締付け、又はステープル留めによって合体して、大型ディスプレイ素子において使用するための単一の、より大型のディスプレイ材料にすることができる。ディスプレイ材料、及び結果として生じた素子は、ループの形態を成すことができる。
【0025】
タイル状ディスプレイは、2つ又は3つ以上のディスプレイ素子、例えば2つ、3つ、又は4つ以上のディスプレイ素子を有することができる。タイル状ディスプレイ内部のディスプレイ素子のそれぞれが、任意の所望のサイズ又は形状を有することができる。タイル状ディスプレイは、均一サイズのディスプレイ素子、均一形状のディスプレイ素子、素子サイズの組み合わせ、又はループ状ディスプレイ素子とシート型ディスプレイ素子との組み合わせを含む、素子形状の組み合わせから形成することができる。タイル状ディスプレイは任意の三次元形状、例えば平面状、湾曲形、円形、回転楕円体、多角形、正方形、立方体、又は不規則形の形状を有することができる。タイル状ディスプレイは、各側に少なくとも1つの鑑賞領域を有する両面を有することができる。タイル状ディスプレイが三次元形状、例えば多角形である場合、形状の各面は、少なくとも1つの鑑賞領域を含むことができる。タイル状ディスプレイが湾曲形、例えば球形である場合、1つ又は2つ以上の鑑賞領域が存在することができる。タイル状ディスプレイの形状とは無関係に、タイル状ディスプレイの各鑑賞領域は、2つ又は3つ以上のディスプレイ素子を含むことができる。ディスプレイ素子は、所定のパターン、例えば格子、幾何学的形状、記号、文字、又はランダムなパターンを成して、配列することができる。各ディスプレイ素子はオーバーラップするか、又は、タイル状ディスプレイ内部の少なくとも1つの他のディスプレイ素子によってオーバーラップされることが可能である。ディスプレイ素子、及びディスプレイ素子を含むタイル状ディスプレイは、ディスプレイ製造の当業者に知られた方法によって形成することができる。各ディスプレイ素子には、マトリックス化、セグメント化、又はこれらの組み合わせを施すことができる。
【0026】
各ディスプレイ素子の全て又は一部において画像を変化させるために、ディスプレイ駆動電子装置、例えば相互接続領域に接続された回路基板によって、電気的な駆動信号を各ディスプレイ素子に提供することができる。ディスプレイ駆動源は、ディスプレイ素子の相互接続領域に永久的に又は取り外し可能に取り付けることができる。ディスプレイ駆動源は、内部電源、例えばバッテリーを含むことができ、或いは外部電源、例えばバッテリー、電気回路、太陽電池、又はその他の電源に接続することができる。ディスプレイ駆動源は、ディスプレイ素子に物理的に接続することができる。ディスプレイ駆動源は、直接的に、又は何らかの二次的な接続部、例えばワイヤを通してディスプレイ素子に電気的に接続することができる。画像を形成するためのデータは、ディスプレイ駆動源との有線又は無線通信を介してコンピュータ又はその他のデータ源によって提供することができる。ディスプレイ素子は、1つ又は2つ以上のディスプレイ駆動源によって駆動することができる。タイル状ディスプレイは、1つ又は2つ以上のディスプレイ駆動源を有することができるので、ディスプレイ全体が1つの駆動源によって駆動されるか、2つ又は3つ以上のディスプレイ素子が共通の駆動源によって駆動されるか、又は、各ディスプレイ素子が、1つ又は2つ以上の区別可能な駆動源を有する。
【0027】
駆動電子装置は、アクセス領域内部、ディスプレイ領域内部、又はこれらの組み合わせにおいて位置決めすることができる。駆動電子装置はディスプレイ素子の1つ又は2つ以上のエッジを超えて拡がることができる。駆動電子装置は、ディスプレイ素子の選択された領域だけを変化させるのに適した駆動信号を印加するためにディスプレイ素子と相互作用するように構成することができる。ディスプレイ素子と駆動電子装置とは、2004年12月21日付けで出願された米国特許出願第11/021,765号明細書(Ricks他)に記載されているように、互いに動くことができる。駆動電子装置は、ディスプレイ素子の1つの寸法、例えばディスプレイ素子の幅を覆うようにサイズ設定することができ、又は、ディスプレイ素子の所望の部分を覆うように、2つ又は3つ以上の駆動電子装置集合を一緒に使用することもできる。駆動電子装置は、ディスプレイ素子全体に一度にアドレスするのに十分に大きく形成することができ、その場合、駆動電子装置とディスプレイ素子との相対運動は不要であり、そして駆動電子装置は、例えばアクティブ又はパッシブ駆動マトリックスの使用によって、一度にディスプレイ素子の全て又は一部に書き込みを施すことができる。駆動電子装置は、2つ以上のディスプレイ素子に一度に書き込むように、2つ以上のディスプレイ素子の全て又は一部を覆うようにサイズ設定することができ、そして、鑑賞領域と同じ大きさであることが可能である。1つ又は2つ以上のディスプレイ素子にアドレスするために駆動電子装置を使用する場合、ディスプレイ素子と駆動電子装置とは、駆動電子装置がディスプレイ素子の種々の区分にアドレスするのを可能にするように互いに相対運動することができる。ディスプレイ素子はループを形成することができるので、駆動電子装置は、ディスプレイ素子全体に連続的にアドレスすることができる。
【0028】
2つ又は3つ以上のディスプレイ素子を含むディスプレイはさらに、ケース又はフレーム(以後「ケース」と呼ぶ)を含むことができる。ケースは、1つ又は2つ以上のディスプレイ素子部分を視界から隠すことができ、任意のサイズ又は形状の1つ又は2つ以上の鑑賞領域を形成する。ケースは加えて、ディスプレイ素子、及び任意の連携する電子装置、例えばディスプレイ駆動源のうちの1つ又は2つ以上の部分を封入することができる。電子装置は、別個のデバイスであってもよく、そしてディスプレイ素子がタイル状ディスプレイを形成するために配置される前、又は後に、1つ又は2つ以上のディスプレイ素子に書き込みを施すことができる。ケースは任意の材料、例えばプラスチック、紙、金属、セラミック、液体、ゼラチン、視界妨害ガス、又はこれらの任意の組み合わせであってよい。ケースは、例えば正方形、方形、八角形、円形、円筒形、球形、又は非晶質を含む任意の形状を有することができる。ケースは二次元又は三次元であってよい。ケースは剛性、半剛性、可撓性、液状又は気体状であってよい。ケースは不透明、半透明、透明であってよく、或いは、不透明から透明まで不透明度が変化する区分を有することができ、この場合、透明領域は鑑賞領域と一致することができる。鑑賞領域は透明なケース部分であってよく、或いは、ケースを貫通する開口であってもよい。ケースは、タイル状ディスプレイの1つ又は2つ以上のエッジ部分に接触することができる。ケースは、タイル状ディスプレイの全て又は一部を封入することができる。
【0029】
タイル状ディスプレイを形成するために、複数のディスプレイ素子を接続し、1つの用途のために使用し、そしてその用途の寿命が終わったときに分解することができる。この同じ複数のディスプレイ素子をその後、第2の用途において使用するために、異なる配列に接続することができる。例えば、ディスプレイ素子のそれぞれの寸法が1 m×2 mであり、そして第1の用途が8 m×12 mの標識を必要とするならば、8素子×6素子で配列された48個の素子から成るマトリックスを考えることができる。次いで第2の用途が6 m×16 mの標識を必要とするならば、これらの同じ素子は、6素子×8素子の構造に並べ替えることができる。或いは、これら48個の素子は、多数の種々異なるフォーマットのタイル状ディスプレイの間で分割することもできる。
【0030】
光学的、物理的又は電気的な位置合せ機構を用いて、2つ又は3つ以上のディスプレイ素子を位置決めすることができる。位置合せ機構は、隣り合うディスプレイ素子が、これらのそれぞれの位置合せ機構の位置合わせ時に連結するような連結型であってよい。連結型位置合せ機構を使用することにより、隣接ディスプレイ素子の画素を正確に位置合わせさせることができる。素子間、又は素子と外部基準、例えば駆動電子装置、支持構造、又はケースとの間の位置合わせのために、位置合せ機構を使用することができる。位置合せ機構は、ディスプレイ電子装置を、ディスプレイ素子の列及び行、セグメント、又は画素と位置合わせさせるために使用することができる。
【0031】
隣り合うディスプレイ素子は、位置合せ機構としては明確に機能することのない物理的又は電気的な接続によって、例えば接続テープ、接着剤、又は電線によって接続することができる。隣接ディスプレイ素子のための好適な締結材料は、再配置可能な接着剤、舌片・溝システム、タブとスロット、及びVelcro(登録商標)などを含むことができる。締結材料は、個々のディスプレイ素子の位置合わせの改善、ディスプレイ素子間の電気的な接続性の改善、又はこれらの組み合わせを提供することができる。締結材料は、ディスプレイ素子に一時的又は永久的に取り付けることができる。締結材料は、隣接するディスプレイ素子の間の一時的又は永久的な結合を形成することができる。
【0032】
第1のディスプレイ素子の少なくとも1つのエッジを、隣接する素子のディスプレイ領域の少なくとも一部上にオーバーラップさせることにより、タイル状ディスプレイを集成することができる。第2ディスプレイ素子とオーバーラップする第1ディスプレイ素子の部分は、オーバーラップ領域と呼ばれる。オーバーラップされた第2ディスプレイ素子の部分は、被オーバーラップ領域と呼ばれる。オーバーラップ領域は、アクセス領域の全て又は一部、ディスプレイ領域の全て又は一部、又はこれらの組み合わせを含むことができる。好ましくは、オーバーラップ領域は、ディスプレイ領域の全て又は一部を含む。第1の素子が第2の素子とオーバーラップしているだけの場合、第2の素子の被オーバーラップ領域はディスプレイ領域である。第1の素子が付加的に第3の素子とオーバーラップするときには、第3の素子の被オーバーラップ領域は、ディスプレイ領域の全て又は一部、アクセス領域の全て又は一部、相互接続領域の全て又は一部、又はこれらの何らかの組み合わせであることが可能である。素子は、線状アレイ、二次元マトリックス、又は多次元形態を形成するようにオーバーラップすることができる。3つ又は4つ以上のディスプレイ素子がタイル状ディスプレイを形成する場合、各ディスプレイ素子のアクセス領域は、隣接ディスプレイ素子のオーバーラップ部分、又はタイル状ディスプレイを保持するケースによって視界から隠すことができ、或いは、タイル状ディスプレイの鑑賞領域の外側エッジに沿って位置することができる。
【0033】
ディスプレイの所望のサイズ及び形状に達するまで、ディスプレイ素子を、オーバーラップされた状態で配置することにより、タイル状ディスプレイを集成することができる。オーバーラップ領域を最大化又は最小化し、これによりタイル状ディスプレイの面積をそれぞれ増大又は減少させるように、ディスプレイ素子を互いにスライド可能に動かすことができる。各オーバーラップ領域は、タイル状ディスプレイ内の少なくとも1つの他のオーバーラップ領域とは、サイズ及び形状が同じであるか、又は異なっていてよい。ディスプレイ素子のスライド可能な運動は、ディスプレイ素子の同心的な貯蔵を可能にする。例えば、ディスプレイ素子は、素子の数に相当する厚さを高さとし、そして素子の数に相当する長さを幅とするディスプレイ素子のスタックを形成するために、互いにスライドすることができる。このことは特に、タイル状ディスプレイがループ形態、U字形、又はその他の同心的な形状、例えば多角形を成す場合に有利であり、ディスプレイ領域を増大又は減少させるために、ディスプレイ素子の1つの行を別の行に対してスライドさせることができる。
【0034】
1つ又は2つ以上のディスプレイ素子が可撓性基板を有すると、可撓性ディスプレイ素子は、丸め、そして展開することができる。このことは、タイル状ディスプレイが貯蔵又は輸送のために巻き上げられ、そしてディスプレイ素子を損傷なしに見るために展開することができる。同様に、貯蔵及び輸送を可能にするためにディスプレイ素子の少なくとも一部が可撓性であると、タイル状ディスプレイを折り畳みることもできる。
【0035】
各ディスプレイ素子の1つ又は2つ以上の部分が、タイル状ディスプレイの鑑賞領域の平面に対して平行に位置することができる。加えて、ディスプレイ素子の一部が、素子の残部に対して薄くなっていることが可能である。例えば、オーバーラップ領域の少なくとも一部が、ディスプレイ素子の残部よりも薄いことが可能である。或いは、ディスプレイ素子と関連電子装置とを含むディスプレイ集成体の一部が、集成体の残部よりも薄いことが可能であり、例えばオーバーラップ領域が、ディスプレイ素子の一部であってよい。このことは、ディスプレイ間に著しい段のない、概ね均一の平面状の鑑賞領域を可能にし、これにより、表示された画像内に歪みが増大することなしに、複数の方向から見ることが可能になる。
【0036】
タイル状ディスプレイを形成するときに、ディスプレイ素子の位置合わせ、支持、及び取り付けを助けるために、また、電力又は信号を運ぶために、支持体を使用することができる。好適な支持体は、ロッド、バー、ラック、トラック、フィラメント、電線、又はその他の実質的に線状の材料を含むことができる。支持体は、1つ又は2つ以上のディスプレイ素子の重量を支持することができ、所定の時間にわたって所与の形状を維持することができ、1つ又は2つ以上のディスプレイ素子に給電することができ、1つ又は2つ以上のディスプレイ素子との電気的な接続を提供することができ、又はこれらの組み合わせを行うことができる任意の材料から成っていることができる。例えば、支持体は、厚紙、木材、プラスチック、ガラス、金属、又は繊維状材料、例えばガラス、ポリマー、又は天然材料、例えば綿、羊毛、又は麻であってよい。支持体は、タイル状ディスプレイの全体的な形状、例えば球体、半円形、多角形、菱形の形状を支持することができ、このような形状の支持体に、ディスプレイ素子を取り付けることができるか、このような支持体上にディスプレイ素子を被せることができる。支持体は、1つ又は2つ以上のディスプレイ素子の位置合わせのために使用することができる。支持体は、ケースの全て又は一部を形成することもできる。支持体は、所与のタイル状ディスプレイ形状に関して所望される通り、可撓性又は剛性であることが可能である。支持体は収縮可能、折り畳み可能、又は丸め可能であってよい。
【0037】
標識システムを形成するために、1つ又は2つ以上のタイル状ディスプレイを使用することができる。標識システムは、1つ又は2つ以上の鑑賞領域を形成するために1つ又は2つ以上のタイル状ディスプレイを含むことができる。標識システムは、タイル状ディスプレイを支持することができるベースを含むことができる。ベースは、支持体又はケースの一部であるか、又はこれとは別個のものであってよい。標識システムは、1つ又は2つ以上の支持体、ケース、又はこれらの組み合わせを含むことができる。標識システム内には、駆動電子装置を含むことができる。駆動電子装置は、1つ又は2つ以上のディスプレイ素子、支持体システムの一部、ケースの一部、又はこれらの組み合わせと連携することができる。駆動電子装置は、取り外し可能であるか、又は永久的であってよい。標識システムは、駆動電子装置のためのドライバー、例えばコンピュータ又は他のデータベースを含むことができ、ドライバーは直接的に、又は遠隔位置から、例えば周知の無線通信方法によって駆動電子装置と更新することができる。標識システムは、それぞれが1つ又は2つ以上のタイル状ディスプレイを含む2つ以上の電子的に更新可能な標識を含むことができ、システム内の全ての標識は、単一のドライバーによって共通に制御される。このような標識システムは全ての標識を同時に又は順次に更新することができ、そしてシステム内の各標識は、システム内の少なくとも1つの他の標識と同じか又は異なる情報を含むことができる。標識システムの標識は、個々のタイル状ディスプレイに関して記載したように、集成し、分解し、折り畳み、広げ、巻き、ほどき、縮ませ、そして展開することができる。
【0038】
タイル状ディスプレイ又は標識システムにおける各ディスプレイ素子の全て又は一部が、保護層を含むことができる。保護層は、一旦形成されたタイル状ディスプレイの少なくとも一部に適用することができる。タイル状ディスプレイ又は標識システム内部の1つ又は2つ以上のディスプレイ素子から成る1つ又は2つ以上群の少なくとも一部は、タイル状ディスプレイへの集成前又は後に単一の保護層で覆うことができる。保護層は、湿分、摩耗、熱、日光、輻射線、又はその他の環境ファクターのうちの1つ又は2つ以上からディスプレイ素子を保護することができる。保護層は、インシュレーション層、上塗り層、光学フィルム、又はバリヤ層として機能することができる。保護層は、意図された目的に適したいかなる材料であってもよく、材料は少なくとも部分的に透明又は半透明であり、或いは、鑑賞領域をそれを通して見ることができる透明又は半透明部分を有する。保護層は、タイル状ディスプレイ上の透明又は半透明部分と不透明部分との組み合わせにより、1つ又は2つ以上の鑑賞領域を画定することができる。保護層の一例としては、気体、液体、高分子フィルム又はシート、又はガラスが挙げられる。
【0039】
タイル状ディスプレイ又は標識システムにおける1つ又は2つ以上のディスプレイ素子には、タイル状ディスプレイ又は標識システムの集成前に、電子的に事前書き込みを施すことができる。タイル状ディスプレイ又は標識システムにおける1つ又は2つ以上のディスプレイ素子には、タイル状ディスプレイ又は標識システムの集成前に、事前印刷を施すことができ、例えばインクジェット、レーザー熱、熱昇華、ワックス転写、グラビア、凹版、ペン、ペイント、又はその他の印刷法を含む任意の周知の印刷手段によって、インク又は着色剤を用いて、記号、文字、デザイン、又はメッセージをディスプレイ素子上に形成することができる。化学又はレーザーエッチング、焼成、熱、インプリンティング、エンボシング、又はその他の手段によって、記号、文字、デザイン、又はメッセージを形成することもできる。印刷は、ディスプレイ素子の任意の部分、例えばディスプレイ基板又はディスプレイ材料上に施すことができる。印刷は永久的、一時的、又は書換可能であってよい。例えば全て2004年12月10日付けで出願された、Stephenson及びMiによる米国特許出願第11/009,767号明細書、同第11/009,884号明細書、及び第11/009,896号明細書に記載されているように、印刷は、ディスプレイ材料内のマークとして可視であるか、隠されているか、又は検索可能であってよい。
【0040】
タイル状ディスプレイ、タイル状ディスプレイを含むシステム、ディスプレイ及びシステムの製造方法は、図面に示し、下に説明する特定の態様を参照しながら理解することができる。これらの態様は、簡単にするために、コレステリック液晶ディスプレイを含むディスプレイ素子に全て関連する。種々異なるディスプレイ材料から、いかにして同様の構造を形成できるかは、当業者には明らかである。図面全体を通して、共通の参照番号を使用する。
【0041】
図1及び図2は、ディスプレイ素子2とディスプレイ電子装置3とを含む、電子的にアドレス可能な片面反射ディスプレイ集成体1を示す図である。「片側」とは、ディスプレイ素子が一方の側からのみ見ることができることを意味する。例示の態様において、ディスプレイ素子2は、ディスプレイ領域4と、アクセス領域5と、相互接続領域7とを有している。ディスプレイ領域4は、電子的に書き込むことができるディスプレイ素子2の一部である。アクセス領域5は、電子的に書き込むことができないディスプレイ素子2の一部である。アクセス領域5は、不透明、半透明、透明、又はこれらの組み合わせであってよい。ディスプレイ素子2は、図1及び2に示されているように、2つのエッジに沿って駆動電子装置3に接続することができる。相互接続領域7は、駆動電子装置3が電気的に接続されているディスプレイ素子2の部分である。相互接続領域7は、所望の通り1つ、2つ、又は3つ以上のエッジに沿って、又はディスプレイ上の他の場所に位置することができる。図1及び2に示されているように、ディスプレイ素子2上のディスプレイ電子装置3は、ディスプレイ領域4の一部だけを覆うことができる。
【0042】
図2において、ディスプレイ集成体1は、XT及びYTとして寸法設定された最も厚い領域を有すると共に、ディスプレイ電子装置3と、ディスプレイ素子2と、任意の追加の層、例えば相互接続を促進する接着層又は保護層との厚さの和である全厚ZTを有している。ディスプレイ領域6は、XM及びYMとして寸法設定されると共に、ディスプレイ素子2単独の厚さであるか、又はZTと同じ厚さであってよい厚さZMを有している。ディスプレイ素子2は、0.10 mm〜2.0 mm厚という小さなものであってよいが、これは所望の通り、より厚くてもより薄くてもよい。図2における寸法YAは、アクセス領域5に相当するアドレス不能領域である。種々の態様によれば、XT<XM、且つYT<(YM+YA)であり、このことにより、ディスプレイ素子2の少なくとも2つのエッジに沿って2つの方向において無支持ディスプレイ領域6が残される。最も厚い領域の厚さZTは、ディスプレイ電子装置3の厚さが大部分を占めることができる。典型的な電子集成体の厚さは0.5 mm〜50 mmであってよいが、より厚い、そしてより薄いディスプレイ電子装置を使用することもできる。
【0043】
図3A、3B、及び図4は、タイル状ディスプレイ9のそれぞれ正面図、断面図、及び背面等角図であり、各タイル状ディスプレイは、ディスプレイ素子のマトリックスを形成する、複数のオーバーラップ側ディスプレイ素子10と被オーバーラップ側ディスプレイ素子11とを含む。オーバーラップ側ディスプレイ素子10と被オーバーラップ側ディスプレイ素子11とを、線状ディスプレイ素子アレイを形成するために組み合わせることができる(図7参照)。各オーバーラップ側ディスプレイ素子10の無支持領域6が、1つの隣接する被オーバーラップ側素子11のアクセス領域5の少なくとも一部を覆うように、鉛直方向オーバーラップ20と水平方向オーバーラップ21とを形成するために、ディスプレイ素子10, 11を集成することができる。各オーバーラップ側ディスプレイ素子10の無支持領域6は、同じか又は異なる隣接する被オーバーラップ側素子11のディスプレイ領域の少なくとも一部を覆うこともできる。図4に見られるように、同じディスプレイ素子が被オーバーラップ側領域及びオーバーラップ側領域の両方を有するように、ディスプレイ素子をオーバーラップすることができる。
【0044】
無支持領域6のプロフィールが比較的薄いため、タイル状ディスプレイは、図3Bに示されているように、オーバーラップ領域20, 21においてさえ実質的に平面状のままである。オーバーラップ側ディスプレイ素子10の画素が、被オーバーラップ側ディスプレイ素子11の画素と位置を合わせるように、隣り合うディスプレイ素子10及び11を位置合わせすることができる。タイル状ディスプレイの実質的に平面状の外観と組み合わされた画素配列により、個々のディスプレイ素子間の視覚的な分割又は歪みが最小限に抑えられた大判ディスプレイを生じる。
【0045】
図5は、ディスプレイ素子の全てが単一の保護層30によって覆われているタイル状ディスプレイ9を示す正面等角図である。タイル状ディスプレイの実質的に平面状の性質は、タイル状ディスプレイが単一のユニットとして処理されるのを可能にするので、集成後にタイル状ディスプレイに付加層、例えばフィルムを適用することができる。タイル状ディスプレイ上に配置することができる層の例としては、単独又は任意の組み合わせにおける、インシュレーション層、バリヤ層、ラミネート層、及び他の保護塗膜が挙げられる。このような付加層は任意には、各ディスプレイ素子に個別に、又はタイル状ディスプレイ内の2つ又は3つ以上のディスプレイ素子から成る群に適用することができる。任意の付加層が、1つ又は2つ以上のディスプレイ素子の全て又は一部を覆うことができる。
【0046】
図6は、2素子タイル状ディスプレイ9を示す正面図である。タイル状ディスプレイ9は、互いに180度回転させられた2つの同一のディスプレイ素子によって形成されているので、駆動電子装置3及びアクセス領域5は鑑賞領域15の外部に位置し、鑑賞領域15は、電子的に更新可能なタイル状ディスプレイ9の少なくとも一部を含み、そして観察者によって見ることができる。例示された形態は、相互接続領域7の長さ及び/又は幅がディスプレイ材料よりも小さいことを必要とすることなしに、継ぎ目のないタイル配置を可能にする。
【0047】
図7は、タイル配置が単一の方向に行われているタイル状ディスプレイを示す正面等角図である。多くの可撓性ディスプレイ技法が、極めて細長いディスプレイ素子10, 11の製造を可能にする。ロール・ツー・ロール(role-to-role)技法は特に、このような細長いディスプレイ素子を形成することができ、長さ数千メートルまでの個々のディスプレイ素子を製造することができる。このことは、タイル状ディスプレイ9の所期寸法のうちの一方(高さ又は幅)と等しい長さの一連のディスプレイ素子10, 11が使用されているタイル状ディスプレイ9の製造を可能にする。他方の寸法は、被オーバーラップ側素子11上にオーバーラップ側素子10を1つの方向にタイル配置することにより達成される。或いは、タイル状ディスプレイが被オーバーラップ側ディスプレイ素子とオーバーラップ側ディスプレイ素子とから成る帯状体を有するように、所与のディスプレイ素子の両エッジをオーバーラップさせることもできる。このような形態の場合、オーバーラップ側ディスプレイ素子10のアクセス領域5が実質的に透明であることが望ましい。このようなタイル状ディスプレイ9は、1つの方向においてのみ、つまり水平方向又は鉛直方向においてのみ継ぎ目を有することができ、タイル状ディスプレイの外観及び簡潔さ全体を改善する。
【0048】
図8及び図9は、図7に示したものと同様の大判タイル状ディスプレイ9を形成する方法を示しているが、しかしこれらの図面では、ディスプレイ媒体2は、同心ループを成して配列することができる。このようなタイル状ディスプレイ9は、1つ又は2つ以上の鑑賞領域を有することができる。例えば、図9に示されているように、2つの鑑賞領域15が存在する。ディスプレイ素子ループは、所与のオーバーラップ方向において、漸次同心的であることが可能である。或いは、タイル状ディスプレイが被オーバーラップ側ディスプレイ素子とオーバーラップ側ディスプレイ素子とから成る帯状体を有するように、所与のディスプレイ素子の両エッジをオーバーラップさせることもできる。このような形態の場合、オーバーラップ側ディスプレイ素子10のアクセス領域5が実質的に透明であること、又は本明細書の他の場所に記載したように、駆動電子装置に対する相対運動によってディスプレイ素子に書き込みが施されることが望ましい。ディスプレイ素子の同心的な配列を用いて、他のタイル状ディスプレイを同様に形成することができる。例えば、ディスプレイ素子は、例えばU字形、円弧、多角形、又は任意の他の規則的又は不規則的な形状を有するタイル状ディスプレイを形成するように、ディスプレイ素子を成形することができる。
【0049】
図10は、1つのエッジにルーティングされた全ての電気的接続部を有する、電子的にアドレス可能な片面反射ディスプレイ素子を示す背面図である。この態様の場合、ディスプレイ素子2は、ディスプレイ領域4と、相互接続領域7と、アクセス領域5とを有している。相互接続領域7は、1つのエッジ、この場合にはアクセス領域5を含むエッジに沿って位置することができる。図示のように、ディスプレイ素子2は、行17及び列18を使用して画素化することができ、これら行17及び列18の双方は、ディスプレイ素子2の単一のエッジに沿って接続するようにルーティングされる。図10に示されているように、相互接続領域7は、ディスプレイ素子2のエッジ幅よりも狭く、相互接続領域7の一方又は両方の側に無支持ディスプレイ領域6を残すことが可能である。ディスプレイ領域4は無支持であってもよい。図1の形態におけるように、無支持領域4, 6はディスプレイ素子自体と同じ厚さにすぎない。
【0050】
図11A及び11Bは、上に記載され、図10に示されたディスプレイ素子を使用したタイル状ディスプレイを示す正面図及び断面図である。図2で説明された態様におけるように、タイル状ディスプレイは、鉛直方向アレイ及び水平方向アレイを成すようにタイル配置されたディスプレイ素子10, 11から形成されている。単一エッジ相互接続素子を使用する利点は、鉛直方向オーバーラップ領域21を減少させることができ、そして駆動電子装置3及び相互接続領域7に相当するディスプレイ素子のより厚い部分を、タイル状ディスプレイに沿って電子装置の行を形成する領域において減少させることができることである。この形態において、貯蔵又は輸送に際してサイズを低減するために、タイル状ディスプレイ全体を折り畳み又は丸めることができる。
【0051】
図12は、非方形ディスプレイ集成体を形成する際に使用することができるディスプレイ素子の例である。ディスプレイ材料2は、アクセス領域5がディスプレイ領域4の少なくとも1つの側面の全幅に跨るように構成することができる。このことは、ディスプレイ領域4が完全にアドレスされるのを可能にする。無支持領域6は、第2のディスプレイ素子のアクセス領域5の少なくとも一部を覆うのに十分に大きい。
【0052】
図13は、各ディスプレイがオーバーラップ側10及び被オーバーラップ側11の両方であるように、円形アレイを成して図12のディスプレイ素子を配列する方法を示す。オーバーラップ領域22は、集成体の背面からのディスプレイ電子装置3及び相互接続領域7へのアクセスをそのままにしながら、ディスプレイ素子アクセス領域5のいくつか又は全ての少なくとも一部を覆う。この態様は、正面から見たときに、完全にアドレス可能な非方形ディスプレイの外観をもたらす。この態様は4つの同一の素子から構成された集成体を示すが、このことは必要ではない。これらの素子は、種々異なる形状、サイズ、又はこれらの組み合わせ、及び任意の数から形成することができ、数多くの最終タイル状ディスプレイ形状をもたらす。
【0053】
図14は、各ディスプレイ素子が、図10に示されているような電子的にアドレス可能な材料から成る行17と列18とを有するタイル状ディスプレイを示す背面図である。図14の破断区分から明らかになるように、行17は列18とオーバーラップしている。各ディスプレイ素子2の行17及び列18は、少なくとも1つの隣接するディスプレイ素子2の行17及び列18に接続することができる。このタイプのタイル配置を「連続タイル配置」と呼ぶことができる。連続タイル配置システムは、タイル状ディスプレイに書き込みを施すのに必要な駆動チャネルの総数を低減する。非連続タイル状ディスプレイの場合、駆動チャネルの総数(Tc)は:
【0054】
Tc =(Re+Ce)Ne (1)
【0055】
に等しく、上記式中Reは、ディスプレイ素子内の行数であり、Ceは、ディスプレイ素子内の列数であり、そしてNeは、ディスプレイ素子数である。例えばタイル状ディスプレイが、4つの300行×400列ディスプレイを組み合わせることによって、600行と800列とを含む場合、駆動チャネルの総数は(300+400)×4、即ち、2800チャネルとなる。しかし、連続タイル状ディスプレイの場合には、駆動チャネルの総数は:
【0056】
Tc =(Ra+Ca) (2)
【0057】
に等しく、上記式中Raは、タイル状ディスプレイ内の行数であり、そしてCaは、タイル状ディスプレイ内の列数である。このことは、前の例において記載されたのと同じ600行×800列ディスプレイが、(600+800)、即ち、1400駆動チャネルしか必要としないことを意味する。
【0058】
連続タイル配置用接続部は、例えばスタート・スタート間(STS)ジャンパー40(2つの隣り合うディスプレイ素子の第1のエッジ上のトレース(AからA)間で電気的な接続が形成される)、又はエンド・スタート間(ETS)ジャンパー41(第1のディスプレイ素子の第2のエッジ上のトレース(B)と、隣接ディスプレイ素子の隣接エッジ上のトレース(C)との間で電気的な接続が形成される)を含む種々の方法で、構成することができる。STS及びETSジャンパーの両方は、トレース、ワイヤ・ボンディング、印刷導体、導電性テープ、又は当業者に知られている任意のその他の電気的接続材料であることが可能である。ディスプレイ材料が可撓性である場合、ETSジャンパーは、被オーバーラップ側ディスプレイのエッジを折り畳み、そしてそのトレースをオーバーラップ側ディスプレイのエッジに直接的に取り付けることにより接続が形成されるのを可能にすることができる。STSジャンパーの利点は、それぞれの行17及び列18に対して、ただ1つの相互接続点しか必要とならないことである。ETSジャンパーの利点は、接続距離が比較的短いことである。このことは、両面ディスプレイ集成体を形成する上で有用であり得る。
【0059】
図15A及び15Bは、ディスプレイ素子の位置合わせ、保持、又は給電の際に使用することができる支持集成体50を示す正面図及び側面図である。個々のディスプレイ素子又はディスプレイ集成体1は、ディスプレイ素子又はディスプレイ集成体1を互いに所定の位置に保持することができる支持集成体50に、機械的且つ/又は電気的に取り付けられるように、個々のディスプレイ素子又はディスプレイ集成体1を構成することができる。支持集成体50は任意には、電力、制御信号、又はその両方を、1つ又は2つ以上のディスプレイ集成体1に提供することができる。このことは、ディスプレイ集成体1が、最小限の駆動電子装置しか含有しないことを可能にする。支持システム50は、集成及び分解、又はテレスコープ状の伸長及び収縮を容易に行うように構成することができ、タイル状ディスプレイが特殊な装置なしにその場で集成されるのを可能にする。支持体は、多様なディスプレイ素子の長さ及び幅の使用を可能にするように調節することができる。集成及び分解のしやすさは、見本市又は一時的な会場において使用するためのタイル状ディスプレイの携帯性を可能にし、そして、タイル状ディスプレイの配置及び形態の万能性を高めることができる。
【0060】
図16は、テレスコープ・メカニズムによって展開及び折り畳まれるタイル状ディスプレイ9の能力を示す。個々のディスプレイ素子又は集成体1は、隣接ディスプレイ素子又は集成体から、又は任意には支持体からこれらを分離する必要なしに、1つを別のものの正面に積み重ねることができる。ディスプレイ集成体間のオーバーラップの量を増大させることによって、タイル状ディスプレイ9のサイズを任意の望ましい量だけ低減することができる。テレスコープ式収縮メカニズムは、採用されるのがシート状ディスプレイ素子であっても連続ループであっても採用することができる。ディスプレイ・サイズを展開又は縮めるために、タイル状ディスプレイ内部の全ての行が互いに運動するできるように、種々の三次元形状のタイル状ディスプレイを入れ子式に形成することができる。タイル状ディスプレイが非方形の形状、例えば図13における形状を成す場合、ディスプレイ集成体は、非線状に縮める¥ることができる。例えば、図13のタイル状ディスプレイは、タイル状ディスプレイ内部の単一のディスプレイ集成体の寸法まで縮めることができる。
【符号の説明】
【0061】
1 ディスプレイ集成体
2 ディスプレイ素子
3 駆動電子装置
4 ディスプレイ領域
5 アクセス領域
6 無支持ディスプレイ領域
7 相互接続領域
9 タイル状ディスプレイ
10 オーバーラップ側ディスプレイ素子
11 被オーバーラップ側ディスプレイ素子
15 鑑賞領域
17 行
18 列
20 鉛直方向オーバーラップ領域
21 水平方向オーバーラップ領域
22 オーバーラップ領域
30 保護層
40 STSジャンパー
41 ETSジャンパー
50 支持集成体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鑑賞領域を有する電子書換可能ディスプレイであって、該鑑賞領域が複数のディスプレイ素子を含み、該複数のディスプレイ素子のそれぞれが、オーバーラップ領域と、アクセス領域と、相互接続領域と、ディスプレイ領域とを含み、該複数のディスプレイ素子のうちの少なくとも1つの素子のオーバーラップ領域が、該複数のディスプレイ素子のうちの少なくとも第2の素子のディスプレイ領域の少なくとも一部とオーバーラップしており、そして、該複数のディスプレイ素子のうちの1つの素子の少なくとも一部が可撓性である、電子書換可能ディスプレイ。
【請求項2】
該複数のディスプレイ素子のうちの少なくとも1つの素子が、該複数のディスプレイ素子のうちの第3の素子のアクセス領域の少なくとも一部とさらにオーバーラップしている請求項1に記載のディスプレイ。
【請求項3】
該複数のディスプレイ素子のうちの少なくとも1つの素子が、該ディスプレイ素子のエッジに接触しない相互接続領域を有している請求項1に記載のディスプレイ。
【請求項4】
該複数のディスプレイ素子のうちの少なくとも1つの素子が、該相互接続領域に電気的に接続された駆動電子装置を有している請求項1に記載のディスプレイ。
【請求項5】
該複数のディスプレイ素子のうちの少なくとも1つの素子の該駆動電子装置が、該ディスプレイ素子の少なくとも1つのエッジまで拡がってはいない請求項4に記載のディスプレイ。
【請求項6】
該複数のディスプレイ素子のうちの少なくとも1つの素子の該駆動電子装置が、該ディスプレイ領域の少なくとも1つのエッジまで拡がってはいない請求項4に記載のディスプレイ。
【請求項7】
該鑑賞領域が、該電子ディスプレイの少なくとも1つのエッジまで拡がっている請求項1に記載の電子ディスプレイ。
【請求項8】
該オーバーラップされたディスプレイ素子が線状には配列されていない請求項1に記載の電子ディスプレイ。
【請求項9】
該オーバーラップ領域が、該アクセス領域の少なくとも一部を含む請求項1に記載の電子ディスプレイ。
【請求項10】
該複数のディスプレイ素子のうちの少なくとも1つの素子が、液晶ディスプレイ材料を含む請求項1に記載の電子ディスプレイ。
【請求項11】
該複数のディスプレイ素子のうちの少なくとも1つの素子が、双安定材料を含む請求項1に記載の電子ディスプレイ。
【請求項12】
該複数のディスプレイ素子のうちの少なくとも1つの素子が、該複数のディスプレイ素子のうちの少なくとも1つの他の素子とは異なる色を含む請求項1に記載の電子ディスプレイ。
【請求項13】
該オーバーラップ領域の少なくとも一部が、該ディスプレイ素子の残部よりも薄い請求項1に記載の電子ディスプレイ。
【請求項14】
該複数のディスプレイ素子のうちの少なくとも1つの素子が、該複数のディスプレイ素子のうちの少なくとも1つの他の素子とは、サイズ、形状、又はこれらの組み合わせにおいて異なる請求項1に記載の電子ディスプレイ。
【請求項15】
該複数のディスプレイ素子のうちの少なくとも1つの素子が、多角形形状、不規則形状、湾曲形状、又はループを有している請求項1に記載の電子ディスプレイ。
【請求項16】
該複数のディスプレイ素子のうちの少なくとも1つの素子が、画素化されているか、セグメント化されているか、又はこれらの組み合わせである請求項1に記載の電子ディスプレイ。
【請求項17】
該複数のディスプレイ素子の少なくとも一部のそれぞれ1つが、少なくとも1つの位置合せ機構を含む請求項1に記載の電子ディスプレイ。
【請求項18】
該複数のディスプレイ素子のうちの隣り合う素子の位置合せ機構が、物理的に相互作用する請求項17に記載の電子ディスプレイ。
【請求項19】
該位置合せ機構が電気的相互接続部である請求項17に記載の電子ディスプレイ。
【請求項20】
該複数のディスプレイ素子のそれぞれが、第1導電性素子と第2導電性素子とから成る電気的にアドレス可能なマトリックスを含み、そして該複数のディスプレイ素子のうちの2つ又は3つ以上の素子の第1導電性素子又は第2導電性素子が接続されており、そして共通にアドレス可能である請求項1に記載の電子ディスプレイ。
【請求項21】
該複数のディスプレイ素子のうちの1つ又は2つ以上の素子が、取り外し可能にオーバーラップされている請求項1に記載の電子ディスプレイ。
【請求項22】
該ディスプレイ素子のそれぞれが、少なくとも1つの他のディスプレイ素子に対して可動である請求項1に記載の電子ディスプレイ。
【請求項23】
該鑑賞領域の少なくとも一部が、保護層によって覆われている請求項1に記載の電子ディスプレイ。
【請求項24】
該相互接続領域と該アクセス領域とが、少なくとも部分的に一致している請求項1に記載の電子ディスプレイ。
【請求項25】
2つ以上の鑑賞領域を有する請求項1に記載の電子ディスプレイ。
【請求項26】
少なくとも1つの鑑賞領域が、少なくとも1つの他の鑑賞領域に対して平面的でない請求項25に記載の電子ディスプレイ。
【請求項27】
該電子ディスプレイが折り畳み可能、丸め可能、又は収縮可能である請求項1に記載の電子ディスプレイ。
【請求項28】
請求項1に記載の少なくとも1つの電子ディスプレイを含む、展開可能な標識システム。
【請求項29】
少なくとも1つの支持体をさらに含む請求項28に記載の展開可能な標識システム。
【請求項30】
該ディスプレイ素子が、1つ又は2つ以上の支持体に対して、スライド可能であるか、取り外し可能であるか、又はこれらの組み合わせである請求項29に記載の展開可能な標識システム。
【請求項31】
該電子ディスプレイを支持するベースをさらに含む請求項28に記載の展開可能な標識システム。
【請求項32】
該電子ディスプレイが駆動電子装置を含み、そして該標識システムが、該駆動電子装置を制御するためのドライバーを含む請求項28に記載の展開可能な標識システム。
【請求項33】
該ディスプレイ素子のうちの1つ又は2つ以上の素子が、他のディスプレイ素子に対して積み重ね可能であるか、スライド可能であるか、取り外し可能であるか、又はこれらの組み合わせである請求項28に記載の展開可能な標識システム。
【請求項34】
該システムが折り畳み可能、丸め可能、又は収縮可能である請求項28に記載の展開可能な標識システム。
【請求項35】
2つ又は3つ以上の電子ディスプレイを物理的、電気的、又はこれらの組み合わせによって接合することを含む請求項28に記載の展開可能な標識システムを形成する方法。
【請求項36】
第1のディスプレイ素子のオーバーラップ領域を、第2のディスプレイ素子のディスプレイ領域とオーバーラップさせることを含む請求項1に記載の電子ディスプレイを形成する方法。
【請求項37】
所望の鑑賞領域寸法が得られるまで、少なくとも1つの方向でディスプレイ素子をオーバーラップさせる工程を繰り返すことをさらに含む請求項36に記載の方法。
【請求項38】
該第1のディスプレイ素子のオーバーラップ領域を、第3のディスプレイ素子の相互接続領域とオーバーラップさせることをさらに含む請求項36に記載の方法。
【請求項39】
該ディスプレイ素子のうちの少なくとも1つに事前書き込み又は事前印刷を施すことをさらに含む請求項36に記載の方法。
【請求項40】
該ディスプレイを丸め、折り畳み、展開し、又は広げることを含む請求項1に記載の電子ディスプレイを展開又は縮ませる方法。
【請求項41】
該ディスプレイ素子の少なくとも一部のオーバーラップ領域を増大又は減少させるために、該複数のディスプレイ素子のそれぞれをスライド可能に動かすことを含む請求項1に記載のディスプレイを展開又は縮ませる方法。
【請求項42】
少なくとも1つのディスプレイ素子を取り除く、又は加えることを含む請求項1に記載のディスプレイを展開又は縮ませる方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−238001(P2012−238001A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−122040(P2012−122040)
【出願日】平成24年5月29日(2012.5.29)
【分割の表示】特願2008−519360(P2008−519360)の分割
【原出願日】平成18年6月19日(2006.6.19)
【出願人】(507350439)インダストリアル テクノロジー リサーチ インスティチュート (16)
【Fターム(参考)】