説明

電子機器

【課題】 製造工程上、最終検査が終わってからカバー部材を外装部材に取り付けることができ、かつ取り付けた後にカバー部材が簡単に抜けることがない電子機器を提供する。
【解決手段】 少なくとも2本の引き出し部5a、5a’と、引き出し部の先端にそれぞれ係合部5b、5b’が形成されるカバー部材と、引き出し部が挿入される挿入穴と、挿入穴の略中央部分に係合部の幅寸法よりも小さい幅寸法の切り欠きが形成される外装部材とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に関し、特にカバー部材を有する電子機器の外装構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラなどの電子機器には、様々なオプション類の他、コンピュータなど各種情報機器に接続するための外部接続用端子が設けられている。
【0003】
このようなデジタルカメラの外部接続用端子を保護するために、カメラ本体には、外部接続用端子を塞ぐように端子カバーが装着される。
【0004】
図10は従来のデジタルカメラの端子カバーを説明する図である。図10(a)はカメラ本体に装着された端子カバーの外観図であり、図10(b)は図10(a)のA−A断面図、図10(c)は図10(b)の要部拡大図である。
【0005】
端子カバー101に設けた突起部101aの先端部には、円錐台形状101bが設けてあり、円錐台形状101bの径φaがカメラ本体の外装部品103の穴部103aの径φbよりも大きく形成されている。外装部品103の穴部103aに端子カバー101の突起部101aを押し込むと、円錐台形状101bが変形する。図10(c)に示すように円錐台形状101bが穴部103aを貫通するところまで押し込まれると、円錐台形状101bが外装部品103の内壁に引っかかることで、端子カバー101は外装部品103に装着される。
【0006】
図11および図12は、別の端子カバーを説明する図である。この端子カバーは、製造工程の途中でカメラ本体を構成する部品の間に挟み込まれることで、カメラ本体に装着される。図11は端子カバー202を組み付けた状態を説明する斜視図である。図12(a)は図11のA点から見た図(側面図)、図12(b)は図12(a)に示したB−B部分の断面図である。
【0007】
この端子カバー202の組み付けについて説明する。まず、サイドカバー201の穴201aに端子カバー202の係合部202aを挿通する。その後、カメラ本体部品200を組み付ける。カメラ本体部品200が組みつけられることによって、端子カバー202の係合部202aがカメラ本体部品200の切り欠き部200aに引っかかって、端子カバー202はサイドカバー201の穴201aから抜けなくなる。
【0008】
また、携帯電話本体に端子カバーを挿入して、端子カバーの一部を携帯電話本体の抜け止め部に引っ掛ける構成が開示されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−210972号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、図10に示す押し込みタイプの端子カバーの場合、組み付け後に端子カバーが抜けないように、端子カバーの突起部先端に設けた引っ掛け形状である円錐台形状の径φaがカメラ本体の外装部品の穴φbよりも大きく形成されてはいる。しかしながら、その寸法差は小さいので、強い力で端子カバーを引っ張ると、カメラ本体から端子カバーが抜けてしまうおそれがあった。
【0010】
一方、図11および図12に示す挟み込みタイプの端子カバーの場合、カメラの製造工程中に端子カバーを挟み込む必要があるので、生産性の低下を招いていた。さらに、挟み込みタイプの端子カバーの場合には、カメラ製造工程におけるカメラ本体の各種特性検査の際に、端子カバーが邪魔になって生産性を低下させていた。
【0011】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、製造工程上、最終検査が終わってからカバー部材を外装部材に取り付けることができ、かつ取り付けた後にカバー部材が簡単に抜けることがない電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本出願に係る発明の目的を実現する第1の構成は、少なくとも2本の引き出し部と、前記引き出し部の先端にそれぞれ係合部が形成されるカバー部材と、前記引き出し部が挿入される挿入穴と、前記挿入穴の略中央部分に前記係合部の幅寸法よりも小さい幅寸法の切り欠きが形成される外装部材とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、製造工程上、最終検査が終わってからカバー部材を外装部材に取り付けることができ、かつ取り付けた後にカバー部材が簡単に抜けることがない電子機器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態にかかる端子カバーが取り付けられたデジタルカメラを示す側面図である。図1に示すように、端子カバー5はカメラ本体1に取り付けられている。カメラ本体1は、フロントカバー2およびリアカバー3、サイドカバー4等の外装部品を備えている。図2は端子カバー5を取り付ける前のカメラ本体1を説明する斜視図である。図2において、カメラ本体1は端子カバー5によってカバーされる外部接続用端子6を有する。また、端子カバー5には、引き出し部5a、5a’および係合部5b、5b’が形成されている。図3(a)はサイドカバー4の側面図、図3(b)はサイドカバーの正面図、図3(c)はサイドカバーの部分断面図である。
【0015】
図3に示すように、サイドカバー4には外部接続用端子6に対応する開口部4aと、端子カバー5の引き出し部5aが出し入れされる穴4cが形成される。さらに、穴4cを形成する壁のほぼ中央部を切り欠いている。
【0016】
図4(a)は端子カバー5の正面図、図4(b)は端子カバー5の側面図、図4(c)は端子カバー5の裏面図である。端子カバー2は、外部接続用端子6に嵌合可能な複数の凸部5cが裏面に形成されるカバー部5dと、カバー部5dから伸びる2本の引き出し部5a、5a’と、その先端部分に形成される係合部5b、5b’を有している。係合部5bは引き出し部5a’に向けて引き出し部5aから延出して形成され、係合部5b’は引き出し部5aに向けて引き出し部5a’から延出して形成される。すなわち、係合部5b、5b’は引き出し部5a、5a’から、それぞれ内側に向けて延出して形成される。なお、係合部5b、5b’の幅寸法(x2)はサイドカバー4の穴4aに形成される切り欠きの幅寸法(x1)より大きく(x2>x1)設定されるとともに、係合部5b、5b’の幅寸法(x2)は引き出し部5a、5a’の幅寸法(x3)より大きく(x2>x3)設定される。端子カバー2は、エラストマー樹脂等のゴム成分を含む弾性的な素材により成形されている。
【0017】
次に、図5(a)から図5(c)を用いて端子カバー5のカメラ本体1への組み付けについて説明する。
【0018】
まず、端子カバー5の引き出し部5aを図5(a)に示すように変形させ、サイドカバー4の切り欠きを利用して係合部5bを穴4aに押し込む。次に、端子カバー5の引き出し部5a’を図5(b)に示すように変形させ、サイドカバー4の切り欠きを利用して係合部5b’を穴4aに押し込む。図5(c)に示すように端子カバー5の引き出し部5a、5a’が元の状態に戻る。最後に端子カバー5の複数の凸部5cをカメラ本体1の外部接続用端子6にそれぞれ嵌め込んで、組み付けが完了する。
【0019】
次に、ユーザーが端子カバー5を開いたときの状態について説明する。
【0020】
図6(a)から図6(c)は、端子カバー5の使用状態を図示したものである。図6(a)は端子カバー5が閉じた状態を示す図である。図6(b)は端子カバーが開いた状態を示す図である。図6(c)は図6(b)におけるC−C断面の断面図である。図7は端子カバー5を開いた場合の端子カバー5の係合部5b、5b’状態を説明するために、サイドカバーの一部を断面にした図である。
【0021】
図6(a)の状態からユーザーが端子カバー5を持ち上げると、裏面に設けた複数の凸部5cが外部接続用端子6から外れる。その後、図6(b)に示すように端子カバー5を横方向にスライド移動させると、図7に示すように係合部5b、5b’がサイドカバー4の係止部4b、4b’に当接して、端子カバー5のスライド移動が規制される。なお、サイドカバー4の係止部4b、4b’の幅寸法が引き出し部5a、5a’の幅寸法(x3)とほぼ同じになるように形成している。このことによって、端子カバー5を図6(b)の矢印方向に強く引っ張っても、係合部5b、5b’がサイドカバー4の穴4aに形成される切り欠きの部分に引き込まれることがない。そして、この状態から端子カバー5をめくり上げると、図6(c)のように引き出し部5aが変形して、カメラ本体1の外部接続用端子6を使用できるようになる。
【0022】
図8は、図7の状態から端子カバーに図中矢印D方向の力を加えた状態でのサイドカバー4の一部を断面にした図である。図8に示すように、端子カバー5に斜め方向に力を加えると、端子カバーの係合部5b’が図中矢印F方向にスライドし、係合部5bに当接してその移動を規制する。このとき端子カバー5の係合部5b、5b’の幅寸法(x2)はサイドカバー4の穴4aに形成される切り欠きの幅寸法(x1)より大きいので、サイドカバー4の穴4cから係合部5b、5b’が簡単に抜け出ることがない。
【0023】
したがって、製造工程上、最終検査が終わってから端子カバー5をカメラ本体1へ組み込むことができ、かつ、ユーザーが端子カバー5を触っても簡単に抜けることがない。
【0024】
(第2の実施形態)
図9は、本発明の第2の実施形態にかかる端子カバー22が取り付けられたデジタルカメラのサイドカバー21を示す図である。前述の第1の実施形態では、端子カバーの係合部が端子カバーの引き出し部よりも内側に延出して形成されているのに対して、第2の実施形態では、端子カバーの係合部が端子カバーの引き出し部よりも外側に延出して形成されている。
【0025】
図9において、端子カバー22には引き出し部22a、22a’が形成される。引き出し部22a、22a’の先端には係合部22b、22b’が形成されている。は、引き出し部22a、22a’よりも外側に延出して形成される。サイドカバー21には、引き出し部22a、22a’が挿入される穴21cが形成される。また、穴21cを形成する壁の一部が切り欠かれて、係合部22b、22b’を押し込むためことができるように形成されている。
【0026】
端子カバー22をサイドカバー21への組み付け方法は、前述の第1の実施形態と同じように、端子カバー22の引き出し部22aを変形させて、サイドカバー21の切り欠き部から係合部22bを押し込む。その後、端子カバー22の引き出し部22a’を変形させてサイドカバー21の切り欠き部から係合部22b’を押し込む。
【0027】
このとき、係合部22bの寸法x22はサイドカバー21に設けた切り欠き部の幅寸法x21よりも大きく(x22>x21)、かつ係合部22bの幅寸法x22は端子カバーの引き出し部22bの幅寸法x23よりも大きく(x22>x23)なるように形成されている。
【0028】
端子カバー21が引き出されても端子カバー22の係合部22b、 22b’がサイドカバー21の係止部21b、21b’に当接することでその移動を規制される。また、端子カバー22に斜め方向の力が加わったとしても、端子カバー22の係合部22b、22bが互いに当接することでサイドカバー21の穴21cから端子カバー22が抜けることはない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1の実施形態である端子カバーが取り付けられたデジタルカメラを示す側面図である。
【図2】端子カバーを取り付ける前のカメラ本体を説明する斜視図である。
【図3】サイドカバーの形状を説明する図である。
【図4】端子カバーの形状を説明する図である。
【図5】端子カバーをサイドカバーに組み付ける手順を説明する図である。
【図6】端子カバーの使用状態を説明する図である。
【図7】端子カバーを開いた状態でのサイドカバーの一部を断面にした図である。
【図8】端子カバーに斜め方向に力を加えた状態でのサイドカバーの一部を断面にした図である。
【図9】本発明の第2実施形態である端子カバーが取り付けられたサイドカバーの一部を断面にした図である。
【図10】従来の端子カバーを説明する図である。
【図11】従来の端子カバーを説明する図である。
【図12】従来の端子カバーを説明する図である。
【符号の説明】
【0030】
1 カメラ本体
2 フロントカバー
3 リアカバー
4 サイドカバー
4b、4b’ 係止部
4c 穴部
5 端子カバー
5a、5a’ 引き出し部
5b、5b’係 合部
21 サイドカバー
21b、21b’ 係止部
21d 切り欠き部
22 端子カバー
22a、22a’ 引き出し部
22b、22b’ 係合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2本の引き出し部と、前記引き出し部の先端にそれぞれ係合部が形成されるカバー部材と、
前記引き出し部が挿入される挿入穴と、前記挿入穴の略中央部分に前記係合部の幅寸法よりも小さい幅寸法の切り欠きが形成される外装部材とを有することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記引き出し部は互いに離間して形成され、前記係合部は隣り合う引出し部に向って延出形成されることを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記引き出し部は互いに近接位置に形成され、係合部は隣り合う引出し部とは反対方向に向って延出形成されることを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項4】
前記切り欠きの幅寸法は、前記挿入穴の幅寸法から前記引き出し部の幅寸法の合計を減算した値に略等しいことを特徴とする請求項1ないし3の何れかに記載の電子機器。
【請求項5】
前記引き出し部および前記係合部は弾性を有する材料で形成されることを特徴とする請求項1ないし4の何れかに記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−28174(P2008−28174A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−199466(P2006−199466)
【出願日】平成18年7月21日(2006.7.21)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】