説明

電子機器およびコネクタ

【課題】端子を相手方の端子に確実に導通することができる電子機器およびコネクタを提供する。
【解決手段】電池室24への柱部36の挿入によりグリップ装置側信号端子48が撮像装置側信号端子28に当接し、さらに柱部36を挿入すると、グリップ装置側信号端子48が撮像装置側信号端子28に当接していることから、支持部材62は柱部36の内部に没入していき、また、グリップ装置側信号端子48は支持部材62(スリーブ70)の内部に没入していく。そして、支持部材62が柱部36の内部に没入していく際に、支持部材62は案内部66によりその移動する方向(その没入する方向)と直交する方向に移動される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子機器およびコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルスチルカメラなどの撮像装置によって撮影を行うに際しては、撮像装置の筐体の長手方向の両側を左右の手で掴み、左右の手を左右に位置させ、筐体の長手方向を水平に向けた状態で筐体を保持して撮影する、いわゆる横位置での撮影を行うことが多く、したがって、シャッタースイッチなどの撮影にまつわる操作スイッチも横位置での撮影時に操作しやすいように筐体に配置されている。
一方、撮像装置の撮影光学系の光軸を中心にして横位置に対して90度筐体を回転した状態で撮影する、いわゆる縦位置での撮影を行う場合には、筐体の長手方向両側を把持する手が上下に位置してしまうことから、撮影姿勢が不自然となる不都合が生じる。
そのため、撮像装置を縦位置で撮影する場合であっても、横位置での撮影時と同様に左右の手が左右に位置した状態で筐体を保持できるように、筐体の底部に装脱可能に装着される縦位置グリップ装置が提供されている(特許文献1参照)。
この種の縦位置グリップ装置は、該縦位置グリップに設けられた各種の操作スイッチの操作信号を撮像装置に供給する必要がある。
そのため、縦位置グリップ装置に、前記操作信号を撮像装置へ伝達するためのグリップ装置側の信号端子を設けるとともに、撮像装置に、グリップ装置側の信号端子に接続される撮像装置側の信号端子を設け、縦位置グリップ装置を撮像装置に連結することによって、グリップ装置側の信号端子と撮像装置側の信号端子とを互いに押圧させ、これにより導通するようにしている。
【特許文献1】特開平11−202391
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そのため、従来の縦位置グリップ装置では、単にグリップ装置側の信号端子と撮像装置側の信号端子とを押圧する構成であることから、例えば、何れか一方の信号端子に塵埃が付着している場合や酸化被膜が形成されている場合には、確実な導通状態を得ることができない不利があった。
本発明はこのような事情に鑑みなされたもので、その目的は、端子を相手方の端子に確実に導通することができる電子機器およびコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述の目的を達成するため、本発明は、端子と、前記端子を支持する前記支持部材とを有する電子機器であって、前記支持部材を、前記端子が相手方の端子に接触離間させる方向に移動可能に支持すると共に、前記接触離間する方向への移動に連動して前記接触離間する方向と直交する方向に前記支持部材を移動させる案内部が設けられ、前記支持部材を前記端子が相手方の端子に接触する方向に付勢する第1の付勢部材が設けられていることを特徴とする。
また本発明は、端子と、前記端子を支持する前記支持部材とを有するコネクタであって、前記支持部材を、前記端子が相手方の端子に接触離間させる方向に移動可能に支持すると共に、前記接触離間する方向への移動に連動して前記接触離間する方向と直交する方向に前記支持部材を移動させる案内部が設けられ、前記支持部材を前記端子が相手方の端子に接触する方向に付勢する第1の付勢部材が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、端子が、相手方の端子の表面に付着している塵埃を排除しつつ移動することになり、あるいは、端子が、相手方の端子の表面に形成された酸化被膜を剥離しつつ移動することになり、端子を相手方の端子に確実に導通することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
次に、本発明が、撮像装置に装脱可能に装着される縦位置グリップ装置に適用された実施の形態について説明する。
図1は撮像装置10および縦位置グリップ装置30の正面図、図2は撮像装置10に縦位置グリップ装置30が装着される過程を示す正面図、図3は撮像装置10に縦位置グリップ装置30が装着された状態を示す正面図、図4は撮像装置10に縦位置グリップ装置30が装着された状態を示す背面図である。
また、図9は撮像装置10および縦位置グリップ装置30の制御系を示すブロック図である。
【0007】
図3、図4に示すように、縦位置グリップ装置30は、撮像装置10に取り付けられることで本実施の形態の端子および支持部材を介して撮像装置10を縦位置で撮影する際に手で把持される縦位置グリップとして機能する。すなわち、縦位置グリップ装置30が取り付けられた撮像装置10を縦位置とするとともに縦位置グリップ装置30のグリップ部32Aを右手で把持することにより、その右手の指で縦位置グリップ装置30のシャッタースイッチ44Aを操作することができ、また、撮像装置10を縦位置とした状態で縦位置グリップ装置30の操作スイッチ44Cおよび制御スイッチ44Dの操作が容易に行える。
また、図1に示すように、縦位置グリップ装置30には2個の電池50が収容され、縦位置グリップ装置30は、撮像装置10に取り付けられることで、撮像装置10へ2個の電池50の電力を供給する電源装置としても機能することになる。すなわち、縦位置グリップ装置30を使用した場合には撮像装置10の使用時間をほぼ2倍に延ばすことができる。
【0008】
縦位置グリップ装置30が装着される撮像装置10は、図1、図4に示すように、本実施の形態ではデジタルスチルカメラである。
撮像装置10は、外装を構成する撮像装置側筐体12を有している。なお、本明細書において左右は、撮像装置10を前方から見た状態でいうものとし、また、光学系の光軸方向で被写体側を前方といい、撮像素子側を後方という。
撮像装置側筐体12は前後の厚さと、厚さよりも大きな寸法の上下の高さと、高さよりも大きな寸法の左右の幅とを有している。
撮像装置側筐体12の前面には撮影光学系14を収容保持する鏡筒16が設けられている。
撮像装置側筐体12の上端面には、撮像を行うためのシャッタースイッチ18Aや撮影モードを設定するための設定ダイヤル18Bが設けられている。
撮像装置側筐体12の後面には、撮像した映像を表示するディスプレイ20、撮影、記録、映像表示などの種々の動作にまつわる操作を行うための複数の操作スイッチ18C、ディスプレイ20上に表示されるメニューを選択するなどの操作を行うための制御スイッチ18Dなどが設けられている。
撮像装置側筐体12の底面19には、三脚取り付け用の雌ねじ22が設けられている。
また、撮像装置側筐体12の左側部には、底面19に開口し電池50(図8)が1個装脱される電池室24が設けられており、電池室24の開口は図示しない蓋体によって開閉されるように構成されている。
電池室24を構成する壁部には、撮像装置側電源端子26と、撮像装置側信号端子28が設けられている。
撮像装置側電源端子26は、電池室24に収容された電池50の電池側端子52(図9)に接続され電池50からの電力が供給されるものであり、また、後述するグリップ装置側電源端子46に接続されることで縦位置グリップ装置30から電力が供給されるものである。本実施の形態では、撮像装置側電源端子26は3つ設けられている。
また、撮像装置側信号端子28は、本実施の形態の端子および支持部材を介して縦位置グリップ装置30のグリップ装置側信号端子48に接続可能に形成されている。本実施の形態では、撮像装置側信号端子28は、図11に示すように、互いに切り離された複数の薄板の面で構成されている。
【0009】
図9に示すように、鏡筒16の後部には、撮影光学系14によって結像された被写体像を撮像するCCDやCMOSセンサなどで構成された撮像素子10Aが配設されている。
撮像装置10は、撮像素子10Aから出力された撮像信号に基づいて画像データを生成し、メモリカードなどの記録媒体2に記録する画像処理部10B、前記画像データをディスプレイ20に表示させる表示処理部10C、電源部10D、制御部10Eなどを備えている。
電源部10Dは、撮像装置側電源端子26を介して供給される電力を所定の電流、電圧に調整して各部10A,10B,10C、10E、ディスプレイ20などに供給するものである。
制御部10Eは、シャッタースイッチ18A、設定ダイヤル18B、操作スイッチ18C、制御スイッチ18Dの操作に応じて画像処理部10B、表示処理部10Cなどを制御するものであり、制御プログラムによって動作を行うCPUを有している。
また、制御部10Eは、縦位置グリップ装置30から供給される操作信号をグリップ装置側信号端子48と撮像装置側信号端子28を介して受け付けて画像処理部10B、表示処理部10Cなどを制御する。
【0010】
次に縦位置グリップ装置30について詳細に説明する。
図5は縦位置グリップ装置30を前方から見た斜視図、図6は縦位置グリップ装置30を後方から見た斜視図、図7は縦位置グリップ装置30の電池室38に電池50が収容された状態を示す斜視図で、図8は縦位置グリップ装置30の電池室38に電池50が収容される状態を示す斜視図である。
図1乃至図3、図5、図6に示すように、縦位置グリップ装置30はグリップ装置側筐体32を有し、グリップ装置側筐体32に柱部36が突設されている。
【0011】
図5に示すように、グリップ装置側筐体32は左右に細長の形状を呈している。
グリップ部32Aは、グリップ装置側筐体32の前部に設けられ前方に膨出しつつ左右方向に延在している。
グリップ装置側筐体32の上部には、撮像装置側筐体12の底面19と同じ輪郭の取り付け面34が設けられ、撮像装置側筐体12の底面の雌ねじ22に螺合可能な取り付けねじ35が取り付け面34から突出している。
図6に示すように、グリップ装置側筐体32の上部には、取り付けねじ35を回転操作するための操作ダイヤル35Aが設けられ、この操作ダイヤル35Aの周方向の一部は、回転操作できるようにグリップ装置側筐体32の後面に露出している。
また、グリップ装置側筐体32の上面には、撮像装置10の電池室24の蓋体(不図示)を収容する収容凹部37が上方に開放状に形成されている。
【0012】
グリップ装置側筐体32の前面には、図5に示すように、シャッタースイッチ44Aがグリップ部32Aの長手方向の端部である左端に設けられている。シャッタースイッチ44Aは撮像装置10に設けられたシャッタースイッチ18Aと同様の機能を奏するものである。
グリップ装置側筐体32の後面には、図6に示すように、操作スイッチ44Cおよび制御スイッチ44Dが設けられている。操作スイッチ44Cおよび制御スイッチ44Dは撮像装置10に設けられた操作スイッチ18Cおよび制御スイッチ18Dと同様の機能を奏するものである。
グリップ装置側筐体32には電池室38(図1)が設けられている。
【0013】
電池室38は、図7、図8に示すように、2つの電池50をそれらの長手方向を同一直線上に並べて収容するように構成されている。
また、電池室38にはグリップ装置側電源端子46と電気的に接続された電池室側コネクタ58(図9)が設けられている。
電池室38の長手方向の端部である右端は、図7に示すように、グリップ装置側筐体32の右側部に開口し、この開口38Aを開閉する蓋体39が設けられている。
なお、図7は電池室38に電池50が収容された状態を示し、図8は電池室38に電池50を収容する状態を示している。
【0014】
電池50は、図8に示すように、厚さと、厚さよりも大きな寸法の幅と、幅よりも大きな寸法の長さを有する細長形状を呈し、その長手方向の端部に電池側端子52(図9)が設けられている。
本実施の形態では、電池50は、充電可能な2次電池であり、このような2次電池として例えばリチウムイオン電池やニッケル水素電池が挙げられる。
本実施の形態では、図8に示すように、2個の電池50は電池用トレー40とともに電池室38に装脱される。
電池用トレー40は、図9に示すように、電池50の電池側端子52に電気的に接続可能なトレー側端子54と、トレー側端子54に電気的に接続され縦位置グリップ装置30の電池室38の電池室側コネクタ58に係脱されるトレー側コネクタ56とを備え、トレー側端子54とトレー側コネクタ56とは電気的に接続されている。
【0015】
図10は柱部36の構成を示す分解斜視図、図11(A)はグリップ装置側信号端子48と撮像装置側信号端子28との接触状態を示す斜視図、(B)は(A)の拡大斜視図である。
図12は柱部36を電池室24に挿入しグリップ装置側信号端子48が撮像装置側信号端子28に当接した当初の状態を示す柱部36の正面図、図13は柱部36を電池室24に挿入しグリップ装置側信号端子48が撮像装置側信号端子28に当接した状態からさらに柱部36を押し込んだ柱部36の正面図、図14は図12のBB線断面図、図15は図13のAA線断面図、図16は柱部36を電池室24に挿入しグリップ装置側信号端子48が撮像装置側信号端子28に当接した当初の状態の柱部36および電池室24の断面図、図17は柱部36を電池室24に挿入しグリップ装置側信号端子48が撮像装置側信号端子28に当接した状態からさらに柱部36を押し込んだ状態の柱部36及び電池室24の断面図である。
図18はグリップ装置側信号端子48の構成を示す断面図である。
【0016】
グリップ装置側筐体32の上部の左側部には、図5、図6に示すように、撮像装置10の電池室24に挿入される柱部36が突設されている。
柱部36の先部には、図10に示すように、撮像装置側電源端子26に接続可能な3個のグリップ装置側電源端子46と、撮像装置側信号端子28に接続可能な16個のグリップ装置側信号端子48とが設けられている。
本実施の形態では、グリップ装置側信号端子48はピンで構成され、グリップ装置側信号端子48が特許請求の範囲の端子に相当している。
グリップ装置側電源端子46は、図9に示すように、電池室38に収容された2個の電池50に電気的に接続され、2個の電池50の電力がグリップ装置側電源端子46に供給されるように構成されている。
グリップ装置側信号端子48は、図9に示すように、フレキシブル基板60(図10)を介してシャッタースイッチ44A、操作スイッチ44Cおよび制御スイッチ44Dに電気的に接続され、スイッチ44A、44C、44Dからの操作信号がグリップ装置側信号端子48に供給されるように構成されている。
【0017】
本実施の形態では、図11に示すように、柱部36の先部に2つの支持部材62が設けられている。
2つの支持部材62はグリップ装置側筐体32の左右方向に並べられて配置されている。
各支持部材62にそれぞれ8個のグリップ装置側信号端子48が支持されている。
柱部36を構成する筐体64の内部65(図10、図16)に、支持部材62を、グリップ装置側信号端子48が相手方の端子(電池室24の撮像装置側信号端子28)に接触離間させる方向に移動可能に支持すると共に、前記接触離間する方向への移動に連動して前記接触離間する方向と直交する方向に支持部材62を移動させる案内部66(図12乃至図15)が設けられている。本実施の形態では、柱部36の突出方向は、グリップ装置側信号端子48が相手方の端子に接触離間する方向である。
また、筐体64に、支持部材62を、グリップ装置側信号端子48が相手方の端子に接触する方向に付勢する第1の付勢部材68(図16、図17)が設けられている。
【0018】
支持部材62は図16、図17に示すように柱部36の突出方向に平行する方向に延在する長さを有し、筐体64の内部65に設けられたストッパ64Aが、支持部材62の長手方向の中間部の段部62Aに係合することで、支持部材62の突出限界位置(図16)が決められている。
グリップ装置側信号端子48は支持部材62の長手方向の一端である先部に設けられている。
図16に示すように、支持部材62の長手方向の他端にストッパ62Bが設けられ、このストッパ62Bが筐体64の中間壁64Bに当接することで支持部材62の没入限界位置(図17)が決められている。
第1の付勢部材68は、支持部材62の長手方向の他端と中間壁64Bとにわたって配置されている。
フレキシブル基板60は、図10に示すように、前記先部から離れた支持部材62の箇所に取着され、フレキシブル基板60はグリップ装置側信号端子48に電気的に接続されている。
【0019】
本実施の形態では、図18に示すように、支持部材62(図16)の先部にスリーブ70が嵌め込まれて固定されている。
グリップ装置側信号端子48は、スリーブ70に出没可能に支持されている。
グリップ装置側信号端子48は、第2の付勢部材72により突出する方向に、すなわち、相手方の撮像装置側信号端子28(図16)に接触する方向に付勢されている。
【0020】
図12、図13に示すように、前記接触離間する方向と直交する方向における一方の支持部材62の片側の箇所で前記接触離間する方向および2つの支持部材62が並べられた方向に間隔をおいた合計4箇所にそれぞれガイドピン74が突設されている。
また、図14、図15に示すように、前記接触離間する方向と直交する方向における他方の支持部材62の片側の箇所に2つの突起76が設けられている。
一方、筐体64の内部65に、各支持部材62のガイドピン74が係合される合計4つのガイド溝78が設けられている。
より詳細には、一方の支持部材62の、2つの支持部材62が並べられた方向の一方に位置する2つのガイドピン74は、単一のガイド溝78に係合され、2つの支持部材62が並べられた方向の他方に位置する2つのガイドピン74は、前記ガイド溝78とは別の単一のガイド溝78に係合される。
また、他方の支持部材62の、2つの支持部材62が並べられた方向の一方に位置する2つのガイドピン74は、単一のガイド溝78に係合され、2つの支持部材62が並べられた方向の他方に位置する2つのガイドピン74は、前記ガイド溝78とは別の単一のガイド溝78に係合される。
2つの支持部材62のうちの一方の支持部材62のガイドピン74が係合する2つのガイド溝78は、図12、図13に示すように、互いに平行し、かつ、柱部36の先部に至るにつれて柱部36の中央から次第に離れるように傾斜しており、言い換えると、前記接触離間する方向に対して傾斜している。
2つの支持部材62のうちの他方の支持部材62のガイドピン74が係合する2つのガイド溝78は、互いに平行し、かつ、柱部36の先部に至るにつれて前記とは逆方向の傾斜で柱部36の中央から次第に離れるように傾斜している。
また、図14、図15に示すように、筐体64の内部65に2つの突起76に係合し、ガイドピン73がガイド溝78から外れる方向の支持部材62の移動を阻止する案内壁80が設けられている。
【0021】
本実施の形態では、案内部66はガイドピン74とガイド溝78とを含んで構成されている。
したがって、図12、図16に示すように、柱部36の内部でストッパ64Aおよび第1の付勢部材68を介して支持部材62は突出限界位置となっており、柱部36を移動してグリップ装置側信号端子48を相手方の撮像装置側信号端子28に接触させさらに柱部36を移動させていくと、支持部材62は柱部36の内部に没入していき、その際に支持部材62およびグリップ装置側信号端子48は案内部66によりその移動する方向と直交する方向に移動される。
なお、本実施の形態では、図18に示すように、グリップ装置側信号端子48は、スリーブ70に出没可能に支持され、第2の付勢部材72により突出する方向に付勢されているので、第1の付勢部材68の付勢力と第2の付勢部材72の付勢力とを適宜設定することで、先にグリップ装置側信号端子48を支持部材62に没入させてから支持部材62を柱部36の内部に没入させたり、あるいは、支持部材62を柱部36の内部に没入させたのち、48を支持部材62の内部に没入させることが可能となり、また、柱部36のストロークを大きく確保することができる。
【0022】
次に縦位置グリップ装置30の使用方法について説明する。
電池用トレー40に2個の電池50を収容し、縦位置グリップ装置30の電池室38に、2個の電池50を電池用トレー40と共に挿入し、蓋体39を閉じる。
次に、撮像装置10の電池室24から電池50を取り除いて電池室24を空とし、この電池室24に縦位置グリップ装置30の柱部36を挿入し、撮像装置10の撮像装置側筐体12の下部にグリップ装置側筐体32の上部を合わせる。この際に、撮像装置10の電池室24の蓋体が収容凹部37に収容される。
そして、操作ダイヤル35Aを回転操作し、雌ねじ22に取り付けねじ35を螺合することで撮像装置10に縦位置グリップ装置30を連結する。
電池室24に柱部36が挿入されることで、図12、図16に示すように、グリップ装置側信号端子48の先端が撮像装置側信号端子28に当接し、これにより撮像装置側信号端子28とグリップ装置側信号端子48とが電気的に接続され、縦位置グリップ装置30の各スイッチ44A,44C,44Dからの操作信号がグリップ装置側信号端子48から撮像装置側信号端子28を介して制御部10Eに供給可能な状態となる。
また、このような電池室24への柱部36の挿入により、撮像装置側電源端子26にグリップ装置側電源端子46が接続され、撮像装置側信号端子28とグリップ装置側信号端子48とが電気的に接続され、縦位置グリップ装置30に収容された2個の電池50の電力がグリップ装置側電源端子46から撮像装置側電源端子26を介して撮像装置10の電源部10Dに供給される。
これにより、電源部10によって制御部10Eを含む各部に電源が供給されると、制御部10Eが起動して初期化処理などを実行し、撮像装置10が動作可能な状態となる。
したがって、縦位置グリップ装置30の各スイッチ44A,44C,44Dを操作することで、撮像装置10がそれらスイッチ44A,44C,44Dに対応した撮影動作や画像の再生動作など種々の動作がなされる。
【0023】
本実施の形態では、電池室24への柱部36の挿入により図12および図16に示すようにグリップ装置側信号端子48が撮像装置側信号端子28に当接し、さらに柱部36を挿入すると、グリップ装置側信号端子48が撮像装置側信号端子28に当接していることから、図13および図17に示すように支持部材62は柱部36の内部に没入していき、また、グリップ装置側信号端子48は支持部材62(スリーブ70)の内部に没入していく。
そして、支持部材62が柱部36の内部に没入していく際に、図14および図15に示すように、支持部材62は案内部66によりその移動する方向(その没入する方向)と直交する方向に移動される。なお、図14は、グリップ装置側信号端子48が撮像装置側信号端子28に当接する前または当接した当初の支持部材62の位置を示した図、図15は、グリップ装置側信号端子48が撮像装置側信号端子28に当接した状態からさらに柱部36が押し込まれた状態の支持部材62の位置を示した図である。
すなわち、支持部材62の柱部36の内部への没入に伴い(言い換えると支持部材62の前記接触離間する方向への移動に連動して)グリップ装置側信号端子48の先端が第1、第2の付勢部材68、72の付勢力によって撮像装置側信号端子28を押圧しつつ撮像装置側信号端子28上を摺動することになる。
これにより、グリップ装置側信号端子48はその先端によって撮像装置側信号端子28の表面に付着している塵埃を排除しつつ移動することになり、撮像装置側信号端子28の表面に付着している塵埃が取り除かれる。あるいは、グリップ装置側信号端子48はその先端によって撮像装置側信号端子28の表面に形成された酸化被膜を剥離しつつ移動することになり、撮像装置側信号端子28の表面に形成された酸化被膜が取り除かれる。
したがって、グリップ装置側信号端子48と撮像装置側信号端子28との電気的な接続が確保され、グリップ装置側信号端子48と撮像装置側信号端子28との導通が良好なものとなる。
【0024】
したがって、本実施の形態によれば、端子清掃用の部材を何ら用いることなくグリップ装置側信号端子48によって撮像装置側信号端子28の表面の塵埃や酸化被膜を取り除き、グリップ装置側信号端子48と相手側の撮像装置側信号端子28との間での接点不良を確実に防止して信号の伝達を確実に行い信頼性の向上を図る上で有利となる。
また、撮像装置側信号端子28の表面の塵埃や酸化被膜を取り除くことができるので、グリップ装置側信号端子48を相手方の撮像装置側信号端子28に接触する方向に付勢する付勢力を大きくすることなく、グリップ装置側信号端子48と相手側の撮像装置側信号端子28との間の導通を確保でき、グリップ装置側信号端子48および相手方の撮像装置側信号端子28に加わるストレスを低減してグリップ装置側信号端子48および相手方の撮像装置側信号端子28の耐久性を高める上で有利となることは無論のこと、グリップ装置側信号端子48を相手方の撮像装置側信号端子28に接触する方向に動かす際に必要な力が少なくて済むため、縦位置グリップ装置30の撮像装置10への取り付け時の操作性の向上を図る上で有利となる。
【0025】
なお、本実施の形態では、案内部66による支持部材62の移動が、前記接触離間する方向に対して傾斜する方向への直線運動である場合について説明したが、案内部66による支持部材62の移動は、直線運動に限定されず、円運動や揺動であってもよい。
また、案内部66の構成はガイドピンやガイド溝に限定されず、従来公知のさまざまな構造が採用可能である。
また、本実施の形態では、グリップ装置側信号端子48が支持部材62に出没可能に支持され、第2の付勢部材72により突出する方向に付勢される構成である場合について説明したが、グリップ装置側信号端子48が支持部材62に対して移動不能に固定される構成であってもよい。
また、本実施の形態では、グリップ装置側信号端子48を介して各スイッチ44A,44C,44Dの操作信号を伝達する場合について説明したが、電源電圧、電源電流などの電力を端子を介して伝達してもよいことは無論である。
また、本実施の形態では、グリップ装置側信号端子48がピンで構成されている場合について説明したが、端子形状はピンに限定されるものではなく、端子形状としては例えば板ばねや線ばねなど従来公知のさまざまな端子形状が採用可能である。
また、本発明が適用される電子機器は縦位置グリップ装置30に限定されず、端子と、この端子を支持する支持部材とを有する電子機器に広く適用されることは無論のこと、本発明は、端子と、この端子を支持する支持部材とを有するコネクタ単体にも無論適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】撮像装置10および縦位置グリップ装置30の正面図である。
【図2】撮像装置10に縦位置グリップ装置30が装着される過程を示す正面図である。
【図3】撮像装置10に縦位置グリップ装置30が装着された状態を示す正面図である。
【図4】撮像装置10に縦位置グリップ装置30が装着された状態を示す背面図である。
【図5】縦位置グリップ装置30を前方から見た斜視図である。
【図6】縦位置グリップ装置30を後方から見た斜視図である。
【図7】縦位置グリップ装置30の電池室38に電池50が収容された状態を示す斜視図である。
【図8】縦位置グリップ装置30の電池室38に電池50が収容される状態を示す斜視図である。
【図9】撮像装置10および縦位置グリップ装置30の制御系を示すブロック図である。
【図10】柱部36の構成を示す分解斜視図である。
【図11】(A)はグリップ装置側信号端子48と撮像装置側信号端子28との接触状態を示す斜視図、(B)は(A)の拡大斜視図である。
【図12】柱部36を電池室24に挿入しグリップ装置側信号端子48が撮像装置側信号端子28に当接した当初の状態を示す柱部36の正面図である。
【図13】柱部36を電池室24に挿入しグリップ装置側信号端子48が撮像装置側信号端子28に当接した状態からさらに柱部36を押し込んだ柱部36の正面図である。
【図14】図12のBB線断面図である。
【図15】図13のAA線断面図である。
【図16】柱部36を電池室24に挿入しグリップ装置側信号端子48が撮像装置側信号端子28に当接した当初の状態の柱部36および電池室24の断面図である。
【図17】柱部36を電池室24に挿入しグリップ装置側信号端子48が撮像装置側信号端子28に当接した状態からさらに柱部36を押し込んだ状態の柱部36および電池室24の断面図である。
【図18】グリップ装置側信号端子48の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0027】
10……撮像装置、30……縦位置グリップ装置、48……グリップ装置側信号端子、62……支持部材、66……案内部、68……第1の付勢部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子と、前記端子を支持する前記支持部材とを有する電子機器であって、
前記支持部材を、前記端子が相手方の端子に接触離間させる方向に移動可能に支持すると共に、前記接触離間する方向への移動に連動して前記接触離間する方向と直交する方向に前記支持部材を移動させる案内部が設けられ、
前記支持部材を前記端子が相手方の端子に接触する方向に付勢する第1の付勢部材が設けられている、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記端子は、前記接触離間させる方向に移動可能に前記支持部材で支持され、
前記端子を、相手方の端子に接触させる方向に付勢する第2の付勢部材が設けられている、
ことを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記端子は、前記接触離間する方向に沿った前記支持部材の端部である先部に設けられ、
前記先部から離れた前記支持部材の箇所に、前記端子に電気的に接続されたフレキシブル基板が取着されている、
ことを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項4】
前記端子はピンで構成されている、
ことを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項5】
前記電子機器は筐体を備え、
前記接触離間する方向と直交する方向における前記支持部材の箇所に複数のガイドピンが突設され、
前記筐体に、前記接触離間する方向に対して傾斜する方向に延在し前記ガイドピンが係合されるガイド溝が設けられ、
前記案内部は前記ガイドピンと前記ガイド溝とを含んで構成されている、
ことを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項6】
前記電子機器は筐体を備え、
前記接触離間する方向と直交する方向における一方の前記支持部材の箇所に複数のガイドピンが突設されると共に、前記接触離間する方向と直交する方向における他方の前記支持部材の箇所に突起が突設され、
前記筐体に、前記接触離間する方向に対して傾斜する方向に延在し前記ガイドピンが係合されるガイド溝と、突起に係合し前記ガイドピンが前記ガイド溝から外れる方向への前記支持部材の移動を阻止する案内壁が設けられ、
前記案内部は前記ガイドピンと前記ガイド溝とを含んで構成されている、
ことを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項7】
端子と、前記端子を支持する前記支持部材とを有するコネクタであって、
前記支持部材を、前記端子が相手方の端子に接触離間させる方向に移動可能に支持すると共に、前記接触離間する方向への移動に連動して前記接触離間する方向と直交する方向に前記支持部材を移動させる案内部が設けられ、
前記支持部材を前記端子が相手方の端子に接触する方向に付勢する第1の付勢部材が設けられている、
ことを特徴とするコネクタ。
【請求項8】
前記端子は、前記接触離間させる方向に移動可能に前記支持部材で支持され、
前記端子を、相手方の端子に接触させる方向に付勢する第2の付勢部材が設けられている、
ことを特徴とする請求項7記載のコネクタ。
【請求項9】
前記端子は、前記接触離間する方向に沿った前記支持部材の端部である先部に設けられ、
前記先部から離れた前記支持部材の箇所に、前記端子に電気的に接続されたフレキシブル基板が取着されている、
ことを特徴とする請求項7記載のコネクタ。
【請求項10】
前記端子はピンで構成されている、
ことを特徴とする請求項7記載のコネクタ。
【請求項11】
前記コネクタは筐体を備え、
前記接触離間する方向と直交する方向における前記支持部材の箇所に複数のガイドピンが突設され、
前記筐体に、前記接触離間する方向に対して傾斜する方向に延在し前記ガイドピンが係合されるガイド溝が設けられ、
前記案内部は前記ガイドピンと前記ガイド溝とを含んで構成されている、
ことを特徴とする請求項7記載のコネクタ。
【請求項12】
前記コネクタは筐体を備え、
前記接触離間する方向と直交する方向における一方の前記支持部材の箇所に複数のガイドピンが突設されると共に、前記接触離間する方向と直交する方向における他方の前記支持部材の箇所に突起が突設され、
前記筐体に、前記接触離間する方向に対して傾斜する方向に延在し前記ガイドピンが係合されるガイド溝と、突起に係合し前記ガイドピンが前記ガイド溝から外れる方向への前記支持部材の移動を阻止する案内壁が設けられ、
前記案内部は前記ガイドピンと前記ガイド溝とを含んで構成されている、
ことを特徴とする請求項7記載のコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2009−59674(P2009−59674A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−228573(P2007−228573)
【出願日】平成19年9月4日(2007.9.4)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】