説明

電子部品とコンダクタ・トラックを接合するための熱活性化し得る接着テープ

【課題】電子部品及びコンダクタ・トラックを接合するための、高温で低流動性の熱活性化し得る接着剤の提供。
【解決手段】本発明は、柔軟なコンダクタ・トラックを製造し、更に加工するための、少なくとも
a)エポキシド変性ビニル芳香族ブロックコポリマ−、
b)エポキシ樹脂及び
c)高温でエポキシド基と架橋しうる硬化剤、
からなる、但しaとbの比が40:60−80:20である、接着剤を有する熱活性化できる接着テープに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品(electronic component)及び柔軟な印刷コンダクタ・トラック(conductor track)(柔軟な印刷回路板、FPCB)を接合するための、高温で低流動性の熱活性化し得る接着剤に関する。
【背景技術】
【0002】
柔軟な印刷回路板は、多くの電子装置、例えば携帯電話、ラジオ、コンピュータ、プリンタ、など多くのものに使用されている。それらは銅の及び耐高溶融性熱可塑性樹脂、多くはポリイミド、少なくはポリエステルから作られる。これらのFPCBは、しばしば特に厳格な必要条件に合格する接着テープを用いて製造される。一方、FPCBを製造するには銅フォイルがポリイミドフィルムに接合される。一方個々のFPCBは又互いに接合され、この場合ポリイミドがポリイミドとが接合される。これらの用途の他に、FPCBは他の基材にも接合される。
【0003】
これらの接合作業に使用される接着テープは非常に厳格な必要条件に供される。非常に高い結合性能が達成されねばならないから、使用される接着剤テープは高温で使用される、一般に熱で活性化しうるテープである。これらの接着テープは、この高温負荷の、しばしば約200℃の温度で行なわれるFPCBの接合過程において揮発性成分を放出してはならない。高程度の付着を達成するために、接着テープはこの温度負荷中に架橋すべきである。接合操作中の高圧力は、接着テープの高温における流動性を低くさせることが必要である。これは未架橋の接着テープにおける高粘度化により、または迅速架橋により達成される。更に、接着テープは耐ハンダ浴温度性で、言い換えれば短時間288℃の温度負荷に耐えねばならない。
【0004】
この理由のために、純粋な熱可塑性樹脂の使用は、それが非常に容易に溶融するという事実にもかかわらず理にかなってなく、接合基材の効果的なぬれを確保し、そして数秒内の非常に迅速な接合をもたらす。そうはいうものの、それらは非常に柔らかくて、高温における接合過程で圧力下に接合線からはみ出して膨潤してしまう。従って、いずれにしても、ハンダ浴の耐性はない。
【0005】
架橋しうる接着テープの場合には、特別な硬化剤と反応してポリマーネットワークを形成するエポキシ樹脂またはフェノール樹脂を使用するのが普通である。この特別な場合、フェノール樹脂は、架橋過程において遊離された脱離生成物を生じ、また硬化過程または少なくともハンダ浴において膨らみを生じさせるから、使用できない。
【0006】
エポキシ樹脂は、主に構造的な接着接合において使用され、適当な架橋剤での硬化後に非常にもろい接着を形成する。すなわち確かに高接合強度は達成されるが、実質的には柔軟性は持たない。
【0007】
柔軟性の向上はFPCBへの使用に不可欠である。一方理想的にはロールに巻かれた接着テープを用いて接合されるべきであり、他方で問題のコンダクタ・トラックは、折り畳めるスクリ−ンがFPCBを介して更なる回路に連結されるラップトップにおけるコンダクタ・トラックの例から明らかなように、柔軟であって、曲げられねばならない。
【0008】
これらのエポキシ樹脂接着剤の柔軟化には、2つの方法で可能である。第一に、弾性体鎖で柔軟化されたエポキシ樹脂を存在させることであるが、これによってもたらされる柔
軟性は非常に短い弾性体鎖により限られている。他の可能性は、接着剤に添加される弾性体の添加によって柔軟化を達成する方法である。この態様は、弾性体が化学的に架橋されてないという欠点を有し、使用できる唯一の弾性体が高温で依然高粘度を保持するものであることを意味する。
【0009】
接着テープは一般に溶液から作られるから、高温において流動しない十分長鎖性で、しかし依然溶液にすることができるように十分に短鎖性である弾性体を見つけることがしばしば困難である。
【0010】
ホットメルト操作による接合形成も可能であるが、この形成操作中における時期尚早の架橋を防ぐことが必要であり、架橋系の場合には非常に困難である。
【0011】
従来法は、更に特許文献1において、
i)30−89.9重量%の画分の熱可塑性ポリマ−、
ii)5−50重量%の画分の1つまたはそれ以上の粘着性付与樹脂、及び/または
iii)5−40重量%の画分の、硬化剤、可能ならば促進剤も含むエポキシ樹脂、
iv)0.1−40重量%の画分の銀化ガラスビーズまたは銀粒子、
を含んでなる電気電導性、熱可塑性及び熱活性化性接着シートを開示している。
更に、
i)少なくとも30重量%の画分の熱可塑性ポリマ−、
ii)5−50重量%の画分の1つまたはそれ以上の粘着性付与樹脂、及び/または
iii)5−40重量%の画分の、硬化剤、可能ならば促進剤も含むエポキシ樹脂、
iv)0.1−40重量%の画分の金属化粒子、
v)接着剤シートの接合温度で溶融しない、1−10重量%の画分の、変形しないまたは変形しにくいスペ−サ粒子
を含んでなる電気電導性、熱可塑性及び熱活性化性接着シートの開発が特許文献2に開示されている。
【0012】
好適な具体例において、熱可塑性ポリマーはそれぞれの場合、熱可塑性ポリオレフィン、ポリエステル、ポリウレタン、またはポリアミド、或いは変性ゴム、例えば特にニトリルゴムである。
【特許文献1】WO第00/01782A1号
【特許文献2】独国特許第19853805A1号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
それゆえに本発明の目的は、熱活性化でき、熱で架橋し、熱で低粘度を有し、ポリイミドへの効果的な接着を示し、また未架橋状態において有機溶媒に溶解する接着テープを提供することである。
【0014】
この目的は、驚くことに主特許請求の範囲で更に詳細に特徴づけた接着テープを用いて達成される。従属請求の範囲は本発明の主題の有利な展開を提供する。
【0015】
従って、本発明は、電子部品と可撓性コンダクタ・トラックを接合するための、少なくとも
a)エポキシド変性ビニル芳香族ブロックコポリマ−、
b)エポキシ樹脂及び
c)高温でエポキシド基と架橋しうる硬化剤、
からなる、但しaとbの比が40:60−80:20である、接着剤を含んでなる接着テープを提供する。
【0016】
本発明の目的のための一般的な表現「接着テープ」とは、すべてのシート状構造、例えば2次元的に延伸されたシートまたはシート片、延伸された長さと限られた幅とを持つテープ、テープ片、ダイカット(diecut)などを含んでなる。
【0017】
エポキシ化されたブロックコポリマ−は、米国特許第5478885A号及び米国特許第5229464A号に開示されている。これらは純粋なビニル芳香族ブロックコポリマ−ではない。ビニル芳香族はエンドブロックに導入しうるが、少なくとも非芳香族ジオレフィンの画分も外側のブロックに導入される。記述されるブロックコポリマ−も、非常に短いブロックしか持たない。
【0018】
エポキシ樹脂及びエポキシド変性ビニル芳香族ブロックコポリマ−の架橋された組成物は、ヨ−ロッパ特許第0658603A1号に記述されている。しかしながら、それらは接着剤として使用されてない。
【0019】
エポキシドで官能化されたものを含む官能化弾性体は、WO第98/22531A1号に記述されている。この官能化弾性体はブロックコポリマ−を含まないし、エポキシ樹脂との組成物に関する記述もない。
【0020】
米国特許第6294270B号、米国特許第6423367B号及び米国特許第6489042B号は、電子部品での用途、更に2つの電子部品を接合するための接着剤としての用途を含む用途のための、エポキシ化されたビニル芳香族ブロックコポリマ−とエポキシ樹脂の架橋しうる混合物を記述している。この本質的な記述はUV光の照射による架橋についてである。この目的のためには、エポキシ化されたビニル芳香族ブロックコポリマ−90重量%以上という非常に高画分が最良の溶液であることが分かる。
【0021】
これに対して、本発明の場合、架橋はエポキシド基の異なる硬化剤との及び加熱による化学反応で誘導される。それゆえに接着剤中のエポキシ化されたビニル芳香族ブロックコポリマ−の画分は非常に低く、いずれの場合もエポキシ化されるビニル芳香族ブロックコポリマ−及びエポキシ樹脂の合計に基づいて80重量%以下である。
【0022】
使用される接着剤は、好ましくは主にビニル芳香族(Aブロック)、好ましくはスチレンからなるポリマ−ブロック及び主に1、3−ジエン(Bブロック)、好ましくはブタジエン及びイソプレンの重合で得られるものを含んでなるブロックコポリマ−に基づくものである。本発明によれば、ホモポリマ−だけでなく、コポリマ−ブロックも有用である。得られるブロックコポリマ−は、部分的に、選択的にまたは完全に水素化されていてよい同一のまたは異なるBブロックを含んでいてもよい。ブロックコポリマ−は線状のA−B−A構造を有することができる。同様に放射状の、星形の、また線状のマルチブロックコポリマ−のブロックコポリマ−も使用に適当である。存在しうる更なる成分は、A−Bジブロックコポリマ−を含む。上述したポリマ−のすべては、単独でまたは互いの混合物として使用できる。使用されるブロックコポリマ−の少なくともある画分は、エポキシドで変性されていなければならない。この変性は、柔軟なブロック画分中の二重結合のいくらかまたはすべての酸化的エポキシド化によって行われる。このエポキシド当量は好ましくは200−4000、より好ましくは500−2500である。
【0023】
市販のそのようなブロックコポリマ−は、例えばダイセル(Daicel)からエポフレンド(EpofriendTM)A1005、A1010またはA1020の名で入手できる。
【0024】
エポキシ樹脂は、通常モノマ−化合物ばかりでなく、分子当たりに1つ以上のエポキシ
ド基を含むオリゴマ−化合物であると理解される。それらはグリシジルエステルまたはエピクロロヒドリンとビスフェノ−ルAまたはビスフェノ−ルF或いはこれら2つの混合物との反応生成物であってよい。同様にエピクロロヒドリンをフェノール及びホルムアルデヒドの反応生成物と反応させることによって得られるエポキシノボラック樹脂も使用するのに適当である。エポキシ樹脂の希釈剤として使用される2つまたはそれ以上のエポキシド末端基を含むモノマ−化合物も使用できる。また弾性的に変性されたエポキシ樹脂も使用するのに特に適当である。
【0025】
エポキシ樹脂の例は、チバ・ガイギ−(Ciba Geigy)からのアラルダイト(AralditeTM)6010、CY−281TM、ECNTM1273、ECNTM1280、MYTM720、RD−2、ダウ・ケミカルズ(Dow Chemicals)からのDERTM331、732、736、DENTM432、シェル・ケミカルズ(Shell Chemicals)からのエポン(EponTM)、812、825、826、828、830など、またシェル・ケミカルズからのHPTTM1071、1079、及びベイクライト社(Bakelite AG)からのベイクライトTMEPR161、166、172、191、194などである。市販の脂肪族エポキシ樹脂は、例えばビニルシクロヘキサンジオキシド、例えばユニオン・カ−バイド社(Union Carbide Corp.)からのERL−4206、4221、4201、4289または0400である。
【0026】
伸縮性をもたせた弾性体はノベオン(Noveon)からハイカ−(Hycar)の名称で入手できる。
【0027】
エポキシ希釈剤、即ち2つまたはそれ以上のエポキシド基を含むモノマ−化合物は、例えばベイクライト社からのベイクライトTMEPD KR、EPD Z8、EPD HD、EPD WFなどまたはUCCPからのポリポクス(Polypox)TMR9、R12、R15、R19、R20などである。
【0028】
適当な硬化剤は、米国特許第3970608A号においてより詳細に記述されているような次の物質を含む:
−多官能性脂肪族アミン、例えばトリエチレンテトラミン、
−多官能性芳香族アミン、例えばイソフォロンジアミン、
−グアニジン、例えばジシアンジアミン、
−多価フェノ−ル、
−多価アルコ−ル、
−多官能性メルカプタン、
−多塩基性カルボン酸、
−1つまたはそれ以上に無水物基を有する酸無水物。
硬化剤の、弾性体及び樹脂との化学的架橋は接着剤フィルム内に非常に高強度を与える。しかしながら、ポリイミドへの結合強度も非常に強力である。
【0029】
付着を向上させるために、ブロックコポリマ−の弾性体ブロックと相溶性のある粘着性付与樹脂を添加することもできる。
【0030】
本発明の感圧接着剤に使用できる粘着性付与剤の例は、ロジン及びロジン誘導体に基づく非水素化、部分的水素化、または完全水素化樹脂、C、C/CまたはCモノマ−系に基づく非水素化或いは部分的、選択的または完全水素化樹脂、α−ピネン及び/またはβ−ピネンに基づくポリテルペン樹脂及び/またはδ−リモネン、好適には純C及びC芳香族の水素化ポリマ−を含む。上述した粘着性付与剤樹脂は単独でまたは混合物で使用できる。
【0031】
使用できる更なる添加剤は、典型的には
−一次酸化防止剤、例えば立体障害されたフェノール、
−二次酸化防止剤、例えばホスファイトまたはチオエ−テル、
−加工時安定剤、例えばCラジカル捕捉剤、
−光安定剤、例えばUV吸収剤または立体障害されたアミン、
−加工助剤、
−エンドブロック強化樹脂、
−充填剤、例えば二酸化ケイ素、ガラス(粉末またはビーズ)、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、二酸化チタン、カ−ボンブラック、金属粉末、など、
−着色顔料及び染料、更に明色化剤、
−所望により更なるポリマ−、好ましくは弾性体そのもの、
を含む。
【0032】
これらの系の利点は、ブロックコポリマ−のエンドブロック中のポリスチレンの軟化点の結果である非常に低い軟化温度である。弾性体は架橋反応中にポリマ−ネットワ−ク中に混入されるから、またこの反応はFPCBの接合に通常使用される200℃までの高温において比較的速いから、接着剤は接合線からはみ出さない。促進剤として公知の化合物を添加することにより、反応速度を更に増加させることが可能である。可能な促進剤の例は、次のもの、
−第3級アミン、例えばベンジルジメチルアミン、ジメチルアミノメチルフェノ−ル及びトリス(ジメチルアミノメチル)フェノ−ル、
−三ハロゲン化ホウ素−アミン錯体、
−置換イミダゾ−ル、
−トリフェニルホスフィン、
を含む。
【0033】
可塑剤、例えば液体樹脂、可塑剤油または低分子量液体ポリマ−、例えば分子量<1500g/モル(数平均)の低分子量ポリブテンは、≦10重量%の非常に少量でだけ使用され、好ましくは全然使用しない。
【0034】
理想的には、エポキシド変性エラストマー、エポキシ樹脂及び硬化剤は、エポキシド基及び硬化剤基のモル画分が丁度当量であるような割合で使用される。しかしながら硬化剤基及びエポキシド基の比は、広い範囲で変えることができる。十分な架橋のために、これらの2つの基のいずれもが10倍モル過剰量以上で存在すべきでない。
【0035】
接着テープを製造するためには、接着剤の成分を適当な溶媒、例えばトルエン、またはミネラルスピリット70/90及びアセトンの混合物に溶解し、この溶液を剥離層、例えば剥離紙または剥離フィルムを備えた柔軟な基材にコーティングし、そしてこのコーティングを組成物が基材から容易に再び除去できるように乾燥する。適当な変形後に、ダイカット、ロ−ル、また他の形を室温で作ることができ、ついで対応する形を、好ましくは高温で接合すべき基材、例えばポリイミドに付着させる。
【0036】
接着剤をポリイミド裏打ち材に直接コーティングすることも可能である。ついでこの種の接着剤シートをFPCBに対する銅コンダクタ・トラックをマスキングするために使用することができる。
【0037】
接合操作は一段工程であることは必ずしも必要ではない。その代わりに、第1に接着テープを熱積層を行うことによって2つの基材に1つに付着させることができる。第2の基材(第2のポリイミドシ−トまたは銅フォイル)との実際の熱接合操作の過程で、エポキシド基は完全にまたは部分的に硬化し、接合線は高結合強度に達する。混合されたエポキシド樹脂と硬化剤は、好ましくはその積層温度においていかなる化学反応もしないが、熱接合時において酸または酸無水物基とだけ反応すべきである。
【実施例】
【0038】
本発明を以下に多くの実施例で更に詳細に記述するが、これらはいかなる具合にも本発明を限定するものでない。
実施例1−8
エポフレンドA1010(ブロックポリスチレン40重量%を含み且つエポキシド価1000を有するエポキシド変性スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマ−)Xg、ベイクライトFG194(エポキシ樹脂)100Xg、及びダイハ−ド100S(ジシアンジアミン)等量の混合物を、トルエンに溶解し、この溶液から1.5g/mでシリコ−ン処理した剥離紙にコーティングし、110℃で15分間乾燥した。この接着剤層の厚さは25μmであった。正確な組成は表1を参照。
表1
エポフレンド ベイクライト ダイハ−ド
A1010 EPR194 100S
初期量、g 初期量、g 初期量、g
実施例1 20 80 1.9
実施例2 30 70 1.7
実施例3 40 60 1.5
実施例4 50 50 1.3
実施例5 60 40 1.1
実施例6 70 30 0.8
実施例7 80 20 0.6
実施例8 90 10 0.4

実施例9
エポフレンドA1010(ブロックポリスチレン40重量%を含み且つエポキシド価1000を有するエポキシド変性スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマ−)50g、ベークライトEPR194(エポキシ樹脂)50g、及びダイハ−ド100S(ジシアンジアミン)1.2g及びレガライト(RegaliteTM)R1125(イ−ストマン・ケミカルズ(Eastman Chemicals)からの軟化点125℃を有する水素化炭化水素樹脂)20gの混合物を、トルエンに溶解し、この溶液から1.5g/mでシリコ−ン処理した剥離紙にコーティングし、110℃で15分間乾燥した。この接着剤層の厚さは25μmであった。
対照実施例10
クレイトンD1102(未変性スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマ−)50g、ベークライトEPR194の50g、及びダイハ−ド100Sの0.7gの混合物を、トルエンに溶解し、この溶液から1.5g/mでシリコ−ン処理した剥離紙にコーティングし、110℃で15分間乾燥した。この接着剤層の厚さは25μmであった。
製造した接着テープを用いるFPCBの接合
それぞれ実施例1−10に従って製造した接着テープの1つを用いて2つのFPCBを接合した。この目的のために、接着テープをポリイミド/銅フォイルFPCB積層物のポリイミドシートに100℃で積層した。続いて更なるFPCBの第2のポリイミドシ−トを接着テープに接合し、全合体物を加熱しうるビュルケ(Buerkle)プレスで200℃及び圧力1.5MPa下に1時間圧縮した。
試験法
上述した実施例に従って製造した接着剤シートの性質を次の試験法で評価した。
FPCBを用いるT剥離試験
ツウィック(Zwick)からの引張り試験機を用いて、上述した方法で製造したFPCB/接着テープ/FPCB合体物を、角度180°及び速度50mm/分下に互いを剥離し、必要とされた力をN/cmで記録した。測定は20℃及び相対湿度50%で行った。各測定値は3回決定した。
温度安定性
上記したT剥離試験と同様に、上述した方法で製造したFPCB合体物を、合体物の一端から吊り下げ、他端に500gの重りをつけた。静的剥離試験は70℃で行った。測定したパラメータはmm/時単位の静的剥離進行速度である。
耐ハンダ浴性
上述した方法で接合したFPCB合体物を、288℃の温度のハンダ浴上に10秒間置いた。接合は、FPCBのポリイミドシートを膨らませる空気泡が生成しない場合、耐ハンダ浴性と評価した。一方気泡が僅かでも生成した場合、耐性なしとして評価した。
結果
上述した実施例の接着剤評価に対して、T剥離試験を始めに行った。
【0039】
結果を表2に示す。
表2
T剥離試験(N/cm)
実施例1 非常に脆く、測定不能
実施例2 非常に脆く、測定不能
実施例3 4.6
実施例4 8.2
実施例5 6.3
実施例6 4.6
実施例7 3.9
実施例8 4.3
実施例9 9.4
実施例10 2.1

表に見られるように、実施例1及び2では、弾性体の使用量が少なすぎて柔軟な接着剤は製造できなかった。最高の接合強度は、エポキシド変性ビニル芳香族ブロックコポリマ−50重量%で見出だされた。それより多い量では接合の性能は低下した。粘着性付与剤樹脂をブレンドすることにより、実施例9で明らかなようにポリイミドへの接合強度は著しく向上させることができた。化学的に架橋できない弾性体を使用した場合、架橋のできるものと比べて接合強度が非常に低下した。
【0040】
接着テープの温度安定性を静的剥離試験で測定した。測定値は表3に見ることができる。
表3
70℃での静的T剥離試験(mm/時)
実施例1 非常に脆く、測定不能
実施例2 非常に脆く、測定不能
実施例3 12
実施例4 14
実施例5 17
実施例6 16
実施例7 18
実施例8 20
実施例9 17
実施例10 36
表から分かるように、参照試料の温度安定性は他の実施例の場合より非常に低かった。低弾性体含量の架橋された試料の温度安定性は高弾性体含量の場合より良好であることが分かる。
【0041】
ハンダ浴試験は10の実施例すべてにおいて合格した。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
柔軟なコンダクタ・トラックを製造し、更に加工するための、少なくとも
a)エポキシド変性ビニル芳香族ブロックコポリマ−、
b)エポキシ樹脂及び
c)高温でエポキシド基と架橋しうる硬化剤、
からなる、但しaとbの比が40:60−80:20である、接着剤を有する熱活性化できる接着テープ。
【請求項2】
ビニル芳香族ブロックコポリマ−がスチレンブロックコポリマ−である、請求項1の熱活性化し得る接着テープ。
【請求項3】
接着剤が1つよりも多いエポキシ樹脂及び/または増粘化樹脂を含んでなる、請求項1または2の熱活性化し得る接着テープ。
【請求項4】
接着剤が促進剤、染料、カ−ボンブラック、及び/または金属粉末を含んでなる、請求項1−3の少なくとも1つの熱活性化し得る接着テープ。
【請求項5】
接着剤が150℃以上の温度で架橋する、請求項1−4の少なくとも1つの熱活性化し得る接着テープ。
【請求項6】
接着剤が更なる弾性体、例えば純炭化水素に基づくもの、化学的に本質的に飽和の弾性体、及び化学的に官能化された炭化水素を含んでなる、請求項1−4の少なくとも1つの熱活性化し得る接着テープ。
【請求項7】
プラスチック部品を接合するための、請求項1−6の少なくとも1つの熱活性化し得る接着テープの使用法。
【請求項8】
電子部品及び/または柔軟な印刷回路を接合するための、請求項1−7の少なくとも1つの熱活性化し得る接着テープの使用法。
【請求項9】
ポリイミドを接合するための、請求項1−8の少なくとも1つの熱活性化し得る接着テープの使用法。

【公開番号】特開2006−9014(P2006−9014A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−181013(P2005−181013)
【出願日】平成17年6月21日(2005.6.21)
【出願人】(501237327)テサ・アクチエンゲゼルシヤフト (62)
【Fターム(参考)】