説明

電子機器

【課題】 操作部材への操作量に応じて当該操作部材に対応する機能のパラメータの変化量を変更することができる電子機器において、操作部材への操作量の変化を検出するために必要なスペースを削減することを目的とする。
【解決手段】 機器本体に対して初期状態から双方向に移動可能な操作部材と、前記操作部材を検出する第1の検出手段と、前記操作部材を検出する第2の検出手段と、前記第1の検出手段及び前記第2の検出手段の検出結果に基づいて、前記操作部材に対応した機能の制御を行う制御手段と、を有し、前記第1の検出手段は、前記操作部材を第1の方向に移動させた場合に、前記第2の検出手段により前記操作部材が検出される前に、当該操作部材を検出する位置に配置され、前記第2の検出手段は、前記操作部材を第2の方向に移動させた場合に、前記第1の検出手段により前記操作部材が検出される前に、当該操作部材を検出する位置に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器本体に対して初期状態から双方向に移動可能な操作部材を有する電子機器に関し、特に、操作部材への操作量に応じて当該操作部材に対応する機能のパラメータの変化量を変更することができる電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、撮像装置のような電子機器において、撮影光学系の焦点距離を変更する機能、いわゆるズーム機能を有するものがある。このような撮像装置では、ズーム機能を実行するためのズーム操作部材が撮像装置外装部に設けられており、中立位置(非操作位置)から一方向に操作すると、撮影光学系の焦点距離をワイド方向に切替えることができる。あるいは、中立位置から他方向に操作すると、撮影光学系の焦点距離をテレ方向に切替えることができる。
【0003】
また近年の撮像装置は、ズーム機能における焦点距離の変化速度(ズ−ム速度)を低速から高速へと変更可能な撮像装置も提供されている。
【0004】
例えば、特許文献1に記載された電子機器では、操作部材が非操作位置から第1の操作量操作されることで切り換わる第1のスイッチと、非操作位置から第1の操作量より大きい第2の操作量操作されることで切り換わる第2のスイッチとを有している。そして、第1のスイッチは、操作部材の移動によって動く切り換えレバー部を有し、第2のスイッチは、操作部材の操作方向端部が突き当たることで切り換わる構成をとっている。そして、第1のスイッチの切り換わりに応じて第1の速度でズーム動作を行い、第2のスイッチの切り換わりに応じて第1の速度より速い第2の速度でズーム動作を行うことでズーム速度を変更可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−186651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された電子機器では、第1のスイッチ及び第2のスイッチの切り換えを行うために少なくとも3つの検出スイッチが必要となる。その分、検出スイッチのスペースも確保せねばならないので、機器本体の小型化の妨げとなっていた。
【0007】
そこで、本発明は、操作部材への操作量に応じて当該操作部材に対応する機能のパラメータの変化量を変更することができる電子機器において、操作部材への操作量の変化を検出するために必要なスペースを削減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明にかかる電子機器は、機器本体に対して初期状態から双方向に移動可能な操作部材と、前記操作部材を検出する第1の検出手段と、前記操作部材を検出する第2の検出手段と、前記第1の検出手段及び前記第2の検出手段の検出結果に基づいて、前記操作部材に対応した機能の制御を行う制御手段と、を有し、前記第1の検出手段は、前記操作部材を第1の方向に移動させた場合に、前記第2の検出手段により前記操作部材が検出される前に、当該操作部材を検出する位置に配置され、前記第2の検出手段は、前記操作部材を第2の方向に移動させた場合に、前記第1の検出手段により前記操作部材が検出される前に、当該操作部材を検出する位置に配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、操作部材への操作量に応じて当該操作部材に対応する機能のパラメータの変化量を変更することができる電子機器において、操作部材への操作量の変化を検出するために必要なスペースを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明にかかる第1の実施形態であるデジタルカメラの外観斜視図。
【図2】第1の実施形態であるデジタルカメラのトップユニットの構成図。
【図3】第1の実施形態であるデジタルカメラの内部構成図。
【図4】第1の実施形態であるデジタルカメラのズームレバーが中立位置にある状態の構成図。
【図5】第1の実施形態であるデジタルカメラのズームレバーが時計回り方向に回動角度θ1だけ回動した状態の構成図。
【図6】第1の実施形態であるデジタルカメラのズームレバーが時計回り方向に回動角度θ2だけ回動した状態の構成図。
【図7】第1の実施形態であるデジタルカメラの検出スイッチの出力とズームレバーの回動角度との関係を示す図。
【図8】第2の実施形態であるデジタルカメラの内部構成図。
【図9】第2の実施形態であるデジタルカメラのズームスイッチが中立位置にある状態の構成図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1の実施形態)
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明にかかる実施形態であるデジタルカメラの外観斜視図である。図1において、カメラ本体1の前面の中央には撮影レンズを保持するレンズ鏡筒2があり、撮影レンズを光軸方向に移動させることにより、撮影レンズの焦点距離を変更する。すなわち、本実施形態の撮影レンズは、所謂ズームレンズになっており、複数枚のレンズから構成され、そのレンズ位置を移動させることにより焦点距離、すなわちズーム倍率を変化させることができる。このようにズームレンズによりなされるズームは一般に光学ズームと呼ばれている。一方で、本実施形態のデジタルカメラは電子ズーム機能も有している。この電子ズームは、撮像装置からの画像信号の一部を拡大して表示することにより、ズーム倍率を変化させるものである。
【0013】
カメラ本体1の上面にはズームレバー3があり、上述した光学ズームや電子ズームの倍率を変更するために操作される。また、ズームレバー3は円筒状に形成されていて、円筒状の中心軸を中心に時計回り方向(第1の方向)および反時計回り方向(第2の方向)の双方向に所定の範囲内で回動可能となっている。そして、回動方向に応じてズーム倍率をワイド方向あるいはテレ方向に変更することができる。また、ズームレバー3への操作量に応じて対応する機能のパラメータの変化量、すなわち、ズーム速度を変更することができる。
【0014】
ズームレバー3の中心にはレリーズボタン4があり、レリーズボタン4は2段階の押圧操作を検出する構成となっている。このレリーズボタン4への半押し操作(1段階の押圧操作)で、撮影準備動作(測光動作や測距動作等)が開始される。レリーズボタン4への全押し操作(2段階の押圧操作)で、被写体を撮像し、記録媒体に被写体像の画像デ−タを記録する。ズームレバー3の近傍には電源ボタン7があり、電源ボタン7は、カメラの主電源のON/OFFを行う。
【0015】
カメラ本体1の前面におけるレンズ鏡筒2の右上にはストロボの発光窓5があり、被写体が暗い時など撮影シーンに応じてストロボが発光する。
【0016】
ストロボの発光窓5の上にモードスイッチ6がある。モードスイッチ6は左右にスライド可能で、AUTOモード、カメラモード、動画モードの3つの撮影モードを選択する。AUTOモードはカメラの設定を何も行わないで撮影が始められる静止画撮影モードで、カメラモードではシャッターと絞りのプログラム線図を選択したり、ストロボの発行を禁止したりといったカメラの設定を手動で選択した上で静止画撮影を行うモードである。
【0017】
次に、ズームレバー3を含むトップユニット8の構成について図2を用いて詳細に説明する。図2(a)〜(e)はそれぞれトップユニット8の斜視図、上面図、下面図、断面図、展開図である。
【0018】
トップベース9にはベース穴部9aと2つの円弧穴部9b、9cが空けられている。ズームレバー3には回転軸があり、回転軸の中心にはボタン穴部3aが空けられている。ズームレバー3の回転軸を、トップベース9に設けられたベース穴部9aに貫通させることにより、ズームレバー3は回転軸を中心に回動可能となる。ズームレバー3には取り付けボス3bが1組設けられている。トップベース9の2つの円弧穴部9b、9cに貫通させた取り付けボス3bに、ズームプレート10の取り付け穴10aを通したビス11を組み付けることで、ズームレバー3とズームプレート10とが固定される。
【0019】
ズームレバー3とズームプレート10は回転軸を中心に、取り付けボス3bが2つの円弧穴部9b、9cの中を移動可能な所定の範囲内で回動可能となる。ズームプレート10には扇形の羽根部10b、10c、10dと略垂直に折り曲げたバネ掛け10eが設けられている。
【0020】
トップベース9の裏面には、不図示のバネ取り付け軸があり2本の腕の出たコイルバネ12を組み込んでビス13により抜けなくする。コイルバネ12の2本の腕はトップベース9の裏面のストッパー軸9dとバネ掛け10eを挟むように取り付ける。コイルバネ12の第1の腕は、ズームレバー3が時計回り方向に回動したときにチャージされズームレバー3を反時計回り方向に付勢する。また、コイルバネ12の第1の腕は、ズームレバー3が反時計回り方向に回動したときはトップベース9の裏面のストッパー軸9dにかかったままで動かず、コイルバネ12の第2の腕がズームレバー3を反時計回り方向に付勢することを補助する。
【0021】
コイルバネ12の第2の腕は、ズームレバー3が反時計回り方向に回動したときにチャージされズームレバー3を時計回り方向に付勢する。また、コイルバネ12の第2の腕は、ズームレバー3が時計回り方向に回動したときはトップベース9の裏面のストッパー軸9dにかかったままで動かず、コイルバネ12の第1の腕がズームレバーを時計回り方向に付勢することを補助する。
【0022】
ズームレバー3のボタン穴部3aの周りにボタンばね14をはめ込み、レリーズボタン4でボタンばね14をチャージしながら組み付ける。レリーズボタン4には爪がありこの爪がズームレバー3にスナップフィットする。
【0023】
レリーズボタン4はレリーズキャップ4aとレリーズボタン足部4bに分かれている。なお、レリーズボタン4はレリーズキャップ4aとレリーズボタン足部4bに分かれているが、一体でもよい。この後、モードスイッチ6や電源ボタン7の操作用部品を組み付けることでトップユニット8が完成する。
【0024】
次に、カメラ本体1の内部構成について図3を用いて説明する。メインシャーシ15にはフレキシブル基板16が組み付けられている。
【0025】
また、フレキシブル基板16には2つの検出スイッチ17a、bが組み付けられており、2つの検出スイッチ17a、bは、ズームレバー3に対して操作を行っていない状態でズームプレート10の羽根部10b、10c、10dが検出位置にこないよう配置される。具体的には、第1の羽根部10b、第2の羽根部10cの間に第2の検出スイッチ17bが配置され、第2の羽根部10c、第3の羽根部10dの間に第1の検出スイッチ17aが配置される。
【0026】
なお、検出スイッチ17aは、ズームプレート10の回転中心に向かって突出したスイッチ突起部17cが、ズームプレートが回動したときに第2の羽根部10c及び第3の羽根部10dに押されるように配置される。同様に、検出スイッチ17bは、ズームプレート10の回転中心に向かって突出したスイッチ突起部17cが、ズームプレートが回動したときに第1の羽根部10b及び第2の羽根部10cに押されるように配置される。検出スイッチ17a及び17bは、それぞれのスイッチ突起部17cが所定量押されるとON状態となる。このスイッチ突起部17cが所定量押されたときの羽根部の位置が、検出スイッチ17a及び17bの検出位置である。
【0027】
次に、ズームレバー3に対する操作量の検出方法について図4ないし図7を用いて説明する。
【0028】
図4はズームレバー3に対し操作を行っておらず、ズームレバー3が中立位置にある状態を示す図である。なお、図4のようにズームレバー3が中立位置にある状態を回動角度0度とし、ズームレバー3の初期状態とする。図4(a)〜(c)はそれぞれズームレバー3の断面図、上面図、正面図である。
【0029】
図4(a)に示すように、初期状態ではズームプレート10の第1の羽根部10b、第2の羽根部10c、第3の羽根部10dは、2つの検出スイッチ17a、bの検出位置にはない。そして、第2の羽根部10cにより第1の検出スイッチ17aのスイッチ突起部17cが押され第1の検出スイッチ17aがON状態となる時計回り方向の回動角度をθ1(第1の回動角度)とする。また、第1の羽根部10bにより第2の検出スイッチ17bのスイッチ突起部17cが押され第2の検出スイッチ17bがON状態となる時計回り方向の回動角度をθ2(第2の回動角度)とする。このとき、θ1とθ2とは、θ1<θ2の関係を満たしており、ズームプレート10が時計回り方向に回動するとき、第1の検出スイッチ17aが第2の検出スイッチ17bよりも前にON状態となる。なお、操作性を考慮すると回動角度θ2は90度以下の角度であることが望ましい。
【0030】
図5はズームレバー3に力を加え時計回り方向に回動角度θ1だけ回動させた状態を示している。図5(a)〜(c)はそれぞれズームレバー3の断面図、上面図、正面図である。
【0031】
図5(a)に示すように、回動角度θ1だけ回動させると、第1の検出スイッチ17aのスイッチ突起部17cが第2の羽根部10cによって押されてON状態となる。すなわち、第1の検出スイッチ17aは、第2の羽根部10cが検出位置に達したことを検出する。このとき、第2の検出スイッチ17bは第1の羽根部10bによりスイッチ突起部17cが押されていないためOFF状態である。すなわち、第2の検出スイッチ17aは、第2の羽根部10cが検出位置に達したことを検出していない。第2の検出スイッチ17bがOFF状態で、第1の検出スイッチ17aがON状態となることで、広角方向に所定の速度ω1(第1の速度)でズーム倍率変更動作(以下では、変倍動作とする)が行われる。
【0032】
図6は、図5に示した状態からさらにズームレバー3に力を加え、時計回り方向に回動角度θ2だけ回動させた状態を示している。図6(a)〜(c)はそれぞれズームレバー3の断面図、上面図、正面図である。
【0033】
図6(a)に示すように、回動角度θ2だけ回動させると、第1の検出スイッチ17aがON状態のまま第2の検出スイッチ17bのスイッチ突起部17cが第1の羽根部10bによって押されてON状態となる。すなわち、第2の検出スイッチ17bは、第1の羽根部10bが検出位置に達したことを検出する。第1の検出スイッチ17aがON状態で、第2の検出スイッチ17bがON状態となることで、広角方向のズーム速度が所定の速度ω1よりも速い所定の速度ω2(第2の速度)に変更される。
【0034】
図5あるいは図6示した状態で、ズームレバー3に対する操作を終えると、ズームレバー3はコイルバネ12の力で図4に示した初期状態に戻る。このとき、第1の検出スイッチ17a及び第2の検出スイッチ17bは第1の羽根部10b及び第2の羽根部10cを検出していないので、ともにOFF状態となり変倍動作を停止する。
【0035】
以上は、ズームレバー3を時計回り方向に回動させて広角方向に変倍動作を行う場合についての説明である。
【0036】
ズームレバー3を反時計回り方向に回動させた場合は、時計回り方向に回動させた場合とは逆に、第2の検出スイッチ17bが第1の検出スイッチ17aよりも前にON状態となるように、第1の検出スイッチ17a及び第2の検出スイッチ17bを配置する。すなわち、第2の羽根部10cにより第2の検出スイッチ17bのスイッチ突起部17cが押され第2の検出スイッチ17bがON状態となる反時計回り方向の回動角度をθ1(第1の回動角度)とする。また、第3の羽根部10dにより第1の検出スイッチ17aのスイッチ突起部17cが押され第1の検出スイッチ17aがON状態となる反時計回り方向の回動角度をθ2(第2の回動角度)とする。なお、ズームレバー3を反時計回り方向に回動させたときに第2の検出スイッチ17bが第1の検出スイッチ17aよりも先にON状態となる角度であれば、第2の検出スイッチ17bがON状態となる反時計回り方向の回動角度はθ1でなくてもよい。同様に、ズームレバー3を反時計回り方向に回動させたときに第2の検出スイッチ17bが第1の検出スイッチ17aよりも先にON状態となる角度であれば、第1の検出スイッチ17aがON状態となる反時計回り方向の回動角度はθ2でなくてもよい。
【0037】
ズームレバー3を反時計回り方向に回動角度θ1だけ回動させると、第2の検出スイッチ17bのスイッチ突起部17cが第2の羽根部10cによって押されてON状態となる。このように、第1の検出スイッチ17aがOFF状態で、第2の検出スイッチ17bがON状態となることで、望遠方向に所定の速度ω1(第1の速度)で変倍動作が行われる。
【0038】
ズームレバー3を反時計回り方向に回動角度θ2だけ回動させると、第2の検出スイッチ17bがON状態で第1の検出スイッチ17aのスイッチ突起部17cが第3の羽根部10cによって押されてON状態となる。第1の検出スイッチ17aがON状態で、第2の検出スイッチ17bがON状態となることで、望遠方向のズーム速度が所定の速度ω1よりも速い所定の速度ω2(第2の速度)に変更される。ここで、望遠方向に変倍動作を行う際の速度を広角方向に変倍動作を行う際の速度と同一としたが、望遠方向と広角方向とで異なるズーム速度にしても構わない。
【0039】
なお、ズームレバー3を時計回り方向に回動角度θ2だけ回動させた場合と、反時計回り方向に回動角度θ2だけ回動させた場合とは、ともに第1の検出スイッチ17aと第2の検出スイッチ17bとがON状態となっている。そこで、第1の検出スイッチ17aと第2の検出スイッチ17bとがON状態になった場合については、後述の図7の説明において詳しく述べる。
【0040】
なお、本実施の形態では、第1の羽根部10bと第3の羽根部10dとの間にバネ掛け10eが設けられているため、第1の羽根部10bと第3の羽根部10dとが分割されているが、第1の羽根部10bと第3の羽根部10dとが繋がった羽根部であってもよい。
【0041】
また、本実施の形態では、第2の羽根部10cが第1の検出スイッチ17a及び第2の検出スイッチ17bのそれぞれのスイッチ突起部17cを押しているが、2つの羽根部にしてそれぞれが異なるスイッチ突起部17cを押すようにしてもよい。このとき、2つの羽根部は、ズームレバー3を回動させたときに第1の羽根部10bあるいは第3の羽根部10dよりも先にスイッチ突起部17cを押すことになる。そのため、第1の羽根部10bあるいは第3の羽根部10dでスイッチ突起部17cを押すまでスイッチ突起部17cを押し続ける大きさであることが望ましい。
【0042】
図7は、第1の検出スイッチ17a及び第2の検出スイッチ17bの出力とズームレバー3の回動角度との関係を示す図である。
【0043】
回動角度がθ1未満の場合、時計回り方向及び反時計回り方向ともに、第1の検出スイッチ17a及び第2の検出スイッチ17bは羽根部を検出していない。そのため、第1の検出スイッチ17a及び第2の検出スイッチ17bはともにOFF状態であり、変倍動作は行われない。
【0044】
回動角度がθ1以上でθ2未満の場合、第1の検出スイッチ17a及び第2の検出スイッチ17bのいずれか一方のみ羽根部を検出する。そのため、第1の検出スイッチ17a及び第2の検出スイッチ17bのいずれか一方はON状態で他方はOFF状態であり、ON状態とOFF状態との組み合わせに応じて、ズーム方向及びズーム速度を選択する。
【0045】
回動角度がθ2以上の場合、時計回り方向及び反時計回り方向ともに、第1の検出スイッチ17a及び第2の検出スイッチ17bの両方が羽根部を検出する。そのため、第1の検出スイッチ17a及び第2の検出スイッチ17bはともにON状態であり、この状態に移行する直前の第1の検出スイッチ17a及び第2の検出スイッチ17bの状態(検出結果)に応じて、ズーム方向及びズーム速度を選択する。あるいは、この状態に移行する直前のズーム方向及びズーム速度などの制御状態に応じて、ズーム方向及びズーム速度を選択する。
【0046】
なお、ズーム方向及びズーム速度の選択や変倍動作の停止などの制御は、第1の検出スイッチ17a及び第2の検出スイッチ17bの検出結果に基づいて、不図示のCPUにより行われる。
【0047】
以上のように、本実施形態では、2つの検出スイッチ17で広角方向及び望遠方向のズーム速度をそれぞれ低速と高速で変更することができる。すなわち、2つの検出スイッチ17でズームレバー3への操作量及びズームレバー3の回動方向を検出することができ、ズームレバー3への操作量の変化を検出するために必要なスペースを削減することができる。
【0048】
(第2の実施形態)
本実施形態のデジタルカメラは、第1の実施形態のデジタルカメラとほぼ同様の構成であるが、ズームプレート10の羽根部を検出する機構が異なっている。
【0049】
図8は、本実施形態であるデジタルカメラの内部構成を示した図であり、トップユニット8、メインシャーシ15、メイン基板18の展開図である。
【0050】
図9はズームレバー3に対して操作を行っておらず、ズームレバー3の初期状態(回動角度0度)を示す図である。図9(a)〜(c)はそれぞれズームレバー3の断面図、上面図、正面図である。
【0051】
本実施形態では、メインシャーシ15に前方から組みつけるメイン基板18の上部に浅く幅の広い切欠きがあり、この切欠きの両側に検出スイッチである2つのフォトインタラプタ19a、b(以下、PIとする)が組み付けられている。
【0052】
メインシャーシ15には上部からトップユニット8が組み付けられ、トップユニット8を組み付けると、ズームプレート10は2つのPI19a、bを実装したメイン基板18の浅く幅の広い切欠き部にはいる。このとき、ズームプレート10の羽根部10b、10c、10dが、2つのPI19a、bのスリットと同一平面となるように、切り欠き部の深さ及び2つのPI19a、bの位置が調整されている。
【0053】
第1の実施形態に同様に、ズームプレート10の羽根部10b、10c、10dは、ズームレバー3に対して操作を行っていない状態において2つのPI19a、bの検出位置にこないように配置される。具体的には、第1の羽根部10b、第2の羽根部10cの間に第2のPI19bが配置され、第2の羽根部10c、第3の羽根部10dの間に第1のPI19aが配置される。2つのPI19a、bは、検出位置である光路中にズームプレート10の羽根部10b、10c、10dが侵入することで、ズームプレート10の羽根部10b、10c、10dが検出位置に達したことを検出する。
【0054】
ズームレバー3に対する操作量の検出方法については、第1の実施形態1と同様であるため詳細な説明は省略する。
【0055】
以上のように、本実施形態では、2つのPI19a、bでズームレバー3への操作量及びズームレバー3の回動方向を検出することができ、ズームレバー3への操作量の変化を検出するために必要なスペースを削減することができる。
【0056】
また、ズームレバー3に対する操作量の検出に2つのPI19a、bを用いることで、第1の実施形態で検出スイッチを実装していた上面の基板が不要になるため、よりズームレバー3への操作量の変化を検出するために必要なスペースを削減することができる。
【0057】
また、メイン基板18に設けた切り欠き部のスペースでズームレバー3に対する操作量の検出を行うことで、よりズームレバー3への操作量の変化を検出するために必要なスペースを削減することができる。
【0058】
また、特許文献1に記載された電子機器では、第2のスイッチは、操作部材の操作方向端部が突き当たることで切り換わるため、第2の速度でズーム動作を行う際には操作方向端部が突き当たる衝突音が発生してしまう。そのため、音声も記録される動画撮影時に第2の速度でズーム動作を行うと前述の衝突音が録音されてしまうという問題もあった。しかしながら、本実施形態では、2つのPI19a、bによりズームレバー3に接触することなくズームレバー3への操作量を検出することができるため、ズームレバー3を操作したときに生じる操作音を軽減することができる。なお、ズームレバー3への操作量を非接触で検出するフォトインタラプタの代わりにフォトリフレクタを用いても同様の効果を得ることができる。
【0059】
また、上記の2つの実施形態では、ズームレバー3のような機器本体に対して回動可能な操作部材に適用した場合を説明したが、機器本体に対して移動可能な操作部材であれば、直動可能な操作部材にも適用することが可能である。
【0060】
また、上記の2つの実施形態では、ズーム倍率を変更させるための操作部材に適応した場合を説明したが、その他の機能に対応した操作部材に適用しても構わない。例えば、記録媒体に記録された複数の画像のうちの1つを不図示の画像表示部に表示させる再生モードにおいて、表示させる画像を次の画像に変更する画像送り操作の速度を変更させる操作部材に適用しても構わない。
【0061】
また、上述した画像送り操作のような、撮像装置以外の電子機器でも実行可能な機能にも適用可能であるため、操作部材への操作量に応じて当該操作部材に対応する機能のパラメータの変化量を変更させる電子機器であれば本発明を適用することができる。
【0062】
以上のように、上記の2つの実施形態は、いずれも本発明を実施するに当たっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術範囲が限定的に解釈されてはならない。本発明はその技術思想又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することが可能である。
【符号の説明】
【0063】
1 カメラ本体
3 ズームレバー
10 ズームプレート
15 メインシャーシ
16 フレキシブル基板
17 検出スイッチ
18 メイン基板
19 フォトインタラプタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器本体に対して初期状態から双方向に移動可能な操作部材と、
前記操作部材を検出する第1の検出手段と、
前記操作部材を検出する第2の検出手段と、
前記第1の検出手段及び前記第2の検出手段の検出結果に基づいて、前記操作部材に対応した機能の制御を行う制御手段と、を有し、
前記第1の検出手段は、前記操作部材を第1の方向に移動させた場合に、前記第2の検出手段により前記操作部材が検出される前に、当該操作部材を検出する位置に配置され、
前記第2の検出手段は、前記操作部材を第2の方向に移動させた場合に、前記第1の検出手段により前記操作部材が検出される前に、当該操作部材を検出する位置に配置されることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記第1の検出手段は、前記操作部材を前記第2の方向に移動させた場合に、前記第2の検出手段により前記操作部材が検出された状態で当該操作部材を検出し、
前記第2の検出手段は、前記操作部材を前記第1の方向に移動させた場合に、前記第1の検出手段により前記操作部材が検出された状態で当該操作部材を検出することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記制御手段は、前記第1の検出手段と前記第2の検出手段とにより前記操作部材が検出された場合、前記第1の検出手段と前記第2の検出手段とにより前記操作部材が検出される直前の制御状態に基づいて前記機能の制御を行うことを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記制御手段は、前記第1の検出手段と前記第2の検出手段とにより前記操作部材が検出された場合、前記第1の検出手段と前記第2の検出手段とにより前記操作部材が検出される直前の前記第1の検出手段及び前記第2の検出手段の検出結果に基づいて前記機能の制御を行うことを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項5】
前記制御手段は、前記第1の検出手段及び前記第2の検出手段のいずれか一方のみで前記操作部材が検出された場合と、前記第1の検出手段と前記第2の検出手段とにより前記操作部材が検出された場合とで、前記機能のパラメータの変化量を変更することを特徴とする請求項2ないし4のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記操作部材は、前記機器本体に対して前記初期状態から所定の範囲内で回動可能であって、
前記第1の検出手段は、前記操作部材を前記第1の方向に第1の回動角度だけ回動させたときに当該操作部材を検出する位置であって、前記操作部材を前記第2の方向に前記第1の回動角度よりも大きい第2の回動角度だけ回動させたときに当該操作部材を検出する位置に配置され、
前記第2の検出手段は、前記操作部材を前記第1の方向に前記第2の回動角度だけ回動させたときに当該操作部材を検出する位置であって、前記操作部材を前記第2の方向に前記第1の回動角度だけ回動させたときに当該操作部材を検出する位置に配置されることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項7】
前記第1の検出手段及び前記第2の検出手段は、それぞれが発する光の光路中に前記操作部材が侵入したら当該操作部材を検出することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−109177(P2012−109177A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−258604(P2010−258604)
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】