説明

電子機器

【課題】
従来技術では、複数データを同時再生しようとした場合、記録時にあらかじめ決めた同
期信号を基準に記録しなければならない。また、時刻的に非同期の複数データを同時再生
しようとした場合、表示に時刻的なずれが発生する。
【解決手段】
少なくとも2種類の映像音声符号化データの復号化処理を行ない、各映像音声符号化デ
ータに対する時刻情報及び復号化音声情報及び復号化音声レベル情報を抽出し、復号化音
声レベル情報のパターン一致比較による各復号化音声情報の時刻差抽出を行ない、時刻差
を元に前記時刻情報を補正した映像音声符号化データを生成することで、時刻的に同期の
取れた映像音声符号化データを生成し、時刻的に同期の取れた同時表示を実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は映像音声符号化データ編集装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術では、複数の記録済みビデオカメラデータを再生する際に、それぞれ独立に再生して表示する方式がある。また、複数の映像音声復号化データを同時に1画面内に表示する場合、基準となる同期信号を記録装置に配信し、記録装置側では配信された同期信号を元に互いに同じ時間の中で記録する。(例えば、特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8-214255号公報(第1頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術では、複数の記録済みビデオカメラデータを再生する際に、各ビデオカメラに基準となる同期信号を配信する必要があり、さまざまなビデオカメラに対して共通仕様としなければならず、現状出回っているビデオカメラでは対応していない。従って、異なる機種のビデオカメラで記録した複数の映像音声符号化データを同時再生しようとした場合、表示に時刻的なずれが発生する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題は、一例として特許請求の範囲記載の構成により解決される。
【0006】
具体的には、少なくとも2種類の映像音声符号化データの復号化処理を行ない、各映像音声符号化データに対する時刻情報及び復号化音声情報及び復号化音声レベル情報を抽出し、復号化音声レベル情報のパタン一致比較による各復号化音声情報の時刻差抽出を行ない、時刻差を元に前記時刻情報を補正した映像音声符号化データを生成することで、時刻的に同期の取れた映像音声符号化データを生成し、時刻的に同期の取れた同時表示を実現する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、データの適切な再生動作を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図4に示す映像音声符号化データ編集装置200周辺環境の一例を示す
【図2】図4に示す映像音声符号化データ編集装置200を用いた周辺環境の一例を示す
【図3】本実施例を具体化するシステムのメニュー画の一例である
【図4】本実施例を具体化するシステムの典型的な一例である
【図5】図4に示す映像音声符号化データ編集装置200における編集部202の一例である
【図6】図4に示す映像音声符号化データ編集装置200における編集部202の別の一例である
【図7】図5に示す編集部202における音声復号化情報303のレベル図の一例である
【図8】図5に示す編集部202における音声復号化情報303のレベル図の別の一例である
【図9】図5に示す編集部202における音声復号化情報401のレベル図の別の一例である
【図10】図5に示す編集部202における音声復号化情報402のレベル図の別の一例である
【図11】本実施例を具体化するシステムフローの典型的な一例である
【図12】図11に示す編集65の詳細な一例である。
【図13】図12に示す時刻ズレ検出70の詳細な一例である。
【図14】図11に示す取り込み66の詳細な一例である。
【図15】本実施例を具体化するシステムのメニュー画の別の一例である
【図16】本実施例を具体化するシステムのメニュー画の別の一例である
【図17】本実施例を具体化するシステムのメニュー画の別の一例である
【図18】本実施例を具体化するシステムの表示画の一例である。
【図19】本実施例を具体化するシステムの表示画の別の一例である。
【図20】本実施例を具体化するシステムの表示画の別の一例である。
【図21】本実施例を具体化するシステムのメニュー画の別の一例である
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を、図面を用いて説明する。
【0010】
図1及び図2は、本実施例を具体化するシステムの典型的な一例である。
【0011】
本実施の形態は、結婚式披露宴において、外部映像音声記録機器10a、10b、10c、10d、10eを用いて、同一または異なる時刻に、同一または異なる場所で各々独立に撮影された記録データ(映像音声符号化データ)の時刻差を補正するシステムに関するものである。
【0012】
図2の編集機器11は、外部映像音声記録機器10a、10b、10c、10d、10eを順次接続し、記録データ(映像音声符号化データ)を取込み、各映像音声符号化データに対する時刻情報及び復号化音声情報及び復号化音声レベル情報を抽出し、復号化音声レベル情報のパタン一致比較による各復号化音声情報の時刻差抽出を行ない、時刻差を元に前記時刻情報を補正した映像音声符号化データを生成し、編集機器11が有する記録メディア(一例としてHDD、光ディスク、半導体メモリ)に記録するブロックである。また、記録された映像音声符号化データをモニタ12に出力し、表示させるブロックである。複数の映像音声符号化データをモニタ12に表示させても良い。図20は、2種類の映像音声符号化データを同時にモニタに表示した一例である。
【0013】
また、図4は、図1のシステムの基本的な構成図である。
3種類の映像音声符号化情報300を順次入力し、蓄積部207に蓄積する。3種類の映像音声符号化情報を300a、300b、300cとする。蓄積部207の一例としてハードディスクや半導体メモリ、光ディスク等がある。最初に時刻基準となる映像音声符号化情報300aを蓄積部207から読み出し、映像音声復号化部201にて復号化処理を行ない、時刻情報302(以後302aとする)と音声復号化情報303(以後303aとする)を抽出して編集部202に供給する。時刻情報302は、映像音声復号化情報の開始時刻または終了時刻を示す情報である。
【0014】
編集部では、時刻基準となる映像音声符号化情報300aに対する時刻情報302a及び音声復号化情報303aを保持する。引き続き時刻基準となる映像音声符号化情報300aとの比較対照となる映像音声符号化情報300bを蓄積部207から読み出し、映像音声復号化部201にて復号化処理を行ない、時刻情報302(以後302bとする)と音声復号化情報303(以後303bとする)を抽出して編集部202に供給する。編集部202では、前記時刻情報302aと302bを元に、記録時刻が重複している範囲に対して音声復号化情報303aと303bとのパタン一致比較を行ない、映像音声符号化情報300aと300bの時刻差情報を抽出する。編集部202は時刻差情報を元に、時刻基準となる映像音声符号化情報300aとの時刻差分だけ映像音声符号化情報300bの時刻情報を変更し、時刻基準となる映像音声符号化情報300aと時刻的に一致した映像音声符号化情報306(以後306bとする)を生成して、蓄積部202に供給する。蓄積部207は、映像音声符号化情報306bを蓄積する。その際に、元のデータである映像音声符号化情報300bは破棄しても良い。
【0015】
メニュー生成部203は、時刻情報302a、302b及び時刻差情報を元に、メニュー画面情報を生成するブロックである。音声映像出力部204は、蓄積部207から読み出した映像音声符号化情報300を元に映像音声復号化部にて復号化処理を行なった映像復号化情報をモニタ205に表示し、また音声復号化情報をスピーカ206に出力するブロックである。
【0016】
映像音声符号化情報300cに関しては、映像音声符号化情報300bと同様の処理を行なうことで、時刻基準となる映像音声符号化情報300aと時刻的に一致した映像音声符号化情報306(以後306cとする)を生成することが可能である。
【0017】
図5は、図4における編集部202の詳細な一例である。映像音声符号化情報306b生成時を例に説明する。時刻情報302a、302bを比較して、同一時刻範囲のデータ範囲指定部207にて、音声復号化情報303a、303bの同一時刻範囲全てまたは一部の切り出しを行なう。切出した音声復号化情報400(以後、音声復号化情報303a、303bに対応する情報をそれぞれ400a、400bとする)を帯域通過フィルタ208に入力する。帯域通過フィルタ208では、音声復号化情報400a、400bの一部周波数帯域のみ抽出し、レベル閾値フィルタ209に入力する。ここで帯域通過フィルタ208において抽出された音声復号化情報を、音声復号化情報401(以後、音声復号化情報303a、303bに対応する情報をそれぞれ401a、401bとする)とする。レベル閾値フィルタでは、音声復号化情報401a、401bのうち、所定のレベルに限定して抽出するブロックであり、抽出後の音声復号化情報402(以後、音声復号化情報303a、303bに対応する情報をそれぞれ402a、402bとする)を抽出情報保持部210に一時的に記録する。パタンマッチング部211は、抽出情報保持部210に記録された音声復号化情報403(以後、音声復号化情報303a、303bに対応する情報をそれぞれ403a、403bとする)を読み出し、パタンマッチング処理を行い、映像音声符号化情報300aと300bの時刻差分情報304(以後、音声復号化情報303aに対する303bの時刻差分情報を304bとする)を抽出する。時刻差分情報304bが示す時刻差分だけ、映像音声符号化情報300bの時刻情報を変更し、変更後の映像音声符号化情報306bを蓄積部207に蓄積する。この際に変更前の映像音声符号化情報300bは蓄積部207から削除しても良い。また、メニュー生成部203から供給されるメニュー情報305、時刻差分情報304b、304c、映像音声符号化情報300a、300b、300cを元に、映像音声符号化データ群306を生成しても良い。映像音声符号化データ群306として、DVD−VR規格や、BD規格等に沿ったデータ群がある。
【0018】
メニュー部は、時刻差分情報304と時刻情報302を元にメニュー画情報を生成するブロックである。メニュー画の一例を図3に示す。図では、5種類の映像音声符号化情報300a、300b、300c、300d、300eに対するメニュー例である。タイトルA、B、C、D、Eが、それぞれ映像音声符号化情報300a、300b、300c、300d、300eに対応しており、横軸が時間となっている。生成したメニュー情報305は編集部202に供給される。
【0019】
図21は、メニュー画の別の一例である。本例では、横軸に時間をとっており、各映像音声符号化データの先頭の一部を動画サムネイル601a、601bとして表示することを特徴としている。
【0020】
図6は、図4における編集部202の詳細な別の一例である。パタンマッチング行なう2種類の映像音声符号化情報300a、300bに対する前処理を一度に並列実行することが出来る。
【0021】
図7は、映像音声符号化情報300a、300b、300cに対する音声復号化情報303a、303b、303cのレベル図の一例を示した図である。レベル図20a、20b、20cは、横軸を時間、縦軸を音レベルとして、音声復号化情報303a、303b、303cを図示したものである。また図中に、開始時刻21a、21b、21c、終了時刻22a、22b、22c、音レベルの触れが大きい時刻23a、23b、23cを示している。音レベルのパタン一致検出を行なうことで、前記音レベルの触れが大きい時刻23a、23b、23cが同一時刻であると判定し、音声復号化情報303aに対する音声復号化情報303b、303cの時刻差(時刻23a−時刻23b)、(時刻23a−時刻23c)を抽出する。
【0022】
図8a、図8bは、同一時刻における音声レベルが異なる一例を示している。図9a、図9bは、図8a、図8bで示される映像音声符号化情報300a、300bを元に帯域通過フィルタ208で抽出した映像音声符号化情報401a、401bの一例を示している。この例では、特定の周波数帯域で比較すると、類似パタンになっており、その後のパタン一致検出の精度向上を図ることが出来る。
【0023】
図8a、図8bは、図9a、図9bで示す映像音声符号化情報401a、401bを元に、レベル閾値フィルタ209で抽出した映像音声符号化情報402a、402bの一例を示している。この例では、特徴がある範囲を特定し、その後のパタン一致比較範囲を狭めることで、パタン一致比較処理軽減を図ることが出来る。
【0024】
図11は、電源ONからメディアへの映像音声符号化データ群306記録までのフローの一例である。電源ON60後、編集メニュー選択61において、メニュー画選択62、タイトル入力63、サブタイトル入力64、編集65、メディア書込68のいずれかを選択する。
【0025】
図3は、図11のフローを用いた編集を行なうことで作成するメニュー画の一例である。メニュー画選択62では、準備された複数のメニュー画テンプレートの中から作成したいメニュー画を選択する。選択後、作成中のメニュー画に反映させる。タイトル入力63では、あらかじめ準備されたタイトルの中からの選択、または編集者がタイトルを文字入力する。選択または入力後、作成中のメニュー画に反映させる。サブタイトル入力64では、あらかじめ準備されたサブタイトルの中からの選択、または編集者がサブタイトルを文字入力する。選択または入力後、作成中のメニュー画に反映させる。その後、記録装置から映像音声符号化データを入力し、記録部に取込む。記録装置の一例として、ビデオカメラや携帯電話がある。また、取込時に開始時刻及び終了時刻を抽出し、作成中のメニュー画に反映させる。編集65は、サブタイトル毎に、先頭のサブタイトルに対応する映像音声符号化データとの時刻差を抽出し、先頭のサブタイトルに対応する映像音声符号化データ以外のサブタイトルに対応する映像音声符号化データの時刻情報を補正し、先頭のサブタイトルに対応する映像音声符号化データと時刻的に同期した映像音声符号化データに変換する。メディア書込み68では、編集前または編集後の映像音声符号化データ及び、生成したメニュー情報をメディアに書き込む。
【0026】
図12は、図11で示す編集65の詳細を示す一例である。時刻ズレ検出70後、時刻補正72を実施し、先頭のサブタイトルに対応する映像音声符号化データと時刻的に同期した映像音声符号化データに変換するほかに、GOP構造解析を行い、同一GOP構造となるように再符号化処理またはデータ分割処理を行い、記録メディアの規格に準拠した映像音声符号化データを作成し、作成情報を用いて記録メディアの規格に準拠した記録メディアを作成してもよい。記録メディアの一例として、DVD−Video規格のマルチアングルがある。また、記録メディアに準拠したメニュー情報を作成することで、メニュー画の記録メディアへの書き込みも可能である。
【0027】
図13は、図12で示す時刻ズレ検出70の詳細な一例を示す図である。
【0028】
図14は、取込み66の詳細な一例を示す図である。
【0029】
図15は、メニュー画の別の一例である。タイトルCに対応する映像音声符号化データが、複数日に渡り記録されており、更に同日中に複数記録データが存在する場合において、作成中のメニュー画中に全ての映像音声符号化データ状況を表示している。ここでは、このうち特定の映像音声符号化データ103c1を選択し、決定ボタン105を選択すると、図16で示す作成中のメニュー画に表示画変わる。
【0030】
図17は、連続再生用のメニュー画の一例を示した図である。連続再生107aは、記録時間が長いものを優先的に選択することを特徴とする。連続再生107bは、記録開始されたものに優先的に切替、記録終了時には、それ以降記録時間が存在するものの中で、その直前に再生していたものを選択することを特徴としている。連続再生107cは、最初に開始したものを最優先とし、その後は記録が長いものを優先的に選択することを特徴とする。
【0031】
図18は、同一時刻に3種類の映像音声符号化データが存在する状況において、通常500aを再生中に、特定のボタンを押した場合、同一時刻で記録されている2種類の映像音声符号化データを動画サムネイル501b、502bにて表示している表示画面を示したものである。図19は、図19で示す動画サムネイルのうち、動画サムネイル501bを選択した場合に表示される表示画面を示している。
【0032】
以上、複数の記録済みビデオカメラデータを編集または記録する映像音声符号化データ編集装置において、各データの時刻差を検出し、データの時刻情報を補正することを可能とするシステム、方法及び機器に関する本発明の好適な実施例について説明した。また、補正後の映像音声符号化データを再生し、複数同時にモニタに表示することを可能とするシステム、方法及び機器に関する本発明の好適な実施例について説明した。
【0033】
本発明によれば、少なくとも2種類の映像音声符号化データの復号化処理を行ない、各映像音声符号化データに対する時刻情報及び復号化音声情報及び復号化音声レベル情報を抽出し、復号化音声レベル情報のパタン一致比較による各復号化音声情報の時刻差抽出を行ない、時刻差を元に前記時刻情報を補正した映像音声符号化データを生成することで、時刻的に同期の取れた映像音声符号化データを生成し、時刻的に同期の取れた同時表示を実現するシステム、方法及び機器の提供を可能とする。
【符号の説明】
【0034】
201 映像音声復号化部
202 編集部
203 メニュー生成部
204 映像音声出力部
205 モニタ
206 スピーカ
207 蓄積部
300 映像音声符号化データ
301 映像音声符号化データ
302 時刻情報
303 音声復号化情報
304 時刻差分情報
305 メニュー情報
306 映像音声符号化情報
307 映像出力データ
308 音声出力データ
309 映像データ及び音声データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の映像音声符号化データの復号化処理を行ない、各映像音声符号化データに対する
時刻情報及び復号化音声情報及び復号化音声レベル情報を抽出する復号化部と、
復号化音声レベル情報のパタン一致比較による各復号化音声情報の時刻差抽出を行ない
、時刻差を元に前記時刻情報を補正した映像音声符号化データを生成することを特徴とす
る編集部とで構成されること
を特徴とする、映像音声符号化データ編集装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2011−229166(P2011−229166A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−128805(P2011−128805)
【出願日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【分割の表示】特願2007−168376(P2007−168376)の分割
【原出願日】平成19年6月27日(2007.6.27)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】