説明

電子部品用リーク検査装置および電子部品のリーク検査方法

【課題】加速度センサ等の電子部品のリーク検査を高速且つ安価に行うことが可能な電子部品用リーク検査装置および電子部品用リーク検査方法を提供する。
【解決手段】筺体内部の慣性体が偏倚することで所定の電気的信号を出力する電子部品200のリーク検査装置であって、前記電子部品200に所定の周波数を有する変動成分を含んだ作動電圧を印加する電源装置140と、前記電子部品の出力を検出する検出装置130と、前記検出装置によって得られた出力値と基準値を比較して前記電子部品の気密性を判断する評価装置160と、を備えた電子部品用リーク検査装置とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気密封止された筺体の内部に慣性体を備える電子部品に係る電子部品用リーク検査装置および電子部品のリーク検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、加速度または角加速度を検出するためのセンサとして、ピエゾ抵抗式センサ、圧電振動型ジャイロセンサ等が知られている。これらのセンサは、筺体の移動・振動に基づいて内部の慣性体が偏倚する、すなわちセンサの一部が機械的に変形することで所定の電気的信号を出力するように構成されている。
【0003】
これらのセンサでは、活性化ガスまたは水分等の影響を受けて特性が変化しないように、筺体が気密封止されている。従って、これらのセンサの製造工程においては、筺体の気密性を検査するリーク検査が必須の工程となっている。
【0004】
従来、このリーク検査工程では、一般的にバブルリーク検査法等が採用されている。バブルリーク検査法とは、高温の不活性な液体の中に製品を投入し、製品内部に封入された気体のリークを気泡(バブル)として確認する方法である。このバブルリーク検査法によれば、センサの電気的出力を必要とせずに、純粋に筺体の気密性を検査することができるので、電気的出力の取得が容易ではない加速度センサ等に適している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記バブルリーク検査法では、気泡を目視にて確認する必要があり、検査を自動化して製造ラインに組み込むことが困難という問題があった。また、複数のセンサを同時に検査しようとすると、どのセンサから気泡が発生したのか不明確になるので、一つずつ検査しなければならないという問題があった。
【0006】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、加速度センサ等の電子部品のリーク検査を高速且つ安価に行うことが可能な電子部品用リーク検査装置および電子部品のリーク検査方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、筺体内部の慣性体が偏倚することで所定の電気的信号を出力する電子部品のリーク検査装置であって、前記電子部品に所定の周波数を有する変動成分を含んだ作動電圧を印加する電源装置と、前記電子部品の出力を検出する検出装置と、前記検出装置によって得られた出力値を基準値と比較して前記電子部品の気密性を判断する評価装置と、を備えることを特徴とする、電子部品用リーク検査装置である。
【0008】
本発明はまた、上記発明において、前記電子部品の有する共振周波数に基づいて、前記作動電圧の変動成分の周波数を設定することを特徴とする。
【0009】
本発明はまた、上記発明において、前記電子部品を密閉状態で収容する密閉装置と、前記密閉装置内の圧力を変化させる圧力変更装置と、をさらに備えることを特徴とする。
【0010】
本発明はまた、上記発明において、前記圧力変更装置は、前記密閉装置内を少なくとも第1内圧及び第2内圧に制御し、前記検出装置は、前記第1内圧下で出力された前記電子部品の第1出力と、前記第2内圧下で出力された前記電子部品の第2出力を検出し、前記評価装置は、前記第1出力と前記第2出力の差によって前記電子部品の気密性を合否判定することを特徴とする。
【0011】
本発明はまた、上記発明において、前記第1内圧は大気圧であると共に、前記第2内圧は前記大気圧よりも低圧であることを特徴とする。
【0012】
本発明はまた、上記発明において、前記圧力変更装置は真空ポンプを備えており、前記密閉装置内の気体を排気して内圧を低圧状態にすることを特徴とする。
【0013】
本発明はまた、上記発明において、前記電子部品を複数保持すると共に、該電子部品と共に前記密閉装置内に収容される電子部品保持装置を備えて構成されており、前記検出装置は、前記密閉装置内において前記電子部品保持装置上の全ての前記電子部品に対して電気的に接合されるコンタクト部を有することを特徴とする。
【0014】
本発明はまた、上記発明において、前記検出装置は、前記コンタクト部における電気的接合状態を、前記電子部品毎に切り替える切替制御部を備えることを特徴とする。
【0015】
本発明はまた、上記発明において、前記電子部品は、加速度センサ、ジャイロセンサ、水晶振動子であることを特徴とする。
【0016】
本発明はまた、筺体内部の慣性体が偏倚することで所定の電気的信号を出力する電子部品に対して変動成分を含む作動電圧を印加し、前記電子部品の出力を検出し、前記電子部品の出力値を基準値と比較して前記電子部品の気密性を判断することを特徴とする、電子部品のリーク検査方法である。
【0017】
本発明はまた、上記発明において、前記電子部品を密閉装置に収容し、前記密閉装置内の内圧を変化させて、その内圧変化前後での前記電子部品の出力変動を検出することで、前記電子部品の気密性を判断することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る電子部品用リーク検査装置または電子部品のリーク検査方法によれば、加速度センサ等の電子部品のリーク検査を高速且つ安価に行うことができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態における電子部品用リーク試験装置100の概略構成図である。
【図2】同電子部品用リーク試験装置における電子部品200と電源装置140の回路図である。
【図3】リーク検査の対象となるセンサ部210の一例の断面図である。
【図4】電子部品200への入力電源波形の概略図である。
【図5】本発明の第2実施形態における電子部品用リーク試験装置400の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。図1は、第1実施形態に係る電子部品用リーク検査装置100の概略構成図である。
【0021】
同図に示すように、電子部品のリーク検査装置100は、密閉装置110と、密閉装置110内部の圧力を変化させる圧力変更装置120と、リーク検査の対象となる加速度センサ等の電子部品200の出力信号を測定する検出装置130と、電子部品200に作動電圧を印加する電源装置140と、評価装置160とから構成されている。
【0022】
密閉装置110は、樹脂製または金属製の中空の箱形容器である。またこの密閉装置110は、容器内部の圧力を一定(密閉状態)に保つように形成されている。
【0023】
本実施形態では、電子部品200は、電子部品保持装置300上に載置された状態のまま、密閉装置110内に収容される。電子部品保持装置300は、電子部品200の製造ラインにおいて電子部品200の搬送に使用されるものであり、複数の電子部品200をマトリクス状に配列して保持、搬送するものである。すなわち、本実施形態では、複数の電子部品200を電子部品保持装置300に載置したまま一度にリーク検査を行うことができるように構成されている。
【0024】
圧力変更装置120は、密閉装置110に接続されて2つに分岐した配管122と、配管122の分岐した一端に接続される真空ポンプ接続バルブ124および真空ポンプ126、ならびに配管122の分岐した他端に接続される大気開放バルブ128からなる。
【0025】
この圧力変更装置120は、真空ポンプ接続バルブ124を開いて真空ポンプ126を密閉装置110に接続して密閉装置110内の気体を排気することで、密閉装置110内の圧力を真空まで低下させる。また、大気開放バルブ128を開いて密閉装置110内を大気開放することで、密閉装置110内の圧力を大気圧まで上昇させる。すなわち、圧力変更装置120は、密閉装置110内の圧力を大気圧から真空までの任意の圧力に設定することが可能となっている。
【0026】
検出装置130は、電子部品200と電気的に接合されるコンタクト部132と、コンタクト部132と電気的に接続されるマルチプレクサ134と、マルチプレクサ134と電気的に接続される出力信号測定器136からなる。
【0027】
コンタクト部132は、複数のプローブ132aを備え、電子部品保持装置300上に載置された全ての電子部品200と同時に接合されるように構成されている。マルチプレクサ134は、複数の電子部品200から送信された信号を切り替えて出力信号測定器136に送信するものである。出力信号測定器136は、電子部品200から出力された信号を測定するものである。
【0028】
電源装置140は、直流電圧を生成する直流電源142と、交流電圧を生成する交流電源144を備えており、これを組み合わせることで、一定の電圧近傍において、所定の周波数となる変動成分を含んだ電源電圧を生成することができる。また、電源装置140は、ケーブル146により検出装置130と接続され、電子部品200と電気的に接合される。
【0029】
評価装置160は、検出装置130の出力信号測定器136と電気的に接続され、電子部品200の出力値を受信する。さらに、この評価装置160は、電子部品200から受信した出力値を所定の出力の基準値(ここでは、電子部品200周囲の雰囲気を変化させた時の電子部品200の出力値)と比較して、その電子部品200の気密性の合否を判断する。なお、電子部品200の出力の基準値は、電子部品200の周囲圧力に対する理想出力値を採用しても良い。
【0030】
次に、電子部品200の振動による出力信号の発生原理について説明する。図2は、電子部品200と電源装置140の回路図であり、図3は、センサ部210の構造図である。
【0031】
電子部品200は、例えば、移動や振動によって筺体内の慣性体が偏倚して出力信号を発生するピエゾ抵抗式加速度センサ等のセンサ部210と、その出力信号を所定の倍率だけ増幅させる増幅回路220から構成される。
【0032】
図3に示すように、センサ部210は、気密封止された筺体201内にセンサエレメント202が収容されている。筺体201内部には、不活性ガス等が封入されている。センサエレメント202は、矩形の枠状の支持部203と、支持部203の上端から内側に向けて突出する梁204と、梁204によって支持される錘(慣性体)205から構成されている。そして、梁204には複数のピエゾ抵抗素子206が配設されている。
【0033】
センサ部210に加速度が加わると、錘205が移動(偏倚)して梁204を変形させる。すると、ピエゾ抵抗素子206に応力が発生し、ピエゾ抵抗素子206の抵抗が変化する。電子部品200は、このピエゾ抵抗素子206の抵抗の変化をホイートストンブリッジ(図示省略)により電圧の変化に変換して出力するようになっている。
【0034】
図2に戻って、増幅回路220は、具体的にはオペアンプやトランジスタ等の演算増幅回路であるが、本実施例では、センサ部210からの出力信号を入力する2つの入力端子222と、増幅後の信号を出力する出力端子224と、増幅回路220の電源電圧を入力する2つの電源端子226を備えたオペアンプである。入力端子222は、反転入力端子Vin−と非反転入力端子Vin+の2つの入力端子を備える。この増幅回路220は、反転入力端子Vin−と非反転入力端子Vin+に入力された信号の差分に増幅回路220の増幅率Aを掛け合わせた値を出力端子224から出力する。
【0035】
電源装置140は、直流電圧を生成する直流電源142と、交流電圧を生成する交流電源144を直列接続状態で備えており、図4に示すような、所定の変動成分を含んだ直流電源電圧を生成する。なお、直流電源142と交流電源144は並列に接続されていてもよく、直流成分と交流成分を含む電圧を生成できるものであればよい。また、ここでは直流電源142と交流電源144を組み合わせて、変動成分を含む印加電圧を生成する場合を示したが、本発明はそれに限定されず、他の方法によって生成することも可能である。
【0036】
図2に戻って、一般的にオペアンプ等の増幅回路220は、所定の直流電圧が電源端子226に印加された場合、下記式1のように入力信号Vin−、Vin+の差分に増幅回路220の増幅率Aを掛け合わせた値を出力する。
【0037】
Vout=A(Vin+ − Vin−)・・・(式1)
【0038】
電子部品200は、変動(ノイズ)成分を含む電源電圧が入力された場合、その電源電圧の変動により多少なりとも出力に影響を受ける。この電源電圧の変動に対する出力の変化(影響)を比率で表したものを電源電圧変動除去比(Power Supply Rejection Ratio)という。電源電圧変動除去比は、オペアンプ等の増幅回路220が固有に有する性質で、一般にはdB単位で表わされる。また、この電源電圧変動除去比は数値が大きい程、電源電圧の変動に対して影響を受けにくい。
【0039】
つまり、電子部品200は、所定の変動(ノイズ)成分を含む電源電圧を印加されると、電源電圧変動除去比に基づいて多少ではあるが漏れ電圧がセンサ部210に流れ込んでしまうという性質がある。そこで本実施形態では、この性質を利用して所定の変動成分を含む電源電圧を電子部品200に印加することで、変動成分の一部を反転入力端子Vin−又は非反転入力端子Vin+側にリークさせる。この結果、ピエゾ抵抗素子206側に変動成分が印加され、錘205を振動させ、この振動を含んだ信号がセンサ部210から出力される。この結果、増幅回路220は、漏れ電圧による錘205の振動を含んだ信号を増幅し、出力端子224から出力する。したがって、この電子部品200は、交流電源144の電圧を利用することによって、強制的に振動することになる。この振動を利用してリーク検査を行う。
【0040】
次に、本実施形態の電子部品用リーク検査装置100によるリーク検査の手順について説明する。
【0041】
まず、電子部品200を載置した電子部品保持装置300を密閉装置110内に収容し、電源装置140により、所定の振幅、周波数の変動成分を含む電源電圧を電子部品200へ印加する。そして、圧力変更装置120により密閉装置110内の圧力を第1内圧(例えば大気圧)に保ち、第1内圧下において各電子部品200が出力した信号を出力信号測定器136で測定し、第1出力として記憶する。次に、真空ポンプ126を稼働して密閉装置110内の圧力を第2内圧(例えば、略真空)に変更し、第2内圧下において各電子部品200が出力した信号を出力信号測定器136で測定し、第2出力として記憶する。最後に、電子部品200ごとに第1出力と第2出力を比較して、各電子部品200の気密性を合否判断する。
【0042】
電子部品200に変動成分を含む電源電圧が加えられると、漏れ電圧によってセンサ部210が振動し、その振動成分を含む出力信号が得られる。また、このセンサ部210の振動状態は、筺体201内部の気体の気圧、湿度、温度により変化する。即ち、本実施形態では、電子部品200を収容している筺体201の気密性が低い場合、大気圧状態と略真空状態で出力が変動する。すなわち、第1出力と、第2出力が異なる値となる。したがって、評価装置160は、この第1出力と第2出力を比較してリーク製品と判定する。
【0043】
一方、電子部品200の筺体201が適正に気密封止されているならば、密閉装置110内部の圧力変化によらず筺体201内部は一定圧力に保たれるため、第1出力と第2出力は略等しい値となる。したがって、評価装置160は、この第1出力と第2出力を比較して合格製品と判定する。
【0044】
このように、本実施形態に係る電子部品用リーク検査装置100では、電子部品200に対して、交流電源144を利用して変動させた電圧を印加し、そこからセンサ部210側に漏れ出す電圧によって、センサ部210を電気的に振動させ、その出力信号を測定することで電子部品200の気密性を判断する。この結果、極めて安価な構成で短時間に電子部品200のリーク検査をすることが可能となっている。
【0045】
また、多数の電子部品を一度に確実に検査することができ、コストの低減化と装置の小型化が図れるという効果がある。
【0046】
また、電源装置140の変動成分の周波数を電子部品200の共振周波数と等しくすれば、センサ部210がより振動し易い状況を作り出すことができ、出力が増大して効率的にリーク検査を行うことができる。
【0047】
また、電子部品200の種類によって、電源電圧の変動成分の周波数、振幅を設定することによって、効率よくリーク検査を行えるという効果がある。
【0048】
また、複数の電子部品200ごとに、第1内圧下での第1出力と第2内圧下での第2出力を比較するため、各電子部品200の感度のバラつきに影響されずに、各電子部品200のリーク検査をすることができる。
【0049】
また、高圧側となる第1内圧を大気圧とすることで、密閉装置110内の加圧を必要とせず、圧力変更装置120を安価な構成とすることができる。
【0050】
また、圧力変更装置120が真空ポンプ126を備えるため、短時間で密閉装置110内の圧力を変化させることができ、検査時間を短縮することができる。
【0051】
また、電子部品200は、電子部品保持装置300上に載置されたまま密閉装置110内に収容されるため、高価で複雑なハンドリング装置を要せずとも、電子部品のリーク検査装置100を電子部品200の製造ラインに組み込むことができる。これにより、電子部品200の製造効率を、リーク検査工程を含めた全体で向上させることができる。
【0052】
また、検出装置130は、電子部品保持装置300上の全ての電子部品200と電気的に接合するコンタクト部132を備えるため、電子部品保持装置300上の全ての電子部品200と一度に接続することが可能となり、検査時間を短縮することができる。
【0053】
また、検出装置130は、マルチプレクサ134を備えるため、コンタクト部132で全ての電子部品200と一度に接合しながらも、電子部品200ごとに出力信号を測定して、個別にリーク検査を行うことができる。なお、コンタクト部132に、複数のマルチプレクサ134および出力信号測定器136を並列に接続することも好ましい。このようにすることで、複数の電子部品200の出力信号を並列に測定することができるため、検査時間をさらに短縮することができる。
【0054】
第1実施形態の電子部品用リーク検査装置および電子部品のリーク検査方法は、自動車やバイク等のエアバック装置の加速度センサの日常検査に利用することができる。
【0055】
例えば、図5は本発明の第2実施形態における、電子部品用リーク検査装置400を使用したエアバック装置600の概略構造図である。
【0056】
電子部品用リーク検査装置400は、電子部品500と、電源装置540から構成されている。電子部品500は、ピエゾ抵抗式加速度センサ等のセンサ部510と、その出力信号を所定の倍率だけ増幅させる増幅回路520から構成され、図示しない筺体で密閉されている。電源装置540は、直流電圧を生成する直流電源542と、変動電圧を生成する交流電源544から構成されている。この電子部品500及び電源装置540は、第1実施形態で説明した電子部品200及び電源装置140と略同じ構成、機能であるので、符号の下2桁を一致させることで詳細な説明は省略する。
【0057】
なお、センサ部510は、エアバック装置600と電気的に接続され、自動車の衝突等によりセンサ部510が衝撃を受けると信号をエアバック装置600に出力するように構成されている。
【0058】
エアバック装置600は、エアバック610と、エアバック制御装置620を備え、電子部品500の信号に基づきエアバックを開放(エアバックが開く)するかしないかを判断する。
【0059】
電源装置540は、自動車のエンジンキーと連動して動作するように設けられており、エンジンがかけられた場合に一時的な間、変動成分を含む直流電圧を電子部品500へ供給して、電子部品500のリーク検査を実行する。なお、エンジンがかけられていない状態の時に、検査することも可能である。
【0060】
電子部品500は、電源電圧の変動成分の漏れ電圧によって、センサ部510を電気的に振動させ、その振動結果を増幅回路520の増幅率にしたがって増幅して出力する。
【0061】
検出装置及び評価装置は、エアバック制御装置620内に収容されており、増幅回路520の出力を検出し、その検出値と自動車の出荷当初の検出値(基準値)を比較して変動の有無を判断する。具体的には、検出値と出荷当初の値の変動がなければ(または所定の範囲内であれば)電子部品500の気密性が保たれていると判断し、変動が所定の閾値以上であれば電子部品500がリークしていると判断する。
【0062】
上記の電子部品用リーク検査装置400は、電子部品500の気密性不良によるエアバック装置600の誤動作の可能性を、自動車が動き出す前に判断して防止する。
【0063】
また、電子部品用リーク検査装置400は、エンジンキーが操作されていない(自動車が動いていない)場合でも、変動成分を含む電源電圧を所定の間隔で電子部品500へ供給することで、電子部品500の気密性の検査を自動的に実施することが出来るという効果がある。特に、本電子部品用リーク検査装置400は、経時的な劣化や微細リークによって、電子部品500の気密性が徐々に失われていくような場合であっても、自動車の使用中の長期間に亘って検査することが可能になる。
【0064】
なお、本発明の電子部品用リーク検査装置および電子部品のリーク検査方法は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0065】
例えば、リーク検査の対象となる電子部品200、電子部品500は、上記実施の形態において示した構造のセンサに限定されるものではなく、内部の慣性体が偏倚することで所定の電気的信号を出力する電子部品であれば、その他の構造のものであってもよい。
【0066】
また、本発明の実施の形態に記載された作用および効果は、本発明から生じる最も好適な作用および効果を列挙したに過ぎず、本発明による作用および効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明に係る電子部品用リーク検査装置および電子部品のリーク検査方法は、加速度センサ等の製造、検査または校正の分野で利用することができる。
【符号の説明】
【0068】
100、400・・・電子部品リーク検査装置
110・・・密閉装置
120・・・圧力変更装置
126・・・真空ポンプ
130・・・検出装置
132・・・コンタクト部
134・・・マルチプレクサ
140、540・・・電源装置
142、542・・・直流電源
144、544・・・交流電源
160・・・評価装置
200、500・・・電子部品
300・・・電子部品保持装置
600・・・エアバック装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筺体内部の慣性体が偏倚することで所定の電気的信号を出力する電子部品のリーク検査装置であって、
前記電子部品に所定の周波数を有する変動成分を含んだ作動電圧を印加する電源装置と、
前記電子部品の出力を検出する検出装置と、
前記検出装置によって得られた出力値を基準値と比較して前記電子部品の気密性を判断する評価装置と、
を備えることを特徴とする、
電子部品用リーク検査装置。
【請求項2】
前記電子部品は、
前記慣性体が偏倚する際に、該偏倚を電圧変動として出力するセンサ部と、
前記センサ部の前記電圧変動を増幅する増幅回路と、を備えており、
前記電源装置は、
前記増幅回路に対して前記変動成分を含んだ作動電圧を印加し、前記変動成分を前記増幅回路を介して前記センサ部に漏れさせて前記慣性体を強制振動させ、
前記検出装置は、前記慣性体の強制振動を含んだ前記センサ部の出力を前記増幅回路を介して検出することを特徴とする、
請求項1に記載の電子部品用リーク検査装置。
【請求項3】
前記電子部品の有する共振周波数に基づいて、前記作動電圧の変動成分の周波数を設定することを特徴とする、
請求項1又は2に記載の電子部品用リーク検査装置。
【請求項4】
前記電子部品を密閉状態で収容する密閉装置と、
前記密閉装置内の圧力を変化させる圧力変更装置と、
をさらに備えることを特徴とする、
請求項1乃至3のいずれかに記載の電子部品用リーク検査装置。
【請求項5】
前記圧力変更装置は、前記密閉装置内を少なくとも第1内圧及び第2内圧に制御し、
前記検出装置は、前記第1内圧下で出力された前記電子部品の第1出力と、前記第2内圧下で出力された前記電子部品の第2出力を検出し、
前記評価装置は、前記第1出力と前記第2出力の差によって前記電子部品の気密性を合否判定することを特徴とする、
請求項4に記載の電子部品用リーク検査装置。
【請求項6】
前記第1内圧は大気圧であると共に、前記第2内圧は前記大気圧よりも低圧であることを特徴とする、
請求項5に記載の電子部品用リーク検査装置。
【請求項7】
前記圧力変更装置は真空ポンプを備えており、前記密閉装置内の気体を排気して内圧を低圧状態にすることを特徴とする、
請求項4乃至6のいずれかに記載の電子部品用リーク検査装置。
【請求項8】
前記電子部品を複数保持すると共に、該電子部品と共に前記密閉装置内に収容される電子部品保持装置を備えて構成されており、
前記検出装置は、前記密閉装置内において前記電子部品保持装置上の全ての前記電子部品に対して電気的に接合されるコンタクト部を有することを特徴とする、
請求項4乃至7のいずれか1項に記載の電子部品用リーク検査装置。
【請求項9】
前記検出装置は、前記コンタクト部における電気的接合状態を、前記電子部品毎に切り替える切替制御部を備えることを特徴とする、
請求項8に記載の電子部品用リーク検査装置。
【請求項10】
前記電子部品は、加速度センサ、ジャイロセンサ、水晶振動子であることを特徴とする、
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の電子部品用リーク検査装置。
【請求項11】
筺体内部の慣性体が偏倚することで所定の電気的信号を出力する電子部品に対して変動成分を含む作動電圧を印加し、
前記電子部品の出力を検出し、
前記電子部品の出力値を基準値と比較して前記電子部品の気密性を判断することを特徴とする、電子部品のリーク検査方法。
【請求項12】
前記電子部品は、
前記慣性体が偏倚する際に、該偏倚を電圧変動として出力するセンサ部と、
前記センサ部の前記電圧変動を増幅する増幅回路と、を備えており、
前記増幅回路に対して前記変動成分を含んだ前記作動電圧を印加して、前記変動成分を前記増幅回路を介して前記センサ部に漏れさせて前記慣性体を強制振動させるようにし、
前記慣性体の強制振動を含んだ前記センサ部の出力を、前記増幅回路を介して検出することを特徴とする、
請求項11に記載の電子部品のリーク検査方法。
【請求項13】
前記電子部品を密閉装置に収容し、
前記密閉装置内の内圧を変化させて、その内圧変化前後での前記電子部品の出力変動を検出することで、前記電子部品の気密性を判断することを特徴とする、請求項11又は12に記載の電子部品のリーク検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−242405(P2011−242405A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−172565(P2011−172565)
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【分割の表示】特願2008−102975(P2008−102975)の分割
【原出願日】平成20年4月11日(2008.4.11)
【出願人】(501410137)アキム株式会社 (49)
【Fターム(参考)】