説明

電子部品包装用導電性材料及び電子部品用包装容器

【課題】 エンボスキャリアテープ等の製造に使用する電子部品包装用導電性材料において、アルコール洗浄に耐性があり、かつ、塩素による電子部品への弊害が無いようにする。
【解決手段】 基材シート又は基材フィルムと、該基材シート又は基材フィルムの片面又は両面に設けられたカーボンブラックを含有する導電性組成物からなる導電性コート層と、該導電性コート層に設けられたトップコート層とを有し、該トップコート層が、MMA(メタクリル酸メチル)モノマーを75重量%以上用いて共重合したアクリル樹脂からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はLSI、コンデンサー等の電子部品を収納、運搬するキャリアテープやトレー、TAB(Tape Automated Bonding)、BGA(Ball Grid Array)、CSP(Chip Scale Package)等の実装工程を補助するために使用されるスペーサ等の製造に使用される電子部品包装用導電性材料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子部品の表面実装化が大きく進んできており、それに伴って表面実装化技術も大巾に進歩している。また、より高性能で小型のチップ型電子部品が開発され、このチップ型電子部品を収納して、搬送、保管し、さらに表面実装に利用する包装形態の一つとしてエンボスキャリアテープが知られている。
【0003】
エンボスキャリアテープは、所定間隔で形成した凹部のポケットにチップ型電子部品を収納し、その凹部をカバーテープでシールすることによりチップ型電子部品を包装し、リールに巻き取った状態で、保管、搬送するものである。そして、搬送したエンボスキャリアテープを表面実装機のカセットフィーダーへ装着し、エンボスキャリアテープを順々に送り出しながらカバーテープを剥がし、チップ型電子部品を自動的にピックアップして回路基板の所定部位へ自動的に配置することにより、チップ型電子部品を回路基板へ組付けていくものである。
【0004】
ところで、エンボスキャリアテープによる保管、搬送、表面実装過程において、エンボスキャリアテープのポケット内部面とチップ型電子部品との摩擦による静電気や、カバーテープを剥がす工程において発生する静電気によって、エンボスキャリアテープが帯電するために、チップ型電子部品に静電気破壊が発生する問題があった。そこで、静電気破壊を防止するために、エンボスキャリアテープに導電性を付与して静電気の蓄積を防止することが行なわれており、カーボンブラック等の導電性フィラーを樹脂に練り込んだシートを用いたり、シートの表面に導電性コート層を施したりしている(特許文献1、2、3、4参照)。
【0005】
また、TAB、BGA、CSP等に使用するスペーサは、図1に示すように、テープ状に形成したシートの両面にカーボンブラックを含有した導電性コート層を施した導電性テープ10を用い、その両側端において凸部(裏面から見れば凹部)11と凹部(裏面から見れば凸部)12とを交互に繰り返すエンボス加工を施したものである。そして、このスペーサは、超純水洗浄やメタノール、エタノール等のアルコール洗浄を行い、付着している異物を除去した後、図2に示すように、TAB等のテープ20と重ね合わせてリール状に巻取り、保管、搬送し、表面実装に供されるものである。この時、TAB等のテープには、リード及び半導体チップが所定間隔で繰り返し形成されているが、スペーサの両面に形成した凸部11と凹部12がTABテープとの間に間隙を形成しているので、リード及び半導体チップがスペーサに接触しないようになっている。
【0006】
さらに、上述したエンボスキャリアテープやスペーサ等においては、導電性コート層の保護のために、導電性コート層の表面にトップコート層が設けられている。
【0007】
ところで、エンボスキャリアテープは、導電性シートを真空成形、真空−圧空成形又はプレス成形によってポケット部を成形した後、超純水洗浄やメタノール、エタノール等のアルコール洗浄を行い、付着している異物を除去して製造するものである。また、TAB等に使用するスペーサにおいても、上述したようにメタノールやエタノール等のアルコール洗浄が行なわれている。そこで、従来、導電性コート層の表面にコートしたトップコート層は、アルコール洗浄に耐性のある塩化ゴム系の樹脂が用いられていた。
【0008】
【特許文献1】特開平7−132963号公報
【特許文献2】特開平8−323932号公報
【特許文献3】特開2000−15764号公報
【特許文献4】特開2000−21247号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、トップコート層に用いられている塩化ゴム系の樹脂は、塩素によって電子部品に金属腐食を発生させる危険性があり、また、燃やした時、ダイオキシン等が発生する問題もあった。なお、塩素を含まない樹脂成分でトップコート層を形成すれば、塩素の問題を解消できるが、アルコール洗浄の耐性が劣るものであり、塩素を含まず、かつ、アルコール耐性が良好なトップコート層が望まれていたが、従来有効なトップコート層は提案されていなかった。
【0010】
本発明は、以上の問題点を解決し、アルコール洗浄に耐性があり、かつ、塩素による弊害が無い電子部品包装用導電性材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは上記目的を達成するために、塩素を含まず、かつ、アルコール洗浄に耐性があるトップコート層に好適な樹脂について鋭意検討し、MMA(メタクリル酸メチル)モノマーを75重量%以上用いて共重合したアクリル樹脂を用いると、アルコール洗浄に高い耐性を有することを見出し、本発明を完成させたものである。
【0012】
請求項1に係る電子部品包装用導電性材料は、基材シート又は基材フィルムと、該基材シート又は基材フィルムの片面又は両面に設けられたカーボンブラックを含有する導電性組成物からなる導電性コート層と、該導電性コート層に設けられたトップコート層とを有し、該トップコート層が、MMA(メタクリル酸メチル)モノマーを75重量%以上用いて共重合したアクリル樹脂からなることを特徴として構成されている。
【0013】
請求項2に係る電子部品包装用導電性材料は、アクリル樹脂が、MMAモノマーと、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル及びアクリル酸2−エチルヘキシルから選ばれた1以上のモノマーとの共重合体であることを特徴として構成されている。
【0014】
請求項3に係る電子部品包装用導電性材料は、表面抵抗値が1×10Ω以下であることを特徴として構成されている。
【0015】
請求項4に係る電子部品包装用導電性材料は、前記基材シート又は基材フィルムが、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PC(ポリカーボネート)、PP(ポリプロピレン)、PI(ポリイミド)、PS(ポリスチレン)又はHIPS(ハイインパクトポリスチレン)のシート又はフィルムであることを特徴として構成されている。
【0016】
請求項5に係る電子部品用包装容器は、前記電子部品包装用導電性材料で形成されたことを特徴として構成されている。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に係る電子部品包装用導電性材料においては、トップコート層が、MMA(メタクリル酸メチル)モノマーを75重量%以上用いて共重合したアクリル樹脂からなるので、アルコール洗浄の耐性が大きく、また、塩素を含有していないので、塩素を起因とする電子部品の金属腐食が無いとともに、ダイオキシン等の発生も無いものである。
【0018】
請求項2に係る電子部品包装用導電性材料においては、アクリル樹脂が、MMAモノマーと、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル及びアクリル酸2−エチルヘキシルから選ばれた1以上のモノマーとの共重合体であるので、トップコート層をコートする際の溶剤には溶け、コートされたトップコート層はアルコールには溶けずアルコール洗浄耐性がある。
【0019】
請求項3に係る電子部品包装用導電性材料においては、表面抵抗が1×10Ω以下であるので、帯電を可及的に防止することができ、埃等の異物を吸着することがない。したがって、電子部品に埃が付着するのを防止することができる。
【0020】
請求項4に係る電子部品包装用導電性材料においては、基材シート又は基材フィルムをPET(ポリエチレンテレフタレート)、PC(ポリカーボネート)、PP(ポリプロピレン)、PI(ポリイミド)、PS(ポリスチレン)又はHIPS(ハイインパクトポリスチレン)で形成することにより、機能や用途、コスト等の観点から最適のものを選ぶことができる。
【0021】
請求項5に係る電子部品用包装容器においては、前記請求項1〜3記載の電子部品包装用導電性材料で形成されているので、アルコール洗浄の耐性が大きく、かつ、塩素による弊害が無い電子部品用包装容器を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の電子部品包装用導電性材料は、基材シート又は基材フィルムが設けられており、この基材シートまたは基材フィルムとしては、例えば、PET、PC、PP、PI、PS、HIPSのシート又はフィルムが好ましい。
【0023】
基材シート及び基材フィルム厚みは、各シート及びフィルムの剛性や用途、使用方法によっても異なるが、100〜300μmが好適である。TABのスペーサの場合であれば、PETフィルムの125μmが好適であり、チップ型電子部品に用いられるエンボスキャリアテープの場合であれば、250〜300μmが好適である。
【0024】
基材シート又は基材フィルムの片面又は両面に導電性組成物からなる導電性コート層が設けられている。例えば、エンボスキャリアテープに用いる場合は、ポケット部にチップ型電子部品を収納し、カバーテープでシールして用いるので、片面にのみ導電性コート層を設ければよく、TABのスペーサに用いる場合は、TABテープとスペーサとを重ね合わせた状態でリール状に巻くので、スペーサの両面がTABテープと対向することなる。したがって、基材シートの両面に導電性コート層を設ける必要がある。
【0025】
導電性組成物としては、カーボンブラックと、カーボンブラックを基材シート又は基材フィルムに固定する固定樹脂とからなり、カーボンブラック15〜30重量%、固定樹脂70〜85重量%の配合にすることが好ましい。固定樹脂は、基材シート又は基材フィルムに強固に固着する樹脂から選ばれ、例えば、基材シート及びフィルムがPET、PP、PC、PIの場合には、ウレタン樹脂30〜40重量%、ポリエステル樹脂が60〜70重量%からなる樹脂が用いられ、PSの場合には、アクリル樹脂65〜75重量%、繊維素系樹脂20〜30重量%とワックス3〜5重量%からなる樹脂が用いられ、HIPSの場合には、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体35〜45重量%、アクリル樹脂35〜45重量%、繊維素系樹脂15〜25重量%とワックス2〜3重量%からなる構成樹脂が用いられる。
【0026】
また、カーボンブラックは15〜30重量%配合されているが、カーボンブラックの配合量が15重量%未満であると、導電性が悪くなり表面抵抗値が1×10Ωよりも高くなってしまう。また、配合量が30重量%を超えると、固定樹脂で基材シート又は基材フィルムに固定できなくなり、さらに、コスト高となる。
【0027】
カーボンブラックの平均粒径は1.0μm未満が好ましく、このような平均粒径のカーボンブラックを用いることにより、固定樹脂を溶かした溶剤に均一に分散され、導電性コート層のカーボンブラックも均一にコートされる。
【0028】
導電性コート層を基材シート又は基材フィルムにコートするには、上述したような導電性組成物を、トルエン、酢酸エチルエステル、メチルエチルケトン、イソプロピルアルコール等の混合溶剤に溶かし、基材シート又は基材フィルムに塗布後、乾燥して行なう。
【0029】
例えば、PET、PP、PC、PIの基材シートやフィルムにコートされる導電性コート層の塗布液としては、以下に記載するものが挙げられる。
カーボンブラック 3〜5重量%
ウレタン樹脂 4〜6重量%
ポリエステル樹脂 7〜10重量%
トルエン 20〜30重量%
メチルエチルケトン 40〜50重量%
イソプロピルアルコール 1〜5重量%
【0030】
PSの基材シートやフィルムにコートされる導電性コート層の塗布液としては、以下に記載するものが挙げられる。
カーボンブラック 1〜3重量%
アクリル樹脂 7〜10重量%
繊維素系樹脂 2〜5重量%
酢酸エチルエステル 15〜25重量%
酢酸プロピルエステル 15〜25重量%
イソプロピルアルコール 40〜50重量%
ワックス 0.3〜0.6重量%
【0031】
塗布方法は特に限定されないが、グラビアロールによる塗布が最も一般的で効果的に塗布することが出来る。塗布量は、乾燥後0.5〜5.0g/m、好適には1.0〜4.0g/mである。塗布量が0.5g/m未満であると、エンボス加工等の成形をした際、成形によって伸ばされた部分の導電性が劣るようになり、また、塗布量が5.0g/mを超えると効果は変わらずコスト高となる。
【0032】
導電性コート層の表面には、導電性コート層を保護するためにトップコート層が施されている。トップコート層は、MMAモノマーを75重量%以上用いて共重合したアクリル樹脂で形成されており、すなわちMMAモノマーと、他のアクリル酸又はメタクリル酸のエステル類のモノマーとの共重合体で形成されている。これらのモノマーとしては、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のモノマーが挙げられる。
【0033】
MMAモノマーが75重量%未満であれば、アルコール洗浄の耐性を十分に得ることができない。しかし、MMAモノマーが75重量%以上であると、塗布液の溶剤に溶け難く使い難くなるので、塗布液の溶剤に溶解する範囲において適切な量を採用することが好ましい。
【0034】
トップコート層の塗布液としては、以下に記載するものが挙げられる。
アクリル樹脂※ 8〜22重量%
硝化綿樹脂 1〜3重量%
トルエン 40〜50重量%
メチルエチルケトン 10〜20重量%
酢酸プロピルエステル 10〜20重量%
イソプロピルアルコール 5〜10重量%
※アクリル樹脂;MMAモノマー80重量%とメタクリル酸n−ブチルモノマー20重量%とからなる共重合体
【0035】
なお、トップコート層の樹脂成分は、PET、PP、PC、PIの基材シートやフィルムにコートされる導電性コート層の樹脂成分、及びPSの基材シートやフィルムに導電性コートされる樹脂成分のどちらにも接着し、固化するので、基材シートやフィルムの材質に拘わらず、同じトップコート層の塗布液の成分でコートすることが出来る。
【0036】
塗布方法は、特に限定されないがグラビアロールによる塗布が最も一般的で効果的に塗布することが出来る。
【0037】
塗布液の塗布量は、乾燥後、0.5〜5.0g/m2、好適には1.0〜4.0g/m2である。塗布量が0.5g/m未満であると、エンボス加工等の成形をした際、成形によって伸ばされた部分においいてトップコート層が失われ、下層の導電性コート層が露出する危険性があり、また5.0g/mを超えると、導電性が劣るようになる。
【0038】
本発明の電子部品包装用導電性材料の表面抵抗値は1×108Ω以下であることが好ましく、1×104Ω〜1×108Ωであることがより好ましい。1×108Ω以上であれば、ほこりやゴミ等の異物付着防止が期待できず、1×104Ω以下ではコスト高となるのみである。
【0039】
本発明の電子部品包装用導電性材料の用途としては、電子部品を収納等に使用するキャリアテープやトレー、TAB、BGA、CSP等の実装工程に使用するスペーサ等である。
【実施例】
【0040】
[実施例1]
基材フィルムとして東レ(株)製PETフィルム「ルミラーS10」(厚さ125μm×巾1020mm×長さ1200m)を中島精機(株)製GX−II−1500、4色印刷機の繰り出し部にセットし、1色目の印刷ユニットのヘリオ彫刻によるスクリーン線数60線のグラビア版胴によって下記の組成の塗布液をコートした後、熱風温度70℃、スピード60m/minの条件で乾燥し、導電性コート層を形成した。
【0041】
塗布液;大阪インキ製造(株)製「PET−PL EC黒」
カーボンブラック 4重量%
ウレタン樹脂 5重量%
ポリエステル樹脂 10重量%
トルエン 28重量%
メチルエチルケトン 49重量%
イソプロピルアルコール 4重量%
【0042】
次いで、2色目の印刷ユニットのオハイオ彫刻によるスクリーン線数60線のグラビア版胴によって下記の組成の塗布液をコートした後、熱風温度70℃、スピード60m/minの条件で乾燥しトップコート層を形成した。
塗布液;
大阪インキ製造(株)製「PET−ACオーバーコートメジウムNo.6」
アクリル樹脂※ 20重量%
硝化綿樹脂 2重量%
トルエン 43重量%
メチルエチルケトン 14重量%
酢酸プロピルエステル 14重量%
イソプロピルアルコール 7重量%
※アクリル樹脂;MMAモノマー80重量%とメタクリル酸n−ブチルモノマー20重量%とからなる共重合体
【0043】
この片面側に導電性コート層及びトップコート層を形成したフィルムを一度巻き取った後、もう一度中島精機(株)製GX−II−1500、4色印刷機の繰出し部にセットし、導電性コート層及びトップコート層が形成された面の反対面に、上記と全く同様の塗布液で全く同様の条件で導電性コート層及びトップコート層を形成し、トップコート層/導電性コート層/PETフィルム/導電性コート層/トップコート層の5層からなる導電性テープを作製した。この導電性テープの表面抵抗値とアルコール耐性を評価した。
【0044】
[表面抵抗値]
JIS K 6911の方法に従って、温度20℃、湿度65%RHの雰囲気中で測定した。
測定の結果、表面抵抗値は1×10Ωであった。したがって、異物が付着するのを防止できることが確認された。
【0045】
[アルコール耐性]
綿棒にメタノールを含ませ、力を入れて導電性テープの表面を10回こすって、その表面の光沢や侵食の有無を観察した。
観察の結果、光沢があり、アルコールによって侵されている様子は見られなかった。したがって、アルコール洗浄に耐えられることが確認された。
【0046】
次いで、この導電性テープを巾35mmにスリットし、巻き取ったロールを連続的に繰出して加熱しながらエンボスを形成した金属ロールの間に挟んで、両側端に、径4.0mm、深さ1.0mmの半球形の凸部及び凹部を1個毎に互い違いになるように連続的に形成した。
【0047】
この凸部及び凹部を形成した導電性テープを連続的に繰出しながらメタノール液中を通過させながら、超音波洗浄を行った後、乾燥させ、TAB等のスペーサーテープを作製した。このスペーサーテープの表面抵抗値とアルコール耐性を前述した方法で評価した。
【0048】
[表面抵抗値]
表面抵抗値は1×10Ωであった。したがって、異物が付着するのを防止できることが確認された。
【0049】
[アルコール耐性]
光沢がありアルコールによって侵されている様子は見られなかった。したがって、アルコール洗浄に耐えられることが確認された。
【0050】
[実施例2]
基材シートとしてA−PET(東洋紡(株)製PETMAXW565SEOR)厚さ200μm×巾640mm×長さ1000mを中島精機(株)製GX−II−1500、4色印刷機の繰出し部にセットし、1色目の印刷ユニットのヘリオ彫刻によるスクリーン線数60線のグラビア版胴によって実施例1と全く同様の塗布液で実施例1と全く同様の条件で乾燥し導電性コート層をコートした。
【0051】
次いで2色目の印刷ユニットのオハイオ彫刻によるスクリーン線数60線のグラビア版胴によって実施例1と全く同様のトップコート塗布液で実施例1と全く同様の条件で乾燥しトップコート層をコートした。
【0052】
この片面側に導電性コート、トップコートされたシートを一度巻き取った後、もう一度中島精機(株)製GX−II−1500、4色印刷機の繰出し部にセットし、導電性コート、トップコートされた面の反対面に上記と全く同様の塗布液で全く同様の条件で導電性コート層、トップコート層をコートして、トップコート層/導電性コート層/A−PET/導電性コート層/トップコート層のPETシートの両面に導電性コートが施された導電性シートを作製した。
【0053】
この導電性シートの表面抵抗値とアルコール耐性を実施例1と同様の方法で評価した。
【0054】
[表面抵抗値]
表面抵抗値は1×10Ωであった。したがって、異物が付着するのを防止できることが確認された。
【0055】
[アルコール耐性]
光沢がありアルコールによって侵されている様子は見られなかった。したがって、アルコール洗浄に耐えられることが確認された。
【0056】
次いで、この導電性シートを、巾40mmにスリットし巻き取ったロールを繰出しながら加熱し、真空成形を行って30mm×30mm×深さ3.0mmの凹状のポケット部を形成した。次いでこのポケット部を形成した導電性シートを連続的に繰出しながらメタノール液中を通過させながら超音波洗浄を行った後、乾燥させ電子部品等の収納、搬送、実装する導電性エンボスキャリアテープを作製した。
【0057】
この導電性エンボスキャリアテープの表面抵抗値とアルコール耐性を実施例1と同様の方法で評価した。
【0058】
[表面抵抗値]
ポケット部の低部コーナーにおける表面抵抗値は1×10Ωであった。したがって、成形によって伸ばされたポケット部の低部コーナーにおいても、表面抵抗は低下することなく、異物が付着するのを防止できることが確認された。
【0059】
[アルコール耐性]
光沢がありアルコールによって侵されている様子は見られなかった。したがって、アルコール洗浄に耐えられることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】TABテープに使用するスペーサの平面図
【図2】TABテープとスペーサとをリール状に巻いた状態の部分側面図
【符号の説明】
【0061】
10 導電性テープ
11 凸部
12 凹部
20 TABテープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材シート又は基材フィルムと、該基材シート又は基材フィルムの片面又は両面に設けられたカーボンブラックを含有する導電性組成物からなる導電性コート層と、該導電性コート層に設けられたトップコート層とを有し、該トップコート層が、MMA(メタクリル酸メチル)モノマーを75重量%以上用いて共重合したアクリル樹脂からなることを特徴とした電子部品包装用導電性材料。
【請求項2】
前記アクリル樹脂が、MMAモノマーと、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル及びアクリル酸2−エチルヘキシルから選ばれた1以上のモノマーとの共重合体であることを特徴とする請求項1記載の電子部品包装用導電性材料。
【請求項3】
表面抵抗値が1×10Ω以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の電子部品包装用導電性材料。
【請求項4】
前記基材シート又は基材フィルムが、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PC(ポリカーボネート)、PP(ポリプロピレン)、PI(ポリイミド)、PS(ポリスチレン)又はHIPS(ハイインパクトポリスチレン)のシート又はフィルムであることを特徴とする請求項1、2又は3記載の電子部品包装用導電性材料。
【請求項5】
前記請求項1、2、3又は4記載の電子部品包装用導電性材料で形成されたことを特徴とする電子部品用包装容器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2007−283542(P2007−283542A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−110868(P2006−110868)
【出願日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【出願人】(594146180)中本パックス株式会社 (40)
【Fターム(参考)】