説明

電子透かし埋め込み装置、電子透かし検証装置、電子透かし埋め込み方法、電子透かし検証方法

【課題】 従来とは異なる新規な方法で電子透かしを埋め込むことにより、画像の劣化を抑えることのできる電子透かし埋め込み装置、電子透かし検証装置、電子透かし埋め込み方法、電子透かし検証方法を提供する。
【解決手段】 元データに電子透かしを埋め込む電子透かし埋め込み装置であって、該元データのある画素のR値,G値,B値を基準とし、他の画素のR値、B値、G値のいずれかを変化させることにより電子透かしを埋め込むための電子透かし埋め込み手段を有することを特徴とする電子透かし埋め込み装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子透かし技術を用いて元データに電子透かしを埋め込む電子透かし埋め込み装置及び電子透かし埋め込み方法、並びに電子透かしが埋め込まれたデータを検証する電子透かし検証装置及び電子透かし検証方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ダムや発電所等の巨大建設工事、ビルやマンション等の建築工事等を行う際において、進行状況に関連する公的書類や資料が改竄されるという問題が多発している。
原因として、改竄を検査する制度や真正性を保証する検査システムがなく、改竄を検査する体制が確立していないことが挙げられる。
また、添付写真は1件につき1000枚を超えることもある。このような場合、全ての写真を検査することは難しく、改竄の問題が発覚した場合にのみ、事後的に目視により改竄箇所の確認作業を行っているのが現状である。
しかし、目視により写真の改竄箇所を発見することは非常に困難な作業であり、ましてや、1000枚を超える確認作業となると略不可能に近く、そのため改竄資料が見落とされることも多々ある。
【0003】
一方で、近年、上記した公的書類や資料に用いる写真の撮影にデジタルカメラを用いることが多くなっている。デジタルカメラが多く用いられているのは、付加情報の多様性がある、リアルタイムで確認することができる、撮影枚数が多く繰り返し使用することができる、PCによる保存管理性が高い等の利点を有するからである。
しかし、デジタルカメラで撮影したデジタル画像の場合、CGアプリケーションにより編集や改竄が容易に行え、その痕跡が判定しにくく真正性の証明が困難である。そのため、公的書類や資料として用いた場合、真正性が低下してしまう。
【0004】
そこで、このような改竄からデータを保護するための技術として、デジタル画像に電子透かしを組み込む方法(例えば、下記特許文献1参照)等を挙げることができる。
具体的には、元データに不可視の電子透かしを重ね合わせることで電子透かしを埋め込む。
【0005】
しかしながら、上記した方法で用いられる電子透かしは不可視とはいえ、完全に透明なわけではない。そのため、元データに電子透かしを重ね合わせることにより、元データの画像の品質を劣化させてしまうという問題を有する。
【0006】
【特許文献1】特開2000−151978号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、従来とは異なる新規な方法で電子透かしを埋め込むことにより、画像の劣化を抑えることのできる電子透かし埋め込み装置、電子透かし検証装置、電子透かし埋め込み方法、電子透かし検証方法を提供することを解決課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、元データに電子透かしを埋め込む電子透かし埋め込み装置であって、該元データのある画素のR値,G値,B値を基準とし、他の画素のR値、B値、G値のいずれかを変化させることにより電子透かしを埋め込むための電子透かし埋め込み手段を有することを特徴とする電子透かし埋め込み装置に関する。
【0009】
請求項2に係る発明は、前記電子透かし埋め込み手段が、オリジナルフォントにより文字や絵が記載された画像データである第一電子透かしを埋め込む第一電子透かし埋め込み手段であって、該オリジナルフォントが、ある画素のR値,G値,B値を基準とし、該画素の一方に隣接する画素のR値,G値,B値を、該画素との差が一定になるように色変換することで構成されていることを特徴とする請求項1記載の電子透かし埋め込み装置に関する。
【0010】
請求項3に係る発明は、前記電子透かし埋め込み手段が、数値情報である第二電子透かしを埋め込む第二電子透かし埋め込み手段であって、第一画素、第二画素、第三画素群を一単位とし、該第一画素のR値,G値,B値のいずれか一つを基準として、該基準となるR値,G値,B値のいずれか一つの値と該電子透かしの値と対応する値に対して第一演算を行った値が第一特定値未満であれば、前記第二画素のR値,G値,B値のいずれか一つを該第一演算を行った値に変化させ、且つ前記第三画素群のR値,G値,B値のいずれか一つを第二特定値に変化させ、該第一演算を行った値が前記第一特定値以上であれば、前記第二画素を該第一特定値に変化させ、且つ前記第三画素群のR値,G値,B値のいずれか一つを第三特定値と該電子透かしの値と対応する値に対して第二演算を行った値に変化させることを特徴とする請求項1又は2記載の電子透かし埋め込み装置に関する。
【0011】
請求項4に係る発明は、前記第二電子透かしが、前記元データを画素単位でR値,G値,B値に色分解した後、R値,G値,B値ごとに算出した和の値である第一スペクトル情報、前記元データのR値,G値,B値夫々の重心の値である重心位置情報、前記元データをR値,G値,B値に色分解した後、夫々の画素のR値,G値,B値ごとに特定の値を演算し、特定の値を演算したR値,G値,B値ごとの和を算出した値である第二スペクトル情報、前記元データを複数のブロックに分割し、該ブロックごとに前記第一スペクトル情報、前記重心位置情報、前記第二スペクトル情報のいずれか一つ以上の情報を算出した情報である改竄位置検出情報のうちいずれか一つ以上を有することを特徴とする請求項3記載の電子透かし埋め込み装置に関する。
【0012】
請求項5に係る発明は、請求項2記載の第一電子透かし埋め込み手段と請求項3記載の第二電子透かし埋め込み手段を有する電子透かし埋め込み手段であって、前記第二電子透かしが、前記第一電子透かしの埋め込まれている位置を特定するための第一電子透かし位置情報を有することを特徴とする電子透かし埋め込み装置に関する。
【0013】
請求項6に係る発明は、少なくとも元データの特定の一画素を特定の色に変換するための色変換検出情報埋め込み手段を有することを特徴とする請求項1乃至5いずれか記載の電子透かし埋め込み装置に関する。
【0014】
請求項7に係る発明は、前記第一電子透かしが、元データの略全面に埋め込まれていることを特徴とする請求項2記載の電子透かし埋め込み装置に関する。
【0015】
請求項8に係る発明は、請求項1乃至7いずれか記載の電子透かし埋め込み装置により電子透かしが埋め込まれたデータを検証する電子透かし検証装置であって、前記電子透かし埋め込み手段により埋め込まれた電子透かしを読み取るための電子透かし読み取り手段を有することを特徴とする電子透かし検証装置に関する。
【0016】
請求項9に係る発明は、請求項2記載の電子透かし埋め込み装置により電子透かしが埋め込まれたデータを検証する電子透かし検証装置であって、前記第一電子透かしを読み取るための第一電子透かし読み取り手段を有することを特徴とする電子透かし検証装置に関する。
【0017】
請求項10に係る発明は、請求項3記載の電子透かし埋め込み装置により電子透かしが埋め込まれたデータを検証する電子透かし検証装置であって、前記第二電子透かしを読み取るための第二電子透かし読み取り手段を有することを特徴とする電子透かし検証装置に関する。
【0018】
請求項11に係る発明は、請求項6記載の電子透かし埋め込み装置により電子透かしが埋め込まれたデータを検証する電子透かし検証装置であって、前記電子透かしを埋め込む手段により埋め込まれた電子透かしを読み取るための電子透かし読み取り手段と、前記色変換検出情報埋め込み手段により変換された色を読み取るための色変換検出情報読み取り手段を有することを特徴とする電子透かし検証装置に関する。
【0019】
請求項12に係る発明は、前記電子透かし埋め込み装置により埋め込まれた電子透かしが、位置情報を含む真正保証情報であり、前記位置情報が、地図情報表示手段により表示された地図上に示されることを特徴とする請求項8乃至11いずれか記載の電子透かし検証装置に関する。
【0020】
請求項13に係る発明は、前記位置情報が高度情報と方位情報を含むことを特徴とする請求項12記載の電子透かし検証装置に関する。
【0021】
請求項14に係る発明は、元データに電子透かしを埋め込む工程を有する電子透かし埋め込み方法であって、該電子透かしを埋め込む工程が、該元データのある画素のR値,G値,B値を基準とし、他の画素のR値、B値、G値のいずれかを変化させることにより電子透かしを埋め込む工程であることを特徴とする電子透かし埋め込み方法に関する。
【0022】
請求項15に係る発明は、前記電子透かしを埋め込む工程が、オリジナルフォントにより文字や絵が記載された画像データである第一電子透かしを埋め込む工程であって、該オリジナルフォントが、ある画素のR値,G値,B値を基準とし、該画素の一方に隣接する画素のR値,G値,B値を、該画素との差が一定になるように色変換することで構成されていることを特徴とする請求項14記載の電子透かし埋め込み方法に関する。
【0023】
請求項16に係る発明は、前記電子透かし埋め込み工程が、数値情報である第二電子透かしを埋め込む工程であって、第一画素、第二画素、第三画素群を一単位とし、該第一画素のR値,G値,B値のいずれか一つを基準として、該基準となるR値,G値,B値のいずれか一つの値と該電子透かしの値と対応する値に対して第一演算を行った値が第一特定値未満であれば、前記第二画素のR値,G値,B値のいずれか一つを該第一演算を行った値に変化させ、且つ前記第三画素のR値,G値,B値のいずれか一つを第二特定値に変化させ、該第一演算を行った値が前記第一特定値以上であれば、前記第二画素を該第一特定値に変化させ、且つ前記第三画素のR値,G値,B値のいずれか一つを第三特定値と該電子透かしの値と対応する値に対して第二演算を行った値に変化させることを特徴とする請求項14又は15記載の電子透かし埋め込み方法に関する。
【0024】
請求項17に係る発明は、前記第二電子透かしが、前記元データを画素単位でR値,G値,B値に色分解した後、R値,G値,B値ごとに算出した和の値である第一スペクトル情報、前記元データのR値,G値,B値夫々の重心の値である重心位置情報、前記元データをR値,G値,B値に色分解した後、夫々の画素のR値,G値,B値ごとに特定の値を演算し、特定の値を演算したR値,G値,B値ごとの和を算出した値である第二スペクトル情報、前記元データを複数のブロックに分割し、該ブロックごとに前記第一スペクトル情報、前記重心位置情報、前記第二スペクトル情報のいずれか一つ以上の情報を算出した情報である改竄位置検出情報のうちいずれか一つ以上を有することを特徴とする請求項16記載の電子透かし埋め込み方法に関する。
【0025】
請求項18に係る発明は、請求項15記載の第一電子透かしを埋め込む工程と請求項16記載の第二電子透かしを埋め込む工程を有する電子透かし埋め込み方法であって、前記第二電子透かしが、前記第一電子透かしの埋め込まれている位置を特定するための第一電子透かし位置情報を有することを特徴とする電子透かし埋め込み方法に関する。
【0026】
請求項19に係る発明は、少なくとも元データの特定の一画素を特定の色に変換する工程を有することを特徴とする請求項14乃至18いずれか記載の電子透かし埋め込み方法に関する。
【0027】
請求項20に係る発明は、請求項14乃至19いずれか記載の電子透かし埋め込み方法により電子透かしが埋め込まれたデータを検証する電子透かし検証方法であって、埋め込まれた前記電子透かしを読み取る工程を有することを特徴とする電子透かし検証方法に関する。
【0028】
請求項21に係る発明は、請求項15記載の電子透かし埋め込み方法により電子透かしが埋め込まれたデータを検証する電子透かし検証方法であって、前記第一電子透かしを読み取る工程を有することを特徴とする電子透かし検証方法に関する。
【0029】
請求項22に係る発明は、請求項16記載の電子透かし埋め込み方法により電子透かしが埋め込まれたデータを検証する電子透かし検証方法であって、前記第二電子透かしを読み取る工程を有することを特徴とする電子透かし検証方法に関する。
【0030】
請求項23に係る発明は、請求項19記載の電子透かし埋め込み方法により電子透かしが埋め込まれたデータを検証する電子透かし検証方法であって、前記電子透かしを読み取る工程と、前記変換された色を読み取るための色変換検出情報読み取り手段を有することを特徴とする電子透かし検証方法に関する。
【発明の効果】
【0031】
請求項1に係る発明によれば、元データに電子透かしを埋め込む電子透かし埋め込み装置であって、該元データのある画素のR値,G値,B値を基準とし、他の画素のR値、B値、G値のいずれかを変化させることにより電子透かしを埋め込むための電子透かし埋め込み手段を有することにより、元データの画像の劣化を抑えて電子透かしを埋め込むことができる。
【0032】
請求項2に係る発明によれば、前記電子透かし埋め込み手段が、オリジナルフォントにより文字や絵が記載された画像データである第一電子透かしを埋め込む第一電子透かし埋め込み手段であって、該オリジナルフォントが、ある画素のR値,G値,B値を基準とし、該画素の一方に隣接する画素のR値,G値,B値を、該画素との差が一定になるように色変換することで構成されていることにより、隣の画素を基準としてある画素の明度を変化させることとなるため、実際の画像と第一電子透かしを埋め込んだ画像の差が小さくなり、第一電子透かしを埋め込んだとしても、元データの画像の劣化を抑えることができる。
【0033】
請求項3に係る発明によれば、前記電子透かし埋め込み手段が、数値情報である第二電子透かしを埋め込む第二電子透かし埋め込み手段であって、第一画素、第二画素、第三画素群を一単位とし、該第一画素のR値,G値,B値のいずれか一つを基準として、該基準となるR値,G値,B値のいずれか一つの値と該電子透かしの値と対応する値に対して第一演算を行った値が第一特定値未満であれば、前記第二画素のR値,G値,B値のいずれか一つを該第一演算を行った値に変化させ、且つ前記第三画素群のR値,G値,B値のいずれか一つを第二特定値に変化させ、該第一演算を行った値が前記第一特定値以上であれば、前記第二画素を該第一特定値に変化させ、且つ前記第三画素群のR値,G値,B値のいずれか一つを第三特定値と該電子透かしの値と対応する値に対して第二演算を行った値に変化させることにより、色の変化量を微細にして第二電子透かしを埋め込むことができるので、画像の劣化も抑えることができる。
【0034】
請求項4に係る発明によれば、前記第二電子透かしが、前記元データを画素単位でR値,G値,B値に色分解した後、R値,G値,B値ごとに算出した和の値である第一スペクトル情報、前記元データのR値,G値,B値夫々の重心の値である重心位置情報、前記元データをR値,G値,B値に色分解した後、夫々の画素のR値,G値,B値ごとに特定の値を演算し、特定の値を演算したR値,G値,B値ごとの和を算出した値である第二スペクトル情報、前記元データを複数のブロックに分割し、該ブロックごとに前記第一スペクトル情報、前記重心位置情報、前記第二スペクトル情報のいずれか一つ以上の情報を算出した情報である改竄位置検出情報のうちいずれか一つ以上を有することにより、様々な態様の改竄を検証することができる。
【0035】
請求項5に係る発明によれば、請求項2記載の第一電子透かし埋め込み手段と請求項3記載の第二電子透かし埋め込み手段を有する電子透かし埋め込み手段であって、前記第二電子透かしが、前記第一電子透かしの埋め込まれている位置を特定するための第一電子透かし位置情報を有することにより、第一電子透かしが埋め込まれる位置を特定することができる。
【0036】
請求項6に係る発明によれば、少なくとも元データの特定の一画素を特定の色に変換するための色変換検出情報埋め込み手段を有することにより、データ全体にフィルタをかけて色変換させる改竄を検出することができる。
【0037】
請求項7に係る発明によれば、前記第一電子透かしが、元データの略全面に埋め込まれていることにより、元データの一部が改竄・切り取りされたとしても、他の部分から第一電子透かしを読み取ることができる。
【0038】
請求項8に係る発明によれば、請求項1乃至7いずれか記載の電子透かし埋め込み装置により電子透かしが埋め込まれたデータを検証する電子透かし検証装置であって、前記電子透かし埋め込み手段により埋め込まれた電子透かしを読み取るための電子透かし読み取り手段を有することにより、元データの画像の劣化を抑えた状態で、改竄が行われているか否かを検証することができる。
【0039】
請求項9に係る発明によれば、請求項2記載の電子透かし埋め込み装置により電子透かしが埋め込まれたデータを検証する電子透かし検証装置であって、前記第一電子透かしを読み取るための第一電子透かし読み取り手段を有することにより、第一電子透かしを検証することができ、改竄が行われていないかを検証することができる。
【0040】
請求項10に係る発明によれば、請求項3記載の電子透かし埋め込み装置により電子透かしが埋め込まれたデータを検証する電子透かし検証装置であって、前記第二電子透かしを読み取るための第二電子透かし読み取り手段を有することにより、第二電子透かしを検証することができ、改竄が行われていないかを検証することができる。
【0041】
請求項11に係る発明によれば、前記色変換検出情報埋め込み手段により変換された色を読み取るための色変換検出情報読み取り手段を有することにより、データ全体にフィルタをかけて色変換させる改竄を検出することができる。
【0042】
請求項12に係る発明によれば、前記電子透かし埋め込み装置により埋め込まれた電子透かしが、位置情報を含む真正保証情報であり、前記位置情報が、地図情報表示手段により表示された地図上に示されることにより、位置情報を視覚的に認識することができ、元データを利用する際の利便性が向上する。
【0043】
請求項13に係る発明によれば、前記位置情報が高度情報と方位情報を含むことにより、位置情報を三次元で特定することができる。
【0044】
請求項14に係る発明によれば、元データに電子透かしを埋め込む工程を有する電子透かし埋め込み方法であって、該電子透かしを埋め込む工程が、該元データのある画素のR値,G値,B値を基準とし、他の画素のR値、B値、G値のいずれかを変化させることにより電子透かしを埋め込む工程であることにより、元データの画像の劣化を抑えて電子透かしを埋め込むことができる。
【0045】
請求項15に係る発明によれば、前記電子透かしを埋め込む工程が、オリジナルフォントにより文字や絵が記載された画像データである第一電子透かしを埋め込む工程であって、該オリジナルフォントが、ある画素のR値,G値,B値を基準とし、該画素の一方に隣接する画素のR値,G値,B値を、該画素との差が一定になるように色変換することで構成されていることにより、隣の画素を基準としてある画素の明度を変化させるので、実際の画像と第一電子透かしを埋め込んだ画像の差が小さくなり、電子透かしを埋め込んでも元データの画像の劣化を抑えることができる。
【0046】
請求項16に係る発明によれば、前記電子透かし埋め込み工程が、数値情報である第二電子透かしを埋め込む工程であって、第一画素、第二画素、第三画素群を一単位とし、該第一画素のR値,G値,B値のいずれか一つを基準として、該基準となるR値,G値,B値のいずれか一つの値と該電子透かしの値と対応する値に対して第一演算を行った値が第一特定値未満であれば、前記第二画素のR値,G値,B値のいずれか一つを該第一演算を行った値に変化させ、且つ前記第三画素のR値,G値,B値のいずれか一つを第二特定値に変化させ、該第一演算を行った値が前記第一特定値以上であれば、前記第二画素を該第一特定値に変化させ、且つ前記第三画素のR値,G値,B値のいずれか一つを第三特定値と該電子透かしの値と対応する値に対して第二演算を行った値に変化させることにより、色の変化量が微細な状態で第二電子透かしを埋め込むことができ、画像の劣化も抑えることができる。
【0047】
請求項17に係る発明によれば、前記第二電子透かしが、前記元データを画素単位でR値,G値,B値に色分解した後、R値,G値,B値ごとに算出した和の値である第一スペクトル情報、前記元データのR値,G値,B値夫々の重心の値である重心位置情報、前記元データをR値,G値,B値に色分解した後、夫々の画素のR値,G値,B値ごとに特定の値を演算し、特定の値を演算したR値,G値,B値ごとの和を算出した値である第二スペクトル情報、前記元データを複数のブロックに分割し、該ブロックごとに前記第一スペクトル情報、前記重心位置情報、前記第二スペクトル情報のいずれか一つ以上の情報を算出した情報である改竄位置検出情報のうちいずれか一つ以上を有することにより、様々な態様の改竄を検証することができる。
【0048】
請求項18に係る発明によれば、請求項15記載の第一電子透かしを埋め込む工程と請求項16記載の第二電子透かしを埋め込む工程を有する電子透かし埋め込み方法であって、前記第二電子透かしが、前記第一電子透かしの埋め込まれている位置を特定するための第一電子透かし位置情報を有することにより、第一電子透かしが埋め込まれる位置を特定することができる。
【0049】
請求項19に係る発明によれば、少なくとも元データの特定の一画素を特定の色に変換する工程を有することにより、データ全体にフィルタをかけて色変換させる改竄を検出することができる。
【0050】
請求項20に係る発明によれば、請求項14乃至19いずれか記載の電子透かし埋め込み方法により電子透かしが埋め込まれたデータを検証する電子透かし検証方法であって、埋め込まれた前記電子透かしを読み取る工程を有することにより、元データの画像の劣化を抑えた状態で、改竄が行われているか否かを検証することができる。
【0051】
請求項21に係る発明によれば、請求項15記載の電子透かし埋め込み方法により電子透かしが埋め込まれたデータを検証する電子透かし検証方法であって、前記第一電子透かしを読み取る工程を有することにより、第一電子透かしを検証することで、改竄が行われていないかを検証することができる。
【0052】
請求項22に係る発明によれば、請求項16記載の電子透かし埋め込み方法により電子透かしが埋め込まれたデータを検証する電子透かし検証方法であって、前記第二電子透かしを読み取る工程を有することにより、第二電子透かしを検証することで、改竄が行われていないかを検証することができる。
【0053】
請求項23に係る発明によれば、前記変換された色を読み取るための色変換検出情報読み取り手段を有することにより、データ全体にフィルタをかけて色変換させる改竄を検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0054】
以下、図面を参照しつつ、本発明に係る電子透かし埋め込み装置及び埋め込み方法、電子透かし検証装置及び検証方法の実施形態について説明する。
【0055】
まず、元データに電子透かしを埋め込む方法について説明する。
本発明の電子透かしを埋め込む方法では、元データのある画素のR値,G値,B値(以下、まとめて明度と称することもある)を基準とし、他の画素のR値、B値、G値のいずれかを変化させることで埋め込む方法である。
具体的には、電子透かしを画像データとして埋め込む場合と、電子透かしを数値情報として、該数値情報に対応させて色変換させることで埋め込む場合が考えられる。以下、電子透かしを画像データとして埋め込む場合と、数字情報として埋め込む場合について夫々説明する。なお、以下の説明において、画像データである電子透かしを第一電子透かし、数字情報である電子透かしを第二電子透かしと称す。
【0056】
まず、画像データからなる第一電子透かしを埋め込む場合について説明する。第一電子透かしは、オリジナルフォントにより文字や絵(数字等、以下で説明するオリジナルフォントで記載できるもの全てを含む)が記載された画像データである。
【0057】
図1は第一電子透かしを埋め込んだ元データを説明するための説明図である。図2は第一電子透かしの一部(オリジナルフォントの「1」の部分)を示すイメージ図であり、破線が画素と画素の境界を示し、破線で区切られた領域が一画素を示す。図3は図2の(Q)の部分を示す説明図であり、電子透かしが埋め込まれていない元データの画素(A〜P)(図3上段)と第一電子透かしが埋め込まれた後のデータの画素(A〜P)(図3下段)を比較した図である。また、画素内部にはR値,G値,B値を記載しており、例えば、画素(A)のR値,G値,B値は夫々Ra,Ga,Baである。なお、図1,2中では、説明の都合上、第一電子透かし(特にオリジナルフォント)が可視的に示されているが、実際は不可視である。
第一電子透かしは、図1に示す如く、内部にオリジナルフォント(図1中では「12645876535733」)が記載された画像であり、当該オリジナルフォントは、ある画素と一方に隣接する画素のR値,G値,B値の差が一定になるように隣接する画素を色変換することで構成されている。
【0058】
以下、オリジナルフォントについて図2,3を用いて具体的に説明する。
図3下段に示す如く、オリジナルフォントで数字が記載されている部分は、ある画素とある画素に隣接する右隣の画素を比較した場合、R値,G値,B値の差が一定である。具体的には、画素(A)に比して、右隣の画素(B)はR値が+3、G値が+2、B値が+1となっている。その他、画素(C,D)、画素(E,F)、画素(G,H)、画素(I,J)、画素(K,L)、画素(M,N)、画素(O,P)の関係も画素(A,B)の関係と同様にR値が+3、G値が+2、B値が+1となっている。
このようなオリジナルフォントを用いることにより、ある画素と一方に隣接する画素の明度差(R値,G値,B値の差)が一定である場所を判別することで、オリジナルフォントを読み取ることができる。そして、オリジナルフォントに記載された情報を読み取ることで、元データが改竄されていないか検証することができる。つまり、オリジナルフォントで記載されている文字等が本来埋め込まれたはずのものと異なるものとなっていれば、改竄が行われたと判断することができる。具体的には、オリジナルフォントにより記載されている文字等を他の手段で保存しておき、実際オリジナルフォントで記載された文字等と比較することで、改竄を検証する。オリジナルフォントで記載する文字等としては元データの真正性を保証するための情報(以下、真正保証情報と称す)等を挙げることができる。
また、一般的に隣り合う画素同士は明度差が小さいが、第一電子透かしは、隣の画素を基準としてある画素の明度を変化させるため、実際の画像と第一電子透かしを埋め込んだ画像の差も小さくなる。つまり、第一電子透かしを用いることにより、一般的な不可視処理よりノイズに強く品質の劣化を低減させることができる。
【0059】
次いで、数値情報である第二電子透かしの埋め込み方法について説明する。
数値情報である第二電子透かしは色情報に変換されて埋め込まれる。具体的には、第一画素、第二画素、一画素以上の三画素群を一単位として、当該一単位ごとに数字を埋め込む。以下の説明では、第三画素群を一画素(単に第三画素と称す)として説明する。
第一画素のR値,G値,B値のいずれか一つを基準として、当該基準となるR値,G値,B値のいずれか一つと第二電子透かしの値と対応する値に対して第一演算を行った値(以下、Xとする)が第一特定値(例えば255)未満であれば、第二画素のR値,G値,B値のいずれか一つをXに変化させ、且つ第三画素のR値,G値,B値のいずれか一つを第二特定値(図4,5に示す実施形態では基準となる第一画素のR値,G値,B値のいずれか一つと同じ値)に変化させる。また、Xが第一特定値(255)以上であれば、第二画素のR値,G値,B値のいずれか一つを第一特定値(255)に変化させ、第三画素のR値,G値,B値の少なくともいずれか一つを、第三特定値(図4,5に示す実施形態では基準となる第一画素のR値,G値,B値のいずれか一つ)と第二電子透かしの値と対応する値に対して第二演算を行った値に変化させる。このように、第一画素のR値,G値,B値のいずれか一つを基準として、第二画素及び第三画素のR値,G値,B値のいずれか一つを変化させることで第二電子透かしを埋め込む。なお、本説明では明度を8ビットで規定した場合、256以上だとエラー状態となるため、第一特定値を255としたが、255に限定されるわけではない。また、以下の説明では、第一演算を加法とし、第二演算を減法として説明する。つまり、Xが基準となるR値,G値,B値のいずれか一つの値に第二電子透かしの値と対応する値を足した値となり、第三特定値と第二電子透かしの値と対応する値に対して第二演算を行った値が第三特定値から第二電子透かしの値と対応する値を引いた値となる。但し、本発明は第一演算が加法、第二演算が減法といった組み合わせに限定されるわけではなく、第一演算が減法、第二演算が加法であってもよく、他の組み合わせであってもよい。
図4は「123」「456」「789」という三つの数値情報を色情報として埋め込む方法を説明するための説明図であり、図4上段は数値情報を埋め込む前の画素(A〜I)を示し、図4下段は数字情報を埋め込んだ後の画素(A〜I)を示す。なお、図4では、Ra+1,Ga+4、Ba+7,Rd+2,Bd+8が255未満、Gd+5,Rg+3,Gg+6,Bg+9が255以上の場合を示す。
また、図5は画素(A〜C)に数値情報として1,4,7を埋め込む方法を説明するための説明図を示す。また、図4,5において、画素(A〜I)内にはR値,G値,B値が示されている(例えば、画素(A)のR値,G値,B値は夫々Ra,Ga,Baである)。
第二電子透かしを埋め込む場合、まず、図4に示す如く、画素(A〜I)をR,G,Bに分解し、夫々の画素のR値,G値,B値を計算する。一方、「123」の埋め込み場合、まず、「123」を一文字ずつ1,2,3に分ける。そして、画素(A〜C)、(D〜F)、(G〜I)を夫々1単位とし、画素(A〜C)に1を、画素(D〜F)に2を、画素(G〜I)3を埋め込む。具体的には、画素(A〜I)のR値を変更させることで、「123」を埋め込む。また、「456」については、画素(A〜C)に4を、画素(D〜F)に5を、画素(G〜I)に6を、G値を変化させることで埋め込む。「789」については画素(A〜C)に7を、画素(D〜F)に8を、画素(G〜I)に9を、B値を変化させることで埋め込む。
【0060】
以下、画素(A〜C)に1,4,7を埋め込む方法について説明する(図5参照)。
ここで、画素(A)を第一画素(A)、画素(B)を第二画素(B)、画素(C)を第三画素(C)とする。
図5は数値情報を埋め込んだ後の画素(A〜C)を示しており、(a)はRa+1<255、Ga+4<255、Ba+7<255の場合、(b)はRa+1≧255、Ga+4≧255、Ba+7≧255の場合、Ra+1<255、Ga+4≧255、Ba+7<255の場合を示す。
第一画素(A)のR値(Ra)に1を足した値(Ra+1)が255より小さければ、第二画素(B)のR値をRa+1とし、第三画素(C)のR値をRaとする(図5(a)(c)参照)。また、Ra+1が255以上であれば、第二画素(B)のR値を255とし、第三画素(C)のR値をRa−1とする(図5(b)参照)。
同様に、4を埋め込むときは、第一画素(A)のG値(Ga)に4を足した値(Ga+4)が255より小さければ、第二画素(B)のG値をGa+4とし、第三画素(C)のG値をGaとする(図4(a)参照)。また、Ga+4が255以上であれば、第二画素(B)のG値を255とし、第三画素(C)のR値をGa−4とする(図5(b)(c)参照)。7を埋め込むときは、第一画素(A)のB値(Ba)に7を足した値(Ba+7)が255より小さければ、第二画素(B)のB値をBa+7とする(図5(a)(c)参照)。また、Ba+7が255以上であれば、第二画素(B)のR値を255とし、第三画素(C)のR値をRa−7とする(図5(b)参照)。
なお、画素(D〜F)に数値情報として2,5,8を、画素(G〜I)に数値情報として3,6,9を埋め込む方法も、画素(A〜C)に1,4,7を埋め込む方法と同様である。
また、第二電子透かしを読み取るときは、例えば「1」を読み取る場合、第一画素(A)のR値と第三画素(C)のR値が一致すれば、第二画素(B)のR値から第一画素(A)のR値を引くことにより、埋め込んだ値「1」を読み込むことができる(図5(a)(c)参照)。また、第一画素(A)のR値と第三画素(C)のR値が異なり、第二画素(B)のR値が255であれば、第一画素(A)のR値から第三画素(C)のR値を引くことにより、埋め込んだ値「1」を読み取ることができる(図5(b)参照)。
この操作により画素(B,C,E,F,H,I)の色は変化するが、変化量が微細であり、また、色の変化する部分は画面の端であるため、視覚的には殆ど認識することができず、画像の劣化も抑えることができる。
【0061】
なお、図4、図5ではR値,B値,G値の全てを変更することで数字情報を埋め込んだが、R値,B値,G値のいずれか一つのみを変化させて他の値は変化させないようにしてもよい。それにより、変化する値をR値のみとすることができ、視覚的な変化をより少なくすることができる。また、R値,B値,G値のうちの二つの値を変化させてもよい。また、上記説明では、三画素のうち一番左側を基準としているが、中央の画素を基準としてもよいし、右側の画素を基準としてもよい。
また、例えば(123)を画素(A〜C)のR値,B値,G値の値を変化させることで埋め込み、(456)を画素(D〜F)のR値,B値,G値の値を変化させることで埋め込み、(789)を画素(G〜I)のR値,B値,G値の値を変化させることで埋め込んでもよい。なお、図6は当該方法で(123)(456)(789)を埋め込んだ後の画素の一例を示した図である。また、上記説明では、第二電子透かしを画面の端に埋め込んでいるが、埋め込む位置は任意に変更することができる。
また、上記説明では第三画素群を一画素として説明したが、第三画素群を二画素以上で構成し、埋め込む数字を二以上に分離して埋め込んでもよい。例えば、図7を用いて、第一画素(A)、第二画素(B)、二画素からなる第三画素群(C,D)とし、「9」を埋め込む場合(Ga+9は255以上)について説明する。この場合、例えば「9」を「5」と「4」に分離し、第三画素群の一の画素(C)に5を埋め込んで、第三画素群の他の画素(D)に4を埋め込む。
さらに、上記説明では第二特定値及び第三特定値を第一画素のR値,G値,B値のいずれか一つと同じ値としたが、第二特定値、第三特定値はこれらに限定されるわけではない。
図8は第二特定値及び第三特定値が第一画素のR値,G値,B値のいずれか一つと同じ値ではない場合を説明するための説明図であり、図8(a)は「3」を埋め込む場合(Ga+3は255未満)、図8(b)(c)は「9」を埋め込む場合(Ga+9は255以上)の例を示す。本発明では、図8(a)で示す如く、第二特定値を、埋め込み後の第二画素(B)と同じ値(Ra+3)としてもよい。また、第三特定値を255(図8(b)参照)や255の2倍(500)から第一画素を引いた値(図13(c)参照)としてもよい。
【0062】
また、第二電子透かしの情報を読み取ることで、元データが改竄されていないか検証することができる。つまり、第二電子透かしの情報が本来埋め込まれたはずのものと異なるものとなっていれば、改竄が行われたと判断することができる。具体的には、第二電子透かしの情報を他の手段で保存しておき、実際の第二電子透かしの情報と比較することで、改竄を検証する。
【0063】
次いで、上記した第一、第二電子透かし埋め込み方法を用いた電子透かし埋め込み装置及び埋め込み方法の実施形態について説明する。
図9は本実施形態に係る電子透かし埋め込み装置(100)の構成を示す図、図10は本実施形態に係る電子透かし埋め込み方法を示すフロー図、図11はデータや電子透かし等の情報間の関係を示す図である。また、図12は電子透かし等が埋め込まれたデータを説明するための説明図である。
【0064】
本実施例に係る電子透かし埋め込み装置(100)は、元データ読み込み手段(11)、第一電子透かし作成手段(12)、第一電子透かし埋め込み手段(13)、署名書き込み手段(14)、色変換検出情報埋め込み手段(15)、第二電子透かし作成手段(16)、第二電子透かし埋め込み手段(17)、ヘッダ・フッタ付加情報書き込み手段(18)を有する。また、これらの手段で処理されるデータを適宜保存するための保存手段(19)も有する。
【0065】
元データ読み込み手段(11)は、電子透かしを埋め込む元データ(a)を読み込むための手段であり、読み込んだ元データ(a)は保存手段(19)に保存される。元データ読み込み手段(11)で取り込まれる元データ(a)は静止画のデジタル画像であり、写真、イラスト、文書等のコンテンツを挙げることができる。また、静止画の保存形式としてはBMP・GIF・JPEG・PNG等を挙げることができる。
また、元データ(a)が写真の場合には、元データ(a)にイグジフ(Exif:Exchangeable Image File Format)情報を組み込んでもよい。イグジフ情報とは、電子技術産業協会(JEITA)が提唱した規格で、撮影手段(デジタルカメラ等)のシャッタースピード、絞り、ストロボの使用状況、撮影日時等をデータとともに記録するものである。イグジフ情報を組み込むことにより、データを撮影したときの状況を知ることができ、データを実際に使用するときの利便性が向上する。
また、イグジフ情報は暗号化されていてもよい。これにより、イグジフ情報が読み取られる危険性を低減することができ、情報漏洩を防ぐことができる。
【0066】
第一電子透かし作成手段(12)は元データ(a)に埋め込むための第一電子透かし(1)を作成するための手段である。
第一電子透かし(1)は、上記したオリジナルフォント(図1〜3参照)により、元データ(a)に関する情報、つまり元データ(a)の真正性を保証するための真正保証情報が記載された不可視不可逆な画像データである。具体的には、第一電子透かし(1)は、図12で示す如く、真正保証情報(図12では「12645876535733」)が内部に記載されている画像データである。第一電子透かし(1)を画像データとすることにより、テキストデータに比して改竄されにくいものとなる。なお、図12中では、説明の都合上、第一電子透かし(1)が可視的に示されているが、実際は不可視である。
【0067】
第一電子透かし(1)として埋め込まれる真正保証情報は元データ(a)に関する情報であれば特に限定されない。例えば、元データ(a)が写真の場合、第一電子透かし(1)には、撮影場所を示す位置情報を挙げることができる。位置情報としてはGPS情報を用いればよい。また、位置情報としては、GPS情報に加え、高度情報と方位情報を含むことが好ましい。具体的には、デジタル高度計とデジタル方位計を組み合わせ、地上からの高度を高度情報として、撮影した方位を方位情報として追加記録する。これまでのGPS情報は経度、緯度、年月日、時分秒のみであったため、二次元的位置の特定しか行うことができなかったが、高度情報及び方位情報を含むことにより、三次元的位置の特定を行うことができ、一義的に撮影場所を特定することが可能となる。
真正保証情報として埋め込まれる情報としては、その他にも、写真の撮影に使用した機材(デジタルカメラ等)のスペックや、撮影時の温度、撮影時の湿度等も挙げることができる。このように真正保証情報として様々な情報を用いることにより、真正保証情報がどのようなものであるか推測することが困難となるため、元データ(a)が改竄されにくくなり、元データ(a)の真正性をさらに高めることができる。
また、元データ(a)が著作物の場合は、第一電子透かし(1)として著作者の氏名、作成日時等を埋め込むことが好ましい。
また、真正保証情報が元データ(a)に関する情報であるため、実際に元データ(a)を利用する際、真正保証情報を読み取って当該情報を利用することができ、利便性が向上する。
【0068】
さらに、第一電子透かし(1)である画像データには、オリジナルフォントで真正保証情報が記載されているため、一般的なフォントを用いるのに比して、真正保証情報の読み取りを困難にすることができる。
また、オリジナルフォントは専用装置(後述する電子透かし検証装置(200))でしか読み取れないようにすることが好ましい。これにより、第一電子透かしの改竄をより確実に防ぐことができ、改竄の検出を確実に行うことができる。
【0069】
第一電子透かし埋め込み手段(13)は、保存手段(19)に保存されている元データ(a)を読み取り、元データ(a)に第一電子透かし(1)を埋め込むための手段である。ここで、第一電子透かし(1)が埋め込まれた直後の元データ(a)を便宜上、第一電子透かし埋め込みデータ(b)と称す。
【0070】
署名書き込み手段(14)は第一電子透かし(1)とは別に真正保証情報を視覚化したデジタルデータの署名(2)として第一電子透かし埋め込み手段(b)の一部(図4では右上部)に書き込む手段である。ここで、署名(2)が書き込まれた直後の元データ(a)を便宜上、署名書き込みデータ(c)と称す。
署名(2)として書き込む真正保証情報としては、第一電子透かし(1)で用いる真正保証情報のうちの少なくとも一つの情報(例えばGPS情報等)を用いる。これにより、第一電子透かし(1)として埋め込まれた真正保証情報と署名(2)として書き込まれた真正保証情報を比較し、改竄が行われているか検証することができる。具体的には、第一電子透かし(1)として埋め込まれた真正保証情報と署名(2)として書き込まれた真正保証情報が異なれば改竄が行われていると判断することができる。
また、電子透かし処理を行ったデータにのみ署名(2)を書き込むことにより、署名(2)が書き込まれているものは電子透かし処理が施されているものと判断することができる。つまり、署名(2)は視覚化されているため、特別な装置(例えば、後述する電子透かし検証装置(200))を用いずに、一目で電子透かし処理を施したデータか否かを判別することができる。
【0071】
色変換検出情報埋め込み手段(15)は、元データの少なくとも特定の一画素(図12では左上、左下、右上、右下の四隅の計四箇所夫々における一画素(3))を特定の色に変換するための手段である。このように一画素(3)を特定の色に変換することで、データ全体にフィルタをかけて色変換させる改竄を検出することができる。例えば、特定の一画素(3)のR値,G値,B値を(50,50,50)とした場合、仮に全体のデータに対して、R値に−2、G値に−9、B値に+2の色変換処理がなされていれば、検証時に特定の一画素(3)は(48,41,52)となるため、改竄が行われていることが分かる。また、改竄されたデータの全体に、R値+2、G値+9、B値−2の色変換を行えば、改竄されたデータから元のデータを得ることもできる。なお、以下の説明において、色変換された特定の一画素(3)を色変換検知情報(3)と称す。また、色変換検知情報(3)を埋め込んだ直後の元データ(a)を便宜上、色変換検知情報埋め込みデータ(d)と称す。
【0072】
第二電子透かし作成手段(16)は、色変換検知情報埋め込みデータ(d)に埋め込む上記した第二電子透かし(4)(図4〜6参照)を作成するための手段である。
第二電子透かし(4)は数値情報であり、後述する第一電子透かし位置情報(41)、第一スペクトル情報(42)、暗号化真正保証情報(43)、重心位置情報(44)、第二スペクトル情報(45)、改竄位置検出情報(46)等の情報のうち少なくとも一つを挙げることができる。また、これらの情報(41〜46)は後述する第二電子透かし埋め込み手段(17)により埋め込まれる。以下、夫々の情報(41〜46)について説明する。
【0073】
<第一電子透かし位置情報(41)>
第一電子透かし位置情報(41)とは、第一電子透かし(1)の埋め込まれている位置を特定するためのものである。具体的には、第一電子透かし(1)の右上端の位置を数値化したものである(例えば、上から20列目、右から1行目の画素が第一電子透かし(1)の右上端に一致する場合は、第一電子透かし位置情報を201とすればよい)。第一電子透かし位置情報(41)により、第一電子透かし(1)が埋め込まれた場所を特定することができ、第一電子透かしを読み取ることができる。
なお、第一電子透かしの埋め込む位置を予め決めておけば、第一電子透かし位置情報(41)は埋め込まなくてもよい。
【0074】
<第一スペクトル情報(42)>
第一スペクトル情報(42)とは、色変換検知情報埋め込みデータ(3)の全体を画素単位でR値,G値,B値に色分解した後、R値,G値,B値ごとに算出した和の値(R値の和、G値の和、B値の和)である。なお、下記数1は第一スペクトル情報を算出するための式である。第一スペクトル情報を埋め込んだ場合、例えば一画素のR値のみが改竄されたとしても、R値の和が変化するため、当該改竄を検知することができる。そのため、画像の色を局所的に変える改竄を防ぐことができる。
【0075】
【数1】

【0076】
<暗号化真正保証情報(43)>
暗号真正保証情報(43)とは、真正保証情報を数値化した情報であり、例えば数値情報であるGPS情報等を用いればよい。暗号化真正保証情報を埋め込むことにより、第一電子透かし(1)、署名(2)、暗号化真正保証情報(43)、ヘッダ・フッタ付加情報(5)(後述する)の真正付加情報を比較することができ、改竄が行われていないか検証することができる。具体的には、夫々の真正保証情報が異なる場合、改竄が行われていると判断することができる。なお、数値情報でない情報(例えば文字情報)を暗号化真正保証情報として用いたい場合は数値情報に変換して用いればよい。
【0077】
<重心位置情報(44)>
重心位置情報とは、R値,G値,B値夫々の重心の情報である。例えば、R値の重心位置情報の具体的な算出は、画素ごとについて画素の位置の値とR値をかけ合わせ、かけ合わせた値についての全ての画素の和を算出することで行う。なお、下記数2は重心位置情報(44)を算出するための式である。元データ(a)の一部を移動・回転・切り取り・拡大縮小する改竄が行われた場合、重心位置が変化するので、重心位置情報(44)を埋め込むことにより、当該改竄を検知することができる。
また、下記数2では、Mの画素の位置とPの画素の位置が同じであるが、本発明には、明度とかけ合わせる画素の位置が、当該明度を有する画素の位置と同じ必要はない。つまり、明度とかけ合わせる画素の位置を一定の規則に従ってシフトしたり、乱数などを利用し順序を入れ替えたりしてもよい。また、R値,G値,B値とかけ合わせる画素は、画素番号と同じ画素位置であってもよい。
被写体認識機能により元データ(a)に含まれる被写体を認識し、当該被写体の重心位置を算出した情報を用いてもよい。
【0078】
【数2】

【0079】
<第二スペクトル情報(45)>
第二スペクトル情報(45)とは色変換検知情報埋め込みデータ(3)全体をR値,G値,B値に色分解した後、夫々の画素のR値,G値,B値ごとに特定の値を演算し、特定の値を演算したR値,G値,B値ごとの和を算出した値である。演算方法は単純な四則演算の組み合わせであってもいいし、特定の演算方法であってもよい。
なお、下記数3は第二スペクトル情報(45)を算出するための式の一例であり、夫々の画素のR値,G値,B値ごとに特定の値を乗じ、特定の値を乗じたR値,G値,B値ごとの和を算出するための式である。また、特定の値は乱数や暗号化した数字列等を用いることにより、夫々の画素ごとや、R値,G値,B値ごとに異なるように設定することが好ましい。これにより、第三者に特定の値を解明されることを防ぐことができ、改竄が行われるのも防ぐことができる。
第二スペクトル情報(45)について、画素(A)と画素(B)が改竄された場合を例として以下説明する。なお、下記説明では、演算方法に乗算を用いた場合を例として説明するが、乗算以外の演算でも同様に改竄を検出することができる。
図13は、第二スペクトル情報(45)を説明するための説明図であり、上段が改竄前の画素(A,B)、下段が改竄後の画素(A,B)を示す。また、画素内部にはR値,G値,B値を記載している。具体的には、改竄前の画素(A)のR値,G値,B値が(10,10,10)、改竄前の画素(B)のR値,G値,B値が(20,20,20)である。また、図13下段の画素(A,B)は、改竄前の画素(A)のR値に+1、改竄前の画素(B)のR値に−1の改竄がなされ、改竄後の画素(A)のR値,G値,B値が(11,10,10)に、改竄後の画素(B)のR値,G値,B値が(19,20,20)となったものである。
この場合、改竄前後において、画素(A)と画素(B)のR値,G値,B値の和は、共に(30,30,30)であるため、第一スペクトル情報(42)では改竄がされているか否かを検出することができない。
ここで、第二スペクトル情報(45)を算出する際に画素(A)に2を乗じ、画素(B)に3を乗じたとすると、改竄前の画素(A)のR値,G値,B値夫々に2を乗じた値は(20,20,20)となり、改竄前の画素(B)のR値,G値,B値夫々に3を乗じた値は(60,60,60)となる。そして、特定の値を乗じたR値,G値,B値の改竄前の和は(80,80,80)となる。
一方、改竄後の画素(A)のR値,G値,B値夫々に2を乗じた値は(22,20,20)、改竄後の画素(B)のR値,G値,B値夫々に3を乗じた値は(57,60,60)となり、特定の値を乗じたR値,G値,B値の改竄後の和は(79,80,80)となる。このように、元データの画素の和(80,80,80)と異なるため、第一スペクトル情報で検出できなかった改竄を検出することができる。
【0080】
【数3】

【0081】
<改竄位置検出情報(46)>
改竄位置検出情報(46)とは、改竄の位置を特定するための情報である。図14は、改竄位置検出情報(46)を説明するための説明図である。改竄位置検出情報(46)は、図14に示す如く、第一電子透かし(1)の埋め込まれた部分を複数のブロック(1a)に分割し、ブロック(1a)ごとに、第一スペクトル情報、重心位置情報、第二スペクトル情報のいずれか一つ以上の情報を算出した情報である。改竄位置検出情報があることにより、ブロック(1a)ごとに改竄が行われているか否かを検出することができる。そのため、改竄されたブロック(1a)、即ち改竄の位置を特定することができる。また、改竄位置検出情報(46)のデータの容量が大きい場合には、下数桁(例えば下四桁)のみを用いてもよい。このようにすることで、改竄位置検出情報(46)の容量を小さく(具体的には元データの容量の1/10000以下)にすることができる。
なお、ハミング距離やパリティ符号を用いた誤り訂正符号を改竄検出情報として用いることもできるが、情報量が元データの1/10から1/100程度までしか小さくすることができない。この点からも上記改竄位置検出情報(46)が好ましいといえる。
【0082】
上記第一スペクトル情報(42)、暗号化真正保証情報(43)、重心位置情報(44)、第二スペクトル情報(45)、改竄位置検出情報(46)等の情報を埋め込むことにより、どのような改竄が行われたかを検証することができ、且つ改竄場所も特定することができる。
【0083】
第二電子透かし埋め込み手段(17)は、第二電子透かし作成手段(16)により作成された第二電子透かし(4)を色変換検知情報埋め込みデータ(d)に埋め込むための手段である。具体的な埋め込み方法としては、上記した第二電子透かしの埋め込み方法を用いる(図4〜8参照)。ここで、第二電子透かし(4)を埋め込んだ直後の元データ(a)を便宜上、第二電子透かし埋め込みデータ(e)と称す。なお、図4〜6で説明した「123」「456」「789」という三つの数値情報を埋め込む場合としては、R値の第一スペクトル情報が123でG値の第一スペクトル情報が456でB値の第一スペクトル情報が789の場合等を挙げることができる。
また、第二電子透かし(4)は元データ(a)における第一電子透かし(1)の埋め込んでいない部分及び色変換検出情報埋め込み手段(15)により特定の色に変換された画素(3)以外の部分に埋め込む。具体的には、図12のように、中央部に第一電子透かし(1)を埋め込み、四隅の画素(3)を色変換し、それ以外の範囲(図12では上部)に第二電子透かし(4)を埋め込む方法を挙げることができる。このとき周辺部の幅(4a)は第二電子透かし(4)の情報量により適宜設定すればよい。また、上記説明では、第二電子透かしを画面の端に埋め込んでいるが、埋め込む位置は任意に変更することができる。
【0084】
ヘッダ・フッタ付加情報書き込み手段(18)は第二電子透かし埋め込みデータ(e)のヘッダ及び/又はフッタにヘッダ・フッタ付加情報(5)を書き込むための手段である。ヘッダ・フッタ付加情報(5)とは、データのヘッダ及び/又はフッタに付加される情報であり、真正保証情報、色変換検知情報(3)、第一電子透かし位置情報(41)、第一スペクトル情報(42)、重心位置情報(44)、第二スペクトル情報(45)、改竄位置検出情報(46)等をテキスト形式化した情報を挙げることができる。ここで、ヘッダ・フッタ付加情報(5)を書き込んだ直後の元データ(a)を便宜上、最終データ(f)と称す。
ヘッダ・フッタ付加情報(5)として真正保証情報を付加することにより、第一電子透かし(1)、署名(2)、暗号化真正保証情報(43)の真正付加情報とヘッダ・フッタ付加情報の真正保証情報を比較することができ、改竄が行われていないか検証することができる。具体的には、夫々の真正保証情報が異なる場合、改竄が行われていると判断することができる。
また、色変換検知情報(3)、第一電子透かし位置情報(41)、第一スペクトル情報(42)、重心位置情報(44)、第二スペクトル情報(45)、改竄位置検出情報(46)が付加されていることにより、第二電子透かし(4)と比較することで、改竄を検証することができる。
また、ヘッダ・フッタ付加情報は真正保証情報が暗号化された情報でもよい。ヘッダ及び/又はフッタ部分の情報はバイナリーエディタで容易に編集することができるが、ヘッダ・フッタ付加情報が暗号化されていることにより、ヘッダ・フッタ付加情報の改竄を防止することができる。
また、ヘッダ・フッタ付加情報は、専用の装置(例えば、電子透かし検証装置(200))で閲覧できるようにすることが好ましい。これにより、元データ(a)閲覧時にヘッダ・フッタ付加情報(特に真正保証情報)を容易に利用することができるからである。
【0085】
上記したように、第一電子透かし(1)、署名(2)、暗号化真正保証情報(43)、ヘッダ・フッタ付加情報(5)の夫々の真正保証情報を比較することにより改竄の検証を行うこともできる。さらに、色変換検知情報(3)、第一スペクトル情報(42)、重心位置情報(44)、第二スペクトル情報(45)、改竄位置検出情報(46)等により、真正保証情報の比較とは異なる側面から改竄の検証を行うことができる。
【0086】
なお、本実施形態では、元データ(a)、第一電子透かし埋め込みデータ(b)、署名書き込みデータ(c)、色変換検出情報埋め込みデータ(d)、第二電子透かし埋め込みデータ(e)を保存手段(19)に保存してもよいが、最終データ(e)にしてから保存手段(19)に保存するようにしてもよい。つまり、保存手段(19)には元データ(a)を保存しないで、即座に最終データ(f)とする。これにより、改竄が比較的容易な元データ(a)が保存されないため、データが改竄されて悪用されることを防ぐことができる。また、元データ(a)を一旦保存手段(19)に保存し、最終データ(f)を作成後、削除してもよい。
また、図15は最終データ(f)である写真を示すが、図15で示す如く、視覚により認識できるのは署名(2)のみであり、他の情報(第一電子透かし(1)、色変換検知情報(3)、第二電子透かし(4)、ヘッダ・フッタ付加情報(5))は視覚では認識することができない。
【0087】
次いで、電子透かし埋め込み装置(100)による電子透かしの埋め込み方法について説明することにより、本発明に係る電子透かし埋め込み方法についても同時に説明する(主に図10,11参照)。
【0088】
まず、元データ読み込み手段(11)により、元データ(a)を読み込む(工程(A1))。元データ(a)が撮影手段により撮影された写真の場合、元データ(a)の読み込みは、元データ(a)を撮影手段から電子透かし埋め込み装置(100)(元データ読み込み手段(11))へ送信することで行えばよい。具体的には、WiFi等の無線通信で送信したり、有線通信で送信したりすることが挙げられる。これにより、比較的改竄が容易な元データ(a)を即座に電子透かし埋め込み装置(100)に送ることができ、最終データ(f)とすることができる。
また、撮影手段の時間と元データ読み込み手段(11)の時間を同期させ、撮影手段により撮影された元データが元データ読み込み手段(11)に読み込まれるまでに一定時間以上要したデータは削除するよう設定することが好ましい。ここで、一定時間とは、撮影手段により撮影してから元データ読み込み手段(11)に読み込まれるまでに通常要する時間を指す。到着までに一定時間以上要したデータは改竄されている可能性が高いからである。これにより、データの真正性を高めることができる。
また、元データ(a)をCDやDVD等の記録媒体に保存した後、電子透かし埋め込み装置(100)に読み込ませてもよい。
【0089】
次いで、第一電子透かし(1)を第一電子透かし作成手段により作成し、元データ(a)に埋め込むことで、第一電子透かし埋め込みデータ(b)を作成する(工程(A2))。
具体的には、元データ(a)の真正保証情報(GPS情報等)を、真正保証情報が記載された画像データに変換して第一電子透かし(1)を作成する。そして、第一電子透かし埋め込み手段(12)により元データ(a)に第一電子透かし(1)を埋め込むことで第一電子透かし埋め込みデータ(b)とする。
また、第一電子透かし(1)はテキストデータではなく不可視不可逆な画像データとして元データ(a)に埋め込む。第一電子透かし(1)をテキストデータではなく画像データとして埋め込むことにより、第一電子透かし(1)の情報を読み取られる危険性をより小さくすることができる。
【0090】
また、第一電子透かしに記載された真正保証情報は上記したオリジナルフォントである。オリジナルフォントを用いることにより、一般的なフォントを用いるのに比して、真正保証情報の読み取りを困難にすることができるからである。
【0091】
このとき、第一電子透かし(1)は元データ(a)の略全面に埋め込む。ここでいう略全面とは、第二電子透かし(4)を埋め込む範囲及び色変換検出情報埋め込み手段(15)により特定の色に変換された画素(3)以外の範囲(但し、第一電子透かし(1)の形等を考慮し、当該範囲の一部に第一電子透かし(1)の埋め込まれていない範囲があってもよい)を指す。つまり、後の工程で第二電子透かし(4)を埋め込んだり、画素(3)の色を変換させたりするため、第二電子透かし(4)を埋め込む範囲及び画素(3)を除いて第一電子透かし(1)を埋め込む。
第一電子透かし(1)を略全面ではなく、元データ(a)の一部にのみ埋め込んだ場合、埋め込んだ位置が特定されれば、第一電子透かし(1)の改竄・切り取りを比較的容易に行うことができる。しかしながら、第一電子透かし(1)を元データ(a)の略全面に埋め込むことにより、元データ(a)の一部が改竄されたとしても、改竄されていない位置に埋め込まれた第一電子透かし(1)を読み取ることができる。それにより、改竄の検証を容易に行うことができる。
【0092】
次いで、第一電子透かし(1)とは別に真正保証情報を視覚化したデジタルデータを署名(2)として第一電子透かし埋め込みデータ(b)の一部(図12では右上部)に書き込むことで、署名書き込みデータ(c)を作成する(工程(A3))。電子透かし処理を行ったデータにのみ署名(2)を施すことにより、署名(2)が書き込まれているデータは電子透かし処理が施されているものと判断することができる。
【0093】
次いで、色変換検出情報埋め込み手段(15)により、元データの特定の一画素(図12では左上隅の一画素(3))を特定の色に変換する(工程(A4))。このように一画素(3)を特定の色に変換することで、データ全体にフィルタをかけて色変換させる改竄を検出することができる。
【0094】
次いで、第二電子透かし作成手段(16)により第二電子透かし(4)を作成し、第二電子透かし埋め込み手段(17)により署名書き込みデータ(c)に埋め込んで、第二電子透かし埋め込みデータ(d)とする(工程(A5))。このとき、第二電子透かし(4)を第一電子透かし(1)の埋め込んでいない場所及び画素(3)以外の場所に埋め込む。第二電子透かし(4)は数値情報であり、例えば、第一電子透かし位置情報(41)、第一スペクトル情報(42)、暗号化真正保証情報(43)、重心位置情報(44)、第二スペクトル情報(45)、改竄位置検出情報(46)等を挙げることができる。
また、数値情報である第二電子透かし(4)を色情報に変換して埋め込む。具体的には、第一画素、第二画素、第三画素群を一単位として、一単位ごとに一つの数字を埋め込む。
第一画素のR値,G値,B値のいずれか一つを基準として、当該基準となるR値,G値,B値のいずれか一つの値と第二電子透かしの値と対応する値に対して第一演算を行った値(以下、Xとする)が第一特定値(本実施形態では255)未満であれば、第二画素のR値,G値,B値のいずれか一つをXに変化させ、且つ第三画素群のR値,G値,B値のいずれか一つを第二特定値(例えば、基準となる第一画素のR値,G値,B値のいずれか一つと同じ値)に変化させる。また、Xが第一特定値(255)以上であれば、第二画素のR値,G値,B値のいずれか一つを第一特定値(255)に変化させ、第三画素のR値,G値,B値のいずれか一つを第三特定値(例えば、基準となる第一画素のR値,G値,B値のいずれか一つ)と第二電子透かしの値と対応する値に対して第二演算を行った値に変化させる。このように、第一画素のR値,G値,B値のいずれか一つを基準として、第二画素及び第三画素のR値,G値,B値のいずれか一つを変化させることで第二電子透かし(4)を埋め込む。
【0095】
そして、GPS情報等の真正保証情報をテキスト化して、第二電子透かし埋め込みデータ(e)のヘッダ及び/又はフッタに書き込み、最終データ(f)を完成させる(工程(A6))。また、色変換検知情報(3)、第一電子透かし位置情報(41)、第一スペクトル情報(42)、重心位置情報(44)、第二スペクトル情報(45)、改竄位置検出情報(46)等をテキスト形式化した情報をヘッダ及び/又はフッタに書き込んでもよい。
【0096】
最終データ(f)完成後、保存手段(19)に保存されている元データ(a)、第一電子透かし埋め込みデータ(b)、署名書き込みデータ(c)、色変換検出情報埋め込みデータ(d)、第二電子透かし埋め込みデータ(e)は削除することが好ましい。これにより、元データ自体が改竄されて悪用されることを防ぐことができるからである。
なお、元データ(a)を保存しておき、元データ(a)を用いて差分法により改竄の検出を行ってもよい。
【0097】
また、上記説明では、元データ(a)に第一電子透かし(1)、署名(2)、暗号電子透かし(3)、第二電子透かし(4)、ヘッダ・フッタ付加情報(5)の順で埋め込み(又は書き込み)を行ったが、当該順番に限られるわけでなく、適宜順番を変更してもよい。また、二以上のデータを同時に埋め込んでも(又は書き込んでも)よい。
また、第一電子透かし(1)、署名(2)、暗号電子透かし(3)、ヘッダ・フッタ付加情報(5)の真正保証情報は全く同一のものでなくてもよい。つまり、元データ(a)の検証を行うために比較する情報を一部に有していればよい。
【0098】
次いで、電子透かし埋め込み装置(100)により埋め込まれた電子透かしを用いてデータを検証するための電子透かし検証装置(200)及び電子透かし検証方法の実施形態について説明する。
【0099】
図16は本実施形態に係る電子透かし検証装置(200)の構成を示す図、図17は本実施形態に係る電子透かし検証方法を示すフロー図である。
【0100】
本実施例に係る電子透かし検証装置(200)は、最終データ読み込み手段(21)、第一電子透かし読み取り手段(22)、署名読み取り手段(23)、色変換検出情報読み取り手段(24)、第二電子透かし読み取り手段(25)、ヘッダ・フッタ情報読み取り手段(26)、真正保証情報比較手段(27)、地図情報表示手段(28)を有する。また、これらの手段で処理されるデータを適宜保存するための保存手段(29)も有する。
【0101】
最終データ読み込み手段(21)は最終データ(f)を読み込むための手段であり、読み込まれた最終データ(f)は保存手段(29)に保存される。
【0102】
第一電子透かし読み取り手段(22)は最終データ(f)から第一電子透かし(1)を読み取るための手段である。
第一電子透かし読み取り手段(22)について具体的に説明すると、後述する第二電子透かし読み取り手段(25)により第一電子透かし位置情報(41)を読み取り、第一電子透かし位置情報(41)に基づき第一電子透かし(1)の位置を特定して、第一電子透かし(1)を読み取る。そして、画像データである第一電子透かし(1)をテキスト化する。具体的には、第二電子透かし(4)の中から隣接する画素との明度差が特定の値の場所を検出し、その場所をオリジナルフォントとして認識することで、第一電子透かし(1)にオリジナルフォントで記載された情報を読み取り、テキスト化する。このとき、第一電子透かし(1)の読み取りを専用の電子透かし検証装置(200)でしか行えないように設定する。これにより、第一電子透かし(1)の改竄が困難となり、データの真正性を高くすることができる。なお、テキスト化した情報が暗号化されている場合は適宜復号すればよい。
また、第一電子透かし(1)は、元データ(a)の略全面に埋め込まれているため、データの一部が切り取られたり改竄されたりした場合でも、データの検証を行うことができる。
【0103】
署名読み取り手段(23)は最終データにある署名(真正保証情報)を読み取り、真正保証情報を読み取るための手段である。
【0104】
色変換検出情報読み取り手段(24)は最終データに埋め込まれた色変換検出情報(3)を読み取るための手段である。そして、色変換検出情報読み取り手段(24)により読み取った色変換検出情報(3)の色が、色変換検出情報埋め込み手段(15)により埋め込んだ色変換検出情報(3)の色と異なる場合に改竄が行われていると判断する。これにより、データ全体にフィルタをかけて色変換させる改竄を検出することができる。
【0105】
第二電子透かし読み取り手段(25)は、第二電子透かし(4)を読み取るための手段である。具体的には、第一電子透かし位置情報(41)、第一スペクトル情報(42)、重心位置情報(44)、第二スペクトル情報(45)、改竄位置検出情報(46)等の情報を読み取る。そして、各情報を検証することにより、最終データ(f)の改竄が行われていないかを検証する。
また、第二電子透かし(4)は、第三画素群のR値,G値,B値の一つが第二特定値と同じ値であれば、第二画素のR値,G値,B値の一つと、基準となる第一画素のR値,G値,B値の一つをもとに、第一演算を逆算して埋め込んだ情報を読み取る。例えば、第一演算が加法であれば、第二画素のR値,G値,B値の一つから基準となる第一画素のR値,G値,B値の一つを引くことで埋め込んだ情報を読み取る。第三画素群のR値,G値,B値の一つが第二特定値と異なる値であれば、第三特定値と第三画素群のR値,G値,B値の一つをもとに、第二演算を逆算して埋め込んだ情報を読み取る。例えば、第二演算が減法であれば、第三特定値から第三画素群のR値,G値,B値の一つを引いくことで埋め込んだ情報を読み取る。また、第三画素群が二画素以上から構成されている場合は、第三画素群全てに埋め込まれている情報を読み取り、足し合わせることで第二電子透かしを読み取ればよい。なお、第一画素、第二画素、第三画素群がどの画素なのか、情報をどのように埋め込むか(R値,G値,B値のいずれに埋め込むか等)は予め設定しておき、その設定に基づいて第二電子透かしを読み取ればよい。
【0106】
ヘッダ・フッタ情報読み取り手段(26)は最終データのヘッダ及び/又はフッタに付加された真正保証情報を読み取るための手段である。
【0107】
真正保証情報比較手段(27)は、第一電子透かし読み取り手段(22)、署名読み取り手段(23)、第二電子透かし読み取り手段(25)、ヘッダ・フッタ情報読み取り手段(26)の夫々によって得られた真正保証情報を比較することによって、改竄が行われていないかを検証するための手段である。
このように複数の真正保証情報を比較することにより、改竄が発覚しないように改竄するためには、複数の真正保証情報を同様に改竄するか、全ての真正保証情報を変更せずに他の部分のみを改竄しなければならず、事実上改竄が不可能となる。
また、比較する真正保証情報は全て同一のデータ内に存在する。そのため、一つのデータのみで真正性を検証することができる。つまり、真正保証情報のオリジナルデータを別途保存しておく必要がなく、オリジナルデータが紛失・改竄されることで改竄の検証を行えなくなることがない。
なお、予め真正保証情報を別途保存しておき、上記した複数の真正保証情報と比較し、真正性をより高めることもできる。
【0108】
地図情報表示手段(28)は、地図情報を表示するための手段であり、真正保証情報に写真の撮影場所等の位置情報が含まれている場合、当該位置情報と地図を連動させる。具体的には、真正保証情報のうちの位置情報と対応する場所が、地図情報表示手段により表示された地図上で示される。これにより、例えば位置情報が撮影場所である場合、どこで撮影されたデータかを視覚的に把握することができ、利便性が向上する。さらに、位置情報として高度情報と方位情報を含むことにより、三次元的位置の特定を行うことができ、一義的に撮影場所を特定することが可能となる。また、図16では地図情報表示手段(28)が第一電子透かし読み取り手段(22)とのみ接続しており、第一電子透かし(1)の真正保証情報を読み取って利用している。但し、地図情報表示手段(28)は第一電子透かし(1)の真性保証情報を利用する必要はなく、署名(2)、ヘッダ・フッダ付加情報(5)、暗号化真正保証情報(43)のうちいずれかの真正保証情報を利用してもよい。この場合、地図情報表示手段(28)は署名読み取り手段(23)、第二電子透かし読み取り手段(25)、ヘッダ・フッタ付加情報読み取り手段(26)と適宜接続して、各情報を利用できるようにすればよい。特にヘッダ・フッタ付加情報(5)は読み取りが容易であるため、容易に利用することができ好ましい。また、地図上に表示される位置情報は、データと共に表示してもよい。
【0109】
次いで、電子透かし検証装置(200)による電子透かし検証方法について説明することにより、本発明に係る電子透かし検証方法についても同時に説明する(主に図17参照)。
【0110】
まず、最終データ読み込み手段(21)により最終データ(f)を読み込む(工程(B1))。
【0111】
そして、第一電子透かし読み取り手段(22)により第一電子透かし(1)を、署名読み取り手段(23)により署名(2)を、第二電子透かし読み取り手段(25)により暗号化真正保証情報(43)を、ヘッダ・フッタ情報読み取り手段(26)によりヘッダ・フッタ付加情報(5)を夫々読み取る。そして、第一電子透かし(1)、署名(2)、暗号化真正保証情報(43)、ヘッダ・フッタ付加情報(5)夫々から真正保証情報を読み取る(工程(B2))。
【0112】
そして、第一電子透かし(1)、署名(2)、暗号化真正保証情報(43)、ヘッダ・フッタ付加情報(5)の夫々の真正保証情報を比較することで改竄が行われているかを検証する(工程(B3))。具体的には、全ての真正保証情報が同一でなければ改竄が行われていると判断することができる。このとき、比較する真正保証情報は全て同一のデータ内に存在する。そのため、一つのデータのみで真正性を検証することができる。つまり、オリジナルデータを必要とせず、オリジナルデータが紛失・改竄されることで真正性の検証を行えなくなることを防止することができる。
なお、データに埋め込まれた(又は書き込まれた)真正保証情報以外に、オリジナルデータとして別途真正保証情報を保存しておき、別途保存しておいた真正保証情報と比較してもよい。別途真正保証情報を保存しておくことにより、より確実に真正性の検証を行うことができる。
【0113】
また、元データ(a)を消去しないで保存している場合、元データ(a)と最終データを差分法により比較することで、第一電子透かし(1)を読み取ったり、改竄位置を確認したりすることもできる。
【0114】
次いで、色変換検出情報読み取り手段(24)により最終データ(f)から色変換検出情報(3)を読み取り、改竄が行われていないか検証する(工程(B4))。具体的には、色変換検出情報読み取り手段(24)により読み取った色変換検出情報(3)の色が、色変換検出情報埋め込み手段(15)により埋め込んだ色変換検出情報(3)の色と異なる場合に改竄が行われていると判断する。これにより、データ全体にフィルタをかけて色変換させる改竄を検出することができる。
【0115】
次いで、第二電子透かし読み取り手段(25)により最終データ(f)から第二電子透かし(4)を読み取り、改竄が行われていないか検証する(工程(B5))。これにより、真正保証情報の比較とは別の観点から改竄の検証を行うことができ、データの真正性をさらに確実なものにすることができる。具体的には、第一スペクトル情報(42)、重心位置情報(44)、第二スペクトル情報(45)、改竄位置検出情報(46)等の情報を検証することにより、真正性を確かめる。
【0116】
なお、上記説明では、電子透かし埋め込み装置(100)と電子透かし検証装置(200)を異なる装置として別々に説明したが、電子透かし埋め込み装置(100)と電子透かし検証装置(200)の両方の機能を有する装置も本発明には当然含まれる。また、その場合、保存手段(19,29)は同一のものであってもよい。
また、第一電子透かし(1)、署名(2)、色変換検出情報(3)、第二電子透かし(4)ヘッダ・フッタ付加情報(5)を埋め込む順番や、これらの情報(1〜5)を用いて検証する順番は上記説明による順番に限定されるわけではなく、また同時に埋め込み・検証の処理を行ってもよい。
また、元データに真正保証情報を複数埋め込み、それらを比較することで真正性を検証するものであれば本発明に含まれ、真正保証情報の埋め込み方も本明細書により限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0117】
以上説明した如く、本発明は、真正性を確保したいデータに対する電子透かしの埋め込み・検証に好適に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】第一電子透かしを説明するための説明図である。
【図2】第一電子透かしの一部(オリジナルフォントで「1」を記載した部分)を示すイメージ図である。
【図3】図2の一部を示す説明図である。
【図4】数値情報を色情報として埋め込む方法を説明するための説明図である。
【図5】数値情報を色情報として埋め込む方法を説明するための説明図である。
【図6】数値情報を色情報として埋め込む方法を説明するための説明図である。
【図7】数値情報を色情報として埋め込む方法を説明するための説明図である。
【図8】数値情報を色情報として埋め込む方法を説明するための説明図である。
【図9】本実施形態に係る電子透かし埋め込み装置の構成を示す図である。
【図10】本実施形態に係る電子透かし埋め込み方法を示すフロー図である。
【図11】データや電子透かし等の情報間の関係を示す図である。
【図12】元データを説明するための説明図である。
【図13】第二スペクトル情報を説明するための説明図である。
【図14】改竄位置検出情報を説明するための説明図である。
【図15】最終データである写真を示す図である。
【図16】本実施形態に係る電子透かし検証装置の構成を示す図である。
【図17】本実施形態に係る電子透かし検証方法を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0119】
a 元データ
1 第一電子透かし
2 署名
3 色変換検知情報
4 第二電子透かし
5 ヘッダ・フッタ付加情報
11 元データ読み込み手段
12 第一電子透かし作成手段
13 第一電子透かし埋め込み手段
14 署名書き込み手段
15 色変換検出情報埋め込み手段
16 第二電子透かし作成手段
17 第二電子透かし埋め込み手段
18 ヘッダ・フッタ付加情報書き込み手段
21 最終データ読み込み手段
22 第一電子透かし読み取り手段
23 署名読み取り手段
24 色変換検出情報読み取り手段
25 第二電子透かし読み取り手段
26 ヘッダ・フッタ情報読み取り手段
27 真正保証情報比較手段
28 地図情報表示手段
100 電子透かし埋め込み装置
200 電子透かし検証装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
元データに電子透かしを埋め込む電子透かし埋め込み装置であって、
該元データのある画素のR値,G値,B値を基準とし、他の画素のR値、B値、G値のいずれかを変化させることにより電子透かしを埋め込むための電子透かし埋め込み手段を有することを特徴とする電子透かし埋め込み装置。
【請求項2】
前記電子透かし埋め込み手段が、オリジナルフォントにより文字や絵が記載された画像データである第一電子透かしを埋め込む第一電子透かし埋め込み手段であって、
該オリジナルフォントが、
ある画素のR値,G値,B値を基準とし、該画素の一方に隣接する画素のR値,G値,B値を、該画素との差が一定になるように色変換することで構成されていることを特徴とする請求項1記載の電子透かし埋め込み装置。
【請求項3】
前記電子透かし埋め込み手段が、数値情報である第二電子透かしを埋め込む第二電子透かし埋め込み手段であって、
第一画素、第二画素、第三画素群を一単位とし、
該第一画素のR値,G値,B値のいずれか一つを基準として、
該基準となるR値,G値,B値のいずれか一つの値と該電子透かしの値と対応する値に対して第一演算を行った値が第一特定値未満であれば、
前記第二画素のR値,G値,B値のいずれか一つを該第一演算を行った値に変化させ、且つ前記第三画素群のR値,G値,B値のいずれか一つを第二特定値に変化させ、
該第一演算を行った値が前記第一特定値以上であれば、
前記第二画素を該第一特定値に変化させ、且つ前記第三画素群のR値,G値,B値のいずれか一つを第三特定値と該電子透かしの値と対応する値に対して第二演算を行った値に変化させることを特徴とする請求項1又は2記載の電子透かし埋め込み装置。
【請求項4】
前記第二電子透かしが、
前記元データを画素単位でR値,G値,B値に色分解した後、R値,G値,B値ごとに算出した和の値である第一スペクトル情報、
前記元データのR値,G値,B値夫々の重心の値である重心位置情報、
前記元データをR値,G値,B値に色分解した後、夫々の画素のR値,G値,B値ごとに特定の値を演算し、特定の値を演算したR値,G値,B値ごとの和を算出した値である第二スペクトル情報、
前記元データを複数のブロックに分割し、該ブロックごとに前記第一スペクトル情報、前記重心位置情報、前記第二スペクトル情報のいずれか一つ以上の情報を算出した情報である改竄位置検出情報のうちいずれか一つ以上を有することを特徴とする請求項3記載の電子透かし埋め込み装置。
【請求項5】
請求項2記載の第一電子透かし埋め込み手段と請求項3記載の第二電子透かし埋め込み手段を有する電子透かし埋め込み手段であって、
前記第二電子透かしが、前記第一電子透かしの埋め込まれている位置を特定するための第一電子透かし位置情報を有することを特徴とする電子透かし埋め込み装置。
【請求項6】
少なくとも元データの特定の一画素を特定の色に変換するための色変換検出情報埋め込み手段を有することを特徴とする請求項1乃至5いずれか記載の電子透かし埋め込み装置。
【請求項7】
前記第一電子透かしが、元データの略全面に埋め込まれていることを特徴とする請求項2記載の電子透かし埋め込み装置。
【請求項8】
請求項1乃至7いずれか記載の電子透かし埋め込み装置により電子透かしが埋め込まれたデータを検証する電子透かし検証装置であって、
前記電子透かし埋め込み手段により埋め込まれた電子透かしを読み取るための電子透かし読み取り手段を有することを特徴とする電子透かし検証装置。
【請求項9】
請求項2記載の電子透かし埋め込み装置により電子透かしが埋め込まれたデータを検証する電子透かし検証装置であって、
前記第一電子透かしを読み取るための第一電子透かし読み取り手段を有することを特徴とする電子透かし検証装置。
【請求項10】
請求項3記載の電子透かし埋め込み装置により電子透かしが埋め込まれたデータを検証する電子透かし検証装置であって、
前記第二電子透かしを読み取るための第二電子透かし読み取り手段を有することを特徴とする電子透かし検証装置。
【請求項11】
請求項6記載の電子透かし埋め込み装置により電子透かしが埋め込まれたデータを検証する電子透かし検証装置であって、
前記電子透かしを埋め込む手段により埋め込まれた電子透かしを読み取るための電子透かし読み取り手段と、
前記色変換検出情報埋め込み手段により変換された色を読み取るための色変換検出情報読み取り手段を有することを特徴とする電子透かし検証装置。
【請求項12】
前記電子透かし埋め込み装置により埋め込まれた電子透かしが、位置情報を含む真正保証情報であり、
前記位置情報が、地図情報表示手段により表示された地図上に示されることを特徴とする請求項8乃至11いずれか記載の電子透かし検証装置。
【請求項13】
前記位置情報が高度情報と方位情報を含むことを特徴とする請求項12記載の電子透かし検証装置。
【請求項14】
元データに電子透かしを埋め込む工程を有する電子透かし埋め込み方法であって、
該電子透かしを埋め込む工程が、
該元データのある画素のR値,G値,B値を基準とし、他の画素のR値、B値、G値のいずれかを変化させることにより電子透かしを埋め込む工程であることを特徴とする電子透かし埋め込み方法。
【請求項15】
前記電子透かしを埋め込む工程が、オリジナルフォントにより文字や絵が記載された画像データである第一電子透かしを埋め込む工程であって、
該オリジナルフォントが、
ある画素のR値,G値,B値を基準とし、該画素の一方に隣接する画素のR値,G値,B値を、該画素との差が一定になるように色変換することで構成されていることを特徴とする請求項14記載の電子透かし埋め込み方法。
【請求項16】
前記電子透かし埋め込み工程が、数値情報である第二電子透かしを埋め込む工程であって、
第一画素、第二画素、第三画素群を一単位とし、
該第一画素のR値,G値,B値のいずれか一つを基準として、
該基準となるR値,G値,B値のいずれか一つの値と該電子透かしの値と対応する値に対して第一演算を行った値が第一特定値未満であれば、
前記第二画素のR値,G値,B値のいずれか一つを該第一演算を行った値に変化させ、且つ前記第三画素のR値,G値,B値のいずれか一つを第二特定値に変化させ、
該第一演算を行った値が前記第一特定値以上であれば、
前記第二画素を該第一特定値に変化させ、且つ前記第三画素のR値,G値,B値のいずれか一つを第三特定値と該電子透かしの値と対応する値に対して第二演算を行った値に変化させることを特徴とする請求項14又は15記載の電子透かし埋め込み方法。
【請求項17】
前記第二電子透かしが、
前記元データを画素単位でR値,G値,B値に色分解した後、R値,G値,B値ごとに算出した和の値である第一スペクトル情報、
前記元データのR値,G値,B値夫々の重心の値である重心位置情報、
前記元データをR値,G値,B値に色分解した後、夫々の画素のR値,G値,B値ごとに特定の値を演算し、特定の値を演算したR値,G値,B値ごとの和を算出した値である第二スペクトル情報、
前記元データを複数のブロックに分割し、該ブロックごとに前記第一スペクトル情報、前記重心位置情報、前記第二スペクトル情報のいずれか一つ以上の情報を算出した情報である改竄位置検出情報のうちいずれか一つ以上を有することを特徴とする請求項16記載の電子透かし埋め込み方法。
【請求項18】
請求項15記載の第一電子透かしを埋め込む工程と請求項16記載の第二電子透かしを埋め込む工程を有する電子透かし埋め込み方法であって、
前記第二電子透かしが、前記第一電子透かしの埋め込まれている位置を特定するための第一電子透かし位置情報を有することを特徴とする電子透かし埋め込み方法。
【請求項19】
少なくとも元データの特定の一画素を特定の色に変換する工程を有することを特徴とする請求項14乃至18いずれか記載の電子透かし埋め込み方法。
【請求項20】
請求項14乃至19いずれか記載の電子透かし埋め込み方法により電子透かしが埋め込まれたデータを検証する電子透かし検証方法であって、
埋め込まれた前記電子透かしを読み取る工程を有することを特徴とする電子透かし検証方法。
【請求項21】
請求項15記載の電子透かし埋め込み方法により電子透かしが埋め込まれたデータを検証する電子透かし検証方法であって、
前記第一電子透かしを読み取る工程を有することを特徴とする電子透かし検証方法。
【請求項22】
請求項16記載の電子透かし埋め込み方法により電子透かしが埋め込まれたデータを検証する電子透かし検証方法であって、
前記第二電子透かしを読み取る工程を有することを特徴とする電子透かし検証方法。
【請求項23】
請求項19記載の電子透かし埋め込み方法により電子透かしが埋め込まれたデータを検証する電子透かし検証方法であって、
前記電子透かしを読み取る工程と、
前記変換された色を読み取るための色変換検出情報読み取り手段を有することを特徴とする電子透かし検証方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−200754(P2009−200754A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−39444(P2008−39444)
【出願日】平成20年2月20日(2008.2.20)
【出願人】(508053289)
【Fターム(参考)】