説明

電子機器

【課題】タッチセンサに対する複数の態様の操作を、操作者の意図に沿うように的確に判別することができる電子機器を提供する。
【解決手段】接触を検出するタッチセンサ40を備える電子機器1は、タッチセンサ40が接触によるスライド操作を検出している際に接触の解除を検出した後、所定時間内に再び接触を検出したら、再び検出された接触の位置と接触の解除が検出されるまでのスライド操作の方向とに応じて、スライド操作が継続しているか否かを判定するように制御する制御部10を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチセンサを備える電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話等の携帯端末において、操作者による操作を検出する部材として、タッチパネルやタッチスイッチ等のタッチセンサを備える電子機器が増えている。また、携帯端末以外に、電卓、券売機等の機器や、電子レンジ、テレビ、照明器具等の家電製品、産業用機器(FA機器)等、タッチセンサを備える電子機器は広く使用されている。
【0003】
このようなタッチセンサには、抵抗膜方式、静電容量方式、光学式等の種々の方式が知られている。いずれの方式のタッチセンサも、操作者の指やスタイラスペン等による接触を検出する。タッチセンサを備えた電子機器は、一般的に、タッチセンサの裏面に配置した表示部の表示画面上に、操作キーやボタンなどの画像(以下、「オブジェクト」と記す)を表示する。表示画面上に表示されたオブジェクトを操作者が押圧すると、当該押圧の位置における接触をタッチセンサが検出するようになっている。
【0004】
ところで、最近の電子機器は、操作者が操作キーやボタンまたはアイコンなどのオブジェクトに接触する操作を検出する際、接触操作を複数の態様で検出することができるのが一般的である(例えば特許文献1〜3参照)。このような電子機器は、通常、表示部にオブジェクトを表示して、そのオブジェクトの位置に対する操作者の接触を、タッチセンサが検出する。
【0005】
例えば、電子機器の表示部にアイコンなどのオブジェクトを表示し、そのオブジェクトに対して、操作者が1度だけ短時間触れるような接触をタッチセンサが検出する場合、このような態様の操作は「タップ」または「シングルタップ」と呼ばれる。これは、一般的なパーソナルコンピュータ(PC)のオペレーティングシステム(OS)によって提供されるデスクトップ環境において、クリック(シングルクリック)の操作に相当することが多い。また、例えば、表示したオブジェクトに対して操作者が素早く2回連続して触れるような接触をタッチセンサが検出する場合、このような態様の操作は「ダブルタップ」と呼ばれる。これは、前述のデスクトップ環境において、ダブルクリックの操作に相当することが多い。
【0006】
このように、タップまたはダブルタップのような態様の接触が検出されると、電子機器は、それぞれ接触の態様に応じて、起動中のアプリケーションソフトウェア(以下、単に「アプリケーション」と記す)によって規定された所定の動作を開始する。例えば、アイコンのオブジェクトに対応する位置のタッチセンサにシングルタップの接触が検出された場合、電子機器は、当該オブジェクトを選択する。また、例えばアイコンのオブジェクトに対応する位置のタッチセンサにダブルタップの接触が検出された場合、電子機器は、当該オブジェクトに関連付けられたアプリケーションの実行を開始する。
【0007】
上述した態様の接触以外にも、例えば、スライド操作による接触を検出できる電子機器もある。すなわち、このような電子機器は、表示部にアイコンなどのオブジェクトを表示し、そのオブジェクトの位置に対応するタッチセンサにおいて、操作者が開始した接触が維持されたまま当該接触の位置を移動する操作を検出する。このように、タッチセンサ上で操作者による接触が検出された後、当該接触が維持されたまま接触の位置が移動する場合、このような態様の操作は、一般に「スライド」と呼ばれる。このスライド操作に基づいて、電子機器は、例えば、ある時点で操作者の指が接触した位置にあったアイコンのオブジェクトを、操作者の指の接触が解除された位置に移動することができる。これは、前述のデスクトップ環境においては、アイコンなどのオブジェクトを「ドラッグ」する操作に相当することが多い。
【0008】
さらに、タッチセンサ上で行われるスライド操作の態様の1つとして、例えば、フリック操作を検出できる電子機器もある。フリック操作とは、タッチセンサ上で操作者が素早く指を払うような(または指をはじくような)動作を行う操作であり、すなわち、タッチセンサ上で操作者による接触が検出された後、若干の勢いを伴ってスライドの動作が行われる操作である。
【0009】
起動中のアプリケーションによってフリック操作に応じた動作を規定しておくことにより、電子機器は、このようにタッチセンサ上で操作者のフリック操作による接触の検出に応じて、フリック操作に特有の動作を行うことができる。すなわち、例えば、表示部にリスト表示がされている際に、電子機器は、接触の開始から当該接触が解除されるまでの間に検出した接触の位置の移動の距離および速度等に応じて、接触解除後もリスト表示のスクロールをある程度継続する。
【0010】
例えば、フリック操作による接触の位置が非常にゆっくり移動した場合、電子機器は、上述したスライド操作によるドラッグの場合とほぼ同様の処理を行い、接触解除後のスクロールがすぐに停止するように制御する。一方、例えば、フリック操作による接触の位置が非常に速く移動した場合、電子機器は、上述したスライド操作によるドラッグの場合とは異なる処理を行い、接触解除後も少しの間スクロールが停止しないように制御する。このようにして、表示部上の表示が、まるで質量を有しているかの如く、慣性の法則に従う挙動を模したような特徴的な動作を実現している。
【0011】
さらには、電子機器のタッチセンサによっては、複数箇所における接触を同時に検出できるものもある。このような特徴を活かして、例えば、2本の指で2点を接触したまま2点間の距離を小さくするように接触の位置を移動させる操作(ピンチイン)を検出することもできる電子機器もある。また、同様に、2点間の距離を大きくするように接触の位置を移動させる操作(ピンチアウト)といったような接触操作も検出することができる電子機器もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2009−266236号公報
【特許文献2】特表2009−525538号公報
【特許文献3】特表2010−517197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上述したようなタッチセンサを備える電子機器は、検出される接触の態様に応じて異なる処理を関連付けることができるため、異なる態様の接触の検出に応じて複数の処理を区別して実行することができる。
【0014】
ところで、上述したスライド操作のような態様の操作を行うためには、操作者は、タッチセンサを接触する際の押圧力をある程度一定に保ったまま、タッチセンサをなぞるようにして操作を行わなければならない。しかしながら、このようにタッチセンサ上をなぞる操作を行う際に、タッチセンサを接触する際の押圧力を一定に保つことは、電子機器の用途または形態などによっては、必ずしも操作者にとって容易なことではない。特に、例えば携帯端末のように、接触するタッチセンサの面積も端末自体の筐体も大きくない場合、細かい操作を苦手とする操作者が操作を行うと、タッチセンサに対する押圧力が操作者の意図しない方向に逃げやすい。
【0015】
また、電子機器が携帯端末のように小型の場合、操作者は移動しながら、あるいは他の動作を行いながら端末を操作することが多い。このような場合、操作者は端末に対するスライド操作に意識を集中できないことも多いため、自らの意図通りに、正確になぞる力を一定に維持したスライド操作を行うことができるとは限らない。特に、幼児やお年寄りが操作する電子機器の場合や、身体の不自由な人が操作することが想定される例えば医療分野で使用される電子機器の場合、操作者に正確なスライド操作を要求することは困難である。あるいは、タッチセンサ表面における摩擦の具合や、操作者が電子機器の端末を操作する際の姿勢などによって、操作者がタッチセンサ上でスライド操作を行う際に押圧力を一定に保つことが困難となる場合もある。さらに、操作者がタッチセンサを操作する際に、自らの指ではなくスタイラスなどの道具を用いる場合には、このような問題が顕著になることが想定される。
【0016】
上述したように、スライド操作は、接触の開始から当該接触が解除されるまでの間に検出される接触の位置が移動する操作である。したがって、スライド操作が行われている最中に、操作者の押圧力が意図せず弱まってしまい、タッチセンサに対する接触が解除されてしまうと、その瞬間にスライド操作は終了したものと判定される。このような場合、操作者としてはまだスライド操作を継続して行おうとする意図があるにもかかわらず、スライド操作は終了したものと判定されるため、操作者は意図通りの操作を行うことができない。
【0017】
このような問題に対処するために、例えばタッチセンサに対する操作者の接触が解除されたのが一瞬であるような場合は、当該接触は解除されずにスライド操作が継続しているものとして処理する措置も考えられる。すなわち、スライド操作が検出されている最中に、接触が解除されてから再び接触が検出されるまでの間が所定の短時間であれば、スライド操作は終了しておらず継続しているものとして処理するように制御するという措置である。
【0018】
しかしながら、このような措置を講ずると、操作者が素早い操作を行うことにより、ある操作から次の操作を行うまでの間が一瞬であるような場合に、別の問題を誘発することが想定される。当該問題について、図9を参照して説明する。
【0019】
図9は、操作者がタッチセンサに対するスライド操作を行うことにより、タッチセンサの背面に配置された表示部に表示されたオブジェクト(アイコン)をドラッグする様子を示す図である。例えば、図9(A)に示すように、操作者がスライド操作を行うことにより、ファイルaをフォルダBの左隣までドラッグしてから接触を解除し、再びスライド操作により、図9(B)に示すように、フォルダBを上方にドラッグする場合について説明する。
【0020】
この場合、操作者は、図9(A)に示す状態から図9(B)に示す位置までファイルaをドラッグした後、一旦接触を解除してから、図9(B)に示すフォルダBに再び接触する。したがって、接触の解除から再度の接触の検出までの間が所定の短時間内である場合スライド操作は継続しているものとして処理すると、操作者がファイルaをドラッグ完了後即座にフォルダBに接触した場合も、スライド操作が継続しているものとして処理される。このため、操作者は、フォルダBを上方にドラッグすることはできずに、ファイルaに対するスライド操作を継続してしまうため、図9(C)に示すように、ファイルaをドラッグし続けてしまうことになる。
【0021】
このように、操作者が意図しない動作が行われると、キャンセル可能な操作であれば、キャンセル後に再び操作をやり直すという手間が必要になり、またキャンセル不可能な操作であれば、操作者にとって不都合な事態を招くおそれもある。以上説明したように、スライド操作が継続しているか否かを、接触が解除されている時間のみで判定しても、操作者の意図に基づく正確な判別を行うことはできないことがわかる。
【0022】
したがって、かかる事情に鑑みてなされた本発明の目的は、操作者がタッチセンサに対するスライド操作を行った際に、操作者の意図しない処理が行われるおそれを低減できる電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上記目的を達成する第1の観点に係る電子機器の発明は、
接触を検出するタッチセンサを備える電子機器において、
前記タッチセンサが接触によるスライド操作を検出している際に当該接触の解除を検出した後、所定時間内に再び接触を検出したら、当該再び検出された接触の位置と前記接触の解除が検出されるまでのスライド操作の方向とに応じて、スライド操作が継続しているか否かを判定するように制御する制御部と、
を備えることを特徴とするものである。
【0024】
また、上記目的を達成する第2の観点に係る電子機器の発明は、
接触を検出するタッチセンサと、
前記タッチセンサのタッチ面に対する押圧荷重を検出する荷重検出部と、を備える電子機器であって、
前記荷重検出部が検出する押圧荷重が所定の基準を満たしつつ前記タッチセンサが接触によるスライド操作を検出している際に当該押圧荷重が前記所定の基準を満たさなくなった後、所定時間内に押圧荷重が前記所定の基準を再び満たしたら、当該所定の基準を再び満たした際に検出された接触の位置と前記押圧荷重が前記所定の基準を満たさなくなった時点までのスライド操作の方向とに応じて、スライド操作が継続しているか否かを判定するように制御する制御部と、
を備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、操作者がタッチセンサに対するスライド操作を行った際に、操作者の意図しない処理が行われるおそれを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1実施の形態に係る電子機器の概略構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施の形態に係る電子機器において従来式のドラッグを行う場合の動作を説明するフローチャートである。
【図3】第1実施の形態に係る電子機器による動作を説明するフローチャートである。
【図4】第1実施の形態による電子機器が操作者の操作を検出する際の動作の例を説明する図である。
【図5】第1実施の形態による電子機器が操作者の操作を検出する際の動作の他の例を説明する図である。
【図6】第2実施の形態に係る電子機器の概略構成を示すブロック図である。
【図7】第2実施の形態に係る電子機器の実装構造の一例を示す図である。
【図8】第2実施の形態に係る電子機器による動作を説明するフローチャートである。
【図9】従来の電子機器が操作者の操作を検出する際の動作の例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の各実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0028】
(第1実施の形態)
図1は、本発明の第1実施の形態に係る電子機器の概略構成を示す機能ブロック図である。本実施の形態に係る電子機器は、例えば携帯電話やPDA(Personal Digital Assistant)などの携帯端末のように、文字または数字を入力する操作を行う際に用いる電子機器とすることができる。また、本実施の形態に係る電子機器は、携帯端末に限定されるものではなく、銀行に設置されるATM、駅に設置される券売機に用いる電子機器など、タッチセンサに対する操作者の操作による接触を検知するものであれば、任意の電子機器に適用することができる。
【0029】
図1に示すように、本実施の形態に係る電子機器1は、制御部10、表示部30、タッチセンサ40、記憶部80、および計時部90を備える。
【0030】
制御部10は、電子機器1全体の動作を制御および管理する。制御部10の動作については後述する。表示部30は、押しボタンスイッチ(プッシュ式ボタンスイッチ)のような入力ボタン等のオブジェクトを表示するもので、例えば、液晶表示パネルや有機EL表示パネル等を用いて構成する。タッチセンサ40は、通常は表示部30の前面に配置して、表示部30に表示したキーやボタン等(以下、単に「キー等」という)に対する操作者の指やスタイラスなどによる接触を、対応するタッチセンサ40のタッチ面により検出する。このタッチセンサ40は、例えば抵抗膜方式、静電容量方式、光学式等の公知の方式のもので構成する。
【0031】
記憶部80は、公知技術によるメモリなどで構成することができ、各種アプリケーションおよび入力された各種情報などを記憶するとともに、ワークメモリなどとしても機能する。特に、本実施の形態において、記憶部80は、電子機器1において実行する各種のアプリケーションを記憶(インストール)しておく。また、後述のように、本実施の形態において、記憶部80は、タッチセンサ40が検出した接触の位置、および当該位置に基づいて制御部10が算出する接触の位置の移動方向なども記憶する。
【0032】
計時部90は、電子機器1における各機能部の動作にかかる時間を計測することができ、公知のタイマなどにより構成することができる。なお、計時部90は、図1に示すように、制御部10に含まれるように構成したり、または制御部10のクロック周波数などを用いてもよい。あるいは、計時部90は、制御部10の外部に個別の機能部として設けてもよい。
【0033】
図1に示した電子機器1における表示部30およびタッチセンサ40の実装構造については、従来のタッチセンサを備える電子機器とほぼ同様の実装構造とすることができる。すなわち、電子機器1において、通常は表示部30の前面にタッチセンサ40を配置して、表示部30に表示したキー等のオブジェクトに対する操作者の指やスタイラスなどによる接触を、対応するタッチセンサ40のタッチ面により検出する。
【0034】
次に、本実施の形態による電子機器1の動作について説明する。本実施の形態において、電子機器1は、操作者によるスライド操作が一時的に途絶えた後に復旧した際に、操作者は当該スライド操作を継続しているか否かを判定する。スライド操作が継続していると判定した場合、電子機器1は、一時的に途絶えたスライド操作を、途絶えていないものとして処理するように制御する。以下の説明において、本実施の形態による電子機器1の動作の一例として、一般的なPCのOSによって提供されるようなデスクトップ環境を表示部30において再現し、操作者がアイコンのオブジェクトをドラッグする場面を想定する。
【0035】
図2は、本実施の形態による電子機器1において、一般的な従来式のドラッグを行う場合に想定される動作を説明するフローチャートである。以下、本実施の形態による電子機器1独自の動作の理解を容易にするために、まず、電子機器1において、本願発明独自の制御を行わずに、従来式のドラッグの動作を行う場合の処理について説明する。
【0036】
図2に示す動作を行うに際し、電子機器1は、実行しているアプリケーションに基づいて、表示部30に少なくとも1つのアイコンのオブジェクトを表示しているものとする。本実施の形態におけるアイコンのオブジェクトは、タッチセンサ40において接触すべき部位を操作者に示唆する画像とすることができる。例えば、オブジェクトの画像として、所定のアプリケーションを起動するためのアイコンの画像や、フォルダまたはファイルなどのアイコンの画像を表示部30に表示する。なお、以下の説明において、単に「オブジェクト」と記す場合は、タッチセンサ40において接触すべき部位を操作者に示唆する画像を意味するものとする。
【0037】
本実施の形態に係る電子機器1の動作が開始すると、制御部10は、タッチセンサ40に対する接触を監視する(ステップS11)。すなわち、ステップS11において、制御部10は、タッチセンサ40が操作者の指やスタイラス等の接触対象(接触物)による接触を検出したか否かを判定する。
【0038】
ステップS11においてタッチセンサ40に対する接触が検出されたら、制御部10は、検出された接触の位置が所定領域内に存在するか否かを判定する(ステップS12)。本実施の形態の「所定領域」とは、タッチセンサ40において、アイコンなどのオブジェクトが表示部30に表示された位置に対応する領域のことである。すなわち、ステップS12においては、接触の位置が、オブジェクトの表示された位置(オブジェクト上の位置)に対応するか否かを判定する。ステップS11においてタッチセンサ40に対する接触が検出されない場合、またはステップS12において検出された接触の位置がオブジェクト上でない場合は、制御部10は、ステップS11に戻って処理を続行する。
【0039】
ステップS12において接触の位置がオブジェクトの表示された位置に対応する場合、制御部10は、当該接触が当該オブジェクト上において解除されたか否かを判定する(ステップS13)。ステップS13において当該オブジェクト上における当該接触が解除された場合、制御部10は、当該オブジェクトに対応する処理を実行してから(ステップS14)、本動作を終了する。ステップS14における「オブジェクトに対応する処理」とは、例えばフォルダのオブジェクトに対応する位置における接触が検出された場合には、当該フォルダをオープンする動作を実行する処理とすることができる。また、例えばファイルのオブジェクトに対応する位置における接触が検出された場合には、「オブジェクトに対応する処理」とは、当該ファイルを実行するために、当該ファイルに関連付けられたアプリケーションを起動する処理とすることができる。
【0040】
一方、ステップS13において当該オブジェクト上における当該接触の解除が検出されない場合、制御部10は、当該接触の位置の移動が検出されたか否かを判定する(ステップS15)。すなわち、ステップS15においては、制御部10は、操作者がオブジェクト上において開始した接触の位置を移動させることにより、スライド操作を開始したか否かを判定する。ステップS15において接触位置の移動が検出されない場合、制御部10は、ステップS13に戻って処理を続行する。一方、ステップS15において接触位置の移動が検出された場合、制御部10は、ドラッグ処理を行う(ステップS16)。ここで、「ドラッグ処理」とは、タッチセンサ40が検出する接触の位置の移動に応じて、表示部30に表示されるオブジェクトを当該接触の位置に追従させるようにする処理である。
【0041】
ステップS16においてドラッグ処理を行った後、制御部10は、タッチセンサ40により検出されている接触が解除されたか否かを判定する(ステップS17)。ステップS17において接触の解除が検出されるまで、制御部10は、ステップS16のドラッグ処理を継続する。一方、ステップS17において接触の解除が検出されたら、制御部10は、本動作を終了する。
【0042】
以上のような動作を行うことにより、電子機器1は、操作者によるスライド操作の検出に応じて、アイコンをドラッグさせる動作を行うことができる。以上説明した動作に対して、本発明独自の処理を追加することにより、本実施の形態においては、スライド操作が一時的に中断した際に、タッチセンサ40に対するスライド操作が継続されているか否かを判別する。
【0043】
図3は、本実施の形態に係る電子機器1による本発明独自の動作を説明するフローチャートである。図3に示す動作は、図2にて説明した動作に対していくつかの処理を追加したものであるため、図2と同じになる説明は適宜省略する。
【0044】
図3に示すステップS17においても、図2において説明したのと同様に、ドラッグ処理の後に、タッチセンサ40により検出されている接触が解除されたか否かを判定する。本実施の形態においては、ステップS17において接触の解除が検出された後に再び接触が開始された場合、当該再び開始された接触がスライド操作の続きであるか否かを判定する。このために、制御部10は、図3に示すように、ステップS15においてスライド操作が検出されたら、所定期間ごとに、移動する接触の位置、およびスライド操作が移動する方向を検出して、その結果を記憶部80に記憶する(ステップS21)。
【0045】
ステップS21においては、制御部10は、まず、所定期間ごとに、スライド操作によりタッチセンサ40上で移動する接触の位置を、例えば座標などの情報として、記憶部80に記憶する動作を開始する。さらに、ステップS21において、制御部10は、記憶部80に記憶した移動する接触の位置の情報に基づいて、接触の位置が移動する方向の算出を開始する。この際、制御部10は、例えば、現在に最も近い時点で記憶された接触の位置と、その直前に記憶された接触の位置との2点に基づいて、接触の位置が移動する方向を算出することができる。または、現在に最も近い時点で記憶された接触の位置と、それよりも所定の段階だけ前に記憶された接触の位置との2点に基づいて、接触の位置が移動する方向を算出してもよい。なお、ステップS21における「所定期間」とは、例えば、制御部10のクロック周波数を最小単位として、スライド操作によって接触の位置が移動する方向を判定するのに好適な比較的短い期間を設定する。
【0046】
ステップS21の後は、図2において説明したのと同様に、制御部10は、ドラッグ処理を行って(ステップS16)、それから接触が解除されたか否かを判定する(ステップS17)。ステップS17において、接触が解除されていない場合、すなわち操作者のスライド操作が完了していない場合には、制御部10は、ステップS21に戻って処理を続行する。つまり、制御部10は、ステップS21における位置および方向の検出を、スライド操作が完了するまで所定期間ごとに行って、その結果を所定期間ごとに記憶部80に記憶する。
【0047】
ステップS17において接触の解除が検出されたら、制御部10は、所定時間内に再びタッチセンサ40が接触を検出したか否かを判定する(ステップS22)。ステップS22において所定時間内の接触を検出するのは、タッチセンサ40に対する接触が解除されてからある程度時間が経過した後に再び接触が検出されても、当該接触はスライド操作の続きであるとは想定し難いためである。この「所定時間」は、計時部90により計測することも、または制御部10の内部クロックなどに基づいて計測することもできる。ステップS22において、所定時間内にタッチセンサ40に対する接触が再び検出されなかった場合、制御部10は、本動作を終了する。この場合、電子機器1は、再び検出された接触が、それ以前に解除された接触によるスライド操作の続きではないと判定する。
【0048】
一方、ステップS22において所定時間内にタッチセンサ40に対する接触が再び検出された場合、制御部10は、再び検出された接触の位置が、接触解除前の接触位置の移動方向の延長上にあるか否かを判定する(ステップS23)。
【0049】
ステップS23において、制御部10は、再び検出された接触の位置が、ステップS21において算出して記憶部80に記憶した接触解除前の接触位置の移動方向の延長上にあるか否かを判定する。なお、再び検出された接触の位置が、接触解除前の接触位置の移動方向の延長上にあるか否かを判定する際は、厳密に延長上にあるか否かを判定するのではなく、接触解除前の接触位置の移動方向に若干の幅を含ませた上で判定を行うようにするのが好適である。また、このようにして判定を行う際に、接触位置の移動方向に含ませる幅は、操作者の好みに応じて設定を変更できるようにするのが好適である。
【0050】
ステップS23において、接触位置が接触解除前の方向の延長上にはないと判定された場合、制御部10は、本動作を終了する。この場合、制御部10は、再び検出された接触がスライド操作の続きではないと判定し、ドラッグしていたアイコンのオブジェクトを接触が解除された位置でドロップする。一方、ステップS23において、接触位置が接触解除前の方向の延長上にあると判定された場合、制御部10は、ステップS21に戻って処理を続行する。この場合、制御部10は、タッチセンサ40における接触が一旦解除されてから再び検出された接触を、スライド操作の続きであるとみなし、ドラッグ処理を継続して行う。すなわち、制御部10は、タッチセンサ40が接触によるスライド操作を検出している際に接触の解除を検出した後、所定時間内に再び接触を検出したら、再び検出された接触の位置と接触の解除が検出されるまでのスライド操作の方向とに応じて、スライド操作が継続しているか否かを判定するように制御する。
【0051】
図4は、本実施の形態による電子機器1の動作の例を説明する図である。上述したように、電子機器1は、操作者のスライド操作が一時的に途切れてしまっても、所定時間内に再び接触が検出されれば、スライド操作は続いているものとして、そのままアイコンをドラッグし続けることができる。
【0052】
図4(A)は、表示部30にファイルaのアイコンが表示されている際に、操作者が指でアイコンの位置に対応するタッチセンサ40においてスライド操作を開始する様子を表している。操作者が図4(A)に示す矢印の方向にスライド操作を行うと、電子機器1はドラッグ処理を行うことにより、ファイルaのアイコンは、操作者の指の接触位置に追従して、図4(B)に示す位置まで移動する。
【0053】
ところが、図4(B)に示すように、引き続き破線の矢印の方向にスライド操作を行う際に、意図せず操作者の指の押圧力が弱まってしまい、接触が一時的に解除されたままスライド操作を継続したとする。その後、操作者はそのまま(つまり接触が一時的に解除されたまま)スライド操作を継続し、図4(C)に示す時点において、再びタッチセンサ40に対する接触が開始されたとする。この場合、図4(B)から図4(C)に示す状態までの間が所定時間内であれば、図4(C)にて再び接触を開始した位置は、図4(A)から図4(B)までに接触の位置が移動した方向とほぼ一致しているため、スライド操作が継続しているものと判定される。
【0054】
したがって、図4(C)において再び開始された接触によってスライド操作が継続しているものとして処理されるため、電子機器1は、図4(D)に示すように、操作者のスライド操作に応じてドラッグ処理を継続する。図4(D)は、操作者の接触が解除されたためにスライド操作が一時的に途切れてしまったにもかかわらず、当該スライド操作が継続しているものとして処理された結果、操作者が引き続きアイコンをドラッグすることができた様子を示している。
【0055】
図5は、本実施の形態による電子機器1の動作の他の例を説明する図である。図5は、図9において説明したのと同じ場面において、本実施の形態による電子機器1が動作する様子を示している。本実施の形態による電子機器1においては、操作者がスライド操作を継続していない場合には、操作者の意図通りに、スライド操作を継続せずに動作するような処理が行われる。
【0056】
図5は、図9において説明したように、操作者がタッチセンサに対するスライド操作を行うことにより、タッチセンサの背面に配置された表示部に表示されたアイコンをドラッグする様子を示している。図5(A)に示すように、操作者がスライド操作を行うことにより、ファイルaをフォルダBの左隣までドラッグしてから接触を解除し、再びスライド操作により、図5(B)に示すように、フォルダBを上方にドラッグする場合について説明する。
【0057】
操作者は、図5(A)に示す状態から図5(B)に示す位置までファイルaをドラッグした後、一旦接触を解除してから、図5(B)に示すフォルダBに再び接触する。ここで、図5(B)に示すように、操作者は新たにフォルダBをドラッグしようとしているのであり、ファイルaに対するスライド操作が継続することを意図していない。この場合、ファイルaに対する接触の解除からフォルダBに対する接触の開始までが所定時間内であったとしても、スライド操作の方向が異なるため、再び接触を開始した位置は、それまでのスライド操作の方向と一致しなくなる。このため、電子機器1は、スライド操作が継続していないものと判定する。したがって、図5(C)に示すように、操作者は、ファイルaに対するスライド操作を継続せずに、フォルダBを上方にドラッグすることができる。図9において説明した場合と異なり、ファイルaをドラッグし続けてしまうことはなくなる。
【0058】
このように、本実施の形態によれば、スライド操作の途中で接触が解除された場合、次の接触の開始までの時間と、スライド操作の方向に対する当該接触の位置とに基づいて、スライド操作の継続の有無を的確に判別することができる。
【0059】
(第2実施の形態)
次に、本発明の第2実施の形態に係る電子機器について説明する。
【0060】
上述した第1実施の形態に係る電子機器1においては、タッチセンサ40に対する操作者の接触を検出したことに基づいて、スライド操作などの操作が開始されたことを判定した。これに対し、第2実施の形態に係る電子機器は、タッチセンサ40に対する操作者の接触を検出した時点ではスライド操作などの操作が開始されたとは判定しない。第2実施の形態に係る電子機器は、操作者がタッチセンサ40を押圧する際の押圧荷重が所定の基準を満たしたことに基づいて、スライド操作などの操作が開始されたと判定する。以下、操作者がタッチセンサ40を押圧する際の押圧荷重が所定の基準を満たした状態で行われる操作を、単に「押圧操作」と記す。
【0061】
図6は、本発明の第2実施の形態に係る電子機器の概略構成を示す機能ブロック図である。図6に示すように、第2実施の形態に係る電子機器2は、第1実施の形態において説明した電子機器1において、荷重検出部60をさらに備えるものである。荷重検出部60は、タッチセンサ40のタッチ面に対する押圧荷重を検出するもので、例えば、歪みゲージセンサや圧電素子等の、荷重に対してリニアに反応する素子を用いて構成する。それ以外の構成は、上述した電子機器1とほぼ同様に構成することができるため、電子機器1と重複する説明は適宜省略する。
【0062】
図7は、図6に示した電子機器2の実装構造の一例を示すもので、図7(A)は要部断面図、図7(B)は要部平面図である。表示部30は、筐体71内に収納保持する。表示部30上には、弾性部材からなるインシュレータ72を介して、タッチセンサ40を保持する。なお、本実施の形態に係る電子機器2は、表示部30およびタッチセンサ40を、平面視で矩形状としてある。本実施の形態において、タッチセンサ40は、図7(B)に仮想線で示す表示部30の表示領域Aから外れた4隅に配設したインシュレータ72を介して表示部30上に保持する。
【0063】
また、筐体71には、表示部30の表示領域から外れたタッチセンサ40の表面領域を覆うようにアッパカバー73を設け、このアッパカバー73とタッチセンサ40との間に、弾性部材からなるインシュレータ74を配設する。
【0064】
なお、図7に示すタッチセンサ40は、タッチ面40aを有する表面部材を、例えば透明フィルムやガラスで構成し、裏面部材をガラスやアクリルで構成している。タッチセンサ40は、タッチ面40aが押圧されると、押圧部分が押圧力に応じて微少量撓む(歪む)、または構造体そのものが微少量撓む構造のものを用いる。
【0065】
タッチセンサ40の表面上には、アッパカバー73で覆われる各辺の近傍に、タッチセンサ40に加わる荷重(押圧力)を検出するための歪みゲージセンサ62をそれぞれ接着等により設ける。すなわち、図7に示す電子機器は、図6に示した荷重検出部60を4つの歪みゲージセンサ62を用いて構成している。なお、図7(B)は、図7(A)に示した筐体71、アッパカバー73およびインシュレータ74の図示を省略している。
【0066】
図8は、本実施の形態に係る電子機器2による本発明独自の動作を説明するフローチャートである。図8に示す動作は、図3にて説明した動作に対していくつかの処理を追加または変更したものであるため、図3と同じになる説明は適宜省略する。
【0067】
電子機器2は、タッチセンサ40に対する操作者の接触を検出した時点では、操作者の押圧操作が開始されたとは判定しない。図8に示すように、電子機器2は、ステップS11においてタッチセンサ40に対する接触が検出され、さらに次のステップS31において荷重検出部60が検出する押圧荷重が所定の基準を満たして初めて、操作者の押圧操作が開始されたと判定する。ここで、所定の基準を満たす押圧荷重は、操作者が通常の押圧操作を行う際の押圧荷重に基づいて、例えば1N(ニュートン)などの値を予め設定し、その後も設定変更できるようにするのが好適である。また、この所定の基準は、操作者が意図せずタッチセンサ40に軽く触れてしまったような操作は受け付けないようにするため、操作者の意図に基づく押圧の際の荷重(例えば平均値など)を考慮して、過度に低い基準を設定しないようにする。
【0068】
次に、ステップS12において、押圧荷重が所定の基準を満たした状態で、接触の位置がオブジェクトの表示された位置に対応する場合、制御部10は、当該押圧荷重が当該オブジェクト上において所定の基準を満たさなくなったか否かを判定する(ステップS32)。すなわち、電子機器2は、タッチセンサ40に対する接触が解除された際に操作者の押圧操作が解除されたと判定するのではなく、荷重検出部60が検出する押圧荷重が所定の基準を満さなくなった際に、操作者の押圧操作が解除されたと判定する。
【0069】
ステップS33においても、電子機器2は、接触の解除を判断基準にするのではなく、荷重検出部60が検出する押圧荷重が所定の基準を満さなくなったことを判断基準として、ステップS16におけるドラッグ処理を継続するか否かを判定する。その次のステップS34において、制御部10は、所定時間内に接触を検出したことを判断基準にするのではなく、荷重検出部60が検出する押圧荷重が所定時間内に再び所定の基準を満たしたことを判断基準として、次のステップS35に移行するか否かを判定する。
【0070】
ステップS35において、制御部10は、押圧荷重が所定時間内に再び所定の基準を満たした際の接触の位置が、ステップS21において算出して記憶部80に記憶した押圧操作解除前の接触位置の移動方向の延長上にあるか否かを判定する。ステップS35において、接触位置が押圧操作解除前の方向の延長上にはないと判定された場合、制御部10は、本動作を終了する。この場合、制御部10は、再び検出された押圧操作がスライド操作の続きではないと判定し、ドラッグしていたアイコンのオブジェクトを押圧操作が解除された位置でドロップする。
【0071】
一方、ステップS35において、接触位置が押圧操作解除前の方向の延長上にあると判定された場合、制御部10は、ステップS21に戻って処理を続行する。この場合、制御部10は、タッチセンサ40における押圧操作が一旦解除されてから再び検出された押圧操作を、スライド操作の続きであるとみなし、ドラッグ処理を継続して行う。すなわち、制御部10は、荷重検出部60が検出する押圧荷重が所定の基準を満たしつつタッチセンサ40が接触によるスライド操作を検出している際に押圧荷重が所定の基準を満たさなくなった後、所定時間内に押圧荷重が所定の基準を再び満たしたら、所定の基準を再び満たした際に検出された接触の位置と押圧荷重が所定の基準を満たさなくなった時点までのスライド操作の方向とに応じて、スライド操作が継続しているか否かを判定するように制御する。
【0072】
このように、本実施の形態に係る電子機器2によれば、第1実施の形態に係る電子機器1と同様の効果を奏しつつ、操作者がタッチセンサ40を押し込んで行う押圧操作に基づいて、スライド操作の開始、終了、または一時中断などを検出する。したがって、本実施の形態に係る電子機器2によれば、操作者がタッチセンサ40に意図せず軽く触れてしまったような操作は押圧操作として検出しないため、誤操作を防止して操作性を向上することができる。なお、本実施の形態においては、上述したように、操作者がタッチセンサ40に触れていても、所定の基準を満たす押圧荷重が検出されていなければ、押圧操作とは判定されない。したがって、操作者が押圧操作によりスライド操作を行っている最中に、荷重検出部60が検出する押圧荷重が所定の基準を満たさなくなったら、たとえタッチセンサ40が接触を検出していても、押圧操作によるスライド操作は中断したと判定される。
【0073】
なお、本発明は、上記各実施の形態にのみ限定されるものではなく、幾多の変形または変更が可能である。例えば、上述した各実施の形態において、タッチセンサのタッチ面を振動させる触感呈示部をさらに備えるようにすることができる。この場合、例えば第1実施の形態においては接触の検出の際に触感を呈示し、また第2実施の形態においては押圧操作が検出された際に触感を呈示することができる。このようにすれば、操作者は自らの操作が電子機器に正しく検出されていることが容易に把握できるため、電子機器の操作性をさらに向上させ、誤操作のおそれを一層低減させることが期待できる。
【0074】
また、上述した各実施の形態における荷重検出部60は、任意の個数の歪みゲージセンサを用いて構成することができる。さらに、荷重検出部60は、タッチセンサにおける入力検出方式に応じて、例えば、抵抗膜方式の場合には、接触面積による抵抗変化に基づく出力信号の変化から荷重が検出できれば、歪みゲージセンサを用いることなく構成することができる。あるいは、静電容量方式の場合には、静電容量の変化に基づく出力信号の変化から荷重が検出できれば、歪みゲージセンサを用いることなく構成することができる。
【0075】
また、本発明に係る電子機器2は、荷重検出部60により検出される押圧荷重が所定の基準を満たした際に、押圧操作として検出した。しかしながら、上記荷重検出部60により検出される押圧荷重が所定の基準を満たした際とは、荷重検出部60により検出される押圧荷重が所定の荷重の基準値に達した際であってもよいし、荷重検出部60により検出される押圧荷重が所定の荷重の基準値を超えた際でもよい。また、荷重検出部60により所定の荷重の基準値が検出された際でもよい。
【0076】
さらに、上述した各実施の形態においては、操作者が電子機器の動作について、操作者がアイコンをドラッグする操作の例を用いて説明した。しかしながら、本発明による電子機器は、このようなドラッグ操作の例に限定されるものではなく、例えばタッチセンサ上で手書きした線図を表示部に表示するようなアプリケーションの実行中に操作者がスライド操作を行うような場面も想定できる。その他、上述したフリック操作やピンチ操作などの場合にも、本発明による電子機器を用いて、接触または押圧が一時的に解除されたとしても、所定の場合にはスライド操作が継続しているものとして処理することができる。
【0077】
また、本発明は、制御部10が、タッチセンサ40が接触によるスライド操作を検出している際に接触の解除を検出した後、所定時間内に再び接触を検出したら、再び検出された接触の位置と接触の解除が検出されるまでのスライド操作の方向とに応じて、スライド操作が継続しているか否かを判定するように制御した。ここで、タッチセンサ40が接触の解除を検出するとは、タッチセンサ40が接触を検出していた状態から接触を検出しなくなったことを示す。なお、制御部10が、タッチセンサ40が接触を検出していた状態から接触を検出しなくなったことを判定し、接触の解除を検出してもよい。なお、本発明の「接触の解除が検出されるまでのスライド操作の方向」とは、制御部10によって算出された接触の位置が移動する方向として説明したが、接触の解除が検出された時点に最も近い時点における接触の位置と、その直前の接触の位置との2点に基づいて算出された接触の位置が移動する方向を用いることが好適である。また、本発明の「スライド操作が継続しているか否かを判定する」とは、再び検出された接触の位置が、接触解除前の接触位置の移動方向の延長上にあるか否かを判定するとして説明したが、「接触解除前の接触位置の移動方向の延長上」の基点は、接触解除前の接触位置のいずれの位置を基点としてもよい。なお、「接触解除前の接触位置の移動方向の延長上」の基点として、接触の解除が検出された時点に最も近い時点における接触の位置を基点とするのが好適である。
【符号の説明】
【0078】
1 電子機器
10 制御部
30 表示部
40 タッチセンサ
40a タッチ面
60 荷重検出部
62 歪みゲージセンサ
71 筐体
72 インシュレータ
73 アッパカバー
74 インシュレータ
80 記憶部
90 計時部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接触を検出するタッチセンサを備える電子機器において、
前記タッチセンサが接触によるスライド操作を検出している際に当該接触の解除を検出した後、所定時間内に再び接触を検出したら、当該再び検出された接触の位置と前記接触の解除が検出されるまでのスライド操作の方向とに応じて、スライド操作が継続しているか否かを判定するように制御する制御部と、
を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
接触を検出するタッチセンサと、
前記タッチセンサのタッチ面に対する押圧荷重を検出する荷重検出部と、を備える電子機器であって、
前記荷重検出部が検出する押圧荷重が所定の基準を満たしつつ前記タッチセンサが接触によるスライド操作を検出している際に当該押圧荷重が前記所定の基準を満たさなくなった後、所定時間内に押圧荷重が前記所定の基準を再び満たしたら、当該所定の基準を再び満たした際に検出された接触の位置と前記押圧荷重が前記所定の基準を満たさなくなった時点までのスライド操作の方向とに応じて、スライド操作が継続しているか否かを判定するように制御する制御部と、
を備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−113645(P2012−113645A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−264092(P2010−264092)
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】