電子機器
【課題】回路基板を筐体に取り付けるための構造を回路基板の一方の面側に集約可能な電子機器を提供する。
【解決手段】携帯電話機1は、被取付部35を有する受話筐体5と、受話筐体5内に配置される回路基板17とを有する。さらに、携帯電話機1は、回路基板17の第1主面17aに設けられ、第1主面17aとで被取付部35を挟んで回路基板17を受話筐体5に位置決めする取付部材31を有する。
【解決手段】携帯電話機1は、被取付部35を有する受話筐体5と、受話筐体5内に配置される回路基板17とを有する。さらに、携帯電話機1は、回路基板17の第1主面17aに設けられ、第1主面17aとで被取付部35を挟んで回路基板17を受話筐体5に位置決めする取付部材31を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機、PDA、デジタルカメラ、ゲーム機等の電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
回路基板の筐体への取付構造として、種々のものが提案されている。特許文献1では、筐体にU字状の支持部が設けられ、当該支持部に第1回路基板の縁部が嵌合されている。支持部は、第1回路基板を両面から挟み込んでいる。また、特許文献1の技術では、第1回路基板に設けられたコネクタと、筐体に固定された第2回路基板に設けられたコネクタとが接続されている。特許文献2では、第1回路基板の一方の面に固定された第2取付具が、筐体に固定された第1取付具のスリットに嵌合されている。第1取付具は、第1回路基板の他方の面側に配置されており、第2取付具は、第1回路基板の一方の面側から他方の面側へ屈曲している。特許文献2においても、第1回路基板に設けられたコネクタと第2回路基板に設けられたコネクタとが接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−124651号公報
【特許文献2】特開平9−64566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の技術では、取付構造が回路基板の一方の面から他方の面へ跨っている。換言すれば、回路基板の両面側に取付構造のためのスペースが必要である。その結果、例えば、片面実装の回路基板の非実装面に筐体の内側面を近接又は当接させて筐体の薄型化を図ることが困難になったり、電子部品の配置に制約が生じたりする。
【0005】
本発明の目的は、回路基板を筐体に取り付けるための構造を回路基板の一方の面側に集約可能な電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電子機器は、被取付部を有する筐体と、前記筐体内に配置される回路基板と、前記回路基板の一方の面に設けられ、前記一方の面とで前記被取付部を挟んで前記回路基板を前記筐体に位置決めする取付部材と、を有する。
【0007】
好適には、前記筐体には、前記一方の面に当接し、前記回路基板をその厚み方向において位置決めする第1位置決め面と、前記取付部材の前記被取付部を挟む部分が、前記第1位置決め面に沿う所定方向に挿通される穴部と、が形成されている。
【0008】
好適には、前記取付部材は、一枚の板金により構成されており、前記一方の面に積層される積層部と、前記積層部の前記所定方向の端部において前記一方の面に対して立設された立設部と、立設部の頂部から前記所定方向へ延びて前記一方の面に対向し、前記穴部に挿通され、前記一方の面とで前記被取付部を挟む対向部と、を有する。
【0009】
好適には、前記電子機器は、前記一方の面に設けられ、前記筐体に当接して弾性変形しており、前記回路基板を、前記取付部材と前記一方の面とが前記被取付部を挟む位置へ、前記回路基板に沿う方向において付勢する弾性部材を有する。
【0010】
好適には、前記弾性部材は、被位置決め部を有し、前記筐体は、前記弾性部材の付勢方向に直交する方向において、前記被位置決め部を位置決めする位置決め部を有する。
【0011】
好適には、前記筐体は、前記一方の面のうち前記弾性部材に隣接する領域に当接して前記回路基板をその厚み方向において位置決めする第2位置決め面を有する。
【0012】
好適には、前記弾性部材は、一枚の板金により構成されており、前記一方の面に積層される第1構成部と、前記第1構成部の、前記回路基板を付勢する方向とは反対方向の端部において前記一方の面に対して立設された第2構成部と、前記第2構成部の頂部から前記一方の面側に垂下され、前記筐体に前記反対方向に当接する第3構成部と、を有する。
【0013】
好適には、前記電子機器は、前記筐体に位置決めされ、所定の電子部品に接続される第1コネクタと、前記一方の面に設けられ、前記第1コネクタに嵌合して前記回路基板の前記筐体に対する前記一方の面に沿う方向の移動を規制する第2コネクタと、を有する。
【0014】
本発明の他の観点の電子機器は、筐体と、前記筐体内に配置される回路基板と、前記回路基板の一方の面に設けられ、前記一方の面側において前記筐体に形成された穴部に前記回路基板に沿う所定方向において挿通されることにより前記回路基板を前記筐体に対して位置決めする取付部材と、前記回路基板の一方の面に設けられ、前記筐体に当接して弾性変形しており、前記回路基板を前記所定方向に付勢する弾性部材と、を有する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、回路基板を筐体に取り付けるための構造を回路基板の一方の面側に集約できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る携帯電話機の斜視図。
【図2】図1の携帯電話機の受話筐体を分解して背面側から見た斜視図。
【図3】図1のIII−III線における概略的な断面図。
【図4】図1の携帯電話機の回路基板の斜視図。
【図5】図4の回路基板のフロントケースへの固定方法を説明する断面図。
【図6】図5のフロントケースの内側面のうち被取付部周辺を示す斜視図。
【図7】図4の回路基板の取り付け途中における取付部材周辺の、一部を断面で示す斜視図。
【図8】図4の回路基板の取り付け後における取付部材周辺の、一部を断面で示す斜視図。
【図9】図5のフロントケースの内側面のうち支持部周辺を示す斜視図。
【図10】図4の回路基板の取り付け後における弾性部材周辺の、一部を断面で示す斜視図。
【図11】第2の実施形態に係る携帯電話機のフロントケース及び回路基板を示す分解斜視図。
【図12】図11の回路基板を図11とは反対側から見た斜視図。
【図13】図11の回路基板の取り付け途中における斜視図。
【図14】図11の回路基板の取り付け後における断面図。
【図15】第3の実施形態に係る携帯電話機のフロントケース及び回路基板の概略的な断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る携帯電話機1の外観を開状態で示す斜視図である。
【0018】
携帯電話機1は、いわゆる折り畳み式の携帯電話機として構成されており、連結部6において開閉可能に互いに連結された送話筐体3及び受話筐体5を有している。閉状態では、送話筐体3及び受話筐体5の紙面手前側の前面3a及び5aが互いに対向する。送話筐体3及び受話筐体5は、例えば、閉状態における対向方向において薄い薄型直方体状に形成されている。受話筐体5は、前面5aと、前面5aの背後側となる背面5bと、前面5a及び背面5bの外周側となる外周面5cとを有している。
【0019】
送話筐体3には、例えば、不図示の通話用のマイクロフォン、不図示の通信用の内蔵アンテナ、ユーザの操作を受け付ける操作部7が設けられている。受話筐体5には、例えば、通話用のスピーカ8(図2参照)、画像や文字を表示する表示部9が設けられている。
【0020】
図2は、受話筐体5を分解して背面5b側から見た斜視図である。
【0021】
受話筐体5においては、受話筐体5の前面5a側から、透光部材11と、表示装置13と、フロントケース15と、回路基板17と、リアケース19とが積層されている。
【0022】
透光部材11、フロントケース15及びリアケース19は、受話筐体5を構成するものである。フロントケース15及びリアケース19は、表示装置13や回路基板17を保持し、透光部材11は、表示装置13の表示面13aを保護しつつ視認可能とする。
【0023】
透光部材11は、例えば、透光性の樹脂により形成され、平板状に構成されている。透光部材11は、例えば、フロントケース15の前面5a側に形成された凹部に嵌合されるとともに、両面テープ21によってフロントケース15に接着される。
【0024】
フロントケース15は、例えば、樹脂部15xと、樹脂部15xに固定された板金部15yとを有している。樹脂部15xは、例えば、概ね枠状に形成され、フロントケース15の外周部を構成している。板金部15yは、フロントケース15の大部分を構成している。板金部15yの大部分(中央部分)は、樹脂部15xの開口から露出している。樹脂部15xと板金部15yとは、例えば、板金部15yの外周部分が樹脂部15xに埋設されることにより互いに固定されている。フロントケース15は、例えば、インサート成形により形成される。
【0025】
フロントケース15の前面5a側には、表示装置13が嵌合される凹部15aが形成されている。なお、凹部15aは、フロントケース15のリアケース19側においては凸部となっている。凹部15aは、板金部15yにより構成されており、凹部15aの底面(リアケース19や表示装置13に対向する面)は、凹部15aの外周部(樹脂部15x)に比較して薄く形成されている。
【0026】
リアケース19は、例えば、樹脂部19xと、樹脂部19xに固定された板金部19yとを有している。樹脂部19xは、リアケース19の連結部6側の端部の内側部分、及び、連結部6とは反対側の端部を構成している。板金部19yは、リアケース19の大部分を構成している。樹脂部19xと板金部19yとは、例えば、不図示の接着剤若しくは両面テープにより互いに固定されている。
【0027】
リアケース19は、フロントケース15側が開放された薄型の箱状に形成されている。フロントケース15とリアケース19との間には、回路基板17やスピーカ8を収容する空間が形成される。なお、本実施形態では、リアケース19のみが箱状に形成されているが、フロントケース15及びリアケース19の双方が箱状に形成されてもよいし、フロントケース15のみが箱状に形成されてもよい。リアケース19において、フロントケース15の凹部15aと対向する部分は、板金部19yにより構成されており、凹部15aと対向しない部分(樹脂部19x)に比較して薄く形成されている。
【0028】
フロントケース15とリアケース19との固定は、例えば、フロントケース15に挿通されたネジ23がリアケース19に螺合されることにより行われる。なお、リアケース19に挿通されたネジがフロントケース15に螺合されてもよい。
【0029】
表示装置13は、例えば、液晶表示装置や有機EL表示装置により構成されている。表示装置13からは、フレキシブルプリント配線板(FPC)25が延出している。FPC25には、制御用ICやコネクタ等の電子部品27が設けられている。
【0030】
なお、表示装置13、FPC25及びFPC25に実装された電子部品27全体を表示装置として捉えることもできるが、本願では、表示装置の語は、FPC25やFPC25に実装された部分は含まないものとする。すなわち、表示装置の語は、表示面13aと強度的に一体的になった部分をいい、FPC25のように、その可撓性により表示面13aに対して任意の位置に配置され得る部分は除くものとする。
【0031】
表示装置13が液晶表示装置である場合、表示装置13は、例えば、特に図示しないが、表示面13aを構成する液晶パネル、液晶パネルを照明するバックライト、及び、これらを保持する筐体を有している。表示装置13が有機EL表示装置である場合、表示装置13は、例えば、特に図示しないが、表示面13aを構成する有機ELパネルを有している。表示装置13は、例えば、表示面13aに直交する方向において薄い薄型直方体に形成されている。
【0032】
FPC25は、表示装置13から延出して表示装置13の背面に沿って延びた後、フロントケース15の凹部15aに形成された開口部15bに挿通されて、フロントケース15とリアケース19との間を延びる。また、FPC25は、開口部15bにおいて折り返され、凹部15aの外側且つ回路基板17側に延びる。電子部品27は、凹部15aの外側において、フロントケース15とリアケース19との間に収容される。
【0033】
回路基板17は、例えば、硬質の樹脂をベースとしたプリント基板により構成されている。回路基板17は、フロントケース15に対向する第1主面17aのみに電子部品29(図4参照)が実装されており、リアケース19に対向する第2主面17bには電子部品が実装されていない。第2主面17bは、全面が絶縁層により構成されていてもよいし、適宜な範囲に導電層が形成されることにより、接地などのための端子面が設けられていてもよい。
【0034】
回路基板17には、FPC49が接続されている。FPC49は、連結部6を介して送話筐体3内に挿通され、送話筺体3内の電子回路に接続されている。FPC49が撓むことにより、送話筺体3内の電子回路と受話筐体5内の電子回路との電気的接続を維持した状態での携帯電話器1の開閉が許容される。
【0035】
図3は、図1のIII−III線における概略的な断面図である。
【0036】
透光部材11(受話筐体5の前面5aを構成する部分)と表示装置13の表示面13aとは近接している。なお、透光部材11と表示面13aとの隙間は、透光部材11の曲げ剛性、表示装置13の強度及び携帯電話機1において想定される透光部材11に加えられる荷重等を考慮して適宜に設定される。
【0037】
また、表示装置13の背面を支持する凹部15aの底面は、リアケース19の内側面(受話筐体5の背面5bを構成する部分の内側面)に近接している。具体的には、凹部15aの底面とリアケース19の内側面とは、FPC25の厚さ程度の隙間で対向している。
【0038】
このように、受話筐体5は、前面5a及び背面5bを構成する部分の内側面が表示装置13に対して近接しており、送話筐体3の厚さにおいては、表示装置13の厚さが支配的となっている。また、フロントケース15及びリアケース19において、表示装置13に対向する部分は板金部15y及び19yにより構成されており、薄型化が図られている。
【0039】
図2及び図3に示すように、回路基板17は、フロントケース15及びリアケース19の対向方向(表示面13aに直交する方向)に見て表示装置13と重ならないように配置されている。具体的には、回路基板17は、表示装置13に対して連結部6側に隣接して配置されている。
【0040】
回路基板17はフロントケース15のリアケース19側に、表示装置13はフロントケース15の透光部材11側に配置されている。すなわち、回路基板17及び表示装置13は、フロントケース15に対して互いに反対側に配置されている。しかし、フロントケース15に凹部15aが設けられていることにより、回路基板17(若しくは、回路基板17及び回路基板17に実装された部品(29等))と表示装置13とは、表示面13aに直交する方向の位置が重複している。
【0041】
受話筐体5の薄型化を図りつつ、第1主面17a側に大きな電子部品29を実装するために、回路基板17の第2主面17bは、リアケース19の内側面に当接又は近接している。第2主面17bがリアケース19に近接している場合、その隙間は、例えば、リアケース19等における公差程度である。従って、例えば、フロントケース15から突出し、回路基板17の第2主面17bに係合して、回路基板17をフロントケース15に保持する爪部を設けるような従来の構造は取り得ない。
【0042】
図4は、回路基板17を第1主面17a側且つ連結部6側から見た斜視図である。
【0043】
第1主面17aには、複数の電子部品29の他に、回路基板17をフロントケース15に固定するための取付部材31及び弾性部材33が設けられている。
【0044】
図5は、回路基板17のフロントケース15への固定方法を説明する断面図(断面位置については図4のV−V線を参照)である。
【0045】
取付部材31と、回路基板17の第1主面17aとは、フロントケース15に設けられた被取付部35を挟み込む。また、弾性部材33は、フロントケース15に設けられた支持部37に当接し、回路基板17を回路基板17に沿う取付方向y1に付勢する。弾性部材33の付勢により、取付部材31及び回路基板17は、被取付部35を挟み込む位置からの位置ずれが抑制される。
【0046】
取付部材31、弾性部材33、被取付部35及び支持部37の構成は、具体的には、以下のとおりである。
【0047】
まず、取付部材31及び被取付部35について説明する。
【0048】
図4に示すように、取付部材31は、回路基板17の取付方向y1の端部に設けられている。取付部材31は、例えば、一枚の板金に対して打ち抜き加工や折り曲げ加工等のプレス加工を施すことにより形成されている。取付部材31は、例えば、板金を取付方向y1の2ヶ所において互いに逆方向に折り曲げることにより形成されている。板金は、好ましくは、矩形状であり、矩形の長手方向を取付方向y1として折り曲げられている。
【0049】
上記のような折り曲げにより、取付部材31には、第1主面17aに積層される積層部31aと、第1主面17aに対して立設された立設部31bと、第1主面17aに対して所定の間隔で対向する対向部31cとが形成されている。
【0050】
積層部31aは、例えば、概ね矩形状に形成されている。立設部31bは、例えば、積層部31aの取付方向y1側の端部において積層部31aに対して直交している。対向部31cは、例えば、立設部31bに直交するように立設部31bの上端から取付方向y1へ延びている。対向部31cの先端は、例えば、回路基板17の取付方向y1の縁部上に位置する。
【0051】
取付部材31は、例えば、第1主面17aに表面実装されている。すなわち、回路基板17には取付部材31の一部を挿入するような穴部は形成されておらず、取付部材31は、第1主面17a及び積層部31aに固着された半田により回路基板17に固定されている。半田は、第1主面17aと積層部31aとの間、及び、積層部31aの周囲の少なくとも一方に配置される。取付部材31の表面実装は、例えばリフローにより行われる。
【0052】
図6は、フロントケース15の内側面のうち被取付部35周辺を示す斜視図である。図7は、回路基板17をフロントケース15に取り付ける途中における取付部材31及び被取付部35周辺の、一部を断面(断面位置については図4のV−V線を参照)で示す斜視図である。図8は、回路基板17をフロントケース15に取り付けた状態における取付部材31及び被取付部35周辺の、一部を断面(断面位置については図4のV−V線を参照)で示す斜視図である。
【0053】
図6において、実線L1は、凹部15a(板金部15y)と、凹部15aよりも連結部6側の部分(樹脂部15x及び板金部15y)との境界位置を示している。凹部15aよりも連結部6側の部分であって、板金部15yよりもフロントケース15の内側においては、適宜に樹脂部15xの非配置位置が形成されることにより、電子部品27の頂面を収容する凹部15d(図6及び図7)が形成されている。
【0054】
図6に示すように、フロントケース15の内側面においては、樹脂部15xにより、リアケース19側に突出するリブ39が形成されている。リブ39は、頂面の一部が切り欠かれている。図6〜図8に示すように、リブ39のうち、頂面が切り欠かれた部分(主面当接部39a)は、第1主面17aに当接して回路基板17をその厚さ方向において位置決めする。頂面が切り欠かれない部分(縁部当接部39b)は、回路基板17の縁部に当接して回路基板17をその主面に沿う方向において位置決めする。なお、以下では、主面当接部39aの頂面のうち、第1主面17aに当接する部分を位置決め面39dということがある。
【0055】
図6に示すように、被取付部35は、主面当接部39aの一部において、根元側に穴部39cが形成されることにより形成された梁部である。なお、穴部39cは、リブ39の根元側へ、リブ39の根元位置よりも拡径しており、また、凹部15dと連続している。本実施形態では穴部39cは貫通孔となっているが、穴部39cは凹部であってもよい。
【0056】
被取付部35の断面形状(梁部の延びる方向に直交する断面)は、例えば、矩形である。被取付部35の取付方向y1における大きさ(リブ39の厚さ)は、例えば、対向部31cの立設部31bからの突出量と同等である。
【0057】
次に、弾性部材33及び支持部37について説明する。
【0058】
図4に示すように、弾性部材33は、回路基板17の取付方向y1とは反対側の端部(取付部材31が設けられる端部とは反対側の端部)に設けられている。弾性部材33は、例えば、板金を取付方向y1の2ヶ所において互いに逆方向に折り曲げることにより形成されている。板金は、好ましくは、矩形状であり、矩形の長手方向を取付方向y1として折り曲げられている。
【0059】
上記のような折り曲げにより、弾性部材33には、第1主面17aに積層される第1構成部33aと、第1構成部33a(第1主面17a)から立ち上がる第2構成部33bと、第2構成部33bから垂れ下がる第3構成部33cとが形成されている。
【0060】
第1構成部33aは、例えば、概ね矩形状に形成されている。第2構成部33bは、例えば、第1構成部33aの取付方向y1とは反対方向の端部において、第1主面17aに対して立設されている。ただし、第2構成部33bは、取付方向y1とは反対方向へ傾斜するように立設されている。第3構成部33cは、第2構成部33bの頂部から第1主面17a側へ垂下されている。ただし、第3構成部33cは、取付方向y1とは反対方向へ傾斜するように垂下されている。
【0061】
回路基板17において、弾性部材33が設けられる側(取付方向y1の反対方向)の端部には、切り欠き部17cが形成されている。切り欠き部17cの幅(取付方向y1に直交する方向の大きさ)は、弾性部材33の幅よりも大きい。第1構成部33aは、切り欠き部17cの取付方向y1側に隣接して配置されている。第3構成部33cは、切り欠き部17cに先端側部分が収容されている。なお、第3構成部33cは、回路基板17がフロントケース15に取り付けられたときに、第2主面17bから突出しないか、第2主面17bからの突出量がフロントケース15等の公差程度に収まることが好ましい。
【0062】
第3構成部33cには、弾性部材33を支持部37に対して位置決めするための被位置決め部としての孔部33dが形成されている。孔部33dは、例えば、矩形に形成されている。
【0063】
弾性部材33は、例えば、取付部材31と同様に、第1主面17aに表面実装されている。半田は、第1主面17aと第1構成部33aとの間、及び、第1構成部33aの周囲の少なくとも一方に配置される。弾性部材33の表面実装は、取付部材31と同様に、例えばリフローにより行われる。
【0064】
図9は、フロントケース15の内側面のうち支持部37周辺を示す斜視図である。図10は、回路基板17をフロントケース15に取り付けた状態における弾性部材33及び支持部37周辺の、一部を断面(断面位置については図4のV−V線を参照)で示す斜視図である。
【0065】
被取付部35の説明において述べたリブ39は、支持部37側においても設けられている。また、リブ39は、支持部37側においても、回路基板17の第1主面17aに当接する主面当接部39aと、回路基板17の縁部に当接する縁部当接部39bとを有している。
【0066】
支持部37は、主面当接部39aの一部により構成されている。具体的には、支持部37は、取付方向y1に直交する方向に延びる主面当接部39aの一部により構成されており、取付方向y1側に向く壁面を第3構成部33cに当接させる。なお、第3構成部33cは、外側面(第2構成部33b及び第3構成部33cによる突部の外側となる面)が支持部37の壁面に当接する。弾性部材33は、回路基板17がフロントケース15に取り付けられた状態では、概ね、第3構成部33cが支持部37の壁面に平行になる状態まで弾性変形する。
【0067】
なお、回路基板17の弾性部材33側の端部には切り欠き部17cが設けられていることから、支持部37は第1主面17aに当接しない。主面当接部39aのうち、支持部37に隣接する部分は、第1主面17aに当接する位置決め面39dを有する。
【0068】
支持部37には、弾性部材33の孔部33dに嵌合する位置決め部41が設けられている。位置決め部41は、例えば、支持部37の壁面から取付方向y1側に突出する突部により構成されている。また、位置決め部41の取付方向y1に見た形状は、例えば、孔部33dと概ね同一の形状(本実施形態では矩形)及び大きさである。従って、孔部33dに位置決め部41が嵌合することにより、弾性部材33は、支持部37に対して取付方向y1に直交する方向において位置決めされる。
【0069】
位置決め部41は、取付方向y1に沿う断面であって回路基板17に直交する断面における形状が、第1主面17aが向く側に斜辺を有する概ね直角三角形に形成されている。換言すれば、位置決め部41は、第1主面17aの向く側(図9及び図10の紙面下方側)における突出量が第2主面17bの向く側における突出量よりも小さくなっている。一方、弾性部材33は、第2主面17bの向く側に第3構成部33cの自由端が位置し、第1主面17aの向く側に第3構成部33cと第2構成部33bとの連結部が位置する。従って、位置決め部41は、第3構成部33cにおいて変位量が大きい側において突出量が大きく、第3構成部33cにおいて変位量が小さい側において突出量が少なくなっている。その結果、第3構成部33cの位置決め部41に対する着脱が容易化されている。
【0070】
フロントケース15の内側面において、回路基板17の切り欠き部17cと重なる領域には、樹脂部15xの非配置位置が形成されることにより、凹部15eが形成されている。凹部15eには、第2構成部33bと第3構成部33cとの連結部分が収容される。これにより、弾性部材33はより長く形成されることができる。
【0071】
以上の構成を有する回路基板17は、図7に示すように、まず、取付部材31側の部分がフロントケース15に近づけられ、取付部材31と第1主面17aとにより被取付部35が挟まれることにより位置決めされる。そして、図8に示すように、回路基板17は、フロントケース15の内側面に平行にされる。このとき、図10に示すように、弾性部材33は支持部37により取付方向y1において圧縮される。
【0072】
以上の実施形態によれば、携帯電話機1は、被取付部35を有する受話筐体5と、受話筐体5内に配置される回路基板17とを有する。さらに、携帯電話機1は、回路基板17の第1主面17aに設けられ、第1主面17aとで被取付部35を挟んで回路基板17を受話筐体5に位置決めする取付部材31を有する。従って、回路基板17の取付構造は、第1主面17a側のみに設けられる。その結果、例えば、リアケース19の背面5bを構成する部分を第2主面17bに近接又は当接させて受話筐体5の薄型化を図ることができる。また、例えば、第2主面17bにおいては、回路基板17に実装されない適宜な部品を配置することができることになり、設計の自由度が向上する。
【0073】
受話筐体5には、第1主面17aに当接し、回路基板17をその厚み方向において位置決めする位置決め面39dが形成されている。また、受話筐体5には、取付部材31の被取付部35を挟む部分(対向部31c)が、位置決め面39dに沿う所定方向(取付方向y1)において挿通される穴部39cが形成されている。従って、図7及び図8に示したように、回路基板17は、位置決め面39dに対して平行若しくは傾斜した状態で、取付部材31の穴部39cへの挿入又は引抜が行われることにより、フロントケース15への着脱がなされる。すなわち、回路基板17の着脱方法が簡便である。
【0074】
取付部材31は、一枚の板金により構成されており、第1主面17aに積層される積層部31aと、積層部31aの取付方向の端部において第1主面17aに対して立設された立設部31bとを有する。また、取付部材31は、立設部31bの頂部から取付方向y1へ延びて第1主面17aに対向し、穴部39cに挿通され、第1主面17aとで被取付部35を挟む対向部31cを有する。従って、板金を2回折り曲げただけの簡素な部材により、上述の効果を奏する取付構造が実現される。さらに、積層部31aは、第1主面17aに積層されることから、取付部材31に加えられる荷重に対して十分な支持力を第1主面17aから得ることが可能である。立設部31bは、取付方向y1における位置決め部として機能可能である。
【0075】
携帯電話機1は、第1主面17aに設けられ、受話筐体5に当接して弾性変形しており、取付部材31と第1主面17aとが被取付部35を挟む位置へ、回路基板17に沿う方向(取付方向y1)において回路基板17を付勢する弾性部材33を有する。従って、弾性部材33により、取付部材31が被取付部35から外れることが防止されるとともに、弾性部材33に抗して回路基板17を移動させるだけで回路基板17のフロントケース15への着脱が可能となる。すなわち、回路基板17の固定がより確実になされる一方で、回路基板17の着脱が容易化される。
【0076】
弾性部材33は、被位置決め部(孔部33d)を有し、受話筐体5は、弾性部材33の付勢方向(取付方向y1)に直交する方向において、孔部33dを位置決めする位置決め部41を有する。従って、弾性部材33は、取付部材31による回路基板17の位置決めを補助するだけでなく、回路基板17を直接的に位置決めする。その結果、部材点数を増加させることなく、回路基板17の簡便且つより確実な取り付けが実現される。
【0077】
受話筐体5は、第1主面17aのうち弾性部材33に隣接する領域に当接して回路基板17をその厚み方向において位置決めする位置決め面39d(位置決め面39dのうち図9及び図10に示した部分)を有する。従って、弾性部材33に付勢された回路基板17は、位置決め面39dに案内されることにより、取付方向y1へ移動しやすくなり、弾性部材33の設計の自由度が向上する。例えば、実施形態の弾性部材33は、第3構成部33cが第2構成部33bとの連結部分を支点として回転することから、回路基板17を取付方向y1に付勢すると共に、回路基板17を第1主面17a側にも付勢するおそれがある。しかし、回路基板17は、位置決め面39dによりその厚み方向において位置決めされているから、第1主面17a側への付勢力による不都合は生じない。むしろ、回路基板17の厚み方向の位置決めが弾性部材33により補助される。
【0078】
弾性部材33は、一枚の板金により構成されており、第1構成部33a〜第3構成部33cを有する。第1構成部33aは、第1主面17aに積層される。第2構成部33bは、第1構成部33aの、回路基板17を付勢する方向(取付方向y1)とは反対方向の端部において第1主面17aに対して立設される。第3構成部33cは、第2構成部33bの頂部から第1主面17a側に垂下され、受話筐体5に取付方向y1とは反対方向に当接する。従って、一枚の板金を折り曲げる簡素な構成で弾性部材33が実現される。さらに、図7から図8への移行時には、支持部37と第3構成部33cとを摺動させることにより、回路基板17を被取付部35と支持部37との間に嵌め込むことが可能であり、回路基板17の取り付けが容易化される。
【0079】
(第2の実施形態)
図11は、第2の実施形態に係る携帯電話機のフロントケース115及び回路基板117を示す分解斜視図である。図12は、回路基板117を図11とは反対側から見た斜視図である。
【0080】
第1の実施形態では、弾性部材33により、回路基板17の取付方向y1の反対方向への移動を規制した。第2の実施形態は、回路基板17の取付方向y1の反対方向への移動の規制方法が第1の実施形態と相違する。具体的には、第2の実施形態では、回路基板17の取付方向y1の反対方向への移動の規制は、互いに接続される第1コネクタ143(図11)及び第2コネクタ145(図12)によってなされる。なお、第2の実施形態は、上記の規制方法以外の構成については、第1の実施形態と同様である。
【0081】
第1コネクタ143は、FPC25に実装されている。第1コネクタ143は、フロントケース115に対して固定されている。より厳密には、少なくとも取付方向y1の反対方向への移動が規制されるようにフロントケース115に位置決めされている。
【0082】
例えば、第1コネクタ143は、フロントケース115の内側面から突出する係合部147により位置決めされている。係合部147は、例えば、第1コネクタ143に対して取付方向y1及びその反対方向に設けられており、当該方向における第1コネクタ143の移動を規制している。
【0083】
なお、係合部147は、回路基板117の第1主面117aに当接可能であり、回路基板117をその厚さ方向において位置決めすることにも寄与している。また、係合部147は、FPC25の切り欠き部に嵌合しており、FPC25をその面に沿う方向において位置決めすることにも寄与している。
【0084】
第2コネクタ145は、第1主面117aに実装されることにより、回路基板117に対して固定されている。第2コネクタ145は、例えば、回路基板117の取付方向y1とは反対側の端部に設けられている。
【0085】
第1コネクタ143及び第2コネクタ145は、いわゆるボードツーボードのコネクタにより構成されている。第1コネクタ143及び第2コネクタ145は、互いに移動不可能に連結されつつ電気的に接続される。例えば、第1コネクタ143及び第2コネクタ145の一方には、他方との対向方向を凹とする凹部が形成され、他方にはその凹部に嵌合する突部が形成されている。第1コネクタ143及び第2コネクタ145は、突部に凹部が嵌合することにより、対向方向に直交する方向に移動不可能となる。また、第1コネクタ143及び第2コネクタ145は、突部及び凹部に配置された複数の端子同士が接触して電気的に接続される。
【0086】
なお、図12では、回路基板117に接続されるFPC49、及び、FPC49に接続され、送話筺体3内に配置及び固定される回路基板51も図示している。回路基板51には、第3コネクタ53が設けられている。第3コネクタ53は、例えば、ボードツーボードのコネクタにより構成されている。第3コネクタ53が送話筺体3内の不図示の回路基板に設けられた不図示のコネクタに接続されることにより、回路基板51は、送話筺体3に対して固定される。
【0087】
図13は、回路基板117をフロントケース115に取り付ける途中における状態を示す斜視図である。図14は、回路基板117をフロントケース115に取り付けた状態における断面図(断面位置については図11のXIV−XIV線を参照)である。
【0088】
第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、回路基板117は、まず、フロントケース115に対して傾斜された状態で、取付部材31において位置決めされる。その後、回路基板117は、第2コネクタ145と第1コネクタ143とが接続されることにより、位置決めされる。回路基板117をフロントケース115から取り外すときは、取り付け時とは逆に、第2コネクタ145及び第1コネクタ143が非接続とされた後、取付部材31が取り外される。
【0089】
以上の第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、取付部材31に係る構成を有していることから、第1の実施形態と同様の効果を奏する。
【0090】
さらに、第2の実施形態の携帯電話機は、受話筐体に位置決めされ、FPC25に接続される第1コネクタ143を有する。また、携帯電話機は、第1主面117aに設けられ、第1コネクタ143に嵌合して回路基板117の受話筐体に対する第1主面117aに沿う方向の移動を規制する第2コネクタ145を有する。従って、FPC25と回路基板117とを電気的に接続するためのコネクタを利用して、取付部材31における回路基板117の取り付けを補助することができる。すなわち、部品点数を増加させることなく、取付部材31の取り付けの補助が実現される。
【0091】
(第3の実施形態)
図15は、第3の実施形態の携帯電話機のフロントケース215及び回路基板17の概略的な断面図である。
【0092】
第1の実施形態では、取付部材31と第1主面17aとにより被取付部35が挟まれたのに対し、第3の実施形態では、そのような挟持が行われない。なお、第3の実施形態は、その他の構成については、第1の実施形態と同様である。
【0093】
取付部材231は、第1の実施形態と同様に、フロントケース215に形成された穴部239cに挿通される。ただし、穴部239cは、取付部材231が嵌合する大きさに形成されている。より厳密には、穴部239cと取付部材231との隙間は、被取付部235と第1主面17aとの距離よりも小さい。
【0094】
第3の実施形態によれば、携帯電話機(1)は、受話筐体(5)と、受話筐体内に配置される回路基板17とを有する。また、携帯電話機は、回路基板17の第1主面17aに設けられ、第1主面17a側において受話筐体(5)に形成された穴部39cに回路基板17に沿う所定方向(取付方向y1)において挿通されることにより回路基板17を受話筐体に対して位置決めする取付部材231を有する。携帯電話機は、回路基板17の第1主面17aに設けられ、受話筐体(5)に当接して弾性変形しており、回路基板17を取付方向y1に付勢する弾性部材33を有する。従って、第1の実施形態と同様の効果が得られる。すなわち、回路基板17の取付構造は、第1主面17a側のみに設けられ、その結果、受話筐体の薄型化等が図られる。
【0095】
本発明は、以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよい。電子機器は、携帯電話機に限定されない。例えば、電子機器は、デジタルカメラ、PDA、ゲーム機、音楽再生プレーヤであってもよい。筐体は、開閉可能に構成されたものや、直方体状に形成されたものに限定されない。例えば、筐体は、球形や円盤状のものであってもよい。取付部材、被取付部、弾性部材、支持部等の形状及び位置は、適宜に変更されてよい。
【0096】
本願からは、以下の観点の発明を抽出可能である。なお、以下では、便宜的に特許請求の範囲の請求項番号を引用することがある。また、実施形態における効果を記載することがある。
【0097】
(観点10)
前記取付部材は、表面実装部品である
請求項1〜9のいずれか一に記載の電子機器。
【0098】
実施形態では、取付部材31が表面実装部品であることにより、取付部材31は簡便に第1主面17aに設けられる。
【0099】
(観点11)
前記取付部材は、前記回路基板の端部に配置される
請求項1〜9並びに観点10のいずれか一に記載の電子機器。
【0100】
実施形態では、取付部材31が回路基板17の端部に設けられていることにより、回路基板17は、端部においてその厚さ方向において位置決めされることになり、安定して位置決めがなされる。また、図7に示すように、回路基板17をフロントケース15に対して傾斜させた状態で取付部材31を被取付部35に係合させることができ、回路基板17の取り付けが容易化される。
【0101】
(観点12)
前記筐体は、内側面から突出するリブを有し、
前記リブは、頂面の一部が切り欠かれており、切り欠かれた部分は、前記第1主面に当接する主面当接部を構成し、切り欠かれていない部分は、前記回路基板の縁部に当接する縁部当接部を構成し、
前記被取付部は、前記主面当接部の一部において、前記回路基板に沿う方向に開口し、前記取付部材が挿入される穴部が形成されることにより形成されている
請求項1〜9並びに観点10及び11のいずれか一に記載の電子機器。
【0102】
実施形態では、リブ39は、回路基板17をその主面に沿う方向において位置決めするとともに、第1主面17aとフロントケース15の内側面との間に電子部品27等を配置するための空間を形成することに寄与している。そのようなリブ39を利用して取付部材31が挿入される穴部39cが形成されることから、取付部材31による取付構造のためにフロントケース15に新たなリブ等を設ける必要はない。すなわち、本発明の取付構造が簡素な構成で実現される。
【0103】
(観点13)
前記弾性部材は、表面実装部品である
請求項4〜7、9、並びに、これら請求項を直接的又は間接的に引用する観点10〜12のいずれか一に記載の電子機器。
【0104】
実施形態では、弾性部材33が表面実装部品であることにより、弾性部材33は簡便に第1主面17aに設けられる。
【0105】
(観点14)
前記弾性部材は、前記回路基板の端部に配置される
請求項4〜7、9、これら請求項を直接的又は間接的に引用する観点10〜13のいずれか一に記載の電子機器。
【0106】
実施形態では、弾性部材33が回路基板17の端部に設けられていることにより、弾性部材33を受話筐体5に当接させて付勢力を得ることが容易である。例えば、回路基板17の縁部において回路基板17を位置決めするリブ39に弾性部材33を当接させることができる。
【0107】
(観点15)
前記回路基板は、前記弾性部材が配置される端部に切り欠き部が設けられ、
前記弾性部材は、前記回路基板を付勢している状態において少なくとも一部が前記切り欠き部に配置されている
観点14に記載の電子機器。
【0108】
実施形態では、弾性部材33の第3構成部33cが切り欠き部17cに配置されていることにより、回路基板17の周囲に新たなスペースを確保することなく、伸びの大きい弾性部材33を配置可能となる。
【0109】
(観点16)
前記筐体は、内側面から突出するリブを有し、
前記リブは、頂面の一部が切り欠かれており、切り欠かれた部分は、前記第1主面に当接する主面当接部を構成し、切り欠かれていない部分は、前記回路基板の縁部に当接する縁部当接部を構成し、
前記第3構成部は、前記主面当接部の一部の壁面に当接するものであり、
前記第3構成部には、孔部が設けられ、
前記壁面には前記孔部に嵌合する突部が形成されている
請求項7、並びに、請求項7を直接的又は間接的に引用する観点10〜15のいずれか一に記載の電子機器。
【0110】
実施形態では、観点12と同様に、第3構成部33cに当接させるためにフロントケース15に新たなリブ等を設ける必要はない。また、第3構成部33cに挿通される位置決め部41により、弾性部材33の位置決めがなされることから、弾性部材33の周囲に位置決めのための新たなスペースが必要とされることもない。
【0111】
(観点17)
表示面を有する表示装置を有し、
前記回路基板は、前記表示面の向く方向又はその反対方向に前記一方の面を向けて配置され、前記表示面の向く方向に見て前記表示装置と重ならず、前記表示面の向く方向において前記表示装置と少なくとも一部が重複している
請求項1〜9並びに観点10〜16のいずれか一に記載の電子機器。
【0112】
実施形態では、回路基板17と表示装置13とが表示面13aの向く方向に対して並列に配置されることにより、受話筐体5の薄型化が図られている。なお、観点17における電子機器は、小型化が要求される携帯電子機器又は携帯端末であることが好ましい。
【0113】
(観点18)
前記回路基板は、前記一方の面のみに電子部品が実装されており、他方の面には前記筐体の内側面が対向している
請求項1〜9並びに観点10〜17のいずれか一に記載の電子機器。
【0114】
実施形態では、リアケース19の内側面を回路基板17の第2主面17bに近接又は当接させることが可能であり、受話筐体5の薄型化が図られている。なお、観点17及び18の組み合わせでは、受話筐体5の厚さを表示装置13の厚さまで薄くすることが可能である。
【0115】
(観点19)
前記筐体に移動可能に連結された他の筐体と、
前記他の筐体内に設けられた電子部品と、
前記回路基板及び前記電子部品に接続されたフレキシブル基板と、
請求項1〜9並びに観点10〜18のいずれか一に記載の電子機器。
【0116】
実施形態では、FPC49が、回路基板17(117)と、受話筐体5に連結された送話筺体3内に設けられた回路基板51とに接続されている。FPC49は、受話筐体5及び送話筺体3の相対移動(実施形態では回転移動)に伴って撓む。この際、回路基板17がFPC49によって付勢され、位置ずれが生じるおそれがある。しかし、回路基板17は、取付部材31によって受話筐体5に対して確実に位置決めされていることから、そのような位置ずれの発生が抑制される。
【符号の説明】
【0117】
1…携帯電話機(電子機器)、5…受話筐体、17…回路基板、31…取付部材、35…被取付部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機、PDA、デジタルカメラ、ゲーム機等の電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
回路基板の筐体への取付構造として、種々のものが提案されている。特許文献1では、筐体にU字状の支持部が設けられ、当該支持部に第1回路基板の縁部が嵌合されている。支持部は、第1回路基板を両面から挟み込んでいる。また、特許文献1の技術では、第1回路基板に設けられたコネクタと、筐体に固定された第2回路基板に設けられたコネクタとが接続されている。特許文献2では、第1回路基板の一方の面に固定された第2取付具が、筐体に固定された第1取付具のスリットに嵌合されている。第1取付具は、第1回路基板の他方の面側に配置されており、第2取付具は、第1回路基板の一方の面側から他方の面側へ屈曲している。特許文献2においても、第1回路基板に設けられたコネクタと第2回路基板に設けられたコネクタとが接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−124651号公報
【特許文献2】特開平9−64566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の技術では、取付構造が回路基板の一方の面から他方の面へ跨っている。換言すれば、回路基板の両面側に取付構造のためのスペースが必要である。その結果、例えば、片面実装の回路基板の非実装面に筐体の内側面を近接又は当接させて筐体の薄型化を図ることが困難になったり、電子部品の配置に制約が生じたりする。
【0005】
本発明の目的は、回路基板を筐体に取り付けるための構造を回路基板の一方の面側に集約可能な電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電子機器は、被取付部を有する筐体と、前記筐体内に配置される回路基板と、前記回路基板の一方の面に設けられ、前記一方の面とで前記被取付部を挟んで前記回路基板を前記筐体に位置決めする取付部材と、を有する。
【0007】
好適には、前記筐体には、前記一方の面に当接し、前記回路基板をその厚み方向において位置決めする第1位置決め面と、前記取付部材の前記被取付部を挟む部分が、前記第1位置決め面に沿う所定方向に挿通される穴部と、が形成されている。
【0008】
好適には、前記取付部材は、一枚の板金により構成されており、前記一方の面に積層される積層部と、前記積層部の前記所定方向の端部において前記一方の面に対して立設された立設部と、立設部の頂部から前記所定方向へ延びて前記一方の面に対向し、前記穴部に挿通され、前記一方の面とで前記被取付部を挟む対向部と、を有する。
【0009】
好適には、前記電子機器は、前記一方の面に設けられ、前記筐体に当接して弾性変形しており、前記回路基板を、前記取付部材と前記一方の面とが前記被取付部を挟む位置へ、前記回路基板に沿う方向において付勢する弾性部材を有する。
【0010】
好適には、前記弾性部材は、被位置決め部を有し、前記筐体は、前記弾性部材の付勢方向に直交する方向において、前記被位置決め部を位置決めする位置決め部を有する。
【0011】
好適には、前記筐体は、前記一方の面のうち前記弾性部材に隣接する領域に当接して前記回路基板をその厚み方向において位置決めする第2位置決め面を有する。
【0012】
好適には、前記弾性部材は、一枚の板金により構成されており、前記一方の面に積層される第1構成部と、前記第1構成部の、前記回路基板を付勢する方向とは反対方向の端部において前記一方の面に対して立設された第2構成部と、前記第2構成部の頂部から前記一方の面側に垂下され、前記筐体に前記反対方向に当接する第3構成部と、を有する。
【0013】
好適には、前記電子機器は、前記筐体に位置決めされ、所定の電子部品に接続される第1コネクタと、前記一方の面に設けられ、前記第1コネクタに嵌合して前記回路基板の前記筐体に対する前記一方の面に沿う方向の移動を規制する第2コネクタと、を有する。
【0014】
本発明の他の観点の電子機器は、筐体と、前記筐体内に配置される回路基板と、前記回路基板の一方の面に設けられ、前記一方の面側において前記筐体に形成された穴部に前記回路基板に沿う所定方向において挿通されることにより前記回路基板を前記筐体に対して位置決めする取付部材と、前記回路基板の一方の面に設けられ、前記筐体に当接して弾性変形しており、前記回路基板を前記所定方向に付勢する弾性部材と、を有する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、回路基板を筐体に取り付けるための構造を回路基板の一方の面側に集約できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る携帯電話機の斜視図。
【図2】図1の携帯電話機の受話筐体を分解して背面側から見た斜視図。
【図3】図1のIII−III線における概略的な断面図。
【図4】図1の携帯電話機の回路基板の斜視図。
【図5】図4の回路基板のフロントケースへの固定方法を説明する断面図。
【図6】図5のフロントケースの内側面のうち被取付部周辺を示す斜視図。
【図7】図4の回路基板の取り付け途中における取付部材周辺の、一部を断面で示す斜視図。
【図8】図4の回路基板の取り付け後における取付部材周辺の、一部を断面で示す斜視図。
【図9】図5のフロントケースの内側面のうち支持部周辺を示す斜視図。
【図10】図4の回路基板の取り付け後における弾性部材周辺の、一部を断面で示す斜視図。
【図11】第2の実施形態に係る携帯電話機のフロントケース及び回路基板を示す分解斜視図。
【図12】図11の回路基板を図11とは反対側から見た斜視図。
【図13】図11の回路基板の取り付け途中における斜視図。
【図14】図11の回路基板の取り付け後における断面図。
【図15】第3の実施形態に係る携帯電話機のフロントケース及び回路基板の概略的な断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る携帯電話機1の外観を開状態で示す斜視図である。
【0018】
携帯電話機1は、いわゆる折り畳み式の携帯電話機として構成されており、連結部6において開閉可能に互いに連結された送話筐体3及び受話筐体5を有している。閉状態では、送話筐体3及び受話筐体5の紙面手前側の前面3a及び5aが互いに対向する。送話筐体3及び受話筐体5は、例えば、閉状態における対向方向において薄い薄型直方体状に形成されている。受話筐体5は、前面5aと、前面5aの背後側となる背面5bと、前面5a及び背面5bの外周側となる外周面5cとを有している。
【0019】
送話筐体3には、例えば、不図示の通話用のマイクロフォン、不図示の通信用の内蔵アンテナ、ユーザの操作を受け付ける操作部7が設けられている。受話筐体5には、例えば、通話用のスピーカ8(図2参照)、画像や文字を表示する表示部9が設けられている。
【0020】
図2は、受話筐体5を分解して背面5b側から見た斜視図である。
【0021】
受話筐体5においては、受話筐体5の前面5a側から、透光部材11と、表示装置13と、フロントケース15と、回路基板17と、リアケース19とが積層されている。
【0022】
透光部材11、フロントケース15及びリアケース19は、受話筐体5を構成するものである。フロントケース15及びリアケース19は、表示装置13や回路基板17を保持し、透光部材11は、表示装置13の表示面13aを保護しつつ視認可能とする。
【0023】
透光部材11は、例えば、透光性の樹脂により形成され、平板状に構成されている。透光部材11は、例えば、フロントケース15の前面5a側に形成された凹部に嵌合されるとともに、両面テープ21によってフロントケース15に接着される。
【0024】
フロントケース15は、例えば、樹脂部15xと、樹脂部15xに固定された板金部15yとを有している。樹脂部15xは、例えば、概ね枠状に形成され、フロントケース15の外周部を構成している。板金部15yは、フロントケース15の大部分を構成している。板金部15yの大部分(中央部分)は、樹脂部15xの開口から露出している。樹脂部15xと板金部15yとは、例えば、板金部15yの外周部分が樹脂部15xに埋設されることにより互いに固定されている。フロントケース15は、例えば、インサート成形により形成される。
【0025】
フロントケース15の前面5a側には、表示装置13が嵌合される凹部15aが形成されている。なお、凹部15aは、フロントケース15のリアケース19側においては凸部となっている。凹部15aは、板金部15yにより構成されており、凹部15aの底面(リアケース19や表示装置13に対向する面)は、凹部15aの外周部(樹脂部15x)に比較して薄く形成されている。
【0026】
リアケース19は、例えば、樹脂部19xと、樹脂部19xに固定された板金部19yとを有している。樹脂部19xは、リアケース19の連結部6側の端部の内側部分、及び、連結部6とは反対側の端部を構成している。板金部19yは、リアケース19の大部分を構成している。樹脂部19xと板金部19yとは、例えば、不図示の接着剤若しくは両面テープにより互いに固定されている。
【0027】
リアケース19は、フロントケース15側が開放された薄型の箱状に形成されている。フロントケース15とリアケース19との間には、回路基板17やスピーカ8を収容する空間が形成される。なお、本実施形態では、リアケース19のみが箱状に形成されているが、フロントケース15及びリアケース19の双方が箱状に形成されてもよいし、フロントケース15のみが箱状に形成されてもよい。リアケース19において、フロントケース15の凹部15aと対向する部分は、板金部19yにより構成されており、凹部15aと対向しない部分(樹脂部19x)に比較して薄く形成されている。
【0028】
フロントケース15とリアケース19との固定は、例えば、フロントケース15に挿通されたネジ23がリアケース19に螺合されることにより行われる。なお、リアケース19に挿通されたネジがフロントケース15に螺合されてもよい。
【0029】
表示装置13は、例えば、液晶表示装置や有機EL表示装置により構成されている。表示装置13からは、フレキシブルプリント配線板(FPC)25が延出している。FPC25には、制御用ICやコネクタ等の電子部品27が設けられている。
【0030】
なお、表示装置13、FPC25及びFPC25に実装された電子部品27全体を表示装置として捉えることもできるが、本願では、表示装置の語は、FPC25やFPC25に実装された部分は含まないものとする。すなわち、表示装置の語は、表示面13aと強度的に一体的になった部分をいい、FPC25のように、その可撓性により表示面13aに対して任意の位置に配置され得る部分は除くものとする。
【0031】
表示装置13が液晶表示装置である場合、表示装置13は、例えば、特に図示しないが、表示面13aを構成する液晶パネル、液晶パネルを照明するバックライト、及び、これらを保持する筐体を有している。表示装置13が有機EL表示装置である場合、表示装置13は、例えば、特に図示しないが、表示面13aを構成する有機ELパネルを有している。表示装置13は、例えば、表示面13aに直交する方向において薄い薄型直方体に形成されている。
【0032】
FPC25は、表示装置13から延出して表示装置13の背面に沿って延びた後、フロントケース15の凹部15aに形成された開口部15bに挿通されて、フロントケース15とリアケース19との間を延びる。また、FPC25は、開口部15bにおいて折り返され、凹部15aの外側且つ回路基板17側に延びる。電子部品27は、凹部15aの外側において、フロントケース15とリアケース19との間に収容される。
【0033】
回路基板17は、例えば、硬質の樹脂をベースとしたプリント基板により構成されている。回路基板17は、フロントケース15に対向する第1主面17aのみに電子部品29(図4参照)が実装されており、リアケース19に対向する第2主面17bには電子部品が実装されていない。第2主面17bは、全面が絶縁層により構成されていてもよいし、適宜な範囲に導電層が形成されることにより、接地などのための端子面が設けられていてもよい。
【0034】
回路基板17には、FPC49が接続されている。FPC49は、連結部6を介して送話筐体3内に挿通され、送話筺体3内の電子回路に接続されている。FPC49が撓むことにより、送話筺体3内の電子回路と受話筐体5内の電子回路との電気的接続を維持した状態での携帯電話器1の開閉が許容される。
【0035】
図3は、図1のIII−III線における概略的な断面図である。
【0036】
透光部材11(受話筐体5の前面5aを構成する部分)と表示装置13の表示面13aとは近接している。なお、透光部材11と表示面13aとの隙間は、透光部材11の曲げ剛性、表示装置13の強度及び携帯電話機1において想定される透光部材11に加えられる荷重等を考慮して適宜に設定される。
【0037】
また、表示装置13の背面を支持する凹部15aの底面は、リアケース19の内側面(受話筐体5の背面5bを構成する部分の内側面)に近接している。具体的には、凹部15aの底面とリアケース19の内側面とは、FPC25の厚さ程度の隙間で対向している。
【0038】
このように、受話筐体5は、前面5a及び背面5bを構成する部分の内側面が表示装置13に対して近接しており、送話筐体3の厚さにおいては、表示装置13の厚さが支配的となっている。また、フロントケース15及びリアケース19において、表示装置13に対向する部分は板金部15y及び19yにより構成されており、薄型化が図られている。
【0039】
図2及び図3に示すように、回路基板17は、フロントケース15及びリアケース19の対向方向(表示面13aに直交する方向)に見て表示装置13と重ならないように配置されている。具体的には、回路基板17は、表示装置13に対して連結部6側に隣接して配置されている。
【0040】
回路基板17はフロントケース15のリアケース19側に、表示装置13はフロントケース15の透光部材11側に配置されている。すなわち、回路基板17及び表示装置13は、フロントケース15に対して互いに反対側に配置されている。しかし、フロントケース15に凹部15aが設けられていることにより、回路基板17(若しくは、回路基板17及び回路基板17に実装された部品(29等))と表示装置13とは、表示面13aに直交する方向の位置が重複している。
【0041】
受話筐体5の薄型化を図りつつ、第1主面17a側に大きな電子部品29を実装するために、回路基板17の第2主面17bは、リアケース19の内側面に当接又は近接している。第2主面17bがリアケース19に近接している場合、その隙間は、例えば、リアケース19等における公差程度である。従って、例えば、フロントケース15から突出し、回路基板17の第2主面17bに係合して、回路基板17をフロントケース15に保持する爪部を設けるような従来の構造は取り得ない。
【0042】
図4は、回路基板17を第1主面17a側且つ連結部6側から見た斜視図である。
【0043】
第1主面17aには、複数の電子部品29の他に、回路基板17をフロントケース15に固定するための取付部材31及び弾性部材33が設けられている。
【0044】
図5は、回路基板17のフロントケース15への固定方法を説明する断面図(断面位置については図4のV−V線を参照)である。
【0045】
取付部材31と、回路基板17の第1主面17aとは、フロントケース15に設けられた被取付部35を挟み込む。また、弾性部材33は、フロントケース15に設けられた支持部37に当接し、回路基板17を回路基板17に沿う取付方向y1に付勢する。弾性部材33の付勢により、取付部材31及び回路基板17は、被取付部35を挟み込む位置からの位置ずれが抑制される。
【0046】
取付部材31、弾性部材33、被取付部35及び支持部37の構成は、具体的には、以下のとおりである。
【0047】
まず、取付部材31及び被取付部35について説明する。
【0048】
図4に示すように、取付部材31は、回路基板17の取付方向y1の端部に設けられている。取付部材31は、例えば、一枚の板金に対して打ち抜き加工や折り曲げ加工等のプレス加工を施すことにより形成されている。取付部材31は、例えば、板金を取付方向y1の2ヶ所において互いに逆方向に折り曲げることにより形成されている。板金は、好ましくは、矩形状であり、矩形の長手方向を取付方向y1として折り曲げられている。
【0049】
上記のような折り曲げにより、取付部材31には、第1主面17aに積層される積層部31aと、第1主面17aに対して立設された立設部31bと、第1主面17aに対して所定の間隔で対向する対向部31cとが形成されている。
【0050】
積層部31aは、例えば、概ね矩形状に形成されている。立設部31bは、例えば、積層部31aの取付方向y1側の端部において積層部31aに対して直交している。対向部31cは、例えば、立設部31bに直交するように立設部31bの上端から取付方向y1へ延びている。対向部31cの先端は、例えば、回路基板17の取付方向y1の縁部上に位置する。
【0051】
取付部材31は、例えば、第1主面17aに表面実装されている。すなわち、回路基板17には取付部材31の一部を挿入するような穴部は形成されておらず、取付部材31は、第1主面17a及び積層部31aに固着された半田により回路基板17に固定されている。半田は、第1主面17aと積層部31aとの間、及び、積層部31aの周囲の少なくとも一方に配置される。取付部材31の表面実装は、例えばリフローにより行われる。
【0052】
図6は、フロントケース15の内側面のうち被取付部35周辺を示す斜視図である。図7は、回路基板17をフロントケース15に取り付ける途中における取付部材31及び被取付部35周辺の、一部を断面(断面位置については図4のV−V線を参照)で示す斜視図である。図8は、回路基板17をフロントケース15に取り付けた状態における取付部材31及び被取付部35周辺の、一部を断面(断面位置については図4のV−V線を参照)で示す斜視図である。
【0053】
図6において、実線L1は、凹部15a(板金部15y)と、凹部15aよりも連結部6側の部分(樹脂部15x及び板金部15y)との境界位置を示している。凹部15aよりも連結部6側の部分であって、板金部15yよりもフロントケース15の内側においては、適宜に樹脂部15xの非配置位置が形成されることにより、電子部品27の頂面を収容する凹部15d(図6及び図7)が形成されている。
【0054】
図6に示すように、フロントケース15の内側面においては、樹脂部15xにより、リアケース19側に突出するリブ39が形成されている。リブ39は、頂面の一部が切り欠かれている。図6〜図8に示すように、リブ39のうち、頂面が切り欠かれた部分(主面当接部39a)は、第1主面17aに当接して回路基板17をその厚さ方向において位置決めする。頂面が切り欠かれない部分(縁部当接部39b)は、回路基板17の縁部に当接して回路基板17をその主面に沿う方向において位置決めする。なお、以下では、主面当接部39aの頂面のうち、第1主面17aに当接する部分を位置決め面39dということがある。
【0055】
図6に示すように、被取付部35は、主面当接部39aの一部において、根元側に穴部39cが形成されることにより形成された梁部である。なお、穴部39cは、リブ39の根元側へ、リブ39の根元位置よりも拡径しており、また、凹部15dと連続している。本実施形態では穴部39cは貫通孔となっているが、穴部39cは凹部であってもよい。
【0056】
被取付部35の断面形状(梁部の延びる方向に直交する断面)は、例えば、矩形である。被取付部35の取付方向y1における大きさ(リブ39の厚さ)は、例えば、対向部31cの立設部31bからの突出量と同等である。
【0057】
次に、弾性部材33及び支持部37について説明する。
【0058】
図4に示すように、弾性部材33は、回路基板17の取付方向y1とは反対側の端部(取付部材31が設けられる端部とは反対側の端部)に設けられている。弾性部材33は、例えば、板金を取付方向y1の2ヶ所において互いに逆方向に折り曲げることにより形成されている。板金は、好ましくは、矩形状であり、矩形の長手方向を取付方向y1として折り曲げられている。
【0059】
上記のような折り曲げにより、弾性部材33には、第1主面17aに積層される第1構成部33aと、第1構成部33a(第1主面17a)から立ち上がる第2構成部33bと、第2構成部33bから垂れ下がる第3構成部33cとが形成されている。
【0060】
第1構成部33aは、例えば、概ね矩形状に形成されている。第2構成部33bは、例えば、第1構成部33aの取付方向y1とは反対方向の端部において、第1主面17aに対して立設されている。ただし、第2構成部33bは、取付方向y1とは反対方向へ傾斜するように立設されている。第3構成部33cは、第2構成部33bの頂部から第1主面17a側へ垂下されている。ただし、第3構成部33cは、取付方向y1とは反対方向へ傾斜するように垂下されている。
【0061】
回路基板17において、弾性部材33が設けられる側(取付方向y1の反対方向)の端部には、切り欠き部17cが形成されている。切り欠き部17cの幅(取付方向y1に直交する方向の大きさ)は、弾性部材33の幅よりも大きい。第1構成部33aは、切り欠き部17cの取付方向y1側に隣接して配置されている。第3構成部33cは、切り欠き部17cに先端側部分が収容されている。なお、第3構成部33cは、回路基板17がフロントケース15に取り付けられたときに、第2主面17bから突出しないか、第2主面17bからの突出量がフロントケース15等の公差程度に収まることが好ましい。
【0062】
第3構成部33cには、弾性部材33を支持部37に対して位置決めするための被位置決め部としての孔部33dが形成されている。孔部33dは、例えば、矩形に形成されている。
【0063】
弾性部材33は、例えば、取付部材31と同様に、第1主面17aに表面実装されている。半田は、第1主面17aと第1構成部33aとの間、及び、第1構成部33aの周囲の少なくとも一方に配置される。弾性部材33の表面実装は、取付部材31と同様に、例えばリフローにより行われる。
【0064】
図9は、フロントケース15の内側面のうち支持部37周辺を示す斜視図である。図10は、回路基板17をフロントケース15に取り付けた状態における弾性部材33及び支持部37周辺の、一部を断面(断面位置については図4のV−V線を参照)で示す斜視図である。
【0065】
被取付部35の説明において述べたリブ39は、支持部37側においても設けられている。また、リブ39は、支持部37側においても、回路基板17の第1主面17aに当接する主面当接部39aと、回路基板17の縁部に当接する縁部当接部39bとを有している。
【0066】
支持部37は、主面当接部39aの一部により構成されている。具体的には、支持部37は、取付方向y1に直交する方向に延びる主面当接部39aの一部により構成されており、取付方向y1側に向く壁面を第3構成部33cに当接させる。なお、第3構成部33cは、外側面(第2構成部33b及び第3構成部33cによる突部の外側となる面)が支持部37の壁面に当接する。弾性部材33は、回路基板17がフロントケース15に取り付けられた状態では、概ね、第3構成部33cが支持部37の壁面に平行になる状態まで弾性変形する。
【0067】
なお、回路基板17の弾性部材33側の端部には切り欠き部17cが設けられていることから、支持部37は第1主面17aに当接しない。主面当接部39aのうち、支持部37に隣接する部分は、第1主面17aに当接する位置決め面39dを有する。
【0068】
支持部37には、弾性部材33の孔部33dに嵌合する位置決め部41が設けられている。位置決め部41は、例えば、支持部37の壁面から取付方向y1側に突出する突部により構成されている。また、位置決め部41の取付方向y1に見た形状は、例えば、孔部33dと概ね同一の形状(本実施形態では矩形)及び大きさである。従って、孔部33dに位置決め部41が嵌合することにより、弾性部材33は、支持部37に対して取付方向y1に直交する方向において位置決めされる。
【0069】
位置決め部41は、取付方向y1に沿う断面であって回路基板17に直交する断面における形状が、第1主面17aが向く側に斜辺を有する概ね直角三角形に形成されている。換言すれば、位置決め部41は、第1主面17aの向く側(図9及び図10の紙面下方側)における突出量が第2主面17bの向く側における突出量よりも小さくなっている。一方、弾性部材33は、第2主面17bの向く側に第3構成部33cの自由端が位置し、第1主面17aの向く側に第3構成部33cと第2構成部33bとの連結部が位置する。従って、位置決め部41は、第3構成部33cにおいて変位量が大きい側において突出量が大きく、第3構成部33cにおいて変位量が小さい側において突出量が少なくなっている。その結果、第3構成部33cの位置決め部41に対する着脱が容易化されている。
【0070】
フロントケース15の内側面において、回路基板17の切り欠き部17cと重なる領域には、樹脂部15xの非配置位置が形成されることにより、凹部15eが形成されている。凹部15eには、第2構成部33bと第3構成部33cとの連結部分が収容される。これにより、弾性部材33はより長く形成されることができる。
【0071】
以上の構成を有する回路基板17は、図7に示すように、まず、取付部材31側の部分がフロントケース15に近づけられ、取付部材31と第1主面17aとにより被取付部35が挟まれることにより位置決めされる。そして、図8に示すように、回路基板17は、フロントケース15の内側面に平行にされる。このとき、図10に示すように、弾性部材33は支持部37により取付方向y1において圧縮される。
【0072】
以上の実施形態によれば、携帯電話機1は、被取付部35を有する受話筐体5と、受話筐体5内に配置される回路基板17とを有する。さらに、携帯電話機1は、回路基板17の第1主面17aに設けられ、第1主面17aとで被取付部35を挟んで回路基板17を受話筐体5に位置決めする取付部材31を有する。従って、回路基板17の取付構造は、第1主面17a側のみに設けられる。その結果、例えば、リアケース19の背面5bを構成する部分を第2主面17bに近接又は当接させて受話筐体5の薄型化を図ることができる。また、例えば、第2主面17bにおいては、回路基板17に実装されない適宜な部品を配置することができることになり、設計の自由度が向上する。
【0073】
受話筐体5には、第1主面17aに当接し、回路基板17をその厚み方向において位置決めする位置決め面39dが形成されている。また、受話筐体5には、取付部材31の被取付部35を挟む部分(対向部31c)が、位置決め面39dに沿う所定方向(取付方向y1)において挿通される穴部39cが形成されている。従って、図7及び図8に示したように、回路基板17は、位置決め面39dに対して平行若しくは傾斜した状態で、取付部材31の穴部39cへの挿入又は引抜が行われることにより、フロントケース15への着脱がなされる。すなわち、回路基板17の着脱方法が簡便である。
【0074】
取付部材31は、一枚の板金により構成されており、第1主面17aに積層される積層部31aと、積層部31aの取付方向の端部において第1主面17aに対して立設された立設部31bとを有する。また、取付部材31は、立設部31bの頂部から取付方向y1へ延びて第1主面17aに対向し、穴部39cに挿通され、第1主面17aとで被取付部35を挟む対向部31cを有する。従って、板金を2回折り曲げただけの簡素な部材により、上述の効果を奏する取付構造が実現される。さらに、積層部31aは、第1主面17aに積層されることから、取付部材31に加えられる荷重に対して十分な支持力を第1主面17aから得ることが可能である。立設部31bは、取付方向y1における位置決め部として機能可能である。
【0075】
携帯電話機1は、第1主面17aに設けられ、受話筐体5に当接して弾性変形しており、取付部材31と第1主面17aとが被取付部35を挟む位置へ、回路基板17に沿う方向(取付方向y1)において回路基板17を付勢する弾性部材33を有する。従って、弾性部材33により、取付部材31が被取付部35から外れることが防止されるとともに、弾性部材33に抗して回路基板17を移動させるだけで回路基板17のフロントケース15への着脱が可能となる。すなわち、回路基板17の固定がより確実になされる一方で、回路基板17の着脱が容易化される。
【0076】
弾性部材33は、被位置決め部(孔部33d)を有し、受話筐体5は、弾性部材33の付勢方向(取付方向y1)に直交する方向において、孔部33dを位置決めする位置決め部41を有する。従って、弾性部材33は、取付部材31による回路基板17の位置決めを補助するだけでなく、回路基板17を直接的に位置決めする。その結果、部材点数を増加させることなく、回路基板17の簡便且つより確実な取り付けが実現される。
【0077】
受話筐体5は、第1主面17aのうち弾性部材33に隣接する領域に当接して回路基板17をその厚み方向において位置決めする位置決め面39d(位置決め面39dのうち図9及び図10に示した部分)を有する。従って、弾性部材33に付勢された回路基板17は、位置決め面39dに案内されることにより、取付方向y1へ移動しやすくなり、弾性部材33の設計の自由度が向上する。例えば、実施形態の弾性部材33は、第3構成部33cが第2構成部33bとの連結部分を支点として回転することから、回路基板17を取付方向y1に付勢すると共に、回路基板17を第1主面17a側にも付勢するおそれがある。しかし、回路基板17は、位置決め面39dによりその厚み方向において位置決めされているから、第1主面17a側への付勢力による不都合は生じない。むしろ、回路基板17の厚み方向の位置決めが弾性部材33により補助される。
【0078】
弾性部材33は、一枚の板金により構成されており、第1構成部33a〜第3構成部33cを有する。第1構成部33aは、第1主面17aに積層される。第2構成部33bは、第1構成部33aの、回路基板17を付勢する方向(取付方向y1)とは反対方向の端部において第1主面17aに対して立設される。第3構成部33cは、第2構成部33bの頂部から第1主面17a側に垂下され、受話筐体5に取付方向y1とは反対方向に当接する。従って、一枚の板金を折り曲げる簡素な構成で弾性部材33が実現される。さらに、図7から図8への移行時には、支持部37と第3構成部33cとを摺動させることにより、回路基板17を被取付部35と支持部37との間に嵌め込むことが可能であり、回路基板17の取り付けが容易化される。
【0079】
(第2の実施形態)
図11は、第2の実施形態に係る携帯電話機のフロントケース115及び回路基板117を示す分解斜視図である。図12は、回路基板117を図11とは反対側から見た斜視図である。
【0080】
第1の実施形態では、弾性部材33により、回路基板17の取付方向y1の反対方向への移動を規制した。第2の実施形態は、回路基板17の取付方向y1の反対方向への移動の規制方法が第1の実施形態と相違する。具体的には、第2の実施形態では、回路基板17の取付方向y1の反対方向への移動の規制は、互いに接続される第1コネクタ143(図11)及び第2コネクタ145(図12)によってなされる。なお、第2の実施形態は、上記の規制方法以外の構成については、第1の実施形態と同様である。
【0081】
第1コネクタ143は、FPC25に実装されている。第1コネクタ143は、フロントケース115に対して固定されている。より厳密には、少なくとも取付方向y1の反対方向への移動が規制されるようにフロントケース115に位置決めされている。
【0082】
例えば、第1コネクタ143は、フロントケース115の内側面から突出する係合部147により位置決めされている。係合部147は、例えば、第1コネクタ143に対して取付方向y1及びその反対方向に設けられており、当該方向における第1コネクタ143の移動を規制している。
【0083】
なお、係合部147は、回路基板117の第1主面117aに当接可能であり、回路基板117をその厚さ方向において位置決めすることにも寄与している。また、係合部147は、FPC25の切り欠き部に嵌合しており、FPC25をその面に沿う方向において位置決めすることにも寄与している。
【0084】
第2コネクタ145は、第1主面117aに実装されることにより、回路基板117に対して固定されている。第2コネクタ145は、例えば、回路基板117の取付方向y1とは反対側の端部に設けられている。
【0085】
第1コネクタ143及び第2コネクタ145は、いわゆるボードツーボードのコネクタにより構成されている。第1コネクタ143及び第2コネクタ145は、互いに移動不可能に連結されつつ電気的に接続される。例えば、第1コネクタ143及び第2コネクタ145の一方には、他方との対向方向を凹とする凹部が形成され、他方にはその凹部に嵌合する突部が形成されている。第1コネクタ143及び第2コネクタ145は、突部に凹部が嵌合することにより、対向方向に直交する方向に移動不可能となる。また、第1コネクタ143及び第2コネクタ145は、突部及び凹部に配置された複数の端子同士が接触して電気的に接続される。
【0086】
なお、図12では、回路基板117に接続されるFPC49、及び、FPC49に接続され、送話筺体3内に配置及び固定される回路基板51も図示している。回路基板51には、第3コネクタ53が設けられている。第3コネクタ53は、例えば、ボードツーボードのコネクタにより構成されている。第3コネクタ53が送話筺体3内の不図示の回路基板に設けられた不図示のコネクタに接続されることにより、回路基板51は、送話筺体3に対して固定される。
【0087】
図13は、回路基板117をフロントケース115に取り付ける途中における状態を示す斜視図である。図14は、回路基板117をフロントケース115に取り付けた状態における断面図(断面位置については図11のXIV−XIV線を参照)である。
【0088】
第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、回路基板117は、まず、フロントケース115に対して傾斜された状態で、取付部材31において位置決めされる。その後、回路基板117は、第2コネクタ145と第1コネクタ143とが接続されることにより、位置決めされる。回路基板117をフロントケース115から取り外すときは、取り付け時とは逆に、第2コネクタ145及び第1コネクタ143が非接続とされた後、取付部材31が取り外される。
【0089】
以上の第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、取付部材31に係る構成を有していることから、第1の実施形態と同様の効果を奏する。
【0090】
さらに、第2の実施形態の携帯電話機は、受話筐体に位置決めされ、FPC25に接続される第1コネクタ143を有する。また、携帯電話機は、第1主面117aに設けられ、第1コネクタ143に嵌合して回路基板117の受話筐体に対する第1主面117aに沿う方向の移動を規制する第2コネクタ145を有する。従って、FPC25と回路基板117とを電気的に接続するためのコネクタを利用して、取付部材31における回路基板117の取り付けを補助することができる。すなわち、部品点数を増加させることなく、取付部材31の取り付けの補助が実現される。
【0091】
(第3の実施形態)
図15は、第3の実施形態の携帯電話機のフロントケース215及び回路基板17の概略的な断面図である。
【0092】
第1の実施形態では、取付部材31と第1主面17aとにより被取付部35が挟まれたのに対し、第3の実施形態では、そのような挟持が行われない。なお、第3の実施形態は、その他の構成については、第1の実施形態と同様である。
【0093】
取付部材231は、第1の実施形態と同様に、フロントケース215に形成された穴部239cに挿通される。ただし、穴部239cは、取付部材231が嵌合する大きさに形成されている。より厳密には、穴部239cと取付部材231との隙間は、被取付部235と第1主面17aとの距離よりも小さい。
【0094】
第3の実施形態によれば、携帯電話機(1)は、受話筐体(5)と、受話筐体内に配置される回路基板17とを有する。また、携帯電話機は、回路基板17の第1主面17aに設けられ、第1主面17a側において受話筐体(5)に形成された穴部39cに回路基板17に沿う所定方向(取付方向y1)において挿通されることにより回路基板17を受話筐体に対して位置決めする取付部材231を有する。携帯電話機は、回路基板17の第1主面17aに設けられ、受話筐体(5)に当接して弾性変形しており、回路基板17を取付方向y1に付勢する弾性部材33を有する。従って、第1の実施形態と同様の効果が得られる。すなわち、回路基板17の取付構造は、第1主面17a側のみに設けられ、その結果、受話筐体の薄型化等が図られる。
【0095】
本発明は、以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよい。電子機器は、携帯電話機に限定されない。例えば、電子機器は、デジタルカメラ、PDA、ゲーム機、音楽再生プレーヤであってもよい。筐体は、開閉可能に構成されたものや、直方体状に形成されたものに限定されない。例えば、筐体は、球形や円盤状のものであってもよい。取付部材、被取付部、弾性部材、支持部等の形状及び位置は、適宜に変更されてよい。
【0096】
本願からは、以下の観点の発明を抽出可能である。なお、以下では、便宜的に特許請求の範囲の請求項番号を引用することがある。また、実施形態における効果を記載することがある。
【0097】
(観点10)
前記取付部材は、表面実装部品である
請求項1〜9のいずれか一に記載の電子機器。
【0098】
実施形態では、取付部材31が表面実装部品であることにより、取付部材31は簡便に第1主面17aに設けられる。
【0099】
(観点11)
前記取付部材は、前記回路基板の端部に配置される
請求項1〜9並びに観点10のいずれか一に記載の電子機器。
【0100】
実施形態では、取付部材31が回路基板17の端部に設けられていることにより、回路基板17は、端部においてその厚さ方向において位置決めされることになり、安定して位置決めがなされる。また、図7に示すように、回路基板17をフロントケース15に対して傾斜させた状態で取付部材31を被取付部35に係合させることができ、回路基板17の取り付けが容易化される。
【0101】
(観点12)
前記筐体は、内側面から突出するリブを有し、
前記リブは、頂面の一部が切り欠かれており、切り欠かれた部分は、前記第1主面に当接する主面当接部を構成し、切り欠かれていない部分は、前記回路基板の縁部に当接する縁部当接部を構成し、
前記被取付部は、前記主面当接部の一部において、前記回路基板に沿う方向に開口し、前記取付部材が挿入される穴部が形成されることにより形成されている
請求項1〜9並びに観点10及び11のいずれか一に記載の電子機器。
【0102】
実施形態では、リブ39は、回路基板17をその主面に沿う方向において位置決めするとともに、第1主面17aとフロントケース15の内側面との間に電子部品27等を配置するための空間を形成することに寄与している。そのようなリブ39を利用して取付部材31が挿入される穴部39cが形成されることから、取付部材31による取付構造のためにフロントケース15に新たなリブ等を設ける必要はない。すなわち、本発明の取付構造が簡素な構成で実現される。
【0103】
(観点13)
前記弾性部材は、表面実装部品である
請求項4〜7、9、並びに、これら請求項を直接的又は間接的に引用する観点10〜12のいずれか一に記載の電子機器。
【0104】
実施形態では、弾性部材33が表面実装部品であることにより、弾性部材33は簡便に第1主面17aに設けられる。
【0105】
(観点14)
前記弾性部材は、前記回路基板の端部に配置される
請求項4〜7、9、これら請求項を直接的又は間接的に引用する観点10〜13のいずれか一に記載の電子機器。
【0106】
実施形態では、弾性部材33が回路基板17の端部に設けられていることにより、弾性部材33を受話筐体5に当接させて付勢力を得ることが容易である。例えば、回路基板17の縁部において回路基板17を位置決めするリブ39に弾性部材33を当接させることができる。
【0107】
(観点15)
前記回路基板は、前記弾性部材が配置される端部に切り欠き部が設けられ、
前記弾性部材は、前記回路基板を付勢している状態において少なくとも一部が前記切り欠き部に配置されている
観点14に記載の電子機器。
【0108】
実施形態では、弾性部材33の第3構成部33cが切り欠き部17cに配置されていることにより、回路基板17の周囲に新たなスペースを確保することなく、伸びの大きい弾性部材33を配置可能となる。
【0109】
(観点16)
前記筐体は、内側面から突出するリブを有し、
前記リブは、頂面の一部が切り欠かれており、切り欠かれた部分は、前記第1主面に当接する主面当接部を構成し、切り欠かれていない部分は、前記回路基板の縁部に当接する縁部当接部を構成し、
前記第3構成部は、前記主面当接部の一部の壁面に当接するものであり、
前記第3構成部には、孔部が設けられ、
前記壁面には前記孔部に嵌合する突部が形成されている
請求項7、並びに、請求項7を直接的又は間接的に引用する観点10〜15のいずれか一に記載の電子機器。
【0110】
実施形態では、観点12と同様に、第3構成部33cに当接させるためにフロントケース15に新たなリブ等を設ける必要はない。また、第3構成部33cに挿通される位置決め部41により、弾性部材33の位置決めがなされることから、弾性部材33の周囲に位置決めのための新たなスペースが必要とされることもない。
【0111】
(観点17)
表示面を有する表示装置を有し、
前記回路基板は、前記表示面の向く方向又はその反対方向に前記一方の面を向けて配置され、前記表示面の向く方向に見て前記表示装置と重ならず、前記表示面の向く方向において前記表示装置と少なくとも一部が重複している
請求項1〜9並びに観点10〜16のいずれか一に記載の電子機器。
【0112】
実施形態では、回路基板17と表示装置13とが表示面13aの向く方向に対して並列に配置されることにより、受話筐体5の薄型化が図られている。なお、観点17における電子機器は、小型化が要求される携帯電子機器又は携帯端末であることが好ましい。
【0113】
(観点18)
前記回路基板は、前記一方の面のみに電子部品が実装されており、他方の面には前記筐体の内側面が対向している
請求項1〜9並びに観点10〜17のいずれか一に記載の電子機器。
【0114】
実施形態では、リアケース19の内側面を回路基板17の第2主面17bに近接又は当接させることが可能であり、受話筐体5の薄型化が図られている。なお、観点17及び18の組み合わせでは、受話筐体5の厚さを表示装置13の厚さまで薄くすることが可能である。
【0115】
(観点19)
前記筐体に移動可能に連結された他の筐体と、
前記他の筐体内に設けられた電子部品と、
前記回路基板及び前記電子部品に接続されたフレキシブル基板と、
請求項1〜9並びに観点10〜18のいずれか一に記載の電子機器。
【0116】
実施形態では、FPC49が、回路基板17(117)と、受話筐体5に連結された送話筺体3内に設けられた回路基板51とに接続されている。FPC49は、受話筐体5及び送話筺体3の相対移動(実施形態では回転移動)に伴って撓む。この際、回路基板17がFPC49によって付勢され、位置ずれが生じるおそれがある。しかし、回路基板17は、取付部材31によって受話筐体5に対して確実に位置決めされていることから、そのような位置ずれの発生が抑制される。
【符号の説明】
【0117】
1…携帯電話機(電子機器)、5…受話筐体、17…回路基板、31…取付部材、35…被取付部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被取付部を有する筐体と、
前記筐体内に配置される回路基板と、
前記回路基板の一方の面に設けられ、前記一方の面とで前記被取付部を挟んで前記回路基板を前記筐体に位置決めする取付部材と、
を有する電子機器。
【請求項2】
前記筐体には、
前記一方の面に当接し、前記回路基板をその厚み方向において位置決めする第1位置決め面と、
前記取付部材の前記被取付部を挟む部分が、前記第1位置決め面に沿う所定方向に挿通される穴部と、
が形成されている
請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記取付部材は、一枚の板金により構成されており、
前記一方の面に積層される積層部と、
前記積層部の前記所定方向の端部において前記一方の面に対して立設された立設部と、
立設部の頂部から前記所定方向へ延びて前記一方の面に対向し、前記穴部に挿通され、前記一方の面とで前記被取付部を挟む対向部と、を有する
請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記一方の面に設けられ、前記筐体に当接して弾性変形しており、前記回路基板を、前記取付部材と前記一方の面とが前記被取付部を挟む位置へ、前記回路基板に沿う方向において付勢する弾性部材を有する
請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記弾性部材は、被位置決め部を有し、
前記筐体は、前記弾性部材の付勢方向に直交する方向において、前記被位置決め部を位置決めする位置決め部を有する
請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
前記筐体は、前記一方の面のうち前記弾性部材に隣接する領域に当接して前記回路基板をその厚み方向において位置決めする第2位置決め面を有する
請求項4又は5に記載の電子機器。
【請求項7】
前記弾性部材は、一枚の板金により構成されており、
前記一方の面に積層される第1構成部と、
前記第1構成部の、前記回路基板を付勢する方向とは反対方向の端部において前記一方の面に対して立設された第2構成部と、
前記第2構成部の頂部から前記一方の面側に垂下され、前記筐体に前記反対方向に当接する第3構成部と、
を有する
請求項4〜6のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項8】
前記筐体に位置決めされ、所定の電子部品に接続される第1コネクタと、
前記一方の面に設けられ、前記第1コネクタに嵌合して前記回路基板の前記筐体に対する前記一方の面に沿う方向の移動を規制する第2コネクタと、
を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項9】
筐体と、
前記筐体内に配置される回路基板と、
前記回路基板の一方の面に設けられ、前記一方の面側において前記筐体に形成された穴部に前記回路基板に沿う所定方向において挿通されることにより前記回路基板を前記筐体に対して位置決めする取付部材と、
前記回路基板の一方の面に設けられ、前記筐体に当接して弾性変形しており、前記回路基板を前記所定方向に付勢する弾性部材と、
を有する電子機器。
【請求項1】
被取付部を有する筐体と、
前記筐体内に配置される回路基板と、
前記回路基板の一方の面に設けられ、前記一方の面とで前記被取付部を挟んで前記回路基板を前記筐体に位置決めする取付部材と、
を有する電子機器。
【請求項2】
前記筐体には、
前記一方の面に当接し、前記回路基板をその厚み方向において位置決めする第1位置決め面と、
前記取付部材の前記被取付部を挟む部分が、前記第1位置決め面に沿う所定方向に挿通される穴部と、
が形成されている
請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記取付部材は、一枚の板金により構成されており、
前記一方の面に積層される積層部と、
前記積層部の前記所定方向の端部において前記一方の面に対して立設された立設部と、
立設部の頂部から前記所定方向へ延びて前記一方の面に対向し、前記穴部に挿通され、前記一方の面とで前記被取付部を挟む対向部と、を有する
請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記一方の面に設けられ、前記筐体に当接して弾性変形しており、前記回路基板を、前記取付部材と前記一方の面とが前記被取付部を挟む位置へ、前記回路基板に沿う方向において付勢する弾性部材を有する
請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記弾性部材は、被位置決め部を有し、
前記筐体は、前記弾性部材の付勢方向に直交する方向において、前記被位置決め部を位置決めする位置決め部を有する
請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
前記筐体は、前記一方の面のうち前記弾性部材に隣接する領域に当接して前記回路基板をその厚み方向において位置決めする第2位置決め面を有する
請求項4又は5に記載の電子機器。
【請求項7】
前記弾性部材は、一枚の板金により構成されており、
前記一方の面に積層される第1構成部と、
前記第1構成部の、前記回路基板を付勢する方向とは反対方向の端部において前記一方の面に対して立設された第2構成部と、
前記第2構成部の頂部から前記一方の面側に垂下され、前記筐体に前記反対方向に当接する第3構成部と、
を有する
請求項4〜6のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項8】
前記筐体に位置決めされ、所定の電子部品に接続される第1コネクタと、
前記一方の面に設けられ、前記第1コネクタに嵌合して前記回路基板の前記筐体に対する前記一方の面に沿う方向の移動を規制する第2コネクタと、
を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項9】
筐体と、
前記筐体内に配置される回路基板と、
前記回路基板の一方の面に設けられ、前記一方の面側において前記筐体に形成された穴部に前記回路基板に沿う所定方向において挿通されることにより前記回路基板を前記筐体に対して位置決めする取付部材と、
前記回路基板の一方の面に設けられ、前記筐体に当接して弾性変形しており、前記回路基板を前記所定方向に付勢する弾性部材と、
を有する電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−219433(P2010−219433A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−66796(P2009−66796)
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]