電子機器
【課題】充放電端子の接続不良の発生を低減させることができる電子機器を提供する。
【解決手段】金属端子部材500は、本体ケース201の外部に露呈する本体側充電端子部(被押圧部)510と、電池300の電池端子311に接触する電池接触部530と、回路基板202の端子に接触する回路接続部540と、を一体的に有する。電池蓋部400には、閉蓋したときに本体側充電端子部510に当接する蓋側充電端子部(押圧部)440が設けられている。電池蓋部400が開いた状態から電池蓋部400を閉じた際に、蓋側充電端子部(押圧部)440が本体側充電端子部(被押圧部)510を押圧する。これにより、金属端子部材500が変位し、回路基板202と回路接続部540との接点が移動する。
【解決手段】金属端子部材500は、本体ケース201の外部に露呈する本体側充電端子部(被押圧部)510と、電池300の電池端子311に接触する電池接触部530と、回路基板202の端子に接触する回路接続部540と、を一体的に有する。電池蓋部400には、閉蓋したときに本体側充電端子部510に当接する蓋側充電端子部(押圧部)440が設けられている。電池蓋部400が開いた状態から電池蓋部400を閉じた際に、蓋側充電端子部(押圧部)440が本体側充電端子部(被押圧部)510を押圧する。これにより、金属端子部材500が変位し、回路基板202と回路接続部540との接点が移動する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源として電池を使用する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯端末は電源として電池(バッテリ)を使用する。したがって、携帯端末は、充放電端子を有する電池収納部を備える。
例えば、特許文献1(特開平09-259861号公報)に示すように、放電端子と充電端子とを一体的に一つの端子片で形成した端子構造が開示されている。
この端子片はケースに固定的に設けられている。そして、端子片の一端側がバッテリと接触する放電端子部となり、端子片の他端が回路基板に取り付けられて回路基板と接続する回路接続端子部となる。さらに、端子片の一部が外部に露呈するようになっており、この露呈部が充電端子部となっている。この構成によれば、電流のロスを防ぎ、なおかつ、部品点数を少なくすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平09-259861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
携帯端末を長い期間使用していると、端子の接続不良が発生することがある。例えば、充電端子を露呈させるための切欠部をケースに設けなければならないので、このような切欠部から極微小な異物が浸入する可能性がある。異物が回路基板と回路接続端子部との間に浸入すると、回路基板と回路接続端子部とが接続不良になってしまう恐れがある。
【0005】
接続不良が発生してしまった場合、ユーザは専門業者に修理に出さなければならない。修理を依頼された業者は、ケースを開封し、内部をクリーニングしたり、端子を取り替えたりして接続不良を修理することになる。
【0006】
端子の接続不良による故障が発生したり、業者による専門的修理が必要になることは、ユーザの満足度を考えた場合に改善すべき点である。
本発明の目的は、端子の接続不良の発生を低減させることができる電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電子機器は、
電池を電源として動作する回路基板と、
前記回路基板を収納し、前記電池を着脱可能に収納する電池収納部を設けた本体ケースと、
前記電池収納部と前記電池収納部の周囲の側壁部とを開閉可能に覆う電池蓋部と、を備え、
前記本体ケースには金属端子部材が内設され、
前記金属端子部材は、
前記本体ケースの前記電池収納部の側壁部に露呈する被押圧部と、前記電池の電池端子に接触する電池接触部と、前記回路基板の端子に接触する回路接続部と、を有し、
前記電池蓋部には、前記電池蓋部を閉じたときに前記被押圧部に当接する押圧部が設けられ、
前記電池蓋部が開いた状態から前記電池蓋部を閉じた際に、前記押圧部が前記被押圧部を押圧することにより前記金属端子部材が変位し、これに伴って前記回路基板と前記回路接続部との接点が移動する
ことを特徴とする。
【0008】
本発明では、
前記金属端子部材は扁平薄板であって、前記回路接続部と前記回路基板との接点には板バネによる弾性が作用し、
前記電池蓋部が閉じられた際には、前記弾性によって前記金属端子部材に掛かる押圧力を一部吸収するとともに、弾性付勢力によって前記回路接続部と前記回路基板と圧接させる
ことが好ましい。
【0009】
本発明では、
前記回路基板は、前記金属端子部材が前記押圧部から押圧される方向に対して略直交する方向に回路搭載面を有するように配設されており、
前記電池蓋部が開いた際には、前記回路基板から前記金属端子部材に作用する反力によって前記金属端子部材が前記被押圧部を露出させる方向に移動する
ことが好ましい。
【0010】
本発明では、
前記回路接続部は、前記被押圧部が押圧される方向の軸からオフセットを有し、
前記電池蓋部が閉じられた際には、前記弾性によって前記金属端子部材に掛かる押圧力を一部吸収するとともに、弾性付勢力によって前記回路接続部と前記回路基板と圧接させ、さらに前記回路接続部が前記回路基板上をスライドする
ことが好ましい。
【0011】
本発明では、
前記電池接触部は、前記電池収納部の内側に露出し、
前記電池蓋部が開いた状態から前記電池蓋部を閉じた際に、前記押圧部が前記被押圧部を押圧することにより前記金属端子部材が変位し、これに伴って前記電池接触部と前記電池の電池端子との接点が移動する
ことが好ましい。
【0012】
本発明では、
前記電池が前記電池収納部に収納されたとき、前記電池の電池端子の面は、前記金属端子部材が前記押圧部から押圧される方向に対して略平行にあり、
前記電池端子と前記電池接触部とが接触した状態で前記金属端子部材の移動を許容する
ことが好ましい。
【0013】
本発明では、
前記金属端子部材は、前記電池が前記電池収納部に収納されている場合には、前記電池蓋部を開いても変位しない
ことが好ましい。
【0014】
本発明では、
前記電池が前記電池収納部に収納されている状態で前記電池蓋部を開くと、前記金属端子部材の移動とともに前記電池も前記電池収納部から出る方向に変位する
ことが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、電池蓋部を閉じたり開いたりするたびに回路接続部と回路基板との接点が変位し、これにより接点のセルフクリーニングが自動的に繰り返されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1実施形態に係る電子機器の電池収納部を示す図。
【図2】図1におけるII-II線断面図。
【図3】図1におけるIII-III線断面図。
【図4】金属端子部材の設置状態が分かるようにケース体を透視した斜視図。
【図5】電池蓋部を取り付けた状態での断面図。
【図6】電池蓋部を取り付けた状態での断面図。
【図7】電池蓋部の有無と回路接続部540の位置との関係を示す図。
【図8】変形例1を示す図。
【図9】変形例2を示す図。
【図10】変形例3を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施の形態を図示するとともに図中の各要素に付した符号を参照して説明する。
(第1実施形態)
本発明に係る第1実施形態について説明する。
図1は、第1実施形態に係る電子機器の電池収納部を示す図である。
電子機器100は、本体部200と、電源としての電池300と、本体部200に対して開閉可能に設けられた電池蓋部400と、を備える。
【0018】
まず、本体部200について説明する。
ここで、図1において、電池収納部210が設けられる面を本体部200の背面とし、その反対側の面を本体部200の正面とする。図示は省略するが、本体部200の正面側には、例えば、各種コントロールパネル、スピーカ、マイク等が配置される。また、本体部200において、金属端子部材500が配置される側を本体部200の下方側とし、その反対側を上方とするように方向を定義しておく。
【0019】
本体部200は、外枠筐体となるケース体201と、内部回路を搭載した回路基板202(図2参照)と、金属端子部材500と、を備える。
ケース体201の背面には、電池300を出し入れできるように一面が開口した電池収納部210が設けられている。電池収納部210の開口面211は、前記電池蓋部400で閉蓋できるようになっている。電池収納部210は、電池300の形状に合わせた扁平直方体形状であり、開口面211と、開口面211に対向する底板部212と、開口面211と底板部212との間の空間を平面視で矩形に区画形成するための4つの側壁部221、222、223、224と、を有する。これにより、電池収納空間230が区画形成される。
【0020】
ここで、以後の説明のために、4つの側壁221、222、223、224のうちの一つを特別に端子設置用側壁224と名称をつける。ここでは、図1に示すように、ケース体201において下方側に位置する側壁を端子設置用側壁224とする。そして、この端子設置用側壁224に充放電用の金属端子部材500が内設されているのであるが、この点は後述する。
【0021】
底板部212の背面側に前記電池収納部210が形成されるのに対し、図2の断面図に示すように、本体部200の内部において底板部212の正面側に空間が設けられ、この内部空間に回路基板202が配設されている(図2参照)。
回路基板202は、背面と正面とを結ぶ方向(図2中のD1)に対して垂直な面を有する向きで配設されている。
【0022】
電池300は、蓄電池であり、ここでは扁平直方体形状であるが円筒形の乾電池であってもよい。
電池300は一端面において、電池端子311が露呈している。
ここで、電池300を前記電池収納部210にセットしたときに前記端子設置用側壁224に対向する端面を端子露呈端面310とし、この端子露呈端面310に前記の電池端子311が露呈している。
【0023】
次に、電池蓋部400について説明する。
ここで、図1において、電池収納空間210を閉蓋する蓋面411が設けられる側を電池蓋部400の裏面とし、その反対側の面を電池蓋部400のおもて面とする。
また、電池蓋部400を本体部200に取り付けたときに、本体部200と電池蓋部400とで上方と下方とが整合するように電池蓋部400の上下方向を定義する。
【0024】
電池蓋部400は、電池収納部210の開口面211を覆う蓋板部410と、この蓋板部410に一体的に設けられ本体部200に掛止する掛止部430と、蓋側充電端子440と、を有する。
蓋板部410の裏面は電池収納部210の開口面211を覆う蓋面411となっており、さらに、前記側壁部221、222、223、224の背面側端面に当接する縁部421、422、423、424が蓋面411の周囲を囲むようにして形成されている。
ここで、縁部421、422、423、424は、矩形の蓋面411を形成するように4辺設けられており、これら縁部421、422、423、424のうち、前記端子設置用側壁224の背面側端面に当接する縁部を下端側縁部424とする。
【0025】
蓋側充電端子(押圧部)440は、蓋板部410の蓋面411において蓋面411から突出するように設けられている。すなわち、蓋側充電端子(押圧部)440は、電池蓋部400を本体部200に係止したときに、蓋面411から本体部200の方向に突出するように設けられている。この蓋側充電端子(押圧部)440の突出高さは、数ミリ程度でよい。
蓋側充電端子(押圧部)440の設置位置は、蓋面411において下端側縁部424に近接した位置であり、電池蓋部440を本体部200に掛止したときに前記端子設置用側壁224の背面側端面に対向する位置である。
なお、蓋側充電端子(押圧部)440は、蓋板部410の内部を通って蓋板部410のおもて面側に位置する外部端子441に導通する。(図5参照)この外部端子441は、電池300が充電可能な2次電池の場合に充電機器(不図示)などが接続される。蓋側充電端子(押圧部)440は、三つ並設されている。
【0026】
蓋側充電端子440を「押圧部」としているが、たとえば、電池300が一次電池の場合には充電を行う必要がないので、この押圧部は導体でなくともよい。つまり蓋面411から突出して、後述する「被押圧部」を押下する部材であればよい。この場合は、外部端子441も不要となる。
【0027】
掛止部430としては、本体部200の側面にフックのように引っ掛かるフック部431と、フック部431が設けられているのとは反対側の蓋板部410の端面において突設された係止片432、432と、が設けられている。
フック部431が本体部200の側面に掛止されるとともに係止片432が本体部200に挿入されることにより、電池収納部210を閉蓋するように電池蓋部400が本体部200に取り付け可能となっている。
図1では電池蓋部400が本体部200に対して脱着可能な構成としているが、縁部432と本体部200の側壁部222との間でヒンジを構成して、電池蓋部400が回動することによって開閉するような構造としても良い。
【0028】
次に、端子設置用側壁224に内設された金属端子部材500について説明する。
図2は、図1におけるII-II線断面図である。
図3は、図1におけるIII-III線断面図である。
さらに、図5および図6は、電池蓋部400を取り付けた状態での断面図であり、図5は図2に対応し、図6は図3に対応する。
また、図4は、金属端子部材500の設置状態が分かるようにケース体201を透視した斜視図である。
【0029】
ここで、図4のように金属端子部材500を端子設置用側壁224に内設したときに、電池収納部210の側に位置する面を金属端子部材500の前面とし、その反対側を後面とする。
また、金属端子部材500は、一つの細長い扁平の金属片を屈曲させることによって本体側充電端子部(被押圧部)510、回路接続部540および電池接触部530を一体的に有するものであるところ、本体側充電端子部(被押圧部)510が形成される側を一端側とし、回路接続部540が形成される側を他端側とする。
【0030】
金属端子部材500は、例えば一つの金属片を屈曲させたものであり、金属端子部材500は一つの部材で、本体側充電端子部(被押圧部)510、回路接続部540および電池接触部530を有する。
金属端子部材500は、一端側の第1屈曲部511において後面側に90度に屈曲され、さらにその先の第2屈曲部512がもう一度同じ方向に90度に屈曲されている。
これにより、一端側が側方視でコ字状に成形され(例えば図2参照)、第1屈曲部511と第2屈曲部512との間が本体側充電端子部(被押圧部)510となる。
【0031】
次に、他端側においては、金属端子部材500の長さ方向に沿って所定長さで2本の切り込みが入れられ、これによって細い3枚のパートに分けられている。これら3枚のパートを順に第1パート521、第2パート522、第3パート523とする。
中央の第2パート522は電池接触部530となり、両端の第1パート521および第3パート523は回路接続部540となる。
【0032】
第2パート522は、根元が前面側に約180度折り返された後、先端側が立ち上がるように90度屈曲され、さらにその先端が折り返し部531で折り返されている。これにより、折り返し部531が電池接触部530となっている。
【0033】
第1パート521と第3パート523とについては、略J字の構造となっていて、根元を浅い角度でわずかに前面側に起曲させ、さらに先端側を同じ方向に屈曲させる。このとき、この屈曲部が回路接続部540となる。
【0034】
金属端子部材500は、同じ形状のものが三つ並設されている。
金属端子部材500は、外部端子441より充電することを前提に説明しているため導体で一体の物としているが一体でなくてもよい。
なお、本体側充電端子部510を「被押圧部」としているが、被押圧部510は、前記した押圧部440の説明と同様に、外部より充電を行わないのであれば、樹脂等の不導体であってもよい。
【0035】
次に、金属端子部材500を配置する端子設置用側壁224の構造について説明する。
端子設置用側壁224には、内部に金属端子部材500を収納するための端子収納孔部240が形成されている。
端子収納孔部240は、底板部212の正面側に設けられた内部空間と、電池収納空間230と、端子設置用側壁224の背面側端面と、に連通している。
ケース体201を背面側から見たとき、端子収納孔部240は、端子設置用側壁224の背面側端面において開口し、この背面側から正面側に向けて内部空間に連通するように、背面と正面とを結ぶ方向(図2中のD1)に沿って端子設置用側壁224を貫通している。
【0036】
さらに、端子収納孔部240は、電池収納空間230にも連通しており、すなわち、端子設置用側壁224によって形成される電池収納部210の内壁が上下方向の貫通孔を有し、この貫通孔によって端子収納孔部240が電池収納空間230に連通する。
ここで、前記内部空間に臨む開口を内部開口部241とし、電池収納空間230に臨む開口を内壁開口部242とし、端子設置用側壁224の背面側端面に設けられた開口を背面開口部243とする。
【0037】
背面開口部243は、第1屈曲部511と第2屈曲部512とともに本体側充電端子部(被押圧部)510がちょうど出没可能な程度の開口面積を有する。
なお、金属端子部材500を三つ並設するところ、背面開口部243も三つ並設される。
ここで、隣り合った金属端子部材500同士が金属異物によってショートすることを防止するため、隣り合う背面開口部243の間には低い凸壁225が立設されている。
【0038】
内部開口部241は、第2パート522の180度折り返し部も考慮しつつ、第1パート521、第2パート522および第3パート523の根元部分が出入可能な程度の開口面積を有する。そして、内部開口部241と背面開口部243とは直線的に繋がっている。
また、内壁開口部242は、第2パート522の折り返し部531が端子収納孔部240から電池収納空間230に突出するように設けられている。
【0039】
金属端子部材500が端子収納孔部240に挿入されると、前述のように、本体側充電端子部(被押圧部)510が背面開口部243から露出し、電池接触部530が内壁開口部242から突出し、回路接続部540は内部空間に位置する。
そして、内部空間には回路基板202が配設されているところ、回路接続部540は回路基板202に当接する。
このとき、第1パート521および第3パート523の根元は、当初は浅い角度で屈曲されていたが、回路基板202に押し付けられることによって第1パート521および第3パート523の根元が深く屈曲する。これにより、第1パート521および第3パート523は板バネとしても機能しうる。
【0040】
ここで、金属端子部材500は自らの弾性によって端子収納孔部240の中で安定的に位置が決まり、接着剤等で固定されているわけではない。
また、第1パート521および第3パート523の回路接続部540が回路基板202に当接するところ、図2のように電池蓋部400が閉蓋されていない状態においては、回路基板202からの反力によって本体側充電端子部(被押圧部)510が持ち上げられて背面開口部243からやや飛び出す状態になる。
【0041】
次に、電池蓋部400を閉めたときの金属端子部材500の動きを説明する。
電池収納空間230に電池300を収納し、電池端子311と電池接触部530とを接触させる(図2参照)。そして、電池蓋部400を閉じる(図5、図6、図7参照)。
このとき、電池蓋部400の蓋側充電端子(押圧部)440が本体側充電端子部(被押圧部)510に当接し、さらに、蓋側充電端子(押圧部)440の高さの分だけ本体側充電端子部(被押圧部)510を押し込む。
本体側充電端子部(被押圧部)510と回路接続部540とは一つの金属端子部材500であるので、本体側充電端子部(被押圧部)510が押し込まれたことに連動して回路接続部540が回路基板202に向けて押し込まれる。すると、図7に示すように、回路接続部540は、略J字の構造を有し、本体側充電端子部(被押圧部)510が押圧される方向の軸からオフセットしている。そのため、回路接続部540は押された分だけ回路基板202に沿ってスライドすることになる。すなわち、電池蓋部400が閉まっていない状態と電池蓋部400が閉まった状態とでは回路接続部540の位置が異なっている。
【0042】
同時に、電池接触部530と本体側充電端子部(被押圧部)510とも一つの金属端子部材500であるので、本体側充電端子部(被押圧部)510が押し込まれたことに連動して電池接触部530の位置も図7に示されるようにずれる。
【0043】
電池蓋部400が閉じられた状態から開蓋されると、上記と逆の動作になる。
すなわち、本体側充電端子部(被押圧部)510を押し込む力が解除されるので、金属端子部材500の第1パート521および第2パート523が有する弾性と回路基板202から受ける反力とによって金属端子部材500が自ら持ち上がり、本体側充電端子部(被押圧部)510が背面開口部243からやや飛び出す状態になる。
この金属端子部材500の変位によって回路接続部540と回路基板202との接点が変位する。
【0044】
このようにして、電池蓋部400を閉じたり開いたりするたびに回路接続部540と回路基板202との接点が変位し、これにより接点のセルフクリーニングが自動的に繰り返されることになる。
【0045】
以上説明したように、第1実施形態によれば、次の効果を奏する。
(1)本実施形態では、電池蓋部400を開けたり閉じたりすることで金属端子部材500が自動的に動いてセルフクリーニングが実行される。すなわち、電池蓋部400の開閉動作に伴って、金属端子部材500と回路基板202との接点、および、金属端子部材500と電池300との接点がセルフクリーニングされる。
電池蓋部400の開閉はごく簡単なことであり、ユーザが自分で行うことができる。そして、仮に動作不良が生じた場合でも、電池300の状態を確認するためにユーザが電池蓋部400を開閉すれば自動的にセルフクリーニングが実行され、これにより接触不良が改善されることが十分に期待できる。
これにより、回路接点のクリーニングのために専門的な修理業者に修理に出す必要がなくなる。
【0046】
(2)金属端子部材500が押し込まれる方向に対して直交する方向に回路基板202が設けられているので、金属端子部材500が押し込まれたときには、回路接続部540に十分な付勢力が作用し、回路基板202と金属端子部材500とが確実に導通をとることができる。
【0047】
(3)金属端子部材500が押し込まれると電池接触部530も一体的に移動することになる。
このとき、電池端子311の面は金属端子部材500の移動方向と平行であるので、電池端子311と電池接触部530とが接触していたとしても金属端子部材500の移動を阻害することがない。
【0048】
(変形例1)
上記第1実施形態では、電池300を電池収納部210に収納した状態で電池蓋部400を開閉したときに金属端子部材500が変位する場合を示した。
ここで、回路基板202と回路接続部540とが頻繁に摺動し合うと摩耗が早くなる可能性もある。そこで、例えば、電池300が電池収納部210に収納されている場合には、電池蓋部400を開いても金属端子部材500が迫り上がってこないようにしてもよい。例えば、電池端子311と電池接触部530との接触圧を強くし、電池蓋部400を開いても金属端子部材500が迫り上がってこないようにしておく。
このような電池端子311と電池接触部530との接触圧の調整は、金属端子部材500の材質の選定や、折り返し部531が内壁開口部242から突出する突出長さなどを調整することによって調整可能である。
【0049】
または、図8に示すように、電池300が電池収納部210に収納されている場合、電池蓋部400を開いた際には金属端子部材500とともに電池300も迫り上がるようにしてもよい。この場合、例えば、電池端子311と電池接触部530との接触圧を強くし、さらに、第1パート521および第3パート523の弾性を十分に強くするようにする。この構成によれば、電池300の交換に便利である。
【0050】
(変形例2)
第1実施形態においては、電池端子311の面が金属端子部材500の移動方向と平行にある場合を説明した。
ここで、金属端子部材500の上下動が阻害されなければよいので、例えば、図9に示すように、電池端子311についても金属端子部材500の移動方向に対して直交する方向に設けられていてもよい。この場合、電池接触部530となる端子片522は、浅い角度で屈曲された後、内壁開口部242から電池収納空間230に突出させておき、電池端子311から金属端子部材500に上向きの反力が生じるようにしてもよい。
【0051】
このとき、回路接続部540は、上向きの反力を生じさせる必要が無くなるので、図9に示すように、回路基板202に対して側面から当接するようにしてもよい。
【0052】
(変形例3)
上記第1実施形態においては、端子収納孔部240は、内部開口部241によって内部空間に連通し、内壁開口部242によって電池収納空間230に連通している場合を例示した。これに対し、例えば、図10に示すように、底板部212において端子設置用側壁224に突き当たる部分を一部切り欠くようにして底板部212と端子設置用側壁224との間に連通部244を形成するようにしてもよい。
【0053】
なお、本発明は上記実施形態および変形例に限られず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
例えば、上記実施形態では、金属端子部材は、端子設置用側壁224に内設されていたが、金属端子部材を内設する側壁は、側壁221、222、223、224のいずれであってもよい。
電子機器は、電池を使用するものであれば特に限定されないことはもちろんである。
【0054】
電池蓋部400を本体部200に掛止する手段については種々変更が可能であり、例えば、フック部431を電池蓋部400ではなくケース体201の方に設けてもよい。このとき、フック部を回動可能にケース体の側面に軸支すると、電池蓋部の着脱がより容易になる。
【符号の説明】
【0055】
100…電子機器、200…本体部、201…ケース体、202…回路基板、210…電池収納部、211…開口面、212…底板部、221、222、233…側壁部、224…端子設置用側壁、230…電池収納空間、240…端子収納孔部、241…背面開口部、242…内壁開口部、243…上面開口部、300…電池、310…端子露呈端面、311…電池端子、400…電池蓋部、410…蓋板部、411…蓋面、421、422、423…縁部、424…充電端子設置縁部、430…掛止部、431…フック部、432…係止片、440…蓋側充電端子(押圧部)、441…外部端子、500…金属端子部材、510…本体側充電端子部(被押圧部)、511、512…屈曲部、521…第1パート、522…第2パート、523…第3パート、530…電池接触部、531…折り返し部、540…回路接続部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源として電池を使用する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯端末は電源として電池(バッテリ)を使用する。したがって、携帯端末は、充放電端子を有する電池収納部を備える。
例えば、特許文献1(特開平09-259861号公報)に示すように、放電端子と充電端子とを一体的に一つの端子片で形成した端子構造が開示されている。
この端子片はケースに固定的に設けられている。そして、端子片の一端側がバッテリと接触する放電端子部となり、端子片の他端が回路基板に取り付けられて回路基板と接続する回路接続端子部となる。さらに、端子片の一部が外部に露呈するようになっており、この露呈部が充電端子部となっている。この構成によれば、電流のロスを防ぎ、なおかつ、部品点数を少なくすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平09-259861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
携帯端末を長い期間使用していると、端子の接続不良が発生することがある。例えば、充電端子を露呈させるための切欠部をケースに設けなければならないので、このような切欠部から極微小な異物が浸入する可能性がある。異物が回路基板と回路接続端子部との間に浸入すると、回路基板と回路接続端子部とが接続不良になってしまう恐れがある。
【0005】
接続不良が発生してしまった場合、ユーザは専門業者に修理に出さなければならない。修理を依頼された業者は、ケースを開封し、内部をクリーニングしたり、端子を取り替えたりして接続不良を修理することになる。
【0006】
端子の接続不良による故障が発生したり、業者による専門的修理が必要になることは、ユーザの満足度を考えた場合に改善すべき点である。
本発明の目的は、端子の接続不良の発生を低減させることができる電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電子機器は、
電池を電源として動作する回路基板と、
前記回路基板を収納し、前記電池を着脱可能に収納する電池収納部を設けた本体ケースと、
前記電池収納部と前記電池収納部の周囲の側壁部とを開閉可能に覆う電池蓋部と、を備え、
前記本体ケースには金属端子部材が内設され、
前記金属端子部材は、
前記本体ケースの前記電池収納部の側壁部に露呈する被押圧部と、前記電池の電池端子に接触する電池接触部と、前記回路基板の端子に接触する回路接続部と、を有し、
前記電池蓋部には、前記電池蓋部を閉じたときに前記被押圧部に当接する押圧部が設けられ、
前記電池蓋部が開いた状態から前記電池蓋部を閉じた際に、前記押圧部が前記被押圧部を押圧することにより前記金属端子部材が変位し、これに伴って前記回路基板と前記回路接続部との接点が移動する
ことを特徴とする。
【0008】
本発明では、
前記金属端子部材は扁平薄板であって、前記回路接続部と前記回路基板との接点には板バネによる弾性が作用し、
前記電池蓋部が閉じられた際には、前記弾性によって前記金属端子部材に掛かる押圧力を一部吸収するとともに、弾性付勢力によって前記回路接続部と前記回路基板と圧接させる
ことが好ましい。
【0009】
本発明では、
前記回路基板は、前記金属端子部材が前記押圧部から押圧される方向に対して略直交する方向に回路搭載面を有するように配設されており、
前記電池蓋部が開いた際には、前記回路基板から前記金属端子部材に作用する反力によって前記金属端子部材が前記被押圧部を露出させる方向に移動する
ことが好ましい。
【0010】
本発明では、
前記回路接続部は、前記被押圧部が押圧される方向の軸からオフセットを有し、
前記電池蓋部が閉じられた際には、前記弾性によって前記金属端子部材に掛かる押圧力を一部吸収するとともに、弾性付勢力によって前記回路接続部と前記回路基板と圧接させ、さらに前記回路接続部が前記回路基板上をスライドする
ことが好ましい。
【0011】
本発明では、
前記電池接触部は、前記電池収納部の内側に露出し、
前記電池蓋部が開いた状態から前記電池蓋部を閉じた際に、前記押圧部が前記被押圧部を押圧することにより前記金属端子部材が変位し、これに伴って前記電池接触部と前記電池の電池端子との接点が移動する
ことが好ましい。
【0012】
本発明では、
前記電池が前記電池収納部に収納されたとき、前記電池の電池端子の面は、前記金属端子部材が前記押圧部から押圧される方向に対して略平行にあり、
前記電池端子と前記電池接触部とが接触した状態で前記金属端子部材の移動を許容する
ことが好ましい。
【0013】
本発明では、
前記金属端子部材は、前記電池が前記電池収納部に収納されている場合には、前記電池蓋部を開いても変位しない
ことが好ましい。
【0014】
本発明では、
前記電池が前記電池収納部に収納されている状態で前記電池蓋部を開くと、前記金属端子部材の移動とともに前記電池も前記電池収納部から出る方向に変位する
ことが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、電池蓋部を閉じたり開いたりするたびに回路接続部と回路基板との接点が変位し、これにより接点のセルフクリーニングが自動的に繰り返されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1実施形態に係る電子機器の電池収納部を示す図。
【図2】図1におけるII-II線断面図。
【図3】図1におけるIII-III線断面図。
【図4】金属端子部材の設置状態が分かるようにケース体を透視した斜視図。
【図5】電池蓋部を取り付けた状態での断面図。
【図6】電池蓋部を取り付けた状態での断面図。
【図7】電池蓋部の有無と回路接続部540の位置との関係を示す図。
【図8】変形例1を示す図。
【図9】変形例2を示す図。
【図10】変形例3を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施の形態を図示するとともに図中の各要素に付した符号を参照して説明する。
(第1実施形態)
本発明に係る第1実施形態について説明する。
図1は、第1実施形態に係る電子機器の電池収納部を示す図である。
電子機器100は、本体部200と、電源としての電池300と、本体部200に対して開閉可能に設けられた電池蓋部400と、を備える。
【0018】
まず、本体部200について説明する。
ここで、図1において、電池収納部210が設けられる面を本体部200の背面とし、その反対側の面を本体部200の正面とする。図示は省略するが、本体部200の正面側には、例えば、各種コントロールパネル、スピーカ、マイク等が配置される。また、本体部200において、金属端子部材500が配置される側を本体部200の下方側とし、その反対側を上方とするように方向を定義しておく。
【0019】
本体部200は、外枠筐体となるケース体201と、内部回路を搭載した回路基板202(図2参照)と、金属端子部材500と、を備える。
ケース体201の背面には、電池300を出し入れできるように一面が開口した電池収納部210が設けられている。電池収納部210の開口面211は、前記電池蓋部400で閉蓋できるようになっている。電池収納部210は、電池300の形状に合わせた扁平直方体形状であり、開口面211と、開口面211に対向する底板部212と、開口面211と底板部212との間の空間を平面視で矩形に区画形成するための4つの側壁部221、222、223、224と、を有する。これにより、電池収納空間230が区画形成される。
【0020】
ここで、以後の説明のために、4つの側壁221、222、223、224のうちの一つを特別に端子設置用側壁224と名称をつける。ここでは、図1に示すように、ケース体201において下方側に位置する側壁を端子設置用側壁224とする。そして、この端子設置用側壁224に充放電用の金属端子部材500が内設されているのであるが、この点は後述する。
【0021】
底板部212の背面側に前記電池収納部210が形成されるのに対し、図2の断面図に示すように、本体部200の内部において底板部212の正面側に空間が設けられ、この内部空間に回路基板202が配設されている(図2参照)。
回路基板202は、背面と正面とを結ぶ方向(図2中のD1)に対して垂直な面を有する向きで配設されている。
【0022】
電池300は、蓄電池であり、ここでは扁平直方体形状であるが円筒形の乾電池であってもよい。
電池300は一端面において、電池端子311が露呈している。
ここで、電池300を前記電池収納部210にセットしたときに前記端子設置用側壁224に対向する端面を端子露呈端面310とし、この端子露呈端面310に前記の電池端子311が露呈している。
【0023】
次に、電池蓋部400について説明する。
ここで、図1において、電池収納空間210を閉蓋する蓋面411が設けられる側を電池蓋部400の裏面とし、その反対側の面を電池蓋部400のおもて面とする。
また、電池蓋部400を本体部200に取り付けたときに、本体部200と電池蓋部400とで上方と下方とが整合するように電池蓋部400の上下方向を定義する。
【0024】
電池蓋部400は、電池収納部210の開口面211を覆う蓋板部410と、この蓋板部410に一体的に設けられ本体部200に掛止する掛止部430と、蓋側充電端子440と、を有する。
蓋板部410の裏面は電池収納部210の開口面211を覆う蓋面411となっており、さらに、前記側壁部221、222、223、224の背面側端面に当接する縁部421、422、423、424が蓋面411の周囲を囲むようにして形成されている。
ここで、縁部421、422、423、424は、矩形の蓋面411を形成するように4辺設けられており、これら縁部421、422、423、424のうち、前記端子設置用側壁224の背面側端面に当接する縁部を下端側縁部424とする。
【0025】
蓋側充電端子(押圧部)440は、蓋板部410の蓋面411において蓋面411から突出するように設けられている。すなわち、蓋側充電端子(押圧部)440は、電池蓋部400を本体部200に係止したときに、蓋面411から本体部200の方向に突出するように設けられている。この蓋側充電端子(押圧部)440の突出高さは、数ミリ程度でよい。
蓋側充電端子(押圧部)440の設置位置は、蓋面411において下端側縁部424に近接した位置であり、電池蓋部440を本体部200に掛止したときに前記端子設置用側壁224の背面側端面に対向する位置である。
なお、蓋側充電端子(押圧部)440は、蓋板部410の内部を通って蓋板部410のおもて面側に位置する外部端子441に導通する。(図5参照)この外部端子441は、電池300が充電可能な2次電池の場合に充電機器(不図示)などが接続される。蓋側充電端子(押圧部)440は、三つ並設されている。
【0026】
蓋側充電端子440を「押圧部」としているが、たとえば、電池300が一次電池の場合には充電を行う必要がないので、この押圧部は導体でなくともよい。つまり蓋面411から突出して、後述する「被押圧部」を押下する部材であればよい。この場合は、外部端子441も不要となる。
【0027】
掛止部430としては、本体部200の側面にフックのように引っ掛かるフック部431と、フック部431が設けられているのとは反対側の蓋板部410の端面において突設された係止片432、432と、が設けられている。
フック部431が本体部200の側面に掛止されるとともに係止片432が本体部200に挿入されることにより、電池収納部210を閉蓋するように電池蓋部400が本体部200に取り付け可能となっている。
図1では電池蓋部400が本体部200に対して脱着可能な構成としているが、縁部432と本体部200の側壁部222との間でヒンジを構成して、電池蓋部400が回動することによって開閉するような構造としても良い。
【0028】
次に、端子設置用側壁224に内設された金属端子部材500について説明する。
図2は、図1におけるII-II線断面図である。
図3は、図1におけるIII-III線断面図である。
さらに、図5および図6は、電池蓋部400を取り付けた状態での断面図であり、図5は図2に対応し、図6は図3に対応する。
また、図4は、金属端子部材500の設置状態が分かるようにケース体201を透視した斜視図である。
【0029】
ここで、図4のように金属端子部材500を端子設置用側壁224に内設したときに、電池収納部210の側に位置する面を金属端子部材500の前面とし、その反対側を後面とする。
また、金属端子部材500は、一つの細長い扁平の金属片を屈曲させることによって本体側充電端子部(被押圧部)510、回路接続部540および電池接触部530を一体的に有するものであるところ、本体側充電端子部(被押圧部)510が形成される側を一端側とし、回路接続部540が形成される側を他端側とする。
【0030】
金属端子部材500は、例えば一つの金属片を屈曲させたものであり、金属端子部材500は一つの部材で、本体側充電端子部(被押圧部)510、回路接続部540および電池接触部530を有する。
金属端子部材500は、一端側の第1屈曲部511において後面側に90度に屈曲され、さらにその先の第2屈曲部512がもう一度同じ方向に90度に屈曲されている。
これにより、一端側が側方視でコ字状に成形され(例えば図2参照)、第1屈曲部511と第2屈曲部512との間が本体側充電端子部(被押圧部)510となる。
【0031】
次に、他端側においては、金属端子部材500の長さ方向に沿って所定長さで2本の切り込みが入れられ、これによって細い3枚のパートに分けられている。これら3枚のパートを順に第1パート521、第2パート522、第3パート523とする。
中央の第2パート522は電池接触部530となり、両端の第1パート521および第3パート523は回路接続部540となる。
【0032】
第2パート522は、根元が前面側に約180度折り返された後、先端側が立ち上がるように90度屈曲され、さらにその先端が折り返し部531で折り返されている。これにより、折り返し部531が電池接触部530となっている。
【0033】
第1パート521と第3パート523とについては、略J字の構造となっていて、根元を浅い角度でわずかに前面側に起曲させ、さらに先端側を同じ方向に屈曲させる。このとき、この屈曲部が回路接続部540となる。
【0034】
金属端子部材500は、同じ形状のものが三つ並設されている。
金属端子部材500は、外部端子441より充電することを前提に説明しているため導体で一体の物としているが一体でなくてもよい。
なお、本体側充電端子部510を「被押圧部」としているが、被押圧部510は、前記した押圧部440の説明と同様に、外部より充電を行わないのであれば、樹脂等の不導体であってもよい。
【0035】
次に、金属端子部材500を配置する端子設置用側壁224の構造について説明する。
端子設置用側壁224には、内部に金属端子部材500を収納するための端子収納孔部240が形成されている。
端子収納孔部240は、底板部212の正面側に設けられた内部空間と、電池収納空間230と、端子設置用側壁224の背面側端面と、に連通している。
ケース体201を背面側から見たとき、端子収納孔部240は、端子設置用側壁224の背面側端面において開口し、この背面側から正面側に向けて内部空間に連通するように、背面と正面とを結ぶ方向(図2中のD1)に沿って端子設置用側壁224を貫通している。
【0036】
さらに、端子収納孔部240は、電池収納空間230にも連通しており、すなわち、端子設置用側壁224によって形成される電池収納部210の内壁が上下方向の貫通孔を有し、この貫通孔によって端子収納孔部240が電池収納空間230に連通する。
ここで、前記内部空間に臨む開口を内部開口部241とし、電池収納空間230に臨む開口を内壁開口部242とし、端子設置用側壁224の背面側端面に設けられた開口を背面開口部243とする。
【0037】
背面開口部243は、第1屈曲部511と第2屈曲部512とともに本体側充電端子部(被押圧部)510がちょうど出没可能な程度の開口面積を有する。
なお、金属端子部材500を三つ並設するところ、背面開口部243も三つ並設される。
ここで、隣り合った金属端子部材500同士が金属異物によってショートすることを防止するため、隣り合う背面開口部243の間には低い凸壁225が立設されている。
【0038】
内部開口部241は、第2パート522の180度折り返し部も考慮しつつ、第1パート521、第2パート522および第3パート523の根元部分が出入可能な程度の開口面積を有する。そして、内部開口部241と背面開口部243とは直線的に繋がっている。
また、内壁開口部242は、第2パート522の折り返し部531が端子収納孔部240から電池収納空間230に突出するように設けられている。
【0039】
金属端子部材500が端子収納孔部240に挿入されると、前述のように、本体側充電端子部(被押圧部)510が背面開口部243から露出し、電池接触部530が内壁開口部242から突出し、回路接続部540は内部空間に位置する。
そして、内部空間には回路基板202が配設されているところ、回路接続部540は回路基板202に当接する。
このとき、第1パート521および第3パート523の根元は、当初は浅い角度で屈曲されていたが、回路基板202に押し付けられることによって第1パート521および第3パート523の根元が深く屈曲する。これにより、第1パート521および第3パート523は板バネとしても機能しうる。
【0040】
ここで、金属端子部材500は自らの弾性によって端子収納孔部240の中で安定的に位置が決まり、接着剤等で固定されているわけではない。
また、第1パート521および第3パート523の回路接続部540が回路基板202に当接するところ、図2のように電池蓋部400が閉蓋されていない状態においては、回路基板202からの反力によって本体側充電端子部(被押圧部)510が持ち上げられて背面開口部243からやや飛び出す状態になる。
【0041】
次に、電池蓋部400を閉めたときの金属端子部材500の動きを説明する。
電池収納空間230に電池300を収納し、電池端子311と電池接触部530とを接触させる(図2参照)。そして、電池蓋部400を閉じる(図5、図6、図7参照)。
このとき、電池蓋部400の蓋側充電端子(押圧部)440が本体側充電端子部(被押圧部)510に当接し、さらに、蓋側充電端子(押圧部)440の高さの分だけ本体側充電端子部(被押圧部)510を押し込む。
本体側充電端子部(被押圧部)510と回路接続部540とは一つの金属端子部材500であるので、本体側充電端子部(被押圧部)510が押し込まれたことに連動して回路接続部540が回路基板202に向けて押し込まれる。すると、図7に示すように、回路接続部540は、略J字の構造を有し、本体側充電端子部(被押圧部)510が押圧される方向の軸からオフセットしている。そのため、回路接続部540は押された分だけ回路基板202に沿ってスライドすることになる。すなわち、電池蓋部400が閉まっていない状態と電池蓋部400が閉まった状態とでは回路接続部540の位置が異なっている。
【0042】
同時に、電池接触部530と本体側充電端子部(被押圧部)510とも一つの金属端子部材500であるので、本体側充電端子部(被押圧部)510が押し込まれたことに連動して電池接触部530の位置も図7に示されるようにずれる。
【0043】
電池蓋部400が閉じられた状態から開蓋されると、上記と逆の動作になる。
すなわち、本体側充電端子部(被押圧部)510を押し込む力が解除されるので、金属端子部材500の第1パート521および第2パート523が有する弾性と回路基板202から受ける反力とによって金属端子部材500が自ら持ち上がり、本体側充電端子部(被押圧部)510が背面開口部243からやや飛び出す状態になる。
この金属端子部材500の変位によって回路接続部540と回路基板202との接点が変位する。
【0044】
このようにして、電池蓋部400を閉じたり開いたりするたびに回路接続部540と回路基板202との接点が変位し、これにより接点のセルフクリーニングが自動的に繰り返されることになる。
【0045】
以上説明したように、第1実施形態によれば、次の効果を奏する。
(1)本実施形態では、電池蓋部400を開けたり閉じたりすることで金属端子部材500が自動的に動いてセルフクリーニングが実行される。すなわち、電池蓋部400の開閉動作に伴って、金属端子部材500と回路基板202との接点、および、金属端子部材500と電池300との接点がセルフクリーニングされる。
電池蓋部400の開閉はごく簡単なことであり、ユーザが自分で行うことができる。そして、仮に動作不良が生じた場合でも、電池300の状態を確認するためにユーザが電池蓋部400を開閉すれば自動的にセルフクリーニングが実行され、これにより接触不良が改善されることが十分に期待できる。
これにより、回路接点のクリーニングのために専門的な修理業者に修理に出す必要がなくなる。
【0046】
(2)金属端子部材500が押し込まれる方向に対して直交する方向に回路基板202が設けられているので、金属端子部材500が押し込まれたときには、回路接続部540に十分な付勢力が作用し、回路基板202と金属端子部材500とが確実に導通をとることができる。
【0047】
(3)金属端子部材500が押し込まれると電池接触部530も一体的に移動することになる。
このとき、電池端子311の面は金属端子部材500の移動方向と平行であるので、電池端子311と電池接触部530とが接触していたとしても金属端子部材500の移動を阻害することがない。
【0048】
(変形例1)
上記第1実施形態では、電池300を電池収納部210に収納した状態で電池蓋部400を開閉したときに金属端子部材500が変位する場合を示した。
ここで、回路基板202と回路接続部540とが頻繁に摺動し合うと摩耗が早くなる可能性もある。そこで、例えば、電池300が電池収納部210に収納されている場合には、電池蓋部400を開いても金属端子部材500が迫り上がってこないようにしてもよい。例えば、電池端子311と電池接触部530との接触圧を強くし、電池蓋部400を開いても金属端子部材500が迫り上がってこないようにしておく。
このような電池端子311と電池接触部530との接触圧の調整は、金属端子部材500の材質の選定や、折り返し部531が内壁開口部242から突出する突出長さなどを調整することによって調整可能である。
【0049】
または、図8に示すように、電池300が電池収納部210に収納されている場合、電池蓋部400を開いた際には金属端子部材500とともに電池300も迫り上がるようにしてもよい。この場合、例えば、電池端子311と電池接触部530との接触圧を強くし、さらに、第1パート521および第3パート523の弾性を十分に強くするようにする。この構成によれば、電池300の交換に便利である。
【0050】
(変形例2)
第1実施形態においては、電池端子311の面が金属端子部材500の移動方向と平行にある場合を説明した。
ここで、金属端子部材500の上下動が阻害されなければよいので、例えば、図9に示すように、電池端子311についても金属端子部材500の移動方向に対して直交する方向に設けられていてもよい。この場合、電池接触部530となる端子片522は、浅い角度で屈曲された後、内壁開口部242から電池収納空間230に突出させておき、電池端子311から金属端子部材500に上向きの反力が生じるようにしてもよい。
【0051】
このとき、回路接続部540は、上向きの反力を生じさせる必要が無くなるので、図9に示すように、回路基板202に対して側面から当接するようにしてもよい。
【0052】
(変形例3)
上記第1実施形態においては、端子収納孔部240は、内部開口部241によって内部空間に連通し、内壁開口部242によって電池収納空間230に連通している場合を例示した。これに対し、例えば、図10に示すように、底板部212において端子設置用側壁224に突き当たる部分を一部切り欠くようにして底板部212と端子設置用側壁224との間に連通部244を形成するようにしてもよい。
【0053】
なお、本発明は上記実施形態および変形例に限られず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
例えば、上記実施形態では、金属端子部材は、端子設置用側壁224に内設されていたが、金属端子部材を内設する側壁は、側壁221、222、223、224のいずれであってもよい。
電子機器は、電池を使用するものであれば特に限定されないことはもちろんである。
【0054】
電池蓋部400を本体部200に掛止する手段については種々変更が可能であり、例えば、フック部431を電池蓋部400ではなくケース体201の方に設けてもよい。このとき、フック部を回動可能にケース体の側面に軸支すると、電池蓋部の着脱がより容易になる。
【符号の説明】
【0055】
100…電子機器、200…本体部、201…ケース体、202…回路基板、210…電池収納部、211…開口面、212…底板部、221、222、233…側壁部、224…端子設置用側壁、230…電池収納空間、240…端子収納孔部、241…背面開口部、242…内壁開口部、243…上面開口部、300…電池、310…端子露呈端面、311…電池端子、400…電池蓋部、410…蓋板部、411…蓋面、421、422、423…縁部、424…充電端子設置縁部、430…掛止部、431…フック部、432…係止片、440…蓋側充電端子(押圧部)、441…外部端子、500…金属端子部材、510…本体側充電端子部(被押圧部)、511、512…屈曲部、521…第1パート、522…第2パート、523…第3パート、530…電池接触部、531…折り返し部、540…回路接続部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池を電源として動作する回路基板と、
前記回路基板を収納し、前記電池を着脱可能に収納する電池収納部を設けた本体ケースと、
前記電池収納部と前記電池収納部の周囲の側壁部とを開閉可能に覆う電池蓋部と、を備え、
前記本体ケースには金属端子部材が内設され、
前記金属端子部材は、
前記本体ケースの前記電池収納部の側壁部に露呈する被押圧部と、前記電池の電池端子に接触する電池接触部と、前記回路基板の端子に接触する回路接続部と、を有し、
前記電池蓋部には、前記電池蓋部を閉じたときに前記被押圧部に当接する押圧部が設けられ、
前記電池蓋部が開いた状態から前記電池蓋部を閉じた際に、前記押圧部が前記被押圧部を押圧することにより前記金属端子部材が変位し、これに伴って前記回路基板と前記回路接続部との接点が移動する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器において、
前記金属端子部材は扁平薄板であって、前記回路接続部と前記回路基板との接点には板バネによる弾性が作用し、
前記電池蓋部が閉じられた際には、前記弾性によって前記金属端子部材に掛かる押圧力を一部吸収するとともに、弾性付勢力によって前記回路接続部と前記回路基板と圧接させる
ことを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項2に記載の電子機器において、
前記回路基板は、前記金属端子部材が前記押圧部から押圧される方向に対して略直交する方向に回路搭載面を有するように配設されており、
前記電池蓋部が開いた際には、前記回路基板から前記金属端子部材に作用する反力によって前記金属端子部材が前記被押圧部を露出させる方向に移動する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項3に記載の電子機器において、
前記回路接続部は、前記被押圧部が押圧される方向の軸からオフセットを有し、
前記電池蓋部が閉じられた際には、前記弾性によって前記金属端子部材に掛かる押圧力を一部吸収するとともに、弾性付勢力によって前記回路接続部と前記回路基板と圧接させ、さらに前記回路接続部が前記回路基板上をスライドする
ことを特徴とする電子機器。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の電子機器において、
前記電池接触部は、前記電池収納部の内側に露出し、
前記電池蓋部が開いた状態から前記電池蓋部を閉じた際に、前記押圧部が前記被押圧部を押圧することにより前記金属端子部材が変位し、これに伴って前記電池接触部と前記電池の電池端子との接点が移動する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項6】
請求項5に記載の電子機器において、
前記電池が前記電池収納部に収納されたとき、前記電池の電池端子の面は、前記金属端子部材が前記押圧部から押圧される方向に対して略平行にあり、
前記電池端子と前記電池接触部とが接触した状態で前記金属端子部材の移動を許容する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の電子機器において、
前記金属端子部材は、前記電池が前記電池収納部に収納されている場合には、前記電池蓋部を開いても変位しない
ことを特徴とする電子機器。
【請求項8】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の電子機器において、
前記電池が前記電池収納部に収納されている状態で前記電池蓋部を開くと、前記金属端子部材の移動とともに前記電池も前記電池収納部から出る方向に変位する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項1】
電池を電源として動作する回路基板と、
前記回路基板を収納し、前記電池を着脱可能に収納する電池収納部を設けた本体ケースと、
前記電池収納部と前記電池収納部の周囲の側壁部とを開閉可能に覆う電池蓋部と、を備え、
前記本体ケースには金属端子部材が内設され、
前記金属端子部材は、
前記本体ケースの前記電池収納部の側壁部に露呈する被押圧部と、前記電池の電池端子に接触する電池接触部と、前記回路基板の端子に接触する回路接続部と、を有し、
前記電池蓋部には、前記電池蓋部を閉じたときに前記被押圧部に当接する押圧部が設けられ、
前記電池蓋部が開いた状態から前記電池蓋部を閉じた際に、前記押圧部が前記被押圧部を押圧することにより前記金属端子部材が変位し、これに伴って前記回路基板と前記回路接続部との接点が移動する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器において、
前記金属端子部材は扁平薄板であって、前記回路接続部と前記回路基板との接点には板バネによる弾性が作用し、
前記電池蓋部が閉じられた際には、前記弾性によって前記金属端子部材に掛かる押圧力を一部吸収するとともに、弾性付勢力によって前記回路接続部と前記回路基板と圧接させる
ことを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項2に記載の電子機器において、
前記回路基板は、前記金属端子部材が前記押圧部から押圧される方向に対して略直交する方向に回路搭載面を有するように配設されており、
前記電池蓋部が開いた際には、前記回路基板から前記金属端子部材に作用する反力によって前記金属端子部材が前記被押圧部を露出させる方向に移動する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項3に記載の電子機器において、
前記回路接続部は、前記被押圧部が押圧される方向の軸からオフセットを有し、
前記電池蓋部が閉じられた際には、前記弾性によって前記金属端子部材に掛かる押圧力を一部吸収するとともに、弾性付勢力によって前記回路接続部と前記回路基板と圧接させ、さらに前記回路接続部が前記回路基板上をスライドする
ことを特徴とする電子機器。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の電子機器において、
前記電池接触部は、前記電池収納部の内側に露出し、
前記電池蓋部が開いた状態から前記電池蓋部を閉じた際に、前記押圧部が前記被押圧部を押圧することにより前記金属端子部材が変位し、これに伴って前記電池接触部と前記電池の電池端子との接点が移動する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項6】
請求項5に記載の電子機器において、
前記電池が前記電池収納部に収納されたとき、前記電池の電池端子の面は、前記金属端子部材が前記押圧部から押圧される方向に対して略平行にあり、
前記電池端子と前記電池接触部とが接触した状態で前記金属端子部材の移動を許容する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の電子機器において、
前記金属端子部材は、前記電池が前記電池収納部に収納されている場合には、前記電池蓋部を開いても変位しない
ことを特徴とする電子機器。
【請求項8】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の電子機器において、
前記電池が前記電池収納部に収納されている状態で前記電池蓋部を開くと、前記金属端子部材の移動とともに前記電池も前記電池収納部から出る方向に変位する
ことを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2012−248526(P2012−248526A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−122001(P2011−122001)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(308036402)株式会社JVCケンウッド (1,152)
【出願人】(596098128)株式会社山形ケンウッド (13)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(308036402)株式会社JVCケンウッド (1,152)
【出願人】(596098128)株式会社山形ケンウッド (13)
【Fターム(参考)】
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