電子部品実装システム
【課題】電子部品実装装置の能力や生産ロスの分析にあたり、信頼性の高い指標を求めることができる電子部品実装システムを提供する。
【解決手段】各電子部品実装装置において、プリント基板が搬入されてから搬出されるまでの時間であるサイクルタイムを取得するサイクルタイム取得手段と、サイクルタイム取得手段が取得した各電子部品実装装置のサイクルタイムを、各電子部品実装装置ごとに順次記憶するサイクルタイム記憶手段と、サイクルタイム記憶手段に記憶された各電子部品実装装置のサイクルタイムのうち、各電子部品実装装置の最も短いサイクルタイムを、各電子部品実装装置の最速サイクルタイムとしてそれぞれ選択する最速サイクルタイム選択手段が、生産管理装置に設けられている。
【解決手段】各電子部品実装装置において、プリント基板が搬入されてから搬出されるまでの時間であるサイクルタイムを取得するサイクルタイム取得手段と、サイクルタイム取得手段が取得した各電子部品実装装置のサイクルタイムを、各電子部品実装装置ごとに順次記憶するサイクルタイム記憶手段と、サイクルタイム記憶手段に記憶された各電子部品実装装置のサイクルタイムのうち、各電子部品実装装置の最も短いサイクルタイムを、各電子部品実装装置の最速サイクルタイムとしてそれぞれ選択する最速サイクルタイム選択手段が、生産管理装置に設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品実装装置のサイクルタイムから改善点や問題を発見する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数の電子部品実装装置が隣接して並設された電子部品実装ラインが有る。この電子部品実装ラインでは、プリント基板を順次隣接する電子部品実装装置に搬送して、各電子部品実装装置において電子部品をプリント基板に順次実装する。各電子部品実装装置においては、それぞれ、プリント基板に実装する電子部品の種類や位置、数が異なる。このため、電子部品実装装置にプリント基板が搬入されてから、当該電子部品実装装置において電子部品の実装を行い、電子部品が実装されたプリント基板を搬出するまでのサイクルタイムは、各電子部品実装装置によって異なる。
【0003】
このように、各電子部品実装装置で、サイクルタイムが異なるため、サイクルタイムが最も長い電子部品実装装置がボトルネックとなり、電子部品実装ライン全体の生産効率が低下してしまう。もし、ボトルネックとなる電子部品実装装置を改善することができれば、電子部品実装ライン全体の生産効率を改善することができる。このため、各電子部品実装装置のサイクルタイムを分析するための技術が要望されていた。
【0004】
そこで、特許文献1に示されるように各工程の理論サイクルタイムをシミュレーションするサイクルタイムシミュレータが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−158016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に示されるようなサイクルタイムシミュレータでは、サイクルタイムシミュレータの精度や、装置個体の違いにより、全く動作ロスがないと演算された理論サイクルタイムが、実際のサイクルタイムと開離してしまうという問題があった。このため、実際のサイクルタイムが理論サイクルタイムよりも恒久的に長い場合、換言すると、理論サイクルタイムが実際の電子部品実装装置の最高能力を越える場合には、電子部品実装装置において改善の余地が無いにも関わらず、改善の余地があると判断されてしまうという問題があった。一方で、実際のサイクルタイムのほうが、理論サイクルタイムよりも短くなる場合もあり、この場合には、電子部品実装装置において改善の余地が存在するのにも関わらず、改善の余地が無いと判断されてしまうという問題もあった。このように、従来の理論サイクルタイムを用いた電子部品実装装置の能力や生産ロスの分析では、信頼性に欠けるという問題があった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、電子部品実装装置の能力や生産ロスの分析にあたり、信頼性の高い指標を求めることができる電子部品実装システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するためになされた、請求項1に係る電子部品実装システムは、プリント基板に電子部品を実装する複数の電子部品実装装置が隣接して並設され、プリント基板を順次隣接する前記電子部品実装装置に搬送して、前記各電子部品実装装置において供給される電子部品を前記搬送されたプリント基板に順次実装する電子部品実装ラインと、前記各電子部品実装装置と通信可能に接続され、前記各電子部品実装装置から情報が入力される生産管理装置と、から構成される電子部品実装システムであって、前記各電子部品実装装置において、前記プリント基板が搬入されてから搬出されるまでの時間であるサイクルタイムを取得するサイクルタイム取得手段と、前記サイクルタイム取得手段が取得した前記各電子部品実装装置のサイクルタイムのうち、前記各電子部品実装装置の最も短いサイクルタイムを、前記各電子部品実装装置の最速サイクルタイムとしてそれぞれ選択する最速サイクルタイム選択手段が、前記生産管理装置に設けられている。
【0009】
請求項2に係る電子部品実装装置システムは、請求項1において、前記各電子部品実装装置は、プリント基板に電子部品を実装する際のエラーを検出し、前記エラーを前記生産管理装置に出力するエラー出力手段を有し、前記最速サイクルタイム選択手段は、前記エラーを含むサイクルタイムを前記最速サイクルタイムの選択候補から除外して、前記最速サイクルタイムを選択する。
【0010】
請求項3に係る電子部品実装装置システムは、請求項1又は請求項2において、前記最速サイクルタイム選択手段によって選択された各最速サイクルタイムに基づいて、各電子部品実装装置の実装状態を分析するための情報を生成する実装状態分析情報生成手段が、前記生産管理装置に設けられている。
【0011】
請求項4に係る電子部品実装装置システムは、請求項3において、各電子部品実装装置毎の前記サイクルタイムの平均値である実測平均サイクルタイムを算出する実測平均サイクルタイム算出手段と、前記各実測平均サイクルタイム算出手段によって算出された前記全ての電子部品実装装置の前記実測平均サイクルタイムのうち、最も長い実測平均サイクルタイムの前記電子部品実装装置を実測ボトルネック装置として特定する実測ボトルネック装置特定手段と、前記最速サイクルタイム選択手段によって選択された前記全ての電子部品実装装置の前記最速サイクルタイムのうち、最も長い最速サイクルタイムの前記電子部品実装装置をボトルネック装置として特定するボトルネック装置特定手段と、情報を報知する報知手段が、前記生産管理装置に設けられ、前記実装状態分析情報生成手段は、前記ボトルネック装置特定手段が特定した前記ボトルネック装置、及び、前記実測ボトルネック装置特定手段が特定した前記実測ボトルネック装置を、前記報知手段で報知させる。
【0012】
請求項5に係る電子部品実装装置システムは、請求項3において、前記各電子部品実装装置毎の前記サイクルタイムの平均値である実測平均サイクルタイムを算出する実測平均サイクルタイム算出手段と、前記各実測平均サイクルタイム算出手段によって算出された前記全ての電子部品実装装置の前記実測平均サイクルタイムのうち、最も長い実測平均サイクルタイムの前記電子部品実装装置を実測ボトルネック装置として特定する実測ボトルネック装置特定手段と、前記最速サイクルタイム選択手段によって選択された前記全ての電子部品実装装置の前記最速サイクルタイムのうち、最も長い最速サイクルタイムの前記電子部品実装装置をボトルネック装置として特定するボトルネック装置特定手段と、情報を報知する報知手段が、前記生産管理装置に設けられ、前記実装状態分析情報生成手段は、前記ボトルネック装置特定手段が特定した前記ボトルネック装置と、前記実測ボトルネック装置特定手段が特定した前記実測ボトルネック装置を比較し、前記ボトルネック装置と前記実測ボトルネック装置が異なる場合には、その旨を前記報知手段で報知させる。
【0013】
請求項6に係る電子部品実装装置システムは、請求項3において、前記各電子部品実装装置毎の前記サイクルタイムの平均値である実測平均サイクルタイムを算出する実測平均サイクルタイム算出手段と、情報を報知する報知手段が、前記生産管理装置に設けられ、前記実装状態分析情報生成手段は、各電子部品実装装置について、前記実測平均サイクルタイム算出手段が算出した実測平均サイクルタイム、及び、前記最速サイクルタイム選択手段によって選択された最速サイクルタイムを前記報知手段で報知させる。
【0014】
請求項7に係る電子部品実装装置システムは、請求項3において、前記各電子部品実装装置毎の前記サイクルタイムの平均値である実測平均サイクルタイムを算出する実測平均サイクルタイム算出手段と、情報を報知する報知手段が、前記生産管理装置に設けられ、前記実装状態分析情報生成手段は、前記実測平均サイクルタイム算出手段が算出した実測平均サイクルタイムと、前記最速サイクルタイム選択手段によって選択された最速サイクルタイムの差が最も大きい前記電子部品実装装置を要改善装置として特定し、前記特定された要改善装置を前記報知手段で報知させる。
【0015】
請求項8に係る電子部品実装装置システムは、請求項4〜請求項7において、実測平均サイクルタイム算出手段は、所定時間以上のサイクルタイムを除外して、実測平均サイクルタイムを算出する。
【0016】
請求項9に係る電子部品実装装置システムは、請求項3において、前記生産管理装置は、画像表示装置を備え、前記実装状態分析情報生成手段は、同一の前記電子部品実装装置について、前記最速サイクルタイム選択手段が選択した前記最速サイクルタイムとともに、前記サイクルタイム取得手段が取得した前記サイクルタイムを時系列順に、前記画像表示装置に表示させる。
【0017】
請求項10に係る電子部品実装装置システムは、請求項3において、前記電子部品実装装置における前記プリント基板の総実装枚数を取得する実装枚数取得手段と、前記電子部品実装装置における前記プリント基板の総実装時間を取得する実測実装総時間取得手段が、前記生産管理装置に設けられ、前記実装状態分析情報生成手段は、前記最速サイクルタイム選択手段が選択した前記最速サイクルタイムに、前記実装枚数取得手段が取得した前記プリント基板の総実装枚数を乗じて最速実装総時間を算出し、当該最速実装総時間を前記実測実装総時間取得手段が取得した前記総実装時間で除して、前記電子部品実装装置の性能効率を算出する。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に係る発明によると、最速サイクルタイム選択手段は、各電子部品実装装置の最も短いサイクルタイムを、各電子部品実装装置の最速サイクルタイムとしてそれぞれ選択する。これにより、電子部品実装装置にプリント基板が搬入されて、当該プリント基板に電子部品が実装した後に、前記プリント基板が搬出されるまでの実際のサイクルタイムのうちで、最速のものが最速サイクルタイムとして選択される。つまり、最速サイクルタイムは、実際の電子部品実装装置の能力と開離しない。このように、電子部品実装装置の能力や生産ロスの分析にあたり、最速サイクルタイムという信頼性の高い指標を求めることが可能となった。
【0019】
請求項2に係る電子部品実装装置システムによれば、最速サイクルタイム選択手段は、エラーを含むサイクルタイムを最速サイクルタイムの選択候補から除外して、最速サイクルタイムを選択する。これにより、エラーを含み指標として理想的で無いサイクルタイムが、最速サイクルタイムとして選択されることを防止することができる。
【0020】
請求項3に係る電子部品実装装置システムによれば、実装状態分析情報生成手段は、最速サイクルタイム選択手段によって選択された各最速サイクルタイムに基づいて、各電子部品実装装置の実装状態を分析するための情報を生成する。これにより、作業者は、各電子部品実装装置の能力や、生産ロス、問題を認識することが可能となる。
【0021】
請求項4に係る電子部品実装装置システムによれば、実装状態分析情報生成手段は、ボトルネック装置特定手段が特定したボトルネック装置、及び、実測ボトルネック装置特定手段が特定した実測ボトルネック装置を、報知手段で報知させる。これにより、作業者は、最速サイクルタイムに基づくボトルネック装置と実測ボトルネック装置とが異なることを認識することができる。このため、作業者は、実測ボトルネック装置に何らかの慢性的な問題が生じていることを認識することができる。
【0022】
請求項5に係る電子部品実装装置システムによれば、実装状態分析情報生成手段は、最速サイクルタイムに基づくボトルネック装置と、実測ボトルネック装置を比較し、最速サイクルタイムに基づくボトルネック装置と実測ボトルネック装置が異なる場合には、その旨を報知手段で報知させる。これにより、作業者は、最速サイクルタイムに基づくボトルネック装置と、実測ボトルネック装置が異なることを容易に認識することができる。
【0023】
請求項6に係る電子部品実装装置システムによれば、実装状態分析情報生成手段は、各電子部品実装装置について、実測平均サイクルタイム算出手段が算出した実測平均サイクルタイム、及び、最速サイクルタイム選択手段によって選択された最速サイクルタイムを報知手段で報知させる。これにより、作業者は、各電子部品実装装置について、最速サイクルタイムと実測平均サイクルタイムの平均を比較することができる。このため、最速サイクルタイムと実測平均サイクルタイムの平均との差がある場合には、作業者は、当該電子部品実装装置において何らかの問題が生じていることを認識することができる。
【0024】
請求項7に係る電子部品実装装置システムによれば、実装状態分析情報生成手段は、実測平均サイクルタイム算出手段が算出した実測平均サイクルタイムと、最速サイクルタイム選択手段によって選択された最速サイクルタイムの差が最も大きい電子部品実装装置を要改善装置として特定し、特定された要改善装置を報知手段で報知させる。これにより、ある電子部品実装装置において何らかの問題が生じ、当該電子部品実装装置のサイクルタイムが長くなり、結果として実測平均サイクルタイムと最速サイクルタイムとの差が最も大きくなった装置が、要改善装置として特定されて報知される。このため作業者は、要改善装置において、何らかの問題が生じていることを容易に認識することができる。
【0025】
請求項8に係る電子部品実装装置システムによれば、実測平均サイクルタイム算出手段は、所定時間以上のサイクルタイムを除外して、実測平均サイクルタイムを算出する。これにより、深刻な問題の発生による電子部品実装装置の長時間の停止や、実装するプリント基板の種類の切替による電子部品実装装置の長時間の停止に起因する長いサイクルタイムが、実測平均サイクルタイムの算出において除外される。このため、突出して長いサイクルタイムにより、実測平均サイクルタイムが長期間に渡って長くなってしまうという悪影響が防止され、実測平均サイクルタイムを用いた各電子部品実装装置の実装状態の分析を精度高く行うことができる。
【0026】
請求項9に係る電子部品実装装置システムによれば、実装状態分析情報生成手段は、同一の電子部品実装装置について、最速サイクルタイムとともに、サイクルタイムを時系列順に、画像表示装置に表示させる。これにより、作業者は、サイクルタイムの変移を最速サイクルタイムと比較することにより、当該電子部品実装装置における問題の発生や恒久的な生産ロスの発生を認識することができる。
【0027】
請求項10に係る電子部品実装装置システムによれば、実装状態分析情報生成手段は、最速サイクルタイムに総実装枚数を乗じて算出された最速実装総時間から総実装時間を除して、電子部品実装装置の性能効率を算出する。これにより、理論サイクルタイムを用いて、性能効率を算出した場合と比較して、より精度高く電子部品実装装置の性能効率を算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本実施形態の電子部品実装システムの上面図である。
【図2】電子部品実装装置の斜視図である。
【図3】図1に示す生産管理装置で実行される制御プログラムである最速サイクルタイム選択処理のフローチャートである。
【図4】記憶部に記憶され画像表示装置に表示されるサイクルタイム一覧を表した図である。
【図5】図1に示す生産管理装置で実行される制御プログラムであるボトルネック装置特定処理のフローチャートである。
【図6】サイクルタイムの集合を表したグラフであり、横軸がサイクルタイムの秒数、縦軸がサイクルタイムのサンプル数である。
【図7】図1に示す生産管理装置で実行される制御プログラムであるサイクルタイムバランスイメージ生成処理のフローチャートである。
【図8】サイクルタイムバランスイメージを表した図である。
【図9】図1に示す生産管理装置で実行される制御プログラムであるサイクルタイム変位イメージ生成処理のフローチャートである。
【図10】サイクルタイムの変移イメージを表した図である。
【図11】サイクルタイムの変移イメージを表した図である。
【図12】図1に示す生産管理装置で実行される制御プログラムである性能効率算出処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(電子部品実装システムの説明)
本発明に係る電子部品実装システムの実施形態を、図面に基づいて以下に説明する。電子部品実装装置100の幅方向をX軸方向とし、電子部品実装装置100の前後方向をY軸方向とし、電子部品実装装置100の上下方向をZ軸方向とする。図1に示すように、本実施形態の電子部品実装システムは、電子部品実装ライン200と、生産管理装置500とから構成されている。
【0030】
電子部品実装ライン200は、複数の電子部品実装装置101〜104がX軸方向に連続されるように幅方向(X軸方向)互いに隣接して並設されて構成されている。この電子部品実装ライン200によって、プリント基板Pが順次隣接する電子部品実装装置101〜104に搬送され、各電子部品実装装置101〜104において供給される電子部品が搬送されたプリント基板Pに順次実装される。図1に示す実施形態では、電子部品実装ライン200は、4台電子部品実装装置101〜104によって構成されているが、電子部品実装装置101…は、4台に限定されず、2台や3台又は5台以上であっても差し支え無い。
【0031】
生産管理装置500は、各電子部品実装装置101〜104と通信可能に接続され、各電子部品実装装置101〜104からの情報が入力される。生産管理装置500については、各電子部品実装装置101〜104の構成を説明した後に説明する。
【0032】
(電子部品実装装置の説明)
以下に、図2を参照して、電子部品実装装置101〜104の具体的な構成について説明する。以下において、電子部品実装装置101〜104を、電子部品実装装置100として説明する。電子部品実装装置100は、電子部品供給装置10、基板搬送装置80、及び、移載装置90を備えている。電子部品供給装置10は、複数のカセット式のフィーダ11から構成されている。これらのフィーダ11は、電子部品実装装置100の基台83の端部に設けられたフィーダ装着部12に装着される。各フィーダ11は、フィーダ装着部12に着脱可能に装着される本体13と、この本体13の後部に着脱可能に装着された複数の供給リール14と、本体13の先端に設けられた供給部15を備えている。
【0033】
各供給リール14には、所定個数の電子部品を一定のピッチ間隔で保持したキャリアテープが巻回されている。フィーダ11は、供給リール14に巻回されたキャリアテープを1ピッチずつ送り出して、電子部品を供給部15に1個ずつ移送する移送機構(図示省略)を備えている。
【0034】
各電子部品実装装置100の基台83上には、プリント基板PをX軸方向に搬送する基板搬送装置80が設けられている。基板搬送装置80は、基台83上に一対のガイドレール84a、84bを互い平行に対向させてそれぞれ水平に並設し、このガイドレール84a、84bによりそれぞれ案内されるプリント基板Pを支持して搬送する一対のコンベアベルト(図示省略)を互いに対向させて並設して構成されたものである。各電子部品実装装置100は、基板搬送装置80がX方向に連続されるように互いに隣接して配置されている。そして、各電子部品実装装置100の基板搬送装置80は互いに連動して作動され、各プリント基板Pを隣の基板搬送装置80上に順次送り込んで、所定位置に位置決め保持するようになっている。
【0035】
移載装置90は、XYロボットタイプのものであり、基台83上に装架されて基板搬送装置80及び電子部品供給装置10の上方に配設されている。移載装置90は、Y軸方向に配設されたガイドレール92と、ガイドレール92に沿ってY軸方向に移動可能なY軸スライド93を備えている。Y軸スライド93は、Y軸サーボモータ91の出力軸に連結されたボールねじ91aを有するボールねじ機構によってY軸方向に移動される。Y軸スライド93には、X軸スライド94がY軸方向と直交するX軸方向に移動可能に案内されている。Y軸スライド93にはX軸サーボモータ97が設置され、このX軸サーボモータ97の出力軸に連結された図略のボールねじ機構によってX軸スライド94がX軸方向に移動される。
【0036】
X軸スライド94には、装着ヘッド95及び基板認識用カメラ75が取り付けられている。このような構造により、装着ヘッド95及び基板認識用カメラ75は、基台83に水平方向移動可能に装架されている。吸着ヘッド96は、Z軸方向に昇降可能に、装着ヘッド95に案内支持され、ボールねじを介してサーボモータ98により昇降が制御される。吸着ヘッド96には、下方に突出した円筒状の吸着ノズル96aが設けられている。この吸着ノズル96aで、供給部15にある電子部品を負圧により吸着してプリント基板Pに装着する。基板認識用カメラ75は、基板搬送装置80により搬入されて位置決め保持されたプリント基板P上に設けられた基板マークSmの位置を認識するものである。
【0037】
電子部品供給装置10と基板搬送装置80との間には、部品認識用カメラ70と照明装置(図示省略)が設けられている。部品認識用カメラ70は、装着ヘッド95の下方から装着ヘッド95の下端部を撮像する。照明装置は、装着ヘッド95の下端を下方から照明する。部品認識用カメラ70は、吸着ノズル96aによって吸着された電子部品の吸着ノズル96aの中心線に対する芯ずれを検出するものである。
【0038】
制御部50は、電子部品実装装置100の統括制御を行うものであり、電子部品供給装置10、基板搬送装置80、移載装置90の各サーボモータ、及び、サーボモータ98に指令を出力することにより、これらを制御する。制御部50は、基板認識用カメラ75によって検出されたプリント基板P上に設けられた基板マークSmの位置に基づいて、位置補正を行って装着ヘッド95をX方向及びY方向に移動し、供給部15から吸着ノズル96aの先端に吸着した電子部品をプリント基板P上の所定の座標位置に実装する。また、制御部50は、吸着ノズル96aの先端に吸着した電子部品を供給部15からプリント基板P上の所定の座標位置に移動する途中において、吸着ノズル96aを部品認識用カメラ70上で一旦停止させ、部品認識用カメラ70によって検出された吸着ノズル96aの中心線に対する電子部品の芯ずれに基づき、装着ヘッド95の移動量を補正して、電子部品をプリント基板P上の座標位置に正確に実装する。
【0039】
なお、各電子部品実装装置101〜104には、プリント基板Pが搬入されてから搬出されるまでの時間であるサイクルタイムを計測するサイクルタイム計測手段が設けられている。そして、サイクルタイム計測手段によって検出されたサイクルタイムは、生産管理装置500に出力される。また、各電子部品実装装置101〜104には、プリント基板Pに電子部品を実装する際のエラー(後述のリトライを含む)を検出し、当該エラーを生産管理装置500に出力するエラー出力手段を備えている。前記エラーには、プリント基板Pの基板搬送装置80による搬送時のエラーやリトライ、吸着ノズル96aによる電子部品の吸着のエラーやリトライ、電子部品のプリント基板Pへの装着のエラーやリトライ、基板認識用カメラ75による基板マークSmの検出エラー、及び、部品認識用カメラ70による電子部品の吸着ノズル96aの中心線に対する芯ずれの検出エラー等が含まれる。
【0040】
なお、電子部品実装装置101〜104において、プリント基板Pが変更されたり、プリント基板Pに実装される電子部品が変更されたりして、プリント基板Pへの電子部品の実装を開始させる場合には、電子部品実装装置101〜104は、生産管理装置500に、上述した「レシピ切替情報」を出力する。
【0041】
(生産管理装置の説明)
次に、生産管理装置500の説明をする。生産管理装置500は、各種プログラムを実行するCPU500a、CPU500aで実行されるプログラムや各種設定値が記憶される記憶部500b、各電子部品実装装置101〜104から出力された情報が入力され取得するインターフェース500c、及び、画像が表示される画像表示装置500dを備えている。記憶部500bには、後述する「最速サイクルタイム選択処理」、「ボトルネック装置特定処理」、「サイクルタイムバランスイメージ生成処理」、「サイクルタイム変移イメージ生成処理」、「性能効率処理」の各処理を実行可能にするプログラムが記憶され、図4に示す「サイクルタイム一覧」が記憶される。なお、図4に示す「サイクルタイム一覧」は、画像表示装置500dで表示される。
【0042】
記憶部500bに記憶されているプログラム及び当該プログラムを実行するCPU500aが、特許請求の範囲に記載の「最速サイクルタイム選択手段」、「実装状態分析情報生成手段」、「実測平均サイクルタイム算出手段」、「ボトルネック装置特定手段」、「実測ボトルネック装置特定手段」、及び、後述のサイクルタイムシミュレータに相当し得る。また、インターフェース500cが、特許請求の範囲に記載の「サイクルタイム取得手段」、「実装枚数取得手段」、及び、「実測実装総時間取得手段」に相当し得る。
【0043】
サイクルタイムシミュレータは、各電子部品実装装置101〜104の「理論サイクルタイム」を算出する。サイクルタイムシミュレータは、各電子部品実装装置101〜104から入力された「レシピ切替情報」(プリント基板Pの情報や、プリント基板Pに実装する電子部品の情報、電子部品のプリント基板Pにおける実装位置の情報を含む)に基づき、電子部品実装装置101〜104にプリント基板Pが搬入されてから、電子部品のプリント基板Pへの実装が完了し、次の電子部品実装装置101〜104に搬出されるまでの、理想的なサイクルタイムである「理論サイクルタイム」を算出する。
【0044】
(最速サイクルタイム選択処理)
次に、図3に示すフローチャート及び図4に示す「サイクルタイム一覧」を参照して、上述した生産管理装置500が実行する「最速サイクルタイム選択処理」について説明する。なお、図4に示す「サイクルタイム一覧」は、各電子部品実装装置101〜104毎の「サイクルタイム」が実装順に順次記憶されるとともに、各電子部品実装装置1001〜104毎の「理論サイクルタイム」が記憶される。
【0045】
S102において、生産管理装置500が、各電子部品実装装置101〜104のいずれかから情報が入力されたと判断した場合には(S102でYESと判断)、プログラムをS104に進め、一方で、各電子部品実装装置101〜104のいずれかからも情報が入力されていないと判断した場合には(S102でNOと判断)、S102の処理を繰り返す。
【0046】
S104において、生産管理装置500は、各電子部品実装装置101〜104から入力された情報の種類を判断する。生産管理装置500が、前記情報が「サイクルタイム」であると判断した場合には、プログラムをS108に進め、前記情報が「レシピ切替情報」であると判断した場合には、プログラムをS115に進め、前記情報が「サイクルタイム」及び「レシピ切替情報」のいずれでも無いと判断した場合には、プログラムをS102に戻す。
【0047】
S115において、サイクルタイムシミュレータは、「レシピ切替情報」に対応する電子部品実装装置101〜104の「理論サイクルタイム」を、前記「レシピ切替情報」に基づいて算出させ、当該「理論サイクルタイム」を、「暫定最速サイクルタイム」として、記憶部500bの「サイクルタイム一覧」(図4示)に記憶させる。S115が終了すると、プログラムは、S126に進行する。
【0048】
S108において、生産管理装置500は、入力された「サイクルタイム」の実装サイクルにおいて、上述したエラーが無かったか否かを判断する。なお、「サイクルタイム」にエラー情報が含まれる実施形態であっても、「サイクルタイム」と対応付けられたエラー情報が各電子部品実装装置101〜104から入力される実施形態であっても差し支え無い。生産管理装置500が、「サイクルタイム」に上述したエラーが無かったと判断した場合には(S108でYESと判断)、プログラムをS110に進め、一方で、「サイクルタイム」に上述したエラーが有ったと判断した場合には(S108でNOと判断)、プログラムをS126進める。
【0049】
S110において、生産管理装置500が、入力された「サイクルタイム」が、これに対応する電子部品実装装置101〜104について初めて取得した「サイクルタイム」であると判断した場合には(S110でYESと判断)、プログラムをS112に進め、一方で、前記電子部品装着装置101〜104について既に「サイクルタイム」を取得していると判断した場合には(S110でNOと判断)、プログラムをS122に進める。
【0050】
S112において、生産管理装置500は、入力された「サイクルタイム」を、S115の処理で記憶部500bの「サイクルタイム一覧」に記憶された「暫定最速サイクルタイム」と置き換えて、「最速サイクルタイム」とする。S112が終了すると、プログラムは、S126に進行する。
【0051】
S122において、生産管理装置500が、入力された「サイクルタイム」が、記憶部500bの「サイクルタイム一覧」に記憶されている前記「サイクルタイム」に対応する電子部品実装装置101〜104の「最速サイクルタイム」(「暫定最速サイクルタイム」を含む)より短いと判断した場合には(S122でYESと判断)、プログラムをS124に進める。一方で、入力された「サイクルタイム」が、記憶部500bの「サイクルタイム一覧」に記憶されている前記「サイクルタイム」に対応する電子部品実装装置101〜104の「最速サイクルタイム」より長いと判断した場合には(S122でNOと判断)、プログラムをS126に進める。
【0052】
S124において、生産管理装置500は、「サイクルタイム一覧」に記憶されている「最速サイクルタイム」を、入力された「サイクルタイム」に置き換え、プログラムをS126に進める。
【0053】
S126において、図4に示すように、生産管理装置500は、入力された「サイクルタイム」を各電子部品実装装置101〜104ごとに記憶部500bの「サイクルタイム一覧」に記憶させる。S126が終了すると、プログラムをS102に戻す。
【0054】
このように、上述したS122及びS124の処理によって、生産管理装置500は、各電子部品実装装置101〜104の「サイクルタイム」のうち、最も短い「サイクルタイム」を「最速サイクルタイム」として選択し、「サイクルタイム一覧」記憶する。例えば、電子部品実装装置101について、1枚目のプリント基板Pの実装が完了した際には、1枚目の「サイクルタイム」(29秒)は、「理論サイクルタイム」(=「暫定サイクルタイム」(30秒))よりも短いので、1枚目の「サイクルタイム」(29秒)が、電子部品実装装置101の「最速サイクルタイム」に選択される。また、電子部品装着装置101について、3枚目のプリント基板Pの実装が完了した際には、3枚目の「サイクルタイム」(28秒)は、2枚目実装完了時点の「最速サイクルタイム」(29秒)より短いので、3枚目の「サイクルタイム」(28秒)が、電子部品実装装置101の「最速サイクルタイム」に選択される。
【0055】
以上説明した実施形態以外にも、生産管理装置500が、図4に示す「サイクルタイム一覧」に記憶されている各電子部品装着装置101〜104「サイクルタイム」のうち、各電子部品装着装置101〜104について、最も短い「サイクルタイム」を、「最速サイクルタイム」として選択する実施形態であっても差し支え無い。
【0056】
(ボトルネック装置特定処理)
次に、図4〜図6を参照して、上述した生産管理装置500が実行するボトルネック装置特定処理について説明する。S132において、生産管理装置500が、各電子部品実装装置101〜104のいずれかから「サイクルタイム」が入力されたと判断した場合には(S132でYESと判断)、プログラムをS134に進め、一方で、各電子部品実装装置101〜104のいずれかからもサイクルタイムが入力されていないと判断した場合には(S132でNOと判断)、S132の処理を繰り返す。
【0057】
S134において、生産管理装置500は、各電子部品実装装置101〜104の「サイクルタイム」の平均値である「実測平均サイクルタイム」を算出する。具体的には、生産管理装置500は、図4に示す「サイクルタイム一覧」に記憶されている「サイクルタイム」のうち、所定時間以上の「サイクルタイム」を除外して(例えば電子部品実装装置103の5枚目の200秒)、各電子部品実装装置101〜104について、「実測平均サイクルタイム」を算出する。なお、本実施形態では、所定時間以上の「サイクルタイム」とは、図6に示すように、ある電子部品実装装置101〜104の「サイクルタイム」の集合のうち、当該集合の平均値μから当該集合の標準偏差σ以上の長さの「サイクルタイム」のことである。或いは、所定秒数(例えば50秒)以上のサイクルタイムを除外することにしても差し支え無い。S134が終了すると、プログラムはS136に進行する。
【0058】
S136において、生産管理装置500は、S134で算出した全ての電子部品実装装置101〜104の「実測平均サイクルタイム」のうち、最も長い「実測平均サイクルタイム」の電子部品実装装置101〜104を実測ボトルネック装置として特定する(図3において★で示す装置)。S136が終了すると、プログラムはS138に進行する。
【0059】
S138において、生産管理装置500は、全ての電子部品実装装置101〜104の「最速サイクルタイム」のうち、最も長い「最速サイクルタイム」に対応する電子部品実装装置101〜104を、「最速サイクルタイム」に基づくボトルネック装置(以下、単にボトルネック装置と略す)として特定する(図3において☆で示す装置)。S138が終了すると、プログラムはS139に進行する。
【0060】
S139において、生産管理装置500は、S136で特定した実測ボトルネック装置(図4の★)、及び、S138で特定したボトルネック装置(図4の☆)を画像表示装置500dで表示する。S139が終了すると、プログラムは、S140に進行する。
【0061】
S140において、生産管理装置500は、実測ボトルネック装置(図3において★で示す装置)と、ボトルネック装置(図3において☆で示す装置)とが、同一で否かを判断し、同一であると判断した場合には(S140でYESと判断)、プログラムをS142に進め、一方で、同一で無いと判断した場合には(S140でNOと判断)、プログラムをS150に進める。
【0062】
S150において、生産管理装置500は、実測ボトルネック装置とボトルネック装置とが異なり、実測ボトルネック装置の改善を作業者に通知する。例えば、図3に示すように、生産管理装置500は、画像表示装置500dに、改善を要する実測ボトルネック装置を特定する表示を表示させる。S150が終了すると、プログラムはS132に戻る。
【0063】
S142において、生産管理装置500は、実測ボトルネック装置の「実測平均サイクルタイム」と、ボトルネック装置の「最速サイクルタイム」が所定以上開離しているか否かを判断し、所定以上開離していると判断した場合には(S142でYESと判断)、プログラムをS144に進め、一方で、所定以上開離していない判断した場合には(S142でNOと判断)、プログラムをS156に進める。
【0064】
S144において、生産管理装置500は、生産管理装置500は、作業者に実測ボトルネック装置の改善を通知する。例えば、生産管理装置500は、画像表示装置500dに、改善を要する実測ボトルネック装置を特定する表示を表示させる。S144が終了すると、プログラムはS132に戻る。
【0065】
S156において、生産管理装置500は、電子部品実装ライン200に問題が無いことを作業者に通知する。具体的には、生産管理装置500は、画像表示装置500dに、電子部品実装ライン200に問題が無い旨の表示を表示させる。或いは、生産管理装置500は、画像表示装置500dにおいて、特別な警告を表示させない。S156が終了すると、プログラムはS132に戻る。
【0066】
(サイクルタイムバランスイメージ算出処理)
次に、図7及び図8を参照して、「サイクルタイムバランスイメージ算出処理」の説明をする。S161において、生産管理装置500、「サイクルタイムバランスイメージ」(図8示)を生成する指示が入力されたか否か判断する。前記指示は、作業者の図示しない操作部の操作により、生産管理装置500に入力される。生産管理装置500が、先記指示が入力されたと判断した場合には、(S161でYESと判断)、プログラムをS162に進め、一方で、前記指示が入力されていないと判断した場合には(S161でNOと判断)、S161の処理を繰り返す。
【0067】
S162において、生産管理装置500は、「サイクルタイム一覧」(図4示)に記憶されているサイクルタイムに基づいて、各電子部品実装装置101〜104について、それぞれの電子部品実装装置101〜104の全ての「サイクルタイム」の平均値(以下、「全サイクルタイムの平均」と略す)を算出し、プログラムをS163に進める。S163において、生産管理装置500は、全ての電子部品実装装置101〜104の「最速サイクルタイム」を「サイクルタイム一覧」から取得し、プログラムをS164に進める。
【0068】
S164において、生産管理装置500は、S162で算出した「全サイクルタイムの平均」及びS163で取得した「最速サイクルタイム」に基づいて、図8に示す「サイクルタイムバランスイメージ」を生成して、画像表示装置500dに表示させる。「サイクルタイムバランスイメージ」とは、各電子部品実装装置101〜104について、「最速サイクルタイム」と「全サイクルタイムの平均」を並べて表示したイメージである。作業者は、各電子部品実装装置101〜104について、「最速サイクルタイム」と「全サイクルタイムの平均」を見比べることにより、「最速サイクルタイム」と「全サイクルタイムの平均」との差が大きい場合には、当該電子部品実装装置101〜104において何らかの問題が生じていることを認識することができる。S164が終了すると、プログラムはS165に進行する。
【0069】
S165において、生産管理装置500は、各電子部品実装装置101〜104について、「全サイクルタイムの平均」と「最速サイクルタイム」の差分を算出し、プログラムをS166に進める。
【0070】
S166において、図8に示すように、生産管理装置500は、S165で算出した「全サイクルタイムの平均」と「最速サイクルタイム」の差分に基づいて、「全サイクルタイムの平均」と「最速サイクルタイム」の差が大きい順番に、電子部品実装装置101〜104の装置番号を並べて、画像表示装置500dに表示させる。そして、生産管理装置500は、「全サイクルタイムの平均」と「最速サイクルタイム」の差が大きい電子部品実装装置101〜104を、要改善装置として特定し、当該要改善装置を画像表示装置500dに表示させる(図8の●で示す)。S166が終了すると、プログラムはS161に戻る。
【0071】
以上説明した実施形態では、S162において、それぞれの電子部品実装装置101〜104の全ての「サイクルタイム」の平均値を算出しているが、上述した図5のS134の処理と同様に、所定時間以上の「サイクルタイム」を除外して「実測平均サイクルタイム」を算出しても差し支え無い。また、S164において、「実測平均サイクルタイム」を、「最速サイクルタイム」及び「全サイクルタイムの平均」とともに、画像表示装置500dで表示させても差し支え無い。また、S161において、生産管理装置500は、電子部品実装装置101〜104のいずれかから「サイクルタイム」が入力された場合に、プログラムをS162に進める実施形態であっても差し支え無い。
【0072】
(サイクルタイム変移イメージ生成処理)
次に、図9及び図10を参照して、サイクルタイム変移イメージ生成処理の説明をする。S171において、生産管理装置500は、「サイクルタイム変移イメージ」(図10、図11示)を生成する指示が入力されたか否か判断する。前記指示は、作業者の図示しない操作部の操作により、生産管理装置500に入力される。生産管理装置500が、先記指示が入力されたと判断した場合には、(S171でYESと判断)、プログラムをS172に進め、一方で、前記指示が入力されていないと判断した場合には(S171でNOと判断)、S171の処理を繰り返す。
【0073】
S172において、生産管理装置500は、電子部品実装装置101〜104の「最速サイクルタイム」を「サイクルタイム一覧」から取得し、プログラムをS173に進める。S173において、生産管理装置500は、電子部品実装装置101〜104の全ての「サイクルタイム」を記憶部500bから取得し、プログラムをS174に進める。
【0074】
S174において、生産管理装置500は、S172で取得した「最速サイクルタイム」及びS173で取得した全ての「サイクルタイム」に基づいて、図10や図11に示す「サイクルタイムの変位イメージ」を生成し、画像表示装置500dに表示させる。図10に示すサイクルタイムの変位イメージは、電子部品実装装置101〜104ごとに、「最速サイクルタイム」とともに、「サイクルタイム」を時系列順に並べた表示である。作業者は、図10や図11に示す「サイクルタイムの変位イメージ」から、実際の「サイクルタイム」の変位が「最速サイクルタイム」からの開離度合いを認識することができる。例えば、「サイクルタイム」が、「最速サイクルタイム」と比較して極端に長い場合には(図10に示す5番目のサイクルタイム)、当該電子部品実装装置101〜104において、何らかの問題が生じていた(ダウンタイムが発生)ことを表している。また、図11の(A)に示すように、「最速サイクルタイム」に対して、「サイクルタイム」が長い状態が維持されている場合には、当該電子部品実装装置101〜104において、恒久的な問題が発生していることを表している。また、図11の(B)に示すように、「最速サイクルタイム」に対して、「サイクルタイム」が徐々に長くなっている場合には、当該電子部品実装装置101〜104において問題が深刻化しつつあることを表している。このように、作業者は、「最速サイクルタイム」や「サイクルタイム」の変移(経時変化)から、当該電子部品実装装置101〜104における問題を認識することができる。S174が終了すると、プログラムはS171に戻る。
【0075】
なお、S171において、生産管理装置500は、電子部品実装装置101〜104のいずれかから「サイクルタイム」が入力された場合に、プログラムをS172に進める実施形態であっても差し支え無い。
【0076】
(性能効率算出処理)
以下に、図12のフローを参照して、「性能効率算出処理」について説明する。S181において、生産管理装置500が、性能効率算出指令が入力されたと判断した場合には(S181においてYESと判断)、プログラムをS182に進め、一方で、性能効率算出指令が入力されていないと判断した場合には(S181においてNOと判断)、S181の処理を繰り返す。なお、性能効率算出指令は、作業者の図示しない操作部の操作により、生産管理装置500に入力される。
【0077】
S182において、生産管理装置500は、ある電子部品実装装置101〜104の「最速サイクルタイム」(a)を「サイクルタイム一覧」(図4示)から取得し、プログラムをS183に進める。
【0078】
S183において、生産管理装置500は、S182で「最速サイクルタイム」を取得した電子部品実装装置101〜104の総実装枚数(b)を取得し、プログラムをS184に進める。生産管理装置500は、電子部品実装装置101〜104の総実装枚数(b)を、「サイクルタイム一覧」から取得し、或いは、電子部品実装装置101〜104から取得する。
【0079】
S184において、生産管理装置500は、S182で「最速サイクルタイム」を取得した電子部品実装装置101〜104の総実装時間(c)を取得する。なお、総実装時間(c)とは、電子部品実装装置101〜104において、プリント基板Pの実装を開始してから現在までの時間であり、ある電子部品実装装置101〜104にプリント基板Pが搬入されてから搬出されるまでの実装時間、及び、プリント基板Pが搬出されてから搬入されるまでの待機時間を含む時間である。また、総実装時間(c)には、異常による電子部品実装装置101〜104の停止時間や実装するプリント基板Pの種類の切替のための準備期間は含まれない。S184が終了すると、プログラムはS185に進行する。
【0080】
S185において、生産管理装置500は、S182〜S184で取得した情報(a)〜(c)を下式(1)に代入することにより、「最速サイクルタイム」(a)に総実装枚数(b)を乗じて最速実装総時間(t)を差出し、次いで、最速実装総時間(t)から総実装時間(c)を除して、電子部品実装装置101〜104の性能効率(Ef)を算出する。生産管理装置500は、性能効率(Ef)を、画像表示装置500dに表示させる。S185が終了すると、プログラムはS186に進行する。
【0081】
(数1)
Ef=a×b/c×100=t/c×100…(1)
Ef:電子部品実装装置の性能効率
a:電子部品実装装置の最速サイクルタイム
b:電子部品実装装置の総実装枚数
c:電子部品実装装置の総実装時間
t:電子部品実装装置の最速実装総時間
【0082】
S186において、生産管理装置500が、全ての電子部品実装装置101〜104について性能効率を算出したと判断した場合には(S186でYESと判断)、プログラムをS181に進め、一方で、全ての電子部品実装装置101〜104について性能効率を算出していないと判断した場合には(S186でNOと判断)、プログラムをS182に戻し、性能効率が算出されていない電子部品実装装置101〜104について、S182〜S185の処理を繰り返す。
【0083】
以下に、(比較例1)及び(比較例2)を示すことにより、「最速サイクルタイム」を用いて電子部品実装装置101〜104の性能効率(Ef)を算出した場合の効果について説明する。
【0084】
(比較例1)
理論サイクルタイム:30秒
最速サイクルタイム(a):31.5秒
総実装枚数(b):1000枚
総実装時間(c):3150秒
理論サイクルタイムに基づく性能効率(Ef1)
=(30×1000)/31500×100=95.24[%]
最速サイクルタイムに基づく性能効率(Ef)
=(31.5×1000)/31500×100=100[%]
【0085】
比較例1においては、「理論サイクルタイム」に基づく性能効率(Ef1)は95.24[%]であり、電子部品実装装置101〜104において、改善の余地があることを示している。しかし、「最速サイクルタイム」に基づく性能効率(Ef)は100[%]であり、電子部品実装装置101〜104において、改善の余地が無いことを示している。このように、「最速サイクルタイム」に基づく性能効率(Ef)を用いると、電子部品実装装置101において改善の余地が無いにも関わらず、改善の余地が有ると判断してしまうことを防止することができる。
【0086】
(比較例2)
理論サイクルタイム:30秒
最速サイクルタイム(a):28.5秒
総実装枚数(b):1000枚
総実装時間(c):3000秒
理論サイクルタイムに基づく性能効率(Ef2)
=(30×1000)/30000×100=100[%]
最速サイクルタイムに基づく性能効率(Ef)
=(28.5×1000)/30000×100=95[%]
【0087】
比較例2においては、「理論サイクルタイム」に基づく性能効率(Ef2)は100[%]であり、電子部品実装装置101〜104において、改善の余地が無いことを示している。しかし、「最速サイクルタイム」に基づく性能効率(Ef)は95[%]であり、電子部品実装装置101〜104において、改善の余地が有ることを示している。このように、「最速サイクルタイム」に基づく性能効率(Ef)を用いると、電子部品実装装置101において改善の余地が有るにも関わらず、改善の余地が無いと判断してしまうことを防止することができる。
【0088】
以上説明した実施形態では、図1に示す生産管理装置500(最速サイクルタイム選択手段)は、図3に示すS102〜S126の処理を実行することにより、各電子部品実装装置101〜104の最も短い「サイクルタイム」を、各電子部品実装装置101〜104の「最速サイクルタイム」としてそれぞれ選択する(図4示)。これにより、ある電子部品実装装置101〜104にプリント基板Pが搬入されて、当該プリント基板Pに電子部品が実装した後に、プリント基板Pが搬出されるまでの実際の「サイクルタイム」のうちで、最速のものが、「最速サイクルタイム」として選択される。つまり、「最速サイクルタイム」は、実際の電子部品実装装置の能力と開離しない。このように、電子部品実装装置101〜104の能力や生産ロスの分析にあたり、「最速サイクルタイム」という信頼性の高い指標を求めることが可能となった。このため、電子部品実装装置101〜104において、改善の余地が無いにも関わらず、問題があると判断されてしまうことや、改善の余地が存在するのにも関わらず、問題が無いと判断されてしまうことが無い。
【0089】
また、図1に示す生産管理装置500(最速サイクルタイム選択手段)は、図3に示すS108において、エラーを含む「サイクルタイム」を「最速サイクルタイム」の選択候補から除外して、「最速サイクルタイム」を選択する。これにより、エラーを含み指標として理想的で無い「サイクルタイム」が、「最速サイクルタイム」として選択されることが防止される。
【0090】
また、図1に示す生産管理装置500(実装状態分析情報生成手段)は、各電子部品実装装置101〜104の各「最速サイクルタイム」に基づいて、各電子部品実装装置101〜104の実装状態を分析するための情報(図4、図8、図10、図11、及び、上述した性能効率(Ef))を生成する。これにより、作業者は、各電子部品実装装置101〜104の能力や、生産ロス、問題を認識することが可能となる。
【0091】
また、図1に示す生産管理装置500(実装状態分析情報生成手段)は、図5のS139において、ボトルネック装置、及び、実測ボトルネック装置を、画像表示装置500dに表示させる(図4示)。これにより、作業者は、「最速サイクルタイム」に基づくボトルネック装置と実測ボトルネック装置とが異なることを認識することができる。このため、実測ボトルネック装置に何らかの慢性的な問題が生じていることを認識することができる。
【0092】
また、図1に示す生産管理装置500(実装状態分析情報生成手段)は、「最速サイクルタイム」に基づくボトルネック装置と、実測ボトルネック装置を比較し、「最速サイクルタイム」に基づくボトルネック装置と実測ボトルネック装置が異なる場合と判断した場合には(図5のS140でNOと判断)、図5のS150において、その旨を、画像表示装置500dに表示させる(図4示)。これにより、作業者は、「最速サイクルタイム」に基づくボトルネック装置と、実測ボトルネック装置が異なることを容易に認識することができる。
【0093】
また、図1に示す生産管理装置500(実測平均サイクルタイム算出手段)は、図5のS134において、図6に示すように、所定時間以上の「サイクルタイム」を除外して、「実測平均サイクルタイム」を算出する。これにより、深刻な問題の発生による電子部品実装装置101〜104の長時間の停止や、実装するプリント基板Pの種類の切替による電子部品実装装置101〜104の長時間の停止に起因する長い「サイクルタイム」が、「実測平均サイクルタイム」の算出において除外される。このため、突出して長い「サイクルタイム」により、「実測平均サイクルタイム」が長期間に渡って長くなってしまうという悪影響が防止され、「実測平均サイクルタイム」を用いた各電子部品実装装置101〜104の実装状態の分析を精度高く行うことができる。
【0094】
また、図1に示す生産管理装置500(実装状態分析情報生成手段)は、図7のS164において、各電子部品実装装置101〜104の「全サイクルタイムの平均」(図7のS162で算出)、及び、「最速サイクルタイム」を、図8に示す「サイクルタイムバランスイメージ」として画像表示装置500dに表示させる。これにより、作業者は、図8に示す「サイクルタイムバランスイメージ」を確認することにより、各電子部品実装装置101〜104について、「最速サイクルタイム」と「全サイクルタイムの平均」を比較することができる。このため、「最速サイクルタイム」と「全サイクルタイムの平均」との差がある場合には、作業者は、当該電子部品実装装置101〜104において何らかの問題が生じていることを認識することができる。
【0095】
また、図1に示す生産管理装置500(実装状態分析情報生成手段)は、図7のS166において、「全サイクルタイムの平均」と「最速サイクルタイム」の差が最も大きい電子部品実装装置101〜104を要改善装置として特定し、特定された要改善装置を画像表示装置500dに表示させる(図8示)。これにより、図8に示すように、電子部品実装装置103において何らかの問題が生じ、電子部品実装装置103のサイクルタイムが長くなり、結果として「全サイクルタイムの平均」と「最速サイクルタイム」との差が最も大きくなった電子部品実装装置103が、要改善装置として画像表示装置500dに表示される。このため作業者は、要改善装置において、何らかの問題が生じていることを容易に認識することができる。
【0096】
また、図1に示す生産管理装置500(実装状態分析情報生成手段)は、図9に示すS174において、図9や図10に示すように、同一の電子部品実装装置101〜104について、「最速サイクルタイム」とともに、「サイクルタイム」を時系列順に、画像表示装置500dに表示させる。これにより、作業者は、「サイクルタイム」の変移を「最速サイクルタイム」と比較することにより、当該電子部品実装装置101〜104における問題の発生や恒久的な生産ロスの発生を認識することができる。
【0097】
また、図1に示す生産管理装置500(実装状態分析情報生成手段)は、図12に示すS185において、「最速サイクルタイム」(a)に総実装枚数(b)を乗じて最速実装総時間(t)を算出し、当該最速実装総時間(t)から総実装時間(c)を除して、電子部品実装装置の性能効率(Ef)を算出する。これにより、「理論サイクルタイム」を用いて、性能効率を算出した場合と比較して、より精度高く電子部品実装装置101〜104の性能効率(Ef)を算出することができる。
【0098】
以上説明した実施形態では、プリント基板Pが搬入されてから搬出されるまでのサイクルタイムを計測するサイクルタイム計測手段は、各電子部品実装装置101〜104に設けられている。しかし、サイクルタイム計測手段が、生産管理装置500側に設けられている実施形態であっても差し支え無い。この実施形態の場合には、各電子部品実装装置101〜104は、プリント基板Pが搬入された時刻、及び、当該プリント基板Pが搬出された時刻を、生産管理装置500に出力する。生産管理装置500は、プリント基板Pが搬入された時刻、及び、当該プリント基板Pが搬出された時刻に基づいて、各電子部品実装装置101〜104のサイクルタイムを計測する。
【0099】
なお、以上説明した実施形態では、作業者に生産管理装置500で生成された情報を報知する報知手段は、画像表示装置500dであるが、スピーカや他のコンピュータ装置に前記情報を出力する出力手段等であっても差し支え無い。
【符号の説明】
【0100】
100〜104…電子部品実装装置(エラー出力手段)、 200…電子部品実装ライン、 500…生産管理装置(サイクルタイム取得手段、最速サイクルタイム選択手段、実装状態分析情報生成手段、実測平均サイクルタイム算出手段、実測ボトルネック装置特定手段、ボトルネック装置特定手段、実装枚数取得手段、最速総実装総時間算出時間、総実装時間取得手段)、 500d…画像表示装置(報知手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品実装装置のサイクルタイムから改善点や問題を発見する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数の電子部品実装装置が隣接して並設された電子部品実装ラインが有る。この電子部品実装ラインでは、プリント基板を順次隣接する電子部品実装装置に搬送して、各電子部品実装装置において電子部品をプリント基板に順次実装する。各電子部品実装装置においては、それぞれ、プリント基板に実装する電子部品の種類や位置、数が異なる。このため、電子部品実装装置にプリント基板が搬入されてから、当該電子部品実装装置において電子部品の実装を行い、電子部品が実装されたプリント基板を搬出するまでのサイクルタイムは、各電子部品実装装置によって異なる。
【0003】
このように、各電子部品実装装置で、サイクルタイムが異なるため、サイクルタイムが最も長い電子部品実装装置がボトルネックとなり、電子部品実装ライン全体の生産効率が低下してしまう。もし、ボトルネックとなる電子部品実装装置を改善することができれば、電子部品実装ライン全体の生産効率を改善することができる。このため、各電子部品実装装置のサイクルタイムを分析するための技術が要望されていた。
【0004】
そこで、特許文献1に示されるように各工程の理論サイクルタイムをシミュレーションするサイクルタイムシミュレータが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−158016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に示されるようなサイクルタイムシミュレータでは、サイクルタイムシミュレータの精度や、装置個体の違いにより、全く動作ロスがないと演算された理論サイクルタイムが、実際のサイクルタイムと開離してしまうという問題があった。このため、実際のサイクルタイムが理論サイクルタイムよりも恒久的に長い場合、換言すると、理論サイクルタイムが実際の電子部品実装装置の最高能力を越える場合には、電子部品実装装置において改善の余地が無いにも関わらず、改善の余地があると判断されてしまうという問題があった。一方で、実際のサイクルタイムのほうが、理論サイクルタイムよりも短くなる場合もあり、この場合には、電子部品実装装置において改善の余地が存在するのにも関わらず、改善の余地が無いと判断されてしまうという問題もあった。このように、従来の理論サイクルタイムを用いた電子部品実装装置の能力や生産ロスの分析では、信頼性に欠けるという問題があった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、電子部品実装装置の能力や生産ロスの分析にあたり、信頼性の高い指標を求めることができる電子部品実装システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するためになされた、請求項1に係る電子部品実装システムは、プリント基板に電子部品を実装する複数の電子部品実装装置が隣接して並設され、プリント基板を順次隣接する前記電子部品実装装置に搬送して、前記各電子部品実装装置において供給される電子部品を前記搬送されたプリント基板に順次実装する電子部品実装ラインと、前記各電子部品実装装置と通信可能に接続され、前記各電子部品実装装置から情報が入力される生産管理装置と、から構成される電子部品実装システムであって、前記各電子部品実装装置において、前記プリント基板が搬入されてから搬出されるまでの時間であるサイクルタイムを取得するサイクルタイム取得手段と、前記サイクルタイム取得手段が取得した前記各電子部品実装装置のサイクルタイムのうち、前記各電子部品実装装置の最も短いサイクルタイムを、前記各電子部品実装装置の最速サイクルタイムとしてそれぞれ選択する最速サイクルタイム選択手段が、前記生産管理装置に設けられている。
【0009】
請求項2に係る電子部品実装装置システムは、請求項1において、前記各電子部品実装装置は、プリント基板に電子部品を実装する際のエラーを検出し、前記エラーを前記生産管理装置に出力するエラー出力手段を有し、前記最速サイクルタイム選択手段は、前記エラーを含むサイクルタイムを前記最速サイクルタイムの選択候補から除外して、前記最速サイクルタイムを選択する。
【0010】
請求項3に係る電子部品実装装置システムは、請求項1又は請求項2において、前記最速サイクルタイム選択手段によって選択された各最速サイクルタイムに基づいて、各電子部品実装装置の実装状態を分析するための情報を生成する実装状態分析情報生成手段が、前記生産管理装置に設けられている。
【0011】
請求項4に係る電子部品実装装置システムは、請求項3において、各電子部品実装装置毎の前記サイクルタイムの平均値である実測平均サイクルタイムを算出する実測平均サイクルタイム算出手段と、前記各実測平均サイクルタイム算出手段によって算出された前記全ての電子部品実装装置の前記実測平均サイクルタイムのうち、最も長い実測平均サイクルタイムの前記電子部品実装装置を実測ボトルネック装置として特定する実測ボトルネック装置特定手段と、前記最速サイクルタイム選択手段によって選択された前記全ての電子部品実装装置の前記最速サイクルタイムのうち、最も長い最速サイクルタイムの前記電子部品実装装置をボトルネック装置として特定するボトルネック装置特定手段と、情報を報知する報知手段が、前記生産管理装置に設けられ、前記実装状態分析情報生成手段は、前記ボトルネック装置特定手段が特定した前記ボトルネック装置、及び、前記実測ボトルネック装置特定手段が特定した前記実測ボトルネック装置を、前記報知手段で報知させる。
【0012】
請求項5に係る電子部品実装装置システムは、請求項3において、前記各電子部品実装装置毎の前記サイクルタイムの平均値である実測平均サイクルタイムを算出する実測平均サイクルタイム算出手段と、前記各実測平均サイクルタイム算出手段によって算出された前記全ての電子部品実装装置の前記実測平均サイクルタイムのうち、最も長い実測平均サイクルタイムの前記電子部品実装装置を実測ボトルネック装置として特定する実測ボトルネック装置特定手段と、前記最速サイクルタイム選択手段によって選択された前記全ての電子部品実装装置の前記最速サイクルタイムのうち、最も長い最速サイクルタイムの前記電子部品実装装置をボトルネック装置として特定するボトルネック装置特定手段と、情報を報知する報知手段が、前記生産管理装置に設けられ、前記実装状態分析情報生成手段は、前記ボトルネック装置特定手段が特定した前記ボトルネック装置と、前記実測ボトルネック装置特定手段が特定した前記実測ボトルネック装置を比較し、前記ボトルネック装置と前記実測ボトルネック装置が異なる場合には、その旨を前記報知手段で報知させる。
【0013】
請求項6に係る電子部品実装装置システムは、請求項3において、前記各電子部品実装装置毎の前記サイクルタイムの平均値である実測平均サイクルタイムを算出する実測平均サイクルタイム算出手段と、情報を報知する報知手段が、前記生産管理装置に設けられ、前記実装状態分析情報生成手段は、各電子部品実装装置について、前記実測平均サイクルタイム算出手段が算出した実測平均サイクルタイム、及び、前記最速サイクルタイム選択手段によって選択された最速サイクルタイムを前記報知手段で報知させる。
【0014】
請求項7に係る電子部品実装装置システムは、請求項3において、前記各電子部品実装装置毎の前記サイクルタイムの平均値である実測平均サイクルタイムを算出する実測平均サイクルタイム算出手段と、情報を報知する報知手段が、前記生産管理装置に設けられ、前記実装状態分析情報生成手段は、前記実測平均サイクルタイム算出手段が算出した実測平均サイクルタイムと、前記最速サイクルタイム選択手段によって選択された最速サイクルタイムの差が最も大きい前記電子部品実装装置を要改善装置として特定し、前記特定された要改善装置を前記報知手段で報知させる。
【0015】
請求項8に係る電子部品実装装置システムは、請求項4〜請求項7において、実測平均サイクルタイム算出手段は、所定時間以上のサイクルタイムを除外して、実測平均サイクルタイムを算出する。
【0016】
請求項9に係る電子部品実装装置システムは、請求項3において、前記生産管理装置は、画像表示装置を備え、前記実装状態分析情報生成手段は、同一の前記電子部品実装装置について、前記最速サイクルタイム選択手段が選択した前記最速サイクルタイムとともに、前記サイクルタイム取得手段が取得した前記サイクルタイムを時系列順に、前記画像表示装置に表示させる。
【0017】
請求項10に係る電子部品実装装置システムは、請求項3において、前記電子部品実装装置における前記プリント基板の総実装枚数を取得する実装枚数取得手段と、前記電子部品実装装置における前記プリント基板の総実装時間を取得する実測実装総時間取得手段が、前記生産管理装置に設けられ、前記実装状態分析情報生成手段は、前記最速サイクルタイム選択手段が選択した前記最速サイクルタイムに、前記実装枚数取得手段が取得した前記プリント基板の総実装枚数を乗じて最速実装総時間を算出し、当該最速実装総時間を前記実測実装総時間取得手段が取得した前記総実装時間で除して、前記電子部品実装装置の性能効率を算出する。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に係る発明によると、最速サイクルタイム選択手段は、各電子部品実装装置の最も短いサイクルタイムを、各電子部品実装装置の最速サイクルタイムとしてそれぞれ選択する。これにより、電子部品実装装置にプリント基板が搬入されて、当該プリント基板に電子部品が実装した後に、前記プリント基板が搬出されるまでの実際のサイクルタイムのうちで、最速のものが最速サイクルタイムとして選択される。つまり、最速サイクルタイムは、実際の電子部品実装装置の能力と開離しない。このように、電子部品実装装置の能力や生産ロスの分析にあたり、最速サイクルタイムという信頼性の高い指標を求めることが可能となった。
【0019】
請求項2に係る電子部品実装装置システムによれば、最速サイクルタイム選択手段は、エラーを含むサイクルタイムを最速サイクルタイムの選択候補から除外して、最速サイクルタイムを選択する。これにより、エラーを含み指標として理想的で無いサイクルタイムが、最速サイクルタイムとして選択されることを防止することができる。
【0020】
請求項3に係る電子部品実装装置システムによれば、実装状態分析情報生成手段は、最速サイクルタイム選択手段によって選択された各最速サイクルタイムに基づいて、各電子部品実装装置の実装状態を分析するための情報を生成する。これにより、作業者は、各電子部品実装装置の能力や、生産ロス、問題を認識することが可能となる。
【0021】
請求項4に係る電子部品実装装置システムによれば、実装状態分析情報生成手段は、ボトルネック装置特定手段が特定したボトルネック装置、及び、実測ボトルネック装置特定手段が特定した実測ボトルネック装置を、報知手段で報知させる。これにより、作業者は、最速サイクルタイムに基づくボトルネック装置と実測ボトルネック装置とが異なることを認識することができる。このため、作業者は、実測ボトルネック装置に何らかの慢性的な問題が生じていることを認識することができる。
【0022】
請求項5に係る電子部品実装装置システムによれば、実装状態分析情報生成手段は、最速サイクルタイムに基づくボトルネック装置と、実測ボトルネック装置を比較し、最速サイクルタイムに基づくボトルネック装置と実測ボトルネック装置が異なる場合には、その旨を報知手段で報知させる。これにより、作業者は、最速サイクルタイムに基づくボトルネック装置と、実測ボトルネック装置が異なることを容易に認識することができる。
【0023】
請求項6に係る電子部品実装装置システムによれば、実装状態分析情報生成手段は、各電子部品実装装置について、実測平均サイクルタイム算出手段が算出した実測平均サイクルタイム、及び、最速サイクルタイム選択手段によって選択された最速サイクルタイムを報知手段で報知させる。これにより、作業者は、各電子部品実装装置について、最速サイクルタイムと実測平均サイクルタイムの平均を比較することができる。このため、最速サイクルタイムと実測平均サイクルタイムの平均との差がある場合には、作業者は、当該電子部品実装装置において何らかの問題が生じていることを認識することができる。
【0024】
請求項7に係る電子部品実装装置システムによれば、実装状態分析情報生成手段は、実測平均サイクルタイム算出手段が算出した実測平均サイクルタイムと、最速サイクルタイム選択手段によって選択された最速サイクルタイムの差が最も大きい電子部品実装装置を要改善装置として特定し、特定された要改善装置を報知手段で報知させる。これにより、ある電子部品実装装置において何らかの問題が生じ、当該電子部品実装装置のサイクルタイムが長くなり、結果として実測平均サイクルタイムと最速サイクルタイムとの差が最も大きくなった装置が、要改善装置として特定されて報知される。このため作業者は、要改善装置において、何らかの問題が生じていることを容易に認識することができる。
【0025】
請求項8に係る電子部品実装装置システムによれば、実測平均サイクルタイム算出手段は、所定時間以上のサイクルタイムを除外して、実測平均サイクルタイムを算出する。これにより、深刻な問題の発生による電子部品実装装置の長時間の停止や、実装するプリント基板の種類の切替による電子部品実装装置の長時間の停止に起因する長いサイクルタイムが、実測平均サイクルタイムの算出において除外される。このため、突出して長いサイクルタイムにより、実測平均サイクルタイムが長期間に渡って長くなってしまうという悪影響が防止され、実測平均サイクルタイムを用いた各電子部品実装装置の実装状態の分析を精度高く行うことができる。
【0026】
請求項9に係る電子部品実装装置システムによれば、実装状態分析情報生成手段は、同一の電子部品実装装置について、最速サイクルタイムとともに、サイクルタイムを時系列順に、画像表示装置に表示させる。これにより、作業者は、サイクルタイムの変移を最速サイクルタイムと比較することにより、当該電子部品実装装置における問題の発生や恒久的な生産ロスの発生を認識することができる。
【0027】
請求項10に係る電子部品実装装置システムによれば、実装状態分析情報生成手段は、最速サイクルタイムに総実装枚数を乗じて算出された最速実装総時間から総実装時間を除して、電子部品実装装置の性能効率を算出する。これにより、理論サイクルタイムを用いて、性能効率を算出した場合と比較して、より精度高く電子部品実装装置の性能効率を算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本実施形態の電子部品実装システムの上面図である。
【図2】電子部品実装装置の斜視図である。
【図3】図1に示す生産管理装置で実行される制御プログラムである最速サイクルタイム選択処理のフローチャートである。
【図4】記憶部に記憶され画像表示装置に表示されるサイクルタイム一覧を表した図である。
【図5】図1に示す生産管理装置で実行される制御プログラムであるボトルネック装置特定処理のフローチャートである。
【図6】サイクルタイムの集合を表したグラフであり、横軸がサイクルタイムの秒数、縦軸がサイクルタイムのサンプル数である。
【図7】図1に示す生産管理装置で実行される制御プログラムであるサイクルタイムバランスイメージ生成処理のフローチャートである。
【図8】サイクルタイムバランスイメージを表した図である。
【図9】図1に示す生産管理装置で実行される制御プログラムであるサイクルタイム変位イメージ生成処理のフローチャートである。
【図10】サイクルタイムの変移イメージを表した図である。
【図11】サイクルタイムの変移イメージを表した図である。
【図12】図1に示す生産管理装置で実行される制御プログラムである性能効率算出処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(電子部品実装システムの説明)
本発明に係る電子部品実装システムの実施形態を、図面に基づいて以下に説明する。電子部品実装装置100の幅方向をX軸方向とし、電子部品実装装置100の前後方向をY軸方向とし、電子部品実装装置100の上下方向をZ軸方向とする。図1に示すように、本実施形態の電子部品実装システムは、電子部品実装ライン200と、生産管理装置500とから構成されている。
【0030】
電子部品実装ライン200は、複数の電子部品実装装置101〜104がX軸方向に連続されるように幅方向(X軸方向)互いに隣接して並設されて構成されている。この電子部品実装ライン200によって、プリント基板Pが順次隣接する電子部品実装装置101〜104に搬送され、各電子部品実装装置101〜104において供給される電子部品が搬送されたプリント基板Pに順次実装される。図1に示す実施形態では、電子部品実装ライン200は、4台電子部品実装装置101〜104によって構成されているが、電子部品実装装置101…は、4台に限定されず、2台や3台又は5台以上であっても差し支え無い。
【0031】
生産管理装置500は、各電子部品実装装置101〜104と通信可能に接続され、各電子部品実装装置101〜104からの情報が入力される。生産管理装置500については、各電子部品実装装置101〜104の構成を説明した後に説明する。
【0032】
(電子部品実装装置の説明)
以下に、図2を参照して、電子部品実装装置101〜104の具体的な構成について説明する。以下において、電子部品実装装置101〜104を、電子部品実装装置100として説明する。電子部品実装装置100は、電子部品供給装置10、基板搬送装置80、及び、移載装置90を備えている。電子部品供給装置10は、複数のカセット式のフィーダ11から構成されている。これらのフィーダ11は、電子部品実装装置100の基台83の端部に設けられたフィーダ装着部12に装着される。各フィーダ11は、フィーダ装着部12に着脱可能に装着される本体13と、この本体13の後部に着脱可能に装着された複数の供給リール14と、本体13の先端に設けられた供給部15を備えている。
【0033】
各供給リール14には、所定個数の電子部品を一定のピッチ間隔で保持したキャリアテープが巻回されている。フィーダ11は、供給リール14に巻回されたキャリアテープを1ピッチずつ送り出して、電子部品を供給部15に1個ずつ移送する移送機構(図示省略)を備えている。
【0034】
各電子部品実装装置100の基台83上には、プリント基板PをX軸方向に搬送する基板搬送装置80が設けられている。基板搬送装置80は、基台83上に一対のガイドレール84a、84bを互い平行に対向させてそれぞれ水平に並設し、このガイドレール84a、84bによりそれぞれ案内されるプリント基板Pを支持して搬送する一対のコンベアベルト(図示省略)を互いに対向させて並設して構成されたものである。各電子部品実装装置100は、基板搬送装置80がX方向に連続されるように互いに隣接して配置されている。そして、各電子部品実装装置100の基板搬送装置80は互いに連動して作動され、各プリント基板Pを隣の基板搬送装置80上に順次送り込んで、所定位置に位置決め保持するようになっている。
【0035】
移載装置90は、XYロボットタイプのものであり、基台83上に装架されて基板搬送装置80及び電子部品供給装置10の上方に配設されている。移載装置90は、Y軸方向に配設されたガイドレール92と、ガイドレール92に沿ってY軸方向に移動可能なY軸スライド93を備えている。Y軸スライド93は、Y軸サーボモータ91の出力軸に連結されたボールねじ91aを有するボールねじ機構によってY軸方向に移動される。Y軸スライド93には、X軸スライド94がY軸方向と直交するX軸方向に移動可能に案内されている。Y軸スライド93にはX軸サーボモータ97が設置され、このX軸サーボモータ97の出力軸に連結された図略のボールねじ機構によってX軸スライド94がX軸方向に移動される。
【0036】
X軸スライド94には、装着ヘッド95及び基板認識用カメラ75が取り付けられている。このような構造により、装着ヘッド95及び基板認識用カメラ75は、基台83に水平方向移動可能に装架されている。吸着ヘッド96は、Z軸方向に昇降可能に、装着ヘッド95に案内支持され、ボールねじを介してサーボモータ98により昇降が制御される。吸着ヘッド96には、下方に突出した円筒状の吸着ノズル96aが設けられている。この吸着ノズル96aで、供給部15にある電子部品を負圧により吸着してプリント基板Pに装着する。基板認識用カメラ75は、基板搬送装置80により搬入されて位置決め保持されたプリント基板P上に設けられた基板マークSmの位置を認識するものである。
【0037】
電子部品供給装置10と基板搬送装置80との間には、部品認識用カメラ70と照明装置(図示省略)が設けられている。部品認識用カメラ70は、装着ヘッド95の下方から装着ヘッド95の下端部を撮像する。照明装置は、装着ヘッド95の下端を下方から照明する。部品認識用カメラ70は、吸着ノズル96aによって吸着された電子部品の吸着ノズル96aの中心線に対する芯ずれを検出するものである。
【0038】
制御部50は、電子部品実装装置100の統括制御を行うものであり、電子部品供給装置10、基板搬送装置80、移載装置90の各サーボモータ、及び、サーボモータ98に指令を出力することにより、これらを制御する。制御部50は、基板認識用カメラ75によって検出されたプリント基板P上に設けられた基板マークSmの位置に基づいて、位置補正を行って装着ヘッド95をX方向及びY方向に移動し、供給部15から吸着ノズル96aの先端に吸着した電子部品をプリント基板P上の所定の座標位置に実装する。また、制御部50は、吸着ノズル96aの先端に吸着した電子部品を供給部15からプリント基板P上の所定の座標位置に移動する途中において、吸着ノズル96aを部品認識用カメラ70上で一旦停止させ、部品認識用カメラ70によって検出された吸着ノズル96aの中心線に対する電子部品の芯ずれに基づき、装着ヘッド95の移動量を補正して、電子部品をプリント基板P上の座標位置に正確に実装する。
【0039】
なお、各電子部品実装装置101〜104には、プリント基板Pが搬入されてから搬出されるまでの時間であるサイクルタイムを計測するサイクルタイム計測手段が設けられている。そして、サイクルタイム計測手段によって検出されたサイクルタイムは、生産管理装置500に出力される。また、各電子部品実装装置101〜104には、プリント基板Pに電子部品を実装する際のエラー(後述のリトライを含む)を検出し、当該エラーを生産管理装置500に出力するエラー出力手段を備えている。前記エラーには、プリント基板Pの基板搬送装置80による搬送時のエラーやリトライ、吸着ノズル96aによる電子部品の吸着のエラーやリトライ、電子部品のプリント基板Pへの装着のエラーやリトライ、基板認識用カメラ75による基板マークSmの検出エラー、及び、部品認識用カメラ70による電子部品の吸着ノズル96aの中心線に対する芯ずれの検出エラー等が含まれる。
【0040】
なお、電子部品実装装置101〜104において、プリント基板Pが変更されたり、プリント基板Pに実装される電子部品が変更されたりして、プリント基板Pへの電子部品の実装を開始させる場合には、電子部品実装装置101〜104は、生産管理装置500に、上述した「レシピ切替情報」を出力する。
【0041】
(生産管理装置の説明)
次に、生産管理装置500の説明をする。生産管理装置500は、各種プログラムを実行するCPU500a、CPU500aで実行されるプログラムや各種設定値が記憶される記憶部500b、各電子部品実装装置101〜104から出力された情報が入力され取得するインターフェース500c、及び、画像が表示される画像表示装置500dを備えている。記憶部500bには、後述する「最速サイクルタイム選択処理」、「ボトルネック装置特定処理」、「サイクルタイムバランスイメージ生成処理」、「サイクルタイム変移イメージ生成処理」、「性能効率処理」の各処理を実行可能にするプログラムが記憶され、図4に示す「サイクルタイム一覧」が記憶される。なお、図4に示す「サイクルタイム一覧」は、画像表示装置500dで表示される。
【0042】
記憶部500bに記憶されているプログラム及び当該プログラムを実行するCPU500aが、特許請求の範囲に記載の「最速サイクルタイム選択手段」、「実装状態分析情報生成手段」、「実測平均サイクルタイム算出手段」、「ボトルネック装置特定手段」、「実測ボトルネック装置特定手段」、及び、後述のサイクルタイムシミュレータに相当し得る。また、インターフェース500cが、特許請求の範囲に記載の「サイクルタイム取得手段」、「実装枚数取得手段」、及び、「実測実装総時間取得手段」に相当し得る。
【0043】
サイクルタイムシミュレータは、各電子部品実装装置101〜104の「理論サイクルタイム」を算出する。サイクルタイムシミュレータは、各電子部品実装装置101〜104から入力された「レシピ切替情報」(プリント基板Pの情報や、プリント基板Pに実装する電子部品の情報、電子部品のプリント基板Pにおける実装位置の情報を含む)に基づき、電子部品実装装置101〜104にプリント基板Pが搬入されてから、電子部品のプリント基板Pへの実装が完了し、次の電子部品実装装置101〜104に搬出されるまでの、理想的なサイクルタイムである「理論サイクルタイム」を算出する。
【0044】
(最速サイクルタイム選択処理)
次に、図3に示すフローチャート及び図4に示す「サイクルタイム一覧」を参照して、上述した生産管理装置500が実行する「最速サイクルタイム選択処理」について説明する。なお、図4に示す「サイクルタイム一覧」は、各電子部品実装装置101〜104毎の「サイクルタイム」が実装順に順次記憶されるとともに、各電子部品実装装置1001〜104毎の「理論サイクルタイム」が記憶される。
【0045】
S102において、生産管理装置500が、各電子部品実装装置101〜104のいずれかから情報が入力されたと判断した場合には(S102でYESと判断)、プログラムをS104に進め、一方で、各電子部品実装装置101〜104のいずれかからも情報が入力されていないと判断した場合には(S102でNOと判断)、S102の処理を繰り返す。
【0046】
S104において、生産管理装置500は、各電子部品実装装置101〜104から入力された情報の種類を判断する。生産管理装置500が、前記情報が「サイクルタイム」であると判断した場合には、プログラムをS108に進め、前記情報が「レシピ切替情報」であると判断した場合には、プログラムをS115に進め、前記情報が「サイクルタイム」及び「レシピ切替情報」のいずれでも無いと判断した場合には、プログラムをS102に戻す。
【0047】
S115において、サイクルタイムシミュレータは、「レシピ切替情報」に対応する電子部品実装装置101〜104の「理論サイクルタイム」を、前記「レシピ切替情報」に基づいて算出させ、当該「理論サイクルタイム」を、「暫定最速サイクルタイム」として、記憶部500bの「サイクルタイム一覧」(図4示)に記憶させる。S115が終了すると、プログラムは、S126に進行する。
【0048】
S108において、生産管理装置500は、入力された「サイクルタイム」の実装サイクルにおいて、上述したエラーが無かったか否かを判断する。なお、「サイクルタイム」にエラー情報が含まれる実施形態であっても、「サイクルタイム」と対応付けられたエラー情報が各電子部品実装装置101〜104から入力される実施形態であっても差し支え無い。生産管理装置500が、「サイクルタイム」に上述したエラーが無かったと判断した場合には(S108でYESと判断)、プログラムをS110に進め、一方で、「サイクルタイム」に上述したエラーが有ったと判断した場合には(S108でNOと判断)、プログラムをS126進める。
【0049】
S110において、生産管理装置500が、入力された「サイクルタイム」が、これに対応する電子部品実装装置101〜104について初めて取得した「サイクルタイム」であると判断した場合には(S110でYESと判断)、プログラムをS112に進め、一方で、前記電子部品装着装置101〜104について既に「サイクルタイム」を取得していると判断した場合には(S110でNOと判断)、プログラムをS122に進める。
【0050】
S112において、生産管理装置500は、入力された「サイクルタイム」を、S115の処理で記憶部500bの「サイクルタイム一覧」に記憶された「暫定最速サイクルタイム」と置き換えて、「最速サイクルタイム」とする。S112が終了すると、プログラムは、S126に進行する。
【0051】
S122において、生産管理装置500が、入力された「サイクルタイム」が、記憶部500bの「サイクルタイム一覧」に記憶されている前記「サイクルタイム」に対応する電子部品実装装置101〜104の「最速サイクルタイム」(「暫定最速サイクルタイム」を含む)より短いと判断した場合には(S122でYESと判断)、プログラムをS124に進める。一方で、入力された「サイクルタイム」が、記憶部500bの「サイクルタイム一覧」に記憶されている前記「サイクルタイム」に対応する電子部品実装装置101〜104の「最速サイクルタイム」より長いと判断した場合には(S122でNOと判断)、プログラムをS126に進める。
【0052】
S124において、生産管理装置500は、「サイクルタイム一覧」に記憶されている「最速サイクルタイム」を、入力された「サイクルタイム」に置き換え、プログラムをS126に進める。
【0053】
S126において、図4に示すように、生産管理装置500は、入力された「サイクルタイム」を各電子部品実装装置101〜104ごとに記憶部500bの「サイクルタイム一覧」に記憶させる。S126が終了すると、プログラムをS102に戻す。
【0054】
このように、上述したS122及びS124の処理によって、生産管理装置500は、各電子部品実装装置101〜104の「サイクルタイム」のうち、最も短い「サイクルタイム」を「最速サイクルタイム」として選択し、「サイクルタイム一覧」記憶する。例えば、電子部品実装装置101について、1枚目のプリント基板Pの実装が完了した際には、1枚目の「サイクルタイム」(29秒)は、「理論サイクルタイム」(=「暫定サイクルタイム」(30秒))よりも短いので、1枚目の「サイクルタイム」(29秒)が、電子部品実装装置101の「最速サイクルタイム」に選択される。また、電子部品装着装置101について、3枚目のプリント基板Pの実装が完了した際には、3枚目の「サイクルタイム」(28秒)は、2枚目実装完了時点の「最速サイクルタイム」(29秒)より短いので、3枚目の「サイクルタイム」(28秒)が、電子部品実装装置101の「最速サイクルタイム」に選択される。
【0055】
以上説明した実施形態以外にも、生産管理装置500が、図4に示す「サイクルタイム一覧」に記憶されている各電子部品装着装置101〜104「サイクルタイム」のうち、各電子部品装着装置101〜104について、最も短い「サイクルタイム」を、「最速サイクルタイム」として選択する実施形態であっても差し支え無い。
【0056】
(ボトルネック装置特定処理)
次に、図4〜図6を参照して、上述した生産管理装置500が実行するボトルネック装置特定処理について説明する。S132において、生産管理装置500が、各電子部品実装装置101〜104のいずれかから「サイクルタイム」が入力されたと判断した場合には(S132でYESと判断)、プログラムをS134に進め、一方で、各電子部品実装装置101〜104のいずれかからもサイクルタイムが入力されていないと判断した場合には(S132でNOと判断)、S132の処理を繰り返す。
【0057】
S134において、生産管理装置500は、各電子部品実装装置101〜104の「サイクルタイム」の平均値である「実測平均サイクルタイム」を算出する。具体的には、生産管理装置500は、図4に示す「サイクルタイム一覧」に記憶されている「サイクルタイム」のうち、所定時間以上の「サイクルタイム」を除外して(例えば電子部品実装装置103の5枚目の200秒)、各電子部品実装装置101〜104について、「実測平均サイクルタイム」を算出する。なお、本実施形態では、所定時間以上の「サイクルタイム」とは、図6に示すように、ある電子部品実装装置101〜104の「サイクルタイム」の集合のうち、当該集合の平均値μから当該集合の標準偏差σ以上の長さの「サイクルタイム」のことである。或いは、所定秒数(例えば50秒)以上のサイクルタイムを除外することにしても差し支え無い。S134が終了すると、プログラムはS136に進行する。
【0058】
S136において、生産管理装置500は、S134で算出した全ての電子部品実装装置101〜104の「実測平均サイクルタイム」のうち、最も長い「実測平均サイクルタイム」の電子部品実装装置101〜104を実測ボトルネック装置として特定する(図3において★で示す装置)。S136が終了すると、プログラムはS138に進行する。
【0059】
S138において、生産管理装置500は、全ての電子部品実装装置101〜104の「最速サイクルタイム」のうち、最も長い「最速サイクルタイム」に対応する電子部品実装装置101〜104を、「最速サイクルタイム」に基づくボトルネック装置(以下、単にボトルネック装置と略す)として特定する(図3において☆で示す装置)。S138が終了すると、プログラムはS139に進行する。
【0060】
S139において、生産管理装置500は、S136で特定した実測ボトルネック装置(図4の★)、及び、S138で特定したボトルネック装置(図4の☆)を画像表示装置500dで表示する。S139が終了すると、プログラムは、S140に進行する。
【0061】
S140において、生産管理装置500は、実測ボトルネック装置(図3において★で示す装置)と、ボトルネック装置(図3において☆で示す装置)とが、同一で否かを判断し、同一であると判断した場合には(S140でYESと判断)、プログラムをS142に進め、一方で、同一で無いと判断した場合には(S140でNOと判断)、プログラムをS150に進める。
【0062】
S150において、生産管理装置500は、実測ボトルネック装置とボトルネック装置とが異なり、実測ボトルネック装置の改善を作業者に通知する。例えば、図3に示すように、生産管理装置500は、画像表示装置500dに、改善を要する実測ボトルネック装置を特定する表示を表示させる。S150が終了すると、プログラムはS132に戻る。
【0063】
S142において、生産管理装置500は、実測ボトルネック装置の「実測平均サイクルタイム」と、ボトルネック装置の「最速サイクルタイム」が所定以上開離しているか否かを判断し、所定以上開離していると判断した場合には(S142でYESと判断)、プログラムをS144に進め、一方で、所定以上開離していない判断した場合には(S142でNOと判断)、プログラムをS156に進める。
【0064】
S144において、生産管理装置500は、生産管理装置500は、作業者に実測ボトルネック装置の改善を通知する。例えば、生産管理装置500は、画像表示装置500dに、改善を要する実測ボトルネック装置を特定する表示を表示させる。S144が終了すると、プログラムはS132に戻る。
【0065】
S156において、生産管理装置500は、電子部品実装ライン200に問題が無いことを作業者に通知する。具体的には、生産管理装置500は、画像表示装置500dに、電子部品実装ライン200に問題が無い旨の表示を表示させる。或いは、生産管理装置500は、画像表示装置500dにおいて、特別な警告を表示させない。S156が終了すると、プログラムはS132に戻る。
【0066】
(サイクルタイムバランスイメージ算出処理)
次に、図7及び図8を参照して、「サイクルタイムバランスイメージ算出処理」の説明をする。S161において、生産管理装置500、「サイクルタイムバランスイメージ」(図8示)を生成する指示が入力されたか否か判断する。前記指示は、作業者の図示しない操作部の操作により、生産管理装置500に入力される。生産管理装置500が、先記指示が入力されたと判断した場合には、(S161でYESと判断)、プログラムをS162に進め、一方で、前記指示が入力されていないと判断した場合には(S161でNOと判断)、S161の処理を繰り返す。
【0067】
S162において、生産管理装置500は、「サイクルタイム一覧」(図4示)に記憶されているサイクルタイムに基づいて、各電子部品実装装置101〜104について、それぞれの電子部品実装装置101〜104の全ての「サイクルタイム」の平均値(以下、「全サイクルタイムの平均」と略す)を算出し、プログラムをS163に進める。S163において、生産管理装置500は、全ての電子部品実装装置101〜104の「最速サイクルタイム」を「サイクルタイム一覧」から取得し、プログラムをS164に進める。
【0068】
S164において、生産管理装置500は、S162で算出した「全サイクルタイムの平均」及びS163で取得した「最速サイクルタイム」に基づいて、図8に示す「サイクルタイムバランスイメージ」を生成して、画像表示装置500dに表示させる。「サイクルタイムバランスイメージ」とは、各電子部品実装装置101〜104について、「最速サイクルタイム」と「全サイクルタイムの平均」を並べて表示したイメージである。作業者は、各電子部品実装装置101〜104について、「最速サイクルタイム」と「全サイクルタイムの平均」を見比べることにより、「最速サイクルタイム」と「全サイクルタイムの平均」との差が大きい場合には、当該電子部品実装装置101〜104において何らかの問題が生じていることを認識することができる。S164が終了すると、プログラムはS165に進行する。
【0069】
S165において、生産管理装置500は、各電子部品実装装置101〜104について、「全サイクルタイムの平均」と「最速サイクルタイム」の差分を算出し、プログラムをS166に進める。
【0070】
S166において、図8に示すように、生産管理装置500は、S165で算出した「全サイクルタイムの平均」と「最速サイクルタイム」の差分に基づいて、「全サイクルタイムの平均」と「最速サイクルタイム」の差が大きい順番に、電子部品実装装置101〜104の装置番号を並べて、画像表示装置500dに表示させる。そして、生産管理装置500は、「全サイクルタイムの平均」と「最速サイクルタイム」の差が大きい電子部品実装装置101〜104を、要改善装置として特定し、当該要改善装置を画像表示装置500dに表示させる(図8の●で示す)。S166が終了すると、プログラムはS161に戻る。
【0071】
以上説明した実施形態では、S162において、それぞれの電子部品実装装置101〜104の全ての「サイクルタイム」の平均値を算出しているが、上述した図5のS134の処理と同様に、所定時間以上の「サイクルタイム」を除外して「実測平均サイクルタイム」を算出しても差し支え無い。また、S164において、「実測平均サイクルタイム」を、「最速サイクルタイム」及び「全サイクルタイムの平均」とともに、画像表示装置500dで表示させても差し支え無い。また、S161において、生産管理装置500は、電子部品実装装置101〜104のいずれかから「サイクルタイム」が入力された場合に、プログラムをS162に進める実施形態であっても差し支え無い。
【0072】
(サイクルタイム変移イメージ生成処理)
次に、図9及び図10を参照して、サイクルタイム変移イメージ生成処理の説明をする。S171において、生産管理装置500は、「サイクルタイム変移イメージ」(図10、図11示)を生成する指示が入力されたか否か判断する。前記指示は、作業者の図示しない操作部の操作により、生産管理装置500に入力される。生産管理装置500が、先記指示が入力されたと判断した場合には、(S171でYESと判断)、プログラムをS172に進め、一方で、前記指示が入力されていないと判断した場合には(S171でNOと判断)、S171の処理を繰り返す。
【0073】
S172において、生産管理装置500は、電子部品実装装置101〜104の「最速サイクルタイム」を「サイクルタイム一覧」から取得し、プログラムをS173に進める。S173において、生産管理装置500は、電子部品実装装置101〜104の全ての「サイクルタイム」を記憶部500bから取得し、プログラムをS174に進める。
【0074】
S174において、生産管理装置500は、S172で取得した「最速サイクルタイム」及びS173で取得した全ての「サイクルタイム」に基づいて、図10や図11に示す「サイクルタイムの変位イメージ」を生成し、画像表示装置500dに表示させる。図10に示すサイクルタイムの変位イメージは、電子部品実装装置101〜104ごとに、「最速サイクルタイム」とともに、「サイクルタイム」を時系列順に並べた表示である。作業者は、図10や図11に示す「サイクルタイムの変位イメージ」から、実際の「サイクルタイム」の変位が「最速サイクルタイム」からの開離度合いを認識することができる。例えば、「サイクルタイム」が、「最速サイクルタイム」と比較して極端に長い場合には(図10に示す5番目のサイクルタイム)、当該電子部品実装装置101〜104において、何らかの問題が生じていた(ダウンタイムが発生)ことを表している。また、図11の(A)に示すように、「最速サイクルタイム」に対して、「サイクルタイム」が長い状態が維持されている場合には、当該電子部品実装装置101〜104において、恒久的な問題が発生していることを表している。また、図11の(B)に示すように、「最速サイクルタイム」に対して、「サイクルタイム」が徐々に長くなっている場合には、当該電子部品実装装置101〜104において問題が深刻化しつつあることを表している。このように、作業者は、「最速サイクルタイム」や「サイクルタイム」の変移(経時変化)から、当該電子部品実装装置101〜104における問題を認識することができる。S174が終了すると、プログラムはS171に戻る。
【0075】
なお、S171において、生産管理装置500は、電子部品実装装置101〜104のいずれかから「サイクルタイム」が入力された場合に、プログラムをS172に進める実施形態であっても差し支え無い。
【0076】
(性能効率算出処理)
以下に、図12のフローを参照して、「性能効率算出処理」について説明する。S181において、生産管理装置500が、性能効率算出指令が入力されたと判断した場合には(S181においてYESと判断)、プログラムをS182に進め、一方で、性能効率算出指令が入力されていないと判断した場合には(S181においてNOと判断)、S181の処理を繰り返す。なお、性能効率算出指令は、作業者の図示しない操作部の操作により、生産管理装置500に入力される。
【0077】
S182において、生産管理装置500は、ある電子部品実装装置101〜104の「最速サイクルタイム」(a)を「サイクルタイム一覧」(図4示)から取得し、プログラムをS183に進める。
【0078】
S183において、生産管理装置500は、S182で「最速サイクルタイム」を取得した電子部品実装装置101〜104の総実装枚数(b)を取得し、プログラムをS184に進める。生産管理装置500は、電子部品実装装置101〜104の総実装枚数(b)を、「サイクルタイム一覧」から取得し、或いは、電子部品実装装置101〜104から取得する。
【0079】
S184において、生産管理装置500は、S182で「最速サイクルタイム」を取得した電子部品実装装置101〜104の総実装時間(c)を取得する。なお、総実装時間(c)とは、電子部品実装装置101〜104において、プリント基板Pの実装を開始してから現在までの時間であり、ある電子部品実装装置101〜104にプリント基板Pが搬入されてから搬出されるまでの実装時間、及び、プリント基板Pが搬出されてから搬入されるまでの待機時間を含む時間である。また、総実装時間(c)には、異常による電子部品実装装置101〜104の停止時間や実装するプリント基板Pの種類の切替のための準備期間は含まれない。S184が終了すると、プログラムはS185に進行する。
【0080】
S185において、生産管理装置500は、S182〜S184で取得した情報(a)〜(c)を下式(1)に代入することにより、「最速サイクルタイム」(a)に総実装枚数(b)を乗じて最速実装総時間(t)を差出し、次いで、最速実装総時間(t)から総実装時間(c)を除して、電子部品実装装置101〜104の性能効率(Ef)を算出する。生産管理装置500は、性能効率(Ef)を、画像表示装置500dに表示させる。S185が終了すると、プログラムはS186に進行する。
【0081】
(数1)
Ef=a×b/c×100=t/c×100…(1)
Ef:電子部品実装装置の性能効率
a:電子部品実装装置の最速サイクルタイム
b:電子部品実装装置の総実装枚数
c:電子部品実装装置の総実装時間
t:電子部品実装装置の最速実装総時間
【0082】
S186において、生産管理装置500が、全ての電子部品実装装置101〜104について性能効率を算出したと判断した場合には(S186でYESと判断)、プログラムをS181に進め、一方で、全ての電子部品実装装置101〜104について性能効率を算出していないと判断した場合には(S186でNOと判断)、プログラムをS182に戻し、性能効率が算出されていない電子部品実装装置101〜104について、S182〜S185の処理を繰り返す。
【0083】
以下に、(比較例1)及び(比較例2)を示すことにより、「最速サイクルタイム」を用いて電子部品実装装置101〜104の性能効率(Ef)を算出した場合の効果について説明する。
【0084】
(比較例1)
理論サイクルタイム:30秒
最速サイクルタイム(a):31.5秒
総実装枚数(b):1000枚
総実装時間(c):3150秒
理論サイクルタイムに基づく性能効率(Ef1)
=(30×1000)/31500×100=95.24[%]
最速サイクルタイムに基づく性能効率(Ef)
=(31.5×1000)/31500×100=100[%]
【0085】
比較例1においては、「理論サイクルタイム」に基づく性能効率(Ef1)は95.24[%]であり、電子部品実装装置101〜104において、改善の余地があることを示している。しかし、「最速サイクルタイム」に基づく性能効率(Ef)は100[%]であり、電子部品実装装置101〜104において、改善の余地が無いことを示している。このように、「最速サイクルタイム」に基づく性能効率(Ef)を用いると、電子部品実装装置101において改善の余地が無いにも関わらず、改善の余地が有ると判断してしまうことを防止することができる。
【0086】
(比較例2)
理論サイクルタイム:30秒
最速サイクルタイム(a):28.5秒
総実装枚数(b):1000枚
総実装時間(c):3000秒
理論サイクルタイムに基づく性能効率(Ef2)
=(30×1000)/30000×100=100[%]
最速サイクルタイムに基づく性能効率(Ef)
=(28.5×1000)/30000×100=95[%]
【0087】
比較例2においては、「理論サイクルタイム」に基づく性能効率(Ef2)は100[%]であり、電子部品実装装置101〜104において、改善の余地が無いことを示している。しかし、「最速サイクルタイム」に基づく性能効率(Ef)は95[%]であり、電子部品実装装置101〜104において、改善の余地が有ることを示している。このように、「最速サイクルタイム」に基づく性能効率(Ef)を用いると、電子部品実装装置101において改善の余地が有るにも関わらず、改善の余地が無いと判断してしまうことを防止することができる。
【0088】
以上説明した実施形態では、図1に示す生産管理装置500(最速サイクルタイム選択手段)は、図3に示すS102〜S126の処理を実行することにより、各電子部品実装装置101〜104の最も短い「サイクルタイム」を、各電子部品実装装置101〜104の「最速サイクルタイム」としてそれぞれ選択する(図4示)。これにより、ある電子部品実装装置101〜104にプリント基板Pが搬入されて、当該プリント基板Pに電子部品が実装した後に、プリント基板Pが搬出されるまでの実際の「サイクルタイム」のうちで、最速のものが、「最速サイクルタイム」として選択される。つまり、「最速サイクルタイム」は、実際の電子部品実装装置の能力と開離しない。このように、電子部品実装装置101〜104の能力や生産ロスの分析にあたり、「最速サイクルタイム」という信頼性の高い指標を求めることが可能となった。このため、電子部品実装装置101〜104において、改善の余地が無いにも関わらず、問題があると判断されてしまうことや、改善の余地が存在するのにも関わらず、問題が無いと判断されてしまうことが無い。
【0089】
また、図1に示す生産管理装置500(最速サイクルタイム選択手段)は、図3に示すS108において、エラーを含む「サイクルタイム」を「最速サイクルタイム」の選択候補から除外して、「最速サイクルタイム」を選択する。これにより、エラーを含み指標として理想的で無い「サイクルタイム」が、「最速サイクルタイム」として選択されることが防止される。
【0090】
また、図1に示す生産管理装置500(実装状態分析情報生成手段)は、各電子部品実装装置101〜104の各「最速サイクルタイム」に基づいて、各電子部品実装装置101〜104の実装状態を分析するための情報(図4、図8、図10、図11、及び、上述した性能効率(Ef))を生成する。これにより、作業者は、各電子部品実装装置101〜104の能力や、生産ロス、問題を認識することが可能となる。
【0091】
また、図1に示す生産管理装置500(実装状態分析情報生成手段)は、図5のS139において、ボトルネック装置、及び、実測ボトルネック装置を、画像表示装置500dに表示させる(図4示)。これにより、作業者は、「最速サイクルタイム」に基づくボトルネック装置と実測ボトルネック装置とが異なることを認識することができる。このため、実測ボトルネック装置に何らかの慢性的な問題が生じていることを認識することができる。
【0092】
また、図1に示す生産管理装置500(実装状態分析情報生成手段)は、「最速サイクルタイム」に基づくボトルネック装置と、実測ボトルネック装置を比較し、「最速サイクルタイム」に基づくボトルネック装置と実測ボトルネック装置が異なる場合と判断した場合には(図5のS140でNOと判断)、図5のS150において、その旨を、画像表示装置500dに表示させる(図4示)。これにより、作業者は、「最速サイクルタイム」に基づくボトルネック装置と、実測ボトルネック装置が異なることを容易に認識することができる。
【0093】
また、図1に示す生産管理装置500(実測平均サイクルタイム算出手段)は、図5のS134において、図6に示すように、所定時間以上の「サイクルタイム」を除外して、「実測平均サイクルタイム」を算出する。これにより、深刻な問題の発生による電子部品実装装置101〜104の長時間の停止や、実装するプリント基板Pの種類の切替による電子部品実装装置101〜104の長時間の停止に起因する長い「サイクルタイム」が、「実測平均サイクルタイム」の算出において除外される。このため、突出して長い「サイクルタイム」により、「実測平均サイクルタイム」が長期間に渡って長くなってしまうという悪影響が防止され、「実測平均サイクルタイム」を用いた各電子部品実装装置101〜104の実装状態の分析を精度高く行うことができる。
【0094】
また、図1に示す生産管理装置500(実装状態分析情報生成手段)は、図7のS164において、各電子部品実装装置101〜104の「全サイクルタイムの平均」(図7のS162で算出)、及び、「最速サイクルタイム」を、図8に示す「サイクルタイムバランスイメージ」として画像表示装置500dに表示させる。これにより、作業者は、図8に示す「サイクルタイムバランスイメージ」を確認することにより、各電子部品実装装置101〜104について、「最速サイクルタイム」と「全サイクルタイムの平均」を比較することができる。このため、「最速サイクルタイム」と「全サイクルタイムの平均」との差がある場合には、作業者は、当該電子部品実装装置101〜104において何らかの問題が生じていることを認識することができる。
【0095】
また、図1に示す生産管理装置500(実装状態分析情報生成手段)は、図7のS166において、「全サイクルタイムの平均」と「最速サイクルタイム」の差が最も大きい電子部品実装装置101〜104を要改善装置として特定し、特定された要改善装置を画像表示装置500dに表示させる(図8示)。これにより、図8に示すように、電子部品実装装置103において何らかの問題が生じ、電子部品実装装置103のサイクルタイムが長くなり、結果として「全サイクルタイムの平均」と「最速サイクルタイム」との差が最も大きくなった電子部品実装装置103が、要改善装置として画像表示装置500dに表示される。このため作業者は、要改善装置において、何らかの問題が生じていることを容易に認識することができる。
【0096】
また、図1に示す生産管理装置500(実装状態分析情報生成手段)は、図9に示すS174において、図9や図10に示すように、同一の電子部品実装装置101〜104について、「最速サイクルタイム」とともに、「サイクルタイム」を時系列順に、画像表示装置500dに表示させる。これにより、作業者は、「サイクルタイム」の変移を「最速サイクルタイム」と比較することにより、当該電子部品実装装置101〜104における問題の発生や恒久的な生産ロスの発生を認識することができる。
【0097】
また、図1に示す生産管理装置500(実装状態分析情報生成手段)は、図12に示すS185において、「最速サイクルタイム」(a)に総実装枚数(b)を乗じて最速実装総時間(t)を算出し、当該最速実装総時間(t)から総実装時間(c)を除して、電子部品実装装置の性能効率(Ef)を算出する。これにより、「理論サイクルタイム」を用いて、性能効率を算出した場合と比較して、より精度高く電子部品実装装置101〜104の性能効率(Ef)を算出することができる。
【0098】
以上説明した実施形態では、プリント基板Pが搬入されてから搬出されるまでのサイクルタイムを計測するサイクルタイム計測手段は、各電子部品実装装置101〜104に設けられている。しかし、サイクルタイム計測手段が、生産管理装置500側に設けられている実施形態であっても差し支え無い。この実施形態の場合には、各電子部品実装装置101〜104は、プリント基板Pが搬入された時刻、及び、当該プリント基板Pが搬出された時刻を、生産管理装置500に出力する。生産管理装置500は、プリント基板Pが搬入された時刻、及び、当該プリント基板Pが搬出された時刻に基づいて、各電子部品実装装置101〜104のサイクルタイムを計測する。
【0099】
なお、以上説明した実施形態では、作業者に生産管理装置500で生成された情報を報知する報知手段は、画像表示装置500dであるが、スピーカや他のコンピュータ装置に前記情報を出力する出力手段等であっても差し支え無い。
【符号の説明】
【0100】
100〜104…電子部品実装装置(エラー出力手段)、 200…電子部品実装ライン、 500…生産管理装置(サイクルタイム取得手段、最速サイクルタイム選択手段、実装状態分析情報生成手段、実測平均サイクルタイム算出手段、実測ボトルネック装置特定手段、ボトルネック装置特定手段、実装枚数取得手段、最速総実装総時間算出時間、総実装時間取得手段)、 500d…画像表示装置(報知手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント基板に電子部品を実装する複数の電子部品実装装置が隣接して並設され、プリント基板を順次隣接する前記電子部品実装装置に搬送して、前記各電子部品実装装置において供給される電子部品を前記搬送されたプリント基板に順次実装する電子部品実装ラインと、
前記各電子部品実装装置と通信可能に接続され、前記各電子部品実装装置から情報が入力される生産管理装置と、から構成される電子部品実装システムであって、
前記各電子部品実装装置において、前記プリント基板が搬入されてから搬出されるまでの時間であるサイクルタイムを取得するサイクルタイム取得手段と、
前記サイクルタイム取得手段が取得した前記各電子部品実装装置のサイクルタイムのうち、前記各電子部品実装装置の最も短いサイクルタイムを、前記各電子部品実装装置の最速サイクルタイムとしてそれぞれ選択する最速サイクルタイム選択手段が、前記生産管理装置に設けられている電子部品実装システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記各電子部品実装装置は、プリント基板に電子部品を実装する際のエラーを検出し、前記エラーを前記生産管理装置に出力するエラー出力手段を有し、
前記最速サイクルタイム選択手段は、前記エラーを含むサイクルタイムを前記最速サイクルタイムの選択候補から除外して、前記最速サイクルタイムを選択する電子部品実装システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2において、
前記最速サイクルタイム選択手段によって選択された各最速サイクルタイムに基づいて、各電子部品実装装置の実装状態を分析するための情報を生成する実装状態分析情報生成手段が、前記生産管理装置に設けられている電子部品実装システム。
【請求項4】
請求項3において、
前記各電子部品実装装置毎の前記サイクルタイムの平均値である実測平均サイクルタイムを算出する実測平均サイクルタイム算出手段と、
前記各実測平均サイクルタイム算出手段によって算出された前記全ての電子部品実装装置の前記実測平均サイクルタイムのうち、最も長い実測平均サイクルタイムの前記電子部品実装装置を実測ボトルネック装置として特定する実測ボトルネック装置特定手段と、
前記最速サイクルタイム選択手段によって選択された前記全ての電子部品実装装置の前記最速サイクルタイムのうち、最も長い最速サイクルタイムの前記電子部品実装装置をボトルネック装置として特定するボトルネック装置特定手段と、
情報を報知する報知手段が、前記生産管理装置に設けられ、
前記実装状態分析情報生成手段は、前記ボトルネック装置特定手段が特定した前記ボトルネック装置、及び、前記実測ボトルネック装置特定手段が特定した前記実測ボトルネック装置を、前記報知手段で報知させる電子部品実装システム。
【請求項5】
請求項3において、
前記各電子部品実装装置毎の前記サイクルタイムの平均値である実測平均サイクルタイムを算出する実測平均サイクルタイム算出手段と、
前記各実測平均サイクルタイム算出手段によって算出された前記全ての電子部品実装装置の前記実測平均サイクルタイムのうち、最も長い実測平均サイクルタイムの前記電子部品実装装置を実測ボトルネック装置として特定する実測ボトルネック装置特定手段と、
前記最速サイクルタイム選択手段によって選択された前記全ての電子部品実装装置の前記最速サイクルタイムのうち、最も長い最速サイクルタイムの前記電子部品実装装置をボトルネック装置として特定するボトルネック装置特定手段と、
情報を報知する報知手段が、前記生産管理装置に設けられ、
前記実装状態分析情報生成手段は、前記ボトルネック装置特定手段が特定した前記ボトルネック装置と、前記実測ボトルネック装置特定手段が特定した前記実測ボトルネック装置を比較し、前記ボトルネック装置と前記実測ボトルネック装置が異なる場合には、その旨を前記報知手段で報知させる電子部品実装システム。
【請求項6】
請求項3において、
前記各電子部品実装装置毎の前記サイクルタイムの平均値である実測平均サイクルタイムを算出する実測平均サイクルタイム算出手段と、
情報を報知する報知手段が、前記生産管理装置に設けられ、
前記実装状態分析情報生成手段は、各電子部品実装装置について、前記実測平均サイクルタイム算出手段が算出した実測平均サイクルタイム、及び、前記最速サイクルタイム選択手段によって選択された最速サイクルタイムを前記報知手段で報知させる電子部品実装システム。
【請求項7】
請求項3において、
前記各電子部品実装装置毎の前記サイクルタイムの平均値である実測平均サイクルタイムを算出する実測平均サイクルタイム算出手段と、
情報を報知する報知手段が、前記生産管理装置に設けられ、
前記実装状態分析情報生成手段は、前記実測平均サイクルタイム算出手段が算出した実測平均サイクルタイムと、前記最速サイクルタイム選択手段によって選択された最速サイクルタイムの差が最も大きい前記電子部品実装装置を要改善装置として特定し、前記特定された要改善装置を前記報知手段で報知させる電子部品実装システム。
【請求項8】
請求項4〜請求項7のいずれかにおいて、
前記実測平均サイクルタイム算出手段は、所定時間以上の前記サイクルタイムを除外して、実測平均サイクルタイムを算出する電子部品実装システム。
【請求項9】
請求項3において、
前記生産管理装置は、画像表示装置を備え、
前記実装状態分析情報生成手段は、同一の前記電子部品実装装置について、前記最速サイクルタイム選択手段が選択した前記最速サイクルタイムとともに、前記サイクルタイム取得手段が取得した前記サイクルタイムを時系列順に、前記画像表示装置に表示させる電子部品実装システム。
【請求項10】
請求項3において、
前記電子部品実装装置における前記プリント基板の総実装枚数を取得する実装枚数取得手段と、
前記電子部品実装装置における前記プリント基板の総実装時間を取得する実測実装総時間取得手段が、前記生産管理装置に設けられ、
前記実装状態分析情報生成手段は、前記最速サイクルタイム選択手段が選択した前記最速サイクルタイムに、前記実装枚数取得手段が取得した前記プリント基板の総実装枚数を乗じて最速実装総時間を算出し、当該最速実装総時間を前記実測実装総時間取得手段が取得した前記総実装時間で除して、前記電子部品実装装置の性能効率を算出する電子部品実装システム。
【請求項1】
プリント基板に電子部品を実装する複数の電子部品実装装置が隣接して並設され、プリント基板を順次隣接する前記電子部品実装装置に搬送して、前記各電子部品実装装置において供給される電子部品を前記搬送されたプリント基板に順次実装する電子部品実装ラインと、
前記各電子部品実装装置と通信可能に接続され、前記各電子部品実装装置から情報が入力される生産管理装置と、から構成される電子部品実装システムであって、
前記各電子部品実装装置において、前記プリント基板が搬入されてから搬出されるまでの時間であるサイクルタイムを取得するサイクルタイム取得手段と、
前記サイクルタイム取得手段が取得した前記各電子部品実装装置のサイクルタイムのうち、前記各電子部品実装装置の最も短いサイクルタイムを、前記各電子部品実装装置の最速サイクルタイムとしてそれぞれ選択する最速サイクルタイム選択手段が、前記生産管理装置に設けられている電子部品実装システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記各電子部品実装装置は、プリント基板に電子部品を実装する際のエラーを検出し、前記エラーを前記生産管理装置に出力するエラー出力手段を有し、
前記最速サイクルタイム選択手段は、前記エラーを含むサイクルタイムを前記最速サイクルタイムの選択候補から除外して、前記最速サイクルタイムを選択する電子部品実装システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2において、
前記最速サイクルタイム選択手段によって選択された各最速サイクルタイムに基づいて、各電子部品実装装置の実装状態を分析するための情報を生成する実装状態分析情報生成手段が、前記生産管理装置に設けられている電子部品実装システム。
【請求項4】
請求項3において、
前記各電子部品実装装置毎の前記サイクルタイムの平均値である実測平均サイクルタイムを算出する実測平均サイクルタイム算出手段と、
前記各実測平均サイクルタイム算出手段によって算出された前記全ての電子部品実装装置の前記実測平均サイクルタイムのうち、最も長い実測平均サイクルタイムの前記電子部品実装装置を実測ボトルネック装置として特定する実測ボトルネック装置特定手段と、
前記最速サイクルタイム選択手段によって選択された前記全ての電子部品実装装置の前記最速サイクルタイムのうち、最も長い最速サイクルタイムの前記電子部品実装装置をボトルネック装置として特定するボトルネック装置特定手段と、
情報を報知する報知手段が、前記生産管理装置に設けられ、
前記実装状態分析情報生成手段は、前記ボトルネック装置特定手段が特定した前記ボトルネック装置、及び、前記実測ボトルネック装置特定手段が特定した前記実測ボトルネック装置を、前記報知手段で報知させる電子部品実装システム。
【請求項5】
請求項3において、
前記各電子部品実装装置毎の前記サイクルタイムの平均値である実測平均サイクルタイムを算出する実測平均サイクルタイム算出手段と、
前記各実測平均サイクルタイム算出手段によって算出された前記全ての電子部品実装装置の前記実測平均サイクルタイムのうち、最も長い実測平均サイクルタイムの前記電子部品実装装置を実測ボトルネック装置として特定する実測ボトルネック装置特定手段と、
前記最速サイクルタイム選択手段によって選択された前記全ての電子部品実装装置の前記最速サイクルタイムのうち、最も長い最速サイクルタイムの前記電子部品実装装置をボトルネック装置として特定するボトルネック装置特定手段と、
情報を報知する報知手段が、前記生産管理装置に設けられ、
前記実装状態分析情報生成手段は、前記ボトルネック装置特定手段が特定した前記ボトルネック装置と、前記実測ボトルネック装置特定手段が特定した前記実測ボトルネック装置を比較し、前記ボトルネック装置と前記実測ボトルネック装置が異なる場合には、その旨を前記報知手段で報知させる電子部品実装システム。
【請求項6】
請求項3において、
前記各電子部品実装装置毎の前記サイクルタイムの平均値である実測平均サイクルタイムを算出する実測平均サイクルタイム算出手段と、
情報を報知する報知手段が、前記生産管理装置に設けられ、
前記実装状態分析情報生成手段は、各電子部品実装装置について、前記実測平均サイクルタイム算出手段が算出した実測平均サイクルタイム、及び、前記最速サイクルタイム選択手段によって選択された最速サイクルタイムを前記報知手段で報知させる電子部品実装システム。
【請求項7】
請求項3において、
前記各電子部品実装装置毎の前記サイクルタイムの平均値である実測平均サイクルタイムを算出する実測平均サイクルタイム算出手段と、
情報を報知する報知手段が、前記生産管理装置に設けられ、
前記実装状態分析情報生成手段は、前記実測平均サイクルタイム算出手段が算出した実測平均サイクルタイムと、前記最速サイクルタイム選択手段によって選択された最速サイクルタイムの差が最も大きい前記電子部品実装装置を要改善装置として特定し、前記特定された要改善装置を前記報知手段で報知させる電子部品実装システム。
【請求項8】
請求項4〜請求項7のいずれかにおいて、
前記実測平均サイクルタイム算出手段は、所定時間以上の前記サイクルタイムを除外して、実測平均サイクルタイムを算出する電子部品実装システム。
【請求項9】
請求項3において、
前記生産管理装置は、画像表示装置を備え、
前記実装状態分析情報生成手段は、同一の前記電子部品実装装置について、前記最速サイクルタイム選択手段が選択した前記最速サイクルタイムとともに、前記サイクルタイム取得手段が取得した前記サイクルタイムを時系列順に、前記画像表示装置に表示させる電子部品実装システム。
【請求項10】
請求項3において、
前記電子部品実装装置における前記プリント基板の総実装枚数を取得する実装枚数取得手段と、
前記電子部品実装装置における前記プリント基板の総実装時間を取得する実測実装総時間取得手段が、前記生産管理装置に設けられ、
前記実装状態分析情報生成手段は、前記最速サイクルタイム選択手段が選択した前記最速サイクルタイムに、前記実装枚数取得手段が取得した前記プリント基板の総実装枚数を乗じて最速実装総時間を算出し、当該最速実装総時間を前記実測実装総時間取得手段が取得した前記総実装時間で除して、前記電子部品実装装置の性能効率を算出する電子部品実装システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
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【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−115218(P2013−115218A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−259574(P2011−259574)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000237271)富士機械製造株式会社 (775)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000237271)富士機械製造株式会社 (775)
【Fターム(参考)】
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