説明

電子部品の実装構造

【課題】電子部品の基板実装時における電子部品直下への小型部品の侵入を容易に確認可能な電子部品の実装構造を提供する。
【解決手段】接続端子を有する電子部品と、前記電子部品が実装される基板と、を備え、前記基板は、前記電子部品の接続端子と対応する位置に設けられた第1パッドと、前記電子部品の投影領域内において前記第1パッドとは異なる位置に設けられ且つ上面に半田が配置された第2パッドとを有する、という電子部品の実装構造を採用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品の実装構造に関し、特に電子部品の基板実装時における電子部品直下への小型チップ部品の侵入を容易に確認可能な電子部品の実装構造に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、例えばBGA(Ball Grid Array)パッケージの電子部品に形成された半田バンプを従来の球形より薄い形状とする一方、プリント基板のパッド部を凸凹を含む特徴的な形状とすることにより、電子部品の基板実装後のX線透過法による接続状態の検査を容易とする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−219583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の技術は、あくまで電子部品の半田バンプとプリント基板のパッドとが正しく接続されているかの確認を容易にすることを目的としたものであって、仮に電子部品の直下に抵抗素子やコンデンサ素子等の小型チップ部品が誤って侵入した状態でX線検査を実施しても、X線は小型チップ部品を透過してしまうため、電子部品直下への小型チップ部品の侵入を確認することができない。電子部品の直下に小型チップ部品が侵入した状態で放置すると半田バンプ同士の短絡を招き、その結果、回路の誤動作や電子部品の破損などの不具合が発生する。そのため、特に目視による外観検査が困難な電子部品直下への小型チップ部品の侵入を容易に確認可能な技術の開発が必要であった。
【0005】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、電子部品の基板実装時における電子部品直下への小型部品の侵入を容易に確認可能な電子部品の実装構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明では、電子部品の実装構造に係る第1の解決手段として、接続端子を有する電子部品と、前記電子部品が実装される基板と、を備え、前記基板は、前記電子部品の接続端子と対応する位置に設けられた第1パッドと、前記電子部品の投影領域内において前記第1パッドとは異なる位置に設けられ且つ上面に半田が配置された第2パッドとを有することを特徴とする。
このような特徴を有する電子部品の実装構造によれば、電子部品の基板実装後に、電子部品の直下に小型部品が侵入した状態でX線検査を行うと、第2パッドのX線透過像に形状変化が生じるため、特に、パッケージの下面に接続端子(半田バンプ)が配置された電子部品や、パッケージの外周縁に沿って狭ピッチで接続端子が配置された電子部品などの目視による外観検査が困難な電子部品直下への小型部品の侵入を容易に確認できる。
【0007】
また、本発明では、電子部品の実装構造に係る第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記第2パッドは、前記電子部品の投影領域内において複数設けられていることを特徴とする。
このような特徴を有する電子部品の実装構造によれば、第2パッド上に小型部品が載る可能性が高まるため、確実に電子部品直下への小型部品の侵入を確認することができる。
【0008】
また、本発明では、電子部品の実装構造に係る第3の解決手段として、上記第2の解決手段において、隣接する前記第2パッド同士の少なくとも一部の間隙寸法は、前記基板に実装される最小部品の最短外形寸法より小さく設定されていることを特徴とする。
このような特徴を有する電子部品の実装構造によれば、例えば抵抗素子やコンデンサ素子等の小型チップ部品(最小部品)を含む全ての実装部品について、確実に電子部品直下への侵入を確認することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る電子部品の実装構造によれば、電子部品の基板実装時における電子部品直下への小型部品の侵入を容易に確認可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態に係る電子部品の実装構造を示す図である。
【図2】本実施形態に係る電子部品の実装構造の作用効果に関する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係る電子部品の実装構造を示す模式図である。図1(a)、(b)に示すように、本実施形態に係る電子部品の実装構造は、下面の一部に接続端子としての半田バンプ1aを有する例えばBGAパッケージの電子部品1と、電子部品1が実装されるプリント基板2とを備えている。なお、図1(a)は電子部品1とプリント基板2を側面から視た図であり、図1(b)はプリント基板2を上面から視た図である。
【0012】
また、プリント基板2は、電子部品1の投影領域2a内において電子部品1の半田バンプ1aと対応する位置に設けられた円形状の第1パッド2bと、投影領域2a内において第1パッド2bとは異なる位置に設けられ且つ上面に半田2dが配置された円形状の第2パッド2cとを有している。第1パッド2bは、投影領域2aの外縁側において4つの辺に沿って列を成すように複数配置されていると共に、投影領域2aの中央部において正方形を成すように複数配置されている。
【0013】
第2パッド2cは、投影領域2a内の第1パッド2bが配置されていない領域において、第1パッド2bの列と平行に並列して複数配置されている。ここで、図1(b)に示すように、隣接する第2パッド2c同士の少なくとも一部の間隙寸法L2は、プリント基板2に実装される最小部品3(例えば抵抗素子やコンデンサ素子等の小型チップ部品)の最短外形寸法L1より小さく設定されている。
【0014】
続いて、上述した電子部品の実装構造の作用効果について図2を参照しながら説明する。
図2(a)は、リフロー前に第2パッド2c上(半田2d上)に例えばチップ抵抗等の小型部品4が付着した状態(電子部品1の直下に小型部品4が侵入した状態)を示す上面図及び側面図である。図2(b)は、リフロー後に第2パッド2c上に小型部品4が付着した状態を示す上面図及び側面図である。この図2(b)に示すように、図2(a)の状態からリフローが実施されると、小型部品4は電子部品1とプリント基板2との間に挟まれた状態となるので、ほぼプリント基板2と平行な姿勢で固定される。
【0015】
図2(c)は、図2(b)の状態でX線検査を実施した場合に得られるX線透過像を示す上面図である。電子部品1の直下に小型部品4が侵入した状態でリフローを実施すると、第2パッド2c上面の半田2dは、小型部品4と接触する部分において、その厚みが薄くなる。X線は、薄い箇所を透過し易い特性を有するので、X線検査を実施した場合、第2パッド2c上面の半田2dが、小型部品4と接触しない部分に比べ透過し、X線透過像に明確な映像として残らない。そのため、第2パッド2c上面の半田2dに形状変化が生じ、小型部品4の侵入を確認することができる。また、隣接する第2パッド2c同士の間隙寸法L2を、プリント基板2に実装される最小部品3の最短外形寸法L1より小さく設定しているため、最小部品3を含む全ての実装部品について、確実に電子部品1の直下への侵入を確認することができる。
【0016】
以上説明した通り、本実施形態に係る電子部品の実装構造によれば、BGAパッケージ等の目視による外観検査が困難な電子部品1の基板実装時における電子部品1の直下への小型部品4の侵入を容易に確認することができる。
【0017】
なお、本発明は上記実施形態に限定されず、以下のような変形例が挙げられる。
(1)上記実施形態では、プリント基板2上の電子部品1の投影領域2a内に、円形状の第2パッド2cを設ける場合を例示したが、第2パッド2cの形状は四角形等の多角形状、或いは楕円形状などの他の形状としても良い。また、第2パッド2cの大きさ(面積)は、第1パッド2bと同一サイズとしても良いし、或いは第1パッド2bと異なるサイズにしても良い。これら第2パッド2cの形状及び大きさは、最小部品3を含む全ての実装部品について電子部品1の直下侵入の確認が可能な範囲で適宜変更可能である。
【0018】
(2)上記実施形態では、第2パッド2cが、投影領域2a内の第1パッド2bが配置されていない領域において、規則正しく第1パッド2bの列と平行に並列して複数配置されている場合を例示したが、投影領域2a内での第2パッド2cのレイアウトは任意に変更可能である。ただし、上記実施形態と同様に、隣接する第2パッド2c同士の間隙寸法L2を、プリント基板2に実装される最小部品3の最短外形寸法L1より小さく設定することが望ましい。
【0019】
(3)上記実施形態では、電子部品1として下面に半田バンプ1a(接続端子)が配置されたBGAパッケージ部品を例示したが、本発明はBGAパッケージ部品に限らず、目視による外観検査が困難な電子部品、例えばパッケージの外周縁に沿って狭ピッチで接続端子が配置されているような電子部品(QFP(Quad Flat Package)部品など)であれば本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0020】
1…電子部品、1a…半田バンプ(接続端子)、2…プリント基板、2a…投影領域、2b…第1パッド、2c…第2パッド、2d…半田、3…最小部品、4…小型部品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続端子を有する電子部品と、
前記電子部品が実装される基板と、を備え、
前記基板は、前記電子部品の接続端子と対応する位置に設けられた第1パッドと、前記電子部品の投影領域内において前記第1パッドとは異なる位置に設けられ且つ上面に半田が配置された第2パッドとを有することを特徴とする電子部品の実装構造。
【請求項2】
前記第2パッドは、前記電子部品の投影領域内において複数設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電子部品の実装構造。
【請求項3】
隣接する前記第2パッド同士の少なくとも一部の間隙寸法は、前記基板に実装される最小部品の最短外形寸法より小さく設定されていることを特徴とする請求項2に記載の電子部品の実装構造。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−146819(P2012−146819A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−4001(P2011−4001)
【出願日】平成23年1月12日(2011.1.12)
【出願人】(000141901)株式会社ケーヒン (1,140)
【Fターム(参考)】