説明

電子部品と配線回路基板との接続構造、配線回路基板アッセンブリ、および、電子部品の検査方法

【課題】簡易かつ確実に、優れた接続信頼性を確保できるとともに、各端子間における短絡を防止でき、さらには、端子の汚染を防止することができる電子部品と配線回路基板との接続構造、配線回路基板アッセンブリ、および、電子部品の検査方法を提供すること。
【解決手段】複数の外部端子28を備えるヘッドスライダ27と、金属支持基板11、ベース絶縁層12および導体パターン13を備え、導体パターン13が複数の外部端子28と接続するための複数の磁気ヘッド側接続端子部17を備える回路付サスペンション基板1とを、外部端子28と磁気ヘッド側接続端子部17とが対向するように配置し、回路付サスペンション基板1を磁気ヘッド側接続端子部17が反るように湾曲させるとともに反りの反力により磁気ヘッド側接続端子部17と外部端子28とを当接させ、ヘッドスライダ27と回路付サスペンション基板1とを電気的に接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品と配線回路基板との接続構造、配線回路基板アッセンブリ、および、電子部品の検査方法、詳しくは、ヘッドスライダなどの電子部品と、回路付サスペンション基板などの配線回路基板との接続構造、それらが接続されてなる配線回路基板アッセンブリ、および、電子部品の検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ハードディスクに対する磁気記録においては、磁気再生素子および磁気記録素子(磁気ヘッド)を搭載するヘッドスライダが用いられている。
ヘッドスライダは、例えば、回路付サスペンション基板などに実装され、そのヘッドスライダに搭載される磁気ヘッドの端子が、回路付サスペンション基板の導体パターンに電気的に接続されるとともに、回路付サスペンション基板とハードディスクとが相対的に走行するときの空気流に抗して、それらの間に微少な間隔を保持するように浮上する。これによって、磁気ヘッドによるハードディスクへの磁気記録が、可能とされている。
【0003】
導体パターンに対するヘッドスライダの接続方法として、例えば、金属基板の上に導体層を、金属基板との間に絶縁層を介在させて回路パターンとして設けるとともに、その回路パターンのパターン終端部の端面を、絶縁層の端面と揃うように、または、絶縁層の端面よりも先端方向へ張り出すように形成し、そのパターン終端部と磁気ヘッドの端子とを半田ボールにより電気的に接続する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
一方、このようなハードディスクにおいて、近年では、ヘッドスライダの浮上特性を維持しつつ、ハードディスクの記録容量を増加させることが要求されており、そのため、ハードディスクドライブの高密度化、すなわち、ヘッドスライダの大きさを拡大することなく、そのヘッドスライダに、より多くの端子を配置することが、要求されている。
また、高密度のハードディスクドライブに対応するヘッドスライダの製造工程において不良品が生ずる場合がある。そのため、ヘッドスライダの製造においては、通常、ヘッドスライダの電気特性および浮上特性が検査され、良品と不良品とが選別されている。
【0005】
このようなヘッドスライダの検査方法としては、例えば、スライダと、サスペンショントレースを有するサスペンションと、スライダを支持する支持構造体とを備えるテストヘッドサスペンションアセンブリを用意し、スライダとサスペンショントレースとを半田などによって直接接続して、電気特性および浮上特性を検査するヘッドスライダの検査方法が、提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
特許文献2に記載の方法では、スライダとサスペンショントレースとの接続に用いられた半田が再溶融および除去されることによって、スライダが、テストヘッドサスペンシンアセンブリから取り出される。
そして、検査において不良品と判断されたスライダは、回路付サスペンション基板に実装されることなく、単独で廃棄され、一方、良品と判断されたスライダのみが、回路付サスペンション基板に実装される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−120288号公報
【特許文献2】特開2007−128634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、ヘッドスライダを高密度のハードディスクドライブに対応させると、各端子間の間隔が狭くなる。そのため、特許文献1に記載されるように、導体層のパターン終端部と、磁気ヘッドの端子とを半田ボールにより接続すると、半田ボールが盛り上がり、各端子間に膨出して、短絡を発生させる場合がある。
一方、半田ボールの盛り上がりおよび膨出を抑制するため、例えば、半田ボールの体積を減少させると、導体層のパターン終端部と、磁気ヘッドの端子との接合強度が低下するという不具合がある。
【0009】
そのため、ハードディスクドライブにおいては、端子を狭い間隔で配置しても、各端子間における短絡を防止しつつ、回路付サスペンション基板とヘッドスライダとを優れた接続信頼性で接続できる接続構造が、求められている。
また、特許文献2に記載の方法では、通常、半田を完全に再溶融および除去することは困難であるため、テストヘッドサスペンシンアセンブリから取り出されたスライダの端子に半田が残存する(すなわち、端子が汚染される)場合がある。
【0010】
このような場合には、スライダの回路付サスペンション基板に対する実装が、スライダの端子に残存する半田によって阻害され、不良品を生じる場合がある。
また、特許文献2に記載の方法では、スライドとサスペンショントレースとを半田により接続する工程や、その半田を再溶融および除去する工程などを要するため、スライダの製造において、工数および時間がかかるという不具合がある。
【0011】
本発明の目的は、簡易かつ確実に、優れた接続信頼性を確保できるとともに、各端子間における短絡を防止でき、さらには、端子の汚染を防止することができる電子部品と配線回路基板との接続構造、配線回路基板アッセンブリ、および、電子部品の検査方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の電子部品と配線回路基板との接続構造は、電子部品と配線回路基板との接続構造において、前記電子部品は、複数の外部端子を備えており、前記配線回路基板は、金属支持基板と、前記金属支持基板の上に形成されるベース絶縁層と、前記ベース絶縁層の上に形成される導体パターンとを備えており、前記導体パターンが、複数の前記外部端子と接続するための複数の端子部を備えており、前記電子部品および前記配線回路基板は、前記外部端子と前記端子部とが対向するように配置されており、前記配線回路基板が、前記導体パターンが反るように湾曲されるとともに、前記反りの反力により、前記端子部と前記外部端子とが当接され、前記電子部品と前記配線回路基板とが電気的に接続されていることを特徴としている。
【0013】
このような電子部品と配線回路基板との接続構造では、配線回路基板の反りの反力により、端子部と外部端子とが当接されるため、それらを接合するための半田の体積を減少させても、半田の盛り上がりおよび膨出を抑制するとともに、電子部品と配線回路基板とを良好に接続することができる。
そのため、このような電子部品と配線回路基板との接続構造では、ハードディスクドライブが高密度化され、各端子間の間隔が狭くなる場合にも、優れた接続信頼性を確保しつつ、各端子部および各外部端子間における短絡を防止することができる。
【0014】
また、このような電子部品と配線回路基板との接続構造では、さらに、端子部と外部端子とを当接するのみで、電子部品と配線回路基板とを接続することもでき、このような場合には、半田による接続を不要とすることができる。
そのため、このような電子部品と配線回路基板との接続構造では、電子部品を配線回路基板から取り出すときにも、半田の再溶融および除去などを不要とすることができるため、取り出しに要する工数を低減するとともに、外部端子の半田による汚染を防止することができる。
【0015】
また、本発明の電子部品と配線回路基板との接続構造では、前記金属支持基板のばね力により、前記端子部が、前記外部端子に当接していることが好適である。
このような電子部品と配線回路基板との接続構造では、配線回路基板が、金属支持基板のばね力に抗して反らされ、その導体パターンの端子部が、金属支持基板のばね力によって、電子部品の外部端子に当接される。
【0016】
そのため、このような電子部品と配線回路基板との接続構造では、より簡易かつ確実に、導体パターンの端子部と、電子部品の外部端子とを当接させて、電子部品と配線回路基板とを電気的に接続することができる。
また、本発明の電子部品と配線回路基板との接続構造では、前記端子部は、前記金属支持基板の長手方向と直交する幅方向において、間隔を隔てて、複数並列配置されており、前記金属支持基板は、複数の前記端子部を、幅方向において挟むように配置されていることが好適である。
【0017】
このような電子部品と配線回路基板との接続構造によれば、導体パターンの端子部が、幅方向において金属支持基板に挟まれるように配置されるため、その端子部を、金属支持基板のばね力により、より確実に電子部品の外部端子に当接させることができる。
また、本発明の配線回路基板アッセンブリは、電子部品と配線回路基板とを備え、前記電子部品は、複数の外部端子を備えており、前記配線回路基板は、金属支持基板と、前記金属支持基板の上に形成されるベース絶縁層と、前記ベース絶縁層の上に形成される導体パターンとを備えており、前記導体パターンが、複数の前記外部端子と接続するための複数の端子部を備えており、前記電子部品および前記配線回路基板は、前記外部端子と前記端子部とが対向するように配置されており、前記配線回路基板が、前記導体パターンが反るように湾曲されるとともに、前記反りの反力により、前記端子部と前記外部端子とが当接され、前記電子部品と前記配線回路基板とが電気的に接続されていることを特徴としている。
【0018】
このような配線回路基板アッセンブリでは、配線回路基板の反りの反力により、端子部と外部端子とが当接されるため、それらを接合するための半田の体積を減少させても、半田の盛り上がりおよび膨出を抑制するとともに、電子部品と配線回路基板とを良好に接続することができる。
そのため、このような配線回路基板アッセンブリでは、ハードディスクドライブが高密度化され、各端子間の間隔が狭くなる場合にも、優れた接続信頼性を確保しつつ、各端子部および各外部端子間における短絡を防止することができる。
【0019】
また、このような配線回路基板アッセンブリでは、さらに、端子部と外部端子とを当接するのみで、電子部品と配線回路基板とを接続することもでき、このような場合には、半田による接続を不要とすることができる。
そのため、このような配線回路基板アッセンブリでは、電子部品を配線回路基板から取り出すときにも、半田の再溶融および除去などを不要とすることができるため、取り出しに要する工数を低減するとともに、外部端子の半田による汚染を防止することができる。
【0020】
また、本発明の電子部品の検査方法は、複数の外部端子を備える電子部品を用意する工程、金属支持基板と、前記金属支持基板の上に形成されるベース絶縁層と、前記ベース絶縁層の上に形成される導体パターンとを備え、前記導体パターンが、複数の前記外部端子と接続するための複数の端子部を備える配線回路基板を用意する工程、前記電子部品および前記配線回路基板を、前記外部端子と前記端子部とが対向するように配置する工程、前記配線回路基板を、前記導体パターンが反るように湾曲させる工程、および、前記反りの反力により、前記端子部と前記外部端子とを当接させる工程を備えることを特徴としている。
【0021】
このような電子部品の検査方法では、配線回路基板の反りの反力により、端子部と外部端子とが当接されるため、半田による接続を不要とすることができる。
そのため、このような電子部品の検査方法によれば、電子部品を配線回路基板から取り出すときにも、半田の再溶融および除去などを不要とすることができ、取り出しに要する工数を低減するとともに、外部端子の半田による汚染を防止することができる。その結果、電子部品を検査した後、良好に取り出し、他の配線回路基板に実装することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の電子部品と配線回路基板との接続構造、および、配線回路基板アッセンブリによれば、ハードディスクドライブが高密度化され、各端子間の間隔が狭くなる場合にも、導体パターンの各端子部と、電子部品の各外部端子との優れた接続信頼性を確保できるとともに、各端子間における短絡を防止できる。
また、本発明の電子部品と配線回路基板との接続構造、および、配線回路基板アッセンブリによれば、配線回路基板に接続された電子部品を、その配線回路基板から取り出す場合においても、その工数を低減しつつ、電子部品の外部端子が汚染されることを防止することができる。
【0023】
また、本発明の電子部品の検査方法によれば、半田などを用いることなく、端子部と外部端子とを当接および接続できるため、電子部品を配線回路基板から簡易に取り出すことができ、さらには、外部端子の半田による汚染を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の電子部品と配線回路基板との接続構造の一実施形態であるヘッドスライダと回路付サスペンション基板との接続構造に用いられる回路付サスペンション基板の平面図を示す。
【図2】本発明の電子部品と配線回路基板との接続構造の一実施形態であるヘッドスライダと回路付サスペンション基板との接続構造を示す断面図であって、 (a)は、図1に示す回路付サスペンション基板の、ヘッドスライダ接続前におけるA−A線の断面図、 (b)は、図1に示す回路付サスペンション基板の、ヘッドスライダ接続後におけるA−A線の断面図を示す。
【図3】図2に示す回路付サスペンション基板の製造方法を示す工程図であって、 (a)は、金属支持基板を用意する工程、 (b)は、ベース絶縁層および台座を形成する工程、 (c)は、導体パターンを形成する工程、 (d)は、カバー絶縁層を形成する工程を示す。
【図4】図3に続いて、図2に示す回路付サスペンション基板の製造方法を示す工程図であって、 (e)は、金属支持基板を部分的に除去する工程、 (f)は、第2開口部に対応するベース絶縁層を除去する工程、 (g)は、端子部に金属めっき層を形成する工程を示す。
【図5】本発明の電子部品と配線回路基板との接続構造の他の実施形態(磁気ヘッド側接続端子部がベース絶縁層に埋設されるように形成される形態)であるヘッドスライダと回路付サスペンション基板との接続構造を示す断面図であって、 (a)は、回路付サスペンション基板の、ヘッドスライダ接続前における要部断面図、 (b)は、回路付サスペンション基板の、ヘッドスライダ接続後における要部断面図を示す。
【図6】本発明の電子部品と配線回路基板との接続構造の他の実施形態(第2タング部の遊端側において金属支持基板が除去される形態)であるヘッドスライダと回路付サスペンション基板との接続構造を示す要部拡大平面図を示す。
【図7】本発明の電子部品と配線回路基板との接続構造の他の実施形態(第2タング部の後側および幅方向両端側の金属支持基板が除去される形態)であるヘッドスライダと回路付サスペンション基板との接続構造を示す要部拡大平面図を示す。
【図8】本発明の電子部品と配線回路基板との接続構造の他の実施形態(第2タング部において、金属支持基板がベース絶縁層およびカバー絶縁層よりも幅方向両外側に膨出する形態)であるヘッドスライダと回路付サスペンション基板との接続構造を示す要部拡大平面図を示す。
【図9】本発明の電子部品の検査方法の一実施形態であるヘッドスライダの検査方法を示す断面図であって、 (a)は、検査用基板の、ヘッドスライダ接続前における断面図、 (b)は、検査用基板の、ヘッドスライダ接続後における断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、本発明の電子部品と配線回路基板との接続構造の一実施形態であるヘッドスライダと回路付サスペンション基板との接続構造に用いられる回路付サスペンション基板の平面図、図2は、本発明の電子部品と配線回路基板との接続構造の一実施形態であるヘッドスライダと回路付サスペンション基板との接続構造を示す断面図であって、(a)は、図1に示す回路付サスペンション基板の、ヘッドスライダ接続前におけるA−A線の断面図、(b)は、図1に示す回路付サスペンション基板の、ヘッドスライダ接続後におけるA−A線の断面図を示す。なお、図1において、導体パターン13の相対配置を明確に示すために、カバー絶縁層14(後述)は省略されている。
【0026】
図1において、回路付サスペンション基板1は、ハードディスクドライブにおける磁気ヘッド(図示せず)を実装して、その磁気ヘッドを、磁気ヘッドとハードディスク(図示せず)とが相対的に走行するときの空気流に抗して、ハードディスクとの間に微小な間隔を保持しながら支持するための金属支持基板11に、例えば、リード・ライト基板などの外部回路基板(図示せず)と磁気ヘッドとを接続するための導体パターン13が一体的に形成されている。
【0027】
この回路付サスペンション基板1は、長手方向に延びる平帯状に形成されており、長手方向一方側(以下、後側という。)に配置される配線部2と、配線部2の長手方向他方側(以下、先側という。)に配置されるジンバル部3とを一体的に備えている。
配線部2は、長手方向に延びる平面視略矩形状に形成されている。
ジンバル部3は、配線部2の先端から連続して形成され、配線部2に対して幅方向(長手方向と直交する方向)両外側に膨出する平面視略矩形状に形成されている。
【0028】
また、ジンバル部3には、第1開口部4と、第2開口部5とが、それぞれ形成されている。
第1開口部4は、平面視において先側に向かって開く略凹字形状のスリットとして形成されている。また、第2開口部5は、第1開口部4よりも先側において、第1開口部4と略同一の幅方向長さ、および、第1開口部4よりも短い長手方向長さを有し、平面視において先側に向かって開く略凹字形状のスリットとして、形成されている。
【0029】
また、ジンバル部3は、第1開口部4に幅方向において挟まれる第1タング部6と、第2開口部5に幅方向において挟まれる第2タング部7と、第1開口部4および第2開口部5の幅方向両外側、および、第2タング部7の先側に配置されるアウトリガー部8とを一体的に備えている。
第1タング部6は、平面視略矩形状に形成されており、ヘッドスライダ搭載部9を備えている。
【0030】
ヘッドスライダ搭載部9は、電子部品としてのヘッドスライダ27を搭載するための領域であって、第1タング部6の幅方向中央部において、ヘッドスライダ27よりも先後方向に短い平面視略矩形状に区画されている。すなわち、ヘッドスライダ搭載部9は、ヘッドスライダ27を搭載したときに、ヘッドスライダ27の後端部が第1開口部4側へ突出するとともに、その先端部が第2開口部5側へ突出するように(図2(b)参照)、第1タング部6に区画されている。
【0031】
また、ヘッドスライダ搭載部9には、ヘッドスライダ27を支持するための台座19が形成されている。
台座19は、平面視略矩形平板形状に形成されており、ヘッドスライダ搭載部9の幅方向に沿って間隔を隔てて複数(2つ)設けられている。
第2タング部7は、平面視略矩形状に形成されており、端子形成部10を備えている。
【0032】
端子形成部10は、後述する磁気ヘッド側接続端子部17(詳しくは、磁気ヘッド側接続端子部17の先側)が形成されている領域であって、第2タング部7の幅方向中央部に、配置されている。
なお、詳しくは後述するが、第2タング部7において、端子形成部10の下面の金属支持基板11は、平面視略矩形状に切り欠かれており、これにより、切り欠き部20が形成されている(破線参照)。
【0033】
導体パターン13は、外部側接続端子部16と、磁気ヘッド側接続端子部17と、これら外部側接続端子部16および磁気ヘッド側接続端子部17を接続するための信号配線15とを、一体的に連続して備えている。
各信号配線15は、回路付サスペンション基板1の長手方向に沿って複数(8本)設けられ、幅方向において互いに間隔を隔てて並列配置されている。
【0034】
複数の信号配線15は、第1配線15a、第2配線15b、第3配線15c、第4配線15d、第5配線15e、第6配線15f、第7配線15gおよび第8配線15hから形成されており、これら第1配線15a、第2配線15b、第3配線15c、第4配線15d、第5配線15e、第6配線15f、第7配線15gおよび第8配線15hが、幅方向一方側から幅方向他方側に向かって、順次配置されている。
【0035】
より具体的には、配線部2において、第1配線15a、第2配線15b、第3配線15c、第4配線15d、第5配線15e、第6配線15f、第7配線15gおよび第8配線15hは、互いに平行して延びるように形成されている。
ジンバル部3において、第1配線15a、第2配線15b、第3配線15cおよび第4配線15dは、第1開口部4および第2開口部5の幅方向一方側外方のアウトリガー部8に配置され、第5配線15e、第6配線15f、第7配線15gおよび第8配線15hは、第1開口部4および第2開口部5の幅方向他方側外方のアウトリガー部8に配置されている。
【0036】
第1配線15a、第2配線15b、第3配線15c、第4配線15d、第5配線15e、第6配線15f、第7配線15gおよび第8配線15hは、先側のアウトリガー部8の先端部に至った後、先側のアウトリガー部8の幅方向内側に延び、さらに先側のアウトリガー部8の長手方向後側に向かって折り返されて、磁気ヘッド側接続端子部17の先端部に至るように配置されている。
【0037】
外部側接続端子部16は、配線部2の後端部に配置され、各信号配線15の後端部がそれぞれ接続されるように、複数(8つ)設けられている。また、外部側接続端子部16は、幅方向に間隔を隔てて配置されている。また、外部側接続端子部16は、外部側接続端子部16に接続する第1配線15a、第2配線15b、第3配線15c、第4配線15d、第5配線15e、第6配線15f、第7配線15gおよび第8配線15hに対応して、第1外部側接続端子部16a、第2外部側接続端子部16b、第3外部側接続端子部16c、第4外部側接続端子部16d、第5外部側接続端子部16e、第6外部側接続端子部16f、第7外部側接続端子部16gおよび第8外部側接続端子部16hが、幅方向一方側から幅方向他方側に向かって順次配置されている。この外部側接続端子部16には、図示しないが、外部回路基板の端子部が、接続される。
【0038】
磁気ヘッド側接続端子部17は、ヘッドスライダ27に備えられる複数の外部端子28(図2(b)参照)と接続するための端子部であって、端子形成部10に配置されている。
また、このような磁気ヘッド側接続端子部17は、各信号配線15の先端部がそれぞれ接続されるように、幅方向(金属支持基板11の長手方向と直交する幅方向)において、間隔を隔てて、複数(8つ)並列配置されている。
【0039】
より具体的には、磁気ヘッド側接続端子部17は、端子形成部10において、その後端部が第2開口部5側に突出するように(すなわち、先側が支持される片持端子として)、幅方向において互いに間隔を隔てて配置されている。また、磁気ヘッド側接続端子部17は、これに接続する第1配線15a、第2配線15b、第3配線15c、第4配線15d、第5配線15e、第6配線15f、第7配線15gおよび第8配線15hに対応して、第1磁気ヘッド側接続端子部17a、第2磁気ヘッド側接続端子部17b、第3磁気ヘッド側接続端子部17c、第4磁気ヘッド側接続端子部17d、第5磁気ヘッド側接続端子部17e、第6磁気ヘッド側接続端子部17f、第7磁気ヘッド側接続端子部17gおよび第8磁気ヘッド側接続端子部17hが、幅方向に間隔を隔てて、順次配置されている。
【0040】
また、第2タング部7において、端子形成部10の下面の金属支持基板11は平面視略矩形状に切り欠かれており、金属支持基板11には、切り欠き部20が形成されている。これにより、第2開口部5の幅方向内側において、金属支持基板11が、これら複数の磁気ヘッド側接続端子部17を幅方向において挟むように、凹字形状に形成される(破線参照)。
【0041】
また、磁気ヘッド側接続端子部17の外面(表面、側面および裏面)には、必要により金属めっき層18が形成されており、詳しくは後述するが、この金属めっき層18を介して、磁気ヘッド側接続端子部17と、ヘッドスライダ27の外部端子28(図2(b)参照)とが接続される。
そして、この回路付サスペンション基板1は、図2に示すように、金属支持基板11と、金属支持基板11の上に形成されるベース絶縁層12と、ベース絶縁層12の上に形成される導体パターン13と、ベース絶縁層12の表面に、導体パターン13を被覆するように形成されるカバー絶縁層14とを備えている。
【0042】
金属支持基板11は、図1および図2に示すように、第1開口部4、第2開口部5、切り欠き部20および回路付サスペンション基板1の外形形状に対応して形成されている。
ベース絶縁層12は、金属支持基板11の周端縁、第1開口部4および第2開口部5に対応する部分が露出するように、配線部2およびジンバル部3における導体パターン13が形成される位置に対応するように形成されている。より具体的には、ベース絶縁層12は、金属支持基板11より長手方向および幅方向がやや短くなる平帯状に形成されている。
【0043】
導体パターン13は、配線部2およびジンバル部3にわたって配置され、上記したように、外部側接続端子部16および磁気ヘッド側接続端子部17と、信号配線15とを、一体的に備える配線回路パターンとして形成されている。
カバー絶縁層14は、配線部2およびジンバル部3にわたって配置され、ベース絶縁層12が形成される位置に対応するように配置されている。カバー絶縁層14は、外部側接続端子部16および磁気ヘッド側接続端子部17に対応する部分が露出し、信号配線15を被覆するように形成されている。
【0044】
図3および図4は、図2に示す回路付サスペンション基板の製造方法を示す工程図を示す。
次いで、この回路付サスペンション基板1の製造方法について、図3および図4を参照して、説明する。
まず、この方法では、図3(a)に示すように、金属支持基板11を用意する。
【0045】
金属支持基板11は、ステンレス、42アロイ、アルミニウム、銅−ベリリウム、りん青銅などの金属材料から形成されている。金属支持基板11の厚みは、例えば、10〜30μm、好ましくは、15〜25μmである。
次いで、この方法では、図3(b)に示すように、金属支持基板11の上に、ベース絶縁層12および台座19を形成する。
【0046】
ベース絶縁層12および台座19は、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテルニトリル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などの合成樹脂などの絶縁材料から形成されている。好ましくは、ポリイミド樹脂から形成されている。
【0047】
ベース絶縁層12および台座19を形成するには、例えば、金属支持基板11の表面に、感光性の絶縁材料のワニスを塗布し、乾燥後、フォトマスクを介して露光し、現像後、必要により硬化させる。
これにより形成されるベース絶縁層12および台座19の厚みは、例えば、1〜35μm、好ましくは、8〜15μmである。
【0048】
これにより、ベース絶縁層12は、金属支持基板11の周端縁および第1開口部4に対応する部分を露出させるとともに、導体パターン13が形成される位置に対応するように形成される。
次いで、この方法では、図3(c)に示すように、導体パターン13を上記したパターンで形成する。
【0049】
導体パターン13は、例えば、銅、ニッケル、スズ、金、はんだ、またはそれらの合金などの導体材料から形成されている。
導体パターン13を形成する方法としては、例えば、アディティブ法、サブトラクティブ法などの公知のパターンニング法が挙げられる。好ましくは、アディティブ法が挙げられる。
【0050】
これにより形成される導体パターン13の厚みは、例えば、3〜50μm、好ましくは、5〜20μmである。また、各信号配線15の幅は、例えば、5〜200μm、好ましくは、10〜50μmであり、各信号配線15間の間隔は、例えば、5〜100μm、好ましくは、10〜50μmである。
また、各外部側接続端子部16および各磁気ヘッド側接続端子部17の幅は、例えば、5〜1000μm、好ましくは、10〜500μmであり、各外部側接続端子部16間の間隔、および、各磁気ヘッド側接続端子部17間の間隔は、例えば、5〜500μm、好ましくは、10〜100μmである。
【0051】
次いで、この方法では、図3(d)に示すように、カバー絶縁層14を上記したパターンで形成する。
カバー絶縁層14は、例えば、ベース絶縁層12で例示した絶縁材料から形成される。
カバー絶縁層14を上記したパターンで形成するには、例えば、導体パターン13およびベース絶縁層12を含む金属支持基板11の表面に、感光性の絶縁材料のワニスを塗布し、乾燥後、フォトマスクを介して露光し、現像後、必要により硬化させる。
【0052】
これにより形成されるカバー絶縁層14の厚みは、例えば、1〜40μm、好ましくは、2〜10μmである。
これにより、カバー絶縁層14は、外部側接続端子部16および磁気ヘッド側接続端子部17に対応する部分が開口され、信号配線15が被覆されるパターンとして形成される。
【0053】
このようにして、金属支持基板11の表面に、ベース絶縁層12、導体パターン13およびカバー絶縁層14を順次積層することができる。
次いで、この方法では、図4(e)に示すように、金属支持基板11を部分的に除去する。より具体的には、第1開口部4、第2開口部5および切り欠き部20が形成される部分に対応する金属支持基板11を除去するとともに、回路付サスペンション基板1を外形加工する。
【0054】
金属支持基板11の加工方法としては、特に制限されないが、例えば、ドライエッチングやウェットエッチングなどの公知のエッチング法、ドリル加工やレーザ加工などが挙げられる
例えば、ウェットエッチングでは、まず、金属支持基板11の外形形状に対応させるとともに、第1開口部4、第2開口部5および切り欠き部20を形成する部分を除く金属支持基板11の裏面と、金属支持基板11、ベース絶縁層12およびカバー絶縁層14の表面とに、エッチングレジストを形成する。エッチングレジストは、ドライフィルムフォトレジストなどを用いて、露光および現像する公知のフォト加工により形成する。その後、エッチングレジストから露出する金属支持基板11をエッチングする。金属支持基板11は、例えば、エッチング液として、塩化第二鉄水溶液を用いて、浸漬法またはスプレー法によって、ウェットエッチングする。その後、エッチングレジストを、公知のエッチング法または剥離により除去する。
【0055】
次いで、この方法では、図4(f)に示すように、第2開口部5に対応するベース絶縁層12を除去する。これにより、第2開口部5と厚み方向において重複する導体パターン13の下面を、ベース絶縁層12から露出させる。
ベース絶縁層12の除去方法としては、例えば、ドライエッチングやウェットエッチングなどの公知のエッチング法、ドリル加工やレーザ加工が挙げられる。
【0056】
次いで、この方法では、図4(g)に示すように、外部側接続端子部16の表面、および、磁気ヘッド側接続端子部17の外面(表面、側面および裏面)に、金属めっき層18を形成する。
金属めっき層18を形成する材料としては、金やニッケルなどの金属が挙げられ、また、金属めっき層18の形成方法としては、無電解めっき法や電解めっき法が挙げられる。好ましくは、電解金めっきにより、金からなる金属めっき層18を形成する。
【0057】
これにより、回路付サスペンション基板1を形成することができる。
そして、このように形成される回路付サスペンション基板1には、ヘッドスライダ27が、実装され、これにより、配線回路基板アッセンブリとしての回路付サスペンション基板アッセンブリ31が、形成される。
ヘッドスライダ27を実装するには、例えば、まず、ヘッドスライダ搭載部9において、台座19の上面、および/または、ヘッドスライダ27の下面に接着剤を塗布し、次いで、ヘッドスライダ27を、その後端部が第1開口部4側へ突出するとともに、その先端部が第2開口部5側へ突出するように、台座19に接着剤を介して搭載する。その後、回路付サスペンション基板1とヘッドスライダ27とを電気的に接続する。
【0058】
以下において、回路付サスペンション基板1とヘッドスライダ27との接続構造について、図2を参照して、説明する。
ヘッドスライダ27は、図2(b)に示すように、磁気ヘッド(図示せず)に接続される複数(8つ)の外部端子28を、先端部に備えている。
そして、このヘッドスライダ27と回路付サスペンション基板1との接続構造において、ヘッドスライダ27および回路付サスペンション基板1は、図2(b)に示すように、それらの外部端子28と磁気ヘッド側接続端子部17とが対向するように配置されている。
【0059】
より具体的には、ヘッドスライダ27は、その後端部が第1開口部4側に突出するとともに、先端部が第2開口部5側に突出するように、台座19の上に載置されており、これにより、外部端子28が第2開口部5側に突出している。
このとき、回路付サスペンション基板1では、端子形成部10の後側において、磁気ヘッド側接続端子部17が、第2開口部5側に突出しているため、その磁気ヘッド側接続端子部17と外部端子28とが、それぞれ対向する。
【0060】
そして、この接続構造においては、回路付サスペンション基板1が、導体パターン13が反るように上方に湾曲されるとともに、その反りの反力により、磁気ヘッド側接続端子部17が外部端子28に当接されている。これによって、磁気ヘッド側接続端子部17と外部端子28とが電気的に接続される。
すなわち、この接続構造では、回路付サスペンション基板1の第2タング部7の後端部(遊端部)が、その上面に形成される磁気ヘッド側接続端子部17とともに、導体パターン13が反るように、上方に向かって湾曲されている。
【0061】
このような場合において、磁気ヘッド側接続端子部17は、反りの反力、より具体的には、金属支持基板11(磁気ヘッド側接続端子部17を幅方向において挟む金属支持基板11)のばね力により、回路付サスペンション基板1の後側に向かって押圧される。
また、このような接続構造では、必要により、磁気ヘッド側接続端子部17と外部端子28とを、少量の半田(図示せず)により接続する。
【0062】
すなわち、ヘッドスライダ27が高密度のハードディスクドライブに対応する場合において、磁気ヘッド側接続端子部17と外部端子28とを半田により接続すると、その半田が盛り上がり、磁気ヘッド側接続端子部17および外部端子28間に膨出して、短絡を発生させる場合がある。そのため、このような接続構造において、磁気ヘッド側接続端子部17と外部端子28とを半田により接続する場合には、半田の盛り上がりおよび膨出を抑制するため、半田の体積を減少させる。
【0063】
このようにして、ヘッドスライダ27と、回路付サスペンション基板1とが、電気的に接続され、これにより、回路付サスペンション基板アッセンブリ31が形成される。
このようなヘッドスライダ27と回路付サスペンション基板1との接続構造、および、回路付サスペンション基板アッセンブリ31では、回路付サスペンション基板1の反りの反力により、磁気ヘッド側接続端子部17と外部端子28とが当接されるため、それらを接合するための半田の体積を減少させても、半田の盛り上がりおよび膨出を抑制するとともに、ヘッドスライダ27と回路付サスペンション基板1とを良好に接続することができる。
【0064】
そのため、このようなヘッドスライダ27と回路付サスペンション基板1との接続構造、および、回路付サスペンション基板アッセンブリ31では、ハードディスクドライブが高密度化され、各磁気ヘッド側接続端子部17間の間隔が狭くなる場合にも、優れた接続信頼性を確保しつつ、各磁気ヘッド側接続端子部17および各外部端子28間における短絡を防止することができる。
【0065】
また、このようなヘッドスライダ27と回路付サスペンション基板1との接続構造、および、回路付サスペンション基板アッセンブリ31においては、例えば、半田を用いることなく、磁気ヘッド側接続端子部17と外部端子28とを接続することもできる。
すなわち、このようなヘッドスライダ27と回路付サスペンション基板1との接続構造、および、回路付サスペンション基板アッセンブリ31では、磁気ヘッド側接続端子部17と外部端子28とを当接するのみで、ヘッドスライダ27と回路付サスペンション基板1とを接続することもでき、このような場合には、半田による接続を不要とすることができる。
【0066】
そのため、このようなヘッドスライダ27と回路付サスペンション基板1との接続構造、および、回路付サスペンション基板アッセンブリ31では、ヘッドスライダ27を回路付サスペンション基板1から取り出すときにも、半田の再溶融および除去などを不要とすることができるため、取り出しに要する工数を低減するとともに、外部端子28の半田による汚染を防止することができる。
【0067】
なお、このような場合には、必要により、磁気ヘッド側接続端子部17と外部端子28とが当接される部分を、例えば、公知の接着剤などからなる樹脂30により、封止することもできる(図2(b)参照)。
樹脂30により封止すれば、磁気ヘッド側接続端子部17と外部端子28との当接を、より確実に維持することができ、その結果、回路付サスペンション基板1とヘッドスライダ27との接続信頼性を、より向上することができる。
【0068】
また、このようなヘッドスライダ27と回路付サスペンション基板1との接続構造では、回路付サスペンション基板1が、金属支持基板11のばね力に抗して反らされ、その導体パターン13の磁気ヘッド側接続端子部17が、金属支持基板11のばね力によって、ヘッドスライダ27の外部端子28に当接される。
そのため、このようなヘッドスライダ27と回路付サスペンション基板1との接続構造では、より簡易かつ確実に、導体パターン13の磁気ヘッド側接続端子部17と、ヘッドスライダ27の外部端子28とを当接させて、ヘッドスライダ27と回路付サスペンション基板1とを電気的に接続することができる。
【0069】
さらに、このようなヘッドスライダ27と回路付サスペンション基板1との接続構造によれば、導体パターン13の磁気ヘッド側接続端子部17が、幅方向において金属支持基板11に挟まれるように配置されるため、その磁気ヘッド側接続端子部17を、金属支持基板11のばね力により、より確実にヘッドスライダ27の外部端子28に当接することができる。
【0070】
図5は、本発明の電子部品と配線回路基板との接続構造の他の実施形態(磁気ヘッド側接続端子部がベース絶縁層に埋設されるように形成される形態)であるヘッドスライダと回路付サスペンション基板との接続構造を示す断面図であって、(a)は、回路付サスペンション基板の、ヘッドスライダ接続前における要部断面図、(b)は、回路付サスペンション基板の、ヘッドスライダ接続後における要部断面図を示す。なお、上記した各部に対応する部材については、以下の各図において同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0071】
上記した説明では、磁気ヘッド側接続端子部17を、その後端部が第2開口部5側に突出するように(すなわち、片持端子として)形成したが、磁気ヘッド側接続端子部17としては、特に制限されず、例えば、図5に示すように、端子形成部10において、ベース絶縁層12に埋設されるように(すなわち、両持端子として)、形成することもできる。
より具体的には、この実施形態では、図5(a)に示すように、金属支持基板11およびベース絶縁層12から導体パターン13の下面を部分的に露出させ、その露出する導体パターン13を、磁気ヘッド側接続端子部17とする。
【0072】
このような磁気ヘッド側接続端子部17を形成するには、例えば、まず、磁気ヘッド側接続端子部17に対応する位置において、ベース絶縁層12に、その厚み方向を貫通する開口部を形成し、次いで、導体パターン13を、ベース絶縁層12の開口部を埋設するように、公知のパターニング法によって、凹形状に形成する。その後、磁気ヘッド側接続端子部17に対応する金属支持基板11を除去し、金属支持基板11およびベース絶縁層12から、導体パターン13の裏面を露出させる。なお、必要により、導体パターン13の露出面には、金属めっき層18を形成する。
【0073】
このような磁気ヘッド側接続端子部17は、ベース絶縁層12に埋設され、その周端縁がベース絶縁層12に包囲されているため、機械的強度に優れる。そのため、このような実施形態では、図5(b)に示すように、磁気ヘッド側接続端子部17と外部端子28とを当接させて、ヘッドスライダ27と回路付サスペンション基板1とを接続する場合にも、磁気ヘッド側接続端子部17の損傷を低減することができる。
【0074】
図6は、本発明の電子部品と配線回路基板との接続構造の他の実施形態(第2タング部の遊端側において金属支持基板が除去される形態)であるヘッドスライダと回路付サスペンション基板との接続構造を示す要部拡大平面図を示す。
また、上記した説明では、第2タング部7において、端子形成部10の下面の金属支持基板11に切り欠き部20を形成し、金属支持基板11が複数の各磁気ヘッド側接続端子部17を幅方向において挟むように、金属支持基板11および各磁気ヘッド側接続端子部17を配置したが、例えば、図6に示すように、切り欠き部20を形成せずに、第2タング部7の遊端側(後側)の金属支持基板11を、除去することもできる。
【0075】
より具体的には、この実施形態では、図6に示すように、第2タング部7の遊端側(後側)の金属支持基板11が除去され(破線参照)、金属支持基板11の遊端縁が、ベース絶縁層12およびカバー絶縁層14の遊端縁と平面視において略平行となるように、ベース絶縁層12およびカバー絶縁層14の遊端縁よりも先側に配置される。
また、この実施形態では、金属支持基板11は、第2タング部7において第2開口部5に幅方向に囲まれる金属支持基板11の幅方向両端縁と、ベース絶縁層12およびカバー絶縁層14の幅方向両端縁とがそれぞれ面一となるように、形成および配置される。
【0076】
これにより、第2タング部7の後部において、磁気ヘッド側接続端子部17は、その中部および後部と、金属支持基板11とは厚み方向において重複せず、かつ、その先部と、金属支持基板11の遊端部とが厚み方向において重複するように、配置される。
このような実施形態においても、回路付サスペンション基板1(より具体的には、磁気ヘッド側接続端子部17の先部と厚み方向において重複する金属支持基板11)の反りの反力(ばね力)により、磁気ヘッド側接続端子部17と外部端子28とを当接させることができる。
【0077】
図7は、本発明の電子部品と配線回路基板との接続構造の他の実施形態(第2タング部の後側および幅方向両端側の金属支持基板が除去される形態)であるヘッドスライダと回路付サスペンション基板との接続構造を示す要部拡大平面図を示す。
さらに、上記した説明では、第2タング部7の遊端側(後側)において金属支持基板11を除去し、一方、金属支持基板11の幅方向両端縁と、ベース絶縁層12およびカバー絶縁層14の幅方向両端縁とをそれぞれ面一とした(図6参照)が、例えば、図7に示すように、第2タング部7の後側および幅方向両端側において、金属支持基板11を除去することもできる。
【0078】
より具体的には、この実施形態では、図7に示すように、図6に示す実施形態と同様、第2タング部7の遊端側(後側)の金属支持基板11が除去され(破線参照)、金属支持基板11の遊端縁が、ベース絶縁層12およびカバー絶縁層14の遊端縁と平面視において略平行となるように、ベース絶縁層12およびカバー絶縁層14の遊端縁よりも先側に配置される。
【0079】
それに加えて、この実施形態では、第2タング部7の幅方向両端側においても、金属支持基板11が除去され(破線参照)、金属支持基板11の幅方向両端縁が、ベース絶縁層12およびカバー絶縁層14の幅方向両端縁と面一とならずに、ベース絶縁層12およびカバー絶縁層14の幅方向両側端縁よりも幅方向内側に、配置される。
すなわち、この実施形態では、第2タング部7において、金属支持基板11は、ベース絶縁層12およびカバー絶縁層14よりも、幅方向および長手方向においてわずかに小さく形成される。
【0080】
そして、この実施形態においても、第2タング部7の後部において、磁気ヘッド側接続端子部17は、その中部および後部と、金属支持基板11とは厚み方向において重複せず、かつ、その先部と、金属支持基板11の遊端部とが厚み方向において重複するように、配置される。
このような実施形態においても、回路付サスペンション基板1(より具体的には、磁気ヘッド側接続端子部17の先部と厚み方向において重複する金属支持基板11)の反りの反力(ばね力)により、磁気ヘッド側接続端子部17と外部端子28とを当接させることができる。
【0081】
図8は、本発明の電子部品と配線回路基板との接続構造の他の実施形態(第2タング部において、金属支持基板がベース絶縁層およびカバー絶縁層よりも幅方向両外側に膨出する形態)であるヘッドスライダと回路付サスペンション基板との接続構造を示す要部拡大平面図を示す。
また、上記した説明では、第2タング部7の遊端側(後側)において金属支持基板11を除去し、一方、金属支持基板11の幅方向両端縁と、ベース絶縁層12およびカバー絶縁層14の幅方向両端縁とをそれぞれ面一とした(図6参照)が、例えば、図8に示すように、第2タング部7において、金属支持基板11を、ベース絶縁層12およびカバー絶縁層14よりも幅方向両外側に膨出させることもできる。
【0082】
より具体的には、この実施形態では、図8に示すように、図6に示す実施形態と同様、第2タング部7の遊端側(後側)の金属支持基板11が除去され(破線参照)、金属支持基板11の遊端縁が、ベース絶縁層12およびカバー絶縁層14の遊端縁と平面視において略平行となるように、ベース絶縁層12およびカバー絶縁層14の遊端縁よりも先側に配置される。
【0083】
それに加えて、この実施形態では、第2タング部7の幅方向両端側において、金属支持基板11の幅方向両端縁が、ベース絶縁層12およびカバー絶縁層14の幅方向両端縁と面一とならずに、金属支持基板11が、ベース絶縁層12およびカバー絶縁層14よりも幅方向両外側に膨出するように、配置される。
すなわち、この実施形態では、第2タング部7において、金属支持基板11は、ベース絶縁層12およびカバー絶縁層14よりも、長手方向においてわずかに小さく、かつ、幅方向においてわずかに大きく形成される。
【0084】
そして、この実施形態においても、第2タング部7の後部において、磁気ヘッド側接続端子部17は、その中部および後部と、金属支持基板11とは厚み方向において重複せず、かつ、その先部と、金属支持基板11の遊端部とが厚み方向において重複するように、配置される。
このような実施形態においても、回路付サスペンション基板1(より具体的には、磁気ヘッド側接続端子部17の先部と厚み方向において重複する金属支持基板11)の反りの反力(ばね力)により、磁気ヘッド側接続端子部17と外部端子28とを当接させることができる。
【0085】
また、上記の接続構造(図2、図5、図6、図7または図8参照。)を採用して、ヘッドスライダ27の浮上特性および電気特性を検査することもできる。
すなわち、通常、ヘッドスライダ27は、製造後、回路付サスペンション基板に実装される前に、検査用基板に搭載され、その電気特性および浮上特性が検査される。このようなヘッドスライダ27の検査において、検査用基板が、上記した回路付サスペンション基板1(図2、図5、図6、図7または図8参照。)と同様の構成である場合には、上記したヘッドスライダ27と回路付サスペンション基板1との接続構造を採用し、ヘッドスライダ27を検査することができる。
【0086】
図9は、本発明の電子部品の検査方法の一実施形態であるヘッドスライダの検査方法を示す断面図であって、(a)は、検査用基板の、ヘッドスライダ接続前における断面図、(b)は、検査用基板の、ヘッドスライダ接続後における断面図を示す。
以下において、ヘッドスライダ27の検査方法について、図9を参照して説明する。
図9(a)に示すように、このヘッドスライダ27の検査方法では、まず、複数の外部端子28を備える電子部品としてのヘッドスライダ27を用意する。また、その一方で、配線回路基板として、上記の回路付サスペンション基板1と同様の構成を備える検査用基板21を用意する。
【0087】
そして、この方法では、ヘッドスライダ27および検査用基板21を、ヘッドスライダ27の外部端子28と、検査用基板21の磁気ヘッド側接続端子部17とが対向するように配置し、次いで、検査用基板21を、導体パターン13が反るように、上方に湾曲させる。
すなわち、この検査方法では、上記と同様に、ヘッドスライダ27を台座19の上に載置し、検査用基板21の第2タング部7の後端部(遊端部)を、その上に形成される磁気ヘッド側接続端子部17とともに、導体パターン13が反るように、上方に向かって湾曲させる。
【0088】
次いで、この方法では、反りの反力により、磁気ヘッド側接続端子部17を外部端子28に当接させる。
すなわち、磁気ヘッド側接続端子部17を、反りの反力、より具体的には、金属支持基板11のばね力により、検査用基板21の後側に向かって押圧する。
また、このような検査方法において、ヘッドスライダ27の後端部には、必要により、ヘッドスライダ27を支持するヘッドスライダ支持基板29が、設けられている。
【0089】
ヘッドスライダ支持基板29は、例えば、金属材料から、平面視略矩形の平板形状に形成されており、先後方向途中において、断面視略Z字形状に2回屈曲される。そして、これにより形成される2つの屈曲部が、ヘッドスライダ支持基板29にばね性を付与し、そのばね力によりヘッドスライダ27を、先側に押圧している。
より具体的には、このようなヘッドスライダ支持基板29は、その先端部がヘッドスライダ27の後端部に接続されるとともに、第1開口部4に挿通されており、また、後端部の上面が、検査用基板21(金属支持基板11)の下面に接着されている。
【0090】
そして、この検査方法において、ヘッドスライダ支持基板29は、検査用基板21の後側に向かうように変形(断面視略Z字形状に屈曲)され、この変形の反力(ばね力)によって、ヘッドスライダ27が、先側へ押圧される。これにより、外部端子28が先側(磁気ヘッド側接続端子部17側)に押圧され、外部端子28と磁気ヘッド側接続端子部17とが当接される。
【0091】
なお、この検査方法において、好ましくは、ヘッドスライダ支持基板29を、そのばね力が金属支持基板11のばね力と等しくなるように、形成および配置する。
このようなヘッドスライダ支持基板29は、特に制限されないが、例えば、金属支持基板11で例示した金属材料などから形成されている。
これにより、磁気ヘッド側接続端子部17と外部端子28とを当接させ、検査用基板21とヘッドスライダ27とを電気的に接続する。
【0092】
なお、このような検査方法においては、必要により、磁気ヘッド側接続端子部17と外部端子28とが当接される部分を、例えば、公知の接着剤などからなる樹脂30により、封止することもできる(図9(b)参照)。
樹脂30により封止すれば、磁気ヘッド側接続端子部17と外部端子28との当接を、より確実に維持することができ、その結果、検査用基板21とヘッドスライダ27との接続信頼性を、より向上することができる。
【0093】
その後、図示しないが、このようにしてヘッドスライダ27が搭載された検査用基板21を、公知のヘッドスライダ検査機に搭載し、ヘッドスライダ27の浮上試験および電気試験(磁気ヘッド試験)を実施する。
そして、これにより、ヘッドスライダ27が不良品と判断される場合には、そのヘッドスライダ27を、検査用基板21から取り出し、回路付サスペンション基板に実装することなく、単独で廃棄する。
【0094】
一方、ヘッドスライダ27が良品と判断される場合には、検査用基板21から取り出し、回路付サスペンション基板に実装する。
このようなヘッドスライダ27の検査方法では、検査用基板21の反りの反力(金属支持基板11のばね力)により、磁気ヘッド側接続端子部17と外部端子28とが当接されるため、半田による接続を不要とすることができる。
【0095】
そのため、このようなヘッドスライダ27の検査方法によれば、ヘッドスライダ27を検査用基板21から取り出すときにも、半田の再溶融および除去などを不要とすることができ、取り出しに要する工数を低減するとともに、外部端子28の半田による汚染を防止することができる。その結果、ヘッドスライダ27を検査した後、良好に取り出し、および、回路付サスペンション基板に実装することができる。
【符号の説明】
【0096】
1 回路付サスペンション基板
2 配線部
3 ジンバル部
4 第1開口部
5 第2開口部
6 第1タング部
7 第2タング部
9 ヘッドスライダ搭載部
10 端子形成部
11 金属支持基板
12 ベース絶縁層
13 導体パターン
14 カバー絶縁層
15 信号配線
16 外部側接続端子部
17 磁気ヘッド側接続端子部
18 金属めっき層
19 台座
20 切り欠き部
27 ヘッドスライダ
28 外部端子
29 ヘッドスライダ支持基板
30 樹脂

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品と配線回路基板との接続構造において、
前記電子部品は、複数の外部端子を備えており、
前記配線回路基板は、金属支持基板と、前記金属支持基板の上に形成されるベース絶縁層と、前記ベース絶縁層の上に形成される導体パターンとを備えており、
前記導体パターンが、複数の前記外部端子と接続するための複数の端子部を備えており、
前記電子部品および前記配線回路基板は、前記外部端子と前記端子部とが対向するように配置されており、
前記配線回路基板が、前記導体パターンが反るように湾曲されるとともに、前記反りの反力により、前記端子部と前記外部端子とが当接され、
前記電子部品と前記配線回路基板とが電気的に接続されていることを特徴とする、電子部品と配線回路基板との接続構造。
【請求項2】
前記金属支持基板のばね力により、前記端子部が、前記外部端子に当接していることを特徴とする、請求項1に記載の電子部品と配線回路基板との接続構造。
【請求項3】
前記端子部は、前記金属支持基板の長手方向と直交する幅方向において、間隔を隔てて、複数並列配置されており、
前記金属支持基板は、複数の前記端子部を、幅方向において挟むように配置されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の電子部品と配線回路基板との接続構造。
【請求項4】
電子部品と配線回路基板とを備え、
前記電子部品は、複数の外部端子を備えており、
前記配線回路基板は、金属支持基板と、前記金属支持基板の上に形成されるベース絶縁層と、前記ベース絶縁層の上に形成される導体パターンとを備えており、
前記導体パターンが、複数の前記外部端子と接続するための複数の端子部を備えており、
前記電子部品および前記配線回路基板は、前記外部端子と前記端子部とが対向するように配置されており、
前記配線回路基板が、前記導体パターンが反るように湾曲されるとともに、前記反りの反力により、前記端子部と前記外部端子とが当接され、
前記電子部品と前記配線回路基板とが電気的に接続されていることを特徴とする、配線回路基板アッセンブリ。
【請求項5】
複数の外部端子を備える電子部品を用意する工程、
金属支持基板と、前記金属支持基板の上に形成されるベース絶縁層と、前記ベース絶縁層の上に形成される導体パターンとを備え、前記導体パターンが、複数の前記外部端子と接続するための複数の端子部を備える配線回路基板を用意する工程、
前記電子部品および前記配線回路基板を、前記外部端子と前記端子部とが対向するように配置する工程、
前記配線回路基板を、前記導体パターンが反るように湾曲させる工程、および、
前記反りの反力により、前記端子部と前記外部端子とを当接させる工程
を備えることを特徴とする、電子部品の検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−118966(P2011−118966A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−273693(P2009−273693)
【出願日】平成21年12月1日(2009.12.1)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】