電子部品検査装置用配線基板およびその製造方法
【課題】設計に要する時間および製造期間を短縮することができ、且つ比較的少ない治具で容易に製造できる電子部品検査装置用配線基板とその製造方法を提供する。
【解決手段】表面4および裏面5を有し且つ少なくとも表面4が絶縁層にて形成された基板本体2aと、該基板本体2aの表面4における中心側に複数のプローブ用パッド6が形成されたプローブ用パッド領域paと、基板本体2aの表面4における周辺側で且つプローブ用パッド領域paの外側に複数の外部接続端子7が形成された外部接続端子領域caと、を備えた電子品検査装置用配線基板1aであって、上記プローブ用パッド6と外部接続端子7との間は、上記基板本体2aの表面4における上記2つの領域pa,ca間に形成された表面配線8によって接続されている、電子品検査装置用配線基板1a。
【解決手段】表面4および裏面5を有し且つ少なくとも表面4が絶縁層にて形成された基板本体2aと、該基板本体2aの表面4における中心側に複数のプローブ用パッド6が形成されたプローブ用パッド領域paと、基板本体2aの表面4における周辺側で且つプローブ用パッド領域paの外側に複数の外部接続端子7が形成された外部接続端子領域caと、を備えた電子品検査装置用配線基板1aであって、上記プローブ用パッド6と外部接続端子7との間は、上記基板本体2aの表面4における上記2つの領域pa,ca間に形成された表面配線8によって接続されている、電子品検査装置用配線基板1a。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品の導通性や動作の可否などを検査するために用いられる電子部品検査装置用配線基板およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ICチップやLSIなどの被検査電子部品の導通性や動作の可否などを検査するため、セラミックなどの非導電材からなる基板の表面における中央付近にフローブを取り付けるための複数の信号パッドを形成し、該信号パッドから上記基板の裏面全体にほぼ均一に設けた複数の端子に向かって、表面側から裏面側の厚み方向に沿って外側面方向に拡大する複数の内部配線(信号バイア)が個別に配線されたプローブ・カードが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、前記プローブ・カードのような内部配線を有する場合、多層セラミック基板の層間に検査すべき電子部品ごとに対応した内部配線を設計する必要があるため、設計に要する時間が長くなると共に、セラミック層ごとに所定位置にビア導体や内部配線を形成するための治具が必要となる。従って、短期間での製造および納入ができない、という問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−197118号公報(第1〜39頁、図17)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、背景技術において説明した問題点を解決し、設計に要する時間および製造期間を短縮でき、且つ比較的少ない工数と治具とにより容易に製造できる電子部品検査装置用配線基板およびその製造方法を提供する、ことを課題とする。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するため、基板本体の同じ表面にプローブ用パッドと前記ベース基板と導通するための外部接続端子とを形成し、該端子と上記パッドとの間を表面配線によって接続する、ことに着想して成されたものである。
即ち、本発明の電子部品検査装置用配線基板(請求項1)は、表面および裏面を有し且つ少なくとも表面が絶縁層にて形成された基板本体と、該基板本体の表面における中心側に複数のプローブ用パッドが形成されたプローブ用パッド領域と、上記基板本体の表面における周辺側で且つ上記プローブ用パッド領域の外側に複数の外部接続端子が形成された外部接続端子領域と、を備えた電子品検査装置用配線基板であって、上記プローブ用パッドと外部接続端子との間は、上記基板本体の表面における上記2つの領域間に形成された表面配線によって接続されている、ことを特徴とする。
【0007】
これによれば、前記基板本体の表面の中心側に複数のプローブ用パッドが位置するプローブ用パッド領域が形成され、且つ同じ表面の周辺側に複数の外部接続端子が位置する外部接続端子領域とが形成されているため、上記プローブ用パッドと外部接続端子との間を接続するための表面配線を基板本体の表面だけで形成することができる。その結果、上記配線基板では、内部配線を必要とせず且つ表面配線のみで対応できるので、検査すべき電子部品ごとに応じた検査回路の設計および製造に要する時間を短縮できる。従って、電子部品ごとに必要とされる所要の検査を正確に且つ迅速に行、短時間に設計でき且つ少ない工数および治具で容易に製造できると共に、比較的安価な電子部品検査装置用配線基板を提供することが可能となる。
【0008】
尚、前記基板本体には、単層あるいは複数層のセラミックまたは樹脂の絶縁材のみからなる形態のほか、厚み方向にて裏面を含む過半部が金属コア基板からなり且つ表面側にのみ比較的薄い2層以上の上記絶縁層を積層した形態も含まれる。
また、前記基板本体の表面に形成されるプローブ用パッド、外部接続端子、および表面配線は、当該基板本体の表面側の絶縁層がセラミックからなる形態では、上記表面に形成された薄膜層を含んでいる。
更に、前記基板本体の表面に形成される表面配線は、被検査電子部品を検査するための処理信号が流れる信号回路用配線、給電用の電源回路用配線、およびグランドに接続された接地回路用配線を含んでいる。そのため、表面配線の中間には、抵抗やコンデンサやダイオードなどのチップ状電子部品が接続されている。
加えて、前記外部接続端子領域は、平面視が矩形を呈する基板本体の表面において、該表面の中心側に位置する平面視が矩形を呈するプローブ用パッド領域の全周を囲む平面視で口字形状の形態、上記プローブ用パッド領域を囲むように3辺に沿った平面視でコ字形状の形態、あるいは上記プローブ用パッド領域を挟む対向する2辺に沿った平面視で独立した2つの長方形を呈する領域ごとに形成される形態を含んでいる。
【0009】
また、本発明には、前記基板本体の表面側には、2層の前記絶縁層の層間が位置し、該絶縁層間に形成した内部配線および表面側の絶縁層を貫通する第1ビア導体を介して、一部の前記プローブ用パッドと一部の前記外部接続端子との間が導通可能とされている、電子部品検査装置用配線基板(請求項2)も含まれる。
これによれば、平面視において前記基板本体の表面で中心側のプローブ用パッドと周辺側の外部接続端子との間を接続する表面配線同士の交差が不可避である位置に限り、最小限の前記内部配線および第1ビア導体を配線することで、表面配線を主体とし且つ一部を内部配線とした前記電子部品検査装置用配線基板を、確実且つ短時間に設計および製造することができる。
【0010】
更に、本発明には、前記電子品検査装置用配線基板は、該配線基板の前記基板本体の裏面側が、表面および裏面を有する絶縁材からなり、該表面と裏面との間を貫通する複数の第2ビア導体と、該第2ビア導体ごとの両端に個別に接続される表面側の第1端子および外部との導通に用いる裏面側の第2端子とを有する中継基板の表面に実装される、電子部品検査装置用配線基板(請求項3)も含まれる。
これによれば、前記基板本体の表面の周辺側に位置する外部接続端子は、前記中継基板の表面に位置する第1端子と後述するボンディングワイヤなどを介して導通され、且つ該中継基板の第2ビア導体および第2端子を介して、当該中継基板を搭載するプリント基板などのマザーボードとの導通を確実に取ることが可能となる。
【0011】
尚、前記電子品検査装置用配線基板を中継基板の表面へ実装するには、両者間を接着剤を介して接着するか、あるいは中継基板の表面に形成した凹部に上記配線基板の裏面側を挿入することで行われる。
また、前記中継基板は、第2ビア導体、表面側の第1端子、および裏面側の第2端子(外部端子)を、平面視でほぼ均一に配置した形態、あるいは、上記ビア導体と上記各端子とを平面視で表面および裏面の周辺部にのみ形成した形態として、予め製作したものを用いることが可能である。
【0012】
加えて、本発明には、前記電子品検査装置用配線基板を前記中継基板の表面に実装した際に、前記外部接続端子と前記中継基板の表面に形成された前記第1端子との間は、ボンディングワイヤまたはコネクタによって個別に接続される、電子部品検査装置用配線基板(請求項4)も含まれる。
これによれば、前記検査装置用配線基板および中継基板において、内部配線がないか、あるいは検査用配線基板の表面側における最小限の内部配線で済み、検査用配線基板の表面に形成される表面配線によって検査回路の全部あるいは大半が構成されている。しかも、前記プローブ用パッドごとの上に立設される複数のプローブは、上記ボンディングワイヤなどに干渉されにくいので、確実に被検査部品の外部端子に接触して正確な検査を保証することも可能となる。
従って、短時間に設計・製造できる電子部品検査用配線基板を、被検査電子部品の検査に際し、正確且つ実用的に活用することが可能となる。
【0013】
一方、本発明による電子品検査装置用配線基板の製造方法(請求項5)は、表面および裏面を有し、少なくとも表面が絶縁層にて形成された基板本体と、該基板本体の表面における中心側に複数のプローブ用パッドが形成されたプローブ用パッド領域と、上記基板本体の表面における周辺側で且つ上記プローブ用パッド領域の外側に複数の外部接続端子が形成された外部接続端子領域と、上記プローブ用パッドと外部接続端子との間を接続するため、上記基板本体の表面における上記2つの領域間に形成された表面配線と、を備える電子部品検査装置用配線基板の製造方法であって、表面および裏面を有し、追って上記電子部品検査装置用配線基板となる複数の基板領域を有するグリーンシートを焼成する工程と、かかる焼成により得られた多数個取り用のセラミックシートにおける複数の基板領域ごとの表面に対し物理的蒸着法およびメッキを施すことにより、前記表面の中心側に位置する複数の上記プローブ用パッド、上記表面の周辺側に位置する複数の上記外部接続端子、およびこれらの間を個別に接続する複数の表面配線を形成する工程と、を含む、ことを特徴とする。
【0014】
これによれば、前記グリーンシートを焼成したセラミックシートの表面のみに対して物理的蒸着法を施すことにより、プローブ用パッド、接続端子、および表面配線を形成するので、設計に要する時間や製造期間を短縮することができ、比較的少ない工数および治具で容易且つ安価に製造することが可能となる。
尚、前記物理的蒸着法(PVD)は、真空中において金属微粒子を加熱蒸着して薄膜を形成する方法であり、例えば、電子ビーム加熱や、レーザー加熱による蒸着法、あるいはイオンビームによるスパッタリングなどが含まれる。
また、前記内部配線および第1ビア導体を併有する形態の電子部品検査装置用配線基板を製造するには、予め第1ビア導体を貫通させた上層側のグリーンシートと、表面に内部配線を形成され下層側のグリーンシートとを積層した後で、前記各工程を施すことで製造される。
更に、前記中継基板の表面に前記電子部品検査装置用基板を実装した後、外部接続端子と第1端子との間ごとにボンディングワイヤを施すことによって、実用的な電子部品検査装置用配線基板を構成することができる。
【0015】
また、本発明には、前記プローブ用パッド、外部接続端子、および表面配線を形成する工程の後に、前記セラミックシートを複数の前記基板領域ごとに分割して、複数の電子品検査装置用基板を形成する工程を更に有する、電子品検査装置用配線基板の製造方法(請求項6)も含まれる。
これによれば、複数個の前記電子部品検査装置用配線基板を比較的短期間に効率良く提供することが可能となる。尚、前記分割による個片化は、溝入れ加工で前記セラミックシートの表面などに形成した断面V字形の凹溝に沿って破断するか、あるいは切断予定面に沿って剪断加工を施すことにより行われる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明による一形態の電子部品検査装置用配線基板を示す正面図。
【図2】上記電子部品検査装置用配線基板を示す平面図。
【図3】上記配線基板の表面付近の一部を拡大した部分垂直断面図。
【図4】上記配線基板を中継基板の表面上に実装した状態を示す垂直断面図。
【図5】上記配線基板と中継基板との異なる実装形態を示す垂直断面図。
【図6】異なる形態の電子部品検査装置用配線基板を示す垂直断面図。
【図7】図6中のX部分を拡大した部分平面図。
【図8】更に異なる形態の電子部品検査装置用配線基板を示す垂直断面図。
【図9】別なる形態の電子部品検査装置用配線基板を示す平面図。
【図10】別異な形態の電子部品検査装置用配線基板を示す平面図。
【図11】前記電子部品検査装置用配線基板の一製造工程を示す概略断面図。
【図12】図11に続く製造工程を示す概略断面図。
【図13】図12に続く製造工程を示す部分概略断面図。
【図14】図13に続く製造工程を示す部分概略断面図。
【図15】図14に続く製造工程を示す部分概略断面図。
【図16】図15に続く製造工程を示す概略断面図。
【図17】図16に続く製造工程を示す概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下において、本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本発明による一形態の電子部品検査装置用配線基板(以下、単に配線基板と称する)1aを示す正面(側面)図、図2は、該配線基板1aの平面図、図3は、該配線基板1aの表面4付近の一部を拡大した部分垂直断面図である。
配線基板1aは、図1,図2に示すように、例えば、アルミナなどの高温焼成セラミック(絶縁材)からなり、平面視がほぼ正方形(矩形)の表面4および裏面5を有する平板状の基板本体2a、該基板本体2aの表面4における中心側に複数のプローブ用パッド6が形成されたプローブ用パッド領域pa、上記表面4における周辺側で且つ上記パッド領域paの外側に複数の外部接続端子7が形成された外部接続端子ca、および上記プローブ用パッド6と外部接続端子7との間を個別に接続するため上記表面4に形成された複数の表面配線8を備えている。
前記基板本体2aは、単層のセラミック層あるいは複数のセラミック層の積層体からなり、四辺ごとに側面3を有している。尚、上記セラミック層は、低温焼成セラミックの一種であるガラス−セラミックからなるものとしても良い。
【0018】
また、前記プローブ用パッド領域paは、平面視でほぼ正方形を呈し、複数のプローブ用パッド6をほぼ等間隔に突設している。一方、前記外部接続端子caは、上記プローブ用パッド領域paを囲むように平面視でほぼ口字形状を呈し、上記パッド6と同数の外部接続端子7をランダムに突設している。尚、かかる複数の外部接続端子7は、上記パッド6よりも多数とし、電気的に独立したものを一部に含んでいても良い。
図3に例示するように、プローブ用パッド6、表面配線8、および第2端子7は、予め平坦に整面した基板本体3の表面4に対し、スパッタリングおよびフォトグラフィ技術により平面視で両端の円形部と中間の直線部とからなる所定パターンのTi薄膜層9,Cu薄膜層10を順次積層して形成し、次いで、該Cu薄膜層10の上に、平面視が相似形のCuメッキ層11とNiメッキ層15とを形成して、両端のほぼ円柱部12,14と中間の直線部13とを形成した。更に、上記Cuメッキ層11とNiメッキ層15との周囲に形成されていたメッキレジスト(図示せず)を除去した後、以上のTi薄膜層9,Cu薄膜層10、Cuメッキ層11の外側面にNiメッキ層16とAuメッキ層18とを、それぞれ電解メッキによって順次被覆したものである。
尚、上記表面配線8は、平面視で一部に曲線部を含んでいても良い。また、表面配線8には、被検査電子部品を検査するための処理信号が流れる信号回路用配線、給電用の電源回路用配線、およびグランドに接続された接地回路用配線(何れも図示せず)が含まれている。
【0019】
図4は、前記配線基板1aを中継基板20aの表面22における上方に実装した状態を示す垂直断面図である。
前記中継基板20aは、図4に示すように、例えば、アルミナなどの高温焼成セラミック(絶縁材)からなり、平面視がほぼ正方形の表面22と裏面23とを有する基板本体21、該基板本体21の表面22と裏面23との間をほぼ等間隔で貫通する複数のビアホール24内ごとに形成された複数の第2ビア導体25、該第2ビア導体25ごとの表面22側の端部に接続された複数の第1端子26、および上記第2ビア導体25ごとの裏面23側の端部に接続され且つ外部との導通に用いる複数の外部端子27を備えている。
尚、前記第2ビア導体25、第1端子26、および外部端子27は、基板本体21がアルミナなどの場合には、主にWあるいはMoからなり、基板本体21が低温焼成セラミック(絶縁材)の一種のガラス−セラミックの場合には、CuあるいはAgからなる。
【0020】
図4に示すように、配線基板2aのプローブ用パッド6ごとの上方には、例えば、Siウェハに併設された複数の被検査電子部品(何れも図示せず)と電気的に接触するためのプローブpが立設して取り付けられる。また、中継基板20aの表面22における中央部に、接着剤19を介して配線基板2aの裏面5側を接着することで、該配線基板2aが中継基板20aの表面22上に実装される。更に、中継基板20aの表面22における周辺に位置する第1端子26と、配線基板1aの外部接続端子7との間を、追ってボンディングワイヤwにより個別に接続することで、第2端子27とプローブpとが個別に導通可能とされる。その結果、複数の被検査電子部品の検査を連続的に実施することが可能となる。
尚、前記中継基板20aは、一般的な形態のため、既存のものを流用し得る。
【0021】
図5は、前記配線基板1aを異なる形態の中継基板20bの表面22側に実装した状態を示す垂直断面図である。かかる中継基板20bは、図5に示すように、前記同様の基板本体21、該基板本体21の表面22と裏面23との周辺側のみを貫通する複数の第2ビア導体25、該ビア導体25ごとの両端に個別に接続される表面22側の第1端子26と裏面23側の第2端子27、および表面22の中央部に上向きに開口する平面視が矩形の凹部28を有する。
図5に示すように、配線基板1aの裏面5側を、中継基板20bの凹部28内に挿入することで、該中継基板20bの表面22側に配線基板1aを実装した後、前記同様にプローブ用パッド6ごとの上方にプローブpを立設し、更に中継基板20bの表面22側の第1端子26と、配線基板1aの外部接続端子7との間を、ボンディングワイヤwにより個別に接続することで、第2端子27とプローブpとが個別に導通可能とされる。その結果、複数の被検査電子部品の検査を連続的に行うことが可能となる。
尚、前記中継基板20bのみを予め製作しておくこともできる。
【0022】
以上のような配線基板1aによれば、前記基板本体2aの表面4の中心側に複数のプローブ用パッド6が位置するプローブ用パッド領域paが形成され、且つ当該同じ表面4の周辺側に複数の外部接続端子7が位置する外部接続端子領域caとが形成されているため、上記プローブ用パッド6と外部接続端子7との間を接続するための表面配線8を基板本体2aの表面4にだけで形成できる。その結果、本配線基板1aでは、内部配線を必要とせず且つ表面配線8のみで対応できるので、検査すべき電子部品ごとに応じた検査回路の設計および製造に要する時間を短縮できる。従って、電子部品ごとに必要とされる所要の検査を正確に且つ迅速行え、短時間に設計でき且つ少ない治具で容易に製造できると共に、比較的安価な電子部品検査装置用配線基板1aを確実に提供することが可能となる。
【0023】
図6は、本発明による異なる形態の配線基板1bを示す垂直断面図、図7は、図6中のX部分における部分拡大平面図である。
配線基板1bは、図6,図7に示すように、表面4側の比較的薄いセラミック層s1と裏面5を含む比較的厚いセラミック層s2とを積層した基板本体2bと、該基板本体2bの表面4に前記同様に形成した複数のプローブ用パッド6を有するプローブ用パッド領域pa、複数の外部接続端子7を有する外部接続端子ca、および上記パッド6,端子7間を接続する表面配線8、上記セラミック層s1,s2間に形成された内部配線8n、該内部配線8nの両端部の何れかと上記パッド6または接続端子7とを個別に接続し且つ表面4側のセラミック層s1を貫通する第1ビア導体vとを備えている。
【0024】
前記配線基板1bにおいて、基板本体2bの表面4側に位置する前記セラミック層s1,s2の層間に内部配線8nを形成し、且つセラミック層s1を貫通する第1ビア導体vを形成する理由は、図7に示すように、平面視でプローブ用パッド6と外部接続端子2とを接続する複数の表面配線8同士が不可避的に交差せざるを得ない場合、かかる2つの表面配線(8)が表面4で短絡する事態を避けるためである。
尚、上記内部配線8nおよび第1ビア導体vは、セラミック層s1,s2となる材料に応じて、主に前記W、Mo、あるいはCu、Agにより形成される。
前記配線基板1bも、前記同様に中継基板20a,20bの表面22側に実装され、プローブ用パッド6ごとの上にプローブpが取り付けられ、且つ外部接続端子7と中継基板20a,20bにおける表面22側の第1端子26との間をボンディングワイヤwなどを介して接続することで、電子部品の検査に使用される。
【0025】
以上のような配線基板1bによれば、平面視において表面4で複数のプローブ用パッド6と複数の外部接続端子7との間を接続する表面配線8同士の交差が不可避である位置において、最小限の前記内部配線8nおよび第1ビア導体vを配線することで、検査回路を含む表面配線8を主とした電子部品検査装置用配線基板を、確実且つ短時間に設計および製造することが可能となる。
【0026】
図8は、更に異なる形態の配線基板1cを示す垂直断面図である。
配線基板1cは、図8に示すように、比較的厚肉の金属コア基板Mおよび該基板Mの上面に形成したエポキシ系などの樹脂層(絶縁層)j1,j2からなる基板本体2cと、該基板本体2cの表面4に前記同様に形成したプローブ用パッド6、外部接続端子7、および表面配線8と、上記本体2cの表面4側における樹脂層j1,j2の層間に形成された前記同様の内部配線8nと、該内部配線8nの両端部の何れかと上記プローブ用パッド6または外部接続端子7とを個別に接続し且つ表面4側の樹脂層j1を貫通する前記同様の第1ビア導体vとを備えている。上記プローブ用パッド6、外部接続端子7、および表面配線8は、Cuメッキ膜などからなり、例えば、サブトラクティブ法などのフォトリソグラフィ技術によって、ファインピッチで且つ精密に形成することが可能である。
以上のような配線基板1cによっても、前記配線基板1bと同様な効果を奏することができる。
尚、前記基板本体2cは、前記配線基板1bの基板本体2bに替えて、適用することも可能である。
【0027】
図9は、別なる形態の配線基板1dを示す平面図である。
配線基板1dは、図9に示すように、前記とおなじ基板本体2aの平面視がほぼ正方形の表面4おいて、複数のプローブ用パッド6が形成され且つ平面視で長方形を呈する中心側のプローブ用パッド領域paが表面4の一辺(上辺)にのみ接近して位置し、表面4における他の3辺に沿って、複数の外部接続端子7が形成され且つ平面視でほぼコ字形状を呈する第2端子領域caが位置している。該接続端子領域caは、上記パッド領域paの外側に位置し且つ該パッド領域paを3方から囲んでいる。
尚、上記基板本体2aは、表面配線8の一部を内部配線8nと一対の第1ビア導体vとに置き換えた前記基板本体2b,2cとしても良い。
【0028】
図10は、別異な形態の配線基板1eを示す平面図である。
配線基板1eは、図9に示すように、前記とおなじ基板本体2aの平面視がほぼ正方形の表面4において、複数のプローブ用パッド6を形成し且つ平面視で長方形を呈する中心側のプローブ用パッド領域paが、対向する2辺間の中央で且つ残りの2辺の付近に端部が接近しており、該パッド領域paが接近しない上記対向する2辺に沿った周辺側に複数の外部接続端子7を形成した左右一対の第2端子領域caが位置している。該一対の外部接続端子領域caは、平面視で比較的細長い長方形を呈し、上記パッド領域paの外側に位置し且つ該パッド領域paを両側から挟んでいる。尚、上記基板本体2aも、表面配線8の一部を内部配線8nと一対の第1ビア導体vとに置き換えた基板本体2b,2cとしても良い。
【0029】
以下において、前記配線基板1aの製造方法について説明する。
予め、アルミナ粉末に樹脂バインダおよび溶剤などを適量ずつ配合してセラミックスラリとし、該セラミックスラリをドクターブレード法によってシート化して、図11の断面図で示すように、表面4および裏面5を有する単層のグリーンシートgを製作した。尚、図11中で示す一点鎖線は、平面視が格子状である仮想の切断予定面(境界)fであり、これらの間ごとに追って前記配線基板1aとなる基板領域2aが位置し、これらの外側に枠状の耳部mが位置している。
次に、図12に示すように、上記グリーンシートgの表面4側に露出する切断予定面fに沿って、図示しないナイフの刃先側を挿入する溝入れ加工を行うことによって、断面V字形の凹溝30を平面視で格子状にして形成した。次いで、かかる凹溝30が表面4に形成されたグリーンシートgを所定温度において焼成することによって、セラミックシートssとした。
【0030】
更に、図13(a)の部分拡大断面図で示すように、前記基板領域2aごとの表面4を平滑化し、かかる表面4の全面に対して、イオンビームによるスパッタリング(物理的蒸着法)を施すことで、Ti薄膜層9とCu薄膜層10とを順次被覆した。次に、図13(b)に示すように、Cu薄膜層10上の全面に感光性樹脂からなるレジスト層rを形成した後、該レジスト層rに対してフォトリソグラフィー技術を施し、平面視が細長い長円形を呈する貫通孔hを所定の位置に複数形成した。尚、該貫通孔hは、平面視で両端の円形部とこれらの間を接続する直線部とを有する形態としても良い。
引き続いて、図14(a)に示すように、上記貫通孔hの底面に露出するCu薄膜層10の上に2種類の電解金属メッキを順次施して、Cuメッキ層11とNiメッキ層15とを順次被覆した。次いで、図14(b)に示すように、上記レジスト層rを現像液に接触させて剥離して除去した。更に、図15(a)に示すように、Cuメッキ層11とNiメッキ層15とに覆われていない部分のTi薄膜層9とCu薄膜層10とを、エッチング液に接触させて除去した。
【0031】
次いで、平面視で全体が細長い長円形を呈する上記Ti薄膜層9、Cu薄膜層10、Cuメッキ層11、およびNiメッキ層15の4層の全表面に対し2種類の無電解金属メッキを順次施し、図15(b)に示すように、厚みが約1〜数μmのNiメッキ層16と厚みが約0.03〜0.1μmのAuメッキ層18とを順次被覆した。その結果、互いに一体で且つ全体が細長い長円形を呈する1組の前記プローブ用パッド6、外部接続端子7、および表面配線8が形成された。尚、図17(b)中の破線で示すように、上記パッド6および端子7が平面視で円形状を呈し、これらの間を直線状の表面配線8が接続している形態としても良い。
その結果、図16に示すように、多数個取り用のセラミックシートssの基板領域2a(配線基板1a)ごとの表面4において、その中心側paに位置する複数のプローブ用パッド6、周辺側caに位置する複数の外部接続端子7、およびこれらの間を個別に接続する表面配線8が形成された。
【0032】
更に、図16中の凹溝30に沿って、前記セラミックシートssを分割して個々の配線基板1aに個片化にすることで、図17に示すように、基板本体2aごとの表面4に前記プローブ用パッド6、外部接続端子7、および表面配線8を有する複数の配線基板1aを得ることができた。
そして、前記図4に示したように、前記中継基板20aの表面22に接着剤19を介して配線基板1aを実装するか、あるいは前記中継基板20bの表面22に位置する凹部28に裏面5側を挿入して配線基板1aを実装した後、該配線基板1aの外部接続端子7と中継基板20a,20bの第1端子26との間ごとに、ボンディングワイヤwを個別に取り付けた。
【0033】
尚、前記配線基板1bを得るには、予め暑さが異なる2層のグリーンシートgを用意し、上層となるグリーンシートgに未焼成の第1ビア導体vを貫通させ、下層となるグリーンシートgの表面に内部配線8nとなる導電性ペーストを形成した後、これらを積層する工程を先に行っておき、その後に前記各工程を行って実装用基板2cを製造することが可能となる。
また、上記2層のグリーンシートgに前記金属コア基板Mを加えることで、前記配線基板1cを製造するも可能となる。
更に、前記イオンビームによるスパッタリングに替えて、電子ビーム加熱や、レーザー加熱による蒸着法を用いても良い。
加えて、前記凹溝30を形成せず、前記切断予定面fに沿って剪断加工を施すことによって、個々の配線基板1a〜1cに個片化することも可能である。
以上のような配線基板1a〜1cの製造方法によれば、グリーンシートgを焼成したセラミックシートssの表面4のみに対してスパッタリングなどを施すことにより、前記プローブ用パッド6、外部接続端子7、および表面配線8を形成したので、設計に要する時間や製造期間を短縮することができ、且つ比較的少ない工数および治具によって容易且つ安価に製造することができた。
【0034】
本発明は、以上において説明した各形態に限定するものでない。
例えば、前記配線基板は、エポキシ系などの樹脂からなる基板本体を有する形態としても良く、この場合、前記プローブ用パッド6、外部接続端子7、表面配線8、内部配線8n、あるいは第1ビア導体vは、主にCuからなるものとなる。
また、前記配線基板の外部接続端子と前記中継基板の第1端子との間は、前記ボンディングワイヤに替えて、コネクタにより接続するようにしても良い。あるいは、複数ずつの上記外部接続端子と第1端子との間を、接続する部位などに応じて、ボンディングワイヤあるいはコネクタの何れかを選択して接続しても良い。
更に、前記配線基板およびこれを表面上に実装する中継基板の基板本体の表面および裏面は、平面視で長方形を呈する形態としても良い。
【0035】
また、1個の配線基板を実装する中継基板を上層および下層の2個以上を積層した形態とし、配線基板の外部接続端子と、上下2層の中継基板の第1端子との間を、ボンディングワイヤまたはコネクタによって個別に接続しても良い。
更に、複数の前記配線基板を1個の比較的大きな面積の表・裏面を有する基板の表面上における異なる位置ごとで且つ相互に離れた位置に実装しても良い。
加えて、前記プローブ用パッド領域は、前記配線基板の表面における中心側において、平面視で六角形以上の多角形、円形、長円形、あるいは楕円形を呈する形態とし、これら周辺の全部または一部の外側に隣接する表面の周辺側に前記外部接続端子領域を配設した形態としも良い。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明によれば、設計に要する時間および製造期間を短縮することができ、且つ比較的少ない治具で容易に製造できる電子部品検査装置用配線基板を提供することができる。
【符号の説明】
【0037】
1a〜1e………配線基板(電子部品検査装置用配線基板)
2a〜2c………基板本体/基板領域
4…………………配線基板の表面
5…………………配線基板の裏面
6…………………プローブ用パッド
7…………………外部接続端子
8…………………表面配線
8n………………内部配線
20a,20b…中継基板
22………………中継基板の表面
23………………中継基板の裏面
25………………第2ビア導体
26………………第1端子
27………………第2端子
pa………………プローブ用パッド領域
ca………………外部接続端子領域
v…………………第1ビア導体
s1,s2………セラミック層(絶縁層)
j1,j2………樹脂層(絶縁層)
w…………………ボンディングワイヤ
g…………………グリーンシート
ss………………セラミックシート
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品の導通性や動作の可否などを検査するために用いられる電子部品検査装置用配線基板およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ICチップやLSIなどの被検査電子部品の導通性や動作の可否などを検査するため、セラミックなどの非導電材からなる基板の表面における中央付近にフローブを取り付けるための複数の信号パッドを形成し、該信号パッドから上記基板の裏面全体にほぼ均一に設けた複数の端子に向かって、表面側から裏面側の厚み方向に沿って外側面方向に拡大する複数の内部配線(信号バイア)が個別に配線されたプローブ・カードが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、前記プローブ・カードのような内部配線を有する場合、多層セラミック基板の層間に検査すべき電子部品ごとに対応した内部配線を設計する必要があるため、設計に要する時間が長くなると共に、セラミック層ごとに所定位置にビア導体や内部配線を形成するための治具が必要となる。従って、短期間での製造および納入ができない、という問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−197118号公報(第1〜39頁、図17)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、背景技術において説明した問題点を解決し、設計に要する時間および製造期間を短縮でき、且つ比較的少ない工数と治具とにより容易に製造できる電子部品検査装置用配線基板およびその製造方法を提供する、ことを課題とする。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するため、基板本体の同じ表面にプローブ用パッドと前記ベース基板と導通するための外部接続端子とを形成し、該端子と上記パッドとの間を表面配線によって接続する、ことに着想して成されたものである。
即ち、本発明の電子部品検査装置用配線基板(請求項1)は、表面および裏面を有し且つ少なくとも表面が絶縁層にて形成された基板本体と、該基板本体の表面における中心側に複数のプローブ用パッドが形成されたプローブ用パッド領域と、上記基板本体の表面における周辺側で且つ上記プローブ用パッド領域の外側に複数の外部接続端子が形成された外部接続端子領域と、を備えた電子品検査装置用配線基板であって、上記プローブ用パッドと外部接続端子との間は、上記基板本体の表面における上記2つの領域間に形成された表面配線によって接続されている、ことを特徴とする。
【0007】
これによれば、前記基板本体の表面の中心側に複数のプローブ用パッドが位置するプローブ用パッド領域が形成され、且つ同じ表面の周辺側に複数の外部接続端子が位置する外部接続端子領域とが形成されているため、上記プローブ用パッドと外部接続端子との間を接続するための表面配線を基板本体の表面だけで形成することができる。その結果、上記配線基板では、内部配線を必要とせず且つ表面配線のみで対応できるので、検査すべき電子部品ごとに応じた検査回路の設計および製造に要する時間を短縮できる。従って、電子部品ごとに必要とされる所要の検査を正確に且つ迅速に行、短時間に設計でき且つ少ない工数および治具で容易に製造できると共に、比較的安価な電子部品検査装置用配線基板を提供することが可能となる。
【0008】
尚、前記基板本体には、単層あるいは複数層のセラミックまたは樹脂の絶縁材のみからなる形態のほか、厚み方向にて裏面を含む過半部が金属コア基板からなり且つ表面側にのみ比較的薄い2層以上の上記絶縁層を積層した形態も含まれる。
また、前記基板本体の表面に形成されるプローブ用パッド、外部接続端子、および表面配線は、当該基板本体の表面側の絶縁層がセラミックからなる形態では、上記表面に形成された薄膜層を含んでいる。
更に、前記基板本体の表面に形成される表面配線は、被検査電子部品を検査するための処理信号が流れる信号回路用配線、給電用の電源回路用配線、およびグランドに接続された接地回路用配線を含んでいる。そのため、表面配線の中間には、抵抗やコンデンサやダイオードなどのチップ状電子部品が接続されている。
加えて、前記外部接続端子領域は、平面視が矩形を呈する基板本体の表面において、該表面の中心側に位置する平面視が矩形を呈するプローブ用パッド領域の全周を囲む平面視で口字形状の形態、上記プローブ用パッド領域を囲むように3辺に沿った平面視でコ字形状の形態、あるいは上記プローブ用パッド領域を挟む対向する2辺に沿った平面視で独立した2つの長方形を呈する領域ごとに形成される形態を含んでいる。
【0009】
また、本発明には、前記基板本体の表面側には、2層の前記絶縁層の層間が位置し、該絶縁層間に形成した内部配線および表面側の絶縁層を貫通する第1ビア導体を介して、一部の前記プローブ用パッドと一部の前記外部接続端子との間が導通可能とされている、電子部品検査装置用配線基板(請求項2)も含まれる。
これによれば、平面視において前記基板本体の表面で中心側のプローブ用パッドと周辺側の外部接続端子との間を接続する表面配線同士の交差が不可避である位置に限り、最小限の前記内部配線および第1ビア導体を配線することで、表面配線を主体とし且つ一部を内部配線とした前記電子部品検査装置用配線基板を、確実且つ短時間に設計および製造することができる。
【0010】
更に、本発明には、前記電子品検査装置用配線基板は、該配線基板の前記基板本体の裏面側が、表面および裏面を有する絶縁材からなり、該表面と裏面との間を貫通する複数の第2ビア導体と、該第2ビア導体ごとの両端に個別に接続される表面側の第1端子および外部との導通に用いる裏面側の第2端子とを有する中継基板の表面に実装される、電子部品検査装置用配線基板(請求項3)も含まれる。
これによれば、前記基板本体の表面の周辺側に位置する外部接続端子は、前記中継基板の表面に位置する第1端子と後述するボンディングワイヤなどを介して導通され、且つ該中継基板の第2ビア導体および第2端子を介して、当該中継基板を搭載するプリント基板などのマザーボードとの導通を確実に取ることが可能となる。
【0011】
尚、前記電子品検査装置用配線基板を中継基板の表面へ実装するには、両者間を接着剤を介して接着するか、あるいは中継基板の表面に形成した凹部に上記配線基板の裏面側を挿入することで行われる。
また、前記中継基板は、第2ビア導体、表面側の第1端子、および裏面側の第2端子(外部端子)を、平面視でほぼ均一に配置した形態、あるいは、上記ビア導体と上記各端子とを平面視で表面および裏面の周辺部にのみ形成した形態として、予め製作したものを用いることが可能である。
【0012】
加えて、本発明には、前記電子品検査装置用配線基板を前記中継基板の表面に実装した際に、前記外部接続端子と前記中継基板の表面に形成された前記第1端子との間は、ボンディングワイヤまたはコネクタによって個別に接続される、電子部品検査装置用配線基板(請求項4)も含まれる。
これによれば、前記検査装置用配線基板および中継基板において、内部配線がないか、あるいは検査用配線基板の表面側における最小限の内部配線で済み、検査用配線基板の表面に形成される表面配線によって検査回路の全部あるいは大半が構成されている。しかも、前記プローブ用パッドごとの上に立設される複数のプローブは、上記ボンディングワイヤなどに干渉されにくいので、確実に被検査部品の外部端子に接触して正確な検査を保証することも可能となる。
従って、短時間に設計・製造できる電子部品検査用配線基板を、被検査電子部品の検査に際し、正確且つ実用的に活用することが可能となる。
【0013】
一方、本発明による電子品検査装置用配線基板の製造方法(請求項5)は、表面および裏面を有し、少なくとも表面が絶縁層にて形成された基板本体と、該基板本体の表面における中心側に複数のプローブ用パッドが形成されたプローブ用パッド領域と、上記基板本体の表面における周辺側で且つ上記プローブ用パッド領域の外側に複数の外部接続端子が形成された外部接続端子領域と、上記プローブ用パッドと外部接続端子との間を接続するため、上記基板本体の表面における上記2つの領域間に形成された表面配線と、を備える電子部品検査装置用配線基板の製造方法であって、表面および裏面を有し、追って上記電子部品検査装置用配線基板となる複数の基板領域を有するグリーンシートを焼成する工程と、かかる焼成により得られた多数個取り用のセラミックシートにおける複数の基板領域ごとの表面に対し物理的蒸着法およびメッキを施すことにより、前記表面の中心側に位置する複数の上記プローブ用パッド、上記表面の周辺側に位置する複数の上記外部接続端子、およびこれらの間を個別に接続する複数の表面配線を形成する工程と、を含む、ことを特徴とする。
【0014】
これによれば、前記グリーンシートを焼成したセラミックシートの表面のみに対して物理的蒸着法を施すことにより、プローブ用パッド、接続端子、および表面配線を形成するので、設計に要する時間や製造期間を短縮することができ、比較的少ない工数および治具で容易且つ安価に製造することが可能となる。
尚、前記物理的蒸着法(PVD)は、真空中において金属微粒子を加熱蒸着して薄膜を形成する方法であり、例えば、電子ビーム加熱や、レーザー加熱による蒸着法、あるいはイオンビームによるスパッタリングなどが含まれる。
また、前記内部配線および第1ビア導体を併有する形態の電子部品検査装置用配線基板を製造するには、予め第1ビア導体を貫通させた上層側のグリーンシートと、表面に内部配線を形成され下層側のグリーンシートとを積層した後で、前記各工程を施すことで製造される。
更に、前記中継基板の表面に前記電子部品検査装置用基板を実装した後、外部接続端子と第1端子との間ごとにボンディングワイヤを施すことによって、実用的な電子部品検査装置用配線基板を構成することができる。
【0015】
また、本発明には、前記プローブ用パッド、外部接続端子、および表面配線を形成する工程の後に、前記セラミックシートを複数の前記基板領域ごとに分割して、複数の電子品検査装置用基板を形成する工程を更に有する、電子品検査装置用配線基板の製造方法(請求項6)も含まれる。
これによれば、複数個の前記電子部品検査装置用配線基板を比較的短期間に効率良く提供することが可能となる。尚、前記分割による個片化は、溝入れ加工で前記セラミックシートの表面などに形成した断面V字形の凹溝に沿って破断するか、あるいは切断予定面に沿って剪断加工を施すことにより行われる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明による一形態の電子部品検査装置用配線基板を示す正面図。
【図2】上記電子部品検査装置用配線基板を示す平面図。
【図3】上記配線基板の表面付近の一部を拡大した部分垂直断面図。
【図4】上記配線基板を中継基板の表面上に実装した状態を示す垂直断面図。
【図5】上記配線基板と中継基板との異なる実装形態を示す垂直断面図。
【図6】異なる形態の電子部品検査装置用配線基板を示す垂直断面図。
【図7】図6中のX部分を拡大した部分平面図。
【図8】更に異なる形態の電子部品検査装置用配線基板を示す垂直断面図。
【図9】別なる形態の電子部品検査装置用配線基板を示す平面図。
【図10】別異な形態の電子部品検査装置用配線基板を示す平面図。
【図11】前記電子部品検査装置用配線基板の一製造工程を示す概略断面図。
【図12】図11に続く製造工程を示す概略断面図。
【図13】図12に続く製造工程を示す部分概略断面図。
【図14】図13に続く製造工程を示す部分概略断面図。
【図15】図14に続く製造工程を示す部分概略断面図。
【図16】図15に続く製造工程を示す概略断面図。
【図17】図16に続く製造工程を示す概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下において、本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本発明による一形態の電子部品検査装置用配線基板(以下、単に配線基板と称する)1aを示す正面(側面)図、図2は、該配線基板1aの平面図、図3は、該配線基板1aの表面4付近の一部を拡大した部分垂直断面図である。
配線基板1aは、図1,図2に示すように、例えば、アルミナなどの高温焼成セラミック(絶縁材)からなり、平面視がほぼ正方形(矩形)の表面4および裏面5を有する平板状の基板本体2a、該基板本体2aの表面4における中心側に複数のプローブ用パッド6が形成されたプローブ用パッド領域pa、上記表面4における周辺側で且つ上記パッド領域paの外側に複数の外部接続端子7が形成された外部接続端子ca、および上記プローブ用パッド6と外部接続端子7との間を個別に接続するため上記表面4に形成された複数の表面配線8を備えている。
前記基板本体2aは、単層のセラミック層あるいは複数のセラミック層の積層体からなり、四辺ごとに側面3を有している。尚、上記セラミック層は、低温焼成セラミックの一種であるガラス−セラミックからなるものとしても良い。
【0018】
また、前記プローブ用パッド領域paは、平面視でほぼ正方形を呈し、複数のプローブ用パッド6をほぼ等間隔に突設している。一方、前記外部接続端子caは、上記プローブ用パッド領域paを囲むように平面視でほぼ口字形状を呈し、上記パッド6と同数の外部接続端子7をランダムに突設している。尚、かかる複数の外部接続端子7は、上記パッド6よりも多数とし、電気的に独立したものを一部に含んでいても良い。
図3に例示するように、プローブ用パッド6、表面配線8、および第2端子7は、予め平坦に整面した基板本体3の表面4に対し、スパッタリングおよびフォトグラフィ技術により平面視で両端の円形部と中間の直線部とからなる所定パターンのTi薄膜層9,Cu薄膜層10を順次積層して形成し、次いで、該Cu薄膜層10の上に、平面視が相似形のCuメッキ層11とNiメッキ層15とを形成して、両端のほぼ円柱部12,14と中間の直線部13とを形成した。更に、上記Cuメッキ層11とNiメッキ層15との周囲に形成されていたメッキレジスト(図示せず)を除去した後、以上のTi薄膜層9,Cu薄膜層10、Cuメッキ層11の外側面にNiメッキ層16とAuメッキ層18とを、それぞれ電解メッキによって順次被覆したものである。
尚、上記表面配線8は、平面視で一部に曲線部を含んでいても良い。また、表面配線8には、被検査電子部品を検査するための処理信号が流れる信号回路用配線、給電用の電源回路用配線、およびグランドに接続された接地回路用配線(何れも図示せず)が含まれている。
【0019】
図4は、前記配線基板1aを中継基板20aの表面22における上方に実装した状態を示す垂直断面図である。
前記中継基板20aは、図4に示すように、例えば、アルミナなどの高温焼成セラミック(絶縁材)からなり、平面視がほぼ正方形の表面22と裏面23とを有する基板本体21、該基板本体21の表面22と裏面23との間をほぼ等間隔で貫通する複数のビアホール24内ごとに形成された複数の第2ビア導体25、該第2ビア導体25ごとの表面22側の端部に接続された複数の第1端子26、および上記第2ビア導体25ごとの裏面23側の端部に接続され且つ外部との導通に用いる複数の外部端子27を備えている。
尚、前記第2ビア導体25、第1端子26、および外部端子27は、基板本体21がアルミナなどの場合には、主にWあるいはMoからなり、基板本体21が低温焼成セラミック(絶縁材)の一種のガラス−セラミックの場合には、CuあるいはAgからなる。
【0020】
図4に示すように、配線基板2aのプローブ用パッド6ごとの上方には、例えば、Siウェハに併設された複数の被検査電子部品(何れも図示せず)と電気的に接触するためのプローブpが立設して取り付けられる。また、中継基板20aの表面22における中央部に、接着剤19を介して配線基板2aの裏面5側を接着することで、該配線基板2aが中継基板20aの表面22上に実装される。更に、中継基板20aの表面22における周辺に位置する第1端子26と、配線基板1aの外部接続端子7との間を、追ってボンディングワイヤwにより個別に接続することで、第2端子27とプローブpとが個別に導通可能とされる。その結果、複数の被検査電子部品の検査を連続的に実施することが可能となる。
尚、前記中継基板20aは、一般的な形態のため、既存のものを流用し得る。
【0021】
図5は、前記配線基板1aを異なる形態の中継基板20bの表面22側に実装した状態を示す垂直断面図である。かかる中継基板20bは、図5に示すように、前記同様の基板本体21、該基板本体21の表面22と裏面23との周辺側のみを貫通する複数の第2ビア導体25、該ビア導体25ごとの両端に個別に接続される表面22側の第1端子26と裏面23側の第2端子27、および表面22の中央部に上向きに開口する平面視が矩形の凹部28を有する。
図5に示すように、配線基板1aの裏面5側を、中継基板20bの凹部28内に挿入することで、該中継基板20bの表面22側に配線基板1aを実装した後、前記同様にプローブ用パッド6ごとの上方にプローブpを立設し、更に中継基板20bの表面22側の第1端子26と、配線基板1aの外部接続端子7との間を、ボンディングワイヤwにより個別に接続することで、第2端子27とプローブpとが個別に導通可能とされる。その結果、複数の被検査電子部品の検査を連続的に行うことが可能となる。
尚、前記中継基板20bのみを予め製作しておくこともできる。
【0022】
以上のような配線基板1aによれば、前記基板本体2aの表面4の中心側に複数のプローブ用パッド6が位置するプローブ用パッド領域paが形成され、且つ当該同じ表面4の周辺側に複数の外部接続端子7が位置する外部接続端子領域caとが形成されているため、上記プローブ用パッド6と外部接続端子7との間を接続するための表面配線8を基板本体2aの表面4にだけで形成できる。その結果、本配線基板1aでは、内部配線を必要とせず且つ表面配線8のみで対応できるので、検査すべき電子部品ごとに応じた検査回路の設計および製造に要する時間を短縮できる。従って、電子部品ごとに必要とされる所要の検査を正確に且つ迅速行え、短時間に設計でき且つ少ない治具で容易に製造できると共に、比較的安価な電子部品検査装置用配線基板1aを確実に提供することが可能となる。
【0023】
図6は、本発明による異なる形態の配線基板1bを示す垂直断面図、図7は、図6中のX部分における部分拡大平面図である。
配線基板1bは、図6,図7に示すように、表面4側の比較的薄いセラミック層s1と裏面5を含む比較的厚いセラミック層s2とを積層した基板本体2bと、該基板本体2bの表面4に前記同様に形成した複数のプローブ用パッド6を有するプローブ用パッド領域pa、複数の外部接続端子7を有する外部接続端子ca、および上記パッド6,端子7間を接続する表面配線8、上記セラミック層s1,s2間に形成された内部配線8n、該内部配線8nの両端部の何れかと上記パッド6または接続端子7とを個別に接続し且つ表面4側のセラミック層s1を貫通する第1ビア導体vとを備えている。
【0024】
前記配線基板1bにおいて、基板本体2bの表面4側に位置する前記セラミック層s1,s2の層間に内部配線8nを形成し、且つセラミック層s1を貫通する第1ビア導体vを形成する理由は、図7に示すように、平面視でプローブ用パッド6と外部接続端子2とを接続する複数の表面配線8同士が不可避的に交差せざるを得ない場合、かかる2つの表面配線(8)が表面4で短絡する事態を避けるためである。
尚、上記内部配線8nおよび第1ビア導体vは、セラミック層s1,s2となる材料に応じて、主に前記W、Mo、あるいはCu、Agにより形成される。
前記配線基板1bも、前記同様に中継基板20a,20bの表面22側に実装され、プローブ用パッド6ごとの上にプローブpが取り付けられ、且つ外部接続端子7と中継基板20a,20bにおける表面22側の第1端子26との間をボンディングワイヤwなどを介して接続することで、電子部品の検査に使用される。
【0025】
以上のような配線基板1bによれば、平面視において表面4で複数のプローブ用パッド6と複数の外部接続端子7との間を接続する表面配線8同士の交差が不可避である位置において、最小限の前記内部配線8nおよび第1ビア導体vを配線することで、検査回路を含む表面配線8を主とした電子部品検査装置用配線基板を、確実且つ短時間に設計および製造することが可能となる。
【0026】
図8は、更に異なる形態の配線基板1cを示す垂直断面図である。
配線基板1cは、図8に示すように、比較的厚肉の金属コア基板Mおよび該基板Mの上面に形成したエポキシ系などの樹脂層(絶縁層)j1,j2からなる基板本体2cと、該基板本体2cの表面4に前記同様に形成したプローブ用パッド6、外部接続端子7、および表面配線8と、上記本体2cの表面4側における樹脂層j1,j2の層間に形成された前記同様の内部配線8nと、該内部配線8nの両端部の何れかと上記プローブ用パッド6または外部接続端子7とを個別に接続し且つ表面4側の樹脂層j1を貫通する前記同様の第1ビア導体vとを備えている。上記プローブ用パッド6、外部接続端子7、および表面配線8は、Cuメッキ膜などからなり、例えば、サブトラクティブ法などのフォトリソグラフィ技術によって、ファインピッチで且つ精密に形成することが可能である。
以上のような配線基板1cによっても、前記配線基板1bと同様な効果を奏することができる。
尚、前記基板本体2cは、前記配線基板1bの基板本体2bに替えて、適用することも可能である。
【0027】
図9は、別なる形態の配線基板1dを示す平面図である。
配線基板1dは、図9に示すように、前記とおなじ基板本体2aの平面視がほぼ正方形の表面4おいて、複数のプローブ用パッド6が形成され且つ平面視で長方形を呈する中心側のプローブ用パッド領域paが表面4の一辺(上辺)にのみ接近して位置し、表面4における他の3辺に沿って、複数の外部接続端子7が形成され且つ平面視でほぼコ字形状を呈する第2端子領域caが位置している。該接続端子領域caは、上記パッド領域paの外側に位置し且つ該パッド領域paを3方から囲んでいる。
尚、上記基板本体2aは、表面配線8の一部を内部配線8nと一対の第1ビア導体vとに置き換えた前記基板本体2b,2cとしても良い。
【0028】
図10は、別異な形態の配線基板1eを示す平面図である。
配線基板1eは、図9に示すように、前記とおなじ基板本体2aの平面視がほぼ正方形の表面4において、複数のプローブ用パッド6を形成し且つ平面視で長方形を呈する中心側のプローブ用パッド領域paが、対向する2辺間の中央で且つ残りの2辺の付近に端部が接近しており、該パッド領域paが接近しない上記対向する2辺に沿った周辺側に複数の外部接続端子7を形成した左右一対の第2端子領域caが位置している。該一対の外部接続端子領域caは、平面視で比較的細長い長方形を呈し、上記パッド領域paの外側に位置し且つ該パッド領域paを両側から挟んでいる。尚、上記基板本体2aも、表面配線8の一部を内部配線8nと一対の第1ビア導体vとに置き換えた基板本体2b,2cとしても良い。
【0029】
以下において、前記配線基板1aの製造方法について説明する。
予め、アルミナ粉末に樹脂バインダおよび溶剤などを適量ずつ配合してセラミックスラリとし、該セラミックスラリをドクターブレード法によってシート化して、図11の断面図で示すように、表面4および裏面5を有する単層のグリーンシートgを製作した。尚、図11中で示す一点鎖線は、平面視が格子状である仮想の切断予定面(境界)fであり、これらの間ごとに追って前記配線基板1aとなる基板領域2aが位置し、これらの外側に枠状の耳部mが位置している。
次に、図12に示すように、上記グリーンシートgの表面4側に露出する切断予定面fに沿って、図示しないナイフの刃先側を挿入する溝入れ加工を行うことによって、断面V字形の凹溝30を平面視で格子状にして形成した。次いで、かかる凹溝30が表面4に形成されたグリーンシートgを所定温度において焼成することによって、セラミックシートssとした。
【0030】
更に、図13(a)の部分拡大断面図で示すように、前記基板領域2aごとの表面4を平滑化し、かかる表面4の全面に対して、イオンビームによるスパッタリング(物理的蒸着法)を施すことで、Ti薄膜層9とCu薄膜層10とを順次被覆した。次に、図13(b)に示すように、Cu薄膜層10上の全面に感光性樹脂からなるレジスト層rを形成した後、該レジスト層rに対してフォトリソグラフィー技術を施し、平面視が細長い長円形を呈する貫通孔hを所定の位置に複数形成した。尚、該貫通孔hは、平面視で両端の円形部とこれらの間を接続する直線部とを有する形態としても良い。
引き続いて、図14(a)に示すように、上記貫通孔hの底面に露出するCu薄膜層10の上に2種類の電解金属メッキを順次施して、Cuメッキ層11とNiメッキ層15とを順次被覆した。次いで、図14(b)に示すように、上記レジスト層rを現像液に接触させて剥離して除去した。更に、図15(a)に示すように、Cuメッキ層11とNiメッキ層15とに覆われていない部分のTi薄膜層9とCu薄膜層10とを、エッチング液に接触させて除去した。
【0031】
次いで、平面視で全体が細長い長円形を呈する上記Ti薄膜層9、Cu薄膜層10、Cuメッキ層11、およびNiメッキ層15の4層の全表面に対し2種類の無電解金属メッキを順次施し、図15(b)に示すように、厚みが約1〜数μmのNiメッキ層16と厚みが約0.03〜0.1μmのAuメッキ層18とを順次被覆した。その結果、互いに一体で且つ全体が細長い長円形を呈する1組の前記プローブ用パッド6、外部接続端子7、および表面配線8が形成された。尚、図17(b)中の破線で示すように、上記パッド6および端子7が平面視で円形状を呈し、これらの間を直線状の表面配線8が接続している形態としても良い。
その結果、図16に示すように、多数個取り用のセラミックシートssの基板領域2a(配線基板1a)ごとの表面4において、その中心側paに位置する複数のプローブ用パッド6、周辺側caに位置する複数の外部接続端子7、およびこれらの間を個別に接続する表面配線8が形成された。
【0032】
更に、図16中の凹溝30に沿って、前記セラミックシートssを分割して個々の配線基板1aに個片化にすることで、図17に示すように、基板本体2aごとの表面4に前記プローブ用パッド6、外部接続端子7、および表面配線8を有する複数の配線基板1aを得ることができた。
そして、前記図4に示したように、前記中継基板20aの表面22に接着剤19を介して配線基板1aを実装するか、あるいは前記中継基板20bの表面22に位置する凹部28に裏面5側を挿入して配線基板1aを実装した後、該配線基板1aの外部接続端子7と中継基板20a,20bの第1端子26との間ごとに、ボンディングワイヤwを個別に取り付けた。
【0033】
尚、前記配線基板1bを得るには、予め暑さが異なる2層のグリーンシートgを用意し、上層となるグリーンシートgに未焼成の第1ビア導体vを貫通させ、下層となるグリーンシートgの表面に内部配線8nとなる導電性ペーストを形成した後、これらを積層する工程を先に行っておき、その後に前記各工程を行って実装用基板2cを製造することが可能となる。
また、上記2層のグリーンシートgに前記金属コア基板Mを加えることで、前記配線基板1cを製造するも可能となる。
更に、前記イオンビームによるスパッタリングに替えて、電子ビーム加熱や、レーザー加熱による蒸着法を用いても良い。
加えて、前記凹溝30を形成せず、前記切断予定面fに沿って剪断加工を施すことによって、個々の配線基板1a〜1cに個片化することも可能である。
以上のような配線基板1a〜1cの製造方法によれば、グリーンシートgを焼成したセラミックシートssの表面4のみに対してスパッタリングなどを施すことにより、前記プローブ用パッド6、外部接続端子7、および表面配線8を形成したので、設計に要する時間や製造期間を短縮することができ、且つ比較的少ない工数および治具によって容易且つ安価に製造することができた。
【0034】
本発明は、以上において説明した各形態に限定するものでない。
例えば、前記配線基板は、エポキシ系などの樹脂からなる基板本体を有する形態としても良く、この場合、前記プローブ用パッド6、外部接続端子7、表面配線8、内部配線8n、あるいは第1ビア導体vは、主にCuからなるものとなる。
また、前記配線基板の外部接続端子と前記中継基板の第1端子との間は、前記ボンディングワイヤに替えて、コネクタにより接続するようにしても良い。あるいは、複数ずつの上記外部接続端子と第1端子との間を、接続する部位などに応じて、ボンディングワイヤあるいはコネクタの何れかを選択して接続しても良い。
更に、前記配線基板およびこれを表面上に実装する中継基板の基板本体の表面および裏面は、平面視で長方形を呈する形態としても良い。
【0035】
また、1個の配線基板を実装する中継基板を上層および下層の2個以上を積層した形態とし、配線基板の外部接続端子と、上下2層の中継基板の第1端子との間を、ボンディングワイヤまたはコネクタによって個別に接続しても良い。
更に、複数の前記配線基板を1個の比較的大きな面積の表・裏面を有する基板の表面上における異なる位置ごとで且つ相互に離れた位置に実装しても良い。
加えて、前記プローブ用パッド領域は、前記配線基板の表面における中心側において、平面視で六角形以上の多角形、円形、長円形、あるいは楕円形を呈する形態とし、これら周辺の全部または一部の外側に隣接する表面の周辺側に前記外部接続端子領域を配設した形態としも良い。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明によれば、設計に要する時間および製造期間を短縮することができ、且つ比較的少ない治具で容易に製造できる電子部品検査装置用配線基板を提供することができる。
【符号の説明】
【0037】
1a〜1e………配線基板(電子部品検査装置用配線基板)
2a〜2c………基板本体/基板領域
4…………………配線基板の表面
5…………………配線基板の裏面
6…………………プローブ用パッド
7…………………外部接続端子
8…………………表面配線
8n………………内部配線
20a,20b…中継基板
22………………中継基板の表面
23………………中継基板の裏面
25………………第2ビア導体
26………………第1端子
27………………第2端子
pa………………プローブ用パッド領域
ca………………外部接続端子領域
v…………………第1ビア導体
s1,s2………セラミック層(絶縁層)
j1,j2………樹脂層(絶縁層)
w…………………ボンディングワイヤ
g…………………グリーンシート
ss………………セラミックシート
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面および裏面を有し且つ少なくとも表面が絶縁層にて形成された基板本体と、
上記基板本体の表面における中心側に複数のプローブ用パッドが形成されたプローブ用パッド領域と、
上記基板本体の表面における周辺側で且つ上記プローブ用パッド領域の外側に複数の外部接続端子が形成された外部接続端子領域と、を備えた電子品検査装置用配線基板であって、
上記プローブ用パッドと外部接続端子との間は、上記基板本体の表面における上記2つの領域間に形成された表面配線によって接続されている、
ことを特徴とする電子品検査装置用配線基板。
【請求項2】
前記基板本体の表面側には、2層の前記絶縁層の層間が位置し、該絶縁層間に形成した内部配線および表面側の絶縁層を貫通する第1ビア導体を介して、一部の前記プローブ用パッドと一部の前記外部接続端子との間が導通可能とされている、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子品検査装置用配線基板。
【請求項3】
前記電子品検査用配線基板は、該配線基板の前記基板本体の裏面側が、表面および裏面を有する絶縁材からなり、該表面と裏面との間を貫通する複数の第2ビア導体と、該第2ビア導体ごとの両端に個別に接続される表面側の第1端子および外部との導通に用いる裏面側の第2端子とを有する中継基板の表面に実装される、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電子品検査装置用配線基板。
【請求項4】
前記電子品検査用配線基板を前記中継基板の表面に実装した際に、前記外部接続端子と前記中継基板の表面に形成された前記第1端子との間は、ボンディングワイヤまたはコネクタによって個別に接続される、
ことを特徴とする請求項3に記載の電子品検査装置用配線基板。
【請求項5】
表面および裏面を有し、少なくとも表面が絶縁層にて形成された基板本体と、該基板本体の表面における中心側に複数のプローブ用パッドが形成されたプローブ用パッド領域と、上記基板本体の表面における周辺側で且つ上記プローブ用パッド領域の外側に複数の外部接続端子が形成された外部接続端子領域と、上記プローブ用パッドと外部接続端子との間を接続するため、上記基板本体の表面における上記2つの領域間に形成された表面配線と、を備える電子部品検査装置用配線基板の製造方法であって、
表面および裏面を有し、追って上記電子部品検査装置用配線基板となる複数の基板領域を有するグリーンシートを焼成する工程と、
上記焼成により得られた多数個取り用のセラミックシートにおける複数の基板領域ごとの表面に対し物理的蒸着法およびメッキを施すことにより、前記表面の中心側に位置する複数の上記プローブ用パッド、上記表面の周辺側に位置する複数の上記外部接続端子、およびこれらの間を個別に接続する複数の表面配線を形成する工程と、を含む、
ことを特徴とする電子部品検査用配線基板の製造方法。
【請求項6】
前記プローブ用パッド、外部接続端子、および表面配線を形成する工程の後に、前記セラミックシートを複数の前記基板領域ごとに分割して、複数の実装用基板を形成する工程を更に有する、
ことを特徴とする請求項5に記載の電子部品検査用配線基板の製造方法。
【請求項1】
表面および裏面を有し且つ少なくとも表面が絶縁層にて形成された基板本体と、
上記基板本体の表面における中心側に複数のプローブ用パッドが形成されたプローブ用パッド領域と、
上記基板本体の表面における周辺側で且つ上記プローブ用パッド領域の外側に複数の外部接続端子が形成された外部接続端子領域と、を備えた電子品検査装置用配線基板であって、
上記プローブ用パッドと外部接続端子との間は、上記基板本体の表面における上記2つの領域間に形成された表面配線によって接続されている、
ことを特徴とする電子品検査装置用配線基板。
【請求項2】
前記基板本体の表面側には、2層の前記絶縁層の層間が位置し、該絶縁層間に形成した内部配線および表面側の絶縁層を貫通する第1ビア導体を介して、一部の前記プローブ用パッドと一部の前記外部接続端子との間が導通可能とされている、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子品検査装置用配線基板。
【請求項3】
前記電子品検査用配線基板は、該配線基板の前記基板本体の裏面側が、表面および裏面を有する絶縁材からなり、該表面と裏面との間を貫通する複数の第2ビア導体と、該第2ビア導体ごとの両端に個別に接続される表面側の第1端子および外部との導通に用いる裏面側の第2端子とを有する中継基板の表面に実装される、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電子品検査装置用配線基板。
【請求項4】
前記電子品検査用配線基板を前記中継基板の表面に実装した際に、前記外部接続端子と前記中継基板の表面に形成された前記第1端子との間は、ボンディングワイヤまたはコネクタによって個別に接続される、
ことを特徴とする請求項3に記載の電子品検査装置用配線基板。
【請求項5】
表面および裏面を有し、少なくとも表面が絶縁層にて形成された基板本体と、該基板本体の表面における中心側に複数のプローブ用パッドが形成されたプローブ用パッド領域と、上記基板本体の表面における周辺側で且つ上記プローブ用パッド領域の外側に複数の外部接続端子が形成された外部接続端子領域と、上記プローブ用パッドと外部接続端子との間を接続するため、上記基板本体の表面における上記2つの領域間に形成された表面配線と、を備える電子部品検査装置用配線基板の製造方法であって、
表面および裏面を有し、追って上記電子部品検査装置用配線基板となる複数の基板領域を有するグリーンシートを焼成する工程と、
上記焼成により得られた多数個取り用のセラミックシートにおける複数の基板領域ごとの表面に対し物理的蒸着法およびメッキを施すことにより、前記表面の中心側に位置する複数の上記プローブ用パッド、上記表面の周辺側に位置する複数の上記外部接続端子、およびこれらの間を個別に接続する複数の表面配線を形成する工程と、を含む、
ことを特徴とする電子部品検査用配線基板の製造方法。
【請求項6】
前記プローブ用パッド、外部接続端子、および表面配線を形成する工程の後に、前記セラミックシートを複数の前記基板領域ごとに分割して、複数の実装用基板を形成する工程を更に有する、
ことを特徴とする請求項5に記載の電子部品検査用配線基板の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
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【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−198190(P2012−198190A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−224720(P2011−224720)
【出願日】平成23年10月12日(2011.10.12)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月12日(2011.10.12)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】
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