電子部品及び電子部品の製造方法
【課題】電子部品の狭隣接高密度実装を可能とする電極構造の電子部品及び電子部品の製造方法を低コストで提供すること。
【解決手段】素体2と外部電極3,4とを備える電子部品素体1’を準備する。粘着性保持治具30に電子部品素体1’の主面又は側面であって少なくともその一部が外部電極3,4で覆われている一面を粘着させることにより粘着性保持治具30に固定する。スプレーコーティング法により、粘着性保持治具30上の電子部品素体1’の露出した表面に一括して絶縁性樹脂コーティング剤32を塗布する。塗布された絶縁性樹脂コーティング剤32を粘着性保持治具30上で固化させる。絶縁性樹脂コーティング剤32を固化させた後に、粘着性保持治具30から分離する。電子部品は、固化した絶縁性樹脂コーティング剤32からなる絶縁性樹脂コーティング層(絶縁層)を備える。
【解決手段】素体2と外部電極3,4とを備える電子部品素体1’を準備する。粘着性保持治具30に電子部品素体1’の主面又は側面であって少なくともその一部が外部電極3,4で覆われている一面を粘着させることにより粘着性保持治具30に固定する。スプレーコーティング法により、粘着性保持治具30上の電子部品素体1’の露出した表面に一括して絶縁性樹脂コーティング剤32を塗布する。塗布された絶縁性樹脂コーティング剤32を粘着性保持治具30上で固化させる。絶縁性樹脂コーティング剤32を固化させた後に、粘着性保持治具30から分離する。電子部品は、固化した絶縁性樹脂コーティング剤32からなる絶縁性樹脂コーティング層(絶縁層)を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品及び電子部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、表面実装部品、たとえば積層セラミックコンデンサは、その製造方法として、グリーンシートと内部電極材料を交互に積層して焼成することによって形成した素体の端面を導電性ペーストに浸漬、乾燥させてペースト層を形成後、焼成し、更にハンダ付け性を改善するためにメッキを施して外部電極を形成する方法が広く用いられている。(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上述した従来の電子部品の製造方法においては、外部電極は、素体の両端面並びに端面に隣接する主面の一部及び側面の一部にまたがって形成される五面電極構造となる。
【0004】
このため、図12〜図15に示されるように、配線パターンWPを備えている基板SSへのはんだ実装時において、電子部品101の側面に形成された外部電極103にもはんだが周り込み、外部電極103の電極側面部にもはんだフィレットSFが形成される。このため、複数の電子部品101を平行もしくは直列に配置して実装すると、隣接した電子部品101の端面および側面部間で、はんだブリッジを形成し、電子部品101間が短絡する問題が発生しやすく、電子部品101間の間隔を小さくした狭隣接高密度実装上の課題となっていた。また、図16に示されるように、実装時の位置ズレによって、隣接する電子部品101の両側面部が接触する場合や、図17に示されるように一方の電子部品101の端面部ともう一方の電子部品101の側面部との間で接触する場合に、両電子部品101間の電極間短絡が発生する懼れがあった。
【0005】
このような課題を解決するために、電子部品の底面のみに電極を形成し、実装時のハンダフィレットを無くすか、出来るだけ小さくする構造の電子部品の製造方法が提案されている。(例えば、特許文献2及び3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−13315号公報
【特許文献2】特許第3289561号公報
【特許文献3】実開昭61−65737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した電子部品の製造方法は、外部電極を限定された電子部品の一側面だけに形成するために高コストの製造設備が必要になる点や、電子部品の内部構造を従来の電子部品から大幅に変更し、外部への取り出し方法を変えた上で、形成された外部電極を機械的に研磨除去する等の、製品にダメージを与える工程が必要となる等の問題点があった。
【0008】
更に、外部電極が電子部品の一側面のみに形成されているため、製品完成後の電気特性検査が難しく、これらの問題で製品の生産性が悪く、製品コストの増大を招く問題点があった。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、電子部品の狭隣接高密度実装を可能とする電極構造の電子部品及び電子部品の製造方法を低コストで提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る電子部品の製造方法は、互いに対向する一対の端面と、一対の端面間を連結するように伸び且つ互いに対向する一対の主面と、一対の主面を連結するように伸び且つ互いに対向する一対の側面と、を含む素体と、素体の端面側に形成され、端面に隣接する主面及び又は側面の一部を覆う外部電極と、を有し、主面又は側面であって少なくともその一部が外部電極で覆われている一面を除く素体の表面と、該表面上に形成されている外部電極とが絶縁性物質で覆われている電子部品の製造方法であって、素体と外部電極とを備える電子部品素体を準備する部品素体準備工程と、粘着性保持治具に電子部品素体の主面又は側面であって少なくともその一部が外部電極で覆われている一面を粘着させることにより粘着性保持治具に固定する保持工程と、スプレーコーティング法により、粘着性保持治具上の電子部品素体の露出した表面に一括して絶縁性樹脂コーティング剤を塗布する塗布工程と、塗布された絶縁性樹脂コーティング剤を粘着性保持治具上で固化させる固化工程と、絶縁性樹脂コーティング剤を固化させた後に、粘着性保持治具から分離する分離工程と、を備えていることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る電子部品は、互いに対向する一対の端面と、一対の端面間を連結するように伸び且つ互いに対向する一対の主面と、一対の主面を連結するように伸び且つ互いに対向する一対の側面と、を有する素体と、素体の端面側に形成され、端面に隣接する主面及び又は側面の一部を覆う外部電極と、を備えている電子部品であって、主面又は側面であって少なくともその一部が外部電極で覆われている一面を除く素体の表面と、該表面上に形成されている外部電極が絶縁性物質で覆われていることを特徴する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、電子部品の狭隣接高密度実装を可能とする電極構造の電子部品及び電子部品の製造方法を低コストで提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1実施形態に係る電子部品を示す斜視図である。
【図2】第1実施形態に係る電子部品の断面構成を説明するための図である。
【図3】第1実施形態に係る電子部品の断面構成を説明するための図である。
【図4】絶縁性樹脂コーティング層形成工程を説明するための図である。
【図5】第1実施形態に係る電子部品の梱包状態を示す断面図である。
【図6】第1実施形態に係る電子部品の一実装例を示す斜視図である。
【図7】第1実施形態に係る電子部品の一実装例を示す平面図である。
【図8】図7におけるVIII−VIII線に沿った断面構成を説明するための図である。
【図9】図7におけるIX−IX線に沿った断面構成を説明するための図である。
【図10】第1実施形態に係る電子部品の一実装例を示す平面図である。
【図11】第1実施形態に係る電子部品の一実装例を示す平面図である。
【図12】従来の電子部品の一実装例を示す斜視図である。
【図13】従来の電子部品の一実装例を示す平面図である。
【図14】図13におけるXIV−XIV線に沿った断面構成を説明するための図である。
【図15】図13におけるXV−XV線に沿った断面構成を説明するための図である。
【図16】従来の電子部品の一実装例を示す平面図である。
【図17】従来の電子部品の一実装例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0015】
(第1実施形態)
図1及び図2を参照して、第1実施形態に係る電子部品1の構成を説明する。図1は、第1実施形態に係る電子部品を示す斜視図である。図2及び図3は、第1実施形態に係る電子部品の断面構成を説明するための図である。図3では、後述する内部電極7,8などの図示を省略している。
【0016】
電子部品1は、例えば積層セラミックコンデンサなどの電子部品であり、複数のセラミックグリーンシートを積層して一体化することによって略直方体形状に構成された素体2と、素体2の両端面側に形成された外部電極3,4と、を備えている。素体2は、図1にも示されているように、素体2の長手方向に向かい合って互いに平行をなす一対の端面2a,2bと、一対の端面2a,2b間を連結するように伸び且つ互いに対向する一対の主面2c,2dと、一対の主面2c,2dを連結するように伸び且つ互いに対向する一対の側面2e,2fと、を有する。
【0017】
電子部品1は、たとえば、縦が0.4mm〜1.6mm程度に設定され、横が0.2mm〜0.8mm程度に設定され厚みが0.4mm〜0.8mm程度に設定されている。
【0018】
素体2は、図2に示されるように、複数の長方形状の誘電体層6と、複数の内部電極7及び内部電極8とが積層された積層体として構成されている。内部電極7と内部電極8とは、素体2内において誘電体層6の積層方向(以下、単に「積層方向」と称する。)に沿ってそれぞれ一層ずつ配置されている。内部電極7と内部電極8とは、少なくとも一層の誘電体層6を挟むように対向配置されている。
【0019】
各誘電体層6は、例えば誘電体セラミック(BaTiO3系、Ba(Ti,Zr)O3系、又は(Ba,Ca)TiO3系等の誘電体セラミック)を含むセラミックグリーンシートの焼結体から構成される。実際の素体2では、各誘電体層6の間の境界が視認できない程度に一体化されている。
【0020】
内部電極7,8は、例えばNiやCuなどの導電材を含んでいる。内部電極7,8の厚みは、たとえば0.5μm〜3μm程度である。内部電極7,8は、積層方向から見て互いに重なりあう領域を有するような形状であれば、特に形状は限定されず、例えば矩形状などの形状をなしている。内部電極7,8は、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成される。内部電極7は外部電極3と電気的且つ物理的に接続されており、内部電極8は外部電極4と電気的且つ物理的に接続されている。
【0021】
外部電極3は、一方の端面2a並びに端面2aと直交する二つの主面2c,2d及び二つの側面2e、2fの各縁部の一部を覆うように形成されている。外部電極3は、対応する各面2a,2c,2d,2e,2fに位置する電極部分3a,3c,3d,3e,3fを有している。外部電極3は、五面電極構造となっている。
【0022】
外部電極4は、他方の端面2b並びに端面2bと直交する二つの主面2c,2d及び二つの側面2e、2fの各縁部の一部と、を覆うように形成されている。外部電極4は、対応する各面2b,2c,2d,2e,2fに位置する電極部分4b,4c,4d,4e,4fを有している。外部電極4は、五面電極構造となっている。
【0023】
外部電極3,4は、素体2の外表面にCuやNi、あるいはAg、Pd等を主成分とする導電性ペーストを後述の方法によって付着させた後に所定温度(例えば、700℃程度)にて焼付け、更に後述の方法によって電気めっきを施すことにより形成される。電気めっきには、Cu、Ni、Sn等を用いることができる。電気メッキには、Cu、Ni、Sn等を用いることができる。
【0024】
絶縁性物質からなる絶縁層21は、図1及び図3にも示されるように、素体2の主面2c及び側面2e,2f上に位置する電極部分3c,3e,3f,4c,4e,4f、並びに、端面2a,2b上に位置する電極部分3a,4bを覆うように形成されている。本実施形態では、絶縁層21は、後述する絶縁性樹脂コーティング層からなる。
【0025】
続いて、本実施形態に係る電子部品1の製造方法について説明する。
【0026】
(素体準備工程)
電子部品1の製造工程は、素体準備工程から開始する。この素体準備工程、誘電体層6となるセラミックグリーンシートを形成した後、当該セラミックグリーンシート上に内部電極7,8のパターンを導電性ペーストで印刷し、乾燥することによって電極パターンを形成する。このように電極パターンが形成されたセラミックグリーンシートを複数枚重ね合わせ、そのセラミックグリーンシートの積層体をそれぞれ素体2の大きさのチップとなるように切断する。続いて、ポリエチレン等の材料からなる密閉回転ポットに水と複数のチップと研磨用のメディアを入れて、この密閉回転ポットを回転させることによって、チップの角部分の面取りが行われる。面取り加工を施したチップに所定温度で所定時間加熱処理を施すことによって脱バインダを行う。脱バインダを行った後、更に焼成を行うことで素体2を得る。
【0027】
(外部電極形成工程)
次に、外部電極形成工程を説明する。外部電極形成工程は、公知の導電性ペーストへの浸漬工法で形成することができる。具体的には、素体2を完成後、キャリアプレートなどの公知の保持冶具を用いて、素体2の一方の端面2aが上方を向くように他方の端面2b側において主面2c,2dを保持する。
【0028】
次に、保持冶具で保持された素体2の端面2aを塗布用ベッド上に入れられたCuやNi、あるいはAg、Pd等を主成分とする導電性ペースト中に浸漬により塗布し、乾燥させることによって、第一ペースト層を形成する。このとき、導電性ペーストに浸漬させる素体2の深さを適切に設定することで、各面2a,2c,2d,2e,2fの5面に第1ペースト層が形成される。第一ペースト層を乾燥させた後、素体2の反対面にも同様な工程を経て、各面2b,2c,2d,2e,2fの5面に第二ペースト層を形成する。第一及び第二ペースト層を形成した後、例えば780℃で熱処理を行うことによって、焼付電極を形成する。
【0029】
焼付電極を形成した後、メッキ工程が行われる。メッキ工程は焼付電極の表面にNiメッキ層やSnメッキ層を形成する工程である。具体的に、このメッキ工程では、バレル内のメッキ液に焼付電極が形成された素体2を浸漬させた後、バレルを回転させつつ焼付電極の表面にメッキが施される。これにより、外部電極3、4は、焼付電極とメッキ層との複合構造として形成されることになる。
【0030】
メッキ層は、実装時にハンダとの電極濡れ性を改善するために、少なくともSn若しくはSn合金メッキ層を表面層に有する。具体的には、必要に応じ、実装時にハンダと焼付電極の反応を防止するためのNiもしくはNi合金メッキ層を形成した後、Sn若しくはSn合金メッキ層を形成する。Niメッキ層の厚みは0.5〜6μm程度であり、Snメッキ層の厚みは1〜7μm程度である。また、Niメッキ層を形成する前にCuのメッキ層を設けてもよい。また、焼付電極がNiペーストの焼き付けにより形成されている場合は、Niメッキ層を省略してもよい。
【0031】
外部電極形成工程を経て、素体2と外部電極3、4とを備える電子部品素体1’が準備されることとなる。したがって、外部電極形成工程までの工程が、部品素体準備工程となる。
【0032】
(電気特性・外観検査工程)
メッキ層が形成された電子部品素体1’は、この段階で電気的特性と外観検査を行ってもよい。この段階での電子部品素体1’は、通常の5面電極構造とされた表面実装型電子部品と同一構成を有するため、従来用いられている測定設備をそのまま用いることができる。
【0033】
(絶縁性樹脂コーティング層形成工程)
次に、電子部品素体1’を、図4の(a)に示されるように、粘着性保持治具30に素体2(電子部品素体1’)の主面2dを圧着することにより、粘着保持させる(保持工程)。図4の(a)〜(c)は、絶縁性樹脂コーティング層形成工程を説明するための図である。
【0034】
粘着性保持治具30には、いわゆる粘着プレートを用いることができる。粘着プレートは、たとえばステンレス鋼等からなる金属ベース板にシリコーンゴムなどの粘着性高分子からなる粘着層が形成されたものが一般に知られている。
【0035】
粘着層にも後述する絶縁体樹脂コーティング層が付着し、再使用が困難になるため、粘着層には安価な粘着シートを用いることが好ましい。
【0036】
粘着シートは、塗布された絶縁性樹脂コーティング剤を固化させるために耐熱性を有することがより好ましく、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、和紙等の耐熱性基体上に再剥離性を有するシリコーンゴムやアクリル系の粘着剤を塗布したものが好ましい。粘着層の厚みは10μm以上であることが、電子部品素体1’と粘着性保持治具30(粘着層)との接触面を隙間無く密着させるために好ましい。
【0037】
粘着シートは、両面粘着シートとして、ベース板に被着させてもよく、また片面粘着シートを金属のフレームに貼り付けて、ベース板に取り付けてもよい。
【0038】
また、粘着シートに熱剥離シートを用いてもよい。熱剥離シートを用いれば、絶縁性樹脂コーティング層を形成した後に、電子部品素体1’を分離することが容易となる。
【0039】
次に、粘着性保持治具30上に粘着保持された電子部品素体1’は、図4の(b)及び(c)に示されるように、液状の絶縁性樹脂コーティング剤32がスプレーコーティング法により一括塗布される(塗布工程)。
【0040】
絶縁性樹脂コーティング剤32としては、たとえばプリント基板のソルダーレジストとして用いられる金属酸化物顔料を用いた熱硬化性エポキシ樹脂塗料や、耐熱性塗料として用いられる金属酸化物顔料を用いたシリコーン樹脂系塗料、フッ素樹脂系塗料、フェノール樹脂系塗料、ユリア樹脂系塗料、メラミン樹脂系塗料、アミノ樹脂系塗料、不飽和ポリエステル樹脂系塗料、ジアリルフタレート樹脂系塗料、ポリウレタン樹脂系塗料、ポリイミド樹脂系塗料、アルキド樹脂系塗料、スピラン樹脂系塗料、熱硬化性アクリル樹脂系塗料、熱硬化性メタクリル樹脂系塗料、熱硬化性共重合樹脂系塗料などの耐熱性樹脂塗料を用いることができる。また、アクリル化エポキシ樹脂系やアクリル化された合成ゴム系等のフォトレジストとして用いられるレジスト材料も熱硬化性を有するため使用可能である。
【0041】
これらの絶縁性樹脂塗料には、有機若しくは無機顔料を適度に添加することにより、絶縁層21に着色性、若しくは不透明性を付与することが好ましい。たとえば、着色性の有機顔料としては、多環顔料系のフタロシアニン系顔料やアントラキノン系顔料、アゾ化合物のジアゾ顔料などが挙げられ、無機顔料としては金属酸化物やカーボンブラックなどが挙げられる。
【0042】
また、上述した金属酸化物の顔料に屈折率の大きい顔料を用いることで、絶縁層21に適度な光散乱性を付与し、実質的な不透明性を付与してもよい。
【0043】
スプレーコーティングの方法としては、1流体若しくは2流体混合型ノズルや、超音波スプレーノズルを用いた公知の方法を用いればよい。
【0044】
電子部品素体1’と粘着性保持治具30との接触面は、粘着により隙間無く密着しているため、絶縁性樹脂コーティング剤32は接触面には塗布されない。すなわち、粘着性保持治具30は、絶縁性樹脂コーティング剤32を電子部品素体1’に塗布する際の保持手段であると共に絶縁性樹脂コーティング剤32の塗布マスキング機能を有する。
【0045】
絶縁性樹脂コーティング剤32を固化させてなる絶縁性樹脂コーティング層(絶縁層21)は、固化後の膜厚が、2μm以上、30μm以下であることが好ましく、より好ましくは4μm以上、15μm以下である。絶縁性樹脂コーティング層が薄すぎると、製品としての電子部品1をハンダ実装する際に、下地のSnメッキ層が溶融した際に絶縁性樹脂コーティング層の平面方向の機械的強度が不足し、割れや剥離が発生するため好ましくない。また、絶縁性樹脂コーティング層が厚すぎると、絶縁性樹脂コーティング層の固化時の体積収縮による応力が過大になり、同じく実装時に絶縁性樹脂コーティング層の剥離が発生する懼れがある。
【0046】
特に、絶縁性樹脂コーティング層の膜厚が2μm以下の場合、電子部品素体1’の側面2e,2f側の部分に絶縁性樹脂コーティング層が塗布されない領域が発生する場合があり、好ましくない。絶縁性樹脂コーティング層が4μm以上であれば、電子部品1の完成後のハンドリングや、実装機によるマウント時の機械的衝撃による絶縁層21の損傷に対し十分な機械的強度が得られる。また、絶縁性樹脂コーティング層が30μm以上の場合、固化乾燥の時間がかかり、更に、絶縁性樹脂層コーティング層の固化時の体積収縮による応力によって固化時に絶縁性樹脂コーティング層に欠陥が発生する懼れがある。更に、電子部品1の外形寸法が過大となり、好ましくない。
【0047】
スプレーコーティングにより上記接触面以外に塗布された絶縁性樹脂コーティング剤32は、粘着性保持治具30上で硬化処理がなされ(固化工程)、固化後に電子部品1を粘着性保持治具30から分離する(分離工程)。
【0048】
固化の方法としては、上述された絶縁性樹脂コーティング剤32の場合、80℃〜160℃程度に加熱することで固化することができる。なお、この工程での固化は、絶縁性樹脂コーティング剤32を液体状態から固体状態に固定すればよく、比較的低温でのプレキュア(仮乾燥)でもよい。
【0049】
絶縁性樹脂コーティング剤32を塗布する工程と、絶縁性樹脂コーティング剤32を粘着性保持治具30上で固化させる工程は、複数回繰り返し、1回当たりの絶縁性樹脂コーティング剤32の液体状態での膜厚を薄く塗布することが好ましい。
【0050】
塗布と硬化を複数回繰り返すことで、一度に塗布される硬化前のウエット状態にある絶縁性樹脂コーティング剤32の液量を低減することが可能となる。一度に塗布される絶縁性樹脂コーティング剤32が多いと、粘着性保持治具30と電子部品素体1’の境界部のコーナー付近に表面張力による液溜まりが発生し、硬化後に粘着性保持治具30上の絶縁性樹脂コーティング層と電子部品素体1’上の絶縁性樹脂コーティング層が結合し、粘着性保持治具30に電子部品素体1’が固着する現象や分離後の電子部品素体1’上の絶縁性樹脂コーティング層にバリ等の欠陥が発生する懼れがあり好ましくない。
【0051】
なお、本実施形態では、絶縁性樹脂コーティング剤32は、粘着性保持治具30上に粘着保持された電子部品素体1’と粘着性保持治具30に一括して塗布され、乾燥固化される。
【0052】
電子部品素体1’は、たとえばセラミックコンデンサの場合、BaTiO3等のセラミックスとNi内部電極の無機材料の複合体であり、機械的に堅く、典型的な熱膨張係数は10〜12×10−6/℃程度である。これに対し、絶縁性樹脂コーティング剤32は、材質にもよるが固化後は通常の高分子重合体であり、電子部品素体1’に対し、約50〜100倍以上大きい熱膨張係数を示す。また、粘着性保持治具30の粘着層部は、シリコーンゴムやアクリル系の粘着剤であり、機械的に絶縁性樹脂コーティング層より柔らかく、かつ大きい熱膨張係数を示す。
【0053】
スプレーコーティング法により塗布されたウエット状態にある絶縁性樹脂コーティング剤32は、乾燥固化により体積収縮するが、機械的剛性が高く熱膨張係数が小さい電子部品素体1’上では、電子部品素体1’が乾燥、冷却時に固化した絶縁性樹脂コーティング層と比較して、ほとんど熱膨張収縮しないため、絶縁性樹脂コーティング剤32は単純に厚み方向の体積収縮のみによって固化し、冷却時には塗布面に平行に引っ張り応力が発生する。
【0054】
これに対し、粘着性保持治具30上に塗布された絶縁性樹脂コーティング剤32は、基体である粘着層が機械的に柔らかく、かつ大きい熱膨張係数を示すため、固化後の冷却時に基体と共に大きく熱収縮し、特に電子部品素体1’が粘着している境界部分が力学的不連続部となるため、局所的に大きな歪みと応力が集中する。このため、一度に塗布、固化する絶縁性樹脂コーティング剤32の厚みを小さくしておけば、固化した絶縁性樹脂コーティング層は、固化後の冷却時の歪みにより電子部品素体1’が粘着している境界部で破断され、粘着性保持治具30から分離時にバリを発生させずに分離することができる。
【0055】
次に、所定の絶縁性樹脂コーティング層が形成された電子部品素体1’は、粘着性保持治具30から機械的に分離される。分離の方法としては、粘着性保持治具30より粘着シートを分離し、たとえば電子部品素体1’が粘着したシートを裏面からナイフエッジにより急角度で変形させながら剥離するなどの公知の手段を用いればよい。
【0056】
また、粘着性保持治具30に熱剥離シートを用いた場合は、粘着性保持治具30を加熱することで電子部品素体1’を容易に剥離することができるため、好ましい。
【0057】
熱剥離シートは、剥離時に加熱によりシート内部の多数の熱膨張性微小球が発泡し、シート表面が微細な凹凸形状となり粘着力を消失するため、絶縁性樹脂コーティング層が形成された電子部品素体1’を粘着保持媒体から分離する際に、電子部品素体1’に機械的応力を印加せずに剥離が可能となり、剥離時に絶縁性樹脂コーティング層にキズや欠陥が発生することを防ぐことができる。更に、発泡によりシート表面が微細な凹凸形状となることで、シート上で固化した絶縁性樹脂コーティング層に大きな歪み掛かるため、電子部品素体1’が粘着している境界部で絶縁性樹脂コーティング層が破断されやすくなり、電子部品素体1’を粘着性保持治具30から分離する時際のバリの発生を抑制することができる。
【0058】
分離後の電子部品素体1’は、粘着性保持治具30上での固化がプレキュアレベルであれば、必要に応じて本乾燥を実施し、絶縁性樹脂コーティング層を完全に固化させる。
【0059】
また、電子部品素体1’の絶縁性樹脂コーティング層の端面にバリ等が有る場合は、湿式又は乾式法で軽くバレル処理を行ってもよい。
【0060】
電子部品1は、素体の主面2d及び主面2d上に形成されている電極部分3d,4d以外、絶縁性樹脂コーティング層(絶縁層21)によって覆われている。
【0061】
以上の絶縁性樹脂コーティング層形成工程によって、主面2d及び電極部分3d,4d以外の、主面2c及び側面2e,2f並びに主面2c及び側面2e,2f上に形成された電極部分3c,4c,3e,4e,3f,4f、更に端面2a,2aが、絶縁樹脂コーティング層(絶縁層21)で覆われた電子部品1を得ることができる。
【0062】
(判別工程)
続いて、判別工程おいて、主面2dと主面2d以外の面との色の違いを判別する。主面2d以外の面は絶縁性樹脂コーティングが施されているため、色の違いが生じている。この色の違いの判別として、例えば分光色差計を用いることができる。この分光色差計によりL*a*b*表色系(JIS Z8729)の明度Lを測定する。分光色差計を用いることで、主面2dと主面2d以外の面との色の違いを機械的に判別することができる。判別工程を行うことによって、次の梱包工程での梱包向きを簡便に行うことが可能となる。
【0063】
(梱包工程)
次に、図5に示されるように、梱包工程において、主面2cが梱包材の開口部側を向くように梱包する。梱包材は、梱包材51及び梱包材52からなる。梱包材51には、断面が四角形状の凹部51aが2次元に配列して複数形成されている。この凹部51aにそれぞれ電子部品1が収容される。電子部品1は、主面2cが梱包材の開口部側を向くように、凹部51aに収容される。その後、梱包材52により、凹部51aの開口部が覆われて、梱包が完了する。
【0064】
続いて、図6〜図11を参照して、電子部品1の実装例を説明する。図6は、第1実施形態に係る電子部品の一実装例を示す斜視図である。図7、図10、及び図11は、第1実施形態に係る電子部品の一実装例を示す平面図である。図8は、図7におけるVIII−VIII線に沿った断面構成を説明するための図である。図9は、図7におけるIX−IX線に沿った断面構成を説明するための図である。図8及び図9では、後述するはんだフィレットSFのみにハッチングを付している。
【0065】
電子部品1は、図5に示された梱包材(梱包材51及び梱包材52)から取り出され、基板に実装される。梱包した電子部品1を梱包材から取り出す際に、表面実装マウンターの吸着ヘッドを用いて取り出す。この際に、梱包工程にて、このとき、主面2cが梱包材の開口部側を向く形で梱包されているため、吸着ノズルは主面2cに当接することになる。これにより、主面2cと対向する主面2dが実装基板の実装面側となる。
【0066】
実装する際には、はんだリフローによって電子部品1の外部電極3,4を基板SSの配線パターンWPに電気的に接続する。したがって、図6〜図9に示されるように、電子部品1は、はんだ実装される。はんだは、Sn−SbなどのJIS Z 3282に基づくものが用いられ、いずれも上述した絶縁性樹脂によって濡れることがない。
【0067】
ハンダは金属以外には濡れないため、絶縁層21(絶縁性樹脂コーティング層)はハンダレジスト層として機能する。このため、電子部品1を主面2dを基板面に実装すれば、電子部品1の電極部分3a,3c,3e,3f,4b,4c,4e,4fにはハンダが濡れ上がらず、ハンダフィレットが形成されず、狭隣接高密度実装が可能となる。
【0068】
したがって、電子部品1を狭間隔に隣接して実装しても、図6〜9のように側面2e,2f側及び端面2a,2b側にハンダフィレットが存在しないため、隣接する部品間のハンダブリッジによる短絡問題が発生しない。
【0069】
さらに、図10及び図11に示されるように、仮に実装時の位置ズレにより、隣接する電子部品1の側面2e,2f側の部分又は端面2a,2b側の部分が接触しても絶縁層21(絶縁性樹脂コーティング層)が存在するため両電子部品間の電極間短絡が発生しない。
【0070】
本実施形態による電子部品1は、電子部品素体1’として、通常の5面電極構造である電子部品と同一の製造工程を用いることが可能である。このため電子部品素体1’を製造するための新規の製造装置が不要であり、設備投資を必要とせず、低コストで電子部品素体1’を準備することが出来る。
【0071】
また、従来の底面のみに外部電極を形成した電子部品の場合、製品完成後の電気特性検査、スクリーニング時に、外部電極の位置が底面に限定されているため、測定機のコンタクトプローブ側に製品を整列した上で、コンタクトプローブを接触させる必要があり、新規に検査装置が必要である。特に、外形が0.6mm×0.3mm×0.3mmの0603形状製品や、0.4mm×0.2mm×0.2mmの0402形状製品などの小型化製品を整列した上で微小な電極部に精度良くコンタクトプローブを接触させて電気的特性をするためには、製品の方向確認、整列、高精度位置決めに手間が掛かり、生産性良く検査することが困難である。
【0072】
これに対し、本実施形態では、電子部品素体1’への絶縁性樹脂コーティング層の形成工程が、電子部品1の電気的特性や信頼性を大きく左右する、焼付電極の高温での焼き付け工程や、機械的、電気化学的に負荷の大きいメッキ工程の完了後に行われる。
【0073】
このため、電子部品素体1’の特性検査やスクリーニング工程は絶縁性樹脂コーティング層の形成前に実施しても最終的に完成した製品の電気的特性や信頼性を損なうことがない。即ち、従来の5面電極構造である電子部品に用いられている生産性の良い電気特性検査装置を用いて電気特性検査、スクリーニングを実施することができる。このため、検査装置にも新規な設備投資が不要で、生産性の良い電気特性検査装置が可能である。
【0074】
また、本実施形態では、絶縁性樹脂コーティング層は、焼付電極に、実装時にハンダとの電極濡れ性を改善するためのSn若しくはSn合金メッキ層を形成した後に形成される。
【0075】
たとえば、メッキ層がSnであれば融点231.9℃であり、典型的な鉛フリーハンダのリフロー炉ピーク温度250℃で実装すると、リフロー炉のピーク温度ではメッキ層が溶融するため、Snメッキ層上に形成された通常の無機コーティング膜は剥離や、自壊する可能性がある。しかしながら、本実施形態の電子部品1では、絶縁層21として、可撓性を有する絶縁性樹脂コーティング層を用いるため、下地のSn層の溶融による歪みを吸収することが可能となり、リフロー時の絶縁層21の剥離問題が発生しない。
【0076】
更に、絶縁層21が可撓性を有するため、製品ハンドリング時の機械的衝撃にも強く、信頼性の高い電子部品1を形成することが可能である。
【0077】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る電子部品の製造方法を説明する。第2実施形態では、第1実施形態同様の素体準備工程と、外部電極形成工程にて電子部品素体を準備する。
【0078】
(絶縁性樹脂コーティング層形成工程)
まず、粘着性保持治具30に電子部品素体1’の主面2dを圧着して粘着保持させる。
【0079】
次に、粘着性保持治具30上に粘着保持された電子部品素体1’は、液状の紫外線硬化型絶縁性樹脂コーティング剤をスプレーコーティング法により一括塗布される。
【0080】
紫外線硬化型絶縁性樹脂コーティング剤としては、たとえばプリント基板のソルダーレジストとして用いられる金属酸化物顔料を用いたアクリル化エポキシ樹脂系塗料や耐熱性塗料として用いられる金属酸化物顔料を用いたアクリル化シリコーン樹脂系塗料、アクリル化フッ素樹脂系塗料、アクリル化フェノール樹脂系塗料、アクリル化ポリウレタン樹脂系塗料、アクリル化油系塗料、アクリル化アルキド樹脂系塗料、アクリル化ポリエステル系塗料、アクリル化ポリエーテル系塗料、アクリル化スピラン樹脂系塗料、アクリル化共重合樹脂系塗料などがあり、上記のものはメタクリル化されたものを用いることもできる。その他耐熱性塗料として用いられる金属酸化物顔料を用いた不飽和ポリエステル樹脂系塗料、ポリエンとポリチオール系塗料を用いることができる。
【0081】
これらの耐熱性樹脂塗料には、有機若しくは無機顔料を適度に添加することにより、絶縁層21に着色性、若しくは不透明性を付与することが好ましい。
【0082】
たとえば、着色性の有機顔料としては、多環顔料系のフタロシアニン系顔料やアントラキノン系顔料、アゾ化合物のジアゾ顔料等が挙げられ、無機顔料としては金属酸化物やカーボンブラック等が挙げられる。
【0083】
また、上記金属酸化物顔料に屈折率の大きい顔料を用いることで、絶縁層21に適度な光散乱性を付与し、実質的な不透明性を付与してもよい。
【0084】
スプレーコーティングの方法としては、第1実施形態と同様の公知の方法を用いればよい。
【0085】
電子部品素体1’と粘着性保持治具30との接触面は、粘着により隙間無く密着しているため、紫外線硬化型絶縁性樹脂コーティング剤は接触面には塗布されない。即ち、本実施形態における粘着性保持治具30は、紫外線硬化型絶縁性樹脂コーティング剤を電子部品素体1’に塗布する際の保持手段であると共に紫外線硬化型絶縁性樹脂コーティング剤の塗布マスキング機能を有する。
【0086】
紫外線硬化型絶縁性樹脂コーティング層は、固化後の膜厚が、2μm以上、30μm以下であることが好ましく、より好ましくは4μm以上、15μm以下である。この紫外線硬化型絶縁性樹脂コーティング層は、絶縁層21を構成する。
【0087】
紫外線硬化型絶縁性樹脂コーティング層が薄すぎると、製品をハンダ実装する際に、下地のSnメッキ層が溶融した際に紫外線硬化型絶縁性樹脂コーティング層の平面方向の機械的強度が不足し、割れや剥離が発生するため好ましくない。また、紫外線硬化型絶縁性樹脂コーティング層が厚すぎると紫外線硬化型絶縁性樹脂層の硬化時の体積収縮による応力が過大になり同じく実装時に紫外線硬化型絶縁性樹脂コーティング層の剥離が発生する懼れがある。
【0088】
特に、紫外線硬化型絶縁性樹脂コーティング層の膜厚が2μm以下の場合、電子部品素体1’の側面2e,2f側の部分に紫外線硬化型絶縁性樹脂コーティング剤が塗布されない領域が発生する場合があり好ましくない。
【0089】
紫外線硬化型絶縁性樹脂コーティング層が4μm以上であれば、電子部品1の完成後のハンドリングや、実装機によるマウント時の機械的衝撃による絶縁層の損傷に対し十分な機械的強度が得られる。
【0090】
また、紫外線硬化型絶縁性樹脂コーティング層が30μm以上の場合、特に、紫外線硬化型絶縁性樹脂コーティング層に着色性を付与した場合、紫外光の透過率が悪く、紫外線硬化時間がかかり生産性が悪化する。さらに電子部品1の外形寸法が過大となり好ましくない。
【0091】
スプレーコーティングにより上記接触面以外に塗布された紫外線硬化型絶縁性樹脂コーティング剤は、粘着性保持治具30上で紫外線硬化処理がなされ、固化後に電子部品1を粘着性保持治具30から分離する。
【0092】
本実施形態の電子部品1の製造方法では、電子部品素体1’が粘着性保持冶具30上に粘着保持された状態で紫外線硬化型絶縁性樹脂コーティング剤を一括塗布し、紫外線硬化処理が実施される。このとき、電子部品素体1’の側面2e,2f側の部分は、粘着性保持治具30の上方から紫外線を照射した場合、影になり十分な紫外線照射が得られない懼れがある。電子部品素体1’の側面2e,2f側の部分に十分な紫外線照射量を得るために、紫外線照射源は、拡散反射板等を用いた面状散乱光源を用い、光源を粘着性保持冶具30に充分近接させることが好ましい。
【0093】
硬化時の紫外線強度は、使用する紫外線硬化型樹脂にもよるが、電子部品素体1’の側面2e,2f側の部分へ充分な紫外線照射を得るために、通常の平面基板上で紫外線硬化型絶縁性樹脂コーティング剤を塗布、硬化させる場合の約3〜5倍以上の照射量を照射することが好ましい。
【0094】
典型的には、アクリル系紫外線硬化型絶縁性樹脂コーティング剤の場合、200〜400mJ/cm2−10〜20秒程度である。
【0095】
また、紫外線による硬化と加熱固化を併用して実施してもよい。
【0096】
加熱固化併用させる場合として、耐熱性塗料として用いられる金属酸化物顔料を用いたルイス酸塩とエポキシ樹脂系塗料、酸発生剤と酸硬化アミノアルキッド樹脂系塗料や上記熱硬化型絶縁性樹脂コーティング剤の各種樹脂を紫外線硬化型絶縁性樹脂コーティング剤各種に導入したものを用いることができる。また、アクリル化エポキシ樹脂系フォトレジストや、アクリル化された合成ゴム系フォトレジストも使用可能である。
【0097】
紫外線硬化型絶縁性樹脂コーティング剤を塗布する工程と、塗布された紫外線硬化型絶縁性樹脂コーティング剤を粘着性保持治具30上で固化させる工程は、複数回繰り返し、1回当たりの紫外線硬化型絶縁性樹脂コーティング層の膜厚を薄く塗布することが好ましい。
【0098】
塗布と硬化を複数回繰り返すことで、一度に塗布される硬化前のウエット状態にある紫外線硬化型絶縁性樹脂コーティング剤の液量を低減することが可能となる。一度に塗布される紫外線硬化型絶縁性樹脂コーティング剤が多いと、粘着性保持治具30と電子部品素体1’の境界部のコーナー付近に表面張力による液溜まりが発生し、硬化後に粘着性保持治具30上の紫外線硬化型絶縁性樹脂コーティング層と電子部品素体1’上の紫外線硬化型絶縁性樹脂コーティング層が結合し、粘着性保持治具30に電子部品素体1’が固着する現象や分離後の電子部品素体1’上の紫外線硬化型絶縁性樹脂コーティング層にバリ等の欠陥が発生する懼れがあり好ましくない。
【0099】
本実施形態では、絶縁性樹脂コーティング剤に紫外線硬化型絶縁性樹脂コーティング剤を用いるため、硬化処理時間を1分以下に短縮することが可能である。このため、塗布と硬化を複数回繰り返す際の硬化時間が大幅に短縮され生産性良く電子部品1の製造を行うことができる。
【0100】
また、本実施形態では、絶縁性樹脂コーティング剤に紫外線硬化樹脂を用いるため、塗布された紫外線硬化型絶縁性樹脂コーティング剤の硬化を加熱乾燥による固化法と比較して例えば80℃以下の低温で実施することが可能である。このため、粘着性保持治具30にUV剥離シートを用いることができる。
【0101】
UV剥離シートは、シート裏面から紫外光を照射することで粘着性が大幅に低下する特性を持ち、電子部品1の加工工程で加工後の電子部品1の再剥離が容易であり、更に熱剥離シートと比較して安価であるため、特に半導体チップ製造工程で多用されている。
【0102】
しかし、UV剥離シートは、紫外線照射により再剥離させる前に、例えば80℃以上の高温にさらすと、紫外線照射による粘着性低下作用が阻害され、再剥離効果が得られない。
【0103】
本実施形態では、絶縁性樹脂コーティング剤を紫外線硬化樹脂とすることで、塗布された紫外線硬化型絶縁性樹脂コーティング剤を低温での紫外線照射により硬化することができるため、上述した粘着性低下作用を阻害せず、低コストで再剥離が容易なUV剥離シートを用いることができる。
【0104】
なお、紫外線照射は、塗布された紫外線硬化型絶縁性樹脂コーティング剤の硬化時にも照射されるが、電子部品素体を保持するUV剥離シートの粘着面は、電子部品素体によって硬化時の紫外線照射から遮蔽されているため、絶縁性樹脂コーティング剤の硬化時に電子部品素体1’を保持するUV剥離シートの粘着性が低下して電子部品素体1’が脱落する問題は生じない。
【0105】
次に、所定の紫外線硬化型絶縁性樹脂コーティング層が形成された電子部品素体1’は、粘着性保持治具30から機械的に分離される。分離の方法としては、粘着性保持治具30に通常の粘着シートを用いる場合は、粘着性保持治具30から粘着シートを分離し、たとえば電子部品素体1’が粘着したシートを裏面からナイフエッジで急角度で変形させながら剥離するなどの公知の手段を用いればよい。
【0106】
また、粘着性保持治具30に熱剥離シートを用いた場合は、粘着性保持治具30を加熱することで電子部品素体1’を容易に剥離することが出来る。
【0107】
更に、粘着性保持治具30にUV剥離シートを用いる場合は、粘着性保持治具30から粘着シートを分離し、電子部品1を粘着させたシート面の裏面から所定の紫外線を照射することでUV剥離シートの粘着性を低下させ、電子部品素体1’を剥離すればよい。
【0108】
分離後の電子部品素体1’は、紫外線硬化型絶縁性樹脂コーティング層の固化を更に強固にするために、必要に応じて100℃〜200℃での乾燥固化を追加してもよい。
【0109】
また、電子部品素体1’の紫外線硬化型絶縁性樹脂コーティング層の端面にバリ等が有る場合は、湿式若しくは乾式法で軽くバレル処理を行ってもよい。
【0110】
以上の絶縁性樹脂コーティング層形成工程によって、主面2d及び電極部分3d,4d以外の主面2c及び側面2e,2f、並びに、主面2c及び側面2e,2f上に形成された電極部分3c,4c,3e,4e,3f,4f、更に電極部分3a,4bが紫外線硬化型絶縁性樹脂コーティング層で覆われた電子部品1を得ることができる。
【0111】
このようにして得られた電子部品1、を第1実施形態と同様の判別工程、梱包工程、実装工程を経て、基板に実装する。
【0112】
以上、本発明の好適な実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0113】
例えば、第1及び第2実施形態では、電子部品として積層セラミックコンデンサを例に説明したが、本発明はこれに限られることなく、積層インダクタ、積層バリスタ、積層圧電アクチュエータ、積層サーミスタ、又は積層複合部品などの他の電子部品にも適用できる。
【0114】
また、第1及び第2実施形態では、電子部品素体1’として5面電極構造である電子部品素体を例に挙げたが、本発明はこれに限るものではなく、例えばチップ抵抗のような、素体2の側面2e,2f又は主面2c,2dのいずれかの面に外部電極が形成されない、いわゆるコの字型の3面電極構造や、端面2a,2bと側面2e,2f又は主面2c,2dのいずれか一面のみとに外部電極が形成されたL字型の2面電極構造である素体を有する電子部品素体を用いても同様の効果が得られる。また、積層コンデンサアレイや、チップ型3端子貫通積層コンデンサアレイ等の、多端子外部電極を有する電子部品素体を用いても同様の効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明は、積層コンデンサなどの電子部品及びその製造方法に利用できる。
【符号の説明】
【0116】
1…電子部品、1’…電子部品素体、2…素体、2a,2b…端面、2c,2d…主面、2e,2f…側面、3,4…外部電極、3a,3c,3d,3e,3f,4b,4c,4d,4e,4f…電極部分、21…絶縁層、30…粘着性保持治具、32…絶縁性樹脂コーティング剤、SF…フィレット、SS…基板、WP…配線パターン。
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品及び電子部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、表面実装部品、たとえば積層セラミックコンデンサは、その製造方法として、グリーンシートと内部電極材料を交互に積層して焼成することによって形成した素体の端面を導電性ペーストに浸漬、乾燥させてペースト層を形成後、焼成し、更にハンダ付け性を改善するためにメッキを施して外部電極を形成する方法が広く用いられている。(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上述した従来の電子部品の製造方法においては、外部電極は、素体の両端面並びに端面に隣接する主面の一部及び側面の一部にまたがって形成される五面電極構造となる。
【0004】
このため、図12〜図15に示されるように、配線パターンWPを備えている基板SSへのはんだ実装時において、電子部品101の側面に形成された外部電極103にもはんだが周り込み、外部電極103の電極側面部にもはんだフィレットSFが形成される。このため、複数の電子部品101を平行もしくは直列に配置して実装すると、隣接した電子部品101の端面および側面部間で、はんだブリッジを形成し、電子部品101間が短絡する問題が発生しやすく、電子部品101間の間隔を小さくした狭隣接高密度実装上の課題となっていた。また、図16に示されるように、実装時の位置ズレによって、隣接する電子部品101の両側面部が接触する場合や、図17に示されるように一方の電子部品101の端面部ともう一方の電子部品101の側面部との間で接触する場合に、両電子部品101間の電極間短絡が発生する懼れがあった。
【0005】
このような課題を解決するために、電子部品の底面のみに電極を形成し、実装時のハンダフィレットを無くすか、出来るだけ小さくする構造の電子部品の製造方法が提案されている。(例えば、特許文献2及び3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−13315号公報
【特許文献2】特許第3289561号公報
【特許文献3】実開昭61−65737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した電子部品の製造方法は、外部電極を限定された電子部品の一側面だけに形成するために高コストの製造設備が必要になる点や、電子部品の内部構造を従来の電子部品から大幅に変更し、外部への取り出し方法を変えた上で、形成された外部電極を機械的に研磨除去する等の、製品にダメージを与える工程が必要となる等の問題点があった。
【0008】
更に、外部電極が電子部品の一側面のみに形成されているため、製品完成後の電気特性検査が難しく、これらの問題で製品の生産性が悪く、製品コストの増大を招く問題点があった。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、電子部品の狭隣接高密度実装を可能とする電極構造の電子部品及び電子部品の製造方法を低コストで提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る電子部品の製造方法は、互いに対向する一対の端面と、一対の端面間を連結するように伸び且つ互いに対向する一対の主面と、一対の主面を連結するように伸び且つ互いに対向する一対の側面と、を含む素体と、素体の端面側に形成され、端面に隣接する主面及び又は側面の一部を覆う外部電極と、を有し、主面又は側面であって少なくともその一部が外部電極で覆われている一面を除く素体の表面と、該表面上に形成されている外部電極とが絶縁性物質で覆われている電子部品の製造方法であって、素体と外部電極とを備える電子部品素体を準備する部品素体準備工程と、粘着性保持治具に電子部品素体の主面又は側面であって少なくともその一部が外部電極で覆われている一面を粘着させることにより粘着性保持治具に固定する保持工程と、スプレーコーティング法により、粘着性保持治具上の電子部品素体の露出した表面に一括して絶縁性樹脂コーティング剤を塗布する塗布工程と、塗布された絶縁性樹脂コーティング剤を粘着性保持治具上で固化させる固化工程と、絶縁性樹脂コーティング剤を固化させた後に、粘着性保持治具から分離する分離工程と、を備えていることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る電子部品は、互いに対向する一対の端面と、一対の端面間を連結するように伸び且つ互いに対向する一対の主面と、一対の主面を連結するように伸び且つ互いに対向する一対の側面と、を有する素体と、素体の端面側に形成され、端面に隣接する主面及び又は側面の一部を覆う外部電極と、を備えている電子部品であって、主面又は側面であって少なくともその一部が外部電極で覆われている一面を除く素体の表面と、該表面上に形成されている外部電極が絶縁性物質で覆われていることを特徴する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、電子部品の狭隣接高密度実装を可能とする電極構造の電子部品及び電子部品の製造方法を低コストで提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1実施形態に係る電子部品を示す斜視図である。
【図2】第1実施形態に係る電子部品の断面構成を説明するための図である。
【図3】第1実施形態に係る電子部品の断面構成を説明するための図である。
【図4】絶縁性樹脂コーティング層形成工程を説明するための図である。
【図5】第1実施形態に係る電子部品の梱包状態を示す断面図である。
【図6】第1実施形態に係る電子部品の一実装例を示す斜視図である。
【図7】第1実施形態に係る電子部品の一実装例を示す平面図である。
【図8】図7におけるVIII−VIII線に沿った断面構成を説明するための図である。
【図9】図7におけるIX−IX線に沿った断面構成を説明するための図である。
【図10】第1実施形態に係る電子部品の一実装例を示す平面図である。
【図11】第1実施形態に係る電子部品の一実装例を示す平面図である。
【図12】従来の電子部品の一実装例を示す斜視図である。
【図13】従来の電子部品の一実装例を示す平面図である。
【図14】図13におけるXIV−XIV線に沿った断面構成を説明するための図である。
【図15】図13におけるXV−XV線に沿った断面構成を説明するための図である。
【図16】従来の電子部品の一実装例を示す平面図である。
【図17】従来の電子部品の一実装例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0015】
(第1実施形態)
図1及び図2を参照して、第1実施形態に係る電子部品1の構成を説明する。図1は、第1実施形態に係る電子部品を示す斜視図である。図2及び図3は、第1実施形態に係る電子部品の断面構成を説明するための図である。図3では、後述する内部電極7,8などの図示を省略している。
【0016】
電子部品1は、例えば積層セラミックコンデンサなどの電子部品であり、複数のセラミックグリーンシートを積層して一体化することによって略直方体形状に構成された素体2と、素体2の両端面側に形成された外部電極3,4と、を備えている。素体2は、図1にも示されているように、素体2の長手方向に向かい合って互いに平行をなす一対の端面2a,2bと、一対の端面2a,2b間を連結するように伸び且つ互いに対向する一対の主面2c,2dと、一対の主面2c,2dを連結するように伸び且つ互いに対向する一対の側面2e,2fと、を有する。
【0017】
電子部品1は、たとえば、縦が0.4mm〜1.6mm程度に設定され、横が0.2mm〜0.8mm程度に設定され厚みが0.4mm〜0.8mm程度に設定されている。
【0018】
素体2は、図2に示されるように、複数の長方形状の誘電体層6と、複数の内部電極7及び内部電極8とが積層された積層体として構成されている。内部電極7と内部電極8とは、素体2内において誘電体層6の積層方向(以下、単に「積層方向」と称する。)に沿ってそれぞれ一層ずつ配置されている。内部電極7と内部電極8とは、少なくとも一層の誘電体層6を挟むように対向配置されている。
【0019】
各誘電体層6は、例えば誘電体セラミック(BaTiO3系、Ba(Ti,Zr)O3系、又は(Ba,Ca)TiO3系等の誘電体セラミック)を含むセラミックグリーンシートの焼結体から構成される。実際の素体2では、各誘電体層6の間の境界が視認できない程度に一体化されている。
【0020】
内部電極7,8は、例えばNiやCuなどの導電材を含んでいる。内部電極7,8の厚みは、たとえば0.5μm〜3μm程度である。内部電極7,8は、積層方向から見て互いに重なりあう領域を有するような形状であれば、特に形状は限定されず、例えば矩形状などの形状をなしている。内部電極7,8は、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成される。内部電極7は外部電極3と電気的且つ物理的に接続されており、内部電極8は外部電極4と電気的且つ物理的に接続されている。
【0021】
外部電極3は、一方の端面2a並びに端面2aと直交する二つの主面2c,2d及び二つの側面2e、2fの各縁部の一部を覆うように形成されている。外部電極3は、対応する各面2a,2c,2d,2e,2fに位置する電極部分3a,3c,3d,3e,3fを有している。外部電極3は、五面電極構造となっている。
【0022】
外部電極4は、他方の端面2b並びに端面2bと直交する二つの主面2c,2d及び二つの側面2e、2fの各縁部の一部と、を覆うように形成されている。外部電極4は、対応する各面2b,2c,2d,2e,2fに位置する電極部分4b,4c,4d,4e,4fを有している。外部電極4は、五面電極構造となっている。
【0023】
外部電極3,4は、素体2の外表面にCuやNi、あるいはAg、Pd等を主成分とする導電性ペーストを後述の方法によって付着させた後に所定温度(例えば、700℃程度)にて焼付け、更に後述の方法によって電気めっきを施すことにより形成される。電気めっきには、Cu、Ni、Sn等を用いることができる。電気メッキには、Cu、Ni、Sn等を用いることができる。
【0024】
絶縁性物質からなる絶縁層21は、図1及び図3にも示されるように、素体2の主面2c及び側面2e,2f上に位置する電極部分3c,3e,3f,4c,4e,4f、並びに、端面2a,2b上に位置する電極部分3a,4bを覆うように形成されている。本実施形態では、絶縁層21は、後述する絶縁性樹脂コーティング層からなる。
【0025】
続いて、本実施形態に係る電子部品1の製造方法について説明する。
【0026】
(素体準備工程)
電子部品1の製造工程は、素体準備工程から開始する。この素体準備工程、誘電体層6となるセラミックグリーンシートを形成した後、当該セラミックグリーンシート上に内部電極7,8のパターンを導電性ペーストで印刷し、乾燥することによって電極パターンを形成する。このように電極パターンが形成されたセラミックグリーンシートを複数枚重ね合わせ、そのセラミックグリーンシートの積層体をそれぞれ素体2の大きさのチップとなるように切断する。続いて、ポリエチレン等の材料からなる密閉回転ポットに水と複数のチップと研磨用のメディアを入れて、この密閉回転ポットを回転させることによって、チップの角部分の面取りが行われる。面取り加工を施したチップに所定温度で所定時間加熱処理を施すことによって脱バインダを行う。脱バインダを行った後、更に焼成を行うことで素体2を得る。
【0027】
(外部電極形成工程)
次に、外部電極形成工程を説明する。外部電極形成工程は、公知の導電性ペーストへの浸漬工法で形成することができる。具体的には、素体2を完成後、キャリアプレートなどの公知の保持冶具を用いて、素体2の一方の端面2aが上方を向くように他方の端面2b側において主面2c,2dを保持する。
【0028】
次に、保持冶具で保持された素体2の端面2aを塗布用ベッド上に入れられたCuやNi、あるいはAg、Pd等を主成分とする導電性ペースト中に浸漬により塗布し、乾燥させることによって、第一ペースト層を形成する。このとき、導電性ペーストに浸漬させる素体2の深さを適切に設定することで、各面2a,2c,2d,2e,2fの5面に第1ペースト層が形成される。第一ペースト層を乾燥させた後、素体2の反対面にも同様な工程を経て、各面2b,2c,2d,2e,2fの5面に第二ペースト層を形成する。第一及び第二ペースト層を形成した後、例えば780℃で熱処理を行うことによって、焼付電極を形成する。
【0029】
焼付電極を形成した後、メッキ工程が行われる。メッキ工程は焼付電極の表面にNiメッキ層やSnメッキ層を形成する工程である。具体的に、このメッキ工程では、バレル内のメッキ液に焼付電極が形成された素体2を浸漬させた後、バレルを回転させつつ焼付電極の表面にメッキが施される。これにより、外部電極3、4は、焼付電極とメッキ層との複合構造として形成されることになる。
【0030】
メッキ層は、実装時にハンダとの電極濡れ性を改善するために、少なくともSn若しくはSn合金メッキ層を表面層に有する。具体的には、必要に応じ、実装時にハンダと焼付電極の反応を防止するためのNiもしくはNi合金メッキ層を形成した後、Sn若しくはSn合金メッキ層を形成する。Niメッキ層の厚みは0.5〜6μm程度であり、Snメッキ層の厚みは1〜7μm程度である。また、Niメッキ層を形成する前にCuのメッキ層を設けてもよい。また、焼付電極がNiペーストの焼き付けにより形成されている場合は、Niメッキ層を省略してもよい。
【0031】
外部電極形成工程を経て、素体2と外部電極3、4とを備える電子部品素体1’が準備されることとなる。したがって、外部電極形成工程までの工程が、部品素体準備工程となる。
【0032】
(電気特性・外観検査工程)
メッキ層が形成された電子部品素体1’は、この段階で電気的特性と外観検査を行ってもよい。この段階での電子部品素体1’は、通常の5面電極構造とされた表面実装型電子部品と同一構成を有するため、従来用いられている測定設備をそのまま用いることができる。
【0033】
(絶縁性樹脂コーティング層形成工程)
次に、電子部品素体1’を、図4の(a)に示されるように、粘着性保持治具30に素体2(電子部品素体1’)の主面2dを圧着することにより、粘着保持させる(保持工程)。図4の(a)〜(c)は、絶縁性樹脂コーティング層形成工程を説明するための図である。
【0034】
粘着性保持治具30には、いわゆる粘着プレートを用いることができる。粘着プレートは、たとえばステンレス鋼等からなる金属ベース板にシリコーンゴムなどの粘着性高分子からなる粘着層が形成されたものが一般に知られている。
【0035】
粘着層にも後述する絶縁体樹脂コーティング層が付着し、再使用が困難になるため、粘着層には安価な粘着シートを用いることが好ましい。
【0036】
粘着シートは、塗布された絶縁性樹脂コーティング剤を固化させるために耐熱性を有することがより好ましく、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、和紙等の耐熱性基体上に再剥離性を有するシリコーンゴムやアクリル系の粘着剤を塗布したものが好ましい。粘着層の厚みは10μm以上であることが、電子部品素体1’と粘着性保持治具30(粘着層)との接触面を隙間無く密着させるために好ましい。
【0037】
粘着シートは、両面粘着シートとして、ベース板に被着させてもよく、また片面粘着シートを金属のフレームに貼り付けて、ベース板に取り付けてもよい。
【0038】
また、粘着シートに熱剥離シートを用いてもよい。熱剥離シートを用いれば、絶縁性樹脂コーティング層を形成した後に、電子部品素体1’を分離することが容易となる。
【0039】
次に、粘着性保持治具30上に粘着保持された電子部品素体1’は、図4の(b)及び(c)に示されるように、液状の絶縁性樹脂コーティング剤32がスプレーコーティング法により一括塗布される(塗布工程)。
【0040】
絶縁性樹脂コーティング剤32としては、たとえばプリント基板のソルダーレジストとして用いられる金属酸化物顔料を用いた熱硬化性エポキシ樹脂塗料や、耐熱性塗料として用いられる金属酸化物顔料を用いたシリコーン樹脂系塗料、フッ素樹脂系塗料、フェノール樹脂系塗料、ユリア樹脂系塗料、メラミン樹脂系塗料、アミノ樹脂系塗料、不飽和ポリエステル樹脂系塗料、ジアリルフタレート樹脂系塗料、ポリウレタン樹脂系塗料、ポリイミド樹脂系塗料、アルキド樹脂系塗料、スピラン樹脂系塗料、熱硬化性アクリル樹脂系塗料、熱硬化性メタクリル樹脂系塗料、熱硬化性共重合樹脂系塗料などの耐熱性樹脂塗料を用いることができる。また、アクリル化エポキシ樹脂系やアクリル化された合成ゴム系等のフォトレジストとして用いられるレジスト材料も熱硬化性を有するため使用可能である。
【0041】
これらの絶縁性樹脂塗料には、有機若しくは無機顔料を適度に添加することにより、絶縁層21に着色性、若しくは不透明性を付与することが好ましい。たとえば、着色性の有機顔料としては、多環顔料系のフタロシアニン系顔料やアントラキノン系顔料、アゾ化合物のジアゾ顔料などが挙げられ、無機顔料としては金属酸化物やカーボンブラックなどが挙げられる。
【0042】
また、上述した金属酸化物の顔料に屈折率の大きい顔料を用いることで、絶縁層21に適度な光散乱性を付与し、実質的な不透明性を付与してもよい。
【0043】
スプレーコーティングの方法としては、1流体若しくは2流体混合型ノズルや、超音波スプレーノズルを用いた公知の方法を用いればよい。
【0044】
電子部品素体1’と粘着性保持治具30との接触面は、粘着により隙間無く密着しているため、絶縁性樹脂コーティング剤32は接触面には塗布されない。すなわち、粘着性保持治具30は、絶縁性樹脂コーティング剤32を電子部品素体1’に塗布する際の保持手段であると共に絶縁性樹脂コーティング剤32の塗布マスキング機能を有する。
【0045】
絶縁性樹脂コーティング剤32を固化させてなる絶縁性樹脂コーティング層(絶縁層21)は、固化後の膜厚が、2μm以上、30μm以下であることが好ましく、より好ましくは4μm以上、15μm以下である。絶縁性樹脂コーティング層が薄すぎると、製品としての電子部品1をハンダ実装する際に、下地のSnメッキ層が溶融した際に絶縁性樹脂コーティング層の平面方向の機械的強度が不足し、割れや剥離が発生するため好ましくない。また、絶縁性樹脂コーティング層が厚すぎると、絶縁性樹脂コーティング層の固化時の体積収縮による応力が過大になり、同じく実装時に絶縁性樹脂コーティング層の剥離が発生する懼れがある。
【0046】
特に、絶縁性樹脂コーティング層の膜厚が2μm以下の場合、電子部品素体1’の側面2e,2f側の部分に絶縁性樹脂コーティング層が塗布されない領域が発生する場合があり、好ましくない。絶縁性樹脂コーティング層が4μm以上であれば、電子部品1の完成後のハンドリングや、実装機によるマウント時の機械的衝撃による絶縁層21の損傷に対し十分な機械的強度が得られる。また、絶縁性樹脂コーティング層が30μm以上の場合、固化乾燥の時間がかかり、更に、絶縁性樹脂層コーティング層の固化時の体積収縮による応力によって固化時に絶縁性樹脂コーティング層に欠陥が発生する懼れがある。更に、電子部品1の外形寸法が過大となり、好ましくない。
【0047】
スプレーコーティングにより上記接触面以外に塗布された絶縁性樹脂コーティング剤32は、粘着性保持治具30上で硬化処理がなされ(固化工程)、固化後に電子部品1を粘着性保持治具30から分離する(分離工程)。
【0048】
固化の方法としては、上述された絶縁性樹脂コーティング剤32の場合、80℃〜160℃程度に加熱することで固化することができる。なお、この工程での固化は、絶縁性樹脂コーティング剤32を液体状態から固体状態に固定すればよく、比較的低温でのプレキュア(仮乾燥)でもよい。
【0049】
絶縁性樹脂コーティング剤32を塗布する工程と、絶縁性樹脂コーティング剤32を粘着性保持治具30上で固化させる工程は、複数回繰り返し、1回当たりの絶縁性樹脂コーティング剤32の液体状態での膜厚を薄く塗布することが好ましい。
【0050】
塗布と硬化を複数回繰り返すことで、一度に塗布される硬化前のウエット状態にある絶縁性樹脂コーティング剤32の液量を低減することが可能となる。一度に塗布される絶縁性樹脂コーティング剤32が多いと、粘着性保持治具30と電子部品素体1’の境界部のコーナー付近に表面張力による液溜まりが発生し、硬化後に粘着性保持治具30上の絶縁性樹脂コーティング層と電子部品素体1’上の絶縁性樹脂コーティング層が結合し、粘着性保持治具30に電子部品素体1’が固着する現象や分離後の電子部品素体1’上の絶縁性樹脂コーティング層にバリ等の欠陥が発生する懼れがあり好ましくない。
【0051】
なお、本実施形態では、絶縁性樹脂コーティング剤32は、粘着性保持治具30上に粘着保持された電子部品素体1’と粘着性保持治具30に一括して塗布され、乾燥固化される。
【0052】
電子部品素体1’は、たとえばセラミックコンデンサの場合、BaTiO3等のセラミックスとNi内部電極の無機材料の複合体であり、機械的に堅く、典型的な熱膨張係数は10〜12×10−6/℃程度である。これに対し、絶縁性樹脂コーティング剤32は、材質にもよるが固化後は通常の高分子重合体であり、電子部品素体1’に対し、約50〜100倍以上大きい熱膨張係数を示す。また、粘着性保持治具30の粘着層部は、シリコーンゴムやアクリル系の粘着剤であり、機械的に絶縁性樹脂コーティング層より柔らかく、かつ大きい熱膨張係数を示す。
【0053】
スプレーコーティング法により塗布されたウエット状態にある絶縁性樹脂コーティング剤32は、乾燥固化により体積収縮するが、機械的剛性が高く熱膨張係数が小さい電子部品素体1’上では、電子部品素体1’が乾燥、冷却時に固化した絶縁性樹脂コーティング層と比較して、ほとんど熱膨張収縮しないため、絶縁性樹脂コーティング剤32は単純に厚み方向の体積収縮のみによって固化し、冷却時には塗布面に平行に引っ張り応力が発生する。
【0054】
これに対し、粘着性保持治具30上に塗布された絶縁性樹脂コーティング剤32は、基体である粘着層が機械的に柔らかく、かつ大きい熱膨張係数を示すため、固化後の冷却時に基体と共に大きく熱収縮し、特に電子部品素体1’が粘着している境界部分が力学的不連続部となるため、局所的に大きな歪みと応力が集中する。このため、一度に塗布、固化する絶縁性樹脂コーティング剤32の厚みを小さくしておけば、固化した絶縁性樹脂コーティング層は、固化後の冷却時の歪みにより電子部品素体1’が粘着している境界部で破断され、粘着性保持治具30から分離時にバリを発生させずに分離することができる。
【0055】
次に、所定の絶縁性樹脂コーティング層が形成された電子部品素体1’は、粘着性保持治具30から機械的に分離される。分離の方法としては、粘着性保持治具30より粘着シートを分離し、たとえば電子部品素体1’が粘着したシートを裏面からナイフエッジにより急角度で変形させながら剥離するなどの公知の手段を用いればよい。
【0056】
また、粘着性保持治具30に熱剥離シートを用いた場合は、粘着性保持治具30を加熱することで電子部品素体1’を容易に剥離することができるため、好ましい。
【0057】
熱剥離シートは、剥離時に加熱によりシート内部の多数の熱膨張性微小球が発泡し、シート表面が微細な凹凸形状となり粘着力を消失するため、絶縁性樹脂コーティング層が形成された電子部品素体1’を粘着保持媒体から分離する際に、電子部品素体1’に機械的応力を印加せずに剥離が可能となり、剥離時に絶縁性樹脂コーティング層にキズや欠陥が発生することを防ぐことができる。更に、発泡によりシート表面が微細な凹凸形状となることで、シート上で固化した絶縁性樹脂コーティング層に大きな歪み掛かるため、電子部品素体1’が粘着している境界部で絶縁性樹脂コーティング層が破断されやすくなり、電子部品素体1’を粘着性保持治具30から分離する時際のバリの発生を抑制することができる。
【0058】
分離後の電子部品素体1’は、粘着性保持治具30上での固化がプレキュアレベルであれば、必要に応じて本乾燥を実施し、絶縁性樹脂コーティング層を完全に固化させる。
【0059】
また、電子部品素体1’の絶縁性樹脂コーティング層の端面にバリ等が有る場合は、湿式又は乾式法で軽くバレル処理を行ってもよい。
【0060】
電子部品1は、素体の主面2d及び主面2d上に形成されている電極部分3d,4d以外、絶縁性樹脂コーティング層(絶縁層21)によって覆われている。
【0061】
以上の絶縁性樹脂コーティング層形成工程によって、主面2d及び電極部分3d,4d以外の、主面2c及び側面2e,2f並びに主面2c及び側面2e,2f上に形成された電極部分3c,4c,3e,4e,3f,4f、更に端面2a,2aが、絶縁樹脂コーティング層(絶縁層21)で覆われた電子部品1を得ることができる。
【0062】
(判別工程)
続いて、判別工程おいて、主面2dと主面2d以外の面との色の違いを判別する。主面2d以外の面は絶縁性樹脂コーティングが施されているため、色の違いが生じている。この色の違いの判別として、例えば分光色差計を用いることができる。この分光色差計によりL*a*b*表色系(JIS Z8729)の明度Lを測定する。分光色差計を用いることで、主面2dと主面2d以外の面との色の違いを機械的に判別することができる。判別工程を行うことによって、次の梱包工程での梱包向きを簡便に行うことが可能となる。
【0063】
(梱包工程)
次に、図5に示されるように、梱包工程において、主面2cが梱包材の開口部側を向くように梱包する。梱包材は、梱包材51及び梱包材52からなる。梱包材51には、断面が四角形状の凹部51aが2次元に配列して複数形成されている。この凹部51aにそれぞれ電子部品1が収容される。電子部品1は、主面2cが梱包材の開口部側を向くように、凹部51aに収容される。その後、梱包材52により、凹部51aの開口部が覆われて、梱包が完了する。
【0064】
続いて、図6〜図11を参照して、電子部品1の実装例を説明する。図6は、第1実施形態に係る電子部品の一実装例を示す斜視図である。図7、図10、及び図11は、第1実施形態に係る電子部品の一実装例を示す平面図である。図8は、図7におけるVIII−VIII線に沿った断面構成を説明するための図である。図9は、図7におけるIX−IX線に沿った断面構成を説明するための図である。図8及び図9では、後述するはんだフィレットSFのみにハッチングを付している。
【0065】
電子部品1は、図5に示された梱包材(梱包材51及び梱包材52)から取り出され、基板に実装される。梱包した電子部品1を梱包材から取り出す際に、表面実装マウンターの吸着ヘッドを用いて取り出す。この際に、梱包工程にて、このとき、主面2cが梱包材の開口部側を向く形で梱包されているため、吸着ノズルは主面2cに当接することになる。これにより、主面2cと対向する主面2dが実装基板の実装面側となる。
【0066】
実装する際には、はんだリフローによって電子部品1の外部電極3,4を基板SSの配線パターンWPに電気的に接続する。したがって、図6〜図9に示されるように、電子部品1は、はんだ実装される。はんだは、Sn−SbなどのJIS Z 3282に基づくものが用いられ、いずれも上述した絶縁性樹脂によって濡れることがない。
【0067】
ハンダは金属以外には濡れないため、絶縁層21(絶縁性樹脂コーティング層)はハンダレジスト層として機能する。このため、電子部品1を主面2dを基板面に実装すれば、電子部品1の電極部分3a,3c,3e,3f,4b,4c,4e,4fにはハンダが濡れ上がらず、ハンダフィレットが形成されず、狭隣接高密度実装が可能となる。
【0068】
したがって、電子部品1を狭間隔に隣接して実装しても、図6〜9のように側面2e,2f側及び端面2a,2b側にハンダフィレットが存在しないため、隣接する部品間のハンダブリッジによる短絡問題が発生しない。
【0069】
さらに、図10及び図11に示されるように、仮に実装時の位置ズレにより、隣接する電子部品1の側面2e,2f側の部分又は端面2a,2b側の部分が接触しても絶縁層21(絶縁性樹脂コーティング層)が存在するため両電子部品間の電極間短絡が発生しない。
【0070】
本実施形態による電子部品1は、電子部品素体1’として、通常の5面電極構造である電子部品と同一の製造工程を用いることが可能である。このため電子部品素体1’を製造するための新規の製造装置が不要であり、設備投資を必要とせず、低コストで電子部品素体1’を準備することが出来る。
【0071】
また、従来の底面のみに外部電極を形成した電子部品の場合、製品完成後の電気特性検査、スクリーニング時に、外部電極の位置が底面に限定されているため、測定機のコンタクトプローブ側に製品を整列した上で、コンタクトプローブを接触させる必要があり、新規に検査装置が必要である。特に、外形が0.6mm×0.3mm×0.3mmの0603形状製品や、0.4mm×0.2mm×0.2mmの0402形状製品などの小型化製品を整列した上で微小な電極部に精度良くコンタクトプローブを接触させて電気的特性をするためには、製品の方向確認、整列、高精度位置決めに手間が掛かり、生産性良く検査することが困難である。
【0072】
これに対し、本実施形態では、電子部品素体1’への絶縁性樹脂コーティング層の形成工程が、電子部品1の電気的特性や信頼性を大きく左右する、焼付電極の高温での焼き付け工程や、機械的、電気化学的に負荷の大きいメッキ工程の完了後に行われる。
【0073】
このため、電子部品素体1’の特性検査やスクリーニング工程は絶縁性樹脂コーティング層の形成前に実施しても最終的に完成した製品の電気的特性や信頼性を損なうことがない。即ち、従来の5面電極構造である電子部品に用いられている生産性の良い電気特性検査装置を用いて電気特性検査、スクリーニングを実施することができる。このため、検査装置にも新規な設備投資が不要で、生産性の良い電気特性検査装置が可能である。
【0074】
また、本実施形態では、絶縁性樹脂コーティング層は、焼付電極に、実装時にハンダとの電極濡れ性を改善するためのSn若しくはSn合金メッキ層を形成した後に形成される。
【0075】
たとえば、メッキ層がSnであれば融点231.9℃であり、典型的な鉛フリーハンダのリフロー炉ピーク温度250℃で実装すると、リフロー炉のピーク温度ではメッキ層が溶融するため、Snメッキ層上に形成された通常の無機コーティング膜は剥離や、自壊する可能性がある。しかしながら、本実施形態の電子部品1では、絶縁層21として、可撓性を有する絶縁性樹脂コーティング層を用いるため、下地のSn層の溶融による歪みを吸収することが可能となり、リフロー時の絶縁層21の剥離問題が発生しない。
【0076】
更に、絶縁層21が可撓性を有するため、製品ハンドリング時の機械的衝撃にも強く、信頼性の高い電子部品1を形成することが可能である。
【0077】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る電子部品の製造方法を説明する。第2実施形態では、第1実施形態同様の素体準備工程と、外部電極形成工程にて電子部品素体を準備する。
【0078】
(絶縁性樹脂コーティング層形成工程)
まず、粘着性保持治具30に電子部品素体1’の主面2dを圧着して粘着保持させる。
【0079】
次に、粘着性保持治具30上に粘着保持された電子部品素体1’は、液状の紫外線硬化型絶縁性樹脂コーティング剤をスプレーコーティング法により一括塗布される。
【0080】
紫外線硬化型絶縁性樹脂コーティング剤としては、たとえばプリント基板のソルダーレジストとして用いられる金属酸化物顔料を用いたアクリル化エポキシ樹脂系塗料や耐熱性塗料として用いられる金属酸化物顔料を用いたアクリル化シリコーン樹脂系塗料、アクリル化フッ素樹脂系塗料、アクリル化フェノール樹脂系塗料、アクリル化ポリウレタン樹脂系塗料、アクリル化油系塗料、アクリル化アルキド樹脂系塗料、アクリル化ポリエステル系塗料、アクリル化ポリエーテル系塗料、アクリル化スピラン樹脂系塗料、アクリル化共重合樹脂系塗料などがあり、上記のものはメタクリル化されたものを用いることもできる。その他耐熱性塗料として用いられる金属酸化物顔料を用いた不飽和ポリエステル樹脂系塗料、ポリエンとポリチオール系塗料を用いることができる。
【0081】
これらの耐熱性樹脂塗料には、有機若しくは無機顔料を適度に添加することにより、絶縁層21に着色性、若しくは不透明性を付与することが好ましい。
【0082】
たとえば、着色性の有機顔料としては、多環顔料系のフタロシアニン系顔料やアントラキノン系顔料、アゾ化合物のジアゾ顔料等が挙げられ、無機顔料としては金属酸化物やカーボンブラック等が挙げられる。
【0083】
また、上記金属酸化物顔料に屈折率の大きい顔料を用いることで、絶縁層21に適度な光散乱性を付与し、実質的な不透明性を付与してもよい。
【0084】
スプレーコーティングの方法としては、第1実施形態と同様の公知の方法を用いればよい。
【0085】
電子部品素体1’と粘着性保持治具30との接触面は、粘着により隙間無く密着しているため、紫外線硬化型絶縁性樹脂コーティング剤は接触面には塗布されない。即ち、本実施形態における粘着性保持治具30は、紫外線硬化型絶縁性樹脂コーティング剤を電子部品素体1’に塗布する際の保持手段であると共に紫外線硬化型絶縁性樹脂コーティング剤の塗布マスキング機能を有する。
【0086】
紫外線硬化型絶縁性樹脂コーティング層は、固化後の膜厚が、2μm以上、30μm以下であることが好ましく、より好ましくは4μm以上、15μm以下である。この紫外線硬化型絶縁性樹脂コーティング層は、絶縁層21を構成する。
【0087】
紫外線硬化型絶縁性樹脂コーティング層が薄すぎると、製品をハンダ実装する際に、下地のSnメッキ層が溶融した際に紫外線硬化型絶縁性樹脂コーティング層の平面方向の機械的強度が不足し、割れや剥離が発生するため好ましくない。また、紫外線硬化型絶縁性樹脂コーティング層が厚すぎると紫外線硬化型絶縁性樹脂層の硬化時の体積収縮による応力が過大になり同じく実装時に紫外線硬化型絶縁性樹脂コーティング層の剥離が発生する懼れがある。
【0088】
特に、紫外線硬化型絶縁性樹脂コーティング層の膜厚が2μm以下の場合、電子部品素体1’の側面2e,2f側の部分に紫外線硬化型絶縁性樹脂コーティング剤が塗布されない領域が発生する場合があり好ましくない。
【0089】
紫外線硬化型絶縁性樹脂コーティング層が4μm以上であれば、電子部品1の完成後のハンドリングや、実装機によるマウント時の機械的衝撃による絶縁層の損傷に対し十分な機械的強度が得られる。
【0090】
また、紫外線硬化型絶縁性樹脂コーティング層が30μm以上の場合、特に、紫外線硬化型絶縁性樹脂コーティング層に着色性を付与した場合、紫外光の透過率が悪く、紫外線硬化時間がかかり生産性が悪化する。さらに電子部品1の外形寸法が過大となり好ましくない。
【0091】
スプレーコーティングにより上記接触面以外に塗布された紫外線硬化型絶縁性樹脂コーティング剤は、粘着性保持治具30上で紫外線硬化処理がなされ、固化後に電子部品1を粘着性保持治具30から分離する。
【0092】
本実施形態の電子部品1の製造方法では、電子部品素体1’が粘着性保持冶具30上に粘着保持された状態で紫外線硬化型絶縁性樹脂コーティング剤を一括塗布し、紫外線硬化処理が実施される。このとき、電子部品素体1’の側面2e,2f側の部分は、粘着性保持治具30の上方から紫外線を照射した場合、影になり十分な紫外線照射が得られない懼れがある。電子部品素体1’の側面2e,2f側の部分に十分な紫外線照射量を得るために、紫外線照射源は、拡散反射板等を用いた面状散乱光源を用い、光源を粘着性保持冶具30に充分近接させることが好ましい。
【0093】
硬化時の紫外線強度は、使用する紫外線硬化型樹脂にもよるが、電子部品素体1’の側面2e,2f側の部分へ充分な紫外線照射を得るために、通常の平面基板上で紫外線硬化型絶縁性樹脂コーティング剤を塗布、硬化させる場合の約3〜5倍以上の照射量を照射することが好ましい。
【0094】
典型的には、アクリル系紫外線硬化型絶縁性樹脂コーティング剤の場合、200〜400mJ/cm2−10〜20秒程度である。
【0095】
また、紫外線による硬化と加熱固化を併用して実施してもよい。
【0096】
加熱固化併用させる場合として、耐熱性塗料として用いられる金属酸化物顔料を用いたルイス酸塩とエポキシ樹脂系塗料、酸発生剤と酸硬化アミノアルキッド樹脂系塗料や上記熱硬化型絶縁性樹脂コーティング剤の各種樹脂を紫外線硬化型絶縁性樹脂コーティング剤各種に導入したものを用いることができる。また、アクリル化エポキシ樹脂系フォトレジストや、アクリル化された合成ゴム系フォトレジストも使用可能である。
【0097】
紫外線硬化型絶縁性樹脂コーティング剤を塗布する工程と、塗布された紫外線硬化型絶縁性樹脂コーティング剤を粘着性保持治具30上で固化させる工程は、複数回繰り返し、1回当たりの紫外線硬化型絶縁性樹脂コーティング層の膜厚を薄く塗布することが好ましい。
【0098】
塗布と硬化を複数回繰り返すことで、一度に塗布される硬化前のウエット状態にある紫外線硬化型絶縁性樹脂コーティング剤の液量を低減することが可能となる。一度に塗布される紫外線硬化型絶縁性樹脂コーティング剤が多いと、粘着性保持治具30と電子部品素体1’の境界部のコーナー付近に表面張力による液溜まりが発生し、硬化後に粘着性保持治具30上の紫外線硬化型絶縁性樹脂コーティング層と電子部品素体1’上の紫外線硬化型絶縁性樹脂コーティング層が結合し、粘着性保持治具30に電子部品素体1’が固着する現象や分離後の電子部品素体1’上の紫外線硬化型絶縁性樹脂コーティング層にバリ等の欠陥が発生する懼れがあり好ましくない。
【0099】
本実施形態では、絶縁性樹脂コーティング剤に紫外線硬化型絶縁性樹脂コーティング剤を用いるため、硬化処理時間を1分以下に短縮することが可能である。このため、塗布と硬化を複数回繰り返す際の硬化時間が大幅に短縮され生産性良く電子部品1の製造を行うことができる。
【0100】
また、本実施形態では、絶縁性樹脂コーティング剤に紫外線硬化樹脂を用いるため、塗布された紫外線硬化型絶縁性樹脂コーティング剤の硬化を加熱乾燥による固化法と比較して例えば80℃以下の低温で実施することが可能である。このため、粘着性保持治具30にUV剥離シートを用いることができる。
【0101】
UV剥離シートは、シート裏面から紫外光を照射することで粘着性が大幅に低下する特性を持ち、電子部品1の加工工程で加工後の電子部品1の再剥離が容易であり、更に熱剥離シートと比較して安価であるため、特に半導体チップ製造工程で多用されている。
【0102】
しかし、UV剥離シートは、紫外線照射により再剥離させる前に、例えば80℃以上の高温にさらすと、紫外線照射による粘着性低下作用が阻害され、再剥離効果が得られない。
【0103】
本実施形態では、絶縁性樹脂コーティング剤を紫外線硬化樹脂とすることで、塗布された紫外線硬化型絶縁性樹脂コーティング剤を低温での紫外線照射により硬化することができるため、上述した粘着性低下作用を阻害せず、低コストで再剥離が容易なUV剥離シートを用いることができる。
【0104】
なお、紫外線照射は、塗布された紫外線硬化型絶縁性樹脂コーティング剤の硬化時にも照射されるが、電子部品素体を保持するUV剥離シートの粘着面は、電子部品素体によって硬化時の紫外線照射から遮蔽されているため、絶縁性樹脂コーティング剤の硬化時に電子部品素体1’を保持するUV剥離シートの粘着性が低下して電子部品素体1’が脱落する問題は生じない。
【0105】
次に、所定の紫外線硬化型絶縁性樹脂コーティング層が形成された電子部品素体1’は、粘着性保持治具30から機械的に分離される。分離の方法としては、粘着性保持治具30に通常の粘着シートを用いる場合は、粘着性保持治具30から粘着シートを分離し、たとえば電子部品素体1’が粘着したシートを裏面からナイフエッジで急角度で変形させながら剥離するなどの公知の手段を用いればよい。
【0106】
また、粘着性保持治具30に熱剥離シートを用いた場合は、粘着性保持治具30を加熱することで電子部品素体1’を容易に剥離することが出来る。
【0107】
更に、粘着性保持治具30にUV剥離シートを用いる場合は、粘着性保持治具30から粘着シートを分離し、電子部品1を粘着させたシート面の裏面から所定の紫外線を照射することでUV剥離シートの粘着性を低下させ、電子部品素体1’を剥離すればよい。
【0108】
分離後の電子部品素体1’は、紫外線硬化型絶縁性樹脂コーティング層の固化を更に強固にするために、必要に応じて100℃〜200℃での乾燥固化を追加してもよい。
【0109】
また、電子部品素体1’の紫外線硬化型絶縁性樹脂コーティング層の端面にバリ等が有る場合は、湿式若しくは乾式法で軽くバレル処理を行ってもよい。
【0110】
以上の絶縁性樹脂コーティング層形成工程によって、主面2d及び電極部分3d,4d以外の主面2c及び側面2e,2f、並びに、主面2c及び側面2e,2f上に形成された電極部分3c,4c,3e,4e,3f,4f、更に電極部分3a,4bが紫外線硬化型絶縁性樹脂コーティング層で覆われた電子部品1を得ることができる。
【0111】
このようにして得られた電子部品1、を第1実施形態と同様の判別工程、梱包工程、実装工程を経て、基板に実装する。
【0112】
以上、本発明の好適な実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0113】
例えば、第1及び第2実施形態では、電子部品として積層セラミックコンデンサを例に説明したが、本発明はこれに限られることなく、積層インダクタ、積層バリスタ、積層圧電アクチュエータ、積層サーミスタ、又は積層複合部品などの他の電子部品にも適用できる。
【0114】
また、第1及び第2実施形態では、電子部品素体1’として5面電極構造である電子部品素体を例に挙げたが、本発明はこれに限るものではなく、例えばチップ抵抗のような、素体2の側面2e,2f又は主面2c,2dのいずれかの面に外部電極が形成されない、いわゆるコの字型の3面電極構造や、端面2a,2bと側面2e,2f又は主面2c,2dのいずれか一面のみとに外部電極が形成されたL字型の2面電極構造である素体を有する電子部品素体を用いても同様の効果が得られる。また、積層コンデンサアレイや、チップ型3端子貫通積層コンデンサアレイ等の、多端子外部電極を有する電子部品素体を用いても同様の効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明は、積層コンデンサなどの電子部品及びその製造方法に利用できる。
【符号の説明】
【0116】
1…電子部品、1’…電子部品素体、2…素体、2a,2b…端面、2c,2d…主面、2e,2f…側面、3,4…外部電極、3a,3c,3d,3e,3f,4b,4c,4d,4e,4f…電極部分、21…絶縁層、30…粘着性保持治具、32…絶縁性樹脂コーティング剤、SF…フィレット、SS…基板、WP…配線パターン。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する一対の端面と、一対の前記端面間を連結するように伸び且つ互いに対向する一対の主面と、一対の前記主面を連結するように伸び且つ互いに対向する一対の側面と、を含む素体と、前記素体の前記端面側に形成され、前記端面に隣接する前記主面及び又は前記側面の一部を覆う外部電極と、を有し、前記主面又は前記側面であって少なくともその一部が前記外部電極で覆われている一面を除く前記素体の表面と、該表面上に形成されている前記外部電極とが絶縁性物質で覆われている電子部品の製造方法であって、
前記素体と前記外部電極とを備える電子部品素体を準備する部品素体準備工程と、
粘着性保持治具に前記電子部品素体の主面又は側面であって少なくともその一部が前記外部電極で覆われている一面を粘着させることにより前記粘着性保持治具に固定する保持工程と、
スプレーコーティング法により、前記粘着性保持治具上の前記電子部品素体の露出した表面に一括して絶縁性樹脂コーティング剤を塗布する塗布工程と、
塗布された前記絶縁性樹脂コーティング剤を前記粘着性保持治具上で固化させる固化工程と、
前記絶縁性樹脂コーティング剤を固化させた後に、前記粘着性保持治具から分離する分離工程と、を備えていることを特徴とする電子部品の製造方法。
【請求項2】
前記外部電極が、少なくともSnもしくはSn合金からなるメッキ層を有することを特徴とする請求項1に記載の電子部品の製造方法。
【請求項3】
前記塗布工程と前記固化工程とを複数回繰り返すことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子部品の製造方法。
【請求項4】
前記粘着性保持治具として、熱剥離シートを用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子部品の製造方法。
【請求項5】
前記絶縁性樹脂コーティング剤が、紫外線硬化型絶縁性樹脂コーティング剤であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の電子部品の製造方法。
【請求項6】
互いに対向する一対の端面と、一対の前記端面間を連結するように伸び且つ互いに対向する一対の主面と、一対の前記主面を連結するように伸び且つ互いに対向する一対の側面と、を有する素体と、
前記素体の前記端面側に形成され、前記端面に隣接する前記主面及び又は前記側面の一部を覆う外部電極と、を備えている電子部品であって、
前記主面又は前記側面であって少なくともその一部が前記外部電極で覆われている一面を除く前記素体の表面と、該表面上に形成されている前記外部電極が絶縁性物質で覆われていることを特徴する電子部品。
【請求項7】
前記外部電極が、少なくともSnもしくはSn合金からなるメッキ層を有し、
前記絶縁性物質が、絶縁性樹脂コーティング層であることを特徴とする請求項6に記載の電子部品。
【請求項1】
互いに対向する一対の端面と、一対の前記端面間を連結するように伸び且つ互いに対向する一対の主面と、一対の前記主面を連結するように伸び且つ互いに対向する一対の側面と、を含む素体と、前記素体の前記端面側に形成され、前記端面に隣接する前記主面及び又は前記側面の一部を覆う外部電極と、を有し、前記主面又は前記側面であって少なくともその一部が前記外部電極で覆われている一面を除く前記素体の表面と、該表面上に形成されている前記外部電極とが絶縁性物質で覆われている電子部品の製造方法であって、
前記素体と前記外部電極とを備える電子部品素体を準備する部品素体準備工程と、
粘着性保持治具に前記電子部品素体の主面又は側面であって少なくともその一部が前記外部電極で覆われている一面を粘着させることにより前記粘着性保持治具に固定する保持工程と、
スプレーコーティング法により、前記粘着性保持治具上の前記電子部品素体の露出した表面に一括して絶縁性樹脂コーティング剤を塗布する塗布工程と、
塗布された前記絶縁性樹脂コーティング剤を前記粘着性保持治具上で固化させる固化工程と、
前記絶縁性樹脂コーティング剤を固化させた後に、前記粘着性保持治具から分離する分離工程と、を備えていることを特徴とする電子部品の製造方法。
【請求項2】
前記外部電極が、少なくともSnもしくはSn合金からなるメッキ層を有することを特徴とする請求項1に記載の電子部品の製造方法。
【請求項3】
前記塗布工程と前記固化工程とを複数回繰り返すことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子部品の製造方法。
【請求項4】
前記粘着性保持治具として、熱剥離シートを用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子部品の製造方法。
【請求項5】
前記絶縁性樹脂コーティング剤が、紫外線硬化型絶縁性樹脂コーティング剤であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の電子部品の製造方法。
【請求項6】
互いに対向する一対の端面と、一対の前記端面間を連結するように伸び且つ互いに対向する一対の主面と、一対の前記主面を連結するように伸び且つ互いに対向する一対の側面と、を有する素体と、
前記素体の前記端面側に形成され、前記端面に隣接する前記主面及び又は前記側面の一部を覆う外部電極と、を備えている電子部品であって、
前記主面又は前記側面であって少なくともその一部が前記外部電極で覆われている一面を除く前記素体の表面と、該表面上に形成されている前記外部電極が絶縁性物質で覆われていることを特徴する電子部品。
【請求項7】
前記外部電極が、少なくともSnもしくはSn合金からなるメッキ層を有し、
前記絶縁性物質が、絶縁性樹脂コーティング層であることを特徴とする請求項6に記載の電子部品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2013−26392(P2013−26392A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−159030(P2011−159030)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】
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