説明

電子装置、電気光学装置および電子機器

【課題】 電気光学素子が駆動される期間を充分に確保する。
【解決手段】 走査線13および基準信号線17との組とデータ線15との交差には単位回路Uが配置される。単位回路Uは、駆動電流Sdrに応じて駆動される電気光学素子35と、入力端Tの電位Vaに応じた時間長にわたって駆動電流Sdrを出力するインバータ34と、入力端Tに接続された第1電極E1と基準信号線17に接続された第2電極E2とを有する容量素子とを含む。複数の走査線13の各々は第1期間ごとに順次に選択され、この選択された走査線13に対応する単位回路Uの入力端Tにデータ電位Vdataが供給される。各基準信号線17には、当該基準信号線17に対応した走査線13が選択される第1期間にて低電位を維持するとともに基準信号線17ごとに相違する第2期間にて経時的に電位が変化する基準信号W[i]が供給される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光ダイオード(以下「OLED(Organic Light Emitting Diode)」という)素子、液晶素子、電気泳動素子、エレクトロクロミック(electrochromic)素子、電子放出素子、抵抗素子など各種の被駆動素子の挙動を制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の被駆動素子を駆動するための様々な方法が従来から提案されている。例えば特許文献1には、各画素のOLED素子に供給される駆動信号(例えば電流信号)のパルス幅を制御することによって多階調を表示する構成が開示されている。この構成においては、各画素の階調を指定するデータ信号と三角波など経時的にレベルが変化する信号(以下「基準信号」という)との比較の結果に応じて駆動信号のパルス幅が画素ごとに制御される。
【特許文献1】特開2003−223137号公報(段落0014および図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、特許文献1に開示された構成においては、1フレームが走査期間と発光期間とに区分され、走査期間において総ての画素にデータ信号が供給されたうえで、発光期間における基準信号の供給によって総ての画素のOLED素子が一斉に駆動される(特に特許文献1の図2参照)。このように1フレーム内に走査期間と発光期間とが別個に設定される構成においては、例えば、発光期間の時間長を充分に確保することが困難であるという問題がある。そして、発光期間の時間長が不十分であると各OLED素子の輝度が不足して表示が暗くなる場合がある。さらに、発光期間の時間長が短いと駆動信号のパルス幅(特に低輝度に対応したパルス幅)を短くせざるを得ない。しかしながら、特にOLED素子などの電気光学素子は、短期間における電流の集中(例えばスパイク状の電流の供給)によって特性の劣化が進行する場合がある。
【0004】
また、特許文献1の構成においては、データ信号が容量素子の一方の電極に供給される。この構成においては、データ信号の供給時における容量素子の他方の電極の電位を正確に設定するために時間を要する場合がある。本発明は、以上に説明した事情に鑑みてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る電子装置は、複数の第1配線(例えば図1の走査線13)と、前記複数の第1配線に交差する複数の第2配線(例えば図1のデータ線15)と、前記複数の第1配線と前記複数の第2配線との交差に対応して配置された複数の単位回路と、前記複数の単位回路に基準信号(例えば各実施形態における基準信号W[1]ないしW[m])を供給するための複数の基準信号線とを具備し、前記複数の単位回路の各々は、駆動電圧または駆動電流の供給によって駆動される被駆動素子(例えば図3の電気光学素子35)と、前記駆動電圧または前記駆動電流を前記被駆動素子に供給する駆動手段(例えば図3のインバータ34、あるいは図7のインバータ34とトランジスタ39との組)と、前記駆動手段に含まれる入力端(例えば図3の入力端T)と前記複数の第2配線のうちの一つの第2配線との電気的な接続を制御するスイッチング素子(例えば図3のトランジスタ31)と、前記入力端に接続された第1電極と前記複数の基準信号線のうちの一つの基準信号線に接続された第2電極とを含み、前記第1電極と前記第2電極との間に電荷を蓄積する容量素子とを含む。
【0006】
この構成においては、第1期間において駆動手段の入力端にスイッチング素子を介して第2配線からデータ信号が供給され、この第1期間の経過後に基準信号が変化すると、容量素子における容量カップリングによって、入力端の電位がその直前の第1期間におけるデータ信号の電位から基準信号の変動分だけ変化する。したがって、入力端の電位に応じた長さの駆動期間にて駆動電圧または駆動電流が供給される被駆動素子はデータ信号に応じた状態に駆動される。そして、容量素子の第2電極の電位は基準信号線によって直接的に設定されるから、容量素子の2つの電極の電位を短時間に設定することが可能である等の利点を有する。
【0007】
また、本発明に係る電子装置は、複数の第1配線(例えば図1の走査線13)と、複数の第1配線に交差する複数の第2配線(例えば図1のデータ線15)と、複数の第1配線と複数の第2配線との交差に対応する位置に配置された複数の単位回路と、複数の第1配線の各々を第1期間ごとに選択する選択回路(例えば図1の走査線駆動回路23)と、各第1期間において複数の第2配線の各々にデータ電位を供給するデータ供給回路(例えば図1のデータ線駆動回路25)と、複数の基準信号線の各々に対し、当該基準信号線に対応した第1配線が選択される第1期間にて定電位を維持するとともに基準信号線ごとに相違する期間にて経時的に電位が変化する基準信号(例えば各実施形態における基準信号W[1]ないしW[m])を出力する信号生成回路とを具備する。さらに、複数の単位回路の各々は、駆動電圧または駆動電流の供給によって駆動される被駆動素子(例えば図3の電気光学素子35)と、入力端(例えば図3の入力端T)の電位に応じた長さの期間にて駆動電圧または駆動電流を被駆動素子に供給する駆動手段(例えば図3のインバータ34、あるいは図7のインバータ34とトランジスタ39との組)と、当該単位回路に対応した第1配線が選択される第1期間において入力端と第2配線とを電気的に接続するスイッチング素子(例えば図3のトランジスタ31)と、入力端に接続された第1電極と前記複数の基準信号線のうちの一つの基準信号線に接続された第2電極とを含み、前記第1電極と前記第2電極との間に電荷を蓄積する容量素子とを含む。
【0008】
この構成においては、第1期間において駆動手段の入力端にスイッチング素子を介してデータ信号が供給され、この第1期間の経過後の第2期間において基準信号が経時的に変化すると、容量素子における容量カップリングによって、入力端の電位がその直前の第1期間におけるデータ電位から基準信号の変動分だけ変化する。したがって、入力端の電位に応じた長さの期間にて駆動電圧または駆動電流が供給される被駆動素子はデータ電位に応じた状態に駆動される。そして、容量素子の第2電極の電位は基準信号線によって直接的に設定されるから、容量素子の2つの電極の電位を短時間に設定することが可能である等の利点を有する。
ここで、基準信号の電位が経時的に変化する第2期間は基準信号線ごとに個別に設定されて相互にタイミングが相違する。したがって、第1期間において一の単位回路のデータ電位が取り込まれると、他の単位回路に対するデータ電位の取り込みを待つことなく当該一の単位回路の被駆動素子が順次に駆動される。例えば、データ電位の取り込みが完了した単位回路から順番に被駆動素子が駆動される。したがって、本発明によれば、総ての単位回路にデータ電位を取り込む期間と総てのOLED素子を一斉に発光させる期間とが別個に設定された従来の構成と比較して、各単位回路の被駆動素子が駆動される期間を充分に確保することができる。
【0009】
なお、本発明における基準信号は、データ信号の書込みを行う第1期間の少なくも一部において定電位を維持し、かつ、少なくとも駆動期間において経時的に電位が変化する信号であることが好ましい。ただし、それ以外の期間における基準信号の電位やその変化の態様は、被駆動素子の駆動の形態や機能等に応じて適宜に設定することが可能である。また、第1期間と基準信号の電位が経時的に変化し始める時点との間隔も、被駆動素子の駆動の形態や機能等に応じて適宜に設定することが可能である。
【0010】
本発明の望ましい態様において、前記複数の基準信号線の各々の電位は所定の周期で変化する。より具体的には、前記複数の第1配線の各々を選択する選択回路と、前記第1配線が選択される順番で前記複数の基準信号線に対して順次に前記基準信号を供給する信号生成回路とを含む。この態様によれば、各基準信号の第2期間を充分な時間長に確保することができる。ただし、第1配線の選択の順番と各第1配線に対応する基準信号線について第2期間が到来する順番とは必ずしも合致している必要はない。
【0011】
本発明の望ましい態様において、前記一つの第2配線と前記スイッチング素子とを介してデータ信号を第1期間にて前記入力端に供給することによって前記入力端の電位が設定される。そして、前記被駆動素子に前記駆動電圧または前記駆動電流を供給する駆動期間の長さは、前記第1期間において設定された前記入力端の電位に対応する。この態様によれば、駆動電圧または駆動電流が被駆動素子に供給される駆動期間の時間長をデータ信号に応じて設定することができる。これらの態様において、入力端は、被駆動素子に駆動電圧または駆動電流が供給される駆動期間の少なくとも一部においてフローティング状態となる。この態様によれば、第1電極の電荷のリークが防止されるから、基準信号の経時的な変化に応じて入力端の電位を確実に変動させることができる。
【0012】
より具体的な態様において、駆動手段は、前記入力端の電位が所定の電位を上回る期間および前記入力端の電位が所定の電位を下回る期間において前記駆動電圧または前記駆動電流を前記被駆動素子に供給する。例えば、駆動手段は、入力端の電位が所定の電位(各実施形態における閾値電圧Vth)を上回るときに駆動電圧や駆動電流を出力し、入力端の電位が所定の電位を下回るときに駆動電圧や駆動電流の出力を停止する。この態様によれば、電気光学素子が2値的に駆動されるから、単位回路の各部や被駆動素子の特性のバラツキに起因した被駆動素子の駆動の状態(例えば発光素子の輝度レベル)のバラツキを抑制することが可能となる。この態様における駆動手段の典型例はインバータである。
より具体的には、前記一つの基準信号線の電位は、前記第1期間において前記データ信号により前記入力端の電位が設定される際には少なくとも第1の電位に設定されており、第2期間の開始時における前記一つの基準信号線の電位は前記第1の電位であり、前記一つの基準信号線は、前記第2期間内に前記第1の電位とは異なる電圧レベルを有する第2の電位となり、前記第2期間の終了時における前記一つの基準信号線の電位は前記第1の電位である。さらに詳細には、前記第2期間内における前記一つの基準信号線の電位の変化は、前記第2の電位となった時点を中点として線対称である。つまり、基準信号は、第2期間の始点と終点との中点(例えば図2や図4の中点tc)を基準として線対称な波形(典型的には三角波)とされる。
この態様によれば、被駆動素子が実際に駆動される期間(例えば電気光学素子が発光する期間)の時間軸上の重心をデータ信号に依らず第2期間の中点とすることができる。もっとも、基準信号線の電位の変化の態様(基準信号の波形)は厳密に線対称である必要はない。すなわち、各々が別個のデータ信号に対応する複数の駆動期間のうち時間長がゼロである駆動期間を除いて最短の駆動期間が、それ以上の時間長の駆動期間と第2期間の時間軸上において重複するように、各基準信号線の電位(すなわち基準信号)を設定すればよい。例えば、図4の例示を参照して説明すると、階調G0ないしG3のうち駆動電流Sdrが流れる駆動期間がゼロでない最短の時間長となる階調G1については、駆動期間が、階調G2または階調G3の駆動期間(階調G1に対応する駆動期間よりも長い駆動期間)に対して第2期間Pb[i]の時間軸上にて重なり合うように、基準信号が生成される。
【0013】
本発明の望ましい態様において、複数の基準信号線は、複数の第2配線と交差する方向に延在する。この構成によれば、ひとつの第1配線に共通に接続された各単位回路に対し、当該第1配線に沿って延在する単純な形状の基準信号線を介して共通の基準信号を確実に供給することができる。
【0014】
さらに別の態様において、前記複数の単位回路の各々は、前記一つの第2配線と前記スイッチング素子とを介してデータ信号を前記入力端に供給する第1期間に先立って前記入力端を所定の電位に設定するリセット手段(例えば図5のトランジスタ37)を含む。この態様によれば、第1期間に先立って入力端が所定の電位に初期化されるから、第1期間にて迅速かつ確実に入力端の電位をデータ電位に設定することが可能となる。
【0015】
以上に説明した各態様の電子装置は様々な電子機器に利用される。この電子機器の典型例は、電子装置を表示装置として利用した機器である。この種の電子機器としては、パーソナルコンピュータや携帯電話機などがある。もっとも、本発明に係る電子装置の用途は画像の表示に限定されない。例えば、光線の照射によって感光体ドラムなどの像担持体に潜像を形成するための露光装置(露光ヘッド)としても本発明の電子装置を適用することができる。
【0016】
本発明における被駆動素子は、電気的に駆動される総ての要素を含む。この被駆動素子の典型例は、電気エネルギの付与(例えば電界の印加)によって輝度や透過率といった光学的な性状が変化する電気光学素子(例えばOLED素子などの発光素子)である。本発明は、電気光学素子の駆動に専用される電気光学装置としても特定される。この電気光学装置は、複数の走査線と、前記複数の走査線に交差する複数のデータ線と、前記複数の走査線と前記複数のデータ線との交差に対応して配置された複数の単位回路と、前記複数の単位回路に基準信号を供給するための複数の基準信号線とを具備し、前記複数の単位回路の各々は、駆動電圧または駆動電流の供給によって駆動される電気光学素子と、前記駆動電圧または前記駆動電流を前記電気光学素子に供給する駆動手段と、前記駆動手段に含まれる入力端と前記複数のデータ線のうちの一つのデータ線との電気的な接続を制御するスイッチング素子と、前記入力端に接続された第1電極と前記複数の基準信号線のうちの一つの基準信号線に接続された第2電極とを含み、前記第1電極と前記第2電極との間に電荷を蓄積する容量素子とを含み、前記駆動電圧または前記駆動電流を前記電気光学素子に供給する駆動期間の長さは、第1期間内に前記一つのデータ線と前記スイッチング素子とを介してデータ信号が前記入力端に供給されることによって設定された前記入力端の電位に対応する。この構成によっても、本発明の電子装置と同様の作用および効果が奏される。
【0017】
また、本発明は、電子装置を駆動するための方法としても実施される。すなわち、本発明に係る駆動方法は、相互に交差する複数の第1配線および複数の第2配線と、前記複数の第1配線と前記複数の第2配線との交差に対応して配置された複数の単位回路と、複数の基準信号線とを具備し、前記複数の単位回路の各々が、駆動電圧または駆動電流の供給によって駆動される被駆動素子と、前記駆動電圧または前記駆動電流を前記被駆動素子に供給する駆動手段と、前記駆動素子に含まれる入力端に接続された第1電極と前記複数の基準信号線のうちの一つの基準信号線に接続された第2電極とを含み、前記第1電極と前記第2電極との間に電荷を蓄積する容量素子とを含む電子装置の駆動方法であって、第1期間において、前記複数の第2配線のうちの一つの第2配線から前記入力端にデータ信号を供給することによって前記入力端の電位を設定し、前記複数の基準信号線の各々の電位を所定の周期で変化させる。この方法によっても本発明の電子装置と同様の作用および効果が奏される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
<A:第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る電子装置の構成を示すブロック図である。同図に例示された電子装置Dは、画像を表示するための手段として種々の電子機器に採用される電気光学装置であり、複数の単位回路Uが面状に配列された素子アレイ部10と、各単位回路Uを駆動するための回路(走査線駆動回路23・データ線駆動回路25・信号生成回路27)とを含む。なお、走査線駆動回路23とデータ線駆動回路25と信号生成回路27とは、各々が独立の回路として電子装置Dに実装されてもよいし、これらの回路の一部または全部が単一の回路として電子装置Dに実装されてもよい。
【0019】
図1に示すように、素子アレイ部10には、X方向に延在するm本の走査線13と、各走査線13に対をなしてX方向に延在するm本の基準信号線17と、X方向に直交するY方向に延在するn本のデータ線15とが形成される(mおよびnはともに自然数)。各単位回路Uは、走査線13および基準信号線17の対とデータ線15との交差に対応する位置に配置される。したがって、これらの単位回路Uは縦m行×横n列のマトリクス状に配列する。
【0020】
走査線駆動回路23は、m本の走査線13の各々を順番に選択するための回路である。さらに詳述すると、走査線駆動回路23は、図2に示すように、フレーム(1F)ごとに設定される所定の期間(以下「第1期間」という)Pa[1]ないしPa[m]の各々にて順番にハイレベルとなる走査信号Y[1]ないしY[m]を生成して各走査線13に出力する。第i行目(iは1≦i≦mを満たす整数)の走査線13に供給される走査信号Y[i]は、1フレーム(1F)のうち第i番目の第1期間Pa[i]にてハイレベルとなり、それ以外の期間においてローレベルを維持する信号である。走査信号Y[i]のハイレベルへの遷移は第i行の選択を意味する。
【0021】
図1のデータ線駆動回路25は、走査線駆動回路23が選択した走査線13に対応する1行分(n個)の単位回路Uの各々に各データ線15を介してデータ信号X[1]ないしX[n]を供給する。第i行の走査線13が選択される第1期間Pa[i]にて第j列目(jは1≦j≦nを満たす整数)のデータ線15に供給されるデータ信号X[j]は、第i行に属する第j列目の単位回路Uに指定された階調(輝度)に対応する電位Vdataとなる。各単位回路Uの階調は、外部から供給される階調データによって指定される。
【0022】
信号生成回路27は、基準信号W[1]ないしW[m]を生成してm本の基準信号線17の各々に出力する回路である。図2に示すように、基準信号W[i]は、走査信号Y[i]がハイレベルとなる第1期間Pa[i]の始点から終点まで電位VHを維持し、この第1期間Pa[i]の経過後の所定の期間(以下「第2期間」という)Pb[i]の始点から終点までにわたって経時的に電位が変動する信号である。
【0023】
本実施形態における基準信号W[i]は、第2期間Pb[i]の中点tc(すなわち第2期間Pb[i]の始点および終点の双方から同じ時間長の時点)から始点までの波形と中点tcから終点までの波形とが当該中点tcを基準として線対称となる三角波である。すなわち、基準信号W[i]は、第2期間Pb[i]の始点から当該第2期間Pb[i]の中点tcにかけて電位VHからこれよりも低位の電位VLまで時間の経過とともに低下していき、中点tcから終点にかけて電位VLから時間の経過とともに上昇して電位VHに到達する。
【0024】
図2に示すように、基準信号W[1]ないしW[m]の各々は位相が相違する。すなわち、基準信号W[1]ないしW[m]が変動する第2期間Pb[1]ないしPb[m]の各々の時機は基準信号線17ごと(行ごと)に個別に設定されて互いに相違する。より具体的には、各基準信号線17に供給される基準信号W[1]ないしW[m]に規定される第2期間Pb[1]ないしPb[m]の各々は、当該基準信号線17に対応する走査信号Y[1]ないしY[m]の各々がハイレベルとなる順番で順次に到来する。したがって、図2に示すように、基準信号W[i]は、次行の走査信号Y[i+1]のハイレベルへの遷移に並行して電位VHから電位VLまでの範囲内で変動する。
【0025】
次に、図3を参照して、各単位回路Uの具体的な構成を説明する。なお、同図においては、第i行の第j列目に位置するひとつの単位回路Uのみが図示されているが、その他の単位回路Uも同様の構成である。
【0026】
図3に示すように、単位回路Uは、トランジスタ31と容量素子33とインバータ34と電気光学素子35とを含む。電気光学素子35は、有機EL材料からなる発光層を陽極と陰極との間に介在させたOLED素子であり、インバータ34から出力される駆動電流Sdrの電流レベルに応じた輝度レベルで発光する。なお、輝度レベルの時間による積分値が輝度に相当する。
【0027】
インバータ34は、pチャネル型のトランジスタ341とnチャネル型のトランジスタ342とを含む。トランジスタ341のソースは高位側の電源電位Vddが供給される電源線に接続される。nチャネル型のトランジスタ342のソースは低位側の電源電位(以下「接地電位」という)Vssが供給される接地線に接続される。トランジスタ341およびトランジスタ342の各々のドレインは電気光学素子35の陽極に対して共通に接続される。さらに、トランジスタ341およびトランジスタ342の各々のゲートは入力端Tにて相互に接続される。
【0028】
インバータ34の入力端Tの電位Vaが所定の電位(以下では単に「閾値電圧」という)Vthを下回る場合には、トランジスタ341がオン状態となって駆動電流Sdrが電気光学素子35に供給される。この駆動電流Sdrは電気光学素子35を発光させる電流である。これに対し、電位Vaが閾値電圧Vthを上回る場合には、トランジスタ341がオフ状態となってトランジスタ342がオン状態になるから、電気光学素子35に対する駆動電流Sdrの供給は停止する。
【0029】
図3の容量素子33は、インバータ34の入力端Tに接続された第1電極E1と基準信号線17に接続された第2電極E2とを含み、第1電極E1と第2電極E2との間に電荷を蓄積する。また、nチャネル型のトランジスタ31は、インバータ34の入力端Tとデータ線15との間に介在して両者の電気的な接続(導通および非導通)を制御するスイッチング素子である。トランジスタ31のゲートは走査線13に接続される。したがって、走査信号Y[i]がハイレベルとなる第1期間Pa[i]においてトランジスタ31はオン状態となり、走査信号Y[i]がローレベルを維持する期間においてトランジスタ31はオフ状態となる。
【0030】
次に、本実施形態に係る電子装置Dの具体的な動作を説明する。以下では、第i行に属する第j列目の単位回路Uの動作を第1期間Pa[i]と第2期間Pb[i]とに区分して説明する。
【0031】
(a) 第1期間Pa[i]
第1期間Pa[i]においては走査信号Y[i]がハイレベルに遷移するから、トランジスタ31がオン状態となって入力端Tとデータ線15とが電気的に接続される。これによりインバータ34の入力端Tにはデータ線15からデータ信号X[j]の電位Vdataが供給され、この電位Vdataに応じた電荷が容量素子33に保持される。図2に示したように容量素子33の第2電極E2に供給される基準信号W[i]は第1期間Pa[i]において定電位(電位VH)を維持するから、入力端Tの電位Vaは単位回路Uの階調に応じた電位Vdataに保持される。
【0032】
(b) 第2期間Pb[i]
第1期間Pa[i]が経過して走査信号Y[i]がローレベルになるとトランジスタ31はオフ状態に遷移するから、入力端Tはデータ線15から電気的に切り離されてフローティング状態となる。この状態は第2期間Pb[i]においても維持される。したがって、容量素子33の第2電極E2に供給される基準信号W[i]が第2期間Pb[i]にて電位VHから電位VLまでの範囲内で変動すると、容量素子33における容量カップリングによって、入力端Tの電位Va(第1電極E1の電位)は直前の第1期間Pa[i]で設定された電位Vdataから基準信号W[i]の変化分だけ変動する。
【0033】
図4は、入力端Tの電位Vaとインバータ34から出力される駆動電流Sdrとの関係を示すタイミングチャートである。同図においては、単位回路Uに各階調(G0ないしG3)が指定されたときの電位Vaの波形が併記されている。また、同図の電位V0ないし電位V3は、各階調G0ないしG3の各々が指定されたときのデータ信号X[j]の電位Vdata(すなわち第1期間Pa[i]で設定された電位Va)である。
【0034】
図4に示すように、入力端Tの電位Vaは第2期間Pb[i]における基準信号W[i]の変動に伴なってΔV(=VH−VL)だけ変化する。第2期間Pb[i]の始点において電位Vaは階調に応じた電位Vdataに設定されているから、第2期間Pb[i]のうち入力端Tの電位Vaがインバータ34の閾値電圧Vthを下回る期間(以下「駆動期間」という)は、その直前の第1期間Pa[i]においてデータ線15から供給された電位Vdataに応じた時間長となる。例えば、階調G1に対応する電位Vdata(V1)は階調G2に対応する電位Vdata(V2)よりも高位であるから、階調G2が指定されたときに電位Vaが閾値電圧Vthを下回る時間長は、階調G1が指定されたときに電位Vaが閾値電圧Vthを下回る時間長よりも長い。なお、階調G0が指定された場合に電位Vaは第2期間Pb[i]の全区間にわたって閾値電圧Vthを上回る。
【0035】
入力端Tの電位Vaは以上のように変動するから、データ信号X[j]に応じた時間長(パルス幅)の駆動期間にて駆動電流Sdrがインバータ34から電気光学素子35に供給され、その残余の期間においては電気光学素子35に対する駆動電流Sdrの供給が停止される。例えば、図4に示すように、階調G2が指定されたときに電気光学素子35に駆動電流Sdrが供給される駆動期間は、階調G1が指定されたときに駆動電流Sdrが供給される駆動期間よりも長い。また、階調G0が指定された場合には第2期間Pb[i]の全区間にわたって電気光学素子35に対する駆動電流Sdrの供給が停止される。電気光学素子35は駆動電流Sdrの供給によって発光するから、本実施形態においてはデータ信号X[j]の電位Vdataに応じた時間密度で電気光学素子35が発光することになる。これにより電気光学素子35の階調が単位回路Uごとに制御される。
【0036】
以上においてはひとつの単位回路Uの動作を説明したが、同様の動作が行単位で各単位回路Uにて実行される。より具体的には、図2に示したように、入力端Tに対する電位Vdataの供給(第1期間Pa[i])と基準信号W[i]に応じた電位Vaの変動(第2期間Pb[i])とが各行の単位回路Uごとに別個のタイミングで順次に実施される。したがって、第1期間Pa[i]にてひとつの単位回路Uにデータ信号X[j]が取り込まれると(すなわち入力端Tに電位Vdataが供給されると)、その他の各単位回路Uに対するデータ信号X[j]の取り込みを待つことなく電気光学素子35が順次に駆動される。換言すると、データ信号X[j]の取り込みが完了した単位回路Uから順番に電気光学素子35が発光していく。
【0037】
以上に説明したように、本実施形態によれば、駆動電流Sdrの供給と停止とによって2値的に電気光学素子35が駆動されるから、電気光学素子35に供給される電流(あるいは電気光学素子35に印加される電圧)を各階調に対応して段階的に制御する構成と比較して、電気光学素子35やインバータ34を構成するトランジスタの特性のバラツキの影響を低減することができる。さらに、本実施形態においては、容量素子33の第2電極E2の電位が基準信号線17によって直接的に設定されるから、容量素子33の各電極の電位を短時間に設定することが可能である。
【0038】
しかも、本実施形態によれば、総ての単位回路にデータ信号を供給する走査期間と総てのOLED素子を一斉に発光させる発光期間とが別個に設定される従来の構成と比較して、各電気光学素子35が発光する期間を長期に確保することができる。したがって、各電気光学素子35を充分な輝度に発光させることができる。また、従来の構成と比較して駆動電流Sdrのパルス幅を長く設定できるから、電気光学素子35に対する瞬間的な電流の集中(スパイク状の電流の供給)を回避して電気光学素子35の特性の劣化を抑制することが可能となる。
【0039】
<B:第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、本実施形態のうち第1実施形態と同様の要素については共通の符号を付して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0040】
図5は、本実施形態に係る電子装置Dのひとつの単位回路Uの構成を示す回路図である。同図に示されるように、本実施形態の単位回路Uは、図3に例示した第1実施形態の構成にnチャネル型のトランジスタ37が追加された構成となっている。このトランジスタ37は、インバータ34の入力端Tと出力端との間に介在して両者の電気的な接続(導通および非導通)を制御するスイッチング素子である。
【0041】
トランジスタ37のゲートはリセット信号R[i]が供給される配線に接続される。リセット信号R[i]は、走査信号Y[i]がハイレベルとなる第1期間Pa[i]の開始前の期間にてハイレベルとなり、それ以外の期間でローレベルを維持する信号である。すなわち、リセット信号R[1]ないしリセット信号R[m]は各行が選択される順番で順次にハイレベルとなる。
【0042】
以上の構成において、リセット信号R[i]がハイレベルになると、トランジスタ37がオン状態に遷移してインバータ34の入力端Tと出力端とが電気的に接続される。したがって、インバータ34の入力端Tおよび出力端の双方の電位は、電源電位Vddとpチャネル型のトランジスタ341の閾値電圧Vth_Pとの差分値(Vdd−Vth_P)に収束する。このように第1期間Pa[i]に先立って入力端Tの電位Vaを所定値に設定することにより、第1期間Pa[i]において入力端Tの電位Vaを迅速かつ確実に電位Vdataに設定できるという利点がある。また、電気光学素子35とインバータ34の出力端との間の電位が所定値に初期化されるから、電気光学素子35の応答に要する時間を複数の単位回路Uにわたって均一化することができる。
【0043】
<C:変形例>
以上の各形態には様々な変形を加えることができる。具体的な変形の態様を例示すれば以下の通りである。なお、以下の各態様を適宜に組み合わせてもよい。
【0044】
(1)変形例1
各実施形態においては第2期間Pb[i]における基準信号W[i]が三角波とされた構成を例示したが、第2期間Pb[i]における基準信号W[i]の波形は適宜に変更される。例えば、各実施形態においては第2期間Pb[i]の中点tcを基準として波形が線対称となる基準信号W[i]を例示したが、本発明において基準信号W[i]の対称性は必須ではない。例えば、ランプ波や鋸歯波(鋸波)やマルチランプ波(階段波)など様々な波形が第2期間Pb[i]内の基準信号W[i]に適用される。また、電位が直線的に変化する波形だけでなく正弦波など曲線的に変化する波形を第2期間Pb[i]における基準信号W[i]に適用してもよい。
【0045】
また、各実施形態においては基準信号W[i]が第2期間Pb[i]に三角波の1周期分の波形となる構成を例示したが、三角波や以上に例示したランプ波や鋸歯波など様々な単位波形の複数を第2期間Pb[i]内に連続させた波形(すなわち電位の上昇と下降とを複数回にわたって繰り返すように複数の単位波形を時間軸上に配列した波形)を基準信号W[i]に適用してもよい。このように、本発明においては、第2期間Pb[i]内で時間の経過とともに電位が変動する基準信号W[i]を、電気光学素子35の駆動の形態や機能等に応じて適宜に選択することが可能である。
【0046】
さらに、各実施形態においては、第2期間Pb[i]が開始すると入力端Tの電位Vaが第1期間Pa[i]における電位Vdataから変動し始める構成を例示したが、第2期間Pb[i]の始点および終点にて入力端Tの電位Vaが変動するように基準信号W[i]の波形を選定してもよい。例えば、図6に例示された基準信号W[i]を利用してもよい。同図の基準信号W[i]は、第2期間Pb[i]の始点にて変化量Vdだけ電位が上昇するとともに第2期間Pb[i]の終点にて変化量Vdだけ電位が下降し、かつ、第2期間Pb[i]の始点から終点までにわたって第1実施形態と同様に電圧ΔVの範囲内で電位が下降および上昇する。入力端Tの電位Vaは、この基準信号W[i]の波形に応じて変動する。すなわち、図6に示すように、電位Vaは、第1に、第2期間Pb[i]の始点にて電位Vdataから変化量Vdだけ上昇し、第2に、始点から中点tcまでの区間で変化量ΔVだけ下降するとともに中点tcから終点までの区間で変化量ΔVだけ上昇し、第3に、第2期間Pb[i]の終点にてVdだけ下降して電位Vdataとなる。この構成においても各実施形態と同様に、データ信号X[j]に応じた時間長にわたって駆動電流Sdrがインバータ34から出力される。
【0047】
(2)変形例2
単位回路Uの具体的な構成は図3の例示に限定されない。例えば、各トランジスタの導電型は図3の例示から任意に変更される。また、各実施形態においてはインバータ34の出力端と電気光学素子35の陽極とが直接に接続された構成を例示したが、図7に示すように、インバータ34の出力端にnチャネル型のトランジスタ39のゲートが接続された構成としてもよい。このトランジスタ39は、駆動電流Sdrを生成するための手段であり、電源電位Vddが供給される電源線と電気光学素子35の陽極との間に介挿される。トランジスタ341がオン状態となってインバータ34から電源電位Vddが出力されると、トランジスタ39はオン状態に遷移する。このとき電気光学素子35には駆動電流Sdrが流れて発光する。これに対し、インバータ34から接地電位Vssが出力されるとトランジスタ39はオフ状態となるから、電流の供給が停止して電気光学素子35は消灯する。この構成によっても各実施形態と同様の作用および効果が奏される。
【0048】
また、駆動電流Sdrを出力するための手段(本発明における駆動手段)はインバータ34に限定されない。例えば、図3・図5および図7のインバータ34に代えて、入力端Tの電位Vaと所定の電位とを比較してその結果に応じた駆動電流Sdrを出力するコンパレータを設置してもよい。このコンパレータは、例えば、電位Vaが所定の電位を下回る場合には電源電位Vddを出力するとともに電位Vaが所定の電位を上回る場合には接地電位Vssを出力する。この構成によっても各実施形態と同様の作用および効果が奏される。また、電気光学素子35に供給される信号は電流信号(各実施形態に例示した駆動電流Sdr)であってもよいし電圧信号であってもよい。以上に説明したように、本発明における駆動手段は、入力端Tの電位Vaに応じた(より具体的には電位Vaと所定の電位との大小に応じた)駆動信号(駆動電流Sdrや駆動電圧)を出力する要素であれば足り、その具体的な構成の如何は不問である。
【0049】
(3)変形例3
各実施形態においては、複数の走査線13の各々に対応するように(すなわち各行ごとに)基準信号線17が形成された構成を例示したが、走査線13と基準信号線17との対応の関係はこれに限定されない。例えば、m本の走査線13を所定本ごとに区分したグループの各々に対応するように基準信号線17が形成され、各基準信号線17がひとつのグループに属する各単位回路Uに接続された構成としてもよい。この構成においては、データ信号X[j]の取り込みは各行ごとに実行される一方、基準信号W[i]の変動による電気光学素子35の駆動はグループごとに実行される。
【0050】
(4)変形例4
第2実施形態においては、第1期間Pa[i]に先立ってインバータ34の入力端Tをその出力端に電気的に接続する構成を例示したが、インバータ34の入力端Tの接続先は適宜に変更される。例えば、所定の電位に維持される配線とインバータ34の入力端Tとの間にトランジスタ37を介在させた構成とし、第1期間Pa[i]に先立ってトランジスタ37をオン状態とすることによってインバータ34の入力端Tを所定の電位に初期化する構成としてもよい。
【0051】
(5)変形例5
以上の形態においては電気光学素子35としてOLED素子を例示したが、本発明の電子装置に採用される電気光学素子はこれに限定されない。例えば、OLED素子に代えて、無機EL素子や、フィールド・エミッション(FE)素子、表面導電型エミッション(SE:Surface-conduction Electron-emitter)素子、弾道電子放出(BS:Ballistic electron Surface emitting)素子、LED(Light Emitting Diode)素子といった様々な自発光素子、さらには電気泳動素子やエレクトロ・クロミック素子など様々な電気光学素子を利用することができる。また、本発明は、バイオチップなどのセンシング装置にも適用される。本発明の被駆動素子とは、電気エネルギの付与によって駆動される総ての要素を含む概念であり、発光素子などの電気光学素子は被駆動素子の例示に過ぎない。
【0052】
<D:応用例>
次に、本発明に係る電子装置(電気光学装置)を利用した電子機器について説明する。図8は、以上に説明した何れかの形態に係る電子装置Dを表示装置として採用したモバイル型のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。パーソナルコンピュータ2000は、表示装置としての電子装置Dと本体部2010とを備える。本体部2010には、電源スイッチ2001およびキーボード2002が設けられている。この電子装置Dは電気光学素子35にOLED素子を利用しているので、視野角が広く見易い画面を表示できる。
【0053】
図9に、実施形態に係る電子装置Dを適用した携帯電話機の構成を示す。携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001およびスクロールボタン3002、ならびに表示装置としての電子装置Dを備える。スクロールボタン3002を操作することによって、電子装置Dに表示される画面がスクロールされる。
【0054】
図10に、実施形態に係る電子装置Dを適用した携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistants)の構成を示す。情報携帯端末4000は、複数の操作ボタン4001および電源スイッチ4002、ならびに表示装置としての電子装置Dを備える。電源スイッチ4002を操作すると、住所録やスケジュール帳といった各種の情報が電子装置Dに表示される。
【0055】
なお、本発明に係る電子装置(電気光学装置)が適用される電子機器としては、図8から図10に示したもののほか、デジタルスチルカメラ、テレビ、ビデオカメラ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電子ペーパー、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、プリンタ、スキャナ、複写機、ビデオプレーヤ、タッチパネルを備えた機器等などが挙げられる。また、本発明に係る電子装置の用途は画像の表示に限定されない。例えば、光書込み型のプリンタや電子複写機といった画像形成装置においては、用紙などの記録材に形成されるべき画像に応じて感光体を露光する書込みヘッドが使用されるが、この種の書込みヘッドとしても本発明の電子装置は利用される。本発明にいう単位回路とは、表示装置の画素を構成する回路(いわゆる画素回路)のほか、画像形成装置における露光の単位となる回路をも含む概念である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電子装置の構成を示すブロック図である。
【図2】走査信号Y[i]および基準信号W[i]の波形を示すタイミングチャートである。
【図3】ひとつの単位回路の構成を示す回路図である。
【図4】電位Vaと駆動電流Sdrとの関係を示すタイミングチャートである。
【図5】本発明の第2実施形態の電子装置におけるひとつの単位回路の構成を示す回路図である。
【図6】変形例に係る基準信号W[i]の波形を示すタイミングチャートである。
【図7】変形例に係る単位回路の構成を示す回路図である。
【図8】本発明に係る電子機器の具体的な形態を示す斜視図である。
【図9】本発明に係る電子機器の具体的な形態を示す斜視図である。
【図10】本発明に係る電子機器の具体的な形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0057】
D……電子装置、10……素子アレイ部、13……走査線、15……データ線、17……基準信号線、23……走査線駆動回路、25……データ線駆動回路、27……信号生成回路、37……トランジスタ、33……容量素子、34……インバータ、T……インバータの入力端、35……電気光学素子、Y[i]……走査信号、X[j]……データ信号、Vdata……データ信号の電位、W[i]……基準信号、Sdr……駆動電流、Va……インバータの入力端の電位。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1配線と、
前記複数の第1配線に交差する複数の第2配線と、
前記複数の第1配線と前記複数の第2配線との交差に対応して配置された複数の単位回路と、
前記複数の単位回路に基準信号を供給するための複数の基準信号線とを具備し、
前記複数の単位回路の各々は、
駆動電圧または駆動電流の供給によって駆動される被駆動素子と、
前記駆動電圧または前記駆動電流を前記被駆動素子に供給する駆動手段と、
前記駆動手段に含まれる入力端と前記複数の第2配線のうちの一つの第2配線との電気的な接続を制御するスイッチング素子と、
前記入力端に接続された第1電極と前記複数の基準信号線のうちの一つの基準信号線に接続された第2電極とを含み、前記第1電極と前記第2電極との間に電荷を蓄積する容量素子と
を含む電子装置。
【請求項2】
前記複数の基準信号線は前記複数の第2配線に交差する
請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記複数の基準信号線の各々の電位は所定の周期で変化する
請求項1に記載の電子装置。
【請求項4】
前記複数の第1配線の各々を選択する選択回路と、
前記第1配線が選択される順番で前記複数の基準信号線に対して順次に前記基準信号を供給する信号生成回路と
を具備する請求項3に記載の電子装置。
【請求項5】
第1期間において、前記一つの第2配線と前記スイッチング素子とを介してデータ信号を前記入力端に供給することによって前記入力端の電位が設定される
請求項1に記載の電子装置。
【請求項6】
前記駆動電圧または前記駆動電流を前記被駆動素子に供給する駆動期間の長さは、前記第1期間において設定された前記入力端の電位に対応する
請求項5に記載の電子装置。
【請求項7】
前記入力端の電位は、前記第1期間にて前記データ信号によって設定された電位から、前記一つの基準信号線の電位の変化に応じて変動する
請求項5または請求項6に記載の電子装置。
【請求項8】
前記入力端は、前記駆動電圧または前記駆動電流が前記被駆動素子に供給される駆動期間の少なくとも一部においてフローティング状態となる
請求項7に記載の電子装置。
【請求項9】
前記駆動手段は、前記第1期間において前記データ信号により設定された前記入力端の電位が所定の電位を上回る期間および前記入力端の電位が所定の電位を下回る期間の何れか一方において前記駆動電圧または前記駆動電流を前記被駆動素子に供給する
請求項5に記載の電子装置。
【請求項10】
前記一つの基準信号線の電位は、前記第1期間において前記データ信号により前記入力端の電位が設定される際には少なくとも第1の電位に設定されており、
第2期間の開始時における前記一つの基準信号線の電位は前記第1の電位であり、
前記一つの基準信号線は、前記第2期間内に、前記第1の電位とは異なる電圧レベルを有する第2の電位となり、
前記第2期間の終了時における前記一つの基準信号線の電位は前記第1の電位である
請求項9に記載の電子装置。
【請求項11】
前記第2期間内における前記一つの基準信号線の電位の変化は、前記一つの基準信号線が前記第2の電位となった時点を中心として線対称である
請求項10に記載の電子装置。
【請求項12】
前記複数の単位回路の各々は、前記一つの第2配線と前記スイッチング素子とを介してデータ信号を前記入力端に供給する第1期間に先立って前記入力端を所定の電位に設定するリセット手段を含む
請求項1に記載の電子装置。
【請求項13】
複数の走査線と、
前記複数の走査線に交差する複数のデータ線と、
前記複数の走査線と前記複数のデータ線との交差に対応して配置された複数の単位回路と、
前記複数の単位回路に基準信号を供給するための複数の基準信号線とを具備し、
前記複数の単位回路の各々は、
駆動電圧または駆動電流の供給によって駆動される電気光学素子と、
前記駆動電圧または前記駆動電流を前記電気光学素子に供給する駆動手段と、
前記駆動手段に含まれる入力端と前記複数のデータ線のうちの一つのデータ線との電気的な接続を制御するスイッチング素子と、
前記入力端に接続された第1電極と前記複数の基準信号線のうちの一つの基準信号線に接続された第2電極とを有し、前記第1電極と前記第2電極との間に電荷を蓄積する容量素子とを含み、
前記駆動電圧または前記駆動電流を前記電気光学素子に供給する駆動期間の長さは、第1期間内に前記一つのデータ線と前記スイッチング素子とを介してデータ信号が前記入力端に供給されることによって設定された前記入力端の電位に対応する
ことを特徴とする電気光学装置。
【請求項14】
請求項1から請求項12の何れかに記載の電子装置または請求項13に記載の電気光学装置を備えた電子機器。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−25523(P2007−25523A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−210862(P2005−210862)
【出願日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】