説明

電子機器、画像形成装置、及び電子機器の電源供給方法

【課題】電源ハーネスが外れ、あるいは破損しているときに電源がONされた場合でも、デバイスやロジックに破損も含めたダメージが生じないようにする。
【解決手段】2系統以上の電源を供給可能なPSU1を制御するCPU21を有するユニットAと、PSU1から供給される電源A(5V)と電源Aから所定電圧に生成された電源B(3.3V)が供給されるユニットBと、ユニットA、B間の信号線を結合する第1のコネクタCN1と、ユニットBにユニットAから電源Bを供給するための第2のコネクタCN2とを備え、前記2系統以上の電源のうち1系統の電源Aはシステム電源をONすることによって自動的に供給され、他の1系統の電源BはユニットAからPSU1へのPONENG信号に基づいて供給されるが、第2のコネクタCN2から電源供給が行われない状態になったとき、ユニットAから出力されるPONENG信号の出力を禁止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つのユニットのデータ線や信号線をコネクタで繋ぐ形式の基板を備えた電子機器に係り、特に、前記コネクタを使用して電源供給を行う際の電源制御に特徴のある複写機、プリンタ、ファクシミリ、デジタル複合機などの画像形成装置などの電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
2つのユニット(例えばユニットA,ユニットBとする)のデータ線あるいは信号線を繋ぐには、ボード トゥ ボードのコネクタを使用し、データあるいは信号を伝達するようにすることが一般的に行われている。ただし、機器の構造的な制約から、ボード トゥ ボードのコネクタでは接続できない場合は、フレキシブル・ハーネスなどで接続される場合もある。この場合、電源はフレキシブル・ハーネスの1ピンあたりの電流容量の規格から、別に設けられることも多く、機器の構成はフレキシブル・ハーネス(信号線の伝達手段)と電源ケーブル(電源の伝達手段)という構成になるのが一般的である。
【0003】
ところで、昨今のMFP(デジタル複合機)などの機器は、省エネルギ(以下、省エネと称す)の観点から電源系統をいくつかに分け、省エネ時に一方の電源を切ることによって省エネを達成しているものも多い。電源系統をいくつかに分け、省エネ時に一方の電源を切るというのは、例えば、機器の電源を入れたときにONされ、常にONされているVE系電源と、ユニットAで制御されるV系電源で構成され、省エネ時はV系電源を切断することで省エネを達成するなどである。その場合、ユニットAがPSUを制御するために、制御信号が必用であり、フレキシブル・ハーネスで伝達されていた。つまり、2つのコネクタにて信号(フレキシブル・ハーネス)と電源(電源ケーブル)を伝達し、制御信号がフレキシブル・ハーネス側にアサインされている構成は既に知られている。
【0004】
図5は本発明の対象となっている従来例に係る機器、ここでは画像形成手段を備えた電子機器としてのMFPの要部の構成を示すブロック図である。同図において、MFPは、PSU(電源供給装置)1、ユニットA、ユニットB、及びOPU(操作パネル)10を備えている。PSU1は、システム電源ONによって自動的に供給される電源5VEと、ユニットAからのPONENG信号にて供給される電源5V(電源A)と、FET(電界効果型トランジスタ)11を備え、2系統の電源を供給できるようになっている。
【0005】
ユニットAはCPU21と、REG(レギュレータ)22を備え、CPU21には5VEが接続され、REG22には5Vが接続されている。ユニットAでは、5VEが投入されたあと、ハード、及びソフト手段にてPONENG信号を制御する機能を有する。また、5VがREG22に供給されるとREG22は3.3Vを製造し、ユニットBへ送る。
【0006】
ユニットBは半導体からなる第1のロジック回路31を備え、この第1のロジック回路31は、5Vと3.3Vが供給されて動作する。その際、5Vから3.3Vの供給時に所定の時間内を遵守する必要がある。遵守しないと第1のロジック回路31へのダメージが発生し、第1のロジック回路31が破損し、あるいは第1のロジック回路31の寿命が縮む結果となる。
【0007】
ユニットA及びBは第1及び第2のコネクタCN1,CN2によって接続される。第1のコネクタCN1は、主にデータ信号、制御信号がアサインされているコネクタである。3.3V以外の電源等がアサインされていても良い。このコネクタCN1はフレキシブル・ハーネスのコネクタでもボード トゥ ボードのコネクタでも良い。第2のコネクタCN2は、主に3.3VとGNDがアサインされているコネクタである。このコネクタCN2もフレキシブル・ハーネスでも、ボード トゥ ボードでものコネクタでも良い。
【0008】
図5に係る機器では、5VEはCPU21に供給され、電源Aの5VはユニットAのREG22及びユニットBの第1のロジック回路31にそれぞれ独立して供給される。CPU21は第1のコネクタCN1を介して第1のFETにPONENG信号を送り、OPU10と通信し、第1のロジック回路31に対してデータや信号の授受を行う。その際、CPU21は第1のFETとは第1の信号線SG1で、OPU10とは第2の信号線SG2で、第1のロジック回路31には第3の信号線SG3を介して接続される。また、第2のコネクタCN2はREG22から第1のロジック回路31への3.3Vの電源供給用のコネクタであり、このコネクタCN2を介して3.3Vの電源供給が行われる。
【0009】
図6は図5に示した機器の電源供給時の処理手順を示すフローチャートである。すなわち、システム電源がONされると(ステップS101)、PSU1からユニットAに5VEが供給される(ステップS102)。ユニットAはPSU1の5V電源をONするPONENG信号をアサートする(ステップS103)。これによりPSU1は第1のFETをONにし、5V_PREから5V(電源A)が供給され、ユニットAのREG22とユニットBの第1のロジック回路31に5Vが供給される(ステップS104)。次いで、REG22は供給された5Vから3.3Vを製造し、第1のロジック回路31に電源Bとして供給する(ステップS105)。ステップS103のPONENG信号のアサートについては、CPU21がPONENG信号をアサートするときには+5Vを出力し、ディアサートするときには0Vにする。
【0010】
ユニットBのロジック回路(ASICなどの半導体単体も含む)31は、所定のシーケンス(5V→3.3Vが一定期間内に収まること)が規定されており(図5:SQ1)、この規定を守らないと第1のロジック回路31の半導体へダメージを与え、破損、あるいは寿命が縮まる。特に第2のコネクタCN2の挿入が外れていたり、破損していると、SQ1で示すシーケンスを遵守できず、SQ2で示すシーケンスになってしまい、第1のロジック回路31の半導体へのダメージの発生を回避することが難しかった。
【0011】
一方、同種の装置として、例えば特許文献1(特許第4028811号公報)に記載された発明が公知である。この発明は、システム全体に対する電源の投入、切断時及び省エネ状態相互間の遷移時に、半導体回路相互間で電源の回り込みを防止して、回路を構成する半導体の寿命を短くするようなことを防止することを目的とするもので、エンジン、コントローラ、前記エンジンとコントローラとを接続するPCIバスを備えて構成される画像形成装置において、前記コントローラに、メインスイッチのオン時常に電源が供給されるタイミング生成部を設け、画像形成装置を構成する機構部、機能回路に電源を供給する電源を複数の電源系統に分割し、装置の電源切断時、前記複数の電源系統の電源のそれぞれを切断するタイミングに順番を定めて装置の電源を切断することを特徴としている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
前述のように2つのコネクタによって信号(フレキシブル・ハーネス)と電源(電源ケーブル)を伝達し、かつ制御信号がフレキシブル・ハーネス側にアサインされている機器においては、例えば制御信号ONによりユニットBにPSUから別ハーネスで電源Aが供給され、そのあとユニットAから電源Bが供給されるシーケンスになっている場合、ロジックやデバイスの規格上、ある一定時間内に電源Bが供給されなければならないが、電源ハーネスが外れている、あるいは、破損している場合、前述のように3.3Vの電源Bが供給されず、ロジックやデバイスの前記規格をオーバして、デバイスやロジックに破損も含めたダメージを与えてしまう。
【0013】
しかし、特許文献1記載の発明は、システム全体に対する電源の投入、切断時及び省エネ状態相互間の遷移時に、半導体回路相互間で電源の回り込みを防止して、回路を構成する半導体の寿命を短くするようなことを防止することを目的としており、電源ハーネスが抜けている、あるいは、破損している場合については何ら配慮されておらず、前記従来技術で指摘した事態が発生したときに対処することはできない。
【0014】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、電源ハーネスが外れ、あるいは破損しているときに電源がONされた場合でも、デバイスやロジックに破損も含めたダメージが生じないようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記課題を解決するため、第1の手段は、2系統以上の電源を供給可能な電源供給手段と、前記電源供給手段の制御手段を有する第1のユニットと、前記電源供給手段から供給される第1の電源、及び前記電源供給手段から前記第1のユニットに供給された電源から所定電圧に生成された第2の電源が供給される第2のユニットと、前記第1のユニットと前記第2のユニット間の信号線を結合する第1のコネクタと、前記第2のユニットに前記第1のユニットから前記第2の電源を供給するための第2のコネクタと、を備え、前記2系統以上の電源のうち1系統の電源はシステム電源をONすることによって自動的に供給され、他の1系統の電源は前記第1のユニットから前記電源供給手段への制御信号に基づいて供給される電子機器であって、前記第2のコネクタから電源供給が行われない状態になったとき、前記第1のユニットから出力される前記制御信号の出力を禁止する手段を備えていることを特徴とする。
【0016】
第2の手段は、第1の手段において、前記制御信号の出力を禁止する手段は、前記制御手段から前記電源供給手段への信号線であり、当該信号線が前記第2のコネクタに実装されていることを特徴とする。
【0017】
第3の手段は、第1の手段において、前記制御信号の出力を禁止する手段は、前記第2のコネクタの接続の有無を検知する検知信号に基づいて前記電源供給手段への制御信号の出力の是非を判断することを特徴とする。
【0018】
第4の手段は、第3の手段において、前記電源供給手段への制御信号の出力の是非の判断は、前記制御手段に搭載されたソフトウェアによって実行されることを特徴とする。
【0019】
第5の手段は、第3の手段において、前記電源供給手段への制御信号の出力の是非の判断は、ロジック回路からなる前記制御手段によって実行されることを特徴とする。
【0020】
第6の手段は、第3ないし第5のいずれかの手段において、前記第2のコネクタの接続の有無を検知する検知信号は、前記第2のユニット側がGND接続され、前記第1のユニット側が前記制御手段に接続された信号線のH又はL信号であることを特徴とする。
【0021】
第7の手段は、第3ないし第6のいずれかの手段において、前記電源供給手段へ制御信号を出力する信号線は、前記第1のコネクタに実装されていることを特徴とする。
【0022】
第8の手段は、第1の手段において、前記第1のユニットから出力される前記制御信号の出力を禁止する手段に代えて前記第2のユニットに供給される前記第1の電源の供給を遮断する手段を備えていることを特徴とする。
【0023】
第9の手段は、第8の手段において、前記第1の電源の供給を遮断する手段は、前記第2のコネクタの接続の有無を検知する検知信号に基づいて前記第1の電源の供給の是非を判断することを特徴とする。
【0024】
第10の手段は、第9の手段において、前記第2のコネクタの接続の有無を検知する検知信号は、前記第1のユニット側がGND接続され、前記第2のユニット側が前記遮断する手段に接続された信号線のH又はL信号であることを特徴とする。
【0025】
第11の手段は、第7の手段において、前記信号線が第1のコネクタの中央部もしくはその近傍に実装されていることを特徴とする。
【0026】
第12の手段は、第7の手段において、前記信号線が第1のコネクタの両端部からそれぞれ1/3の範囲内に実装されていることを特徴とする。
【0027】
第13の手段は、第1ないし第12のいずれかの手段に係る電子機器が画像形成手段を備えた画像形成装置からなることを特徴とする。
【0028】
第14の手段は、2系統以上の電源を供給可能な電源供給手段と、前記電源供給手段の制御手段を有する第1のユニットと、前記電源供給手段から供給される第1の電源、及び前記電源供給手段から前記第1のユニットに供給された電源から所定電圧に生成された第2の電源が供給される第2のユニットと、前記第1のユニットと前記第2のユニット間の信号線を結合する第1のコネクタと、前記第2のユニットに前記第1のユニットから前記第2の電源を供給するための第2のコネクタと、を備え、前記2系統以上の電源のうち1系統の電源はシステム電源をONすることによって自動的に供給され、他の1系統の電源は前記第1のユニットから前記電源供給手段への制御信号に基づいて供給される電子機器の電源供給方法であって、前記第2のコネクタから電源供給が行われない状態になったとき、前記第1のユニットから出力される前記制御信号の出力を禁止することを特徴とする。
【0029】
なお、後述の実施形態では、電源供給手段はPSU(電源供給装置)1に、制御手段はCPU21に、第1のユニットはユニットAに、第1の電源は電源Aに、第2の電源は電源Bに、第2のユニットはユニットBに、第1のコネクタはCN1に、第2のコネクタはCN2に、制御信号はPONENG信号に、第2のコネクタに実装され制御手段から前記電源供給手段への信号線はSG4に、検知信号は信号線5又は信号線6から得られるH,L信号に、第1の電源の供給を遮断する手段は第2のロジック回路32及び第2のFET33に、それぞれ対応する。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、第2のコネクタから電源供給が行われない状態になったとき、第1のユニットから制御信号が出力されないので、半導体の所定のシーケンスに準拠できる。その結果、電源ハーネスが外れ、あるいは破損しているときに電源がONされた場合でも、デバイスやロジックに破損も含めたダメージが生じさせないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施形態における実施例1に係る電子機器の回路構成を示すブロック図である。
【図2】実施例2に係る機器の回路構成を示すブロック図である。
【図3】実施例3に係る機器の回路構成を示すブロック図である。
【図4】実施例4に係る機器の回路構成を示すブロック図である。
【図5】従来例に係る機器の回路構成を示すブロック図である。
【図6】図5に示した機器の電源供給時の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明は、電源がONされたときに、電源ハーネスの抜け、破損を検知し、電源供給を行う際の所定のシーケンスのトリガとなる制御信号を出力しないようにして5V電源が供給されないようにしたものである。
【0033】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら実施例を挙げて説明する。なお、機器及び回路の基本構成は図5を参照して説明した従来技術と同等なので、同等な各部には同一の参照符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
【実施例1】
【0034】
図1は本発明の実施形態における実施例1に係る電子機器の回路構成を示すブロック図である。
【0035】
同図において、実施例1に係る機器は、従来例と同様に、PSU1、ユニットA、ユニットB、及びOPU10から基本的に構成されている。ユニットAはCPU21とREG22を備え、ユニットBは第1のロジック回路31を備えている。両者は第1及び第2のコネクタCN1,CN2により接続されている。CPU21はまたユーザI/FとしてのOPU10と第1のコネクタCN1を介して接続され、第1のロジック回路31とも第1のコネクタCN1を介して接続されている。また、第1のロジック回路31とREG22は第2のコネクタCN2を介して接続されている。
【0036】
本実施例1が従来例と異なる点は、従来例では、CPU21から第1のFETに対して送信されるPONENG信号が第1のコネクタCN1を介して信号線SG1で送信されていたのに対し、本実施例1では、PONENG信号は第2のコネクタCN2を介し、信号線SG4によって第1のFETに送信されるという点である。PONENG信号は前述のようにシステム電源がONになったときに、REG22と第1のロジック回路31に電源5Vを供給するための信号であり、この信号が入力されない限り電源Aから5Vは供給されない。
【0037】
そこで、本実施例1では、第2のコネクタCN2で信号線SG4を接続する。すなわち第2のコネクタCN2にPONENG信号を実装するようにした。これにより、第2のコネクタCN2が抜けていると、信号線SG4は開放された状態であり、システム電源がONされ、電源5VEがCPU21に印加されたとしても、PONENG信号が第1のFETに出力されることはない。その結果、第1のFETから電源Aの5V電圧がユニットB側に供給されることがない。これにより、3.3Vが印加されないにも拘わらず、5Vが第1のロジック回路31に印加されることはなく、前記シーケンスSQ2のようなNGシーケンスが発生することはない。
【実施例2】
【0038】
図2は実施例2に係る機器の回路構成を示すブロック図である。
【0039】
同図において、実施例2に係る機器は従来例と同様に、PSU1、ユニットA、ユニットB、及びOPU10から基本的に構成されている。ユニットAはCPU21とREG22を備え、ユニットBは第1のロジック回路31を備えている。両者は第1及び第2のコネクタCN1,CN2により接続されている。CPU21はまたユーザI/FとしてのOPU10と第1のコネクタCN1を介して接続され、第1のロジック回路31とも第1のコネクタCN1を介して接続されている。また、第1のロジック回路31とREG22は第2のコネクタCN2を介して接続されている。
【0040】
本実施例2が従来例と異なる点は、第2のコネクタCN2にディテクト信号検出用の信号線SG5を設け、このディテクト信号をCPU21で検出し、第2のコネクタCN2の接続状態を検出できるようにした点である。ディテクト信号の信号線SG5は、ユニットB側がGND接続され、ユニットA側がCPU21に接続されている。このように構成すると、例えばユニットBが第2のコネクタCN2にささると、ユニットB側でこのディテクト信号がGNDに接続されているため、信号の状態はLになる。ユニットAはこの状態をCPU21のポーリングで確認にいき、Lである場合はPONENG信号をアサートし、Hである場合はディアサートする。このようにしてPONENG信号の出力制御が可能となる。
【0041】
従って、第2のコネクタCN2が抜けていると、信号線SG5はHとなり、PONENG信号はアサートされないので、システム電源がONされ、電源5VEがCPU21に印加されたとしても、PONENG信号が第1のFETに出力されることはない。これにより実施例1と同様に3.3Vが印加されないにも拘わらず、5Vが第1のロジック回路31に印加されることはなく、前記シーケンスSQ2のようなNGシーケンスが発生することはない。
【0042】
なお、本実施例2では、前述のようにディテクト信号のH/Lの状態をソフト的にCPU21のポーリングで検出するようにしているが、CPU21に代えて前記ディテクト信号をハード的なロジック回路で検知し、PONENG信号を出力するように構成することもできる。このロジック回路は、Lが接続されていることを入力条件として、Lの場合にPONENG信号を出力するような回路であれば良い。
【実施例3】
【0043】
図3は実施例3に係る機器の回路構成を示すブロック図である。
【0044】
同図において、実施例2に係る機器は従来例と同様に、PSU1、ユニットA、ユニットB、及びOPU10から基本的に構成されている。ユニットAはCPU21とREG22を備え、ユニットBは第1のロジック回路31を備えている。両者は第1及び第2のコネクタCN1,CN2により接続されている。CPU21はまたユーザI/FとしてのOPU10と第1のコネクタCN1を介して接続され、第1のロジック回路31とも第1のコネクタCN1を介して接続されている。また、第1のロジック回路31とREG22は第2のコネクタCN2を介して接続されている。
【0045】
本実施例3が従来例と異なる点は、第2のコネクタCN2にディテクト信号検出用の信号線SG6を設け、このディテクト信号をユニットAのCPU21で検知するのではなく、ユニットB内に設けられた第2のロジック回路32で検出し、第2のFET33のON/OFFを制御するようにした点である。ディテクト信号の信号線SG6は、ユニットA側がGND接続され、ユニットB側が第2のロジック回路32に接続されている。このように構成すると、例えばユニットBが第2のコネクタCN2にささると、ユニットA側でこのディテクト信号がGNDに接続されているため、信号の状態はLになる。ユニットBの第2のロジック回路32は、第2のコネクタCN2が抜けている場合には、信号状態をLと検知し、第2のFET33にLが入力され、第2のFET33はONとなることはない。そのため、第1のコネクタCN1のPONENG信号でPSU1がONになり、電源Aの5VがONになっても、第2のFET33がONになっていないために、ユニットBの第1のロジック回路31に電源Aの5Vが供給されることはない。これにより実施例1と同様に3.3Vが印加されないにも拘わらず、5Vが第1のロジック回路31に印加されることはなく、前記シーケンスSQ2のようなNGシーケンスが発生することはない。
【実施例4】
【0046】
図4は実施例4に係る機器の回路構成を示すブロック図である。
【0047】
本実施例は、コネクタの半抜けを想定した例である。第1のコネクタCN1はボード トゥ ボードのものでは、48mm〜68mm程度のものが一般的であり、フレキシブル・ケーブルの場合は23mm〜30mm程度のものが一般的である。電源コネクタである第2のコネクタCN2は10〜20mm程度のものが一般的である。また、第1のコネクタCN1は60ピン程度のものが一般に使用され、第2のコネクタCN2は3ピン程度であり、ユニットA及びBそれぞれA4サイズ位の大きさのものである場合に、ボード トゥ ボードで第1及び第2のコネクタCN1,CN2を結合したものでは、何らかの外力が作用したときに、ボードの上側と下側、言い換えればコネクタCN1、CN2が取り付けられたボードの端部に沿った部分の一端E1又は他端E2側の対向するボード位置が互いにずれると、そのずれ量に応じてピンが半抜け状態になる場合がある。
【0048】
このような半抜けは第2のコネクタCN2では、長さも短く、ピン数も少ないので、ピンのうちのいくつかが抜け、他は結合されているという状態はほとんど生じないが、第1のコネクタCN1では、長さも長く、ピン数も多いので、ボード間が片開きの状態になったときに、一部は結合を保ったまま、他部は物理的に抜けているという状態が起こりうる。このような状態に対応する第1の手法は、PONENG信号の信号線SG4(実施例1)を第1のコネクタCN1の真ん中もしくはその近傍で結合するようにする。実施例2の図2の信号線SG1はこの位置に対応している。
【0049】
このようにすると、半抜けはボードの第1のコネクタCN1の長手方向の両端部F1,F2から1/3程度までの部分で発生しやすいことから、PONENG信号の信号線SG4用のピンが半抜け状態になる虞は小さく、PONENG信号の出力が遮断されることはほとんどない。従って、多少のピンの半抜けがあっても、電源側の第2のコネクタCN2が抜けていない以上、前記SQ1のシーケンスで第1のロジック回路31への3.3Vの印加が可能になる。
【0050】
一方、第1のコネクタCN1の半抜け状態を検出するには、前述のように半抜けがボードの第1のコネクタCN1の長手方向の両端部F1,F2から1/3程度までの部分で発生しやすいことから、この部分に信号線SG4を通せば(図4(b))、PONENG信号がCPU21から出力されたときに第1のコネクタCN1のいずれかの端部F1,F2が半抜けになっていると、出力されたPONENG信号は第1のFETに入力されることはない。そのため、電源Aから電源5VがユニットA及びBに出力されることはなく、前記SQ2のシーケンスで電源5Vが第1のロジック回路31に印加されることはない。
【0051】
その他、特に説明しない各部は、実施例2と同等に構成され、同等に機能する。
【0052】
なお、実施例1ないし4では単に電子機器として説明しているが、背景技術で説明したように、画像形成手段を備えた画像形成装置、その他、省エネの考慮される電子機器全般に適用することができる。このように、本発明は本実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された発明の技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。
【符号の説明】
【0053】
1 PSU(電源供給装置)
11 第1のFET
21 CPU
22 REG
31 第1のロジック回路
32 第2のロジック回路
33 第2のFET
CN1 第1のコネクタ
CN2 第2のコネクタ
SG1〜6 信号線
【先行技術文献】
【特許文献】
【0054】
【特許文献1】特許第4028811号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2系統以上の電源を供給可能な電源供給手段と、
前記電源供給手段の制御手段を有する第1のユニットと、
前記電源供給手段から供給される第1の電源、及び前記電源供給手段から前記第1のユニットに供給された電源から所定電圧に生成された第2の電源が供給される第2のユニットと、
前記第1のユニットと前記第2のユニット間の信号線を結合する第1のコネクタと、
前記第2のユニットに前記第1のユニットから前記第2の電源を供給するための第2のコネクタと、
を備え、
前記2系統以上の電源のうち1系統の電源はシステム電源をONすることによって自動的に供給され、他の1系統の電源は前記第1のユニットから前記電源供給手段への制御信号に基づいて供給される電子機器であって、
前記第2のコネクタから電源供給が行われない状態になったとき、前記第1のユニットから出力される前記制御信号の出力を禁止する手段を備えていること
を特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1記載の電子機器であって、
前記制御信号の出力を禁止する手段は、前記制御手段から前記電源供給手段への信号線であり、
当該信号線が前記第2のコネクタに実装されていること
を特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項1記載の電子機器であって、
前記制御信号の出力を禁止する手段は、前記第2のコネクタの接続の有無を検知する検知信号に基づいて前記電源供給手段への制御信号の出力の是非を判断すること
を特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項3記載の電子機器であって、
前記電源供給手段への制御信号の出力の是非の判断は、前記制御手段に搭載されたソフトウェアによって実行されること
を特徴とする電子機器。
【請求項5】
請求項3記載の電子機器であって、
前記電源供給手段への制御信号の出力の是非の判断は、ロジック回路からなる前記制御手段によって実行されること
を特徴とする電子機器。
【請求項6】
請求項3ないし5のいずれか1項に記載の電子機器であって、
前記第2のコネクタの接続の有無を検知する検知信号は、前記第2のユニット側がGND接続され、前記第1のユニット側が前記制御手段に接続された信号線のH又はL信号であること
を特徴とする電子機器。
【請求項7】
請求項3ないし6のいずれか1項に記載の電子機器であって、
前記電源供給手段へ制御信号を出力する信号線は、前記第1のコネクタに実装されていること
を特徴とする電子機器。
【請求項8】
請求項1記載の電子機器であって、
前記第1のユニットから出力される前記制御信号の出力を禁止する手段に代えて前記第2のユニットに供給される前記第1の電源の供給を遮断する手段を備えていること
を特徴とする電子機器。
【請求項9】
請求項8記載の電子機器であって、
前記第1の電源の供給を遮断する手段は、前記第2のコネクタの接続の有無を検知する検知信号に基づいて前記第1の電源の供給の是非を判断すること
を特徴とする電子機器。
【請求項10】
請求項9記載の電子機器であって、
前記第2のコネクタの接続の有無を検知する検知信号は、前記第1のユニット側がGND接続され、前記第2のユニット側が前記遮断する手段に接続された信号線のH又はL信号であること
を特徴とする電子機器。
【請求項11】
請求項7記載の電子機器であって、
前記信号線が第1のコネクタの中央部もしくはその近傍に実装されていること
を特徴とする電子機器。
【請求項12】
請求項7記載の電子機器であって、
前記信号線が第1のコネクタの両端部からそれぞれ1/3の範囲内に実装されていること
を特徴とする電子機器。
【請求項13】
請求項1ないし13のいずれか1項に記載の電子機器が画像形成手段を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
2系統以上の電源を供給可能な電源供給手段と、
前記電源供給手段の制御手段を有する第1のユニットと、
前記電源供給手段から供給される第1の電源、及び前記電源供給手段から前記第1のユニットに供給された電源から所定電圧に生成された第2の電源が供給される第2のユニットと、
前記第1のユニットと前記第2のユニット間の信号線を結合する第1のコネクタと、
前記第2のユニットに前記第1のユニットから前記第2の電源を供給するための第2のコネクタと、
を備え、
前記2系統以上の電源のうち1系統の電源はシステム電源をONすることによって自動的に供給され、他の1系統の電源は前記第1のユニットから前記電源供給手段への制御信号に基づいて供給される電子機器の電源供給方法であって、
前記第2のコネクタから電源供給が行われない状態になったとき、前記第1のユニットから出力される前記制御信号の出力を禁止すること
を特徴とする電子機器の電源供給方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−192174(P2011−192174A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−59573(P2010−59573)
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】