説明

電子装置用放熱構造

【課題】 温度変化が生じても電子部品と熱拡散板との接合状態を維持して電子部品からの放熱特性を良好なものにすることのできる放熱構造を提供する。
【解決手段】 電子部品10で生じた熱を熱拡散板12に伝達することにより電子部品を冷却する電子装置用放熱構造であって、前記電子部品と熱拡散板との間に、電子部品側の部分における熱膨張率が電子部品の熱膨張率と同一もしくは近似し、かつ熱拡散板側の部分における熱膨張率が熱拡散板の熱膨張率と同一もしくは近似するように熱膨張率が変化しているグレーディング層14が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、MPUなどの演算処理装置あるいは画像処理装置などの電子装置から放熱させて、電子装置を冷却するための放熱構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】演算処理装置や画像情報処理装置などの電子装置の集積度がますます高度になり、また動作周波数も高くなってきている。それに伴い、この種の電子装置の発熱量が増大している。
【0003】発熱により電子装置の温度が高くなると、誤動作し、さらには破損することがあるので、電子装置からの熱放散を積極的におこなう必要がある。従来、電子装置の冷却のための手段として、例えば、ヒートシンクが使用されている。
【0004】ヒートシンクを介して熱を放散する場合、電子装置からヒートシンクへ熱伝達させる必要があるから、最も効率よく熱伝達するためには、両者を直接密着されればよい。しかしながら、MPUなどの電子装置は、シリコン製のダイに回路を形成したものであり、電気的な特性を重視した構成であるから、これに放熱ためのヒートシンクを直接密着させることは、困難である。
【0005】そこで従来、電子装置の表面に熱拡散板(heat spreader )を密着して配置し、その熱拡散板にヒートシンクを密着させるように構成した放熱構造が開発されている。その一例を図7に模式的に示してある。ここに示す熱拡散板1は、一例として、陽極酸化処理したアルミニウムや銅等の金属によって形成され、電子装置に密着させられる平板部分2から突出した突起部3を備え、その突起部3をリードフレームあるいは基板などの台座部分4に嵌め込むことにより、固定されるようになっている。
【0006】上記の熱拡散板1は、集積回路を含むダイ5と共に台座部分4に固定され、かつダイ5の表面に熱伝導性の高いグリース(もしくはジェリー)6を介して接触させられる。しかも熱拡散板1は、銅などの熱伝導率の良好な素材によって形成されるから、ダイ5やその回路に損傷を与えずにダイ5の実質的な熱伝達面積を増大させることができる。
【0007】したがってこの熱拡散板1にヒートシンク7を密着させて固定することにより、電子装置の放熱特性を向上させることができる。
【0008】上記の熱拡散板1を使用して放熱特性を向上させるためには、ダイ5と熱拡散板1との間の熱抵抗を可及的に低下させることが好ましいから、従来、ダイ5と熱拡散板1との間に充填していた熱伝導性の高いグリース(もしくはジェリー)6に替えて、ダイ5と熱拡散板1とを直接、ハンダ付けなどの手段で接合することが好ましい。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ダイ5などの電子部品は電気的特性を重視した素材(例えばシリコン)によって構成され、これに対して熱拡散板1は、熱的特性を重視した素材(例えば銅)によって構成されているので、両者の熱膨張率(線膨張係数)の差が大きい。
【0010】そのため、電子装置が動作して熱を発し、それに伴って温度が上昇した場合に、ダイ5などの電子部品と熱拡散板1との間に熱応力が生じ、これが原因で破損する可能性がある。また、熱応力によって両者の接着が剥がれてしまい、その結果、ダイ5と熱拡散板1との間の熱抵抗が大きくなってダイ5などの電子部品を充分に冷却できなくなる可能性が多分にあった。
【0011】この発明は、上記の技術的課題に着目してなされたものであり、温度変化が生じても電子部品と熱拡散板との接合状態を維持して電子部品からの放熱特性を良好なものにすることのできる放熱構造を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段およびその作用】上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、電子部品で生じた熱を熱拡散板に伝達することにより電子部品を冷却する電子装置用放熱構造において、前記電子部品と熱拡散板との間に、電子部品側の部分における熱膨張率が電子部品の熱膨張率と同一もしくは近似し、かつ熱拡散板側の部分における熱膨張率が熱拡散板の熱膨張率と同一もしくは近似するように熱膨張率が変化しているグレーディング層が設けられていることを特徴とする放熱構造である。
【0013】したがって請求項1の発明では、電子部品と熱拡散板との間に、熱膨張率が電子部品側と熱拡散板側とで異なっているグレーディング層が設けられているため、電子部品とグレーティング層との接触部分での熱膨張率の差、および熱拡散板とグレーティング層との接触部分での熱膨張率の差が共に小さくなる。その結果、温度が高くなっても熱応力が大きくならず、電子部品とグレーティング層との接合が外れたり、熱拡散板とグレーティング層との接合が外れたりすることが回避される。言い換えれば、電子部品と熱拡散板との間の熱抵抗が増大することがなく、電子部品からの放熱特性を良好な状態に維持できる。
【0014】また、請求項2の発明は、電子部品で生じた熱を熱拡散板に伝達することにより電子部品を冷却する電子装置用放熱構造において、前記電子部品に接合される熱拡散板が、電子部品の熱膨張率に近似した素材によって構成されていることを特徴とする放熱構造である。
【0015】その熱拡散板は、請求項3に記載されているように、シリコンを主体として電子部品に対して、ニッケル鋼と窒化アルミニウムとのいずれかによって構成することができる。そのニッケル鋼は、請求項4に記載されているように、インバーであってもよい。
【0016】さらに、請求項5に記載してあるように、前記電子部品と熱拡散板とを、グラファイトを介して一体化することができる。
【0017】したがって、電子部品と熱拡散板との熱膨張率の差が小さくなり、電子部品が動作してその温度が上昇しても、両者の間の熱応力が小さく抑制される。その結果、電子部品と熱拡散板との接合状態を良好に維持し、電子部品を良好に冷却することができる。
【0018】また一方、請求項6の発明は、電子部品で生じた熱を熱拡散板に伝達することにより電子部品を冷却する電子装置用放熱構造において、前記熱拡散板が、蒸発および凝縮を繰り返すことにより潜熱として熱を輸送する作動流体を封入した密閉構造のチャンバーを内部に備えていることを特徴とする放熱構造である。
【0019】したがって請求項6の発明では、熱拡散板の内部での熱の移動が、熱伝導だけでなく、作動流体により潜熱の形での熱輸送によっても生じるので、熱拡散板での熱抵抗が小さくなる。そのため、電子部品からの放熱を促進し、電子部品を効率よく冷却することができる。
【0020】さらに、請求項7の発明は、電子部品で生じた熱を熱拡散板に伝達することにより電子部品を冷却する電子装置用放熱構造において、前記熱拡散板がアルミニウムによって構成されるとともに、その熱拡散板の前記電子部品側の面が、潤滑性部材を埋設した構成とされていることを特徴とする放熱構造である。
【0021】この請求項7における前記面は、請求項8に記載されているように、陽極酸化処理されて該面に微細なクラックが形成され、そのクラックに前記潤滑性部材として硫化モリブンデンが充填されている構成とすることができる。
【0022】したがって、請求項7の発明あるいは請求項8の発明では、熱拡散板をアルミニウムによって形成し、電子部品に接触する面を、潤滑性の部材を埋設した構造とすることにより、熱拡散板を電子部品に直接接触させた構成とすることができる。このような構成であれば、電子部品と熱拡散板との間に介在物が存在しないので、両者の間の熱抵抗を小さくすることができる。また、電子部品に接する面の熱膨張率が小さくなるので、電子部品が動作してその温度が高くなっても熱応力を小さく抑制することができ、その結果、電子部品と熱拡散板との剥離が生じず、両者の間の熱抵抗の増大を防止できる。
【0023】
【発明の実施の形態】図1において、微細な回路を形成した電子部品であるダイ10が、基板やソケットなどの台座部分11に固定されている。このダイ10は、従来知られているものと同様の構造であって、シリコンチップ上に回路を形成した厚さが数mmの矩形状の部材である。
【0024】このダイ10を跨ぐように熱拡散板12が配置されている。この熱拡散板12は、ダイ10からヒートシンク13への熱の伝達を媒介するためのものであって、銅やアルミニウムなどの熱伝導率の高い素材によって形成されている。この熱拡散板12は、図1に示すように、ダイ10の図での上面に対向する矩形の平板部12aと、その左右両端部もしくは四つのコーナ部に形成された脚部12bとを備えており、その脚部12bによって前記台座部分11に固定されている。
【0025】その脚部12bの高さは、ダイ10の厚さとほぼ等しく、したがって平板部12aの下面(裏面)12cとダイ10とが接近して対向している。そして、これら平板部12aとダイ10との間に、グレーティング層14が設けられている。
【0026】このグレーティング層14は、上面側と下面側とで熱膨張率が異なるように構成された層であって、例えば図2に模式的に示すように、ダイ10に接触する下面側の第1層14aの熱膨張率が、ダイ10の熱膨張率に近似しており、中間の第2層14bの熱膨張率が、ダイ10の熱膨張率と熱拡散板12の熱膨張率との中間の熱膨張率であり、さらに上面側の第3層14cの熱膨張率が、熱拡散板12の熱膨張率に近似している。このような多層構造は、異なる素材の板片を積層して作ることができ、あるいは複数の材料からなる複合材の組成をその厚さ方向に変化させることによって作ることができる。
【0027】このグレーティング層14を介してダイ10に接合された熱拡散板12の図1での上面に、適宜の構造のヒートシンク13が密着して取り付けられる。そして、図1に示すように、ダイ10の正面の面積よりも熱拡散板12の平板部12aの面積が広く、その平板部12aの面積よりヒートシンク13のベース部13aの面積が広くなっている。なお、これらダイ10およびグレーティング層14ならびに熱拡散板12は、ハンダ付けやロー付けあるいは接着剤により互いに接合することができる。
【0028】上記の放熱構造において、ダイ10が動作して発熱すると、その熱がグレーティング層14を介して熱拡散板12に伝達される。その結果、熱拡散板12の温度が上昇するので、その熱が更にヒートシンク13に伝達され、そのヒートシンク13から周囲の大気に放散される。このようにダイ10の熱が大気に放散させられるので、ダイ10の温度上昇が抑制される。すなわちダイ10が冷却される。
【0029】その場合、ダイ10と共に熱拡散板12も温度が高くなり、その温度に応じて熱膨張し、ダイ10の熱膨張量が、熱拡散板12の熱膨張量より小さくなる。しかしながら、ダイ10が直接接触しているグレーティング層14の第1層14aは、ダイ10とほぼ等しい熱膨張率であるため、両者の間に大きい熱応力は生じない。また、熱膨張量が大きい熱拡散板12が直接接触しているグレーティング層14の第3層14cは、熱拡散板12とほぼ等しい熱膨張率であるため、両者の間に大きい熱応力は生じない。結局、互いに接触している二つの部材の間における熱応力が小さくなるので、それらの二つの部材の接合が外れて隙間が生じたり、それに起因して熱抵抗が大きくなったりすることがない。
【0030】このように図1に示す構成では、ダイ10から熱拡散板12に到る熱伝達経路に、熱の伝達を阻害する隙間あるいは空気層が生じることが防止されるので、ダイ10から熱拡散板12に到る熱伝達経路での熱抵抗を小さい熱抵抗に維持でき、その結果、ダイ10からの放熱特性の良好な放熱構造とすることができる。
【0031】つぎにこの発明の他の実施例を説明する。図3において、ダイ10を跨ぐように配置された熱拡散板12は、熱膨張率がダイ10を構成しているシリコンの熱膨張率に近い素材によって形成されている。具体的には、窒化アルミニウムによって熱拡散板12が形成されている。あるいはMn :0.4%、C:0.2%、Ni :36%、残部Fe からなるニッケル鋼(すなわちインバー)によって形成されている。
【0032】そして、この熱拡散板12とダイ10とが、両者の間に介在させたグラファイト15によって接合されている。例えばダイ10の上面と熱拡散板12の平板部12aの下面との間にグラファイト15を介在させ、その状態で加圧しつつ所定の熱を加えることにより、ダイ10と熱拡散板12とが接合されて一体化されている。
【0033】この図3に示す構成であっても、上記の実施例と同様に、ダイ10が動作することにより発生した熱は、熱拡散板12を介してヒートシンク13に伝達され、ここから大気に対して放散させられ、その結果、ダイ10が効率よく冷却される。特に、ダイ10と熱拡散板12とが接合されているので、両者の間の熱抵抗を小さくして放熱効率を良好にすることができる。
【0034】そして、ダイ10の発熱によって温度が上昇した場合、ダイ10と熱拡散板12との熱膨張率が近似しているので、それぞれの熱膨張量に大きな差が生じることがない。すなわちダイ10と熱拡散板12との間に特には熱応力が生じないので、両者の接合状態が良好に維持され、その結果、熱抵抗が小さく維持される。
【0035】図4に示す実施例は、熱拡散板12の熱伝導率を高くして、全体としての熱抵抗を更に低下させた例である。すなわち図4に示す熱拡散板12は、その平板部12aが中空構造になっている。その中空部12dは、凹部のある本体部分に蓋体を取り付けることにより構成することができる。そして、この中空部12dは、その内部から空気などの非凝縮性ガスを脱気した状態で、水などの凝縮性の流体が作動流体12eとして封入されている。すなわちヒートパイプ化され、ここにいわゆるベーパーチャンバーが構成されている。
【0036】なお、この熱拡散板12とダイ10との接合は、上述した接合構造あるいは従来知られている接合構造のいずれによっておこなってもよい。
【0037】したがって図4に示す構造では、ダイ10で発生した熱は、これに接触している熱拡散板12に伝達される。その熱によってベーパーチャンバーにおける作動流体12eが蒸発し、その蒸気が温度および圧力の低い部分すなわちヒートシンク13に接触している上面側に流動する。その後、作動流体12eの蒸気が放熱して凝縮し、その作動流体12eの有していた熱が熱拡散板12の上面側からヒートシンク13に伝達され、さらにこのヒートシンク13から周囲の空気に放散させられる。結局、ダイ10の熱が空気中に放散させられて、ダイ10が冷却される。
【0038】上述したように、熱拡散板12においては、ベーパーチャンバーに封入されている作動流体12eがその潜熱として熱を輸送する。その熱量は、熱伝導によるよりもはるかに多量であるから、熱拡散板12の実質的な熱抵抗が極めて小さくなる。その結果、ダイ10からヒートシンク13までの間の熱抵抗が小さくなり、ダイ10を効率よく冷却することができる。
【0039】前述したように、銅やアルミニウムなどの熱伝導性がよいことにより熱拡散板12に適する金属は、ダイ10を構成しているシリコンよりも熱膨張率が大きい。したがってダイ10と熱拡散板12とを熱伝達可能に密着させた状態で、両者の相対的な移動を円滑化すれば、ダイ10と熱拡散板12との間の熱応力の発を抑制もしくは防止することができる。図5および図6はその例を示しており、れらの図に示す熱拡散板12は、アルミニウムによって形成されており、その平板部12aにおける裏面(図での下面)12cに陽極酸化処理が施され、その陽極酸化処理によって生じたクラック16に潤滑性のある軟質な材料、例えば硫化モリブデン17が充填され、その硫化モリブデン17の一部が露出している。この種の金属は、「フジマイト」(登録商標)として知られている。
【0040】したがって図5および図6に示す構成では、ダイ10と熱拡散板12との密着性が良好になってこれらの間の熱抵抗が低減される。また、ダイ10と熱拡散板12との熱膨張率の差が大きく、ダイ10の発熱によって温度が上昇した際の熱膨張量に相違が生じても、ダイ10と熱拡散板12との相対的な滑りが円滑に生じるので、両者の間に熱応力が生じることはない。したがって図5および図6に示す構成であっても、ダイ10からの放熱特性すなわちダイ10の冷却性能を良好なものとすることができる。
【0041】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明によれば、電子部品と熱拡散板との間に、熱膨張率が電子部品側と熱拡散板側とで異なっているグレーディング層が設けられているため、電子部品とグレーティング層との接触部分での熱膨張率の差、および熱拡散板とグレーティング層との接触部分での熱膨張率の差が共に小さくなる。その結果、温度が高くなっても熱応力が大きくならず、電子部品とグレーティング層との接合が外れたり、熱拡散板とグレーティング層との接合が外れたりすることが回避される。言い換えれば、電子部品と熱拡散板との間の熱抵抗が増大することがなく、電子部品からの放熱特性を良好な状態に維持できる。
【0042】また、請求項2ないし5の発明によれば、電子部品と熱拡散板との熱膨張率の差が小さくなり、電子部品が動作してその温度が上昇しても、両者の間の熱応力が小さく抑制される。その結果、電子部品と熱拡散板との接合状態を良好に維持し、電子部品を良好に冷却することができる。
【0043】さらに、請求項6の発明によれば、熱拡散板の内部での熱の移動が、熱伝導だけでなく、作動流体により潜熱の形での熱輸送によっても生じるので、熱拡散板での熱抵抗が小さくなる。そのため、電子部品からの放熱を促進し、電子部品を効率よく冷却することができる。
【0044】またさらに、請求項7の発明あるいは請求項8の発明によれば、熱拡散板をアルミニウムによって形成し、電子部品に接触する面を、潤滑性の部材を埋設した構造とすることにより、熱拡散板を電子部品に直接接触させた構成とすることができる。このような構成であれば、電子部品と熱拡散板との間に介在物が存在しないので、両者の間の熱抵抗を小さくすることができる。また、電子部品に接する面の熱膨張率が小さくなるので、電子部品が動作してその温度が高くなっても熱応力を小さく抑制することができ、その結果、電子部品と熱拡散板との剥離が生じず、両者の間の熱抵抗の増大を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施例を模式的に示す断面図である。
【図2】 図1の放熱構造で使用するグレーティング層の構造を説明するための模式的な断面図である。
【図3】 この発明の他の実施例を模式的に示す断面図である。
【図4】 この発明の更に他の実施例を模式的に示す断面図である。
【図5】 この発明のまた更に他の実施例を模式的に示す断面図である。
【図6】 図5のVI部を拡大して示す模式図である。
【図7】 従来例を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
10…ダイ、 12…熱拡散板、 12d…中空部、 12e…作動流体、13…ヒートシンク、 14…グーティング層、 15…グラファイト、 17…硫化モリブデン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 電子部品で生じた熱を熱拡散板に伝達することにより電子部品を冷却する電子装置用放熱構造において、前記電子部品と熱拡散板との間に、電子部品側の部分における熱膨張率が電子部品の熱膨張率と同一もしくは近似し、かつ熱拡散板側の部分における熱膨張率が熱拡散板の熱膨張率と同一もしくは近似するように熱膨張率が変化しているグレーディング層が設けられていることを特徴とする電子装置用放熱構造。
【請求項2】 電子部品で生じた熱を熱拡散板に伝達することにより電子部品を冷却する電子装置用放熱構造において、前記電子部品に接合される熱拡散板が、電子部品の熱膨張率に近似した素材によって構成されていることを特徴とする電子装置用放熱構造。
【請求項3】 前記電子部品は、シリコンを主体として構成され、かつ前記熱拡散板は、ニッケル鋼と窒化アルミニウムとのいずれかによって構成されていることを特徴とする請求項2に記載の電子装置用放熱構造。
【請求項4】 前記ニッケル鋼が、インバーである請求項3に記載の電子装置用放熱構造。
【請求項5】 前記電子部品と熱拡散板とが、グラファイトを介して一体化されていることを特徴とする請求項2に記載の電子装置用放熱構造。
【請求項6】 電子部品で生じた熱を熱拡散板に伝達することにより電子部品を冷却する電子装置用放熱構造において、前記熱拡散板が、蒸発および凝縮を繰り返すことにより潜熱として熱を輸送する作動流体を封入した密閉構造のチャンバーを内部に備えていることを特徴とする電子装置用放熱構造。
【請求項7】 電子部品で生じた熱を熱拡散板に伝達することにより電子部品を冷却する電子装置用放熱構造において、前記熱拡散板がアルミニウムによって構成されるとともに、その熱拡散板の前記電子部品側の面が、潤滑性部材を埋設した構成とされていることを特徴とする電子装置用放熱構造。
【請求項8】 前記面が陽極酸化処理されて該面に微細なクラックが形成され、そのクラックに前記潤滑性部材として硫化モリブンデンが充填されていることを特徴とする請求項7に記載の電子装置用放熱構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2003−124665(P2003−124665A)
【公開日】平成15年4月25日(2003.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−314445(P2001−314445)
【出願日】平成13年10月11日(2001.10.11)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】