説明

電子部品内蔵コネクタ

【課題】電子部品と端子との接続信頼性に優れた電子部品内蔵コネクタを提供する。
【解決手段】電子部品20の電極21Aに端子金具40を半田付けにより接続してなる電子部品内蔵コネクタであって、端子金具40は電子部品20の電極21Aに半田付けされる半田付け面部42を備え、半田付け面部42には電極21Aに向かって同じ高さで突出する複数の当接突部43が形成されている。電極21Aと端子金具40の半田付け面部42とは、複数の当接突部43が電極21Aに当接することにより生じる両部材間の間隙内に半田が満たされて半田付けされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品内蔵コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子部品内蔵コネクタとして特許文献1に記載のコンデンサ内蔵コネクタが知られている。このものは自動車等の車両に配索される電線に接続され、車体にコンデンサを介してアースすることによりノイズを除去する機能を有する。構成としては、絶縁体からなるハウジングに収容されたコンデンサの両極にそれぞれ端子が固定されているものであって、一方の端子は例えば車両のデフォッガー回路に接続され、他方の端子は車両のパネル部に接地される。デフォッガー回路はコンデンサを介してパネル部にボディーアースされ、ノイズが除去される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−173414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のコンデンサ内蔵コネクタにおいて、コンデンサの電極面と端子の接続面は互いに平坦な表面形状を有しており、端子はコンデンサの電極面に接続面を密着させた状態で半田付けすることによって固定される。
【0005】
しかしながら、このように平面同士を半田付けにより固定しようとすると、図7に示すようにコンデンサの電極面1と端子の接続面2との間に半田3が均一に入り込まず、端子がコンデンサに対して傾いた状態で固定される場合がある。また、電極面と接続面との間に半田が入り込めないようなわずかな隙間が生じている場合には、その間隙に空気溜まりが生じ、端子のコンデンサに対する接続信頼性の低下が懸念されていた。
【0006】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、電子部品と、端子との接続信頼性に優れた電子部品内蔵コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、電子部品の電極に端子金具を半田付けにより接続してなる電子部品内蔵コネクタであって、前記端子金具は前記電子部品の前記電極に形成された平坦面に半田付けされる半田付け面部を備え、前記半田付け面部には前記電極の平坦面に向かって同じ高さで突出する複数の当接突部が形成され、前記電極の前記平坦面と前記端子金具の前記半田付け面部とは、前記複数の当接突部が前記平坦面に当接することにより生じる両部材間の間隙内に半田が満たされて半田付けされていることに特徴を有する。
【0008】
このような構成によれば、半田付け面部に形成された当接突部が電極の平坦面に当接し、半田付け面部と平坦面との間に当接突部の高さと同等の幅を有する間隙を予め確保することで、半田を間隙内に均一に満たすことができる。これにより、部分的に空気溜まりが生じたり、端子金具が電子部品に対して傾いた状態で半田付けされるのを防止することが可能であるから、接続信頼性を向上させることが可能である。
【0009】
前記電子部品はコンデンサであって、前記端子金具は、一端が電線側に接続され他端が前記コンデンサに固定された電線接続端子と、一端が接地部分に接続され他端が前記コンデンサに固定されたアース接続端子と、を備え、前記半田付け面部は少なくとも前記アース接続端子に形成されていることが望ましい。
【0010】
前記当接突部の突出方向と、前記当接突部を有する前記端子金具の延出方向は同方向であってもよい。当接突部の突出方向と同方向に一定の間隙が設けられていれば、従来の例えば半田付けにより半田付け面部と電極の平坦面との間隔にばらつきが生じていた場合と比較して、電子部品から端子金具の端部までの寸法を一定に保つことが可能である。このように、半田付け面部と電極の平坦面との間隙を一定に保つことでその間隙の幅方向と同方向に延びる端子金具を有する電子部品内蔵コネクタ全体の寸法精度を向上させることができる。
【0011】
前記当接突部は、前記電極の平坦面に点接触することが望ましい。例えば当接突部が電極の平坦面に面接触する場合、半田がその隙間に部分的に入り込むことにより、当接突部と電極の平坦面との間に空気溜まりが生じたり、当接突部と電極の平坦面とが傾いて固定されることによって、接続信頼性が低下する虞がある。これに対して、本発明では当接突部が電極の平坦面に対して点接触することで、当接突部と電極の平坦面との間に隙間が生じず、端子金具の半田付け面部と電子部品の電極の平坦面との間隔を一定に保つことができる。
【0012】
前記当接突部は、前記半田付け面部にローレット加工を施すことにより形成されていてもよい。ローレット加工により当接突部を成形することにより、成形性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電子部品と、端子との接続信頼性に優れた電子部品内蔵コネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係るコンデンサ内蔵コネクタを構成する本体部の正面図
【図2】本体部の側面図
【図3】本体部においてアース接続端子側から見た側面図
【図4】図3のA−A断面図
【図5】コンデンサ内蔵コネクタにおいて電線接続端子側から見た側面図
【図6】図5のB−B断面図
【図7】従来例においてコンデンサの電極面と端子の接続面との間が半田付け不良である状態を示す部分拡大断面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施形態>
本発明の一実施形態を図1ないし図6によって説明する。
本実施形態は、電子部品としてコンデンサ20を適用したコンデンサ内蔵コネクタ10を例示するものである。このコンデンサ内蔵コネクタ10は、自動車等の車両に配設されるデフォッガー回路等に接続され、回路内のノイズを除去するものであって、その構成は、図1に示すコンデンサ20と、コンデンサ20の一方の電極に接続され、図示しない回路に接続された雌端子金具に接続可能な電線接続端子30と、コンデンサ20の他方の電極に接続され、車体にアースするアース接続端子40とを備える本体部11と、図5および図6に示す本体部11を収容するコネクタハウジング12と、からなる。以下、アース接続端子40側を前方、電線接続端子30側を後方、図1の手前側を上方、奥側を下方として説明する。なお、図1、図2及び図6においてコンデンサ20とアース接続端子40との半田付け部位を分かり易く表示するために、半田付けに用いた半田50の図示を省略している。
【0016】
本体部11を構成するコンデンサ20は、図1及び図2に示すように断面長円形の円柱をなし、その前後方向両端部には、平坦面を有する電極21が設けられている。電極21のうち、前端側はアース接続端子40を固定するアース側電極21A、後端側は電線接続端子30を固定する電線側電極21Bとされている。
【0017】
電線接続端子30は導電金属製であって、コンデンサ20の電線側電極21Bに半田付けや溶接等で固定される平板状の電極接続部31と、電極接続部31からL字状に折り曲げ形成され、後方に分岐して延出する2本のタブ部32とを備える。2本のタブ部32は、相手側の回路に接続された雌端子金具に挿入されることで回路との電気的接続が図られる。
【0018】
アース接続端子40は導電金属製であって、平板状のアース固定部41と、アース固定部41から切り起こした形状をなし、コンデンサ20のアース側電極21Aに固定される半田付け面部42とから構成される。アース固定部41には取付孔41Aが形成されており、接地部分となる車体のパネル等に設けられた図示しないネジ孔にボルトによって固定される。アース固定部41の前端部には、下方に向かって折り曲げられた形状をなす係止片部41Bが設けられている。この係止片部41Bが図示しないネジ孔付近に設けられた溝部に嵌合することで車体に対してアース接続端子40を回り止めすることが可能である。
【0019】
半田付け面部42は、平坦面を有するアース側電極21Aに沿って配される板状をなし、その板面にはアース側電極21Aに向かって膨出する当接突部43が3点形成されている。各当接突部43はアース側電極21A側が頂部となるように略半球状に膨出した態様をなし、図3に示すように略正三角形の頂点となる位置にそれぞれ形成されている。当接突部43がアース側電極21Aに点接触すると、半田付け面部42とアース側電極21Aとの間に当接突部43の突出高さと同等の幅をなす間隙が生じる。この間隙に半田50を充填させて半田付け面部42とアース側電極21Aとを半田付けにより固定する。
【0020】
さて、上記のような構成をなす本体部11を収容するコネクタハウジング12は、合成樹脂製であって、図5及び図6に示すように略箱状をなしている。コネクタハウジング12の後方に開口し、内部にタブ部32を保持したフード部13は、回路に接続された雌端子金具が挿入可能な構成となっている。また、コネクタハウジング12の前方には、本体部11をタブ部32側から挿入可能な収容空間14が形成されている。なお、図示はしないが、収容空間14には本体部11をコネクタハウジング12に収容した状態でポッティング材が充填され、コネクタハウジング12と本体部11との間には、防水性が確保される。
【0021】
続いて、本実施形態における作用について説明する。
コンデンサ20のアース側電極21Aにアース接続端子40を固定するには、まずアース接続端子40の半田付け面部42をアース側電極21Aに対して位置合わせする。この際、半田付け面部42に形成された当接突部43はアース側電極21Aに当接し、両部材間には当接突部43の突設高さと同等の幅を有する間隙が形成された状態にある。続いて、上述したアース側電極21Aと半田付け面部42との間の間隙に半田50を充填することで、アース側電極21Aと半田付け面部42とを半田付けにより固定する。このように予め形成されたアース側電極21Aと半田付け面部42との間の間隙に半田50を充填させることで、アース接続端子40はアース側電極21Aに対して一定の間隔を保持した状態で半田付けされる。
【0022】
さらに電線接続端子30を半田付け等により電線側電極21Bに固定して完成した本体部11をコネクタハウジング12に収容する。具体的には、コネクタハウジング12の収容空間14に本体部11を電線接続端子30側から挿入する。本体部11を図6に示すようなコネクタハウジング12の収容完了位置まで押し込むには、アース接続端子40の半田付け面部42を前方から押圧する。こうして本体部11をコネクタハウジング12に収容した後、収容空間14にコネクタハウジング12の前端部と面一となる位置まで図示しないポッティング材を充填する。この図示しないポッティング材の充填により本体部11とコネクタハウジング12との間に防水性が確保される。
【0023】
以上説明したように、本実施形態によれば半田付け面部42に設けた当接突部43がアース側電極21Aに当接することで、半田付け面部42とアース側電極21Aとの間に当接突部43の突出高さと同等の幅を有する間隙を予め確保することができる。これにより、コンデンサ20のアース側電極21Aにアース接続端子40の半田付け面部42を半田付けする際に、半田50を間隙に均一に充填することが可能となるから、従来の例えば半田付けする部材間の間隙が少なすぎることにより半田50が入り込まず、あるいは部分的に半田50が入り込むことで間隙に空気溜まりが生じるのを防止することができる。また、3点の当接突部43がアース側電極21Aに点接触した状態で半田付けを行うことで、より安定的に半田付け面部42とアース側電極21Aとの間隙を一定に確保することができるから、半田付け面部42がアース側電極21Aに対して傾いた状態で固定されるのを防止することができる。このようにアース側電極21Aと半田付け面部42とが、傾いた状態で半田付けされたり、半田付けの際に空気溜まりが生じるといった半田付け不良を防止することで、半田付け部位の保持強度を向上させ、接続信頼性を向上させることができる。
【0024】
また、本実施形態では当接突部43の突出方向とアース接続端子40の延出方向が同方向であり、アース側電極21Aと半田付け面部42との間の間隙がコンデンサ内蔵コネクタ10の長手方向の寸法を左右する関係にある。この寸法を左右する間隙の幅を、当接突部43を設けることによって予め一定幅とすることで、コンデンサ内蔵コネクタ10の長手方向の寸法精度を向上させることができる。
【0025】
また、当接突部43を3点設け、さらにその配置を略正三角形の頂点となる位置とすることで、半田付け面部42をより安定的にアース側電極21Aに当接させることができる。加えて、当接突部43を略半球状に膨出させることにより形成することで、当該当接突部43はアース側電極21Aに対して点接触するから、例えば面接触する場合に起こりうる接触間における空気溜まりや部分的に半田が入り込むことにより傾いて固定されるといった半田付け不良が生じず、より確実に接続信頼性を向上させることができる。
【0026】
さらに、アース接続端子40の半田付け面部42は、本体部11をコネクタハウジング12に収容する際に、押圧する部分である。つまり半田付け面部42とアース側電極21Aとの半田付け部分には、押圧される分、電線接続端子30の電極接続部31よりも高い保持強度が求められている。この半田付け部分の接続信頼性を向上させることで、本体部11をコネクタハウジング12に収容する際に、保持強度不足によりアース接続端子40がコンデンサ20から剥がれてしまうといった不具合を防止することができる。
【0027】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0028】
(1)上記一実施形態において、電子部品の一例としてコンデンサ20を例示したが、これに限られず、例えば抵抗器等についても適用が可能である。
【0029】
(2)上記一実施形態において、当接突部43は半田付け面部42にのみ形成されていたが、これに限られず、例えば電線接続端子30の電極接続部31にも当接突部を形成し、電極接続部31と電線側電極21Bとを半田付けにより固定する形態であってもよい。このような構成によれば、コンデンサ内蔵コネクタ10の長手方向の寸法精度をさらに向上させることができる。
【0030】
(3)上記一実施形態において、当接突部43はアース側電極21A側に凸となる略半球状に膨出させた態様をなしていたが、これに限られず、例えば半田付け面部42にローレット加工を施すことにより多数の当接突部を形成してもよい。このように当接突部を形成すれば、容易に成形することが可能となり、且つ当接突部の突出高さの精度管理を容易にすることができる。
【0031】
(4)上記一実施形態において、半田付けは作業者が半田鏝を用いて行ういわゆる手半田の作業によって行われる例によって説明したが、これに限られず、例えばフロー方式やリフロー方式により半田付けされるものであってもよい。
【符号の説明】
【0032】
10…コンデンサ内蔵コネクタ(電子部品内蔵コネクタ)
11…本体部
12…コネクタハウジング
13…フード部
14…収容空間
20…コンデンサ(電子部品)
21…電極
21A…アース側電極(電極)
21B…電線側電極
30…電線接続端子
31…電極接続部
32…タブ部
40…アース接続端子(端子金具)
41…アース固定部
42…半田付け面部
43…当接突部
50…半田

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品の電極に端子金具を半田付けにより接続してなる電子部品内蔵コネクタであって、
前記端子金具は前記電子部品の前記電極に形成された平坦面に半田付けされる半田付け面部を備え、前記半田付け面部には前記電極の平坦面に向かって同じ高さで突出する複数の当接突部が形成され、
前記電極の前記平坦面と前記端子金具の前記半田付け面部とは、前記複数の当接突部が前記平坦面に当接することにより生じる両部材間の間隙内に半田が満たされて半田付けされていることを特徴とする電子部品内蔵コネクタ。
【請求項2】
前記電子部品はコンデンサであって、
前記端子金具は、一端が電線側に接続され他端が前記コンデンサに固定された電線接続端子と、一端が接地部分に接続され他端が前記コンデンサに固定されたアース接続端子と、を備え、
前記半田付け面部は少なくとも前記アース接続端子に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電子部品内蔵コネクタ。
【請求項3】
前記当接突部の突出方向と、前記当接突部を有する前記端子金具の延出方向は同方向であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子部品内蔵コネクタ。
【請求項4】
前記当接突部は、前記電極の平坦面に点接触することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の電子部品内蔵コネクタ。
【請求項5】
前記当接突部は、前記半田付け面部にローレット加工を施すことにより形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の電子部品内蔵コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−187284(P2011−187284A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−50614(P2010−50614)
【出願日】平成22年3月8日(2010.3.8)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】