電子機器
【課題】 アルデヒドやカルボン酸等の有害物質を排出を抑制すること。
【解決手段】 光触媒分解器13は、内部空間を形成した容器41と、容器41の内部空間を仕切る光触媒基板44と、を備える。光触媒基板44の両面には、光触媒膜44a,44aが成膜されている。また、容器41の側面41aには、第1の光取込窓42が形成され、反対の側面41bには、第2の光取込窓43が形成されている。第1の光取込窓42は液晶ディスプレイ7の蛍光管32に対向している。第2の光取込窓43は、上筐体8に形成された採光窓8bに対向している。改質器16で生成されたアルデヒド、カルボン酸及び余剰な水が容器41内に供給されると、光触媒膜44aの光触媒作用により分解される。
【解決手段】 光触媒分解器13は、内部空間を形成した容器41と、容器41の内部空間を仕切る光触媒基板44と、を備える。光触媒基板44の両面には、光触媒膜44a,44aが成膜されている。また、容器41の側面41aには、第1の光取込窓42が形成され、反対の側面41bには、第2の光取込窓43が形成されている。第1の光取込窓42は液晶ディスプレイ7の蛍光管32に対向している。第2の光取込窓43は、上筐体8に形成された採光窓8bに対向している。改質器16で生成されたアルデヒド、カルボン酸及び余剰な水が容器41内に供給されると、光触媒膜44aの光触媒作用により分解される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光触媒を用いて化学物質を分解する光触媒分解器に関するとともに、該光触媒分解器を備えた発電装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、エネルギー変換効率の高いクリーンな電源として、水素の電気化学反応により電気エネルギーを生成する燃料電池が自動車や携帯機器などに応用され始めている。水素は取扱いが困難であることから、貯留した水素を燃料電池に供給するのではなく、通常はメタノール等のアルコールを貯留し、貯留したアルコールを触媒の存在下で反応させることにより水素リッチなガスを生成し、水素リッチなガスを燃料電池に供給することが行われている。また、アルコールの電気化学反応により電気エネルギーを生成するダイレクトアルコール方式の燃料電池も開発されている。
【0003】
アルコールを水素に改質した場合でも、直接アルコールを燃料電池に供給した場合でも、アルコールが分解されて、アルデヒドやカルボン酸が生成される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−315825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
アルデヒドやカルボン酸は有害物質であるため、アルデヒドやカルボン酸を回収することが望まれている。しかし、アルデヒドやカルボン酸が他の生成物と混じっているため、アルデヒドやカルボン酸を他の生成物から分離して回収することができない。他の生成物とともにアルデヒドやカルボン酸をまとめて回収しようとしても、回収した生成物を貯留する容器がかさばってしまう。特に、アルデヒドやカルボン酸等の生成物を貯留する容器を携帯機器に設けることは、携帯機器の大型化を招き、携帯機器の利便性が損なわれてしまう。
そこで、本発明は、上記のような問題点を解決しようとしてなされたものであり、アルデヒドやカルボン酸等の有害物質の排出を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するために、本発明の光触媒分解器は、内部空間を有する容器と、前記容器内に設けられた光触媒と、を備え、前記容器が光を透過するよう設けられたことを特徴とする。
前記光触媒として遷移金属酸化物又は遷移金属オキシナイトライドを用いることが好ましい。
前記容器内に光を取り込む光取込窓を前記容器に形成することが好ましい。
【0007】
以上のような光触媒分解器では、容器に光取込窓を設けること、容器を透明な材料とすること等によって、光が容器を透過するので、光が容器内の光触媒に入射する。そのため、アルデヒドやカルボン酸等の有害物質が容器内に供給されると、光触媒の作用により分解される。そのため、アルデヒドやカルボン酸等の有害物質の排出を抑制できる。
【0008】
また、光触媒はメッシュ状に形成されたフィルターに担持されていることが好ましい。さらに、光触媒自体がメッシュ状の構造体であること、もしくは、酸化物ナノホールアレイであることが好ましい。
【0009】
光触媒をこのような構成とすることによって、アルデヒドやカルボン酸等の有害物質が光触媒に接触する面積が増え、有害物質を確実にかつ効率良く分解することができる。
特に、光触媒自体がメッシュ状の構造体や酸化物ナノホールアレイであれば、フィルター等を設ける必要もなく、光触媒担持部の高効率化及び小型化に寄与することができる。
【0010】
本発明の発電装置は、前記光触媒分解器と、燃料と水の混合物を水素に改質する改質器と、前記改質器によって生成された水素と酸素の電気化学反応により電気エネルギーを生成する燃料電池と、を備え、前記改質器によって生成された生成物が前記容器の内部空間に供給されるよう設けられたことを特徴とする。
【0011】
以上のような発電装置では、改質器において燃料から水素が生成される際に、一部の燃料が分解し、アルデヒドやカルボン酸等の有害物質が生成されるが、改質器によって生成された生成物が光触媒分解器の容器の内部空間に供給されるので、有害物質が光触媒の作用により分解される。
【0012】
また、改質器に供給される水が燃料に比較して余剰となる場合、余剰の水が光触媒分解器の容器の内部空間に供給されるので、その水が光触媒の作用により水素と酸素に分解される。
【0013】
本発明の別の発電装置は、前記光触媒分解器と、燃料と水の混合物を水素に改質する改質器と、前記改質器によって生成された水素と酸素の電気化学反応により電気エネルギーを生成する燃料電池と、燃焼熱を発して、燃焼熱を前記改質器に供給する燃焼器と、を備え、前記燃料電池によって生成された生成物が前記容器の内部空間に供給され、前記容器から生成物が前記燃焼器に供給されるよう設けられたことを特徴とする。
【0014】
以上のような発電装置では、改質器において燃料から水素が生成される際に、一部の燃料が分解し、アルデヒドやカルボン酸等の有害物質が生成されるが、改質器によって生成された生成物が燃料電池を介して光触媒分解器の容器の内部空間に供給されるので、有害物質が光触媒の作用により分解される。また、燃料電池における電気化学反応により水が生成されるが、水が光触媒の作用により水素と酸素に分解され、生成された水素及び酸素が燃焼器において酸化して燃焼する。これにより燃焼熱が発生する。
【0015】
本発明の別の発電装置は、前記光触媒分解器と、燃料と水の混合物を水素に改質する改質器と、前記改質器によって生成された水素と酸素の電気化学反応により電気エネルギーを生成する燃料電池と、水素と酸素と二酸化炭素を分離する分離器と、を備え、前記燃料電池によって生成された生成物が前記容器の内部空間に供給され、前記容器から生成物が前記分離器に供給されるよう設けられたことを特徴とする。
前記分離器で分離された水素が前記燃料電池に供給されることが好ましい。
また、前記発電装置が、前記改質器から供給された生成物中の一酸化炭素を酸化させることにより一酸化炭素を除去する一酸化炭素除去器を更に備え、前記分離器で分離された酸素が前記一酸化炭素除去器に供給されるよう設けられたことが好ましい。
【0016】
以上のような発電装置では、改質器において燃料から水素が生成される際に、一部の燃料が分解し、アルデヒドやカルボン酸等の有害物質が生成されるが、改質器によって生成された生成物が燃料電池を介して光触媒分解器の容器の内部空間に供給されるので、有害物質が光触媒の作用により分解される。また、燃料電池における電気化学反応により水が生成されるが、水が光触媒の作用により水素と酸素に分解され、生成された水素が燃料電池に供給されるので、燃料電池において電気エネルギーが生成される。更には、水の分解により生成された酸素が一酸化炭素除去器に供給されるので、一酸化炭素除去器において一酸化炭素が酸化して除去される。
【0017】
本発明の別の発電装置は、前記光触媒分解器と、燃料と酸素により電気エネルギーを生成する燃料電池と、を備え、前記燃料電池によって生成された生成物が前記容器の内部空間に供給されるよう設けられたことを特徴とする。
【0018】
以上のような発電装置では、燃料電池において燃料から電気エネルギーが生成される際に、一部の燃料が分解し、アルデヒドやカルボン酸等の有害物質が生成されるが、燃料電池によって生成された生成物が光触媒分解器の容器の内部空間に供給されるので、有害物質が光触媒の作用により分解される。
また、燃料電池に供給される水が燃料に比較して余剰となる場合、余剰の水が光触媒分解器の容器の内部空間に供給されるので、その水が光触媒の作用により水素と酸素に分解される。
【0019】
本発明の別の発電装置は、前記光触媒分解器と、燃料と酸素により電気エネルギーを生成する燃料電池と、前記光触媒分解器から供給された流体の少なくとも一部を燃焼して燃焼熱を発する燃焼器と、を備えることを特徴とする。
【0020】
本発明の別の発電装置は、前記光触媒分解器と、燃料と酸素により電気エネルギーを生成する燃料電池と、前記光触媒分解器から供給された流体から水素と酸素の少なくともいずれかを分離する分離器と、を備えることを特徴とする。
前記燃料電池は、前記分離器で分離された酸素又は水素の少なくともいずれか一方が取り込まれることが好ましい。
分離器は水素及び酸素を透過し、二酸化炭素を遮蔽するガラス状高分子からなる気体分離膜や、水素を透過し、酸素を遮蔽する金属パラジウムからなる気体分離膜を有していることが好ましく、前記容器から生成された生成物を、ガラス状高分子からなる気体分離膜を通過させた後に金属パラジウムからなる気体分離膜を通過させることが良い。これによって、ガラス状高分子からなる気体分離膜によって二酸化炭素と、水素及び酸素を分離することができ、その後、金属パラジウムからなる気体分離膜によって水素と酸素とを分離することができる。
【0021】
以上のような発電装置では、燃料電池において燃料と水の混合物から電気エネルギーが生成される際に、一部の燃料が分解し、アルデヒドやカルボン酸等の有害物質が生成されるが、燃料電池によって生成された生成物が光触媒分解器の容器の内部空間に供給されるので、有害物質が光触媒の作用により分解される。また、燃料電池における電気化学反応により水が生成されるが、水が光触媒の作用により水素と酸素に分解され、生成された水素又は酸素の少なくともいずれか一方が燃料電池に供給されるので、燃料電池において電気エネルギーが生成される。
【0022】
本発明の電子機器は、前記容器内に光を取り込む光取込窓を前記容器に形成した光触媒分解器と、光を発する光源と、を備え、前記光取込窓を前記光源に対向させたことを特徴とする。
前記光源が液晶ディスプレイのバックライトであることが好ましい。
【0023】
以上の電子機器では、光源の光が光取込窓を通じて容器内の光触媒に入射する。そのため、アルデヒドやカルボン酸等の有害物質が容器内に供給されると、光触媒の作用により分解される。従って、アルデヒドやカルボン酸等の有害物質を排出しないようにすることができる。また、電子機器に設けられた液晶ディスプレイのバックライトを光源として用いれば、光触媒のために別途光源を電子機器に設けなくても済み、電子機器をシンプルにすることができる。
【0024】
本発明の別の電子機器は、前記容器内に光を取り込む光取込窓を前記容器に形成した光触媒分解器と、前記光触媒分解器を収容した筐体と、を備え、光を取り込む採光窓を前記筐体に形成し、前記光取込窓を前記採光窓に対向させたことを特徴とする。
【0025】
以上の電子機器では、筐体に採光窓が設けられているので、外光が採光窓及び光取込窓を通じて容器内の光触媒に入射する。そのため、アルデヒドやカルボン酸等の有害物質が容器内に供給されると、光触媒の作用により分解される。そのため、アルデヒドやカルボン酸等の有害物質を排出しないようにすることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、アルデヒドやカルボン酸等の有害物質の排出を抑制することができる。そのため、アルデヒドやカルボン酸等の有害物質を回収して貯留するための容器を設置する必要がなくなり、携帯機器などの大型化を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】電子機器1の斜視図である。
【図2】第1実施形態における発電モジュール4のブロック図である。
【図3】上筐体8を透視した状態で上筐体8の内部を示した斜視図である。
【図4】図3の面IVに沿った断面図である。
【図5】第2実施形態における発電モジュール104のブロック図である。
【図6】第3実施形態における発電モジュール204のブロック図である。
【図7】分離器250の断面図である。
【図8】分離器270の断面図である。
【図9】第4実施形態における発電モジュール304のブロック図である。
【図10】第5実施形態における発電モジュール404のブロック図である。
【図11】第6実施形態における発電モジュール504のブロック図である。
【図12】第7実施形態における発電モジュール604のブロック図である。
【図13】光触媒の変形例を示すためのもので、図3の面IVに沿った断面図である。
【図14】(a)は光触媒担持体47の平面図、(b)は光触媒担持体47を有害物質が通過する状態を表した模式図、(c)は光触媒担持体47が酸化物ナノホールアレイである場合の模式図である。
【図15】光触媒分解器13が蛍光管32から離れた位置に配置され、上筐体8内に光集光部9が収容された場合であり、上筐体8を透視した状態で上筐体8の内部を示した斜視図である。
【図16】図15の面IVに沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
なお、本発明において、発電モジュールは燃料改質型の発電モジュールであっても良いし、燃料直接型の発電モジュールであっても良く、以下に示す第1〜第5の実施の形態は燃料改質型の発電モジュールの場合であり、第6〜第7の実施の形態は燃料直接型の発電モジュールの場合である。
【0029】
〔第1の実施の形態〕
図1は、電子機器1の斜視図である。
図1に示すように、この電子機器1は、携帯型の電子機器であって、特にノート型パーソナルコンピュータである。電子機器1は、CPU、RAM、ROM、その他の電子部品から構成された演算処理回路等を内蔵した電子機器本体2と、電子機器本体2に対して着脱可能に設けられ、燃料と水を貯留した燃料容器3と、燃料容器3内の燃料と水を用いて発電を行い、生成した電気エネルギーを電子機器本体2に供給することにより電子機器本体2を駆動する発電モジュール4と、を備える。
【0030】
電子機器本体2は、キーボード5を備え付けた下筐体6と、液晶ディスプレイ7を備え付けた上筐体8と、を有する。上筐体8はヒンジによって回動可能となって下筐体6に接続されており、上筐体8を下筐体6に重ねてキーボード5に液晶ディスプレイ7を相対させた状態で電子機器本体2を折り畳むことができるよう構成されている。
【0031】
ヒンジ結合部とは反対側の上筐体8の側面にはスライド扉をずらすことによって開口される開口部9が形成されており、開口部9に面する収納空間10が上筐体8の内部に形成されている。また、燃料容器3が開口部9に対して挿抜可能に設けられ、この燃料容器3が上筐体8に対して着脱可能となるよう収納空間10に収納されるようになっている。
【0032】
燃料容器3には燃料と水が液体の状態で別々に貯留されており、燃料は後述する改質器16で改質される発電燃料と燃焼器14で燃焼される燃焼燃料とがあるが、ともに同じ組成でもよく、また異なっていてもよい。燃料容器3に貯留された燃料は、メタノール、エタノール等のアルコール類やエーテル類である。ここでは、一例として、燃料容器3に貯留された燃料を一級アルコールとしてメタノールとする。燃料容器3が収納空間10に収納されると、燃料容器3内の燃料と水が発電モジュール4に供給されるようになっている。
【0033】
次に、発電モジュール4について説明する。
発電モジュール4は、燃料容器3から供給された燃料と水を用いて水素を生成するマイクロリアクタ11と、マイクロリアクタ11で生成された水素の電気化学反応により電気エネルギーを生成する燃料電池12と、マイクロリアクタ11で生成された生成物に含まれるアルデヒド、カルボン酸等の有害物質を光触媒反応により分解する光触媒分解器13と、を備える。
【0034】
燃料電池12は、触媒微粒子を担持した燃料極と、触媒微粒子を担持した空気極と、燃料極と空気極との間に介在されたフィルム状の固体高分子電解質膜と、を備える。
【0035】
図2は発電モジュール4のブロック図である。図2に示すように、マイクロリアクタ11は、燃料容器3から供給された燃料を燃焼させることにより燃焼熱を発生する燃焼器14と、燃料容器3から供給された燃料と水を気化させる気化器15と、気化器15から供給された燃料と水の混合気から水素ガスを生成する改質器16と、改質器16から光触媒分解器13を介して供給された混合気から一酸化炭素を除去する一酸化炭素除去器17と、を備える。燃焼器14、気化器15、改質器16及び一酸化炭素除去器17は何れも2枚の基板を接合した構造を有し、どちらか一方又は両方の基板の接合面に葛折り状のマイクロ流路が形成されている。燃焼器14では、燃焼触媒がマイクロ流路の壁面に形成され、改質器16では、水蒸気改質触媒がマイクロ流路の壁面に形成され、一酸化炭素除去器17では、選択酸化触媒がマイクロ流路の壁面に形成されている。なお、燃料容器3と燃焼器14との間に燃料を気化する燃焼燃料気化器が介在されていてもよい。
【0036】
燃料容器3から燃料が燃焼器に供給され、外部から空気が燃焼器14に取り込まれる。燃料及び空気が燃焼器14のマイクロ流路を流動し、燃料が燃焼触媒により酸化することによって燃焼熱が発生する。発生した燃焼熱は、気化器15における気化熱、改質器16における改質反応熱、一酸化炭素除去器17における一酸化炭素酸化反応熱に用いられる。
【0037】
燃料容器3から気化器15に燃料及び水が供給される。ここで、燃料に対して水が余剰となるよう、特に燃料と水のモル比が1:1.2となるよう、燃料及び水が気化器15に供給される。供給された燃料及び水が気化器15のマイクロ流路を流動し、燃料及び水が燃焼器14の燃焼熱により加熱されて蒸発する。
【0038】
気化器15で気化した水と燃料の混合気が改質器16に供給され、水と燃料の混合気が改質器16のマイクロ流路を流動し、水と燃料が化学反応式(1)のように改質触媒によって水蒸気改質反応を起こす。また、燃料と水が完全に二酸化炭素及び水素に改質されない場合もあり、炭素、一酸化炭素も微量ながら生成される。但し、水が燃料に比較して余剰であるため、炭素の生成が抑制されている。燃料と水とから一酸化炭素が生成される化学反応は化学反応式(2)のように表される。
CH3OH+H2O→3H2+CO2 …(1)
2CH3OH+H2O→5H2+CO+CO2 … (2)
【0039】
また、改質器16においては、化学反応式(3)のようにメタノールの酸化反応によりアルデヒドとしてホルムアルデヒドが生成されるとともに、例えば化学反応式(4)のようにカルボン酸としてギ酸が生成される。
CH3OH+1/2O2→HCHO+H2O … (3)
HCHO+H2O→HCOOH+H2 … (4)
これらホルムアルデヒドやギ酸は、燃料電池12に対して被毒性を有し発電効率を低減させる要因となっていた。
【0040】
改質器16から水素、一酸化炭素、二酸化炭素、アルデヒド、カルボン酸、水等の生成物に、余剰のため未反応の水が加わった混合物が光触媒分解器13に供給され、光触媒分解器13においてアルデヒド及びカルボン酸が光触媒により水素、二酸化炭素、一酸化炭素に分解する。これにより、アルデヒド及びカルボン酸が除去される。また、改質器16で未反応の余剰な水が、光触媒分解器13において光触媒により水素と酸素に分解する。光触媒分解器13で分解された水素は、改質器16で生成された水素とともに、後述する燃料電池12での電気化学反応によって引き起こされる発電の燃料源として利用することができる。
【0041】
光触媒分解器13から水素、一酸化炭素、二酸化炭素等の混合気が一酸化炭素除去器17に供給され、外部から空気が一酸化炭素除去器17に供給される。一酸化炭素除去器17では、混合気がマイクロ流路を流動している時に、一酸化炭素が選択酸化触媒の作用を受けて特異的に酸化する。これにより、一酸化炭素が除去される。
【0042】
そして、一酸化炭素除去器17から生成物の混合気が燃料電池12の燃料極に供給され、外部から空気が燃料電池12の空気極に供給される。燃料極においては、電気化学反応式(5)に示すように、混合気中の水素が燃料極の触媒微粒子の作用を受けて水素イオンと電子とに分離する。水素イオンは固体高分子電解質膜を通じて酸素極に伝導し、電子は燃料極により取り出される。
H2→2H++2e- … (5)
【0043】
酸素極においては、電気化学反応式(6)に示すように、空気中の酸素と、固体高分子電解質膜を通過した水素イオンと、電子とが反応して水が生成される。
2H++1/2O2+2e-→H2O … (6)
【0044】
燃料電池12において生成された電気エネルギーは、電子機器本体2(図1に図示)を駆動するために用いられる。図1に示すように、以上のように構成された発電モジュール4は上筐体8に内蔵されているが、発電モジュール4のうちマイクロリアクタ11及び燃料電池12が下筐体6に内蔵されていても良い。発電モジュール4のうち光触媒分解器13は液晶ディスプレイ7の近傍、特に液晶ディスプレイ7のバックライトの近傍において上筐体8に内蔵されている。
【0045】
上筐体8の内部は、図3のように設けられている。ここで、図3は、上筐体8の一部を透視した状態で上筐体8内に収容された光触媒分解器13を示した斜視図である。
【0046】
図3に示すように、上筐体8の内部には、液晶ディスプレイ7の液晶ディスプレイパネルの背面に対向した導光板31が設置され、導光板31の側面31aに沿って側面31aに対向した冷陰極蛍光管等の蛍光管32が上筐体8の内部に設けられている。蛍光管32は液晶ディスプレイ7のバックライトであり、紫外線波長域から可視光線波長域にわたる光を発光する。蛍光管32で発した光が導光板31中を伝播し、導光板31の表面から液晶ディスプレイパネルの背面に向かって出射する。
【0047】
光触媒分解器13は容器41を有する。容器41は内部に空間を形成した直方体状の箱体である。容器41の側面41aが導光板31の側面31aに対向し、容器41の側面41aと導光板31の側面31aとの間に蛍光管32が配置され、この容器41の長手方向が蛍光管32の長手方向と平行となるよう設けられている。
【0048】
図4は、図3の面IVに沿った断面図である。図4に示すように、光、特に紫外線を透過する第1の光取込窓42が容器41の側面41aに設けられ、第1の光取込窓42が蛍光管32に対向し、蛍光管32で発した光が第1の光取込窓42を通じて容器41内に取り込まれる。第1の光取込窓42は、穴として設けられているのではなく、光を透過する材料から構成されている。
【0049】
側面41aの反対となる側面41bにも、光を透過する第2の光取込窓43が設けられ、第2の光取込窓43も第1の光取込窓42と同様に光を透過する材料から構成されている。
【0050】
容器41の側面41bは、上筐体8の側面8aに形成された採光窓8bに対向している。この採光窓8bは、穴として設けられているか、又は、光を透過する材料から構成されている。後述される流入管45から流入される流体は、反応が十分促進されるように改質器16で250℃以上に加熱されており、後述される流出管46から流出される流体は、反応が十分促進されるように一酸化炭素除去器17で150℃〜200℃の温度に制御されるので、採光窓8bは、改質器16と一酸化炭素除去器17との間でこのような温度変化になるように蓄熱又は放熱される構造であることが好ましい。
【0051】
なお、容器41に光取込窓42,43を設ける代わりに、容器41全体が光を透過する材料から形成されていても良い。すなわち、容器41のうち少なくとも蛍光管32及び採光窓8bに対向する部分が、光を透過するよう設けられていれば良い。
【0052】
容器41の内部空間には、不透明又は反射性の光触媒基板44が配設されている。この光触媒基板44の両面がそれぞれ光取込窓42,43に対向し、容器41の内部空間が光触媒基板44によって第1の光取込窓42側の領域と第2の光取込窓43側の領域に仕切られている。光触媒基板44の長さは容器41の長手方向の長さよりも短く、光触媒基板44が容器41内の一方の底面に接するとともに容器41内の他方の底面から離れ、内部空間の第1の光取込窓42側の領域が内部空間の第2の光取込窓43側の領域に通じている。光触媒基板44は不透明又は反射性なので、蛍光管32からの光が採光窓8bから外部に漏洩しないので液晶ディスプレイ7から効率よく表示光を出射することができる。
【0053】
光触媒基板44の両面には、光触媒膜44a,44aが成膜されている。光触媒膜44a,44aは、光触媒をバインダに分散させた膜である。光触媒としては、酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、酸化タングステン(WO3)、酸化ビスマス(Bi2O3)、酸化鉄(Fe2O3)、酸化ニオブ、その他の遷移金属酸化物の中から選ばれる一種又は二種以上の物質を用いることができ、ここでは、紫外線に対して活性を示す酸化チタンを光触媒膜44a,44aに用いる。酸化チタンは、アナターゼ型とルチル型があり本発明では何れも使用することができる。また、可視光に対して活性を示すよう、遷移金属オキシナイトライド(例えば、LaTiO2N、LaTaON2、TaON、Ta3N5、CaTaO2N等)を光触媒膜44a,44aの光触媒として用いても良い。光触媒膜44aの光触媒が活性を示す光波長は、蛍光管32から発する光の波長領域に含まれるようにする。
【0054】
なお、光触媒基板44の両面に光触媒膜44a,44aを成膜する代わりに、光触媒基板44全体が光触媒を分散させたバインダを板状に設けたものでも良い。また、光触媒基板44の代わりに、光触媒を含有していない基板を設け、光取込窓42,43が光触媒を分散させたバインダ(但し、光透過性の材料)から形成したものでも良い。すなわち、光触媒基板44に光触媒が含有されている場合であっても、光取込窓42,43に光触媒が含有されている場合であっても、光触媒が容器41内に設けられていることになる。
【0055】
さらに、光触媒の他の変形例について図13〜図14に基づいて説明する。なお、図13は、図4と同様に図3の面IVに沿った断面図であり、光触媒基板44Aの他に光触媒担持体47が容器41A内に所定間隔に複数設けられている。つまり、容器41A内は、図4と同様に光、特に紫外線等のように光触媒基板44A及び光触媒担持体47で担持された光触媒を励起する波長域の励起光を通過する第1の光取込窓42Aが容器41Aの側面41Aaに設けられ、この側面41Aaの反対となる側面41Abにも第2の光取込窓43Aが設けられている。容器41Aの内部空間には、図4と同様の光触媒基板44Aが配設され、これによって容器41Aの内部空間を第1の光取込窓42A側の領域と第2の光取込窓43A側の領域に仕切られている。そして、第1の光取込窓42A側の領域及び第2の光取込窓43A側の領域に容器41Aの長手方向に沿って複数の光触媒担持体47が配設されている。
図14(a)は光触媒担持体47の平面図、図14(b)は第1又は第2の光取込窓42A,43A側の領域において光触媒担持体47をメタノール、水、二酸化炭素、有害物質が通過する状態を表した模式図である。光触媒担持体47は、図14(a)、(b)に示すように円環部材471の開口部にメッシュ状のフィルター472が設けられた支持体473において、メッシュ状のフィルター472に光触媒を担持させてなるものである。すなわち、メッシュ状のフィルター472が容器41Aの長手方向に沿って面すように各光触媒担持体47が容器41A内に設けられている。フィルター472の目の粗さ及びフィルター472同士の間の距離は、燃料等の流速を損なわない程度に設定されていることが好ましい。
ここで、支持体473は金属、高分子等において、支持体473に接触するアルデヒドやカルボン酸等の有害物質を含む流体の成分に対し耐性があるものであれば特に限定しないものとする。図14(c)は、光触媒担持体47Aが酸化物ナノホールアレイである場合の模式図であり、このように光触媒自体がメッシュ状の構造体であれば、図14(a)のように支持体473を設ける必要はなく、特に光触媒担持体47の高効率化及び小型化に寄与することが可能となる。
以上のように光触媒をフィルター構造とすることによって、燃料電池12から供給されたアルデヒドやカルボン酸等の有害物質が、フィルター472面に担持された光触媒担持体47に確実に接触することとなり、また、複数の光触媒担持体47によってアルデヒドやカルボン酸等の有害物質を効率良く分解することができる。
なお、容器41Aが筒状のチューブであっても構わない。その場合には、上述の容器41Aの場合と同様に、複数の光触媒担持体47をそのフィルター472面が筒状のチューブの長手方向に沿って配列するようにチューブ内に設ける。
【0056】
容器41の一方の底面には、流入管45及び流出管46が取り付けられている。流入管45は改質器16から容器41の内部空間のうち第1の光取込窓42側の領域まで接続されている。一方、流出管46は容器41の内部空間のうち第2の光取込窓43側の領域から一酸化炭素除去器17まで接続されている。
【0057】
この光触媒分解器13においては、改質器16で生成された生成物の混合気(H2、CO2、CO、HCHO、HCOOH、H2O等からなる)が流入管45を容器41内に流れ込む。容器41内では、混合気が流入管45から流出管46へ流動する。
【0058】
ここで、蛍光管32で発した光が、第1の光取込窓42を透過して容器41内に取り込まれ、光触媒膜44aに入射する。一方、外部の光が、採光窓8b及び第2の光取込窓43を透過して容器41内に取り込まれ、光触媒膜44aに入射する。これにより、光触媒膜44aにおいて活性酸素種が生成される。容器41内を流動している混合気のうちアルデヒド及びカルボン酸が活性酸素種によって分解反応を引き起こす。アルデヒドの一例として、ホルムアルデヒドの分解反応を化学反応式(7)に示し、カルボン酸としてギ酸の分解反応を化学反応式(8)に示す。このような反応によりホルムアルデヒド及びギ酸が分解され、水素、一酸化炭素、二酸化炭素が生成される。
HCHO→H2+CO …(7)
HCOOH→H2O+CO→H2+CO2 …(8)
【0059】
また光触媒として酸化チタンを適用し400nm以下の紫外線を照射した場合、化学反応式(9)に示す反応を引き起こす。
TiO2+hν→e-+h+ …(9)
ここで、hνは、光子(400nm以下の紫外線)が持つ固有の禁制帯以上のエネルギーであり、h+は正孔である。
余剰のため未反応の水や副生成物として生成された水のうち、光触媒作用によって水素や酸素に分解されなかった水は、この正孔h+との間で化学反応式(10)に示す反応を引き起こす。
h++H2O→H++OH・ …(10)
ここでラジカルOH・は改質器16で生成された副生成物のうち触媒の触媒作用を劣化させる有機物質を分解することができる。
一方、光触媒分解器13に酸素を導入すると、正孔h+とともに生成された電子e-が、酸素との間で化学反応式(11)に示す反応を引き起こす。
e-+O2→O2- …(11)
スーパーオキシドイオンO2-は、改質器16で生成された副生成物のうち触媒の触媒作用を劣化させる炭素等を分解することができる。
このように、光触媒分解器13は余剰の水から水素や酸素を生成するばかりでなく、触媒の触媒作用を劣化させる有機物質を分解することができる。
また、容器41内の流動している混合気のうち水が光触媒作用によって分解して、水素と酸素が生成され、このうちの水素は、改質器16で生成された水素とともに、後述する燃料電池12での電気化学反応によって引き起こされる発電の燃料源として利用することができ、このうちの酸素は、一酸化炭素除去器17において、一酸化炭素を酸化して二酸化炭素にする酸素として利用することができる。改質器16で生成される一酸化炭素濃度は1%程度以下と低いので、余剰の水で生成された酸素のうち容器41から排出される酸素の残量が十分であれば、一酸化炭素除去器17に外気から直接酸素を取り込む空気供給管を設けなくてもよい。したがってこのような空気供給管から熱が外に伝搬することがないので、一酸化炭素除去器17に供給される混合気を著しく低減させることを防止し、一酸化炭素除去器17は効率よく反応を引き起こすことができる。
【0060】
なお、上記の説明では光触媒分解器13が蛍光管32の近傍に配置した場合について説明したが、光触媒分解器13が蛍光管32から離れた位置に配置しても良い。この場合、光ファイバ、導光板等の導光体によって蛍光管32の光を容器41の光取込窓42,43に導くようにしても良いし、別の蛍光管等の光源(主に可視光線を発し、部分的に紫外線を発するもの)を光取込窓42,43に対向するよう配置しても良い。
図15及び図16は光ファイバ91aを使用した一例を示しており、図15は図3と同様に上筐体8の一部を透視した状態で上筐体8内に収容された光集光部9を示した斜視図であり、図16は、図15の面IVに沿った断面図である。なお、光集光部9以外の上筐体8に収容された導光板31、蛍光管32等は上述した導光板31、蛍光管32等と同様であるので、対応する部分に対して同一の符号を伏し、その説明は省略する。図15及び図16に示すように、光集光部9は、多数の光ファイバ91aからなる光ファイバ群91と、光ファイバ群91を内部に形成された空間内に収容する直方体状の容器92とを備えている。光ファイバ91aは、光触媒を励起する波長域の励起光を選択的に伝搬するようなコア及びクラッドで構成されている。容器92の導光板31に対向する側面92aには、蛍光管32からの光を取り入れるための集光レンズ93aが所定間隔に複数嵌め込まれている。また、容器92の採光窓8bに対向する側面92bには、採光窓8bから取り込まれた外光を取り入れるための集光レンズ93bが所定間隔に複数嵌め込まれている。容器92内に収容された光ファイバ91aは、その端面が各集光レンズ93a,93bに面するように配置されている。そして、蛍光管32の光や採光窓8bから取り込まれた外光が各集光レンズ93a,93bを介して容器92内の各光ファイバ91a端面に対して十分に収束された光となって光ファイバ91a内へと導かれるようになっている。光ファイバ91a内に導かれた光のうち、励起光が選択的に発電モジュール4内の光触媒分解器13へと導かれる。
【0061】
また、常時改質器16から生成物を光触媒分解器13に供給するのではなく、通常は改質器16から生成物を一酸化炭素除去器17に供給し、発電モジュール4の起動時、停止時、負荷変動時のみ改質器16から生成物を光触媒分解器13に供給しても良い。
【0062】
以上のように、本実施の形態では、改質器16で生成されたアルデヒドやカルボン酸が光触媒分解器13において分解されるので、アルデヒドやカルボン酸等の有害物質を排出しないようにすることができる。そのため、アルデヒドやカルボン酸を他の生成物から分離して回収する機構を必要とせず、電子機器1の大型化を抑えることができる。
【0063】
また、光触媒分解器13の下流に一酸化炭素除去器17が設けられているので、光触媒分解器13におけるアルデヒドやカルボン酸の分解によって生成された一酸化炭素が一酸化炭素除去器17において分解される。そのため、燃料電池12の燃料極が一酸化炭素によって劣化することを防止することができる。また、ギ酸の分解により水素が発生するので燃料電池12に供給される水素濃度を向上することができる。
【0064】
〔第2の実施の形態〕
次に、図5を用いて第2の実施の形態について説明する。図5は、第2の実施の形態における発電モジュール104のブロック図である。ここで、図5では、第2の実施の形態の発電モジュール104においては、第1の実施の形態の発電モジュール4の何れかの部分に対応する部分に対して同一の符号を付し、発電モジュール4の何れかの部分に対応する発電モジュール104の各部についての説明は省略する。
【0065】
この発電モジュール104は、マイクロリアクタ111と、光触媒分解器13と、燃料電池12と、第2の光触媒分解器113と、を備え、第1実施形態の発電モジュール4の代わりに電子機器1に内蔵されている。
【0066】
光触媒分解器13及び燃料電池12は、第1の実施の形態における光触媒分解器13及び燃料電池12とそれぞれ同じである。マイクロリアクタ111は、第1実施形態におけるマイクロリアクタ11と同じく、気化器15、改質器16及び一酸化炭素除去器17を備えるが、燃焼器14の代わりに燃焼器114を備える。この燃焼器114は、後述する第2の光触媒分解器113から供給された水素を酸化させることにより燃焼熱を発するものであり、燃焼器114で発した燃焼熱が気化器15、改質器16及び一酸化炭素除去器17の反応に要する熱に利用される。なお、燃焼器114内部に形成された燃焼触媒は、水素の酸化を促進させる触媒である。
【0067】
第2の光触媒分解器113は図4に示した光触媒分解器13と同一の構成をしているため、第2の光触媒分解器113の各部は対応する光触媒分解器13の各部と同一の符号を援用し、第2の光触媒分解器113と光触媒分解器13との互いに異なる部分について説明する。
【0068】
第2の光触媒分解器113においては、流入管45が燃料電池12の燃料極と空気極の両方に接続され、燃料極からは二酸化炭素や電気化学反応式(5)に示す反応を起こさなかった未反応の水素が、酸素極からは水が、流入管45を通じて容器41内に供給される。容器41内では、二酸化炭素、水素、水等が流入管45から流出管46へ流動するが、容器41内を流動している混合気のうち水が光触媒作用によって分解して、水素と酸素が生成される。
【0069】
また、第2の光触媒分解器113においては、流出管46が燃焼器114に接続され、第2の光触媒分解器113で生成された水素を含む混合気が流出管46を通じて燃焼器114に供給される。燃焼器114においては、上述したように水素の酸化反応により燃焼熱が発する。
【0070】
本実施形態においても、アルデヒドやカルボン酸が光触媒分解器13において分解されるので、アルデヒドやカルボン酸等の有害物質を排出しないようにすることができる。
【0071】
〔第3の実施の形態〕
次に、図6を用いて第3の実施の形態について説明する。図6は、第3の実施の形態における発電モジュール204のブロック図である。ここで、図6では、第3の実施の形態の発電モジュール204においては、第1の実施の形態の発電モジュール4の何れかの部分に対応する部分に対して同一の符号を付し、発電モジュール4の何れかの部分に対応する発電モジュール204の各部についての説明は省略する。
【0072】
この発電モジュール204は、マイクロリアクタ11と、光触媒分解器13と、燃料電池12と、第3の光触媒分解器213と、分離器250と、を備え、第1実施形態の発電モジュール4の代わりに電子機器1に内蔵されている。
【0073】
マイクロリアクタ11、光触媒分解器13及び燃料電池12は、第1の実施の形態におけるマイクロリアクタ11、光触媒分解器13及び燃料電池12とそれぞれ同じである。但し、第3の実施の形態においては、マイクロリアクタ11の一酸化炭素除去器17には、空気に加えて後述する分離器250から酸素が供給され、燃料電池12の燃料極には、一酸化炭素除去器17からの混合気に加えて後述する分離器250から水素が供給される。
【0074】
第3の光触媒分解器213は図4に示した光触媒分解器13と同一の構成をしているため、第3の光触媒分解器213の各部は対応する光触媒分解器13の各部と同一の符号を援用し、第3の光触媒分解器213と光触媒分解器13との互いに異なる部分について説明する。
【0075】
第3の光触媒分解器213においては、流入管45が燃料電池12の燃料極と空気極の両方に接続され、燃料極からは二酸化炭素や電気化学反応式(5)に示す反応を起こさなかった未反応の水素が、酸素極からは水が流入管45を通じて容器41内に供給される。容器41内では、二酸化炭素、水素、水等が流入管45から流出管46へ流動するが、容器41内を流動している混合気のうち水が光触媒作用によって分解して、水素と酸素が生成される。
【0076】
また、第3の光触媒分解器213においては、流出管46が分離器250の流入管251(図7に図示)に接続され、第3の光触媒分解器213で生成された水素を含む混合気が流出管46及び流入管251を通じて分離器250の容器255(図7に図示)内に供給される。
【0077】
図7に示すように、容器255の内部空間は、二酸化炭素遮蔽膜(酸素及び水素の選択透過膜)256及び酸素遮蔽膜(水素選択透過膜)257によって三つの室258,259,260に仕切られている。第1の室258と第2の室259との間には、二酸化炭素遮蔽膜256が介在し、第2の室259と第3の室260との間には酸素遮蔽膜257が介在する。二酸化炭素遮蔽膜256は、ポリイミド、酢酸セルロース、ポリスルフォン、ポリアミド、ポリエーテルイミドといったガラス状高分子からなる薄膜であり、二酸化炭素を遮蔽するとともに酸素と水素を透過する性質を有する。酸素遮蔽膜257は、例えばPdからなる薄膜であり、酸素を遮蔽するとともに水素を選択的に透過する性質を有する。
【0078】
容器255には流入管251、二酸化炭素排出管252、酸素排出管253及び水素排出管254が取り付けられている。流入管251は、第3の光触媒分解器213の流出管46から第1の室258に接続されている。酸素排出管253は、第2の室259から一酸化炭素除去器17まで接続されている。水素排出管254は、第3の室260から燃料電池12の燃料極まで接続されている。
【0079】
第3の光触媒分解器213から流出管46及び流入管251を通じて第1の室258に水素、酸素、二酸化炭素等の混合気が供給されると、混合気のうち水素と酸素が二酸化炭素遮蔽膜256を透過して第2の室259に移る。第1の室258内の二酸化炭素は二酸化炭素排出管252を通じて発電モジュール204の外部に排出される。
【0080】
第2の室259に水素及び酸素が供給されると、水素が酸素遮蔽膜257を透過して第3の室260に移り、一酸化炭素を一酸化炭素除去器17において酸化するために、酸素が酸素排出管253を通じて一酸化炭素除去器17に供給される。第3の室260に供給された水素は電気化学反応式(5)に示す反応を引き起こすように水素排出管254を通じて燃料電池12の燃料極に再び供給される。
【0081】
なお、図7に示した分離器250では、二酸化炭素遮蔽膜256及び酸素遮蔽膜257が1つの容器255に収納されているが、図8のように別々の容器261,262に収納されていても良い。図8の分離器270においては、容器261の内部空間が二酸化炭素遮蔽膜267によって室263,264に仕切られ、容器262の内部空間が酸素遮蔽膜268によって室265,266に仕切られている。容器261の室264は連結管269によって容器262の室265に通じている。そして、流入管271は、第3の光触媒分解器213の流出管46から室263に接続され、酸素排出管273は、室265から一酸化炭素除去器17まで接続され、水素排出管274は、室266から燃料電池12の燃料極まで接続されている。この分離器270においても分離器250と同様に水素、酸素、二酸化炭素が分離され、分離された水素が燃料電池12の燃料極に供給され、分離された酸素が一酸化炭素除去器17に供給され、分離された二酸化炭素は室263に連結された二酸化炭素排出管272を介して外部に排出される。また室264,265の空間を、流体が流れる方向に対して直交する方向に切断した断面積のよりも、連結管269の空間を同方向に切断した断面積の方が小さい。このため、室264内の流体が移動する速度ひいては室265内の流体が移動する速度が小さいので、水素が酸素排出管273まで移動する際に酸素遮蔽膜268に接する確率が高くなり、酸素遮蔽膜268の酸素と水素の分離割合を高くすることができる。
【0082】
本実施形態においても、アルデヒドやカルボン酸が光触媒分解器13において分解されるので、アルデヒドやカルボン酸等の有害物質を排出しないようにすることができる。
【0083】
〔第4の実施の形態〕
次に、図9を用いて第4の実施の形態について説明する。図9は、第4の実施の形態における発電モジュール304のブロック図である。
【0084】
第4の実施の形態における発電モジュール304は、光触媒分解器13が設けられていない点が第2の実施の形態における発電モジュール104と異なる。つまり、第4の実施の形態の発電モジュール304では、改質器16で生成された混合気が一酸化炭素除去器17に供給され、次に、燃料電池12の燃料極に供給される。
【0085】
そのため、第2の実施形態では、光触媒分解器13においてアルデヒド及びカルボン酸並びに余剰の水が分解されていたの対し、第4の実施形態では、第2の光触媒分解器113においてアルデヒド及びカルボン酸並びに余剰の水が分解される。燃料電池12で生成された水も第2の光触媒分解器113によって水素と酸素に分解される。
【0086】
図9では、第4の実施の形態の発電モジュール304においては、第2の実施の形態の発電モジュール104の何れかの部分に対応する部分に対して同一の符号を付し、発電モジュール104の何れかの部分に対応する発電モジュール304の各部についての説明は省略する。
【0087】
本実施形態では、アルデヒドやカルボン酸が第2の光触媒分解器113において分解されるので、アルデヒドやカルボン酸等の有害物質を排出しないようにすることができる。
【0088】
〔第5の実施の形態〕
次に、図10を用いて第5の実施の形態について説明する。図10は、第5の実施の形態における発電モジュール404のブロック図である。
【0089】
第5の実施の形態における発電モジュール404は、光触媒分解器13が設けられていない点が第3の実施の形態における発電モジュール204と異なる。つまり、第5の実施の形態の発電モジュール404では、改質器16で生成された混合気が一酸化炭素除去器17に供給され、次に、燃料電池12の燃料極に供給される。
【0090】
そのため、第3の実施形態では、光触媒分解器13においてアルデヒド及びカルボン酸並びに余剰の水が分解されていたの対し、第5の実施形態では、第3の光触媒分解器213においてアルデヒド及びカルボン酸並びに余剰の水が分解される。燃料電池12で生成された水も第3の光触媒分解器213によって水素と酸素に分解される。
【0091】
図10では、第5の実施の形態の発電モジュール404においては、第3の実施の形態の発電モジュール204の何れかの部分に対応する部分に対して同一の符号を付し、発電モジュール204の何れかの部分に対応する発電モジュール404の各部についての説明は省略する。
【0092】
本実施形態では、アルデヒドやカルボン酸が第3の光触媒分解器213において分解されるので、アルデヒドやカルボン酸等の有害物質を排出しないようにすることができる。
【0093】
〔第6の実施の形態〕
次に、図11を用いて第6の実施の形態について説明する。図11は、第6の実施の形態における発電モジュール504のブロック図である。
第6の実施の形態における発電モジュール504においては、燃料直接型の発電モジュールである。
【0094】
発電モジュール504は、燃料容器3から供給された燃料と水を気化させる気化器15と、気化器15から供給された燃料と水の混合気から水素の電気化学反応により電気エネルギーを生成する燃料電池12と、燃料電池12の空気極及び燃料極からで排出される流体のうちの燃料電池12で生成された生成物に含まれるアルデヒド、カルボン酸等の有害物質を光触媒反応により分解する第4の光触媒分解器513と、第4の光触媒分解器513によって生成された生成物を液体と燃料電池12で未反応の燃料や電気化学反応を引き起こさなかった残留水素を含む気体とに分離する液体/気体分離器518と、液体/気体分離器518によって分離された水素と酸素とを燃焼させることにより燃焼熱を発生する燃焼器14と、を備える。なお、燃料直接型の発電モジュールにおいて、気化器15を省略して、液状の燃料を直接、燃料電池12に供給するようにしてもよい。
【0095】
燃料容器3から気化器15に燃料及び水が供給される。ここで、燃料及び水が気化器15において気化されてメタノール及び水蒸気の混合気となる。気化器15において生成された混合気は燃料電池12の燃料極に供給される。
【0096】
燃料電池12の燃料極では、電気化学反応式(12)に示すように、気化器15から供給された混合気を、燃料極の触媒の作用を受けて水素イオンと電子と二酸化炭素に分離する。水素イオンはイオン伝導膜を通じて空気極に伝導し、電子は燃料極により取り出される。
CH3OH+H2O→CO2+6H++6e− … (12)
【0097】
燃料電池12の空気極には、空気が取り込まれて供給される。そして、電気化学反応式(13)に示すように、空気中の酸素と、イオン伝導膜を通過した水素イオンと、燃料極により取り出された電子とが反応して水が副生成物として生成される。
6H++3/2O2+6e−→3H2O … (13)
【0098】
以上のように、燃料電池12で上記(12)、(13)に示す電気化学反応が起こることにより電気エネルギーが生成される。また、燃料電池12において生成された水、二酸化炭素が生成されるとともに、余剰のため未反応のメタノールや水が燃料電池12から排出される。さらに、第1の実施の形態の化学反応式(3)のようにメタノールの酸化反応によりアルデヒドとしてホルムアルデヒドが生成されるとともに、例えば上記化学反応式(4)のようにカルボン酸としてギ酸が生成される。また、未反応のメタノールや電気化学反応を引き起こさずに残った水素もこれら有害物質とともに、第4の光触媒分解器513に供給される。
【0099】
第4の光触媒分解器513は図4に示した光触媒分解器13と同一の構成をしているため、第4の光触媒分解器513の各部は対応する光触媒分解器13の各部と同一の符号を援用し、第4の光触媒分解器513と光触媒分解器13との互いに異なる部分について説明する。
【0100】
第4の光触媒分解器513においては、流入管45が燃料電池12の燃料極と空気極の両方に接続され、燃料極からは二酸化炭素や未反応のメタノール、水が、酸素極からは、酸素と未反応の水素、燃料極を介して燃料極と酸素極との間に介在する電解質膜を通過したメタノールや、電気化学反応により生じた水が、流入管45を通じて容器41内に供給される。また、燃料電池12の燃料極及び酸素極からアルデヒドやカルボン酸等の生成物も流入管45を通じて容器41内に供給される。容器41内では、二酸化炭素、メタノール、水、アルデヒド及びカルボン酸が流入管45から流出管46へ流動するが、容器41内を流動している混合気のうちアルデヒド及びカルボン酸が光触媒により水素、酸素、二酸化炭素に分解される。これにより、アルデヒド及びカルボン酸等の有害物質が除去される。また、燃料電池12で未反応の余剰なメタノール及び水が、光触媒作用により水素と酸素に分解され、さらに余剰のメタノール、水も流出管46から流出される。
【0101】
また、第4の光触媒分解器513においては、流出管46が液体/気体分離器518に接続され、第4の光触媒分解器513で流出された水素、酸素、メタノール、水、二酸化炭素が流出管46を通じて液体/気体分離器518に供給される。
液体/気体分離器518は、液体と気体とを分離する液体/気体分離膜を有しており、この液体/気体分離膜を透過することによってメタノールと水の液体、及び、水素、酸素、二酸化炭素からなる気体とに分離される。
また、液体/気体分離器518のうち液体流出管は気化器15に接続され、液体/気体分離器518で分離されたメタノールと水を含む液体は気化器15に供給される。
一方、液体/気体分離器518のうち気体流出管は燃焼器14に接続され、第4の光触媒分解器513で生成された水素、酸素、二酸化炭素を含む混合気が気体流出管を通じて燃焼器14に供給される。燃焼器14においては、水素と酸素とを燃焼させて廃棄させるとともに、水素の酸化反応により燃焼熱が発する。そして、この発生した燃焼熱は少なくとも気化器15、燃料電池12のいずれかの反応を促進する熱に利用される。また、燃焼器14からは二酸化炭素が発電モジュール504の外部に排出される。
【0102】
本実施形態においても、アルデヒドやカルボン酸が第4の光触媒分解器513において分解されるので、アルデヒドやカルボン酸等の有害物質を排出しないようにすることができる。
【0103】
〔第7の実施の形態〕
次に、図12を用いて第7の実施の形態について説明する。図12は、第7の実施の形態における発電モジュール604のブロック図である。
第7の実施の形態における発電モジュール604においては、燃料直接型の発電モジュールである。
【0104】
発電モジュール604は、気化器15と、燃料電池12と、第4の光触媒分解器513と、液体/気体分離器518と、分離器250と、を備える。
気化器15、燃料電池12、第4の光触媒分解器513及び液体/気体分離器518は、第6の実施の形態における気化器15、燃料電池12、第4の光触媒分解器513及び液体/気体分離器518とそれぞれ同じである。また、分離器250は、第3の実施の形態における分離器250と同じである。
【0105】
第7の実施の形態の発電モジュール604は、燃焼器14の代わりに分離器250が設けられている点で第6の実施の形態の発電モジュール504と異なる。つまり、第7の実施の形態の発電モジュール604では、第4の光触媒分解器513において流出された水素、酸素、余剰メタノール、水、二酸化炭素が、液体/気体分離器518に供給された後、液体/気体分離膜を透過させることによってメタノールと水の液体、及び、水素、酸素、二酸化炭素からなる気体とに分離される。
また、液体/気体分離器518のうち液体流出管は気化器15に接続され、液体/気体分離器518で分離されたメタノールと水を含む液体が気化器15或いは燃料電池12に直接供給される。一方、液体/気体分離器518のうち気体流出管は分離器250の流入管251に接続され、液体/気体分離器519で分離された水素、酸素、二酸化炭素を含む混合気が気体流出管及び流入管251を通じて分離器の容器255(図7に図示)内に供給される。
【0106】
液体/気体分離器518から気体流出管及び流入管251を通じて第1の室258に水素、酸素、二酸化炭素等の混合気が供給されると、混合気のうち水素と酸素が二酸化炭素遮蔽膜256を透過して第2の室259に移る。第1の室258内の二酸化炭素は二酸化炭素排出管252を通じて発電モジュール604の外部に排出される。
【0107】
第2の室259に水素及び酸素が供給されると、水素が酸素遮蔽膜2572を透過して第3の室に移り、電気化学反応式(6)に示す反応を引き起こすように酸素が酸素排出管253を通じて燃料電池12の酸素極に供給されるか、発電モジュール604の外部に排出される。第3の室260に供給された水素は電気化学反応式(5)に示す反応を引き起こすように水素排出管254を通じて燃料電池12の燃料極に再び供給される。
【0108】
本実施形態においても、アルデヒドやカルボン酸が第4の光触媒分解器513において分解されるので、アルデヒドやカルボン酸等の有害物質を排出しないようにすることができる。
【0109】
なお、本発明は、上記各実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行っても良い。
上記各実施形態のように燃料としてメタノールを用いた場合には、メタノールから生成される副生成物は、ホルムアルデヒド、ギ酸であったが、エタノールを燃料として用いた場合、副生成物はアセトアルデヒド、酢酸となる。
また、上記各実施形態及び変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0110】
1…電子機器
4、104、204、304、404、504、604…発電モジュール(発電装置)
8…上筐体
8b…採光窓
12…燃料電池
13、113、213、513…光触媒分解器
14、114…燃焼器
16…改質器
32…蛍光管(バックライト)
41…容器
42、43…光取込窓
44a…光触媒膜(光触媒)
47、47A…光触媒担持体(光触媒)
250、270…分離器
256…二酸化炭素遮蔽膜(気体分離膜)
257…酸素遮蔽膜(気体分離膜)
472…フィルター
【技術分野】
【0001】
本発明は、光触媒を用いて化学物質を分解する光触媒分解器に関するとともに、該光触媒分解器を備えた発電装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、エネルギー変換効率の高いクリーンな電源として、水素の電気化学反応により電気エネルギーを生成する燃料電池が自動車や携帯機器などに応用され始めている。水素は取扱いが困難であることから、貯留した水素を燃料電池に供給するのではなく、通常はメタノール等のアルコールを貯留し、貯留したアルコールを触媒の存在下で反応させることにより水素リッチなガスを生成し、水素リッチなガスを燃料電池に供給することが行われている。また、アルコールの電気化学反応により電気エネルギーを生成するダイレクトアルコール方式の燃料電池も開発されている。
【0003】
アルコールを水素に改質した場合でも、直接アルコールを燃料電池に供給した場合でも、アルコールが分解されて、アルデヒドやカルボン酸が生成される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−315825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
アルデヒドやカルボン酸は有害物質であるため、アルデヒドやカルボン酸を回収することが望まれている。しかし、アルデヒドやカルボン酸が他の生成物と混じっているため、アルデヒドやカルボン酸を他の生成物から分離して回収することができない。他の生成物とともにアルデヒドやカルボン酸をまとめて回収しようとしても、回収した生成物を貯留する容器がかさばってしまう。特に、アルデヒドやカルボン酸等の生成物を貯留する容器を携帯機器に設けることは、携帯機器の大型化を招き、携帯機器の利便性が損なわれてしまう。
そこで、本発明は、上記のような問題点を解決しようとしてなされたものであり、アルデヒドやカルボン酸等の有害物質の排出を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するために、本発明の光触媒分解器は、内部空間を有する容器と、前記容器内に設けられた光触媒と、を備え、前記容器が光を透過するよう設けられたことを特徴とする。
前記光触媒として遷移金属酸化物又は遷移金属オキシナイトライドを用いることが好ましい。
前記容器内に光を取り込む光取込窓を前記容器に形成することが好ましい。
【0007】
以上のような光触媒分解器では、容器に光取込窓を設けること、容器を透明な材料とすること等によって、光が容器を透過するので、光が容器内の光触媒に入射する。そのため、アルデヒドやカルボン酸等の有害物質が容器内に供給されると、光触媒の作用により分解される。そのため、アルデヒドやカルボン酸等の有害物質の排出を抑制できる。
【0008】
また、光触媒はメッシュ状に形成されたフィルターに担持されていることが好ましい。さらに、光触媒自体がメッシュ状の構造体であること、もしくは、酸化物ナノホールアレイであることが好ましい。
【0009】
光触媒をこのような構成とすることによって、アルデヒドやカルボン酸等の有害物質が光触媒に接触する面積が増え、有害物質を確実にかつ効率良く分解することができる。
特に、光触媒自体がメッシュ状の構造体や酸化物ナノホールアレイであれば、フィルター等を設ける必要もなく、光触媒担持部の高効率化及び小型化に寄与することができる。
【0010】
本発明の発電装置は、前記光触媒分解器と、燃料と水の混合物を水素に改質する改質器と、前記改質器によって生成された水素と酸素の電気化学反応により電気エネルギーを生成する燃料電池と、を備え、前記改質器によって生成された生成物が前記容器の内部空間に供給されるよう設けられたことを特徴とする。
【0011】
以上のような発電装置では、改質器において燃料から水素が生成される際に、一部の燃料が分解し、アルデヒドやカルボン酸等の有害物質が生成されるが、改質器によって生成された生成物が光触媒分解器の容器の内部空間に供給されるので、有害物質が光触媒の作用により分解される。
【0012】
また、改質器に供給される水が燃料に比較して余剰となる場合、余剰の水が光触媒分解器の容器の内部空間に供給されるので、その水が光触媒の作用により水素と酸素に分解される。
【0013】
本発明の別の発電装置は、前記光触媒分解器と、燃料と水の混合物を水素に改質する改質器と、前記改質器によって生成された水素と酸素の電気化学反応により電気エネルギーを生成する燃料電池と、燃焼熱を発して、燃焼熱を前記改質器に供給する燃焼器と、を備え、前記燃料電池によって生成された生成物が前記容器の内部空間に供給され、前記容器から生成物が前記燃焼器に供給されるよう設けられたことを特徴とする。
【0014】
以上のような発電装置では、改質器において燃料から水素が生成される際に、一部の燃料が分解し、アルデヒドやカルボン酸等の有害物質が生成されるが、改質器によって生成された生成物が燃料電池を介して光触媒分解器の容器の内部空間に供給されるので、有害物質が光触媒の作用により分解される。また、燃料電池における電気化学反応により水が生成されるが、水が光触媒の作用により水素と酸素に分解され、生成された水素及び酸素が燃焼器において酸化して燃焼する。これにより燃焼熱が発生する。
【0015】
本発明の別の発電装置は、前記光触媒分解器と、燃料と水の混合物を水素に改質する改質器と、前記改質器によって生成された水素と酸素の電気化学反応により電気エネルギーを生成する燃料電池と、水素と酸素と二酸化炭素を分離する分離器と、を備え、前記燃料電池によって生成された生成物が前記容器の内部空間に供給され、前記容器から生成物が前記分離器に供給されるよう設けられたことを特徴とする。
前記分離器で分離された水素が前記燃料電池に供給されることが好ましい。
また、前記発電装置が、前記改質器から供給された生成物中の一酸化炭素を酸化させることにより一酸化炭素を除去する一酸化炭素除去器を更に備え、前記分離器で分離された酸素が前記一酸化炭素除去器に供給されるよう設けられたことが好ましい。
【0016】
以上のような発電装置では、改質器において燃料から水素が生成される際に、一部の燃料が分解し、アルデヒドやカルボン酸等の有害物質が生成されるが、改質器によって生成された生成物が燃料電池を介して光触媒分解器の容器の内部空間に供給されるので、有害物質が光触媒の作用により分解される。また、燃料電池における電気化学反応により水が生成されるが、水が光触媒の作用により水素と酸素に分解され、生成された水素が燃料電池に供給されるので、燃料電池において電気エネルギーが生成される。更には、水の分解により生成された酸素が一酸化炭素除去器に供給されるので、一酸化炭素除去器において一酸化炭素が酸化して除去される。
【0017】
本発明の別の発電装置は、前記光触媒分解器と、燃料と酸素により電気エネルギーを生成する燃料電池と、を備え、前記燃料電池によって生成された生成物が前記容器の内部空間に供給されるよう設けられたことを特徴とする。
【0018】
以上のような発電装置では、燃料電池において燃料から電気エネルギーが生成される際に、一部の燃料が分解し、アルデヒドやカルボン酸等の有害物質が生成されるが、燃料電池によって生成された生成物が光触媒分解器の容器の内部空間に供給されるので、有害物質が光触媒の作用により分解される。
また、燃料電池に供給される水が燃料に比較して余剰となる場合、余剰の水が光触媒分解器の容器の内部空間に供給されるので、その水が光触媒の作用により水素と酸素に分解される。
【0019】
本発明の別の発電装置は、前記光触媒分解器と、燃料と酸素により電気エネルギーを生成する燃料電池と、前記光触媒分解器から供給された流体の少なくとも一部を燃焼して燃焼熱を発する燃焼器と、を備えることを特徴とする。
【0020】
本発明の別の発電装置は、前記光触媒分解器と、燃料と酸素により電気エネルギーを生成する燃料電池と、前記光触媒分解器から供給された流体から水素と酸素の少なくともいずれかを分離する分離器と、を備えることを特徴とする。
前記燃料電池は、前記分離器で分離された酸素又は水素の少なくともいずれか一方が取り込まれることが好ましい。
分離器は水素及び酸素を透過し、二酸化炭素を遮蔽するガラス状高分子からなる気体分離膜や、水素を透過し、酸素を遮蔽する金属パラジウムからなる気体分離膜を有していることが好ましく、前記容器から生成された生成物を、ガラス状高分子からなる気体分離膜を通過させた後に金属パラジウムからなる気体分離膜を通過させることが良い。これによって、ガラス状高分子からなる気体分離膜によって二酸化炭素と、水素及び酸素を分離することができ、その後、金属パラジウムからなる気体分離膜によって水素と酸素とを分離することができる。
【0021】
以上のような発電装置では、燃料電池において燃料と水の混合物から電気エネルギーが生成される際に、一部の燃料が分解し、アルデヒドやカルボン酸等の有害物質が生成されるが、燃料電池によって生成された生成物が光触媒分解器の容器の内部空間に供給されるので、有害物質が光触媒の作用により分解される。また、燃料電池における電気化学反応により水が生成されるが、水が光触媒の作用により水素と酸素に分解され、生成された水素又は酸素の少なくともいずれか一方が燃料電池に供給されるので、燃料電池において電気エネルギーが生成される。
【0022】
本発明の電子機器は、前記容器内に光を取り込む光取込窓を前記容器に形成した光触媒分解器と、光を発する光源と、を備え、前記光取込窓を前記光源に対向させたことを特徴とする。
前記光源が液晶ディスプレイのバックライトであることが好ましい。
【0023】
以上の電子機器では、光源の光が光取込窓を通じて容器内の光触媒に入射する。そのため、アルデヒドやカルボン酸等の有害物質が容器内に供給されると、光触媒の作用により分解される。従って、アルデヒドやカルボン酸等の有害物質を排出しないようにすることができる。また、電子機器に設けられた液晶ディスプレイのバックライトを光源として用いれば、光触媒のために別途光源を電子機器に設けなくても済み、電子機器をシンプルにすることができる。
【0024】
本発明の別の電子機器は、前記容器内に光を取り込む光取込窓を前記容器に形成した光触媒分解器と、前記光触媒分解器を収容した筐体と、を備え、光を取り込む採光窓を前記筐体に形成し、前記光取込窓を前記採光窓に対向させたことを特徴とする。
【0025】
以上の電子機器では、筐体に採光窓が設けられているので、外光が採光窓及び光取込窓を通じて容器内の光触媒に入射する。そのため、アルデヒドやカルボン酸等の有害物質が容器内に供給されると、光触媒の作用により分解される。そのため、アルデヒドやカルボン酸等の有害物質を排出しないようにすることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、アルデヒドやカルボン酸等の有害物質の排出を抑制することができる。そのため、アルデヒドやカルボン酸等の有害物質を回収して貯留するための容器を設置する必要がなくなり、携帯機器などの大型化を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】電子機器1の斜視図である。
【図2】第1実施形態における発電モジュール4のブロック図である。
【図3】上筐体8を透視した状態で上筐体8の内部を示した斜視図である。
【図4】図3の面IVに沿った断面図である。
【図5】第2実施形態における発電モジュール104のブロック図である。
【図6】第3実施形態における発電モジュール204のブロック図である。
【図7】分離器250の断面図である。
【図8】分離器270の断面図である。
【図9】第4実施形態における発電モジュール304のブロック図である。
【図10】第5実施形態における発電モジュール404のブロック図である。
【図11】第6実施形態における発電モジュール504のブロック図である。
【図12】第7実施形態における発電モジュール604のブロック図である。
【図13】光触媒の変形例を示すためのもので、図3の面IVに沿った断面図である。
【図14】(a)は光触媒担持体47の平面図、(b)は光触媒担持体47を有害物質が通過する状態を表した模式図、(c)は光触媒担持体47が酸化物ナノホールアレイである場合の模式図である。
【図15】光触媒分解器13が蛍光管32から離れた位置に配置され、上筐体8内に光集光部9が収容された場合であり、上筐体8を透視した状態で上筐体8の内部を示した斜視図である。
【図16】図15の面IVに沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
なお、本発明において、発電モジュールは燃料改質型の発電モジュールであっても良いし、燃料直接型の発電モジュールであっても良く、以下に示す第1〜第5の実施の形態は燃料改質型の発電モジュールの場合であり、第6〜第7の実施の形態は燃料直接型の発電モジュールの場合である。
【0029】
〔第1の実施の形態〕
図1は、電子機器1の斜視図である。
図1に示すように、この電子機器1は、携帯型の電子機器であって、特にノート型パーソナルコンピュータである。電子機器1は、CPU、RAM、ROM、その他の電子部品から構成された演算処理回路等を内蔵した電子機器本体2と、電子機器本体2に対して着脱可能に設けられ、燃料と水を貯留した燃料容器3と、燃料容器3内の燃料と水を用いて発電を行い、生成した電気エネルギーを電子機器本体2に供給することにより電子機器本体2を駆動する発電モジュール4と、を備える。
【0030】
電子機器本体2は、キーボード5を備え付けた下筐体6と、液晶ディスプレイ7を備え付けた上筐体8と、を有する。上筐体8はヒンジによって回動可能となって下筐体6に接続されており、上筐体8を下筐体6に重ねてキーボード5に液晶ディスプレイ7を相対させた状態で電子機器本体2を折り畳むことができるよう構成されている。
【0031】
ヒンジ結合部とは反対側の上筐体8の側面にはスライド扉をずらすことによって開口される開口部9が形成されており、開口部9に面する収納空間10が上筐体8の内部に形成されている。また、燃料容器3が開口部9に対して挿抜可能に設けられ、この燃料容器3が上筐体8に対して着脱可能となるよう収納空間10に収納されるようになっている。
【0032】
燃料容器3には燃料と水が液体の状態で別々に貯留されており、燃料は後述する改質器16で改質される発電燃料と燃焼器14で燃焼される燃焼燃料とがあるが、ともに同じ組成でもよく、また異なっていてもよい。燃料容器3に貯留された燃料は、メタノール、エタノール等のアルコール類やエーテル類である。ここでは、一例として、燃料容器3に貯留された燃料を一級アルコールとしてメタノールとする。燃料容器3が収納空間10に収納されると、燃料容器3内の燃料と水が発電モジュール4に供給されるようになっている。
【0033】
次に、発電モジュール4について説明する。
発電モジュール4は、燃料容器3から供給された燃料と水を用いて水素を生成するマイクロリアクタ11と、マイクロリアクタ11で生成された水素の電気化学反応により電気エネルギーを生成する燃料電池12と、マイクロリアクタ11で生成された生成物に含まれるアルデヒド、カルボン酸等の有害物質を光触媒反応により分解する光触媒分解器13と、を備える。
【0034】
燃料電池12は、触媒微粒子を担持した燃料極と、触媒微粒子を担持した空気極と、燃料極と空気極との間に介在されたフィルム状の固体高分子電解質膜と、を備える。
【0035】
図2は発電モジュール4のブロック図である。図2に示すように、マイクロリアクタ11は、燃料容器3から供給された燃料を燃焼させることにより燃焼熱を発生する燃焼器14と、燃料容器3から供給された燃料と水を気化させる気化器15と、気化器15から供給された燃料と水の混合気から水素ガスを生成する改質器16と、改質器16から光触媒分解器13を介して供給された混合気から一酸化炭素を除去する一酸化炭素除去器17と、を備える。燃焼器14、気化器15、改質器16及び一酸化炭素除去器17は何れも2枚の基板を接合した構造を有し、どちらか一方又は両方の基板の接合面に葛折り状のマイクロ流路が形成されている。燃焼器14では、燃焼触媒がマイクロ流路の壁面に形成され、改質器16では、水蒸気改質触媒がマイクロ流路の壁面に形成され、一酸化炭素除去器17では、選択酸化触媒がマイクロ流路の壁面に形成されている。なお、燃料容器3と燃焼器14との間に燃料を気化する燃焼燃料気化器が介在されていてもよい。
【0036】
燃料容器3から燃料が燃焼器に供給され、外部から空気が燃焼器14に取り込まれる。燃料及び空気が燃焼器14のマイクロ流路を流動し、燃料が燃焼触媒により酸化することによって燃焼熱が発生する。発生した燃焼熱は、気化器15における気化熱、改質器16における改質反応熱、一酸化炭素除去器17における一酸化炭素酸化反応熱に用いられる。
【0037】
燃料容器3から気化器15に燃料及び水が供給される。ここで、燃料に対して水が余剰となるよう、特に燃料と水のモル比が1:1.2となるよう、燃料及び水が気化器15に供給される。供給された燃料及び水が気化器15のマイクロ流路を流動し、燃料及び水が燃焼器14の燃焼熱により加熱されて蒸発する。
【0038】
気化器15で気化した水と燃料の混合気が改質器16に供給され、水と燃料の混合気が改質器16のマイクロ流路を流動し、水と燃料が化学反応式(1)のように改質触媒によって水蒸気改質反応を起こす。また、燃料と水が完全に二酸化炭素及び水素に改質されない場合もあり、炭素、一酸化炭素も微量ながら生成される。但し、水が燃料に比較して余剰であるため、炭素の生成が抑制されている。燃料と水とから一酸化炭素が生成される化学反応は化学反応式(2)のように表される。
CH3OH+H2O→3H2+CO2 …(1)
2CH3OH+H2O→5H2+CO+CO2 … (2)
【0039】
また、改質器16においては、化学反応式(3)のようにメタノールの酸化反応によりアルデヒドとしてホルムアルデヒドが生成されるとともに、例えば化学反応式(4)のようにカルボン酸としてギ酸が生成される。
CH3OH+1/2O2→HCHO+H2O … (3)
HCHO+H2O→HCOOH+H2 … (4)
これらホルムアルデヒドやギ酸は、燃料電池12に対して被毒性を有し発電効率を低減させる要因となっていた。
【0040】
改質器16から水素、一酸化炭素、二酸化炭素、アルデヒド、カルボン酸、水等の生成物に、余剰のため未反応の水が加わった混合物が光触媒分解器13に供給され、光触媒分解器13においてアルデヒド及びカルボン酸が光触媒により水素、二酸化炭素、一酸化炭素に分解する。これにより、アルデヒド及びカルボン酸が除去される。また、改質器16で未反応の余剰な水が、光触媒分解器13において光触媒により水素と酸素に分解する。光触媒分解器13で分解された水素は、改質器16で生成された水素とともに、後述する燃料電池12での電気化学反応によって引き起こされる発電の燃料源として利用することができる。
【0041】
光触媒分解器13から水素、一酸化炭素、二酸化炭素等の混合気が一酸化炭素除去器17に供給され、外部から空気が一酸化炭素除去器17に供給される。一酸化炭素除去器17では、混合気がマイクロ流路を流動している時に、一酸化炭素が選択酸化触媒の作用を受けて特異的に酸化する。これにより、一酸化炭素が除去される。
【0042】
そして、一酸化炭素除去器17から生成物の混合気が燃料電池12の燃料極に供給され、外部から空気が燃料電池12の空気極に供給される。燃料極においては、電気化学反応式(5)に示すように、混合気中の水素が燃料極の触媒微粒子の作用を受けて水素イオンと電子とに分離する。水素イオンは固体高分子電解質膜を通じて酸素極に伝導し、電子は燃料極により取り出される。
H2→2H++2e- … (5)
【0043】
酸素極においては、電気化学反応式(6)に示すように、空気中の酸素と、固体高分子電解質膜を通過した水素イオンと、電子とが反応して水が生成される。
2H++1/2O2+2e-→H2O … (6)
【0044】
燃料電池12において生成された電気エネルギーは、電子機器本体2(図1に図示)を駆動するために用いられる。図1に示すように、以上のように構成された発電モジュール4は上筐体8に内蔵されているが、発電モジュール4のうちマイクロリアクタ11及び燃料電池12が下筐体6に内蔵されていても良い。発電モジュール4のうち光触媒分解器13は液晶ディスプレイ7の近傍、特に液晶ディスプレイ7のバックライトの近傍において上筐体8に内蔵されている。
【0045】
上筐体8の内部は、図3のように設けられている。ここで、図3は、上筐体8の一部を透視した状態で上筐体8内に収容された光触媒分解器13を示した斜視図である。
【0046】
図3に示すように、上筐体8の内部には、液晶ディスプレイ7の液晶ディスプレイパネルの背面に対向した導光板31が設置され、導光板31の側面31aに沿って側面31aに対向した冷陰極蛍光管等の蛍光管32が上筐体8の内部に設けられている。蛍光管32は液晶ディスプレイ7のバックライトであり、紫外線波長域から可視光線波長域にわたる光を発光する。蛍光管32で発した光が導光板31中を伝播し、導光板31の表面から液晶ディスプレイパネルの背面に向かって出射する。
【0047】
光触媒分解器13は容器41を有する。容器41は内部に空間を形成した直方体状の箱体である。容器41の側面41aが導光板31の側面31aに対向し、容器41の側面41aと導光板31の側面31aとの間に蛍光管32が配置され、この容器41の長手方向が蛍光管32の長手方向と平行となるよう設けられている。
【0048】
図4は、図3の面IVに沿った断面図である。図4に示すように、光、特に紫外線を透過する第1の光取込窓42が容器41の側面41aに設けられ、第1の光取込窓42が蛍光管32に対向し、蛍光管32で発した光が第1の光取込窓42を通じて容器41内に取り込まれる。第1の光取込窓42は、穴として設けられているのではなく、光を透過する材料から構成されている。
【0049】
側面41aの反対となる側面41bにも、光を透過する第2の光取込窓43が設けられ、第2の光取込窓43も第1の光取込窓42と同様に光を透過する材料から構成されている。
【0050】
容器41の側面41bは、上筐体8の側面8aに形成された採光窓8bに対向している。この採光窓8bは、穴として設けられているか、又は、光を透過する材料から構成されている。後述される流入管45から流入される流体は、反応が十分促進されるように改質器16で250℃以上に加熱されており、後述される流出管46から流出される流体は、反応が十分促進されるように一酸化炭素除去器17で150℃〜200℃の温度に制御されるので、採光窓8bは、改質器16と一酸化炭素除去器17との間でこのような温度変化になるように蓄熱又は放熱される構造であることが好ましい。
【0051】
なお、容器41に光取込窓42,43を設ける代わりに、容器41全体が光を透過する材料から形成されていても良い。すなわち、容器41のうち少なくとも蛍光管32及び採光窓8bに対向する部分が、光を透過するよう設けられていれば良い。
【0052】
容器41の内部空間には、不透明又は反射性の光触媒基板44が配設されている。この光触媒基板44の両面がそれぞれ光取込窓42,43に対向し、容器41の内部空間が光触媒基板44によって第1の光取込窓42側の領域と第2の光取込窓43側の領域に仕切られている。光触媒基板44の長さは容器41の長手方向の長さよりも短く、光触媒基板44が容器41内の一方の底面に接するとともに容器41内の他方の底面から離れ、内部空間の第1の光取込窓42側の領域が内部空間の第2の光取込窓43側の領域に通じている。光触媒基板44は不透明又は反射性なので、蛍光管32からの光が採光窓8bから外部に漏洩しないので液晶ディスプレイ7から効率よく表示光を出射することができる。
【0053】
光触媒基板44の両面には、光触媒膜44a,44aが成膜されている。光触媒膜44a,44aは、光触媒をバインダに分散させた膜である。光触媒としては、酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、酸化タングステン(WO3)、酸化ビスマス(Bi2O3)、酸化鉄(Fe2O3)、酸化ニオブ、その他の遷移金属酸化物の中から選ばれる一種又は二種以上の物質を用いることができ、ここでは、紫外線に対して活性を示す酸化チタンを光触媒膜44a,44aに用いる。酸化チタンは、アナターゼ型とルチル型があり本発明では何れも使用することができる。また、可視光に対して活性を示すよう、遷移金属オキシナイトライド(例えば、LaTiO2N、LaTaON2、TaON、Ta3N5、CaTaO2N等)を光触媒膜44a,44aの光触媒として用いても良い。光触媒膜44aの光触媒が活性を示す光波長は、蛍光管32から発する光の波長領域に含まれるようにする。
【0054】
なお、光触媒基板44の両面に光触媒膜44a,44aを成膜する代わりに、光触媒基板44全体が光触媒を分散させたバインダを板状に設けたものでも良い。また、光触媒基板44の代わりに、光触媒を含有していない基板を設け、光取込窓42,43が光触媒を分散させたバインダ(但し、光透過性の材料)から形成したものでも良い。すなわち、光触媒基板44に光触媒が含有されている場合であっても、光取込窓42,43に光触媒が含有されている場合であっても、光触媒が容器41内に設けられていることになる。
【0055】
さらに、光触媒の他の変形例について図13〜図14に基づいて説明する。なお、図13は、図4と同様に図3の面IVに沿った断面図であり、光触媒基板44Aの他に光触媒担持体47が容器41A内に所定間隔に複数設けられている。つまり、容器41A内は、図4と同様に光、特に紫外線等のように光触媒基板44A及び光触媒担持体47で担持された光触媒を励起する波長域の励起光を通過する第1の光取込窓42Aが容器41Aの側面41Aaに設けられ、この側面41Aaの反対となる側面41Abにも第2の光取込窓43Aが設けられている。容器41Aの内部空間には、図4と同様の光触媒基板44Aが配設され、これによって容器41Aの内部空間を第1の光取込窓42A側の領域と第2の光取込窓43A側の領域に仕切られている。そして、第1の光取込窓42A側の領域及び第2の光取込窓43A側の領域に容器41Aの長手方向に沿って複数の光触媒担持体47が配設されている。
図14(a)は光触媒担持体47の平面図、図14(b)は第1又は第2の光取込窓42A,43A側の領域において光触媒担持体47をメタノール、水、二酸化炭素、有害物質が通過する状態を表した模式図である。光触媒担持体47は、図14(a)、(b)に示すように円環部材471の開口部にメッシュ状のフィルター472が設けられた支持体473において、メッシュ状のフィルター472に光触媒を担持させてなるものである。すなわち、メッシュ状のフィルター472が容器41Aの長手方向に沿って面すように各光触媒担持体47が容器41A内に設けられている。フィルター472の目の粗さ及びフィルター472同士の間の距離は、燃料等の流速を損なわない程度に設定されていることが好ましい。
ここで、支持体473は金属、高分子等において、支持体473に接触するアルデヒドやカルボン酸等の有害物質を含む流体の成分に対し耐性があるものであれば特に限定しないものとする。図14(c)は、光触媒担持体47Aが酸化物ナノホールアレイである場合の模式図であり、このように光触媒自体がメッシュ状の構造体であれば、図14(a)のように支持体473を設ける必要はなく、特に光触媒担持体47の高効率化及び小型化に寄与することが可能となる。
以上のように光触媒をフィルター構造とすることによって、燃料電池12から供給されたアルデヒドやカルボン酸等の有害物質が、フィルター472面に担持された光触媒担持体47に確実に接触することとなり、また、複数の光触媒担持体47によってアルデヒドやカルボン酸等の有害物質を効率良く分解することができる。
なお、容器41Aが筒状のチューブであっても構わない。その場合には、上述の容器41Aの場合と同様に、複数の光触媒担持体47をそのフィルター472面が筒状のチューブの長手方向に沿って配列するようにチューブ内に設ける。
【0056】
容器41の一方の底面には、流入管45及び流出管46が取り付けられている。流入管45は改質器16から容器41の内部空間のうち第1の光取込窓42側の領域まで接続されている。一方、流出管46は容器41の内部空間のうち第2の光取込窓43側の領域から一酸化炭素除去器17まで接続されている。
【0057】
この光触媒分解器13においては、改質器16で生成された生成物の混合気(H2、CO2、CO、HCHO、HCOOH、H2O等からなる)が流入管45を容器41内に流れ込む。容器41内では、混合気が流入管45から流出管46へ流動する。
【0058】
ここで、蛍光管32で発した光が、第1の光取込窓42を透過して容器41内に取り込まれ、光触媒膜44aに入射する。一方、外部の光が、採光窓8b及び第2の光取込窓43を透過して容器41内に取り込まれ、光触媒膜44aに入射する。これにより、光触媒膜44aにおいて活性酸素種が生成される。容器41内を流動している混合気のうちアルデヒド及びカルボン酸が活性酸素種によって分解反応を引き起こす。アルデヒドの一例として、ホルムアルデヒドの分解反応を化学反応式(7)に示し、カルボン酸としてギ酸の分解反応を化学反応式(8)に示す。このような反応によりホルムアルデヒド及びギ酸が分解され、水素、一酸化炭素、二酸化炭素が生成される。
HCHO→H2+CO …(7)
HCOOH→H2O+CO→H2+CO2 …(8)
【0059】
また光触媒として酸化チタンを適用し400nm以下の紫外線を照射した場合、化学反応式(9)に示す反応を引き起こす。
TiO2+hν→e-+h+ …(9)
ここで、hνは、光子(400nm以下の紫外線)が持つ固有の禁制帯以上のエネルギーであり、h+は正孔である。
余剰のため未反応の水や副生成物として生成された水のうち、光触媒作用によって水素や酸素に分解されなかった水は、この正孔h+との間で化学反応式(10)に示す反応を引き起こす。
h++H2O→H++OH・ …(10)
ここでラジカルOH・は改質器16で生成された副生成物のうち触媒の触媒作用を劣化させる有機物質を分解することができる。
一方、光触媒分解器13に酸素を導入すると、正孔h+とともに生成された電子e-が、酸素との間で化学反応式(11)に示す反応を引き起こす。
e-+O2→O2- …(11)
スーパーオキシドイオンO2-は、改質器16で生成された副生成物のうち触媒の触媒作用を劣化させる炭素等を分解することができる。
このように、光触媒分解器13は余剰の水から水素や酸素を生成するばかりでなく、触媒の触媒作用を劣化させる有機物質を分解することができる。
また、容器41内の流動している混合気のうち水が光触媒作用によって分解して、水素と酸素が生成され、このうちの水素は、改質器16で生成された水素とともに、後述する燃料電池12での電気化学反応によって引き起こされる発電の燃料源として利用することができ、このうちの酸素は、一酸化炭素除去器17において、一酸化炭素を酸化して二酸化炭素にする酸素として利用することができる。改質器16で生成される一酸化炭素濃度は1%程度以下と低いので、余剰の水で生成された酸素のうち容器41から排出される酸素の残量が十分であれば、一酸化炭素除去器17に外気から直接酸素を取り込む空気供給管を設けなくてもよい。したがってこのような空気供給管から熱が外に伝搬することがないので、一酸化炭素除去器17に供給される混合気を著しく低減させることを防止し、一酸化炭素除去器17は効率よく反応を引き起こすことができる。
【0060】
なお、上記の説明では光触媒分解器13が蛍光管32の近傍に配置した場合について説明したが、光触媒分解器13が蛍光管32から離れた位置に配置しても良い。この場合、光ファイバ、導光板等の導光体によって蛍光管32の光を容器41の光取込窓42,43に導くようにしても良いし、別の蛍光管等の光源(主に可視光線を発し、部分的に紫外線を発するもの)を光取込窓42,43に対向するよう配置しても良い。
図15及び図16は光ファイバ91aを使用した一例を示しており、図15は図3と同様に上筐体8の一部を透視した状態で上筐体8内に収容された光集光部9を示した斜視図であり、図16は、図15の面IVに沿った断面図である。なお、光集光部9以外の上筐体8に収容された導光板31、蛍光管32等は上述した導光板31、蛍光管32等と同様であるので、対応する部分に対して同一の符号を伏し、その説明は省略する。図15及び図16に示すように、光集光部9は、多数の光ファイバ91aからなる光ファイバ群91と、光ファイバ群91を内部に形成された空間内に収容する直方体状の容器92とを備えている。光ファイバ91aは、光触媒を励起する波長域の励起光を選択的に伝搬するようなコア及びクラッドで構成されている。容器92の導光板31に対向する側面92aには、蛍光管32からの光を取り入れるための集光レンズ93aが所定間隔に複数嵌め込まれている。また、容器92の採光窓8bに対向する側面92bには、採光窓8bから取り込まれた外光を取り入れるための集光レンズ93bが所定間隔に複数嵌め込まれている。容器92内に収容された光ファイバ91aは、その端面が各集光レンズ93a,93bに面するように配置されている。そして、蛍光管32の光や採光窓8bから取り込まれた外光が各集光レンズ93a,93bを介して容器92内の各光ファイバ91a端面に対して十分に収束された光となって光ファイバ91a内へと導かれるようになっている。光ファイバ91a内に導かれた光のうち、励起光が選択的に発電モジュール4内の光触媒分解器13へと導かれる。
【0061】
また、常時改質器16から生成物を光触媒分解器13に供給するのではなく、通常は改質器16から生成物を一酸化炭素除去器17に供給し、発電モジュール4の起動時、停止時、負荷変動時のみ改質器16から生成物を光触媒分解器13に供給しても良い。
【0062】
以上のように、本実施の形態では、改質器16で生成されたアルデヒドやカルボン酸が光触媒分解器13において分解されるので、アルデヒドやカルボン酸等の有害物質を排出しないようにすることができる。そのため、アルデヒドやカルボン酸を他の生成物から分離して回収する機構を必要とせず、電子機器1の大型化を抑えることができる。
【0063】
また、光触媒分解器13の下流に一酸化炭素除去器17が設けられているので、光触媒分解器13におけるアルデヒドやカルボン酸の分解によって生成された一酸化炭素が一酸化炭素除去器17において分解される。そのため、燃料電池12の燃料極が一酸化炭素によって劣化することを防止することができる。また、ギ酸の分解により水素が発生するので燃料電池12に供給される水素濃度を向上することができる。
【0064】
〔第2の実施の形態〕
次に、図5を用いて第2の実施の形態について説明する。図5は、第2の実施の形態における発電モジュール104のブロック図である。ここで、図5では、第2の実施の形態の発電モジュール104においては、第1の実施の形態の発電モジュール4の何れかの部分に対応する部分に対して同一の符号を付し、発電モジュール4の何れかの部分に対応する発電モジュール104の各部についての説明は省略する。
【0065】
この発電モジュール104は、マイクロリアクタ111と、光触媒分解器13と、燃料電池12と、第2の光触媒分解器113と、を備え、第1実施形態の発電モジュール4の代わりに電子機器1に内蔵されている。
【0066】
光触媒分解器13及び燃料電池12は、第1の実施の形態における光触媒分解器13及び燃料電池12とそれぞれ同じである。マイクロリアクタ111は、第1実施形態におけるマイクロリアクタ11と同じく、気化器15、改質器16及び一酸化炭素除去器17を備えるが、燃焼器14の代わりに燃焼器114を備える。この燃焼器114は、後述する第2の光触媒分解器113から供給された水素を酸化させることにより燃焼熱を発するものであり、燃焼器114で発した燃焼熱が気化器15、改質器16及び一酸化炭素除去器17の反応に要する熱に利用される。なお、燃焼器114内部に形成された燃焼触媒は、水素の酸化を促進させる触媒である。
【0067】
第2の光触媒分解器113は図4に示した光触媒分解器13と同一の構成をしているため、第2の光触媒分解器113の各部は対応する光触媒分解器13の各部と同一の符号を援用し、第2の光触媒分解器113と光触媒分解器13との互いに異なる部分について説明する。
【0068】
第2の光触媒分解器113においては、流入管45が燃料電池12の燃料極と空気極の両方に接続され、燃料極からは二酸化炭素や電気化学反応式(5)に示す反応を起こさなかった未反応の水素が、酸素極からは水が、流入管45を通じて容器41内に供給される。容器41内では、二酸化炭素、水素、水等が流入管45から流出管46へ流動するが、容器41内を流動している混合気のうち水が光触媒作用によって分解して、水素と酸素が生成される。
【0069】
また、第2の光触媒分解器113においては、流出管46が燃焼器114に接続され、第2の光触媒分解器113で生成された水素を含む混合気が流出管46を通じて燃焼器114に供給される。燃焼器114においては、上述したように水素の酸化反応により燃焼熱が発する。
【0070】
本実施形態においても、アルデヒドやカルボン酸が光触媒分解器13において分解されるので、アルデヒドやカルボン酸等の有害物質を排出しないようにすることができる。
【0071】
〔第3の実施の形態〕
次に、図6を用いて第3の実施の形態について説明する。図6は、第3の実施の形態における発電モジュール204のブロック図である。ここで、図6では、第3の実施の形態の発電モジュール204においては、第1の実施の形態の発電モジュール4の何れかの部分に対応する部分に対して同一の符号を付し、発電モジュール4の何れかの部分に対応する発電モジュール204の各部についての説明は省略する。
【0072】
この発電モジュール204は、マイクロリアクタ11と、光触媒分解器13と、燃料電池12と、第3の光触媒分解器213と、分離器250と、を備え、第1実施形態の発電モジュール4の代わりに電子機器1に内蔵されている。
【0073】
マイクロリアクタ11、光触媒分解器13及び燃料電池12は、第1の実施の形態におけるマイクロリアクタ11、光触媒分解器13及び燃料電池12とそれぞれ同じである。但し、第3の実施の形態においては、マイクロリアクタ11の一酸化炭素除去器17には、空気に加えて後述する分離器250から酸素が供給され、燃料電池12の燃料極には、一酸化炭素除去器17からの混合気に加えて後述する分離器250から水素が供給される。
【0074】
第3の光触媒分解器213は図4に示した光触媒分解器13と同一の構成をしているため、第3の光触媒分解器213の各部は対応する光触媒分解器13の各部と同一の符号を援用し、第3の光触媒分解器213と光触媒分解器13との互いに異なる部分について説明する。
【0075】
第3の光触媒分解器213においては、流入管45が燃料電池12の燃料極と空気極の両方に接続され、燃料極からは二酸化炭素や電気化学反応式(5)に示す反応を起こさなかった未反応の水素が、酸素極からは水が流入管45を通じて容器41内に供給される。容器41内では、二酸化炭素、水素、水等が流入管45から流出管46へ流動するが、容器41内を流動している混合気のうち水が光触媒作用によって分解して、水素と酸素が生成される。
【0076】
また、第3の光触媒分解器213においては、流出管46が分離器250の流入管251(図7に図示)に接続され、第3の光触媒分解器213で生成された水素を含む混合気が流出管46及び流入管251を通じて分離器250の容器255(図7に図示)内に供給される。
【0077】
図7に示すように、容器255の内部空間は、二酸化炭素遮蔽膜(酸素及び水素の選択透過膜)256及び酸素遮蔽膜(水素選択透過膜)257によって三つの室258,259,260に仕切られている。第1の室258と第2の室259との間には、二酸化炭素遮蔽膜256が介在し、第2の室259と第3の室260との間には酸素遮蔽膜257が介在する。二酸化炭素遮蔽膜256は、ポリイミド、酢酸セルロース、ポリスルフォン、ポリアミド、ポリエーテルイミドといったガラス状高分子からなる薄膜であり、二酸化炭素を遮蔽するとともに酸素と水素を透過する性質を有する。酸素遮蔽膜257は、例えばPdからなる薄膜であり、酸素を遮蔽するとともに水素を選択的に透過する性質を有する。
【0078】
容器255には流入管251、二酸化炭素排出管252、酸素排出管253及び水素排出管254が取り付けられている。流入管251は、第3の光触媒分解器213の流出管46から第1の室258に接続されている。酸素排出管253は、第2の室259から一酸化炭素除去器17まで接続されている。水素排出管254は、第3の室260から燃料電池12の燃料極まで接続されている。
【0079】
第3の光触媒分解器213から流出管46及び流入管251を通じて第1の室258に水素、酸素、二酸化炭素等の混合気が供給されると、混合気のうち水素と酸素が二酸化炭素遮蔽膜256を透過して第2の室259に移る。第1の室258内の二酸化炭素は二酸化炭素排出管252を通じて発電モジュール204の外部に排出される。
【0080】
第2の室259に水素及び酸素が供給されると、水素が酸素遮蔽膜257を透過して第3の室260に移り、一酸化炭素を一酸化炭素除去器17において酸化するために、酸素が酸素排出管253を通じて一酸化炭素除去器17に供給される。第3の室260に供給された水素は電気化学反応式(5)に示す反応を引き起こすように水素排出管254を通じて燃料電池12の燃料極に再び供給される。
【0081】
なお、図7に示した分離器250では、二酸化炭素遮蔽膜256及び酸素遮蔽膜257が1つの容器255に収納されているが、図8のように別々の容器261,262に収納されていても良い。図8の分離器270においては、容器261の内部空間が二酸化炭素遮蔽膜267によって室263,264に仕切られ、容器262の内部空間が酸素遮蔽膜268によって室265,266に仕切られている。容器261の室264は連結管269によって容器262の室265に通じている。そして、流入管271は、第3の光触媒分解器213の流出管46から室263に接続され、酸素排出管273は、室265から一酸化炭素除去器17まで接続され、水素排出管274は、室266から燃料電池12の燃料極まで接続されている。この分離器270においても分離器250と同様に水素、酸素、二酸化炭素が分離され、分離された水素が燃料電池12の燃料極に供給され、分離された酸素が一酸化炭素除去器17に供給され、分離された二酸化炭素は室263に連結された二酸化炭素排出管272を介して外部に排出される。また室264,265の空間を、流体が流れる方向に対して直交する方向に切断した断面積のよりも、連結管269の空間を同方向に切断した断面積の方が小さい。このため、室264内の流体が移動する速度ひいては室265内の流体が移動する速度が小さいので、水素が酸素排出管273まで移動する際に酸素遮蔽膜268に接する確率が高くなり、酸素遮蔽膜268の酸素と水素の分離割合を高くすることができる。
【0082】
本実施形態においても、アルデヒドやカルボン酸が光触媒分解器13において分解されるので、アルデヒドやカルボン酸等の有害物質を排出しないようにすることができる。
【0083】
〔第4の実施の形態〕
次に、図9を用いて第4の実施の形態について説明する。図9は、第4の実施の形態における発電モジュール304のブロック図である。
【0084】
第4の実施の形態における発電モジュール304は、光触媒分解器13が設けられていない点が第2の実施の形態における発電モジュール104と異なる。つまり、第4の実施の形態の発電モジュール304では、改質器16で生成された混合気が一酸化炭素除去器17に供給され、次に、燃料電池12の燃料極に供給される。
【0085】
そのため、第2の実施形態では、光触媒分解器13においてアルデヒド及びカルボン酸並びに余剰の水が分解されていたの対し、第4の実施形態では、第2の光触媒分解器113においてアルデヒド及びカルボン酸並びに余剰の水が分解される。燃料電池12で生成された水も第2の光触媒分解器113によって水素と酸素に分解される。
【0086】
図9では、第4の実施の形態の発電モジュール304においては、第2の実施の形態の発電モジュール104の何れかの部分に対応する部分に対して同一の符号を付し、発電モジュール104の何れかの部分に対応する発電モジュール304の各部についての説明は省略する。
【0087】
本実施形態では、アルデヒドやカルボン酸が第2の光触媒分解器113において分解されるので、アルデヒドやカルボン酸等の有害物質を排出しないようにすることができる。
【0088】
〔第5の実施の形態〕
次に、図10を用いて第5の実施の形態について説明する。図10は、第5の実施の形態における発電モジュール404のブロック図である。
【0089】
第5の実施の形態における発電モジュール404は、光触媒分解器13が設けられていない点が第3の実施の形態における発電モジュール204と異なる。つまり、第5の実施の形態の発電モジュール404では、改質器16で生成された混合気が一酸化炭素除去器17に供給され、次に、燃料電池12の燃料極に供給される。
【0090】
そのため、第3の実施形態では、光触媒分解器13においてアルデヒド及びカルボン酸並びに余剰の水が分解されていたの対し、第5の実施形態では、第3の光触媒分解器213においてアルデヒド及びカルボン酸並びに余剰の水が分解される。燃料電池12で生成された水も第3の光触媒分解器213によって水素と酸素に分解される。
【0091】
図10では、第5の実施の形態の発電モジュール404においては、第3の実施の形態の発電モジュール204の何れかの部分に対応する部分に対して同一の符号を付し、発電モジュール204の何れかの部分に対応する発電モジュール404の各部についての説明は省略する。
【0092】
本実施形態では、アルデヒドやカルボン酸が第3の光触媒分解器213において分解されるので、アルデヒドやカルボン酸等の有害物質を排出しないようにすることができる。
【0093】
〔第6の実施の形態〕
次に、図11を用いて第6の実施の形態について説明する。図11は、第6の実施の形態における発電モジュール504のブロック図である。
第6の実施の形態における発電モジュール504においては、燃料直接型の発電モジュールである。
【0094】
発電モジュール504は、燃料容器3から供給された燃料と水を気化させる気化器15と、気化器15から供給された燃料と水の混合気から水素の電気化学反応により電気エネルギーを生成する燃料電池12と、燃料電池12の空気極及び燃料極からで排出される流体のうちの燃料電池12で生成された生成物に含まれるアルデヒド、カルボン酸等の有害物質を光触媒反応により分解する第4の光触媒分解器513と、第4の光触媒分解器513によって生成された生成物を液体と燃料電池12で未反応の燃料や電気化学反応を引き起こさなかった残留水素を含む気体とに分離する液体/気体分離器518と、液体/気体分離器518によって分離された水素と酸素とを燃焼させることにより燃焼熱を発生する燃焼器14と、を備える。なお、燃料直接型の発電モジュールにおいて、気化器15を省略して、液状の燃料を直接、燃料電池12に供給するようにしてもよい。
【0095】
燃料容器3から気化器15に燃料及び水が供給される。ここで、燃料及び水が気化器15において気化されてメタノール及び水蒸気の混合気となる。気化器15において生成された混合気は燃料電池12の燃料極に供給される。
【0096】
燃料電池12の燃料極では、電気化学反応式(12)に示すように、気化器15から供給された混合気を、燃料極の触媒の作用を受けて水素イオンと電子と二酸化炭素に分離する。水素イオンはイオン伝導膜を通じて空気極に伝導し、電子は燃料極により取り出される。
CH3OH+H2O→CO2+6H++6e− … (12)
【0097】
燃料電池12の空気極には、空気が取り込まれて供給される。そして、電気化学反応式(13)に示すように、空気中の酸素と、イオン伝導膜を通過した水素イオンと、燃料極により取り出された電子とが反応して水が副生成物として生成される。
6H++3/2O2+6e−→3H2O … (13)
【0098】
以上のように、燃料電池12で上記(12)、(13)に示す電気化学反応が起こることにより電気エネルギーが生成される。また、燃料電池12において生成された水、二酸化炭素が生成されるとともに、余剰のため未反応のメタノールや水が燃料電池12から排出される。さらに、第1の実施の形態の化学反応式(3)のようにメタノールの酸化反応によりアルデヒドとしてホルムアルデヒドが生成されるとともに、例えば上記化学反応式(4)のようにカルボン酸としてギ酸が生成される。また、未反応のメタノールや電気化学反応を引き起こさずに残った水素もこれら有害物質とともに、第4の光触媒分解器513に供給される。
【0099】
第4の光触媒分解器513は図4に示した光触媒分解器13と同一の構成をしているため、第4の光触媒分解器513の各部は対応する光触媒分解器13の各部と同一の符号を援用し、第4の光触媒分解器513と光触媒分解器13との互いに異なる部分について説明する。
【0100】
第4の光触媒分解器513においては、流入管45が燃料電池12の燃料極と空気極の両方に接続され、燃料極からは二酸化炭素や未反応のメタノール、水が、酸素極からは、酸素と未反応の水素、燃料極を介して燃料極と酸素極との間に介在する電解質膜を通過したメタノールや、電気化学反応により生じた水が、流入管45を通じて容器41内に供給される。また、燃料電池12の燃料極及び酸素極からアルデヒドやカルボン酸等の生成物も流入管45を通じて容器41内に供給される。容器41内では、二酸化炭素、メタノール、水、アルデヒド及びカルボン酸が流入管45から流出管46へ流動するが、容器41内を流動している混合気のうちアルデヒド及びカルボン酸が光触媒により水素、酸素、二酸化炭素に分解される。これにより、アルデヒド及びカルボン酸等の有害物質が除去される。また、燃料電池12で未反応の余剰なメタノール及び水が、光触媒作用により水素と酸素に分解され、さらに余剰のメタノール、水も流出管46から流出される。
【0101】
また、第4の光触媒分解器513においては、流出管46が液体/気体分離器518に接続され、第4の光触媒分解器513で流出された水素、酸素、メタノール、水、二酸化炭素が流出管46を通じて液体/気体分離器518に供給される。
液体/気体分離器518は、液体と気体とを分離する液体/気体分離膜を有しており、この液体/気体分離膜を透過することによってメタノールと水の液体、及び、水素、酸素、二酸化炭素からなる気体とに分離される。
また、液体/気体分離器518のうち液体流出管は気化器15に接続され、液体/気体分離器518で分離されたメタノールと水を含む液体は気化器15に供給される。
一方、液体/気体分離器518のうち気体流出管は燃焼器14に接続され、第4の光触媒分解器513で生成された水素、酸素、二酸化炭素を含む混合気が気体流出管を通じて燃焼器14に供給される。燃焼器14においては、水素と酸素とを燃焼させて廃棄させるとともに、水素の酸化反応により燃焼熱が発する。そして、この発生した燃焼熱は少なくとも気化器15、燃料電池12のいずれかの反応を促進する熱に利用される。また、燃焼器14からは二酸化炭素が発電モジュール504の外部に排出される。
【0102】
本実施形態においても、アルデヒドやカルボン酸が第4の光触媒分解器513において分解されるので、アルデヒドやカルボン酸等の有害物質を排出しないようにすることができる。
【0103】
〔第7の実施の形態〕
次に、図12を用いて第7の実施の形態について説明する。図12は、第7の実施の形態における発電モジュール604のブロック図である。
第7の実施の形態における発電モジュール604においては、燃料直接型の発電モジュールである。
【0104】
発電モジュール604は、気化器15と、燃料電池12と、第4の光触媒分解器513と、液体/気体分離器518と、分離器250と、を備える。
気化器15、燃料電池12、第4の光触媒分解器513及び液体/気体分離器518は、第6の実施の形態における気化器15、燃料電池12、第4の光触媒分解器513及び液体/気体分離器518とそれぞれ同じである。また、分離器250は、第3の実施の形態における分離器250と同じである。
【0105】
第7の実施の形態の発電モジュール604は、燃焼器14の代わりに分離器250が設けられている点で第6の実施の形態の発電モジュール504と異なる。つまり、第7の実施の形態の発電モジュール604では、第4の光触媒分解器513において流出された水素、酸素、余剰メタノール、水、二酸化炭素が、液体/気体分離器518に供給された後、液体/気体分離膜を透過させることによってメタノールと水の液体、及び、水素、酸素、二酸化炭素からなる気体とに分離される。
また、液体/気体分離器518のうち液体流出管は気化器15に接続され、液体/気体分離器518で分離されたメタノールと水を含む液体が気化器15或いは燃料電池12に直接供給される。一方、液体/気体分離器518のうち気体流出管は分離器250の流入管251に接続され、液体/気体分離器519で分離された水素、酸素、二酸化炭素を含む混合気が気体流出管及び流入管251を通じて分離器の容器255(図7に図示)内に供給される。
【0106】
液体/気体分離器518から気体流出管及び流入管251を通じて第1の室258に水素、酸素、二酸化炭素等の混合気が供給されると、混合気のうち水素と酸素が二酸化炭素遮蔽膜256を透過して第2の室259に移る。第1の室258内の二酸化炭素は二酸化炭素排出管252を通じて発電モジュール604の外部に排出される。
【0107】
第2の室259に水素及び酸素が供給されると、水素が酸素遮蔽膜2572を透過して第3の室に移り、電気化学反応式(6)に示す反応を引き起こすように酸素が酸素排出管253を通じて燃料電池12の酸素極に供給されるか、発電モジュール604の外部に排出される。第3の室260に供給された水素は電気化学反応式(5)に示す反応を引き起こすように水素排出管254を通じて燃料電池12の燃料極に再び供給される。
【0108】
本実施形態においても、アルデヒドやカルボン酸が第4の光触媒分解器513において分解されるので、アルデヒドやカルボン酸等の有害物質を排出しないようにすることができる。
【0109】
なお、本発明は、上記各実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行っても良い。
上記各実施形態のように燃料としてメタノールを用いた場合には、メタノールから生成される副生成物は、ホルムアルデヒド、ギ酸であったが、エタノールを燃料として用いた場合、副生成物はアセトアルデヒド、酢酸となる。
また、上記各実施形態及び変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0110】
1…電子機器
4、104、204、304、404、504、604…発電モジュール(発電装置)
8…上筐体
8b…採光窓
12…燃料電池
13、113、213、513…光触媒分解器
14、114…燃焼器
16…改質器
32…蛍光管(バックライト)
41…容器
42、43…光取込窓
44a…光触媒膜(光触媒)
47、47A…光触媒担持体(光触媒)
250、270…分離器
256…二酸化炭素遮蔽膜(気体分離膜)
257…酸素遮蔽膜(気体分離膜)
472…フィルター
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間を有する容器と、前記容器内に設けられた光触媒と、を備え、前記容器が光を透過するよう設けられたことを特徴とする光触媒分解器。
【請求項2】
前記光触媒として遷移金属酸化物又は遷移金属オキシナイトライドを用いたことを特徴とする請求項1に記載の光触媒分解器。
【請求項3】
前記容器内に光を取り込む光取込窓を前記容器に形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の光触媒分解器。
【請求項4】
前記光触媒は、メッシュ状に形成されたフィルターに担持されていることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の光触媒分解器。
【請求項5】
前記光触媒は、それ自体がメッシュ状の構造体であることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の光触媒分解器。
【請求項6】
前記光触媒は、酸化物ナノホールアレイであることを特徴とする請求項5に記載の光触媒分解器。
【請求項7】
請求項1から6の何れか一項に記載の光触媒分解器と、
燃料と水の混合物を水素に改質する改質器と、
前記改質器によって生成された水素と酸素の電気化学反応により電気エネルギーを生成する燃料電池と、を備え、
前記改質器によって生成された生成物が前記容器の内部空間に供給されるよう設けられたことを特徴とする発電装置。
【請求項8】
請求項1から6の何れか一項に記載の光触媒分解器と、
燃料と水の混合物を水素に改質する改質器と、
前記改質器によって生成された水素と酸素の電気化学反応により電気エネルギーを生成する燃料電池と、
燃焼熱を発して、燃焼熱を前記改質器に供給する燃焼器と、を備え、
前記燃料電池によって生成された生成物が前記容器の内部空間に供給され、前記容器から生成物が前記燃焼器に供給されるよう設けられたことを特徴とする発電装置。
【請求項9】
請求項1から6の何れか一項に記載の光触媒分解器と、
燃料と水の混合物を水素に改質する改質器と、
前記改質器によって生成された水素と酸素の電気化学反応により電気エネルギーを生成する燃料電池と、
水素と酸素と二酸化炭素を分離する分離器と、を備え、
前記燃料電池によって生成された生成物が前記容器の内部空間に供給され、前記容器から生成物が前記分離器に供給されるよう設けられたことを特徴とする発電装置。
【請求項10】
前記分離器で分離された水素が前記燃料電池に供給されるよう設けられたことを特徴とする請求項9に記載の発電装置。
【請求項11】
前記改質器から供給された生成物中の一酸化炭素を酸化させることにより一酸化炭素を除去する一酸化炭素除去器を更に備え、
前記分離器で分離された酸素が前記一酸化炭素除去器に供給されるよう設けられたことを特徴とする請求項9又は10に記載の発電装置。
【請求項12】
請求項1から6の何れか一項に記載の光触媒分解器と、
燃料と酸素により電気エネルギーを生成する燃料電池と、を備え、
前記燃料電池によって生成された生成物が前記容器の内部空間に供給されるよう設けられたことを特徴とする発電装置。
【請求項13】
請求項1から6の何れか一項に記載の光触媒分解器と、
燃料と酸素により電気エネルギーを生成する燃料電池と、
前記光触媒分解器から供給された流体の少なくとも一部を燃焼して燃焼熱を発する燃焼器と、
を備えることを特徴とする発電装置。
【請求項14】
請求項1から6の何れか一項に記載の光触媒分解器と、
燃料と酸素により電気エネルギーを生成する燃料電池と、
前記光触媒分解器から供給された流体から水素と酸素の少なくともいずれかを分離する分離器と、
を備えることを特徴とする発電装置。
【請求項15】
前記燃料電池は、前記分離器で分離された酸素又は水素の少なくともいずれか一方が取り込まれることを特徴とする請求項14に記載の発電装置。
【請求項16】
請求項3に記載の光触媒分解器と、
光を発する光源と、を備え、
前記光取込窓を前記光源に対向させたことを特徴とする電子機器。
【請求項17】
前記光源が液晶ディスプレイのバックライトであることを特徴とする請求項16に記載の電子機器。
【請求項18】
請求項3に記載の光触媒分解器と、
前記光触媒分解器を収容した筐体と、を備え、
光を前記筐体内に取り込む採光窓を前記筐体に形成し、前記光取込窓を前記採光窓に対向させたことを特徴とする電子機器。
【請求項1】
内部空間を有する容器と、前記容器内に設けられた光触媒と、を備え、前記容器が光を透過するよう設けられたことを特徴とする光触媒分解器。
【請求項2】
前記光触媒として遷移金属酸化物又は遷移金属オキシナイトライドを用いたことを特徴とする請求項1に記載の光触媒分解器。
【請求項3】
前記容器内に光を取り込む光取込窓を前記容器に形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の光触媒分解器。
【請求項4】
前記光触媒は、メッシュ状に形成されたフィルターに担持されていることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の光触媒分解器。
【請求項5】
前記光触媒は、それ自体がメッシュ状の構造体であることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の光触媒分解器。
【請求項6】
前記光触媒は、酸化物ナノホールアレイであることを特徴とする請求項5に記載の光触媒分解器。
【請求項7】
請求項1から6の何れか一項に記載の光触媒分解器と、
燃料と水の混合物を水素に改質する改質器と、
前記改質器によって生成された水素と酸素の電気化学反応により電気エネルギーを生成する燃料電池と、を備え、
前記改質器によって生成された生成物が前記容器の内部空間に供給されるよう設けられたことを特徴とする発電装置。
【請求項8】
請求項1から6の何れか一項に記載の光触媒分解器と、
燃料と水の混合物を水素に改質する改質器と、
前記改質器によって生成された水素と酸素の電気化学反応により電気エネルギーを生成する燃料電池と、
燃焼熱を発して、燃焼熱を前記改質器に供給する燃焼器と、を備え、
前記燃料電池によって生成された生成物が前記容器の内部空間に供給され、前記容器から生成物が前記燃焼器に供給されるよう設けられたことを特徴とする発電装置。
【請求項9】
請求項1から6の何れか一項に記載の光触媒分解器と、
燃料と水の混合物を水素に改質する改質器と、
前記改質器によって生成された水素と酸素の電気化学反応により電気エネルギーを生成する燃料電池と、
水素と酸素と二酸化炭素を分離する分離器と、を備え、
前記燃料電池によって生成された生成物が前記容器の内部空間に供給され、前記容器から生成物が前記分離器に供給されるよう設けられたことを特徴とする発電装置。
【請求項10】
前記分離器で分離された水素が前記燃料電池に供給されるよう設けられたことを特徴とする請求項9に記載の発電装置。
【請求項11】
前記改質器から供給された生成物中の一酸化炭素を酸化させることにより一酸化炭素を除去する一酸化炭素除去器を更に備え、
前記分離器で分離された酸素が前記一酸化炭素除去器に供給されるよう設けられたことを特徴とする請求項9又は10に記載の発電装置。
【請求項12】
請求項1から6の何れか一項に記載の光触媒分解器と、
燃料と酸素により電気エネルギーを生成する燃料電池と、を備え、
前記燃料電池によって生成された生成物が前記容器の内部空間に供給されるよう設けられたことを特徴とする発電装置。
【請求項13】
請求項1から6の何れか一項に記載の光触媒分解器と、
燃料と酸素により電気エネルギーを生成する燃料電池と、
前記光触媒分解器から供給された流体の少なくとも一部を燃焼して燃焼熱を発する燃焼器と、
を備えることを特徴とする発電装置。
【請求項14】
請求項1から6の何れか一項に記載の光触媒分解器と、
燃料と酸素により電気エネルギーを生成する燃料電池と、
前記光触媒分解器から供給された流体から水素と酸素の少なくともいずれかを分離する分離器と、
を備えることを特徴とする発電装置。
【請求項15】
前記燃料電池は、前記分離器で分離された酸素又は水素の少なくともいずれか一方が取り込まれることを特徴とする請求項14に記載の発電装置。
【請求項16】
請求項3に記載の光触媒分解器と、
光を発する光源と、を備え、
前記光取込窓を前記光源に対向させたことを特徴とする電子機器。
【請求項17】
前記光源が液晶ディスプレイのバックライトであることを特徴とする請求項16に記載の電子機器。
【請求項18】
請求項3に記載の光触媒分解器と、
前記光触媒分解器を収容した筐体と、を備え、
光を前記筐体内に取り込む採光窓を前記筐体に形成し、前記光取込窓を前記採光窓に対向させたことを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−31242(P2011−31242A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−207392(P2010−207392)
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【分割の表示】特願2005−69383(P2005−69383)の分割
【原出願日】平成17年3月11日(2005.3.11)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【分割の表示】特願2005−69383(P2005−69383)の分割
【原出願日】平成17年3月11日(2005.3.11)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
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