説明

電子装置および電子装置の取付構造

【課題】基板の一面上に電子部品を搭載してなる電子装置において、基板に対して穴あけ加工や電子部品搭載後の追加工を行うことなく、電子部品が基板電極よりも突出しない構成を実現する。
【解決手段】基板10と、基板10の一面11上に設けられパターニングされた基板電極20と、基板10の一面11上に搭載された電子部品30とを備え、電子部品30は、基板10の一面11のうち基板電極20の間に配置されるとともに、基板10の一面11上にて電子部品30における基板10とは反対側の面34は、基板電極20とは重ならない配置関係にあり、基板10の一面11上にて電子部品30における基板10とは反対側の面34は、基板電極20と同等の高さか、基板電極20よりも基板10側に引っ込んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の一面上に電子部品を搭載してなる電子装置、および、その電子装置における当該基板の一面側に相手部材の平坦面を接続してなる電子装置の相手部材への取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、この種の電子装置は、プリント基板やセラミック基板などの一面にパターニングされた基板電極を有する基板と、その基板の一面上において基板電極の間に配置され搭載された半導体チップやチップ抵抗、チップコンデンサなどの電子部品とを備えて構成されている。
【0003】
ここで、従来では、このような電子装置を、その基板の一面側にて、筐体やヒートシンクなどの相手部材の平坦面に接続することで、電子装置の相手部材への取付を行い、相手部材への放熱などを行うようにしている。
【0004】
しかし、一般には、基板の一面上の高さについて、電子部品が基板電極よりも高く突出するために、電子装置の基板の一面側を相手部材の平坦面に接続することができない。そこで、従来では、特許文献1に記載のように、基板の製造時に部品が搭載される部位に穴あけ加工を行い、電子部品の突出を防止する構成が提案されている。
【0005】
また、特許文献2には、基板電極が部品よりも厚いものとして、基板上に導電性樹脂を多層重ねてなる基板電極を形成するとともに、基板電極の上層部分を電子部品としての半導体チップの上面まで延長したものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−226804号公報
【特許文献2】国際公開第2008/126447号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1のものでは、基板に対して穴あけの追加工が必要であることや、穴あけによって電子部品と基板の内層配線との距離が短くなるため、絶縁抵抗の劣化などが懸念される。
【0008】
また、上記特許文献2のものでは、基板電極から電子部品が突出しないけれども、電子部品の上面で基板電極の上層が重なるため、電子部品実装後に基板電極を形成する追加工の必要が出てきてしまう。
【0009】
つまり、このものでは、完成した基板に対して電子部品を搭載すれば済むというものではなく、電子部品搭載後に基板に追加工が必要となる。基本的には、基板の完成品に対して電子部品を搭載する方が、コストや手間の点で有利であり、このものは、その点、好ましくない。
【0010】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、基板に対して、穴あけ加工や電子部品搭載後の追加工を行うことなく、電子部品が基板電極よりも突出しない構成を実現するのに適した電子装置、および、そのような電子装置の取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、基板(10)と、基板(10)の一面(11)上に設けられパターニングされた基板電極(20)と、基板(10)の一面(11)上に搭載された電子部品(30)とを備え、電子部品(30)は、基板(10)の一面(11)のうち基板電極(20)の間に配置されるとともに、基板(10)の一面(11)上にて電子部品(30)における基板(10)とは反対側の面(34)は、基板電極(20)とは重ならない配置関係にあり、基板(10)の一面(11)上にて電子部品(30)における基板(10)とは反対側の面(34)は、基板電極(20)と同等の高さか、基板電極(20)よりも基板(10)側に引っ込んでいることを特徴としている。
【0012】
それによれば、基板(10)の一面(11)上にて電子部品(30)における基板(10)とは反対側の面(34)は、基板電極(20)と同等の高さか、それよりも基板(10)側に引っ込んでおり、また、基板電極(20)とは重ならない配置関係にあるから、基板電極(20)の間に電子部品(30)を配置するときに、そのまま基板(10)の一面(11)の上方から電子部品(30)を置くことができる。つまり、完成品としての基板(10)に対して電子部品(30)を実装できる。
【0013】
よって、本発明によれば、基板(10)に対して、穴あけ加工や電子部品(30)搭載後の追加工を行うことなく、電子部品(30)が基板電極(20)よりも突出しない構成を実現するのに適した電子装置を提供することができる。
【0014】
また、請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の電子装置において、電子部品(30)を挟んで隣り合う基板電極(20)における互いに対向する側壁面(21)に対して、電子部品(30)の各端面(31)が対向し、当該各端面(31)に電子部品(30)の部品電極(33)が設けられており、互いに対向する電子部品(30)の部品電極(33)と基板電極(20)の側壁面(21)とは、電子部品(30)および基板(10)とは別体の導電性接合部材(40)を介して、電気的に接続されていることを特徴としている。
【0015】
それによれば、基板(10)の完成後に電子部品(30)を搭載するにあたって、導電性接合部材(40)を基板電極(20)間に配置しつつ、基板電極(20)間に電子部品(30)を搭載すればよいのであるから、基板電極(20)と部品電極(33)との接続を適切に行える。
【0016】
この場合、さらに、請求項3に記載の発明のように、電子部品(30)の部品電極(33)は、電子部品(30)のうち基板電極(20)の側壁面(21)に対向する端面(31)に設けられるとともに、当該端面(31)から当該端面(31)に隣り合う電子部品(30)の側面(32)まで回り込むように設けられており、基板電極(20)の側壁面(21)は、基板(10)の一面(11)上から見たときの形状が電子部品(30)の端面(31)から側面(32)にも対向するように回り込んで曲がった形状とされており、基板電極(20)の側壁面(21)とこれに対向する電子部品(30)の端面(31)に位置する部品電極(33)との間だけでなく、基板電極(20)の側壁面(21)とこれに対向する電子部品(30)の側面(32)に位置する部品電極(33)との間も、導電性接合部材(40)を介して電気的に接続されていることが好ましい。
【0017】
それによれば、基板電極(20)の側壁面(21)と電子部品(30)の部品電極(33)とは、電子部品(30)の端面(31)だけでなく、電子部品(30)の側面(32)においても電気的に接続されるから、接続面積の増加が図れ、また、基板電極(20)間における電子部品(30)の位置ずれが抑制される。
【0018】
また、請求項4に記載の発明では、請求項2または3に記載の電子装置において、電子部品(30)を挟んで隣り合う基板電極(20)における互いに対向する側壁面(21)同士の間隔は、基板(10)の一面(11)側から当該一面上に向かって広くなっていることを特徴としている。
【0019】
それによれば、対向する基板電極(20)の間隔が、基板(10)の一面(11)上に向かって拡がるから、当該基板電極(20)間に電子部品(30)や導電性接合部材(40)を投入しやすい。
【0020】
請求項5に記載の発明は、基板(10)の一面(11)上に電子部品(30)を搭載してなる電子装置(S1)を、基板(10)の一面(11)側にて相手部材(100)の平坦面(101)に接続してなる電子装置の取付構造において、次のような点を有することを特徴としている。
【0021】
すなわち、請求項5の取付構造においては、電子装置(S1)における基板(10)の一面(11)上には、パターニングされた基板電極(20)が設けられ、電子部品(30)は、基板(10)の一面(11)のうち基板電極(20)の間に配置されるとともに、基板(10)の一面(11)上にて電子部品(30)における基板(10)とは反対側の面(34)は、基板電極(20)とは重ならない配置関係にあり、基板(10)の一面(11)上にて電子部品(30)における基板(10)とは反対側の面(34)は、基板電極(20)と同等の高さか、基板電極(20)よりも基板(10)側に引っ込んでいるものであり、基板(10)の一面(11)側と相手部材(100)の平坦面(101)とが対抗して接続されていることを特徴としている。
【0022】
それによれば、請求項1と同様、基板(10)に対して、穴あけ加工や電子部品(30)搭載後の追加工を行うことなく、電子部品(30)が基板電極(20)よりも突出しない構成を実現するのに適した電子装置の取付構造が提供される。
【0023】
なお、特許請求の範囲およびこの欄で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電子装置の概略構成を示す図であり、(a)は断面図、(b)は平面図である。
【図2】図1に示される電子装置の相手部材への取付構造を示す概略断面図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係る電子装置の概略平面図である。
【図4】第2実施形態のもう一つの例としての電子装置を示す概略平面図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係る電子装置の概略断面図である。
【図6】第3実施形態のもう一つの例としての電子装置を示す概略断面図である。
【図7】本発明の第4実施形態に係る電子装置の概略平面図であり、(a)は第1の例、(b)は第2の例を示す
【図8】本発明の第5実施形態に係る電子装置の概略断面図である。
【図9】本発明の第6実施形態に係る電子装置の概略断面図である。
【図10】本発明の第7実施形態に係る電子装置の製造方法を示す工程図である。
【図11】本発明の第8実施形態に係る電子装置の概略断面図である。
【図12】本発明の第9実施形態に係る電子装置の概略断面図である。
【図13】第9実施形態のもう一つの例としての電子装置を示す概略断面図である。
【図14】本発明の第10実施形態に係る電子装置の製造方法を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、説明の簡略化を図るべく、図中、同一符号を付してある。
【0026】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る電子装置S1の概略構成を示す図であり、(a)は断面図、(b)は平面図である。図1において(b)は(a)中の矢印A方向からみた平面図である。
【0027】
本実施形態の電子装置S1は、大きくは、基板電極20を有する基板10と、その基板10の一面11上において基板電極20の間に配置され搭載された電子部品30とを備えて構成されている。
【0028】
基板10は、板状のものであり、電子部品30を搭載できるものであれば、特に限定するものではないが、具体的には、プリント基板やセラミック基板などの配線基板であり、多層基板、単層基板を問わない。
【0029】
基板電極20は、基板10の一方の板面である一面11上に設けられ、所定形状にパターニングされたものである。この基板電極20は導電性材料よりなり、たとえばAlやCuなどのメッキやCu、W、Moなどの導電性ペーストよりなる。
【0030】
ここで、基板電極20は、基板10の一面11上に突出し、その突出高さは、基板電極20の厚さに相当する。そして、この厚さ方向に延びる面21が基板電極20の側壁面21であり、基板電極20の突出先端面22が上面22である。
【0031】
電子部品30は、基板10の一面11上に搭載され電気的に接続されるものであればよく、スルーホール実装部品などでもよいが、典型的には表面実装部品である。ここでは、電子部品30は、セラミックをベースとする一般的なチップコンデンサやチップ抵抗よりなる。
【0032】
この電子部品30は、電子部品30を挟んで隣り合う基板電極20における互いに対向する基板電極20の側壁面21の間に介在する。そして、電子部品30のうち、両基板電極20が隔てられる方向の一端側の端面31と他端側の端面31が、それぞれ、基板電極20の側壁面21に対向している。
【0033】
そして、電子部品30の各端面31に、電子部品30の部品電極33が設けられている。また、ここでは、図1に示されるように、この部品電極33は、当該端面31に設けられるとともに、当該端面31から端面31に隣り合う電子部品30の側面32まで回り込むように設けられている。
【0034】
そして、互いに対向する電子部品30の部品電極33と基板電極20の側壁面21との間には、電子部品30および基板10とは別体の導電性接合部材40が介在しており、これら両電極20、33はこの導電性接合部材40を介して電気的に接続されている。この導電性接合部材40は、はんだや導電性接着剤などの典型的なものである。
【0035】
このように、電子部品30は、基板20の一面21のうち隣り合う基板電極20の間に配置されているが、本実施形態では、図1に示されるように、基板10の一面21上にて電子部品30における基板10とは反対側の面34は、基板電極20とは重ならない配置関係にある。
【0036】
つまり、基板10の一面21と直交する方向からみて、基板電極20は、電子部品30における基板10とは反対側の面34の外郭の外側に位置しており、当該面34と基板電極20とは重ならずに外れた位置にある。
【0037】
さらに、基板10の一面11上にて電子部品30における基板10とは反対側の面34は、基板電極20と同等の高さか、基板電極20よりも基板10側に引っ込んでいる。つまり、図1(a)における電子部品30における基板10とは反対側の面34と基板電極20の上面22との高さの差hが0以上とされている。
【0038】
さらに言えば、基板10の一面11のうち隣り合う基板電極20の間に電子部品30が配置されており、この隣り合う基板電極20における上面22同士の間隔は、電子部品30の最大寸法幅よりも大きくすることで、電子部品30が基板電極20の間に対して基板10の一面11の上方から基板電極20に干渉することなく入り込むことのできる間隔とされている。
【0039】
つまり、本実施形態では、上記特許文献2のように、電子部品30の上面34(基板10とは反対側の面34に基板電極がせり出している構成ではない。そして、本実施形態では、この隣り合う基板電極20の対向する側壁面21に対して電子部品30の部品電極33が、導電性接合部材40を介して電気的に接続されている。
【0040】
ここで、本実施形態の構成は、電子部品30を薄く形成し、基板電極20を厚く形成することにより実現される。具体的には、電子部品30が半導体チップの場合には、研磨などにより半導体チップを薄くし、また、チップ抵抗やチップコンデンサの場合には、ベースとなるセラミック基板を薄くすればよい。また、基板電極20については、メッキ厚を大きくしたり、導電ペーストを多層印刷したりすればよい。
【0041】
かかる電子装置S1は、基板電極20が形成された基板10の一面11上にて、基板電極20間に電子部品30を配置するとともに、電子部品30と基板電極20との間に導電性接合部材40を配置し、その後、はんだリフローや導電性接着剤の硬化などにより導電性接合部材40による接合を完了させれば、導電性接合部材40により基板10と電子部品30とが機械的・電気的に接続され、完成する。
【0042】
ところで、本実施形態によれば、基板10の一面11上にて電子部品30における基板10とは反対側の面34は、基板電極20と同等の高さか、それよりも基板10側に引っ込んでおり、また、基板電極20とは重ならない配置関係にあるから、基板電極20の間に電子部品30を配置するときに、そのまま基板10の一面11の上方から電子部品30を置くことができる。つまり、完成品としての基板10に対して電子部品30を実装できる。
【0043】
よって、本実施形態によれば、基板10に対して、穴あけ加工や電子部品30搭載後の追加工を行うことなく、電子部品30が基板電極20よりも突出しない構成を実現するのに適した電子装置を提供することができる。
【0044】
また、上述したが、本実施形態では、互いに対向する電子部品30の部品電極33と基板電極20の側壁面21とは、電子部品30および基板10とは別体の導電性接合部材40を介して電気的に接続されている。
【0045】
それによれば、基板10の完成後に電子部品30を搭載するにあたって、導電性接合部材40を基板電極20間に配置しつつ、基板電極20間に電子部品30を搭載すればよいのであるから、基板電極20と部品電極33との接続を適切に行える。また、このような効果は、基板10の一面11に搭載される電子部品30が複数でも単数でも変わりなく発揮されることは、明らかである。
【0046】
また、図2は、図1に示される電子装置S1を、基板10の一面11側にて相手部材100の平坦面101を接続してなる電子装置S1の相手部材100への取付構造を示す概略断面図である。なお、ここでは、電子装置S1は、基板10の一面11に複数個の電子部品30を搭載するものであるが、個々の電子部品30については、上記図1の構成と同様である。
【0047】
この相手部材100は、Al、Cu、ステンレスなどよりなり電子装置S1を収納する筺体や、電子装置S1の放熱を行うヒートシンクなどである。そして、電子装置S1は、その基板10の一面11側にて、相手部材100の平坦面101に接続されている。ここでは、基板10の一面11側と相手部材100の平坦面101とは、対抗して接続されている。
【0048】
ここでは、一般のものと同様、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂などよりなる一般的な樹脂よりなる接着剤200を介して、接続されている。なお、この接着剤200を、導電フィラーなどが含まれた導電性接着剤とし、基板電極20と相手部材100とを機械的接続だけでなく、電気的に接続するようにしてもよい。
【0049】
そして、この図2に示されるものによれば、基板10に対して、穴あけ加工や電子部品30搭載後の追加工を行うことなく、電子部品30が基板電極20よりも突出しない構成を実現するのに適した電子装置の取付構造が提供される。
【0050】
そして、電子部品30が基板電極20の高さ以下であるから、相手部材100の平坦面101に適切に接続することができる。つまり、この図2では、電子装置S1と相手部材200の平坦面101との最近接距離は、電子装置S1の基板電極20と当該平坦面101との距離となっている。
【0051】
(第2実施形態)
図3は、本発明の第2実施形態に係る電子装置の概略平面構成を示す図である。本実施形態は、上記第1実施形態に比べて、電子装置における基板電極20の形状が相違するものであり、ここでは、その相違点を中心に述べることとする。
【0052】
図3に示されるように、本実施形態においても、電子部品30の部品電極33は、電子部品30のうち基板電極20の側壁面21に対向する端面31に設けられるとともに、当該端面31から当該端面31に隣り合う電子部品30の側面32まで回り込むように設けられている。
【0053】
ここで、上記第1実施形態では、基板電極20の側壁面21は、電子部品30の端面31に位置する部品電極33にのみ対向していた。それに対して、本実施形態では、図3に示されるように、基板電極20の側壁面21は、基板10の一面11上から見たときの形状が電子部品30の端面31から側面32にも対向するように回り込んで曲がった形状とされている。
【0054】
つまり、本実施形態の基板電極20は、上記第1実施形態のものに対して、さらに、電子部品30の側面32に位置する部品電極33に対向する回り込み部20aを設けたものであり、それにより、基板10の一面11と直交方向からみたときの平面形状がコの字形状とされている。
【0055】
それによれば、基板電極20の側壁面21と電子部品30の部品電極33とは、電子部品30の端面31だけでなく、電子部品30の側面32とも電気的に接続されるから、接続面積の増加が図れる。
【0056】
また、基板電極20間における電子部品30の位置ずれが抑制される。具体的には、たとえば電子部品30の基板10の一面11と水平方向における回転が、基板電極20の側壁面21、特に回り込み部20aをストッパとして抑制される。
【0057】
また、図4は、本実施形態のもう一つの例としての電子装置を示す概略平面図である。図4に示されるように、基板電極20の側壁面21のうち、電子部品30の各端面31に対向する部位のみ、基板電極20として、電子部品30の側面32と対向する部位である回り込み部を、基板電極20とは別体のソルダーレジスト20bにより形成し、これを上記回り込み部の代用としてもよい。
【0058】
この場合も、上記同様、ソルダーレジスト20bによって、上記位置ずれ抑制の効果を奏する。また、上記図3の場合に比べて、基板電極20のサイズを小さくできるから、たとえば基板電極20に施すAuメッキの低減を図れるという利点もある。
【0059】
なお、上記図3の例では、基板10の一面11上から見たときの、互いに対向する基板電極20の側壁面21の形状は、コの字型の括弧形状すなわち[]の形状とされていたが、カギ括弧形状すなわち「」の形状であってもよい。
【0060】
(第3実施形態)
図5は、本発明の第3実施形態に係る電子装置の概略断面構成を示す図である。本実施形態は、上記第1実施形態に比べて、電子装置における基板電極20の形状が相違するものであり、ここでは、その相違点を中心に述べることとする。
【0061】
図5に示されるように、本実施形態では、電子部品30を挟んで隣り合う基板電極20における互いに対向する側壁面21同士の間隔を、基板10の一面11側から当該一面11上(つまり一面11とは反対側)に向かって広くなっているものとしている。ここでは、連続的に広くなっている。
【0062】
それによれば、対向する基板電極20の間隔が、基板10の一面11上に向かって拡がるから、当該基板電極20間に電子部品30や導電性接合部材40を投入しやすい。特に、当該基板電極20間に先に電子部品30を投入してから、電子部品30と基板電極20の側壁面21との隙間に導電性接合部材40を投入しやすくなる。
【0063】
また、図6は、本実施形態のもう一つの例としての電子装置を示す概略断面図である。図6に示されるように、基板電極20における互いに対向する側壁面21同士の間隔を、基板10の一面11側から当該一面11上に向かって広くする場合、段階的に広くするようにしてもよい。これら、図5、図6に示される構成は、エッチングなどにより容易に形成される。
【0064】
また、本第3実施形態は、上述のように、基板電極20の断面形状を変更するのみであるから、上記第1実施形態以外にも、上記第2実施形態とも適宜組み合わせることが可能である。
【0065】
(第4実施形態)
図7は、本発明の第4実施形態に係る電子装置の概略平面構成を示す図であり、(a)は第1の例、(b)は第2の例を示す。本実施形態は、上記第1実施形態に比べて、電子装置における基板電極20の平面形状が相違するものであり、ここでは、その相違点を中心に述べることとする。
【0066】
図7に示されるように、本実施形態では、電子部品30を挟んで隣り合う基板電極20における互いに対向する側壁面21に、電子部品30の端面31から引っこむように凹んだ凹み21aを設けている。この凹み21aはエッチング等により容易に形成することができる。
【0067】
この凹み21aは、当該側壁面21を基板10の一面11側からこれとは反対側まで貫通する溝として構成されている。図7(a)の例では、断面矩形の溝として矩形の凹み21aを形成し、図7(b)の例では、断面半円形の溝として半円形の凹み21aを形成している。
【0068】
これにより、当該凹み21aの部分にて、互いに対向する電子部品30の端面31と基板電極20の側壁面21との間隔が大きくなり、そこへ導電性接合部材40を投入しやすくなる。つまり、本実施形態によれば、導電性接合部材40の供給を安定して行うことができる。
【0069】
また、本第4実施形態は、上述のように、基板電極20の平面形状を変更するのみであるから、上記第1実施形態以外にも、上記第3実施形態とも適宜組み合わせることが可能である。
【0070】
(第5実施形態)
図8は、本発明の第5実施形態に係る電子装置の概略断面構成を示す図である。ここでは、上記第1実施形態との相違点を中心に述べることとする。
【0071】
図8に示されるように、本実施形態では、部品電極31と基板電極20とを電気的に接続する導電性接合部材40とは別に、伝導性のない電気絶縁性の接着剤である固定用接着剤50によって電子部品30と基板10とを接続する。この固定用接着剤50は、たとえば塗布・硬化により形成されるエポキシ樹脂などよりなる。
【0072】
上記第1実施形態では、導電性接合部材40のみで電子部品30と基板10との機械的な接続も行っていたが、本実施形態によれば、この固定用接着剤50が機械的接着の用をなす。
【0073】
そのため、電子部品30と基板20との接着力が向上し、部品脱落の懸念を低下することができる他、電子部品30の搭載時に電子部品30に発生する衝撃を緩和する効果も期待される。
【0074】
また、本第5実施形態は、上述のように、電子部品30と基板10の一面11との間に、固定用接着剤50を介在させるのみであるから、上記第1実施形態だけでなく、それ以外の上記各実施形態とも適宜組み合わせることが可能である。
【0075】
(第6実施形態)
図9は、本発明の第6実施形態に係る電子装置の概略断面構成を示す図である。本実施形態では、上記第5実施形態のものに対して、さらに、基板10の内部に電子部品30の放熱構成を付加したところが相違するものであり、ここでは、その相違点を中心に述べることとする。
【0076】
図9に示されるように、本実施形態では、電子部品30の直下の基板10の内部に、電子部品30の熱を逃がすビア12および内層配線13を設けている。このビア12や内層配線13は、一般的なレーザビア(LVH)や層間配線としてCuなどよりなるものであり、電子部品30で発生した熱が伝えられるようになっている。
【0077】
また、本第6実施形態は、上述したように、電子部品30の直下の基板10の内部に、電子部品30の熱を逃がすビア12および内層配線13を設ける構成であるから、上記第5実施形態だけでなく、それ以外の上記各実施形態とも適宜組み合わせることが可能である。
【0078】
(第7実施形態)
図10は、本発明の第7実施形態に係る電子装置の製造方法を断面的に示す工程図である。本実施形態では、上記第5実施形態に対して、電子部品30と基板10の一面11との間に介在する固定用接着剤50をDAF(ダイアタッチフィルムの略称)テープ51に代えて、同様の機械的接合の機能を発揮させたものである。
【0079】
この場合、予め、電子部品30の接合面にテープ51を貼り付けておき、そのまま、電子部品30の搭載を行えばよい。塗布・硬化により形成される上記固定用接着剤50では、膜厚の安定が困難であるが、本実施形態のDAFテープ51ならば、所望の厚みの接着層を得ることができる。また、DAFテープ51が電子部品30に貼り付いていることによる電子部品30の補強が同時に行われる。
【0080】
(第8実施形態)
図11は、本発明の第8実施形態に係る電子装置の概略断面構成を示す図である。上記各実施形態では、電子部品30の部品電極33と基板電極20の側壁面21とを導電性接合部材40により、電気的に接続していた。つまり、上記した各実施形態では、基板電極20と部品電極33との接続により、基板10と電子部品30とを電気的に接続するようにしていた。
【0081】
それに対して、本実施形態では、基板10の一面11上にて電子部品30における基板10とは反対側の面34を、基板電極20とは重ならない配置関係とし、電子部品30における基板10とは反対側の面34を、基板電極20と同等以下の高さとしたことは、上記各実施形態と同様であるが、部品電極33と基板10との電気的接続を基板10内部のビア14および内層配線15により行っているところが相違する。
【0082】
このビア14や内層配線15は、一般的なレーザビア(LVH)や層間配線としてCuなどよりなるものであり、部品電極33とビア14とが導電性接合部材40により電気的に接続されている。
【0083】
(第9実施形態)
図12は、本発明の第9実施形態に係る電子装置の概略断面構成を示す図である。本実施形態は、電子部品30における基板10側の面、すなわち電子部品30における基板10の一面と対向する面を特定の面とするものであり、上記各実施形態と組み合わせて適用が可能なものである。
【0084】
図12は、電子部品30がチップ抵抗の場合であり、この場合、当該チップ抵抗における抵抗体30aの形成面を、電子部品30における基板10の一面と対向する面とすることが好ましい。それによれば、外部からの異物が当該抵抗体30aに当たることによるキズの発生を防止することができる。
【0085】
図13は、本第9実施形態のもう一つの例としての電子装置の概略断面構成を示す図である。この場合、電子部品30における部品電極33が、電子部品30の一方の主面にのみ設けられているが、その部品電極33の形成面を、電子部品30における基板10の一面と対向する面としている。それによれば、外部からの異物が当該部品電極33に当たることによるキズの発生を防止することができ、好ましい。
【0086】
(第10実施形態)
図14は、本発明の第10実施形態に係る電子装置の製造方法を断面的に示す工程図である。
【0087】
図14に示されるように、電子部品30を基板10の一面11のうち基板電極20間に搭載する際に、平坦面を有する治具K1を用い、この治具K1の平坦面を基板電極20の上面22に接触させるようにして、電子部品30を治具K1で加圧し、固定する。
【0088】
これにより、電子部品30が基板電極20の上面22よりも飛び出すことを防止することができる。また、複数の電子部品30を一括して治具K1で加圧することで、部品搭載が効率的に行える。
【0089】
(他の実施形態)
なお、上記図2においては、相手部材100とは反対側の基板10の他面には電子部品が搭載されていないが、この基板10の他面にも、基板10の一面と同様に、電子部品が搭載されていてもよい。これにより基板両面実装タイプの電子装置が構成される。なお、基板10の他面における電子部品の搭載については、当該他面に相手部材を取り付けるものでなければ、一般的な搭載方法でもよい。
【0090】
また、上記第2実施形態以降の各電子装置についても、上記第1実施形態における取付構造と同様に、相手部材100の平坦面101へ取り付けることができることは、もちろんである。
【符号の説明】
【0091】
10 基板
11 基板の一面
20 基板電極
21 基板電極の側壁面
30 電子部品
31 基板電極の側壁面と対向する電子部品の端面
32 電子部品の側面
33 部品電極
34 電子部品における基板とは反対側の面
40 導電性接合部材
100 相手部材
101 相手部材の平坦面
S1 電子装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板(10)と、
前記基板(10)の一面(11)上に設けられパターニングされた基板電極(20)と、
前記基板(10)の一面(11)上に搭載された電子部品(30)とを備え、
前記電子部品(30)は、前記基板(10)の一面(11)のうち前記基板電極(20)の間に配置されるとともに、前記基板(10)の一面(11)上にて前記電子部品(30)における前記基板(10)とは反対側の面(34)は、前記基板電極(20)とは重ならない配置関係にあり、
前記基板(10)の一面(11)上にて前記電子部品(30)における前記基板(10)とは反対側の面(34)は、前記基板電極(20)と同等の高さか、前記基板電極(20)よりも前記基板(10)側に引っ込んでいることを特徴とする電子装置。
【請求項2】
前記電子部品(30)を挟んで隣り合う前記基板電極(20)における互いに対向する側壁面(21)に対して、前記電子部品(30)の各端面(31)が対向し、当該各端面(31)に前記電子部品(30)の部品電極(33)が設けられており、
互いに対向する前記電子部品(30)の部品電極(33)と前記基板電極(20)の前記側壁面(21)とは、前記電子部品(30)および前記基板(10)とは別体の導電性接合部材(40)を介して電気的に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記電子部品(30)の部品電極(33)は、前記電子部品(30)のうち前記基板電極(20)の前記側壁面(21)に対向する前記端面(31)に設けられるとともに、当該端面(31)から当該端面(31)に隣り合う前記電子部品(30)の側面(32)まで回り込むように設けられており、
前記基板電極(20)の前記側壁面(21)は、前記基板(10)の一面(11)上から見たときの形状が前記電子部品(30)の前記端面(31)から前記側面(32)にも対向するように回り込んで曲がった形状とされており、
前記基板電極(20)の前記側壁面(21)とこれに対向する前記電子部品(30)の前記端面(31)に位置する前記部品電極(33)との間だけでなく、前記基板電極(20)の前記側壁面(21)とこれに対向する前記電子部品(30)の前記側面(32)に位置する前記部品電極(33)との間も、前記導電性接合部材(40)を介して電気的に接続されていることを特徴とする請求項2に記載の電子装置。
【請求項4】
前記電子部品(30)を挟んで隣り合う前記基板電極(20)における互いに対向する側壁面(21)同士の間隔は、前記基板(10)の一面(11)側から当該一面上に向かって広くなっていることを特徴とする請求項2または3に記載の電子装置。
【請求項5】
基板(10)の一面(11)上に電子部品(30)を搭載してなる電子装置(S1)を、前記基板(10)の一面(11)側にて相手部材(100)の平坦面(101)に接続してなる電子装置の取付構造において、
前記電子装置(S1)における前記基板(10)の一面(11)上には、パターニングされた基板電極(20)が設けられ、
前記電子部品(30)は、前記基板(10)の一面(11)のうち前記基板電極(20)の間に配置されるとともに、前記基板(10)の一面(11)上にて前記電子部品(30)における前記基板(10)とは反対側の面(34)は、前記基板電極(20)とは重ならない配置関係にあり、
前記基板(10)の一面(11)上にて前記電子部品(30)における前記基板(10)とは反対側の面(34)は、前記基板電極(20)と同等の高さか、前記基板電極(20)よりも前記基板(10)側に引っ込んでいるものであり、
前記基板(10)の一面(11)側と前記相手部材(100)の平坦面(101)とが対抗して接続されていることを特徴とする電子装置の取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−243796(P2011−243796A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−115464(P2010−115464)
【出願日】平成22年5月19日(2010.5.19)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】