説明

電子機器

【課題】部品点数の増加を防止しながら、ラインノイズフィルタをシールドする。
【解決手段】本体ケース3の内部には、回路基板30が配されている。回路基板30には、電源用コネクタ31、ラインノイズフィルタ32、フィルタコンデンサ33が実装される。電源用コネクタ31の挿入部31aは、本体ケース3の後面板25に形成されたコネクタ用開口25aに嵌合される。シールドケース45は、電源用コネクタ31の本体部31c、ラインノイズフィルタ32及びフィルタコンデンサ33を覆ってシールドする。ネジ39をネジ孔45fに螺合して、固定部45cを後面板25に固定すると、押付部45bは、フランジ31bを後面板25の内面に押し付ける。電源用コネクタ31は、シールドケース45と後面板25の内面との間で保持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源用コネクタ及びラインノイズフィルタを有する電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子機器、例えばCDプレーヤ(コンパクトディスクプレーヤ)では、本体ケース内にディスク装置や回路基板が収納されている。回路基板には、ディスク装置の制御回路や音声再生回路等が設けられている。また、回路基板には、電源ラインが接続される電源用コネクタが取り付けられ、この電源ラインを介してCDプレーヤが商用電源から供給される。電源用コネクタは、本体ケースの背面に形成された開口に一部が挿入されている。
【0003】
電源ラインの一端に取り付けられたプラグを、電源用コネクタに押し込んだときに、本体ケースの内側に抜け落ちることがないように、電源用コネクタは固定板により本体ケースの内面に固定されている。
【0004】
電源用コネクタを本体ケースに固定する場合には、特許文献1では、ケーブルを挟み込んだブッシュを、本体ケースの挿入孔に挿入し、ブッシュの外周部をロック金具で本体ケースに固定し、ロック金具が移動しないようにネジで本体ケースに固定している。また、特許文献2では、コードブッシュに形成された溝に固定補助板を挿入し、固定補助板をネジで本体ケースに固定している。
【0005】
電源用コネクタに電源ラインを接続すると、電源ラインを通して電源ノイズが侵入する。この電源ノイズによってCDの再生時に音声信号が微妙に影響を受けるため、回路基板には、電源ノイズを除去するラインノイズフィルタが設けられている。
【特許文献1】特開平8−205367号公報
【特許文献2】実開平6−009327号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
回路基板にはコンデンサが設けられており、このコンデンサはノイズを発することがある。このノイズが、ラインノイズフィルタや電源コネクタに入ると、電源ラインを介して商用電源にノイズを送り出すことになる。この問題は、ラインノイズフィルタを、シールドケースで覆ってシールドすることで解決することができる。しかしながら、シールドケースを用いた場合には、シールドケースを、電源用コネクタの近傍で本体ケースに固定しなければならないため、この固定のためのスペースを確保することが難しい。また、シールドケースと電源用コネクタとの両方を本体ケースに固定する場合には、部品点数が増加し、コストアップになるという問題がある。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、部品点数の増加を防止しながら、ラインノイズフィルタをシールドすることができる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の電子機器は、回路基板を収納する本体ケースと、前記回路基板上に取り付けられた電源用コネクタと、前記本体ケースに形成され、前記電源用コネクタの前部を前記本体ケースから露呈させて電源ラインに接続可能にする開口と、前記回路基板上で前記電源用コネクタの近傍に配置され、前記電源ラインを通って侵入する電源ノイズを除去するラインノイズフィルタと、前記ラインノイズフィルタを覆ってシールドするとともに、前記電源用コネクタのフランジを前記本体ケースとの間で挟み付けて前記電源用コネクタを保持するシールドケースと、前記シールドケースを前記本体ケースに固定する固定手段と、を備えることを特徴とする。なお、本発明の電子機器としては、CDプレーヤ、DVDプレーヤ、ディスクドライブ、アンプ、コンバータ等が挙げられる。
【0009】
また、前記シールドケースは、前記ラインノイズフィルタを覆うシールド部と、前記フランジを前記本体ケースの内面に押し付ける押付部と、を備えることが好ましい。
【0010】
さらに、前記電源用コネクタは、前記フランジの後方部分が前記シールドケースにより覆われることが好ましい。
【0011】
また、前記ラインノイズフィルタに近接して、前記回路基板上にフィルタコンデンサが配置され、このフィルタコンデンサは前記シールドケースにより覆われることが好ましい。
【0012】
さらに、前記固定手段は、前記本体ケースの外側から前記シールドケースにネジ止めされるネジであることが好ましい。
【0013】
また、前記シールドケースには、前記電源用コネクタに取り付けられたグランド用ワイヤを挿通するワイヤ挿通孔が形成されていることが好ましい。
【0014】
さらに、前記シールドケースには、少なくとも1個の突起が形成され、この突起のみが前記回路基板に当接していることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、シールドケースでラインノイズフィルタを覆っているから、ノイズが電源ラインを通って外部へ漏れ出るのを防止することができる。また、電源用コネクタを本体ケースに固定する代わりに、シールドケースを本体ケースに固定し、シールドケースと本体ケースとの間で電源用コネクタを保持するから、部品点数の増加を防止することができるとともに、シールドケースの取付スペースを容易に確保することができる。さらに、シールドケースの固定によって、電源用コネクタも同時に固定されるから、取付作業も容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1及び図2に示すように、CDプレーヤ2は、本体ケース3の内部に、ディスク装置4が収納されている。ディスク装置4は、CD5を回転させるスピンドルモータ6と、CD5のデータ再生を行うピックアップヘッド7と、ピックアップベース8とを備える。スピンドルモータ6の駆動軸には、CD5が装着されるターンテーブル9が固定されている。このターンテーブル9には、チャッキングヘッド10が設けられ、CD5のディスク孔5aに挿入される。ディスク孔5aに挿入されたチャッキングヘッド10が、本体ケース3内部に設けられたクランパ(図示せず)に吸着されるから、CD5はターンテーブル9とクランパとの間で挟持された状態となる。
【0017】
ピックアップヘッド7は、レーザ光を放出するレーザ光源(図示せず)と、レーザ光をCD5の記録面に集光する対物レンズ12とが組み込まれている。ピックアップヘッド7は、ピックアップベース8に取り付けられた保持シャフト13に移動自在に保持されている。ピックアップヘッド7は、モータ及びギア等を有する周知の移動機構により、CD5の径方向であるA方向に移動される。
【0018】
本体ケース3には、ディスクトレイ15が引出し可能に取り付けられている。ディスクトレイ15は、図1に示すように、CD5の再生時に本体ケース3内部に格納される格納位置と、図2に示すように、本体ケース3から引き出された引出し位置との間で移動する。ディスクトレイ15は、モータ及びギア等を有する周知のトレイ移動機構により移動される。
【0019】
本体ケース3は、ベース21と、前面外装パネル22と、側面外装パネル23とから構成される。ベース21は、ディスク装置4の下面及び後面を覆う下面板24及び後面板25から構成されている。前面外装パネル22は、ベース21に固定され、ディスク装置4の前面を覆う。側面外装パネル23は、上面外装パネルと一体化された略コ字状に形成され、ディスク装置4の左右側面及び上面を覆う。なお、側面外装パネル23と上面外装パネルとを分離し、それぞれ個別に形成して組み付ける構成としてもよい。
【0020】
前面外装パネル22には、電源ボタン26、ディスクトレイ15を開閉するための開閉ボタン27、再生ボタン28、停止ボタン29等の各種操作ボタンが設けられている。
【0021】
図3に示すように、本体ケース3の内部には、回路基板30が配されている。回路基板30には、ディスク装置4の制御回路や音声信号再生回路等が設けられている。図3では、便宜上、電源用コネクタ31、ラインノイズフィルタ32、ラインノイズフィルタ32に接続されたフィルタコンデンサ33、CPU34、コンデンサ35を図示してある。フィルタコンデンサ33は、ラインノイズフィルタ32と共にラインノイズを吸収するためのコンデンサであり、ラインノイズフィルタ32の前後に1個ずつ取り付けられている。
【0022】
電源用コネクタ31には、電源ライン36の一端に取り付けられた電源用プラグ37が接続される。電源ライン36の他端は商用電源に接続されている。
【0023】
電源用コネクタ31は、挿入部31aと、フランジ31bと、本体部31cとから構成される。挿入部31aには、電源ライン36の電源用プラグ37が挿入される。フランジ31bは、本体ケース3の内面(後面板25の内面)に押し付けられる。本体部31cには、グランド用ワイヤ38が接続されている。
【0024】
後面板25には、挿入部31aが嵌合するコネクタ用開口25aが形成されている。また、後面板25には、ネジ39が挿通されるネジ挿通孔25bが形成されている。ネジ挿通孔25bは、コネクタ用開口25aの左右に1個ずつ形成されている。
【0025】
回路基板30の四隅には、ネジ41が挿通されるネジ挿通孔30aが形成されている。下面板24の四隅には、回路基板30を受ける受けボス42が形成されている。受けボス42には、ネジ41に螺合するネジ孔42aが形成されている。
【0026】
後面板25には、金属、例えば鋼板に銅メッキ処理を施したシールドケース45が固定される。図4及び図5に示すように、シールドケース45は、箱状のシールド部45aと、電源用コネクタ31を後面板25に押し付けて保持するための押付部45bと、固定部45cとから構成されている。シールド部45aは、電源用コネクタ31の本体部31c、ラインノイズフィルタ32及びフィルタコンデンサ33を覆ってシールドする。固定部45cは、後面板25に固定される。
【0027】
シールド部45aには、回路基板30に当接する突起45dが形成されている。シールドケース45は、この突起45dのみ回路基板30に当接する。これにより、突起45dが当接する部分以外には、配線パターンを設けることができる。
【0028】
シールド部45aには、電源用コネクタ31に接続されているグランド用ワイヤ38を挿通するワイヤ挿通孔45eが形成されている。
【0029】
固定部45cは、押付部45bよりも前面側に突出して形成されており、押付部45bの左右に1個ずつ設けられている。固定部45cには、ネジ39に螺合するネジ孔45fが形成されている。
【0030】
回路基板30を下面板24に固定するときには、図6(A)に示すように、挿入部31aをコネクタ用開口25aに嵌合した状態で、回路基板30を受けボス42に載せる。そして、ネジ41を、ネジ挿通孔30aを介してネジ孔42aに螺合する。
【0031】
シールドケース45を固定するときには、図6(B)に示すように、シールド部45aを、本体部31c、ラインノイズフィルタ32及びフィルタコンデンサ33を覆うように上から被せ、グランド用ワイヤ38をワイヤ挿通孔45eに挿通する。そして、ネジ39を、ネジ挿通孔25bを介してネジ孔45fに螺合する。ネジ39をネジ孔45fに螺合させ、固定部45cを後面板25に固定すると、押付部45bは、フランジ31bに当接して、フランジ31bを後面板25の内面に押し付ける。これにより、電源用コネクタ31を、後面板25の内面との間で挟み付けて保持することができる。また、シールドケース45は、突起45dのみ回路基板30に当接する。ワイヤ挿通孔45eを挿通されたグランド用ワイヤ38の先端は、側面外装パネル23の内面に取り付けられる。
【0032】
次に、CDプレーヤ2の作用について説明する。CDプレーヤ2を使用するときには、コネクタ用開口25aから露呈している電源用コネクタ31に、電源用プラグ37を押し込みながら挿入する。電源用コネクタ31は、シールドケース45と後面板25との間に保持されているため、電源用プラグ37を押し込みながら挿入したときにも、電源用コネクタ31が本体ケース3の内側へ抜け落ちることがない。
【0033】
電源用プラグ37を電源用コネクタ31に挿入すると、電源ライン36を通して供給される電力に乗って電源ノイズが侵入するが、この電源ノイズはラインノイズフィルタ32で除去される。これにより、電源ノイズが回路基板30の各回路に影響を及ぼすことがない。
【0034】
ラインノイズフィルタ32を介して入力された電力は、トランス(図示せず)で変圧されて、各部へ給電される。ディスク装置4は、ターンテーブル9でCD5を回転させ、ピックアップヘッド7でデータを再生するが、この再生中にコンデンサ35からノイズが発生することがある。このノイズは、シールドケース45で遮断され、ラインノイズフィルタ32及び電源用コネクタ31に侵入することがない。これにより、ノイズが回路基板30内に送られたり、あるいは、電源ライン36から外部へ送り出されることがない。
【0035】
なお、上記実施形態では、ネジ39によりシールドケース45を後面板25に固定したが、固定ピン等により固定してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明を実施したCDプレーヤの外観斜視図である。
【図2】本体ケースの内部を示す平面図である。
【図3】下面板と後面板と回路基板とシールドケースとを示す分解斜視図である。
【図4】電源用コネクタとシールドケースとを示す分解斜視図である。
【図5】シールドケースの底面を上にした斜視図である。
【図6】(A)は回路基板を下面板に固定した状態を示す平面図であり、(B)はシールドケースを後面板に固定した状態を示す平面図である。
【符号の説明】
【0037】
2 CDプレーヤ(電子機器)
3 本体ケース
25 後面板
25a コネクタ挿入開口
30 回路基板
31 電源用コネクタ
31b フランジ
32 ラインノイズフィルタ
33 フィルタコンデンサ
35 コンデンサ
36 電源ライン
38 グランド用ワイヤ
39 ネジ
45 シールドケース
45a シールド部
45b 押付部
45d 突起
45e ワイヤ挿通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板を収納する本体ケースと、
前記回路基板上に取り付けられた電源用コネクタと、
前記本体ケースに形成され、前記電源用コネクタの前部を前記本体ケースから露呈させて電源ラインに接続可能にする開口と、
前記回路基板上で前記電源用コネクタの近傍に配置され、前記電源ラインを通って侵入する電源ノイズを除去するラインノイズフィルタと、
前記ラインノイズフィルタを覆ってシールドするとともに、前記電源用コネクタのフランジを前記本体ケースとの間で挟み付けて前記電源用コネクタを保持するシールドケースと、
前記シールドケースを前記本体ケースに固定する固定手段と、
を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記シールドケースは、
前記ラインノイズフィルタを覆うシールド部と、
前記フランジを前記本体ケースの内面に押し付ける押付部と、を備えることを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記電源用コネクタは、前記フランジの後方部分が前記シールドケースにより覆われることを特徴とする請求項1または2記載の電子機器。
【請求項4】
前記ラインノイズフィルタに近接して、前記回路基板上にフィルタコンデンサが配置され、このフィルタコンデンサは前記シールドケースにより覆われることを特徴とする請求項1ないし3いずれか1つ記載の電子機器。
【請求項5】
前記固定手段は、前記本体ケースの外側から前記シールドケースにネジ止めされるネジであることを特徴とする請求項1ないし4いずれか1つ記載の電子機器。
【請求項6】
前記シールドケースには、前記電源用コネクタに取り付けられたグランド用ワイヤを挿通するワイヤ挿通孔が形成されていることを特徴とする請求項1ないし5いずれか1つ記載の電子機器。
【請求項7】
前記シールドケースには、少なくとも1個の突起が形成され、この突起のみが前記回路基板に当接していることを特徴とする請求項1ないし6いずれか1つ記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−231546(P2009−231546A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−75287(P2008−75287)
【出願日】平成20年3月24日(2008.3.24)
【出願人】(000003676)ティアック株式会社 (339)
【Fターム(参考)】