説明

電子機器

【課題】小型の電子機器の表面に華飾パネルを備えて外観性を良好に確保できる電子機器を提供する。
【解決手段】電子機器10は、上筐体12と、上筐体12において同一方向を向くとともに互いに隣り合う第1表面24および第2表面25と、第2表面25における第1表面24側に設けられる華飾パネル41と、華飾パネル41における第2表面25側に設けられ、第2表面25に接触する鍔部42と、第2表面25および鍔部42を覆う外装パネル43とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体の外観性を良好に確保するために筐体に装飾用の華飾部が帯状に設けられた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
テレビジョン受像機等を載置するキャビネットのなかには、互いに隣り合う第1筐体および第2筐体を備え、第1筐体および第2筐体間に飾り桟(以下、華飾パネルという)を備えることによりキャビネットの外観性を確保するように工夫したものがある。
【0003】
このキャビネットは、第1筐体の凸部が華飾パネルの凹部に嵌合され、第2筐体のリブが第1筐体のリブに嵌合されている。
これにより、キャビネット(筐体)の表面に華飾パネルを帯状に備えることが可能になり、華飾パネルでキャビネットの外観性を良好に確保できる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭60−61772号公報(第1頁第14行〜第19行、第3頁第10行〜第20行、第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1のキャビネットは、第1筐体および第2筐体間に華飾パネルを備えるために、第1筐体の凸部を華飾パネルの凹部に嵌合し、第2筐体のリブを第1筐体のリブに嵌合する必要がある。
よって、第1筐体の凸部、華飾パネルの凹部、第2筐体のリブおよび第1筐体のリブ等の多数の部材がキャビネットの厚み方向にそれぞれ重ね合わされる。
【0006】
このように、多数の部材がキャビネットの厚み方向に重ね合わされるためにキャビネットの厚さ寸法が大きくなる。
このため、特許文献1の構成は、キャビネット等の比較的大きな筐体に適用することが可能であるが、携帯電話等の小型の電子機器に適用することが難しい。
【0007】
本発明は、前述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、小型の電子機器の表面に華飾パネルを備えて外観性を良好に確保できる電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電子機器は、筐体と、前記筐体において同一方向を向くとともに互いに隣り合う第1表面および第2表面と、前記第2表面における前記第1表面側に設けられる華飾パネルと、前記華飾パネルにおける前記第2表面側に設けられ、前記第2表面に接触する鍔部と、前記第2表面および前記鍔部を覆う外装パネルと、を備える。
【0009】
筐体の第2表面における第1表面側に華飾パネルを設け、華飾パネルの鍔部を第2表面に接触するように第2表面側に設けた。さらに、第2表面および鍔部を外装パネルで覆うようにした。
このように、華飾パネルの鍔部に外装パネルを重ねて鍔部を外装パネルで覆うことにより外装パネルで華飾パネルを保持できる。
【0010】
換言すれば、第2表面、鍔部および外装パネルを三層に重ねるだけで華飾パネルを備えることができるので、筐体の厚さ方向の寸法を小さくできる。
すなわち、従来技術のように、筐体や華飾パネルの各厚さ寸法を大きくする必要がない。
これにより、小型の電子機器の表面に華飾パネルを備えることができ外観性を良好に確保できる。
【0011】
また、本発明の電子機器は、前記華飾パネルが前記第1表面に対して突出する。
【0012】
華飾パネルを第1表面に対して突出させることにより、華飾パネルをグリップ部として併用できるので電子機器の操作性を高めることができる。
【0013】
さらに、本発明の電子機器は、前記外装パネルが、前記第2表面に対して両面テープおよびダボのうちのすくなくとも一方を介して固定されている。
【0014】
第2表面に両面テープおよびダボのうちのすくなくとも一方を介して外装パネルを固定することにより、第2表面に外装パネルを強固に、かつ簡単に取り付けることができる。
【0015】
また、本発明の電子機器は、前記筐体が前記第1表面および前記第2表面に対して交差する一対の側面を有し、前記華飾パネルが、前記各側面に廻り込む略コ字状であるとともに、長手方向両端部にそれぞれ爪部が設けられている。
【0016】
筐体に有する一対の側面に廻り込むように華飾パネルを略コ字状に形成することにより、華飾パネルの剛性を高めることができる。
さらに、華飾パネルの長手方向両端部にそれぞれ爪部を設けることにより、爪部を各側面に係止させて華飾パネルの剛性を一層良好に確保できる。
【0017】
さらに、本発明の電子機器は、前記華飾パネルが、第2表面に対して両面テープおよびダボのうちのすくなくとも一方を介して固定されている。
【0018】
第2表面に両面テープおよびダボのうちのすくなくとも一方を介して華飾パネルを固定することにより、第2表面に華飾パネルを強固に、かつ簡単に取り付けることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の電子機器によれば、第2表面、鍔部および外装パネルを三層に重ねるだけで華飾パネルを備えることにより筐体の厚さ方向の寸法を小さくできる。
これにより、小型の電子機器の表面に華飾パネルを備えることができ外観性を良好に確保できる。
そして、本発明の電子機器によれば、華飾パネルの取付強度を一定以上維持したまま、華飾パネルにおける外部に露出する部分の幅寸法を小さくでき、これにより極めて細い装飾を筐体に施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る電子機器を表側から見た状態を示す斜視図
【図2】本発明に係る電子機器を裏側から見た状態を示す斜視図
【図3】図2の下筐体に備えたカバーを示す斜視図
【図4】図3に示すカバーを示す分解斜視図
【図5】図3のI−I線断面図
【図6】図3のII−II線断面図
【図7】図3のIII−III線断面図
【図8】図3に示すカバーを裏側から見た状態を示す分解斜視図
【図9】図3のIV−IV線断面図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態に係る電子機器について図面を参照して説明する。
【0022】
図1に示すように、本発明の実施形態である電子機器10は、略矩形体状に形成された下筐体(筐体)11と、下筐体11にスライド移動可能に積層された上筐体12とを備えた携帯端末である。
この電子機器10は、上筐体12が下筐体11から引き出された使用位置と、上筐体12が下筐体11に重ね合わされた携帯位置とに相対的にスライド移動可能に連結されている。
【0023】
上筐体12は、略矩形体状の箱形に形成され、表面12Aに略矩形状の表示部14が設けられている。
さらに、上筐体12は、表示部14の近傍に操作部15が設けられている。
【0024】
図2に示すように、下筐体11は、ケース21およびカバー22で略矩形体状の箱形に形成され、ケース21のうち上筐体12に対向する面に操作キー(図示せず)が設けられている。
【0025】
図3、図4に示すように、カバー22は、カバー22に設けられた第1表面24および第2表面25と、第1表面24および第2表面25に対して交差する一対の側面26,27(側面27は図6参照)とを有する。
また、カバー22は、第1表面24に対して交差する第1端面28と、第2表面25に対して交差する第2端面29とを備えている。
【0026】
第1表面24は、外部に露出されることにより、カバー22の主な表面を形成する面である。この第1表面24に円形状のレンズ収容部23が設けられ、レンズ収容部23にカメラレンズ30が収容される。
【0027】
第2表面25は、第1表面24と同一方向を向いて略面一に形成されるとともに第1表面に隣り合うように形成された表面である。
この第2表面25には下筐体11の厚み方向に向けて嵌合孔31が形成されている。
【0028】
一対の側面26,27の一方の側面26は、第1表面24の一側辺24Aおよび第2表面25の一側辺25Aに設けられ、一側辺24Aおよび一側辺25Aに対して交差するように形成されている。
また、一対の側面26,27の他方の側面27は、第1表面24の他側辺24Bおよび第2表面25の他側辺25Bに設けられ、他側辺24Bおよび他側辺25Bに対して交差するように形成されている。
【0029】
第1端面28は、第1表面24の端面24Cに設けられ、第1表面24に対して交差するように形成されている。
第2端面29は、第2表面25の端面25Cに設けられ、第2表面25に対して交差するように形成されている。
【0030】
すなわち、カバー22は、第1表面24、第2表面25、一対の側面26,27、第1端面28および第2端面29で略舟形に形成されている。
ここで、カバー22は、第2表面25のうち第1表面24に隣接して溝部34が形成されている。
溝部34には一対の嵌合孔35が形成されている。
【0031】
また、電子機器10は、第2表面25に設けられた華飾パネル41と、華飾パネル41に一体に設けられた鍔部42と、第2表面25および鍔部42を覆う外装パネル43とを備えている。
【0032】
図5に示すように、華飾パネル41は、溝部34に設けられることにより、第2表面25における第1表面24側に設けられている。
さらに、図6に示すように、華飾パネル41は、長手方向に延びた両端部41A,41Bが一対の側面26,27に廻り込むように形成されることにより略コ字状に形成されている。
華飾パネル41を略コ字状に形成することにより、華飾パネル41の剛性を高めることができる。
【0033】
華飾パネル41は、長手方向に延びた両端部(長手方向両端部)41A,41Bにそれぞれ爪部(一対の爪部)45,46が設けられている。
一対の爪部45,46は、一方の爪部45が一端部41Aの内側41Cに形成され、他方の爪部46が他端部41Bの縁41Dに形成されている。
【0034】
一方の爪部45は一方の側面26の縁部26Aに係止され、他方の爪部46が他方の側面27の縁部27Aに係止されている。
一対の爪部45,46を縁部26Aおよび縁部27Aに係止する際には、先ず、他方の爪部46を縁部27Aに係止し、その後一方の爪部45を縁部26Aに係止する。
これにより、一対の爪部45,46を縁部26Aおよび縁部27Aに容易に係止できる。
【0035】
このように、一方の爪部45を一方の側面26の縁部26Aに係止し、かつ、他方の爪部46を他方の側面27の縁部27Aに係止することにより華飾パネル41の剛性を一層良好に確保できる。
【0036】
図5に示すように、華飾パネル41は、第1表面24に対して突出するように形成されている。
よって、第1表面24および華飾パネル41で段差部が形成される。これにより、華飾パネル41の露出面積を大きく確保して目視しやすくでき、かつ、段差部を掌で好適に握りやすくできる。
【0037】
鍔部42は、華飾パネル41における第2表面25側に設けられ、図7に示すように、第2表面25の溝部34に接触する部位である。
図4に示すように、鍔部42は、華飾パネル41に沿って形成された鍔部本体51と、鍔部本体51の両端部近傍から第2表面25に向けて張り出された一対の張出片52と、一対の張出片52から溝部34に向けて突出された一対の鍔部ダボ(ダボ)53(図8参照)とを有する。
【0038】
図5に示すように、鍔部本体51の裏面51Aおよび華飾パネル41の裏面41Gが華飾両面テープ(両面テープ)55を介して溝部34に接着されることにより、鍔部本体51および華飾パネル41が華飾両面テープ55を介して溝部34に固定されている。
さらに、図9に示すように、一対の張出片52の各鍔部ダボ53が一対の嵌合孔35に嵌合されることにより、一対の張出片52が一対の鍔部ダボ53を介して溝部34に固定されている。
【0039】
すなわち、華飾パネル41および鍔部本体51は、華飾両面テープ55および鍔部ダボ53を介して溝部34(第2表面25)に固定されている。
これにより、華飾パネル41および鍔部本体51を溝部34に対し強固に、かつ簡単に取り付けることができる。
【0040】
この状態において、図5に示すように、華飾パネル41が第1表面24に対して突出されている。
華飾パネル41が第1表面24に対して突出されることにより、華飾パネル41をカバー22に帯状に設けることができる。
これにより、カバー22の第1表面24および第2表面25間に華飾パネル41を帯状に備えてカバー22(すなわち、上筐体12)の外観性を良好に確保できる。
【0041】
華飾パネル41を第1表面24に対して突出させることにより、華飾パネル41をグリップ部として併用することも可能である。
これにより、電子機器10を使用する際にグリップ部(すなわち、華飾パネル41)を手に好適になじませて電子機器10の操作性を高めることができる。
【0042】
図8に示すように、外装パネル43は、第2表面25および鍔部42を覆うパネルであり、裏面43Aから第2表面25に向けて外装ダボ(ダボ)56が突出されている。
この外装パネル43は、図5に示すように、第2表面25に対して外装両面テープ(両面テープ)57を介して固定されている。
さらに、外装パネル43は、第2表面25の嵌合孔31に外装ダボ56が係合されることにより外装ダボ56を介して第2表面25に固定されている。
【0043】
このように、第2表面25に外装両面テープ57および外装ダボ56を介して外装パネル43を固定することにより、カバー22の第2表面25側に外装パネル43を強固に、かつ簡単に取り付けることができる。
【0044】
さらに、外装パネル43は、図9に示すように、一対の側部43A,43Bにそれぞれ爪部61,62を有する。
爪部61は、カバー22の一側辺25Aに対して係止される棚形状とされ、爪部62はカバー22の凹部27Bが係止可能な断面先細り形状となっている。
一対の爪部61,62のうち一方の爪部61がカバー22の一側辺25Aに係止され、一対の爪部61,62のうち他方の爪部62がカバー22の凹部27Bに係止されている。
これにより、カバー22の第2表面25側に外装パネル43が一層強固に取り付けられている。
【0045】
以上説明したように、下筐体(筐体)11の第2表面25における第1表面24側に華飾パネル41を設け、華飾パネル41の鍔部42を第2表面25に接触するように第2表面25側に設けた。
さらに、第2表面25および鍔部42を外装パネル43で覆うようにした。
【0046】
このように、華飾パネル41の鍔部42に外装パネル43を重ねて鍔部42を外装パネル43で覆うことにより外装パネル43で華飾パネル41を保持できる。
換言すれば、第2表面25、鍔部42および外装パネル43を三層に重ねるだけで華飾パネル41を備えることができるので、カバー22の厚さ方向の寸法を小さくできる。
【0047】
よって、従来技術のように、カバー22の厚さ寸法を大きくする必要がない。
これにより、小型の電子機器10のカバー(表面)22に華飾パネル41を備えることができ外観性を良好に確保できる。
そして、電子機器10は、カバー22に対する華飾パネル41の取付強度を一定以上維持したまま、華飾パネル41における外部に露出する部分の幅寸法を小さくでき、これにより極めて細い装飾を下筐体11に施すことができる。
【0048】
なお、本発明に係る電子機器は、前述した実施形態に限定されるものではなく適宜変更、改良等が可能である。
例えば、実施形態では、電子機器10を携帯端末として例示したが、これに限らないで、他の機器を電子機器として用いることも可能である。
【0049】
また、実施形態では、第2表面25に外装両面テープ57および外装ダボ56を介して外装パネル43を固定する例について説明したが、これに限らないで、外装両面テープ57および外装ダボ56のうちのすくなくとも一方を介して外装パネル43を固定することも可能である。
【0050】
さらに、実施形態では、第2表面25に華飾両面テープ55および鍔部ダボ53を介して華飾パネル41を固定する例について説明したが、これに限らないで、華飾両面テープ55および鍔部ダボ53のうちのすくなくとも一方を介して華飾パネル41を固定することも可能である。
【0051】
また、実施形態で使用した電子機器、上筐体、第1表面、第2表面、華飾パネル、鍔部、外装パネル、両面テープ、ダボ、一対の側面および爪部等の形状や構成は例示したものに限定するものではなく適宜変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、筐体の外観性を良好に確保するために筐体に装飾用の華飾パネルを帯状に備えた電子機器への適用に好適である。
【符号の説明】
【0053】
10 電子機器
11 下筐体(筐体)
24 第1表面
25 第2表面
26,27 一対の側面
41 華飾パネル
42 鍔部
43 外装パネル
45,46 一対の爪部(爪部)
53 鍔部ダボ(ダボ)
55 華飾両面テープ(両面テープ)
56 外装ダボ(ダボ)
57 外装両面テープ(両面テープ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体において同一方向を向くとともに互いに隣り合う第1表面および第2表面と、
前記第2表面における前記第1表面側に設けられる華飾パネルと、
前記華飾パネルにおける前記第2表面側に設けられ、前記第2表面に接触する鍔部と、
前記第2表面および前記鍔部を覆う外装パネルと、を備える電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器において、
前記華飾パネルが前記第1表面に対して突出する電子機器。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電子機器において、
前記外装パネルが、前記第2表面に対して両面テープおよびダボのうちのすくなくとも一方を介して固定されている電子機器。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1項に記載の電子機器において、
前記筐体が前記第1表面および前記第2表面に対して交差する一対の側面を有し、
前記華飾パネルが、前記各側面に廻り込む略コ字状であるとともに、長手方向両端部にそれぞれ爪部が設けられている電子機器。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のうちのいずれか1項に記載の電子機器において、
前記華飾パネルが、第2表面に対して両面テープおよびダボのうちのすくなくとも一方を介して固定されている電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−234929(P2012−234929A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−101621(P2011−101621)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】