説明

電子部品モジュールの取付構造

【課題】油圧スイッチモジュールの良好な取付性を確保しながら、部品点数の削減による軽量化や構成の簡素化を図る。
【解決手段】油圧スイッチ12を内蔵した板状の樹脂モールド10と、樹脂モールド10とは別体の金属プレート30とを有する油圧スイッチモジュール1と、制御ボディ50の取付面51に形成したかぎ状の保持片61,61を有するスロット部60とを備え、スロット部60に対して、樹脂モールド10及び金属プレート30をスライド方向へスライドさせて差し込むことで、樹脂モールド10及び金属プレート30を取付面51上にこの順で重ねて取り付けるように構成した。スロット部60に対して樹脂モールド10の後に金属プレート30を挿入することで、Oリング15の弾性によって油圧スイッチモジュール1がスロット部60内で厚さ方向に圧力を受けた状態で嵌め込まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動変速機の油圧制御装置が備える油圧制御用の制御ボディなどに対して、油圧スイッチなどの電子部品を装着した電子部品モジュールを取り付けるための電子部品モジュールの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1及び2に示すように、自動変速機に搭載された油圧制御装置は、変速用の油圧を制御するための制御ユニットを備えている。制御ユニットは、作動油が流通する油路と、油路に通じるバルブ穴とが形成された制御ボディを有している。バルブ穴には、油路の切り替えを行うためのバルブスプールが挿入されている。また、制御ボディには、油路を流通する作動油の圧力を検出する油圧スイッチや、作動油の温度を検出する油温センサなど、各種の電子部品を装着した電子部品モジュールが取り付けられている。
【0003】
図9は、従来の電子部品モジュールの取付構造を説明するための図で、(a)は、制御ボディに取り付けた油圧スイッチモジュールを示す平面図、(b)は、概略の側断面図である。従来の油圧スイッチモジュール101は、油圧スイッチ112及びバスバー回路(図示せず)を内蔵したプレート状の樹脂モールド(樹脂板)110を備えており、この樹脂モールド110を制御ボディ150の取付面151に対してボルト105の締結で取り付けていた。これにより、制御ボディ150内の油圧を検出するための油路穴155に対応する位置に油圧スイッチ112が設置される。また、樹脂モールド110における油圧スイッチ112と反対側の面には、金属板130が取り付けられている。なお、特許文献2に示すように、油圧スイッチモジュールに油温センサを一体化したものもある。
【0004】
油圧スイッチモジュール101を構成する金属板130には、油圧スイッチ112をアースする役目のほか、油圧スイッチ112にかかる油圧によって、油圧スイッチモジュール101が制御ボディ150から浮き上げることを抑制する役目がある。そのため、従来の油圧スイッチモジュール101では、金属板130は、樹脂モールド110に対して接着などで一体化されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−341562号公報
【特許文献2】特開2008−1225号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図9に示すような従来の油圧スイッチモジュール101の取付構造には、下記の課題があった。
(1)油圧スイッチモジュール101をボルト105で固定する構造では、図9(b)に示すように、固定用のボルト105に加えて、油圧スイッチモジュール101のボルト穴101aに挿入するためのカラー(環状部材)106が必要となる。これらによって、油圧スイッチモジュール101の取付構造に必要な部品点数が多くなる。
【0007】
(2)油圧スイッチモジュール101をボルト105で固定するためには、油圧スイッチモジュール101に形成したボルト穴101aと、ボルト105のフランジ105aに対向するフランジ面101bとが必要となる。これにより、油圧スイッチモジュール101の外形寸法、特に、面積寸法が大きくなる。また、油圧スイッチモジュール101の外形寸法が大きくなると、油圧スイッチモジュール101の周辺に設置するソレノイドなど他の部品のレイアウトに影響を及ぼしてしまう。
【0008】
(3)制御ボディ150に対する油圧スイッチモジュール101の浮き上がりを抑制するためには、図9(a)に示すように、油圧スイッチモジュール101を囲むようにその外周に沿って多数のボルト105を配列する必要がある。これにより、ボルト105を避けた位置に油圧スイッチ112を配置しなければならず、油圧スイッチ112のレイアウト自由度が低くなってしまう。
【0009】
(4)油圧スイッチモジュール101をボルト105で固定する構造では、制御ボディ150にボルト105用の締結穴150aを設ける必要がある。これにより、制御ボディ150に形成する油路155は、この締結穴150aを避けて配置しなければならず、油路155のレイアウト自由度が低くなってしまう。
【0010】
(5)油圧スイッチ112に油圧がかかることで、油圧スイッチモジュール101が撓むと、ボルト105のフランジ105aで押えられている金属板130上の一点(具体的には、図9に示すP点)に集中的な荷重(応力)が作用する。そのため、強度を保つために金属板130の板厚を厚くする必要があり、油圧スイッチモジュール101の重量増につながる。
【0011】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、電子部品モジュールの良好な取付性を確保しながらも、軽量化や部品点数の削減による構成の簡素化を図ることができ、電子部品モジュール及びその周辺構造のレイアウト自由度を高めることができる電子部品モジュールの取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明にかかる電子部品モジュールの取付構造は、複数の電子部品(12)を内蔵した板状の樹脂モールド(10)と、樹脂モールド(10)よりも高い剛性を有する材質からなる別体のプレート(30)とを有する電子部品モジュール(1)と、電子部品モジュール(1)を取り付けるためのボディ(50)と、ボディ(50)に設けた電子部品モジュール(1)を取り付けるための取付面(51)と、該取付面(51)上に形成した電子部品モジュール(1)を差し込んで取り付けるスロット部(60)と、を備え、樹脂モールド(10)及びプレート(30)を取付面(51)に沿うスライド方向へスライドさせてスロット部(60)に差し込むことで、樹脂モールド(10)とプレート(30)とを取付面(51)上にこの順に重ねて取り付けることを特徴とする。また、上記の電子部品モジュールでは、スロット部(60)に対して、樹脂モールド(10)の後にプレート(30)が挿入されていることで、電子部品モジュール(1)がスロット部(60)内で厚さ方向に隙間無く装着されているとよい。また、上記のプレート(30)は、金属製の平板状部材であってよい。また、樹脂モールド(10)に内蔵した電子部品(12)は、ボディ(50)に形成した油路(55)を流れる作動油の圧力を検出する油圧スイッチ(12)、又は当該作動油の温度を検出する油温センサであってよい。
【0013】
本発明にかかる電子部品モジュールの取付構造によれば、ボルトを使用せずに電子部品モジュールの取り付けができるので、ボルト及びカラーの省略による部品点数の削減が可能となる。したがって、取付構造の簡素化、軽量化、コストダウンが可能となる。また、ボディにボルト穴を設けずに済む。したがって、ボディに形成する油路のレイアウト自由度が高くなる。また、電子部品モジュール内のレイアウト自由度も高くなる。また、ボルト穴やフランジ面が不要となるため、電子部品モジュールの外形寸法の小型化を図ることができる。加えて、電子部品モジュールが小さくなることで、ソレノイドなど周辺部品のレイアウトに与える影響が小さくなる。また、電子部品モジュールをスロット部にスライドさせて挿入するように構成したことで、電子部品モジュールの組付け作業性が向上し、工数も削減することが可能となる。
【0014】
また、電子部品モジュールの樹脂モールドとプレートを別体の部品としたことで、樹脂モールドの挿入後にプレートを挿入するように構成できる。これにより、ボルトなど固定具を用いずに樹脂モールドとプレートをスロット部に対して確実に取り付けることが可能となる。
【0015】
これらによって、電子部品モジュールの良好な取付性を確保しながらも、軽量化や部品点数の削減による構成の簡素化を図ることができ、電子部品モジュール及び周辺の構成部品のレイアウト自由度を高めることができる。
【0016】
また、本発明にかかる電子部品モジュールの取付構造では、樹脂モールド(10)のボディ(50)側の面には、電子部品(1)とボディ(50)との隙間をシールするための弾性を有するシール部材(15)が設置されており、スロット部(60)にプレート(30)を挿入することで、シール部材(15)が圧縮され、プレート(30)及び樹脂モールド(10)がスロット部(60)内で厚さ方向に圧力を受けた状態で嵌め込まれるようにしてよい。これによれば、樹脂モールドとボディとの隙間をシールするためのシール部材の弾性を利用して、プレート及び樹脂モールドをスロット部内に確実に固定することが可能となる。したがって、取付構造の部品点数を増加させることなく、電子部品モジュールの固定が行える。また、本発明では、樹脂モールド及びプレートをスロット部へ挿入する際、樹脂モールドの後にプレートを挿入するようにしたことで、シール部材が取付面に対して擦れることを防止できる。したがって、シール部材を損傷させずに電子部品モジュールの取り付けが行えるようになる。
【0017】
上記の電子部品モジュールの取付構造では、スロット部(60)は、プレート(30)及び樹脂モールド(10)のスライド方向に延びる両側の端辺に沿って設置した一対の保持片(61,61)を備えており、保持片(61)は、取付面(51)上に立設された立壁(62)と、該立壁(62)の先端から取付面(51)と平行に延びる横壁(63)とを有するかぎ型の断面形状を有しているとよい。このように、ボディに設けたスロット部をかぎ型の断面形状を有する保持片で構成したことで、ボルトを用いない簡単な構造で、電子部品モジュールの取り付けが行える。
【0018】
また、従来のボルトによる取付構造では、油圧スイッチにかかる油圧で金属板が撓むと、ボルトのフランジで押えられている金属板上の一点に集中的な荷重(応力)が作用していたが、本発明の取付構造では、電子部品モジュールのプレートが撓むと、プレートの端辺に沿って設置した一対の保持片がプレートに当接するので、該保持片との当接部に応力がかかるようになる。したがって、プレートにかかる応力が一点に集中せず分散されるようになる。これにより、プレートの板厚を薄く抑えることができるので、電子部品モジュールの重量の軽減を図ることが可能となる。
【0019】
また、この場合、一対の保持片(61,61)は、横壁(63,63)の先端部(64,64)同士が所定の隙間(L)を有して対向しており、先端部(64,64)の隙間(L)から油圧スイッチモジュール(1)の一部が露出しているとよい。このように構成すれば、電子部品モジュールの制御ボディと反対側の面に他の電子部品を設置している場合、当該電子部品を一対の保持片の間に露出させることが可能となる。したがって、電子部品モジュールの用途及び利便性が向上する。また、電子部品モジュールを取り外した状態で、スロット部内の取付面が露出するようになる。したがって、取付面の加工性を向上させることができる。
【0020】
また、上記の電子部品モジュールの取付構造では、横壁(63)の先端部(64)におけるプレート(30)側の角部は、面取処理が施された面取部(64a)になっているとよい。これによれば、プレートが油圧などで撓んだ場合に、横壁の先端部に当接するプレートにかかる応力をさらに軽減することが可能となる。したがって、プレートの板厚をより薄く抑えることが可能となる。
【0021】
また、上記の電子部品モジュールの取付構造では、取付面(51)と樹脂モールド(10)との間に設けた第1係止部(56)と、樹脂モールド(10)とプレート(30)との間に設けた第2係止部(57)と、を備え、第1係止部(56)によって、スロット部(60)に挿入された樹脂モールド(10)の取付面(51)に対するスライド方向が係止が行われ、第2係止部(57)によって、スロット部(60)に挿入されたプレート(10)の樹脂モールド(10)に対するスライド方向の係止が行われるようにするとよい。これによれば、樹脂モールド及びプレートをスロット部に挿入することで、それらのスライド方向の位置決め及び移動の規制が行なわれるようになる。したがって、簡単な構造で、組付工程の複雑化を招くことなく、スロット部に取り付けた樹脂モールド及びプレートの位置ずれ及び移動を抑制できる。
【0022】
この場合、第1係止部(56)は、樹脂モールド(10)と取付面(51)のいずれか一方に設けた突起(56a)と、いずれか他方に設けた突起(56a)が嵌合する窪み(56b)とで構成し、第2係止部(57)は、樹脂モールド(10)に設けたプレート(30)の端部(30c)に当接する突起(57a)、又はプレート(30)の一部を樹脂モールド(10)側に折り曲げてなる折曲片(32又は34)で構成するとよい。
【0023】
また、上記の電子部品モジュールの取付構造では、スロット部(60)に挿入された電子部品モジュール(1)のスライド方向の端部(10c又は10d,30c又は30d)を当接させて該スライド方向の移動を規制するための規制部(71,72)を備えるとよい。この場合、規制部(71,72)は、取付面(51)に形成した突起状の部分(71a)、又は取付面(51)上に設置した他の部品(72a)であってよい。これによれば、簡単な構造で、ボディに取り付けた電子部品モジュールの位置ずれ及び移動を規制できる。
【0024】
また、上記の電子部品モジュールの取付構造では、電子部品(12)は、樹脂モールド(30)におけるボディ(50)側の面(10b)に配置されており、樹脂モールド(10)におけるプレート(30)側の面(10b)には、他の種類の電子部品(13)が設置されていてよい。これによれば、一の電子部品モジュールに複数種類の電子部品を設置することが可能となる。したがって、電子部品モジュールの用途及び利便性が向上する。
なお、ここでの括弧内の符号は、後述する実施形態の対応する構成要素の符号を本発明の一例として示したものである。
【発明の効果】
【0025】
本発明にかかる電子部品モジュールの取付構造によれば、電子部品モジュールの良好な取付性を確保しながらも、部品点数の削減による構成の簡素化及び軽量化を図ることができ、電子部品モジュール及び周辺の構成部品のレイアウト自由度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる油圧スイッチモジュールの取付構造を示す図で、(a)は、制御ボディに取り付けた油圧スイッチモジュールを示す平面図、(b)は、(a)のA−A矢視断面図である。
【図2】油圧スイッチモジュールの取付手順を説明するための図で、(a),(b)は、金属プレート及び樹脂モールドを挿入する前のスロット部を示す図、(c),(d)は、スロット部に樹脂モールドを挿入する手順を示す図、(e),(f)は、スロット部に金属プレートを挿入する手順を示す図である。
【図3】保持片の構成例を示す図で、(a)は、横壁の先端部を面取りしていない構成例、(b)は、横壁の先端部に面取部を設けた構成例、(c)は、横壁の先端部を油圧スイッチの中心を越える位置まで延ばした構成例を示す図である。である。
【図4】本発明の第2実施形態にかかる油圧スイッチモジュールの取付構造を示す図で、(a)は、油圧スイッチモジュールの平面図、(b)及び(c)は、(a)のB−B矢視に対応する断面図である。
【図5】第2係止部の他の構成例を示す図で、(a)及び(b)は、図4(a)のB−B矢視に対応する断面図である。
【図6】本発明の第3実施形態にかかる油圧スイッチモジュールの取付構造を示す図で、(a)は、油圧スイッチモジュールの平面図、(b)は、(a)のC−C矢視断面図、(c)は、(a)のD−D矢視断面図である。
【図7】本発明の第4実施形態にかかる油圧スイッチモジュールの取付構造を示す図で、(a)は、油圧スイッチモジュールの平面図、(b)は、(a)のE−E矢視断面図である。
【図8】本発明の第5実施形態にかかる油圧スイッチモジュールの取付構造を示す図で、(a)は、油圧スイッチモジュールの平面図、(b)は、(a)のF−F矢視断面図である。
【図9】従来の油圧スイッチモジュールの取付構造を説明するための図で、(a)は、制御ボディに取り付けた油圧スイッチモジュールを示す平面図、(b)は、概略側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
〔第1実施形態〕
図1乃至図3は、本発明の第1実施形態にかかる油圧スイッチモジュールの取付構造を示す図で、(a)は、制御ボディ50に取り付けた油圧スイッチモジュール1を示す平面図、(b)は、(a)のA−A矢視断面図である。なお、本実施形態の説明では、制御ボディ50の取付面51を水平に配置した状態で、油圧スイッチモジュール1を該取付面51上に平置きで設置した場合を説明する。しかしながら、ここでの油圧スイッチモジュール1の設置の向きは、あくまでも一例である。したがって、制御ボディ50の取付面51は、垂直向きや斜め向きなど、水平以外の向きで配置される場合もあり、かつ、油圧スイッチモジュール1は、平置きには限らず、縦置きや斜め置きなど他の向きで設置することも可能である。
【0028】
制御ボディ50は、車両が備える自動変速機の油圧制御装置に搭載されるもので、全体の図示は省略するが、箱状に形成された外形を有している。制御ボディ50の一面は、油圧スイッチモジュール1を取り付けるための取付面51になっている。取付面51には、制御ボディ50の内部に形成した油圧制御用の作動油が流通する油路(図示せず)に連通する油路穴55が開口している。また、各図では、取付面51は、油圧スイッチモジュール1の近傍のみ示しているが、実際には、油圧スイッチモジュール1の近傍だけでなく、周辺の広範囲に広がっている。そして、取付面51上には、油圧スイッチモジュール1のほか、ソレノイドなど多数の部品が配列されている。
【0029】
油圧スイッチモジュール(電子部品モジュール)1は、同一構成の油圧スイッチ12を複数個並べてモジュール化したものである。油圧スイッチモジュール1は、油圧スイッチ12を内蔵した板状の樹脂モールド10と、樹脂モールド10とは別体の金属プレート30とを有しており、樹脂モールド10の上面10a側に金属プレート30を重ねて設置した構成である。樹脂モールド10は、略矩形の外形を有し、薄型の平板状に形成された合成樹脂製のモールド成型品である。樹脂モールド10の下面10bには、油圧スイッチ12を装着するための凹部からなる装着部11が設けられている。装着部11は、複数個が並べて配置されており、各装着部11にはそれぞれ、モールド成型によって油圧スイッチ12が埋め込まれている。また、図示は省略するが、樹脂モールド10は、油圧スイッチ12の接点に接続されたバスバー(信号線)を内蔵している。一方、金属プレート30は、樹脂モールド10の上面10aに重ねて設置する金属製の薄板状の部材である。金属プレート30は、樹脂モールド10と同じ略矩形の外形を有し、樹脂モールド10よりも厚み寸法が薄く形成されている。金属プレート30は、合成樹脂製の樹脂モールド10よりも高い剛性を有している。
【0030】
油圧スイッチ12は、下面に開口12aを有する略円形の凹形状に形成されている。油圧スイッチ12の開口12a内には、詳細な図示は省略するが、ダイヤフラム及び電気接点が設置されている。また、各油圧スイッチ12は、制御ボディ50の取付面51に開口する各油路穴55に対応して設けられている。油圧スイッチ12は、油路穴55を流通する作動油の圧力がダイヤフラムに作用することで、接点がオンオフする構成である。また、油圧スイッチ12の開口12aの外周には、取付面51に開口する油路穴55との隙間を塞ぐためのOリング(シール部材)15が設置されている。Oリング15は、ゴムなどの弾性材料からなる環状の部材である。Oリング15は、樹脂モールド10の下面10bから若干下方に突出した状態で設置されており、樹脂モールド10の下面10bと制御ボディ50の取付面51との間に挟まれるようになっている。Oリング15は、油路穴55を流通する作動油に対する耐油性を有しており、このOリング15で油圧スイッチ12と取付面51の油路穴55との隙間がシール(密封)されている。
【0031】
制御ボディ50の取付面51には、油圧スイッチモジュール1を取り付けるためのスロット部60が設けられている。スロット部60は、油圧スイッチモジュール1(金属プレート30及び樹脂モールド10)の両側の端辺に沿うように設置した一対の保持片61,61を備えている。一対の保持片61,61は、互いに対称であり、取付面51上で垂直に立設された立壁62と、該立壁62の先端から取付面51と平行(立壁62に対して垂直)に延びる横壁63とを有するかぎ型の断面形状を有している。油圧スイッチモジュール1の樹脂モールド10及び金属プレート30は、スロット部60に対して一対の保持片61,61の長手方向に沿う方向(以下、この方向を「スライド方向」という。)へスライドさせながら挿入することで、取付面51上に設置するようになっている。すなわち、スロット部60の横壁と取付面51との隙間に樹脂モールド10及び金属プレート30の両端辺を差し込んで設置するようになっている。また、スロット部60の両側の保持片61,61は、互いの横壁63,63の先端部64,64間に所定の隙間Lを有して対向している。そして、スロット部60に樹脂モールド10及び金属プレート30を設置した状態で、金属プレート30の面が隙間Lに露出した状態となる。
【0032】
図2は、油圧スイッチモジュール1の取付手順を説明するための図で、(a),(b)は、金属プレート30及び樹脂モールド10を挿入する前のスロット部60を示す図であり、(c),(d)は、スロット部60に樹脂モールド10を挿入する手順を示す図であり、(e),(f)は、スロット部60に金属プレート30を挿入する手順を示す図である。ここで、スロット部60と油圧スイッチモジュール1との厚さ方向の寸法の関係について説明すると、樹脂モールド10の高さ寸法(Oリング15の下端から樹脂モールド10の上面10aまでの高さ寸法)h(図2(c)参照)は、スロット部60の内部の高さ寸法(取付面51から保持片61の横壁63までの高さ寸法)H(図2(a)参照)よりも小さな寸法(H>h)に設定されている。また、Oリング15の下端から樹脂モールド10の上面10aまでの高さ寸法hと、金属プレート30の高さ(厚さ)寸法h´(図2(e)参照)とを合わせた寸法h+h´は、スロット部60の高さ寸法Hよりも僅かに大きな寸法(h+h´>H)に設定されている。
【0033】
スロット部60に油圧スイッチモジュール1を取り付けるには、まず、図2(c),(d)に示すように、スロット部60に樹脂モールド10を挿入する。これには、一対の保持片61,61の間にスライド方向の一端から樹脂モールド10を差し込む。このとき、先に説明したように、Oリング15の下端から樹脂モールド10の上面10aまでの高さ寸法hは、スロット部60の内部の高さ寸法Hよりも小さい(H>h)ので、樹脂モールド10をスライドさせてスロット部60に挿入する際、Oリング15が取付面51に対して擦れないよう挿入することができる。したがって、Oリング15の損傷を防止できる。こうして、樹脂モールド10をスロット部60に設置することで、油圧スイッチ12及びOリング15が取付面51の油路穴55に対して位置合わせされた状態となる。
【0034】
スロット部60に樹脂モールド10を挿入したら、続けて、図2(e),(f)に示すように、スロット部60に金属プレート30を挿入する。これには、一対の保持片61,61の間にスライド方向の一端から金属プレート30を差し込んで、樹脂モールド10の上面側に重なるように挿入する。このとき、先に説明したように、Oリング15の下端から樹脂モールド10の上面10aまでの高さ寸法hと、金属プレート30の高さ(厚さ)寸法h´とを合わせた寸法h+h´は、スロット部60の高さ寸法Hよりも僅かに大きな寸法に設定されているが、金属プレート30を挿入する際、樹脂モールド10が押し下げられることでOリング15が圧縮される。したがって、Oリング15の弾性によって、金属プレート30及び樹脂モールド10がスロット部60内で厚さ方向に圧力を受けた状態で嵌め込まれる。こうして、金属プレート30及び樹脂モールド10がスロット部60内で高さ方向(厚さ方向)に隙間無く装着される。
【0035】
このように、スロット部60に対して樹脂モールド10及び金属プレート30をスライドさせて挿入することで、取付面51上に樹脂モールド10と金属プレート30とをこの順に重ねて設置する。また、ここでの取付手順では、スロット部60に樹脂モールド10を挿入した後で金属プレート30を挿入するようになっている。これにより、金属プレート30を挿入することで、樹脂モールド10の下面10bに設けたOリング15が圧縮され、金属プレート30及び樹脂モールド10がOリング15の弾性による圧力を受けた状態で嵌め込まれる。
【0036】
なお、図2(a),(b)に示すように、油圧スイッチモジュール1を取り付ける前のスロット部60は、両側の保持片61,61の隙間(先端部64,64の隙間L)から下側の取付面51が露出している。したがって、取付面51の加工性が良好である。
【0037】
以上説明したように、本実施形態の油圧スイッチモジュール1の取付構造によれば、かぎ型の保持片61,61を有するスロット部60を設けたことで、従来構造のようなボルトを使用せずに油圧スイッチモジュール1を取り付けることができ、ボルト及びカラーの省略による部品点数の削減が可能となる。したがって、取付構造の簡素化、軽量化、コストダウンが可能となる。また、制御ボディ50にボルト穴を設けずに済む。したがって、制御ボディ50に形成する油路穴55や他の油路のレイアウト自由度が高くなる。また、ボルト穴やフランジ面が不要となるため、油圧スイッチモジュール1の外形寸法の小型化を図ることができる。さらに、油圧スイッチモジュール1が小さくなることで、制御ボディ50の取付面51上に設置するソレノイドなど周辺の構成部品のレイアウトに与える影響が小さくなる。
【0038】
また、油圧スイッチモジュール1をスロット部60にスライドさせて挿入するように構成したことで、油圧スイッチモジュール1の組付け作業性が向上し、工数を削減することが可能になる。これらによって、油圧スイッチモジュール1の良好な取付性を確保しながらも、軽量化や部品点数の削減による構成の簡素化を図ることができ、油圧スイッチモジュール1及び周辺の構成部品のレイアウト自由度を高めることができる。
【0039】
また、本実施形態の油圧スイッチモジュール1の取付構造では、油圧スイッチモジュール1の樹脂モールド10と金属プレート30とを別体の部品とし、スロット部60に対して樹脂モールド10と金属プレート30をこの順番で挿入するように構成したことで、ボルトなど固定具を用いずに、油圧スイッチモジュール1のスロット部60に対する確実な固定が可能となる。また、樹脂モールド10及び金属プレート30をスロット部60へ挿入する際、樹脂モールド10の下面10bに設置したOリング15が、制御ボディ50の取付面51に対して擦れることを防げる。したがって、Oリング15を損傷させずに油圧スイッチモジュール1の取り付けが行えるようになる。
【0040】
また、図9に示す従来のボルトによる取付構造では、油圧スイッチ112にかかる油圧で金属板130が撓むと、ボルト105のフランジ105aで押えられている金属板130上の一点に集中的な荷重(応力)が作用していたが、図1に示す本発明の取付構造では、油圧スイッチモジュール1の金属プレート30が撓むと、金属プレート30の両端辺に沿って設置した一対の保持片61,61の先端部64,64が金属プレート30に当接するので、この保持片61との当接箇所に応力がかかる。ここで、金属プレート30に当接する保持片61の先端部64,64は、金属プレート30の両端辺に沿って直線状に延びている。したがって、金属プレート30にかかる応力が一点に集中せずに分散される。そのため、金属プレート30の板厚を薄く抑えることができ、油圧スイッチモジュール1の重量の軽減を図ることが可能となる。
【0041】
図3は、スロット部60が有する保持片61の構成例を示す図で、(a)は、横壁63の先端部64を面取りしていない構成例、(b)は、横壁63の先端部64に面取部64aを設けた構成例、(c)は、横壁63の先端部64を油圧スイッチ12の中心Mの真上を越える位置まで延伸させた構成例を示す図である。保持片61は、図3(a)に示すように、横壁63の先端部64を面取りせず直角の断面とする以外にも、図3(b)に示すように、横壁63の先端部64に面取部64aを設けてもよい。この面取部64aは、先端部64における金属プレート30側の角部を除去した構成である。面取部64aは、先端部64の長手方向に沿ってその全体に設けられている。このような面取部64aを設けたことで、油圧スイッチ12にかかる油路穴55の圧力で金属プレート30が撓んだ場合に、保持片61の先端部64に当接する金属プレート30にかかる応力をさらに軽減することが可能となる。したがって、金属プレート30の板厚をより薄く抑えることが可能となる。
【0042】
また、保持片61の横壁63は、図3(a)に示すように、先端部64が油圧スイッチ12の中心Mに対してその手前側まで延伸する以外にも、図3(c)に示すように、先端部64が油圧スイッチ12の中心Mを越えてその先まで延伸するように構成してもよい。この構成によれば、油圧スイッチ12の真上が保持片61の横壁63で押さえ込まれた状態になるので、油路穴55の圧力が油圧スイッチ12に作用する場合、油圧スイッチ12が浮き上がることを効果的に抑制できる。したがって、油圧スイッチ12にかかる油路穴55の圧力で金属プレート30や樹脂モールド10に生じるたわみを少なく抑えることが可能となる。
【0043】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、第2実施形態の説明及び対応する図面においては、第1実施形態と同一又は相当する構成部分には同一の符号を付し、以下ではその部分の詳細な説明は省略する。また、以下で説明する事項以外の事項については、第1実施形態と同じである。この点は、他の実施形態においても同様である。
【0044】
図4は、本発明の第2実施形態にかかる油圧スイッチモジュール1の取付構造を示す図で、(a)は、油圧スイッチモジュール1の平面図、(b)及び(c)は、(a)のB−B矢視に対応する断面図である。本実施形態の取付構造では、スロット部60に設置した油圧スイッチモジュール1のスライド方向の位置決め及び移動の規制を行うため構造として、取付面51と樹脂モールド10との間に設けた係止部(第1係止部)56と、樹脂モールド10と金属プレート30との間に設けた係止部(第2係止部)57とを備えている。係止部56は、樹脂モールド10の下面10bに設けた小突起56aと、制御ボディ50の取付面51に設けた窪み56bとを備え、小突起56aを窪み56bに嵌合させる構成である。また、係止部57は、樹脂モールド10の上面10aにおける金属プレート30の端辺30cに対向する位置に形成した突起57aからなる。
【0045】
本実施形態では、スロット部60に樹脂モールド10を挿入する際、図4(b)に示すように、樹脂モールド10をスロット部60に対してスライドさせることで、図4(c)に示すように、係止部56の小突起56aが窪み56bに嵌合するようになっている。これにより、スロット部60に挿入された樹脂モールド10のスライド方向の位置決め及び移動の規制がなされる。一方、金属プレート30は、突起57aと保持片61の横壁63との隙間から樹脂モールド10の上面側に挿入される。この際、樹脂モールド10の上面10a側に挿入された金属プレート30の後端辺30cが突起57aを乗り越えると、図4(c)に示すように、金属プレート30の後端辺30cが対向する突起57aの側面に当接する。このように、金属プレート30のスライド方向の端辺30cが突起57aに当接することで、金属プレート30のスライド方向の位置決め及び移動の規制がなされる。
【0046】
本実施形態では、樹脂モールド10及び金属プレート30をスロット部60に挿入することで、上記構成の係止部56及び係止部57によって、樹脂モールド10及び金属プレート30のスライド方向の位置決め及び移動の規制が行える。したがって、簡単な構造で組付工程の複雑化を招くことなく、スロット部60に取り付けた油圧スイッチモジュール1のスライド方向の位置決め及び移動の規制が行えるようになる。
【0047】
なお、ここでは、取付面51と樹脂モールド10との間に設けた係止部(第1係止部)56として、樹脂モールド10の下面10bに設けた小突起56aと、制御ボディ50の取付面51に設けた窪み56bとを備える場合を説明したが、これとは逆に、図示は省略するが、制御ボディ50の取付面51に突起を設け、樹脂モールド10の下面10bに窪みを設けることも可能である。
【0048】
図5は、樹脂モールド10と金属プレート30との間に設けた係止部(第2係止部)57の他の構成例を示す図で、(a)及び(b)は、図4(a)のB−B矢視に対応する断面図である。同図(a)に示す係止部57−2は、金属プレート30の後端辺30cを樹脂モールド10側に折り曲げてなる折曲片32を備えている。そして、この折曲片32を樹脂モールド10の後端辺10cに当接させた構成である。また、同図(b)に示す係止部57−3は、金属プレート30の後端辺30cに切込部34を形成し、該切込部34内の端辺を樹脂モールド10側に折り曲げてなる折曲片33を備えている。そして、この折曲片33を樹脂モールド10の上面10aに形成した窪み57cに係合させた構成である。
【0049】
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態について説明する。図6は、本発明の第3実施形態にかかる油圧スイッチモジュール1の取付構造を示す図で、(a)は、油圧スイッチモジュール1の平面図、(b)は、(a)のC−C矢視断面図、(c)は、(a)のD−D矢視断面図である。本実施形態の取付構造では、スロット部60に設置した油圧スイッチモジュール1のスライド方向の位置決め及び移動の規制を行うための規制部71,72を備えている。規制部71,72は、油圧スイッチモジュール1のスライド方向の両側にそれぞれ設置されており、一方の規制部71は、制御ボディ50の取付面51に形成した突起71aからなる。また、他方の規制部72は、制御ボディ50の取付面51上に設置したハーネスホルダ(他の部品)72aの一部で構成されている。
【0050】
すなわち、規制部71は、図6(a)及び(b)に示すように、取付面51上に立設した略矩形状の突起71aからなる。この突起71aは、樹脂モールド10及び金属プレート30のスライド方向の先端辺10d,30dに対向する位置に設置されている。また、規制部72は、図6(a)及び(c)に示すように、取付面51上に設置した樹脂製のハーネスホルダ72aであり、該ハーネスホルダ72aの先端部が樹脂モールド10及び金属プレート30のスライド方向の後端辺10c,30cに対向する位置に張り出した構成である。したがって、本実施形態では、スロット部60に樹脂モールド10及び金属プレート30を挿入する際、樹脂モールド10及び金属プレート30のスライド方向の先端辺10d,30dを一方の規制部71(突起71a)に突き当てて係止する。その状態で、取付面51上にハーネスホルダ72aを設置することで、ハーネスホルダ72aの先端部で樹脂モールド10及び金属プレート30のスライド方向の後端辺10c,30cを係止するようになっている。
【0051】
本実施形態では、上記のような規制部71,72を設けたことで、簡単な構造で、部品点数の増加や組付工程の複雑化を招くことなく、スロット部60に取り付けた油圧スイッチモジュール1のスライド方向の位置決め及び移動の規制が行えるようになる。なお、ここでは、油圧スイッチモジュール1のスライド方向の両端辺のうち、一方の端辺に対して突起71aからなる規制部71を設け、他方の端辺に対してハーネスホルダ72aである規制部72を設けた場合を説明したが、これ以外にも、油圧スイッチモジュール1のスライド方向の両端辺を共にハーネスホルダ72aである規制部72で押えるように構成してもよい。
【0052】
〔第4実施形態〕
次に、本発明の第4実施形態について説明する。図7は、本発明の第4実施形態にかかる油圧スイッチモジュール1の取付構造を示す図で、(a)は、油圧スイッチモジュール1の平面図、(b)は、(a)のE−E矢視断面図である。本実施形態の取付構造では、スロット部60に設置した油圧スイッチモジュール1のスライド方向の位置決め及び移動の規制を行うため構造として、油圧スイッチモジュール1を貫通する位置決めピン75を備えている。位置決めピン75は、スロット部60に設置した油圧スイッチモジュール1の金属プレート30及び樹脂モールド10を貫通して、取付面51に差し込まれている。すなわち、油圧スイッチモジュール1の樹脂モールド10及び金属プレート30には、厚さ方向に貫通する貫通穴16,36が形成されている。また、取付面51における貫通穴16,36に対応する位置には、貫通穴16,36と略同一の径寸法の凹部66が形成されている。そして、スロット部60に金属プレート30及び樹脂モールド10を設置した状態で、位置決めピン75を貫通穴16,36に貫通させて凹部66に挿入する。これにより、樹脂モールド10及び金属プレート30のスライド方向の位置決め及び移動の規制がなされる。この状態で、取付面51上にハーネスホルダ76を設置することで、ハーネスホルダ76で位置決めピン75の上端を係止する。これにより、位置決めピン75の抜けを防止できる。なお、位置決めピン75の上端を係止する部品は、ハーネスホルダ76には限らず、他の部品であってもよい。
【0053】
本実施形態では、上記のような位置決めピン75を設けたことで、簡単な構造で、スロット部60に取り付けた油圧スイッチモジュール1のスライド方向の位置決め及び移動の規制が行えるようになる。
【0054】
〔第5実施形態〕
次に、本発明の第5実施形態について説明する。図8は、本発明の第5実施形態にかかる油圧スイッチモジュール1の取付構造を示す図で、(a)は、油圧スイッチモジュール1の平面図、(b)は、(a)のF−F矢視断面図である。本実施形態では、油圧スイッチモジュール1における樹脂モールド10の上面(制御ボディ50と反対側の面)10aにピックアップセンサ(他の電子部品)13が設置されている。ピックアップセンサ13は、制御ボディ50に対向する位置に設置された図示しないギヤの回転数などを検出するための電子部品である。このピックアップセンサ13は、樹脂モールド10の上面10aの略中央に取り付けられている。金属プレート30には、ピックアップセンサ13を避けるための切込部31が形成されている。切込部31は、スロット部60に挿入する金属プレート30がピックアップセンサ13に接触しないように、金属プレート30のスライド方向の先端側からピックアップセンサ13の周囲まで延びる細長い帯状に切り込まれている。また、ピックアップセンサ13は、一対の保持片61,61における横壁63,63の先端部64,64の隙間Lから露出している。
【0055】
本実施形態では、油圧スイッチ12は、樹脂モールド10の下面(制御ボディ50側の面)10bに配置されており、樹脂モールド10の上面10aには、ピックアップセンサ13が設置されている。つまり、一の油圧スイッチモジュール1に複数種類の電子部品である油圧スイッチ12とピックアップセンサ13を設置している。したがって、油圧スイッチモジュール1の用途及び利便性が向上する。
【0056】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載のない何れの形状・構造・材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。
【0057】
例えば、本発明にかかる取付構造を適用して制御ボディ50に取り付ける電子部品モジュールは、上記実施形態で示した油圧スイッチ12を搭載した油圧スイッチモジュール1には限定されず、それ以外の電子部品を搭載したモジュールであってもよい。例えば、油路穴55を流通する作動油の温度を検出する油温センサを搭載したモジュールであってもよい。また、電子部品モジュールに取り付ける電子部品の数や具体的な配置は、上記実施形態に示す数や配置に限定されない。また、油圧スイッチ又は油温センサと共に電子部品モジュールに搭載する他の電子部品は、上記のピックアップセンサには限らず、他の種類の電子部品であってもよい。
【符号の説明】
【0058】
1 油圧スイッチモジュール(電子部品モジュール)
10 樹脂モールド
11 装着部
12 油圧スイッチ(電子部品)
13 ピックアップセンサ(他の電子部品)
15 Oリング(シール部材)
30 金属プレート(プレート)
50 制御ボディ(ボディ)
51 取付面
55 油路穴
56 係止部(第1係止部)
57 係止部(第2係止部)
60 スロット部
61 保持片
62 立壁
63 横壁
64 先端部
64a 面取部
71 規制部
71a 突起
72 規制部
72a ハーネスホルダ(他の部品)
75 位置決めピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電子部品を内蔵した板状の樹脂モールドと、前記樹脂モールドよりも高い剛性を有する材質からなる別体のプレートとを有する電子部品モジュールと、
前記電子部品モジュールを取り付けるためのボディと、
前記ボディに設けた前記電子部品モジュールを取り付けるための取付面と、該取付面上に形成した前記電子部品モジュールを差し込んで取り付けるスロット部と、を備え、
前記樹脂モールド及び前記プレートを前記取付面に沿うスライド方向へスライドさせて前記スロット部に差し込むことで、前記樹脂モールドと前記プレートとを前記取付面上にこの順に重ねて取り付ける
ことを特徴とする電子部品モジュールの取付構造。
【請求項2】
前記スロット部に対して、前記樹脂モールドの後に前記プレートを挿入することで、前記電子部品モジュールを前記スロット部内で厚さ方向に隙間無く装着する
ことを特徴とする請求項1に記載の電子部品モジュールの取付構造。
【請求項3】
前記樹脂モールドの前記ボディ側の面には、前記電子部品と前記ボディとの隙間をシールするための弾性を有するシール部材が設置されており、
前記スロット部に前記プレートを挿入することで、前記シール部材が圧縮され、前記プレート及び前記樹脂モールドが前記スロット部内で厚さ方向に圧力を受けた状態で嵌め込まれる
ことを特徴とする請求項2に記載の電子部品モジュールの取付構造。
【請求項4】
前記スロット部は、前記プレート及び前記樹脂モールドの前記スライド方向に延びる両側の端辺に沿って設置した一対の保持片を備えており、
前記保持片は、前記取付面上に立設された立壁と、該立壁の先端から前記取付面と平行に延びる横壁とを有するかぎ型の断面形状を有している
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電子部品モジュールの取付構造。
【請求項5】
前記一対の保持片は、前記横壁の先端部同士が所定の隙間を有して対向しており、
前記先端部の隙間から前記油圧スイッチモジュールの一部が露出している
ことを特徴とする請求項4に記載の電子部品モジュールの取付構造。
【請求項6】
前記横壁の前記先端部における前記プレート側の角部は、面取処理が施された面取部になっている
ことを特徴とする請求項5に記載の電子部品モジュールの取付構造。
【請求項7】
前記取付面と前記樹脂モールドとの間に設けた第1係止部と、前記樹脂モールドと前記プレートとの間に設けた第2係止部と、を備え、
前記第1係止部によって、前記スロット部に挿入された前記樹脂モールドの前記取付面に対するスライド方向の係止が行われ、
前記第2係止部によって、前記スロット部に挿入された前記プレートの前記樹脂モールドに対するスライド方向の係止が行われる
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の電子部品モジュールの取付構造。
【請求項8】
前記第1係止部は、前記樹脂モールドと前記取付面のいずれか一方に設けた突起と、いずれか他方に設けた前記突起が嵌合する窪みとで構成されており、
前記第2係止部は、樹脂モールドに設けた前記プレートの端部に当接する突起、又は前記プレートの一部を前記樹脂モールド側に折り曲げてなる折曲片で構成されている
ことを特徴とする請求項7に記載の電子部品モジュールの取付構造。
【請求項9】
前記スロット部に挿入された前記電子部品モジュールの前記スライド方向の端部を当接させて、前記電子部品モジュールの前記スロット部内での移動を規制するための規制部を備えた
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の電子部品モジュールの取付構造。
【請求項10】
前記規制部は、前記取付面に形成した突起状の部分、又は前記取付面上に設置した他の部品である
ことを特徴とする請求項9に記載の電子部品モジュールの取付構造。
【請求項11】
前記プレートは、金属製の平板状部材である
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の電子部品モジュールの取付構造。
【請求項12】
前記樹脂モールドに設置した前記電子部品は、前記ボディの油路を流れる作動油の圧力を検出するための油圧スイッチ、又は該作動油の温度を検出するための油温センサである
ことを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の電子部品モジュールの取付構造。
【請求項13】
前記電子部品は、前記樹脂モールドにおける前記ボディ側の面に配置されており、
前記樹脂モールドにおける前記プレート側の面には、他の種類の電子部品が設置されている
ことを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の電子部品モジュールの取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−134801(P2011−134801A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−291230(P2009−291230)
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】