説明

電子装置および記号入力のための方法

記号入力のためのユーザインターフェースを有する電子装置が開示される。本装置は、ディスプレイと、細長い接触感知式センサ領域を有し、かつ細長い接触感知式センサ領域の主軸に沿った複数のセンサ位置のユーザ操作を検出可能である入力装置とを備える。また本装置は、ディスプレイおよび入力装置に接続される処理装置も備える。入力装置の上記複数のセンサ位置の中の現センサ位置のユーザ操作に反応して、処理装置は、現センサ位置から、記号列における現在の記号位置を決定し、次に、記号列における現在の記号位置に保持される現在の記号を示すように、ディスプレイを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器の記号入力に関し、より具体的には、ディスプレイおよび接触感知式入力装置を伴う、記号入力のためのユーザインターフェースを有する電子装置に関する。また、本発明は、記号入力のための関連方法およびコンピュータプログラムにも関する。
【発明の背景】
【0002】
上記に従う電子機器は、多くの場合において携帯用である。携帯用電子装置の一般的な例として、例えば、GSM、UMTS、D-AMPS、CDMA2000、FOMA、またはTD-SCDMAに準拠する移動通信ネットワークへの無線通信インターフェースを有する移動端末が挙げられる。典型的な移動端末200が、携帯電話機の形式で図2aに示される。既知の方法において、従来技術の移動端末200は、スピーカまたはイヤホン202と、マイクロホン205と、ディスプレイ203と、一般的なITU-T型(「0」〜「9」、「*」、および「#」の文字を表すアルファベットおよび数値用キーパッド)の12個のボタンキーパッド204aおよびソフトキー204b、204cを含む1組のキー204と、を備える。さらに、ジョイスティック211またはその他の種類の操作入力装置(例えば、スクロールキー、タッチパッド、4/5方向操作キー、または回転子)も提供される。既知であるが図示されないその他の外部構成要素には、音量調節キー、電源投入ボタン、電池、充電器インターフェース、およびアクセサリインターフェースが含まれる。
【0003】
市場の需要により、移動端末のさらなる小型化が余儀なくされている。この点において、12個のボタンを有するITU-T型キーパッドは、人間のユーザの指で操作可能であるためには一定の物理的最小寸法を避けられないため、移動端末の設計を制限する制限要因となっている。
【0004】
一方、ITU-T型キーパッドは、現代の携帯端末においていくつかの重要な役割を果たしており、通話する電話番号を手動で入力するためのダイヤルキーパッドとしてだけでなく、テキスト入力のためのアルファベットおよび数値用キーパッドや、ビデオゲームのゲーム制御等としての役割も果たす。テキスト入力において、ITU-T型キーパッドの各キーは、多くの場合、いくつかの文字に関連している。例えば、単一のキーで「a」、「b」、「c」の文字が関連している。そのキーを1度押すと、文字「a」が生成され、短時間内にそのキーを2度押すと文字「b」が生成され、また、短時間内にそのキーを3度押すと文字「c」が生成される。ボタンを若干ゆっくりと2度押すと、2つの「a」が生成される。この文字入力方法においてITU-T型キーパッドを使用することは、かなり速度を落とすことになるため、ITU-T型キーパッドでテキスト入力を容易にするための種々の方法が開発されている。既知の例の1つとして、T9文字予測機能が挙げられる。
【0005】
文字予測機能付きのITU-T型キーパッドに基づく入力機構のユーザは、3〜6文字を表すキー(例えばキー「2」は「abc」を表す)を押すことができるという点において、目標文字に間接的なアクセスを有することになる。この間接性は、ユーザが目標文字を簡単に検索することを意味する。しかしながら、予測機能は、ディスプレイ上の入力を検証する必要があるという負の効果、つまり、例えば「2」のキーを押すことによって「a」、「b」、または「c」として解釈されるか否かを検証するという負の効果を有する。これは、典型的には、時間を要するユーザ検証を必要とするという負の側面である。
【0006】
比較的大型のITU-T型キーパッドを代替のさらに小型の入力装置と差し替える試みが為されている。例えば、従来技術のいくつかの携帯電話機は、文字入力のために、文字予測機能付きの機械的回転子を使用する。典型的には、回転子は、提示されたアルファベットの文字列を、選択可能である付加された組の予測文字と共に操作するために使用される。これらの機器は、ユーザが習得するには容易であることが証明されているが、経験するところによると、熟練したユーザであっても、文字入力速度が遅くなることが示されている。この理由として、以下が含まれると考えられる。
【0007】
1)予測文字がユーザの目標文字と一致しない場合、ユーザは、機械的回転子を何度も回転させさることによってアルファベット順に目標文字を検索および発見しなければ可能性がある。また、予測された文字の中に目標文字があるか否かを判断することや、回転子を何度も回転させることは時間を要し、全体の性能が低下する。
【0008】
2)目標文字を発見および強調表示する度に(予測文字においてか、アルファベット順であるか否かに関わらず)、ユーザは、回転子から指を上げて個別の選択キーにまで指を移動してから強調表示された文字を選択する必要があり、また、文字入力を続けるには、指を回転子に戻す必要がある。このような両方向の指の動きは、時間を要し、熟練したユーザであってもこの時間ロスを埋めることはできない。
【発明の摘要】
【0009】
上記を考慮して、本発明の目標は、上述の問題を解決または少なくとも軽減することにある。より具体的には、本発明の目的は、新たなユーザインターフェースを電子装置に提供することにあり、このユーザインターフェースは、記号入力に関与する要素を削減することによって、装置設計を小型化可能にするだけでなく、この記号入力が、高速、直感的、および正確であるようにする。
【0010】
一般的に、上記の目標および目的は、添付の独立特許請求項に従う電子装置と、電子装置における記号入力のための方法およびコンピュータプログラムとによって達成される。
【0011】
本発明の第1の側面は、記号入力のためのユーザインターフェースを有する電子装置であって、ディスプレイと、細長い接触感知式センサ領域を有し、かつ前記細長い接触感知式センサ領域の主軸に沿った複数のセンサ位置のユーザ操作を検出可能である入力装置と、前記ディスプレイおよび前記入力装置に接続される処理装置とを備え、前記処理装置が、前記入力装置の前記複数のセンサ位置の中の現センサ位置のユーザ操作に反応して、前記現センサ位置から記号列における現在の記号位置を決定し、前記記号列における前記現在の記号位置に保持される現在の記号を示すように前記ディスプレイを制御するように構成される。
【0012】
有利には、前記処理装置は、既定且つ固定の順番で前記記号列を提示するように前記ディスプレイを制御し、また、前記現在の記号位置によって保持される前記記号を選択可能にマークすることによってそれを示すように、前記ディスプレイを制御するように構成される。
【0013】
「既定且つ固定の順番で前記記号列を提示する」は、少なくとも2つの後続記号入力間の内容、順番、または位置を変更することなく、ディスプレイの領域に記号列が静的に示されることを意味する。
【0014】
これは、ユーザが、前記入力装置の前記細長い接触感知式センサ領域を、前記提示された記号列の種々の記号の中から操作するための手段として使用してもよいことを意味し、ここで、前記記号は、ユーザが既知である固定の順番を有するため、前記細長い接触感知式センサ領域を所望のセンサ位置で作動することによって、迅速かつ正確な記号操作が容易になる。
【0015】
例えば、前記記号列が、ラテン文字(例えば、「A」から「Z」、「a」から「z」、またはそのサブセット)等の言語記号を含む実施形態において、前記既定且つ固定の順番は、アルファベット順であってもよい。同様に、前記記号列が、アラビア数字(例えば、「0」から「9」、またはそのサブセット)を含む場合、前記既定且つ固定の順番は、数値であってもよい。いくつかの実施形態は、その他の種類の記号列に関連してもよく、句読点記号(「特殊文字」)、キリル文字、中国語の漢字、日本語の漢字記号、日本語のひらがな文字、または日本語のカタカナ文字を含むがそれだけに限定されない。この場合、前記既定且つ固定の順番は、該当する記号組または言語の典型的かつ自然な順番であってもよい。
【0016】
いくつかの実施形態において、記号列全体または記号列における個々の記号は、言語記号ではなく、ユーザインターフェースにおける選択可能な動作を表すアイコン等の形式であってもよい。全く同一の記号列が、言語記号およびユーザインターフェース動作の両方を含むという組み合わせの実施形態も考えられる。このような一実施形態において、前記記号列における1つの記号は、ラテン大文字、ラテン小文字、アラビア数字、または特殊文字間等の、異なる記号組間で切り替えする役割を果たす。
【0017】
いくつかの実施形態において、いくつかの記号がノード(ファイルシステムまたはメニューシステムにおけるフォルダまたはカタログ等)を表す場合があり、一方、その他の記号が、リーフ(ファイルまたはメニュー項目、あるいは個々の文字)を表す場合があるように、前記記号列は階層的に配置される。
【0018】
「前記現在の記号位置によって保持される前記現在の記号」を「選択可能なように」マークすることは、例えば、前記現在の記号を強調表示することを伴ってもよく、あるいは、前記提示された記号列におけるその他の記号とは明らかに異なる外観を一時的に提供することを伴ってもよい。
【0019】
前記ディスプレイのディスプレイ領域は、前記入力装置の前記細長い接触感知式センサ領域に隣接して、前記装置の装置ハウジングの表面に位置してもよい。前記記号列は、前記細長い接触感知式センサ領域の前記主軸に沿って並ぶように、前記ディスプレイ領域の縁近傍に提示されてもよく、前記センサ領域の前記センサ位置が、前記提示された記号列の前記記号位置のそれぞれの記号位置に揃うようにする。
【0020】
いくつかの実施形態において、前記ディスプレイおよび前記細長い接触感知式センサ領域の両方は、前記装置ハウジングの前面内または前面において設けられる。より具体的には、一実施形態において、前記センサ領域は、前記ディスプレイの最右側の縁部分の外側に近接して位置する(典型的な操作位置において携帯用電子装置を持つ際の典型的なユーザから見る場合)。このような配置は、前記装置を片手で握って使用可能であるため、右利きのユーザに特に有益となる。この場合、指は前記装置を保持し、また、親指で押圧することによって所望のセンサ位置におけるその領域を操作するようにするべく、親指は前記接触感知式センサ領域の前記主軸に沿って上下にスクロールする。
【0021】
左利きのユーザに特に適切である実施形態では、代わりに、前記細長い接触感知式センサ領域が、前記ディスプレイの左側に近接して設けられてもよい。右利きおよび左利きのユーザの両方に特に適切である実施形態では、前記ディスプレイの左側に1つと右側に1つの複合センサ領域があってもよい。代替的にまたは付加的に、前記または1つの細長い接触感知式センサ領域は、前記ディスプレイの最下の縁部分近傍に位置してもよい。
【0022】
前記入力装置は、抵抗膜型接触感知式センサ、静電容量型接触感知式センサ、音波センサ、加速度計センサ、光学(例えば、赤外線)センサ、電気機械センサ、電磁センサ、またはそれらの任意の組み合わせを含む群から選択される接触感知式センサによって、便利に実装されてもよい。
【0023】
例えば、静電容量型または抵抗膜型接触感知式センサの場合、そのセンサ領域は、細長い2次元のセンサマトリクスの多数のセンサ点における操作に対して感受性を有してもよい。このような場合において、前記細長い2次元のセンサマトリクスは、前記主軸に沿った連続する下位領域に論理的に分割されてもよく、各下位領域は、1つのセンサ位置を形成する。すなわち、前記センサマトリクスの特定下位領域内のセンサ点の全作動は、1つの特定のセンサ位置を表し、前述の記号列における1つの記号位置を表すことになる。
【0024】
一方、例えば、可塑性表面の下に折り畳み式ドームの列として実装される電気機械センサ(例えば、ITU-T型キーパッド用の通常のキーマットに一般的に使用される構造に類似)の場合、折り畳み式のドームとセンサ位置との間に一対一の関係が存在してもよい(1つの特定のドームは、1つの特定のセンサ位置を表す)。
【0025】
代替実施形態において、前記入力装置および前記ディスプレイは、接触感知式ディスプレイとして統合されて実装され、前記入力装置の前記細長い接触感知式センサ領域は、前記接触感知式ディスプレイの特定のディスプレイ下位領域によって実装される。
【0026】
前記処理装置は、前記入力装置の前記接触感知式センサ領域における選択イベントの発生を検出し、それに応じて、前記マークされた記号を新たな入力記号として選択するようにさらに構成されてもよい。
【0027】
従って、前記接触感知式領域は、前記利用可能な記号の操作およびその選択の操作の両方に使用されるため、個別の選択キー等の必要性は回避される。部品つまり費用を削減するという点、小型の装置形状が可能になるという点、迅速かつ正確な入力が可能になるという点、また、片手使用をさらに容易にするという点において、この構成は有益である。
【0028】
前記ユーザ操作が、ユーザによる接触感知式センサ領域への或る力の印加を伴う実施形態において、前記選択イベントは、前記接触感知式センサ領域のさらなるユーザ操作として検出され、前記さらなるユーザ操作は、前記或る力の印加よりも大きい力の印加を伴う。
【0029】
従って、ユーザは、前記所望の記号をマークするように、一定の力を使用して前記接触感知式センサ領域を前記所望のセンサ位置で押圧し、次に、その間も前記接触感知式センサ領域との関わり合いを中断せずに、前記接触感知式センサ領域を強めに押すことによって、前記所望の記号を選択してもよい。
【0030】
代替実施形態において、ユーザは、代わりに、「ポイント&クリック」方式(すなわち、前記所望の記号に印を付けてから親指等を上げて、その親指で再び素早く押圧することによって選択を実行する方式)で選択を命令してもよい。
【0031】
さらなる代替実施形態において、前記処理装置は、親指等を動かすことなく、前記接触感知式センサ領域との関与維持の既定時間経過を検出することによって選択をもたらしてもよい。従って、この代替実施形態において、ユーザは、親指等で前記接触感知式センサ領域に触れることによって、前記所望の記号に印を付けてから、親指を一定時間固定させる。この場合、前記処理装置は、自動的に選択をもたらす。
【0032】
前記複数のセンサ位置の中の各センサ位置が、前記記号列におけるそれぞれの記号位置に関連付けられる場合、前記処理装置は、前記現センサ位置が関連付けられる記号位置を選択することによって、前記現センサ位置から、前記現在の記号位置を決定するように構成されてもよい。
【0033】
従って、このような実施形態において、選択のために印を付けられる前記現在の記号は、前記接触感知式センサ領域上の操作点に最も近い関連するセンサ位置を有する記号である。
【0034】
有利な実施形態において、前記処理装置は、記号予測機能へのアクセスを有し、また、
・ 前記現センサ位置が関連付けられる記号位置に保持される候補記号を決定することと、
・ 前記記号列から、前記候補記号を含むように記号の範囲を選択することと、
・ 前記記号予測機能を適用することによって、前記記号範囲において、最も可能性の高い次の入力記号を決定することと、
・ 前記最も可能性の高い次の入力記号を前記現在の記号として選択することと、
によって、前記現在の記号を決定するように構成される。
【0035】
前記記号予測機能は、接頭文字または単語ベースの確率的言語モデルを考慮して、少なくとも1つの最近の入力記号に基づいて動作してもよい。
【0036】
本実施形態は、選択のためにマークされる所望の記号の、ユーザによる強調表示の精度を改善する記号予測機能を提供する。ユーザが誤って正確なセンサ位置を操作せずに、その近辺のセンサ位置を操作してしまう場合、前記記号予測機能は、前記誤って操作したセンサ位置に対応する記号よりも可能性の高い記号が代わりに強調表示されるように、透過的な方法でユーザを支援する。
【0037】
場合により、ユーザが、意図するセンサ位置を正確に押す場合であって、そのセンサ位置が可能性の低い記号を表す場合、前記記号予測機能は、ユーザの意図に不利に反して、統計的には可能性が高いが、特定の場合においては意図する記号ではない隣接記号にその強調表示を自動的に変更する。しかしながら、統計的に言うと、反対の状況の頻度の方が多い。その反対の状況においては、前記記号予測機能は、意図しない可能性の低い記号から、隣接する可能性の高い記号へ、強調表示を有利に変更する。ゆえに、本実施形態は、透過的な方法で強調表示の平均「ヒット率」を増加させ、ユーザが、記号予測機能を個別の物として気付くことなく、自身が極めて順調に実行していると単に感じるようにする。
【0038】
前記記号予測機能の確率的言語モデルは、例えば、統計的nグラム(例えば、モノグラム、バイグラム、またはトリグラム)データに基づいてもよく、それに照らし合わせて、現在のnグラム(前記記号範囲からのそれぞれの記号が付加される(n-1)の最近の入力記号を含む)を評価し、最も可能性の高い次の入力記号を発見する。あるいは、前記確率的言語モデルは、単語全体に基づいてもよい。
【0039】
前記記号範囲は、前記記号列における前記候補記号の両側におけるm個の近傍記号を含むように選択されてもよい。この場合、mは、例えば、1、2、または3であってもよい。重み付けを適用して、最も可能性の高い次の入力記号を決定する際に、最も近い近傍記号(例えば、前記候補記号が「C」の場合は「B」または「D」)が、次に近い近傍記号(例えば、「A」または「E」)よりも優先されるようにしてもよい。また、重み付けを適用して、現在の記号としての前記候補記号を置き換えるために、最も可能性の高い次の入力記号が、一定の差によって確率の観点から前記候補記号を上回るようにしてもよい。
【0040】
一実施形態において、前記処理装置は、前記入力装置の第1のセンサ位置の第1のユーザ操作を検出し、前記第1のセンサ位置から、第1の記号を保持する第1の記号位置を決定し、前記第1の記号が選択可能となるように該第1の記号をマークするように前記ディスプレイを制御するように構成され、また、前記処理装置は、前記入力装置の第2のユーザ操作を検出し、前記第1の記号位置および前記第2のユーザ操作から、第2の記号を保持する第2の記号位置を決定し、前記第1の記号の代わりに、前記第2の記号が選択可能となるように該第2の記号をマークするように前記ディスプレイを制御するようにさらに構成される。
【0041】
一実施形態において、前記第1のユーザ操作は、前記第1のセンサ位置において、前記接触感知式センサ領域と関わり合うことを伴い、また、前記第2のユーザ操作は、前記第2の記号位置が決定される第2のセンサ位置に、前記主軸に沿って関わり合いを維持したまま移動させることを伴う。
【0042】
この配置により、ユーザは、前記第1のセンサ位置における前記センサ領域に触れることによって「クリック&スクロール」動作を実行し、次に、強調表示またはマークされると、前記センサ領域に沿って前記所望の第2の位置に向かってドラッグすることが可能になり、ここで、強調表示が、前記第1の記号から前記第2の記号に自動的に変更する(また、有利には、ドラッグ移動中の中間のセンサ位置によって表される記号間で、スクロール感覚形式でユーザフィードバックが提供される)。
【0043】
前記複数のセンサ位置の中の各センサ位置が、前記記号列におけるそれぞれの記号位置に関連付けられる実施形態において、前記処理装置は、記号予測機能を備えてもよく、また、
・ 前記第2のセンサ位置が関連付けられる記号位置に保持される候補記号を決定することと、
・ 前記記号列から、前記候補記号を含むように記号の範囲を選択することと、
・ 前記記号予測機能を適用することによって、前記記号範囲における最も可能性の高い次の入力記号を決定することと、
・ 前記最も可能性の高い次の入力記号を前記第2の記号として選択することと、
によって、前記第2の記号を決定するように構成されてもよい。
【0044】
前記記号予測機能は、上述したように動作してもよい。さらに、スクロール後に前記記号予測機能を適用する場合、前記第1のセンサ位置から前記第2のセンサ位置への移動の速度を考慮してもよい。
【0045】
移動速度が速い場合に前記記号予測機能を適用することは、生体力学的な明白な理由により、正確に制御することが非常に難しいほどの迅速な移動をユーザが加えていることを意味することから、特に有用になる。前記細長いセンサ領域における迅速な移動において、ユーザは、意図する位置とは異なる第2のセンサ位置に到達してしまうことが多くあるため、前記記号予測機能は、操作精度の改善に非常に役立つ。
【0046】
一方、前記細長いセンサ領域における低速な移動においては、前記記号予測機能を省いてよいため、センサ位置に表される前記第2の記号が可能性の低い記号であっても、ちょうど意図する第2のセンサ位置への微調整操作の機会がユーザに提供される。
【0047】
前記入力装置の前記細長い接触感知式センサ領域は、前記ディスプレイに隣接する前記装置ハウジングの表面内または表面におけるタッチレールとして提供されてもよく、また、前記表面の包囲部品とは無関係である外観を有してもよい。
【0048】
前記タッチレールを見えないようにすること、あるいは周囲の装置ハウジング表面に比べて少なくとも目立たないようにすることによって、前記装置の工業設計がより自由になる。前記タッチレールを前記ディスプレイに近接して配置することによって、人間工学および目/手の調整における有用性が向上する。
【0049】
本発明は、携帯用電子装置において特に有用である。ゆえに、前記電子装置は、有利には携帯用であってもよい。さらに、前記電子装置は、移動通信ネットワークへの無線電機通信インターフェースを備えてもよい。従って、本発明は、GSM、UMTS、D-AMPS、CDMA2000、FOMA、およびTD-SCDMAを含むがそれだけに限定されない任意の商用移動通信規格に準拠し得る移動通信ネットワークへの無線通信インターフェースを有する移動端末において、あるいはその携帯端末として有利に実装されてもよい。
【0050】
その他の実施形態は、遠隔制御装置、携帯音楽プレーヤ、携帯情報端末(Personal Digital Assistant; PDA)、ハンドヘルド(パームトップ)コンピュータ、GPSナビゲータ等を含むがそれだけに限定されないその他の種類の携帯用電子装置を伴ってもよい。さらにその他の実施形態は、カーナビゲーションシステム、CDまたはDVDプレーヤ、テレビ受像機、固定電話機、ファックス機、プリンタ等の固定電子装置を含んでもよい。
【0051】
従って、本発明の第1の側面によると、例えば、移動端末等の携帯用電子装置は、12個のキー付きのITU-T型キーパッド等の従来の数値またはアルファベット文字用キーボードを備えずに設計されるが、テキスト入力および数字記入のような手動の入力オプション(例えば、通話する電話番号の手動ダイヤル)が提供される。前記装置のより自由な設計が可能になり、装置の小型化を容易にし、手動入力の部品の削減が実現する(すなわち、潜在的費用便益)ことから、これは重要な利点を有する。さらに、ユーザ入力は、利用可能なディスプレイ領域を空間効率良く使用する直感的方法で提供される。
【0052】
本発明の第2の側面は、ディスプレイを有する電子装置における記号入力のための方法であって、
【0053】
細長い接触感知式センサ領域を有し、かつ前記細長い接触感知式センサ領域の主軸に沿った複数のセンサ位置のユーザ操作を検出可能である入力装置を提供することと、前記複数のセンサ位置の中の現センサ位置のユーザ操作を検出することと、前記現センサ位置から、記号列における現在の記号位置を決定することと、前記記号列における前記現在の記号位置によって保持される現在の記号を、前記ディスプレイ上に示すこととを含む、方法である。
【0054】
前記第2の側面の前記方法は、本発明の前記第1の側面について上に規定された機能特徴のうちのいずれかをさらに含んでもよい。
【0055】
本発明の第3の側面は、記号入力のための電子装置であって、
【0056】
細長い接触感知式センサ領域の主軸に沿った複数のセンサ位置のユーザ操作を検出するための手段と、前記複数のセンサ位置の中の現センサ位置のユーザ操作を検出するための手段と、前記現センサ位置から、記号列における現在の記号位置を検出するための手段と、前記記号列における前記現在の記号位置によって保持される現在の記号を示すための手段とを備える、装置である。
【0057】
前記第3の側面の前記電子装置は、本発明の前記第1の側面について上に規定された機能特徴のうちのいずれかを実行するための手段をさらに含んでもよい。
【0058】
本発明の第4の側面は、プロセッサによる実行時に、細長い接触感知式センサ領域の主軸に沿った複数のセンサ位置の中の現センサ位置のユーザ操作を検出することと、前記現センサ位置から、記号列における現在の記号位置を決定することと、前記記号列における前記現在の記号位置によって保持される現在の記号を示すこととを実行する機械可読命令を含む、コンピュータプログラムである。
【0059】
前記第4の側面の前記コンピュータプログラムは、前記プロセッサによる実行時に、本発明の前記第1の側面について上に規定された機能特徴のうちのいずれかを実行する機械可読命令をさらに含んでもよい。さらに、前記コンピュータプログラムは、前記第1の側面に従う前記電子装置の前記処理装置によって有利に実行されてもよい。
【0060】
本発明のその他の側面、目的、特徴、および利点は、以下の詳細な開示と、添付の独立請求項と、図面により明白になるであろう。
【発明の詳細な説明】
【0061】
本発明について、添付の図面を参照してさらに詳細に以下に説明する。
【0062】
図1は、電子装置の異なる実施形態が記号入力に使用され得る環境に関する2つの例を非限定的な方法で示す。図1の実施形態は、両方とも携帯用であるが、前述のとおり、本発明を固定機器に適用してもよい。
【0063】
第1の実施形態は、セルラ通信システムの一部である移動端末100である。図1の通信システムにおいて、セルラ音声通話、www/wapの閲覧、セルラ映像通話、データ通話、ファックス伝送、静止画像伝送、動画像伝送、電子メッセージ伝送、および電子商取引等の種々の通信サービスが、移動端末100と別の移動端末または固定電話機132等のその他の機器との間で実行されてもよい。移動端末100の異なる実施形態および異なる状況において、上述の異なる通信サービスのうちの異なるサービスが、利用可能または利用不可能であってもよいことに留意されたい。本発明は、この点において、いかなる特定組のサービスにも限定されない。
【0064】
移動端末100は、基地局104を介してRFリンク102を通って移動通信ネットワーク110に接続される。移動端末100および移動通信ネットワーク110は、いかなる商用移動通信規格にも準拠していてもよく、その規格には、GSM、UMTS、D-AMPS、CDMA2000、FOMA、およびTD-SCDMAを含むがそれだけに限定されない。移動端末100の外部部品および内部部品については、図2bおよび3を参照してさらに詳しく説明する。
【0065】
公衆交換電話網(Public Switched Telephone Network; PSTN)130は、一般的な方法で移動通信ネットワーク110に接続される。上述の固定電話機132を含む種々の電話端末がPSTN130に接続される。
【0066】
移動通信ネットワーク110は、インターネットまたはその一部であってもよい広域ネットワーク120に動作可能に接続される。インターネットサーバ122は、データ記憶124を有し、また、インターネットクライアントコンピュータ126と同様に広域ネットワーク120に接続される。データ記憶124を備えるサーバ122は、www/wapのコンテンツを移動端末100に提供可能であるwww/wapサーバのホストであってもよい。
【0067】
図1に示されるシステムは、例示目的のみを提供する。
【0068】
第1の実施形態の移動端末100は、上述の通信サービスのいずれかを制御するため等の、種々の状況および種々の目的において、記号入力のために使用されてもよい。残りの説明は、非限定的な例として、移動端末における記号処理ソフトウェアアプリケーション350(図3)でテキストメッセージを形成するための、文字記入形式における記号入力に関する。
【0069】
しかしながら、まず、記号入力のための携帯用電子装置の第2の実施形態154について概要する。第2の実施形態は、記号入力のためのディスプレイおよびタッチレール形式の単純なユーザインターフェースを有する遠隔制御装置154である。ユーザ1は、テレビ受像機150、デジタル受信機152、および/または例えば、インターネット120またはPSTN130を介してアクセス可能である種々のサービスを制御するように、遠隔制御装置154を使用してもよい。このために、ユーザ1は、タッチレールを作動させ、例えば、ディスプレイ上の文字またはアイコンとして提示される複数の利用可能な記号の中から操作および選択する。これは、第1の実施形態の移動端末100/200'とほぼ同じ方法であり、その詳細は後述する。
【0070】
ここで、再び第1の実施形態を参照すると、その移動端末は、図2bの200'としてより詳細に示される。外面的には、移動端末200'は、スピーカまたはイヤホン202を含む装置ハウジング207と、マイクロホン205と、ディスプレイ203と、1組のキー204'とを備える。図2aの従来技術端末200とは対照的に、ITU-T型キーパッドは必要ないため省いてもよい。ゆえに、移動端末200'の1組のキー204'は、限られた数のキー204b〜204eのみを有する。
【0071】
これらのキー204'は、左右のソフトキー204bおよび204cと、送信キー204d(種々の既存の電話機モデルにおける通話/はい/OKに相当する)と、終了キー204e(通話終了/いいえ/取消に相当する)とを含んでもよい。代替的または付加的に、キー204'は、消去キー(バックスペース、エスケープ等の動作のためのキー)と、アプリケーションキー(メニューに基づくメインアプリケーションメニューにおいてアプリケーションと項目とを、ユーザにより切り替え可能にするキー)と、アルファキー(辞書の変更や、多数の選択行動の実行のための、いくつかのアプリケーションにおいて使用するためのキー)と、を含んでもよい。当業者に理解されるように、ユーザインターフェースの異なる状況において、異なる機能または動作がキー204'に割り当てられる。
【0072】
ジョイスティック211または4/5方向操作キー等のその他の種類の操作入力装置も提供されてもよい。さらに、音量調節キー、電源投入ボタン、電池、充電器インターフェース、およびアクセサリインターフェース等の、その他の既知の外部部品が存在してもよい。
【0073】
記号入力のための手段として、移動端末200'は、以下においてタッチレールと呼ばれる細長い接触感知式センサ領域220を備える入力装置を有する。
【0074】
本実施形態において、タッチレール220は、寸法が41mm x 2mm = 82mm2であり、かつ圧力感知式である抵抗膜型タッチセンサ技術に基づく細長い接触感知式センサ領域の形式を有する。ゆえに、タッチレール220は、接触感知式センサ領域における多数のセンサ点で操作されたことを検出可能であるだけでなく、少なくともいずれのセンサ点においても押圧力の強弱を区別可能であるように、異なる加力も検出可能である。このような圧力感知式抵抗膜型タッチセンサ技術は、それ自体、当業者に既知である異なる販売元より市販されている。
【0075】
図2bの実施形態において、タッチレール220は、装置ハウジング207の前面207Fにおいて、ディスプレイ203の最右側の縁部分に隣接して位置する。図2c、2d、および2eに示される代替実施形態において、タッチレール220は、前面207Fにおけるディスプレイ203に左側、前面207Fにおけるディスプレイ203の下、および短辺表面207S側のディスプレイ203に近接して、それぞれ位置する。上で説明したように、これらの配置のうちの異なる配置は、右利きおよび左利きのユーザによる片手使用に特に適切である。
【0076】
図5a〜5jを参照して後述する使用事例により明らかになるように、ユーザ1は、タッチレールを使用して、所望のセンサ位置でタッチレールを押圧することによって記号列230において利用可能な記号を操作および選択する。有利には、ユーザ1は、片手で移動端末200'を保持し、その親指をタッチレール220の主軸に沿って対向方向222に移動させることによって、要望通りにタッチレール220を作動することができる。また、さらなる詳細については、以下の図4a〜4bの説明を参照したい。
【0077】
ITU-T型キーパッドのような従来の入力装置の代わりにタッチレール220を導入することによって、装置ハウジング207の前面207Fに貴重な空間節約がもたらされることに留意されたい。図2bの実施形態において、このような空間節約は、図2aの従来技術端末200よりも装置ハウジング207のサイズを縮小するため、また、前面207F全体に対するディスプレイ203のサイズを拡大するために使用される。
【0078】
次に、移動端末200'の内部構成要素、ソフトウェア、およびプロトコル構造について図3を参照して説明する。移動端末は、処理装置または制御器300を備え、これらは移動端末の全体動作に関与し、また、任意の市販の中央処理装置(Central Processing Unit; CPU)またはデジタル信号プロセッサ(Digital Signal Processor)によって実行されてもよく、あるいは代替的に、特定用途向け集積回路(Application-Specific Integrated Circuit; ASIC)等のその他の任意の電子プログラム可能な論理素子によって実行されてもよい。処理装置300は、RAMメモリ、ROMメモリ、EEPROMメモリ、フラッシュメモリ、ハードディスク、またはそれらの任意の組み合わせ等の、関連する電子メモリ302を備える。メモリ302は、種々の目的で処理装置300により使用される。その目的の1つとして、移動端末における種々のソフトウェアのためのデータおよびプログラム命令の格納が挙げられる。
【0079】
ソフトウェアは、リアルタイムオペレーティングシステム320、マンマシンインターフェース(Man-Machine Interface; MMI)334のためのドライバ、アプリケーション処理部332、ならびに種々のアプリケーションを含む。アプリケーションには、上述の記号処理アプリケーション350、ならびにその他の種々のアプリケーション360および370が含まれる。開示される実施形態において、記号処理アプリケーション350は、ユーザ1からの文字入力に対応可能であるアプリケーションであり、例えば、メッセージアプリケーション(例えば、SMS、MMS、電子メール、またはインスタントメッセージ)、電話帳アプリケーション、WAP/WWWブラウザ、カレンダアプリケーション、単語処理アプリケーション、ノートパッドアプリケーション、通話する電話番号の手動ダイヤルに対応する通話処理アプリケーション、計算機、またはテキスト、文字、数字、または記号入力用の少なくとも1つのフィールドを使用するその他の任意のアプリケーション等が挙げられる。
【0080】
また、MMI334は、1つ以上のハードウェア制御器も含み、このハードウェア制御器は、MMIドライバと共に、ディスプレイ336/203、タッチレール220、キー204'、およびジョイスティック211(通常は、図3の入力装置338と呼ばれる)の他に、マイクロホン205、スピーカ337/202、振動器、着信音発生器、LED表示器等のその他の種々のI/O機器339と恊働する。周知のように、ユーザは、このように形成されるマンマシンインターフェースを介して移動端末を操作してもよい。
【0081】
また、ソフトウェアは、種々のモジュール、プロトコルスタック、ドライバ等を含み、これらは、通常、330として設計され、また、通信サービス(トランスポート、ネットワーク、および接続性)をRFインターフェース306、任意でブルートゥースインターフェース308および/またはIrDAインターフェース310に提供する。RFインターフェース306は、内部または外部アンテナ、ならび基地局(例えば、図1のリンク102および基地局104)への無線リンクを確立および維持するために適切な無線回路を備える。当業者に既知であるように、無線回路は、一連のアナログおよびデジタル電子構成要素を備え、それらを連結して無線受信機および送信機を形成する。このような構成要素には、とりわけ、帯域通過フィルタ、増幅器、混合器、局所発振器、低域通過フィルタ、AD/DA変換器等が含まれる。
【0082】
また、移動端末は、SIMカード304および関連する読み取り器を備える。周知のように、SIMカード304は、プロセッサならびに局所作業型メモリおよびデータメモリを備える。
【0083】
次に、図2bの移動端末における記号処理ソフトウェアアプリケーションに記号を入力する方法を示す図4aを参照する。図4aに示されるように、タッチレールは、連続的な列の論理センサ位置404に分割される。各論理センサ位置404は、複数の物理的接触感知式センサ点402を有する。特定のセンサ位置404におけるこのようなセンサ点402のいずれかの起動は、タッチレール220自体または処理装置300によって、特定のセンサ位置404の操作として解釈される。
【0084】
図4aにおいて、記号列230は、アルファベット順によるラテン文字の垂直リストとして、処理装置300によってディスプレイ203上に提示される。従って、各文字…、C、D、E、…は、それぞれの記号位置406を保持する。ユーザ1の便宜上、記号位置406は、センサ位置404と水平に整合され、文字リスト230が、各センサ位置の意味をユーザ1に説明する表示としての役割を果たし、また各センサ位置404が、それぞれの記号位置406と関連付けられるようにする。各センサ位置の境界は、図4aに教示目的で示されるが、実際は可視的である必要がないことに留意されたい。さらに、実際は、文字リストがタッチレール220により近接しているように示されることが好ましいことに留意されたい。
【0085】
ステップ410において、処理装置300は、現センサ位置4046が操作されたことを検出する。ステップ412において、現センサ位置4046と関連付けられる文字リスト230における特定の現在の記号位置4066を決定する。次に、ステップ414において、このように決定された現在の記号位置4066により保持される記号Fは、それを強調表示することによって選択可能となるようにマークされる。
【0086】
図4aの水平方向の矢印409によって示されるように、本実施形態において、特定のセンサ位置404の操作により、常に、同一の対応する記号位置406にマークされる。
【0087】
ユーザ1は、タッチレールを若干強めに押圧することによって、印の付けられた記号を選択してもよい。また、ユーザは、元々の圧力レベルで押圧を続け、親指をタッチレール220上で上下に摺動させることによって、文字リスト230における先行文字または後続文字への強調表示を適宜変更して、文字リスト230をスクロールしてもよい。所望の目標記号位置406に到達すると、ユーザは、タッチレール220上で若干強めに押圧することによって記号を選択してもよい。あるいは、ユーザは、親指を上げてから所望のセンサ位置404で再び押すことによって別の文字を強調表示してもよい。
【0088】
図4bの実施形態は、記号予測機能を使用する。この記号予測機能は、正確なセンサ位置404におけるタッチレール220の操作を試みる際に、透過的にユーザを支援する。ステップ420において、現センサ位置4046の操作を、前述のステップ410のように検出する。次に、ステップ422において、現センサ位置4046に関連付けられる記号位置4066に保持される記号として、候補記号Fを決定する。
【0089】
次に、処理装置300は、ステップ424に進み、ここで、記号予測機能を適用して、最も可能性の高い記号を決定する。このステップは、候補記号Fを含む記号の範囲を選択することを伴う。本実施形態において、記号の範囲は、候補記号の上下にある2つの最近傍記号として、候補記号自体と共に選択される。従って、本例において、{DEFGH}が記号の範囲として選択される。記号予測機能は、本明細書において前述されたように、好ましくは、最近の入力記号を考慮して、この範囲から最も可能性の高い次の記号を決定する。
【0090】
最後に、最も可能性の高い記号Eは、ステップ426において選択可能となるように、処理装置300によってマークされる。
【0091】
記号予測機能は、上述の組のMMIドライバ334に含まれてもよく、あるいは、処理装置300によって実行可能である別々のソフトウェアとして提供されてもよい。その他の実施形態において、記号予測機能は、例えば、ASIC形式で、ハードウェアにおいて部分的にまたは全体的に実現されてもよい。
【0092】
次に、使用事例について、図5aから5jを参照して示す。使用事例は、移動端末200'のタッチレール220を使用して短いテキストメッセージ「Hi world」を入力することを、図4bに関して上に説明された実施形態(記号予測機能付き)と関連付けている。
【0093】
図5aに示されるように、ディスプレイ203の最右側部分に文字リスト230が垂直に示される。文字リスト230は、全アルファベットの他に、空白記号502およびモード切り替え記号504aおよび504bを含む。記号504aを選択すると、処理装置300は、例えば、数字の「0」から「9」および数字演算子等を含む数値リストに、リスト230を変更する。記号504bを選択すると、処理装置300は、例えば、句読点記号または非ラテン文字を含む特殊記号リストに変更する。
【0094】
図5aにおいて、ユーザは、「H」を表すタッチレール下位領域(センサ位置)(記号位置500a)に親指を移動させたいが、誤って隣の「I」の下位領域に触れてしまう。「I」および「H」が記号予測機能によって同等に可能性のあるものとして保持され、「I」は500bで示されるように強調表示される。
【0095】
図5bにおいて、タッチレール220に指を関与させたまま、ユーザは、親指を若干上方に移動させて、500cで示されるように「H」を強調表示文字にする。ユーザは、タッチレール220を若干強めに押圧し、「H」をディスプレイ203上の510において示す。
【0096】
図5cにおいて、依然としてタッチレール220に指を関与させたまま、ユーザは、親指を若干下方に移動させて、500dで示されるように「I」を強調表示文字にする。ユーザは、タッチレール220を若干強めに押圧し、「I」を510において示されるテキストに加える。
【0097】
図5dにおいて、ユーザは親指を上げて、タッチレール220の底部に親指を移動させることによって、500fにおける空白文字「_」にアクセスする。ユーザは、実際は、500eにおける隣の「Z」の下位領域に触れているが、透過的記号予測機能は、「Z」よりも「_」の可能性が高いと考えるため、「_」が500fで強調表示される。
【0098】
ユーザは、タッチレール220を若干強めに押圧し、「_」を510において示されるテキストに加える。
【0099】
図5eにおいて、タッチレール220に指を関与させたまま、ユーザは、親指を上方に移動させて、500gで示されるように「W」を強調表示文字にする。ユーザは、タッチレール220を若干強めに押圧し、「W」をディスプレイ203上の510において示す。
【0100】
図5fにおいて、ユーザは、親指を上げて、親指を文字「O」に移動させるが、誤って、タッチレールのQ(500h)を押してしまう。しかしながら、透過的記号予測機能は、「P」、「Q」、「R」、および「S」よりも「O」の可能性が高いと考えるため、500iにおいて意図および示されるように、「O」を強調表示する。ユーザは、タッチレール220を若干強めに押圧し、「O」をディスプレイ203上の510において示す。
【0101】
図5gにおいて、タッチレール220に指を関与させたまま、ユーザは、親指を下方に移動させて、500jで示されるように「R」を強調表示文字にする。ユーザは、タッチレール220を若干強めに押圧し、「R」をディスプレイ203上の510において示す。
【0102】
図5hにおいて、ユーザは、親指を上げて、文字「L」(500k)に親指を移動させて、タッチレール220の下位領域を押すことに成功する。しかしながら、過去3回の入力文字を考慮すると「K」の方が可能性の高い文字であるため、代わりに「K」が500lにおいて強調表示される。
【0103】
これを訂正するために、図5iにおいて、ユーザは、「L」が500mにおいて強調表示されるまでタッチレール上で親指を下方に摺動する。ユーザは、タッチレール220を若干強めに押圧し、「L」をディスプレイ203上の510において示す。
【0104】
最後に、図5jにおいて、ユーザは、親指を上げて、タッチレール220の「D」の下位領域を押すことを試みるが、誤って「B」(500n)を選択してしまう。それにも関わらず、記号予測機能は、過去の入力を考慮して「D」の方が可能性の高い文字であることから、500oにおいて「D」を強調表示する。
【0105】
本発明について、主に、いくつかの実施形態を参照して上に説明した。しかしながら、当業者により容易に理解されるように、上に開示されるもの以外のその他の実施形態は、特許請求項により規定される本発明の範囲内で同等に可能である。
【0106】
例えば、一代替実施形態において、記号列において記号のサブセットが同時にディスプレイ上に示される。従って、記号列が、「A」から「Z」の全アルファベットといくつかの制御記号を含む場合、処理装置300は、タッチレールの操作検出時に、例えば、全部で9個の記号(4つの先行する近傍記号、その操作に関連すると考えられる特定の記号、および4つの後続する近傍記号)のみを示すように構成されてもよい。本実施形態は、小型のディスプレイのみを有する、限られたユーザインターフェースにおいて、発明の機能の適用を支援するという利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本発明の電子装置の異なる実施形態が実行され得る環境に関する異なる典型的な例であるが非限定的な例の概略図であり、ここで、一実施形態は移動端末であり、別の実施形態は遠隔制御装置である。
【図2a】従来技術に従う移動端末を示す概略正面図である。
【図2b】図1の移動端末をより詳細に示す概略正面図であり、記号入力のためのディスプレイおよび細長い接触感知式センサ領域またはタッチレールを伴う移動端末のユーザインターフェースを示す。
【図2c−e】図1の移動端末に関する代替実施形態を示す。
【図3】図2bに示される移動端末の内部構成要素、ソフトウェア、およびプロトコル構造を表す概略ブロック図である。
【図4a】図2bの移動端末における記号処理ソフトウェアアプリケーションに記号を入力する方法に関する第1の実施形態を示す図である。
【図4b】図2bの移動端末における記号処理ソフトウェアアプリケーションに記号を入力する方法に関する第2の実施形態を示す図である。
【図5a−5d】図5a〜5jは、タッチレールを備える移動端末による短いテキストメッセージの入力中に取り出された、移動端末のディスプレイの画面例を示す。
【図5e−h】図5a〜5jは、タッチレールを備える移動端末による短いテキストメッセージの入力中に取り出された、移動端末のディスプレイの画面例を示す。
【図5i−j】図5a〜5jは、タッチレールを備える移動端末による短いテキストメッセージの入力中に取り出された、移動端末のディスプレイの画面例を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記号入力のためのユーザインターフェースを有する電子装置であって、
ディスプレイと、
細長い接触感知式センサ領域を有し、かつ前記細長い接触感知式センサ領域の主軸に沿った複数のセンサ位置のユーザ操作を検出可能である入力装置と、
前記ディスプレイおよび前記入力装置に接続される処理装置と、
を備え、
前記処理装置が、前記入力装置の前記複数のセンサ位置の中の現センサ位置のユーザ操作に反応して、
・ 前記現センサ位置から、記号列における現在の記号位置を決定し、
・ 前記記号列における前記現在の記号位置に保持される現在の記号を示すように、前記ディスプレイを制御する
ように構成される、
装置。
【請求項2】
前記処理装置は、既定且つ固定の順番で前記記号列を提示するように前記ディスプレイを制御し、また、前記現在の記号位置によって保持される前記記号を選択可能にマークすることによってそれを示すように、前記ディスプレイを制御するように構成される、請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
装置ハウジングをさらに有し、前記ディスプレイのディスプレイ領域が、前記入力装置の前記細長い接触感知式センサ領域に隣接して、前記装置ハウジングの表面に設けられる、請求項1に記載の電子装置。
【請求項4】
前記記号列は、前記細長い接触感知式センサ領域の前記主軸に沿って並ぶように、前記ディスプレイ領域の縁近傍に提示され、前記センサ領域の前記センサ位置が、前記提示された記号列の前記記号位置のそれぞれの記号位置に揃うように構成される、請求項3に記載の電子装置。
【請求項5】
前記入力装置は、抵抗膜型接触感知式センサ、静電容量型接触感知式センサ、音波センサ、加速度計センサ、光学(例えば、赤外線)センサ、電気機械センサ、電磁センサ、またはそれらの任意の組み合わせを含む群から選択される接触感知式センサによって実装される、請求項1に記載の電子装置。
【請求項6】
前記入力装置および前記ディスプレイは、接触感知式ディスプレイとして統合されて実装され、前記入力装置の前記細長い接触感知式センサ領域は、前記接触感知式ディスプレイの特定のディスプレイ下位領域によって実装される、請求項1に記載の電子装置。
【請求項7】
前記処理装置は、前記入力装置の前記接触感知式センサ領域における選択イベントの発生を検出し、それに応じて、前記マークされた記号を新たな入力記号として選択するようにさらに構成される、請求項2に記載の電子装置。
【請求項8】
前記ユーザ操作は、前記ユーザによる前記接触感知式センサ領域への或る力の印加を伴い、前記選択イベントは、前記接触感知式センサ領域のさらなるユーザ操作として検出され、前記さらなるユーザ操作は、前記或る力の印加よりも大きい力の印加を伴う、請求項7に記載の電子装置。
【請求項9】
前記複数のセンサ位置の中の各センサ位置は、前記記号列におけるそれぞれの記号位置に関連付けられ、前記処理装置は、前記現センサ位置が関連付けられる記号位置を選択することによって、前記現センサ位置から、前記現在の記号位置を決定するように構成される、請求項1に記載の電子装置。
【請求項10】
前記複数のセンサ位置の中の各センサ位置は、前記記号列におけるそれぞれの記号位置に関連付けられ、
前記処理装置は、記号予測機能へのアクセスを有し、また、
・ 前記現センサ位置が関連付けられる記号位置に保持される候補記号を決定することと、
・ 前記記号列から、前記候補記号を含むように記号の範囲を選択することと、
・ 前記記号予測機能を適用することによって、前記記号範囲において、最も可能性の高い次の入力記号を決定することと、
・ 前記最も可能性の高い次の入力記号を前記現在の記号として選択することと、
によって、前記現在の記号を決定するように構成される、
請求項1に記載の電子装置。
【請求項11】
前記記号予測機能は、接頭文字または単語ベースの確率的言語モデルを考慮して、少なくとも1つの最近の入力記号に基づいて動作する、請求項10に記載の電子装置。
【請求項12】
前記処理装置は、前記入力装置の第1のセンサ位置の第1のユーザ操作を検出し、前記第1のセンサ位置から、第1の記号を保持する第1の記号位置を決定し、前記第1の記号が選択可能となるように該第1の記号をマークするように前記ディスプレイを制御するように構成され、
前記処理装置は、さらに、前記入力装置の第2のユーザ操作を検出し、前記第1の記号位置および前記第2のユーザ操作から、第2の記号を保持する第2の記号位置を決定し、前記第1の記号の代わりに、前記第2の記号が選択可能となるように該第2の記号をマークするように前記ディスプレイを制御するように構成される、
請求項2に記載の電子装置。
【請求項13】
前記第1のユーザ操作は、前記第1のセンサ位置において、前記接触感知式センサ領域と関わり合うことを伴い、また、前記第2のユーザ操作は、前記第2の記号位置が決定される第2のセンサ位置に、前記主軸に沿って関わり合いを維持したまま移動することを伴う、請求項12に記載の電子装置。
【請求項14】
前記複数のセンサ位置の中の各センサ位置は、前記記号列におけるそれぞれの記号位置に関連付けられ、
前記処理装置は、記号予測機能を備え、また、
・ 前記第2のセンサ位置が関連付けられる記号位置に保持される候補記号を決定することと、
・ 前記記号列から、前記候補記号を含むように記号の範囲を選択することと、
・ 前記記号予測機能を適用することによって、前記記号範囲における最も可能性の高い次の入力記号を決定することと、
・ 前記最も可能性の高い次の入力記号を前記第2の記号として選択することと、
によって、前記第2の記号を決定するように構成される、
請求項13に記載の電子装置。
【請求項15】
前記入力装置の前記細長い接触感知式センサ領域は、前記ディスプレイに隣接する前記装置ハウジングの表面内または表面におけるタッチレールとして提供され、また、前記表面の包囲部品とは無関係である外観を有する、請求項3に記載の電子装置。
【請求項16】
移動通信ネットワークへの無線通信インターフェースを備える、請求項1に記載の電子装置。
【請求項17】
ディスプレイを有する電子装置における記号入力のための方法であって、
細長い接触感知式センサ領域を有し、かつ前記細長い接触感知式センサ領域の主軸に沿った複数のセンサ位置のユーザ操作を検出可能である入力装置を提供することと、
前記複数のセンサ位置の中の現センサ位置のユーザ操作を検出することと、
前記現センサ位置から、記号列における現在の記号位置を決定することと、
前記記号列における前記現在の記号位置によって保持される現在の記号を、前記ディスプレイ上に示すことと、
を含む、方法。
【請求項18】
記号入力のための電子装置であって、
細長い接触感知式センサ領域の主軸に沿った複数のセンサ位置のユーザ操作を検出するための手段と、
前記複数のセンサ位置の中の現センサ位置のユーザ操作を検出するための手段と、
前記現センサ位置から、記号列における現在の記号位置を検出するための手段と、
前記記号列における前記現在の記号位置によって保持される現在の記号を示すための手段と、
を備える、装置。
【請求項19】
プロセッサによる実行時に、
細長い接触感知式センサ領域の主軸に沿った複数のセンサ位置の中の現センサ位置のユーザ操作を検出することと、
前記現センサ位置から、記号列における現在の記号位置を決定することと、
前記記号列における前記現在の記号位置によって保持される現在の記号を示すことと、
を実行する機械可読命令を含む、コンピュータプログラム。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c−e】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5a−5d】
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【図5e−h】
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【図5i−j】
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【公表番号】特表2009−534731(P2009−534731A)
【公表日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−505980(P2009−505980)
【出願日】平成19年3月26日(2007.3.26)
【国際出願番号】PCT/IB2007/000823
【国際公開番号】WO2007/119136
【国際公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
2.EEPROM
【出願人】(398012616)ノキア コーポレイション (1,359)
【Fターム(参考)】