説明

電子部品組立構造体

【課題】半田付けすることなく電子部品間を好適に接続して電子回路を形成する電子部品組立構造体を提供する
【解決手段】部品保持部材20には、電子部品60を収納するための半円筒形状の電子部品収納部21とリード収納溝22、23が形成されており、電子部品60を部品保持部材20で安定に保持することができる。一方、バスバー部材40は、本体部41と、リード62、63と接続するための接続端子42、43を備えており、電子部品60のリード62、63と半田付けすることなく接続できる。電子部品60が部品保持部材20で安定に保持されていることから、接続時にリード62、63に大きな損傷を与える恐れはない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リードを有する電子部品を含む複数の部品を収納して電子回路を形成する電子部品組立構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子部品を印刷配線板等に接続するには、半田付けによる方法が用いられていた。電子部品には、半田付けを行うためのリードが導出されており、このリードは鉄線の表面に銅メッキを施した材質で形成されている。また、リード表面に予備半田が施されたものも用いられている。リードは、例えば特許文献1に記載されている通り、印刷配線板に形成されたスルーホール等に挿入された状態で半田付けされる。
【0003】
また、リードを用いない方法として、電子部品を印刷配線板に直接接着し、電子部品の電極をクリーム半田等を用いて印刷配線板に半田付けする、表面実装と呼ばれる方法も知られている。表面実装は、とくに超高密度の回路を形成するのに好適な電子部品の実装方法である。
【特許文献1】特開2004−172072号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の従来の技術では以下のような問題があった。内蔵する電子部品を半田付けして印刷配線板等に接続している電子機器では、使用済みになると、再利用可能な電子部品であっても、これを回収することなく廃棄していた。そのため、希少金属等の資源を無駄にしてしまうといった問題があった。これに対し、再利用可能な電子部品を回収しようとすると、半田を溶かして吸い取るという、手間のかかる工程が必要になり、コストが嵩んでしまうといった問題があった。
【0005】
また、電子機器の製造時に行われる半田付けでは、半田付け不良が発生する可能性があるため、半田付け後に印刷配線板を検査する手間がかかっていた。さらに、この検査により半田付け不良が検出された場合には、印刷配線板から電子部品を回収しないと歩留まりが悪くなる一方、回収するためには上記と同様に手間がかかった。このように、電子機器の製造時にも、半田付け不良に伴うコスト高が避けられないといった問題があった。
【0006】
そこで、本発明はこれらの問題を解決するためになされたものであり、半田付けすることなく電子部品間を好適に接続して電子回路を形成する電子部品組立構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電子部品組立構造体の第1の態様は、リードを有する電子部品を収納して電子回路を形成する電子部品組立構造体であって、前記リードに嵌合させる接続端子を備えたバスバー部材と、少なくとも前記電子部品を収納する電子部品収納部と前記リードを収納するリード収納溝とが形成された部品保持部材とを備え、前記部品保持部材には前記リード収納溝に直交して前記接続端子を収納する接続端子収納部がさらに形成され、前記電子部品と前記バスバー部材とを前記部品保持部材に一体に組み立てて保持することを特徴とする。
【0008】
本発明の電子部品組立構造体の他の態様は、前記接続端子が、前記リードの表面メッキ層の厚さ以下の締め代を有していることを特徴とする。
本発明の電子部品組立構造体の他の態様は、前記接続端子が、複数のバネ片が交互に逆向きに並んで形成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明の電子部品組立構造体の他の態様は、前記部品保持部材には、電線を収納する電線収納部がさらに形成されていることを特徴とする。
本発明の電子部品組立構造体の他の態様は、前記バスバー部材を前記部品保持部材に固定するためのバスバー部材固定手段をさらに備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の電子部品組立構造体の他の態様は、前記バスバー部材固定手段が、前記バスバー部材を仮係止する第一のバスバー部材固定手段と、前記バスバー部材を本係止する第二のバスバー部材固定手段とからなることを特徴とする。
本発明の電子部品組立構造体の他の態様は、前記バスバー部材固定手段が、前記バスバー部材に具備され係止用穴が形成された係止片と、前記部品保持部材に形成された係止用爪とからなることを特徴とする。
【0011】
本発明の電子部品組立構造体の他の態様は、前記係止片が、前記第一のバスバー部材固定手段としての仮係止用穴と前記第二のバスバー部材固定手段としての本係止用穴とを備えていることを特徴とする。
本発明の電子部品組立構造体の他の態様は、前記係止片が、バックル状または舌片状のタブであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように本発明によれば、半田付けすることなく電子部品間を好適に接続して電子回路を形成する電子部品組立構造体を提供することができる。本発明の電子部品組立構造体は、比較的大型で高価な電子部品を組み立てて電子回路体を製造するのに好適であり、半田付けを用いないで電子部品を接続することができるため、半田付け工程を省略して製造コストを低減することが可能となる。
【0013】
また、本発明の電子部品組立構造体によれば、電子部品に極力損傷を与えないように組み立てることが可能なことから、製造歩留まりを改善するとともに、電子部品を再利用してコスト低減をはかることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図面を参照して本発明の好ましい実施の形態における電子部品組立構造体の構成について詳細に説明する。なお、同一機能を有する各構成部については、図示及び説明簡略化のため、同一符号を付して示す。
【0015】
本発明は、小型化が困難な大容量コンデンサーや、ハイブリッドIC、パワートランジスタ等の電子部品に好適な電子部品組立構造体を提供するものであり、これらの電子部品は比較的高価なことから、半田付けを行わないようにすることで、これらの電子部品を回収できるようにしている。
【0016】
本発明の実施の形態に係る電子部品組立構造体を図1に示す。電子部品組立構造体10は、電子部品を収納する部品保持部材20と、電子部品間を接続するためのバスバー部材40とを備えており、それぞれ内蔵する電子部品に合わせた構造に形成されている。図1は、電子部品60を部品保持部材20に収納する前の状態を示している。
【0017】
図1に示す電子部品60は、円筒状本体61と2本のリード62、63を有しており、以下では電子部品60を例に、これを本実施形態の電子部品組立構造体10に収納する場合について説明する。半田付け用のリードを有する電子部品は、一般的に広く用いられているものであり。比較的安価で供給も安定していることから、本実施形態の電子部品組立構造体10では、リードを有する電子部品を内蔵するのに好適な構造としている。
【0018】
電子部品60に備えられた2本のリード62、63は、それぞれ長さが異なっており、リード62は短くリード63は長く形成されているが、これは極性を間違えないようにするためである。一般的に用いられている電子部品は、半田付け用のリードを有しているが、これは比較的変形し易いため、応力緩和で接触不良が起きたりする可能性がある。リードは、一般的には内部の鉄を銅メッキで覆った構造のため、接触不良が起きると発熱を誘発したりする恐れがある。
【0019】
そこで、本実施形態の電子部品組立構造体10では、電子部品60を変形させないようにするために、電子部品60を収納して保持する部品保持部材20を備えている。部品保持部材20は絶縁体で形成されており、電子部品を特に絶縁処理することなく収納できるようにしている。
【0020】
部品保持部材20には、電子部品60の形状に合わせて、これを収納するための半円筒形状の電子部品収納部21とリード収納溝22、23が形成されている。リード収納溝22、23は、リード62、63の寸法に合わせて形成されており、リード収納溝22は短く、リード収納溝23は長くなっている。そのため、リード62、63の極性を間違えて装着してしまう恐れはない。
【0021】
円筒状本体61を電子部品収納部21に収納し、リード62、63をリード収納溝22、23にそれぞれ収納することにより、電子部品60が部品保持部材20に安定的に保持される。電子部品60が部品保持部材20に収納された状態を図2に示す。同図は、本実施形態の電子部品組立構造体10に電子部品60を収納した状態を示す斜視図であり、(a)と(b)は向きを変えて見たものである。
【0022】
また、電子部品収納部21及びリード収納溝22、23のそれぞれの適切な位置にリブを設け、このリブを押さえつけながら円筒状本体61及びリード62、63を挿入するようにすることができる。このようなリブを設けることで、装着後は電子部品60が振動などで動くことがないようにすることができる。この場合、電子部品60を挿入するときの摩擦抵抗で円筒状本体61やリード62、63が変形することのないよう、電子部品60の形状に合った冶具を用いるのがよい。
【0023】
一方、バスバー部材40は、本体部41と、リード62、63と接続するための接続端子42、43、及び別の端子44〜49から構成されている。バスバー部材40は、部品保持部材20に収納される電子部品間を適切に接続できるような回路形状にプレス加工して形成されたものである。端子41〜49は、本体部41と一体にプレス加工して形成されてもよいし、バスバー本体41に溶接接続される、あるいはすえ込みなどでカシメ接続されるものであってもよい。さらに、リードの形状によっては、互い違いの双方向接続端子を用いて接触接続させることも可能である。
【0024】
本実施形態の電子部品組立構造体10では、前述の通り、電子部品60を部品保持部材20で安定的に保持できるようにしていることから、バスバー部材40の接続端子42、43と電子部品60のリード62、63とを半田付けを用いることなく接続することが可能となる。すなわち、部品保持部材20には、リード収納溝22、23に直交して接続端子収納部24、25がさらに形成されており、接続端子42、43を接続端子収納部24、25に収納することで、リード62、63と接続できるようにしている。
【0025】
接続端子収納部24、25は、リード収納溝22、23の中間付近に設けるのが好ましく、接続端子42、43を収納したときこれを周りの高い壁が囲うように形成するのがよい。リード62、63はリード収納溝22、23に収納されることで変形することなく安定的に保持され、接続端子42、43は周りの高い壁に沿って接続端子収納部24、25にまっすぐに挿入されることから、リード62、63と接続端子42、43とをそれぞれ容易かつ確実に嵌め合わせることができる。
【0026】
接続端子42、43は、図1、図2に示すように、複数(ここでは3枚)のバネ片を交互に逆向きに並べた形状に形成されるのが好ましく、このような形状とすることにより、例えば布の横糸が縦糸に挟まれているのと同様に、リード62、63がバネ片に挟まれた状態で接続させることができる。このような接続を行うと、接続時にバネ片の角がリード62、63に食い込むが、ある程度食い込むとバネ片とリード62、63との接触面積が広くなるため、それ以上の食い込みはなくなり、一定深さの食い込みで接触状態が安定する。
【0027】
上記のように、バネ片の角がリード62、63に食い込む深さを一定のところで止めて安定させることが可能なことから、リード62、63の表面のメッキ層以上に接続端子42、43が食い込まないようにすることができる。接続端子42、43の締め代は、リード62、63の表面メッキ層の厚さ以下とするのがよい。これによりメッキ層内部の鉄部分を露出させないようにすることで、電子部品60を再利用可能にすることができる。
【0028】
リードと接続端子との接続を、例えば単純な接触方式を用いて行うと、リードの変形等による接触不良が発生する恐れがある。また、圧接接続のように接続端子をリードに強く食い込ませるようにすると、接続端子の銅合金がリード内部の鉄と接触して異種金属接合となり、発熱などの危険性が高くなる。
【0029】
これに対し本実施形態の接続端子42、43では、圧接端子に比べて1/6程度のバネ力でリード62、63を嵌合させるようにしており、リード62、63を著しく傷つける恐れはない。また、リード62、63をバネ片で挟むようにして接続させることから、バネ片の角がリード62、63に食い込んで小さい金属結合部分が形成される。リード62、63の表面の銅メッキは、接続端子42、43の銅合金と基本的に同種金属であることから、相互に結合して長期間安定した接触状態を維持することができる。
【0030】
単純な接触方式による接続では、繰り返し使用することが可能となるものの、接触力が通常10N以下となるため、変形しやすい半田付け用のリードを単純な接触方式で接続しても、長期使用期間中には変形して接触不良になってしまう恐れがあり、信頼性に大きな問題がある。また、通常の圧接端子では、100N程度の圧接力で電線の芯線を挟み込むことから、長期間の使用には耐えられるものの、圧接による芯線のダメージが大きいため一回限りの使用で廃棄されてしまう。
【0031】
これに対し本実施形態の接続端子42、43では、15N〜30N(望ましくは約20N)の接触力でリード62、63を挟むようにしており、かつバネ片の角で弱い圧接状態を作り出すようにしている。その結果、長期にわたって信頼性の高い接続状態を維持することができ、かつリード62、63への食い込みが小さいことから、電子部品60を複数回リサイクル使用することが可能となる。また、リードの材質や表面処理に応じて接触力を調整することにより、多種類の電子部品を接続することが可能となる。
【0032】
図1及び図2に示す実施形態の電子部品組立構造体10では、電子部品60を部品保持部材20に収納した後に、バスバー部材40を部品保持部材20に取り付けるようにしている。本発明の電子部品組立構造体の一実施形態として、収納する電子部品をすべて部品保持部材に収納した後に、バスバー部材を部品保持部材に取り付けるようにすることができる。
【0033】
また、本発明の別の実施形態として、先にバスバー部材を部品保持部材に取り付けておき、その後電子部品を部品保持部材に収納するようにすることも可能である。特に、電子部品を収納した後にバスバー部材を取り付けると、電子部品が変形する恐れがある場合には、このような実施形態の電子部品組立構造体を用いるのがよい。
【0034】
本発明のさらに別の実施形態として、一部の電子部品を部品保持部材に収納した後にバスバー部材を部品保持部材に取り付け、その後さらに別の電子部品を部品保持部材に収納させるようにした電子部品組立構造体を提供することも可能である。図1、2に示した電子部品組立構造体10は、このような実施形態の電子部品組立構造体に形成されており、電子部品60を収納してバスバー部材40を取り付けた後、さらに別の電子部品を収納可能としている。
【0035】
バスバー部材40を部品保持部材20に取り付けた後、さらに別の電子部品を収納可能とするために、本実施形態の電子部品組立構造体10では、バスバー部材40を仮係止位置に保持できるようにしており、すべての電子部品を収納した後に、バスバー部材40を本係止位置まで挿入するようにしている。バスバー部材40を本係止位置まで挿入することで、すべての電子部品がバスバー部材40に設けられた端子と一括して接続されるようになる。
【0036】
電子部品組立構造体10には、バスバー部材40を部品保持部材20に固定するためのバスバー部材固定手段が設けられており、図2では、バスバー部材40に設けられた複数の係止用タブ50と、部品保持部材20に設けられた係止爪26が示されている。係止用タブ50は、例えばバックル状または舌片状等の形状とすることができ、それぞれ仮係止用穴51と本係止用穴52の2つの穴(ディンプル)を有している。
【0037】
バスバー部材40を部品保持部材20に仮係止する第一のバスバー部材固定手段として、仮係止用穴51に係止爪26を係止させる手段を備え、第二のバスバー部材固定手段として本係止用穴52に係止爪26を係止させる手段を備えている。なお、この実施例では第一のバスバー部材固定手段と第二のバスバー部材固定手段を、バスバー部材40に設けた係止用タブ50で区別させるようにしていたが、これを区別する手段を部品保持部材20側に設けてもよい。
【0038】
バスバー部材40を部品保持部材20に仮係止した状態を図3、4に示す。図3は、バスバー部材40を部品保持部材20に仮係止したときの電子部品組立構造体10の斜視図であり、図4は、図3のA−A線断面図である。図4のA−A線断面図では、係止爪26が係止用タブ50に設けられた仮係止用穴51に係止されていることが示されている。
【0039】
バスバー部材40が仮係止された状態では、部品保持部材20に既に収納されている電子部品60のリード62、63と、バスバー部材40の接続端子42、43とは、十分な接続状態とはなっていない。しかし、電子部品60は、リード62、63が接続端子42、43で覆われていることから、部品保持部材20から抜け落ちる恐れはない。
【0040】
また、仮係止状態のバスバー部材40を保護するために、バスバー部材40を囲む部品保持部材20の周囲4箇所に保護板27が設けられている。このような保護板27を設けることにより、組み立て途中の電子部品組立構造体10が仮に転倒するようなことがあった場合でも、バスバー部材40や電子部品60等が損傷しないようにすることができる。また、仮係止状態の電子部品組立構造体10を積み重ねて輸送することも可能となる。
【0041】
図3、4に示すバスバー部材40を仮係止した状態において、部品保持部材20に別の電子部品をさらに収納することが可能であるが、電子部品に限らず、例えば収納した各電子部品に電力を供給するための電線を接続することも可能である。以下では、仮係止状態の電子部品組立構造体10に電線を接続する実施例を、図5、6を用いて説明する。
【0042】
部品保持部材20には、電線を収納するための電線収納部28が設けられており、電線を収納するための第1の溝29が必要数だけ形成されている。これと対向して電線を保持するための電線保持部材の1実施例を図5に示す。同図に示す電線保持部材70は、部品保持部材20の下方からこれと嵌合できる構造を有しており、電線収納部28に対向する位置に電線押さえ71が設けられている。
【0043】
電線保持部材70に設けられた電線押さえ71には、電線80を収納するための第2の溝72が電線収納部28の第1の溝29と同数だけ対向する位置に形成されている。本実施例では、所定本数の電線80が電線押さえ71の第2の溝72に配列され、この状態で仮係止状態の部品保持部材20を上方から嵌合させる。電線保持部材70と部品保持部材20とを嵌合させた状態を図6に示す。
【0044】
電線保持部材70を部品保持部材20に固定するために、電線保持部材70には電線押さえ71の周りに固定タブ73が複数個設けられている。固定タブ73が、部品保持部材20に設けられた図示しない挿入口に挿入されることで、電線保持部材70及び電線80を強固に固定する。
【0045】
電線80をバスバー部材40と接続するために、図2に示すように、バスバー部材40と一体的に電線接続用の圧接端子44〜46が設けられている。図6に示すように、電線80を電線押さえ71の第2の溝72に配列し、バスバー部材40が仮係止された状態の部品保持部材20を上方から嵌合させたとき、圧接端子44〜46が電線80の各々の上方に来るように配置されている。また、電線80の長さ方向については、圧接端子44〜46が電線押さえ71の中間位置付近に来るようにするのが好ましい。
【0046】
図6に示すバスバー部材40が仮係止位置にある状態から、バスバー部材40を部品保持部材20の内壁に沿って本係止位置までさらに挿入した状態を図7に示す。バスバー部材40が本係止位置までさらに挿入されると、圧接端子44〜46が各々の電線80を押圧して一斉に圧接接続される。
【0047】
また、接続端子42、43は、電子部品60のリード62、63をバネ片で挟むようにして接続される。リード62、63はリード収納溝22、23で支えられており、接続端子42、43は接続端子収納部24、25の内壁に沿って垂直に挿入されることから、リード62、63を変形させることなく確実に接続させることが可能となる。
【0048】
図7に示すようにバスバー部材40が本係止位置まで挿入されると、電子部品組立構造体10内に収納された電子部品60と電線80とが電気的に接続されて組み立て完了とすることができる。また必要に応じて、接続完了した電子部品組立構造体10をカバー等で保護するようにすることもできる。図8では、電子部品組立構造体10にカバー90を取り付ける実施例を示している。
【0049】
電子部品組立構造体10にカバー90を取り付けた後、さらに別の電子部品を電子部品組立構造体10に接続させるようにすることもできる。図9では、電子部品64を電子部品組立構造体10に接続する実施例を示している。電子部品64を接続した後、必要によって電子部品64を保護する別のカバーをさらに取り付けるようにしてもよい。
【0050】
図9に示す実施例では、電子部品組立構造体10の内部に収納された電子部品及びバスバー部材等の接続を完了した後に、さらに別の電子部品を接続できるようにしている。電子部品組立構造体10をこのような構成としたとき、電子部品の接続をすべて一括して行うことができる一方、複数の工程に分けて電子部品を順次接続していくようにすることも可能である。
【0051】
上記実施例では、電子部品を部品保持部材に収納した後、バスバー部材を上方から挿入して電子部品との接続を実現するようにしていたが、電子部品を部品保持部材の上方に収納し、バスバー部材を部品保持部材の下方から挿入させるようにすることもできる。この場合、すべての電子部品を部品保持部材に収納した後、バスバー部材を部品保持部材の下方から挿入して一括して接続を完了させるようにすることが容易となる。
【0052】
上記説明の通り、本発明の電子部品組立構造体は、比較的大型で高価な電子部品を組み立てて電子回路体を製造するのに好適であり、半田付けを用いることなく電子部品を接続することができるため、半田付け工程を省略して製造コストを低減することが可能となる。また、本発明の電子部品組立構造体によれば、電子部品に極力損傷を与えないよう組み立て・接続が可能なことから、製造後の検査で不具合が検出された場合には、電子部品の交換、あるいは回収して再利用することが可能となり、製造歩留まりを向上させることが可能となる。
【0053】
さらに、本発明の電子部品組立構造体を用いた場合には、電子部品を複数回利用することも可能となり、電子部品をリサイクル利用してコストを低減することが可能となる。本発明の電子部品組立構造体に内蔵されるバスバー部材は、電子部品のリードに大きな損傷を与えないよう構成された接続端子を備えており、寸法や材質の異なるリードに対しても適用可能である。
【0054】
なお、本実施の形態における記述は、本発明に係る電子部品組立構造体の一例を示すものであり、これに限定されるものではない。本実施の形態における電子部品組立構造体の細部構成及び詳細な動作等に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施形態に係る電子部品組立構造体を示す斜視図である。
【図2】(a)と(b)は、本実施形態の電子部品組立構造体を、向きを変えて見た斜視図である。
【図3】バスバー部材を仮係止したときの電子部品組立構造体の斜視図である。
【図4】図3に示す電子部品組立構造体のA−A線断面図である。
【図5】電線保持部材の1実施例を示す斜視図である。
【図6】仮係止状態の電子部品組立構造体を電線保持部材と嵌合させた状態を示す斜視図である。
【図7】本係止状態の電子部品組立構造体を示す図である。
【図8】電子部品組立構造体にカバーを取り付ける実施例を示す斜視図である。
【図9】別の電子部品を電子部品組立構造体に接続する実施例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0056】
10 電子部品組立構造体
20 部品保持部材
21 電子部品収納部
22、23 リード収納溝
24、25 接続端子収納部
26 係止爪
27 保護板
28 電線収納部
29、72 溝
40 バスバー部材
41 本体部
42、43 接続端子
44〜49 別の端子
50 係止用タブ
51 仮係止用穴
52 本係止用穴
60、64 電子部品
61 円筒状本体
62、63 リード
70 電線保持部材
71 電線押さえ
73 固定タブ
80 電線
90 カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リードを有する電子部品を収納して電子回路を形成する電子部品組立構造体であって、
前記リードに嵌合させる接続端子を備えたバスバー部材と、
少なくとも前記電子部品を収納する電子部品収納部と前記リードを収納するリード収納溝とが形成された部品保持部材と、を備え、
前記部品保持部材には前記リード収納溝に直交して前記接続端子を収納する接続端子収納部がさらに形成され、前記電子部品と前記バスバー部材とを前記部品保持部材に一体に組み立てて保持する
ことを特徴とする電子部品組立構造体。
【請求項2】
前記接続端子は、前記リードの表面メッキ層の厚さ以下の締め代を有している
ことを特徴とする請求項1に記載の電子部品組立構造体。
【請求項3】
前記接続端子は、複数のバネ片が交互に逆向きに並んで形成されている
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子部品組立構造体。
【請求項4】
前記部品保持部材には、電線を収納する電線収納部がさらに形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の電子部品組立構造体。
【請求項5】
前記バスバー部材を前記部品保持部材に固定するためのバスバー部材固定手段をさらに備える
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電子部品組立構造体。
【請求項6】
前記バスバー部材固定手段は、前記バスバー部材を仮係止する第一のバスバー部材固定手段と、前記バスバー部材を本係止する第二のバスバー部材固定手段とからなる
ことを特徴とする請求項5に記載の電子部品組立構造体。
【請求項7】
前記バスバー部材固定手段は、前記バスバー部材に具備され係止用穴が形成された係止片と、前記部品保持部材に形成された係止用爪とからなる
ことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の電子部品組立構造体。
【請求項8】
前記係止片は、前記第一のバスバー部材固定手段としての仮係止用穴と前記第二のバスバー部材固定手段としての本係止用穴とを備えている
ことを特徴とする請求項7に記載の電子部品組立構造体。
【請求項9】
前記係止片は、バックル状または舌片状のタブである
ことを特徴とする請求項7または請求項8に記載の電子部品組立構造体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2008−10322(P2008−10322A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−180273(P2006−180273)
【出願日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】