説明

電子部品供給装置

【課題】装着台へのテープフィーダの装着を容易にする。
【解決手段】テープ化部品を供給位置まで送り出し可能に保持する保持部と、保持部の下縁部をスライド可能に支持するスライド部102とを備えた供給装置において、スライド部を、(A)保持部をスライド部に嵌入する際のスライド方向とは反対の方向の側の端部に位置し、スライド方向と交わる方向への保持部のズレを禁止する状態で保持部を支持する導入溝98と、(B)スライド方向への移動のみを許容した状態で保持部を支持するT溝100とから構成し、導入溝が、磁石126によって磁化されるように構成する。このような構成により、保持部の下縁部を導入溝に嵌め、その後に、保持部をT溝に向かってスライドさせことで、保持部の下縁部をT溝に嵌入することが可能となる。さらに、磁力によって、保持部をスライド部と平行な状態に維持し易くなる。これにより、保持部のスライド部への嵌合が容易となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品供給装置、特に、電子部品が収容されたテープ化部品を所定の位置まで送り出すことにより、電子部品を供給する電子部品供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子部品供給装置(以下、「供給装置」と略す場合がある)には、キャリアテープに形成された多数の収容凹部に電子部品が収容されるテープ化部品を電子部品の供給位置まで送り出し可能に保持するテープ化部品保持部を備えたもの、所謂、テープフィーダがある。テープフィーダは、通常、テープ化部品保持部の下縁部をスライド可能に支持するスライド部に着脱可能とされており、テープ化部品の交換等に対応できるようにされている。このようなテープフィーダとしては、例えば、下記特許文献に記載されたようなものが存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−109109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
テープ化部品保持部の下縁部をスライド可能に支持するスライド部には、スライド方向に延びるように1対の側壁部が形成されており、それら1対の側壁部によって、スライド方向と交わる方向へのテープ化部品保持部のズレが禁止されている。さらに、スライド部には、1対の側壁部の上部に抜止部が形成されており、テープ化部品保持部のスライド部からの上方への抜けが禁止されている。このような構造のスライド部によって、テープ化部品保持部は、スライド方向への移動のみが許容された状態で支持される。
【0005】
そのように支持されたテープ化部品保持部の下縁部は、スライド部の内部、つまり、1対の側壁部と抜止部とによって区画される部分でガタつくことは望ましくなく、その下縁部のガタつきを出来るだけ抑えるべく、1対の側壁部の間の距離等のスライド部の内部寸法は、テープ化部品保持部の下縁部の寸法より僅かに大きい程度とされている。このため、テープ化部品保持部の下縁部をスライド部内に嵌合する際には、テープ化部品保持部をスライド部と平行な状態とし、その平行な状態を維持したまま、下縁部をスライド部内に挿入する必要があり、手間がかかる。本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、テープ化部品保持部の下縁部を容易にスライド部に嵌合可能な供給装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本願の請求項1に記載の電子部品供給装置は、キャリアテープに形成された多数の収容凹部に電子部品が収容されるテープ化部品を電子部品の供給位置まで送り出し可能に保持するテープ化部品保持部と、前記テープ化部品保持部の下縁部をスライド可能に支持するスライド部を有し、前記テープ化部品保持部が着脱可能に装着される装着部とを備えた電子部品供給装置であって、前記スライド部が、前記テープ化部品保持部のスライド方向に延びるように形成され、そのスライド方向と交わる方向への前記テープ化部品保持部のズレを禁止する1対の第1側壁部を有し、前記テープ化部品保持部を装着する際のスライド方向である装着時スライド方向とは反対の方向の側の端部に位置する導入部と、前記1対の第1側壁部から前記装着時スライド方向に延びるように連続する1対の第2側壁部と、前記テープ化部品保持部の上方への抜けを禁止する抜止部とを有し、前記テープ化部品保持部をスライド方向への移動のみを許容した状態で支持する抜止状態支持部とから構成され、前記導入部と前記テープ化部品保持部の下縁部との少なくとも一方が、磁化されるように構成される。
【0007】
また、請求項2に記載の電子部品供給装置は、請求項1に記載の電子部品供給装置において、前記導入部と前記テープ化部品保持部の下縁部との少なくとも一方によって生じる磁力が、前記テープ化部品保持部が前記導入部のみによって支持されているときに、前記テープ化部品保持部の前記スライド部からの脱落を防止可能な大きさとされるように構成される。
【0008】
また、請求項3に記載の電子部品供給装置は、請求項1または請求項2に記載の電子部品供給装置において、前記導入部と前記テープ化部品保持部の下縁部との少なくとも一方によって生じる磁力が、前記導入部では、前記導入部の前記装着時スライド方向の側の端部に近いほど大きく、前記テープ化部品保持部の下縁部では、前記テープ化部品の送り出し方向の側の端部に近いほど大きくなるように構成される。
【0009】
また、請求項4に記載の電子部品供給装置は、請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の電子部品供給装置において、前記抜止状態支持部が、前記1対の側壁部と前記抜止部とからなるT溝であるように構成される。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の供給装置では、スライド部が、1対の側壁部と抜止部とが形成された抜止状態支持部と、抜止部は形成されず、1対の側壁部のみが形成された導入部とによって構成されている。つまり、テープ化部品保持部の下縁部をスライド部に嵌入する際には、まず、テープ化部品保持部の下縁部を導入部に嵌め、その後に、テープ化部品保持部の下縁部を抜止状態支持部に向かってスライドさせる。これにより、テープ化部品保持部の下縁部を容易に抜止状態支持部に嵌入することが可能となる。さらに、請求項1に記載の供給装置では、導入部とテープ化部品保持部の下縁部との少なくとも一方が、磁化されている。このため、磁力によって、テープ化部品保持部の下縁部を導入部に嵌め易くなるとともに、テープ化部品保持部をスライド部と平行な状態に維持し易くなる。したがって、請求項1に記載の供給装置によれば、テープ化部品保持部の下縁部を容易にスライド部に嵌合することが可能となる。
【0011】
また、請求項2に記載の供給装置では、テープ化部品保持部の下縁部と導入部との間に生じる磁力によって、テープ化部品保持部の下縁部が導入部のみによって支持されているときであっても、テープ化部品保持部がスライド部から脱落しないようにされている。つまり、テープ化部品保持部の下縁部が、磁力によって導入部に密着された場合には、その下縁部が抜止状態支持部に嵌入される前に、オペレータがテープ化部品保持部から手を離しても、磁力による下縁部と導入部との密着状態が維持されるのである。したがって、請求項2に記載の供給装置によれば、テープ化部品保持部の下縁部をスライド部に嵌入する際のオペレータの労力を低減することが可能となる。
【0012】
また、テープ化部品保持部の下縁部は、通常、導入部より長く、下縁部が導入部のみによって支持されている際には、下縁部の後端部は導入部の後端部から延び出した状態となる。このため、テープ化部品保持部には、導入部の後端部を中心としたモーメントが生じる場合があり、そのモーメントは、テープ化部品保持部の前端部、つまり、テープ化部品の送り出し方向の側の端部に近いほど大きくなる。このことに鑑みて、請求項3に記載の供給装置では、テープ化部品保持部の下縁部と導入部との間に生じる磁力が、導入部では、導入部の前端部、つまり、抜止状態支持部に連続する端部に近いほど大きく、テープ化部品保持部の下縁部では、テープ化部品保持部の前端部に近いほど大きくされている。これにより、テープ化部品保持部の下縁部と導入部との磁力による密着状態を効果的に維持することが可能となる。
【0013】
また、請求項4に記載の供給装置では、抜止状態支持部がT溝とされている。これにより、スライド部の構造をシンプルにすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施例である電子部品供給装置が取り付けられた電子部品装着機が2台並べられて構成されている電子部品装着装置を示す斜視図である。
【図2】図1に示す電子部品装着機の備える電子部品供給装置のテープフィーダの一部および、そのテープフィーダによって送り出されるテープ化部品を示す平面図である。
【図3】図1に示す電子部品装着機の備える電子部品供給装置を示す斜視図である。
【図4】図3に示す電子部品供給装置のテープ化部品保持部を示す断面図である。
【図5】図4に示すテープ化部品保持部の下縁部を示す斜視図である。
【図6】図3に示す電子部品供給装置のスライド部を示す斜視図である。
【図7】図6に示すAA線における断面図である。
【図8】図6に示すBB線における断面図である。
【図9】変形例の電子部品供給装置の備えるスライド部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態として、本発明の実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。
【0016】
図1に、電子部品装着装置(以下、「装着装置」と略す場合がある)10を示す。その図は、装着装置10の外装部品の一部を取り除いた斜視図である。装着装置10は、1つのシステムベース12と、そのシステムベース12の上に互いに隣接されて並んで配列された2つの電子部品装着機(以下、「装着機」と略す場合がある)16とを含んで構成されており、回路基板に電子部品を装着する作業を行うものとされている。なお、以下の説明において、装着機16の並ぶ方向をX軸方向とし、その方向に直角な水平の方向をY軸方向と称する。
【0017】
装着装置10の備える装着機16の各々は、主に、フレーム部20とそのフレーム部20に上架されたビーム部22とを含んで構成された装着機本体24と、回路基板をX軸方向に搬送するとともに設定された位置に固定する搬送装置26と、その搬送装置26によって固定された回路基板に電子部品を装着する装着ヘッド28と、ビーム部22に配設されて装着ヘッド28をX軸方向およびY軸方向に移動させる移動装置30と、フレーム部20の前方に配設され装着ヘッド28に電子部品を供給する電子部品供給装置(以下、「供給装置」と略す場合がある)32とを備えている。
【0018】
搬送装置26は、2つのコンベア装置40,42を備えており、それら2つのコンベア装置40,42は、互いに平行、かつ、X軸方向に延びるようにフレーム部20のY軸方向での中央部に配設されている。2つのコンベア装置40,42の各々は、電磁モータ(図示省略)によって各コンベア装置40,42に支持される回路基板をX軸方向に搬送するとともに、所定の位置において回路基板を固定的に保持する構造とされている。
【0019】
装着ヘッド28は、搬送装置26によって保持された回路基板に対して電子部品を装着するものであり、下面に回路部品を吸着する吸着ノズル50を有している。吸着ノズル50は、正負圧供給装置(図示省略)を介して負圧エア,正圧エア通路に通じており、負圧にて電子部品を吸着保持し、僅かな正圧が供給されることで保持した電子部品を離脱する構造とされている。
【0020】
移動装置30は、XYロボット型の移動装置であり、装着ヘッド28を保持するX軸スライダ52と、そのX軸スライダ52をX軸方向にスライド可能に保持するY軸スライダ(図示省略)と、X軸スライダ52をX軸方向にスライドさせる電磁モータ(図示省略)と、Y軸スライダをY軸方向にスライドさせる電磁モータ(図示省略)とを備えており、それら2つの電磁モータの作動によって、X軸スライダ52によって保持された装着ヘッド28を任意の位置に移動させることが可能となっている。
【0021】
供給装置32は、フレーム部20の前方側の端部に配設されており、フィーダ型の供給装置とされている。供給装置32は、電子部品がテーピング化されたテープ化部品(図2参照)60をリール62に巻回させた状態で収容する複数のテープフィーダ64を有しており、テープ化部品60から電子部品を装着ヘッド28への供給位置に順次供給する構造とされている。
【0022】
テープ化部品60は、図2に示すように、多数の収容凹部70および送り穴72が等ピッチで形成されたキャリアテープ74と、収容凹部70に収容される電子部品76と、キャリアテープ74の電子部品76が収容された収容凹部70を覆うトップカバーテープ78とから構成されている。また、テープフィーダ64は、図3に示すように、そのテープ化部品60が巻回されるリール62を保持するリール保持部80と、リール62から引き出されたテープ化部品60が上端面に延在させられるフィーダ本体82とから構成されている。
【0023】
フィーダ本体82内部には、図4に示すように、テープ化部品60のキャリアテープ74に形成された送り穴72に係合するスプロケット84が内蔵されており、そのスプロケット84が回転させられることで、キャリアテープ74にトップカバーテープ78が貼着された状態のテープ化部品60が、フィーダ本体82の上端面において、リール62から離間する方向に送り出される。そして、剥離装置(図示省略)によって、キャリアテープ74からトップカバーテープ78が剥ぎ取られることで、フィーダ本体82の上端面の先端部において、電子部品76が収容された収容凹部70が順次解放され、その解放された収容凹部70から電子部品76が吸着ノズル50によって取り出される。
【0024】
また、テープフィーダ64は、フレーム部20の前方側の端部に固定的に設けられたテープフィーダ装着台(以下、「装着台」と略す場合がある)90に着脱可能とされている。装着台90は、図3に示すように、Y軸方向に延びるように形成されたスライド部92と、そのスライド部92の搬送装置26に近い側に立設された立設面部96とから構成されている。スライド部92は、テープフィーダ64のフィーダ本体82の下縁部を嵌合させた状態でスライドさせることが可能とされており、フィーダ本体82の下縁部を嵌合させた状態で立設面部96に接近させる方向にスライドさせることで、フィーダ本体82のテープ化部品60の送り出し方向の側の側壁面が立設面部96に取り付けられる。
【0025】
詳しく言えば、スライド部92には、テープフィーダ64を立設面部96に接近させる方向、つまり、テープフィーダ64を装着台90に装着する際のスライド方向である装着時スライド方向とは反対側に位置する複数の導入溝98と、それら複数の導入溝98から装着時スライド方向に延びる複数のT溝100とが形成されている。つまり、スライド部92には、導入溝98とT溝100とによって構成されるスライド溝102が、Y軸方向に延びるように複数形成されている。一方、フィーダ本体82の下縁部には、図5に示すように、スライド溝102に嵌合されるガイド部104が設けられている。ガイド部104は、断面形状が逆T字型とされており、底部を構成する幅広部106と、幅広部106から上方に延び出す幅狭部108とに区分けされる。なお、ガイド部104は、磁性を有する材料、具体的には、鋼材等により成形されている。
【0026】
スライド溝102について詳しく説明するべく、1本のスライド溝102の導入溝98および、その導入溝98に連続するT溝100の一部を、図6に示す。スライド溝102のT溝100は、図6のAA線における断面図である図7に示すように、底面部110と、その底面部110の両縁から上方に向かって延び出す1対の側壁部112と、それら1対の側壁部112の上端から内側に向かって突出する1対の突出部114とによって区画されている。1対の側壁部112の各々は、Y軸方向に延びるように形成されており、それら1対の側壁部112の間の距離は、ガイド部104の幅広部106の幅より僅かに大きくされている。また、1対の突出部114の間の距離は、ガイド部104の幅狭部108の幅より僅かに大きくされている。さらに、1対の側壁部112の高さは、幅広部106の高さより僅かに高くされ、1対の突出部114の高さは、幅狭部108の高さより低くされている。これにより、ガイド部104は、T溝100に嵌合可能とされ、1対の側壁部112によって、Y軸方向と交わる水平な方向へのズレが禁止されるとともに、1対の突出部114によって、上方への抜けが禁止されている。つまり、ガイド部104は、T溝100によって、Y軸方向にのみスライド可能に支持される。
【0027】
また、スライド溝102の導入溝98は、図6のBB線における断面図である図8に示すように、底面部120と、その底面部120の両縁から上方に向かって延び出す1対の側壁部122とによって区画されている。1対の側壁部122の各々は、Y軸方向に延びるように形成されており、それら1対の側壁部122の間の距離は、ガイド部104の幅広部106の幅より僅かに大きくされている。これにより、ガイド部104は、導入溝98に嵌合可能とされ、1対の側壁部122によって、Y軸方向と交わる水平な方向へのズレが禁止されるが、上方への抜けは禁止されていない。つまり、上方からガイド部104を導入溝98に嵌合することが可能とされている。また、導入溝98の側壁部122は、T溝100の側壁部112に連続しており、導入溝98の側壁部122とT溝100の側壁部112とは、1直線上に位置している。これにより、導入溝98に嵌合されたガイド部104をT溝100に向かってスライドさせることで、ガイド部104をT溝100に嵌合することが可能となっている。
【0028】
さらに、導入溝98の底面部120には、5個の有底穴124が、スライド方向に並んで形成されており、隣り合う有底穴124の間隔は同じとされている。そして、それら5個の有底穴124の各々に、有底穴124と略同形状の磁石126が圧入されている。これにより、導入溝98は磁化されており、その導入溝98に嵌合されたガイド部104の底面、つまり、幅広部106の底面は、その磁化された導入溝98の磁力によって、底面部120に密着されるようになっている。なお、底面部120の上面と磁石126の上面とは面一とされており、ガイド部104の導入溝98内での滑らかなスライドが担保されている。
【0029】
上述した構造によって、テープフィーダ64を装着台90に装着する際には、まず、ガイド部104を導入溝98に嵌合する。ガイド部104の導入溝98への嵌合は、導入溝98の上方の開口から行うことが可能とされているため、容易に行うことができる。さらに、導入溝98は、上述したように、磁化されていることから、それの磁力によって、ガイド部104の導入溝98への嵌合は、より容易となっている。また、磁力によって、幅広部106の底面は、導入溝98の底面部120に密着され、ガイド部104は導入溝98、つまり、スライド溝102と平行な状態に維持される。そのスライド溝102と平行とされたガイド部104を、T溝100に向かってスライドさせることで、ガイド部104をスムーズにT溝100内に嵌め入れることが可能となる。そして、T溝100に嵌入されたガイド部104を、さらにスライドさせることで、フィーダ本体82の先端部側の側壁面が立設面部96に取り付けられ、テープフィーダ64が装着台90に装着される。このように、本供給装置32では、テープフィーダ64の装着台90への装着作業を容易にすることが可能となり、例えば、テープフィーダ64の交換時間を短縮することが可能となる。
【0030】
また、本供給装置32では、図3に示すように、導入溝98は、それの長さがスライド溝102の長さの約1/3とされており、比較的長くされている。これにより、ガイド部104を容易に導入溝98に嵌合することが可能となっている。さらに、ガイド部104をスライド溝102と平行な状態に維持し易くなっている。
【0031】
さらに、本供給装置32では、ガイド部104と導入溝98との間に生じる磁力によって、ガイド部104が導入溝98のみに嵌合されているときであっても、テープフィーダ64がスライド部92から脱落しないようにされている。つまり、導入溝98に取り付けられている磁石126の磁力が、ガイド部104が導入溝98のみに嵌合されているときに、テープフィーダ64のスライド部92からの脱落を防止可能な大きさとされている。これにより、ガイド部104が、磁力によって導入溝98に密着された場合には、T溝100に嵌合される前に、オペレータがテープフィーダ64から手を離しても、磁力によるガイド部104と導入溝98との密着状態が維持されるのである。これにより、テープフィーダ64装着時におけるオペレータの労力を低減することが可能となる。
【0032】
ちなみに、上記実施例において、電子部品供給装置32は、電子部品供給装置の一例であり、電子部品供給装置32を構成するフィーダ本体82、テープフィーダ装着台90は、テープ化部品保持部、装着部の一例である。そのテープフィーダ装着台90のスライド部92は、スライド部の一例であり、スライド部92に形成された導入溝98,T溝100は、導入部,抜止状態支持部の一例である。導入溝98を区画する側壁部122は、第1側壁部の一例であり、T溝100を区画する側壁部112,突出部114は、第2側壁部,抜止部の一例である。
【0033】
なお、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することが可能である。具体的には、例えば、上記実施例では、導入溝98内に5個の磁石126が等ピッチで配設されているが、異なるピッチで配設することも可能である。具体的には、例えば、図9に示すように、隣り合う磁石126の間隔が、導入溝98のT溝100に連続する側の端部に近いほど狭くなるように、5個の磁石126を導入溝98内に配設することが可能である。このように配置することで、ガイド部104と導入溝98との間に生じる磁力を、導入溝98のT溝100に連続する端部に近いほど大きくすることが可能となる。これにより、ガイド部104が導入溝98のみに嵌合されている際に、テープフィーダ64がスライド溝102から脱落することを効果的に防止することが可能となる。
【0034】
詳しく言えば、ガイド部104は、導入溝98より長いため、ガイド部104が導入溝98のみに嵌合されている際には、ガイド部104の後端部は導入溝98の後端部から延び出した状態となる。このため、テープフィーダ64には、導入溝98の後端部を中心としたモーメントが生じ、そのモーメントは、テープフィーダ64の前端部、つまり、テープフィーダ64の送り出し方向の側の端部に近いほど大きくなる。このため、ガイド部104と導入溝98との間に生じる磁力を、導入溝98のT溝100に連続する端部に近いほど大きくすることで、ガイド部104と導入溝98との磁力による密着状態を効果的に維持することが可能となり、テープフィーダ64のスライド溝102からの脱落を効果的に防止することが可能となる。
【0035】
また、ガイド部104と導入溝98との間に生じる磁力を、導入溝98のT溝100に連続する端部に近いほど大きくするためには、磁石の配設ピッチを異ならせるだけでなく、磁力の異なる磁石を配設してもよい。つまり、導入溝98のT溝100に連続する端部に近いほど、磁力の強い磁石を配設してもよい。また、上記実施例では、導入溝98に磁石を配設することで、導入溝98を磁化させているが、導入溝98を強磁性体材料により成形することで、導入溝98を磁化させてもよい。つまり、導入溝98自体を自発磁化させてもよい。
【0036】
また、上記実施例では、導入溝98を磁化させているが、導入溝98の代わりにガイド部104を磁化させてもよく、導入溝98とガイド部104との両方を磁化させてもよい。さらに言えば、ガイド部104と導入溝98との間に生じる磁力がガイド部104の先端部に近いほど大きくなるように、ガイド部104を磁化させてもよい。また、ガイド部104を磁石によって磁化させてもよく、ガイド部104自体を自発磁化させてもよい。
【0037】
また、上記実施例では、テープ化部品保持部としてフィーダ本体82が採用されており、テープ化部品保持部は、テープ化部品を送り出すための送出装置を含んでいる。しかし、テープ化部品保持部は、テープ化部品を供給位置まで送り出し可能に保持するものであればよく、送出装置を含んでいなくてもよい。つまり、テープフィーダを、テープ化部品を巻回した状態で保持する保持具と、その保持具から引き出されたテープ化部品を電子部品の供給位置まで導くテープ化部品経路と、テープ化部品経路に引き出されているテープ化部品を供給位置まで送る送出装置とに区分けした場合に、テープ化部品経路、若しくは、テープ化部品経路と保持具とが一体化されたものを、テープ化部品保持部として採用することが可能である。ちなみに、テープ化部品経路、若しくは、テープ化部品経路と保持具とが一体化されたものを、テープ化部品保持部として採用した場合には、送出装置を内蔵する躯体にスライド部、つまり、装着部が設けられる。
【符号の説明】
【0038】
32:電子部品供給装置 82:フィーダ本体(テープ化部品保持部) 90:テープフィーダ装着台(装着部) 92:スライド部 98:導入溝(導入部) 100:T溝(抜止状態支持部) 112:側壁部(第2側壁部) 114:突出部(抜止部) 122:側壁部(第1側壁部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリアテープに形成された多数の収容凹部に電子部品が収容されるテープ化部品を電子部品の供給位置まで送り出し可能に保持するテープ化部品保持部と、
前記テープ化部品保持部の下縁部をスライド可能に支持するスライド部を有し、前記テープ化部品保持部が着脱可能に装着される装着部と
を備えた電子部品供給装置であって、
前記スライド部が、
前記テープ化部品保持部のスライド方向に延びるように形成され、そのスライド方向と交わる方向への前記テープ化部品保持部のズレを禁止する1対の第1側壁部を有し、前記テープ化部品保持部を装着する際のスライド方向である装着時スライド方向とは反対の方向の側の端部に位置する導入部と、
前記1対の第1側壁部から前記装着時スライド方向に延びるように連続する1対の第2側壁部と、前記テープ化部品保持部の上方への抜けを禁止する抜止部とを有し、前記テープ化部品保持部をスライド方向への移動のみを許容した状態で支持する抜止状態支持部とから構成され、
前記導入部と前記テープ化部品保持部の下縁部との少なくとも一方が、磁化された電子部品供給装置。
【請求項2】
前記導入部と前記テープ化部品保持部の下縁部との少なくとも一方によって生じる磁力が、
前記テープ化部品保持部が前記導入部のみによって支持されているときに、前記テープ化部品保持部の前記スライド部からの脱落を防止可能な大きさとされた請求項1に記載の電子部品供給装置。
【請求項3】
前記導入部と前記テープ化部品保持部の下縁部との少なくとも一方によって生じる磁力が、
前記導入部では、前記導入部の前記装着時スライド方向の側の端部に近いほど大きく、
前記テープ化部品保持部の下縁部では、前記テープ化部品の送り出し方向の側の端部に近いほど大きい請求項1または請求項2に記載の電子部品供給装置。
【請求項4】
前記抜止状態支持部が、
前記1対の側壁部と前記抜止部とからなるT溝である請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の電子部品供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−98379(P2013−98379A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240253(P2011−240253)
【出願日】平成23年11月1日(2011.11.1)
【出願人】(000237271)富士機械製造株式会社 (775)
【Fターム(参考)】