説明

電子機器並びにその切換方法及びプログラム

【課題】電子機器の状態を当該電子器の着目する入力値が所定の範囲にあるか否かの判定に基づいて優先状態と非優先状態とに切り換える場合に、初回の判定時には優先的に切り換えたい状態になりやすいように制御できるようにする。
【解決手段】受信レベル(入力値)が所定の範囲にあるか否かを判定して、優先状態(12セグ放送の受信状態)と非優先状態(例えば、1セグ放送の受信状態)との切り換えをヒステリシス制御によって行う場合に、電源投入時やテレビ起動時などの初回判定時には、12セグ放送への上り閾値L1以上(第1の範囲)より広い範囲である初回用閾値L3以上(初回用範囲)に受信レベル(入力値)があるかどうかに基づいて判定を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子機器の状態を当該電子機器の着目する入力値が所定の範囲にあるか否かの判定に基づいて、この所定の範囲に対応する優先状態か当該優先状態と排他的な関係にある非優先状態かに切り換える電子機器並びにその切換方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、地上デジタルテレビ放送では、放送局毎に割り当てられている1チャンネルを13セグメントに分割し、この分割帯域の中の12セグメントを高画質、高音質のハイビジョン放送用(高解像度の12セグ放送用)とし、残りの1セグメントを移動体機器用(簡易型低解像度の1セグ放送用)としているが、12セグ放送と1セグ放送とはデータの符号化レートに違いなどからエラーレート耐性が異なり、受信性能に開きがあるため、受信電波が弱い地域、場所によっては12セグ放送を良好に受信できない場合に1セグ放送に切り換えようにすることが考えられている。例えば、1セグ放送と12セグ放送とを切り換え可能な移動体用のデジタル放送受信装置としては、従来、テレビ放送の受信状況(受信電界強度や誤り率)を監視することによって、この受信状況に応じて高画質用/低画質用の放送を適切に切り換えるようにした技術が知られている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−244530号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した先行技術ではテレビ放送の受信状況に応じて高画質用/低画質用の放送に切り換えようにしているが、受信状況は移動などによって刻々変化しているため、この変化に応じて切り換えが頻繁に行われてしまう。
そこで、12セグ放送/1セグ放送の切り換えをヒステリシス制御で行うことによって切り換え回数を減らして受信を安定化させることも考えられるが、電源投入後などの初回判定時において、受信レベルが低い状態から高い状態に遷移する際の閾値(12セグ放送への上り閾値)に達するまでの間、あるいは受信レベルが高い状態から低い状態に遷移する際の閾値(1セグ放送への下り閾値)に達するまでの間は、ヒステリシス判定が不定となってしまう。このような場合、初回の判定時には、1セグ放送の受信状態に固定的に切り換えておくことも考えられるが、初回の判定時に12セグ放送を良好に視聴可能な受信レベル、つまり、上り閾値未満で、下り閾値以上の受信レベルであっても、1セグ放送から12セグ放送への切り換えが抑制されてしまうという問題が起きる。
【0004】
このことは、12セグ放送と1セグ放送との切り換えを行う場合に限らず、ヒステリシス制御で電子機器の状態を切り換え制御するような場合、例えば、周囲の環境変化(温度、照度など)に基づいて省エネ機能をON(オン)/OFF(オフ)制御する場合でも同様の問題が起きる。すなわち、電子機器の着目する入力値(温度、照度など)が所定の範囲にあるか否かの判定に基づいて、この所定の範囲に対応する優先状態(例えば、省エネ機能のオン状態)に切り換えたり、この優先状態と排他的な関係にある非優先状態(例えば、省エネ機能のオフ状態)に切り換えたりする場合にも、上述の場合と同様に、初回の判定時に非優先状態に固定化されていると、入力値が優先状態に切り換え可能なレベルに達していても、その切り換えが抑制されてしまうという問題が起きる。
【0005】
この発明の課題は、電子機器の状態を当該電子機器の着目する入力値が所定の範囲にあるか否かの判定に基づいて優先状態と非優先状態とに切り換える場合に、初回の判定時には優先的に切り換えたい状態になりやすいように制御できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために請求項1記載の発明は、電子機器の状態を当該電子器の着目する入力値が所定の範囲にあるか否かの判定に基づいて、前記所定の範囲に対応する優先状態か当該優先状態と排他的な関係にある非優先状態かに切り換える電子機器であって、前記入力値が前記優先状態に対応する第1の範囲にあるか否かを判定する第1の判定手段と、当該電子機器の状態が前記非優先状態にあるときに、前記第1の判定手段によって入力値が第1の範囲にあると判定された場合、当該電子機器の状態を前記優先状態に切り換える第1の切換手段と、前記入力値が前記第1の範囲より広い範囲である初回用範囲にあるか否かを判定する第2の判定手段と、前記第1の判定手段又は前記第2の判定手段を用いた判定が初回の判定であるか否かを判断する初回判断手段と、この初回判断手段によって前記判定が初回の判定であると判断され、かつ、前記第2の判定手段によって入力値が初回用範囲にあると判定された場合、当該電子機器の状態を前記優先状態に切り換える第2の切換手段と、を具備したことを特徴とする。
【0007】
請求項1に従属する発明として、前記初回判断手段によって前記判定が初回であると判断され、かつ、前記第2の判定手段によって前記入力値が前記初回用範囲にないと判定された場合、当該電子機器の状態を前記非優先状態に切り換える第3の切換手段を更に備える、ようにしたことを特徴とする請求項2記載の発明であってもよい。
【0008】
請求項1に従属する発明として、前記入力値が前記初回用範囲の排他的な範囲より狭い範囲である第2の範囲にあるか否かを判定する第3の判定手段を更に備える、ようにしたことを特徴とする請求項3記載の発明であってもよい。
【0009】
請求項3に従属する発明として、当該電子機器の状態が前記優先状態にあるとき、前記第3の判定手段によって前記入力値が前記第2の範囲にあると判定された場合、当該電子機器の状態を前記非優先状態に切り換える第4の切換手段を更に備える、ようにしたことを特徴とする請求項4記載の発明であってもよい。
【0010】
請求項1に従属する発明として、前記優先状態と前記非優先状態とをユーザ操作によって設定可能な優先状態設定手段を更に備える、ようにしたことを特徴とする請求項5記載の発明であってもよい。
【0011】
請求項1に従属する発明として、地上波デジタル放送をセグメント単位で選択的に受信する受信手段と、この受信手段による受信状態の良否を示す受信レベルを検出する受信レベル検出手段と、を更に備え、前記入力値は、前記受信手段によって検出された受信レベルであり、前記優先状態は、前記セグメント単位がより大きい単位である受信状態であり、前記非優先状態は、前記セグメント単位がより小さい単位である受信状態である、ようにしたことを特徴とする請求項6記載の発明であってもよい。
【0012】
請求項1に従属する発明として、地上波デジタル放送をセグメント単位で選択的に受信する受信手段と、この受信手段によって地上波デジタル放送を受信している場合に、この放送受信の電源となるバッテリーの残量を検出するバッテリー残量検出手段と、を更に備え、前記入力値は、前記バッテリー残量検出手段によって検出された前記バッテリー残量であり、前記優先状態は、前記セグメント単位がより小さい単位である受信状態であり、前記非優先状態は、前記セグメント単位がより大きい単位である受信状態である、ようにしたことを特徴とする請求項7記載の発明であってもよい。
【0013】
請求項1に従属する発明として、表示部を照明するか否かを制御する照明制御手段と、周囲環境の照度を検出する検出手段と、を更に備え、前記入力値は、前記検出手段によって検出された照度レベルであり、前記優先状態は、前記表示部の照明を抑制する状態であり、前記非優先状態は、前記表示部を照明する状態である、ことを特徴とする請求項8記載の発明であってもよい。
【0014】
請求項1に従属する発明として、表示部を照明するか否かを制御する照明制御手段と、周囲環境の照度を検出する検出手段と、を更に備え、前記入力値は、前記検出手段によって検出された照度レベルであり、前記優先状態は、前記表示部を照明する状態であり、前記非優先状態は、前記表示部の照明を抑制する状態である、ことを特徴とする請求項9記載の発明であってもよい。
【0015】
また、上述した課題を解決するために請求項10記載の発明は、電子機器の状態を当該電子器の着目する入力値が所定の範囲にあるか否かの判定に基づいて、前記所定の範囲に対応する優先状態か当該優先状態と排他的な関係にある非優先状態かに切り換える切換方法であって、前記入力値が前記優先状態に対応する第1の範囲にあるか否かを判定するステップと、当該電子機器の状態が前記非優先状態にあるときに、前記第1の判定手段によって入力値が第1の範囲にあると判定された場合、当該電子機器の状態を前記優先状態に切り換えるステップと、前記入力値が前記第1の範囲より広い範囲である初回用範囲にあるか否かを判定するステップと、前記第1の判定手段又は前記第2の判定手段を用いた判定が初回の判定であるか否かを判断する初回判断手段と、この初回判断手段によって前記判定が初回の判定であると判断され、かつ、前記第2の判定手段によって入力値が初回用範囲にあると判定された場合、当該電子機器の状態を前記優先状態に切り換えるステップと、を具備したことを特徴とする。
【0016】
また、上述した課題を解決するために請求項11記載の発明は、コンピュータに対して、電子機器の状態を当該電子器の着目する入力値が所定の範囲にあるか否かの判定に基づいて、前記所定の範囲に対応する優先状態か当該優先状態と排他的な関係にある非優先状態かに切り換える場合に、前記入力値が前記優先状態に対応する第1の範囲にあるか否かを判定する機能と、当該電子機器の状態が前記非優先状態にあるときに、前記入力値が第1の範囲にあると判定された場合、当該電子機器の状態を前記優先状態に切り換える機能と、前記入力値が前記第1の範囲より広い範囲である初回用範囲にあるか否かを判定する機能と、前記入力値が前記第1の範囲にあるか否かの判定又は前記初回用範囲にあるか否かの判定が初回の判定であるか否かを判断する機能と、前記判定が初回の判定であると判断され、かつ、前記入力値が前記初回用範囲にあると判定された場合、当該電子機器の状態を前記優先状態に切り換える機能と、を実現させるためのプログラムを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、入力値が所定の範囲にあるか否かを判定する場合に、初回の判定時には優先的に切り換えたい状態になりやすいように制御することができ、実情に即した適切な制御が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(実施形態1)
以下、図1〜図5を参照して本発明の第1実施形態を説明する。
この実施形態は、電子機器として携帯電話機に適用した場合を例示したもので、図1は、この携帯電話機の基本的な構成要素を示したブロック図である。
携帯電話機は、通話機能、電子メール機能、インターネット接続機能(Webアクセス機能)、テレビ放送受信機能などが備えられている。このテレビ機能は、テレビ放送を受信してその放送内容を出力する機能であり、高解像度のデジタルテレビ放送(12セグ放送)の受信状態と12セグ放送よりも低解像度のデジタルテレビ放送(1セグ放送)の受信状態との切り換えが可能となっている。
【0019】
中央制御部1は、二次電池を備えた電源部2からの電力供給によって動作し、記憶部3内の各種のプログラムに応じてこの携帯電話機の全体動作を制御する中央演算処理装置、メモリなどを有している。記憶部3には、図5に示す動作手順に応じて本実施形態を実現するためのプログラムや各種のアプリケーションなどが格納されているほか、それらに必要な各種の情報が記憶されている。この記憶部3内の設定情報記憶部Mは、後述するが、12セグ放送の受信状態と1セグ放送の受信状態との切り換えに関する設定情報を記憶するものである。
【0020】
無線通信部4は、通話機能の動作時にベースバンド部の受信側から信号を取り込んで受信ベースバンド信号に復調したのち、通話用スピーカSPから音声出力させ、また、通話用マイクMCからの入力音声を取り込み、送信ベースバンド信号に符号化したのち、ベースバンド部の送信側に与えてアンテナから発信出力させる。表示部5は、高精細液晶を使用し、例えば、文字情報、待受画像、テレビ映像などの各種の情報を表示するもので、この表示部5には、液晶画面を照明するバックライトBLを有している。中央制御部1は、このバックライトBLのオン/オフを照度検出部6からの検出信号に応じて制御するようにしている。なお、バックライトBLのON(オン)/OFF(オフ)制御については、後述する第2実施形態で説明するものとする。操作部7は、ダイヤル入力、文字入力、コマンド入力などを入力する。サウンドスピーカ8は、音楽やテレビ音声などを出力する。バッテリー検出部9は、電源部2の二次電池を監視してバッテリー残量の検出を行う。
【0021】
テレビ放送受信部10は、テレビ用アンテナによって受信した地上波デジタルテレビ放送信号の中から予め選局されているチャンネルの放送信号を抽出して、OFDM(直交周波数分割多重)復調を行ったり、多重化されている放送信号から映像、音声、データ(文字データ)に分離して復号化を行ったり、圧縮データの伸長などを行ったりするもので、フロントエンド部11、バックエンド部12を有する構成となっている。このフロントエンド部11は、地上波デジタル放送をセグメント単位で選択的に受信するもので、予め選局されているチャンネルの放送信号を抽出するチューナ13と、このチューナ13からの放送信号をOFDM復調して、映像や音声などが多重化されているTS(トランスポートストリーム)信号を得るOFDM復調部14とを備えている。
【0022】
バックエンド部12は、データ分離部15、デコーダ部16、表示制御部17を有する構成で、データ分離部14は、多重化されているTS信号をOFDM復調部14から受け取ると、このTS信号を分離して音声、映像及びデータなどを得るもので、この映像PES(Packetized Elementary Stream)及び音声PESは、デコーダ部16に入力される。このデコーダ部16は、映像PESを処理する映像処理部16aと、インターレス/ブログレッシブ変換を行うIP変換部16bと、音声PESを処理する音声処理部16cを有している。
【0023】
映像処理部16aは、映像PESを復号化して圧縮化データを伸長するもので、この映像処理部21aによって処理された映像信号は、IP変換部16bに与えられてインターレス・ブログレッシブ変換が行われる。このIP変換部16bによって変換されたブログレッシブ映像信号は、表示制御部17に与えられる。表示制御部17は、IP変換部16bからのブログレッシブ映像信号(YUV方式の映像信号)をRGB方式の映像信号に変換するなどの処理を行うもので、このRGB映像信号は、表示部5に与えられる。また、音声処理部16cによってアナログ変換された音声信号は、サウンドスピーカ8に与えられる。
【0024】
フロントエンド部11、バックエンド部12は、中央制御部1によって制御可能なもので、中央制御部1は、このフロントエンド部11のOFDM復調部14からデジタルテレビ放送の受信状況(受信電界強度)を示す信号を受け取ると、セグメント単位がより大きい単位である受信状態(12セグ放送の受信状態)と、セグメント単位がより小さい単位である受信状態(1セグ放送の受信状態)とを現在の受信状況に応じて切り換えるようにしている。
【0025】
すなわち、OFDM復調部14がAGC(Automatic Gain Control)の増幅度に応じたAGC信号を中央制御部1に与えると、中央制御部1は、このAGC信号に基づいて受信レベル(受信電界強度)を検出し、この受信レベルに応じて12セグ放送の受信状態と1セグ放送の受信状態との切り換えを行うか、現在の受信状態をそのまま維持させるかを判定し、受信状態を切り換える場合には、その切り換え信号CHを出力してOFDM復調部14に与えるようにしている。なお、中央制御部1は、この切り換え判定を定期的(例えば、1秒毎)に行うようにしているが、この判定タイミングは任意であり、ユーザ操作によって任意に設定するようにしてもよい。また、受信レベルに応じて12セグ放送の受信状態と1セグ放送の受信状態との切り換えを行う場合に限らず、ユーザ操作によって任意に切り換え可能となっている。
【0026】
ここで、OFDM復調部14は、この切り換え信号CHが12セグ放送への切り換えを指示する信号であれば、12セグの放送信号のみをOFDM復調し、また、1セグ放送への切り換えを指示する信号であれば、1セグの放送信号のみをOFDM復調し、バックエンド部12のデータ分離部25にTS信号として与える。これによって12セグ放送の出力(視聴)状態から1セグ放送の出力(視聴)状態に切り換えられ、逆に、1セグ放送の視聴状態から12セグ放送の視聴状態に切り換えられる。
【0027】
図2は、デジタルテレビ放送の受信レベルに応じて12セグ放送と1セグ放送とが逐次切り換わる様子(高画質視聴優先の場合)を示した図である。
ここで、図中、縦軸は受信レベルを示し、横軸は時間を示している。中央制御部1は、現在の受信レベルに応じて12セグ放送と1セグ放送との切り換えを行う場合に、ヒステリシス制御を用いて切り換えるようにしている。すなわち、切り換え判定用として異なる2つの閾値、つまり、受信レベル(入力値)が低い状態から高い状態に遷移する際の閾値(12セグ放送への上り閾値)L1と、逆に、受信レベルが高い状態から低い状態に遷移する際の閾値(1セグ放送への下り閾値)L2を設け、受信レベルが12セグ放送への上り閾値L1に達した際に、12セグ放送への切り換えを行う。その後、受信レベルが1セグ放送への下り閾値L2に達するまでの間は12セグ放送を維持するが、この閾値L2に達した際に、1セグ放送への切り換えを行うようにしている。
【0028】
この場合、テレビ起動時などの初回判定時には、このヒステリシス制御を無効とするために、切り換え判定用閾値として、12セグ放送への上り閾値L1を用いず、初回用閾値L3を用いるようにしている。ここで、初回判定時とは、電源投入後などの直後から切り換え判定タイミングに達するまでの間であり、この初回判定時に使用される初回用閾値L3は、1セグ放送への下り閾値L2とほぼ同様の値(若干大きな値又は若干小さな値)となっている。1セグ放送の下限閾値L4は、1セグ放送を良好に受信することができるか、受信不良(受信失敗)かを判定するための閾値である。ここで、初回判定時においては、12セグ放送を優先(高画質視聴優先)させるために受信レベルが初回用閾値L3以上(初回用範囲)であれば、12セグ放送への切り換えを行うが、初回用閾値L2未満であれば、1セグ放送への切り換えを行うようにしている。
【0029】
このように初回判定に12セグ放送の高画質視聴を優先させるようにしているため、12セグ放送の受信状態を優先状態と称し、1セグ放送の受信状態を優先状態と排他的な関係にある非優先状態と称すると、初回判定時にはヒステリシス制御を無効とするために初回用閾値L3を基準として優先状態と非優先状態との切り換えを行い、それ以降の判定時には、ヒステリシス制御を有効として12セグ放送への上り閾値L1以上(第1の範囲)か、1セグ放送への下り閾値L2以下(第2の範囲)であるかに応じて優先状態と非優先状態との切り換えを行うようにしている。また、初回用閾値L3以上(初回用範囲)は、1セグ放送への下り閾値L2とほぼ同様の値であるため、12セグ放送への上り閾値L1以上(第1の範囲)よりも広い範囲となっている。また、上述した第2の範囲は、初回用範囲の排他的な範囲より狭い範囲となっている。なお、1セグ放送の下限閾値L4以下を第3の範囲と称し、この第3の範囲に対応する状態である受信不能状態(非優先状態)を特に第2の非優先状態と称する。
【0030】
図3は、設定情報記憶部Mを説明するための図である。
この設定情報記憶部Mは、12セグ放送と1セグ放送との切り換えに関する設定情報を記憶するもので、「ユーザ設定モード」、「着目する入力値」、「優先状態」、「非優先状態」の各項目を有し、それらの内容はユーザ操作によって任意に設定されたものである。「ユーザ設定モード」は、12セグ放送と1セグ放送との切り換えをどのように行うかの動作モードとして、上述のように初回判定に12セグ放送の視聴を優先させる“高画質視聴優先”のほか、この実施形態では現在のバッテリー残量でも長時間視聴を持続可能とする“長時間視聴優先”を有している。
【0031】
この“高画質視聴優先”のモードと、“長時間視聴優先”のモードは、ユーザ操作によって任意に選択されたもので、中央制御部1は、ユーザ選択された動作モードに応じた制御を行うようにしている。ここで、“長時間視聴優先”は、重負荷のテレビ機能の動作で消費電力が増大することを考慮し、現在のバッテリー残量では高画質視聴よりも長時間視聴を優先させる方が得策であるなどの理由から選択される動作モードである。
【0032】
「ユーザ設定モード」の“高画質視聴優先”に対応する「着目する入力値」、「優先状態」、「非優先状態」は、上述のように「着目する入力値」が放送信号の“受信レベル”、「優先状態」が12放送の受信状態を示すセグ受信“12セグ受信”、「非優先状態」が1放送の受信状態を示す“1セグ受信”となっている。また、「ユーザ設定モード」の“長時間視聴優先”に対応する「着目する入力値」、「優先状態」、「非優先状態」は、「着目する入力値」が“バッテリー残量”、「優先状態」が“1セグ受信”、「非優先状態」が“12セグ受信”となっている。なお、“高画質視聴優先”、“長時間視聴優先”において、ユーザ操作によって「優先状態」と「非優先状態」の内容を図示の例とは逆に設定するようにしてもよい。
【0033】
図4は、バッテリー残量に応じて12セグ放送と1セグ放送とが逐次切り換わる様子(長時間視聴優先の場合)を示した図である。
ここで、図中、縦軸はバッテリー残量を示し、横軸は時間を示している。バッテリー残量は、重負荷回路の駆動によって低下するほか、電源部2の二次電池への充電や温度変化などによって増える場合があるが、このようなバッテリー残量の変化に応じて12セグ放送と1セグ放送との切り換えを行う場合にも、図2で示したテレビ放送の受信レベルの場合と同様に、ヒステリシス制御を用いて切り換えるようにしている。
【0034】
また、この“長時間視聴優先”の場合にも、上述の“高画質視聴優先”の場合と同様に、12セグ放送と1セグ放送とを切り換える場合に、12セグ放送への上り閾値L1と、1セグ放送への下り閾値L2とを使用してヒステリシス制御を行うようにしているが、初回判定時には、ヒステリシス制御を無効とするために、初回用閾値L3を使用し、バッテリー残量が初回用閾値L3未満であれば、1セグ放送の受信状態に切り換え、初回用閾値L3以上であれば、12セグ放送の受信状態に切り換えるようにしている。この“長時間視聴優先”では、初回用閾値L3を12セグ放送への上り閾値L1とほぼ同様の値としている。
【0035】
次に、12セグ放送の受信状態と1セグ放送の受信状態との切り換え動作を図5に示すフローチャートを参照して説明する。ここで、このフローチャートに記述されている各機能は、読み取り可能なプログラムコードの形態で格納されており、このプログラムコードにしたがった動作が逐次実行される。また、伝送媒体を介して伝送されてきた上述のプログラムコードに従った動作を逐次実行することもできる。このことは後述する他の実施形態においても同様であり、記録媒体のほかに、伝送媒体を介して外部供給されたプログラム/データを利用してこの実施形態特有の動作を実行することもできる。なお、図5は、携帯電話機の全体動作のうち、本実施形態の特徴部分の動作概要を示したフローチャートであり、この図5のフローから抜けた際には、全体動作のメインフロー(図示省略)に戻る。
【0036】
図5は、テレビ機能の起動を指示するテレビ起動操作に応じて実行開始される12セグ放送の受信状態と1セグ放送の受信状態との切り換え処理(高画質視聴優先の場合)を示したフローチャートである。
なお、図5は、上述した“高画質視聴優先”の場合の切り換え処理を示したフローチャートであるが、“長時間視聴優先”の場合の切り換え処理については、“高画質視聴優先”の場合の切り換え処理と基本的に同様であるため、そのフローチャートは図示省略するものとする。
【0037】
先ず、中央制御部1は、OFDM復調部14からのAGC信号に基づいて現在の受信レベル(受信電界強度)を入力値として検出したのち(ステップA1)、検出した受信レベル(入力値)と1セグ放送の下限閾値L4とを比較し、入力値は下限閾値L4以下(第3の範囲)であるかを調べる(ステップA2)。いま、入力値が下限閾値L4以下であれば(ステップA2でYES)、受信不能状態(第2の非優先状態)に切り換えて受信不能を教示する(ステップA3)。この場合、受信不能のエラーメッセージを表示させたり、音声出力させたりすることによって受信不能の報知を行う。そして、ステップA1に戻り、受信レベル(入力値)が1セグ放送の下限閾値L4を越えるまで上述のステップA1〜A3を繰り返しながら待機状態となる。
【0038】
ここで、入力値が1セグ放送の下限閾値L4を超えたり、超えていたりしていれば(ステップA2でYES)、初回判定時であるかを調べるが(ステップA4)、テレビ起動時には初回判定時であるから(ステップA4でYES)、検出した受信レベルの入力値と初回用閾値L3とを比較し、入力値は初回用閾値L3以上(初回用範囲)であるかを調べる(ステップA5)。いま、入力値が初回用閾値L3以上であれば(ステップA5でYES)、12セグ放送を良好に受信可能な受信レベルであるため、OFDM復調部14に対して切り換え信号CHを出力し、12セグ放送受信状態への切り換えを行う(ステップA6)。
【0039】
また、入力値が初回用閾値L3以上でなければ、つまり、1セグ放送の下限閾値L4<入力値<初回用閾値L3であれば(ステップA5でNO)、OFDM復調部14に対して切り換え信号CHを出力し、1セグ放送受信状態への切り換えを行う(ステップA7)。そして、判定タイミング(例えば、1秒毎)になったかを調べながら(ステップA15)、判定タイミングに達するまで待機状態となる。
このように初回判定時には、ヒステリシス制御を無効とし、初回用閾値L3を基準として、12セグ放送の受信状態と1セグ放送の受信状態との切り換えが行われる。
【0040】
ここで、判定タイミングに達した際には(ステップA15でYES)、上述のステップA1に戻り、現在の受信レベル(入力値)の検出を行う。ここで、入力値が1セグ放送の下限閾値L4以下でなければ(ステップA2でNO)、ステップA4に移るが、この場合、初回判定時ではないので(ステップA4でNO)、ヒステリシス制御に応じた切り換えを行う。すなわち、入力値は1セグ放送への下り閾値L2以下(第2の範囲)であるかを調べる(ステップA8)。いま、1セグ放送の下限閾値L4<入力値≦1セグ放送への下り閾値L2であれば(ステップA8でYES)、1セグ放送への切り換え又は1セグ放送を継続する(ステップA9)。
【0041】
すなわち、12セグ放送の受信状態において入力値が1セグ放送への下り閾値L2以下となった場合には、1セグ放送受信状態への切り換えを行うが、1セグ放送の受信状態において1セグ放送への下り閾値L2以下となった場合には、その切り換えを行わず、1セグ放送の受信状態をそのまま維持する。そして、判定タイミングに達するまで待機状態となり(ステップA15)、判定タイミングに達すると(ステップA15でYES)、上述のステップA1に戻り、現在の受信レベル(入力値)の検出を行う。
【0042】
また、入力値が1セグ放送への下り閾値L2以下でなければ(ステップA8でNO)、12セグ放送への上り閾値L1以上(第1の範囲)であるかを調べる(ステップA10)。いま、入力値が12セグ放送への上り閾値L1以上であれば(ステップA10でYES)、12セグ放送への切り換え又は12セグ放送を継続する(ステップA11)。すなわち、現在、1セグ放送の受信状態で12セグ放送への上り閾値L1以上となった場合には12セグ放送受信状態への切り換えを行うが、現在、12セグ放送の受信状態で12セグ放送への上り閾値L1以上となった場合には、その切り換えを行わず、12セグ放送の受信状態をそのまま維持する。そして、判定タイミングに達するまで待機状態となり(ステップA15)、判定タイミングに達すると(ステップA15でYES)、上述のステップA1に戻り、現在の受信レベル(入力値)の検出を行う。
【0043】
また、入力値が1セグ放送への下り閾値L2以下ではなく(ステップA8でNO)、12セグ放送への上り閾値L1以上でもない場合には(ステップA10でNO)、つまり、1セグ放送への下り閾値L2<入力値<12セグ放送への上り閾値L1であれば、ステップA12に移り、現在の受信状態は1セグ放送であるかを調べる。いま、1セグ放送の受信状態であれば(ステップA12でYES)、受信状態の切り換えを行わずに、1セグ放送の受信状態をそのまま継続する(ステップA13)。
【0044】
また、12セグ放送の受信状態であれば(ステップA12でNO)、受信状態の切り換えを行わずに、12セグ放送の受信状態をそのまま継続する(ステップA14)。そして、判定タイミングに達するまで待機状態となり(ステップA15)、判定タイミングに達すると(ステップA15でYES)、上述のステップA1に戻り、現在の受信レベル(入力値)の検出を行う。以下、同様の動作を判定タイミング毎に繰り返す。この状態においてテレビ終了の割り込み信号を受け取ると、この図5のフローの終了となる。
【0045】
なお、上述の場合は“高画質視聴優先”の切り換え判定処理を示したが、“長時間視聴優先”の切り換え判定処理についても基本的に同様である。すなわち、図5のステップA1において、入力値としてバッテリー残量を検出する点が異なり、その他は、図5のフローと同様である。この場合、12セグ放送と1セグ放送とを切り換える場合に、12セグ放送への上り閾値L1と、1セグ放送への下り閾値L2とを使用してヒステリシス制御を行うようにしているが、初回判定時には、ヒステリシス制御を無効とするために、初回用閾値L3を使用し、バッテリー残量が初回用閾値L3未満であれば、消費電力が少ない1セグ放送の受信状態に切り換えられる。
【0046】
以上のように、この第1実施形態においては、入力値が所定の範囲にあるか否かを判定して、優先状態(例えば、12セグ放送の受信状態)と非優先状態(例えば、1セグ放送の受信状態)との切り換えを行う場合に、初回判定時には、12セグ放送への上り閾値L1以上(第1の範囲)より広い範囲である初回用閾値L3以上(初回用範囲)に受信レベル(入力値)があるかどうかを判定するようにしたので、初回判定時には優先的に切り換えたい状態になりやすいように制御することができ、実情に即した適切な制御が可能となる。
【0047】
初回判定時に入力値が初回用閾値L3以上(初回用範囲)にない場合には、非優先状態に切り換えるようにしたので、初回用範囲を基準として、優先状態、非優先状態のいずれか一方に切り換えることができる。
【0048】
優先状態において入力値が1セグ放送への下り閾値L2以下(第2の範囲)にあると判定した場合には、優先状態から非優先状態に切り換えるようにしたので、通常のヒステリシス制御との整合を取ることができる。
【0049】
優先状態と非優先状態とを設定情報記憶部Mにユーザ操作で設定可能としたので、ユーザの意向に沿って優先状態、非優先状態の設定が可能となる。
【0050】
現在の受信レベルに応じて12セグ放送と1セグ放送とを切り換えるようにしたので、受信レベルを指標にして、高画質視聴を優先させたい意向がある場合に、好適に用いることができる。
【0051】
現在のバッテリー残量に応じて12セグ放送と1セグ放送とを切り換えるようにしたので、バッテリー残量を指標にして、長時間視聴を優先させたい意向がある場合に、好適に用いることができる。
【0052】
なお、上述した第1実施形態において、初回判定時に使用される初回用閾値L3は、1セグ放送への下り閾値L2の大きさとほぼ同様の値(若干大きな値又は若干小さな値)としたが、初回用閾値L3は、これに限らず、例えば、12セグ放送への上り閾値L1と1セグ放送への下り閾値L2との中間点などであってもよい。
また、上述した第1実施形態において、入力値を受信レベルとしたが、この受信レベルのほか、誤り率などの受信状況を考慮するようにしてもよい。
【0053】
(実施形態2)
以下、この発明の第2実施形態について図6〜図9を参照して説明する。
なお、上述した第1実施形態においては、現在の受信レベルに応じて12セグ放送の受信状態と1セグ放送の受信状態とを切り換えるようにしたが、この第2実施形態においては、表示部5を照明するバックライトBLのON(オン)/OFF(オフ)を照度検出部6からの検出信号に応じて制御するようにしたものである。ここで、両実施形態において基本的あるいは名称的に同一のものは、同一符号を付して示し、その説明を省略すると共に、以下、第2実施形態の特徴部分を中心に説明するものとする。
【0054】
図1で示した照度検出部6は、フォトダイオードなどを使用して周囲環境の照度を検出するもので、中央制御部1は、照度検出部6によって検出された現在の照度レベルに基づいて照明用バックライトBLのON/OFFを制御するようにしている。この場合、バックライトBLのON/OFFの切り換えには、上述した第1実施形態と同様に、ヒステリシス制御を用いて行うようにしている。この場合、電源オン時などの初回判定時には、このヒステリシス制御を無効とするために、切り換え判定用閾値として、初回用閾値を用いるようにしている。その他、上述の第1実施形態で説明した図1は、この第2実施形態においても同様であるため、その説明は省略する。
【0055】
図6は、第2実施形態における設定情報記憶部Mを説明するための図である。
この設定情報記憶部Mは、照明用バックライトBLのON/OFFの切り換えに関する設定情報を記憶するもので、「ユーザ設定モード」、「着目する入力値」、「優先状態」、「非優先状態」の各項目を有し、それらの内容はユーザ操作によって任意に設定されたものである。「ユーザ設定モード」は、照明用バックライトBLのON/OFFをどのように行うかの動作モードとして、“省電力優先”、“見易さ優先”を有している。
【0056】
“省電力優先”は、初回判定時において照明用バックライトBLのOFFを優先させるモードであり、“見易さ優先”は、初回判定時において照明用バックライトBLのONを優先させるモードである。この“省電力優先”
のモードと、“見易さ優先” のモードは、ユーザ操作によって任意に選択されたもので、中央制御部1は、ユーザ選択された動作モードに応じた制御を行うようにしている。この場合、“省電力優先”の「着目する入力値」は周囲環境の照度レベル、「優先状態」はバックライトBLのOFF、「非優先状態」はバックライトBLのONを示している。また、“見易さ優先”の「着目する入力値」は周囲環境の照度レベル、「優先状態」はバックライトBLのON、「非優先状態」はバックライトBLのOFFを示している。なお、ユーザ操作によって「優先状態」と「非優先状態」の内容を図示の例とは逆に設定するようにしてもよい。
【0057】
図7は、第2実施形態において周囲環境の照度レベルに応じて照明用バックライトBLがON/OFFに切り換わる様子(省電力優先の場合)を示した図である。
ここで、図中、縦軸は照度レベルを示し、横軸は時間を示している。中央制御部1は、照度レベルに応じて照明用バックライトBLのON/OFFの切り換えをヒステリシス制御を用いて行う場合に、切り換え判定用として異なる2つの閾値、つまり、照度レベル(入力値)が低い状態から高い状態に遷移する際の閾値(バックライトOFFへの上り閾値)L1と、逆に、照度レベルが高い状態から低い状態に遷移する際の閾値(バックライトONへの下り閾値)L2を設け、照度レベルが上り閾値L1に達した際に、バックライトBLをOFFするようにしている。その後、照度レベルが下り閾値L2に達するまでの間はバックライトBLのOFFを維持するが、この下り閾値L2に達した際には、バックライトBLをONするようにしている。この場合、電源投入時などの初回判定時には、このヒステリシス制御を無効とするために、切り換え判定用閾値として、バックライトOFFへの上り閾値L1を用いず、初回用閾値L3を用いるようにしている。ここで、初回判定時に使用される初回用閾値L3は、上述した第1実施形態と同様に、バックライトONへの下り閾値L2の大きさとほぼ同様の値(若干大きな値又は若干小さな値)となっている。なお、第2実施形態においては上述した第1実施形態で示した下限閾値L4は、不要である。
【0058】
図8は、第2実施形態において、周囲環境の照度レベルに応じて照明用バックライトBLがON/OFFに切り換わる様子(見易さ優先の場合)を示した図である。
ここで、図中、縦軸は照度レベルを示し、横軸は時間を示している。この“見易さ優先”においても上述の“省電力優先”の場合と同様に、照明用バックライトBLのON/OFFを切り換える場合に、バックライトOFFへの上り閾値L1と、バックライトONへの下り閾値L2とを使用してヒステリシス制御を行うようにしているが、初回判定時には、ヒステリシス制御を無効とするために、初回用閾値L3を使用し、照度レベルが初回用閾値L3未満であれば、バックライトOFFに切り換え、初回用閾値L3以上であれば、バックライトONに切り換えるようにしている。この“見易さ優先”では、初回用閾値L3をバックライトOFFへの上り閾値L1とほぼ同様の値としている。
【0059】
図9は、電源投入時に実行開始される照明用バックライトBLのON/OFF切り換え処理(省電力優先の場合)を示したフローチャートである。なお、図9は、上述した“省電力優先”の場合の切り換え処理を示したフローチャートであるが、“見易さ優先”の場合の切り換え処理については、“省電力優先”の場合の切り換え処理と基本的に同様であるため、そのフローチャートは図示省略するものとする。また、このバックライトBLのON/OFF切り換え処理も、図5で示した切り換え処理と基本的には同様であるため、その説明を簡単に行うものとする。
先ず、中央制御部1は、照度検出部6からの検出信号に基づいて現在の照度レベルを入力値として検出したのち(ステップB1)、初回判定時かを調べるが(ステップB2)、電源投入時には初回判定時であるから(ステップB2でYES)、検出した照度レベルの入力値と初回用閾値L3とを比較し、入力値は初回用閾値L3以上(初回用範囲)であるかを調べる(ステップB3)。
【0060】
いま、入力値が初回用閾値L3以上であれば(ステップB3でYES)、周囲環境が明るいため、バックライトBLをOFFさせるが(ステップB4)、入力値が初回用閾値L3以上でなければ(ステップB3でNO)、バックライトBLをONさせる(ステップB5)。そして、判定タイミング(例えば、1秒毎)になったかを調べ(ステップB13)、判定タイミングに達するまで待機状態となる。
このように初回判定時には、ヒステリシス制御を無効とし、初回用閾値L3を基準として、バックライトBLのON/OFFを制御する。
【0061】
ここで、判定タイミングに達すると(ステップB13でYES)、上述のステップB1に戻り、現在の照度レベル(入力値)を検出したのち、次のステップB2に移るが、この場合、初回判定時ではないので(ステップB2でNO)、ヒステリシス制御に応じた切り換えを行う。先ず、入力値はバックライトONへの下り閾値L2以下(第2の範囲)であるかを調べ(ステップB6)、下り閾値L2以下であれば(ステップB6でYES)、バックライトONへの切り換え又はバックライトONを継続する(ステップB7)。
【0062】
また、入力値がバックライトONへの下り閾値L2以下でなければ(ステップB7でNO)、バックライトOFFへの上り閾値L1以上(第1の範囲)であるかを調べる(ステップB8)。いま、入力値がバックライトOFFへの上り閾値L1以上であれば(ステップB8でYES)、バックライトOFFへの切り換え又はバックライトOFFを継続する(ステップB9)。
【0063】
また、入力値がバックライトONへの下り閾値L2以下ではなく(ステップB6でNO)、バックライトOFFへの上り閾値L1以上でもない場合には(ステップB8でNO)、ステップB10に移り、現在、バックライトBLはON状態かを調べる。いま、ON状態であれば(ステップB10でYES)、ON/OFFの切り換えを行わずに、バックライトBLのON状態をそのまま継続する(ステップB11)。また、バックライトBLがOFF状態であれば(ステップB10でNO)、ON/OFFの切り換えを行わずに、バックライトBLのOFF状態をそのまま継続する(ステップB12)。
【0064】
そして、判定タイミングに達するまで待機状態となり(ステップB13)、判定タイミングに達すると(ステップB13でYES)、上述のステップB1に戻り、現在の照度レベル(入力値)を検出する。以下、同様の動作を判定タイミング毎に繰り返す。この状態において電源オフの割り込み信号を受け取ると、この図9のフローの終了となる。
なお、図9は、“省電力優先”の場合を例示したが、優先状態と非優先状態とを逆転させた“見易さ優先”の場合にも同様に適用可能である。
【0065】
以上のように、この第2実施形態においては、照度レベル(入力値)が所定の範囲にあるか否かを判定して、優先状態(バックライトOFF)と非優先状態(バックライトON)との切り換えを行う場合に、初回判定時には、バックライトOFFへの上り閾値L1以上(第1の範囲)より広い範囲である初回用閾値L3以上(初回用範囲)に照度レベル(入力値)があるかどうかを判定するようにしたので、初回判定時には優先的に切り換えたい状態になりやすいように制御することができ、実情に即した適切な制御が可能となる。
【0066】
なお、上述した図9においては、優先状態をバックライトOFF、非優先状態をバックライトONとする“省電力優先”の場合を例示したが、これとは逆に、優先状態をバックライトON、非優先状態をバックライトOFFとする“見易さ優先”の場合にも同様に適用可能であり、初回判定時には優先的に切り換えたい状態になりやすいように制御することができ、実情に即した適切な制御が可能となる。
【0067】
また、上述した第2実施形態において、初回判定時に使用される初回用閾値L3は、1セグ放送への下り閾値L2の大きさとほぼ同様の値(若干大きな値又は若干小さな値)としたが、初回用閾値L3は、これに限らず、例えば、バックライトOFFへの上り閾値L1とバックライトONへの下り閾値L2との中間点などであってもよい。
【0068】
また、上述した第2実施形態においては、バックライトBLのON/OFFを制御するようにしたが、ON/OFF以外にも輝度を制御するようにしてもよい。例えば、“省電力優先”の場合には、バックライトOFFへの上り閾値L1とバックライトONへの下り閾値L2との間では輝度を低くし、バックライトONへの下り閾値L2以下では輝度を高くするようにしてもよい。
【0069】
その他、上述した各実施形態で示した放送受信の切り換え制御や表示用バックライトのON/OFF制御に限らず、例えば、自動車ヘッドライトのON/OFF制御や輝度制御などにも適用可能である。
また、上述した各実施形態においては携帯電話機に適用した場合を示したが、携帯電話機に限らず、パーソナルコンピュータ、PDA、デジタルカメラ、音楽プレイヤーなどの電子機器であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】電子機器として適用した携帯電話機の基本的な構成要素を示したブロック図。
【図2】デジタルテレビ放送の受信レベルに応じて12セグ放送と1セグ放送とが逐次切り換わる様子(高画質視聴優先の場合)を示した図。
【図3】設定情報記憶部Mを説明するための図。
【図4】バッテリー残量に応じて12セグ放送と1セグ放送とが逐次切り換わる様子(長時間視聴優先の場合)を示した図。
【図5】テレビ機能の起動を指示する起動操作に応じて実行開始される12セグ放送の受信状態と1セグ放送の受信状態との切り換え処理(高画質視聴優先の場合)を示したフローチャート。
【図6】第2実施形態における設定情報記憶部Mを説明するための図。
【図7】第2実施形態において、周囲環境の照度レベルに応じて照明用バックライトBLがON/OFFに切り換わる様子(省電力優先の場合)を示した図である。
【図8】第2実施形態において、周囲環境の照度レベルに応じて照明用バックライトBLがON/OFFに切り換わる様子(見易さ優先の場合)を示した図。
【図9】第2実施形態において、電源投入時に実行開始される照明用バックライトBLのON/OFF切り換え処理(省電力優先の場合)を示したフローチャート。
【符号の説明】
【0071】
1 中央制御部
3 記憶部
5 表示部
6 照度検出部
7 操作部
8 サウンドスピーカ
9 バッテリー検出部
10 テレビ放送受信部
11 フロントエンド部
12 バックエンド部
13 チューナ
14 OFDM復調部
15 データ分離部
16 デコーダ部
L1 12セグ放送への上り閾値/バックライトOFFへの上り閾値
L2 1セグ放送への下り閾値/バックライトONへの下り閾値
L3 初回用閾値
L4 1セグ放送の下限閾値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器の状態を当該電子器の着目する入力値が所定の範囲にあるか否かの判定に基づいて、前記所定の範囲に対応する優先状態か当該優先状態と排他的な関係にある非優先状態かに切り換える電子機器であって、
前記入力値が前記優先状態に対応する第1の優先範囲にあるか否かを判定する第1の判定手段と、
当該電子機器の状態が前記非優先状態にあるときに、前記第1の判定手段によって入力値が第1の優先範囲にあると判定された場合、当該電子機器の状態を前記優先状態に切り換える第1の切換手段と、
前記入力値が前記第1の優先範囲より広い範囲である初回用優先範囲にあるか否かを判定する第2の判定手段と、
前記第1の判定手段又は前記第2の判定手段を用いた判定が初回の判定であるか否かを判断する初回判断手段と、
この初回判断手段によって前記判定が初回の判定であると判断され、かつ、前記第2の判定手段によって入力値が初回用優先範囲にあると判定された場合、当該電子機器の状態を前記優先状態に切り換える第2の切換手段と、
を具備したことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記初回判断手段によって前記判定が初回であると判断され、かつ、前記第2の判定手段によって前記入力値が前記初回用優先範囲にないと判定された場合、当該電子機器の状態を前記非優先状態に切り換える第3の切換手段を更に備える、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記入力値が前記初回用優先範囲に比べてほぼ同様の範囲又は狭い範囲である第2の優先範囲にあるか否かを判定する第3の判定手段を更に備える、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項4】
当該電子機器の状態が前記優先状態にあるとき、前記第3の判定手段によって前記着目する値が前記第2の優先範囲にあると判定された場合、当該電子機器の状態を前記非優先状態に切り換える第4の切換手段を更に備える、
ようにしたことを特徴とする請求項3記載の電子機器。
【請求項5】
前記優先状態と前記非優先状態とをユーザ操作によって設定可能な優先状態設定手段を更に備える、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項6】
地上波デジタル放送をセグメント単位で選択的に受信する受信手段と、
この受信手段による受信状態の良否を示す受信レベルを検出する受信レベル検出手段と、
を更に備え、
前記入力値は、前記受信手段によって検出された受信レベルであり、
前記優先状態は、前記セグメント単位がより大きい単位である受信状態であり、
前記非優先状態は、前記セグメント単位がより小さい単位である受信状態である、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項7】
地上波デジタル放送をセグメント単位で選択的に受信する受信手段と、
この受信手段によって地上波デジタル放送を受信している場合に、この放送受信の電源となるバッテリーの残量を検出するバッテリー残量検出手段と、
を更に備え、
前記入力値は、前記バッテリー残量検出手段によって検出された前記バッテリー残量であり、
前記優先状態は、前記セグメント単位がより小さい単位である受信状態であり、
前記非優先状態は、前記セグメント単位がより大きい単位である受信状態である、
ことを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項8】
表示部を照明するか否かを制御する照明制御手段と、
周囲環境の照度を検出する検出手段と、
を更に備え、
前記入力値は、前記検出手段によって検出された照度レベルであり、
前記優先状態は、前記表示部の照明を抑制する状態であり、
前記非優先状態は、前記表示部を照明する状態である、
ことを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項9】
表示部を照明するか否かを制御する照明制御手段と、
周囲環境の照度を検出する検出手段と、
を更に備え、
前記入力値は、前記検出手段によって検出された照度レベルであり、
前記優先状態は、前記表示部を照明する状態であり、
前記非優先状態は、前記表示部の照明を抑制する状態である、
ことを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項10】
電子機器の状態を当該電子器の着目する入力値が所定の範囲にあるか否かの判定に基づいて、前記所定の範囲に対応する優先状態か当該優先状態と排他的な関係にある非優先状態かに切り換える切換方法であって、
前記入力値が前記優先状態に対応する第1の優先範囲にあるか否かを判定するステップと、
当該電子機器の状態が前記非優先状態にあるときに、前記第1の判定手段によって入力値が第1の優先範囲にあると判定された場合、当該電子機器の状態を前記優先状態に切り換えるステップと、
前記入力値が前記第1の優先範囲より広い範囲である初回用優先範囲にあるか否かを判定するステップと、
前記第1の判定手段又は前記第2の判定手段を用いた判定が初回の判定であるか否かを判断するステップと、
この初回判断手段によって前記判定が初回の判定であると判断され、かつ、前記第2の判定手段によって入力値が初回用優先範囲にあると判定された場合、当該電子機器の状態を前記優先状態に切り換えるステップと、
を具備したことを特徴とする切換方法。
【請求項11】
コンピュータに対して、
電子機器の状態を当該電子器の着目する入力値が所定の範囲にあるか否かの判定に基づいて、前記所定の範囲に対応する優先状態か当該優先状態と排他的な関係にある非優先状態かに切り換える場合に、前記入力値が前記優先状態に対応する第1の優先範囲にあるか否かを判定する機能と、
当該電子機器の状態が前記非優先状態にあるときに、前記入力値が第1の優先範囲にあると判定された場合、当該電子機器の状態を前記優先状態に切り換える機能と、
前記入力値が前記第1の優先範囲より広い範囲である初回用優先範囲にあるか否かを判定する機能と、
前記入力値が前記第1の優先範囲にあるか否かの判定又は前記初回用優先範囲にあるか否かの判定が初回の判定であるか否かを判断する機能と、
前記判定が初回の判定であると判断され、かつ、前記入力値が前記初回用優先範囲にあると判定された場合、当該電子機器の状態を前記優先状態に切り換える機能と、
を実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−154346(P2010−154346A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−331401(P2008−331401)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(504149100)株式会社カシオ日立モバイルコミュニケーションズ (893)
【Fターム(参考)】