説明

電子機器及びカメラ

【課題】スクリーンと電子機器又はカメラとを別々に持ち運ぶ必要がないようにする。
【解決手段】被写体像を取得する撮像ユニット26と画像を投影面に向けて投影するプロジェクタユニット28とを収容する筐体3に、筐体3から離れた位置に置かれるスクリーンを収納可能な収納室100にはスクリーンが収納されているか否かを検知手段102を設ける。また、カメラ2が撮像モードになっているときは、プロジェクタ投影窓10から画像がスクリーンに投影されないようにし、スクリーンが収納されていないことが検知されたとき、前記プロジェクタユニットによる投影を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は電子機器及びカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プロジェクタを収納する本体と、内側面にスクリーンを有する蓋とからなるアタッシュケースが知られている。蓋を本体に対してほぼ直角に保持することができるとともに、180度開くことができる。本体に収納されたプロジェクタの投影レンズ部分を本体に対して直角に立ち上がった蓋のスクリーンに画像を投影できる位置にセットでき、かつ蓋を後方へ倒し、本体から離れた場所に配置された大型スクリーンに画像を投影できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3005246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、蓋のスクリーンを用いない場合、別途用意したスクリーンをアタッシュケースと一緒に持ち運ばなければならず、面倒だった。
【0005】
この発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、その課題はスクリーンと電子機器又はカメラとを別々に持ち運ぶ必要がないようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため請求項1記載の発明は、被写体像を取得する撮像ユニットと、画像を投影面に向けて投影するプロジェクタユニットと、前記撮像ユニットと前記プロジェクタユニットとを収容する筐体と、前記筐体に設けられ、前記筐体から離れた位置に設置されるスクリーンを収納可能な収納部とを備えていることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の電子機器において、前記収納部に前記スクリーンが収納されているか否かを検知する検知手段を備えていることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2記載の電子機器において、前記検知手段によって前記スクリーンが収納されていないことが検知されたとき、前記プロジェクタユニットによる投影を可能にする制御手段を備えていることを特徴とする。
【0009】
請求項1〜3のいずれか1項記載の電子機器は、例えばカメラである。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、スクリーンと電子機器又はカメラとを別々に持ち運ぶ必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1はこの発明の第1実施形態に係るカメラの斜視図である。
【図2】図2はカメラの筐体内の各ユニットの配置を正面から見た概念図である。
【図3】図3(a)〜(c)はスクリーンの使用方法を説明する図である。
【図4】図4は扉を開いた状態を示すカメラの斜視図である。
【図5】図5はこの発明の第2実施形態に係るカメラの筐体内の各ユニットの配置を正面から見た概念図である。
【図6】図6は図5のA矢視図である。
【図7】図7は扉を開いた状態を示すカメラの斜視図である。
【図8】図8は制御部によるカメラの制御の一例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
図1はこの発明の第1実施形態に係るカメラ2の斜視図である。
【0014】
カメラ(電子機器)2の筐体3は、アルミニウム等の金属からなり、前カバー4と後カバー6と側面カバー7と扉101とで構成されている。前カバー4には、撮影窓8、プロジェクタ投影窓10及びフラッシュ光が射出されるフラッシュ窓12が設けられている。
【0015】
また、筐体3の上部には、電源スイッチ14、レリーズ動作を指示するシャッタボタン16、カメラ撮影を行う撮影モードとプロジェクタ投影を行うプロジェクタモードとを切り替えるモード切替ボタン18、プロジェクタ投影時の投影画像のピント調整を行うための操作レバーであるプロジェクタフォーカスレバー20等が設けられている。
【0016】
図2はカメラ2の筐体3内の各ユニットの配置を正面から見た概念図である。
【0017】
筐体3内には、被写体を撮像するためのCCD等の撮像素子(図示せず)を有する撮像ユニット26、投影用画像を投影するための光学系等を有するプロジェクタユニット28、後述の検知部102の出力に基づいてプロジェクタユニット28による投影を制御する制御部27、撮像ユニット26及びプロジェクタユニット28に電力を供給するバッテリ29を収容する電池室30、スクリーン110を収容する収納室(収納部)100が設けられている。
【0018】
収納室100の開口部には扉101が設けられている。収納室100にはスクリーン110が収納されているか否かを検知するフォトインタラプタ等の光学式センサやマイクロスイッチ等の接触式スイッチ等の検知部(検知手段)102が設けられている。
【0019】
制御部27は例えばワンチップマイクロコンピュータで構成される。
【0020】
次に、図4に基づいて収納室100にスクリーン110を収納する方法を説明する。
【0021】
図4は扉101を開いた状態を示すカメラ2の斜視図である。
【0022】
収納室100にスクリーン110を収納するには、まず扉101を開ける。その後、予め例えば折り畳んだ後に巻いて円筒状にしたスクリーン110を収納室100に収納し、扉100を閉める。
【0023】
なお、収納室100にスクリーン110を収納するとき、スクリーン110を折り畳むだけでもよい。要は収納室100に収容可能な大きさにすればよい。収納室100にはスクリーン110だけでなく、スクリーン110を固定する吸盤120等をスクリーン110と一緒に収納することもできる。
【0024】
次に、スクリーン110の使用方法を説明する。
【0025】
図3(a)〜(c)はスクリーン110の使用方法を説明する図である。
【0026】
矩形のスクリーン110の大きさは例えばA4サイズ(297×210(単位:mm))である。スクリーン110は例えば白色の布や収納時に折り畳んだときのしわが目立たないガラス繊維等で形成される。なお、図3(a)の右側の図は左側のスクリーン110を壁Wに取り付けた状態を示す図のa−a線に沿う断面図、図3(b)の右側の図は左側のスクリーン110を壁Wに取り付けた状態を示す図のb−b線に沿う断面図を示す。
【0027】
図3(a)の例では吸盤120を用いてスクリーン110が壁Wに取り付けられている。なお、吸盤120はスクリーン110の上端の2つの角だけに設けられているが、スクリーン110の4つの角に吸盤120をそれぞれ設けてもよい。
【0028】
図3(b)の例ではピン130を用いてスクリーン110が壁Wに取り付けられている。なお、ピン130はスクリーン110の上端の2つの角だけに設けられているが、スクリーン110の4つの角にピン130をそれぞれ設けてもよい。
【0029】
図3(c)の例では机(図示せず)の上に吸盤141を用いて固定した2本の支柱140a,140b間にスクリーン110を張り渡している。支柱140a,140bはそれぞれ伸縮可能である。
【0030】
次に、制御部27によるカメラ2の制御の一例を説明する。
【0031】
図8は制御部27によるカメラ2の制御の一例を説明するフローチャートである。
【0032】
図8において、S1〜S9は処理ステップを示す。
【0033】
まず、カメラ2のバッテリ(電源)29をオンにする(S1)。
【0034】
カメラ2のバッテリ29をオンにすると、カメラ2は撮像モードとなる(S2)。
【0035】
次に、モード切替ボタン(モード切替SW)18がオンである(撮像モードからプロジェクタモード(PJモード)に切り替えられている)か否かを判断する(S3)。
【0036】
モード切替ボタン18がオンであるとき(YES)、カメラ2をプロジェクタモード(PJモード)にする(S4)。
【0037】
モード切替ボタン18がオンでないとき(NO)、検知部(SW)102がオフである(スクリーン110が収納室100に収納されていない)か否かを判断する(S5)。
【0038】
検知部102がオフでない(スクリーン110が収納室100に収納されている)とき(NO)、処理は終了する(S6)。
【0039】
このとき、カメラ2は撮像モードになっているので、プロジェクタ投影窓10から画像がスクリーン110に投影されない。
【0040】
検知部102がオフであるとき(YES)、カメラ2をプロジェクタモード(PJモード)にする(S4)。
【0041】
その後、検知部102がオンである(スクリーン110が収納室100に収納されている)か否かを判断する(S7)。
【0042】
検知部102がオンであるとき(YES)、カメラ2をプロジェクタモード(PJモード)から撮像モードに切り替える(S8)。
【0043】
検知部102がオンでない(スクリーン110が収納室100に収納されていない)とき(NO)、モード切替ボタン18がオンである(プロジェクタモード(PJモード)から撮像モードに切り替えられている)か否かを判断する(S9)。
【0044】
モード切替ボタン18がオンでないとき(NO)、ステップS7、S9を繰り返す。
【0045】
このとき、カメラ2はプロジェクタモードになっているので、カメラ2の正面をスクリーン110に向ければ、プロジェクタ投影窓10から画像がスクリーン110に投影される。
【0046】
モード切替ボタン18がオンであるとき(YES)、カメラ2を撮像モードにする(S8)。
【0047】
その後、処理は終了する(S6)。
【0048】
なお、上記ステップS5では、検知部102がオフでない(スクリーン110が収納室100に収納されている)とき(NO)、処理を終了させたが(S6)、検知部102がオフでないときであっても、プロジェクタモード(PJモード)にすることができるようにしておいてもよい。このようにすることで、スクリーン110が収納室100に収納されていても画像を投影可能な壁等があれば、その壁等に画像を投影することが可能になる。
【0049】
この実施形態によれば、スクリーン110をカメラ2の収納室100に収納することができるので、スクリーン110とカメラ2とを別々に持ち運ぶ必要がない。
【0050】
図5はこの発明の第2実施形態に係るカメラ202の筐体203内の各ユニットの配置を正面から見た概念図、図6は図5のA矢視図、図7は扉201を開いた状態を示すカメラ202の斜視図であり、第1実施形態と共通する部分には同一符号を付してその説明を省略する。
【0051】
この実施形態は収納室(収納部)200を筐体203内の下部に設けた点で第1実施形態と相違する。
【0052】
筐体203の底面には、電池室30の蓋31と三脚取付用のめねじが形成された三脚取付部205と収納室200の扉201とが設けられている。
【0053】
収納室200内はピン130や吸盤(図示せず)を収納する第1収納室200Aと例えば折り畳まれたスクリーン110が収納される第2収納室200Bとに区画されている。
【0054】
このカメラ202の動作は第1実施形態のカメラ2と同様であるので、その説明を省略する。
【0055】
この実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【符号の説明】
【0056】
2,202:カメラ(電子機器)、3,203:筐体、26:撮像ユニット、27:制御部(制御手段)、28プロジェクタユニット、100,200:収納室(収納部)、102:検知部(検知手段)、110:スクリーン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体像を取得する撮像ユニットと、
画像を投影面に向けて投影するプロジェクタユニットと、
前記撮像ユニットと前記プロジェクタユニットとを収容する筐体と、
前記筐体に設けられ、前記筐体から離れた位置に設置されるスクリーンを収納可能な収納部と
を備えていることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記収納部に前記スクリーンが収納されているか否かを検知する検知手段を備えていることを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記検知手段によって前記スクリーンが収納されていないことが検知されたとき、前記プロジェクタユニットによる投影を可能にする制御手段を備えていることを特徴とする請求項1又は2記載の電子機器。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項記載の電子機器は、カメラである。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−181510(P2010−181510A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−23209(P2009−23209)
【出願日】平成21年2月4日(2009.2.4)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】