説明

電子機器

【課題】電子機器において、サービス用コネクタを損傷から防止しかつ使用時には使いやすい状態にて配置すること。
【解決手段】開閉パネルを有する電子機器において、この開閉パネルが閉位置、開位置及びサービス位置の3つを少なくとも移動し、閉位置及び開位置においては、その機器の通常の動作を行い、サービス位置においては、サービス用コネクタが露出して、サービス業務が利用可能となるので、コネクタを損傷から防止できるとともに、サービス業務に利用する時には、使いやすい位置に配することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用音響機器などの電子機器に関する。さらに、詳しくは、サービス時の電気的接続のためのコネクタを備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、車載用音響機器などの電子機器において、調整、故障診断などのサービス作業が必要になる場合がある。このような場合に備えて、電子機器に、サービス用接続コネクタが設けられることがある。これは、電子機器と外部のサービス機器とを電気的に接続するためのコネクタである。外部のサービス機器と電気的に接続されることにより、調整や、故障診断を行うことができる。
【0003】
ところで、このようなコネクタは、その配置を考える必要がある。すなわち、コネクタは通常使われるものではなく、故障時などの特別な場合に使用されるからである。言い換えるならば、通常の使用時には、目立たない位置に設けられていて、故障時などの特別な場合に、容易に使用できることが、機器におけるスペースの有効利用の点から望ましい。また、コネクタが常に露出していると、損傷する恐れも有り、この点の対策も必要である。
【0004】
使用時と非使用時で、特定の部材、部品などを、目立たなくしたり保護する構成として、すぐ考えることができるものに、その部分を蓋部材で覆うということがある。例えば、特開平8−124265号公報では、ディスクドライブの挿入口を開閉扉にて見えないようにする構成が開示されている。
【特許文献1】特開平8−124265号公報(G11B 17/04、G11B 33/02)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記に述べたように、故障時などの特別な場合のみに用いるサービス用のコネクタは、通常の使用時に邪魔にならないよう、かつ、コネクタが破損しないように、扉にて保護することが有効である。しかしながら、保護だけのために扉を設けることは、機器の構造が複雑になり、したがって、部品点数の増加など、別の問題点が生じる。
【0006】
そこで、本発明では、構造を簡単とすることができる、サービス用コネクタを有する電子機器を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、機器の正面に設けられた可動式パネルを設け、そのパネルが閉位置、開位置及びサービス位置の、少なくとも3段階に移動変化する。そして、このパネルがサービス位置にあるときに、コネクタ部が露出するように構成されている。
【0008】
また、本発明の別の観点では、サービス位置において、サービス処理が行われている場合には、パネルのサービス位置からの移動が禁止される。
【発明の効果】
【0009】
したがって、可動式のパネルが閉位置及び開位置においては、サービス用コネクタが使用状態とならない。そこで、サービス用コネクタが損傷する恐れが少なくなる。また、別の用途に利用されている可動パネルを用いることにより、むやみに構造が複雑になることがなく、効果がある。
【0010】
そして、サービス位置において、コネクタが使用状態にあるときには、パネルの他の位置への移動が禁止されるので、パネル及びコネクタの損傷を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面に従い、本発明の1実施例について説明する。図1は、本発明の1実施例の正面を表す正面図、図2はパネルが開状態を示す正面図、図3は、開状態における側面の様子を示す側面図、図4は、パネルのサービス位置での状態を示す正面図、図5は、同じくサービス位置を示す側面図、図6、図7及び図8はパネルを移動させる機構の一例を示す模式図である。
【0012】
図1において、1は、電子機器である車載用音響機器である。2は、パネルであって、この音響機器の表示手段でもある。パネル2には、例えばLCDパネルが用いられる。3、4は操作用つまみ(例えば音量制御、トーン調整用)、5は、ラジオの選局釦である。パネル2は、操作用つまみ3を押すことで、開閉することができる。開閉の機構については、後で簡単に説明する。このパネルの第1位置においてはCDの再生などの機器本来の処理が行われる。
【0013】
パネル2の閉状態において(図1に正面から見た状態を示す)、操作つまみ3を押すとパネル2は、図2及び図3に示すように移動して、開位置(第2位置)に止まる。図3において破線で示しているのは、パネル2の閉位置である。このパネル2の開位置(第2位置)では、オーディオCDの挿入口6が露出する。すなわち、パネル2の開位置は、オーディオCDの挿入・取り出しの為の状態である。つまり、この開位置において、操作つまみ3を押すと、パネル2は、閉位置に移動することになる。つまり、通常の使用においては、パネルは、操作つまみ3を押すたびに、開位置と閉位置との間を往復動する。
【0014】
先に述べたように、車載用音響機器において、故障診断などのサービス作業が必要な場合、機器内部との電気的な接続を実現するためのコネクタが用いられる。このコネクタ7を使用状態とするために本実施例では、パネル2の閉位置において(あるいは、図3のパネル2の開状態において)、通常行わない操作である操作つまみ3及び4を同時に押す。この操作により、パネル2は、図3の状態から更に倒れて、図4及び図5の状態となる。この状態では、サービス用コネクタ7が露出して、使用することができる。そして、パネル2のサービス位置(図5の状態)から、操作つまみ3及び4を同時に押すことにより、パネル閉状態(図1の状態)に戻る。
【0015】
尚、サービス用コネクタ7にコネクタが接続されていると、機器1側で、この接続を検出し、パネル2の移動は禁止される。したがって、パネル2を再び、閉位置に戻すためには、サービス用コネクタ7と図示しないサービス機器との接続を絶ち、操作つまみ3及び4を同時に押す操作が必要である。
【0016】
上記の実施例においては、パネル2によって、隠れる位置にサービス用コネクタ7を配しているが、別の構成も考えられる。例えば、パネル2の下端部2aにコネクタを配置することもできる。この構成では、図3の開位置では、コネクタがそれほど見えないが、サービス位置(図5)においては、パネル2がより水平になるので、コネクタの使用が可能となる。
【0017】
図6から図8までは、パネル2の移動を実現するための機構の概略説明のための模式図である。図6は、パネル2の閉状態(第1位置、図1の状態)に、図7は、パネル2の開状態(第2位置、図2、図3)に、図8は、サービス位置の状態(第3位置、図4、図5)に対応している。パネル2は、図示しないモータによって回転駆動される歯車11とスライド12の歯合する機構により移動が行われる。スライド12の移動に伴い、パネル2上部のリンク部13が本体に設けられたガイド14に沿って、上下動することになる。パネル2の移動は、歯車11を駆動するモータの回転を制御することにより、制御できる。図示はしていないが、図6から図8のそれぞれの状態にスライド12を停止するために、リミットスイッチ若しくは、ロータリーエンコーダ(図示省略)が用いられる。
【0018】
パネル2の閉位置(図6)において、操作つまみ3が押されると、歯車11は、矢印A方向に回転し、スライド12が図の左手方向に移動する。図示しないリミットスイッチによって、歯車11の回転とスライド12の図の左手方向への移動は、図7の状態で停止する。この位置が、パネルの開位置(第2位置)である。すなわち、パネルの開閉を制御するこの電子機器の制御部(例えば、マイクロコンピュータにて構成されている)は、操作つまみ3の押圧操作に対して、図7の位置まで、歯車11を回転させる。
【0019】
パネル2の閉位置(図6)若しくは開位置(図7)において、操作つまみ3及び4を同時に押すと、マイクロコンピュータの処理により、図8のサービス位置(第3位置)を検出するまで、歯車11が回転制御される。サービス位置において、操作つまみ3若しくは4を押すと、パネル2の閉位置(図6)に戻るよう歯車11が、逆回転する。図6の位置の検出もリミットスイッチによって行われる。つまり、パネル2の3つの位置を検出できるリミットスイッチが備えられていることになる。
【0020】
サービス位置において、コネクタが露出することになる。そして、このサービス位置の状態においてのみ、この電子機器の点検などのサービス処理が可能になっている。これは、パネル2のサービス位置(第2位置)を検出するリミットスイッチの出力に基づき、マイクロコンピュータが制御する。このコネクタにサービス用のコネクタを装着すると、コネクタが使用中であることが、制御部のマイクロコンピュータにより検出される。そして、操作つまみ3、4の何れを押圧しても、歯車11が回転せず、したがって、パネルの回動動作は行われない。これにより、サービス業務中に、誤って、パネルが移動して、損傷を受けることがなくなる。コネクタが接続されたことを検出する構成については良く知られているので、説明は省略する(例えば、コネクタ7の1つの接点が設置されたことを
電圧に基づき検出する。)。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】1実施例におけるパネルの閉位置を示す正面図である。
【図2】パネルの閉位置を示す正面図である。
【図3】パネルの開位置を示す側面図である。
【図4】パネルのサービス位置を示す正面図である。
【図5】パネルのサービス位置を示す側面図である。
【図6】パネルの閉位置でもパネル駆動機構を示す模式図である。
【図7】パネルの開状態でのパネル駆動機構を示す模式図である。
【図8】パネルのサービス位置でのパネル駆動機構を示す模式図である。
【符号の説明】
【0022】
1 車載用音響機器
2 パネル
3 操作つまみ
4 操作つまみ
11 歯車
12 スライド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、本体に設けられたパネルと、第1位置、第2位置及び第3位置に前記パネルを移動せしめるパネル移動手段と、前記第1位置、第2位置及び第3位置へのパネルの移動を指示する指示手段と、前記パネルの第3位置において使用可能であり、他のパネルの位置では使用できないコネクタよりなる電子機器。
【請求項2】
前記パネルの第1位置及び第2位置においては、この電子機器の本来の機能を実行するものであり、前記パネルの第3位置においては、前記コネクタを用いた処理が行われてなる請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記電子機器は更にコネクタ接続検出手段を備えており、この接続検出手段の出力に基づき、パネルの第3位置から他の位置への移動が禁止されてなる請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記パネルの第3位置において、前記コネクタは露出しており、その他の位置では、前記パネルにより隠されてなる請求項2に記載の電子機器。
【請求項5】
前記第2位置においては、CD等の記録媒体の本体への装着が可能である請求項2記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−253379(P2006−253379A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−67218(P2005−67218)
【出願日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】