説明

電子機器

【課題】信頼性を向上することができる電子機器を提供する。
【解決手段】電子機器は、プリント回路板24、ヒートパイプ27、ファンユニット26、および固定部31を具備した。ヒートパイプ27は、第1の回路部品25に物理的に固定されるとともに熱的に接続された第1の端部27Aと、第1の端部27Aと反対側の第2の端部27Bと、を有する。ファンユニット26は、ヒートパイプ27の第2の端部27Bの近傍に設けられるとともに第2の端部27Bを冷却する。固定部31は、第1の回路部品25とは異なる箇所でヒートパイプ27の位置を固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ヒートパイプを備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の電子機器は、CPU等の高出力の回路部品を高い密度で内蔵している。このような半導体素子等の回路部品は、集積度が極めて高く、高速で情報処理を行なうため、多量の熱を発生する。このため、電子機器では、回路部品から放出される熱の処理方法が重要となっている。回路部品から発生する熱を放出するための構造として、ヒートパイプを用いることが一般的である。このヒートパイプは、回路部品で生じた熱をファンの近傍に設けられた放熱フィンまで送る。ヒートパイプで放熱フィンに伝達された熱は、ファンからの送風によって装置外部に排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−33103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような放熱構造では、ヒートパイプを保持するための保持構造の安定化の要請が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の電子機器は、第1の回路部品を実装した第1の面と、前記第1の面とは反対側の第2の面と、を有したプリント回路板と、前記第1の回路部品に固定されるとともに熱的に接続された第1の端部と、前記第1の端部と反対側の第2の端部と、を有したヒートパイプと、前記ヒートパイプの前記第2の端部の近傍に設けられるとともに前記第2の端部を冷却するファンユニットと、前記プリント回路板の前記第1の面に設けられ、前記第1の回路部品よりも前記ファンユニットの近くに位置して前記ヒートパイプに固定され、前記プリント回路板の厚み方向への前記ヒートパイプの変位を抑制した固定部と、を具備した。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】第1の実施形態に係る電子機器の一例であるポータブルコンピュータを示した斜視図。
【図2】図1に示すポータブルコンピュータの筐体の内部に収容されるプリント回路板、ヒートパイプ、ファンユニット、固定部を示した斜視図。
【図3】第1の実施形態に係る固定部の一例であって、図2に示すプリント回路板、ヒートパイプ、ファンユニット、固定部を正面方向から見た正面図。
【図4】第1の実施形態に係る固定部の他の例であって、図2に示すプリント回路板、ヒートパイプ、ファンユニット、固定部を正面方向から見た正面図。
【図5】図5に示すプリント回路板、第1の回路部品、ヒートパイプを模式的に示した正面図。
【図6】図6に示すヒートパイプにモーメントが作用した状態を示した正面図。
【図7】第2の実施形態に係る電子機器の一例であるポータブルコンピュータのプリント回路板、ヒートパイプ、ファンユニット、固定部、補強板を示した正面図。
【図8】第3の実施形態に係る電子機器の一例であるポータブルコンピュータのプリント回路板、ヒートパイプ、ファンユニット、固定部、を模式的に示した正面図。
【図9】図8に示すプリント回路板、第1の回路部品、ヒートパイプを拡大して示した正面図。
【図10】第4の実施形態に係る電子機器の一例であるポータブルコンピュータのプリント回路板、ヒートパイプ、ファンユニット、固定部、を模式的に示した断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、図1から図6を参照して、電子機器の第1の実施形態について説明する。本明細書において、手前側(即ちユーザ側)を前方向F、ユーザから見て奥側を後方向R、ユーザから見て左側を左方向、ユーザから見て右側を右方向、ユーザから見て上方を上方向、ユーザから見て下方を下方向と定義する。
【0008】
図1に示すように、電子機器の一例であるポータブルコンピュータ11は、本体ユニット12と、表示ユニット13と、本体ユニット12と表示ユニット13との間に設けられるヒンジ部14と、を備えている。ヒンジ部14は、表示ユニット13を回転可能に支持している。
【0009】
表示ユニット13は、ディスプレイ15と、ディスプレイ15の周囲を取り囲む合成樹脂製のディスプレイケース16と、を有している。ディスプレイ15は、本実施形態では、液晶ディスプレイが用いられている。
【0010】
図1、図2に示すように、本体ユニット12は、例えば、合成樹脂によって箱状に形成される筐体21と、筐体21の上面に取り付けられたキーボード22と、筐体21の上面に設けられたタッチパッド23と、筐体21の内部に収容されたプリント回路板24と、を備えている。筐体21は、その上側の半分を構成してキーボード22が固定された第1のケース21Aと、下側の半分を構成している第2のケース21Bと、を有している。図10に示すように、第1のケース21Aは、プリント回路板24の第1の面24Aに対向している。第2のケース21Bは、プリント回路板24の第2の面24Bに対向している。
【0011】
図2、図3に示すように、本体ユニット12は、さらに、第1の回路部品25を実装した第1の面24Aとこれとは反対側の第2の面24Bとを有したプリント回路板24と、第1の回路部品25の放熱を促進するためのファンユニット26と、第1の回路部品25に接続された第1の端部27Aと第1の端部27Aとは反対側の第2の端部27Bとを有したヒートパイプ27と、を筐体21の内部に有している。同様に、本体ユニット12は、プリント回路板24とヒートパイプ27とを固定する固定部31と、ヒートパイプ27の第2の端部27Bに固定されたフィンユニット32と、プリント回路板24の第2の面24Bに固定された補強板33と、フィンユニット32とファンユニット26とを固定するブラケット34と、を筐体21の内部に有している。
【0012】
補強板33は、第1の回路部品25に対応した第1の部分33Aと、第1の回路部品とは異なる箇所35に対応した第2の部分33Bとを、別々に有している。すなわち、第1の実施形態において、補強板33の第1の部分33Aは、第2の部分33Bと分離している。
【0013】
プリント回路板24は、プリント配線板36と、プリント配線板36上に実装された第1の回路部品25と、を有している。第1の回路部品25は、例えば、CPU等の電子部品で構成されている。プリント回路板24の第1の面24Aには、第1の回路部品とは異なる箇所35に第2の回路部品52か、あるいは後述するスペーサ54を取り付け可能である。
【0014】
ヒートパイプ27は、銅により形成された管状のヒートパイプ本体の内部に、気体と液体との間で状態変化可能な作動流体が封入して形成されている。作動流体は、例えば純水で構成されているが、これに限定されるものではない。作動流体は、例えばアルコール等のその他の液体であってもよい。
【0015】
ヒートパイプ27の第1の端部27Aは、第1の回路部品25に物理的に固定されるとともに熱的に接続されている。より具体的には、第1の端部27Aは、保持具37によって第1の回路部品25のダイ38の部分に押し付けられている。この保持具37は、第1の回路部品25の周囲に設けられた複数のスタッド41と、板ばね状の押さえ板42と、押さえ板42をスタッド41に固定するねじ43と、を含んでいる。また、ヒートパイプ27の第1の端部27Aと第1の回路部品25のダイ38との間には、銅材料によって方形に形成された受熱板44が介在されており、これらを熱的に接続している。また、受熱板44とダイ38との間には、熱伝導性のグリス等を介在させて密着性を向上させてもよい。
【0016】
ヒートパイプ27の第2の端部27Bは、ファンユニット26の排気口の近傍に設けられている。この第2の端部27Bにはフィンユニット32が例えばろう付け(半田付け)によって固定されている。フィンユニット32は、ヒートパイプ27の第2の端部27Bにおける放熱性を向上することができる。フィンユニット32は、ファンユニット26の図示しない排気口に密着するように対向配置されている。フィンユニット32は、ヒートパイプ27の第2の端部27Bの延びる方向と交差(直交)する方向に延びた複数の第1のフィン32A(縦フィン)と、第2の端部27Bの延びる方向に沿った(平行な)方向に延びた複数の第2のフィン32B(横フィン)と、を一体に有している。
【0017】
ファンユニット26は、ヒートパイプ27の第2の端部27Bに対向した位置で、第2の端部27Bの近傍に設けられている。ファンユニット26は、箱状のファンケース45と、ファンケース45の内部に回転可能に設けられるファン本体46と、ファン本体46を回転駆動するモータ47と、を有している。ファンケース45は、吸気口部51と、図示しない排気口と、を有している。ファンユニット26は、ヒートパイプ27の第2の端部27Bに風を送って、第2の端部27Bを冷却することができる。
【0018】
ブラケット34は、ステンレス材料によって「L」字形に形成されており、フィンユニット32とファンユニット26とを一体に固定している。言い換えると、ファンユニット26は、ブラケット34およびフィンユニット32を介して、ヒートパイプ27の第2の端部27Bに固定されている。このため、本実施形態の構造では、後述するようにヒートパイプ27の第1の端部27Aには、ヒートパイプ27自体の荷重、フィンユニット32およびファンユニット26の荷重によって大きなモーメントが作用する。
【0019】
固定部31は、第1の回路部品とは異なる箇所35でヒートパイプ27の位置を固定して、プリント回路板24の厚み方向へのヒートパイプ27の変位を抑制することができる。固定部31は、第1の回路部品よりもファンユニット26の近くに位置してヒートパイプ27に固定されている。
【0020】
図3に示すように、本実施形態の一例では、固定部31は、プリント回路板24上に実装された第2の回路部品52と、第2の回路部品52の周囲に設けられた複数のスタッド41と、ヒートパイプ27を第2の回路部品52に押し付けるための連結具53と、を有している。連結具53は、板ばね状に形成されており、ヒートパイプ27とプリント回路板24とを連結している。第2の回路部品52は、例えば、ポータブルコンピュータ11の映像機能を強化するために設けられるグラフィックスチップである。第2の回路部品52は、ヒートパイプ27とプリント回路板24との間に設けられている。
【0021】
また、本実施形態の他の例として、固定部31は、図4のように構成してもよい。すなわち、この例の固定部31は、プリント回路板24上に取り付けられたスペーサ54と、スペーサ54の周囲に設けられた複数のスタッド41と、ヒートパイプ27をスペーサ54に押し付けるための連結具53と、を有している。スペーサ54は、例えば、合成樹脂材料によって第2の回路部品52と同一の形状、すなわち、第2の回路部品52と同等の高さに形成され、ヒートパイプ27とプリント回路板24との間に設けられている。スペーサ54は、ゴム材料によって形成されていてもよい。図3に示す構造と図4に示す構造とは、固定部31以外の構造はすべて共通である。
【0022】
続いて、図5、図6を参照して、本実施形態のようにプリント回路板24上に固定部31を設けることの有効性について説明する。図5では、ヒートパイプ27の第1の端部27Aおよび受熱板44と、第1の回路部品25のダイ38との接続構造を模式的に示している。上述のように、例えば、ポータブルコンピュータ11をユーザが持ち運ぶ際やポータブルコンピュータ11に振動や衝撃が加えられた際などには、ヒートパイプ27の第1の端部27Aにはヒートパイプ27自体、フィンユニット32、およびファンユニット26の荷重がかかり、ヒートパイプ27の第1の端部27Aには大きなモーメントが作用する。このとき、図6に模式的に示すように、例えば、ヒートパイプ27が図中の下方に押下げられたとする。このとき、ダイ38の角部38Aには、大きな圧力がかかり、最悪の場合には、このダイ38の角部38Aを破損することがある。しかしながら、本実施形態では、第1の端部27Aを第1の回路部品25に固定している箇所以外に、ヒートパイプ27とプリント回路板24とを固定する固定部31が設けられているため、ヒートパイプ27の第1の端部27A近傍にかかる荷重(モーメント)を固定部31付近にも分散させ、第1の回路部品25のダイ38が破損してしまう事態を防止できる。
【0023】
第1の実施形態によれば、ポータブルコンピュータ11は、第1の回路部品25を実装した第1の面24Aと、第1の面24Aとは反対側の第2の面24Bと、を有したプリント回路板24と、第1の回路部品25に物理的に固定されるとともに熱的に接続された第1の端部27Aと、第1の端部27Aと反対側の第2の端部27Bと、を有したヒートパイプ27と、ヒートパイプ27の第2の端部27Bの近傍に設けられるとともに第2の端部27Bを冷却するファンユニット26と、プリント回路板24の第1の面24Aに設けられ、第1の回路部品25よりもファンユニット26の近くに位置してヒートパイプ27に固定され、プリント回路板24の厚み方向へのヒートパイプ27の変位を抑制した固定部31と、を具備した。
【0024】
ポータブルコンピュータ11においてヒートパイプ27を用いて回路部品を冷却する場合、ヒートパイプ27自体が梃子になって回路部品との固定部に負荷(ストレス)がかかり易い。また、この現象によってプリント回路板24への負荷も大きくなるため、ヒートパイプ27が長くなるほどその固定には注意を要する。上記の構成によれば、第1の回路部品25よりもファンユニット26に近い位置に固定部31が設けられているため、ポータブルコンピュータ11に衝撃や振動が加えられた際にも、ヒートパイプ27の振動を抑制することができる。これによって、ヒートパイプ27の第1の端部27A付近の固定部分にヒートパイプ27自体の荷重によるモーメントが集中してしまうことがない。このため、ヒートパイプ27の第1の端部27A付近にモーメントが作用することによっておこる第1の回路部品25の破損やプリント回路板24の破損等を有効に防止することができる。
【0025】
また、プリント回路板24の第1の面24Aには、第1の回路部品25とは異なる箇所に第2の回路部品52を取り付け可能であり、固定部31は、ヒートパイプ27とプリント回路板24とを連結した連結具53と、ヒートパイプ27とプリント回路板24との間に設けられた第2の回路部品52、およびヒートパイプ27とプリント回路板24との間に設けられるとともに第2の回路部品52と同等の高さを有したスペーサ54、のいずれか一方と、を有した。
【0026】
ポータブルコンピュータ11の市場では、ユーザの使用目的によって、例えば、グラフィックスチップを設けて映像機能を強化した機種であるとか、主としてワープロ機能のみの用途で使用される機種であるとか、様々な機能を備えた機種が豊富なバリエーションで提供される。上記によれば、例えば、同一の外観を有したポータブルコンピュータ11において第2の回路部品52がある場合と第2の回路部品52がない場合の両方がある場合でも、プリント回路板24上の第1の回路部品とは異なる箇所35に固定部31を設けることができる。これによって、第1の回路部品25およびプリント回路板24の破損等を有効に防止できる。従って、1つの外観で高機能機種と廉価機種とを用意する場合などに特に有用である。さらに、第2の回路部品52がある機種と、第2の回路部品52がない機種との間で、ヒートパイプ27および連結具53を共通部品として用いることができ、製造コストを低減することができる。
【0027】
さらに、ポータブルコンピュータ11は、ファンユニット26をヒートパイプ27の第2の端部27Bに固定するためのブラケット34を具備する。これによれば、ブラケット34によってファンユニット26と第2の端部27Bとが一体化され、ファンユニット26の荷重もヒートパイプ27にかかる構造となるが、固定部31が設けられているため、このような構造であっても第1の回路部品25およびプリント回路板24が破損してしまうことを有効に防止することができる。
【0028】
続いて図7を参照して、電子機器の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態の電子機器の一例であるポータブルコンピュータ11は、補強板33の形状が第1の実施形態のものと異なっているが、他の部分は第1の実施形態と共通している。このため、主として異なる部分について説明し、共通する部分については共通の符号を付して説明を省略する。第2の実施形態のポータブルコンピュータは、図1に示すものと同様の外観を有する。
【0029】
補強板33は、プリント回路板24の第2の面24Bに固定されている。補強板33は、第1の回路部品25に対応した第1の部分33Aと、第1の回路部品とは異なる箇所35に対応した第2の部分33Bと、を有している。この第1の回路部品とは異なる箇所35とは、第2の回路部品52あるいはスペーサ54が配置される箇所のことをいう。
【0030】
本実施形態において、補強板33は、第1の部分33Aと第2の部分33Bとを連結した連結部分33Cを有しており、この連結部分33Cによって第1の部分33Aと第2の部分33Bとが一体に形成されている。
【0031】
第2の実施形態によれば、プリント回路板24の第2の面24Bに固定された補強板33を具備し、補強板33は、第1の回路部品25に対応した第1の部分33Aと、第1の回路部品とは異なる箇所35に対応した第2の部分33Bと、を一体に有する。プリント回路板24にヒートパイプ27を固定する固定部31をプリント回路板24上にさらに設けると、プリント回路板24がヒートパイプ27のある方向に向けて反ってしまうことがある。これによれば、プリント回路板24の強度を向上させてプリント回路板24の反りを防止して、プリント回路板24の破損を有効に防止できる。
【0032】
続いて図8、図9を参照して、電子機器の第3の実施形態について説明する。第3の実施形態の電子機器の一例であるポータブルコンピュータ11は、第1の回路部品25の形状が第1の実施形態のものと異なっているが、他の部分は第1の実施形態と共通している。このため、主として異なる部分について説明し、共通する部分については共通の符号を付して説明を省略する。第3の実施形態のポータブルコンピュータ11は、図1に示すものと同様の外観を有する。
【0033】
図8は、プリント回路板24上の第1の回路部品25およびこれを冷却する冷却構造を模式的に示している。第1の回路部品25は、これまでの実施形態とは異なり、複数のダイ38を有している。本実施形態は、ダイ38は、例えば2つ設けられており、この2つのダイ38は、内蔵する2つのチップにそれぞれ対応している。本実施形態のように、ダイ38は、この回路部品の内部に収納されるチップの数に対応して、複数個形成されることがある。ヒートパイプ27の第1の端部27Aは、受熱板44を介して2つのダイ38に熱的に接続されている。
【0034】
図9を参照して、本実施形態のようにプリント回路板24上に固定部31を設けることの有効性について説明する。図9では、ヒートパイプ27の第1の端部27Aおよび受熱板44と、第1の回路部品25のダイ38との接続構造を模式的に示している。ポータブルコンピュータ11をユーザが持ち運ぶ際や振動や衝撃が加えられた際などには、ヒートパイプ27の第1の端部27Aにはヒートパイプ27自身、フィンユニット32、およびファンユニット26の荷重がかかり、ヒートパイプ27の第1の端部27Aには大きなモーメントが作用する。このとき、図9に模式的に示すように、例えば、ヒートパイプ27が図中の下方に押下げられたとする。このとき、図中右側のダイ38には、大きな圧力がかかり、最悪の場合には、このダイ38の角部38Aを破損することがある。また、図中左側のダイ38からは受熱板44が浮き上がって、左側のダイ38とヒートパイプ27との間の熱的な接続が破壊される。
【0035】
しかしながら、本実施形態では、第1の端部27Aを第1の回路部品25に固定している箇所以外に、ヒートパイプ27とプリント回路板24とを固定する固定部31が設けられているため、ヒートパイプ27の第1の端部27A近傍にかかる荷重(モーメント)を固定部31付近にも分散させることができる。
【0036】
第3の実施形態によれば、第1の回路部品25は、ヒートパイプ27の冷却対象となる複数のダイ38を有する。これによれば、第1の回路部品25に複数のダイ38が設けられて、ヒートパイプ27に浮きあがりを生じやすい構造となるが、固定部31が設けられているため、一方のダイ38の破損を防止できるとともに、他方のダイ38からヒートパイプが浮き上がって、この他方のダイ38を冷却できなくなる事態を生ずることを防止できる。
【0037】
続いて図10を参照して、電子機器の第4の実施形態について説明する。第4の実施形態の電子機器の一例であるポータブルコンピュータ11は、固定部31の位置が第1の実施形態のものと異なっているが、他の部分は第1の実施形態と共通している。このため、主として異なる部分について説明し、共通する部分については共通の符号を付して説明を省略する。第4の実施形態のポータブルコンピュータ11は、図1に示すものと同様の外観を有する。
【0038】
本実施形態において、固定部31は、筐体21の内面に一対に設けられている。すなわち、固定部31は、フィンユニット32と第1のケース21Aとの間に介在された第1の弾性体61と、フィンユニット32と第2のケース21Bとの間に介在された第2の弾性体62と、を有している。第1の弾性体61は、第1のケース21Aの内面に接着されており、フィンユニット32との間に若干の隙間を有している。また、第2の弾性体62は、第2のケース21Bの内面に接着されており、フィンユニット32との間に若干の隙間を有している。これら第1の弾性体61および第2の弾性体62は、第1の回路部品とは異なる箇所35でヒートパイプ27を所定の位置に固定することができる。
【0039】
第1の弾性体61および第2の弾性体62は、それぞれ弾力性を有したスポンジ等で構成されているがこれに限定されるものではなく、ゴム等のその他の弾性体であってもよい。固定部31は、ヒートパイプ27の第2の端部27Bを所定の位置に保持することができる。また、本実施形態では、図2に示すブラケット34と同一のブラケット34を有し、ブラケット34は、ファンユニット26をヒートパイプ27の第2の端部27Bに固定している。
【0040】
第4の実施形態によれば、ポータブルコンピュータ11は、ヒートパイプ27の第2の端部27Bに固定されるとともに、第2の端部27Bにおける放熱性を向上できるフィンユニット32を具備し、筐体21は、プリント回路板24の第1の面24Aに対向した第1のケース21Aと、プリント回路板24の第2の面24Bに対向した第2のケース21Bと、を有し、固定部31は、フィンユニット32と第1のケース21Aとの間に介在された第1の弾性体61と、フィンユニット32と第2のケース21Bとの間に介在された第2の弾性体62と、を有する。
【0041】
この構成によれば、第1の弾性体61および第2の弾性体62によってフィンユニット32を所定の位置に保持できる構造を簡単な構成で実現できる。これによって、ヒートパイプ27の第2の端部27Bが所定の位置に保持されて、ヒートパイプ27の振動を抑制することができる。このため、ヒートパイプ27の第1の端部27A付近にモーメントが作用することがなく、第1の回路部品25およびプリント回路板24を破損してしまうことを防止することができる。本実施形態の固定部31は、プリント回路板24上に固定部31用の実装スペースが確保できない場合にヒートパイプ27の振動を防止できる点で特に有用である。
【0042】
また、ポータブルコンピュータ11は、ファンユニット26をヒートパイプ27の第2の端部27Bに固定するためのブラケット34を具備している。これによれば、ブラケット34によってファンユニット26と第2の端部27Bとが一体化され、ファンユニット26の荷重もヒートパイプ27にかかる構造となるが、固定部31が設けられているため、第1の回路部品25およびプリント回路板24が破損してしまう事態を有効に防止することができる。
【0043】
電子機器は、上記実施形態に示したポータブルコンピュータ11用に限らず、例えば携帯電話機のようなその他の電子機器に対しても実施可能である。その他、電子機器は、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0044】
11…ポータブルコンピュータ、21…筐体、21A…第1のケース、21B…第2のケース、24…プリント回路板、24A…第1の面、24B…第2の面、25…第1の回路部品、26…ファンユニット、27…ヒートパイプ、27A…第1の端部、27B…第2の端部、31…固定部、32…フィンユニット、33…補強板、33A…第1の部分、33B…第2の部分、34…ブラケット、35…第1の回路部品とは異なる箇所、38…ダイ、38A…角部、52…第2の回路部品、54…スペーサ、61…第1の弾性体、62…第2の弾性体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の回路部品を実装した第1の面と、前記第1の面とは反対側の第2の面と、を有したプリント回路板と、
前記第1の回路部品に固定されるとともに熱的に接続された第1の端部と、前記第1の端部と反対側の第2の端部と、を有したヒートパイプと、
前記ヒートパイプの前記第2の端部の近傍に設けられるとともに前記第2の端部を冷却するファンユニットと、
前記プリント回路板の前記第1の面に設けられ、前記第1の回路部品よりも前記ファンユニットの近くに位置して前記ヒートパイプに固定され、前記ヒートパイプの位置を固定した連結具と、
を具備し、
前記ヒートパイプと前記プリント回路板との間で前記連結具に対応する位置には、第2の回路部品、および前記第2の回路部品と同等の高さを有したスペーサ、のいずれか一方を取り付け可能であることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記スペーサは、前記第2の回路部品と同一の形状を有したことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記ファンユニットを前記第2の端部に固定するためのブラケットを具備することを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記スペーサは、前記連結具でプリント回路板に固定されたことを特徴とする請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記スペーサは、合成樹脂材料によって形成されたことを特徴とする請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
前記スペーサは、ゴム材料によって形成されたことを特徴とする請求項4に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−80489(P2013−80489A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−260144(P2012−260144)
【出願日】平成24年11月28日(2012.11.28)
【分割の表示】特願2012−1206(P2012−1206)の分割
【原出願日】平成22年4月9日(2010.4.9)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】