説明

電子機器

【課題】コストアップを抑制して、動作パラメータや動作プログラムを書き換えることが出来る電子機器を提供する。
【解決手段】LED(1)と、LED(1)の両端に生じた電圧を検出するADC(14)と、検出した電圧に基づいて動作を制御するCPU(10)とを具備する。
【効果】LED(1)を受光素子として動作させ、外部から光でデータを受信可能とする。ケースを開けて内部回路にライタのコンタクトを接続したり、ケースにコネクタを設けて該コネクタにライタのコネクタを接続する必要がなくなる。受光窓をケースに設けたり、フォトダイオードやフォトトランジスタのような受光素子を追加することも必要なくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に関し、さらに詳しくは、発光素子であるLEDを受光素子として使用する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
LED(Light Emitting Diode)を発光させ、その発光パタンにより動作状態を表示する無線タグが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
他方、発光素子であるLEDを受光素子として使用する技術は知られていない。
【特許文献1】特開2005−227980号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来の無線タグでは、動作パラメータや動作プログラムを書き換えるために、ケースを開けて内部回路にライタ(データ書込装置)のコンタクトを接続したり、ケースにコネクタを設けて該コネクタにライタのコネクタを接続していた。
しかし、いずれも作業工数や部品点数が増え、コストアップになる問題点があった。
これに対し、光通信を利用することが考えられるが、受光窓をケースに設けたり、フォトダイオードやフォトトランジスタのような受光素子を追加することが必要になるため、やはり作業工数や部品点数が増え、コストアップになる問題点がある。
そこで、本発明の目的は、コストアップを抑制して、動作パラメータや動作プログラムを書き換えることが出来る電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の観点では、本発明は、LED(1)と、前記LED(1)の両端に生じた電圧を検出する電圧検出手段(14)と、前記検出した電圧に基づいて動作を制御する制御手段(11)とを具備したことを特徴とする電子機器(100)を提供する。
LEDは発光素子であるが、本願発明者が実験したところ、光を当てると電圧を発生することが判った。すなわち、受光素子としての機能を持つことが判った。
そこで、上記第1の観点による電子機器(100)では、電子機器が発光素子として備えているLED(1)を受光素子として動作させ、外部からデータを受信可能とした。これにより、ケースを開けて内部回路にライタのコンタクトを接続したり、ケースにコネクタを設けて該コネクタにライタのコネクタを接続する必要がなくなる。また、受光窓をケースに設けたり、フォトダイオードやフォトトランジスタのような受光素子を追加することも必要なくなる。よって、コストアップを抑制して、動作パラメータや動作プログラムを書き換えることが可能になる。
【0005】
第2の観点では、本発明は、前記第1の観点による電子機器(100)において、前記制御手段(11)は、前記電圧検出手段(14)で検出した電圧値と閾値とを比較して2値化する2値化手段を含むことを特徴とする電子機器(100)を提供する。
上記第2の観点による電子機器(100)では、2値データを受信可能になる。
【0006】
第3の観点では、本発明は、前記第1または第2の観点による電子機器(100)において、前記LED(1)を発光させる電圧を前記LED(1)に加える電圧印加手段(13)と、前記電圧検出手段(14)と前記電圧印加手段(13)のいずれかを選択的に前記LED(1)に接続する切替手段(15)とを具備したことを特徴とする電子機器(100)を提供する。
上記第3の観点による電子機器(100)では、電圧検出手段(14)を選択してLED(1)に接続すれば、LED(1)を受光素子として動作させることが出来る。また、電圧印加手段(13)を選択してLED(1)に接続すれば、LED(1)を発光させることが出来る。
【0007】
第4の観点では、本発明は、前記第3の観点による電子機器(100)において、前記制御手段(11)は、表示データに基づいて前記電圧印加手段(13)を駆動することを特徴とする電子機器(100)を提供する。
上記第4の観点による電子機器(100)では、LED(1)を発光させて、その発光パタンにより動作状態を表示することが出来る。
【0008】
第5の観点では、本発明は、前記第3または第4の観点による電子機器(100)において、前記制御手段(11)は、送信データに基づいて前記電圧印加手段(13)を駆動することを特徴とする電子機器(100)を提供する。
上記第5の観点による電子機器(100)では、LED(1)を発光させて、その発光パタンにより送信データを外部へ発信することが出来る。
【発明の効果】
【0009】
本発明の電子機器によれば、ケースを開けて内部回路にライタのコンタクトを接続したり、ケースにコネクタを設けて該コネクタにライタのコネクタを接続する必要がなくなる。また、受光窓をケースに設けたり、フォトダイオードやフォトトランジスタのような受光素子を追加することも必要なくなる。よって、コストアップを抑制して、動作パラメータや動作プログラムを書き換えることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図に示す実施の形態により本発明をさらに詳細に説明する。なお、これにより本発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0011】
図1の(a)は、実施例1に係る無線タグ100を示す正面図である。また、図1の(b)は、同左側面図である。
この無線タグ100は、発光パタンにより動作状態を表示するためのLED1と、外部から動作を制御するための操作ボタン2とを有している。
LED1は、例えば東芝社のTLSU1002Aである。
【0012】
図2は、無線タグ100の機能ブロック図である。
無線タグ100は、マイコン10を内蔵している。
マイコン10のポートには、LED1と、操作ボタン2と、無線送信部3とが接続されている。
【0013】
マイコン10は、例えばTI社のMSP430であり、CPU11と、メモリ12と、DAC13と、ADC14と、DAC13またはADC14の一方を選択してポートに接続する切替スイッチ15とを内蔵している。
【0014】
CPU11は、通常モードでは、LED1をDAC13に接続するように切替スイッチ15をセットすると共に操作スイッチ2の状態を定期的にチェックしている。そして、操作スイッチ2が例えば5秒間以上押され続けている状態を検知しない限り、通常モードを継続する。
通常モードでは、CPU11は、例えば定期的に識別コードを無線発信するなどの本来の無線タグとしての動作を行い、操作ボタン2の操作に応じて動作状態を示す表示データLをDAC13へ出力し、動作状態を示す発光パタンでLED1を発光させる。
【0015】
図3の(a)は、無線タグ100にデータ通信するリーダ・ライタ200を示す正面図である。また、図3の(b)は、同右側面断面図である。
このリーダ・ライタ200は、無線タグ100を嵌め込むための凹部201と、凹部201に嵌め込んだ無線タグ100のLED1と対向する位置に設けられた通信窓202と、通信窓202の直下に設置されたLED203およびフォト・トランジスタ204と、凹部201に嵌め込んだ無線タグ100の操作ボタン2を押すための突起205と、上位装置(図4の300)に接続するためのケーブル206とを有している。
LED1は、例えば東芝社のTLSU1002Aである。
【0016】
図4は、リーダ・ライタ200の機能ブロック図である。
リーダ・ライタ200は、LED203に給電するためのドライバ回路207や、フォト・トランジスタ204で生じた電圧を検出するためのプリアンプ回路208を内蔵している。
上位装置300は、無線タグ100の保守を行うための例えばホストコンピュータである。
【0017】
図5の(a)は、無線タグ100をリーダ・ライタ200の凹部201に嵌め込んだ状態を示す正面図である。図5の(b)は、同右側面一部断面図である。
リーダ・ライタ200のLED203の光は、通信窓202を通して、無線タグ100のLED1に照射される。また、無線タグ100のLED1の光は、通信窓202を通して、リーダ・ライタ200のフォト・トランジスタ204に照射される。
無線タグ100の操作ボタン2は、リーダ・ライタ200の突起205で押され続けている状態になる。
【0018】
図6は、リーダ・ライタ200から無線タグ100に動作パラメータや動作プログラムを書き込む状態を示すブロック図である。
CPU11は、操作スイッチ2が5秒間以上押され続けている状態を検知すると、光通信モードになる。
光通信モードでは、CPU11は、図6に示すようにLED1をADC14に接続するように切替スイッチ15を切り替えると共にADC14の出力値を読み込む。
【0019】
図7の(a)は、リーダ・ライタ200のLED203の発光パタンである。また、図7の(b)は、無線タグ100のLED1における発生電圧である。
LED1の発生電圧は、受光していない状態から受光している状態になった直後の20ms経過までは不安定であるが、その後は安定になり、受光していない状態では0mVとなり、受光している状態では約800mVとなる。
【0020】
そこで、CPU11は、例えば入力が500mVに対応するADC14の出力値を閾値として、ADC14の出力値を2値化し、それを受信データRとする。かくして、2値コードを受信できるので、識別コードの書変えや動作プログラムの書換えなどが可能になる。
【0021】
図8は、無線タグ100からリーダ・ライタ200へ応答を返す状態を示すブロック図である。
CPU11は、光通信モードの中で応答が必要になると、図8に示すようにLED1をDAC13に接続するように切替スイッチ15を切り替えると共に送信データTをDAC13へ出力し、送信データを示す発光パタンでLED1を発光させる。
なお、応答が済むと、図6の状態に戻る。
【0022】
また、CPU11は、操作スイッチ2が5秒間以上押され続けている状態を検知なくなると、通常モードに戻る。
【0023】
実施例1の無線タグ100によれば、ケースを開けて内部回路にライタのコンタクトを接続したり、ケースにコネクタを設けて該コネクタにライタのコネクタを接続する必要がなくなる。また、受光窓をケースに設けたり、フォトダイオードやフォトトランジスタのような受光素子を追加することも必要なくなる。よって、コストアップを抑制して、動作パラメータや動作プログラムを書き換えることが可能になる。
【実施例2】
【0024】
無線タグ100からリーダ・ライタ200への応答を無線で行ってもよい。この場合、リーダ・ライタ200は、フォト・トランジスタ204の代わりに無線受信部を備えればよい。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明は、LEDを備えている無線タグなどの電子機器に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】(a)は実施例1に係る無線タグを示す正面図、(b)は同左側面図である。
【図2】実施例1に係る無線タグの機能を示すブロック図である。
【図3】(a)はリーダ・ライタを示す正面図、(b)は同右側面断面図である。
【図4】リーダ・ライタの機能を示すブロック図である。
【図5】(a)は実施例1に係る無線タグをリーダ・ライタにセットした状態を示す正面図、(b)は同右側面一部断面図である。
【図6】リーダ・ライタから無線タグへデータを送る状態を示すブロック図である。
【図7】(a)はリーダ・ライタのLEDの発光パタンを示す波形図、(b)は無線タグのLEDにおける発生電圧を示す波形図である。
【図8】無線タグからリーダ・ライタへデータを送る状態を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0027】
1 LED
2 操作ボタン
3 無線送信部
10 マイコン
11 CPU
13 DAC(DAコンバータ)
14 ADC(ADコンバータ)
15 切替スイッチ
100 無線タグ
200 リーダ・ライタ
203 LED
204 フォト・トランジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
LED(1)と、前記LED(1)の両端に生じた電圧を検出する電圧検出手段(14)と、前記検出した電圧に基づいて動作を制御する制御手段(11)とを具備したことを特徴とする電子機器(100)。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器(100)において、前記制御手段(11)は、前記電圧検出手段(14)で検出した電圧値と閾値とを比較して2値化する2値化手段を含むことを特徴とする電子機器(100)。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電子機器(100)において、前記LED(1)を発光させる電圧を前記LED(1)に加える電圧印加手段(13)と、前記電圧検出手段(14)と前記電圧印加手段(13)のいずれかを選択的に前記LED(1)に接続する切替手段(15)とを具備したことを特徴とする電子機器(100)。
【請求項4】
請求項3に記載の電子機器(100)において、前記制御手段(11)は、表示データに基づいて前記電圧印加手段(13)を駆動することを特徴とする電子機器(100)。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の電子機器(100)において、前記制御手段(11)は、送信データに基づいて前記電圧印加手段(13)を駆動することを特徴とする電子機器(100)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−73932(P2010−73932A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−240523(P2008−240523)
【出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【出願人】(000003414)東京特殊電線株式会社 (173)
【Fターム(参考)】