説明

電子部品の取外し方法及び電子部品のリワーク方法

【課題】物理的な外力を作用させる装置を用いずにプリント基板から電子部品を取外すことができる電子部品の取外し方法及び電子部品のリワーク方法を提供することを課題とする。
【解決手段】電子部品の取外し方法は、プリント基板10にはんだ付けされた表面実装型の電子部品20が重力方向を向くようにプリント基板10を配置し、はんだを加熱して溶解させプリント基板10から電子部品20を落下させる。これにより、物理的な外力を作用させる装置を用いずにプリント基板から電子部品を取外すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品の取外し方法及び電子部品のリワーク方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント基板に実装された電子部品を取外す場合には、プリント基板と電子部品とを接合したはんだを溶解させて、吸引ノズルにより電子部品を吸引してプリント基板から強制的に取外していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−258026号
【特許文献2】特開平01−245533号
【特許文献3】特開2000−183082号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように物理的な外力を電子部品に与えることにより、電子部品をプリント基板から取外していた。従って、電子部品の取外しは、このような外力を作用させる装置を備えた環境下でしか行うことができなかった。
【0005】
物理的な外力を作用させる装置を用いることなくプリント基板から電子部品を取外すことができる電子部品の取外し方法及び電子部品のリワーク方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示の電子部品の取外し方法は、プリント基板にはんだ付けされた表面実装型の電子部品が重力方向を向くように前記プリント基板を配置し、前記はんだを加熱して溶解させ前記プリント基板から前記電子部品を落下させる。
【0007】
本明細書に開示の電子部品のリワーク方法は、上記の電子部品の取外し方法を含む。
【発明の効果】
【0008】
物理的な外力を作用させる装置を用いずにプリント基板から電子部品を取外すことができる電子部品の取外し方法及び電子部品のリワーク方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1Aは、リワーク装置にてプリント基板から電子部品を取外す方法の説明図であり、図1Bは、リフロー炉にてプリント基板から電子部品を取外す方法の説明図である。
【図2】図2A、2Bは、複数の電子部品を取外す際の説明図である。
【図3】図3A、3Bは、重りを用いて複数の電子部品を取外す際の説明図である。
【図4】図4Aは、重りと連結部材とを用いて複数の電子部品を取外す際の説明図であり、図4Bは、吸着ノズルにより複数の電子部品を取外す際の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施形態について図面を参照して説明する。
【0011】
図1Aは、リワーク装置にてプリント基板から電子部品を取外し方法の説明図である。リワーク装置とは、プリント基板に実装された電子部品を、プリント基板から取外して交換するための装置である。以下に説明する取外し方法は、リワーク工程中に実行される。リワーク工程は、取外しの対象となる電子部品を加熱処理してプリント基板から取外し、プリント基板を整地した後、再度プリント基板にはんだペーストを印刷して電子部品をプリント基板に実装することにより行われる。
【0012】
プリント基板10の第1面12側には、電子部品20が実装されている。電子部品20は、半導体チップが樹脂封止された本体部22、本体部22の第1面12への取付面に設けられた複数のはんだバンプ26、を含む。電子部品20は、いわゆるBGA(Ball Grid Array)タイプの電子部品である。電子部品20としては、表面実装型のものであればよく、例えばQFP(Quad Flat Package)やPLCC(Plastic Leaded Chip Carrier)、SOP(Small Outline Package)であってもよい。また、電子部品20は、半導体チップが樹脂封止されたものに限定されず、例えば、半導体チップが金属性の筐体で覆われているものであってもよい。はんだバンプ26は、プリント基板10の第1面12側に設けられたフットパターンと接合されている。これにより、プリント基板10と電子部品20とは電気的に接続されている。
【0013】
図1Aに示すように、プリント基板10に実装された電子部品20が下(重力方向)を向くようにして配置する。支持部材60により、電子部品20を挟むようにしてプリント基板10を支持する。支持部材60は、加熱に伴ってプリント基板10に反りが発生するのを抑制している。支持部材60は、電子部品20の位置に応じて移動可能に設けられている。次にパネルヒータ70により、プリント基板10の第1面12側を加熱する。支持部材60、パネルヒータ70、リペア装置80は、リワーク装置に備えられているものである。
【0014】
また、リペア装置80により、プリント基板10の第2面14側を加熱する。リペア装置80は、電子部品をプリント基板から取外す際に用いられる。リペア装置80は、筒状のシールド82と、シールド82内に設けられたヒータブロック84とを含む。ヒータブロック84内にはカートリッジ式のヒータが内蔵されており、このヒータからの輻射熱により、プリント基板10の一部分が加熱される。シールド82は、電子部品20の裏面側に相当する第2面14の部分に対向するように配置される。これにより、電子部品20周辺が加熱される。パネルヒータ70とリペア装置80とによってはんだバンプ26が加熱溶解して融点に達すると、電子部品20は自重によりプリント基板10から落下する。このようにして、プリント基板10から電子部品20を取外すことができる。電子部品20は自重によって落下するので、物理的な外力を作用させる装置を用いずに取外すことができる。また、そのような装置を操作する必要も無いため、作業が容易となる。
【0015】
図1Bは、リフロー炉にてプリント基板から電子部品を取外す方法の説明図である。リフロー炉内には、複数のヒータ70aが配置されており、プリント基板10の両面側から加熱される。はんだバンプ26が融点に達すると電子部品20は自重によりプリント基板10から落下する。リフロー炉は、一般的に、プリント基板に電子部品を実装するためのものである。このようなリフロー炉においても、プリント基板から電子部品を取外すことができる。このように上記取外し方法は、リフロー炉においてもリワーク装置においても実行可能であり、汎用性に優れている。
【0016】
次に、プリント基板から電子部品が自重により落下する条件について説明する。以下の条件式を満たす場合に、電子部品の重量は、はんだの表面張力より大きくなり、電子部品は自重によりプリント基板から落下する。
A×P(α×K)≦M・・・(1)
【0017】
Mは、電子部品の重さ(mg)を示している。
Aは、実装、組立ての条件に依存する係数である。実装、組立ての条件とは、例えば、プリント基板と電子部品とを接合するはんだの材質等に依存する係数である。例えば、鉛フリーはんだを用いている場合と、それ以外のはんだを用いている場合とでは、Aの値が異なる。
【0018】
Pは、ピン数である。上記で説明したBGAタイプの電子部品にあっては、電子部品に設けられた、はんだバンプの数である。Pの値か多いほど、電子部品は落下しにくくなる。
【0019】
αは、電子部品のタイプに依存する係数である。例えば、BGAタイプの電子部品にあっては、α=21である。電子部品が、QFPやPLCC、SOPタイプの場合、αの値は、BGAタイプのものより大きな値に設定される。
【0020】
Kは、フットパターンの外周の長さである。即ち、プリント基板上に設けられたフットパターンの外周の長さが長いほど、電子部品は落下しにくくなる。フットパターンの外周が長いほど、電子部品のリードとはんだとの接合面積が大きいからである。尚、BGAタイプの電子部品においては、フットパターンの外形は円形であり、QFPタイプの電子部品においては、フットパターンの外形は矩形状である。
【0021】
上記(1)の式を用いることにより、電子部品が自重のみの作用によってプリント基板から取外すことができるか否かを、事前に判断することができる。
【0022】
図2A、2Bは、複数の電子部品を取外す際の説明図である。図2Aに示すように、プリント基板10の第1面12には、2つの電子部品20が実装されている。2つの電子部品20を挟むようにしてプリント基板10を支持部材60により支持する。また、2つの電子部品20を覆うことができる大きさのリペア装置80aにより、2つの電子部品20の裏面側を加熱する。これにより、2つの電子部品20は自重によりプリント基板10から落下する。これにより、複数の電子部品を個別に取外す場合と比較し、プリント基板10の熱履歴回数を抑制できる。
【0023】
図2Bに示すように、加熱する前に、2つの電子部品20の上面に、単一の連結板40を固定する。電子部品20と連結板40との固定は、例えば耐熱性の両面テープにより行う。連結板40は、金属製であり、例えば、アルミ、銅又はステンレス製である。連結板40を固定した後、電子部品20が下方に向くようにプリント基板10を配置して加熱する。これにより、2つの電子部品20を同時にプリント基板10から取外すことができる。また、連結板40の重さにより、プリント基板10からの電子部品20の落下が助長される。これにより、連結板40を用いない場合に比較して、短時間で電子部品20を取外すことができる。上記(1)の式により、電子部品が落下しない恐れがあると判断した場合に有用である。また、電子部品20が小型の場合に、複数の電子部品20が連結板40に固定されているので、取外された複数の電子部品20が散乱することを防止できる。
【0024】
図3A、3Bは、重りを用いて電子部品を取外す方法の説明図である。図3Aに示すように、単一の電子部品20の上面に重り30を固定する。重り30は、金属製であり、例えば、アルミ、銅又はステンレス製である。電子部品20と重り30との固定は、例えば耐熱性の両面テープにより行う。これにより、電子部品20の落下が助長される。特に、電子部品20が小型で軽量の場合に有用である。また、図3Bに示すように、2つの電子部品20にそれぞれ個別に重り30を固定する。これによっても、2つの電子部品20の落下が助長される。
【0025】
図4Aは、重り30と連結板40とを用いて複数の電子部品を取外す方法の説明図である。2つの電子部品20の上面に連結板40を固定し、更に連結板40の上面に重り30を固定する。次に、電子部品20が下を向くようにしてプリント基板10aを支持部材60により支持して、パネルヒータ70、リペア装置80により過熱する。これにより、2つの電子部品20を同時に取外すことができ、また、重り30と連結板40との重量の作用により、短時間で電子部品20を取外すことができる。
【0026】
図4Bは、吸引ノズル90により複数の電子部品を一度に取外す方法の説明図である。図4Bに示すように、複数の電子部品20が上面を向くようにプリント基板10aを支持部材60により支持する。次に、2つの電子部品20の上面に単一の連結板40を固定する。次に、2つの電子部品20をリペア装置80aで覆い加熱する。はんだバンプ26が溶解したら、吸引ノズル90により連結板40と共に2つの電子部品20を吸引して、プリント基板10aから電子部品20を取外す。これにより、複数の電子部品20を取外すことができる。
【0027】
一般的に、プリント基板の同一面に実装される複数の電子部品の間隔は、10mm程度に設定されていた。この理由は、リペア時においては電子部品を単体で取外すことを想定しており、取外すためには上述したようなリペア装置80を用いることが想定される。即ち、取外し対象の電子部品に隣接した電子部品が余計に加熱されないように、電子部品の間隔をある程度の大きさに設定しておく必要がある。
【0028】
しかしながら、上記、図2A、2B、3B、4A、4Bに示したように、複数の電子部品を同時に取外すことができるので、隣接する電子部品の隙間を狭くすることができる。例えば、隣接する電子部品間の隙間は、電子部品のセルフアライメントを考慮して、0.2mm程度に設定することができる。これにより、電子部品が高密度に実装されたプリント基板に対しても、リワーク作業を行うことができる。
【0029】
以上本発明の好ましい一実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0030】
尚、上記実施例においては、電子部品が片面にのみ実装されたプリント基板を例に説明したが、上記取外し方法は電子部品が両面に実装されたプリント基板に対しても採用できる。例えば、プリント基板の両面に電子部品が実装されている場合には、下面側に実装された電子部品を自重により取外すと同時に、上面側に実装された電子部品を吸引ノズルにより取外すことができる。これにより、短時間で両面に実装された電子部品をプリント基板から取外すことができる。
【0031】
(付記1)
プリント基板の同一面に実装された複数の電子部品を連結する連結部材を前記複数の電子部品の上面に固定し、
前記プリント基板と前記複数の電子部品とを接合するはんだを加熱し、
前記連結部材と共に前記複数の電子部品を同時に取外す、電子部品の取外し方法。
【符号の説明】
【0032】
10 プリント基板
20 電子部品
26 はんだバンプ
30 重り
40 連結板
60 支持部材
80 リペア装置
90 吸引ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント基板にはんだ付けされた表面実装型の電子部品が重力方向を向くように前記プリント基板を配置し、
前記はんだを加熱して溶解させ前記プリント基板から前記電子部品を落下させる、電子部品の取外し方法。
【請求項2】
前記電子部品は、前記プリント基板の同一面側にはんだ付けされた複数の電子部品を含み、
加熱前に前記複数の電子部品を連結する連結部材を前記複数の電子部品に固定する、請求項1の電子部品の取外し方法。
【請求項3】
加熱前の前記電子部品に重りを固定する、請求項1又は2の電子部品の取外し方法。
【請求項4】
加熱前に前記連結部材に重りを固定する、請求項2の電子部品の取外し方法。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかの電子部品の取外し方法を含む、電子部品のリワーク方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−212373(P2010−212373A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−55443(P2009−55443)
【出願日】平成21年3月9日(2009.3.9)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】