説明

電子機器

【課題】機能実現回路が搭載された回路基板を集合基板に装着するだけで確実に所望の性能を備えた電子機器が提供できるようにすること。
【解決手段】集合基板1に機能配信部1Eを設け、機能基板2のコネクタ2Aを集合基板1のコネクタ1A〜1Cの何れかに装着させたとき、それを機能基板実装検出部1Dにより検出し、機能配信部1Eから機能基板2の記憶制御部2Cにあるメモリに、機能配信部1Eから機能情報が配信され、この機能情報により機能基板2に実装されている機能実現回路の機能が設定されるようにしたもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路構成に基板を用いた電子機器に係り、特に、複数枚の回路基板を集合基板に装着することにより当該電子機器に全体として必要とする回路構成が得られるようにした電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
回路規模が大きく、多くの回路基板を必要とする電子機器の場合、例えば通信システムにおける各種の電子装置などの機器の場合、必要な機能に対応して回路構成された複数枚の回路基板を纏めて集合基板に搭載する方法が従来から採用されている。
ここで、この集合基板とはバックボードとも呼ばれ、複数のコネクタが並んで設けられている回路基板のことで、この集合基板の各コネクタに夫々別の回路基板を装着することにより、各回路基板に対する接続が与えられ、全体として電子機器に必要な回路構成が得られるようにしたものである。
【0003】
このとき、コネクタの一方の部材、例えばソケット部が集合基板に設けられていたとすれば、コネクタの他方、つまりプラグ部が各回路基板の端部に取り付けられることになり、従って、集合基板に対する回路基板の着脱(装着と取外し)がコネクタの働きにより容易に得られ、この結果、メンテナンスや機能変更にも容易に対応できることになる(例えば特許文献1などを参照)。
【0004】
ところで、例えば通信システムを構成している電子機器などにおいては、その制御などに多岐にわたる機能が必要になることが多く、この場合、同種及び異種の機能の回路を搭載した回路基板が数多く実装されることになる。
ここで、近年は、CPUのソフトウエアにより所望の機能を発揮する機能実現回路やFPGA(Field Programmable Gate Array:プログラマブルロジステックデバイス)により所望の機能を発揮する機能実現回路が用いられるようになっている。そこで、以下、この機能実現回路が搭載された回路基板を機能基板と記述する。
【0005】
そして、この機能基板を用いた場合、同一回路構成の回路基板のまま、そこに実装されている機能実現回路のソフトウエアやFPGAプログラムを変えるだけで各種の機能に容易に対応させることができることになり、このため回路基板の種別が少なくて済むので、これを受け、近年、とみに広く用いられるようになっている。
このときのソフトウエアは、外部から当該機能基板の機能実現回路に設けてある記憶部(ソフトウエア書込用記憶部)にアクセスし、そこに書き込むことにより設定されるようになっている。
【0006】
ところで、この機能実現回路が搭載された回路基板、つまり機能基板を用いた場合、そこに搭載されている電子回路による機能が、いま現在、どのように設定されているのかは当該機能基板を見ただけでは判らない。
そこで、このような機能基板の場合、そこに設定されている機能に対応した管理情報が当該機能基板内に記憶されるようにしておき、この管理情報にアクセスするだけで設定されている機能が判別できるようにしている。
【0007】
このときの管理情報としては、例えばソフトウエアのバージョン管理番号やFPGAのバージョン管理番号が用いられるが、これらの管理情報は、当該機能基板の機能実現回路にソフトウエアを記憶して機能を設定したとき、一緒に記憶され、機能の変更や追加に際しては更新される。
そこで、この機能基板を用いた場合には、それを集合基板に装着する際、予め所望の機能が設定されていることを確認してから集合基板の当該機能基板に対応したコネクタに結合させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平2005−84825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記従来技術は、機能基板を集合基板に装着する際、当該機能基板に設定されている機能について確認を要する点に配慮がされておらず、所望の性能を持った電子機器の実現に問題があった。
従来技術においては、集合基板に装着すべき機能基板について、そこに搭載されている機能実現回路に設定されている機能の確認作業が必要であるが、これに疎漏があった場合、当該機能実現回路は所望の機能を発揮しない上、このことは直ちには判らず、従って、従来技術では、所望の性能を備えた電子機器の確実な実現に問題が生じてしまうのである。
【0010】
本発明は、上記従来技術の問題に鑑みてなされたもので、その目的は、機能実現回路が搭載された回路基板を集合基板に装着するだけで確実に所望の性能を備えた電子機器が実現できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的は、集合基板に装着した複数枚の機能基板を備えた電子機器において、前記複数枚の機能基板に実装されている機能実現回路に設定すべき機能情報が記憶された機能配信部を前記集合基板に設け、前記複数枚の機能基板の何れかが前記集合基板に装着されたとき、当該機能基板に実装されている機能実現回路に対して予め設定が想定されている機能情報が前記機能配信部から当該機能基板に配信され、当該機能基板の前記機能実現回路に設定されるようにして達成される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、機能基板を集合基板に装着させるだけで当該機能基板に機能情報が自動的に設定されるようになるので、集合基板に装着すべき機能基板について機能確認作業が不要になり、従って、所望の性能を備えた電子機器を常に確実に実現させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明による電子機器の一実施形態における集合基板と機能基板の詳細を示す模式図である。
【図2】本発明による電子機器の一実施形態における機能配信部による処理を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る電子機器について、図示の実施の形態により詳細に説明する。
図1は、本発明に係る電子機器の一実施形態において、そこに備えられる集合基板と、この集合基板に装着される機能基板とを示したもので、このとき、(a)図の1は集合基板を表わし、(b)図の2は機能基板を表わしている。
そして、まず、(a)図の集合基板1は、電子機器の中に取り付けられ、これには、コネクタ1A、1B、1Cと機能基板実装検出部1D、それに機能配信部1Eが設けてあり、次に、(b)図の機能基板2には、コネクタ2Aと機能実現回路部2B、それに記憶制御部2Cが設けてある。
【0015】
まず、コネクタ1A、1B、1Cは、機能基板2を当該集合基板1に装着するためのソケット部として働くもので、このため図示のように、集合基板1の一方の面に互いに並んで配列されている。
なお、この実施形態は、集合基板1に装着すべき機能基板の枚数が3の場合であり、従って、コネクタ1Aとコネクタ1B、それにコネクタ1Cの3個のコネクタが設けられている。しかして集合基板1に装着すべき機能基板の枚数がN(整数)枚なら、このコネクタの個数もN個になる。
【0016】
これら3個のコネクタ1A、1B、1Cには、図では上になっている方の端部から順に並んで一列に配置された複数個(n個)の接点端子1A1〜1An、1B1〜1Bn、1C1〜1Cnが設けられている。
このときのnも1以上の任意の整数であるが、ここではn=6の場合の実施形態になっているので、コネクタ1A、1B、1Cのソケット部は、それぞれ6個の接点端子で構成され、これに対応して、機能基板2も、そのコネクタ2Aのプラグ部には、(b)図に示されているように、接点端子2A1〜2Anの6個が備えられている。
【0017】
まず、最初(図では上端)に配置されある接点端子1A1、1B1、1C1は、ラインL1により電源(+)に共通に接続されている。
なお、この電源(+)とは、この集合基板1が設けられている電子機器の本体に備えられている電源部(図示してない)のことであり、ここで(+)とは正電圧を表わす。
次に、2番目にある接点端子1A2、1B2、1C2は、ラインLA2、LB2、LC2により、機能配信部1Eのデータ入出力A2、B2、C2に夫々独立に接続され、機能基板2に実装されている機能実現回路の機能設定に必要なデータの通信経路を形成する働きをする。
【0018】
一方、3番目にある接点端子1A3、1B3、1C3と、4番目にある接点端子1A4、1B4、1C4は、本体側機能回路、つまり、この集合基板1が設けられている電子機器の本体の機器や回路に、図示してないラインを介して接続されている。
そして、これにより、コネクタ1A、1B、1Cに機能基板2が装着されたとき、当該機能基板2に実装されている機能実現回路と本体側の機器や回路の間での所望のデータや信号の授受が得られるようなっている。
【0019】
次に、5番目の接点端子1A5、1B5、1C5は、ラインLA5、LB5、LC5により、機能基板実装検出部1Dのデータ入力A5、B5、C5に夫々独立に接続されている。
このとき、これら5番目の接点端子1A5、1B5、1C5は、夫々更に抵抗Rを介して電源(+)に接続され、これにより+電位に引っ張られている状態、いわゆるプルアップ状態にされている。
【0020】
そして、最後にある接点端子1An、1Bn、1Cnは、ラインLnにより電源(−)に共通に接続されている。
ここで、この電源も電子機器の本体にある電源部のことであり、(−)とは負電圧を表わす。
但し、電源部の負電圧ラインは、一般に電子機器本体の共通電位点、例えば金属性のシャシーなど、いわゆるアースに接続されるのが通例なので、図示のように、ここでもラインLnがアースされている。
【0021】
次に、機能基板実装検出部1Dは、上記したように、コネクタ1A、1B、1Cの接点端子1A5、1B5、1C5に、ラインLA5、LB5、LC5を介して接続されたデータ入力A5、B5、C5を備え、コネクタ1A、1B、1Cに機能基板2が装着されたとき接点端子1A5、1B5、1C5に現れる電位の変化により機能基板2の装着を検出し、検出信号SA、SB、SCを出力する働きをする。
【0022】
そして、機能配信部1Eは、集合基板1に実装が予定される機能基板2について、当該機能基板2に実装してある機能実現回路に設定すべき機能に対応したソフトウエアやFPGAプログラムを何種類か記憶したメモリを備え、機能基板実装検出部1Dから検出信号SA、SB、SCが入力されたとき、装着された機能基板2を識別し、当該機能基板2の機能実現回路部2Bとデータの授受を行い、必要なソフトウエアやFPGAプログラムを当該機能実現回路部2Bに設定する働きをする。
【0023】
次に、(b)図の機能基板2におけるコネクタ2Aと機能実現回路部2B、それに記憶制御部2Cついて説明する。
まず、コネクタ2Aは、集合基板1のコネクタ1A、1B、1Cをソケット部とし、これに嵌合して機能基板2を集合基板1に実装するためのプラグ部として働くものであり、従って、このコネクタ2Aは、図示のように、機能基板2の一方の端部に取り付けられている。
そして、このコネクタ2Aも、集合基板1のコネクタ1A、1B、1Cに対応して、6個の接点端子2A1、2A2、2A3、2A4、2A5、2Anを備えている。
【0024】
まず、接点端子2A1は、ラインL2A1に接続され、この機能基板2に実装されている回路や装置に動作用の電圧Vccとして電源(+)を供給する働きをする。
次に、接点端子2A2は、記憶制御部2Cのデータ入出力に接続され、集合基板1の機能配信部1Eとデータの授受を可能にする働きをする。
一方、接続端子2A3と接続端子2A4は、機能実現回路部2Bの入力と出力を、集合基板1の接点端子1A3、1B3、1C3、1A4、1B4、1C4の何れかを介して、電子機器の本体側にある機器や回路に接続する働きをする。
【0025】
このとき、接続端子2A5は、図示のように、この機能基板2に実装されている各種の回路や装置の共通電位点となる導電部分、すなわち当該機能基板2のアースに接続されている。なお、詳しくは後述する。
そして、接続端子2Anは、ラインL2Anに接続され、機能基板2に実装されている各種の回路や装置の共通電位点となる導電部分の電位を、電子機器の本体側にある機器や回路の導電部分の電位と同じに保つ働きをする。
【0026】
次に、機能実現回路部2Bは、CPUのソフトウエアにより所望の機能を発揮する機能実現回路やFPGAにより所望の機能を発揮する機能実現回路を機能基板2に実装したもので、このとき記憶制御部2Cは、上記したソフトウエアやFPGAのプログラムをメモリに記憶する働きと、集合基板1の機能配信部1Eとデータの授受を行い、所望のソフトウエアやプログラムを取り込み、新たに記憶する働きをする。
【0027】
次に、この実施形態の動作について、各部の働きの詳細と共に説明する。
まず、或る機能基板2が、集合基板1のコネクタ1A、1B、1Cの何れかに装着されたとする。
なお、この機能基板2は、必要に応じて同じものが複数枚、用意されることなるが、ここで、この実施形態の場合、コネクタが3個なので、一応、3枚ある場合を想定すればよい。
但し、この場合、機能基板2の枚数が3枚の実施形態に限定されるものではなく、任意の枚数N(N:任意の整数)にできることは言うまでもない。
【0028】
そして、いま、ここで集合基板1のコネクタ1Aに機能基板2が装着されたとする。
そうすると、機能基板2のコネクタ2Aの接点端子の中でアースにされている接点端子2A5が、集合基板1のコネクタ1Aにある接点端子1A5に嵌合するので、それまで抵抗Rにより電圧(+)にプルアップされていたラインLA5の電圧がアース電圧にされてしまう。
そこで、このラインLA5の電圧の変化が機能基板実装検出部1Dにより検出され、検出信号SAが機能配信部1Eに供給されることになる。
【0029】
この結果、当該機能配信部1Eでは、このとき機能基板2が装着されたのがコネクタ1Aであることが識別できることになる。
つまり、コネクタ1A、1B、1Cの接点端子1A5、1B5、1C5と、コネクタ2Aの接点端子2A5は、夫々が対をなして機能基板2の装着を検出し、このとき機能基板2が装着されたのが何れのコネクタであるのかを識別する検出手段として働くことになる。
【0030】
このとき記憶制御部2Cは、上記したように、ソフトウエアやFPGAのプログラムを記憶する働きと、集合基板1の機能配信部1Eとデータの授受を行い、所望のソフトウエアやプログラムを取り込み、新たに記憶する働きをするが、更に、このとき、記憶してあるソフトウエアのバージョン管理番号や記憶してあるFPGAのバージョン管理番号を記憶する働きもする。
そこで、集合基板1の機能配信部1Eでは、このバージョン管理番号を取り込むことにより、いま装着された機能基板2の機能実現回路部2Bに設定されている機能が何であるかが直ちに判別できる。
【0031】
一方、このとき集合基板1に装着が予定されている機能基板2の各々に求められている機能については、当該電子機器の設計仕様に基づき予め決められている。
そこで、これに応じて機能配信部1Eのメモリには、上記したように、集合基板1のコネクタ1A、1B、1Cに装着される各々の機能基板2について、それらに設定すべき機能に対応した情報、すなわちソフトウエアやFPGAプログラム等の機能情報が記憶してあり、且つ、これも上記したように、夫々に対応したバージョン管理番号やFPGAのバージョン管理番号などの管理情報も記憶してある。
【0032】
この記憶制御部2Cのメモリに記憶されている管理情報は、対応するソフトウエアやFPGAプログラム等の機能情報と対になったものであり、従って、この管理情報にアクセスすれば、そこに記憶されている機能情報がどのような機能情報であるのかを知ることができる。
ここで、いま、集合基板1の機能基板実装検出部1Dが機能基板2の装着を検出し、それがコネクタ1Aに対する装着であったとする。
【0033】
そうすると、機能配信部1Eには、機能基板実装検出部1Dから検出信号SAが入力される。
また、このとき、当該機能基板2に実装されている機能実現回路部2Bや記憶制御部2Cなどには、当該機能基板2がコネクタ1Aに装着されたことにより、集合基板1側から電源(+)と電源(−)が与えられ、動作電圧Vccが供給されるので、何れも動作が立ち上げられ、能動化されている。
【0034】
そこで、機能配信部1Eは、ラインLA2とコネクタ1Aの接点端子1A2及び機能基板2のコネクタ2Aの接点端子2A2を介して、機能基板2側にアクセスし、記憶制御部2Cとデータの授受を開始し、当該機能基板2の機能実現回路部2Bに設定すべきソフトウエアやFPGAプログラム等の機能情報が記憶制御部2Cのメモリに格納され、ひいては、それが機能実現回路部2Bにある機能実現回路にソフトウエアやFPGAプログラムとして設定されるようにする。
【0035】
図2は、このときの機能配信部1Eの処理を説明する流れ図、いわゆるフローチャートで、この処理は、上記したように機能基板実装検出部1Dが機能基板2の装着を検出し、機能配信部1Eに検出信号SA、SB、SCのいずれかが入力されたときに開始され、まず、記憶制御部2Cから管理情報を取り込み、それをコネクタ1Aに装着されるべく想定され、メモリに記載されている機能基板2の管理情報と比較する(処理ステップS1)。
そして、まず、処理S1での比較結果が“はい”、つまりYになったら、この後、何もせずに処理を終わる。
【0036】
何故なら、この処理S1での比較結果が“はい”、つまりYになった場合、それは、当該機能基板2の記憶制御部2Cに記憶されている管理情報と、このとき集合基板1の機能配信部1Eに記憶され、このときコネクタ1Aに装着されるべく想定されている機能基板2の機能実現回路に発揮が期待されている機能の管理情報が同じであったことを意味し、従って、この場合は、いま、コネクタ1Aに装着された機能基板2については、そこに記憶されている機能情報のままで所望の機能が得られ、そのままで当該電子機器の設計仕様が満たされるからである。
【0037】
しかして、処理S1での比較結果が“いいえ”、つまりNになったら、次に処理ステップS2を実行した上で処理を終了する。
何故なら、この場合、当該機能基板2の記憶制御部2Cに記憶されている管理情報と、このとき集合基板1の機能配信部1Eに記憶され、このときコネクタ1Aに装着されるべく想定されている機能基板2の機能実現回路に発揮が期待されている機能の管理情報が異なっていることを意味し、従って、このままでは当該電子機器の設計仕様が満たされなくなってしまうからである。
【0038】
そして、この処理ステップS2では、このとき集合基板1の機能配信部1Eに記憶され、このときコネクタ1Aに装着されるべく想定されている機能基板2の機能実現回路に発揮が期待されている機能に対応した機能情報と、これに対になっている管理情報を、当該機能配信部1Eから機能基板2の記憶制御部2Cに配信する。
そうすると、これを受け、機能基板2の記憶制御部2Cは、いま配信された機能情報と管理情報をメモリに記憶格納する。
【0039】
そこで、機能実現回路部2Bは、これを受け、以後、当該機能情報に対応した機能による処理をコネクタ2Aの接点端子2A2から入力したデータや信号に施した上で接点端子2A4に出力するようになり、従って、この実施形態によれば、回路動作に問題がない機能基板2である限りは、そこに設定されている機能情報の種別にかかわらず、常に設計仕様で決められている性能で動作する電子機器が確実に実現できることになる。
【0040】
ここで、この実施形態において、機能実現回路部2Bに設定されるべき機能について説明する。
これは、正しくは、当該機能実現回路部2Bに実装されている機能実現回路のことで、例えば信号の増幅処理や変復調処理、データの変換処理や符号化処理などであり、このとき、各々の機能基板2で異なった機能の場合や、一部同じ機能になっている場合、更には、全部の機能基板2が同じ機能に設定される場合もあるが、何れの場合も、この実施形態においては何も問題がなく、常に所望の機能に確実に設定されることになる。
【0041】
また、このとき、機能情報が何も設定されていない機能基板であっても装着でき、この場合でも何も問題が無い。
何故なら、機能情報が何も設定されていなければ管理情報も無いので、この場合、図2の処理において、処理ステップS1での結果が必ず“いいえ”、つまりNになってしまうからであり、この場合、上記実施形態によれば、処理ステップS2で必要な機能情報が機能基板2の記憶制御部2Cのメモリに書き込まれ、これを受けて所望の機能が間違いなく発揮されるからである。
【0042】
従って、この実施形態によれば、電子機器の集合基板1に装着すべき機能基板2について、そこに搭載されている機能実現回路に設定されている機能がどのようになっていても関係無く、とにかく集合基板1に装着しさえすれば、それだけで所望の機能が間違いなく発揮され、必要な設計仕様の電子機器が確実に得られることになり、この結果、機能基板2の装着に際して、当該機能基板2に設定されている機能についての確認は一切不要にできる。
【0043】
また、この結果、この実施形態によれば、予め所望の機能が設定されていることを確認する必要が無いので、確認作業の疎漏に配慮しなくても済み、コネクタに差し違いがあっても何の問題もなく所望の機能に設定され、従って、集合基板1に装着した機能基板2の機能が異なってしまったことによる問題の虞がないので、常に確実に所望の機能を備え、設計仕様に正しく対応した電子機器を提供することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 集合基板(複数のコネクタが並んで設けられている回路基板)
1A、1B、1C コネクタ(ソケット部として働く部分)
1A1〜1An 接点端子(コネクタ1Aの接点端子)
1B1〜1Bn 接点端子(コネクタ1Bの接点端子)
1B1〜1Bn 接点端子(コネクタ1Cの接点端子)
1D 機能基板実装検出部(集合基板1に実装されている検出回路)
1E 機能配信部(集合基板1に実装されている配信回路でメモリを持つ)
2 機能基板(機能実現回路などが搭載された回路基板)
2A コネクタ(プラグ部として働く部分)
2A1〜1An 接点端子(コネクタ2Aの接点端子)
2B 機能実現回路部(機能基板2に実装されている配信回路)
2C 記憶制御部(機能基板2に実装されメモリを備えた回路)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
集合基板に装着した複数枚の機能基板を備えた電子機器において、
前記複数枚の機能基板に実装されている機能実現回路に設定すべき機能情報が記憶された機能配信部を前記集合基板に設け、
前記複数枚の機能基板の何れかが前記集合基板に装着されたとき、当該機能基板に実装されている機能実現回路に対して予め設定が想定されている機能情報が前記機能配信部から当該機能基板に配信され、当該機能基板の前記機能実現回路に設定されることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−146189(P2012−146189A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−4961(P2011−4961)
【出願日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】