説明

電子部品供給装置

【課題】簡易かつ安価な構成で、電子部品を縦向き姿勢で安定して供給することができる電子部品供給装置を提供すること。
【解決手段】長手方向を横向きに倒した横向き姿勢の電子部品Pを送り出す搬送部6と、搬送部から送り出された電子部品Pを、長手方向を縦向きに起こした縦向き姿勢に変換しつつ、吸着ノズル35により取り出される取り出し位置25に導く供給通路8が形成された姿勢変換部7と、取り出し位置25において供給通路8を開閉するシャッタ部材9を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品供給装置に関し、特に、基板に搭載される電子部品を一列に整列させて実装装置に対して順番に送り出す電子部品供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子部品を整列して順番に送り出す電子部品供給装置として、搬送ベルトを用いて複数の電子部品を横向き姿勢で搬送するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この電子部品供給装置は、一対のプーリに架け渡された搬送ベルトの一端側の上方に、電子部品の収容ケースを配置して構成される。電子部品供給装置は、収容ケース内の電子部品を一定時間間隔で自重により落下させ、搬送ベルト上に順番に載置する。搬送ベルト上の電子部品は、搬送方向に沿って設けられた部品ガイドにより、横向き姿勢(横倒し姿勢)でガイドされつつ、一列で搬送される。そして、電子部品は、搬送ベルトの他端側において、吸着ノズルにピックアップされ、横向き姿勢で基板に搭載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−135690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、基板に対して電子部品の縦向き姿勢(起立姿勢)での搭載が望まれている。しかしながら、上記した特許文献1の電子部品供給装置においては、電子部品が、搬送ベルト上を横向き姿勢でガイドされつつ搬送されるため、吸着ノズルにより基板に対して縦向き姿勢で搭載することが困難となっていた。この場合、搬送ベルトにより電子部品を縦向き姿勢で搬送する構成が考えられるが、縦向き姿勢の電子部品は横向き姿勢と比べて不安定なため、転倒させずに安定した搬送が困難であった。また、複数の電子部品が隙間を空けずに連続的に搬送されるので安定した搬送が可能とも考えられるが、常に複数の電子部品が隙間を空けずに整列されるわけではないため、電子部品が搬送途中で横転するという問題があった。
【0005】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、簡易かつ安価な構成で、電子部品を縦向き姿勢で安定して供給することができる電子部品供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電子部品供給装置は、電子部品を基材に対して実装する実装装置に、前記電子部品を供給する電子部品供給装置であって、前記電子部品を横向きに倒した横向き姿勢で、当該電子部品の長手方向へ送り出す搬送部と、前記搬送部から送り出された電子部品を、縦向きに起こした縦向き姿勢に変換しつつ、前記実装装置により取り出される取り出し位置に導くように湾曲した供給通路が形成された姿勢変換部とを備えたことを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、搬送部から横向き姿勢で送り出された電子部品が、供給通路を通ることで縦向き姿勢に変換されつつ、実装装置に取り出される取り出し位置に導かれる。よって、複雑な機構を要することなく、簡易かつ安価な構成で、実装装置に対して電子部品を縦向き姿勢で供給することができる。
【0008】
また本発明は、上記電子部品供給装置において、前記供給通路の供給方向における上流側は、前記搬送部に前記電子部品が送り出される送り出し位置から下方に向かうように形成されたことを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、供給通路の上流側が送り出し位置から下方に向かって形成されるため、電子部品の自重により搬送力を得ることができる。
【0010】
また本発明は、上記電子部品供給装置において、前記供給通路の供給方向における上流側が下方に向かうように形成され、前記供給通路の供給方向における下流側が上方に向かうように形成されており、前記供給通路の下流端に位置する前記取り出し位置が、前記供給通路の上流端に位置する前記送り出し位置よりも高い位置にあることを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、取り出し位置が送り出し位置よりも高い位置にあるため、供給通路に複数の電子部品が一列に整列した状態で、供給通路の上流側に整列した複数の電子部品の自重により、供給通路の下流側に整列した複数の電子部品が取り出し位置を介して外部に押し出されることがない。
【0012】
また本発明は、上記電子部品供給装置において、前記供給通路は、前記電子部品の供給姿勢を前記縦向き姿勢に変換するように略円弧状に形成された円弧状通路を含むことを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、円弧状通路に沿って電子部品が送られることで、電子部品を縦向き姿勢とし、簡易な構成で供給姿勢を変換することができる。
【0014】
また本発明は、上記電子部品供給装置において、前記姿勢変換部は、前記円弧状通路の内周に沿った所定位置に、前記電子部品を前記円弧状通路の内周側に引き付けるマグネットを設けたことを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、円弧状通路の内周に沿って複数の電子部品が整列した状態で送られるため、円弧状通路内で一部の電子部品が傾いて通路内で詰まることがなく、後続の電子部品に対する干渉が抑制される。
【0016】
また本発明は、上記電子部品供給装置において、前記取り出し位置において、前記供給通路を開閉するシャッタ機構を備えたことを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、シャッタ機構により、常に先頭の電子部品の取り出し高さが一定に位置付けられるため、実装装置に対して安定した電子部品の供給が可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、簡易かつ安価な構成で、基板に実装する実装装置に対して電子部品を縦向き姿勢で安定して供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る電子部品供給装置の実施の形態を示す図であり、電子部品供給装置の全体図である。
【図2】本発明に係る電子部品供給装置の実施の形態を示す図であり、姿勢変換部の周辺の断面模式図である。
【図3】本発明に係る電子部品供給装置の実施の形態を示す図であり、電子部品の搬送状態の説明図である。
【図4】本発明に係る電子部品供給装置の実施の形態を示す図であり、電子部品供給装置および実装装置の動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る電子部品供給装置の全体図である。なお、以下においては、搬送ベルトを用いた電子部品供給装置に本発明を適用する場合について説明する。しかしながら、本発明の適用対象については、これに限定されるものではなく適宜変更が可能である。また、以下においては、電子部品の横向き姿勢とは、長手方向を横向きに倒した横倒し姿勢を示し、電子部品の縦向き姿勢とは、長手方向を縦向きに起こした起立姿勢を示すものとする。
【0021】
図1に示すように、本実施の形態に係る電子部品供給装置1(フィーダ)は、基板に電子部品P(図2参照)を実装する実装装置に対し、電子部品Pを縦向き姿勢で供給するように構成されている。この電子部品供給装置1は、実装装置に対して連結・分離可能な図示しない交換台車の載置台に配置され、交換台車を介して実装装置に付設される。また、電子部品供給装置1は、電子部品Pの搬送方向に沿って横長に形成されており、長手方向の一端側に交換台車に対する位置決めピン2が設けられ、下部に交換台車の載置台に固定するためのロック機構3が設けられている。
【0022】
電子部品供給装置1は、位置決めピン2およびロック機構3により交換台車に位置決め固定される。そして、交換台車が実装装置の所定箇所に連結されることで、電子部品供給装置1における電子部品Pの取り出し位置25が、実装装置の吸着ノズル35に位置合わせされる。なお、本実施の形態では、電子部品供給装置1が、交換台車を介して実装装置に連結される構成として説明するが、実装装置に直に連結される構成としてもよい。
【0023】
電子部品供給装置1の他端側には、多数の電子部品Pが収納された電子部品収納庫5が設けられている。電子部品収納庫5は、回転ドラム方式の収納庫であり、ドラムの回転により一定量の電子部品Pを、庫内に形成されたゲートに対して送り込むように構成されている。電子部品収納庫5のゲートに送り込まれた電子部品Pは、図示しない傾斜路を介してベルト搬送式の搬送部6に導かれる。
【0024】
搬送部6は、電子部品供給装置1の長手方向に沿って延在しており、電子部品収納庫5から供給された複数の電子部品Pを取り出し位置25に向けて搬送する。搬送部6は、電子部品供給装置1の一端側に設けられたスプロケット11および電子部品供給装置1の他端側に設けられたプーリ12に、金属製の搬送ベルト13を架け渡して構成される。また、電子部品供給装置1には、搬送ベルト13上の電子部品を搬送方向に沿ってガイドするガイド部14(図3(a)参照)が設けられている。
【0025】
ガイド部14は、搬送方向に沿う長溝状に形成され、電子部品Pの長手方向を搬送方向に向かせるようにガイドする。ガイド部14によって横向き姿勢にされた電子部品Pは、搬送部6上を一列に整列された状態で搬送される。このとき、搬送部6は、電子部品Pの長手寸法に合った所定ピッチだけ送り出すように間欠動作する。これにより、電子部品供給装置1から実装装置に対して電子部品Pが1つずつ送り出される。
【0026】
搬送部6と取り出し位置25との間には、実装装置に対する電子部品Pの供給姿勢を変換する姿勢変換部7が設けられている。姿勢変換部7は、略円弧状の供給通路8(図2参照)を有している。搬送部6から横向き姿勢で送り出された電子部品Pは、この供給通路8を通ることで縦向き姿勢に姿勢変換され、取り出し位置25において実装装置の吸着ノズル35に縦向き姿勢の状態で取り出される。なお、姿勢変換部7の詳細については後述する。
【0027】
吸着ノズル35に縦向き姿勢で取り出された電子部品Pは、実装装置内に配置された基板の所定位置に縦向き姿勢で取り付けられる。このように、電子部品供給装置1は、実装装置に対して縦向き姿勢の電子部品Pを連続的に供給するように構成されている。なお、電子部品Pは、例えば、ペルチェ素子やコンデンサ等であり、基板に実装可能なものであれば、どのようなものでもよい。また、本実施の形態では、直方体状の電子部品を例に挙げて説明するが、一列に送り出し可能な形成であればよく、例えば、円柱状に形成されていてもよい。
【0028】
図2を参照して、姿勢変換部の周辺構成について説明する。図2は、本発明の実施の形態に係る姿勢変換部の周辺の断面模式図である。
【0029】
図2に示すように、姿勢変換部7は、搬送ベルト13と共に電子部品Pの搬送経路を形成する供給通路8を有している。供給通路8は、搬送ベルト13から横向き姿勢で送り出された電子部品Pを縦向き姿勢に変換しつつ、取り出し位置25に導くように略円弧状に延在している。搬送ベルト13から供給通路8への乗り継ぎ部分には、供給通路8を挟んでスプロケット11に対向するように乗り継ぎ用のマグネット16が配置されている。供給通路8の内周側には、複数の電子部品Pを供給通路8に沿わせるための整列用のマグネット17が配置されている。
【0030】
搬送ベルト13上の電子部品Pは、一列に整列された状態で順番に供給通路8内に送り込まれる。供給通路8内では、搬送ベルト13から送り込まれた後続の電子部品Pの押し込みにより、先頭の電子部品Pが取り出し位置25に玉突き状態で押し出される。このとき、供給通路8内の電子部品Pは、略円弧状の通路に沿って押し込まれるため、横向き姿勢から徐々に縦向き姿勢に変換される。そして、先頭の電子部品Pは、縦向き姿勢の状態で取り出し位置25に押し出される。
【0031】
取り出し位置25には、供給通路8を開閉するためのシャッタ部材9が設けられている。シャッタ部材9は、図示しないカム機構等により搬送部6の間欠駆動に連動して開閉されるように構成されている。具体的には、シャッタ部材9は、搬送ベルト13の駆動時には供給通路8を閉じることで、供給通路8から押し出される電子部品Pの飛び出しを防止する。一方、シャッタ部材9は、搬送ベルト13の停止時には供給通路8を開くことで、吸着ノズル35による電子部品Pの取り出しを可能とする。
【0032】
この場合、供給通路8内における先頭の電子部品Pは、シャッタ部材9が閉じられることでシャッタ部材9の下面に当接され、所定の高さ位置に規制される。このため、シャッタ部材9の開放時には、吸着ノズル35に対する電子部品Pの取り出し高さが、常に一定に保たれる。また、シャッタ部材9の下面は、開状態から閉状態へのスライド方向の先頭側に面取り部19が形成されている。この構成により、シャッタ部材9の開閉時に、先頭の電子部品Pに対するシャッタ部材9の干渉が抑制される。
【0033】
供給通路8は、搬送ベルト13から電子部品Pを下方に導く下方通路21と、下方通路21から電子部品Pを上方に導く円弧状通路22と、円弧状通路22から電子部品Pを取り出し位置25に導く上方通路23とを有している。下方通路21は、電子部品Pの自重により搬送力が得られるように下っており、この自重による搬送力を搬送ベルト13から送り込まれた電子部品Pに対して補助的に作用させている。下方通路21を通った電子部品Pは、横向き姿勢の状態で円弧状通路22に導かれる。
【0034】
円弧状通路22は、下方通路21によって下方に導かれた電子部品Pを上方に向けて導くように円弧状に形成されている。円弧状通路22は、横向き姿勢の電子部品Pを縦向き姿勢に近付けるように形成されている。円弧状通路22を通った電子部品Pは、縦向き姿勢に近付けられた状態で上方通路23に導かれる。上方通路23は、円弧状通路22から電子部品Pを取り出し位置に導くように形成されている。上方通路23を通った電子部品Pは、縦向き姿勢に変換され、取り出し位置25から露出される。
【0035】
この場合、供給通路8の供給方向における下流端に位置する取り出し位置25は、供給通路8の供給方向における上流端に位置する送り出し位置26よりも高い位置に位置付けられている。送り出し位置26は、搬送ベルト13から供給通路8(下方通路21)に電子部品Pを送り出す位置である。この構成により、供給通路8内に整列した複数の電子部品Pは、下方通路21に整列した複数の電子部品Pの自重により押し込まれることがない。よって、搬送ベルト13が停止されるシャッタ部材9の開放時に、先頭の電子部品Pが取り出し位置25を介して外部に押し出されることが防止される。
【0036】
次に、図2および図3を参照して、電子部品の搬送状態について説明する。図3は、本発明の実施の形態に係る電子部品の搬送状態の説明図である。図3において、(a)は搬送ベルトによる電子部品の搬送状態、(b)は搬送部から供給通路への電子部品の乗り継ぎ状態、(c)は供給通路における電子部品の搬送状態、(d)は円弧状通路における電子部品の整列状態をそれぞれ示す図である。また、図3において、(a)が図2のA−A断面、(c)が図2のB−B断面をそれぞれ示す。
【0037】
図3(a)に示す搬送ベルト13上において、電子部品Pは、搬送方向に沿って形成された長溝状のガイド部14によりガイドされつつ搬送される。このように、搬送ベルト13上には、搬送ベルト13とガイド部14とにより電子部品Pの搬送通路28が形成されている。この搬送通路28の高さ寸法は、破線に示すように電子部品Pを縦向きに起こしたときの長辺寸法よりも小さく形成されている。また、搬送通路28の幅寸法は、電子部品Pの長辺方向が搬送方向に向くように、電子部品Pの幅寸法に合わせて形成されている。このため、電子部品収納庫5から供給された電子部品Pは、搬送ベルト13上で長辺寸法を横向きに倒した横向き姿勢で搬送される。
【0038】
搬送ベルト13上の電子部品Pは、送り出し位置26において下方通路21に向けて送り出される。下方通路21に向けて送り出された電子部品Pは、図3(b)に示す乗り継ぎ部分において、乗り継ぎ用のマグネット16に引き寄せられながら、下方通路21内を移動する。この場合、電子部品Pは、乗り継ぎ用のマグネット16の磁力によって下方通路21の上面31に引き付けられ、下方通路21の上面31に沿って移動する。したがって、電子部品Pが、破線に示すように乗り継ぎ部分に形成される隙間32に落ち込むことがなく、乗り継ぎ部分における搬送をスムーズに行うことが可能となる。
【0039】
また、図3(c)に示すように、下方通路21の下流側、円弧状通路22、上方通路23(供給通路8)は、搬送ベルト13上に形成された搬送通路28と略同形状に形成されている。すなわち、各通路21、22、23の高さ寸法は、破線に示すように電子部品Pを縦向きに起こしたときの長辺寸法よりも小さく形成されている。また、搬送方向の幅寸法は、電子部品Pの長辺寸法が搬送方向に向くように、電子部品Pの幅寸法に合わせて形成されている。このため、電子部品Pは、長辺寸法を通路の延在方向に向けた姿勢で搬送される。
【0040】
下方通路21内の電子部品Pは、自重および搬送ベルト13に送り出された後続の電子部品Pによる押し込みにより、円弧状通路22に移動する。図3(d)に示す円弧状通路22において、電子部品Pは、整列用のマグネット17に引き寄せられながら、円弧状通路22内を移動する。この場合、電子部品Pは、整列用のマグネット17の磁力によって円弧状通路22の上面、すなわち内周面33に引き付けられ、円弧状通路22の内周面33に沿って移動する。したがって、電子部品Pが、破線に示すように傾いた状態で移動することがなく、円弧状通路22を詰まらせることがない。
【0041】
なお、乗り継ぎ用のマグネット16および整列用のマグネット17の磁力は、電子部品Pの移動を妨げない程度に設定されている。また、乗り継ぎ用のマグネット16は、乗り継ぎ部分に沿って延在する矩形状に形成されたが、乗り継ぎ部分において電子部品Pを下方通路21の上面31に沿って整列可能であれば、どのような形成でもよい。また、整列用のマグネット17は、円形状に形成されたが、円弧状通路22において電子部品Pを内周側に沿って整列可能であれば、どのような形状でもよい。
【0042】
円弧状通路22内の電子部品Pは、搬送ベルト13に送り出された後続の電子部品Pによる押し込みにより内周面33に沿って移動する。このとき、電子部品Pは、内周面33に沿って移動することで、横向き姿勢から徐々に縦向き姿勢に姿勢が近付けられる。そして、電子部品Pは、上方通路23を移動することで完全に縦向き姿勢に変換される。このように、電子部品Pは、円弧状通路22内、上方通路23内を移動することで、実装装置に対する供給姿勢が横向き姿勢から縦向き姿勢に90度変換される。
【0043】
縦向き姿勢の電子部品Pは、取り出し位置25において吸着ノズル35にピックアップされ、縦向き姿勢の状態で基板に実装される。このように、搬送ベルト13上を横向き姿勢で搬送された電子部品Pは、供給通路8を通ることで吸着ノズル35に対して縦向き姿勢で供給される。よって、電子部品供給装置1に複雑な機構を設けることなく、実装装置に対して電子部品Pを縦向き姿勢で供給可能な電子部品供給装置1を簡易かつ安価な構成にできる。
【0044】
次に、図4を参照して、電子部品供給装置および実装装置の動作について説明する。図4は、本発明の実施の形態に係る電子部品供給装置および実装装置の動作説明図である。
【0045】
図4(a)に示すように、供給通路8がシャッタ部材9により閉じられており、シャッタ部材9の上方に吸着ノズル35が位置されている。この場合、供給通路8内に整列された先頭の電子部品Pは、シャッタ部材9の下面に当接され、所定の取り出し高さに合わせされている。また、吸着ノズル35は、シャッタ部材9の上方において、供給通路8の開口に位置合わせされている。また、搬送ベルト13の駆動が停止されている。
【0046】
この状態から、図4(b)に示すように、シャッタ部材9のスライドにより供給通路8が開放されると、吸着ノズル35が下降して先頭の電子部品Pを吸着する。先頭の電子部品Pは、取り出し位置25において縦向き姿勢で吸着ノズル35に吸着される。この場合、先頭の電子部品Pの上面は、吸着ノズル35の吸着面と平行に合わされているため、吸着ノズル35による適切な吸着が可能となる。
【0047】
次に、図4(c)に示すように、吸着ノズル35が上昇して先頭の電子部品Pをピックアップすると共に、シャッタ部材9のスライドにより供給通路8が閉じられる。この場合、供給通路8内には、吸着ノズル35により取り出された電子部品Pの一つ分のスペースが空けられる。
【0048】
次に、図4(d)に示すように、吸着ノズル35が実装装置内に配置された基板Wの所定位置に縦向き姿勢で電子部品Pを取り付けると共に、搬送ベルト13の駆動が再開される。搬送ベルト13が駆動すると、先頭の電子部品Pが玉突き状態で取り出し位置25に向けて押し出される。先頭の電子部品Pは、シャッタ部材9の下面に当接して取り出し高さが合わせられると共に、実装装置に対する供給姿勢が縦向き姿勢となる。
【0049】
搬送ベルト13の駆動により電子部品Pの一つ分のスペースだけ先頭の電子部品Pが押し出されると、搬送ベルト13の駆動が停止される。そして、吸着ノズル35がシャッタ部材9の上方に移動して図4(a)の状態に戻る。以降、電子部品供給装置1による電子部品Pの供給が停止されるまで、これらの動作が繰り返される。
【0050】
以上のように、本実施の形態に係る電子部品供給装置1によれば、搬送部6から横向き姿勢で送り出された電子部品Pが、供給通路8を通ることで縦向き姿勢に変換されつつ、実装装置に取り出される取り出し位置25に導かれる。よって、複雑な機構を要することなく、簡易かつ安価な構成で、実装装置に対して電子部品を縦向き姿勢で供給することが可能となる。また、シャッタ部材9により、常に先頭の電子部品Pの取り出し高さが一定に位置付けられるため、実装装置に対して安定した電子部品Pの供給が可能となる。
【0051】
なお、上記した実施の形態においては、電子部品供給装置が、ベルト搬送式の搬送部により電子部品を送り出す構成としたが、この構成に限定されるものではない。搬送部は、横向き姿勢の電子部品を送り出す構成であれば、どのような構成でもよい。例えば、搬送部は、電子部品の自重により電子部品を送り出す構成や、弾性変形可能な搬送パイプを用いて電子部品を送り出す構成としてもよい。
【0052】
また、上記した実施の形態においては、電子部品の横向き姿勢および縦向き姿勢は、水平面に対して完全な平行姿勢および垂直姿勢に限定されるものではない。電子部品の横向き姿勢は、長手方向を横向きに倒し、搬送部により安定的に搬送される姿勢であればよい。電子部品の縦向き姿勢は、長手方向を縦向きに起こし、実装装置により取り出し可能な姿勢であればよい。
【0053】
また、上記した実施の形態においては、供給通路は、下方通路、円弧状通路、上方通路により構成されたが、この構成に限定されるものではない。供給通路は、横向き姿勢の電子部品を、縦向き姿勢に変換しつつ取り出し位置に導くことが可能であれば、どのような構成でもよい。供給通路は、例えば、下方通路や上方通路無しの円弧状通路のみで形成されてもよい。
【0054】
また、上記した実施の形態においては、電子部品供給装置が、乗り継ぎ用のマグネットおよび整列用のマグネットを有する構成としたが、この構成に限定されるものではない。電子部品供給装置は、搬送部から供給通路に電子部品を乗り継ぎ可能であれば、乗り継ぎ用のマグネットを有さなくてもよい。また、電子部品供給装置は、円弧状通路内で複数の電子部品を整列可能であれば、整列用のマグネットを有さなくてもよい。
【0055】
また、上記した実施の形態においては、電子部品供給装置が、スライド式のシャッタ部材により供給通路を開閉する構成としたが、この構成に限定されるものではない。シャッタ部材は、供給通路を開閉可能な構成であればよく、例えば、ヒンジ式であってもよい。また、電子部品が、取り出し位置において供給通路から飛び出さなければ、シャッタ部材を設けない構成としてもよい。
【0056】
また、上記した実施の形態においては、取り出し位置が、送り出し位置よりも高い位置に設けられる構成としたが、この構成に限定されるものではない。供給通路内の電子部品が、取り出し位置から飛び出さなければ、送り出し位置よりも低い位置に取り出し位置を設けてもよい。
【0057】
また、上記した実施の形態においては、電子部品が基板に実装される構成としたが、この構成に限定されるものではない。電子部品は、基板以外の基材に実装される構成としてもよい。
【0058】
また、今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であってこの実施の形態に制限されるものではない。本発明の範囲は、上記した実施の形態のみの説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0059】
以上説明したように、本発明は、簡易かつ安価な構成で、電子部品を縦向き姿勢で安定して供給することができるという効果を有し、特に、実装装置に対して基板に搭載される電子部品を一列に整列させて順番に送り出す電子部品供給装置に有用である。
【符号の説明】
【0060】
1 電子部品供給装置
5 電子部品収納庫
6 搬送部
7 姿勢変換部
8 供給通路
9 シャッタ部材
11 スプロケット
12 プーリ
13 搬送ベルト
14 ガイド部
16 乗り継ぎ用のマグネット
17 整列用のマグネット
21 下方通路
22 円弧状通路
23 上方通路
25 取り出し位置
26 送り出し位置
28 搬送通路
33 内周面
35 吸着ノズル
P 電子部品
W 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を基材に対して実装する実装装置に、前記電子部品を供給する電子部品供給装置であって、
前記電子部品を横向きに倒した横向き姿勢で、当該電子部品の長手方向へ送り出す搬送部と、
前記搬送部から送り出された電子部品を、縦向きに起こした縦向き姿勢に変換しつつ、前記実装装置により取り出される取り出し位置に導くように湾曲した供給通路が形成された姿勢変換部とを備えたことを特徴とする電子部品供給装置。
【請求項2】
前記供給通路の供給方向における上流側は、前記搬送部に前記電子部品が送り出される送り出し位置から下方に向かうように形成されたことを特徴とする請求項1に記載の電子部品供給装置。
【請求項3】
前記供給通路の供給方向における上流側が下方に向かうように形成され、前記供給通路の供給方向における下流側が上方に向かうように形成されており、
前記供給通路の下流端に位置する前記取り出し位置が、前記供給通路の上流端に位置する前記送り出し位置よりも高い位置にあることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子部品供給装置。
【請求項4】
前記供給通路は、前記電子部品の供給姿勢を前記縦向き姿勢に変換するように略円弧状に形成された円弧状通路を含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の電子部品供給装置。
【請求項5】
前記姿勢変換部は、前記円弧状通路の内周に沿った所定位置に、前記電子部品を前記円弧状通路の内周側に引き付けるマグネットを設けたことを特徴とする請求項4に記載の電子部品供給装置。
【請求項6】
前記取り出し位置において、前記供給通路を開閉するシャッタ機構を備えたことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の電子部品供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−33821(P2012−33821A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−173759(P2010−173759)
【出願日】平成22年8月2日(2010.8.2)
【出願人】(000003399)JUKI株式会社 (1,557)
【Fターム(参考)】