説明

電子機器

【課題】ある機能にエラーが生じて切り離し措置が実施された場合であっても、ユーザの利便性を損なうことのない電子機器を得る。
【解決手段】エラー管理部75は、複数の機能のうち少なくとも一の機能にエラーが生じたときにその切り離し措置を実現可能に管理する。表示制御部77は、前記切り離し措置が実施されたとき、エラー措置情報記憶部73に記憶されたエラー措置情報101をタッチパネルユニット53に表示させる。従って、ある機能にエラーが生じて切り離し措置が実施された場合に、そうした措置が実施されている状況を全く知らないユーザであっても、タッチパネルユニット53に表示されたエラー措置情報101を一瞥すれば、エラー切り離し措置が実施されている機能の概要を知ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種情報を表示するための表示装置を備えた電子機器に係り、特に、エラー措置情報を表示可能な電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コピー、スキャナ、ファクシミリ通信、又はデータ通信等の機能を複合的に有する、MFP(Multi Function Peripheral)とも呼ばれる画像形成装置が提供されている。
【0003】
かかるMFPにおいて、例えば、コピー後の用紙にパンチやステープル留め等の後処理を実行する後処理装置に何らかのエラーが生じて後処理機能が利用不能になった場合に、その他の機能は何ら支障なく利用可能であるにもかかわらず、機器全体の利用が出来なくなるといった不都合を生じる場合がある。
【0004】
こうした不都合を解消するためのアプローチのひとつとして、記憶装置に記憶されるプログラム等のうち、本質的でない機能にエラーが生じた場合、そのエラーに係る機能(以下、「エラー機能」と記述する。)を暫定的に切り離すことによって、機器全体の利用ができなくなる事態を回避可能な画像形成装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0005】
特許文献1に係るエラー機能切り離し技術によれば、本質的でない機能にエラーが生じた場合であっても、機器全体の利用ができなくなる事態を可及的に回避することができる。
【0006】
ところで、例えば画像形成装置のように、複数のユーザに共有利用され、各種情報を表示するための表示装置を備えた電子機器に対し、特許文献1に係るエラー機能の切り離し措置が実施されると、その切り離し時点でエラー機能が生じた旨は表示装置の表示内容から抹消される。
【0007】
しかしながら、上記のように、エラー機能が生じた旨が表示装置の表示内容から抹消されると、例えば、エラー機能が生じた時にその場に居合わせたユーザや、エラー機能の切り離し措置を実施した管理者を除くユーザは、エラー機能が生じてこれを暫定的に切り離す措置が実施されている状況にあることを知る術はない。
【0008】
すると、エラー機能の切り離し措置が実施されている状況下で、そのエラー機能を利用しようとするユーザは、単にその利用が出来ないばかりでなく、急に利用できなくなった理由が判然とせず、ユーザの利便性を向上する観点から改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−90508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
解決しようとする問題点は、エラー機能の切り離し措置が実施されている状況下で、そのエラー機能を利用しようとするユーザが単にその利用が出来ないばかりでなく、急に利用できなくなった理由が判然とせず、ユーザの利便性を向上する観点から改善の余地があった点である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、複数の機能のうち少なくとも一の機能にエラーが生じて切り離し措置が実施された場合であっても、ユーザの利便性を損なうことのない電子機器を得ることを目的とする。
【0012】
本発明に係る電子機器は、各種情報を表示するための表示装置と、データを記憶する記憶装置と、複数の機能のうち少なくとも一の機能にエラーが生じたときに、そのエラーに係るエラー機能の切り離し措置の実施状況を管理するエラー管理部と、前記エラー管理部によって前記切り離し措置が実施されたと判定されると、前記エラー機能に係るエラー措置情報を前記記憶装置に記憶するエラー措置情報記憶部と、前記エラー措置情報記憶部により記憶された前記エラー措置情報を前記表示装置に表示させる表示制御部と、を備えることを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、上記の構成とすることにより、ある機能にエラーが生じて切り離し措置が実施された場合に、そうした措置が実施されている状況を全く知らないユーザであっても、表示装置に表示されたエラー措置情報を一瞥すれば、エラー切り離し措置が実施されている機能の概要を知ることができる。結果として、ユーザの利便性を損なうことのない電子機器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施例に係る画像形成装置の概略構成を示す機能ブロック図である。
【図2】本発明の実施例に係る画像形成装置における操作パネルの外観図である。
【図3】本発明の実施例に係る画像形成装置の動作フローチャート図である。
【図4】後処理エラー発生直後のエラー発生情報の警告表示例を示す説明図である。
【図5】後処理エラー切り離し措置の実施時から所定時間経過後のエラー措置情報の表示態様の遷移を示す説明図であり、図5(1)は、後処理エラー切り離し措置の実施直後のエラー措置情報の表示態様を示す説明図、図5(2)は、後処理エラー切り離し措置の実施から所定時間経過後のエラー措置情報の表示態様を示す説明図である。
【図6】スライドタッチ操作前後のエラー措置情報の表示態様の遷移を示す説明図であり、図6(1)は、スライドタッチ操作前のエラー措置情報の表示態様を示す説明図、図6(2)は、スライドタッチ操作後のエラー措置情報の表示態様を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
ある機能にエラーが生じて切り離し措置が実施された場合であっても、ユーザの利便性を損なうことのない電子機器を得るといった目的を、複数の機能のうち少なくとも一の機能にエラーが生じて切り離し措置が実施されたときにエラー措置情報記憶部に記憶されたエラー措置情報を表示装置に表示させる構成によって実現した。
【実施例】
【0016】
以下、本発明の実施例に係る電子機器について、電子機器の一例として画像形成装置を例示して、図面を参照して詳細に説明する。
[実施例に係る画像形成装置の構成]
図1は、本発明の実施例に係る画像形成装置の概略構成を示す機能ブロック図、図2は、本発明の実施例に係る画像形成装置における操作パネルの外観図である。
【0017】
実施例に係る画像形成装置1は、コピー機能、印刷機能、ファクシミリ通信機能、データ送信機能、又は文書ボックス機能、更にはステープル機能、パンチ機能若しくは中折り機能といった後処理機能を含む各種機能が利用可能であり、主制御部11によって制御される。
【0018】
主制御部11は、情報処理機能を有するコンピュータであって、画像形成装置1全体の動作を統括制御する。主制御部11については、後段で詳細に説明する。
【0019】
主制御部11に接続され諸機能を担う入出力機器として、本電子機器は、スキャナ21、印刷エンジン41、後処理装置43、操作パネル51、ファクシミリ通信装置61、記憶装置63、並びに、NIC(Network Interface Card)65を備える。
【0020】
スキャナ21は、原稿から画像を読み取り、読み取った画像に対応する画像データを画像処理部31宛に出力する。
【0021】
NIC65は、通信網(不図示)を介して接続されたクライアントPC(不図示)等との種々のデータの送受信を制御する。例えば、NIC65は、(1)印刷データを受信して画像処理部31宛てに出力する。(2)画像処理部31で画像処理された画像データを、クライアントPCへメール送信したりする。
【0022】
印刷エンジン41は、画像処理部31(画像処理部31の詳細については後述する。)で画像処理された画像データ等を用いて画像を用紙に印刷する。
【0023】
ファクシミリ通信装置61は、画像処理部31で画像処理された画像データを他のファクシミリ装置等へ送信し、または他のファクシミリ装置等から送信されてきた画像データを受信する。
【0024】
後処理装置43は、印刷済みの用紙をステープル止めするステープラユニット45と、印刷済みの用紙に孔あけするためのパンチユニット47と、印刷済みの用紙を中央部で折り曲げる中折りユニット49と、を備える。
【0025】
記憶装置63は、ハードディスクドライブその他の書き換え可能な不揮発性メモリである。記憶装置63は、スキャナ21によって読み取られた画像データの他、後述するエラー措置情報、機能毎の優先度、及びエラー措置情報の表示態様等のデータを記憶する。
【0026】
画像形成装置1の各機能は、上記の構成要素を用いることにより、以下のようにして実現される。
【0027】
コピー機能は、スキャナ21で読み取った原稿画像を、画像処理部31にて画像処理を施し、印刷エンジン41で印刷することにより実現される。
【0028】
印刷機能は、NIC65にて受信された印刷データを、画像処理部31にて画像処理を施し、印刷エンジン41で印刷することにより実現される。
【0029】
データ送信機能は、スキャナ21で読み取った原稿画像や、記憶装置63に記憶されている画像データを、画像処理部31にて画像処理を施し、NIC65にてクライアントPC宛に送信することにより実現される。
【0030】
ボックス機能は、スキャナ21で読み取った原稿画像や、NIC65にて受信された印刷データを、画像処理部31にて画像処理を施し、記憶装置63に記憶することで実現される。
【0031】
ファクシミリ通信機能は、スキャナ21で読み取った原稿画像や、記憶装置63に記憶されている画像データを、画像処理部31にて画像処理を施し、ファクシミリ通信装置61による画像データの送信、または他のファクシミリ装置等から送信されてきた画像データを受信することにより実現される。
【0032】
後処理機能は、後処理装置43にてステープル止め(ステープル機能)、孔あけ(パンチ機能)または中折り(中折り機能)することによって実現される。
【0033】
操作パネル51は、図2に示すように、タッチパネルユニット53及び操作キーユニット55を有する。操作パネル51は、ユーザが各機能やエラーに関する操作を行うために使用され、ユーザによる操作指令等を後述する操作情報取得部71に与える。
【0034】
本発明において表示装置として機能するタッチパネルユニット53は、本発明の表示装置であり、タッチパネルとカラーLCD(Liquid Crystal Display)等から構成される。タッチパネルユニット53は、マシンエラーが発生したときエラー発生情報を警告表示する際、または、ある機能にエラーが生じて切り離し措置が実施された場合にエラー措置情報を備忘表示する際などに用いられる。
【0035】
操作キーユニット55は、ユーザの操作入力を受付けるための複数の操作キーを備えている。
【0036】
主制御部11は、具体的には、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を有するコンピュータである。
【0037】
CPUは、プログラムの記述に従う処理を順次実行する演算処理装置である。ROMは、プログラム等を記憶する不揮発性のメモリである。RAMは、プログラムを実行する際にそのプログラムや各種データを一時的に記憶して、作業領域として用いるメモリである。
【0038】
主制御部11は、画像形成装置1の動作を制御するプログラムを実行することによって、画像処理部31、操作情報取得部71、エラー措置情報記憶部73、エラー管理部75、及び表示制御部77として機能する。
【0039】
画像処理部31は、スキャナ21又はNIC65より出力されたデータに対して所定の画像処理を施して、印刷エンジン41、NIC65又はファクシミリ通信装置61へ出力する。
【0040】
操作情報取得部71は、ユーザによる操作キーまたはタッチパネルの操作情報を、操作パネル51を介して取得して各部へ通知する。
【0041】
エラー措置情報記憶部73は、切り離し措置が実施されたエラー機能に係るエラー措置情報を記憶装置63に記憶させる。エラー措置情報は、切り離し措置が実施された日時、切り離し措置が実施されたエラー機能の種別、及びエラーからの復帰予定日時等の情報を含む。
【0042】
エラー管理部75は、複数の機能のうち少なくとも一の機能にエラーが生じたときに、そのエラーに係るエラー機能の切り離し措置の実施状況を管理する。具体的には、エラー管理部75は、ある機能にエラーが生じて切り離し措置が実施された場合、そのエラー機能のエラー措置情報を統括管理する。
【0043】
ここで、本発明でいう”切り離し措置”とは、操作パネル51上の所定操作に従って主制御部51によって実行される措置である。例えば、主制御部11に接続されてその管理下にある後処理装置43のステープラユニット45に何らかのエラーが生じた場合に、残存機能(ステープル機能以外の機能)を継続して利用可能にする目的で、ステープラユニット45が接続されていない(ただし、物理的には接続された状態にある)ものとして機器接続設定情報を書き換えるソフトウェア上の設定動作を意味する。
【0044】
表示制御部77は、ある機能にエラーが生じて切り離し措置が実施されたとき、エラー措置情報記憶部73によって記憶装置63に記憶されたエラー措置情報を、エラー機能の優先度に関連付けられた表示態様に従って、タッチパネルユニット53に表示させる。
【0045】
記憶装置63は、画像形成装置1が有する複数の機能にそれぞれ関連付けられた優先度を記憶している。優先度は、画像形成装置1に予め設定しておくものであり、各ユーザの機能の利用状況に応じて適宜変更することができる。一般的には、優先度の高い機能として印刷機能やコピー機能等が設定され、優先度の低い機能として後処理機能等が設定される。ただし、ユーザによっては、印刷機能や印刷機能と同程度に後処理機能の優先度も高いといった利用状況も想定される。かかる場合には、優先度の高い機能として印刷機能、コピー機能、及び後処理機能を設定すればよい。
【0046】
記憶装置63は、画像形成装置1が有する複数の機能のいずれかにエラーが生じて切り離し措置が実施されたときのエラー措置情報のタッチパネルユニット53への表示態様を、優先度に関連付けて記憶する。ここで、表示態様は切り離し措置後の所定の経過時間ごと(例えば5分)に記憶装置63に記憶されている。したがって、優先度は所定の経過時間ごとの表示態様に、それぞれ関連付けられることになる。また、表示態様は、画像形成装置1に予め設定しておくものであり、エラー措置情報のタッチパネルユニット53への表示位置または表示領域サイズを含む。
【0047】
[実施例に係る画像形成装置の動作]
次に、実施例に係る画像形成装置1の動作について、後処理装置43のステープラユニット45にエラー(以下、ステープラユニット45に生じたエラーを「ステープラエラー」と記述する。)が生じた例をあげて、図3〜図6を参照して説明する。
【0048】
図3は、ステープラエラーが生じたときの画像形成装置1の動作フローチャート図、図4は、ステープラエラー発生直後のエラー発生情報の警告表示例を示す説明図、図5は、切り離し措置の実施時から所定時間経過後のエラー措置情報の表示態様の遷移を示す説明図であり、図5(1)は、エラー切り離し措置の実施直後のエラー措置情報の表示態様を示す説明図、図5(2)は、エラー切り離し措置の実施から所定時間経過後のエラー措置情報の表示態様を示す説明図、図6は、スライドタッチ操作前後のエラー措置情報の表示態様の遷移を示す説明図であり、図6(1)は、スライドタッチ操作前のエラー措置情報の表示態様を示す説明図、図6(2)は、スライドタッチ操作後のエラー措置情報の表示態様を示す説明図である。
【0049】
図3に示すように、あるユーザが後処理装置43の有する機能のうちステープラ機能を利用している途中で、仮にステープラユニット45に何らかのエラーが発生したとする(ステップS11)。
【0050】
これを受けて、エラー管理部75は、後処理機能の”切り離し措置”が実施されたか否かの監視を開始する(ステップS12)。
【0051】
ステップS12の監視中に、エラー管理部75が”切り離し措置”が実施されないと判定すると(ステップS12の”No”参照)、表示制御部77は、従来と同様に、ステープラユニット45にエラーが発生した旨のエラー発生情報をタッチパネルユニット53の全面にわたり警告表示(図4参照)させる(ステップS13)。このとき、画像形成装置1は、後処理機能以外の機能は利用可能であるにもかかわらず、機器全体の利用ができない状態となる。
【0052】
ステップS13の警告表示後に、主制御部11は、処理の流れをステップS12へと戻し、以下の処理を順次実行する。
【0053】
一方、ステップS12の監視中に、エラー管理部75が”エラー切り離し措置”が実施されたと判定すると(ステップS12の”Yes”参照)、表示制御部77は、記憶装置63内のデータを検索して、ステープラ機能に関連付けられた優先度を決定する。更に、表示制御部77は、記憶装置63内のデータを検索して、決定した優先度に関連付けられた表示態様を決定する。次いで、表示制御部77は、ステープラエラーが発生して切り離し措置が実施されている旨のエラー措置情報101を、ステープラ機能の優先度に基づく表示態様に従って、タッチパネルユニット53に備忘表示させる。具体的には、表示制御部77は、タッチパネルユニット53の例えば右上部付近に縮小表示(図5(1)参照)させる(ステップS14)。
【0054】
なお、本実施例では、後処理機能は、印刷機能やスキャナ機能などに比べて優先度が低く設定されているので、より高い優先度に対応する表示態様よりも控えめな表示態様とされる。この場合、印刷エラーが発生して切り離し措置が実施されると、印刷機能はステープラ機能よりも優先度が高く設定されているので、より目立つ表示態様で印刷機能のエラー措置情報101がタッチパネルユニット53に表示される。
【0055】
このとき、後処理機能以外の残存機能(ファクシミリ通信機能、データ送信機能、文書ボックス機能、及び後処理機能を併用しないコピー機能と印刷機能)は利用可能である。このことを明確にする目的で、表示制御部77は、利用可能な残存機能リスト103を、タッチパネルユニット53に表示(図5(1)参照)させる。なお、機能リスト103に掲載された機能のうち利用不能な機能(この例では後処理機能に該当する「ソート/仕上げ」機能)105については、利用不能である旨を明確にする目的で、グレイ表示(選択しようと試みても利用できない状態)とされる。
【0056】
ステップS14の備忘表示後に、エラー管理部75は、後処理エラーの切り離し時点から所定時間(例えば5分間などの、適宜変更可能な時間)が経過したか否かの監視を開始する(ステップS15)。エラー管理部は、この監視中に、後処理エラーの切り離し時点から所定時間(本実施例では5分間)が経過していないと判定すると(ステップS15の”No”参照)、処理の流れをステップS14へと戻す。
【0057】
一方、エラー管理部75は、ステップS15の前記監視中に後処理エラーの切り離し時点から所定時間が経過したと判定すると(ステップS15の”Yes”参照)、その旨を表示制御部77宛に通知する。
【0058】
この通知を受けて表示制御部77は、後処理エラーの切り離し時点から所定時間経過後におけるエラー措置情報101を、このエラー措置情報101に関連付けられた優先度に対応する表示態様(エラー切り離し直後とは異なる)によって、エラー措置情報101をタッチパネルユニット53に表示させる(ステップS16)。すなわち、表示制御部77は、後処理エラーの切り離し時点から所定時間経過後におけるエラー措置情報101の表示態様を記憶装置63から読み出す。次いで、表示制御部77は、この読み出した表示態様によってエラー措置情報101を、タッチパネルユニット53の例えば右側部分に全表示領域の約三分の一を占めるサイズに拡大して表示(図5(2)参照)させる。このとき、利用可能な残存機能リスト103は、タッチパネルユニット53の例えば左側部分から右側部分にわたって全表示領域の約三分の二を占めるサイズに縮小して表示(図5(2)参照)される。
【0059】
ステップS16における表示態様の変更後に、主制御部11は、一連の処理の流れを終了する。
【0060】
上記の実施例では、優先度の低い後処理装置43にエラーが生じた場合の、画像形成装置1の動作について説明したが、優先度の高い印刷エンジン41にエラーが生じた場合には、いかなる動作を採用するかが問題となる。具体的には、上記の実施例におけるステップS14において、印刷エンジンエラーが発生して切り離し措置が実施されている旨のエラー措置情報101を、いかなる表示態様によって表示し、その後、いかなる手段によって残存機能の利用を確保するのか、が問題となる。
【0061】
そうした観点から、優先度の高い印刷エンジン41にエラーが生じて印刷エンジンエラーの切り離し措置が実施されたとき(ステップS12の“Yes”に相当する)、表示制御部77は、印刷エンジンエラーが発生して切り離し措置が実施されている旨のエラー措置情報101を、タッチパネルユニット53に全画面表示(図6(1)参照)させる。このとき、印刷エンジン41を用いるコピー機能及び印刷機能以外の残存機能(ファクシミリ通信機能、データ送信機能、文書ボックス機能及び後処理機能)は利用可能であるため、その旨を併せて表示する(図6(1)参照)。これによって、残存機能の利用が可能である旨をユーザに知らせる。
【0062】
しかしながら、印刷エンジンエラーに係るエラー措置情報101がタッチパネルユニット53に全面表示されている状態のままでは、ユーザは残存機能を利用することができない。
【0063】
そこで、本実施例では、エラー措置情報101の全面表示を解消して残存機能リスト103を表示させる際に用いられるGUI(Graphical User Interface)として、直感的な操作感を実現可能なタッチ・アンド・スライド(以下、「タッチスライド」と記述する。)操作を採用した。
【0064】
表示制御部77は、タッチパネルユニット53上でエラー措置情報101の表示領域サイズを拡大又は縮小させるようなスライドタッチ操作がなされたとき、この操作に従ってエラー措置情報101の表示領域サイズを拡大又は縮小させる表示制御を行う。
【0065】
具体的には、エラー措置情報101の表示領域サイズを表示画面サイズの三分の一程度まで縮小させたいと望むユーザは、図6(1)に示すエラー措置情報101の左側枠線部分をタッチし、このタッチを継続した状態で、表示画面サイズの三分の二程度まで右側にスライドさせた後、タッチしていた指を離す。
【0066】
すると、かかるスライドタッチ操作に従って、エラー措置情報101が表示画面サイズの三分の一程度まで縮小化表示されるのに対し、残存機能リスト103が表示画面サイズの三分の二程度まで拡大化表示される(図6(2)参照)。
【0067】
かかるスライドタッチ操作に係るGUI(Graphical User Interface)を採用すれば、きわめて直感的な操作感をもって所要の操作を行うことが可能となる結果として、ユーザの利便性向上に寄与するところ大となる。
【0068】
[実施例の効果]
本実施例に係る電子機器(画像形成装置1)では、エラー管理部75は、複数の機能のうち少なくとも一の機能にエラーが生じたときに、そのエラーに係るエラー機能の切り離し措置の実施状況を管理する。表示制御部77は、エラー管理部75により前記切り離し措置が実施されたと判定されると、エラー措置情報記憶部73により記憶装置63に記憶されたエラー措置情報101をタッチパネルユニット53に表示させる。
【0069】
従って、ある機能にエラーが生じて切り離し措置が実施された場合に、そうした措置が実施されている状況を全く知らないユーザであっても、タッチパネルユニット53に表示されたエラー措置情報101を一瞥すれば、エラー切り離し措置が実施されている機能の概要を知ることができる。その結果として、ユーザの利便性を損なうことのない電子機器(画像形成装置1)を得ることができる。
【0070】
なお、エラー切り離し措置の実施後は、表面上エラーそのものが解決したかのように見え、その復帰要請を忘れてエラー復帰処理が滞りがちである。この点、本実施例によれば、その表示態様を優先度に応じて柔軟に変えながらエラー措置情報101が継続的に備忘表示されるため、復帰要請を忘れてエラー復帰処理が滞ってしまう事態を未然に回避することができる。
【0071】
また、本実施例に係る電子機器(画像形成装置1)において、表示制御部77は、エラー機能の優先度に基づいてエラー措置情報101のタッチパネルユニット53への表示位置または表示領域のサイズを含む表示態様を決定し、この決定した表示態様によってエラー措置情報101をタッチパネルユニット53に表示してもよい。この構成により、ある機能にエラーが生じて切り離し措置が実施された場合に、切り離し措置が実施されたエラー機能の優先度(ユーザにとっての重要度)を、その表示態様から一見して把握することが可能になる。
【0072】
さらに、表示制御部77は、該当するエラー機能の優先度が高いときにはより目立つ表示態様によって、または該当するエラー機能の優先度が低いときにはより控えめな表示態様によって、エラー措置情報101をタッチパネルユニット53に表示してもよい。この構成により、切り離し措置が実施されたエラー機能の優先度に係る一見把握性をさらに高めることが可能になる。
【0073】
また、前記目立つ表示態様は、エラー措置情報101の表示領域サイズを経時的に拡大してゆく態様(図5(1)乃至(2)参照)またはこの拡大してゆく速度を速くする態様を含む、構成を採用することもできる。なお、拡大してゆく速度を速くする態様とは、切り離し措置が実施されたエラー機能の優先度が高い場合に、表示制御部77がその表示領域サイズを短時間で全画面領域サイズまで拡大することを意味する。かかる構成を採用すれば、切り離し措置が実施されたエラー機能の優先度に係る一見把握性をより一層高めることが可能になる。
【0074】
さらに、表示制御部77は、タッチパネルユニット53に対してエラー措置情報101の表示領域サイズを拡大又は縮小させるようなスライドタッチ操作がなされたとき、この操作に従ってエラー措置情報101の表示領域サイズを拡大又は縮小してもよい。この構成により、きわめて直感的な操作感をもって所要の操作を行うことが可能となる結果として、ユーザの利便性向上に寄与するところ大である。
【0075】
しかも、表示制御部77は、エラー措置情報101と共に複数の機能のうち利用可能な機能に係る残存機能情報103をタッチパネルユニット53に表示してもよい。この構成により、利用不能な機能の概要と利用可能な機能の概要とが、共通の表示画面上にわかりやく表示される結果として、ユーザの利便性向上に寄与するところ大である。
【0076】
[その他]
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨、あるいは技術思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電子機器もまた、本発明における技術的範囲の射程に包含される。
【0077】
すなわち、本発明の実施例中、画像形成装置に係るマシンエラーとして後処理エラーを例示して説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、感光体ドラムの交換時期またはトナーの補給時期が到来した等のエンジンエラー、スキャナの不具合等のスキャンエラー、データ通信機能の不具合等のデータ通信エラーなどの、あらゆるマシンエラーに関するエラー措置情報の表示用途に適用可能である。
【符号の説明】
【0078】
11 主制御部
43 後処理装置
45 ステープラユニット
51 操作パネル
53 タッチパネルユニット
63 記憶装置
71 操作情報取得部
73 エラー措置情報記憶部
75 エラー管理部
77 表示制御部
101 エラー措置情報
103 残存機能情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各種情報を表示するための表示装置と、
データを記憶する記憶装置と、
複数の機能のうち少なくとも一の機能にエラーが生じたときに、そのエラーに係るエラー機能の切り離し措置の実施状況を管理するエラー管理部と、
前記エラー管理部により前記切り離し措置が実施されたと判定されると、前記エラー機能に係るエラー措置情報を前記記憶装置に記憶するエラー措置情報記憶部と、
前記エラー措置情報記憶部によって記憶された前記エラー措置情報を前記表示装置に表示させる表示制御部と、
を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1記載の電子機器であって、
前記記憶装置は、前記複数の機能にそれぞれ関連付けられた優先度を記憶しており、
前記表示制御部は、前記記憶装置に記憶された前記エラー機能の優先度に基づいて前記エラー措置情報の前記表示装置への表示態様を決定し、前記決定した表示態様に従って前記エラー措置情報を前記表示装置に表示させる、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項2記載の電子機器であって、
前記記憶装置は、前記エラー措置情報の前記表示装置への表示態様を、前記優先度に関連付けて記憶しており、
前記表示制御部は、前記記憶装置を検索し、前記エラー機能の前記優先度に関連付けられた表示態様を決定する、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の電子機器であって、
前記表示態様は、前記エラー措置情報の表示領域サイズを経時的に拡大してゆく態様である、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項5】
請求項2〜4のうちいずれか一項に記載の電子機器であって、
前記表示制御部は、前記エラー機能の優先度が高いときにはより目立つ表示態様によって、または前記エラー機能の優先度が低いときにはより控えめな表示態様によって、前記エラー措置情報を前記表示装置に表示させる、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項6】
請求項5に記載の電子機器であって、
前記表示態様は、前記エラー措置情報の表示領域サイズを経時的に拡大してゆく態様であり、
前記目立つ表示態様は、前記拡大してゆく速度を速くする態様である、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項7】
請求項1〜6のうちいずれか一項に記載の電子機器であって、
前記表示装置はタッチパネル機能を有し、
前記表示制御部は、前記表示装置に対して前記エラー措置情報の表示領域サイズを拡大又は縮小させるようなスライドタッチ操作がなされたとき、この操作に従ってエラー措置情報の表示領域サイズを拡大又は縮小させる、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項8】
請求項1〜7のうちいずれか一項に記載の電子機器であって、
前記表示制御部は、前記エラー措置情報と共に前記複数の機能のうち利用可能な機能に係る残存機能情報を前記表示装置に表示させる、
ことを特徴とする電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−35562(P2011−35562A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−178229(P2009−178229)
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】