説明

電子機器、およびプログラム

【課題】ハードウェアの起動時に実行されるテストによる処理時間のオーバーヘッドを低減することができる電子機器、およびプログラムを提供する。
【解決手段】設定部401が、複数のテストごとに、複数のテストの実行に要する時間より長い時間を異常検出用の閾値としてウォッチドック・タイマ25に設定し、ウォッチドック・タイマ25が、複数のテストの実行に伴い動作してタイムカウントし、タイムカウントした値が設定部401により設定された閾値に達した場合に、ハードウェアをリセットして再起動し、停止部403が、複数のテストが完了した際にウォッチドック・タイマ25によるタイムカウントを停止することにより、テストごとにウォッチドック・タイマ25の開始・停止を行う必要がなくなるため、ハードウェアの起動時に実行されるテストによる処理時間のオーバーヘッドを低減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子式キャッシュレジスタあるいはPOSターミナルなどの電子機器、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子式キャッシュレジスタやPOS(Point Of Sales)ターミナルなどの電子機器は、起動に際し、予め定められている種々のテストを実行し、これらのテストの完了後に通常動作に入る。しかしながら、このような起動時のテストが何らかの原因で異常停止した場合、電子機器は、通常動作に入ることなく、ロック状態となってしまっていた。
【0003】
そこで、特許文献1では、テストの実行に要する時間より長い時間が異常検出用の閾値としてテストごとにセットされ、テストの実行に伴い動作してタイムカウントした値がセットされた閾値に達した場合に、ハードウェアをリセットして再起動させるウォッチドック・タイマを備えた電子機器が提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記電子機器では、異常検出用の閾値がテストごとにセットされ、テストごとにウォッチドック・タイマによるタイムカウントの開始および停止が繰り返されるため、多大なテストによる処理時間のオーバーヘッドが大きくなる、という課題がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ハードウェアの起動時に実行されるテストによる処理時間のオーバーヘッドを低減することができる電子機器、およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、ハードウェアの起動に際して予め定められたテストを実行し、前記テストの完了後に通常動作に入る電子機器であって、複数の前記テストごとに、前記複数のテストの実行に要する時間より長い時間を異常検出用の閾値として設定する設定手段と、前記複数のテストの実行に伴い動作してタイムカウントし、タイムカウントした値が前記設定手段により設定された前記閾値に達した場合に、ハードウェアをリセットして再起動するカウント手段と、前記複数のテストが完了した際に前記カウント手段によるタイムカウントを停止する停止手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、ハードウェアの起動に際して予め定められたテストを実行し、前記テストの完了後に通常動作に入る電子機器を制御するコンピュータを、複数の前記テストごとに、前記複数のテストの実行に要する時間より長い時間を異常検出用の閾値として設定する設定手段と、前記複数のテストの実行に伴い動作してタイムカウントし、タイムカウントした値が前記設定手段により設定された前記閾値に達した場合に、ハードウェアをリセットして再起動するカウント手段と、前記複数のテストが完了した際に前記カウント手段によるタイムカウントを停止する停止手段と、として機能させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明にかかる電子機器、およびプログラムは、ハードウェアの起動時に実行されるテストによる処理時間のオーバーヘッドを低減することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、POSターミナルの外観図である。
【図2】図2は、POSターミナルの制御回路を示す図である。
【図3】図3は、ウォッチドック・タイマ用の閾値テーブルを示す図である。
【図4】図4は、POSターミナルの機能構成を示すブロック図である。
【図5】図5は、ウォッチドック・タイマの動作を説明するための図である。
【図6】図6は、POSターミナルの起動に際して実行される処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる電子機器、およびプログラムの実施の一形態を詳細に説明する。なお、本実施の形態では、この発明にかかる電子機器、およびプログラムをPOS(Point Of Sales)ターミナルに適用した例について説明するが、パーソナルコンピュータなど、ハードウェアの起動に際してテストを実行する電子機器であれば、この発明を適用することができる。
【0011】
図1は、POSターミナルの外観図である。POSターミナル1は、現金等を収容するためのドロワ2の上に載置されており、このドロワ2の引出し2aの開閉を制御する。
【0012】
POSターミナル1は、現金等を収容するためのドロワ2の上に載置されており、このドロワ2の引出し2aの開閉を制御する。
【0013】
POSターミナル1の本体には、正面側にキーボード3、モードスイッチ4、カードリーダ5、およびオペレータ表示器(カラー液晶表示器)6が設けられ、背面側に顧客に面するように客面表示器(カラー液晶表示器)7が設けられている。また、POSターミナル1の本体には、ジャーナルを電子媒体に保存する電子ジャーナル8、およびレシート及びジャーナルをプリントするプリンタ9が設けられている。さらに、POSターミナル1から商品情報入力手段としてコードスキャナ10が導出されている。コードスキャナ10は、商品に付された商品ラベルに印刷された2次元コードやバーコードを読取る機能を有する。
【0014】
キーボード3は、預かり金額などを置数するための置数キー、1取引として販売登録された商品の合計出力を指示する小計キー、1取引の代金を現金決済することを宣言して当該取引の締めを指示する預/現計キー、置数データのクリアを指示するクリアキー等を備えている。
【0015】
モードスイッチ4は、「登録」,「点検」,「精算」,「設定」などの各種業務モードを選択するためのスイッチで、専用の鍵で操作される。因みに、「登録」とは、商品情報入力手段により入力された商品情報に基づいて商品の価格を加算してその売上データを記憶部に販売登録処理(商品登録手段)し、商品販売登録の終了が宣言された1取引の代金を精算してレシートを発行(登録締め手段)する業務のモードである。「点検」とは、記憶部に登録処理された各商品の売上データを集計しレポート出力する業務のモードである。「精算」とは、「点検」と同様に記憶部に登録処理された各商品の売上データを集計してレポート出力した後、記憶部の売上データをクリアする業務のモードである。「設定」とは、各種業務を実行する上で必要なデータを予め記憶部に設定するための業務である。
【0016】
カードリーダ5は、非現金決済に用いるカードが挿入されてスライド操作されることにより、そのカードに記録されているデータを読取る。
【0017】
オペレータ表示器6は、商品登録手段により販売登録された商品の品名,価格や、商品販売登録の終了が宣言され登録締め手段により1取引の合計金額、預かり金額、釣り銭額などを表示する。
【0018】
客面表示器7は、カラー写真やカラー動画によるコマーシャル情報、たとえば『いらっしゃいませ』などの顧客案内情報、取引明細(商品名、単価、個数)、取引結果(合計金額,預かり金額、釣り銭額)等を表示する。
【0019】
次に、図2を用いて、POSターミナル1の制御回路について説明する。図2は、POSターミナルの制御回路を示す図である。
【0020】
POSターミナル1は、主制御部であるCPU(Central Processing Unit)20に、バスラインを介して、ROM(Read Only Memory)21、RAM(Random Access Memory)22、時計回路23、通信インタフェース24、ウォッチドッグ・タイマ(WDT)25、I/O(Input/Output)ポート26、キーボードコントローラ27、カードリーダコントローラ28、表示コントローラ29,30、電子ジャーナルコントローラ31、プリンタコントローラ32、およびスキャナコントローラ33が接続されている。
【0021】
ROM21(記憶手段)は、CPU20が実行するBIOS(Basic Input/Output System)、OS(Operating System)、当該OS上で実行されるドライバなどの固定的データを記憶するとともに、ウォッチドック・タイマ25用の閾値テーブルを記憶している。図3は、ウォッチドック・タイマ用の閾値テーブルを示す図である。この閾値テーブルには、図3に示すように、POSターミナル1の起動に際して実行される予め定められた複数のテストのテスト番号に対し、その複数のテストの実行に要する時間より長い時間が異常検出用の閾値(タイムアウト時間)として対応付けて格納されている。
【0022】
本実施の形態では、閾値テーブルには、POSターミナル1の電源がONされた直後から、オペレータ表示器6に初期画面が表示されるまでに実行される複数のテストのテスト番号:1,2に対し、閾値:3秒が対応付けられている。また、閾値テーブルには、オペレータ表示器6に初期画面が表示されてから、OSの立ち上げ開始までに実行される複数のテストのテスト番号:3−18に対し、閾値:30秒が対応付けられている。さらに、閾値テーブルには、OSの立ち上げが開始されてから、OSの立ち上げが完了するまでに実行される複数のテストのテスト番号:19−150に対し、閾値:180秒が対応付けられている。
【0023】
RAM22は、販売登録商品の売上データを登録処理するための記憶部として機能するとともに、商品にたとえば商品コード、価格などの商品情報を対応付けた商品テーブルを記憶し、さらに、カラー写真やカラー動画による複数のコマーシャル情報や、「いらっしゃいませ」などの顧客案内情報を記憶している。商品テーブル、コマーシャル情報、および顧客案内情報については、商品価格の変化に応じて、あるいは季節の変化や新商品販売などに応じて、あるいは扱い商品の種別などに応じて、適宜に変更される。
【0024】
時計回路23は、現在の日時を計時する。通信インタフェース24は、LAN(Local Area Network)などの通信回線を通じて接続されるホストコンピュータ(不図示)とのデータ通信を制御する。
【0025】
ウォッチドッグ・タイマ25(カウント手段)は、テストの実行に際し、上記閾値テーブル内の各閾値のうち、実行される複数のテストのテスト番号に対応付けられた閾値が設定され、かつ同複数のテストの実行に伴い動作してタイムカウントし、タイムカウントした値が上記設定された閾値に達した場合に当該POSターミナル1のハードウェア(H/W)をリセットして再起動せしめる。これにより、POSターミナル1のレジ係が当該POSターミナル1の電源をONした後、POSターミナル1に異常が発生してロック状態になったとしても、ロック状態のまま放置されることがなくなるので、レジ係がPOSターミナル1から一旦離れたとしても、POSターミナル1に戻ってきたときには、直ちにPOSターミナル1を使用することができる。なお、本実施の形態では、ウォッチドック・タイマ25によりカウント手段を実現しているが、これに限定するものではなく、CPU20がROM21に記憶されているプログラムに従うことによりカウント手段を実現することも可能である。
【0026】
I/O(Input/Output)ポート26は、上記モードスイッチ4から発せられるモード選択信号の取込み、上記ドロワ2の引出し2aを自動開放させるためのドロワ開放装置2bに対する駆動信号の出力などを行なう。
【0027】
キーボードコントローラ27は、キーボード3の操作に応じたキー信号を取込む。カードリーダコントローラ28は、上記カードリーダ5を制御する。表示コントローラ29は、上記オペレータ表示器6を駆動制御する。表示コントローラ30は、上記客面表示器7を駆動制御する。電子ジャーナルコントローラ31は、上記電子ジャーナル8を駆動制御する。プリンタコントローラ32は、上記プリンタ9を駆動制御し、CPU20から与えられる印字データに基づくレシート印字及びジャーナル印字を行わせる。スキャナコントローラ33は、上記コードスキャナ10で読取られたコード信号を取込む。
【0028】
次に、POSターミナル1のROM21に記憶されているBIOSおよびOS上で実行されるプログラムであるドライバがCPU20に実行させる機能のうち、本実施の形態のPOSターミナル1が備える特長的な機能について説明する。
【0029】
図4は、POSターミナルの機能構成を示すブロック図である。図4に示すように、POSターミナル1は、BIOSおよびOS上で実行されるドライバに従うことにより、設定部401、実行部402、停止部403などを実現する。
【0030】
設定部401は、CPU20がBIOSに従うことにより実現される機能であって、テストの実行に際し、上記閾値テーブル内の各閾値のうち、実行する複数のテストのテスト番号と対応付けられた閾値をウォッチドック・タイマ25に設定するものである。
【0031】
実行部402は、テストを実行するものである。本実施の形態では、実行部402は、POSターミナル1の電源がONされてからOSの立ち上げが開始されるまでは、CPU20がBIOSに従うことにより実現される機能であり、OSの立ち上げが開始されてからOSが立ち上げられるまでは、CPU20がOSに従うことにより実現される機能である。
【0032】
停止部403は、CPU20がBIOSに従うことにより実現される機能であり、複数のテストが完了した際にウォッチドック・タイマ25に停止信号を出力して、ウォッチドック・タイマ25を停止するものである。なお、OSの立ち上げが完了した後は、CPU20がOS上で実行されるドライバに従うことにより停止部403が実現されるものとする。
【0033】
ここで、図5を用いて、設定部401、実行部402、および停止部403の具体的な機能について説明する。図5は、ウォッチドック・タイマの動作を説明するための図である。
【0034】
まず、POSターミナル1の電源がONされた直後、設定部401は、閾値テーブルから、テスト番号:1,2と対応付けられた閾値(タイムアウト時間):3秒を読み出し、読み出した閾値:3秒をウォッチドック・タイマ25に設定する。閾値:3秒が設定されると、ウォッチドック・タイマ25は、POSターミナル1の電源がONされた直後から、オペレータ表示器6に初期画面が表示されるまでの1回目の動作(タイムカウント)を開始する。そして、1回目の動作の間にタイムカウントした値が閾値:3秒に達した場合、ウォッチドック・タイマ25は、POSターミナル1のハードウェアをリセットして再起動する。一方、ウォッチドック・タイマ25によりタイムカウントした値が閾値:3秒に達する前に、テスト番号:1,2のテストが完了した場合、停止部403がウォッチドック・タイマ25によるタイムカウントを停止するとともに、設定された閾値:3秒をクリアする。
【0035】
ここで、POSターミナル1の電源がONされた直後から、オペレータ表示器6に初期画面が表示されるまでの動作をウォッチドック・タイマ25の1回目の動作としたのは、オペレータ表示器6に初期画面が表示されない状態でロック状態に入ってしまうと、ユーザが自らPOSターミナル1をリセットしてしまう可能性があるからである。そして、本実施の形態のように、POSターミナル1の電源がONされた直後から、オペレータ表示器6に初期画面が表示されるまでの間に異常が検出された場合に、ウォッチドック・タイマ25がPOSターミナル1のハードウェアを直ちにリセットして再起動することにより、ユーザによるPOSターミナル1のリセットを待つことなく、オペレータ表示器6への初期画面の表示を正常かつ速く実行することができる。
【0036】
次に、テスト番号:1,2のテストが完了した場合、設定部401は、閾値テーブルから、テスト番号:3−18と対応付けられた閾値(タイムアウト時間):30秒を読み出し、読み出した閾値:30秒をウォッチドック・タイマ25に設定する。閾値:30秒が設定されると、ウォッチドック・タイマ25は、オペレータ表示器6に初期画面が表示されてから、OSの立ち上げ開始までに実行されるまでの2回目の動作(タイムカウント)を開始する。そして、2回目の動作の間に、ウォッチドック・タイマ25によりタイムカウントした値が閾値:30秒に達した場合、ウォッチドック・タイマ25が、POSターミナル1のハードウェアをリセットして再起動する。一方、ウォッチドック・タイマ25によりタイムカウントした値が閾値:30秒に達する前に、テスト番号:3−18のテストが完了した場合、停止部403がウォッチドック・タイマ25によるタイムカウントを停止するとともに、設定された閾値:30秒をクリアする。
【0037】
ここで、オペレータ表示器6に初期画面が表示されてから、OSの立ち上げ開始までの動作をウォッチドック・タイマ25の2回目の動作としたのは、仮に、1回目の動作と2回目の動作とを一つの動作とすると、POSターミナル1の電源がONされてから初期画面が表示される前に異常が発生した場合に、少なくとも33秒間ロック状態が続くことになり、その間にユーザが自らPOSターミナル1をリセットしてしまうからである。
【0038】
次に、テスト番号:3−18のテストが完了した場合、設定部401は、閾値テーブルから、テスト番号:19−150と対応付けられた閾値(タイムアウト時間):180秒を読み出し、読み出した閾値:180秒をウォッチドック・タイマ25に設定する。閾値180秒が設定されると、ウォッチドック・タイマ25は、OSの立ち上げ開始から、OSの立ち上げ後までの3回目の動作(タイムカウント)を開始する。そして、3回目の動作の間に、ウォッチドック・タイマ25によりタイムカウントした値が閾値:180秒に達した場合、ウォッチドック・タイマ25が、POSターミナル1のハードウェアをリセットして再起動する。一方、ウォッチドック・タイマ25によりタイムカウントした値が閾値:180秒に達する前に、テスト番号:19−150のテストが完了した場合、停止部403がウォッチドック・タイマ25によるタイムカウントを停止するとともに、設定された閾値:180秒をクリアする。
【0039】
ここで、OSの立ち上げ開始からOSの立ち上げ後までの動作をウォッチドック・タイマ25の3回目の動作としたのは、OSの立ち上げの間に行われるテストでは問題が生じ易く、OSの立ち上げ開始前のウォッチドック・タイマ25の1,2回目の動作と、3回目の動作とを1つの動作とすると、問題が生じた場合に、ロック状態が続く時間が長くなるとともに、OSの立ち上げ開始前のテストにおいて問題が生じたのか、OSの立ち上げが開始された後に問題が生じたのかの特定が困難になるからである。
【0040】
なお、本実施の形態では、上述したように、ウォッチドック・タイマ25の動作を3つに分けているが、ウォッチドック・タイマ25の動作を複数のテストごとに分けるものであれば、これに限定するものではない。
【0041】
次に、図6を用いて、POSターミナル1の起動に際して実行される処理の流れについて説明する。図6は、POSターミナルの起動に際して実行される処理の流れを示すフローチャートである。
【0042】
まず、POSターミナル1の電源がON、ウォッチドック・タイマ25によりハードウェアがリセット、テスト番号1,2のテストが完了、テスト番号3−18のテストが完了、またはテスト番号19−150のテストが完了すると、設定部401は、テスト番号1,2のテスト、テスト番号3−18のテスト、およびテスト番号19−150のテストのうち、実行していないテストがあるかを判断する(ステップS601)。本実施の形態では、設定部401は、既に実行したテスト番号をRAM22に登録しておき、閾値テーブルに含まれるテスト番号が全てRAM22に登録されているか否かにより、実行していないテストがあるか否かを判断するものとする。なお、ウォッチドック・タイマ25によりハードウェアがリセットされた場合、設定部401は、RAM22に登録したテスト番号を全てクリアするものとする。
【0043】
そして、閾値テーブルに含まれるテスト番号が全てRAM22に登録されており、実行していないテストがないと判断した場合(ステップS601:No)、テストを完了する。一方、設定部401は、閾値テーブルに含まれるテスト番号が全てRAM22に登録されておらず、実行していない複数のテストがあると判断した場合(ステップS601:Yes)、閾値テーブルから、RAM22に登録されていないテスト番号(実行していない複数のテストのテスト番号)と対応付けられた閾値を読み出し、読み出した閾値をウォッチドック・タイマ25に設定する(ステップS602)。ウォッチドック・タイマ25に閾値が設定されると、実行部402が、複数のテストの実行を開始するとともに(ステップS603)、ウォッチドック・タイマ25が、動作(タイムカウント)を開始する(ステップS604)。
【0044】
テストが実行されている間、停止部403は、テストが完了したか否かを監視する(ステップS605)。そして、ウォッチドック・タイマ25によりタイムカウントされた値が設定された閾値に達する前に、テストが完了した場合(ステップS605:Yes)、停止部403は、ウォッチドック・タイマ25の動作を停止するとともに、設定された閾値をクリアする(ステップS606)。
【0045】
さらに、テストが実行されている間(ステップS605:No)、ウォッチドック・タイマ25は、タイムカウントした値が設定された閾値に達したか否か(タイムアップしたか否か)を判断する(ステップS607)。そして、タイムアップしていないと判断した場合(ステップS607:No)、ウォッチドック・タイマ25は、タイムカウントを継続する(ステップS604)。一方、タイムカウントした値が閾値に達したと判断した場合(ステップS607:Yes)、ウォッチドック・タイマ25は、ハードウェアをリセットする(ステップS608)。
【0046】
なお、本実施の形態のPOSターミナル1で実行される各種のプログラムは、ROM21に予め組み込まれて提供されるが、これに限定するものではない。
【0047】
本実施の形態のPOSターミナル1で実行される各種のプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0048】
さらに、本実施の形態のPOSターミナル1で実行される各種のプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施の形態のPOSターミナル1で実行される各種のプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0049】
このように本実施の形態にかかるPOSターミナル1によれば、設定部401が、複数のテストごとに、複数のテストの実行に要する時間より長い時間を異常検出用の閾値としてウォッチドック・タイマ25に設定し、ウォッチドック・タイマ25が、複数のテストの実行に伴い動作してタイムカウントし、タイムカウントした値が設定部401により設定された閾値に達した場合に、ハードウェアをリセットして再起動し、停止部403が、複数のテストが完了した際にウォッチドック・タイマ25によるタイムカウントを停止することにより、テストごとにウォッチドック・タイマ25の開始・停止を行う必要がなくなるため、ハードウェアの起動時に実行されるテストによる処理時間のオーバーヘッドを低減することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 POSターミナル
20 CPU
21 ROM21
25 ウォッチドック・タイマ
401 設定部
403 停止部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0051】
【特許文献1】特開2008−140072号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハードウェアの起動に際して予め定められたテストを実行し、前記テストの完了後に通常動作に入る電子機器であって、
複数の前記テストごとに、前記複数のテストの実行に要する時間より長い時間を異常検出用の閾値として設定する設定手段と、
前記複数のテストの実行に伴い動作してタイムカウントし、タイムカウントした値が前記設定手段により設定された前記閾値に達した場合に、ハードウェアをリセットして再起動するカウント手段と、
前記複数のテストが完了した際に前記カウント手段によるタイムカウントを停止する停止手段と、
を備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記設定手段は、前記電子機器の電源がONされた直後から表示器に初期画面が表示されるまでに実行される前記複数のテスト、前記初期画面が表示されてからOSの立ち上げ開始までに実行される前記複数のテスト、およびOSの立ち上げが開始されてからOSの立ち上げが完了するまでに実行される前記複数のテストごとに、前記閾値を設定することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記複数のテストのテスト番号に対し、前記複数のテストの実行に要する時間より長い時間である前記閾値が対応付けられた閾値テーブルを記憶する記憶手段をさらに備え、
前記設定手段は、前記記憶手段に記憶された前記閾値テーブルから、実行する前記複数のテストの前記テスト番号に対応付けられた前記閾値を読み出し、読み出した前記閾値を設定することを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記カウント手段は、ウォッチドック・タイマであることを特徴とする請求項1から3のいずれか一に記載の電子機器。
【請求項5】
ハードウェアの起動に際して予め定められたテストを実行し、前記テストの完了後に通常動作に入る電子機器を制御するコンピュータを、
複数の前記テストごとに、前記複数のテストの実行に要する時間より長い時間を異常検出用の閾値として設定する設定手段と、
前記複数のテストの実行に伴い動作してタイムカウントし、タイムカウントした値が前記設定手段により設定された前記閾値に達した場合に、ハードウェアをリセットして再起動するカウント手段と、
前記複数のテストが完了した際に前記カウント手段によるタイムカウントを停止する停止手段と、
として機能させるためのプログラム。
【請求項6】
前記設定手段は、前記電子機器の電源がONされた直後から表示器に初期画面が表示されるまでに実行される前記複数のテスト、前記初期画面が表示されてからOSの立ち上げ開始までに実行される前記複数のテスト、およびOSの立ち上げが開始されてからOSの立ち上げが完了するまでに実行される前記複数のテストごとに、前記閾値を設定することを特徴とする請求項5に記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−81566(P2011−81566A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−232758(P2009−232758)
【出願日】平成21年10月6日(2009.10.6)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】