説明

電子機器装置及びその電子機器装置の製造方法

【課題】 本発明は、電解コンデサを含んだ電子機器装置であっても充填材を使用して防水対策を施すことができ、電子機器装置の厚みも薄く安価で作業性に優れた電子機器装置及びその電子機器装置の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 電解コンデンサ22が、プリント基板24の端部に設けられ、電解コンデンサ22の防爆弁23が充填材30が充填される開口に向けて作動するように配置されている。このような構成により、作業性の向上や防爆弁23の適正な作動が均一に確保される。また、筐体10等に特殊な加工をする必要ないので安価に防水構造を備えた電子機器装置1を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋外で使用し照明装置に電力を供給する電子機器や屋外での照明装置を含めた負荷を制御する電子機器などの装置であって、防水構造を必要とする電子機器装置及びその電子機器装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からビルや施設の屋外に設置されるネオンサインや蛍光灯やLED等の照明装置に電力を供給する電源装置やこれら装置を制御するコントロール装置は、これら照明装置の近傍に配置され照明装置と同じように屋外に設置される。そのため、これらの電子機器装置は、防水を施す必要があり従来から様々な防水構造を施した装置が提案されてきた。
【0003】
電子部品を載せた電子基板を収納するケースの開口部より大きな寸法のパッキンを設け、収納ケースの両端の開口部をそのパッキンで覆った上でその開口部を金属の蓋で閉塞することで、収納ケースに内蔵された電子基板の内部に水が進入しないようにした電子機器装置の収納ケースが開示されている(特許文献1)。
【0004】
また、上記と同様な収納ケース内に絶縁性の充填材(コンパウンド)を流し込み電子部品を載せた電子基板を充填材で覆うことによって、ケース内に水が進入しても充填材が充填されている箇所は、水の進入によるショートや腐食を防ぐ事ができる構造となっているものがあった(特許文献2)。
【0005】
これら電子機器装置には電解コンデンサが使用される事が多く、電解コンデンサは、逆電圧や交流が印加されると絶縁誘電体膜が破壊され、電流が急増して内部の電解液を突沸させ、多量のガスが発生して、時には爆発的な破壊に至る恐れがあり、爆発的な破壊が発生した場合には、ガスのみでなく電解コンデンサ内部の固形物を飛散させて火災や短絡等の二次的な災害の発生をさせることがある。そのため、特許文献2に見られるように、破裂することを想定すると電解コンデンサは充填材で覆うことはできない部品として考えられてきた。
【0006】
そのため、電解コンデサが使用される電子機器装置を充填材で覆い防水効果を上げるための技術が考えられてきた。
例えば、電子部品を装着した電子基板を充填材で覆い、その電子基板を収納するケースに、ガスが抜けるような通し孔を設け、その孔をガスが抜ける程度のケースよりも脆弱な塗料で覆った技術である(特許文献3)。
また、充填材の硬度を防爆弁が作動可能な硬度とするようにし、電子部品を実装した電子基板をトレーに納め、そのトレー内に充填材を充填し電子基板を充填材で覆った技術が考えられてきた(特許文献4)。
【0007】
【特許文献1】特許第2720940号公報(図1)
【特許文献2】実開平7−7122号公報(図1)
【特許文献3】実用新案登録第2539503号公報(図1)
【特許文献4】特開2006−54106号公報(段落0042、図11)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、これら技術においては基板ケースに特殊な加工を施すことが必要でありコストが高くなったり、また、電解コンデンサの大きさが変更される場合には、充填する面積や量や電解コンデンサに積層される充填材の厚みが異なるため、それに合わせ、充填材の硬度の変更やトレーの形状の変更をする必要があり作業が繁雑となることがあった。
また、コンデンサが大きくなれば、電子機器装置の厚みが増し、電子機器装置を薄くすることが困難であった。
【0009】
そこで、本発明は、電解コンデサを含んだ電子機器装置であっても充填材を使用して防水対策を施すことができ、電子機器装置の厚みも薄く、製造の組み立て作業時の作業性に優れた電子機器装置及びその電子機器装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の電子機器装置は、箱状の筐体内部に電子部品を実装した電子基板が納められ、前記筐体内部を充填材で充填した防水構造を有した電子機器装置であって、前記筐体は、少なくとも一片を開口した開口部と、当該開口部を閉塞する蓋とを設け、前記電子基板は、防爆弁を備えたコンデンサと他の電子部品とを実装したプリント基板を設け、前記コンデンサを、前記プリント基板の端部に設けると共に当該プリント基板面に対して平行に前記コンデンサの胴体を横倒して設け、前記電子基板は、前記防爆弁が前記開口部に対面する状態で前記筐体に収納され、前記充填材は、前記プリント基板の全体を満たし、少なくとも前記コンデンサの一部を満たして充填されていることを特徴とする。
【0011】
以上の構成により、前記電子基板の厚み方向を薄く製造することができるので、装置自体をコンパクト化することができる。また、厚み方向を薄くすることができるため、充填材を使用する量も少なくて済むことになり、作業性が向上し安価に製造することができるようになった。
尚、充填材がコンデンサの一部を満たすだけでも本発明の課題を解決することができる防水対策となるが、充填材がコンデンサのすべてを満たすことは最も好ましく、より防水効果が上がる。
【0012】
請求項2の電子機器装置は、前記蓋は、前記電子基板に接続される配線を通すパッキンを備え、当該パッキンは、前記配線を通すと共に前記防爆弁から発生したガスが排出される隙間を有した空洞を設けたことを特徴とする。
【0013】
以上の構成により、前記パッキンの前記空洞からガスを抜かすことが可能であるため、コンデサが不測の事態により防爆弁が作動しても2次災害が発生することない。また、特殊な加工を施さなくても良いため、配線の設置作業するだけでガス抜け対策の作業も同時に完了するので作業性が向上する。
【0014】
請求項3の電子機器装置の製造方法は、防爆弁を備えたコンデンサと他の電子部品とをプリント基板上に実装し、前記プリント基板の端部に設けると共に当該プリント基板面に対して平行に前記コンデンサの胴体を横倒して設けた電子基板を、前記防爆弁が前記開口部に対面する状態で筐体に収納する工程と、前記電子基板を収納した前記筐体の開口部を上方にして当該筐体を起立させる工程と、少なくとも前記プリント基板が満ちる位置まで充填材を流し込む工程と、前記充填材を硬化させる工程と、を備えたことを特徴とする。
【0015】
以上の構成により、前記充填材の充填状態と前記コンデンサの前記防爆弁の位置関係とを目視しながら監視することができるので、前記充填材が適正な位置となるようにすることが容易となり、作業性の向上や前記防爆弁の適正な作動が均一に確保される。
【0016】
また、前記筐体の開口から前記充填材を充填させ、そのままの状態で前記充填材を硬化させることで、気泡が下から上に移動しながら硬化するため最も水が進入しやすい箇所すなわち前記筐体の上方には、気泡を発生しがたくすることができる。従って、防水効果を更に向上することができる。
【0017】
請求項4の電子機器装置の製造方法は、防爆弁を備えたコンデンサと他の電子部品とをプリント基板上に実装し、前記プリント基板の端部に設けると共に当該プリント基板面に対して平行に前記コンデンサの胴体を横倒して設けた電子基板を、前記防爆弁が前記開口部に対面する状態で前記筐体に収納する工程と、前記電子基板を収納した前記筐体の開口部を上方にして当該筐体を起立させる工程と、前記コンデンサを全て満たし前記防爆弁が作動する高さ位置まで充填材を流し込む工程と、前記充填材を硬化させる工程と、を備えたことを特徴とする。
【0018】
以上の構成により、前記充填材の充填状態と前記コンデンサの前記防爆弁の位置関係とを目視しながら監視することができるので、前記充填材が適正な位置となるようにすることが容易となり、作業性の向上や前記防爆弁の適正な作動が均一に確保される。
【0019】
また、前記筐体の開口から前記充填材を充填させ、そのままの状態で前記充填材を硬化させることで、気泡が下から上に移動しながら硬化するため最も水が進入しやすい箇所すなわち前記筐体の上方には、気泡を発生しがたくすることができる。従って、防水効果を更に向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に、本発明を実施するための最良の形態を図1乃至図2に基づいて説明する。
図1(A)は、本実施の形態における電子機器装置1の全体正面図を示し、図1(B)は、本実施の形態における電子機器装置1を使用しているときの側方から見た内部の透視図を示す。図2(A)は、本実施の形態における電子機器装置1に内蔵される電子基板20を側方から見た全体図を示し、図2(B)は、本実施の形態における電子機器装置1に内蔵される電子基板20の端部に装着される電解コンデンサ22の一部を斜め方向から見た図を示している。
【0021】
図1に示す電子機器装置1は、商用電源100VをDC24VやDC12Vの直流の電力に変換し、LED照明に対して電力を供給する電源装置としての電子機器装置1の一例を示している。
そして、電子機器装置1は、筐体10と、その筐体10の内部に小型トランスや電解コンデンサ22を含めた電子部品を実装した電子基板20と、その電子基板20全体を覆う充填材30とで構成されている。
充填材30は、電気絶縁性かつ防水性を有したシリコン樹脂で形成されている。
【0022】
筐体10は、金属製の下方を開口した箱状をなし上部にはL字状の上部固定片11が、下部には下部固定片17が設けられている。上部固定片11及び下部固定片17は、各々の片の中央に円状の固定孔14が穿設されており、屋外の壁面2に固定孔14を通してビス3で電子機器装置1を固定できるようになっている。
【0023】
筐体10の開口された開口部12は、金属製の蓋15が設けられており、蓋15を筐体10の側方からビス13で固定することで密封されている。蓋15の中央には、電子基板20から延設された配線18を通すための孔が設けられ、その孔にパッキン16が取り付けられている。パッキン16は、中央に配線18を通すための空洞19が設けられ、防水性を有するゴムで形成され、筐体10内部への水の進入を防いでいる。空洞19は、配線18を通すと共にガスが抜ける程度の隙間を備えた大きさの円筒状となっている。
【0024】
次に、図2に電子基板20の構成が示されている。図示しないプリントパターンが印刷されたプリント基板24の両面には、電解コンデンサ22やダイオード25やその他の電子部品27が実装されている。
【0025】
プリント基板24に実装されるコンデンサとしての電解コンデンサ22は、1500μFの容量のコンデサが2個使用されており、プリント基板24の一端に並列して設けられている。電解コンデンサ22の頭には防爆弁23が設けられ、電解コンデンサ22が不測の事態により破壊されるような状態のとき、防爆弁23が作動して電解コンデンサ22の破壊に至るようになっている。
【0026】
これら電解コンデンサ22は、プリント基板24に半田付けされた足28を90°に曲げ、胴体29をプリント基板24に対して水平状態にし、防爆弁23がプリント基板24の外側へ向くように設けられている。また、電解コンデンサ22は、電解コンデンサ22の胴体29がプリント基板24の端部から僅かに突出した状態の位置に取り付けられている。
【0027】
また、図1に示すように電解コンデンサ22は、筐体29に対しては、下方の開口部12側に設けられ、電解コンデンサ22の防爆弁23が下方の蓋15に向けて作動するように配置されている。
プリント基板24の下方には、ゴム製のブッシュ26が設けられ、ブッシュ26は、電子基板が筐体10に対して水平に保つように調整する役割をしている。
(本実施形態の電子機器装置1における充填材の充填方法及び防爆弁が作動した状態)
【0028】
次に、本実施形態における電子機器装置1における充填材30の充填方法について図3及び図4に基づいて以下に説明する。
図3(A)は、本実施の形態の充填材30を充填している様子を示す電子機器装置1の側方から見た内部の透視図であり、図3(B)は、本実施の形態の充填材30を充填した後の様子を示す電子機器装置1の一部を拡大した内部の透視図である。図4(A)は、本実施の形態の充填材30を充填した後の様子を示す電子機器装置1の一部を拡大した内部の透視図であり、図4(B)は、本実施の形態の電解コンデンサ22の防爆弁が作動した状態における電子機器装置1の下方の一部を拡大した内部の透視図である。
【0029】
図3(A)に示すように、電子基板20を内蔵した筐体24の開口部12を上にした状態で電子機器装置1を固定する(上部固定片11がある方向を下にして固定する)。このとき、電子機器装置1を長手方向に起立させる状態で垂直となるように固定させる。そして、気泡が発生しないようにゆっくりと未硬化の充填材30を筐体24の開口から流し込む、流し込まれた充填材30は、プリント基板24を全て埋め尽くし、電解コンデンサ22の頭も埋め尽くす位置まで充填される。その後、電子機器装置1に充填された充填材30は硬化する。
【0030】
充填材30が充填される最も適した位置は、図3(B)及び図4(A)(B)に示されるように、電解コンデンサ22の防爆弁23が作動し防爆弁23が破裂したときに充填材30を突き破る程度の圧力又は電解コンデンサの内部のガスが抜けることができる程度の充填材30の厚さS1が確保できる位置であって、電解コンデンサ22と蓋15の間に電解コンデンサ22の内容物又は充填材30の飛散が緩和できる空間S2が確保することができる位置であることが望ましい位置となる。
【0031】
そして、充填材30を流す際には、防爆弁23が作動する適正な位置で充填材30を流し終えなければならないが、充填材30を流し込む開口部12側(図3(A)の上方)に、防爆弁23を持つ電解コンデンサ22が配置されているため、充填材30の充填状態と電解コンデンサ22の防爆弁23の位置関係とを目視しながら監視することができる。
【0032】
次に、他の実施例として図4(C)及び図(D)を示す。図4(C)は、充填材30を充填した後の様子を示す電子機器装置1の一部を拡大した内部の透視図を示している。図4(D)は、その他の実施例の電解コンデンサ22の防爆弁が作動した状態における電子機器装置1の下方の一部を拡大した内部の透視図を示している。
【0033】
図3(A)に示すように、電子基板20を内蔵した筐体24の開口を上にした状態で電子機器装置1を固定する。このとき、電子機器装置1を長手方向に起立させる状態で垂直となるように固定させる。そして、気泡が発生しないようにゆっくりと未硬化の充填材30を筐体24の開口部12から流し込む、流し込まれた充填材30は、図4(C)に示すように、プリント基板24を全て埋め尽くし、電解コンデンサ22の頭を少しを残す位置まで充填される。その後、電子機器装置1に充填された充填材30が硬化する。
【0034】
本実施例での充填材30が充填される最も適した位置は、図4(C)(D)に示されるように、電解コンデンサ22の防爆弁23が作動し防爆弁23が破裂したときに、電解コンデンサ22と蓋15の間に電解コンデンサ22の内容物又は充填材30の飛散が緩和できる空間S2が確保することができる位置であることが望ましい位置となる。
(本実施の形態から把握される効果)
【0035】
以上における本実施の形態から把握される効果を以下に詳述する。
(1)本実施形態の電子機器装置1は、電解コンデンサ22(コンデンサ)が、プリント基板24の端部に設けられ、電解コンデンサ22(コンデンサ)の防爆弁23が充填材30が充填される開口に向けて作動するように配置されている。このような構成により、筐体10の開口部12を上方となるように固定して、充填材30を充填する場合に、防爆弁23が作動する適正な位置で充填材30を流し終えなければならないが、この構成により充填材30の充填状態と電解コンデンサ22の防爆弁23の位置関係とを目視しながら監視することができるので、充填材30が適正な位置となるようにすることが容易となり、作業性の向上や防爆弁23の適正な作動が均一に確保される。
また、筐体10等に特殊な加工をする必要がないので安価に防水構造を備えた電子機器装置1を提供することができる。
【0036】
(2)本実施形態の電子機器装置1は、電解コンデンサ22(コンデンサ)の胴体29をプリント基板24に対して水平状態(平行状態)にして設けることで、電子基板20の厚み方向(図2に示すT)を薄く製造することができ、コンパクト化することができる。
従って、厚み方向を薄くすることができるため、充填材30を使用する量も少なくて済むことになり、安価に製造することができる。また、筐体10の上方の雨が溜まる面積を少なくすることに貢献することができ、更に防水効果を向上させることができる。
【0037】
(3)本実施形態の電子機器装置1は、筐体10の充填材30と蓋15との間に設けられる空間S2により電解コンデンサ22(コンデンサ)が不測の事態により防爆弁23が作動しても、防爆動作を確保することができるとともに防爆した際の圧力を緩和するこができるので、電解コンデサ22が不測の事態により防爆弁が作動しても2次災害が発生することなく、特殊な加工を施さなくとも防水効果を確保することができる。
【0038】
(4)本実施形態の電子機器装置1は、蓋15にある配線18の防水を兼ねたパッキン16の空洞19が、配線18を通すと共にガスが抜ける程度の隙間を備えたので、パッキン19からガスを抜かすことも可能であるため、電解コンデサ22(コンデンサ)が不測の事態により防爆弁が作動しても2次災害が発生することなく、特殊な加工を施さなくとも防水効果を確保することができる。
また、防爆弁23が作動しガスが抜ける方向に面して、パッキン16の空洞19が設けられているため、ガスが抜けやすいという効果もある。
【0039】
(5)本実施形態の電子機器装置1は、プリント基板24から電解コンデンサ22(コンデンサ)の防爆弁23を有する胴体29を突出させ、少なくともプリント基板24を全て隠れるように充填することで、電解コンデンサ22(コンデンサ)の中でも水の影響を受けやすい足29の部分を充填することができ、同時に電解コンデンサ22の防爆動作を確保することができるので、電解コンデサ22が不測の事態により防爆弁が作動しても2次災害が発生することなく防水効果を向上させることができる。
【0040】
(6)本実施形態の電子機器装置1は、筐体10の上方(図1に示す上部固定片11のある方向)に雨が最も溜まりやすく、内分に浸透しやすい箇所となるが、図3に示すように筐体10を固定する上方(図1に示す上部固定片11のある方向)を下にして、筐体10の開口から充填材30を充填させ、そのままの状態で充填材30を硬化させることで、気泡が下から上に移動しながら硬化するため最も水が進入しやすい箇所すなわち筐体10の上方(図1に示す上部固定片11のある方向)には、気泡を発生しがたくすることができる。従って、防水効果を更に向上することができる。
【0041】
(7)本実施形態の電子機器装置1は、充填材30を流す際、防爆弁23が作動する適正な位置で充填材30を流し終えなければならないが、充填材30を流し込む開口部12側(図3(A)の上方)に、防爆弁23を持つ電解コンデンサ22(コンデンサ)が配置されているため、充填材30の充填状態と電解コンデンサ22の防爆弁23との位置関係を目視しながら監視することができるので、充填材30が適正な位置となるように充填することが容易となり、作業性の向上や防爆弁23の適正な作動が確保される。
【0042】
(8)本実施形態の電子機器装置1は、充填材30の流し込む量を誤った場合であっても、筐体10の長手方向に対面する方向から流し込むため、筐体の長手方向に対し垂直方向から流し込む場合に比較して、充填材30が漏れる量は少なくなるようになった。
(他の実施形態への変更例)
【0043】
以上説明した実施形態を他の実施形態へ変更した例を以下に示す。
・図5に示すように筐体110の側面の一部を突出させて、プリント基板124を滑り込ませるスライド溝143を設けることで、筐体110とプリント基板124の距離を一定に保つことができる。従って、プリント基板124が充填材30の圧力により押されプリント基板124が押され、プリント基板124や電子部品27の一部が筐体110に接触した状態で充填材30が固まるようなことが無く、電子基板20の全体を均一に充填材30が充填され、製造時に毎回一定の状態を保つことができる。
【0044】
・充填材30の厚みだけでなく硬度も考慮して防爆弁23が作動可能な硬度とするようにするのが好ましい。
・コンデンサとしての電解コンデンサ22は特に電解コンデンサに限定することなく防爆弁を備えたものであれば良い。また、特に容量の大きなものだけでなく容量の小さなものでもスペースが削減できる態様での使用であれば本実施形態に含まれる。
・筐体10は、相対する両辺を開口する開口状に作成してから一方を蓋15で閉塞して、基板20を収納し、充填材30を充填してから他方を蓋15で閉塞したものであっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0045】
以上説明した本実施の形態を応用した例として、照明用の電子機器装置について説明したが、本実施形態は、屋外での稼働設備の電子機器装置や水を使用する近傍での電子機器装置に応用される。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】(A)本実施の形態における電子機器装置1の全体正面図。(B)本実施の形態における電子機器装置1を使用しているときの側方から見た内部の透視図。
【図2】(A)本実施の形態における電子機器装置1に内蔵される電子基板20を側方から見た全体図。(B)本実施の形態における電子機器装置1に内蔵される電子基板20の端部に装着される電解コンデンサ22の一部を斜め方向から見た図。
【図3】(A)本実施の形態の充填材30を充填している様子を示す電子機器装置1の側方から見た内部の透視図。(B)本実施の形態の充填材30を充填した後の様子を示す電子機器装置1の一部を拡大した内部の透視図。
【図4】(A)本実施の形態の充填材30を充填した後の様子を示す電子機器装置1の一部を拡大した内部の透視図。(B)本実施の形態の電解コンデンサ22の防爆弁が作動した状態における電子機器装置1の下方の一部を拡大した内部の透視図。(C)他の実施例の充填材30を充填した後の様子を示す電子機器装置1の一部を拡大した内部の透視図。(D)他の実施例の電解コンデンサ22の防爆弁が作動した状態における電子機器装置1の下方の一部を拡大した内部の透視図。
【図5】他の実施例における電子機器装置1の筐体110のスライド溝143にプリント基板124が差し込まれている状態を示す斜視図。
【符号の説明】
【0047】
1・・・電子機器装置、2・・・壁面、3、13・・・ビス、
10,110・・・筐体、11・・・上部固定片、12・・・開口部、
14・・・固定孔、15・・・蓋、16・・・パッキン、17・・・下部固定片、
18・・・配線、19・・・空洞、
20・・・電子基板、22・・・電解コンデンサ(コンデンサ)、
23・・・防爆弁、24,124・・・プリント基板、25・・・ダイオード、
26・・・ブッシュ、27・・・電子部品、28・・・足、29・・・胴体、
30・・・充填材、31・・・破壊領域、
141・・・蓋固定孔、142・・・スライド片、143・・・スライド溝。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱状の筐体内部に電子部品を実装した電子基板が納められ、前記筐体内部を充填材で充填した防水構造を有した電子機器装置であって、
前記筐体は、少なくとも一片を開口した開口部と、当該開口部を閉塞する蓋とを設け、 前記電子基板は、防爆弁を備えたコンデンサと他の電子部品とを実装したプリント基板を設け、
前記コンデンサを、前記プリント基板の端部に設けると共に当該プリント基板面に対して平行に前記コンデンサの胴体を横倒して設け、
前記電子基板は、前記防爆弁が前記開口部に対面する状態で前記筐体に収納され、
前記充填材は、前記プリント基板の全体を満たし、少なくとも前記コンデンサの一部を満たして充填されていることを特徴とする電子機器装置。
【請求項2】
前記蓋は、前記電子基板に接続される配線を通すパッキンを備え、当該パッキンは、前記配線を通すと共に前記防爆弁から発生したガスが排出される隙間を有した空洞を設けたことを特徴とする請求項1に記載の電子機器装置。
【請求項3】
防爆弁を備えたコンデンサと他の電子部品とをプリント基板上に実装し、前記プリント基板の端部に設けると共に当該プリント基板面に対して平行に前記コンデンサの胴体を横倒して設けた電子基板を、前記防爆弁が前記開口部に対面する状態で筐体に収納する工程と、
前記電子基板を収納した前記筐体の開口部を上方にして当該筐体を起立させる工程と、 少なくとも前記プリント基板が満ちる位置まで充填材を流し込む工程と、
前記充填材を硬化させる工程と、
を備えたことを特徴とする電子機器装置の製造方法。
【請求項4】
防爆弁を備えたコンデンサと他の電子部品とをプリント基板上に実装し、前記プリント基板の端部に設けると共に当該プリント基板面に対して平行に前記コンデンサの胴体を横倒して設けた電子基板を、前記防爆弁が前記開口部に対面する状態で前記筐体に収納する工程と、
前記電子基板を収納した前記筐体の開口部を上方にして当該筐体を起立させる工程と、 前記コンデンサを全て満たし前記防爆弁が作動する高さ位置まで充填材を流し込む工程と、
前記充填材を硬化させる工程と、
を備えたことを特徴とする電子機器装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−166331(P2008−166331A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−351052(P2006−351052)
【出願日】平成18年12月27日(2006.12.27)
【出願人】(000144544)レシップ株式会社 (179)
【Fターム(参考)】