電子部品実装装置
【課題】吸着ノズルの軸と吸着ノズルを回動するモータの軸とを繋ぐベルトの原点復帰を安定して行うことができる電子部品実装装置を提供する。
【解決手段】θ軸モータ21の軸に装着された駆動プーリー22と、ノズルシャフト12aに装着された従動プーリー12cとを繋ぐベルト23の途中に、ベルト原点探索用のプーリー24を設け、ベルト23の歯数Lを駆動プーリー22の歯数mとプーリー24の歯数pとの最小公倍数に一致させる。そして、駆動プーリー22の原点を検出するエンコーダ25と、プーリー24の原点を検出する原点センサ26とを設け、駆動プーリー22の原点位置とプーリー24の原点位置との関係によりベルト23の原点を探索し、原点復帰を行う。
【解決手段】θ軸モータ21の軸に装着された駆動プーリー22と、ノズルシャフト12aに装着された従動プーリー12cとを繋ぐベルト23の途中に、ベルト原点探索用のプーリー24を設け、ベルト23の歯数Lを駆動プーリー22の歯数mとプーリー24の歯数pとの最小公倍数に一致させる。そして、駆動プーリー22の原点を検出するエンコーダ25と、プーリー24の原点を検出する原点センサ26とを設け、駆動プーリー22の原点位置とプーリー24の原点位置との関係によりベルト23の原点を探索し、原点復帰を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品供給装置から供給された部品を基板上に装着する電子部品実装装置に関し、特に部品を吸着するノズルの軸と当該ノズルを回動するモータの軸とを繋ぐベルトの原点復帰を行う電子部品実装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子部品実装装置では、X,Y,Z,θ軸方向の動作が可能な吸着ノズルで電子部品を吸着保持し、当該電子部品を基板上に搭載する。
このような電子部品実装装置において、吸着ノズルの軸回りの回転位置精度を向上して実装精度を向上させるものとして、例えば特許文献1に記載の技術がある。この電子部品実装装置は、吸着ノズルの軸と吸着ノズルを回動するθ軸モータの軸とをベルトで繋ぎ、θ軸モータの駆動力を吸着ノズルに伝えるものであり、上記ベルトにベルトマークを付し、これをセンサで検出することでベルトの原点を探索し、ベルトの原点復帰を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−124083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の従来装置にあっては、経年劣化やベルトの擦れ等によりベルトマークが検出しにくくなることがあり、耐久性に不安がある。
そこで、本発明は、吸着ノズルの軸と吸着ノズルを回動するモータの軸とを繋ぐベルトの原点復帰を安定して行うことができる電子部品実装装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、請求項1に係る電子部品実装装置は、θ軸モータにより回転されるノズルシャフトに装着された吸着ノズルにより電子部品を吸着し、基板上に当該電子部品を搭載する電子部品実装装置であって、前記θ軸モータの軸に、当該軸と同軸に装着された歯付きの駆動プーリーと、前記ノズルシャフトに、当該ノズルシャフトと同軸に装着された歯付きの第1の従動プーリーと、少なくとも1個の歯付きの第2の従動プーリーと、前記駆動プーリー、前記第1の従動プーリー及び前記第2の従動プーリーに掛け渡され、前記駆動プーリーの歯数と前記第2の従動プーリーの歯数との最小公倍数と等しい歯数を有する歯付きのベルトと、前記駆動プーリーが原点にあるときに、第1の原点検出信号を出力する第1の原点検出手段と、前記第2の従動プーリーが原点にあるときに、第2の原点検出信号を出力する第2の原点検出手段と、前記第1の原点検出手段が出力する前記第1の原点検出信号と、前記第2の原点検出手段が出力する前記第2の原点検出信号とに基づいて、前記ベルトを原点に復帰させる原点復帰手段と、を備えることを特徴としている。
【0006】
このように、θ軸モータの駆動力をノズルシャフトへ伝達するベルトの歯数を、駆動プーリーの歯数と第2の従動プーリーの歯数との最小公倍数に一致させるので、ベルトが1周する間に1回のみ、駆動プーリーと第2の従動プーリーとが共に原点となるタイミングを作ることができる。また、駆動プーリーが原点にあるときの第2の従動プーリーの原点からのずれ量、及び第2の従動プーリーが原点にあるときの駆動プーリーの原点からのずれ量に規則性を持たせることができる。
【0007】
そのため、第1の原点検出信号の出力タイミングと第2の原点検出信号の出力タイミングとに基づいて、適切にベルト原点を探索し原点復帰を行うことができる。その際、従来装置のようにベルトにベルトマークを付す必要がないため、経年劣化やベルトの擦れ等が発生してもベルト原点の復帰動作には影響しない。したがって、安定してベルトの原点復帰を行うことができる。
【0008】
また、請求項2に係る電子部品実装装置は、請求項1に係る発明において、前記ベルトが原点にあるとき、前記駆動プーリー及び前記第2の従動プーリーが共に原点にあるように組み付けられていることを特徴としている。
これにより、ベルトが原点にあるときのみ、第1の原点検出信号の出力タイミングと第2の原点検出信号の出力タイミングとが一致するようにすることができる。したがって、容易にベルト原点を探索することができる。
【0009】
さらに、請求項3に係る電子部品実装装置は、請求項2に係る発明において、前記原点復帰手段は、前記θ軸モータを回転しながら、前記第1の原点検出手段と前記第2の原点検出手段とがそれぞれ同時に原点検出信号を出力するタイミングを探索する探索手段と、前記探索手段で探索したタイミングで、前記θ軸モータの回転を停止するモータ停止手段と、を備えることを特徴としている。
【0010】
このように、ベルトが原点にあるときのみ、第1の原点検出信号の出力タイミングと第2の原点検出信号の出力タイミングとが一致することを利用し、θ軸モータを回転しながら、第1の原点検出信号が出力されたときに第2の原点検出信号も出力されているか否かを確認し、第1の原点検出信号が出力されたときに第2の原点検出信号も出力されていることを確認したときにθ軸モータの回転を停止する。これにより、ベルトが原点に復帰した時点でθ軸モータを停止させることができる。すなわち、ベルトの原点探索と原点復帰とを同時に行うことができる。
【0011】
また、請求項4に係る電子部品実装装置は、請求項1又は2に係る発明において、前記第2の従動プーリーの回転角度を検出するプーリー角度検出手段を備え、前記原点復帰手段は、前記第1の原点検出手段が第1の原点検出信号を出力したときに前記角度検出手段で検出した前記第2の従動プーリーの回転角度に基づいて、その時点での前記ベルトの原点からのずれ量を演算するずれ量演算手段と、前記ずれ量演算手段で演算した前記ベルトの原点からのずれ量に基づいて、前記ベルトを原点に復帰させるのに必要な前記θ軸モータの回転方向及び回転量を演算するモータ制御量演算手段と、前記θ軸モータを、前記モータ制御量演算手段で演算した回転方向に、前記モータ制御量演算手段で演算した回転量だけ回転させるモータ駆動手段と、を備えることを特徴としている。
【0012】
駆動プーリーが原点にあるときの第2の従動プーリーの回転角度には規則性があることから、第1の原点検出信号が出力された時点での第2の従動プーリーの回転角度が検出できれば、その検出角度に基づいて現在のベルトの位置(原点からのずれ量)を適切に認識することができる。そして、現在のベルトの位置を認識した後は、ベルトを原点に復帰させるべくθ軸モータを一気に回転させることができる。このように、ベルト原点の復帰動作を適切且つ迅速に行うことができる。
【0013】
さらにまた、請求項5に係る電子部品実装装置は、請求項1又は2に係る発明において、前記θ軸モータの回転角度を検出するモータ角度検出手段を備え、前記原点復帰手段は、前記第2の原点検出手段が第2の原点検出信号を出力したときに前記モータ角度検出手段で検出した前記θ軸モータの回転角度に基づいて、その時点での前記ベルトの原点からのずれ量を演算するずれ量演算手段と、前記ずれ量演算手段で演算した前記ベルトの原点からのずれ量に基づいて、前記ベルトを原点に復帰させるのに必要な前記θ軸モータの回転方向及び回転量を演算するモータ制御量演算手段と、前記θ軸モータを、前記モータ制御量演算手段で演算した回転方向に、前記モータ制御量演算手段で演算した回転量だけ回転させるモータ駆動手段と、を備えることを特徴としている。
【0014】
第2の従動プーリーが原点にあるときのθ軸モータ(駆動プーリー)の回転角度には規則性があることから、第2の原点検出信号が出力された時点でのθ軸モータ(駆動プーリー)の回転角度が検出できれば、その検出角度に基づいて現在のベルトの位置(原点からのずれ量)を適切に認識することができる。そして、現在のベルトの位置を認識した後は、ベルトを原点に復帰させるべくθ軸モータを一気に回転させることができる。このように、ベルト原点の復帰動作を適切且つ迅速に行うことができる。
【0015】
また、請求項6に係る電子部品実装装置は、請求項5に係る発明において、前記ずれ量演算手段は、前記第1の原点検出手段が第1の原点検出信号を出力したことを検出した後、前記θ軸モータを、所定角度ずつ回転するたびに前記第2の原点検出手段が第2の原点検出信号を出力したか否かを確認し、前記第2の原点検出手段が第2の原点検出信号を出力したことを確認したときに前記モータ角度検出手段で検出した前記θ軸モータの回転角度に基づいて、前記ずれ量を演算することを特徴としている。
【0016】
これにより、第2の原点検出手段が第2の従動プーリーの原点を検出可能な範囲(センサの反応範囲)に幅がある場合でも、上記所定角度を適切に設定することで、精度良く第2の原点検出信号が出力されるタイミングを検出することができる。
さらに、請求項7に係る電磁部品実装装置は、請求項6に係る発明において、前記所定角度は、前記駆動プーリーの歯数と前記第2の従動プーリーの歯数との比率に応じて決定することを特徴としている。
【0017】
これにより、駆動プーリーが原点にあるときの第2の従動プーリーの原点からのずれ量に規則性があることを利用して、第1の原点検出信号を検出した後、第2の原点検出信号が出力される可能性のあるベルト位置となるようにθ軸モータを回転させることができる。すなわち、第2の原点検出信号が出力される可能性のあるベルト位置でのみ、第2の手原点検出信号の出力の有無を確認することができるので、高精度且つ効率的に第2の原点検出信号の出力タイミングを探索することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、モータ軸に装着された駆動プーリーの原点検出信号と、ノズルシャフトに装着された第1の従動プーリーとは別に設けられた第2の従動プーリーの原点検出信号とにより、ベルト自体の原点を探索することができるので、ベルトマークを付すことなくベルトの原点復帰を行うことができる。したがって、経年劣化やベルトの擦れ等が発生してもベルト原点の復帰動作には影響はなく、安定してベルトの原点復帰を行うことができる。その結果、安定した実装を確立することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明における電子部品実装装置を示す平面図である。
【図2】搭載ヘッドと搭載ヘッドのθ軸回転機構の概要を示す斜視図である。
【図3】θ軸回転機構の主要部分を示す平面図である。
【図4】電子部品実装装置の制御系の構成を示すブロック図である。
【図5】第1の実施形態のベルト原点探索処理手順を示すフローチャートである。
【図6】ベルトの状態とZ相の関係とを示す図である。
【図7】ベルトの通常の状態と1次元的に展開した状態とを示す図である。
【図8】第1の実施形態の動作を説明するための図である。
【図9】プーリーを2個設けた例を示す図である。
【図10】第2の実施形態のベルト原点探索処理手順を示すフローチャートである。
【図11】エンコーダのZ相を検出した時点でのプーリーの回転角を示す図である。
【図12】第3の実施形態のベルト原点探索処理手順を示すフローチャートである。
【図13】原点センサのZ相を検出した時点でのモータエンコーダ出力を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(第1の実施形態)
(構成)
図1は、本発明における電子部品実装装置を示す平面図である。
図中、符号1は電子部品実装装置である。この電子部品実装装置1は、基台10の上面にX方向に延在する一対の搬送レール11を備える。この搬送レール11は、回路基板5の両側辺部を支持し、搬送用モータ(図示せず)により駆動されることで回路基板5をX方向に搬送する。
【0021】
また、電子部品実装装置1は搭載ヘッド12を備える。この搭載ヘッド12は、下部に電子部品を吸着する複数の吸着ノズルを備え、X軸ガントリ13及びY軸ガントリ14により、基台10上をXY方向に水平移動可能に構成されている。
この電子部品実装装置1には、搬送レール11のY方向両側に、テープフィーダ等により電子部品を供給する電子部品供給装置15が装着される。そして、電子部品供給装置15から供給された電子部品は、搭載ヘッド12の吸着ノズルによって真空吸着され、回路基板5上に実装搭載される。
【0022】
また、部品供給装置15と回路基板5との間には、CCDカメラからなる認識カメラ7を配置する。この認識カメラ7は、電子部品の吸着位置ずれ(吸着ノズルの中心位置と吸着した部品の中心位置とのずれ)や、吸着角度ずれ(傾き)を検出するために、吸着ノズルで吸着した電子部品を撮像するものである。
また、搭載ヘッド12には、距離センサ8が取り付けられている。この距離センサ8は、センサ光により吸着ノズルと回路基板5とのZ方向の距離(高さ)を測定する。
さらに、電子部品実装装置1には、吸着する部品のサイズや形状に応じて、吸着ノズルを交換するためのノズル交換機16が設けられている。このノズル交換機16内には複数種のノズルが保管、管理されている。
【0023】
図2は、搭載ヘッド12と搭載ヘッド12のθ軸回転機構の概要を示す斜視図である。
図中、符号20はθ軸回転機構である。このθ軸回転機構20は、搭載ヘッド12のノズルシャフト12aを中心にして吸着ノズル12bを回転させるための駆動源として、θ軸モータ21を備える。
θ軸モータ21には、その同軸上に駆動プーリー22が装着されている。θ軸モータ21を駆動すると、駆動プーリー22に掛け渡されたベルト23を介してノズルシャフト12aの同軸上に装着された従動プーリー(第1の従動プーリー)12cが回転され、これによりノズルシャフト12aが回転するようになっている。また、ベルト23は、駆動プーリー22及び従動プーリー12cの他に、ベルト原点探索用のプーリー(第2の従動プーリー)24にも掛け渡されており、θ軸モータ21の駆動時には、駆動プーリー22によってベルト23を介してプーリー24も回転する。
【0024】
ここで、各プーリー22、24及び12cは、図3に示すように、それぞれ歯付きプーリーであって、駆動プーリー22と従動プーリー12cとは同一の歯数mを有する。また、ベルト23は歯付きベルトであり、ベルト23の歯数Lは、駆動プーリー22の歯数mとプーリー24の歯数pとの最小公倍数に一致している。
すなわち、ベルト23の歯数Lは、最小公倍数を導く関数LCM( )を用いて次式で表される。
L=LCM(m,p) ………(1)
【0025】
また、図2に戻って、θ軸モータ21はエンコーダ25を内蔵しており、当該エンコーダ25の出力からθ軸モータ21のモータ角度を検出可能となっている。このエンコーダ25は、モータ軸が1回転して原点位置が所定の基準位置となるたびに、第1の原点検出信号としてZ相を出力する。
さらに、プーリー24には、当該プーリー24の原点位置を検出可能な原点センサ26が設けられている。この原点センサ26は、プーリー24が1回転して原点位置が所定の基準位置となるたびに、第2の原点検出信号としてZ相に相当する信号を出力するものであり、磁気式センサや光学式センサにより構成することができる。
【0026】
このθ軸回転機構20の組み付け時には、ベルト23が原点にあるときに、θ軸モータ21とプーリー24とが共に原点にあるように初期調整を行う。ここで、ベルト23が原点にあるとは、ベルト23の原点位置αが図3に示す所定の基準位置にある状態をいい、θ軸モータ21とプーリー24とが共に原点にあるとは、θ軸モータ21の原点位置βとプーリー24の原点位置γとが共に図3に示す所定の基準位置にある状態をいう。なお、各基準位置は適宜設定可能である。
【0027】
図4は、電子部品実装装置1の制御系の構成を示すブロック図である。
電子部品実装装置1は、装置全体を制御するCPU、RAM及びROMなどを備えるマイクロコンピュータからなるコントローラ30を備える。コントローラ30は、以下に示す各構成31〜35をそれぞれ制御する。
バキューム機構31は真空を発生し、不図示のバキュームスイッチを介して吸着ノズル12bに真空の負圧を発生させるものである。
【0028】
X軸モータ32は、搭載ヘッド12をX軸ガントリ13に沿ってX軸方向に移動させるための駆動源であり、Y軸モータ33は、X軸ガントリ13をY軸ガントリ14に沿ってY軸方向に移動させるための駆動源である。コントローラ30がX軸モータ32及びY軸モータ33を駆動制御することで、搭載ヘッド12はXY方向に移動可能となる。
Z軸モータ34は、吸着ノズル12bをZ方向に昇降させるための駆動源である。なお、ここではZ軸モータ34を1つしか図示していないが、吸着ノズル12bを複数備える場合には吸着ノズル12bの数だけ設けられる。
【0029】
コントローラ30は、搭載ヘッド12の吸着ノズル12bを用いて電子部品Pを吸着し、認識カメラ7で撮像した電子部品Pの画像をもとに、電子部品Pを回路基板5に搭載するための部品実装処理を実行する。さらに、コントローラ30は、所定のタイミングで(例えば、電子部品実装装置1の電源ON時)、図5に示すベルト原点探索処理を実行し、ベルト23の原点を探索して原点復帰を行う。
【0030】
θ軸回転機構20は、上記(1)式が成り立っているため、ベルト23が原点にある状態から1周して原点に戻ると、駆動プーリー22はL/m回、プーリー24はL/p回回転して、それぞれが原点に戻る。駆動プーリー22とプーリー24とが共に原点にあるのは、ベルト23が原点にあるときのみである。すなわち、ベルト23が原点からずれている場合、駆動プーリー22が原点にあっても、プーリー24は原点からずれた状態となる。
【0031】
よって、この構成を利用し、ベルト原点探索処理では、θ軸モータ21を回転しながら駆動プーリー22とプーリー24とが共に原点にある状態を探索し、駆動プーリー22とプーリー24とが共に原点にある状態を確認したら、その時点でθ軸モータ21の回転を停止する。このようにして、ベルト23を原点に復帰させる。
ベルト原点探索処理では、図5に示すように、先ず、ステップS1で、コントローラ30は、θ軸モータ21を一定方向(例えば、正方向)に回転し、ステップS2に移行する。
【0032】
ステップS2では、コントローラ30は、エンコーダ25のZ相を検出したか否かを判定する。そして、Z相を検出した場合にはステップS3に移行し、Z相を検出していない場合には検出するまでθ軸モータ21を回転するものとして、前記ステップS1に移行する。
ステップS3では、コントローラ30は、ベルト原点探索処理を実行開始してからエンコーダ25のZ相を検出した回数を計数するカウンタnをインクリメントし、ステップS4に移行する。
【0033】
ステップS4では、コントローラ30は、原点センサ26の状態を確認し、原点センサ26がON状態(Z相を出力している状態)であるか否かを判定する。そして、原点センサ26がON状態である場合には、駆動プーリー22とプーリー24とが共に原点にあるものと判断してステップS5に移行し、原点センサ26がOFF状態である場合には後述するステップS6に移行する。
ステップS5では、コントローラ30は、ベルト原点の探索が成功したものとしてθ軸モータ21の回転を停止し、現在のベルト23の状態をベルト23が原点にある状態として設定してから、ベルト原点探索処理を終了する。
【0034】
また、ステップS6では、コントローラ30は、カウンタnが所定値Nに達したか否かを判定する。ここで、所定値Nは、ベルト原点探索処理を実行開始してからベルト23が1周したか否かを判定するためのものであり、ベルト23の歯数Lと駆動プーリー22の歯数mとの比率によって決定する。具体的には、ベルト23が1周したとき駆動プーリー22がL/m回転することを利用して、N=L/mとする。そして、このステップS6で、カウンタnが所定値Nに達していないと判断した場合には前記ステップS1に移行し、カウンタnが所定値Nに達したと判断した場合にはステップS7に移行する。
【0035】
ステップS7では、コントローラ30は、ベルト23が1周してもベルト原点を探索できなかったとして、作業者にこれを報知するなどの所定のエラー処理を実施し、ベルト原点探索処理を終了する。ここで、ベルト原点探索エラーの原因としては、センサ部の不具合や初期調整の不実施が考えられる。
以上の構成により、通常時には、モータ軸を原点まで最大N(=L/m)回転させれば、ベルト23の原点を探し、原点復帰を行うことができる。
なお、上記において、エンコーダ25が第1の原点検出手段に対応し、原点センサ26が第2の原点検出手段に対応している。また、図5のステップS1〜S4が探索手段に対応し、ステップS5がモータ停止手段に対応している。
【0036】
(動作)
次に、第1の実施形態の動作について、図6〜図8を参照しながら説明する。ここでは、駆動プーリー22の歯数m=24、ベルト原点探索用のプーリー24の歯数p=21、ベルト23の歯数L=168として説明する。
駆動プーリー22の歯数mとベルト23の歯数Lとは、使用する環境によって大体決まる。そのため、θ軸回転機構20の設計時には、歯数mと歯数Lとをもとに、上記(1)式を満たす歯数pを導くようにする。m=24、L=168の場合、プーリー24の歯数pは計算上、7,14,21,28,42,56,84の何れかを選択可能である。
したがって、ここではp=21として説明するが、それ以外の値を上記の複数の値の中から任意に選択することもできる。なお、上記(1)式を満たす歯数pには、計算上p=168も含まれるが、ベルト23の歯数Lと同じであるため実際に組み込むことはできない。そのため、p=168は選択不可能とする。
【0037】
図6は、ベルト23の状態とZ相の出力タイミングとの関係を示す図であり、ベルト23の1周分を1次元に展開したイメージ図で示している。すなわち、この図6は、図7(a)に示すように通常はループ状となっているベルトを、図7(b)に示すように1次元的に展開して示したものである。なお、図7(a)及び(b)における逆三角印(▽)は、ベルト上の同じ点を示している。
図6に示すように、ベルト23が1周するとモータ軸がL/m=7回転し、エンコーダ25はZ相を(A)〜(G)の7回出力する。同様に、ベルト23が1周するとプーリー24がL/p=8回転し、原点センサ26はZ相を(a)〜(h)の8回出力する。
【0038】
また、上述したように、ベルト23の歯数Lは、駆動プーリー22の歯数mとプーリー24の歯数pとの最小公倍数に一致しており、ベルト23が原点にあるときに駆動プーリー22とプーリー24とが共に原点にあるように初期調整されている。そのため、エンコーダ25でZ相を出力するタイミングと原点センサ26でZ相を出力するタイミングとは、ベルト23が原点にあるときにのみ一致し、それ以外で一致することはない。
【0039】
図8は、エンコーダ25でZ相を出力した時点でのベルト23の状態を示す図である。L/m=168/24=7より、エンコーダ25でZ相を出力したときのベルト23の状態は、図8(a)〜(g)の7通りの状態が考えられる。ここで、図8(a)はベルト23が原点にある状態、図8(b)〜図8(g)はそれぞれベルト23が原点から1/7,2/7,…,6/7周進んだ状態である。
すなわち、図8(a)〜(g)はそれぞれ図6におけるZ相(A)〜Z相(G)が検出された時点でのベルト23の状態である。また、図8(a)〜(g)において、点αはベルト23の原点位置、点βは駆動プーリー22の原点位置、点γはプーリー24の原点位置を示している。
【0040】
図5に示すベルト原点探索処理が実行開始すると、コントローラ30は、先ずθ軸モータ21を回転してエンコーダ25のZ相を検出する。このとき検出したZ相が、図6のZ相(B)である場合、その時点でのベルト23の状態は、図8(b)に示すように原点から1/7周だけ進んだ状態である。また、このときプーリー24も、原点から1/7周だけ進んだ状態にある。
このように、ベルト23の原点からのずれ量とプーリー24の原点からのずれ量とは一致しており、ベルト23が原点にあるときはプーリー24も原点にある。よって、駆動プーリー22とプーリー24とが共に原点にあるとき、ベルト23は原点にあることになる。そこで、駆動プーリー22が原点にあるときにプーリー24も原点にあるか否かを確認する。
【0041】
駆動プーリー22が原点、即ちエンコーダ25のZ相を検出しているときの状態が、図8(b)に示す状態であるとき、プーリー24は原点にないため原点センサ26はOFF状態である。したがって、コントローラ30は再びエンコーダ25のZ相を検出するまでθ軸モータ21を回転する。そして、図8(c)に示すように、ベルト23が原点から2/7周だけ進んだ状態となって、エンコーダ25が図6のZ相(C)を出力すると、コントローラ30はその時点での原点センサ26の状態を確認する。ところが、この状態でも、プーリー24は原点から2/7周だけ進んだ状態にあり、原点センサ26はOFF状態であるため、コントローラ30は再びエンコーダ25のZ相を検出するまでθ軸モータ21を1回転する。
このように、モータ軸を1回転ずつ回転してベルト23を1/7周ずつ進め、そのたびに原点センサ26の状態を確認して、プーリー24が原点にあるか(ベルト23が原点にあるか)を確認する。
【0042】
そして、図8(g)に示すようにベルト23が原点から6/7周進んだ状態から、エンコーダ25のZ相を検出するまでθ軸モータ21を1回転させると、ベルト23の状態は図8(a)に示すように原点にある状態に戻り、プーリー24も原点に戻る。そのため、このときの原点センサ26はON状態となる。したがって、コントローラ30は、この時点でθ軸モータ21の回転を停止する。これにより、ベルト23が原点に復帰した状態となる。
【0043】
本実施形態では、ベルト原点探索処理の実行開始時に、ベルト23がどのような位置にあったとしても、エンコーダ25のZ相を検出する位置までθ軸モータ21を回転させれば、ベルト23の状態は必ず図8(a)〜(g)の何れかとなる。したがって、この点を利用すれば、モータ軸を最大N回転(上記の例では7回転)させることで、ベルト23を原点に復帰させることができることになる。
【0044】
(効果)
このように、上記第1の実施形態では、吸着ノズルの軸とモータ軸とを繋ぐベルトの歯数を、駆動プーリーの歯数とベルト原点探索用プーリーの歯数との最小公倍数に一致させた構成とするので、ベルトが1周する間に、駆動プーリーとベルト原点探索用プーリーとが共に原点で一致するタイミングを1回のみとすることができる。そして、駆動プーリーの原点とベルト原点探索用プーリーの原点とが一致するタイミングが、ベルトが原点にあるときとなるように、初期調整してθ軸回転機構を組み付けるので、駆動プーリーの原点とベルト原点探索用プーリーの原点とが一致するタイミングを探索することで、ベルトの原点を探索することができる。
【0045】
必要とするモータ軸の歯数とベルト長とはシステムにより様々であるが、ベルトの歯数がモータ軸の歯数の整数倍であるという条件を満たせば、ベルト原点探索用プーリーの歯数を調整することにより、多くの場合どのような条件においても用いることができる。しかも、ベルト原点探索用プーリーの歯数は単純な計算により求めることができ、都合の良い構成を任意に選択することが可能である。
【0046】
また、ベルト原点を探索する際には、θ軸モータのエンコーダが出力するZ相を検出し、Z相を検出した時点を基準としてθ軸モータを1回転ずつ一定方向に回転し、θ軸モータを1回転するたびにベルト原点探索用プーリーの原点を検出する原点センサの状態を確認する。そして、原点センサの状態からベルト原点探索用プーリーが原点にあることを確認すると、その時点でθ軸モータの回転を停止する。これにより、確実にベルトの原点復帰を行うことができる。
【0047】
すなわち、従来の方式のようにベルトマークを付すことなくベルトの原点復帰を行うことができる。したがって、経年劣化やベルトの擦れ等が発生してもベルト原点の探索精度には影響はなく、安定してベルトの原点復帰を行うことができる。その結果、安定した実装を確立することができる。
さらに、ベルト原点探索用プーリーの原点を検出する原点センサは、当該プーリーの1周の原点(Z相)がわかるものであれば、どのような構成のものでも適用可能である。したがって、プーリーの詳細角度がわかる必要はないので、安価なセンサを使用することができる。
【0048】
(変形例)
なお、上記第1の実施形態においては、ベルト原点探索用のプーリーを1個だけ設ける場合について説明したが、複数個設けるようにしてもよい。例えば、ベルト23の歯数Lを144、駆動プーリー22の歯数mを24とした場合、上記(1)式を満たす歯数pは、ベルト23の歯数Lと等しい144以外には存在しない。歯数p=144のベルト原点探索用のプーリーを、歯数L=144のθ軸回転機構20に組み込むことはできないため、このような場合には、ベルト原点探索用のプーリーを複数個設けることで実現する。
すなわち、次式に表すように、駆動プーリー22の歯数mと、複数個(k個)のベルト原点探索用のプーリーの各歯数p1,…,pkとの最小公倍数が、ベルト23の歯数Lと等しくなるようにする。
L=LCM(m,p1,…,pk) ………(2)
【0049】
例えば、上記の例(L=144、m=24)の場合、図9に示すように、ベルト原点探索用のプーリーを2個設け、これら2個のプーリーの歯数(p1,p2)を(16,18)とすればよい。なお、図9に示す例では、(p1,p2)=(16,18)としているが、上記(2)式を満たす(p1,p2)は、計算上、(9,16)、(9,48)、(16,18)、(16,36)、(18,48)、(16,72)、(36,48)、(48,72)が存在する。したがって、(p1、p2)は上記の中から任意に選択可能である。
そして、ベルト原点探索用のプーリーを複数個設ける場合には、それぞれに原点センサを設置し、図5に示すベルト原点探索処理のステップS4では、すべての原点センサがON状態であるか否かを判定するようにする。このような構成により、ベルト原点探索用のプーリーを1個のみ設けた場合と同様の作用効果を得ることができる。
【0050】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
この第2の実施形態は、上述した第1の実施形態において、原点センサ26に代えてプーリー24の回転角度を検出可能な角度センサ(プーリー角度検出手段)を設けるようにしたものである。
【0051】
(構成)
本実施形態におけるθ軸回転機構20は、図2における原点センサ26に代えて、プーリー24の回転角度を検出可能な角度センサを備える。そして、コントローラ30は、ベルト原点探索処理において、エンコーダ25のZ相を検出した時点でのプーリー24の回転角度に基づいて、その時点でのベルト23の原点からのずれ量を検出し、当該ずれ量を0にすべくθ軸モータ21を回転させることでベルト23の原点復帰を行う。
図10は、第2の実施形態におけるベルト原点探索処理手順を示すフローチャートである。
先ずステップS11で、コントローラ30は、θ軸モータ21を一定方向(例えば、正方向)に回転し、ステップS12に移行する。
【0052】
ステップS12では、コントローラ30は、エンコーダ25のZ相を検出したか否かを判定する。そして、Z相を検出した場合にはステップS13に移行し、Z相を検出していない場合には検出するまでθ軸モータ21を回転するものとして、前記ステップS11に移行する。
ステップS13では、コントローラ30は、角度センサで検出したプーリー24の回転角を取得し、ステップS14に移行する。
ステップS14では、コントローラ30は、前記ステップS13で取得したプーリー24の回転角に基づいて、ベルト23の原点が探索可能か否かを判定する。
【0053】
上述した初期調整がなされている場合、エンコーダ25のZ相を検出した時点でのプーリー24の回転角には一定の法則があり、その角度は駆動プーリー22の歯数mとプーリー24の歯数pとの比率に応じて決まる。そして、エンコーダ25のZ相を検出した時点でのプーリー24の回転角が分かれば、ベルト23が原点からどの程度ずれているかが分かる。この点について、図11を参照しながら具体的に説明する。なお、この図11は、ベルト23の1周分を1次元に展開したイメージ図である。すなわち、図7(a)に示すように通常はループ状となっているベルトを、図7(b)に示すように1次元的に展開して示したものである。
【0054】
図11に示す例では、駆動プーリー22の歯数m=24、プーリー24の歯数p=21、ベルト23の歯数L=168としている。エンコーダ25のZ相を検出した時点でのプーリー24の回転角は、Z相(A)の検出時(ベルト原点)では0°である。そして、Z相(B)の検出時に360°/7≒51°、Z相(C)の検出時に360°/7×2≒103°、Z相(D)の検出時に360°/7×3≒154°、Z相(E)の検出時に360°/7×4≒206°、Z相(F)の検出時に360°/7×5≒257°、Z相(G)の検出時に360°/7×6≒309°となる。
【0055】
したがって、エンコーダ25のZ相を検出した時点で角度センサによって検出したプーリー24の回転角が、例えば51°の場合、検出したZ相は図11のZ相(B)であることがわかる。したがって、この場合、ベルト23が順方向に1/7周ずれていることがわかるため、モータ軸を逆方向に1周回せばベルト23を原点に復帰させることができることがわかる。
【0056】
そこで、ステップS14では、前記ステップS13で取得したプーリー24の回転角が、駆動プーリー22の歯数mとプーリー24の歯数pとの比率に応じて決まる、ベルト23の原点が探索可能な角度であるか否かを判定する。例えば、図11の例では、プーリー24の回転角が360°/7のj倍(jは1以上7以下の整数)に許容範囲(±数°)を設けた角度であるときに、ベルト23の原点が探索可能な角度であると判定する。そして、ベルト23の原点が探索可能であると判定した場合にはステップS15に移行する。
【0057】
ステップS15では、コントローラ30は、前記ステップS13で取得したプーリー24の回転角からベルト23の原点からのずれ量を求め、ベルト23を最短経路で原点に復帰させるのに必要なθ軸モータ21の回転方向および回転量を演算する。
例えば、図11に示す例では、プーリー24の回転角が0°である場合、ベルト23は原点にあるため、θ軸モータ21は回転する必要がないとして上記回転量を0とする。一方、プーリー24の回転角が51°である場合、Z相(B)の検出状態であるため、ベルト23を最短経路で原点復帰させるためにはθ軸モータ21を逆方向に1回転する必要があるとして、上記回転方向を逆方向、上記回転量を360°とする。同様に、プーリー24の回転角が103°である場合には、θ軸モータ21を逆方向に2回転する必要があるとして、上記回転方向を逆方向、上記回転量を720°とする。さらに、プーリー24の回転角が154°である場合には、θ軸モータ21を逆方向に3回転する必要があるとして、上記回転方向を逆方向、上記回転量を1080°とする。
【0058】
また、プーリー24の回転角が154°である場合には、ベルト23を最短経路で原点復帰させるためにはθ軸モータ21を順方向に3回転する必要があるとして、上記回転方向を順方向、上記回転量を1080°とする。そして、プーリー24の回転角が206°である場合には、θ軸モータ21を順方向に2回転する必要があるとして、上記回転方向を順方向、上記回転量を720°とする。同様に、プーリー24の回転角が309°である場合には、θ軸モータ21を順方向に1回転する必要があるとして、上記回転方向を順方向、上記回転量を360°とする。
【0059】
ここで、プーリー24の回転角の判定は、上記許容範囲を考慮して行う。すなわち、例えば角度センサで検出した検出値が0°±許容範囲である場合には、プーリー24の回転角を0°、角度センサで検出した検出値が51°±許容範囲である場合には、プーリー24の回転角を51°であることにして、θ軸モータ21の回転方向および回転量を演算する。
【0060】
次に、ステップS16では、コントローラ30は、θ軸モータ21を前記ステップS15で求めた回転方向に、前記ステップS15で求めた回転量だけ回転し、ステップS17に移行する。
ステップS17では、コントローラ30は、θ軸モータ21の回転が終了した時点で、ベルト23の原点復帰が完了したものとして、ベルト原点探索処理を終了する。
【0061】
また、前記ステップS14でベルト原点の探索が不可能であると判定した場合には、ステップS18に移行し、コントローラ30は、作業者にベルト原点の探索が不可能であることを報知するなどの所定のエラー処理を実施し、ベルト原点探索処理を終了する。ここで、ベルト原点探索エラーの原因としては、センサ部の不具合や初期調整の不実施が考えられる。
なお、図10のステップS11〜S14がずれ量演算手段に対応し、ステップS15がモータ制御量演算手段に対応し、ステップS16がモータ駆動手段に対応している。
【0062】
(動作)
次に、第2の実施形態の動作について説明する。ここでは図11に示すように、駆動プーリー22の歯数m=24、ベルト原点探索用のプーリー24の歯数p=21、ベルト23の歯数L=168の例を用いて説明する。
図10に示すベルト原点探索処理が実行開始すると、コントローラ30は、先ずθ軸モータ21を回転してエンコーダ25のZ相を検出する。そして、その時点でのプーリー24の回転角を角度センサで検出する。
このとき、角度センサによってプーリー24の回転角が51°であることが検出されると、当該角度はベルト原点の探索が可能な角度であるため、コントローラ30は、検出された角度に基づいてベルト23を原点に復帰させるために必要なθ軸モータ21の回転方向と回転量とを演算する。
【0063】
プーリー24の回転角は51°であるため、コントローラ30は、エンコーダ25のZ相を検出した時点でのベルト23の状態が、順方向に1/7周進んでいる状態であると判断する。そのため、モータ軸を逆方向に1回転させれば、ベルト23を逆方向に1/7周戻すことができ、最短経路でベルト23を原点に復帰させることができると判断する。したがって、コントローラ30は、上記回転方向を逆方向、上記回転量を1周分の360°に設定し、θ軸モータ21を逆方向に360°回転させる。これにより、ベルト23は原点に復帰する。
【0064】
以上のように、エンコーダ25のZ相を検出した時点でのプーリー24の回転角を検出することで、ベルト23の原点からのずれ量を把握し、次にθ軸モータ21を回転させる際には、原点復帰に必要な回転量を一気に回転させる。したがって、エンコーダ25のZ相を検出した後、何度もθ軸モータ21の回転させることなく、素早く原点復帰させることができる。
なお、本実施形態においては、ベルト原点探索用のプーリーを1個だけ設ける場合について説明したが、例えば図9に示すように、複数個設けた場合にも適用可能である。
【0065】
(効果)
このように、上記第2の実施形態では、ベルト原点探索用のプーリーの現在の角度を検出する角度センサを設けるので、モータエンコーダのZ相を検出した時点でのプーリーの角度から、その時点でのベルトの状態(原点からのずれ量)を認識することができる。そのため、モータエンコーダのZ相を検出した後は、一気にベルトを原点まで復帰させることができる。したがって、上述した第1の実施形態のようにN回(L/m回)の繰り返しをしなくてもベルトの原点復帰が可能となる。その結果、原点復帰にかかる時間を短縮することができる。
また、モータエンコーダのZ相を検出した後、最短経路で原点復帰させるようθ軸モータの回転方向および回転量を演算するので、より迅速に原点復帰を行うことができる。
【0066】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
この第3の実施形態は、上述した第2の実施形態において、エンコーダ25のZ相を検出した時点でのプーリー24の回転角をもとに現在のベルト23の位置を把握しているのに対し、プーリー24に設置した原点センサ26のZ相を検出した時点でのθ軸モータ21の回転角をもとに現在のベルト23の位置を把握するようにしたものである。
【0067】
(構成)
本実施形態におけるθ軸回転機構20は、図2に示すθ軸回転機構20と同一構成を有する。そして、コントローラ30は、ベルト原点探索処理において、原点センサ26のZ相を検出した時点でのθ軸モータ21の回転角を取得し、取得した角度に基づいてその時点でのベルト23の原点からのずれ量を検出する。
図12は、第3の実施形態におけるベルト原点探索処理手順を示すフローチャートである。
【0068】
先ずステップS21で、コントローラ30は、θ軸モータ21を一定方向(例えば、正方向)に回転し、ステップS22に移行する。
ステップS22では、コントローラ30は、エンコーダ25のZ相を検出したか否かを判定する。そして、Z相を検出した場合にはステップS23に移行し、Z相を検出していない場合には検出するまでθ軸モータ21を回転するものとして、前記ステップS21に移行する。
ステップS23では、コントローラ30は、原点センサ26の状態を確認し、原点センサ26がON状態であるか否かを判定する。そして、原点センサ26がOFF状態である場合にはステップS24に移行し、原点センサ26がON状態である場合には後述するステップS27に移行する。
【0069】
ステップS24では、コントローラ30は、ベルト原点の探索が失敗であるか否かを判定する。ここでは、エンコーダ25のZ相を検出した後、θ軸モータ21を、理論的に原点センサ26のZ相が検出される角度だけ回転させたか否かを判定する。例えば、駆動プーリー22の歯数mがプーリー24の歯数pよりも多い場合、θ軸モータ21を360°回転する間に原点センサ26のZ相を少なくとも1回は検出できる。したがって、このような場合には、エンコーダ25のZ相を検出した後、θ軸モータ21を360°回転させたか否かを判定し、360°回転させている場合にはベルト原点の探索に失敗したと判断する。
上記ステップS24で、ベルト原点の探索に失敗したと判断した場合には、ステップS25に移行し、作業者にベルト原点の探索に失敗したことを報知するなどの所定のエラー処理を実施し、ベルト原点探索処理を終了する。ここで、ベルト原点探索エラーの原因としては、センサ部の不具合や初期調整の不実施が考えられる。
【0070】
一方、前記ステップS24で、ベルト原点の探索に失敗したと判断されない場合にはステップS26に移行し、コントローラ30は、θ軸モータ21を所定角度θ0°順方向に回転させて前記ステップS23に移行する。ここで、所定角度θ0は、駆動プーリー22の歯数mとプーリー24の歯数pとの比率に基づいて決定する。
図13は、原点センサ26のZ相を検出した時点でのモータエンコーダ出力を示す図である。なお、この図13は、ベルト23の1周分を1次元に展開したイメージ図である。すなわち、図7(a)に示すように通常はループ状となっているベルトを、図7(b)に示すように1次元的に展開して示したものである。
【0071】
この図13に示す例では、駆動プーリー22の歯数m=24、プーリー24の歯数p=21、ベルト23の歯数L=168としている。上述した初期調整がなされている場合、原点センサ26のZ相(a)の検出時(ベルト原点)にはモータエンコーダ出力は0°となる。そして、Z相(b)の検出時に315°、Z相(c)の検出時に270°、Z相(d)の検出時に225°、Z相(e)の検出時に180°、Z相(f)の検出時に135°、Z相(g)の検出時に90°、Z相(h)の検出時に45°となる。このように、歯数mと歯数pとの比率が8:7である場合、原点センサ26のZ相を検出した時点でのモータエンコーダ出力は、45°の倍数となる。
【0072】
したがって、図13に示す例では、エンコーダ25のZ相を検出した時点を基準として、θ軸モータ21を45°ずつ順方向に回転させていくと、再びエンコーダ25のZ相を検出する前に必ずどこかで原点センサ26のZ相を検出するタイミングと一致する。そのため、この場合には、所定角度θ0=45°とし、θ軸モータ21を45°順方向に回転させるたびに、原点センサ26が反応するか(ON状態となるか)どうかを確認する。この動作を原点センサ26が反応するまで繰り返し、原点センサ26が反応した際のモータエンコーダ出力を取得すれば、当該モータエンコーダ出力からその時点でのベルト23の原点からのずれ量を把握することができる。
【0073】
ステップS27では、コントローラ30は、エンコーダ25の出力からモータ角度を取得し、ステップS28に移行する。
ステップS28では、コントローラ30は、前記ステップS27で取得したモータ角度からベルト23の原点からのずれ量を求め、ベルト23を最短経路で原点に復帰させるのに必要なθ軸モータ21の回転方向および回転量を演算する。
【0074】
例えば、図13に示す例では、モータ角度が0°である場合、ベルト23は原点にあるため、θ軸モータ21は回転する必要がないとして上記回転量を0とする。また、モータ角度が315°である場合、Z相(b)の検出状態であるため、ベルト23を最短経路で原点復帰させるためにはθ軸モータ21を逆方向に315°回転する必要があるとして、上記回転方向を逆方向、上記回転量を315°とする。同様に、モータ角度が270°である場合には、θ軸モータ21を逆方向に360°+270°回転する必要があるとして、上記回転方向を逆方向、上記回転量を630°とする。さらに、モータ角度が225°である場合には、θ軸モータ21を逆方向に720°+225°回転する必要があるとして、上記回転方向を逆方向、上記回転量を945°とする。
【0075】
また、モータ角度が180°である場合には、Z相(e)の検出状態であるため、ベルト23を原点復帰させるためにはθ軸モータ21を順方向に1080°+180°回転する必要があるとして、上記回転方向を順方向、上記回転量を1260°とする。なお、モータ角度が180°である場合には、上記回転方向を逆方向、上記回転量を1260°としてもよい。
【0076】
さらに、モータ角度が135°である場合には、Z相(f)の検出状態であるため、ベルト23を最短経路で原点復帰させるためにはθ軸モータ21を順方向に720°+(360°−135°)回転する必要があるとして、上記回転方向を順方向、上記回転量を945°とする。同様に、モータ角度が90°である場合には、θ軸モータ21を順方向に360°+(360°−90°)回転する必要があるとして、上記回転方向を逆方向、上記回転量を630°とする。また、モータ角度が45°である場合には、θ軸モータ21を順方向に(360°−45°)回転する必要があるとして、上記回転方向を順方向、上記回転量を315°とする。
【0077】
ここで、モータ角度の判定は、所定の許容範囲(±数°)を考慮して行う。すなわち、例えばエンコーダ25で検出した検出値が315°±許容範囲である場合には、モータ角度を315°、エンコーダ25で検出した検出値が270°±許容範囲である場合には、モータ角度を270°であることにして、θ軸モータ21の回転方向および回転量を演算する。
【0078】
次に、ステップS29では、コントローラ30は、θ軸モータ21を前記ステップS28で求めた回転方向に、前記ステップS28で求めた回転量だけ回転し、ステップS30に移行する。
ステップS30では、コントローラ30は、θ軸モータ21の回転が終了した時点で、ベルト23の原点復帰が完了したものとして、ベルト原点探索処理を終了する。
なお、上記において、エンコーダ25がモータ角度検出手段に対応している。また、図2のステップS21〜S27がずれ量演算手段に対応し、ステップS28がモータ制御量演算手段に対応し、ステップS29がモータ駆動手段に対応している。
【0079】
(動作)
次に、第3の実施形態の動作について説明する。ここでは図13に示すように、駆動プーリー22の歯数m=24、ベルト原点探索用のプーリー24の歯数p=21、ベルト23の歯数L=168の例を用いて説明する。
図12に示すベルト原点探索処理が実行開始すると、コントローラ30は、先ずθ軸モータ21を回転してエンコーダ25のZ相を検出する。そして、この時点からθ軸モータ21を所定角度θ0ずつ順方向に回転し、その度に原点センサ26が反応するか否かを確認する。
【0080】
例えば、図13に示す例において、ベルト23が原点から若干進んだ状態から、θ軸モータ21を回転してエンコーダ25のZ相を検出した場合、その時点でのベルト23は順方向に1/7周分進んだ状態である。そして、この状態からθ軸モータ21を所定角度θ0=45°ずつ順方向に回転した場合、θ軸モータ21を6回回転した時点で、原点センサ26のZ相(c)を検出する。すなわち、このときのモータエンコーダ出力は45°×6=270°である。
【0081】
原点センサ26のZ相(c)を検出した時点でのθ軸モータ21の回転角が270°であることが検出されると、コントローラ30は、その検出された角度に基づいてベルト23を原点に復帰させるために必要なθ軸モータ21の回転方向と回転量とを演算する。
θ軸モータ21の回転角は270°であるため、コントローラ30は、θ軸モータ21を逆方向に360°+270°=630°回転させれば、最短経路でベルト23を原点に復帰させることができると判断する。したがって、コントローラ30は、上記回転方向を逆方向、上記回転量を630°に設定し、θ軸モータ21を逆方向に630°回転させる。これにより、ベルト23は原点に復帰する。
【0082】
以上のように、エンコーダ25のZ相を検出した時点からθ軸モータ21を所定角度θ0ずつ回転すると共に原点センサ26の反応を確認し、原点センサ26のZ相を検出した時点でのθ軸モータ21の回転角を検出することで、ベルト23の原点からのずれ量を把握する。また、原点センサ26のZ相の検出に際し、エンコーダ25のZ相を検出した時点から、θ軸モータ21を駆動プーリー22の歯数mとプーリー24の歯数pとの比率に応じて決まる所定角度θ0ずつ回転する。
【0083】
これにより、原点センサ26が反応する可能性のあるベルト位置で、実際に原点センサ26が反応するか否かを確認するようにすることができる。したがって、原点センサ26の反応角度(原点検出可能範囲)に所定の幅があり、プーリー24が原点から若干ずれていても原点センサ26が反応するような構造の場合でも、精度良くプーリー26が原点にあることを検出することができる。
【0084】
そして、原点センサ26のZ相を検出した後は、原点復帰に必要な回転量だけθ軸モータ21を一気に回転させる。したがって、原点センサ26のZ相を検出した後、何度もθ軸モータ21の回転させることなく、素早く原点復帰させることができる。
なお、本実施形態においては、ベルト原点探索用のプーリーを1個だけ設ける場合について説明したが、例えば図9に示すように、複数個設けた場合にも適用可能である。
また、原点センサ26が、反応角度(検出可能範囲)に幅を持たずにピンポイントだけを検出する構造である場合には、エンコーダ25のZ相を検出した時点を基準として原点センサ26のZ相を検出するのではなく、ベルト原点探索処理の開始直後、直接θ軸モータ21を回転させながら原点センサ26のZ相を検出するようにしてもよい。
【0085】
(効果)
このように、上記第3の実施形態では、ベルト原点探索用プーリーの原点を検出した時点でのθ軸モータの回転角をもとに、現在のベルトの位置を把握することができるので、ベルト原点探索用のプーリーには、安価な原点センサのみを設ければよく、当該プーリーの回転角度を検出可能な高価な角度センサを設ける必要がない。
【0086】
また、ベルト原点探索用プーリーの原点検出に際し、モータエンコーダのZ相を検出した時点からθ軸モータを所定角度ずつ回転し、原点センサの反応を確認する方法を用いる。このとき、上記所定角度は、駆動プーリーの歯数とベルト原点探索用プーリーの歯数との比率に応じて設定する。これにより、原点センサが反応する可能性のあるベルト位置でのみ、実際に原点センサが反応するか否かを確認するようにすることができるので、原点センサの反応角度(原点検出可能範囲)によらず精度良くベルト原点探索用プーリーの原点を検出することができる。
そして、ベルト原点探索用プーリーの原点を検出した時点でのθ軸モータの回転角をもとに、現在のベルトの位置を把握した後は、一気にベルトを原点まで復帰させることができるので、原点復帰にかかる時間を短縮することができる。
【0087】
(応用例)
なお、上記第2及び第3の実施形態においては、ベルト23が原点にあるときに、駆動プーリー22とプーリー24とが共に原点にあるように初期調整を行って組み付け作業を行う場合について説明したが、当該初期調整を行わなくても実現可能である。
θ軸モータ21のZ相は、電源を入れて動作させなければ正確に検出できない。また、ベルト23などのθ軸回転機構20の組み付け時には、θ軸モータ21に電源を投入するのは困難であり、できたとしても工数が増えてしまう。そこで、初期調整を行わずに組み付け作業を行うことで、工数を削減することができる。その際、駆動プーリー22の原点位置にオフセット(ずれ)が付加されていることを考慮して動作させなければならないが、各検出角度に対し、オフセット値を考慮した値にすれば、運用は十分可能である。
【0088】
例えば、上述した第2の実施形態の場合には、角度センサで検出したプーリー24の回転角度にオフセット値(固定値)が含まれていると想定して、ベルト原点探索処理を実施する。例えば、図11に示す例では、角度センサの検出値の判定で用いる許容範囲を±25°とする。
具体的には、角度センサの検出値が0°±25°(335°〜25°)の場合には、プーリー24の回転角は0°であることにして、ベルト23は原点にあると判断する。また、角度センサの検出値が51°±25°(26°〜76°)の場合には、プーリー24の回転角は51°であることにして、ベルト23は原点から1/7周進んだ状態(Z相(B)の検出状態)であると判断する。
【0089】
同様に、角度センサの検出値が103°±25°(78°〜128°)の場合はプーリー24の回転角が103°、角度センサの検出値が154°±25°(129°〜179°)の場合はプーリー24の回転角が154°、角度センサの検出値が206°±25°(181°〜231°)の場合はプーリー24の回転角が206°、角度センサの検出値が257°±25°(232°〜282°)の場合はプーリー24の回転角が257°、角度センサの検出値が309°±25°(284°〜334°)の場合はプーリー24の回転角が309°であることにする。
【0090】
ここで、許容範囲である「±25°」は、駆動プーリー22の歯数mとプーリー24の歯数pとの比率に基づいて決まり、上記の例ではm:p=7:8であるため51°の半分に一致又は略一致した値となる。
さらにこのとき、角度センサの検出値の理論値(図11の例では0°,51°,103°など)からのずれ量から、駆動プーリー22のオフセット値を検出可能である。そこで、一旦検出したオフセット値は保存しておき、次回以降のオフセット値(の参考値)として使用する。これにより、より適切にベルト原点探索処理を実施することができる。
【0091】
また、上述した第3の実施形態の場合には、θ軸モータ21のエンコーダ値(角度)にオフセット値(固定値)が含まれていると想定して、ベルト原点探索処理を実施する。すなわち、図13に示す例では、モータ角度の判定で用いる許容範囲を±22°とする。
具体的には、モータエンコーダ出力が0°±22°の場合には、モータエンコーダ出力が0°であることにして、ベルト23は原点にあると判断する。また、モータエンコーダ出力が315°±22°の場合には、モータエンコーダ出力が315°であることにして、ベルト23は原点から1/8周進んだ状態(Z相(b)の検出状態)であると判断する。
【0092】
同様に、モータエンコーダ出力が270°±22°の場合はモータエンコーダ出力が270°、モータエンコーダ出力が225°±22°の場合はモータエンコーダ出力が225°、モータエンコーダ出力が180°±22°の場合はモータエンコーダ出力が180°、モータエンコーダ出力が135°±22°の場合はモータエンコーダ出力が135°、モータエンコーダ出力が90°±22°の場合はモータエンコーダ出力が90°、モータエンコーダ出力が45°±22°の場合はモータエンコーダ出力が45°であることにする。
【0093】
ここで、許容範囲である「±22°」は、駆動プーリー22の歯数mとプーリー24の歯数pとの比率に基づいて決まり、上記の例ではm:p=7:8であるため45°の半分に一致又は略一致した値となる。また、この場合、図12のステップS26でθ軸モータ21を回転する角度(所定角度θ0)を5°程度と比較的小さく設定すれば、原点センサ26で確実に反応を得ることができる。
【0094】
なお、この場合の所定角度θ0は、原点センサ26の反応角度(検出可能範囲)に応じて設定することもできる。原点センサは、一般に、検出可能範囲に幅を持たせずにピンポイントだけを検出するものほど検出制御動作が難しく、取り付けや制御を行い易くするためには検出可能範囲に一定の幅を持たせている。そこで、この幅が基準値θTH(図13に示す例では、m:p=7:8であるため45°)より大きい(但し、θTH×2よりも小さい)場合には、所定角度θ0=θTHに設定する。一方、θTH以下の場合には、所定角度θ0を原点センサ26の検出可能範囲の幅(角度)の1/2以下に設定する。図13に示す例では、45°以上ずれることはない(ずれていたとしても、次のθ軸モータ21のZ相にあたるので、ずれたことにはならない)ため、上記の制御で適切な運用が可能となる。
【符号の説明】
【0095】
1…電子部品実装装置、5…回路基板、11…搬送レール、12…搭載ヘッド、12a…ノズルシャフト、12b…吸着ノズル、12c…従動プーリー(第1の従動プーリー)、13…X軸ガントリ、14…Y軸ガントリ、15…部品供給装置、16…ノズル交換機、20…θ軸回転機構、21…θ軸モータ、22…駆動プーリー、23…ベルト、24…ベルト原点探索用プーリー(第2の従動プーリー)、25…エンコーダ、26…原点センサ、30…コントローラ、31…バキューム機構、32…X軸モータ、33…Y軸モータ、34…Z軸モータ
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品供給装置から供給された部品を基板上に装着する電子部品実装装置に関し、特に部品を吸着するノズルの軸と当該ノズルを回動するモータの軸とを繋ぐベルトの原点復帰を行う電子部品実装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子部品実装装置では、X,Y,Z,θ軸方向の動作が可能な吸着ノズルで電子部品を吸着保持し、当該電子部品を基板上に搭載する。
このような電子部品実装装置において、吸着ノズルの軸回りの回転位置精度を向上して実装精度を向上させるものとして、例えば特許文献1に記載の技術がある。この電子部品実装装置は、吸着ノズルの軸と吸着ノズルを回動するθ軸モータの軸とをベルトで繋ぎ、θ軸モータの駆動力を吸着ノズルに伝えるものであり、上記ベルトにベルトマークを付し、これをセンサで検出することでベルトの原点を探索し、ベルトの原点復帰を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−124083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の従来装置にあっては、経年劣化やベルトの擦れ等によりベルトマークが検出しにくくなることがあり、耐久性に不安がある。
そこで、本発明は、吸着ノズルの軸と吸着ノズルを回動するモータの軸とを繋ぐベルトの原点復帰を安定して行うことができる電子部品実装装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、請求項1に係る電子部品実装装置は、θ軸モータにより回転されるノズルシャフトに装着された吸着ノズルにより電子部品を吸着し、基板上に当該電子部品を搭載する電子部品実装装置であって、前記θ軸モータの軸に、当該軸と同軸に装着された歯付きの駆動プーリーと、前記ノズルシャフトに、当該ノズルシャフトと同軸に装着された歯付きの第1の従動プーリーと、少なくとも1個の歯付きの第2の従動プーリーと、前記駆動プーリー、前記第1の従動プーリー及び前記第2の従動プーリーに掛け渡され、前記駆動プーリーの歯数と前記第2の従動プーリーの歯数との最小公倍数と等しい歯数を有する歯付きのベルトと、前記駆動プーリーが原点にあるときに、第1の原点検出信号を出力する第1の原点検出手段と、前記第2の従動プーリーが原点にあるときに、第2の原点検出信号を出力する第2の原点検出手段と、前記第1の原点検出手段が出力する前記第1の原点検出信号と、前記第2の原点検出手段が出力する前記第2の原点検出信号とに基づいて、前記ベルトを原点に復帰させる原点復帰手段と、を備えることを特徴としている。
【0006】
このように、θ軸モータの駆動力をノズルシャフトへ伝達するベルトの歯数を、駆動プーリーの歯数と第2の従動プーリーの歯数との最小公倍数に一致させるので、ベルトが1周する間に1回のみ、駆動プーリーと第2の従動プーリーとが共に原点となるタイミングを作ることができる。また、駆動プーリーが原点にあるときの第2の従動プーリーの原点からのずれ量、及び第2の従動プーリーが原点にあるときの駆動プーリーの原点からのずれ量に規則性を持たせることができる。
【0007】
そのため、第1の原点検出信号の出力タイミングと第2の原点検出信号の出力タイミングとに基づいて、適切にベルト原点を探索し原点復帰を行うことができる。その際、従来装置のようにベルトにベルトマークを付す必要がないため、経年劣化やベルトの擦れ等が発生してもベルト原点の復帰動作には影響しない。したがって、安定してベルトの原点復帰を行うことができる。
【0008】
また、請求項2に係る電子部品実装装置は、請求項1に係る発明において、前記ベルトが原点にあるとき、前記駆動プーリー及び前記第2の従動プーリーが共に原点にあるように組み付けられていることを特徴としている。
これにより、ベルトが原点にあるときのみ、第1の原点検出信号の出力タイミングと第2の原点検出信号の出力タイミングとが一致するようにすることができる。したがって、容易にベルト原点を探索することができる。
【0009】
さらに、請求項3に係る電子部品実装装置は、請求項2に係る発明において、前記原点復帰手段は、前記θ軸モータを回転しながら、前記第1の原点検出手段と前記第2の原点検出手段とがそれぞれ同時に原点検出信号を出力するタイミングを探索する探索手段と、前記探索手段で探索したタイミングで、前記θ軸モータの回転を停止するモータ停止手段と、を備えることを特徴としている。
【0010】
このように、ベルトが原点にあるときのみ、第1の原点検出信号の出力タイミングと第2の原点検出信号の出力タイミングとが一致することを利用し、θ軸モータを回転しながら、第1の原点検出信号が出力されたときに第2の原点検出信号も出力されているか否かを確認し、第1の原点検出信号が出力されたときに第2の原点検出信号も出力されていることを確認したときにθ軸モータの回転を停止する。これにより、ベルトが原点に復帰した時点でθ軸モータを停止させることができる。すなわち、ベルトの原点探索と原点復帰とを同時に行うことができる。
【0011】
また、請求項4に係る電子部品実装装置は、請求項1又は2に係る発明において、前記第2の従動プーリーの回転角度を検出するプーリー角度検出手段を備え、前記原点復帰手段は、前記第1の原点検出手段が第1の原点検出信号を出力したときに前記角度検出手段で検出した前記第2の従動プーリーの回転角度に基づいて、その時点での前記ベルトの原点からのずれ量を演算するずれ量演算手段と、前記ずれ量演算手段で演算した前記ベルトの原点からのずれ量に基づいて、前記ベルトを原点に復帰させるのに必要な前記θ軸モータの回転方向及び回転量を演算するモータ制御量演算手段と、前記θ軸モータを、前記モータ制御量演算手段で演算した回転方向に、前記モータ制御量演算手段で演算した回転量だけ回転させるモータ駆動手段と、を備えることを特徴としている。
【0012】
駆動プーリーが原点にあるときの第2の従動プーリーの回転角度には規則性があることから、第1の原点検出信号が出力された時点での第2の従動プーリーの回転角度が検出できれば、その検出角度に基づいて現在のベルトの位置(原点からのずれ量)を適切に認識することができる。そして、現在のベルトの位置を認識した後は、ベルトを原点に復帰させるべくθ軸モータを一気に回転させることができる。このように、ベルト原点の復帰動作を適切且つ迅速に行うことができる。
【0013】
さらにまた、請求項5に係る電子部品実装装置は、請求項1又は2に係る発明において、前記θ軸モータの回転角度を検出するモータ角度検出手段を備え、前記原点復帰手段は、前記第2の原点検出手段が第2の原点検出信号を出力したときに前記モータ角度検出手段で検出した前記θ軸モータの回転角度に基づいて、その時点での前記ベルトの原点からのずれ量を演算するずれ量演算手段と、前記ずれ量演算手段で演算した前記ベルトの原点からのずれ量に基づいて、前記ベルトを原点に復帰させるのに必要な前記θ軸モータの回転方向及び回転量を演算するモータ制御量演算手段と、前記θ軸モータを、前記モータ制御量演算手段で演算した回転方向に、前記モータ制御量演算手段で演算した回転量だけ回転させるモータ駆動手段と、を備えることを特徴としている。
【0014】
第2の従動プーリーが原点にあるときのθ軸モータ(駆動プーリー)の回転角度には規則性があることから、第2の原点検出信号が出力された時点でのθ軸モータ(駆動プーリー)の回転角度が検出できれば、その検出角度に基づいて現在のベルトの位置(原点からのずれ量)を適切に認識することができる。そして、現在のベルトの位置を認識した後は、ベルトを原点に復帰させるべくθ軸モータを一気に回転させることができる。このように、ベルト原点の復帰動作を適切且つ迅速に行うことができる。
【0015】
また、請求項6に係る電子部品実装装置は、請求項5に係る発明において、前記ずれ量演算手段は、前記第1の原点検出手段が第1の原点検出信号を出力したことを検出した後、前記θ軸モータを、所定角度ずつ回転するたびに前記第2の原点検出手段が第2の原点検出信号を出力したか否かを確認し、前記第2の原点検出手段が第2の原点検出信号を出力したことを確認したときに前記モータ角度検出手段で検出した前記θ軸モータの回転角度に基づいて、前記ずれ量を演算することを特徴としている。
【0016】
これにより、第2の原点検出手段が第2の従動プーリーの原点を検出可能な範囲(センサの反応範囲)に幅がある場合でも、上記所定角度を適切に設定することで、精度良く第2の原点検出信号が出力されるタイミングを検出することができる。
さらに、請求項7に係る電磁部品実装装置は、請求項6に係る発明において、前記所定角度は、前記駆動プーリーの歯数と前記第2の従動プーリーの歯数との比率に応じて決定することを特徴としている。
【0017】
これにより、駆動プーリーが原点にあるときの第2の従動プーリーの原点からのずれ量に規則性があることを利用して、第1の原点検出信号を検出した後、第2の原点検出信号が出力される可能性のあるベルト位置となるようにθ軸モータを回転させることができる。すなわち、第2の原点検出信号が出力される可能性のあるベルト位置でのみ、第2の手原点検出信号の出力の有無を確認することができるので、高精度且つ効率的に第2の原点検出信号の出力タイミングを探索することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、モータ軸に装着された駆動プーリーの原点検出信号と、ノズルシャフトに装着された第1の従動プーリーとは別に設けられた第2の従動プーリーの原点検出信号とにより、ベルト自体の原点を探索することができるので、ベルトマークを付すことなくベルトの原点復帰を行うことができる。したがって、経年劣化やベルトの擦れ等が発生してもベルト原点の復帰動作には影響はなく、安定してベルトの原点復帰を行うことができる。その結果、安定した実装を確立することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明における電子部品実装装置を示す平面図である。
【図2】搭載ヘッドと搭載ヘッドのθ軸回転機構の概要を示す斜視図である。
【図3】θ軸回転機構の主要部分を示す平面図である。
【図4】電子部品実装装置の制御系の構成を示すブロック図である。
【図5】第1の実施形態のベルト原点探索処理手順を示すフローチャートである。
【図6】ベルトの状態とZ相の関係とを示す図である。
【図7】ベルトの通常の状態と1次元的に展開した状態とを示す図である。
【図8】第1の実施形態の動作を説明するための図である。
【図9】プーリーを2個設けた例を示す図である。
【図10】第2の実施形態のベルト原点探索処理手順を示すフローチャートである。
【図11】エンコーダのZ相を検出した時点でのプーリーの回転角を示す図である。
【図12】第3の実施形態のベルト原点探索処理手順を示すフローチャートである。
【図13】原点センサのZ相を検出した時点でのモータエンコーダ出力を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(第1の実施形態)
(構成)
図1は、本発明における電子部品実装装置を示す平面図である。
図中、符号1は電子部品実装装置である。この電子部品実装装置1は、基台10の上面にX方向に延在する一対の搬送レール11を備える。この搬送レール11は、回路基板5の両側辺部を支持し、搬送用モータ(図示せず)により駆動されることで回路基板5をX方向に搬送する。
【0021】
また、電子部品実装装置1は搭載ヘッド12を備える。この搭載ヘッド12は、下部に電子部品を吸着する複数の吸着ノズルを備え、X軸ガントリ13及びY軸ガントリ14により、基台10上をXY方向に水平移動可能に構成されている。
この電子部品実装装置1には、搬送レール11のY方向両側に、テープフィーダ等により電子部品を供給する電子部品供給装置15が装着される。そして、電子部品供給装置15から供給された電子部品は、搭載ヘッド12の吸着ノズルによって真空吸着され、回路基板5上に実装搭載される。
【0022】
また、部品供給装置15と回路基板5との間には、CCDカメラからなる認識カメラ7を配置する。この認識カメラ7は、電子部品の吸着位置ずれ(吸着ノズルの中心位置と吸着した部品の中心位置とのずれ)や、吸着角度ずれ(傾き)を検出するために、吸着ノズルで吸着した電子部品を撮像するものである。
また、搭載ヘッド12には、距離センサ8が取り付けられている。この距離センサ8は、センサ光により吸着ノズルと回路基板5とのZ方向の距離(高さ)を測定する。
さらに、電子部品実装装置1には、吸着する部品のサイズや形状に応じて、吸着ノズルを交換するためのノズル交換機16が設けられている。このノズル交換機16内には複数種のノズルが保管、管理されている。
【0023】
図2は、搭載ヘッド12と搭載ヘッド12のθ軸回転機構の概要を示す斜視図である。
図中、符号20はθ軸回転機構である。このθ軸回転機構20は、搭載ヘッド12のノズルシャフト12aを中心にして吸着ノズル12bを回転させるための駆動源として、θ軸モータ21を備える。
θ軸モータ21には、その同軸上に駆動プーリー22が装着されている。θ軸モータ21を駆動すると、駆動プーリー22に掛け渡されたベルト23を介してノズルシャフト12aの同軸上に装着された従動プーリー(第1の従動プーリー)12cが回転され、これによりノズルシャフト12aが回転するようになっている。また、ベルト23は、駆動プーリー22及び従動プーリー12cの他に、ベルト原点探索用のプーリー(第2の従動プーリー)24にも掛け渡されており、θ軸モータ21の駆動時には、駆動プーリー22によってベルト23を介してプーリー24も回転する。
【0024】
ここで、各プーリー22、24及び12cは、図3に示すように、それぞれ歯付きプーリーであって、駆動プーリー22と従動プーリー12cとは同一の歯数mを有する。また、ベルト23は歯付きベルトであり、ベルト23の歯数Lは、駆動プーリー22の歯数mとプーリー24の歯数pとの最小公倍数に一致している。
すなわち、ベルト23の歯数Lは、最小公倍数を導く関数LCM( )を用いて次式で表される。
L=LCM(m,p) ………(1)
【0025】
また、図2に戻って、θ軸モータ21はエンコーダ25を内蔵しており、当該エンコーダ25の出力からθ軸モータ21のモータ角度を検出可能となっている。このエンコーダ25は、モータ軸が1回転して原点位置が所定の基準位置となるたびに、第1の原点検出信号としてZ相を出力する。
さらに、プーリー24には、当該プーリー24の原点位置を検出可能な原点センサ26が設けられている。この原点センサ26は、プーリー24が1回転して原点位置が所定の基準位置となるたびに、第2の原点検出信号としてZ相に相当する信号を出力するものであり、磁気式センサや光学式センサにより構成することができる。
【0026】
このθ軸回転機構20の組み付け時には、ベルト23が原点にあるときに、θ軸モータ21とプーリー24とが共に原点にあるように初期調整を行う。ここで、ベルト23が原点にあるとは、ベルト23の原点位置αが図3に示す所定の基準位置にある状態をいい、θ軸モータ21とプーリー24とが共に原点にあるとは、θ軸モータ21の原点位置βとプーリー24の原点位置γとが共に図3に示す所定の基準位置にある状態をいう。なお、各基準位置は適宜設定可能である。
【0027】
図4は、電子部品実装装置1の制御系の構成を示すブロック図である。
電子部品実装装置1は、装置全体を制御するCPU、RAM及びROMなどを備えるマイクロコンピュータからなるコントローラ30を備える。コントローラ30は、以下に示す各構成31〜35をそれぞれ制御する。
バキューム機構31は真空を発生し、不図示のバキュームスイッチを介して吸着ノズル12bに真空の負圧を発生させるものである。
【0028】
X軸モータ32は、搭載ヘッド12をX軸ガントリ13に沿ってX軸方向に移動させるための駆動源であり、Y軸モータ33は、X軸ガントリ13をY軸ガントリ14に沿ってY軸方向に移動させるための駆動源である。コントローラ30がX軸モータ32及びY軸モータ33を駆動制御することで、搭載ヘッド12はXY方向に移動可能となる。
Z軸モータ34は、吸着ノズル12bをZ方向に昇降させるための駆動源である。なお、ここではZ軸モータ34を1つしか図示していないが、吸着ノズル12bを複数備える場合には吸着ノズル12bの数だけ設けられる。
【0029】
コントローラ30は、搭載ヘッド12の吸着ノズル12bを用いて電子部品Pを吸着し、認識カメラ7で撮像した電子部品Pの画像をもとに、電子部品Pを回路基板5に搭載するための部品実装処理を実行する。さらに、コントローラ30は、所定のタイミングで(例えば、電子部品実装装置1の電源ON時)、図5に示すベルト原点探索処理を実行し、ベルト23の原点を探索して原点復帰を行う。
【0030】
θ軸回転機構20は、上記(1)式が成り立っているため、ベルト23が原点にある状態から1周して原点に戻ると、駆動プーリー22はL/m回、プーリー24はL/p回回転して、それぞれが原点に戻る。駆動プーリー22とプーリー24とが共に原点にあるのは、ベルト23が原点にあるときのみである。すなわち、ベルト23が原点からずれている場合、駆動プーリー22が原点にあっても、プーリー24は原点からずれた状態となる。
【0031】
よって、この構成を利用し、ベルト原点探索処理では、θ軸モータ21を回転しながら駆動プーリー22とプーリー24とが共に原点にある状態を探索し、駆動プーリー22とプーリー24とが共に原点にある状態を確認したら、その時点でθ軸モータ21の回転を停止する。このようにして、ベルト23を原点に復帰させる。
ベルト原点探索処理では、図5に示すように、先ず、ステップS1で、コントローラ30は、θ軸モータ21を一定方向(例えば、正方向)に回転し、ステップS2に移行する。
【0032】
ステップS2では、コントローラ30は、エンコーダ25のZ相を検出したか否かを判定する。そして、Z相を検出した場合にはステップS3に移行し、Z相を検出していない場合には検出するまでθ軸モータ21を回転するものとして、前記ステップS1に移行する。
ステップS3では、コントローラ30は、ベルト原点探索処理を実行開始してからエンコーダ25のZ相を検出した回数を計数するカウンタnをインクリメントし、ステップS4に移行する。
【0033】
ステップS4では、コントローラ30は、原点センサ26の状態を確認し、原点センサ26がON状態(Z相を出力している状態)であるか否かを判定する。そして、原点センサ26がON状態である場合には、駆動プーリー22とプーリー24とが共に原点にあるものと判断してステップS5に移行し、原点センサ26がOFF状態である場合には後述するステップS6に移行する。
ステップS5では、コントローラ30は、ベルト原点の探索が成功したものとしてθ軸モータ21の回転を停止し、現在のベルト23の状態をベルト23が原点にある状態として設定してから、ベルト原点探索処理を終了する。
【0034】
また、ステップS6では、コントローラ30は、カウンタnが所定値Nに達したか否かを判定する。ここで、所定値Nは、ベルト原点探索処理を実行開始してからベルト23が1周したか否かを判定するためのものであり、ベルト23の歯数Lと駆動プーリー22の歯数mとの比率によって決定する。具体的には、ベルト23が1周したとき駆動プーリー22がL/m回転することを利用して、N=L/mとする。そして、このステップS6で、カウンタnが所定値Nに達していないと判断した場合には前記ステップS1に移行し、カウンタnが所定値Nに達したと判断した場合にはステップS7に移行する。
【0035】
ステップS7では、コントローラ30は、ベルト23が1周してもベルト原点を探索できなかったとして、作業者にこれを報知するなどの所定のエラー処理を実施し、ベルト原点探索処理を終了する。ここで、ベルト原点探索エラーの原因としては、センサ部の不具合や初期調整の不実施が考えられる。
以上の構成により、通常時には、モータ軸を原点まで最大N(=L/m)回転させれば、ベルト23の原点を探し、原点復帰を行うことができる。
なお、上記において、エンコーダ25が第1の原点検出手段に対応し、原点センサ26が第2の原点検出手段に対応している。また、図5のステップS1〜S4が探索手段に対応し、ステップS5がモータ停止手段に対応している。
【0036】
(動作)
次に、第1の実施形態の動作について、図6〜図8を参照しながら説明する。ここでは、駆動プーリー22の歯数m=24、ベルト原点探索用のプーリー24の歯数p=21、ベルト23の歯数L=168として説明する。
駆動プーリー22の歯数mとベルト23の歯数Lとは、使用する環境によって大体決まる。そのため、θ軸回転機構20の設計時には、歯数mと歯数Lとをもとに、上記(1)式を満たす歯数pを導くようにする。m=24、L=168の場合、プーリー24の歯数pは計算上、7,14,21,28,42,56,84の何れかを選択可能である。
したがって、ここではp=21として説明するが、それ以外の値を上記の複数の値の中から任意に選択することもできる。なお、上記(1)式を満たす歯数pには、計算上p=168も含まれるが、ベルト23の歯数Lと同じであるため実際に組み込むことはできない。そのため、p=168は選択不可能とする。
【0037】
図6は、ベルト23の状態とZ相の出力タイミングとの関係を示す図であり、ベルト23の1周分を1次元に展開したイメージ図で示している。すなわち、この図6は、図7(a)に示すように通常はループ状となっているベルトを、図7(b)に示すように1次元的に展開して示したものである。なお、図7(a)及び(b)における逆三角印(▽)は、ベルト上の同じ点を示している。
図6に示すように、ベルト23が1周するとモータ軸がL/m=7回転し、エンコーダ25はZ相を(A)〜(G)の7回出力する。同様に、ベルト23が1周するとプーリー24がL/p=8回転し、原点センサ26はZ相を(a)〜(h)の8回出力する。
【0038】
また、上述したように、ベルト23の歯数Lは、駆動プーリー22の歯数mとプーリー24の歯数pとの最小公倍数に一致しており、ベルト23が原点にあるときに駆動プーリー22とプーリー24とが共に原点にあるように初期調整されている。そのため、エンコーダ25でZ相を出力するタイミングと原点センサ26でZ相を出力するタイミングとは、ベルト23が原点にあるときにのみ一致し、それ以外で一致することはない。
【0039】
図8は、エンコーダ25でZ相を出力した時点でのベルト23の状態を示す図である。L/m=168/24=7より、エンコーダ25でZ相を出力したときのベルト23の状態は、図8(a)〜(g)の7通りの状態が考えられる。ここで、図8(a)はベルト23が原点にある状態、図8(b)〜図8(g)はそれぞれベルト23が原点から1/7,2/7,…,6/7周進んだ状態である。
すなわち、図8(a)〜(g)はそれぞれ図6におけるZ相(A)〜Z相(G)が検出された時点でのベルト23の状態である。また、図8(a)〜(g)において、点αはベルト23の原点位置、点βは駆動プーリー22の原点位置、点γはプーリー24の原点位置を示している。
【0040】
図5に示すベルト原点探索処理が実行開始すると、コントローラ30は、先ずθ軸モータ21を回転してエンコーダ25のZ相を検出する。このとき検出したZ相が、図6のZ相(B)である場合、その時点でのベルト23の状態は、図8(b)に示すように原点から1/7周だけ進んだ状態である。また、このときプーリー24も、原点から1/7周だけ進んだ状態にある。
このように、ベルト23の原点からのずれ量とプーリー24の原点からのずれ量とは一致しており、ベルト23が原点にあるときはプーリー24も原点にある。よって、駆動プーリー22とプーリー24とが共に原点にあるとき、ベルト23は原点にあることになる。そこで、駆動プーリー22が原点にあるときにプーリー24も原点にあるか否かを確認する。
【0041】
駆動プーリー22が原点、即ちエンコーダ25のZ相を検出しているときの状態が、図8(b)に示す状態であるとき、プーリー24は原点にないため原点センサ26はOFF状態である。したがって、コントローラ30は再びエンコーダ25のZ相を検出するまでθ軸モータ21を回転する。そして、図8(c)に示すように、ベルト23が原点から2/7周だけ進んだ状態となって、エンコーダ25が図6のZ相(C)を出力すると、コントローラ30はその時点での原点センサ26の状態を確認する。ところが、この状態でも、プーリー24は原点から2/7周だけ進んだ状態にあり、原点センサ26はOFF状態であるため、コントローラ30は再びエンコーダ25のZ相を検出するまでθ軸モータ21を1回転する。
このように、モータ軸を1回転ずつ回転してベルト23を1/7周ずつ進め、そのたびに原点センサ26の状態を確認して、プーリー24が原点にあるか(ベルト23が原点にあるか)を確認する。
【0042】
そして、図8(g)に示すようにベルト23が原点から6/7周進んだ状態から、エンコーダ25のZ相を検出するまでθ軸モータ21を1回転させると、ベルト23の状態は図8(a)に示すように原点にある状態に戻り、プーリー24も原点に戻る。そのため、このときの原点センサ26はON状態となる。したがって、コントローラ30は、この時点でθ軸モータ21の回転を停止する。これにより、ベルト23が原点に復帰した状態となる。
【0043】
本実施形態では、ベルト原点探索処理の実行開始時に、ベルト23がどのような位置にあったとしても、エンコーダ25のZ相を検出する位置までθ軸モータ21を回転させれば、ベルト23の状態は必ず図8(a)〜(g)の何れかとなる。したがって、この点を利用すれば、モータ軸を最大N回転(上記の例では7回転)させることで、ベルト23を原点に復帰させることができることになる。
【0044】
(効果)
このように、上記第1の実施形態では、吸着ノズルの軸とモータ軸とを繋ぐベルトの歯数を、駆動プーリーの歯数とベルト原点探索用プーリーの歯数との最小公倍数に一致させた構成とするので、ベルトが1周する間に、駆動プーリーとベルト原点探索用プーリーとが共に原点で一致するタイミングを1回のみとすることができる。そして、駆動プーリーの原点とベルト原点探索用プーリーの原点とが一致するタイミングが、ベルトが原点にあるときとなるように、初期調整してθ軸回転機構を組み付けるので、駆動プーリーの原点とベルト原点探索用プーリーの原点とが一致するタイミングを探索することで、ベルトの原点を探索することができる。
【0045】
必要とするモータ軸の歯数とベルト長とはシステムにより様々であるが、ベルトの歯数がモータ軸の歯数の整数倍であるという条件を満たせば、ベルト原点探索用プーリーの歯数を調整することにより、多くの場合どのような条件においても用いることができる。しかも、ベルト原点探索用プーリーの歯数は単純な計算により求めることができ、都合の良い構成を任意に選択することが可能である。
【0046】
また、ベルト原点を探索する際には、θ軸モータのエンコーダが出力するZ相を検出し、Z相を検出した時点を基準としてθ軸モータを1回転ずつ一定方向に回転し、θ軸モータを1回転するたびにベルト原点探索用プーリーの原点を検出する原点センサの状態を確認する。そして、原点センサの状態からベルト原点探索用プーリーが原点にあることを確認すると、その時点でθ軸モータの回転を停止する。これにより、確実にベルトの原点復帰を行うことができる。
【0047】
すなわち、従来の方式のようにベルトマークを付すことなくベルトの原点復帰を行うことができる。したがって、経年劣化やベルトの擦れ等が発生してもベルト原点の探索精度には影響はなく、安定してベルトの原点復帰を行うことができる。その結果、安定した実装を確立することができる。
さらに、ベルト原点探索用プーリーの原点を検出する原点センサは、当該プーリーの1周の原点(Z相)がわかるものであれば、どのような構成のものでも適用可能である。したがって、プーリーの詳細角度がわかる必要はないので、安価なセンサを使用することができる。
【0048】
(変形例)
なお、上記第1の実施形態においては、ベルト原点探索用のプーリーを1個だけ設ける場合について説明したが、複数個設けるようにしてもよい。例えば、ベルト23の歯数Lを144、駆動プーリー22の歯数mを24とした場合、上記(1)式を満たす歯数pは、ベルト23の歯数Lと等しい144以外には存在しない。歯数p=144のベルト原点探索用のプーリーを、歯数L=144のθ軸回転機構20に組み込むことはできないため、このような場合には、ベルト原点探索用のプーリーを複数個設けることで実現する。
すなわち、次式に表すように、駆動プーリー22の歯数mと、複数個(k個)のベルト原点探索用のプーリーの各歯数p1,…,pkとの最小公倍数が、ベルト23の歯数Lと等しくなるようにする。
L=LCM(m,p1,…,pk) ………(2)
【0049】
例えば、上記の例(L=144、m=24)の場合、図9に示すように、ベルト原点探索用のプーリーを2個設け、これら2個のプーリーの歯数(p1,p2)を(16,18)とすればよい。なお、図9に示す例では、(p1,p2)=(16,18)としているが、上記(2)式を満たす(p1,p2)は、計算上、(9,16)、(9,48)、(16,18)、(16,36)、(18,48)、(16,72)、(36,48)、(48,72)が存在する。したがって、(p1、p2)は上記の中から任意に選択可能である。
そして、ベルト原点探索用のプーリーを複数個設ける場合には、それぞれに原点センサを設置し、図5に示すベルト原点探索処理のステップS4では、すべての原点センサがON状態であるか否かを判定するようにする。このような構成により、ベルト原点探索用のプーリーを1個のみ設けた場合と同様の作用効果を得ることができる。
【0050】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
この第2の実施形態は、上述した第1の実施形態において、原点センサ26に代えてプーリー24の回転角度を検出可能な角度センサ(プーリー角度検出手段)を設けるようにしたものである。
【0051】
(構成)
本実施形態におけるθ軸回転機構20は、図2における原点センサ26に代えて、プーリー24の回転角度を検出可能な角度センサを備える。そして、コントローラ30は、ベルト原点探索処理において、エンコーダ25のZ相を検出した時点でのプーリー24の回転角度に基づいて、その時点でのベルト23の原点からのずれ量を検出し、当該ずれ量を0にすべくθ軸モータ21を回転させることでベルト23の原点復帰を行う。
図10は、第2の実施形態におけるベルト原点探索処理手順を示すフローチャートである。
先ずステップS11で、コントローラ30は、θ軸モータ21を一定方向(例えば、正方向)に回転し、ステップS12に移行する。
【0052】
ステップS12では、コントローラ30は、エンコーダ25のZ相を検出したか否かを判定する。そして、Z相を検出した場合にはステップS13に移行し、Z相を検出していない場合には検出するまでθ軸モータ21を回転するものとして、前記ステップS11に移行する。
ステップS13では、コントローラ30は、角度センサで検出したプーリー24の回転角を取得し、ステップS14に移行する。
ステップS14では、コントローラ30は、前記ステップS13で取得したプーリー24の回転角に基づいて、ベルト23の原点が探索可能か否かを判定する。
【0053】
上述した初期調整がなされている場合、エンコーダ25のZ相を検出した時点でのプーリー24の回転角には一定の法則があり、その角度は駆動プーリー22の歯数mとプーリー24の歯数pとの比率に応じて決まる。そして、エンコーダ25のZ相を検出した時点でのプーリー24の回転角が分かれば、ベルト23が原点からどの程度ずれているかが分かる。この点について、図11を参照しながら具体的に説明する。なお、この図11は、ベルト23の1周分を1次元に展開したイメージ図である。すなわち、図7(a)に示すように通常はループ状となっているベルトを、図7(b)に示すように1次元的に展開して示したものである。
【0054】
図11に示す例では、駆動プーリー22の歯数m=24、プーリー24の歯数p=21、ベルト23の歯数L=168としている。エンコーダ25のZ相を検出した時点でのプーリー24の回転角は、Z相(A)の検出時(ベルト原点)では0°である。そして、Z相(B)の検出時に360°/7≒51°、Z相(C)の検出時に360°/7×2≒103°、Z相(D)の検出時に360°/7×3≒154°、Z相(E)の検出時に360°/7×4≒206°、Z相(F)の検出時に360°/7×5≒257°、Z相(G)の検出時に360°/7×6≒309°となる。
【0055】
したがって、エンコーダ25のZ相を検出した時点で角度センサによって検出したプーリー24の回転角が、例えば51°の場合、検出したZ相は図11のZ相(B)であることがわかる。したがって、この場合、ベルト23が順方向に1/7周ずれていることがわかるため、モータ軸を逆方向に1周回せばベルト23を原点に復帰させることができることがわかる。
【0056】
そこで、ステップS14では、前記ステップS13で取得したプーリー24の回転角が、駆動プーリー22の歯数mとプーリー24の歯数pとの比率に応じて決まる、ベルト23の原点が探索可能な角度であるか否かを判定する。例えば、図11の例では、プーリー24の回転角が360°/7のj倍(jは1以上7以下の整数)に許容範囲(±数°)を設けた角度であるときに、ベルト23の原点が探索可能な角度であると判定する。そして、ベルト23の原点が探索可能であると判定した場合にはステップS15に移行する。
【0057】
ステップS15では、コントローラ30は、前記ステップS13で取得したプーリー24の回転角からベルト23の原点からのずれ量を求め、ベルト23を最短経路で原点に復帰させるのに必要なθ軸モータ21の回転方向および回転量を演算する。
例えば、図11に示す例では、プーリー24の回転角が0°である場合、ベルト23は原点にあるため、θ軸モータ21は回転する必要がないとして上記回転量を0とする。一方、プーリー24の回転角が51°である場合、Z相(B)の検出状態であるため、ベルト23を最短経路で原点復帰させるためにはθ軸モータ21を逆方向に1回転する必要があるとして、上記回転方向を逆方向、上記回転量を360°とする。同様に、プーリー24の回転角が103°である場合には、θ軸モータ21を逆方向に2回転する必要があるとして、上記回転方向を逆方向、上記回転量を720°とする。さらに、プーリー24の回転角が154°である場合には、θ軸モータ21を逆方向に3回転する必要があるとして、上記回転方向を逆方向、上記回転量を1080°とする。
【0058】
また、プーリー24の回転角が154°である場合には、ベルト23を最短経路で原点復帰させるためにはθ軸モータ21を順方向に3回転する必要があるとして、上記回転方向を順方向、上記回転量を1080°とする。そして、プーリー24の回転角が206°である場合には、θ軸モータ21を順方向に2回転する必要があるとして、上記回転方向を順方向、上記回転量を720°とする。同様に、プーリー24の回転角が309°である場合には、θ軸モータ21を順方向に1回転する必要があるとして、上記回転方向を順方向、上記回転量を360°とする。
【0059】
ここで、プーリー24の回転角の判定は、上記許容範囲を考慮して行う。すなわち、例えば角度センサで検出した検出値が0°±許容範囲である場合には、プーリー24の回転角を0°、角度センサで検出した検出値が51°±許容範囲である場合には、プーリー24の回転角を51°であることにして、θ軸モータ21の回転方向および回転量を演算する。
【0060】
次に、ステップS16では、コントローラ30は、θ軸モータ21を前記ステップS15で求めた回転方向に、前記ステップS15で求めた回転量だけ回転し、ステップS17に移行する。
ステップS17では、コントローラ30は、θ軸モータ21の回転が終了した時点で、ベルト23の原点復帰が完了したものとして、ベルト原点探索処理を終了する。
【0061】
また、前記ステップS14でベルト原点の探索が不可能であると判定した場合には、ステップS18に移行し、コントローラ30は、作業者にベルト原点の探索が不可能であることを報知するなどの所定のエラー処理を実施し、ベルト原点探索処理を終了する。ここで、ベルト原点探索エラーの原因としては、センサ部の不具合や初期調整の不実施が考えられる。
なお、図10のステップS11〜S14がずれ量演算手段に対応し、ステップS15がモータ制御量演算手段に対応し、ステップS16がモータ駆動手段に対応している。
【0062】
(動作)
次に、第2の実施形態の動作について説明する。ここでは図11に示すように、駆動プーリー22の歯数m=24、ベルト原点探索用のプーリー24の歯数p=21、ベルト23の歯数L=168の例を用いて説明する。
図10に示すベルト原点探索処理が実行開始すると、コントローラ30は、先ずθ軸モータ21を回転してエンコーダ25のZ相を検出する。そして、その時点でのプーリー24の回転角を角度センサで検出する。
このとき、角度センサによってプーリー24の回転角が51°であることが検出されると、当該角度はベルト原点の探索が可能な角度であるため、コントローラ30は、検出された角度に基づいてベルト23を原点に復帰させるために必要なθ軸モータ21の回転方向と回転量とを演算する。
【0063】
プーリー24の回転角は51°であるため、コントローラ30は、エンコーダ25のZ相を検出した時点でのベルト23の状態が、順方向に1/7周進んでいる状態であると判断する。そのため、モータ軸を逆方向に1回転させれば、ベルト23を逆方向に1/7周戻すことができ、最短経路でベルト23を原点に復帰させることができると判断する。したがって、コントローラ30は、上記回転方向を逆方向、上記回転量を1周分の360°に設定し、θ軸モータ21を逆方向に360°回転させる。これにより、ベルト23は原点に復帰する。
【0064】
以上のように、エンコーダ25のZ相を検出した時点でのプーリー24の回転角を検出することで、ベルト23の原点からのずれ量を把握し、次にθ軸モータ21を回転させる際には、原点復帰に必要な回転量を一気に回転させる。したがって、エンコーダ25のZ相を検出した後、何度もθ軸モータ21の回転させることなく、素早く原点復帰させることができる。
なお、本実施形態においては、ベルト原点探索用のプーリーを1個だけ設ける場合について説明したが、例えば図9に示すように、複数個設けた場合にも適用可能である。
【0065】
(効果)
このように、上記第2の実施形態では、ベルト原点探索用のプーリーの現在の角度を検出する角度センサを設けるので、モータエンコーダのZ相を検出した時点でのプーリーの角度から、その時点でのベルトの状態(原点からのずれ量)を認識することができる。そのため、モータエンコーダのZ相を検出した後は、一気にベルトを原点まで復帰させることができる。したがって、上述した第1の実施形態のようにN回(L/m回)の繰り返しをしなくてもベルトの原点復帰が可能となる。その結果、原点復帰にかかる時間を短縮することができる。
また、モータエンコーダのZ相を検出した後、最短経路で原点復帰させるようθ軸モータの回転方向および回転量を演算するので、より迅速に原点復帰を行うことができる。
【0066】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
この第3の実施形態は、上述した第2の実施形態において、エンコーダ25のZ相を検出した時点でのプーリー24の回転角をもとに現在のベルト23の位置を把握しているのに対し、プーリー24に設置した原点センサ26のZ相を検出した時点でのθ軸モータ21の回転角をもとに現在のベルト23の位置を把握するようにしたものである。
【0067】
(構成)
本実施形態におけるθ軸回転機構20は、図2に示すθ軸回転機構20と同一構成を有する。そして、コントローラ30は、ベルト原点探索処理において、原点センサ26のZ相を検出した時点でのθ軸モータ21の回転角を取得し、取得した角度に基づいてその時点でのベルト23の原点からのずれ量を検出する。
図12は、第3の実施形態におけるベルト原点探索処理手順を示すフローチャートである。
【0068】
先ずステップS21で、コントローラ30は、θ軸モータ21を一定方向(例えば、正方向)に回転し、ステップS22に移行する。
ステップS22では、コントローラ30は、エンコーダ25のZ相を検出したか否かを判定する。そして、Z相を検出した場合にはステップS23に移行し、Z相を検出していない場合には検出するまでθ軸モータ21を回転するものとして、前記ステップS21に移行する。
ステップS23では、コントローラ30は、原点センサ26の状態を確認し、原点センサ26がON状態であるか否かを判定する。そして、原点センサ26がOFF状態である場合にはステップS24に移行し、原点センサ26がON状態である場合には後述するステップS27に移行する。
【0069】
ステップS24では、コントローラ30は、ベルト原点の探索が失敗であるか否かを判定する。ここでは、エンコーダ25のZ相を検出した後、θ軸モータ21を、理論的に原点センサ26のZ相が検出される角度だけ回転させたか否かを判定する。例えば、駆動プーリー22の歯数mがプーリー24の歯数pよりも多い場合、θ軸モータ21を360°回転する間に原点センサ26のZ相を少なくとも1回は検出できる。したがって、このような場合には、エンコーダ25のZ相を検出した後、θ軸モータ21を360°回転させたか否かを判定し、360°回転させている場合にはベルト原点の探索に失敗したと判断する。
上記ステップS24で、ベルト原点の探索に失敗したと判断した場合には、ステップS25に移行し、作業者にベルト原点の探索に失敗したことを報知するなどの所定のエラー処理を実施し、ベルト原点探索処理を終了する。ここで、ベルト原点探索エラーの原因としては、センサ部の不具合や初期調整の不実施が考えられる。
【0070】
一方、前記ステップS24で、ベルト原点の探索に失敗したと判断されない場合にはステップS26に移行し、コントローラ30は、θ軸モータ21を所定角度θ0°順方向に回転させて前記ステップS23に移行する。ここで、所定角度θ0は、駆動プーリー22の歯数mとプーリー24の歯数pとの比率に基づいて決定する。
図13は、原点センサ26のZ相を検出した時点でのモータエンコーダ出力を示す図である。なお、この図13は、ベルト23の1周分を1次元に展開したイメージ図である。すなわち、図7(a)に示すように通常はループ状となっているベルトを、図7(b)に示すように1次元的に展開して示したものである。
【0071】
この図13に示す例では、駆動プーリー22の歯数m=24、プーリー24の歯数p=21、ベルト23の歯数L=168としている。上述した初期調整がなされている場合、原点センサ26のZ相(a)の検出時(ベルト原点)にはモータエンコーダ出力は0°となる。そして、Z相(b)の検出時に315°、Z相(c)の検出時に270°、Z相(d)の検出時に225°、Z相(e)の検出時に180°、Z相(f)の検出時に135°、Z相(g)の検出時に90°、Z相(h)の検出時に45°となる。このように、歯数mと歯数pとの比率が8:7である場合、原点センサ26のZ相を検出した時点でのモータエンコーダ出力は、45°の倍数となる。
【0072】
したがって、図13に示す例では、エンコーダ25のZ相を検出した時点を基準として、θ軸モータ21を45°ずつ順方向に回転させていくと、再びエンコーダ25のZ相を検出する前に必ずどこかで原点センサ26のZ相を検出するタイミングと一致する。そのため、この場合には、所定角度θ0=45°とし、θ軸モータ21を45°順方向に回転させるたびに、原点センサ26が反応するか(ON状態となるか)どうかを確認する。この動作を原点センサ26が反応するまで繰り返し、原点センサ26が反応した際のモータエンコーダ出力を取得すれば、当該モータエンコーダ出力からその時点でのベルト23の原点からのずれ量を把握することができる。
【0073】
ステップS27では、コントローラ30は、エンコーダ25の出力からモータ角度を取得し、ステップS28に移行する。
ステップS28では、コントローラ30は、前記ステップS27で取得したモータ角度からベルト23の原点からのずれ量を求め、ベルト23を最短経路で原点に復帰させるのに必要なθ軸モータ21の回転方向および回転量を演算する。
【0074】
例えば、図13に示す例では、モータ角度が0°である場合、ベルト23は原点にあるため、θ軸モータ21は回転する必要がないとして上記回転量を0とする。また、モータ角度が315°である場合、Z相(b)の検出状態であるため、ベルト23を最短経路で原点復帰させるためにはθ軸モータ21を逆方向に315°回転する必要があるとして、上記回転方向を逆方向、上記回転量を315°とする。同様に、モータ角度が270°である場合には、θ軸モータ21を逆方向に360°+270°回転する必要があるとして、上記回転方向を逆方向、上記回転量を630°とする。さらに、モータ角度が225°である場合には、θ軸モータ21を逆方向に720°+225°回転する必要があるとして、上記回転方向を逆方向、上記回転量を945°とする。
【0075】
また、モータ角度が180°である場合には、Z相(e)の検出状態であるため、ベルト23を原点復帰させるためにはθ軸モータ21を順方向に1080°+180°回転する必要があるとして、上記回転方向を順方向、上記回転量を1260°とする。なお、モータ角度が180°である場合には、上記回転方向を逆方向、上記回転量を1260°としてもよい。
【0076】
さらに、モータ角度が135°である場合には、Z相(f)の検出状態であるため、ベルト23を最短経路で原点復帰させるためにはθ軸モータ21を順方向に720°+(360°−135°)回転する必要があるとして、上記回転方向を順方向、上記回転量を945°とする。同様に、モータ角度が90°である場合には、θ軸モータ21を順方向に360°+(360°−90°)回転する必要があるとして、上記回転方向を逆方向、上記回転量を630°とする。また、モータ角度が45°である場合には、θ軸モータ21を順方向に(360°−45°)回転する必要があるとして、上記回転方向を順方向、上記回転量を315°とする。
【0077】
ここで、モータ角度の判定は、所定の許容範囲(±数°)を考慮して行う。すなわち、例えばエンコーダ25で検出した検出値が315°±許容範囲である場合には、モータ角度を315°、エンコーダ25で検出した検出値が270°±許容範囲である場合には、モータ角度を270°であることにして、θ軸モータ21の回転方向および回転量を演算する。
【0078】
次に、ステップS29では、コントローラ30は、θ軸モータ21を前記ステップS28で求めた回転方向に、前記ステップS28で求めた回転量だけ回転し、ステップS30に移行する。
ステップS30では、コントローラ30は、θ軸モータ21の回転が終了した時点で、ベルト23の原点復帰が完了したものとして、ベルト原点探索処理を終了する。
なお、上記において、エンコーダ25がモータ角度検出手段に対応している。また、図2のステップS21〜S27がずれ量演算手段に対応し、ステップS28がモータ制御量演算手段に対応し、ステップS29がモータ駆動手段に対応している。
【0079】
(動作)
次に、第3の実施形態の動作について説明する。ここでは図13に示すように、駆動プーリー22の歯数m=24、ベルト原点探索用のプーリー24の歯数p=21、ベルト23の歯数L=168の例を用いて説明する。
図12に示すベルト原点探索処理が実行開始すると、コントローラ30は、先ずθ軸モータ21を回転してエンコーダ25のZ相を検出する。そして、この時点からθ軸モータ21を所定角度θ0ずつ順方向に回転し、その度に原点センサ26が反応するか否かを確認する。
【0080】
例えば、図13に示す例において、ベルト23が原点から若干進んだ状態から、θ軸モータ21を回転してエンコーダ25のZ相を検出した場合、その時点でのベルト23は順方向に1/7周分進んだ状態である。そして、この状態からθ軸モータ21を所定角度θ0=45°ずつ順方向に回転した場合、θ軸モータ21を6回回転した時点で、原点センサ26のZ相(c)を検出する。すなわち、このときのモータエンコーダ出力は45°×6=270°である。
【0081】
原点センサ26のZ相(c)を検出した時点でのθ軸モータ21の回転角が270°であることが検出されると、コントローラ30は、その検出された角度に基づいてベルト23を原点に復帰させるために必要なθ軸モータ21の回転方向と回転量とを演算する。
θ軸モータ21の回転角は270°であるため、コントローラ30は、θ軸モータ21を逆方向に360°+270°=630°回転させれば、最短経路でベルト23を原点に復帰させることができると判断する。したがって、コントローラ30は、上記回転方向を逆方向、上記回転量を630°に設定し、θ軸モータ21を逆方向に630°回転させる。これにより、ベルト23は原点に復帰する。
【0082】
以上のように、エンコーダ25のZ相を検出した時点からθ軸モータ21を所定角度θ0ずつ回転すると共に原点センサ26の反応を確認し、原点センサ26のZ相を検出した時点でのθ軸モータ21の回転角を検出することで、ベルト23の原点からのずれ量を把握する。また、原点センサ26のZ相の検出に際し、エンコーダ25のZ相を検出した時点から、θ軸モータ21を駆動プーリー22の歯数mとプーリー24の歯数pとの比率に応じて決まる所定角度θ0ずつ回転する。
【0083】
これにより、原点センサ26が反応する可能性のあるベルト位置で、実際に原点センサ26が反応するか否かを確認するようにすることができる。したがって、原点センサ26の反応角度(原点検出可能範囲)に所定の幅があり、プーリー24が原点から若干ずれていても原点センサ26が反応するような構造の場合でも、精度良くプーリー26が原点にあることを検出することができる。
【0084】
そして、原点センサ26のZ相を検出した後は、原点復帰に必要な回転量だけθ軸モータ21を一気に回転させる。したがって、原点センサ26のZ相を検出した後、何度もθ軸モータ21の回転させることなく、素早く原点復帰させることができる。
なお、本実施形態においては、ベルト原点探索用のプーリーを1個だけ設ける場合について説明したが、例えば図9に示すように、複数個設けた場合にも適用可能である。
また、原点センサ26が、反応角度(検出可能範囲)に幅を持たずにピンポイントだけを検出する構造である場合には、エンコーダ25のZ相を検出した時点を基準として原点センサ26のZ相を検出するのではなく、ベルト原点探索処理の開始直後、直接θ軸モータ21を回転させながら原点センサ26のZ相を検出するようにしてもよい。
【0085】
(効果)
このように、上記第3の実施形態では、ベルト原点探索用プーリーの原点を検出した時点でのθ軸モータの回転角をもとに、現在のベルトの位置を把握することができるので、ベルト原点探索用のプーリーには、安価な原点センサのみを設ければよく、当該プーリーの回転角度を検出可能な高価な角度センサを設ける必要がない。
【0086】
また、ベルト原点探索用プーリーの原点検出に際し、モータエンコーダのZ相を検出した時点からθ軸モータを所定角度ずつ回転し、原点センサの反応を確認する方法を用いる。このとき、上記所定角度は、駆動プーリーの歯数とベルト原点探索用プーリーの歯数との比率に応じて設定する。これにより、原点センサが反応する可能性のあるベルト位置でのみ、実際に原点センサが反応するか否かを確認するようにすることができるので、原点センサの反応角度(原点検出可能範囲)によらず精度良くベルト原点探索用プーリーの原点を検出することができる。
そして、ベルト原点探索用プーリーの原点を検出した時点でのθ軸モータの回転角をもとに、現在のベルトの位置を把握した後は、一気にベルトを原点まで復帰させることができるので、原点復帰にかかる時間を短縮することができる。
【0087】
(応用例)
なお、上記第2及び第3の実施形態においては、ベルト23が原点にあるときに、駆動プーリー22とプーリー24とが共に原点にあるように初期調整を行って組み付け作業を行う場合について説明したが、当該初期調整を行わなくても実現可能である。
θ軸モータ21のZ相は、電源を入れて動作させなければ正確に検出できない。また、ベルト23などのθ軸回転機構20の組み付け時には、θ軸モータ21に電源を投入するのは困難であり、できたとしても工数が増えてしまう。そこで、初期調整を行わずに組み付け作業を行うことで、工数を削減することができる。その際、駆動プーリー22の原点位置にオフセット(ずれ)が付加されていることを考慮して動作させなければならないが、各検出角度に対し、オフセット値を考慮した値にすれば、運用は十分可能である。
【0088】
例えば、上述した第2の実施形態の場合には、角度センサで検出したプーリー24の回転角度にオフセット値(固定値)が含まれていると想定して、ベルト原点探索処理を実施する。例えば、図11に示す例では、角度センサの検出値の判定で用いる許容範囲を±25°とする。
具体的には、角度センサの検出値が0°±25°(335°〜25°)の場合には、プーリー24の回転角は0°であることにして、ベルト23は原点にあると判断する。また、角度センサの検出値が51°±25°(26°〜76°)の場合には、プーリー24の回転角は51°であることにして、ベルト23は原点から1/7周進んだ状態(Z相(B)の検出状態)であると判断する。
【0089】
同様に、角度センサの検出値が103°±25°(78°〜128°)の場合はプーリー24の回転角が103°、角度センサの検出値が154°±25°(129°〜179°)の場合はプーリー24の回転角が154°、角度センサの検出値が206°±25°(181°〜231°)の場合はプーリー24の回転角が206°、角度センサの検出値が257°±25°(232°〜282°)の場合はプーリー24の回転角が257°、角度センサの検出値が309°±25°(284°〜334°)の場合はプーリー24の回転角が309°であることにする。
【0090】
ここで、許容範囲である「±25°」は、駆動プーリー22の歯数mとプーリー24の歯数pとの比率に基づいて決まり、上記の例ではm:p=7:8であるため51°の半分に一致又は略一致した値となる。
さらにこのとき、角度センサの検出値の理論値(図11の例では0°,51°,103°など)からのずれ量から、駆動プーリー22のオフセット値を検出可能である。そこで、一旦検出したオフセット値は保存しておき、次回以降のオフセット値(の参考値)として使用する。これにより、より適切にベルト原点探索処理を実施することができる。
【0091】
また、上述した第3の実施形態の場合には、θ軸モータ21のエンコーダ値(角度)にオフセット値(固定値)が含まれていると想定して、ベルト原点探索処理を実施する。すなわち、図13に示す例では、モータ角度の判定で用いる許容範囲を±22°とする。
具体的には、モータエンコーダ出力が0°±22°の場合には、モータエンコーダ出力が0°であることにして、ベルト23は原点にあると判断する。また、モータエンコーダ出力が315°±22°の場合には、モータエンコーダ出力が315°であることにして、ベルト23は原点から1/8周進んだ状態(Z相(b)の検出状態)であると判断する。
【0092】
同様に、モータエンコーダ出力が270°±22°の場合はモータエンコーダ出力が270°、モータエンコーダ出力が225°±22°の場合はモータエンコーダ出力が225°、モータエンコーダ出力が180°±22°の場合はモータエンコーダ出力が180°、モータエンコーダ出力が135°±22°の場合はモータエンコーダ出力が135°、モータエンコーダ出力が90°±22°の場合はモータエンコーダ出力が90°、モータエンコーダ出力が45°±22°の場合はモータエンコーダ出力が45°であることにする。
【0093】
ここで、許容範囲である「±22°」は、駆動プーリー22の歯数mとプーリー24の歯数pとの比率に基づいて決まり、上記の例ではm:p=7:8であるため45°の半分に一致又は略一致した値となる。また、この場合、図12のステップS26でθ軸モータ21を回転する角度(所定角度θ0)を5°程度と比較的小さく設定すれば、原点センサ26で確実に反応を得ることができる。
【0094】
なお、この場合の所定角度θ0は、原点センサ26の反応角度(検出可能範囲)に応じて設定することもできる。原点センサは、一般に、検出可能範囲に幅を持たせずにピンポイントだけを検出するものほど検出制御動作が難しく、取り付けや制御を行い易くするためには検出可能範囲に一定の幅を持たせている。そこで、この幅が基準値θTH(図13に示す例では、m:p=7:8であるため45°)より大きい(但し、θTH×2よりも小さい)場合には、所定角度θ0=θTHに設定する。一方、θTH以下の場合には、所定角度θ0を原点センサ26の検出可能範囲の幅(角度)の1/2以下に設定する。図13に示す例では、45°以上ずれることはない(ずれていたとしても、次のθ軸モータ21のZ相にあたるので、ずれたことにはならない)ため、上記の制御で適切な運用が可能となる。
【符号の説明】
【0095】
1…電子部品実装装置、5…回路基板、11…搬送レール、12…搭載ヘッド、12a…ノズルシャフト、12b…吸着ノズル、12c…従動プーリー(第1の従動プーリー)、13…X軸ガントリ、14…Y軸ガントリ、15…部品供給装置、16…ノズル交換機、20…θ軸回転機構、21…θ軸モータ、22…駆動プーリー、23…ベルト、24…ベルト原点探索用プーリー(第2の従動プーリー)、25…エンコーダ、26…原点センサ、30…コントローラ、31…バキューム機構、32…X軸モータ、33…Y軸モータ、34…Z軸モータ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
θ軸モータにより回転されるノズルシャフトに装着された吸着ノズルにより電子部品を吸着し、基板上に当該電子部品を搭載する電子部品実装装置であって、
前記θ軸モータの軸に、当該軸と同軸に装着された歯付きの駆動プーリーと、
前記ノズルシャフトに、当該ノズルシャフトと同軸に装着された歯付きの第1の従動プーリーと、
少なくとも1個の歯付きの第2の従動プーリーと、
前記駆動プーリー、前記第1の従動プーリー及び前記第2の従動プーリーに掛け渡され、前記駆動プーリーの歯数と前記第2の従動プーリーの歯数との最小公倍数と等しい歯数を有する歯付きのベルトと、
前記駆動プーリーが原点にあるときに、第1の原点検出信号を出力する第1の原点検出手段と、
前記第2の従動プーリーが原点にあるときに、第2の原点検出信号を出力する第2の原点検出手段と、
前記第1の原点検出手段が出力する前記第1の原点検出信号と、前記第2の原点検出手段が出力する前記第2の原点検出信号とに基づいて、前記ベルトを原点に復帰させる原点復帰手段と、を備えることを特徴とする電子部品実装装置。
【請求項2】
前記ベルトが原点にあるとき、前記駆動プーリー及び前記第2の従動プーリーが共に原点にあるように組み付けられていることを特徴とする請求項1に記載の電子部品実装装置。
【請求項3】
前記原点復帰手段は、
前記θ軸モータを回転しながら、前記第1の原点検出手段と前記第2の原点検出手段とがそれぞれ同時に原点検出信号を出力するタイミングを探索する探索手段と、
前記探索手段で探索したタイミングで、前記θ軸モータの回転を停止するモータ停止手段と、を備えることを特徴とする請求項2に記載の電子部品実装装置。
【請求項4】
前記第2の従動プーリーの回転角度を検出するプーリー角度検出手段を備え、
前記原点復帰手段は、
前記第1の原点検出手段が第1の原点検出信号を出力したときに前記角度検出手段で検出した前記第2の従動プーリーの回転角度に基づいて、その時点での前記ベルトの原点からのずれ量を演算するずれ量演算手段と、
前記ずれ量演算手段で演算した前記ベルトの原点からのずれ量に基づいて、前記ベルトを原点に復帰させるのに必要な前記θ軸モータの回転方向及び回転量を演算するモータ制御量演算手段と、
前記θ軸モータを、前記モータ制御量演算手段で演算した回転方向に、前記モータ制御量演算手段で演算した回転量だけ回転させるモータ駆動手段と、を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子部品実装装置。
【請求項5】
前記θ軸モータの回転角度を検出するモータ角度検出手段を備え、
前記原点復帰手段は、
前記第2の原点検出手段が第2の原点検出信号を出力したときに前記モータ角度検出手段で検出した前記θ軸モータの回転角度に基づいて、その時点での前記ベルトの原点からのずれ量を演算するずれ量演算手段と、
前記ずれ量演算手段で演算した前記ベルトの原点からのずれ量に基づいて、前記ベルトを原点に復帰させるのに必要な前記θ軸モータの回転方向及び回転量を演算するモータ制御量演算手段と、
前記θ軸モータを、前記モータ制御量演算手段で演算した回転方向に、前記モータ制御量演算手段で演算した回転量だけ回転させるモータ駆動手段と、を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子部品実装装置。
【請求項6】
前記ずれ量演算手段は、
前記第1の原点検出手段が第1の原点検出信号を出力したことを検出した後、前記θ軸モータを、所定角度ずつ回転するたびに前記第2の原点検出手段が第2の原点検出信号を出力したか否かを確認し、前記第2の原点検出手段が第2の原点検出信号を出力したことを確認したときに前記モータ角度検出手段で検出した前記θ軸モータの回転角度に基づいて、前記ずれ量を演算することを特徴とする請求項5に記載の電子部品実装装置。
【請求項7】
前記所定角度は、前記駆動プーリーの歯数と前記第2の従動プーリーの歯数との比率に応じて決定することを特徴とする請求項6に記載の電子部品実装装置。
【請求項1】
θ軸モータにより回転されるノズルシャフトに装着された吸着ノズルにより電子部品を吸着し、基板上に当該電子部品を搭載する電子部品実装装置であって、
前記θ軸モータの軸に、当該軸と同軸に装着された歯付きの駆動プーリーと、
前記ノズルシャフトに、当該ノズルシャフトと同軸に装着された歯付きの第1の従動プーリーと、
少なくとも1個の歯付きの第2の従動プーリーと、
前記駆動プーリー、前記第1の従動プーリー及び前記第2の従動プーリーに掛け渡され、前記駆動プーリーの歯数と前記第2の従動プーリーの歯数との最小公倍数と等しい歯数を有する歯付きのベルトと、
前記駆動プーリーが原点にあるときに、第1の原点検出信号を出力する第1の原点検出手段と、
前記第2の従動プーリーが原点にあるときに、第2の原点検出信号を出力する第2の原点検出手段と、
前記第1の原点検出手段が出力する前記第1の原点検出信号と、前記第2の原点検出手段が出力する前記第2の原点検出信号とに基づいて、前記ベルトを原点に復帰させる原点復帰手段と、を備えることを特徴とする電子部品実装装置。
【請求項2】
前記ベルトが原点にあるとき、前記駆動プーリー及び前記第2の従動プーリーが共に原点にあるように組み付けられていることを特徴とする請求項1に記載の電子部品実装装置。
【請求項3】
前記原点復帰手段は、
前記θ軸モータを回転しながら、前記第1の原点検出手段と前記第2の原点検出手段とがそれぞれ同時に原点検出信号を出力するタイミングを探索する探索手段と、
前記探索手段で探索したタイミングで、前記θ軸モータの回転を停止するモータ停止手段と、を備えることを特徴とする請求項2に記載の電子部品実装装置。
【請求項4】
前記第2の従動プーリーの回転角度を検出するプーリー角度検出手段を備え、
前記原点復帰手段は、
前記第1の原点検出手段が第1の原点検出信号を出力したときに前記角度検出手段で検出した前記第2の従動プーリーの回転角度に基づいて、その時点での前記ベルトの原点からのずれ量を演算するずれ量演算手段と、
前記ずれ量演算手段で演算した前記ベルトの原点からのずれ量に基づいて、前記ベルトを原点に復帰させるのに必要な前記θ軸モータの回転方向及び回転量を演算するモータ制御量演算手段と、
前記θ軸モータを、前記モータ制御量演算手段で演算した回転方向に、前記モータ制御量演算手段で演算した回転量だけ回転させるモータ駆動手段と、を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子部品実装装置。
【請求項5】
前記θ軸モータの回転角度を検出するモータ角度検出手段を備え、
前記原点復帰手段は、
前記第2の原点検出手段が第2の原点検出信号を出力したときに前記モータ角度検出手段で検出した前記θ軸モータの回転角度に基づいて、その時点での前記ベルトの原点からのずれ量を演算するずれ量演算手段と、
前記ずれ量演算手段で演算した前記ベルトの原点からのずれ量に基づいて、前記ベルトを原点に復帰させるのに必要な前記θ軸モータの回転方向及び回転量を演算するモータ制御量演算手段と、
前記θ軸モータを、前記モータ制御量演算手段で演算した回転方向に、前記モータ制御量演算手段で演算した回転量だけ回転させるモータ駆動手段と、を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子部品実装装置。
【請求項6】
前記ずれ量演算手段は、
前記第1の原点検出手段が第1の原点検出信号を出力したことを検出した後、前記θ軸モータを、所定角度ずつ回転するたびに前記第2の原点検出手段が第2の原点検出信号を出力したか否かを確認し、前記第2の原点検出手段が第2の原点検出信号を出力したことを確認したときに前記モータ角度検出手段で検出した前記θ軸モータの回転角度に基づいて、前記ずれ量を演算することを特徴とする請求項5に記載の電子部品実装装置。
【請求項7】
前記所定角度は、前記駆動プーリーの歯数と前記第2の従動プーリーの歯数との比率に応じて決定することを特徴とする請求項6に記載の電子部品実装装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−26469(P2013−26469A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−160284(P2011−160284)
【出願日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(000003399)JUKI株式会社 (1,557)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(000003399)JUKI株式会社 (1,557)
【Fターム(参考)】
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