説明

電子機器

【課題】本発明は、表示装置を収容する第1の筐体の剛性を向上することができる電子機器を提供する。
【解決手段】ポータブルコンピュータ10は、筐体31と、液晶表示パネル32と、補強体50と、を備える。筐体31は、背壁部34aと、この背壁部34aの両側部に位置する一対の側壁部38と、背壁部の上部に位置し上記一対の側壁部38に連なる上壁部37とを有する。液晶表示パネル32は、筐体31に内蔵される。補強体50は、筐体31内部に設けられ、筐体31の幅方向に延びるとともに筐体31の上壁部37近傍に固定される第1の補強部52を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像を表示する表示装置を収容する筐体を備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
ポータブルコンピュータなどの電子機器は、キーボードが設けられるコンピュータ本体と、ディスプレイユニットと、を備えている。ディスプレイユニットは、映像を表示するスクリーンを有する液晶パネルと、この液晶パネルを収容する筐体と、を備えている。
【0003】
筐体の前面には、開口部が形成されており、液晶パネルのスクリーンは、開口部を通って外部に臨んでいる。
【0004】
この種のポータブルコンピュータでは、スクリーンの大型化が望まれている。スクリーンが大型化されることに伴って、開口部も大きくなる。開口部が大きくなることによって、筐体の剛性が低下する。
【0005】
または、スクリーンの大型化に伴って筐体自体を大きくした場合であっても、軽量化のために、筐体の壁部の厚みは、薄くなる傾向にある。それゆえ、筐体の剛性が低下する。
【0006】
上記のように、スクリーンの大型化に伴って、筐体の剛性は、低下する傾向にある。それゆえ、この種の電子機器では、筐体の左右の側壁部に沿って補強部材を設ける補強構造が施されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平10−124171号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ポータブルコンピュータのような電子機器では、表示ユニットは、コンピュータ本体に、開き位置と閉じ位置との間で回動自由になるようにヒンジによって連結されている。閉じ位置とは、表示ユニットがキーボードを上方から覆う姿勢である。開き位置とは、表示ユニットがコンピュータ本体に対して起立する姿勢である。
【0008】
表示ユニットを、閉じ位置と開き位置との間で回動する場合、ポータブルコンピュータの使用者は、例えば、表示ユニットの筐体の上部をつかむ。それゆえ、筐体には、該筐体の幅方向にねじれが作用する。
【0009】
しかし、特許文献1で開示された補強構造では、筐体に、該筐体の左右壁部に沿う補強部材が設けられている。この補強部材は、筐体の高さ方向に延びているため、上記されたねじれを抑制する作用を十分有していない。
【0010】
筐体にねじれが作用すると、該ねじれは、筐体内に収容される液晶パネルにも作用することが考えられる。液晶パネルにねじれが生じることは、好ましくない。特に、上記されたように、スクリーンが大型化される電子機器では、ねじれの影響が大きくなることが考えられる。
【0011】
したがって、本発明の目的は、表示装置を収容する筐体の剛性を向上することができる電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の電子機器は、第1の筐体と、表示装置と、補強体と、を備える。前記第1の筐体は、背壁部と、この背壁部の両側部に位置する一対の側壁部と、前記背壁部の上部に位置し上記一対の側壁部に連なる上壁部とを有する。前記表示装置は、前記第1の筐体に内蔵される。前記補強体は、前記第1の筐体内部に設けられ、前記第1の筐体の幅方向に延びるとともに前記第1の筐体の前記上壁部近傍に固定される第1の補強部を有する。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、表示装置を収容する第1の筐体の剛性を向上することができる
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の第1の実施形態に係る電子機器を、ポータブルコンピュータ10を一例に、図1から図12を参照して説明する。
【0015】
図1は、ポータブルコンピュータ10を示している。図1に示すように、ポータブルコンピュータ10は、コンピュータ本体20と、表示ユニット30と、を備えている。
【0016】
コンピュータ本体20は、コンピュータハウジング21と、キーボード22と、などを備えている。
【0017】
コンピュータハウジング21は、扁平な箱状である。コンピュータハウジング21は、上壁部21aと、下壁部21bと、前壁部21cと、後壁部21dと、左壁部21eと、右壁部21fと、を有している。キーボード22は、上壁部21aに設置されている。
【0018】
表示ユニット30は、筐体31と、液晶表示パネル32と、を備えている。筐体31は、扁平な箱状である。液晶表示パネル32は、筐体31内に収容される。
【0019】
筐体31は、本発明で言う、第1の筐体である。筐体31は、後述されるヒンジ装置3を介してコンピュータハウジング21に、閉じ位置P1と、開き位置P2との間で回動自由に連結されている。ヒンジ装置3はヒンジ軸60を有している。図1は、表示ユニット30が開き位置P2にある状態を示している。図2は、表示ユニット30が閉じ位置P1にある状態を示している。
【0020】
図2に示すように、閉じ位置P1は、表示ユニット30がキーボード22を上方から覆うように、コンピュータ本体20の上に横たわる位置である。図1に示すように、開き位置P2は、表示ユニット30がキーボード22や後述されるスクリーン32aを露出させるようにコンピュータ本体20に対して起立する姿勢である。
【0021】
図3は、表示ユニット30の分解斜視図である。図3に示すように、筐体31は、第1の部材34と、第2の部材35と、を備えている。第1の部材34は、筐体31において、液晶表示パネル32の背面32b側を構成する。なお、背面32bを点線で示す。第2の部材35は、筐体31において液晶表示パネル32のスクリーン32a側を構成する。
【0022】
第1の部材34は、背壁部34aと、第1の上壁部34bと、一対の第1の側壁部34cと、第1の下壁部34dと、を有している。
【0023】
背壁部34aは、筐体31において液晶表示パネル32の背面32bと対向する壁部である。それゆえ、背壁部34aは、液晶表示パネル32の背面32bよりも広い。液晶表示パネル32は、例えば略矩形である。それゆえ、背壁部34aは、略矩形である。背壁部34aの内面34eには、導電塗装が施されており、導電層34fが設けられている。なお、図7には、導電層の一部が示されている。
【0024】
図3に示すように、第1の上壁部34bは、背壁部34aの上縁部から立ち上がっている。なお、本実施形態における、底壁部の上縁部とは、表示ユニット30が開き位置にあるときに、上方に位置する縁部である。
【0025】
一方の第1の側壁部34cは、背壁部34aの幅方向一端縁から立ち上がっている。他方の第1の側壁部34cは、背壁部34aの幅方向他端縁から立ち上がっている。第1の上壁部34bは、各第1の側壁部34cに連なっている。第1の下壁部34dは、背壁部34aの下縁部から立ち上がっている。本実施形態で言う下縁部とは、表示ユニット30が開き位置にあるときに、下方に位置する縁部である。
【0026】
第2の部材35は、前壁部35aと、第2の上壁部35bと、一対の第2の側壁部35cと、第2の下壁部35dと、を有している。
【0027】
前壁部35aは、筐体31において、液晶表示パネル32スクリーン32aに面する。それゆえ、前壁部35aは、液晶表示パネル32よりも広い。前壁部35aは、略矩形である。
【0028】
前壁部35aには、開口部36が形成されている。開口部36は、前壁部35aを貫通している。第2の上壁部35bは、前壁部35aの上縁から立ち上がっている。第2の上壁部35bは、各第2の側壁部35cに連なっている。なお、前壁部35aの上縁とは、表示ユニット30が開き位置にあるときに、上方に位置する縁である。
【0029】
一方の第2の側壁部35cは、前壁部35aの幅方向一端縁から立ち上がっている。他方第2の側壁部35cは、前壁部35aの幅方向他端縁から立ち上がっている。第2の下壁部35dは、前壁部35aの下縁から立ち上がっている。本実施形態で言う下縁とは、表示ユニット30が開き位置P2にあるときに、下方に位置する縁である。
【0030】
上記したように、筐体31は、第1の部材34と第2の部材35とが、互いに重ねられることによって、形成される。第1の部材34と第2の部材35とが重ねられると、第1の上壁部34bと第2の上壁部35bとが、互いに連結される。第1の上壁部34bと第2の上壁部35bとが連結されることによって、筐体31の上壁部37が形成される。
【0031】
同様に、第1の側壁部34cと、第2の側壁部35cとは、互いに連結される。第1の側壁部34cと第2の側壁部35cとが連結されることによって、筐体31の側壁部38が形成される。
【0032】
同様に、第1の下壁部34dと、第2の下壁部35dとが、互いに連結される。第1の下壁部34dと第2の下壁部35dとが連結されることによって、筐体31の下壁部39が形成される。
【0033】
図4は、液晶表示パネル32の平面図である。図4に示すように、液晶表示パネル32は、映像を表示するスクリーン32aを有している。液晶表示パネル32は、本発明で言う、表示装置の一例である。液晶表示パネル32の周縁部には、金属製のベゼル32cが設けられている。ベゼル32cは、液晶表示パネル32の周縁部を覆っている。
【0034】
図5は、筐体31の第1の部材34の内側を示している。図3と図5とに示すように、ポータブルコンピュータ10は、筐体31を補強する補強体50を備えている。
【0035】
補強体50は、各第1の側壁部34cに略沿って延びる第2の補強部51と、第1の上壁部34bに略沿って延びる第1の補強部52と、を有している。それゆえ、補強体50は、第1の下壁部34dに向かって開口する略凹状である。なお、本実施形態で言う高さ方向とは、上壁部37から下壁部39へ向かう方向である。
【0036】
図6は、補強体50が分解された状態を示している。図6に示すように、補強体50は、第1の補強部材53と、一対の第2の補強部材54と、を備えている。補強体50は、第1の補強部材53と各第2の補強部材54とが一体に組み合わされることによって、形成されている。図3と図5では、補強体50は、第1の補強部材53と各第2の補強部材54とが、筐体31に固定された状態を示している。
【0037】
第1の補強部材53は、筐体31に固定された状態において、補強体50の第1の補強部52として機能する。各第2の補強部材54は、筐体31に固定された状態において、補強体50の第2の補強部51として機能する。
【0038】
第1の補強部材53は、筐体31の幅方向の長さと略同じ長さを有している。なお幅方向とは、一方の側壁部38から他方の側壁部38へ向かう方向である。第1の補強部材53は、第1の部材34において第1の上壁部34bの近傍、つまり筐体31の上縁部5に固定されている。第1の補強部材53は、第1の上壁部34bに対して略平行に延びている。第1の補強部材53の両端部53aは、それぞれ第1の部材34の幅方向両端部に達している。第1の補強部材53は、金属製である。なお、第1の補強部材53の両端部53aは、第1の補強部52の両端部53aのことである。
【0039】
図7は、第1の補強部材53が背壁部34aに固定された状態において、液晶表示パネル32を背壁部34aから前壁部35aへ向かう方向に沿って断面した断面図である。図7に示すように、第1の補強部材53は、背壁部34aに沿って略平行な基部53bと、第1の上壁部34bに略平行に延びる立ち上がり部53cと、を有している。立ち上がり部53cは、基部53bの上縁から立ち上がっている。基部53bは、液晶表示パネル32の背面32bと筐体31の背壁部34aとの間に位置している。
【0040】
第1の補強部材53は、略全域に渡って、基部53bと立ち上がり部53cとを有する構造である。それゆえ、第1の補強部材53の断面形状は、略L字状である。
【0041】
図5に示すように、一方の第2の補強部材54は、第1の部材34において一方の第1の側壁部34cの近傍、つまり筐体31の幅方向一端縁部6に固定されている。具体的には、図3に示すように、一方の第2の補強部材54、つまり第2の補強部51は、液晶表示パネル32の一方の側部32dと筐体31の一方の側壁部38との間に固定される。一方の第2の補強部材54は、一方の第1の側壁部34cに対して略平行に延びている。
【0042】
他方の第2の補強部材54は、第1の部材34において他方の第1の側壁部34cの近傍、つまり他端縁部6に固定されている。具体的には、図3に示すように、他方の第2の補強部材54、つまり第2の補強部51は、液晶表示パネル32の他方の側部32dと筐体31の他方の側壁部38との間に固定される。他方の第2の補強部材54は、他方の第1の側壁部34cに対して略平行に延びている。各第2の補強部材54は、金属製である。
【0043】
ここで、筐体31とコンピュータハウジング21とを連結するヒンジ装置3について、説明する。図8は、図5中にF8で示される範囲を拡大して示している。筐体31とコンピュータハウジング21とは、一対のヒンジ装置3によって、互いに連結されている。
【0044】
図8は、図中左側のヒンジ装置3の周囲の構造を示している。なお、図中右側のヒンジ装置3の周囲の構造は、図8に示される図中左側のヒンジ装置3の周囲の構造と同様であってもよい。それゆえ、図中右側のヒンジ装置3の周囲の構造の説明は、省略される。
【0045】
図5と図8とに示すように、第1の部材34の下部には、ヒンジ装置3の一部を収容する第1の突出部61が、一対形成されている。図1に示すように、コンピュータハウジング21において、第1の突出部61の横側に対応する位置には、ヒンジ装置3の一部を収容する第2の突出部62が形成されている。ヒンジ装置3は、第1の突出部61と第2の突出部62とにまたがって収容されることによって、筐体31とコンピュータハウジング21とを、互いに回動自由に連結している。ヒンジ軸60は、突出部61内に出ている。
【0046】
図8に示すように、第2の補強部材54の下端部54dは、第1の突出部61内に収容されている。そして、ヒンジ軸60の一部60aは、第2の補強部材54の下端部54dに支持されている。つまり、第2の補強部材54は、ヒンジ軸60を支持する支持部としても機能する。
【0047】
つぎに、補強体50の筐体31への固定構造を説明する。
【0048】
図3と図5と示すように、背壁部34aにおいて第1の補強部材53と各第2の補強部材54と対向する範囲には、複数の溶着ピン70が設けられている。溶着ピン70は、背壁部34aから筐体31の内側に向かって延びている。
【0049】
第1の補強部材53と各第2の補強部材54とには、溶着ピン70が通るピン貫通孔71が形成されている。第1の補強部材53と各第2の補強部材54とが第1の部材34内に配置されると、各溶着ピン70は、対応するピン貫通孔71を通る。溶着ピン70は、ピン貫通孔71を通った後潰される。それゆえ、第1の補強部材53と各第2の補強部材54とは、筐体31に固定される。
【0050】
言い換えると、溶着ピン70は、第1の補強部材53と各第2の補強部材54、つまり第1の補強部52と第2の補強部51とを筐体31内に位置決めする位置決め部として機能する。
【0051】
また、第1の補強部材53の両端部53aと各第2の補強部材54の上端部54aとは、ねじ72によって、第2の部材35とともに第1の部材34に固定される。なお、第2の補強部材54の上端部54aは、第2の補強部51の上端部54aのことである。ねじ72は、本発明で言う、固定部材の一例である。
【0052】
この点について、具体的に説明する。図6に示すように、第1の補強部材53の両端部53aは、ねじ72が通るねじ貫通孔73が形成されている。各第2の補強部材54の上端部54aには、ねじ72が通る貫通孔74が形成されている。
【0053】
なお、上記されたねじ72による固定構造について、図5中に示される、第1の補強部材53の左端部53aと図中左側に配置される第2の補強部材54の上端部54aとのねじ72による固定構造を代表して説明する。
【0054】
図9は、図5中にF9で示される範囲の拡大図である。図9は、第1の補強部材53の左端部53aと、図中左側に配置される第2の補強部材54の上端部54aと、を示している。図10は、上記された、第1の補強部材53の左端部53aと、図中左側に配置される第2の補強部材54の上端部54aと、の周囲の構造の斜視図である。
【0055】
図9と図10とに示すように、第1の補強部材53の左端部53aと、図中左側に配置される第2の補強部材54の上端部54aとは、各貫通孔73,74が互いに重なるように、筐体31の厚み方向に重なっている。なお、筐体31の厚み方向とは、背壁部34aから前壁部35aに向かう方向である。
【0056】
図10に示すように、第2の補強部材54の上端部54aは、第1の補強部材53の端部53aよりも、筐体31の内側に位置している。
【0057】
また、背壁部34aにおいて、各貫通孔73,74と対向する部位には、ボス部75が形成されている。ボス部75は、内面34eから筐体31の内側に向かって突出している。ボス部75内には、ねじ72が螺合するねじ穴が形成されている。ねじ孔は、各貫通孔73,74と重なっている。
【0058】
なお、ボス部75の表面には、導電層34fが設けられている。ボス部の表面と背壁部34aの表面とは、互いに電気的に接続されている。
【0059】
図3に示すように、第2の部材35の前壁部35aにおいて各貫通孔73,74と対向する位置には、ねじ貫通孔76が形成されている。ねじ72は、前壁部35aに形成されるねじ貫通孔76と、各第2の補強部材54に形成されるねじ貫通孔74と、第1の補強部材53に形成されるねじ貫通孔73と、を通って背壁部34aに形成されるボス部75内のねじ穴に螺合する。
【0060】
ねじ72が固定された後、ねじ72の頭部は、図示しないシール部材などによって覆われる。それゆえ、ねじ72によって前壁部35aの表面の外観が損なわれることが抑制される。
【0061】
第1の補強部材53と各第2の補強部材54とが、ねじ72によって筐体31に固定された状態では、第1の補強部材53の端部53aと各第2の補強部材54の上端部54aとは、互いに接触する。それゆえ、第1の補強部材53と各第2の補強部材54とは、互いに電気的に接続される。また、第1の補強部材53は、ボス部75に接触する。それゆえ、第1の補強部材53と背壁部34aとは、互いに電気的に接続される。
【0062】
なお、ボス部75に形成されるねじ穴内に導電塗装が施されていてもよい。このようにすることによって、ねじ72を介して第1の補強部材53と背壁部34aとは、互いに電気的に接続されるようなる。
【0063】
つぎに、液晶表示パネル32の筐体31への固定構造を説明する。図4に示すように、液晶表示パネル32の両側部には、該両側部から周方向に広がるねじ固定部80が設けられている。具体的には、ねじ固定部80は、液晶表示パネル32において一つの側部の上部と下部とに一つずつ設けられている。
【0064】
ねじ固定部80は、金属製である。ねじ固定部80は、例えば液晶表示パネル32のベゼル32cに電気的に接続されている。各ねじ固定部80には、ねじ81が通るねじ貫通孔82が形成されている。
【0065】
図3と図5とに示すように、各第2の補強部材54には、ねじ固定部80のねじ貫通孔82と対向する位置に、ねじ81が通るねじ貫通孔83が形成されている。背壁部34aにおいてねじ貫通孔83と対向する位置には、例えばボス部が形成されている。このボス部内には、ねじ81が螺合するねじ穴が形成されている。このボス部の表面には、背壁部34aの表面と電気的に接続される導電層が設けられている。
【0066】
ねじ81は、ねじ固定部80のねじ貫通孔82と各第2の補強部材54に形成されるねじ貫通孔83を通って、背壁部34aのボス部に形成されるねじ穴に螺合する。このとき、ねじ固定部80は、各第2の補強部材54に接触する。それゆえ、各ねじ固定部と背壁部34aとは、互いに電気的に接続される。
【0067】
また、図3と図7とに示すように、表示ユニット30が筐体31に固定された状態では、ベゼル32cの上部と、第1の補強部材53との間には、複数の金属板85が挟まれる。表示ユニット30と第1の補強部材53とは、金属板85を介して電気的に接続される。
【0068】
図5に示すように、ポータブルコンピュータ10は、複数のアンテナモジュール90を備えている。各アンテナモジュール90は、信号、つまり電波の送受信を行うアンテナ部91と、ベース部92とを有している。
【0069】
各アンテナモジュール90は、背壁部34aにおいて第1の上壁部34bの近傍、つまり上縁部5に固定されている。アンテナ部91は、ベース部92よりも第1の上壁部34b側に位置している。図11は、図5中にF11で示される範囲を拡大して示している。図11に示すように、背壁部34aの内面34eを上方から見た場合、アンテナ部91は、第1の補強部材53と第1の上壁部34bとの間に位置している。
【0070】
また、図12は、図3中にF12で示される範囲を拡大して示している。図3と図12とに示すように、背壁部34aにおいて第1の上壁部34bの近傍には、ラッチ部材100が固定されている。ラッチ部材100の先端には、ラッチ部100aが形成されている。ラッチ部100aは、表示ユニット30が閉じた位置P1にあるときに、コンピュータハウジング21内に設けられる被係合部と係合する。つまり、ラッチ部100aは、コンピュータハウジング21側に係合する。コンピュータハウジング21は、本発明で言う、第2の筐体である。ラッチ部100aは、本発明で言う係合部である。
【0071】
図1に示すように、コンピュータハウジング21には、ラッチ部100aが通る貫通孔101が形成されている。ラッチ部100aが被係合部と係合することによって、表示ユニット30の閉じた位置P1は、保持される。
【0072】
このように形成されるポータブルコンピュータ10では、表示ユニット30の筐体31は、補強体50を備えている。補強体50は、第1の補強部52を備えている。それゆえ、筐体31の剛性が向上する。
【0073】
したがって、例えば、ポータブルコンピュータ10の使用者が、表示ユニット30を閉じ位置P1と開き位置P2との間で回動する際に、表示ユニット30の上縁部をつかんでも、筐体31には、図1に矢印Aで示すように幅方向に作用するねじれの発生が抑制される。
【0074】
また、補強体50は、一対の第2の補強部51を備えている。それゆえ、筐体31の剛性は、一層向上する。
【0075】
また、補強体50は、第1の補強部材53と、一対の第2の補強部材54と、を備えており、第1の補強部52と第2の補強部51とが別部材から構成される構造である。
【0076】
それゆえ、補強体50を筐体31に固定する際、第1の補強部材53と各第2の補強部材54とを別々に筐体31内に配置すればよいので、配置作業が容易になる。言い換えると、補強体50が分解されることによって、配置作業が容易になる。
【0077】
また、第1の補強部材53の両端部53aは、各第2の補強部材54の上端部54aとともに、ねじ72によって、背壁部34aつまり筐体31に固定される。それゆえ、補強体50を筐体31に固定するためのねじ72を少なくすることができるのでコストが削減される。さらに、実装密度が向上する。さらに、第1の部材53と第2の部材54とを共締めすることによって、補強体50の剛性が向上する。さらに、両端部53aと上端部54aとが互いに固定されることによって、補強体50によって囲まれる範囲を大きくすることができる。つまり、補強体50は、筐体31の大型化に対応することができる。
【0078】
また、各第2の補強部材54が、ヒンジ軸60を支持することによって、別途に、ヒンジ軸60を支持する支持部品を用意する必要がなくなる。それゆえ、部品点数が削減される。
【0079】
また、第1の補強部材53、つまり第1の補強部52は、基部53bと立ち上がり部53cとを有している。それゆえ、第1の補強部材53の断面形状は、略L字状である。したがって、第1の補強部材53の剛性は、向上する。
【0080】
また、基部53bが液晶表示パネル32の背面32bと筐体31の背壁部34aとの間に位置することによって、第1の補強部52が液晶表示パネル32の近傍に位置するようになる。それゆえ、液晶表示パネル32は、筐体31においてたわみの影響が少ない部位の近傍に位置するので、液晶表示パネル32へのたわみの影響が抑制される。
【0081】
また、アンテナモジュール90は、アンテナ部91が、第1の補強部材53つまり第1の補強部52と、第1の上壁部34bつまり上壁部37との間に位置するように、筐体31に固定される。つまり、アンテナ部91が電波を送受信する際に、第1の補強部52よって該送受信が妨げられるということが抑制される。
【0082】
また、液晶表示パネル32は、金属板85と、第1の補強部52つまり第1の補強部材53と、各第2の補強部51つまり第2の補強部材54と、を介して、背壁部34aと電気的に接続される。それゆえ、背壁部34aは、アース機能を有するようになる。
【0083】
また、背壁部34aには、複数の溶着ピン70が設けられている。溶着ピン70は、第1の補強部材53と各第2の補強部材54とを筐体31へ位置決めする位置決め部として機能する。それゆえ、第1の補強部材53と各第2の補強部材54との筐体31への固定作業が容易になる。
【0084】
つぎに、本発明の第2の実施形態に係る電子機器を、ポータブルコンピュータ10を一例に、図13を参照して説明する。なお、第1の実施形態と同様な機能を有する構成は、同一な符号を付して説明を省略する。
【0085】
本実施形態では、第1の補強部材53の構造が、第1の実施形態と異なる。他の点は同様であってよい。この点について具体的に説明する。
【0086】
図13は、本実施形態の第1の補強部材53を示している。図13に示すように、ラッチ部100aは、第1の補強部材53に一体に形成されている。
【0087】
本実施形態では、第1の実施形態の効果に加えて、部品点数が削減される。
【0088】
つぎに、本発明の第3の実施形態に係る電子機器を、ポータブルコンピュータ10を一例に、図14を参照して説明する。なお、第1の実施形態と同様な機能を有する構成は、同一な符号を付して説明を省略する。
【0089】
本実施形態では、補強体50の構造が、第1の実施形態と異なる。他の点は、同様であってよい。この点について具体的に説明する。
【0090】
図14は、本実施形態の補強体50を示している。図14に示すように、本実施形態では、第1の補強部52と各第2の補強部51とは、互いに一体に形成されている。言い換えると、補強体50は、1つの部材から形成されている。
【0091】
本実施形態では、第1の補強部52の両端部53aと、各第2の補強部51の上端部54aとは、一体につながっている。それゆえ、これら端部53a,54aとが一体に接続される接続部200には、ねじ72が通る貫通孔201が形成されている。
【0092】
本実施形態では、第1の実施形態の効果に加えて、部品点数が削減される。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るポータブルコンピュータが開き位置である状態を示す斜視図。
【図2】図1に示されたポータブルコンピュータが閉じ位置である状態を示す斜視図。
【図3】図1に示された表示ユニットの分解斜視図。
【図4】図3に示された表示パネルの平面図。
【図5】図3に示された筐体の第1の部材の内面を示す平面図。
【図6】図5に示された補強体の分解斜視図。
【図7】筐体の底壁部から前壁部に向かう方向に沿って表示ユニットを断面した断面図。
【図8】図5にF8で示された範囲の拡大図。
【図9】図5にF9で示された範囲の拡大図。
【図10】図9に示された第1の補強部の端部と第2の補強部材の上端部との周囲を示す斜視図。
【図11】図5にF11で示された範囲の拡大図。
【図12】図3にF12で示された範囲の拡大図。
【図13】本発明の第2の実施形態に係るポータブルコンピュータの第1の補強部材を示す斜視図。
【図14】本発明の第3の実施形態に係るポータブルコンピュータの補強体を示す斜視図。
【符号の説明】
【0094】
3…ヒンジ装置、10…ポータブルコンピュータ(電子機器)、21…コンピュータハウジング(第2の筐体)、31…筐体(第1の筐体)、32…液晶表示パネル(表示装置)、32b…背面、32d…側部、34a…背壁部、37…上壁部、38…側壁部、50…補強体、51…第2の補強部、52…第1の補強部、53b…基部、53c…立ち上がり部、60…ヒンジ軸、72…ねじ(固定部材)、90…アンテナモジュール、91…アンテナ部、100a…ラッチ部(係合部)、P1…閉じ位置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
背壁部と、この背壁部の両側部に位置する一対の側壁部と、前記背壁部の上部に位置し上記一対の側壁部に連なる上壁部とを有する第1の筐体と、
前記第1の筐体に内蔵される表示装置と、
前記第1の筐体内部に設けられ、前記第1の筐体の幅方向に延びるとともに前記第1の筐体の前記上壁部近傍に固定される第1の補強部を有する補強体と、
を具備することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記補強体は、前記表示装置の両側部と前記一対の側壁部との夫々の間に位置するとともに、前記第1の筐体に固定される第2の補強部を具備することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記第1の補強部と前記第2の補強部とは、別々の部材であることを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記第1の補強部と前記第2の補強部とは、固定部材によって、ともに前記第1の筐体に固定されることを特徴とする請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記第1の筐体にヒンジ装置を介して回動自在に連結される第2の筐体を有し、
前記第2の補強部は、前記第1の筐体の下端部まで延びるとともに前記ヒンジ装置のヒンジ軸に支持されることを特徴とする請求項2記載の電子機器。
【請求項6】
前記第1の筐体にヒンジ装置を介して回動自在に連結される第2の筐体を有し、
前記第1の補強部には、前記第1の筐体が前記第2の筐体上に横たわる閉じ位置にあるとき、前記第2の筐体に係合する係合部が一体に設けられることを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項7】
前記第1の補強部は、
前記背壁部に沿って延びる基部と、
前記上壁部に沿って延びるとともに基部から立ち上がる立ち上がり部と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項8】
前記基部の少なくとも一部は前記表示装置の背面と前記第1の筐体の前記背壁部との間に位置する事を特徴とする請求項7記載の電子機器。
【請求項9】
前記第1の筐体に内蔵されるとともに、前記第1の補強部と前記上壁部との間に位置するアンテナ部を有するアンテナモジュールを具備することを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項10】
前記表示装置と前記第1の補強部とは、互いに電気的に接続され、
前記第1の補強部と前記第1の筐体とは、互いに電気的に接続されることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項11】
前記第1の補強部と前記第2の補強部とは、互いに一体に形成されることを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項12】
前記第1の補強部の両端は一対の前記第2の補強部の上端とともに前記背壁部に固定される事を特徴とする請求項3記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−65874(P2007−65874A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−249600(P2005−249600)
【出願日】平成17年8月30日(2005.8.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】